JP2008280846A - 密閉型冷媒圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】
一時的に潤滑油が供給されない可能性のあるHFC系冷媒,自然系冷媒用圧縮機の軸受部において、摩耗や焼付きを防止し高い耐摩耗性と耐焼付き性を有する軸受材を用いた、高信頼性かつ長寿命な密閉型冷媒圧縮機を提供すること。
【解決手段】
回転軸のクランクにより駆動される圧縮手段によって冷媒を圧縮する冷凍サイクルの冷媒圧縮機において、回転軸およびクランクに対する少なくとも一方の軸受は、黒鉛を含む炭素質基材の気孔に、銅,錫,りんを主とする合金、或いは銅,りんを主とする合金を含浸した材料を使用することにより、上記課題を解決できる。
【選択図】図1
一時的に潤滑油が供給されない可能性のあるHFC系冷媒,自然系冷媒用圧縮機の軸受部において、摩耗や焼付きを防止し高い耐摩耗性と耐焼付き性を有する軸受材を用いた、高信頼性かつ長寿命な密閉型冷媒圧縮機を提供すること。
【解決手段】
回転軸のクランクにより駆動される圧縮手段によって冷媒を圧縮する冷凍サイクルの冷媒圧縮機において、回転軸およびクランクに対する少なくとも一方の軸受は、黒鉛を含む炭素質基材の気孔に、銅,錫,りんを主とする合金、或いは銅,りんを主とする合金を含浸した材料を使用することにより、上記課題を解決できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば空調機,冷凍機、及び給湯機に搭載されるスクロール型圧縮機、及びロータリ型圧縮機に関するものである。
ルームエアコン,冷蔵庫,給湯機等に用いられる冷媒圧縮機としては様々なものがあるが、最近では振動や騒音が小さく性能が優れたスクロール圧縮機が多く使用されるようになってきている。
図9に一般的なスクロール圧縮機の構成を示す。固定スクロール4は鏡板4aを有し、その一方の面に略インボリュート形状のラップ4bが直立して設けられている。鏡板4aの中央には吐出口4dが設けられている。旋回スクロール3の鏡板3aにも略インボリュート形状のラップ3bが直立して設けられている。旋回スクロール3の鏡板3aのもう一方の面には軸受部を有している。
固定スクロール4と旋回スクロール3は、互いにラップ4b,3bを向けて噛み合わせ、三日月型の複数の圧縮室を形成する。
旋回スクロール3は、フレーム5とオルダムリング7を介して組み合わされ、自転せずに旋回する。オルダムリング7と組み合わされる側に設けられた旋回スクロール3の軸受には、クランクシャフト6のクランク6aが軸受部材3cを介して係合される。クランクシャフト6は、モータ8の回転子に固定されており回転子と共に回転する。旋回スクロール3はクランクシャフト6に対して偏心して係合されており、かつ自転を拘束されているので、固定スクロール4に対して自転を伴わない公転運動(旋回運動)を行う。この結果、固定スクロール4と旋回スクロール3で形成された三日月型の圧縮室は、クランクシャフト6の回転に伴い、外周側から中心方向に向かって次第に容積を縮小させながら移動して、圧縮室内の冷媒を圧縮する。
図9に示したスクロール圧縮機の場合、クランクシャフト6は縦方向に配置されており、旋回スクロール3の軸受とフレーム5の軸受は、それぞれ軸受部材3cと軸受部材5aを支持し、クランク6aには流体圧力によりその偏心方向と直角の半径方向に荷重が作用する。一方、クランクシャフト6は軸受部材3c,軸受部材5aとの間に存在する隙間の範囲で半径方向に微小量移動可能のように構成されている。
このような状態で前記の流体圧力による半径方向の荷重が作用すると、クランクシャフト6は旋回スクロールの軸受を支持する上側の軸受部材3cとフレームの軸受を支持する下側の軸受部材5aの中で傾き、それぞれの軸受部材3c,軸受部材5aに片当たりの状態で強く押し付けられながら回転することになる。
