JP2008279374A - ポッティング材を注入するための容器及びそれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】中空糸膜モジュールの製造において、筒状ケース側部の液体流出入用ノズルを汚染することなく、連続ポッティングが可能となるような注入ノズルを備えたポッティング材を注入するための容器及びこれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】ポッティング材を注入するノズル9を備えたポッティング材注入容器において、ノズルが前記液体流出入用ノズルに嵌合する形状を有し、かつその外壁に突起部15を1つ以上有し、かつ下記式(1)〜(3)を満たす構造とする。0≦A−B≦0.015 (1)0.1≦C≦0.2 (2)−90≦D≦90 (3)ここで、A:ノズルの前記突起部を除いた部分の外径(mm)、B:ノズルの内径、C:各突起部の高さの合計(mm)、D:ノズル外壁円周上における前記突起部の設置位置(°)。
【選択図】図6
【解決手段】ポッティング材を注入するノズル9を備えたポッティング材注入容器において、ノズルが前記液体流出入用ノズルに嵌合する形状を有し、かつその外壁に突起部15を1つ以上有し、かつ下記式(1)〜(3)を満たす構造とする。0≦A−B≦0.015 (1)0.1≦C≦0.2 (2)−90≦D≦90 (3)ここで、A:ノズルの前記突起部を除いた部分の外径(mm)、B:ノズルの内径、C:各突起部の高さの合計(mm)、D:ノズル外壁円周上における前記突起部の設置位置(°)。
【選択図】図6
Description
本発明は、人工透析もしくは血液濾過に必要な血液処理器、エンドトキシンフィルターまたは浄水器等に用いられる筒状ケース胴体側部に液体の導入、排出用のノズル兼ポッティング材注入口を有する中空糸膜モジュールの製造に使用する注入ノズルを備えたポッティング材を注入するための容器及びかかる容器を用いた中空糸膜モジュールの製造方法に関するものである。
中空糸膜モジュールは、液体中の物質の濾過、透析等の処理を行う上で、単位容積当たりの有効膜面積が大きくスペース効率に優れ、これまで精密濾過、限外濾過等の水処理関係、窒素、酸素、水素等のガス分離関係、薬品関係、バイオ関係等多くの分野で使用されており、とりわけ血液透析、血液濾過等の血液処理器やエンドトキシンフィルターとして好適に利用されている。
中空糸膜モジュールの製造においては、筒状ケース内に中空糸膜束を挿入し、両端にキャップを取り付け、筒状ケースを、その長手方向の中央を通り、その長手方向に直交する回転軸を中心として遠心回転させつつ、筒状ケースの両端部付近からポッティング材を注入し、遠心力によって両端部に移動させ、固化することで中空糸膜束を固定する(遠心ポッティング法)。なお、ここで言うポッティング材とは、主剤及び硬化剤(もしくはこれらに相当する成分)を含むものであり、ポリウレタン接着剤等の硬化性樹脂を含むものを意味する。ポリウレタン接着剤は、イソシアネート基を有する化合物の含まれる主剤とポリオールの含まれる硬化剤とを所定の割合で混合することにより、硬化するものである。
ポッティング材を注入する方法はいくつか知られているが、その内の一つが、筒状ケースの側部にある、透析液等の液体の導入、排出に用いられるノズル(注入口)を介して注入する方法である。この方法は、チューブ等であらためてポッティング材の注入経路を作製する必要がないため、一般的に行われている。従来、この遠心ポッティング処理の方法としては、(1)筒状ケース側部の注入口に注入ノズルを挿入して、液状のポッティング材を筒状ケース内に注入しつつ、筒状ケースに遠心力を付与し「ポッティング材が硬化した後に」注入ノズルを取り外す方法及び(2)筒状ケースに遠心力を付与しつつ注入ノズルよりポッティング材を注入して「ポッティング材が硬化しない間に」注入ノズルを外し、しかる後遠心力を付与し、ポッティング材を移動、硬化させる方法のいずれかがとられている。しかしながら、かかる従来の方法の問題点として、前者(1)の方法では、注入ノズル内外壁に硬化したポッティング材が付着するため、交換のための多数の注入ノズルを必要とし、さらに注入ノズル内で硬化したポッティング材がノズル詰まりを生じることがあり、連続化が不可能となる問題がある。また、後者(2)の方法は、注入ノズルが少なくてすみ、連続化が可能であるが、注入ノズルを出し入れする際に注入口の内外壁にポッティング材が付着し、そのまま硬化して筒状ケースや注入口を汚染するという問題がある。このため、アダプターを介して、ポッティング材を注入するという方法が開示されている(特許文献1)が、アダプターを装着、離脱する工程が新たに必要であり、またアダプター自体のコストが問題となっている。
上記(1)の遠心ポッティング法を用いた場合であっても、低粘度ポッティング材を用いることにより注入ノズル内で詰まることを減少させることができ、使用後に注入ノズルの外側に付着したポッティング材のみを除去することで、再度注入ノズルを使用することで連続化することが可能であるが、注入ノズルと筒状ケース側部の注入口の嵌合(嵌め合い)部分に隙間が存在する場合、特に低粘度のポッティング材の場合には、注入したポッティング材が隙間に浸透して注入口の内壁にポッティング材が付着し、そのまま硬化して注入口を汚染するという問題がある。また、ポッティング材を注入するための容器にプラスチック製の軽いものを用いた場合、嵌合が十分でないとポッティング材の注入時や遠心力の付与時にポッティング材を注入するための容器が浮き上がり、注入ノズルの先端部から注入されるポッティング材が筒状ケース側部の注入口を汚染する問題もある。上記問題は、注入ノズルを繰り返し使用したときに嵌合が十分でなくなるために、問題が生じる場合もある。
特開昭60−90008号公報
。
本発明の課題は、中空糸膜を内蔵する中空糸膜モジュールの製造において、上記(1)の遠心ポッティング法を用いた場合であっても、筒状ケース側部の液体流出入用ノズルを汚染することなく、連続ポッティング化が可能となるような注入ノズルを備えたポッティング材を注入するための容器(以下、ポッティング材注入用容器とする)、及びこれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法を提供することにある。
