JP2007144389A - 中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】離型剤の流動や混合による問題を生じさせず、注型キャップの離型性を良好に維持することができる中空糸膜モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】複数本の中空糸膜の束1を注型樹脂7により封止する中空糸膜モジュールの製造方法において、前記注型樹脂7が注入される注型キャップ4の内側に、前記注型樹脂7に対して離型性材料からなるカップ状容器3を装着しておき、このカップ状容器3に注型樹脂7を注入して注型樹脂7を硬化させ、硬化後に前記注型キャップ4を取り外す工程を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】複数本の中空糸膜の束1を注型樹脂7により封止する中空糸膜モジュールの製造方法において、前記注型樹脂7が注入される注型キャップ4の内側に、前記注型樹脂7に対して離型性材料からなるカップ状容器3を装着しておき、このカップ状容器3に注型樹脂7を注入して注型樹脂7を硬化させ、硬化後に前記注型キャップ4を取り外す工程を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数本の中空糸膜の束を注型樹脂により封止する中空糸膜モジュールの製造方法に関し、中空糸膜の両端が開口して封止されたタイプと、中空糸膜の一端のみが開口して封止されたタイプの両者に適用可能な技術である。
従来、例えば血液透析や海水淡水化に中空糸膜を用いた膜分離技術が用いられている。中空糸膜モジュールは、中空糸膜の両端が開口しつつ封止樹脂(接着材)を介してケースに保持されているもの、中空糸膜の一端が開口しつつ封止樹脂を介してケースに保持され、中空糸膜の他端が閉塞されて、自由状態又は封止樹脂を介してケースに保持されているものなどがある。
このような中空糸膜モジュールの製造方法としては、例えば、筒状ケースに中空糸膜束を収納した後、その筒状ケースの両端に注型キャップを装着し、各注型キャップに樹脂を注入して前記中空糸膜束端部の中空糸膜間を接着固定し、一方の端部の中空糸膜間に貫通孔が形成されるようにする中空糸膜モジュールの製造方法であって、前記貫通孔が形成される端部側の注型キャップをその内面と前記中空糸膜束端面とが離間するように装着し、該注型キャップに遠心ポッティング法により樹脂を注入し固化する中空糸膜モジュールの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、この文献には、中空糸膜の一端が開口するように封止を行う場合、まず目止め用樹脂を注型キャップに注入し、これが硬化した後、更に接着用樹脂を注入して硬化させ、その後、注型キャップを取り外して、端部を所定の長さで切断除去する方法が開示されている。そして、樹脂溜りとなる注型キャップは、樹脂漏れを防止する必要があるため、一般に分割構造は採用されていない。
上記のようにして、複数本の中空糸膜をエポキシ樹脂などで注型固定する場合、注型樹脂の溜まりとなる注型キャップには、その内面に樹脂硬化後に容易に取り外しが出来るように、シリコングリースやフッ素系離型剤が塗布されるのが一般的である。
しかしながら、膜束を円筒状容器(ハウジング)内側に接着固定する場合において、塗布した離型剤が注型樹脂の注入に伴い移動し、ちょうどハウジング内壁部の膜束が注型樹脂で固定される接着界面に侵入し、接着力を低下させる場合があり、塗布に注意が必要となる。
また、離型剤と注型樹脂が混ざって変色し、外観上問題となり、また樹脂の硬化不良を起こすことも考えられる。一方、離型剤を用いずに注型キャップを離型性の良い材質で作ることも出来るが、使用を繰り返すうちに離型性が低下し、また注型部が割れてしまうことがある。
そこで、本発明の目的は、離型剤の流動や混合による問題を生じさせず、注型キャップの離型性を良好に維持することができる中空糸膜モジュールの製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の中空糸膜モジュールの製造方法は、複数本の中空糸膜の束を注型樹脂により封止する中空糸膜モジュールの製造方法において、前記注型樹脂が注入される注型キャップの内側に、前記注型樹脂に対して離型性材料からなるカップ状容器を装着しておき、このカップ状容器に注型樹脂を注入して注型樹脂を硬化させ、硬化後に前記注型キャップを取り外す工程を含むことを特徴とする。
