JP2008278727A - 駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化、低背化が可能な駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明の駆動装置の駆動機構は、電気的制御により屈曲変位が励起される屈曲変位部材1と、屈曲変位部材1の一部を固定する第1固定部材14と備えている。屈曲変位部材1は、第1固定部材14が固定する部分を挟んだ両端が屈曲するようになっており、第1弾性部材12及び第2弾性部材22は、この屈曲変位部材1の両端に連結している。屈曲変位部材1の両端の屈曲変位により、第1弾性部材12及び第2弾性部材22に歪みまたは曲げが発生し、鏡筒5との接触部である第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23が屈曲変位部材1の両端の屈曲変位方向と異なる方向に変位し、鏡筒5が駆動される。
【選択図】図1

Description

本発明は、被駆動体を駆動する駆動装置に関するものである。本発明は電気機械変換素子を用いて被駆動体を駆動するための駆動装置に関する。例えば、カメラの撮影レンズ等、光学装置におけるレンズの駆動に用いる駆動装置に関するものである。
従来、電気機械変換素子(圧電素子)を用いて被駆動体を駆動するための駆動装置が提案されている。このような駆動装置は、例えば、カメラの撮影レンズ等、光学装置におけるレンズの駆動に用いられる。
従来の駆動装置に関して、例えば特許文献1には、小型かつ軽量で、しかも高精度の位置決めおよび移動量制御を可能とし、製造コストを安価にすることを目的とした駆動装置開示されている。図11は、特許文献1に開示された従来の駆動装置の概略構成を示す斜視図である。
図11に示されるように、従来の駆動装置は、圧電素子201、鏡筒(被駆動体)202、及び棒状の駆動部材203を備えた構成である。駆動部材203の一端には、圧電素子201が連結されている。そして、鏡筒(被駆動体)202は、駆動部材203に摩擦係合されている。
図11に示された駆動装置においては、圧電素子201が矢印の方向に伸縮するため、駆動部材203が光軸方向に駆動される。その結果、駆動部材203と摩擦係合している鏡筒202が光軸方向に駆動されるようになる。
特開平4−69070号公報(平成4年(1992) 3月 4日公開)
しかしながら、特許文献1に開示された従来の駆動装置には、以下の問題が生じる。
すなわち、従来の駆動装置では、駆動部材203の一端に圧電素子201が光軸方向に連結されており、圧電素子201の伸縮方向と鏡筒202の駆動方向とが一致した構成になっている。このため、駆動部材203と圧電素子201とが駆動方向に並列した(積み上がった)構成になり、駆動装置の低背化・小型化が困難であるという課題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低背化・小型化を実現可能な駆動装置を提供することにある。
本発明の駆動装置は、上記課題を解決するために、被駆動体を駆動させる駆動機構を備えた駆動装置であって、上記駆動機構は、電気的制御により屈曲変位が励起される屈曲変位部材と、上記屈曲変位部材の一部を固定する第1の固定部材とを備え、屈曲変位部材は、上記第1の固定部材が固定する部分を挟んだ両端が屈曲するようになっており、さらに、屈曲変位部材の上記両端に連結し、屈曲変位部材の上記両端の屈曲変位方向と異なる方向に変位方向を変換するとともに、被駆動体と接触して該変換した変位方向に被駆動体を駆動する駆動方向変換部材を備えたことを特徴としている。
上記の構成によれば、電気的制御により屈曲変位が励起されると、屈曲変位部材は、第1の固定部材が固定する部分を挟んだ両端が屈曲する。そして、この屈曲に連動して、駆動方向変換部材における屈曲変位部材の上記両端との連結部が屈曲し、駆動方向変換部材に歪みまたは曲げが発生する。この駆動方向変換部材の歪みまたは曲げにより、該駆動方向変換部材の被駆動体との接触部は、上記両端で規定される屈曲変位部材の長手方向に垂直な面内方向に運動することになる。上記の構成では、上記駆動方向変換部材は、この接触部の上記長手方向に垂直な面内方向の運動により、屈曲変位部材の上記両端の屈曲変位方向と異なる方向に変位方向を変換するとともに、被駆動体と接触して該変換した変位方向に被駆動体を駆動するようになっている。すなわち、上記駆動方向変換部材は、駆動源としての屈曲変位部材の屈曲変位方向を被駆動体の駆動方向に変換する変換手段としての機能を有している。
従来の駆動装置では、駆動源としての圧電素子の伸縮方向と被駆動体の駆動方向とが一致した構成になっているため、駆動方向における駆動装置の寸法は、被駆動体の駆動方向における寸法と圧電素子の駆動方向における寸法との合計を考慮して決定される。それゆえ、従来の駆動装置では、駆動装置の低背化が困難であるという問題が生じていた。
