JP2008279491A - 溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルおよびそれを用いた連続鋳造方法 - Google Patents

溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルおよびそれを用いた連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズル内径拡部のノズル外径を実質的に拡大することなく、鋳型内の適正かつ安定流動を実現できる浸漬ノズル、およびそれを用いた連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】(1)有底の円筒状本体の底部近傍の側壁に対向設置された2つの吐出孔を有する溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルであって、浸漬ノズルの鋳型内湯面相当高さ位置よりも10mm以上上方で、かつ浸漬ノズルの上端接合面よりも下方において、ノズルの内径が他の領域に比べて拡大した拡管部を有し、吐出孔よりも上方には拡管部以外には流動制御機構を有しない浸漬ノズルである。(2)前記(1)の浸漬ノズルを用い、溶融金属の流量Qが30〜60m3/hであり、(溶融金属の流量調整部よりも上流側における不活性ガスの吹込み総量/8+溶融金属の流量調整部よりも下流側における不活性ガスの吹込み総量)の値が0.2〜3NL/minである溶融金属の連続鋳造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルおよびそれを用いた連続鋳造方法に関し、特に、鋳型内への溶融金属の供給速度(以下、「スループット」とも称する)の高い鋳造操業条件下においても鋳型内における溶融金属の流動を安定に保持することのできる浸漬ノズルおよびそれを用いた溶融金属の連続鋳造方法に関するものである。
従来、鋳型内流動を安定化する浸漬ノズルについては、主としてスラブの連続鋳造において、様々な検討がなされてきた。
例えば、特許文献1や特許文献2には内部の溶鋼を旋回させる浸漬ノズルが、また、特許文献3には浸漬ノズル内に他の本体部に比較してノズル内径を絞った段差を設ける浸漬ノズルが、さらには特許文献4に記載のように、ノズル底部の滝壺状の窪みの深さを大きくする浸漬ノズルが開示されている。
本発明者らは、本発明者らが上記特許文献1や特許文献2に提案した浸漬ノズルおよび連続鋳造方法が、他の様々な発明に比べて非常に優れた鋳型内流動の安定化効果を発揮することを、水モデルによる実験、流動の数値シミュレーションおよび溶鋼鋳造実験によって知見した。しかしながら、これらの発明では、旋回流を付与する機構が逆にノズルの閉塞を招くおそれがあり、発明の適用に制約があった。そこで、本発明者は、上記の旋回流を付与する浸漬ノズルと同程度の優れた流動の安定化効果を、特許文献3または特許文献4に記載の発明のように容易に実現できる浸漬ノズルの形状などについて様々な試験と検討を重ねた結果、本発明を成すに到った。
本発明者による試験によれば、特許文献3に示されたように浸漬ノズルの内径を部分的に縮小させた場合、ノズル内の流動には一定の整流効果が認められるものの、鋳型内流動が安定化する効果は不明確であった。この理由は、縮小部位の影響により浸漬ノズル本体内の下降流の流速分布がシャープな形状となり、ノズル中心部における下降流速の速い部分とノズル内壁近傍の下降流速の遅い部分との流速の差が増大することに起因していると推察された。
すなわち、ノズル底部に速い速度で衝突した下降流が横方向(ノズル半径方向)の流速を付与されてノズル吐出孔から噴出する際に、時折鋳型内湯面に向かって跳ね上がる流動を生じやすくなることが、鋳型内流動を乱す要因になっていると推察された。これは、鋳型内湯面に向かって跳ね上がる流動が、鋳型短辺から浸漬ノズル方向に向かって流れる湯面の流れと干渉するからである。
また、他の本体部に比較して内径を縮小させた部位は、鋳造条件によっては非金属介在物による閉塞が生じやすいという問題があった。さらに、内径縮小部位はノズル本体の肉厚が増すので、ノズルの質量が不必要に増大したり、熱的衝撃に弱くなるという問題を有している。
本発明者は、上記の内径を部分的に縮小した浸漬ノズルの問題点について考察を進める中で、安定した鋳型内流動を保持するという本発明の目的を実現する方法を具体化していった。
ここで、単に鋳型内流動の乱れを抑制するだけであれば、単純に大きな内径および吐出孔の浸漬ノズルを用いて、吐出流速を低下させればよい。しかしながら、単純に大きな内径および吐出孔の浸漬ノズルを用いることは、下記の2つの問題を生じる。
第一の問題は、鋳型内流動の停滞である。吐出流には鋳型内の流動を形成し、湯面に適正な流動を与えるとともに、熱を供給する役割があり、吐出流速をむやみに低下させればよいというのではない。重要な点は、適正な吐出流速が確保され、かつその空間的および時間的な変動が小さいことである。
上記の観点から、本発明者は試験および検討を重ねた。その結果、吐出流の変動を低減するには、浸漬ノズル内下降流のノズル内壁近傍から中心部にかけての流速分布を均一にすることが有効であることを想到し、さらに詳細な試験および考察を進めて本発明を完成させた。
本発明の要点は、浸漬ノズルの上部の内径を増すことが、吐出孔部における下降流速の均一性を高め、スループットの高い操業時における安定した鋳型内流動の維持に効果的であることを見出したことにある。
第二の問題は、単に浸漬ノズル全体の内径を大きくするとノズル外径も増大し、鋳型厚さや浸漬ノズル取り付け装置の制約から、適用が難しくなることである。浸漬ノズルは、鋳型内湯面に接するいわゆる「スラグライン部」がモールドフラックス溶融層によって溶損するので、スラグライン部には溶損が小さい材質を配置するとともに、スラグライン部の肉厚は鋳造時間内に進行する溶損量に強度上必要な厚さを加え、さらに、ある程度の余裕を加えた厚さが必要となる。鋼の連続鋳造を例にとると、浸漬ノズルのスラグラインは通常30〜40mm程度の厚さを有する。
このように浸漬ノズルのスラグライン部には、ある程度の肉厚が必要なのに対し、それよりも上部の肉厚は、強度上20〜25mm程度あれば十分である。このような理由から浸漬ノズルの製造時には、無用の質量増加を避けるべく、スラグラインよりも上部は静水圧プレス後に外径を削る場合が多く、歩留ロスおよび余分な工数増加を招いていた。
本発明は、スラグラインよりも上部の内径を拡大することによって実現できる。すなわち、本発明は、スラグラインよりも上部のノズル本体にスラグライン部と同等の外径、および、さらに薄い肉厚を与えることによって容易に実現され、浸漬ノズルの無用な質量増加や製造時の歩留りロスをも回避することができる。
つまり、本発明は、鋳型内に適正な強さの流動を安定して与えられること、従来は活かされていなかったスラグラインよりも上部の空間的余裕を活用することによって容易に実現できること、という2つの特徴を有する。
本発明とは目的や作用が異なるものの、構成の類似した発明としては、特許文献5および特許文献6に開示された発明がある。