即ち、本発明の中空糸膜モジュールの製造方法は、複数本の中空糸膜の束を注型樹脂により封止する中空糸膜モジュールの製造方法において、前記注型樹脂が注入される注型キャップの内側に、前記注型樹脂に対して離型性材料からなるカップ状容器を装着しておき、このカップ状容器に注型樹脂を注入して注型樹脂を硬化させ、硬化後に前記注型キャップを取り外す工程を含むことを特徴とする。
本発明の中空糸膜モジュールの製造方法によると、離型剤を塗布する代わりに離型性材料からなるカップ状容器を注型キャップの内側に装着するため、離型剤の流動や混合による問題を生じさせずに、注型キャップの離型性を良好に維持することができる。また、注型キャップを容易に取り外すことができるため、カップ状容器の除去操作なども容易になる。
上記において、前記注型キャップを取り外す工程の後に、前記カップ状容器を除去する工程と、注型樹脂の所定の位置で切断する工程とを含むことが好ましい。これらの工程によって、中空糸膜の一端が開口する状態で封止を行うことができる。
また、前記カップ状容器に注入された注型樹脂に対し、容器底部側に向けて遠心力を付与する工程を含むことが好ましい。この工程によって、複数本の中空糸膜の隙間に、注型樹脂を好適に充填することができ、良好な封止状態とすることができる。
更に、前記注型樹脂がエポキシ樹脂、又はウレタン樹脂であると共に、前記カップ状容器の材質が、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はシリコーンゴムであることが好ましい。エポキシ樹脂やウレタン樹脂は、中空糸膜の束を封止するのに好適な注型樹脂であり、これに対して、ポリエチレン、ポリプロピレン又はシリコーンゴムは良好な離型性を有すると共に、カップ状容器の成形性や製造コストなどの面でも有利になる。
また、前記注型キャップが、取り外す際に分割可能な構造であることが好ましい。このような分割構造によって、注型樹脂の硬化後に、注型キャップを容易に取り外すことができる。更に、分割構造であっても、カップ状容器を内側に装着するため、遠心力を付与する場合(高圧力が生じる場合)でも、注型樹脂の漏れが生じにくくなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1〜図3は、本発明の中空糸膜モジュールの製造方法の一例を示す工程図である。
本発明の中空糸膜モジュールの製造方法は、複数本の中空糸膜の束を注型樹脂により封止するものであり、中空糸膜の両端が開口して封止されたタイプと、中空糸膜の一端のみが開口して封止されたタイプの両者に適用可能である。本実施形態では、図3に示すように、中空糸膜の一端のみが開口しつつ注型樹脂7により封止されて筒状ケース2に保持されているものを製造する場合の例を示す。
本発明では、図1に示すように、予め、注型樹脂7が注入される注型キャップ4の内側に、注型樹脂7に対して離型性材料からなるカップ状容器3を装着しておく。これによって、注型樹脂7と注型キャップ4の離型のために、シリコングリース等の離型剤を使用せずに、安定的に中空糸膜モジュールを製造することが出来る。
注型樹脂7としては、中空糸膜が封止可能な材料であれば何れでもよいが、特に、エポキシ樹脂、又はウレタン樹脂が好ましい。
また、カップ状容器3の材質は、注型樹脂7に対して離型性を示すものであれば何れでもよいが、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はシリコーンゴム(シリコンラバー)が好ましい。即ち、カップ状容器3は注型樹脂7との離型性からフッ素樹脂も使用可能であるが、これは高価である。カップ状容器3の作製方法は、ポリエチレン、ポリプロピレンでは、切削加工も可能であるが、安価に作製するために成型し、使い捨てとするほうが良い。また、シリコーンゴムでは、シートからの成型になるが、再利用することも可能である。
カップ状容器3の厚みについては、成型性等を考慮し設定するが、一般的には、厚みが0.5〜3mmが好ましい。また、カップ状容器3の外径は、注型キャップ4の内径と同等か、僅かに大きいことが好ましい。これによって、カップ状容器3が注型キャップ4の内側に保持され易くなる。また、カップ状容器3の深さは、注型キャップ4の内側面を少なくとも覆うサイズが好ましい。これによって注型キャップ4を容易に取り外すことができる。
本発明では、図1に示すように、上記の状態でカップ状容器3に注型樹脂7を注入して注型樹脂7を硬化させる。図示した例では、注型樹脂7を注入する際に、カップ状容器3の深さを超える高さまで注入を行っているが、こうすることによって、中空糸膜の一端を注型樹脂7を介して筒状ケース2に保持することができる。