本発明の課題は、中空糸膜を内蔵する中空糸膜モジュールの製造において、上記(1)の遠心ポッティング法を用いた場合であっても、筒状ケース側部の液体流出入用ノズルを汚染することなく、連続ポッティング化が可能となるような注入ノズルを備えたポッティング材を注入するための容器(以下、ポッティング材注入用容器とする)、及びこれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法を提供することにある。
1.ポッティング材が貯留される本体と、中空糸膜モジュールの胴体側部に設けられた筒状の液体流出入用ノズルからポッティング材を注入する注入ノズルを備えたポッティング材を注入するための容器において、前記注入ノズルが前記液体流出入用ノズルに嵌合する形状を有し、かつその外壁に突起部を1つ以上有し、かつ下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするポッティング材を注入するための容器。
0≦A−B≦0.015 (1)
0.1≦C≦0.2 (2)
−90≦D≦90 (3)
ここで、A:前記注入ノズルの前記突起部を除いた部分の外径(mm)、B:前記液体流出入用ノズルの内径、C:前記各突起部の高さの合計(mm)、D:前記注入ノズル外壁円周上における前記突起部の設置位置(°)、ただし、前記注入ノズル外壁円の中心から前記中空糸膜モジュール長手方向における前記中空糸膜モジュールの重心への方向に引いた線を基準とする
2.前記注入ノズルの壁面の厚みが0.4mm以上であることを特徴とする前記1に記載のポッティング材を注入するための容器。
3.材質がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする前記1または2に記載のポッティング材を注入するための容器。
4.前記ポリオレフィン樹脂がポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする前記3に記載のポッティング材を注入するための容器。
5.重量が250g以上であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のポッティング材を注入するための容器。
6.前記注入ノズルの表面が撥水処理されたものであることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載のポッティング材を注入するための容器。
7.前記1〜6のいずれかに記載のポッティング材を注入するための容器の注入ノズルを中空糸膜モジュールにおける胴体側部の液体流出入用ノズルに挿入して、前記注入ノズルからポッティング材を注入することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
8.前記ポッティング材が混合粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とする前記7に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
9.前記ポッティング材を注入するための容器を再使用することを特徴とする前記7または8に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
0≦A−B≦0.015 (1)
0.1≦C≦0.2 (2)
−90≦D≦90 (3)
ここで、A:前記注入ノズルの前記突起部を除いた部分の外径(mm)、B:前記液体流出入用ノズルの内径、C:前記各突起部の高さの合計(mm)、D:前記注入ノズル外壁円周上における前記突起部の設置位置(°)、ただし、前記注入ノズル外壁円の中心から前記中空糸膜モジュール長手方向における前記中空糸膜モジュールの重心への方向に引いた線を基準とする
2.前記注入ノズルの壁面の厚みが0.4mm以上であることを特徴とする前記1に記載のポッティング材を注入するための容器。
3.材質がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする前記1または2に記載のポッティング材を注入するための容器。
4.前記ポリオレフィン樹脂がポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする前記3に記載のポッティング材を注入するための容器。
5.重量が250g以上であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のポッティング材を注入するための容器。
6.前記注入ノズルの表面が撥水処理されたものであることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載のポッティング材を注入するための容器。
7.前記1〜6のいずれかに記載のポッティング材を注入するための容器の注入ノズルを中空糸膜モジュールにおける胴体側部の液体流出入用ノズルに挿入して、前記注入ノズルからポッティング材を注入することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
8.前記ポッティング材が混合粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とする前記7に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
9.前記ポッティング材を注入するための容器を再使用することを特徴とする前記7または8に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
本発明によれば、中空糸膜を内蔵する中空糸膜モジュールの製造におけるポッティング材の注入に際し、上記(1)の遠心ポッティング法を用いる際、注入ノズルを備えたポッティング材注入用容器を繰り返し使用するために、低粘度ポッティング材を用いても、液体流出入用ノズルを汚染することなく、連続的に中空糸膜モジュールを製造することができるため、かかる問題も解決できる。