その結果、軸受部材3c,軸受部材5aには潤滑油による油膜反力を上回る荷重が加わり、クランクシャフト6との間に潤滑油が存在しない状態で摺動することが起こりうる。
また、クランクシャフト6と軸受部材3c,軸受部材5aとの隙間寸法は、大きすぎると圧縮ガスの漏洩による性能低下や振動騒音の増大を、小さすぎると摺動部の摩擦損失の増大といった悪影響を及ぼすので最適な寸法に設定する必要がある。
さらに、軸受や回転軸の表面状態(表面粗さ等)も信頼性や性能に影響を与える。このため軸受部材3c,軸受部材5aは厳しい潤滑条件下でも焼付きや摩耗が発生しない耐摩耗性、最適な隙間寸法を実現するための加工性が要求される。
一方、ロータリ型圧縮機においても、冷媒がHFC化及び自然冷媒化へと移行するに伴い、軸受に加わる荷重が増大するため耐摩耗性が良好な軸受材を軸受部材に使用する必要がでてきた。
境界潤滑といった厳しい潤滑条件下でも耐焼付き性や耐摩耗性が良好な軸受材としては、次のものが公知である。
(1)炭素質基材の気孔に青銅合金を含浸したカーボン軸受材(特許文献1)。
(2)ポリイミド又はポリアミドイミドをバインダとし、固体潤滑剤を添加したフッ素樹脂系摺動材料(特許文献2)。
(3)炭素質基材の気孔に亜鉛合金を含浸したカーボン軸受材(特許文献3)。
(1)炭素質基材の気孔に青銅合金を含浸したカーボン軸受材(特許文献1)。
(2)ポリイミド又はポリアミドイミドをバインダとし、固体潤滑剤を添加したフッ素樹脂系摺動材料(特許文献2)。
(3)炭素質基材の気孔に亜鉛合金を含浸したカーボン軸受材(特許文献3)。
密閉型冷媒圧縮機では、地球環境対応として冷媒のHFC化及び自然冷媒化に伴い、圧縮機運転雰囲気で圧縮機内部は高圧となり軸受の負荷が増大してきており、潤滑油による潤滑膜が途切れ軸受と回転軸とが局部的に直接接触するうえ、境界潤滑状態になりやすくなっている。
また、圧縮機の起動時や過大な冷媒の混入によっても境界潤滑状態となる。こういった境界潤滑状態において、従来の金属軸受,樹脂軸受,表面処理シャフト等は焼付き、カジリが発生しやすかった。軸受の負荷を軽減する方法として軸受の内径を大きくし、または軸受の長さを延長する手段があるが、電動機を内蔵する圧縮機では軸受に要する空間に制限があるため限界があった。
軸受部の耐摩耗,耐焼付き性向上の手段として、特許文献1には境界潤滑状態においても焼付きにくい炭素質基材の気孔に潤滑油中で油膜を形成されやすくするために青銅合金を含浸し、更に青銅合金の組成及び組織,含浸量を摩擦係数の低減並びに調整することで、摺動特性に優れた軸受が得られ、信頼性の高い冷媒圧縮機を得ることができる。更には無潤滑或いは過酷な摺動状態においても摩擦係数が小さく耐摩耗性も良好な炭素質基材と潤滑油中で用いられる場合に、炭素を含む炭素質基材に残存する気孔を通じて潤滑油が排出され油膜の形成が困難になることを防止する。そのため、炭素質基材に青銅合金を溶融含浸した部材を用いて冷媒圧縮機の軸受部を構成し、無潤滑或いは過酷な摺動条件において摩擦係数を小さく保ち、かつ摩耗も最小限に抑えることで、高信頼性かつ長寿命な冷媒圧縮機を提供できる。
しかし、軸受材料費UPとなり材料コストの問題が生じる。又、今後軸受に対する高負荷が予測されるため、青銅合金よりも高強度を有する含浸金属への需要が高まってくることが予想される。
特許文献2には、ポリイミド又はポリアミドイミドをバインダとし、固体潤滑剤を添加したフッ素樹脂系摺動材料を用い、金属接触を回避し焼付きを生じさせない手段が示されている。しかしながら、PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)は高温において熱変形クリープを起こしやすいという課題がある。圧縮機の軸受周囲温度は100℃前後であるが、軸受部材自身は摺動による発熱のため、周囲温度よりもかなり高い温度となり、この温度で負荷を受けるとクリープを起こすことになる。変形強度を増すために、焼結合金にPTFEを含浸するという手段も示されているが、この方法では金属接触が避けられない。