しかしながら、上記の構成によれば、上記従来の問題が招来しない。すなわち、上記の構成によれば、上記駆動方向変換部材は、屈曲変位部材の上記両端の屈曲変位方向と異なる方向に変位方向を変換するとともに、被駆動体と接触して該変換した変位方向に被駆動体を駆動するようになっている(被駆動体の駆動方向と駆動源としての屈曲変位部材の屈曲変位方向とが異なっている)ので、屈曲変位部材の駆動方向における寸法のみを考慮して、駆動装置の駆動方向における寸法を決定することが可能になる。それゆえ、上記の構成によれば、従来の駆動装置と比較して、駆動装置の駆動方向における寸法を小さく設計することができ、駆動装置の低背化を実現することが可能になる。
本発明の駆動装置は、上記駆動方向変換部材を固定する第2の固定部材を備えた構成であってもよい。
上記の構成によれば、第2の固定部材が駆動方向変換部材を固定しているので、屈曲変位部材の屈曲に連動して、容易に駆動方向変換部材に歪みまたは曲げを発生させることができる。なお、駆動方向変換部材における第2の固定部材の固定位置は、駆動方向変換部材に歪みまたは曲げを発生させ、被駆動体を屈曲変位方向と異なる方向に駆動可能な位置であれば特に限定されない。
本発明の駆動装置では、上記第1及び第2の固定部材が一体的に形成されていることが好ましい。
これにより、屈曲変位部材及び駆動方向変換部材をひとつの部材で固定することができ、組み立て公差およびコストを低減することができる。
上記屈曲変位部材に電圧を駆動する駆動回路を有し、屈曲変位部材の上記両端の屈曲変位を制御する制御手段を備え、上記駆動回路に入力される駆動電圧波形が矩形波になっていることが好ましい。
これにより、屈曲変位部材の上記両端に連結する駆動方向変換部材によって駆動される被駆動体の駆動方向を制御することができる。すなわち、駆動回路に矩形波の駆動電圧が入力されると、屈曲変位部材の駆動応答性から、駆動回路から出力される駆動電圧波形が崩れる。その結果、駆動回路から屈曲変位部材へ、正の電位及び負の電位が周期的に変動する駆動電圧(例えば鋸歯形状の駆動電圧)が出力される。これにより、屈曲変位部材の両端を(屈曲変位方向に)往復して屈曲させることが可能になり、より簡便に駆動方向変換部材の被駆動体との接触部を変位させることができる。
本発明の駆動装置は、上記屈曲変位部材として、第1の屈曲変位部材と第2の屈曲変位部材とを備え、第1の屈曲変位部材における上記両端の屈曲変位方向と、第2の屈曲変位部材における上記両端の屈曲変位方向とが、互いに逆方向になっている構成であってもよい。
上記の構成によれば、第1の屈曲変位部材における上記両端の屈曲変位方向と、第2の屈曲変位部材における上記両端の屈曲変位方向とが、互いに逆方向になっているので、第1及び第2の屈曲変位部材の両端の屈曲変位により、駆動方向変換部材に歪みまたは曲げを発生させ、駆動方向変換部材の被駆動体との接触部を、屈曲変位方向に垂直な面内で運動させることが可能である。
本発明の駆動装置では、上記第1及び第2の屈曲変位部材は、同一面内に配置されていることが好ましい。
これにより、第1の固定部材のただ1つの平面により上記第1及び第2の屈曲変位部材を固定することができ、駆動装置を薄型化することができる。
本発明の駆動装置では、第1の屈曲変位部材に電圧を駆動する第1の駆動回路と、第2の屈曲変位部材に電圧を駆動する第2の駆動回路とを有し、第1及び第2の屈曲変位部材における上記両端の屈曲変位を制御する制御手段を備え、第1の駆動回路により駆動される駆動電圧波形と第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形とは、互いに位相が異なっていることが好ましい。
上記の構成によれば、第1の駆動回路により駆動される駆動電圧波形と第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形とは、互いに位相が異なっているので、第1及び第2の屈曲変位部材の屈曲変位方向を互いに反対方向にすることが可能になる。それゆえ、駆動方向変換部材における被駆動体の接触部を、効率的に屈曲変位方向と異なる方向に変位させることが可能になる。
本発明の駆動装置では、上記第1の駆動回路により駆動される駆動電圧波形と上記第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形とは、互いに位相が90度ずれていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記第1の駆動回路により駆動される駆動電圧波形と上記第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形とは、互いに位相が90度ずれているので、駆動方向変換部材における被駆動体の接触部を、屈曲変位方向と異なる方向に楕円駆動させることが可能になる。