以下、本発明について図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1は中空糸膜モジュールの一例を示す概略縦断面図である。
図1において、1は筒状ケースであり、筒状ケース1の内部には中空糸膜束2が挿入されており、中空糸膜束2の両端部において筒状ケース1の内壁に中空糸膜束2を固定している隔壁3(ポッティング材の層)を有している。さらに、筒状ケース1の両側部に血液等の液体が導入、排出されるヘッダー4が取り付けられている。また筒状ケースの側部に透析液等の液体の導入、排出に用いられる筒状の液体流出入用ノズル(以下、注入口とする)5が配されている。なお、筒状ケース及びヘッダーの材質としては、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン等が好ましい。また、中空糸膜材質としては、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、セルロース、セルローストリアセテート等が好ましい。ただし、中空糸膜モジュールを血液処理器に用いる場合、例えばポリスルホンのような疎水性高分子のみで透析等に用いる中空糸膜を作った場合、孔径のコントロールが難しいだけでなく、疎水性のために血小板等の血液成分が付着することがあり、血液適合性がよくない場合がある。従って、親水性高分子をともに用いることで、上記問題の解決が可能である。具体的には、予め親水性高分子を造孔剤として製膜原液中に混入し、脱離させてポアを形成後、残った親水性成分で同時にポリマー表面を親水化する等して、これを中空糸膜として用いることができる。かかる親水性高分子としては、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が用いられ、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。工業的にも比較的入手しやすく、臨床実績があり、血液適合性が高い点からポリビニルピロリドンが好ましい。
図2は本発明におけるポッティング材注入用容器の使用形態の一例である。ポッティング材注入用容器8は、ポッティング材が貯留される本体とポッティング材を注入する注入ノズル9を備えており、注入ノズル9は注入口5に嵌合する形状を有している。図1に示した中空糸膜モジュールの製造時において、中空糸膜モジュールの筒状ケース1を遠心回転させながらポッティング材を注入して隔壁3を形成する際に、先ず筒状ケース両端部に注型キャップ7を取り付け、ポッティング材注入用容器8の筒状の注入ノズル9を注入口5に挿入する。主剤及び硬化剤が攪拌機によって混合されてなるポッティング材は、筒状ケース1及びポッティング材注入用容器8をともに図2に示す一点鎖線を軸として遠心回転させながら、注入ノズル9より筒状ケース1に注入される。ポッティング材を注入する際は、1本ずつの中空糸膜モジュールについて実施してもよいが、複数本の中空糸膜モジュールを一度に同バッチでポッティングすれば効率的に生産することができる。なお、本発明で言うポッティング材とは、ポリウレタン接着剤、エポキシ系接着剤等の硬化性樹脂を意味する。特にポリウレタン接着剤が好ましい。
図3において、筒状ケース1内に注入されたポッティング材は、筒状ケースの回転による遠心力によって筒状ケースの端部方向に移動する。このとき、注入ノズル9の先端が筒状ケース1の胴体内部に0.5〜1mm程度突出していることが好ましい。注入ノズル9の先端部が筒状ケース1の内部に突出していないと、注入されたポッティング材が筒状ケース側部の注入口5の内側を汚染することがある。
ここで、注入ノズル9と筒状ケース側部の注入口5との嵌合は十分密とすることが望まれる。嵌合が十分密であるかどうかは、注入ノズルを注入口に挿入した嵌合状態からの引き抜き力によって確認できる。嵌合状態からの引き抜き力は3000gf以上であることが望ましい。引き抜き力が3000gfより小さい場合、嵌合は十分でなく、遠心回転時にポッティング材注入用容器8が浮き上がる場合がある。
上記のように、嵌合が十分でない場合には、遠心回転時にポッティング材注入用容器8が浮き上がって注入口内部を汚染したり、隙間にポッティング材が浸透して筒状ケース1の側部の注入口5の内部が汚染されることがある。この現象は、注入ノズル外径12を注入口内径6よりわずかに大きくしても素材によっては生じ得る。しかしながら一方、注入ノズル外径12を注入口内径6より大きくし過ぎると、実際の製造時には大きさに若干のばらつきが生じるため、設定値より大きい方向にばらつきが生じた場合、注入ノズル9を注入口5に挿入できなくなるおそれがある。そこで、本発明においては、注入ノズル外径を注入口内径と同じか、よりわずかに大きな値に設定し、さらに注入ノズル外壁に図6〜図9に例示するような0.1mm以上0.2mm以下の高さの突起部15を作製することで、嵌合を十分密とし、かつ注入口に挿入することが可能となる。すなわち、中空糸膜モジュールの筒状ケース胴体側部に注入口を有する場合、注入口の内径は一般に5.000mm〜10.000mmの範囲であるが、本発明においては、これと注入ノズルとの嵌合を十分密なものとするため、図4に例示する注入ノズル9の突起部15を除いた部分の外径(以下、注入ノズル外径とする)12(A)を、5.000〜10.015(mm)の範囲とする。より具体的には、使用の対象となる中空糸膜モジュールの注入口内径に応じた数値とすればよい。すなわち、注入ノズル外径(A)を目的とする中空糸膜モジュールの注入口内径(B)に対して0〜0.015(mm)大きい範囲の径となるよう設定する。例えば、使用対象である中空糸膜モジュールが透析器である場合、注入口の内径(B)が7.770mmであるとすると、注入ノズル外径(A)は7.770〜7.785mmのものが使用される。注入ノズル外径(A)が上記数値より大きな値となると、注入ノズル外壁に突起部を設けた場合に注入口に挿入することができなくなるおそれがあり、また、注入ノズル外径(A)が上記数値より小さな値となると、突起部による嵌合強化効果が十分発揮できなくなるおそれがあり、使用対象となる中空糸膜モジュールに対して用いても本発明の効果が現れない。