特許文献5に開示された発明は、吐出孔よりも下部の本体断面積を縮小することによって、非金属介在物の付着を軽減しようとする発明である。しかしながら、本発明者の知見によれば、吐出孔よりも下部の本体断面積を縮小することは、逆に閉塞の危険を増すことになる場合が多い。それゆえ、同文献に開示された発明を実現するには、吐出孔よりも下部の本体断面積を現行ノズルと同程度に確保し、吐出孔よりも上部の本体断面積を拡大することが必要となる。しかし、吐出孔からスラグラインにかけては、浸漬ノズルの強度および耐溶損機能上、ある程度のノズルの肉厚が必要である。したがって、吐出孔よりも上部の本体断面積を拡大することは、浸漬ノズル外径の拡大をともなわざるを得ず、浸漬ノズル外面と鋳型長辺面との間隙の縮小や浸漬ノズル保持装置の改造などの問題や障壁が発生する。
特許文献6に開示された発明は、浸漬ノズル本体の鋳型内湯面よりも下方部分に、内径縮小部を設けることを特徴としている。また、同文献に開示された発明は、ノズル内が非充満流であることを前提としてなされた発明であり、内径縮小の作用は、ノズル内湯面を上昇させることによる流動の安定化であるとされている。この発明においても、内径縮小部位が鋳型内湯面よりも下方に位置しており、内径を縮小することは、逆にノズル閉塞の危険を増すことから、上記の特許文献5に開示された発明と同様の問題を有する。また、特許文献6に記載の発明は、ノズル内を非充満流から充満流へと変化させる過程における流動の安定化効果を狙ったものである。
これに対して、本発明は、ノズル内の流動が充満流であることを踏まえた上で、さらに鋳型内流動を安定化させる技術であり、上記文献のいずれに記載された発明よりも高次元の課題解決を図るものである。
WO99/15291号公報(特許請求の範囲および5頁10行〜6頁8行) 特開2002−239690号公報(特許請求の範囲および段落[0010]〜[0013]) 特許第3207793号公報(特許請求の範囲および段落[0015]および[0016]) 特許第3027645号公報(特許請求の範囲および段落[0005]) 特開昭63−303665号(特許請求の範囲および2頁右下欄〜3頁左上欄) 特開平2−127950号(特許請求の範囲および2頁左下欄〜右下欄)
前述のとおり、従来の浸漬ノズルおよびそれを用いた連続鋳造技術には下記の問題があった。すなわち、(1)ノズル内に溶融金属への旋回流付与機構を設けた浸漬ノズルは、鋳型内流動の優れた安定化効果を発揮するが、ノズルの閉塞を招くおそれがあり、適用限界がある。(2)ノズルの内径を部分的に縮小させた浸漬ノズルは、ノズル内流動の整流効果はあるものの、鋳型内流動の明確な安定化効果が得られない。(3)浸漬ノズルの内径を単純に大きくすると、(a)鋳型内流動が停滞し、また、(b)ノズル外径の増大による鋳型内面との間隙余裕の低下および装置上の制約から取り付けが困難となる。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、浸漬ノズルのスラグラインよりも上部のノズル外径をスラグライン部と同程度に納め、鋳型内に適正な強さの流動を安定して与えることのできる浸漬ノズル、およびそれを用いた連続鋳造方法を提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、浸漬ノズルのスラグラインよりも上部の空間的余裕を有効活用することにより容易に実現可能な形状であって、かつ鋳型内に適正強度の流動を安定的に確保できる浸漬ノズル、およびそれを用いた連続鋳造方法を検討し、下記の(a)〜(e)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)浸漬ノズルのスラグライン部の肉厚は、溶損量に強度上必要な厚さなどを加えた肉厚が必要なのに対し、スラグラインよりも上部では、強度上必要な肉厚が確保されれば十分である。
(b)上記(a)の知見に基づき、スラグラインよりも上部の浸漬ノズルの外径をスラグライン部の外径と同程度に納め、ノズル内径を拡大することにより、高スループットの鋳造条件下においても、浸漬ノズル内の溶融金属下降流の半径方向流速分布を均一化し、吐出孔部における下降流速の均一性を高めて、安定した鋳型内流速を維持することができる。
(c)上記(b)に記載の形状の浸漬ノズルは、実質的にノズル外径の増大をともなわないので、鋳型内面との空間的余裕を確保することができ、また、取付け装置の制約を受けることもないので、容易に設置することができる。さらに、ノズル製造時における耐火物の歩留まりロスおよび製造工数をも低減できる。
(d)浸漬ノズルは、鋳型内湯面相当高さ位置よりも10mm以上から浸漬ノズルの上端接合面よりも下方の間の領域において、ノズル内径が拡大した拡管部を有する形状が適切である。また、拡管部のノズル軸方向長さは150mm以上であり、拡管部のノズルの平均内径は吐出孔直上部のノズル内径よりも6〜60mm大きく、拡管部の下端部の内径の縮小勾配はノズル軸方向長さ10mmあたり3mm以上であり、拡管部の下端から浸漬ノズル底の内面までの距離が500mm以下であることが好ましい。
(e)浸漬ノズルの内部を流れる溶融金属流量を30〜60m3/hとすると、十分に安定な鋳型内流動が得られるので好ましく、また、{(溶融金属の流量調整部よりも上流側における不活性ガスの吹込み量)/8+(流量調整部よりも下流側における不活性ガスの吹込み量)}の値を0.2〜3NL/minとすると、鋳型内流動が乱れにくく、かつ介在物の付着を防止できるので好ましい。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示す溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズル、ならびに(4)および(5)に示す溶融金属の連続鋳造方法にある。
(1)有底の円筒状本体の底部近傍の側壁に対向して設けられた2つの吐出孔を有する溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルであって、該円筒状本体を有する浸漬ノズルをタンディッシュ底部の流量調整機構の下部に取り付けた際に、該浸漬ノズルの鋳型内湯面相当高さ位置よりも10mm以上上方で、かつ浸漬ノズルの上端接合面よりも下方の領域において、ノズルの内径が他の領域に比べて拡大した拡管部を有し、吐出孔よりも上方の領域には該拡管部以外には流動制御機構を有しないことを特徴とする溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズル(以下、「第1発明」とも記す)。
(2)前記拡管部のノズル軸方向長さが150mm以上であり、該拡管部の上端は浸漬ノズル本体の上端接合面から10mm以上下方にあり、該拡管部の平均内径は吐出孔直上部のノズル内径よりも6〜60mm大きく、該拡管部の下端部における内径の縮小勾配が浸漬ノズルの軸方向長さ10mmあたり内径縮小量で3mm以上であり、該拡管部の下端から浸漬ノズル底部の内面までの距離が500mm以下であり、該浸漬ノズル本体上端の接合面の面積が8000mm2以上であることを特徴とする前記(1)に記載の溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズル(以下、「第2発明」とも記す)。