本発明の駆動装置では、上記第1の駆動回路により駆動される駆動電圧波形と上記第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形とは、互いに位相が180度ずれていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記第1の駆動回路により駆動される駆動電圧波形と上記第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形とは、互いに位相が180度ずれているので、駆動方向変換部材における被駆動体の接触部を、屈曲変位方向と異なる方向に円弧駆動させることが可能になる。
本発明の駆動装置では、上記第1及び第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形が、矩形波になっていることが好ましい。
これにより、第1及び第2の屈曲変位部材の上記両端に連結する駆動方向変換部材によって駆動される被駆動体の駆動方向を制御することができる。
本発明の駆動装置では、上記第1の固定部材は、上記屈曲変位部材の重心上に配置されていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記第1の固定部材は、上記屈曲変位部材の重心上に配置されているので、屈曲変位部材を、重心を基準に対称に屈曲変位させることができる。
本発明の駆動装置では、上記駆動方向変換部材として、上記屈曲変位部材の上記両端のうち一方の端部に連結する第1の駆動方向変換部材と、他方の端部に連結する第2の駆動方向変換部材とを備え、第1及び第2の駆動方向変換部材における被駆動体との接触部は、上記屈曲変位部材の重心を基準とし、互いに対称な位置関係になるように配置されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第1及び第2の駆動方向変換部材における被駆動体との接触部は、上記屈曲変位部材の重心を基準とし、互いに対称な位置関係になるように配置されているので、2つの接触部を同変位で、かつ対称に駆動することができる。それゆえ、上記の構成によれば、駆動方向以外の余分な変位成分を打ち消すことができ、被駆動体をより安定に駆動方向へ駆動させることができる。
本発明の駆動装置では、上記駆動方向変換部材と被駆動体とが常に接触可能になるように、駆動方向変換部材または被駆動体に予圧をかける予圧部材を備えたことが好ましい。
これにより、被駆動体が駆動方向以外の方向に移動することが防止され、より安定な駆動を実現することができる。
本発明の駆動装置では、上記屈曲変位部材、及び上記駆動方向変換部材を収容可能な筐体を備え、上記屈曲変位部材は、上記筐体の側壁面に沿って配置されていることが好ましい。
特に、上記の構成のように、屈曲変位部材を筐体の側壁面に沿って配置することにより、駆動装置の低背化を実現することが可能になる。
本発明の駆動装置は、以上のように、上記駆動機構は、電気的制御により屈曲変位が励起される屈曲変位部材と、上記屈曲変位部材の一部を固定する第1の固定部材とを備え、屈曲変位部材は、上記第1の固定部材が固定する部分を挟んだ両端が屈曲するようになっており、さらに、屈曲変位部材の上記両端に連結し、屈曲変位部材の上記両端の屈曲変位方向と異なる方向に変位方向を変換するとともに、被駆動体と接触して該変換した変位方向に被駆動体を駆動する駆動方向変換部材を備えた構成である。
それゆえ、従来の駆動装置と比較して、駆動装置の駆動方向における寸法を小さく設計することができ、駆動装置の低背化を実現することが可能になる。
本発明の駆動装置は、屈曲変位部材と、該屈曲変位部材の屈曲変位を電気的に制御する制御手段とを備えている。すなわち、本駆動装置では、制御手段による電気的制御により、屈曲変位部材の屈曲変位が励起されるようになっている。まず、電気的制御により屈曲変位が励起される屈曲変位部材について説明する。屈曲変位部材の一例としては、例えば図10(a)〜(c)に示されるバイモルフ構造の圧電素子が挙げられる。
図10は、バイモルフ構造の圧電素子の構成を示し、図10(a)は平面図であり、図10(b)は側面図であり、図10(c)は、圧電素子の屈曲変位の様子を示す図である。
図10(a)〜(c)に示される圧電素子は、2つの圧電材料層40X・40Yと、金属からなるシム材41とを備え、2つの圧電材料層40X・40Yがシム材41を挟んで圧着された3層構造になっている。そして、2つの電極50X・50Yが、この3層構造を挟んでいる。この2つの電極50X・50Yは、図示しない制御手段に接続されている。そして、シム材41の一端が固定支持されている(図10(b)・(c)において黒三角印で示された「固定点」)。なお、図10(a)〜(c)では、圧電材料層40X・40Yと、及びシム材41からなる3層構造の積層方向を厚み方向とし、図10(a)に示す平面視において、圧電素子の長手方向を長さ方向とし、該長さ方向と直交する方向を幅方向としている。さらに、厚み方向において、圧電材料層40X側をX側とし、圧電材料層40Y側をY側としている。
図10(a)・(b)に示す圧電素子では、制御手段から電極50X・50Yへ電圧が印加されると、圧電素子が厚み方向に屈曲変位するようになっている。