ここで、注入ノズル外径12(A)とは、注入ノズルが筒状ケース1側部の注入口に挿入されたときの注入ノズル先端部における筒状ケース長手方向と同一の方向と、それに垂直な方向の2カ所を測定した値の平均値をいう。また、注入口内径(B)とは、注入口の最も内部にある位置における筒状ケースの長手方向とそれに垂直な方向の2カ所を測定した値の平均値をいい、筒状ケースを解体して測定することもできる(一般に、中空糸膜モジュールの筒状ケース胴体側部に注入口を有する場合、注入口の内径は筒状ケース外側に向かって0.1〜0.6mm程度大きくなっている)。
また、図7に例示する突起部の高さ17(C)については、高さの合計が0.1mm未満であると嵌合が十分密とならず、0.2mmを超えると注入ノズルを注入口に挿入できなくなるおそれがあるため、上記高さとすることが好ましい。ただし、本発明においては、かかる突起部を1カ所以上設けるものであり、複数箇所設ける態様がより好ましい態様であるが、この場合は、複数の各突起部の高さの合計(C)が上記0.1mm以上0.2mm以下となるよう作製する。なお、上記突起部の注入ノズルの軸方向における設置位置は、注入ノズル先端または先端付近であることが望ましい。さらに突起部を複数箇所設ける場合は、ノズルを垂直に立てた時に突起の軸方向における上下の高さは同一であることが望ましい。また、突起部の高さとは、突起を形成するノズル軸方向の両端部の突起部の最大高さ17の平均値を言う。
また、上記突起部の注入ノズル外壁円周上における設置位置19(D)は、注入ノズル外壁円の中心20から中空糸膜モジュール長手方向における中空糸膜モジュールの重心21への方向(すなわち、遠心中心方向)に引いた線22を基準とした場合において、−90°以上90°以下である。突起部を作製することにより、突起部の設置位置付近にはわずかな隙間が生じる。一方で、遠心回転によりポッティング材が流れる方向は、遠心中心方向とは逆向きであるため、上記突起部の設置方向(D)が−90°未満である場合、また90°を超える場合には、かかる隙間にポッティング材が入り込み易く、注入口内部がポッティング材で汚染されることから、好ましくない。
図6及び図7には1カ所、図8及び図9には2カ所の突起部15を設けた注入ノズル9の例を示している。なお、嵌合の状態を密にするため、突起部15の横方向幅18は0.5mm以上とすることが好ましい。また、突起部15の注入ノズル9軸方向の長さ16は1mm以上とすることが好ましい。
また、本発明のポッティング材注入用容器の材質としては、注入口内部を損傷させず、挿入可能な材質であり、またポッティング材の変性、閉塞等の問題が生じることがないものであれば特に制限されることはないが、弾性を有する材質で形成させることが好ましい。弾性を有する材質で形成することにより、注入ノズルを注入口に挿入したとき、弾力でもって注入ノズルを注入口の内壁に密着することが可能となる。弾性を有する材質としては、一般的な樹脂で構わないが、ある程度の繰り返し使用を前提とするならば、離型性に優れるポリオレフィン樹脂が好ましく、安価で入手の容易なポリエチレン、またはポリプロピレンが特に好ましい。
一方、注入用容器の遠心回転付与時の浮き上がりを防止するにはポッティング材注入用容器本体がある程度の重量を有することが好ましい。金属製の容器でもよいが、樹脂製、すなわちプラスチック製であると、上記弾性を有することのメリットに加えて、軽量であることによる取り扱い性能向上の点、注入口内部を損傷しにくいという点、繰り返し使用することを考慮したコスト面の観点から有利であるので望ましい。ただし、ポリオレフィン樹脂であるポリエチレンやポリプロピレンは比較的軽いため、嵌合が少しでも不十分となると遠心回転中の振動等により浮き上がり、注入ノズルから注入されるポッティング材が直接注入口の内壁に付着するおそれがある。従って、おもりをつける等して容器本体の重量として250g以上とすると、遠心中の振動等による浮き上がりを防ぐことができるため、望ましい。
また、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン樹脂は一般にガラス転移点が低いため、ポッティング時に加温しながら遠心力を付与すると変形することがある。従って、本発明に係る注入用容器は加温、遠心によって変形しないように設計することが重要であり、かかる設計として、注入ノズルの壁面の厚みが0.4mm以上であることが望ましい。0.4mm未満である場合、上記変形が生じ、加温、遠心中の変形により嵌合が十分でなくなることがあり、その結果注入用容器が浮き上がったり、前述のような隙間ができてポッティング材が浸透して、ポッティング材が注入口内壁に付着することがある。なお、ポリ塩化ビニルのようなガラス転移点の高い材質を用いることにより変形を防止することもできる。この場合は、上記注入ノズル厚みが0.4mm未満であったとしても嵌合は十分密に保たれ、注入用容器が浮き上がったり、隙間ができるような現象は生じないため、問題とはならない。なお、本発明において、注入ノズル壁面の厚みは注入ノズル先端部の任意の1箇所測定するものとする。
また、ポッティング材注入用容器の浮き上がりを防止するため、遠心回転させたときに下向き(重力方向)の力が働くようにポッティング材注入用容器の側部に羽根をつけることにより浮き上がらなくすることもできる。
さらに、注入ノズルの断面口がポッティング材注入用容器の中心側に偏心した注入ノズルを使用することにより、注入ノズル出口の縁に付着したポッティング材を除去する操作を経由することなく注入ノズルを繰り返し使用することもできる。好ましい偏心度は、注入ノズル外壁の最も厚い部分と最も薄い部分の比とすると2〜14の範囲であり、かつ最も薄い部分の厚さは0.2mm以上であることが好ましい。
また、注入ノズルの表面、すなわち外壁を撥水処理することにより、ポッティング材は注入ノズルと注入口との間に浸透し難くなり、また、遠心回転を付与したときの遠心力によりポッティング材が注入ノズル先端部から剥がれやすくなるため、ポッティング材注入用容器をそのまま再使用することができる。さらに、注入ノズルの内壁も撥水処理されていれば、注入ノズルがポッティング材により閉塞することの防止も可能であり、繰り返し再使用可能な回数を増やすこともできる。