図示した例では、一端1aをエポキシ樹脂等で封止・固定した膜束1を塩ビ製などの筒状ケース2に挿入し、膜束1の他端を注型樹脂7で封止する。その際、アルミ製の注型キャップ4を筒状ケース2にVバンド5やボルト締結などで固定しておく。
本発明では、上記の際、カップ状容器3に注入された注型樹脂7に対し、容器底部側に向けて遠心力(矢印の方向)を付与する工程を含むことが好ましいが、遠心力の代わりに自己の重力を利用することも可能である。このような遠心力は、例えば遠心注型機を用いて、膜束1の一端1a側に設定した回転軸Oの回りに、全体を回転させることによって付与することができる。また、遠心力を付与しながら、注型樹脂7を注入してもよく、樹脂注入口6に接続したチューブにより注型樹脂7が注入される。
注型樹脂7の硬化は、硬化反応によるものでも、冷却による硬化でもよい。硬化の際の条件は、使用する注型樹脂7に応じて適宜設定することができる。
なお、セットする膜束1の他端が開口状態であると、遠心力を付与する際にその内部に注型樹脂7が進入して、最終製品の膜束1の他端が閉塞する可能性がある。このため、膜束1の他端も樹脂等を用いて予め閉塞(目止め)させておくのが好ましい。
本発明では、図2に示すように、硬化後に前記注型キャップ4を取り外す工程を含む。その際、カップ状容器3が介在するため、容易に注型キャップ4を取り外すことができる。
本実施形態では、図3に示すように、この工程の後に、カップ状容器3を除去する工程と、注型樹脂7の所定の位置で切断する工程とを含む例を示す。これらの工程は、いずれを先に行ってもよく、また、両者の工程を同時に行ってもよい。つまり、注型樹脂7とカップ状容器3は、ポリエチレン、ポリプロピレンの場合には、同時に切断除去されてもよい。シリコーンゴムの場合には、その柔軟性を利用して、注型樹脂部より外しておくのがよい。
これらの工程によって、図3に示すように、切断面CSにおいて、中空糸膜の一端のみが開口しつつ注型樹脂7により封止されて筒状ケース2に保持されている中空糸膜モジュールを製造することができる。
このような中空糸膜モジュールを用いた膜分離では、例えば筒状ケース2に設けられた供給口(図示省略)から原液が供給され、中空糸膜で分離された透過液が中空糸膜の中空内を流動し、一端の開口から流出して製品キャップの排出口から排出されると共に、濃縮液は筒状ケース2に設けられた製品用キャップの排出口(図示省略)から排出される。
[他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、複数本の中空糸膜の束の一端をエポキシ樹脂等で封止・固定した膜束を用いる例を示したが、本発明では、複数本の中空糸膜の束の一端を閉塞させて、固定せずに自由端としたものでもよい。その場合、例えば特開2000−334270号公報に記載の製造方法によって、中空糸膜の束の一端を閉塞させることができる。
(1)前述の実施形態では、複数本の中空糸膜の束の一端をエポキシ樹脂等で封止・固定した膜束を用いる例を示したが、本発明では、複数本の中空糸膜の束の一端を閉塞させて、固定せずに自由端としたものでもよい。その場合、例えば特開2000−334270号公報に記載の製造方法によって、中空糸膜の束の一端を閉塞させることができる。
また、本発明の製造方法は、中空糸膜の両端が開口しつつ封止樹脂を介してケースに保持されている中空糸膜モジュールにも適用できる。その場合、図1〜図3に示す実施形態において、エポキシ樹脂等で一端を封止・固定した膜束を用いる代わりに、両端が同じ状態の膜束を用い、その両側を注型樹脂で前述のようにして封止すればよい。
(2)前述の実施形態では、中空糸膜の一端のみが開口しつつ注型樹脂により封止されて筒状ケースに保持されているものを製造する場合の例を示したが、本発明では、中空糸膜の一端が開口せずに注型樹脂により封止されて筒状ケースに保持されているものを製造してもよい。その場合、カップ状容器を除去する工程や、注型樹脂の所定の位置で切断する工程を省略することも可能である。
(3)前述の実施形態では、注型樹脂を注入する際にカップ状容器の深さを超える高さまで注入を行った例を示したが、本発明では、中空糸膜の一端が開口せずに注型樹脂により封止され、これが筒状ケースに保持されていない場合など、カップ状容器の深さを超えない高さまで注型樹脂を注入してもよい。
(4)前述の実施形態では、注型樹脂を1種類のみ注入する例を示したが、本発明は、2種類以上の注型樹脂を注入する製造方法にも適用することができる。その場合、最初の注型樹脂を注入した後、必要により硬化させ、その後追加して次の注型樹脂を注入すればよい。