(3)前記吐出孔直上部のノズル内径が70〜110mmであり、吐出孔出口の最大幅が(ノズル内径−20mm)以上(ノズル内径+20mm)以下の範囲内にあり、吐出孔の形状は吐出孔出口の該最大高さと該最大幅との比の値が0.6〜1.5であり、該吐出孔の水平面に対する下向き角度が15〜45°であり、ノズル底部の内面は深さが5〜30mmの凹形状であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズル(以下、「第3発明」とも記す)。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルを用いる連続鋳造方法であって、該浸漬ノズルの内部を流れる溶融金属の流量Qが30〜60m3/hであり、溶融金属の流量調整部よりも上流側における不活性ガスの吹込み総量をG1、溶融金属の流量調整部よりも下流側における不活性ガスの吹込み総量をG2としたとき、(G1/8+G2)の値が0.2〜3NL/minであることを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法(以下、「第4発明」とも記す)。
(5)前記(4)に記載の溶融金属の連続鋳造方法であって、溶融金属を鋳造するための鋳型の横断面の長辺長さと短辺長さとの比が4〜10であり、電磁力による溶融金属の流動制御を行わない場合に、鋳型の両短辺から鋳型幅の(1/4)の位置および鋳型の両短辺から鋳型幅の(1/8)の位置において鋳型短辺から浸漬ノズルの方向に向かう溶融金属表面の平均流速がいずれも10〜40cm/sであることを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法(以下、「第5発明」とも記す)。
本発明において、「浸漬ノズルの鋳型内湯面相当高さ位置」とは、円筒状本体を有する浸漬ノズルをタンディッシュ底部の流量調整機構の下部に設置した際に、鋳型内溶融金属の湯面高さに相当する、浸漬ノズルの軸方向位置(後述する図1において符号5にて示される範囲の位置)を意味する。
「浸漬ノズルの上端接合面」とは、浸漬ノズルの上端に位置し、浸漬ノズルをタンディッシュ底部の流量調整機構の下部に設置する際に、流量調整機構の下面または流量調整機構の下部に設置された中間ノズルの下面と接合する面(図1において符号6にて示される面)を意味する。
また、「吐出孔出口の最大幅」とは、ノズル軸に垂直な面内における吐出孔出口の最大幅(図1において符号aにて示される寸法)を指し、出口の幅がノズルの軸方向に変化する場合は、出口の幅が最大となるノズル軸方向位置における出口の幅を採用する。また、「吐出孔出口の最大高さ」とは、吐出孔出口のノズル軸方向の最大高さ(図1において符号bにて示される寸法)を意味する。
さらに、「吐出孔出口の最大高さと最大幅との比の値が0.6〜1.5の形状」とは、最大高さと最大幅との比(b/a)の値が上記の値を有する矩形、多角形、円形、楕円形(長円形)、部分的に円弧などの曲線部を有する矩形または多角形などを意味する。
そして、「溶融金属の流量調整部」とは、スライディングゲートなどの溶融金属の流量調整機構の中のスライダーなどの弁部を意味する。
本発明の浸漬ノズルは、ノズルの鋳型内湯面相当高さ位置よりも上方において、実質的にノズル外径を増大することなく、その内径を拡大した形状を有するので、高スループットの鋳造操業条件下においても、鋳型内における溶融金属の安定流動を確保できるノズルである。しかも、鋳型内面との空間的余裕を確保することができ、また、取付け装置の制約を受けることもないので、取付けおよび取外しが容易であり、さらに、ノズル製造時における耐火物の歩留まりロスおよび製造工数をも低減できる。上記浸漬ノズルを用いる本発明の連続鋳造方法によれば、溶融金属の安定した鋳型内流動を容易に実現し、良好な品質の鋳片を高い生産性のもとに連続鋳造することができる。
以下に本発明の内容ならびに本発明を上記のとおり規定した理由および好ましい態様について図を交えて説明する。図1は、本発明の浸漬ノズルの構造を説明するための模式図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。
(1)第1発明
第1発明は、前記のとおり、有底の円筒状本体1の底部2近傍の側壁3に対向して設けられた2つの吐出孔4を有する溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルであって、円筒状本体1を有する浸漬ノズルをタンディッシュ底部の流量調整機構の下部に取り付けた際に、浸漬ノズルの鋳型内湯面相当高さ位置5よりも10mm以上上方で、かつ浸漬ノズルの上端接合面6よりも下方の領域において、ノズルの内径が他の領域に比べて拡大した拡管部7を有し、吐出孔4よりも上方の領域には拡管部7以外には流動制御機構を有しないことを特徴とする溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルである。
(1)−1 吐出孔数
第1発明において、2つの吐出孔4は、吐出孔の中心軸8が矩形断面鋳型の長辺面と平行になるように、鋳型の2つの短辺面に向かってそれぞれ設けられる。これは、鋳型内において凝固シェルを健全に成長させる上で必要だからである。吐出孔4の数を2つとした理由は、吐出孔数が3つ以上の場合には、吐出孔4の閉塞による吐出流の不均衡を生じやすいことによる。
(1)−2 内径拡管部のノズル軸方向位置
円筒状の浸漬ノズル本体1の鋳型内湯面相当高さ5よりも10mm以上上方において、他のノズル本体部よりも内径が拡大した拡管部7を有する形状としたのは、鋳型内湯面相当高さ(すなわち浸漬ノズルのスラグライン)5よりも上部では、肉厚または外径に余裕があり、内径の拡大が容易だからである。また、スラグライン部は一般に高耐食性耐火物9により構成されることが多いが、スラグライン部におけるノズルの溶損には、上下方向にある程度の幅が存在することから、鋳型内湯面相当高さ5から拡管部の下端までの距離、すなわち図1中にL2で示す距離として、10mm以上を確保することとした。
また、鋳型内湯面相当高さは鋳造操業条件により変動するので、操業中鋳型内湯面高さの設定範囲は同図中にL1にて示すような幅を有する。したがって、拡管部の下端は鋳型内湯面相当高さの上方L2の高さから(L2+L1)の高さまでの範囲内に設けることとなる。もちろん、この距離は、スラグラインにおけるノズル耐火物の耐溶損機能を損なわない範囲において、短いことが好ましい。
また、拡管部7を、円筒状本体1の上端接合面(浸漬ノズルと、浸漬ノズル上方の中間ノズルまたはスライディングゲートなどの流量調整機構との接合面)6よりも下方に位置させたのは、上端接合面6の接合面積を確保するためには、拡管部7を上端接合面6よりも下方までの範囲に止め、上端接合面6の内径を縮小した方が有利だからである。すなわち、浸漬ノズル上端部においては、その内径を、上方の中間ノズルあるいは流量調整機構と同程度の内径にまで縮小して接合面積を確保する必要があるからである。上端接合面6の面積が不十分な場合には、接合面からの外気の吸い込みや、溶鋼漏れを引き起こしやすい。
浸漬ノズル本体1に上記のような拡管部7を設けることは、浸漬ノズル底部2近傍における下降流速のノズル内半径方向分布の均一化に有効である。
吐出孔4よりも上部の浸漬ノズル本体に上記拡管部7以外に流動制御機構を有さないのは、その必要がないからだけではなく、余計な凹凸や内装物が存在すると、拡管による流動制御効果が損なわれるおそれがあるからである。
(2)第2発明