上記撥水処理には、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂等が使用される。フッ素系樹脂にはフロロテクノロジー社製の“フロロサーフ(登録商標)”や東レ・ダウコーニング社製のヘルスケア用シリコーン等が用いられる。なお、撥水処理は、上記処理剤等を塗布してもよく、注入ノズルの成形時に混練させて行ってもよい。
注入ノズル9はポッティング材注入用容器8と一体になっており、一体になったものを再使用することが望ましい。また、注入ノズルを直接注入口に挿入せず、アダプターを介して注入口に挿入する方法もあるが、本発明にて使用する注入ノズル9を備えたポッティング材注入用容器8は、注入口の汚染を防止可能であることから、直接筒状ケース1の側部の注入口5に挿入することができる。ポッティング材注入用容器は所定時間遠心された後、取り外され、必要であれば、注入ノズル9の先端部に付着したポッティング材を除去した後、再度使用することが好ましい。
ポッティング材注入用容器8を繰り返し使用する場合において、注入ノズル先端部9にポッティング材が付着するような場合は、注入ノズルの外側に付着したポッティング材の小片を取り除いてから使用する必要がある。そのまま使用すると、挿入時に筒状ケースの側部の注入口の内部が汚染される可能性がある。注入ノズル9に付着したポッティング材の除去は人手により容易に可能であり、また、機械的な手段による除去も可能である。ポッティング材の除去は注入ノズル外側だけでよく、内側については、繰り返し使用しても注入ノズルの閉塞は生じにくいため、少なくとも15回繰り返し使用するまでは、除去する必要はないことが多い。
また、本発明においては、混合粘度が1000mPa・s以下、好適には800mPa・s以下の低粘度ポッティング材を用いることにより、注入ノズル9の閉塞を生じにくくすることが可能である。ここでいう混合粘度とは主剤及び硬化剤(もしくはこれらに相当する成分)とを25℃において混合を終了してから1分後の粘度をいう。なお、ポッティング材を25℃において混合を終了してからその粘度が50000mPa・sに達するまでの時間(ゲル化時間)は7分未満の速硬化性のポッティング材が好適に用いられる。この様なポッティング材を用いればゲル化時間が速いため、硬化するまでの時間も速く、例えば、遠心ポッティング10分後にポッティング材注入用容器を取り外す際にはすでに硬化しているため、ポッティング材が液だれして筒状ケース側部の注入口を汚染することがなく、また、注入ノズル9の外側に付着したポッティング材の除去も容易に可能であり、再使用するためには好ましく、連続化が可能である。また、完全に硬化するまでの時間も速く、通常は25℃、1時間で硬化をほぼ終了することができるため、生産を効率的にできるというメリットもある。なお、粘度の測定は、例えば、雰囲気温度、主剤及び硬化剤の温度を全て25℃とし、所定量を計量後、600rpmの回転速度で回転する攪拌機で1分間攪拌混合した後、BL型粘度計等を使用することによって可能である。この様な低粘度ポッティング材として、日本ポリウレタン社製、三洋化成社製の製品等が好適に用いられる。
本発明の中空糸膜モジュールのポッティング材注入用容器は、人工透析、血液濾過に必要な血液処理器、エンドトキシンフィルターまたは浄水器等に用いられる中空糸膜モジュールの製造に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
[粘度の測定]
粘度の測定は、雰囲気温度、主剤及び硬化剤の温度を全て25℃とし、所定の容器により所定量を計量して、600rpmの回転速度で回転する攪拌機で攪拌して均一になった時点から1分間攪拌混合させた後、BL型粘度計のNo.4ローターを使用して行った。ローター回転数は10000mPa・sまでは60rpm、それ以降は12rpmとして測定を行った。
[筒状ケース側部の注入口内径14(B)の測定方法]
筒状ケース側部の注入口の内径14(B)は、筒状ケースを解体して、注入口5の最も内側の位置における筒状ケースの長手方向とそれに垂直な方向の径を測定し、平均値を求めた。測定はYKT株式会社製、“SmartScope ZIP250S(登録商標)”を用いて行った。
[ポッティング材注入用容器の注入ノズル外径12(A)、注入ノズル壁面厚み13及び突起部の高さ17の測定方法]
ポッティング材注入用容器の注入ノズル外径12(A)は、注入ノズル9が筒状ケース1側部の注入口5に挿入されたときの注入ノズル先端部における筒状ケース長手方向と同一の方向と、それに垂直な方向の2カ所の先端部を測定した値の平均値を求めた。注入ノズル壁面厚み13は、先端部の任意の1カ所を測定した。突起部の高さ17は、突起部を形成するノズル軸方向の両端部の突起部の最大の高さの平均値を求めた。測定はYKT株式会社製、“SmartScope ZIP250S(登録商標)”を用いて行った。
[注入ノズル9と注入口5との嵌合状態からの引き抜き力の測定方法]
注入ノズル9を注入口5に挿入し、嵌合させた状態から引き抜き力を測定した。測定は日本電産シンポ株式会社製、デジタルフォースゲージ(型式:DFG−5K)を用いて行い、引き抜き力は3回測定した平均値を用いた。
[実施例1]
端部が溶融封止されたポリスルホン及びポリビニルピロリドンからなる乾燥状態の中空糸膜(外径280μm、膜厚40μm)を9500本束ね、長さ282mmのポリプロピレン製の筒状ケースに挿入し、両端に成形用の注型キャップを取り付けた。ポッティング材注入用容器及び注入ノズルはポリプロピレン製にて評価を行った。
[粘度の測定]
粘度の測定は、雰囲気温度、主剤及び硬化剤の温度を全て25℃とし、所定の容器により所定量を計量して、600rpmの回転速度で回転する攪拌機で攪拌して均一になった時点から1分間攪拌混合させた後、BL型粘度計のNo.4ローターを使用して行った。ローター回転数は10000mPa・sまでは60rpm、それ以降は12rpmとして測定を行った。
[筒状ケース側部の注入口内径14(B)の測定方法]
筒状ケース側部の注入口の内径14(B)は、筒状ケースを解体して、注入口5の最も内側の位置における筒状ケースの長手方向とそれに垂直な方向の径を測定し、平均値を求めた。測定はYKT株式会社製、“SmartScope ZIP250S(登録商標)”を用いて行った。