(5)本発明では、図4〜図5に示すように、注型キャップ4が、取り外す際に分割可能な構造であることが好ましい。分割構造としては、注型キャップ4の内周面が分割・拡径するように、2分割又はそれ以上に分割する構造が採用できるが、分割の比率は等分割である必要はない。
図4に示した例では、注型キャップ4の側面を上下に2分割するように、水平方向に延びる分割境界線4aが設けられている。また、分割した注型キャップ4を一体保持するために、拘束ベルト8が使用され、注型キャップ4のベルト溝4bに着脱可能な拘束ベルト8が巻かれている。注型樹脂7の硬化後に、拘束ベルト8を外した後、矢印の方向に注型キャップ4を分割することによって、注型キャップ4を容易に取り外すことができる。
図5(a)に示す例では、注型キャップ4の分割境界線4aに沿ってヒンジ4cが設けられている。注型キャップ4の分割前には、そのフランジ部4dは、Vバンド等で筒状ケース2に固定されており、ヒンジ4cの存在によって注型キャップ4が一体保持されている。注型樹脂7の硬化後に、Vバンド等を外した後、矢印の方向に注型キャップ4を分割することによって、注型キャップ4を容易に取り外すことができる。
図5(b)に示す例では、注型キャップ4の外周面に雄ネジ4eが形成されており、雌ネジ9aを内周面に有するリング9を矢印の方向に螺合することによって、注型キャップ4を一体保持することができる。注型樹脂7の硬化後に、注型キャップ4からリング9を外すことによって、注型キャップ4を分割して容易に取り外すことができる。
1 中空糸膜の束(膜束)
2 筒状ケース
3 カップ状容器
4 注型キャップ
4a 分割境界線
5 Vバンド
6 樹脂注入口
7 注型樹脂
2 筒状ケース
3 カップ状容器
4 注型キャップ
4a 分割境界線
5 Vバンド
6 樹脂注入口
7 注型樹脂
Claims (5)
- 複数本の中空糸膜の束を注型樹脂により封止する中空糸膜モジュールの製造方法において、前記注型樹脂が注入される注型キャップの内側に、前記注型樹脂に対して離型性材料からなるカップ状容器を装着しておき、このカップ状容器に注型樹脂を注入して注型樹脂を硬化させ、硬化後に前記注型キャップを取り外す工程を含むことを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記注型キャップを取り外す工程の後に、前記カップ状容器を除去する工程と、注型樹脂の所定の位置で切断する工程とを含む請求項1記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記カップ状容器に注入された注型樹脂に対し、容器底部側に向けて遠心力を付与する工程を含む請求項1又は2に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記注型樹脂がエポキシ樹脂、又はウレタン樹脂であると共に、前記カップ状容器の材質が、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はシリコーンゴムである請求項1〜3いずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記注型キャップが、取り外す際に分割可能な構造である請求項1〜4いずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006151604A JP2007144389A (ja) | 2005-10-28 | 2006-05-31 | 中空糸膜モジュールの製造方法 |
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Cited By (2)
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CN107626208A (zh) * | 2017-10-17 | 2018-01-26 | 海南立昇净水科技实业有限公司 | 中空纤维膜组件及其制造方法 |
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2006
- 2006-05-31 JP JP2006151604A patent/JP2007144389A/ja active Pending
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