第2発明は、拡管部7のノズル軸方向長さが150mm以上であり、拡管部7の上端71は浸漬ノズル本体1の上端面6から10mm以上下方にあり、拡管部7の平均内径は吐出孔直上部のノズル内径よりも6〜60mm大きく、拡管部7の下端部の内径の縮小勾配が浸漬ノズルの軸方向長さ10mmあたり3mm以上であり、拡管部7の下端72から浸漬ノズル底部2の内面21までの距離が500mm以下であり、浸漬ノズル本体上端の接合面6の面積が8000mm2以上であることを特徴とする第1発明の溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルである。
(2)−1 拡管部のノズル軸方向長さおよびノズル上端面の軸方向厚さ
第2発明において、拡管部7がノズル軸方向に150mm以上の長さを有するのが好ましい理由は、この長さが150mm未満では、溶融金属の流動に与える拡管の効果が低減するからである。拡管部7のノズル軸方向長さは、250mm以上であることがより好ましい。拡管部7の長さは、長すぎても流動に悪影響を与えることはないが、浸漬ノズルの全長が一般に700〜1000mm程度であることから、長さの上限は自ずと500〜700mm程度となる。
拡管部の上端71が浸漬ノズル本体の上端面6よりも10mm以上下方に位置するのが好ましい理由は、浸漬ノズル上端の接合面6の圧縮強度を確保する上で、ノズル上端部の軸方向厚さとして10mm以上を確保するのか好ましいからである。拡管部上端71とノズル本体の上端面6との軸方向距離の、より好ましい範囲は20mm以上である。また、上記の軸方向距離が長すぎると、拡管部7の長さが過度に短くなるので、拡管部上端71とノズル本体の上端面6との軸方向距離は長くとも300mmまでに、好ましくは200mmまでに止めるのが望ましい。
このようにノズル本体の上端接合面6の内径を縮小することにより、接合面6の面積として8000mm2以上を確保することが好ましい。接合面6の面積として10000mm2以上を確保できればさらに好ましい。接合面6の面積は、一般的な浸漬ノズルの場合では、20000mm2程度が上限である。
ここで、上端接合面6の面積とは、上端接合面6がフラットな浸漬ノズルの場合は、上端部の外径と内径とから求められる面積とし、上端面6の周囲に環状突起部(後述する図4中の符号10)などを有する浸漬ノズルの場合は、環状突起部10を除いた接合に有効な面の外径と内径とから求められる面積を採用する。
(2)−2 拡管部内径、縮小・拡大勾配およびその下端からノズル底部までの距離
拡管部7の平均内径が吐出孔直上部の内径よりも6〜60mm大きいのが好ましい理由は、この内径の差が6mm未満では、拡管による効果が十分には得られず、一方、内径の差が60mmを超えて大きくなると、内径が急激に変化する部位において熱衝撃による亀裂が生じやすくなるからである。また、60mmを超える内径差を得るには、拡管部7の外径を相当程度大きくする必要が生じ、既存の連続鋳造機への適用が難しくなるからである。この内径差の、より好ましい範囲は8〜30mmである。
拡管部7の下端部の内径の縮小勾配がノズル軸方向長さ10mmあたり内径縮小量で3mm以上が好ましい理由は、上記の縮小勾配よりも緩やかな勾配で内径を縮小すると、拡管の効果が薄れるからである。ここで、内径縮小の勾配が直線的でない場合には、その平均勾配を採用するものとする。また、縮小勾配の上限値は特に定めないが、一般的には無限大、すなわち勾配90°が上限となる。
拡管部上端部における内径の拡大勾配についても特に規定しない。拡管部下端部と同程度の急激な勾配であってもよいし、拡管部7のノズル軸方向長さが確保できる範囲内において緩やかな勾配を採用しても構わない。ただし、拡管部7の長さを十分に確保する観点からは、ノズル本体1の上端接合面6から拡管部上端71までの距離を300mm以下とする勾配、より好ましくは200mm以下とする勾配であることが望ましい。
拡管部の下端72から浸漬ノズルの底部内面21までの距離が500mm以下であるのが好ましい理由は、浸漬ノズル底部内面21までの距離が500mmを超えて長いと、拡管の効果が薄れるからである。同距離は400mm以下であることがより好ましい。拡管部の下端72から浸漬ノズル底部内面21までの距離の下限値は特に規定しない。しかしながら、第1発明において、円筒状本体1の鋳型内湯面相当高さ5よりも10mm以上上方において内径が他の領域に比べ拡大した拡管部7を有することが規定されていることから、鋳型内湯面相当位置5とノズル底部との距離(すなわち、ノズルの浸漬深さ)によって自ずと規定される。そして、同距離の下限値は、一般的には150〜350mm程度である。
ここで、拡管部7の下端部とは、拡管部下部の内径縮小勾配を有する領域74(下端部長さL4)を意味し、また、拡管部7の上端部とは、拡管部上部の内径拡大勾配を有する領域73(上端部長さL3)を意味する。拡管部の下端は、吐出孔直上部の内径よりも6〜60mm内径が大きい条件を満たす拡管部下端部の下端72と定義し、また、拡管部の上端は、ノズルの上端接合面の内径よりも6〜60mm内径が大きい条件を満たす拡管部上端部の上端71と定義する。したがって、拡管部の下端72における内径De2および拡管部の上端71における内径De1は、それぞれ拡管部の内径Deよりも6mm小さい。
拡管部の上端部または下端部の内径拡大または縮小勾配が無限大、すなわち、勾配が90°の場合は、拡管部の下端部74は拡管部の下端72に一致し、また、拡管部の上端部73は拡管部の上端71に一致する。
(3)第3発明
第3発明は、吐出孔4直上部のノズル内径D3が70〜110mmであり、吐出孔出口の最大幅aが(ノズル内径(D3)−20mm)以上(ノズル内径(D3)+20mm)以下の範囲内にあり、吐出孔4の形状は吐出孔出口の最大高さbと最大幅aとの比の値が0.6〜1.5であり、吐出孔の水平面に対する下向き角度θが15〜45°であり、ノズル底部2の内面21は深さが5〜30mmの凹形状であることを特徴とする第1発明または第2発明の溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルである。
(3)−1 吐出孔直上部の内径および吐出孔出口の形状
第3発明において、吐出孔直上部のノズル内径D3が70〜110mmであるのが好ましい理由は、同内径が70mm未満の場合には、溶融金属の平均下降流速が高くなりすぎて、本発明の効果が損なわれる上、介在物などの付着により浸漬ノズルの閉塞も生じやすくなるからである。また、同内径が110mmを超えて大きくなると、浸漬ノズルの外径が大きくなりすぎ、既存の連続鋳造機への適用が困難となるからである。
吐出孔出口の最大幅aが(ノズル内径(D3)−20mm)以上(ノズル内径(D3)+20mm)以下の範囲内にあるのが好ましい理由は、同最大幅aがノズル内径よりも20mmを超えて大きくなると、ノズルの強度が低下しやすく、また、同最大幅aがノズル内径よりも20mmを超えて小さくなると、介在物による閉塞が生じやすくなるからである。
吐出孔出口の最大高さbと最大幅aとの比(b/a)の値が0.6〜1.5の範囲であるのは、同比の値が0.6未満では、吐出孔の高さ(縦寸法)が小さくなりすぎ、介在物による吐出孔の閉塞が生じやすいからである。また、同比の値が1.5を超えて大きくなると、吐出孔の高さが必要以上に大きくなり、鋳型内湯面上のモールドフラックスの吸い込みが生じやすくなるからである。吐出孔出口の形状は、矩形、多角形、円形、楕円形(長円形)、部分的に円弧などの曲線部を有する矩形または多角形などのいずれであってもよい。さらに、角部に曲率半径Rの丸みを設けた形状であってもよい。
(3)−2 吐出孔の下向き角度およびノズル底部の形状