[ポッティング材注入用容器の注入ノズル外径12(A)、注入ノズル壁面厚み13及び突起部の高さ17の測定方法]
ポッティング材注入用容器の注入ノズル外径12(A)は、注入ノズル9が筒状ケース1側部の注入口5に挿入されたときの注入ノズル先端部における筒状ケース長手方向と同一の方向と、それに垂直な方向の2カ所の先端部を測定した値の平均値を求めた。注入ノズル壁面厚み13は、先端部の任意の1カ所を測定した。突起部の高さ17は、突起部を形成するノズル軸方向の両端部の突起部の最大の高さの平均値を求めた。測定はYKT株式会社製、“SmartScope ZIP250S(登録商標)”を用いて行った。
[注入ノズル9と注入口5との嵌合状態からの引き抜き力の測定方法]
注入ノズル9を注入口5に挿入し、嵌合させた状態から引き抜き力を測定した。測定は日本電産シンポ株式会社製、デジタルフォースゲージ(型式:DFG−5K)を用いて行い、引き抜き力は3回測定した平均値を用いた。
[実施例1]
端部が溶融封止されたポリスルホン及びポリビニルピロリドンからなる乾燥状態の中空糸膜(外径280μm、膜厚40μm)を9500本束ね、長さ282mmのポリプロピレン製の筒状ケースに挿入し、両端に成形用の注型キャップを取り付けた。ポッティング材注入用容器及び注入ノズルはポリプロピレン製にて評価を行った。
注入ノズル側面の先端部の遠心中心方向(この場合は、容器中心方向)に表1に示す形状の突起部15を1つ(図6、図7)備え、また表1に示す外径、厚みを有する注入ノズル9を備えたポッティング材注入用容器8(重量150g)及び表1に示す注入口内径を有する筒状ケースを用いて、その注入ノズル9を表1に示す筒状ケース側部の注入口5内部に挿入した。注入ノズル9の先端部は筒状ケース内部に0.5mm突出していた。その後、650rpmの回転数にて筒状ケースを回転させつつ、それぞれ真空脱泡したポッティング材を構成する主剤及び硬化剤(ポリウレタン接着剤、日本ポリウレタン社製、混合粘度:600mPa・s、ゲル化時間:6分)を混合ミキサーを用いて混合し、40℃の雰囲気下でポッティング材を注入し、遠心を10分行い、中空糸膜束を筒状ケースに接着・固定した後、遠心を止めた。遠心回転後の注入用容器8の浮き上がり、注入ノズル9の変形、嵌合状態からの引き抜き力は表1に示す通りであった。その後、ポッティング材注入用容器8を取り外して、上記同様の操作により中空糸膜束が筒状ケースに接着・固定された中空糸膜モジュールを6本作製し、注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。
[比較例1]
注入ノズル9側面に突起部15を有しないこと以外は実施例1と同様のポッティング材注入用容器8を使用して実施例1と同様の操作を行った後、ポッティング材注入用容器8を取り外して、上記同様の操作により中空糸膜束が筒状ケースに接着・固定された中空糸膜モジュールを6本作製し、注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。
[実施例2]
注入ノズル9の素材がポリ塩化ビニルであり、壁面厚み13が0.35mmであること以外は実施例1と同様のポッティング材注入用容器8を使用して実施例1と同様の操作を行った後、ポッティング材注入用容器8を取り外して、上記同様の操作により中空糸膜束が筒状ケースに接着・固定された中空糸膜モジュールを6本作製し、注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。
[実施例3]
注入ノズル9側面の先端部に表1に示す形状の突起部15を、遠心中心方向を0°とした場合に15°と−15°の位置にそれぞれ1つ、計2つ備え、また表1に示す外径、厚みを有する注入ノズル9を備えたポッティング材注入用容器8及び表1に示す注入口内径6を有する筒状ケースを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って中空糸膜モジュールを6本作製し、遠心回転時の注入用容器8の浮き上がり、注入ノズル9の変形、嵌合状態からの引き抜き力及び注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。
[実施例4]
あらかじめポッティング材注入用容器の中央部にポリウレタン製のおもりを付けて重量が250gとしたこと以外は実施例1と同様のポッティング材注入用容器8を使用して実施例1と同様の操作を行って中空糸膜モジュールを6本作製し、遠心回転時の注入用容器8の浮き上がり、注入ノズル9の変形、嵌合状態からの引き抜き力及び注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。
[実施例5]
注入ノズル9表面にフロロテクノロジー社製“フロロサーフ(登録商標)”FS−1020THを10〜20nmの厚みで塗布したこと以外は実施例1と同様のポッティング材注入用容器8を用いて実施例1と同様の操作を行って中空糸膜モジュールを6本作製し、遠心回転時の注入用容器8の浮き上がり、注入ノズル9の変形、嵌合状態からの引き抜き力及び注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。また、他の実施例と異なり、使用後のポッティング材注入用容器の注入ノズル9外壁にポッティング材の付着は見られず、そのまま再度使用することが可能であった。
[実施例6]
実施例1にて6本の中空糸膜モジュールの製造に用いたポッティング材注入用容器8について、注入ノズル9外壁に付着していたポッティング材を除去した後、再度、実施例1と同じ条件で中空糸膜モジュール6本を作製する操作を計15回繰り返した。2回〜15回使用後のすべての中空糸膜モジュール6本ずつについて、注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、すべての中空糸膜モジュールの注入口5内壁の汚染はなかった。なお、すべての2回〜15回使用した際の遠心後のポッティング材注入用容器は浮き上がっていないことを確認した。また、注入ノズルの変形により嵌合が不十分となることもなかった。