特許文献3には、カーボン基材にアルミニウム1〜30%,銅2〜15%,マグネシウム0.01〜7%,チタン0.01〜3%,ベリリウム0.01〜0.3%を含む亜鉛合金を含浸してなる金属含浸カーボン摺動材とあるが、Zn合金の融点は400〜500℃であるため、圧縮機運転中に軸受部が境界潤滑状態となると含浸金属が溶出し、焼付きを起こす可能性がある。又、この含浸金属中には少量ではあるがベリリウムを含有していることから、環境上の問題もある。
したがって本発明の目的は、以下に示す如くである。
(1)一時的に潤滑油が供給されない可能性のあるHFC系冷媒,自然系冷媒用圧縮機の軸受部において摩耗や焼付きを防止し、高い耐摩耗性と耐焼付き性を有する軸受材を用いた高信頼性かつ長寿命な密閉型冷媒圧縮機を提供すること。
(2)高強度の含浸金属を黒鉛を含む炭素質カーボン基材の空孔に含浸させることにより、軸受の高信頼性化及び長寿命化を図ること。
(3)軸受部材を構成する材料は人体に悪影響を及ぼさないこと。
(1)一時的に潤滑油が供給されない可能性のあるHFC系冷媒,自然系冷媒用圧縮機の軸受部において摩耗や焼付きを防止し、高い耐摩耗性と耐焼付き性を有する軸受材を用いた高信頼性かつ長寿命な密閉型冷媒圧縮機を提供すること。
(2)高強度の含浸金属を黒鉛を含む炭素質カーボン基材の空孔に含浸させることにより、軸受の高信頼性化及び長寿命化を図ること。
(3)軸受部材を構成する材料は人体に悪影響を及ぼさないこと。
本発明者等はかかる問題について鋭意研究した結果、黒鉛を含む炭素質基材の空孔に高強度の金属を含浸することにより、高強度の軸受材が提供でき、これを密閉型冷媒圧縮機の軸受部に装着することで上記課題を解決することを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、密閉型冷媒圧縮機のクランクを有する回転軸やクランクの少なくとも一方を軸支する軸受が、黒鉛を含む炭素質基材の気孔に、銅,錫、及びりんを主とする合金を含浸した部材とした。
密閉型冷媒圧縮機としては、スクロール型圧縮機やロータリ型圧縮機が挙げられる。これらの密閉型圧縮機における軸受部材として、スクロール型圧縮機であれば、フレームが有する軸受部,旋回スクロールが有する軸受部、及び副軸が有する軸受部に用いられる。ロータリ型圧縮機であれば、ローラが有する軸受部,上ベアリングが有する軸受部、及び下ベアリングが有する軸受部に用いられる。
また、本発明の請求項2に記載の発明は、密閉型冷媒圧縮機のクランクを有する回転軸やクランクの少なくとも一方を軸支する軸受が、黒鉛を含む炭素質基材の気孔に、銅とりんを主とする合金を含浸した部材とした。
これも、密閉型冷媒圧縮機としてはスクロール型圧縮機やロータリ型圧縮機が挙げられ、スクロール型圧縮機であれば、フレームが有する軸受部,旋回スクロールが有する軸受部、及び副軸が有する軸受部に用いられる。ロータリ型圧縮機であれば、ローラが有する軸受部,上ベアリングが有する軸受部、及び下ベアリングが有する軸受部に用いられる。
また、本発明の密閉型冷媒圧縮機において、前記軸受部材のショア硬度がHs65〜
Hs120とした。軸受部材のショア硬度をHs65以上とすることで、無潤滑或いは過酷な摺動条件において摩擦係数を小さく保ち、かつ摩耗も最小限に抑えられることで、高信頼性かつ長寿命な密閉型冷媒圧縮機を提供することができる。又、量産性を考慮した場合、ショア硬度がHs120以上となると加工性が落ちるので120以下とすることで耐摩耗性を具備し、かつ生産性をも兼ね備えた密閉型冷媒圧縮機を提供することができる。
