JP2007279163A - 表示方法、表示媒体、及び表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高解像度の多色表示が可能な表示方法、表示媒体、及び表示素子を提供する。
【解決手段】析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長を有する複数の金属イオンを電解液層の電解液中に含み、第1の電圧が付与されると、複数種の金属イオンの内の少なくとも1種類が還元された金属を含む金属微粒子が析出される。前記電解液層に第2の電圧が付与されると、前記金属微粒子が前記電解液中に溶解される。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示方法、この表示方法を用いた表示媒体及び表示素子に関し、特に電子ペーパー等への利用に好適な表示方法、この表示方法を用いた表示媒体及び表示素子に関するものである。
近年の情報化の進展に伴い、情報伝達媒体としての用紙の消費量は増大しつつある。その一方で、紙に替わるメディアとして、電子ディスプレイと紙の長所を併せ持った電子ペーパーと呼ばれる表示媒体が注目されつつある。この電子ペーパーの実用化のためには、書換え可能で、紙と同様に薄く、且つ繰り返えし書換えが可能である事などが求められる。
このような表示媒体への利用に適した表示技術として、銀塩溶液のような電解液を用いて電界形成や光照射により銀などの金属を析出または溶解させることにより表示を行う方法(例えば、特許文献1、及び特許文献2等参照)が知られている。
電子ペーパーの利用目的を考慮した場合、基本的には白黒表示が可能であることが重要とされているが、見栄えの良さやより多彩な表現への対応からカラー表示化が求められている。
カラー表示に関しては、例えば、上記技術にカラーフィルターの技術を適用すれば、カラー表示の可能な表示媒体を提供することができる。
特開2000−338528号公報 特開2005−92183号公報
しかし、特許文献1及び特許文献2の技術では、カラーフィルターを用いることによってカラー表示を可能とすることができるものの、カラーフィルターを用いた場合には、高い解像度および反射率を得ることは困難であった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、高解像度の多色表示が可能な表示方法、表示媒体、及び表示素子を提供することを目的とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 第1の刺激を付与することにより電解液に含まれる金属イオンを還元して金属微粒子を析出させる析出工程を経て画像を表示する表示方法であって、前記電解液が、析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長のピークを有する複数種の金属イオンを含み、前記析出工程により析出した金属微粒子が、前記複数種の金属イオンのうちの少なくとも1種類が還元された金属を含むことを特徴とする表示方法である。
<2> 第2の刺激を付与することにより析出した前記金属微粒子を前記電解液に溶解させる溶解工程を含むことを特徴とする上記<1>に記載の表示方法である。
<3> 前記析出工程により析出した金属微粒子が、可視光領域にプラズモン吸収波長を有することを特徴とする<1>または<2>に記載の表示方法である。
<4> 前記電解液に含まれる前記複数種類の金属イオンの内の少なくとも1種が、析出したときに可視光領域にプラズモン吸収波長を有することを特徴とする上記<1>から上記<3>の何れか1つに記載の表示方法である。
<5> 前記析出工程において、前記電解液に付与する前記第1の刺激の刺激量を制御することにより、析出される金属微粒子に含まれる金属の組成比を調整することを特徴とする上記<1>から上記<4>の何れか1つに記載の表示方法である。
<6> 前記析出工程において、前記電解液に付与する前記第1の刺激の刺激量を制御することにより、析出される金属微粒子のプラズモン吸収波長を調整することを特徴とする上記<1>から上記<5>の何れか1つに記載の表示方法である。
<7> 前記第1の刺激及び前記第2の刺激は電圧であることを特徴とする上記<1>から上記<6>の何れか1つに記載の表示方法である。
<8> 前記析出工程によって析出された金属微粒子は、含まれる金属の種類及び組成に応じて、赤色、緑色、または青色を呈することを特徴とする上記<1>から上記<7>の何れか1つに記載の表示方法である。
<9> 金属イオンを含む電解液からなる電解液層を少なくとも備え、前記電解液層に第1の刺激が付与されることにより前記電解液に含まれる金属イオンが還元されて金属微粒子が析出されて画像を表示する表示媒体であって、前記電解液が、析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長のピークを有する複数種の金属イオンを含み、前記第1の刺激が付与されることによって析出した金属微粒子が、前記複数種の金属イオンのうちの少なくとも1種類が還元された金属を含むことを特徴とする表示媒体である。
<10> 前記電解液層に第2の刺激が付与されることにより、前記金属微粒子が前記電解液中に溶解されることを特徴とする上記<9>に記載の表示媒体である。
<11> 少なくとも一方が透光性を有し、且つ前記電解液層を介して対向配置された一対の基板を更に備え、前記金属微粒子は、前記一対の基板の対向面の何れか一方側に析出されることを特徴とする上記<9>または上記<10>に記載の表示媒体である。
<12> 前記電解液中から析出した前記金属微粒子が、可視光領域にプラズモン吸収波長を有することを特徴とする上記<9>から上記<11>の何れか1つに記載の表示媒体である。
<13> 前記電解液に含まれる前記複数種類の金属イオンの内の少なくとも1種が、析出したときに可視光領域にプラズモン吸収波長を有することを特徴とする上記<9>から上記<12>の何れか1つに記載の表示媒体である。
<14> 前記電解液層に付与された前記第1の刺激の刺激量に応じた組成比の金属を含む金属微粒子が析出される上記<9>から上記<13>の何れか1つに記載の表示媒体である。