[比較例2〜4]
表1の比較例2〜4に示した突起部高さ、注入ノズル外径を有するポッティング材注入用容器及び表1に示す注入口内径を有する筒状ケースの場合については、注入ノズルを注入口に挿入することができなかった。
[比較例5]
注入ノズル側面の先端部に表1に示す形状の突起部15を、遠心中心方向を0°とした場合に180°の位置に1つ備え、また表1に示す外径、厚みを有する注入ノズル9を備えたポッティング材注入用容器8及び表1に示す注入口内径を有する筒状ケースを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って中空糸膜モジュールを6本作製し、遠心回転時の注入用容器8の浮き上がり、注入ノズル9の変形、嵌合状態からの引き抜き力及び注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであり、嵌合状態は十分であったにも関わらず、注入口5内壁はポッティング材の付着により汚染されていた。
[比較例1]
注入ノズル9側面に突起部15を有しないこと以外は実施例1と同様のポッティング材注入用容器8を使用して実施例1と同様の操作を行った後、ポッティング材注入用容器8を取り外して、上記同様の操作により中空糸膜束が筒状ケースに接着・固定された中空糸膜モジュールを6本作製し、注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。
[実施例2]
注入ノズル9の素材がポリ塩化ビニルであり、壁面厚み13が0.35mmであること以外は実施例1と同様のポッティング材注入用容器8を使用して実施例1と同様の操作を行った後、ポッティング材注入用容器8を取り外して、上記同様の操作により中空糸膜束が筒状ケースに接着・固定された中空糸膜モジュールを6本作製し、注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。
[実施例3]
注入ノズル9側面の先端部に表1に示す形状の突起部15を、遠心中心方向を0°とした場合に15°と−15°の位置にそれぞれ1つ、計2つ備え、また表1に示す外径、厚みを有する注入ノズル9を備えたポッティング材注入用容器8及び表1に示す注入口内径6を有する筒状ケースを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って中空糸膜モジュールを6本作製し、遠心回転時の注入用容器8の浮き上がり、注入ノズル9の変形、嵌合状態からの引き抜き力及び注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。
[実施例4]
あらかじめポッティング材注入用容器の中央部にポリウレタン製のおもりを付けて重量が250gとしたこと以外は実施例1と同様のポッティング材注入用容器8を使用して実施例1と同様の操作を行って中空糸膜モジュールを6本作製し、遠心回転時の注入用容器8の浮き上がり、注入ノズル9の変形、嵌合状態からの引き抜き力及び注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。
[実施例5]
注入ノズル9表面にフロロテクノロジー社製“フロロサーフ(登録商標)”FS−1020THを10〜20nmの厚みで塗布したこと以外は実施例1と同様のポッティング材注入用容器8を用いて実施例1と同様の操作を行って中空糸膜モジュールを6本作製し、遠心回転時の注入用容器8の浮き上がり、注入ノズル9の変形、嵌合状態からの引き抜き力及び注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであった。また、他の実施例と異なり、使用後のポッティング材注入用容器の注入ノズル9外壁にポッティング材の付着は見られず、そのまま再度使用することが可能であった。
[実施例6]
実施例1にて6本の中空糸膜モジュールの製造に用いたポッティング材注入用容器8について、注入ノズル9外壁に付着していたポッティング材を除去した後、再度、実施例1と同じ条件で中空糸膜モジュール6本を作製する操作を計15回繰り返した。2回〜15回使用後のすべての中空糸膜モジュール6本ずつについて、注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、すべての中空糸膜モジュールの注入口5内壁の汚染はなかった。なお、すべての2回〜15回使用した際の遠心後のポッティング材注入用容器は浮き上がっていないことを確認した。また、注入ノズルの変形により嵌合が不十分となることもなかった。
[比較例2〜4]
表1の比較例2〜4に示した突起部高さ、注入ノズル外径を有するポッティング材注入用容器及び表1に示す注入口内径を有する筒状ケースの場合については、注入ノズルを注入口に挿入することができなかった。
[比較例5]
注入ノズル側面の先端部に表1に示す形状の突起部15を、遠心中心方向を0°とした場合に180°の位置に1つ備え、また表1に示す外径、厚みを有する注入ノズル9を備えたポッティング材注入用容器8及び表1に示す注入口内径を有する筒状ケースを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って中空糸膜モジュールを6本作製し、遠心回転時の注入用容器8の浮き上がり、注入ノズル9の変形、嵌合状態からの引き抜き力及び注入口5内壁のポッティング材の付着による汚染の有無の評価を行ったところ、表1に示す通りであり、嵌合状態は十分であったにも関わらず、注入口5内壁はポッティング材の付着により汚染されていた。
1:筒状ケース
2:中空糸膜束
3:隔壁(ポッティング材の層)
4:ヘッダー
5:液体の導入、排出に用いられるノズル(注入口)
6:液体流出入用ノズル(注入口)の内径
7:注型キャップ
8:ポッティング材を注入するための容器
9:注入ノズル
10:ポッティング材流路
11:ポッティング材
12:注入ノズル外径
13:注入ノズルの壁面の厚み
14:注入口内径
15:突起部
16:突起部の軸方向の長さ
17:突起部の高さ
18:突起部の幅
19:突起部の注入ノズル外壁円周上における設置位置
20:注入ノズル外壁円の中心