吐出孔の水平面からの下向き角度θが15〜45°であるのが好ましい理由は、同角度が15°未満の場合には、吐出角度が小さくなりすぎて吐出流が鋳型短辺近傍で反転し、浸漬ノズルに向かって流れて来る表面流と吐出流との強い干渉が生じて、鋳型内流動が不安定になりやすいからである。また、同角度が45°を超えて大きいと、吐出角度が大きくなりすぎて鋳型内湯面への熱および溶融金属の供給が不足するので、好ましくないからである。ここで、水平面に対して吐出孔の上壁および下壁のなす角度がθ1およびθ2などのように異なる場合には、それらの角度の平均値を吐出孔の下向き角度θとする。水平面に対して吐出孔の上壁と下壁のなす角度に差を与える場合は、上壁の下向き角度を下壁の下向き角度よりも大きくすることが、吐出孔における吐出流速分布を均一化し吐出孔上部での吸い込み流の発生を防止する観点から、好ましい。
ノズル底部2の内面21が深さ5〜30mmの凹形状であるのは、ノズル底部の内面21の形状がある程度の深さを有する凹型の形状である方が、フラット形状、または吐出孔下壁の勾配面がノズル底面にまで延びて連続的に繋がっている山型形状であるよりも、鋳型内流動が安定化するからである。
上記の凹形状の深さが5mm未満であると、鋳型内流動の安定化効果が損なわれ、一方、その深さが30mmを超えて大きくなると、同安定化効果が低減する。また、同深さが30mmを超えて大きくなることは、浸漬ノズル長さがいたずらに増大する点からも好ましくない。
(4)第4発明
第4発明は、前記(1)〜(3)のいずれか1項の溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルを用いる連続鋳造方法であって、浸漬ノズルの内部を流れる溶融金属の流量Qが30〜60m3/hであり、溶融金属の流量調整部よりも上流側における不活性ガスの吹込み総量をG1、溶融金属の流量調整部よりも下流側における不活性ガスの吹込み総量をG2としたとき、(G1/8+G2)の値が0.2〜3NL/minであることを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法である。
(4)−1 溶融金属の流量および不活性ガスの吹込み量
第4発明において、ノズル内部を流れる溶融金属の流量Qが30〜60m3/hであるのが好ましい理由は、溶融金属の流量Qが30m3/h未満では、本発明の必要性が薄れ、一方、60m3/hを超えて多い流量では、本発明を適用しても十分に安定した鋳型内流動を形成することが困難だからである。
溶融金属の流量調整部よりも上流側における不活性ガスの吹込み総量をG1、溶融金属の流量調整部よりも下流側における不活性ガスの吹込み総量をG2としたとき、(G1/8+G2)の値が0.2〜3NL/minであることが好ましいのは、下記の理由による。すなわち、本発明者は、不活性ガスの吹き込み場所と浸漬ノズル内に実際に流れる不活性ガス流量との関係を実験および測定により確認した。その結果、スライディングゲートのスライダーなどの流量調整部よりも上流側における吹込みガスは、平均してその(1/8)のみが浸漬ノズル内に流れるのに対し、流量調整部よりも下流側で吹き込んだガスは、そのほぼ全量が浸漬ノズル内に流れることを見出した。
上記の実験結果から、浸漬ノズルを介して鋳型内に流入する不活性ガス流量を(G1/8+G2)(G1:溶融金属の流量調整部よりも上流側における不活性ガスの吹込み総量、G2:溶融金属の流量調整部よりも下流側における不活性ガスの吹込み総量)と見積もり、その値が3NL/min以下である場合に、鋳型内流動の乱れが生じ難いことを実験的に確認した。また、上記の値が0.2NL/min未満では、浸漬ノズル内壁にアルミナなどの介在物が付着しやすくなるので好ましくないことも確認した。これらの理由から、(G1/8+G2)の値が0.2〜3NL/minであることが好ましい。
(4)−2 ノズル内の流動形態
一般に、ノズル内の流動が非充満流であるよりも、充満流である方が、流動は安定する。本発明は、溶融金属の流量Qを30m3/h以上とし、不活性ガスの吹込み量(G1/8+G2)の値を3NL/min以下とすることにより、浸漬ノズル内の流れを溶融金属が充満した、いわゆる充満流として、鋳型内流動をより安定化する効果を発揮する技術である。
(5)第5発明
第5発明は、第4発明の溶融金属の連続鋳造方法であって、溶融金属を鋳造するための鋳型の横断面の長辺長さと短辺長さとの比が4〜10であり、電磁力による溶融金属の流動制御を行わない場合に、鋳型の両短辺から鋳型幅の(1/4)の位置(以下、「両(1/4)幅」とも記す)および鋳型の両短辺から鋳型幅の(1/8)の位置(以下、「両(1/8)幅」とも記す)において鋳型短辺から浸漬ノズルの方向に向かう溶融金属表面の平均流速がいずれも10〜40cm/sであることを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法である。
(5)−1 溶融金属の表面流速
鋳型の横断面が矩形であって、その長辺長さと短辺長さとの比(長辺長さ/短辺長さ)が4〜10であるのが好ましい理由は、同比の値が4未満の場合には、鋳型内流動が比較的安定であることから、本発明の必要性が小さいからである。また、同比の値が10を超えるほど扁平度の大きな鋳型の場合には、本発明を用いても鋳型内流動を安定に保つのが困難となるからである。
また、電磁力による溶融金属の流動制御を行わない場合に、鋳型の両短辺から鋳型幅の(1/4)の位置および鋳型幅の(1/8)の位置において鋳型短辺から浸漬ノズルの方向に向かう溶融金属表面の平均流速がいずれも10〜40cm/sであることが好ましい理由は、下記のとおりである。
すなわち、電磁力による流動制御を行わない場合に、本発明によって安定に確保しようとする鋳型内流動は、吐出流が短辺近傍で反転し、短辺から浸漬ノズルへ向かう表面流を形成する、いわゆる「ダブルロールと称される流動パターン」である。このダブルロール流動パターンが安定して形成されるときは、鋳型内の両(1/4)幅および両(1/8)幅における平均表面流速がいずれも短辺から浸漬ノズルへ向かう方向に安定して保たれる。この平均流速が10cm/s未満であると、流動は停滞気味となり、ダブルロール流動パターンの形成は不十分となるからである。一方、この平均流速が40cm/sを超えて大きくなると、たとえ流動が安定していても、鋳型内流動が激しすぎて、湯面レベルの変動や溶融モールドフラックスの巻き込みなどの他の問題を惹起するからである。
電磁力を用いた流動制御を適用する場合であっても、特に電磁ブレーキを適用する場合には、上記の平均表面流速が確保されるノズルを用いることが、鋳型内流動安定化に有効である。
(5)−2 平均表面流速の把握
上記の鋳型内の両(1/4)幅および両(1/8)幅における平均表面流速としては、鋳型の両短辺からそれぞれ(1/8)幅および(1/4)幅だけ浸漬ノズル方向に寄った鋳型幅位置かつ鋳型厚さ方向中心位置の、湯面から下方50mmにおいて、少なくとも10分間以上、より好ましくは30分以上、同一鋳造条件において連続測定した流速の平均値を用いるのがよい。これは、鋳型内流動パターンは長周期で変動することがあるからであり、短時間の測定により得られた平均値は代表性に乏しいからである。鋳型内の溶融金属の流速を実測することは困難であることから、実機大の水モデル実験および流動の数値シミュレーションによって、確認するのが好ましい。