Hs120とした。軸受部材のショア硬度をHs65以上とすることで、無潤滑或いは過酷な摺動条件において摩擦係数を小さく保ち、かつ摩耗も最小限に抑えられることで、高信頼性かつ長寿命な密閉型冷媒圧縮機を提供することができる。又、量産性を考慮した場合、ショア硬度がHs120以上となると加工性が落ちるので120以下とすることで耐摩耗性を具備し、かつ生産性をも兼ね備えた密閉型冷媒圧縮機を提供することができる。
また、本発明の密閉型冷媒圧縮機において、前記軸受部材の気孔率が0.05 〜2体積%とした。密閉型冷媒圧縮機の定常運転状態において潤滑が円滑に行われるために、軸受材の気孔を少なく制御するものである。すなわち、軸受材として金属又は合金を含浸した黒鉛を含む炭素質基材の気孔率を0.05 〜2体積%、好ましくは0.05〜1.5体積%とすることで潤滑油膜を安定に形成し摩耗を抑制することができるため、長寿命な密閉型冷媒圧縮機が得られる。又、炭素質基材への含浸量として、含浸前の炭素質基材の気孔率を5〜15体積%とし、前述の0.05 〜2体積%の気孔率となるように金属を含浸させるのが好ましい。
また、本発明の密閉型冷媒圧縮機において、前記合金は、重量で銅90%以上、錫7〜8%、及びりん0.1〜0.2%を含む銅合金、或いは銅90%以上、りん6〜8%を含む銅合金とした。これらの金属は、炭素と化合物を形成しにくく高い耐摩耗性と耐焼付き性を有し、含浸が容易なものである。炭素質基材には気孔が存在するため潤滑油がこの気孔に流入し、これにより油膜が消失するので、環境及び人体に対する影響が少ない銅を含浸する。銅のみでは含浸部が軟質であり、摩擦によって銅の部分が融着しやすいので合金元素を添加して強化し、融着更には摩耗を防止できる。融着がなくなることで境界潤滑状態においても摩擦係数を小さくすることができ、これを軸受として用いることで信頼性の高い密閉型冷媒圧縮機が得られる。
また、本発明の密閉型冷媒圧縮機用軸受は、黒鉛を20〜50重量%含む炭素質基材の気孔に、前記部材のショア硬度がHs65〜Hs120、又は前記部材の気孔率が0.05〜2体積%の少なくとも1つからなる。
炭素質基材中の黒鉛は摩擦により薄くへき開することで摩擦係数を低減すると云われている。しかし、高荷重において黒鉛の含有量が多いと炭素質基材自体が軟質になり変形抵抗が増大して摩擦が増大し、同時に摩耗が増大するため50重量%以下、より好ましくは35重量%以下が適当である。一方、黒鉛含有量が20重量%未満では炭素質基材が硬くなり、摩擦する相手の金属材料を摩耗させる。従って、黒鉛の含有量を20〜50%、好ましくは20〜35%にすることで低摩擦かつ耐摩耗性の高い軸受が得られ、信頼性の高い密閉型冷媒圧縮機を提供することができる。
以上、説明した通り、本発明によれば、潤滑油の供給が困難若しくは一時的に潤滑油が供給されない可能性のある密閉型冷媒圧縮機の軸受部において、焼付きや摩耗を防止し圧縮機としても耐久性を著しく高めることができる。また、突発的な給油不足にも対応し、本発明を適用した密閉型圧縮機を用いた空調機,冷凍機、及び給湯機の信頼性向上に極めて有効である。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、スクロール型圧縮機の縦断面模式図である。又、図2は本発明のスクロール型圧縮機用軸受材の形状を示すものである。スクロール型圧縮機は密閉容器1の内部に圧縮機構部を上側に、モータ8を下側に配置して、クランクシャフト6を介して連設される。圧縮機構部は、鏡板4aに渦巻き状のラップ4bを直立した固定スクロール4と、鏡板