21:中空糸膜モジュール長手方向における中空糸膜モジュールの重心
22:注入ノズル外壁円の中心から中空糸膜モジュール長手方向における中空糸膜モジュールの重心への方向に引いた基準線
2:中空糸膜束
3:隔壁(ポッティング材の層)
4:ヘッダー
5:液体の導入、排出に用いられるノズル(注入口)
6:液体流出入用ノズル(注入口)の内径
7:注型キャップ
8:ポッティング材を注入するための容器
9:注入ノズル
10:ポッティング材流路
11:ポッティング材
12:注入ノズル外径
13:注入ノズルの壁面の厚み
14:注入口内径
15:突起部
16:突起部の軸方向の長さ
17:突起部の高さ
18:突起部の幅
19:突起部の注入ノズル外壁円周上における設置位置
20:注入ノズル外壁円の中心
21:中空糸膜モジュール長手方向における中空糸膜モジュールの重心
22:注入ノズル外壁円の中心から中空糸膜モジュール長手方向における中空糸膜モジュールの重心への方向に引いた基準線
Claims (9)
- ポッティング材が貯留される本体と、中空糸膜モジュールの胴体側部に設けられた筒状の液体流出入用ノズルからポッティング材を注入する注入ノズルとを備えたポッティング材を注入するための容器において、前記注入ノズルが前記液体流出入用ノズルに嵌合する形状を有し、かつその外壁に突起部を1つ以上有し、かつ下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするポッティング材を注入するための容器。
0≦A−B≦0.015 (1)
0.1≦C≦0.2 (2)
−90≦D≦90 (3)
ここで、A:前記注入ノズルの前記突起部を除いた部分の外径(mm)、B:前記液体流出入用ノズルの内径、C:前記各突起部の高さの合計(mm)、D:前記注入ノズル外壁円周上における前記突起部の設置位置(°)、ただし、前記注入ノズル外壁円の中心から前記中空糸膜モジュール長手方向における前記中空糸膜モジュールの重心への方向に引いた線を基準とする - 前記注入ノズルの壁面の厚みが0.4mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のポッティング材を注入するための容器。
- 材質がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のポッティング材を注入するための容器。
- 前記ポリオレフィン樹脂がポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする請求項3に記載のポッティング材を注入するための容器。
- 重量が250g以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポッティング材を注入するための容器。
- 前記注入ノズルの表面が撥水処理されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポッティング材を注入するための容器。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポッティング材を注入するための容器の注入ノズルを中空糸膜モジュールにおける胴体側部の液体流出入用ノズルに挿入して、前記注入ノズルからポッティング材を注入することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記ポッティング材の混合粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とする請求項7に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記ポッティング材を注入するための容器を再使用することを特徴とする請求項7または8に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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JP2007126372A JP2008279374A (ja) | 2007-05-11 | 2007-05-11 | ポッティング材を注入するための容器及びそれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011105495A1 (ja) * | 2010-02-25 | 2011-09-01 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | ヘッダ部材、膜モジュール、及び膜モジュールの製造方法 |
JP2019155303A (ja) * | 2018-03-15 | 2019-09-19 | 旭化成メディカル株式会社 | 中空糸膜モジュールとその製造方法、および中空糸膜モジュールのポッティング部の成型用型 |
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2007
- 2007-05-11 JP JP2007126372A patent/JP2008279374A/ja active Pending
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WO2011105495A1 (ja) * | 2010-02-25 | 2011-09-01 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | ヘッダ部材、膜モジュール、及び膜モジュールの製造方法 |
JP2019155303A (ja) * | 2018-03-15 | 2019-09-19 | 旭化成メディカル株式会社 | 中空糸膜モジュールとその製造方法、および中空糸膜モジュールのポッティング部の成型用型 |
JP7090436B2 (ja) | 2018-03-15 | 2022-06-24 | 旭化成メディカル株式会社 | 中空糸膜モジュールとその製造方法、および中空糸膜モジュールのポッティング部の成型用型 |
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