<15> 前記電解液層に付与された前記第1の刺激の刺激量に応じたプラズモン吸収波長を有する金属微粒子が析出される上記<9>から上記<14>の何れか1つに記載の表示媒体である。
<16> 前記第1の刺激及び前記第2の刺激は電圧であることを特徴とする上記<9>から上記<15>の何れか1つに記載の表示媒体である。
<17> 前記電解液層中から析出した前記金属微粒子は、含まれる金属の種類及び組成に応じて、赤色、緑色、または青色を呈することを特徴とする上記<9>から上記<16>の何れか1項に記載の表示媒体である。
<18> 析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長のピークを有する複数種の金属イオンを含む電解液からなる電解液層と、前記電解液に含まれる金属イオンを還元して、前記複数種の金属イオンのうちの少なくとも1種類が還元された金属を含む金属微粒子を析出させるための第1の刺激を前記電解液層に付与する刺激付与手段と、を備えた表示素子である。
刺激付与手段が電解液層に第1の刺激を付与すると、電解液層中の複数種の金属イオンの内の少なくとも1種類が還元されて、1または複数種の金属を含む金属微粒子が析出される。析出される金属微粒子に含まれる金属は、互いに析出したときに異なるプラズモン吸収波長を有する。このため、析出された金属微粒子は、該金属微粒子に含まれる金属の種類や組成に応じたプラズモン吸収波長を有し、有するプラズモン吸収波長に応じた色を呈する。このように、第1の刺激が付与されることによって、1または複数種の金属を含む金属微粒子が析出されるので、表示素子の同一領域において多色のカラー表示が可能となることから、高解像度の表示素子を提供することが可能となる。
<19> 前記刺激付与手段は、析出された前記金属微粒子を前記電解液中に溶解させるための第2の刺激を前記電解液層に更に付与する上記<18>に記載の表示素子である。
第2の刺激の付与によって析出された金属微粒子を溶解させることができるので、上記第1の刺激と組み合わせることによって、繰り返し表示が可能となる。
<20> 少なくとも一方が透光性を有し、且つ前記電解液層を介して対向配置された一対の基板を更に備えた上記<18>または上記<19>に記載の表示素子である。
<21>前記電解液中から析出した前記金属微粒子が、可視光領域にプラズモン吸収波長を有することが好ましい。
<22> 前記電解液に含まれる前記複数種類の金属イオンの内の少なくとも1種が、析出したときに可視光領域にプラズモン吸収波長を有することが好ましい。
<23> 前記刺激付与手段は、前記第1の刺激及び前記第2の刺激として、前記電解液層に電圧を印加することを特徴とする上記<18>から上記<22>の何れか1つに記載の表示素子である。
<24> 前記刺激付与手段は、前記一対の基板間に印加する電圧の電圧値を変更する変更手段を含み、該変更手段によって変更された電圧値の電圧を前記第1の刺激として前記電解液層に印加することができる。変更手段によって電解液層に印加する電圧の電圧値を変更することによって、析出される金属微粒子に含まれる金属の種類及び組成を調整することができるので、簡易な構成で容易に高解像度の表示素子を提供することが可能となる。
<25> 前記電解液層中から析出した前記金属微粒子は、含まれる金属の種類及び組成に応じたプラズモン吸収波長を有することが好ましい。
<26>前記電解液層中から析出した前記金属微粒子は、含まれる金属の種類及び組成に応じて、赤色、緑色、または青色を呈することができる。このため、表示素子において、高解像度のカラー表示を可能とすることができる。
以上説明したように本発明の表示方法、表示媒体、及び表示素子によれば、高解像度の多色表示が可能な表示方法、表示媒体、及び表示素子を提供することができる。
(表示媒体及び表示素子)
本発明の表示媒体は、金属イオンを含む電解液からなる電解液層を少なくとも備え、電解液層に第1の刺激が付与されることにより電解液に含まれる金属イオンが還元されて金属微粒子が析出されて画像を表示する表示媒体であって、上記電解液が、析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長のピークを有する複数種の金属イオンを含み、上記第1の刺激が付与されることによって析出した金属微粒子が、上記複数種の金属イオンのうちの少なくとも1種類が還元された金属を含んでいる。
また、上記第1の刺激を上記電解液層に付与する刺激付与手段を備えることにより、表示素子として構成することができる。
すなわち、本発明の表示媒体及び表示素子は、析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長のピークを有する複数の金属イオンを電解液層の電解液中に含み、第1の刺激が付与されると、複数種の金属イオンの内の少なくとも1種類が還元された金属を含む金属微粒子が析出される。
電解液中には、析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長のピークを有する複数の金属イオンが含まれることから、析出した金属微粒子に含まれる金属の種類及び組成は第1の刺激の付与量により異なるものとなり、含まれる金属の種類及び組成によって、含まれる金属各々のプラズモン吸収波長のピークから遷移したプラズモン吸収波長をピークとする金属微粒子が析出される。析出される金属微粒子の有するプラズモン吸収波長に応じた色が該金属微粒子の析出した領域の色として視認されることから、析出される金属微粒子に含まれる金属の組成比を調整することにより、同一領域で多色表示を行うことが可能となる。従って、高解像度の多色表示が可能な表示媒体及び表示素子を提供することが可能となる。
さらに、析出された金属微粒子を電解液中に溶解させるための第2の刺激が電解液層に付与されると、析出された金属微粒子に含まれる金属が酸化されて金属イオンとして電解液中に溶解する。このため、第1の刺激と第2の刺激の組み合わせにより、繰り返し高解像度の多色表示が可能な表示媒体及び表示素子を提供することが可能となる。
(電解液層)
本発明の表示媒体及び表示素子に含まれる電解液層は、析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長を有する複数種の金属イオンを含む電解液を含有する領域であり、表示素子及び表示媒体として使用する場合には、種々の色を表示する機能を発揮する層である。