例えば、圧電材料層40Xは、電極50Xとシム材41との間の電圧が正になった場合に縮小し、電極50Xとシム材41との間の電圧が負になった場合に伸長するように分極されている。また、圧電材料層40Yは、電極50Yとシム材41との間の電圧が正になった場合に伸長し、電極50Yとシム材41との間に電圧が負になった場合に縮小するように分極されている。
上記のように分極された圧電材料層40X・40Yに対し、制御手段が電圧を印加した場合について説明する。図10(c)に示すように、制御手段は、電極50X・50Yとシム材41との間(図10(c)中のア−イ間)に、正の電圧を印加するようになっている。そして、シム材41における黒三角印で示した部分が固定されている。この場合、同図に示すように、圧電素子は、厚み方向X側に屈曲変位する。一方、図示していないが、制御手段がア−イ間に負の電圧を印加すると、圧電素子は、厚み方向Y側に屈曲変位する。
このように、図10(a)〜(c)に示された圧電素子は、制御手段による電圧印加により屈曲変位するようになっている。なお、本発明の駆動装置における屈曲変位部材は、図10(a)〜(c)に示された圧電素子に限定されず、電気的制御により屈曲変位を制御することが可能な構造を有する部材であればよい。例えば、屈曲変位部材としては、1つの圧電材料層とシム材とで構成されたモノモルフ構造の圧電素子が挙げられる。モノモルフ構造の圧電素子は、バイモルフ構造の圧電素子と同様の動作概念で、電気的制御による屈曲変位が可能である。
本発明の駆動装置における屈曲変位部材は、以上のように、電圧の印加等の電気的制御により屈曲変位する部材を指しており、その構造はもちろん、厚み、長さ、幅などの寸法や形状に限定をうけるものではない。
以下、説明を簡単にするために、電気的制御により屈曲変位が励起される屈曲変位部材を単に「屈曲変位部材」と称することにする。
また、本明細書では、屈曲変位部材が駆動装置内に配置されているとき、被駆動体の移動方向を被駆動体移動方向あるいは(屈曲変位部材の)幅方向と呼び、屈曲変位部材が屈曲する方向を屈曲方向あるいは(屈曲変位部材の)厚み方向とよび、被駆動体移動方向(幅方向)に直交しかつ屈曲方向(厚み方向)に直交する方向を(屈曲変位部材の)長さ方向と呼ぶ。これは、屈曲変位部材の寸法や屈曲変位部材の固定部の位置に影響されるものではない。
〔第1の実施の形態〕
本発明の一実施形態について、図1に基づいて説明すると以下の通りである。図1は、本実施形態の駆動装置(以下、本駆動装置と記す)の構成を示した上面図である。なお、図1に示される駆動装置は、小型カメラモジュールのフォーカス調整機構に適用した最適の実施形態を示す。
まず、図1に示されているように、本駆動装置は、屈曲変位部材1、第1弾性部材(第1の駆動方向変換部材)12、第2弾性部材(第2の駆動方向変換部材)22、第1摩擦部材(第1の駆動方向変換部材;接触部)13、第2摩擦部材(第2の駆動方向変換部材;接触部)23、第1固定部材14、第2固定部材24、鏡筒(被駆動体)5、ガイド軸6、カメラモジュール筐体7、及び駆動回路(制御手段)8を備えている。
図2は、図1のy方向から見た屈曲変位部材周辺の構成を示した図である。同図に示されるように、第1固定部材14は、屈曲変位部材1の重心上に配置されており、図1に示されたカメラモジュール筐体7に接着やはめ込み等の方法で固定されている。
また、屈曲変位部材1には、第1弾性部材12及び第2弾性部材22が連結されている。そして、第1弾性部材12には第1摩擦部材13が連結されており、第2弾性部材22には第2摩擦部材23が連結されている。
また、第1弾性部材12及び第2弾性部材22は、第2固定部材24に連結されている。第2固定部材24は、第1弾性部材12及び第2弾性部材22における底側の端部を固定する。しかしながら、第1弾性部材12及び第2弾性部材22における第2固定部材24の固定位置は、これに限定されない。第1弾性部材12及び第2弾性部材22における第2固定部材24の固定位置は、第1屈曲変位部材1の屈曲変位方向と異なる、鏡筒4の駆動方向に応じて適宜設計することができる。つまり、本駆動装置では、第2固定部材24の固定位置次第で、鏡筒4の駆動方向を、屈曲変位方向と異なる所望の駆動方向に変換することが可能である。
第1弾性部材12および第2弾性部材22は、金属または樹脂といった、比較的弾性率が低い材料で構成されている。また、本駆動装置では、第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23が鏡筒5と接触(摩擦係合)することで、鏡筒5が光軸方向に移動するようになっている。それゆえ、第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23の材料としては、金属、樹脂、カーボン等が挙げられ、鏡筒5との所望の摩擦係数により選択される。
また、第1固定部材14及び第2固定部材24は、カメラモジュール筐体7と一体化していてもよい。