本発明の溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルおよびそれを用いた連続鋳造方法の効果につき、さらに実施例に基づいて詳細に説明する。
(実施例1)
図2は、本発明例の浸漬ノズルの構造を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。また、図3は、上記図2に示す本発明例に対応する比較例であって、拡管部を有しない浸漬ノズルの構造を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。
図2に示される本発明例の浸漬ノズルは、図3に示される浸漬ノズルに本発明を適用した例であり、第1発明〜第3発明で規定する条件を満足する。
図2に示す浸漬ノズルは、円筒状の本体1の底部2近傍に2つの吐出孔4を有し、また、円筒状本体1の鋳型内湯面相当高さ(つまり鋳造操業中における湯面設定高さ)5よりもL2以上(L2+L1)以下だけ上方の範囲から、上端接合面6よりもL5だけ下方の位置までの範囲内に、内径Deが他の領域の内径D3およびD5よりも20mm拡大した内径110mmの拡管部7を有している。ここで、L2=45mm、(L2+L1)=45+85=130mm、L5=80mm、およびD3=D5=90mmである。また、拡管部7の長さ、すなわち拡管部の下端72から拡管部の上端71までの長さL6は320mmである。
拡管部の下端部の内径の縮小勾配は、ノズルの軸方向長さ10mmあたりの内径縮小量が無限大、すなわち縮小勾配角度θ4が90°であり、拡管部の下端72から浸漬ノズル底部2の内面21までの距離L7は310mmである。また、上端接合面6の面積は12507mm2である。拡管部の上端部73の内径拡大勾配は、ノズルの軸方向長さL3(=50mm)あたり内径拡大量が20mmである。拡管部の上端71は、内径がノズル上端接合面6の内径D5(=90mm)に対して6mm拡大した位置、すなわちDe1=96mmの位置という定義に基づいて決定している。
図2に示した浸漬ノズルは、吐出孔直上部の内径D3が90mmであり、吐出孔出口の形状は矩形であって、吐出孔出口の最大幅aは90mm、すなわち吐出孔部の内径と同じであり、同最大高さbは95mmである。吐出孔出口の最大高さと最大幅との比(b/a)の値は95/90=1.06である。また、同図の例では、吐出孔の上壁の下向角度θ1および下壁の下向角度θ2はともに30°であるので、吐出孔の下向角度θは30°である。ノズル底部2の内面21は、深さL9が15mmの凹形状である。同図において、ノズル本体1の外径D4およびD6はいずれも155mmであり、ノズル底部の厚さL8は25mmであり、そしてノズル全長L10は735mmである。
同図において、クロスするハッチングにより示された部分は、スラグラインに配置された高耐食性耐火物9である。ノズル本体1の内径拡大部7は、高耐食性耐火物9の有効厚さ、すなわち操業中の湯面高さ設定範囲における厚さを損なわない高さ位置に設けられている。
また図2に示される本発明例の浸漬ノズルは、図3に示される比較例の浸漬ノズルと本体の外形形状が同じであるので、適用に際しての形状面での障害が全くない。
(実施例2)
図4に、別の本発明例の浸漬ノズルの構造を示す。同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。また、図5には、図4に示す本発明例に対応する比較例であって、拡管部を有しない浸漬ノズルの構造を示す。同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。
図4に示される本発明例の浸漬ノズルは、図5に示される浸漬ノズルに本発明を適用した例であり、第1発明〜第3発明で規定する条件を満足する。
円筒状の本体1の底部2近傍に2つの吐出孔4を有し、また、円筒状本体1の鋳型内湯面相当高さ(つまり鋳造操業中における湯面設定高さ)5よりもL2以上(L2+L1)以下だけ上方の範囲から、上端接合面6よりもL5だけ下方の位置までの範囲内に、内径Deが他の領域の内径D3およびD5よりも12mm拡大した内径102mmの拡管部7を有している。ここで、L2=33mm、(L2+L1)=33+100=133mm、L5=28mm、およびD3=D5=90mmである。また、拡管部7の長さ、すなわち拡管部の下端72から拡管部の上端71までの長さL6は404mmである。
拡管部7の上端部73および下端部74の拡大勾配および縮小勾配はともに、ノズル長さ10mmあたり内径拡大量および内径縮小量で20mm(半径拡大量および半径縮小量では10mm)であり、すなわち、勾配角度θ3およびθ4はいずれも45°である。
拡管部の下端72から浸漬ノズル底部2の内面21までの距離L7は278mmである。また、上端接合面6の面積は12507mm2である。拡管部の上端71は、内径がノズル上端接合面6の内径D5(=90mm)に対して6mm拡大した位置、すなわちDe1=96mmの位置という定義に基づいて決定しており、また、拡管部の下端72は、内径が吐出孔直上部の内径D3(=90mm)に対して6mm拡大した位置、すなわちDe2=96mmの位置という定義に基づいて決定している。
また、図4に示された浸漬ノズルは、吐出孔直上部の内径D3が90mmであり、吐出孔出口の形状は矩形であって、その最大幅aは90mm、すなわち吐出孔部の内径と同じであり、同最大高さbは65mmである。したがって、吐出孔出口の最大高さと最大幅との比(b/a)の値は65/90=0.72である。吐出孔の上壁の下向角度θ1は45°であり、下壁の下向角度θ2は30°であるので、吐出孔の下向角度はその平均値の37.5°である。ノズル底部2の内面21は、深さL9が20mmの凹形状であり、その周囲のコーナー部には曲率半径R1が20mmの丸みが設けられている。同図において、ノズル本体1の外径D4およびD6はいずれも155mmであり、ノズル底部の厚さL8は25mmであり、そしてノズル全長L10は735mmである。
同図において、クロスするハッチングにより示された部分は、スラグラインに配置された高耐食性耐火物9である。ノズル本体1の内径拡大部7は、高耐食性耐火物9の有効厚さ、すなわち操業中の湯面高さ設定範囲における厚さを損なわない高さ位置に設けられている。また、ノズルの上端接合面6の外周部には環状突起部10が設けられている。
図4に示される本発明例の浸漬ノズルは、図5に示される比較例の浸漬ノズルと本体の外形形状が同じであるので、適用に際しての形状面での障害が全くない。
(実施例3)
図6に、さらに別の本発明例の浸漬ノズルの構造を示す。同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。同図に示す本発明例の浸漬ノズルは、第1発明〜第3発明で規定する条件を満足する。
図6に示す浸漬ノズルは、円筒状の本体1の底部2近傍に2つの吐出孔4を有し、また、円筒状本体1の鋳型内湯面相当高さ(すなわち、鋳造操業中における湯面設定高さ)5よりもL2以上(L2+L1)以下だけ上方の範囲から、上端接合面6よりもL5だけ下方の位置までの範囲内に、内径Deが他の領域の内径D3およびD5よりも38mm拡大した内径128mmの拡管部7を有している。ここで、L2=61mm、(L2+L1)=61+75=136mm、L5=80mm、およびD3=D5=90mmである。また、拡管部7の長さ、すなわち拡管部の下端72から拡管部の上端71までの長さL6は314mmである。