まず、電解液層を構成する電解液について説明する。
本発明に用いられる電解液は、電解液中に金属イオンを溶解させるための溶媒として構成されている。
溶媒としては水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、その他の非水溶媒(有機溶媒等)などを1種類または2種類以上を組み合わせて利用することができる。
上記非水溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、メチルピロリドン等、シリコーンオイル等の非プロトン性非水溶媒を上げることができる。
電解液層には、添加剤として、水溶性樹脂、界面活性剤、金属微粒子として析出する金属イオン以外の電解物質、ポリマー微粒子、金属酸化物微粒子等を適宜含有させることができる。すなわち、上記溶媒としては、上記金属を溶解するとともに、電解物質、ポリマー、及び界面活性剤を溶解または分散させることが可能なものが選択される。
上記水溶性樹脂としては、ポリエチレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリエチレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、等のポリマーを単独、あるいは複数組み合わせて使用することができる。
水溶性樹脂を、電解液中に溶解または分散させることにより、電解液層中の金属イオンの移動速度の制御、及び析出した金属微粒子の安定化を図ることができる。水溶性樹脂の電解液への添加量は、金属イオンの種類や、その他の添加量との関係から適宜調整すればよい。
上記界面活性剤としては、カチオン型界面活性剤(アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等)、ノニオン型界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等)、アニオン型界面活性剤(アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、脂肪酸塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、芳香族スルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、β-ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等)、及び両性界面活性剤、等をから選択することができる。
界面活性剤を電解液中に溶解又は分散させることによって、析出した金属微粒子の安定化、及び析出する金属微粒子の体積平均一次粒径の制御を行うことができる。具体的には、界面活性剤の添加量が多くなるほど、析出させる金属微粒子の体積平均一次粒径を小さくすることが可能となる。
なお、電解液中には、金属イオンのカウンターイオンを含むことが好ましい。
このカウンターイオンとしては、上記第1の刺激が付与されない限り電解液中で金属イオンがイオン状態で安定に存在できるものであれば特に限定されないが、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ブロムイオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、ホウフッ化イオン等を挙げることができる。
なお、電解液はゲル状であってもよい。電解液をゲル状とすることにより、表示媒体の一部が破損したような場合でも、電解液が表示媒体外へ流失したり漏れたりすることを防ぐことが容易になる。なお、電解液をゲル状とするには、水溶性樹脂などを利用することができる。
次に、電解液層に含まれる金属イオン及び第1の刺激に付与により析出される金属微粒子について説明する。
本発明において、第1の刺激の付与により析出される金属微粒子とは、可視光領域にプラズモン吸収波長を有し、このプラズモン吸収波長に応じた色(発色性)を呈する金属粒子である。
このようなプラズモン吸収による発色は、体積平均粒径が数nm〜数十nm程度の所謂ナノ粒子において見られ、彩度や吸光度が高く、耐久性等に優れている。本発明の表示素子及び表示媒体は、このプラズモン吸収による発色を利用した表示を行うことで、彩度、耐久性、及び反射率に優れた表示素子及び表示媒体を提供することができる。
本発明において析出される金属微粒子の析出状態は、電解液層に含まれる金属イオンが還元された金属単体である状態、部分的に金属がドメインを形成して金属混合物として混合析出した状態、複数の金属が原子レベルで混合した合金状態、及び一方の金属がコア(核)となって他方の金属がその金属を覆うコアーシェル構造等の何れの状態であってもよい。
なお、本発明において「析出される金属微粒子」とは、析出された金属微粒子の各々が、複数種の金属の合金である場合、金属混合物である場合、コアーシェル構造である場合を示すと共に、互いに異なる金属単体により構成される金属微粒子が混在して析出された状態も示している。
このため、「金属微粒子に含まれる複数種の金属」とは、合金、金属混合物、またはコアーシェル構造として析出された各金属微粒子に含まれる金属のみではなく、同一の刺激によって析出された複数の金属微粒子に含まれる全ての金属を示すものである。
析出される金属微粒子の体積平均粒子径としては、1〜100nmであることが好ましく、2〜50nmであることが特に好ましい。1〜100nmの範囲にある金属微粒子は、実用的で色の強さが良好な点で有意である。特に、2〜50nmの範囲にあると、その粒径でプラズモン吸収が可視域に入る金属が多く、また析出時の応答時間短縮及び消費電力低減の効果が期待できる。
なお、本発明における体積平均粒子径は、電子顕微鏡により観測した電極表面の画像から、画像解析により算出している。
ここで、電解液層から析出される金属微粒子のプラズモン吸収波長は、金属微粒子に含まれる金属の種類及び組成に応じて、含まれる複数の金属各々の有するプラズモン吸収波長のピーク間で変化する。このため、電解液層に付与する第1の刺激の刺激量を調整すれば、析出する金属微粒子に含まれる金属の組成比を調整することができ、析出された金属微粒子の示すプラズモン吸収波長を変化させることで、表示色を変化させることが可能となる。