また、図1に示されるように、本駆動装置には、鏡筒5の光軸方向移動をガイドするガイド軸6が2つ設けられている。そして、鏡筒5には、ガイド軸6が挿通する穴部が設けられている。ガイド軸6は、光軸方向に延びた棒状体であり、カメラモジュール筐体7の底部(あるいは天井部)に固定されている。また、ガイド軸6は、第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23と鏡筒5とが接触(摩擦係合)する位置に鏡筒5が位置するように支持する役割がある。本駆動装置では、第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23と鏡筒5との摩擦係合により、鏡筒5がガイド軸5に沿って、光軸方向に移動するようになっている。なお、本駆動装置において、鏡筒5は、ガイド軸6を挿通する穴部と一体的に形成されるものに限定されない。穴部を含む穴部材が別途鏡筒に接着された構成であってもよい。また、鏡筒5は、摩擦部材3との摩擦係合部分に、所望の摩擦係数を得るための摩擦調節部材が連結された(あるいは貼り付けられた)構成であってもよい。すなわち、ここでは、上記の穴部材、または摩擦調節部材を備えた構成も含めて、鏡筒と称する。
屈曲変位部材1は、駆動回路8に接続されている。駆動回路8は、屈曲変位部材1に対し電圧等を印加することにより、屈曲変位部材1の屈曲変位を励起する。駆動回路8は、上位の制御回路(図示せず)により制御されており、後述する駆動波形に応じた電圧を屈曲変位部材1へ出力する。なお、「制御手段」とは、駆動回路8とその上位の制御回路とを備えたもののことをいう。
なお、制御手段による屈曲変位部材1の屈曲変位の電気的制御は、電圧による制御に限定されない。例えば、屈曲変位部材1として、バイメタルや形状記憶合金を使用し、熱により屈曲変位を励起する場合、屈曲変位部材1の屈曲変位の電気的制御は、電流の増減による制御になる。この場合、屈曲変位部材1に流す電流の増減により屈曲変位部材1の一部が発生する熱を制御して屈曲変位部材1の温度を制御することになる。あるいは、ニクロム線やカンタル線等の発熱線等で構成された電流を流すことで熱を発生する熱発生手段を屈曲変位部材1に近接して設け、熱発生手段に流す電流の増減により熱発生手段が発生する熱を制御して屈曲変位部材1の温度を制御することになる。また、例えば、屈曲変位部材1として磁歪素子を使用し、磁界により屈曲変位を励起する場合、電磁石など電流を流すことで磁界を発生する磁界発生手段を設けて、その電流の増減を制御して屈曲変位部材1に加える磁界を制御することになる。
また、図1には示されていないが、鏡筒5にはレンズ等の光学部品がはめ込まれており、鏡筒5の底部には、CCD等の撮像素子が配置されている。
本駆動装置では、屈曲変位部材1、第1弾性部材12、第2弾性部材22、第1摩擦部材13、及び第2摩擦部材23からなる駆動機構により、鏡筒5がガイド軸6に沿って駆動されるようになっている。これにより、鏡筒5にはめ込まれた光学部品が光軸方向に駆動され、焦点調整が行われる。なお、本実施形態では、鏡筒5が移動する被駆動体移動方向は、光軸方向と同義語として扱う。また、本明細書では、鏡筒5にはめ込まれた光学部品が物体を結像する方向(鏡筒5と物体とを結ぶ直線の方向)を「光軸方向」とする。
カメラモジュール筐体7は、屈曲変位部材1、第1弾性部材12、第2弾性部材22、第1摩擦部材13、第2摩擦部材23、鏡筒5、及びガイド軸6を収容する部材である。本駆動装置では、カメラモジュール筐体7は、直方体形状になっており、側壁7a〜7dを有している。図1及び図2に示されるように、屈曲変位部材1は、カメラモジュール筐体7の側壁7dに沿うように配置されている。
このように本駆動装置では、屈曲変位部材1をカメラモジュール筐体7の側壁7dに沿うように配されているので、駆動機構の配置にカメラモジュール筐体7内の空間を有効利用することができ、駆動装置の小型化が可能になる。また、本駆動装置は、従来の駆動装置のように、圧電素子201及び駆動部材202が光軸方向に並列した構成になっていないので、装置の低背化を実現することができる。
本駆動装置では、屈曲変位部材1の屈曲変位方向と垂直な方向(z軸方向)に鏡筒5が駆動するように、屈曲変位部材1、第1弾性部材12、第2弾性部材22、第1摩擦部材13、及び第2摩擦部材23が配置されている。
屈曲変位部材1は、図1及び図2に示されたy軸方向に屈曲変位する。この屈曲変位に連動して、第1弾性部材12及び第2弾性部材22における屈曲変位部材との連結部に、y軸方向に変位する変位ベクトル12a・22aが励起される。そして、この変位ベクトル12a・22aにより、第1弾性部材12及び第2弾性部材22に歪みまたは曲げが発生する。そして、この歪みまたは曲げにより、第1弾性部材12及び第2弾性部材22に設けられた第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23は、屈曲変位部材1の長手方向(x軸方向)に垂直な面内(yz平面内)方向に運動しながら、鏡筒5と接触する。この接触により鏡筒5がz軸方向に駆動する。なお、ここでいう屈曲変位部材1の長手方向(x軸方向)に垂直な面内(yz平面内)方向の運動とは、屈曲変位方向に垂直な面に投影したとき変位を観察することが可能な運動である。鏡筒5の具体的な駆動原理については、後述する。なお、「長手方向」は、屈曲変位部材1における第1弾性部材12及び第2弾性部材22が連結している両端により規定された(両端同士を結ぶ)方向のことである。