3aに渦巻き状のラップ3bを直立した旋回スクロール3をラップに噛み合わせて配置し、固定スクロール4の外周部に吸入口4c及び中央部に吐出口4dを配置している。
3aに渦巻き状のラップ3bを直立した旋回スクロール3をラップに噛み合わせて配置し、固定スクロール4の外周部に吸入口4c及び中央部に吐出口4dを配置している。
クランクシャフト6は、フレーム5の中央の軸受に軸支され、クランクシャフト6の先端に突出したクランク6aが旋回スクロール3の軸受に挿入され係合している。旋回スクロール3の偏心回転による振動を抑えるためのバランスウエイト2がクランク部に設けられている。
自転防止機構としてオルダム継手7aは、旋回スクロール3が固定スクロール4に対し自転することなく旋回運動させる継手で、旋回スクロール3の鏡板3aの背面キー溝3dとフレーム5のキー溝5bに係合している。
モータ8によりクランクシャフト6が回転すると、クランク6aの偏心回転により旋回スクロール3は自転することなく固定スクロール4に対し旋回運動を行い、吸入口4cにより吸い込んだ冷媒ガスは圧縮され、吐出口4dにより圧縮ガスを吐出する。
旋回スクロール3には、及びフレーム5には軸受が各々設けられて、いずれも循環する潤滑油が供給されているが、起動時や冷媒の吐出圧力が高い場合には潤滑油の供給が不足して摩耗や焼付きなどの損傷が発生しやすい。しかし、本実施例の軸受部材3c及び軸受部材5aは軸受に各々圧入されることで固定され、スクロール型圧縮機の信頼性及び耐久性を向上させることができる。
したがって、旋回スクロール3及びフレーム5には本実施例の軸受が一体に形成され、それらはいずれも黒鉛を含む炭素質基材の気孔に、銅,錫及びりんを主とする合金を含浸した部材から構成されている。
図3はロータリ型圧縮機の縦断面模式図である。又、図4は本実施例のロータリ型圧縮機用軸受材の形状を示すものである。ロータリ型圧縮機は密閉容器1内部に、圧縮機構部を下側に、モータ8を上側に配置してクランクシャフト6を介して連設される。圧縮機構部は、回転軸を軸支するための軸受部を設けた上ベアリング10と下ベアリング11,シリンダ9内で旋回するローラ12に対して圧縮空間を形成するベーン13を有する。
クランクシャフト6は上ベアリング10及び下ベアリング11により軸支され、クランク6aはローラ12と摺動してローラ12に偏心回転を与える。ローラ12の外周面に摺接されたベーン13がシリンダ9から出入り自在に設けられている。
そこで、上側のモータ8によりクランクシャフト6が回転すると、クランク6aの偏心回転によりローラ12はシリンダ9に対し旋回運動を行い、吸入口4cにより吸い込んだ冷媒ガスは圧縮され、吐出口4dにより圧縮ガスを吐出する。
上ベアリングの軸受,下ベアリングの軸受及びローラの軸受にはいずれも循環する潤滑油が供給されているが、起動時や冷媒の吐出圧力が高い場合には潤滑油の供給が不足して磨耗や焼付きなどの損傷が発生しやすい。
しかし、本実施例の軸受部材10a,軸受部材11a及び軸受部材12aは軸受に各々圧入されることで固定され、ロータリ型圧縮機の信頼性及び耐久性を向上させることができる。
したがって、上ベアリング10,下ベアリング11、及びローラ12には本実施例の軸受が一体に形成され、それらはいずれも黒鉛を含む炭素質基材の気孔に、銅,錫及びりんを主とする合金を含浸した部材から構成されている。
表1に軸受部材とショア硬度との関係を示す。図5は、高耐摩耗性,高信頼性を有する最適軸受硬度を確認するために実施した摩耗試験の結果であり、各種仕様の軸受材のショア硬度と無潤滑状態での摩擦係数との関係を示す図である。横軸はショア硬度を、縦軸は潤滑油中での摩擦係数を示す。ショア硬度がHs65以上、好ましくはHs80以上の軸受材は摩擦係数が小さい。