本発明で析出される金属微粒子を構成する金属としては、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、鉛、クロム、スズ等の中の少なくとも1種及び複数種が挙げられる。
これらの金属の内、特に有益な可視域近傍に金属単体でプラズモン吸収を有するのは数種類であり、そのうち白金と銀は近紫外〜可視域に、金と銅は可視域〜近赤外に吸収を示す。
上記金属の内の少なくとも1種を含む金属微粒子が、電解液層への第1の刺激の付与によって析出されるように構成するために、本発明の表示媒体及び表示素子では、予め電解液層の上記電解液中に上記金属の内の少なくとも2種以上の金属の金属イオンが溶解されている。
この複数の金属イオンを含む電解液層に第1の刺激が付与されることにより、付与された刺激量に応じた種類及び組成の金属を含む金属微粒子が析出される。
電解液層を構成する成分の全質量に対する、該電解液層に含まれる金属イオンの濃度としては、所望の色相が得られる濃度であれば特に限定されるものではないが、電解液の安定性、発色濃度の確保、刺激を付与してから画像が表示されるまでの応答速度等の観点から0.001〜2mol/lの範囲内であることが好ましい。
電解液中に含まれる金属イオンは、第1の刺激の付与により還元されて金属微粒子として析出したときにプラズモン吸収による発色を示す金属イオンであればよく、上記金属を含む金属化合物を原料とすることにより得ることができる。金属化合物としては、上記金属を含むものであれば特に限定されず、例えば、塩化金酸、臭化金、臭化金酸カリウム、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀、臭化白金、塩化白金酸、塩化白金酸カリウム、塩化銅(II)、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)、臭化銅等を挙げることができる。
これらの金属化合物を上記溶媒(電解液)に溶解させることにより、電解液層中に上記金属の金属イオンを含有させることができる。
電解液層の電解液中に含まれる金属イオンの種類及び数(異なる種類の金属イオンの数)は、析出された1または複数種の金属を含む金属微粒子が可視光領域にプラズモン吸収波長を有するように選択されればよく、目的とする色に応じて選択されればよい。
なお、電解液層に含まれる複数種の金属イオンの内の少なくとも1種類は、金属単体の金属微粒子として析出されたときに、可視領域の範囲内のプラズモン吸収波長を有する金属イオンであることが好ましい。
このようにすれば、1種類の金属単体からなる金属微粒子が析出された場合、及び複数種の金属からなる金属微粒子が析出された場合の双方において、析出される金属微粒子のプラズモン吸収波長を可視光領域とすることができるので、表現可能な色相のより広い多色表示が可能となる。
また、一定レベルの刺激の付与時間が長くなるほど、例えば所定電圧の印加時間が長くなるほど、より多くの金属微粒子を析出させることが可能となることから、刺激量のみではなく、刺激の付与時間をさらに調整すれば、表示される濃度を調整することが可能となる。
また、上述のように、金属微粒子は、含まれる金属の種類や組成比等により、様々な色に発色させることができるため、金属の種類や組成比を制御した金属微粒子を析出させることにより、RGB発色を含む様々な色相を得ることができ、本発明の表示素子及び表示媒体を、カラー表示素子及びカラー表示媒体とすることができる。
RGB方式のR、G、Bそれぞれの色を呈するために析出させる金属微粒子に含まれる金属成分の種類や組成比としては、特に限定することはできないが、例えば、2種類の金属成分の組成比(モル比)を調整することによってR、G、Bの3色各々に対応するプラズモン吸収波長を示す金属微粒子を析出させることができる。
次に、上記第1の刺激及び第2の刺激について説明する。
金属微粒子を析出させるための第1の刺激(以下、「析出刺激」と称す場合がある)としては、電解液中の金属イオンに何らかの形でエネルギーを付与して、金属イオンを還元することができるものであれば特に限定されるものではないが、本発明においては、第1の刺激として電圧、光、あるいは、超音波を利用することが好ましく、特に電圧を利用することがより好ましい。または、複数の刺激(光、電気、及び超音波等)を同時に与えても良い。
一方、析出した金属微粒子を電解液中に溶解させるための第2の刺激(以下、「溶解刺激」と称す場合がある)としては、析出された金属微粒子に何らかの形でエネルギーを付与して、金属微粒子を酸化して金属イオンとして電解液中に溶解させることができるものであれば特に限定されるものではないが、本発明においては電圧、光、あるいは、必要に応じて更に超音波を利用することができ、特に電圧を利用することがより好ましい。
上記第1の刺激の種類と、上記第2の刺激の種類とは異なっていても同一であってもよい。
なお、「刺激の種類が異なる」とは、刺激のエネルギー的態様が異なることを意味し、電圧、光、及び超音波等の種別が異なることを示している。このため、この「刺激の種類が異なる」意味には、電圧の大小や、光の照度の大小等の刺激の強度、プラスの電圧であるのかマイナスの電圧であるのかを示す刺激の極性、光の波長や超音波の周波数などの刺激の波長及び周波数、等の違いは含まれない。
従来技術では、表示を制御するための刺激が電界または光照射のいずれか一方のみしか利用できない。すなわち、画像情報の書き込み/書き換え/消去のための手段が1種類に限定されるため、例えば、電気的に画像情報の書き込み/書き換えを行った後に、コピー原稿の代わりに表示媒体を複写機にセットして複写機の強い光源に曝して画像情報を消去するといったような、2種類以上の刺激を利用した多様な形態で表示媒体を利用することができない。しかしながら、本発明の表示媒体及び表示素子では、析出のための第1の刺激の種類と、溶解のための第2の刺激の種類とを異なるものとすることも可能である。
また、本発明の表示方法では様々な種類の析出刺激、溶解刺激を利用して表示を行うことができるため、本発明の表示媒体や表示素子を設計する上での自由度が高いというメリットもある。
以下、本発明の表示素子の構成について、図1を用いて説明する。