第1弾性部材12・第2弾性部材22、及び第1摩擦部材13・第2摩擦部材23は、駆動源としての屈曲変位部材1の屈曲変位方向(y軸方向)を、該屈曲変位方向と異なる変位方向に変換し、鏡筒5を駆動させる変換手段としての機能を有する。
なお、「駆動方向変換部材」とは、弾性部材(第1弾性部材12及び第2弾性部材22)と摩擦部材(第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23)とからなる部材のことをいう。本駆動装置では、弾性部材と摩擦部材とが別々の部材として示されている。しかしながら、本発明においては、駆動方向変換部材は、弾性部材と摩擦部材とが別々の部材となった構成に限定されない。
また、第1固定部材14は、屈曲変位部材1の重心上に配置されているため、第1弾性部材12及び第2弾性部材22における屈曲変位部材1との連結部は、互いに対称に同変位で駆動する。それゆえ、第1弾性部材12及び第2弾性部材22に発生する歪みまたは曲げによる変位のうち、x軸方向の変位成分を互い打ち消しあうことができる。このため、鏡筒5を安定に駆動することができる。
尚、本実施例では光軸方向と被駆動体移動方向は同義語として扱う。また、図示したように、駆動源である屈曲変位部材1は直方体形状をしているカメラモジュール筐体7の壁面に沿うように配置されている。これらの特徴により本発明の駆動装置は小型化が可能で、従来のように駆動部材203と圧電素子201を光軸方向に積み上げて配置する必要がないため低背化にも有効である。
以下、本駆動装置における、駆動回路8を備えた制御手段による駆動電圧波形と、この駆動電圧波形に基づく鏡筒5の光軸方向駆動動作原理について説明する。
(動作原理1)
図4は、本駆動装置における屈曲変位部材1に印加される駆動電圧波形の一例を示すグラフである。図5は、図4に示された駆動電圧波形に基づく第1弾性部材12及び第1摩擦部材13先端部(摩擦係合部分)の駆動を説明するための説明図である。図4は、図1のx軸方向からみた図である。なお、第2弾性部材22及び第2摩擦部材23先端部の駆動は、図5と同様の駆動を示すので、ここでは説明を省略する。また、図5では、第1弾性部材12における第1摩擦部材13側の面を面Aとして示している。
図4に示されるように、屈曲変位部材1に印加される駆動電圧波形は、鋸歯形状の駆動電圧波形になっている。この鋸歯形状の駆動電圧波形は、駆動回路8に矩形波の駆動電圧が入力されることにより実現される。すなわち、(駆動回路8の上位の制御回路から)駆動回路8へ矩形波の駆動電圧が入力されると、屈曲変位部材1の駆動応答性から駆動電圧波形が崩れ、駆動回路8は、鋸歯形状の駆動電圧を出力する。なお、駆動回路8が出力する駆動電圧波形は、鋸歯形状の波形に限定されず、正の電位及び負の電位が周期的に変動する駆動電圧であればよい。駆動回路8が出力する駆動電圧波形は、入力される矩形波の設計に応じて適宜設定することができる。また、駆動回路8に入力される駆動電圧の波形は、鋸歯形状の波形であっても構わない。ここで、図4に示された駆動電圧波形の(i)〜(v)の時点に対応する変位状態を図5に示す。
図4に示される駆動電圧波形を駆動すると、面Aは、(i)〜(ix)に推移する。つまり、面Aは、図4の(i)の時点では図5の(i)の状態になり、図4の(ii)の時点では5の(ii)の状態になり、図4の(iii)の時点では図5の(iii)の状態になり、図4の(iv)の時点では図5の(iv)の状態になり、図4の(v)の時点では図5の(v)の状態になっている。面Aが、図5に示された(i)〜(ix)の状態に推移し変位することで、第1摩擦部材13の先端部(摩擦係合部分)は、図示したように駆動されることになる。ここで、鏡筒5に接触しているときの第1摩擦部材13の先端部の変位方向を駆動方向と称することにする。
このとき、第1摩擦部材13の先端部は、図4に示されるのこぎり状の駆動電圧波形により駆動されるため、駆動方向の速度と逆駆動方向の速度とに差が生じる(すなわち、(i)〜(iii)の状態へ推移する速度は相対的に遅くなる一方、(iii)〜(v)の状態へ推移する速度は相対的に速くなる)。