ここで、金属を含浸していない番号2〜4はショア硬度がHs65以上にもかかわらず摩擦係数が0.1 以上と高い。これは、カーボン基材は多孔質であり、潤滑油中での摺動において油が切れて油膜が薄くなり境界潤滑となるためであり好ましくない。又、番号6はショア硬度がHs65未満にもかかわらず摩擦係数は低いが、含浸に鉛が使用されており環境上好ましくない。
一方、番号8はショア硬度がHs115であるのにもかかわらず、摩擦係数が0.1 以上ある。これは含浸金属である銅が軟質であるため、摩擦によって銅の部分が相手材に融着しやすい摩擦係数が高くなると考えられる。よって、高耐摩耗性の軸受材を得るには、ショア硬度Hs65〜Hs120であることが望ましい。
図6は、高耐摩耗性,高信頼性を有する最適軸受硬度を確認するために実施した摩耗試験結果であり、軸受材における残存気孔率と潤滑油中での過酷条件における摩擦係数の関係を示す。横軸は、水銀法で測定した気孔率(%)であり、縦軸は潤滑油中の摩擦係数である。潤滑油としては合成油を用い、該油はR410A冷媒に適合した。
気孔率は、FISON社製(株)アムコのポロシメータ2000型を用いて測定した。この方法にて採取した細孔分布曲線から、累積気孔容積×かさ密度×100%により気孔率を算出した。気孔率が小さいほど油膜保持力が向上し、潤滑油中で摩擦係数が小さいことが確認できる。よって、高耐摩耗性の軸受材を得るには気孔率0.05 〜2体積%であることが望ましい。
表2に含浸金属とブリネル硬度を示す。図7は、高強度の含浸金属を選定するために調査した結果を示し、各種仕様の含浸金属の機械的性質で、ブリネル硬度と引張強さとの関係を示す図である。横軸はブリネル硬度(HB)であり、縦軸は引っ張り強さ(kg/mm2 )である。
りん青銅及びりん銅は、ブリネル硬度及び引張強さが高いことから高硬度かつ高強度の材料であるといえる。よって、これらの材料をカーボン基材の空孔部に含浸することで、カーボン基材の強度を増加し高耐摩耗性かつ高耐焼付き性を有する軸受材を提供することができる。
図8は、黒鉛を含む炭素質基材を焼成し、これに青銅又は銅を含浸した軸受部材について、各黒鉛含有率と無潤滑状態での摩擦係数との関係を示す図である。高耐摩耗性、及び高信頼性の軸受材を得るための最適炭素質基材の黒鉛含有率を確認するために実施した摩耗試験である。横軸は、試料中の黒鉛含有率(%)であり、縦軸は潤滑油を用いずに測定した摩擦係数である。
摩擦係数は、黒鉛含有率が20〜50重量%、特に20〜40重量%で極小値を示す。よって、高耐摩耗性及び高耐焼付き性を有する軸受材を得るには、炭素質基材の黒鉛含有率を20〜50重量%とすることが望ましい。
以上、上述した黒鉛を含む炭素質基材の気孔に銅,錫,りんを主とする合金、或いは銅、りんを主とする合金を含浸した部材を軸受材として使用すれば、CFC冷媒及びHCFC冷媒は勿論、塩素を含まないために潤滑性が劣るHFC冷媒や超高圧状態となる自然系冷媒を使用する冷凍サイクルに対して、格別な効果をもたらすものである。何故ならば、空調機や冷凍機及び給湯機の使用条件によって、冷凍サイクルの心臓部といえる圧縮機の運転状態は大きく変わる。さらにフロン系冷媒を使わなくなった状況下において、潤滑油の供給が困難若しくは一時的に潤滑油が密閉型冷媒圧縮機の軸受部に供給されない可能性がある。このような場合でも、本実施例における密閉型冷媒圧縮機の軸受部では、焼付きや摩耗を防止し圧縮機としても耐久性を著しく高めることができる。また、突発的な給油不足にも対応し、空調機,冷凍機、及び給湯機の信頼性向上に極めて有効である。
1 密閉容器
2 バランスウエイト
3 旋回スクロール
3a,4a 鏡板
3b,4b ラップ
3c,5a,10a,11a,12a 軸受部材
3d,5b キー溝
4 固定スクロール
4c 吸入口
4d 吐出口
5 フレーム
6 クランクシャフト
6a クランク
7 オルダムリング