図1(A)に示すように、本発明の表示素子10は、電解液層34を含んで構成される表示媒体12と、電解液層34内に刺激を付与するための刺激付与部14と、を含んで構成されている。
なお、図1に示す例では、刺激付与部14としては、電解液層34内に刺激として電圧を印加可能な電圧印加部として構成されるものとして説明する。刺激付与部14は、電解液層34内に印加する電圧値を調整するための制御部15に信号授受可能に接続されている。なお、制御部15が、本発明の表示素子の変更手段に相当する。また、電解液層34が、本発明の表示素子及び表示媒体の電解液層に相当する。
表示媒体12は、背面基板16、該背面基板16に間隙をもって対向して設けられた表示基板20、複数の間隙部材26、電解液層34、第1の電極22、及び第2の電極24を含んで構成されている。
なお、背面基板16及び表示基板20を、電気伝導性を有する材料により構成する場合には、表示基板20及び背面基板16の各々が、第1の電極22及び第2の電極24として機能するため、第1の電極22及び第2の電極24を設けない構成も可能である。
背面基板16には、第1の電極22、電解液層34、第2の電極24、及び表示基板20が順に積層されている。
間隙部材26は、背面基板16と表示基板20との間隙を所定間隔となるように保持すると共に、電解液層34の電解液が表示媒体12の外部に流れ出すことを抑制するための部材であって、背面基板16と表示基板20との間に複数設けられている。
電解液層34は、背面基板16に積層された第1の電極22、間隙部材26、及び表示基板20に積層された第2の電極24によって囲まれることによって形成された各領域(以下、適宜、区画と称する)の総称であり、種々の色を表示する機能を発揮する層である。
すなわち、間隙部材26によって、背面基板16と表示基板20との間の領域を、複数の区画に区切ることにより、電解液層34は、複数の領域に分割される。
電解液層34は、電解液32中に、2種類以上の上記金属イオンが溶解されて構成されている。図1(A)の例では、電解液32中に、析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長を有する金属イオン30A、及び金属イオン30Bが溶解されている。なお、電解液32中に溶解されている複数種の金属イオンを総称する場合には、金属イオン30として説明する。
なお、この例では、金属イオン30Aとしては、析出したときに波長530nmにプラズモン吸収波長のピークがみられる金イオンを用い、金属イオン30Bとしては、析出したときに波長390nmにプラズモン吸収波長のピークが見られる銀イオンを用いた場合を説明する。
第1の電極22及び第2の電極24には、第1の電極22及び第2の電極24に電圧を印加することにより、電解液層34内に電界を形成するための刺激付与部14が信号授受可能に接続されている。なお、上記第1の電極22、第2の電極24、及び刺激付与部14は、本発明の表示媒体の刺激付与手段に相当する。
表示基板20及び背面基板16は、透明基板によって構成されている。表示素子を反射型で使用する場合には、背面基板は、透明基板でなくても構わない。
表示基板20及び背面基板16としては、その表面に金属微粒子が析出されることから、電解液や刺激の付与によって劣化したり腐食したりせず、また電解液から析出した金属微粒子が再度溶解するまでの間、金属微粒子を安定的に同じ位置に保持できるものであれば特に限定されない。
この透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコーン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板等の無機基板などが好ましく用いられる。なお、透明基板としては、少なくとも50%以上の光透過率(可視光)を有することが好ましい。
間隙部材26の材料としては、特に限定されず、公知の樹脂材料を用いることができるが、製造上の観点から、感光性樹脂を用いることが好ましい。
間隙部材26の幅(表示媒体12の積層方向に直交する方向の長さ)は、特に限定されるものではないが、一般的には幅が小さい方が、表示素子10の解像度の観点より有効であり、通常、1μm〜1mm程度であることが好ましい。
間隙部材26の高さ、すなわち、電解液層34の層厚は、製造される表示媒体12のサイズや重さ、発色性等により、適宜決定されるが、1μm〜200μm、好ましくは、3μmから100μmが好ましい。
なお、この間隙部材26は、粒子状であってもよい。粒度分布は、狭いことが好ましく、単分散であることが、より好ましい。色は、淡色、より好ましくは、白色が良い。材質的には、上記、ポリマー微粒子、もしくは、二酸化珪素が好ましい。これらの粒子表面は、溶媒への分散性、溶媒からの保護の目的で、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の表面処理剤で、処理されることが、好ましい。
上記部材及び各層は、図示を省略する接着層を介して接着されている。接着層の材料としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂、紫外光硬化性樹脂等を使用することができるが、間隙部材26の材料や、電解液層34に含まれる電解液32等の表示媒体12を構成する各部材の材料に影響を与えない材料が選択される。
なお、電解液層34中には、電解液層34中に溶解している金属イオンを担持するための金属イオン担持体(図示省略)を更に設けるようにしてもよい。
例えば、金属微粒子が表示基板20及び背面基板16の対向面の何れか1方側に析出される場合には、この対向面の何れか一方に金属イオン担持体を配置することによって、この対向面近傍における金属イオンの濃度を高くすることができるため、刺激付与部14によって電解液層34中に第1の刺激が付与されたときに、この対向面への金属微粒子の析出を促進させることができ、画像を表示するときの応答速度を高めることができる。なお、金属イオン担持体としては、電解液中の金属イオンを高濃度で担持可能な材料で構成されればよく、例えば、ゼオライトやイオン交換樹脂等を利用することができる。
第1の電極22及び第2の電極24としては、少なくとも50%以上の光透過率(可視光)を有する透明電極が用いられる。