拡管部7の下端部74の縮小勾配は、ノズル長さ38mmあたり内径縮小量で38mm、すなわち、ノズルの軸方向長さ10mmあたりの内径縮小量が10mmであり、拡管部下端72から浸漬ノズル底部2の内面21までの距離L7は311mmである。また、上端接合面6の面積は16336mm2である。拡管部上端部73の拡管勾配は、ノズルの軸方向長さ95mmあたり内径拡大量で38mmである。拡管部の上端71は、内径がノズル上端接合面6の内径D5(=90mm)に対して6mm拡大した位置、すなわちDe1=96mmの位置であり、また、拡管部の下端72は、内径が吐出孔直上部の内径D3(=90mm)に対して6mm拡大した位置、すなわちDe2=96mmの位置である。
図6に示される浸漬ノズルは、吐出孔直上部の内径D3が90mmであり、吐出孔4の出口の最大幅aは100mmであって、同最大幅は吐出孔部のノズル内径D3よりも10mm大きい。つまり、吐出孔4の幅は同図(b)に示されるとおり、内部から出口に向かって扇形に拡大している。また、吐出孔出口の形状は、同図(c)に示されるとおり、その最大高さと最大幅との比(b/a)の値が90/100=0.90の横長の略長円形であり、図中のR2は45mm、L11は10mmである。吐出孔の上壁の下向角度θ1および下壁の下向角度θ2はともに30°であり、吐出孔の下向角度θは30°である。
ノズル底部2の内面21は、深さL9が15mmの凹形状であり、ノズル本体1の外径D4は155mm、D6は170mm、D7は180mm、ノズル底部の厚さL8は25mm、そしてノズル全長L10は730mmである。
図6に示される本発明例の浸漬ノズルは、内径の拡管部において、外径も拡大されている点が、図2および図4に示した本発明例の浸漬ノズルとは異なる。スラグライン部の外形D4に対する拡管部7の外径D7の拡大量は25mmである。外径拡大量が大きな場合には、浸漬ノズルの装着が困難になる場合が多いが、スラグライン部に対する外径拡大量が30mm以内であれば大きな問題とはならない。
(実施例4)
次に、本発明の浸漬ノズルおよび比較例の浸漬ノズルを用いて実機による溶鋼の連続鋳造試験を行い、本発明の鋳造方法の効果を確認した。試験は、図2に示した本発明例の浸漬ノズルを用いた場合および図3に示した比較例の浸漬ノズルを用いた場合の両ケースについて行い、結果を比較した。
図7は、図2に示す本発明例の浸漬ノズルを流量調整機構であるスライディングゲートの下部に取り付けた試験状況を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。
図2に示した本発明例の浸漬ノズルまたは図3に示した比較例の浸漬ノズルを、上固定盤101、スライダー102および下固定盤103を有する3層式スライディングゲート100の下部に装着した。そして、溶鋼流量Qを45m3/hとし、溶鋼の流量調整部であるスライダー102よりも上流側にある上固定盤101に備えられたArガス吹込み部104から、Arガスを10NL/minの流量で吹き込みながら、電磁気流動制御装置を用いずに、鋳型サイズが厚さ270mm×幅1625mm(すなわち矩形比が6.02)の鋳型により、スラブを連続鋳造した。
鋳造には、質量%で、C:0.05%、Mn:0.3%、sol.Al:0.03%および不可避不純物を含有したアルミキルド低炭素鋼を用いた。また、同一条件を模して行った実機大の水モデル実験によって、図2および図3のいずれに示された浸漬ノズルを用いた場合にも、鋳型内の両(1/4)幅および両(1/8)幅の位置における平均表面流速は、両(1/4)幅で26〜35cm/sであり、両(1/8)幅で18〜30cm/sであって、いずれも鋳型短辺から浸漬ノズルへ向かう方向に10〜40cm/sの範囲内であることを確認した。実機大の水モデル実験における鋳型内流速測定には、直径3mmの小型プロペラ流速計を用いた。
また、この時、第4発明で規定する((G1/8)+G2)の値は1.25NL/minとなる。実機大の水モデル実験は、不活性ガスを吹き込まずに実施したが、流動の数値シミュレーションによる検討の結果、ノズル内のAr流量が1.25NL/minでは、鋳型内流動への影響は実験誤差の範囲内であり、小さいことを確認している。
したがって、図2の浸漬ノズルを使用した上記の鋳造条件は、第4発明および第5発明で規定する条件を満足している。
図2に示す本発明例の浸漬ノズルを使用した鋳造と、図3に示す比較例の浸漬ノズルを使用した鋳造とにおける鋳型内湯面レベルの変動幅を比較した結果、図3に示す比較例の浸漬ノズルを使用した場合を10として、図2に示す本発明例の浸漬ノズルを使用した場合には、4〜7の範囲に低減した。
また、上記の実機大の水モデル実験によれば、図2の浸漬ノズルを用いた本発明の連続鋳造方法および図3の浸漬ノズルを用いた比較例の方法の双方において、鋳型内平均表面流速は同程度であっても、その変動は、本発明の連続鋳造方法の場合では下記のとおり低減した。すなわち、鋳型内の両(1/4)幅を15分間にわたり0.5秒ピッチで測定した流速データの標準偏差を平均値により除した値である流速安定度指標は、図3に示す浸漬ノズルを用いた比較例の方法の場合を10として、図2に示す浸漬ノズルを用いた本発明の方法では8.5に低減した。
(実施例5)
図4示した本発明例の浸漬ノズルを用いた場合および図5示した比較例の浸漬ノズルを用いた場合の両ケースについて試験を行い、その結果を比較した。
図8は、図4に示す本発明例の浸漬ノズルを流量調整機構の下部に取り付けて行った試験状況を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。
図4に示した本発明例の浸漬ノズルまたは図5に示した比較例の浸漬ノズルを、上固定盤101、スライダー102を有する2層式スライディングゲート100の下部に中間ノズル110を介して装着した。そして、溶鋼流量Qを45m3/hとし、溶鋼の流量調整部であるスライダー102よりも上流側にある上固定盤101に備えられたArガス吹込み部104から5NL/minの流量で、さらに浸漬ノズル本体1に設けられたArガス吹込み部105から0.4NL/minの流量で、それぞれArガスを吹き込みながら、電磁気流動制御装置を用いずに、スラブを連続鋳造した。この鋳造では、鋳型サイズは、厚さ250mm×幅1825mm(すなわち矩形比が7.40)の鋳型を使用した。
鋳造には、質量%で、C:0.002%、Mn:0.4%、sol.Al:0.03%、少量のTiおよびNb、ならびに不可避不純物を含有しためっき鋼板用アルミキルド極低炭素鋼を用いた。また、同一条件を模して行った実機大の水モデル実験によって、図4および図5のいずれに示された浸漬ノズルを用いた場合にも、鋳型内の両(1/4)幅および両(1/8)幅の位置における平均表面流速は、両(1/4)幅で22〜31cm/sであり、両(1/8)幅で13〜24cm/sであって、いずれも鋳型短辺から浸漬ノズルへ向かう方向に10〜40cm/sの範囲内であることを確認した。実機大の水モデル実験における鋳型内流速測定には、直径3mmの小型プロペラ流速計を用いた。
また、この時、第4発明で規定する((G1/8)+G2)の値は1.025NL/minとなる。実機大の水モデル実験は、不活性ガスを吹き込まずに実施したが、流動の数値シミュレーションによる検討の結果、ノズル内のAr流量が1.025NL/minでは、鋳型内流動への影響は実験誤差の範囲内であり、小さいことを確認している。