7a オルダム継手
8 モータ
9 シリンダ
10 上ベアリング
11 下ベアリング
12 ローラ
13 ベーン
2 バランスウエイト
3 旋回スクロール
3a,4a 鏡板
3b,4b ラップ
3c,5a,10a,11a,12a 軸受部材
3d,5b キー溝
4 固定スクロール
4c 吸入口
4d 吐出口
5 フレーム
6 クランクシャフト
6a クランク
7 オルダムリング
7a オルダム継手
8 モータ
9 シリンダ
10 上ベアリング
11 下ベアリング
12 ローラ
13 ベーン
Claims (12)
- 回転軸に設けられたクランクにより駆動される圧縮手段を有する密閉型冷媒圧縮機において、前記回転軸及びクランクを軸支する少なくとも一方の軸受は、黒鉛を含む炭素質基材の気孔に、銅,錫及びりんを主とする合金を含浸した部材からなることを特徴とする密閉型冷媒圧縮機。
- 回転軸に設けられたクランクにより駆動される圧縮手段を有する密閉型冷媒圧縮機において、前記回転軸及びクランクを軸支する少なくとも一方の軸受は、黒鉛を含む炭素質基材の気孔に、銅及びりんを主とする合金を含浸した部材からなることを特徴とする密閉型冷媒圧縮機。
- 請求項1又は2記載の密閉型冷媒圧縮機において、前記軸受部材のショア硬度がHs
65〜Hs120であることを特徴とする密閉型冷媒圧縮機。 - 請求項1又は2記載の密閉型冷媒圧縮機において、前記軸受部材の気孔率が0.05〜2体積%であることを特徴とする密閉型冷媒圧縮機。
- 請求項1記載の密閉型冷媒圧縮機において、前記合金は、重量で銅90%以上、錫7〜8%、及びりん0.1〜0.2%を含む銅合金であることを特徴とする密閉型冷媒圧縮機。
- 請求項2記載の密閉型冷媒圧縮機において、前記合金は、重量で銅90%以上、及びりん6〜8%を含む銅合金であることを特徴とする密閉型冷媒圧縮機。
- 請求項1又は2記載の密閉型冷媒圧縮機を用いた空調機。
- 請求項1又は2記載の密閉型冷媒圧縮機を用いた冷凍機。
- 請求項1又は2記載の密閉型冷媒圧縮機を用いた給湯機。
- 黒鉛を含む炭素質基材の気孔に、銅,錫、及びりんを主とする合金を含浸した円筒形状の部材からなる密閉型冷媒圧縮機用軸受。
- 黒鉛を含む炭素質基材の気孔に、銅及びりんを主とする合金を含浸した円筒形状の部材からなる密閉型冷媒圧縮機用軸受。
- 前記黒鉛を20〜50重量%含む炭素質基材の気孔に、前記部材のショア硬度がHs
65〜Hs120、又は前記部材の気孔率が0.05〜2体積%の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の密閉型冷媒圧縮機用軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007122940A JP2008280846A (ja) | 2007-05-08 | 2007-05-08 | 密閉型冷媒圧縮機 |
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-
2007
- 2007-05-08 JP JP2007122940A patent/JP2008280846A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103032332A (zh) * | 2011-10-05 | 2013-04-10 | 日立空调·家用电器株式会社 | 密闭型制冷剂压缩机及其使用的轴承部件 |
CN103032332B (zh) * | 2011-10-05 | 2015-07-15 | 日立空调·家用电器株式会社 | 密闭型制冷剂压缩机及其使用的轴承部件 |
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