具体的には、酸化錫−酸化インジウム(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物層が好ましく用いられる。また、電極は、これらの材料を単独で用いて形成されていてもよいし、複数種の材料を積層したものであってもよい。
なお、第1の電極22及び第2の電極24の厚みや大きさは、表示媒体12によって様々なものが利用でき、特に限定されるものではない。
なお、表示素子10の高解像度を実現するために、表示媒体12では、電解液層34が、背面基板16の基板面に沿った方向に複数区画に区切られるように、間隙部材26によって背面基板16と表示基板20との間を複数の区画に区切ることによって、複数の区画が背面基板16の板面に沿った方向に配列された構成としてもよい。
この区画を、例えば、表示媒体12に画像を表示したときの、該画像の各画素に対応して設けるようにすれば、各画素に対応する領域毎に表示色を調整することが可能となり好ましく、高解像度で且つ多色表示可能な表示素子10及び表示媒体12を提供することが可能となるので好ましいが、画素や特定の領域に対応していなくてもよい。
また、このように間隙部材26によって表示媒体12の電解液層34を複数領域に区切ることによって、表示媒体12の一部の領域が破損した場合であっても、表示媒体12全体の機能が損なわれることを抑制することが可能となる。
また、本発明の表示媒体12は、可撓性を有していることが好ましい。この場合、本発明の表示媒体12を、電子ペーパーや携帯型電子機器等の可撓性が求められる用途に利用することが容易となる。なお、このような用途に用いる場合には、表示基板20、背面基板16、間隙部材26、第1の電極22、及び第2の電極24として、可撓性を有する材料を用いることが好ましい。
次に、図1に示す、本発明における表示素子10における、表示方法の一例を説明する。
なお、説明を簡略化するために、電解液層34中には、2種類の金属イオン30A及び金属イオン30Bが含まれる場合を説明するが、3種類以上の金属イオンが含まれていてもよい。
なお、金属イオン30Aは、第1の電極22及び第2の電極24間に電圧値Aより高い電圧が印加されたときに析出し、金属イオンBは、電圧値Aより高い電圧B(A<B)より高い電圧が印加されたときに析出するものとして説明する。
制御部15の制御によって、電圧値A以下の電圧を印加するように刺激付与部14が制御されると、刺激付与部14は、第1の電極22及び第2の電極24に電圧値A以下の電圧を印加する(図1(A)参照)。
この場合には、電解液層34中の金属イオン30A及び金属イオン30Bの双方とも析出されず、表示媒体12が視認方向X側から視認されると、無色(背面基板16の色)として視認される。
制御部15の制御によって、電圧値Aより高く且つ電圧値Bより低い電圧値の電圧を印加するように刺激付与部14が制御されると、刺激付与部14は、第1の電極22及び第2の電極24に、電圧値Aより高く且つ電圧値Bより低い電圧値の電圧を印加する。
このような電圧が印加されると、電解液層34中の金属イオン30Aが還元されて、該金属イオン30Aが還元された金属からなる金属微粒子が析出する。
この場合には、表示媒体12が視認方向X側から視認されると、金属イオン30Aが還元されて析出したときのプラズモン吸収波長に対応する色が視認される。
制御部15の制御によって、電圧値B以上の電圧値の電圧を印加するように刺激付与部14が制御されると、刺激付与部14は、第1の電極22及び第2の電極24に、電圧値B以上の電圧値の電圧を印加する。
このような電圧が印加されると、電解液層34中の金属イオン30A及び金属イオン30Bの双方が還元された金属成分からなる金属微粒子が析出する(例えば、図1(B)析出した金属微粒子36 参照)。
なお、このとき、析出される金属微粒子に含まれる金属イオン30Aの金属に対する、金属イオン30Bの金属の組成比(モル比)は、電圧値Bより高い電圧値の電圧が印加されるほど大きくなる。
表示媒体12が視認方向X側から視認されると、析出された金属微粒子に含まれる金属成分の組成比に応じたプラズモン吸収波長に対応する色が視認される。
このため、電圧値Bより高い電圧値の電圧が印加されるほど、析出される金属微粒子のプラズモン吸収波長のピークは、金属イオン30Aの金属のプラズモン吸収波長のピーク側から金属イオン30Bの金属のプラズモン吸収波長のピーク側へと遷移し、それに伴って視認される色相が変化する。
一方、制御部15の制御によって電圧値−B以下の電圧値の電圧を印加するように刺激付与部14が制御されると、刺激付与部14は、第1の電極22及び第2の電極24に、電圧値−B以下の電圧を印加する。このような電圧が印加されると、析出された金属微粒子が電解液層34中に溶解し、図1(A)の状態に戻り、電解液層34中に金属イオン30A及び金属イオン30Bが分散された状態となり、表示媒体12が視認方向X側から視認されると、無色(背面基板16の色)として視認される。
このように、電解液層34に付与する刺激量としての、電圧値を調整することによって、析出される金属微粒子に含まれる金属成分の組成比を調整することができ、表示媒体12の表示色を変化させることができる。
この例のように、電解液層34中に、2種類の金属イオンが含まれる場合には、析出される金属微粒子の有するプラズモン吸収波長は、含まれる金属成分の組成比に応じて、2種類の金属イオンの金属各々の有するプラズモン吸収波長のピークの間で遷移する。
なお、析出した金属微粒子に含まれる金属の組成比として達成可能な組成比は、金属の種類や、電解液層34中に含まれる各金属イオンの濃度、及び電解液の種類等の諸条件によって異なるが、電解液層34中に、複数種類の金属イオンを含み、電解液層34中に含有される各金属イオンの濃度、カウンターイオンの種類、溶媒の種類、背面基板16の種類、表示基板20の種類、及び背面基板16と表示基板20との間隙等の各種条件の内、固定可能な要素と変動させる要素を決定し、この変動要素を調整することによって、析出させる金属微粒子に含まれる金属成分の組成を調整するようにすればよい。
この変動要素としては、上述のように、電解液層34に付与する刺激としての電圧や、光量等が挙げられる。