したがって、図2の浸漬ノズルを使用した上記の鋳造条件は、第4発明および第5発明で規定する条件を満足している。
図4に示す本発明例の浸漬ノズルを使用した鋳造と、図5に示す比較例の浸漬ノズルを使用した鋳造とにおける鋳型内湯面レベルの変動幅を比較した結果、図5に示す比較例の浸漬ノズルを使用した場合を10として、図4に示す本発明例の浸漬ノズルを使用した場合には、5〜7の範囲に低減した。
また、上記の実機大の水モデル実験によれば、図4の浸漬ノズルを用いた本発明の連続鋳造方法および図5の浸漬ノズルを用いた比較例の方法の双方において、鋳型内平均表面流速は同程度であっても、その変動は、本発明の連続鋳造方法の場合では下記のとおり低減した。すなわち、鋳型内の両(1/4)幅を15分間にわたり0.5秒ピッチで測定した流速データの標準偏差を平均値により除した値である流速安定度指標は、図5に示す浸漬ノズルを用いた比較例の方法の場合を10として、図4に示す浸漬ノズルを用いた本発明の方法では8.0に低減した。
本発明の浸漬ノズルは、ノズルの鋳型内湯面相当高さ位置よりも上方において、ノズル外径が実質的に増大することなく、その内径が拡大した形状を有するので、高スループットの鋳造操業条件下においても、鋳型内における溶融金属の安定流動を確保できるノズルである。しかも、鋳型内面との空間的余裕を確保することができ、また、取付け装置の制約を受けることもなく、さらに、ノズル製造時における耐火物の歩留まりロスおよび製造工数をも低減できる。上記浸漬ノズルを用いる本発明の連続鋳造方法によれば、溶融金属の安定した鋳型内流動を容易に実現し、良好な品質の鋳片を高い生産性のもとに連続鋳造することができる。したがって、本発明は溶融金属の連続鋳造工程において広範に適用できる価値の高い技術である。
本発明の浸漬ノズルの構造を説明するための模式図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。 本発明例の浸漬ノズルの構造を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。 図2に示す本発明例に対応する比較例の浸漬ノズルの構造を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。 別の本発明例の浸漬ノズルの構造を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。 図4に示す本発明例に対応する比較例の浸漬ノズルの構造を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。 さらに別の本発明例の浸漬ノズルの構造を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。 図2に示す本発明例の浸漬ノズルを流量調整機構の下部に取り付けた状況を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。 図4に示す本発明例の浸漬ノズルを流量調整機構の下部に取り付けた状況を示す図であり、同図(a)は縦断面図を、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を、同図(c)は吐出孔出口の形状を、それぞれ示す。
符号の説明
1:浸漬ノズル本体(円筒状本体)、 2:底部、 21:底部内面、
3:底部近傍の側壁、 4:吐出孔、5:浸漬ノズルの鋳型内湯面相当高さ位置の範囲、
6:上端接合面、 7:拡管部、 71:拡管部上端、 72:拡管部下端、
73:拡管部の上端部、 74:拡管部の下端部、 8:吐出孔の中心軸、
9:高耐食性耐火物、 10:環状突起部、 100:流量調整機構(スライディングゲート)、 101:上固定盤、 102:スライダー、 103:下固定盤、
104、105:Arガス吹込み部、
a:吐出孔出口の最大幅、 b:吐出孔出口の最大高さ、
De:拡管部の内径、 De1:拡管部上端での内径、 De2:拡管部下端での内径、
D3:吐出孔直上部のノズル内径、 θ:吐出孔の水平面からの下向き角度、
L1:操業中鋳型内湯面高さの設定範囲、 L2:鋳型内湯面相当高さから拡管部の下端までの上向き距離

Claims (5)

  1. 有底の円筒状本体の底部近傍の側壁に対向して設けられた2つの吐出孔を有する溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルであって、該円筒状本体を有する浸漬ノズルをタンディッシュ底部の流量調整機構の下部に取り付けた際に、該浸漬ノズルの鋳型内湯面相当高さ位置よりも10mm以上上方で、かつ浸漬ノズルの上端接合面よりも下方の領域において、ノズルの内径が他の領域に比べて拡大した拡管部を有し、吐出孔よりも上方の領域には該拡管部以外には流動制御機構を有しないことを特徴とする溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズル。
  2. 前記拡管部のノズル軸方向長さが150mm以上であり、該拡管部の上端は浸漬ノズル本体の上端接合面から10mm以上下方にあり、該拡管部の平均内径は吐出孔直上部のノズル内径よりも6〜60mm大きく、該拡管部の下端部における内径の縮小勾配が浸漬ノズルの軸方向長さ10mmあたり内径縮小量で3mm以上であり、該拡管部の下端から浸漬ノズル底部の内面までの距離が500mm以下であり、該浸漬ノズル本体上端の接合面の面積が8000mm2以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズル。
  3. 前記吐出孔直上部のノズル内径が70〜110mmであり、吐出孔出口の最大幅が(ノズル内径−20mm)以上(ノズル内径+20mm)以下の範囲内にあり、吐出孔の形状は吐出孔出口の該最大高さと該最大幅との比の値が0.6〜1.5であり、該吐出孔の水平面に対する下向き角度が15〜45°であり、ノズル底部の内面は深さが5〜30mmの凹形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズル。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融金属の連続鋳造用浸漬ノズルを用いる連続鋳造方法であって、該浸漬ノズルの内部を流れる溶融金属の流量Qが30〜60m3/hであり、溶融金属の流量調整部よりも上流側における不活性ガスの吹込み総量をG1、溶融金属の流量調整部よりも下流側における不活性ガスの吹込み総量をG2としたとき、(G1/8+G2)の値が0.2〜3NL/minであることを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  5. 請求項4に記載の溶融金属の連続鋳造方法であって、溶融金属を鋳造するための鋳型の横断面の長辺長さと短辺長さとの比が4〜10であり、電磁力による溶融金属の流動制御を行わない場合に、鋳型の両短辺から鋳型幅の(1/4)の位置および鋳型の両短辺から鋳型幅の(1/8)の位置において鋳型短辺から浸漬ノズルの方向に向かう溶融金属表面の平均流速がいずれも10〜40cm/sであることを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
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