また、駆動電圧波形を適宜設定することで、第1摩擦部材13の先端部が駆動方向の加速度と逆駆動方向の加速度とに差が生じるようにすることもできる。すなわち、(i)〜(iii)の状態へ推移する(駆動方向)加速度が相対的に遅くなる一方、(iii)〜(v)の状態へ推移する(逆駆動方向)加速度が相対的に速くなるように、駆動電圧波形を設定することが可能である。また、状態(iii)において、鏡筒5に対しより大きな押付力を生じさせ、より大きな摩擦力を得ることができる。そして、駆動方向への変位の加速度を相対的に小さくし、逆駆動方向への変位の加速度を相対的に大きくすれば、駆動方向への駆動力と逆駆動方向への駆動力とに差が生じるように、第1摩擦部材13の摩擦係数などを設定することが可能である。すなわち、駆動方向において、第1摩擦部材13と鏡筒5との接点に加わる力が第1摩擦部材13と鏡筒5との間の静摩擦力を超えることができず、第1摩擦部材13の先端が鏡筒5を滑らなくなる一方、逆駆動方向においては、第1摩擦部材13と鏡筒5との接点に加わる力が第1摩擦部材13と鏡筒5との間の静摩擦力を上回るため、第1摩擦部材13の先端が鏡筒5を滑るようにすることができる。そして、結果として、駆動方向の駆動力と逆駆動方向の駆動力とに差が生じ、鏡筒5が駆動方向に駆動されることになる。また、逆駆動方向への鏡筒5の駆動に関しても、上記と同様の原理により駆動を実現することが可能である。
本駆動装置は、バネにより第1摩擦部材13を鏡筒5に押し付けるような構成であってもよい。あるいは、屈曲変位部材1が、所定量だけ鏡筒5側の方向(被駆動体方向)に引かれて固定された構成であってもよい。あるいは、ガイド軸6が、鏡筒5を摩擦部材3側の方向に押し付けるように固定された構成であってもよい。このような構成により予圧力がかけられ、摩擦部材3の先端が常に鏡筒5に接触するように配置される。
そして、このような構成では、第1摩擦部材13の先端は、(屈曲変位部材1A・1B、弾性部材2、摩擦部材3等に歪みが生じ)直線的な変位となりえる。このような場合においても、上記と同様の原理により、鏡筒5を駆動することが可能であることはいうまでもない。
〔第2の実施の形態〕
本発明の他の実施形態について、図3に基づいて説明すると以下の通りである。図3は、本実施形態の駆動装置(以下、本駆動装置と記す)における、屈曲変位部材周辺の構成を示した図である。
本駆動装置の基本的な駆動概念は、上記第1の実施の形態と同様である。本駆動装置において、第1の実施形態と異なる点は、2つの屈曲変位部材を備え、これら2つの屈曲変位部材が、カメラモジュール筐体7のただ1つの側壁に沿って配置されている点である。
図3に示されるように、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21は、カメラモジュール筐体7の側壁面のうち一面だけに沿って配置されている。つまり、カメラモジュール筐体7の側壁7a〜7dのうち、ただ1つの側壁7dに沿って配置されている。そして、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21は、z軸方向(光軸方向)に連なって配置されており、固定部材34により固定されている。固定部材34は、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21の重心上に配置されている。
第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21における固定部材34を挟む両端にはそれぞれ、第1弾性部材12及び第2弾性部材22が連結されている。第1弾性部材12は、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21における一方の端部同士を連結し、第2弾性部材22は、他方の端部同士を連結するようになっている。そして、第1弾性部材12及び第2弾性部材22にはそれぞれ、第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23が設けられている。なお、固定部材34は、カメラモジュール筐体7と一体化していてもよい。
また、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21はそれぞれ、第1駆動回路18及び第2駆動回路28が接続されている。第1駆動回路18は、第1屈曲変位部材11に対し電圧等を印加することにより、第1屈曲変位部材11の屈曲変位を励起する。また、第2駆動回路28は、第2屈曲変位部材21に対し電圧等を印加することにより、第2屈曲変位部材21の屈曲変位を励起する。
本駆動装置では、第1屈曲変位部材11、第2屈曲変位部材21、第1弾性部材12、第2弾性部材22、第1摩擦部材13、及び第2摩擦部材23からなる駆動機構により、鏡筒5が光軸方向に駆動されるようになっている。