なお、電解液層34中に含まれる複数種の金属イオンとして、析出に必要な電位が互いに近い値(電位差が小さい)であるほど、複数種の金属の合金として金属微粒子を析出させやすく、析出に必要な電位が互いに離れた値(電位差が大きい)であるほど、各種金属イオンを独立した金属微粒子として析出させやすい。析出させる金属微粒子を複数の金属成分の合金として析出させるか、または独立した金属微粒子が混在するように析出させるかは、目的とする析出状態や制御の難易によって、同一の電解液層34中に含有させる金属イオンの種類の組み合わせを選択するようにすればよい。
なお、電解液層34中に含まれる複数種の金属イオンは、析出された金属微粒子が可視光領域にプラズモン吸収波長を有する必要があることから、少なくとも1種の金属イオンが析出したときに可視光領域にプラズモン吸収波長を有することが望ましい。しかし、複数種の金属からなる金属微粒子を析出させることによって、複数種の金属のプラズモン吸収波長間で、析出される金属微粒子のプラズモン吸収波長を調整することができることから、紫外領域、赤外領域などの、可視光領域にプラズモン吸収波長を有さない金属の金属イオンも、電解液層34中に含有させる金属イオンとして選択可能である。
上記図1に示す例では、電解液層34に付与する刺激として電圧を用いる場合を説明したが、刺激として、光を用いる場合についても同様にして、多色表示が可能となる。
この場合には、上記図1に示す第1の電極22及び第2の電極24に換えて、背面基板16上に光触媒物質層を設けると共に、刺激として、表示基板20側から光を照射するようにすればよい。
この「光触媒物質層」は、光の照射によって金属イオンを還元して金属微粒子を析出させる光触媒機能、及び析出した金属微粒子を酸化して電解液中に溶解させる光触媒機能を有すればよく、照射される光の波長または光の強度に応じて、特定の金属イオンの還元または酸化機能を発現することにより、図1を用いて説明した場合と同様に、析出される金属微粒子に含まれる金属成分の組成を調整することで、表示媒体及び表示素子におけるカラー表示が可能となる。
また、刺激として、超音波を用いることも可能である。この場合には、超音波を印加するための例えばピエゾ素子等を背面基板16上に設けるようにすればよい。
電解液層34中に超音波が印加されると、電解液層34中にそのケミカルな反応場として高温・高圧のキャビティが形成され、このキャビティの持つエネルギーにより金属イオンが還元されて金属微粒子が析出する。
この超音波の周波数や強度を調整することにより、析出される金属微粒子に含まれる金属成分の組成比が調整されて、結果的に、表示媒体及び表示素子におけるカラー表示が可能となる。
(実施例1)
図1に示す構成を有する表示媒体を以下の手順で作製した。
まず、表示基板として、無アルカリガラス基板(厚み1mm、10cm×10cm)上に、多孔質膜による電極として、Solaronix社のT−LALT TiO2ペーストをスキージ法により上記基板上に50μm厚に塗布し、これを150℃ホットプレート上で10分間加熱することにより、第1の電極としてITO/TiO2電極が設けられた基板を作製した。
次に、背面基板として、厚さ1mmの無アルカリガラス基板上に、第2の電極としてPt電極を設けた。
上記作製した背面基板としてのPt/ガラス基板上に、間隙部材として、直径が約50μmの樹脂粒子からなるスペーサーを適当な間隔を置いて適宜配置した後に、上記表示基板をTiO2電極の形成された面が、上記Pt電極と向かい合うように重ね併せて積層体を形成し、続いて、この積層体端面の全周を、一部を除いて紫外線硬化性樹脂(スリーボンド社製、3121)によりシールした後、紫外線を照射して硬化させた。
次に、積層体端面のシールがされていない部分(電解液注入口)から後述する電解液を積層体内に充填した後、上記の紫外線硬化性樹脂により電解液注入口をシールして紫外線を照射して硬化させ、表示媒体を作製した。
なお、電解液としては、以下の組成からなる溶液を用いた。
・H2PtCl6 1mM/l
・CuCl2 1mM/l
・KCl 0.1M/l
・イオン交換水(溶媒)
次に、この表示媒体にPt電極側を陽極、ITO/TiO2電極側を陰極とし、両電極間の電位差が2Vとなるように、Pt電極及びITO/TiO2電極に直流電圧を5分間印加した後の吸収スペクトルを、日立分光光度計 U−4100により測定したところ、図2に示す線図40により表される結果が得られると共に、黒色表示が観察された。
また、TiO2基板表面に析出された金属微粒子の元素分析を行ったところ、Ptのみが検出された。
さらに、Pt電極側を陽極、ITO/TiO2電極側を陰極とし、両電極間の電位差が3Vとなるように、Pt電極及びITO/TiO2電極に直流電圧を10分間印加した後の吸収スペクトルを、上記と同様にして測定したところ、図2に示す線図42により表される結果が得られると共に、表示色として茶色が観察された。
また、TiO2基板表面に析出された金属微粒子の元素分析を行ったところ、PtとCuの双方が検出された。
さらに、PtとCuとの組成比(モル比)をエネルギー分散型X線分析装置により求めたところ、Pt/Cuの組成比は10/1(モル比)であった。
以上の結果から、複数種の金属イオンが溶解された電解液への電圧の付与によって、印加する電圧の電圧レベルを調整することにより、析出される金属微粒子に含まれる金属成分の組成を調整し、複数色の発色を可能とすることができることが確認された。
本発明の表示媒体及び表示素子の一例を示す模式断面図であり、(A)は、金属微粒子が析出されていない状態を示し、(B)は、金属微粒子が析出された状態を示す。 実施例において析出した金属微粒子の吸収スペクトルを示す線図である。
符号の説明
10 表示素子
12 表示媒体
14 刺激付与部
15 制御部
16 背面基板
20 表示基板
30A、30B 金属イオン
32 電解液
34 電解液層
36 金属微粒子

Claims (26)

  1. 第1の刺激を付与することにより電解液に含まれる金属イオンを還元して金属微粒子を析出させる析出工程を経て画像を表示する表示方法であって、
    前記電解液が、析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長のピークを有する複数種の金属イオンを含み、前記析出工程により析出した金属微粒子が、前記複数種の金属イオンのうちの少なくとも1種類が還元された金属を含むことを特徴とする表示方法。
  2. 第2の刺激を付与することにより析出した前記金属微粒子を前記電解液に溶解させる溶解工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示方法。
  3. 前記析出工程により析出した金属微粒子が、可視光領域にプラズモン吸収波長を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示方法。
  4. 前記電解液に含まれる前記複数種類の金属イオンの内の少なくとも1種が、析出したときに可視光領域にプラズモン吸収波長を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の表示方法。
  5. 前記析出工程において、前記電解液に付与する前記第1の刺激の刺激量を制御することにより、析出される金属微粒子に含まれる金属の組成比を調整することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の表示方法。
  6. 前記析出工程において、前記電解液に付与する前記第1の刺激の刺激量を制御することにより、析出される金属微粒子のプラズモン吸収波長を調整することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の表示方法。
  7. 前記第1の刺激及び前記第2の刺激は電圧であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の表示方法。
  8. 前記析出工程によって析出された金属微粒子は、含まれる金属の種類及び組成に応じて、赤色、緑色、または青色を呈することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の表示方法。
  9. 金属イオンを含む電解液からなる電解液層を少なくとも備え、前記電解液層に第1の刺激が付与されることにより前記電解液に含まれる金属イオンが還元されて金属微粒子が析出されて画像を表示する表示媒体であって、
    前記電解液が、互いに異なるプラズモン吸収波長のピークを有する複数種の金属イオンを含み、前記第1の刺激が付与されることによって析出した金属微粒子が、前記複数種の金属イオンのうちの少なくとも1種類が還元された金属を含むことを特徴とする表示媒体。
  10. 前記電解液層に第2の刺激が付与されることにより、前記金属微粒子が前記電解液中に溶解されることを特徴とする請求項9に記載の表示媒体。
  11. 少なくとも一方が透光性を有し、且つ前記電解液層を介して対向配置された一対の基板を更に備え、前記金属微粒子は、前記一対の基板の対向面の何れか一方側に析出されることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の表示媒体。
  12. 前記電解液中から析出した前記金属微粒子が、可視光領域にプラズモン吸収波長を有することを特徴とする請求項9乃至請求項11の何れか1項に記載の表示媒体。
  13. 前記電解液に含まれる前記複数種類の金属イオンの内の少なくとも1種が、析出したときに可視光領域にプラズモン吸収波長を有することを特徴とする請求項9乃至請求項12の何れか1項に記載の表示媒体。
  14. 前記電解液層に付与された前記第1の刺激の刺激量に応じた組成比の金属を含む金属微粒子が析出される請求項9乃至請求項13の何れか1項に記載の表示媒体。
  15. 前記電解液層に付与された前記第1の刺激の刺激量に応じた、プラズモン吸収波長を有する金属微粒子が析出される請求項9乃至請求項14の何れか1項に記載の表示媒体。
  16. 前記第1の刺激及び前記第2の刺激は電圧であることを特徴とする請求項9乃至請求項15の何れか1項に記載の表示媒体。
  17. 前記電解液層中から析出した前記金属微粒子は、含まれる金属の種類及び組成に応じて、赤色、緑色、または青色を呈することを特徴とする請求項9乃至請求項16の何れか1項に記載の表示媒体。
  18. 析出したときに互いに異なるプラズモン吸収波長のピークを有する複数種の金属イオンを含む電解液からなる電解液層と、
    前記電解液に含まれる金属イオンを還元して、前記複数種の金属イオンのうちの少なくとも1種類が還元された金属を含む金属微粒子を析出させるための第1の刺激を前記電解液層に付与する刺激付与手段と、
    を備えた表示素子。
  19. 前記刺激付与手段は、析出された前記金属微粒子を前記電解液中に溶解させるための第2の刺激を前記電解液層に更に付与する請求項18に記載の表示素子。
  20. 少なくとも一方が透光性を有し、且つ前記電解液層を介して対向配置された一対の基板を更に備えた請求項18または請求項19に記載の表示素子。
  21. 前記電解液中から析出した前記金属微粒子が、可視光領域にプラズモン吸収波長を有することを特徴とする請求項18乃至請求項20の何れか1項に記載の表示素子。
  22. 前記電解液に含まれる前記複数種類の金属イオンの内の少なくとも1種が、析出したときに可視光領域にプラズモン吸収波長を有することを特徴とする請求項18乃至請求項21の何れか1項に記載の表示素子。
  23. 前記刺激付与手段は、前記第1の刺激及び前記第2の刺激として、前記電解液層に電圧を印加することを特徴とする請求項18乃至請求項22の何れか1項に記載の表示素子。
  24. 前記刺激付与手段は、前記一対の基板間に印加する電圧の電圧値を変更する変更手段を含み、該変更手段によって変更された電圧値の電圧を前記第1の刺激として前記電解液層に印加する請求項23に記載の表示素子。
  25. 前記電解液層中から析出した前記金属微粒子は、含まれる金属の種類及び組成に応じたプラズモン吸収波長を有する請求項18乃至請求項24の何れか1項に記載の表示素子。
  26. 前記電解液層中から析出した前記金属微粒子は、含まれる金属の種類及び組成に応じて、赤色、緑色、または青色を呈することを特徴とする請求項18乃至請求項25の何れか1項に記載の表示素子。
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