第1屈曲変位部材11、及び第2屈曲変位部材21は、図3に示されたy軸方向に屈曲変位し、これらの屈曲変位は互いに逆になっている。これら屈曲変位部材の屈曲変位に連動して、第1弾性部材12及び第2弾性部材22それぞれにおける第1屈曲変位部材11との連結部に、y軸方向に変位する変位ベクトル12a・22aが励起される。また、第1弾性部材12及び第2弾性部材22それぞれにおける第2屈曲変位部材21との連結部に、y軸方向に変位する変位ベクトル12b・22bが励起される。このとき、変位ベクトル12a・22a及び変位12b・22bは、互いに逆方向になる。そして、互いに逆方向になった変位ベクトル12a・22a及び変位12b・22bにより、第1弾性部材12及び第2弾性部材22に歪みまたは曲げが発生する。そして、この歪みまたは曲げにより、第1弾性部材12及び第2弾性部材22それぞれに設けられた第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23は、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21の長手方向(x軸方向)に垂直な面内(yz平面内)方向に運動しながら、鏡筒5と接触する。この接触により鏡筒5がz軸方向に駆動する。本駆動装置における鏡筒5の具体的な駆動原理については、後述する。
また、固定部材34は、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21の重心上に配置されているため、第1弾性部材12及び第2弾性部材22それぞれにおける第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21との連結部は、互いに対称に同変位で駆動する。それゆえ、第1弾性部材12及び第2弾性部材22に発生する歪みまたは曲げによる変位のうち、x軸方向の変位成分を互い打ち消しあうことができる。このため、鏡筒5を安定に駆動することができる。
なお、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21は、屈曲変位が互いに逆になっている関係であった。しかしながら、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21の屈曲変位は、この関係に限定されず、鏡筒5と接触する、第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23を駆動可能な屈曲変位の関係であればよい。
以下、本駆動装置における、第1駆動回路18及び第2駆動回路28を備えた制御手段による駆動電圧波形と、この駆動電圧波形に基づく鏡筒5の光軸方向駆動動作原理について説明する。
(動作原理2)
まず、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21の屈曲変位を励起することで、第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23の先端(鏡筒5に摩擦係合する部分:接触部)を楕円駆動させて鏡筒5を光軸方向に駆動させる動作例について説明する。図6は、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21それぞれに印加される駆動電圧波形の一例を示すグラフである。図7(a)〜(c)は、図6に示された駆動電圧波形に基づく第1弾性部材12及び第1摩擦部材13先端部の楕円駆動を説明するための説明図である。図7は、x軸方向からみた図である。なお、第2弾性部材22及び第2摩擦部材23先端部の駆動は、図7(a)〜(c)と同様の駆動を示すので、ここでは説明を省略する。また、図7(a)〜(c)では、第1弾性部材12における第1摩擦部材13側の面を面Aとして示している。
図6においては、第1屈曲変位部材11に印加される駆動電圧波形を波形Aとし、第2屈曲変位部材21に印加される駆動電圧波形を波形Bとしている。なお、波形A及びBの駆動電圧波形はそれぞれ、第1駆動回路18及び第2駆動回路28から出力される。同図に示されるように、波形Aと波形Bとは、正弦波の駆動電圧波形になっており、相対的に位相が90度ずれた信号波形になっている。ここで、図6に示された波形A・Bの(i)〜(ix)の時点に対応する面Aの状態を図7(a)〜(c)に示す。
図7(a)〜(c)に示されるように、波形A・Bを駆動すると、面Aの位置は、(i)〜(ix)に推移する。つまり、面Aは、図6の(i)の時点では図7(a)の(i)の状態になり、図6の(ii)の時点では図7(a)の(ii)の状態になり、図6の(iii)の時点では図7(a)の(iii)の状態になり、図6の(iv)の時点では図7(a)・(b)の(iv)の状態になり、図6の(v)の時点では図7(b)の(v)の状態になり、図6の(vi)の時点では図7(b)・(c)の(vi)の状態になり、図6の(vii)の時点では図7(c)の(vii)の状態になり、図6の(viii)の時点では図7(c)の(viii)の状態になり、図6の(ix)の時点では図7(c)の(ix)の状態になっている。面Aが、図7(a)〜(c)に示された(i)〜(ix)の状態に推移し変位することで、第1摩擦部材13の先端部は、図示したように楕円駆動されることになる。ここで、鏡筒5に接触しているときの第1摩擦部材13の先端部の変位方向を駆動方向と称することにすると、鏡筒5は第1摩擦部材13により引っかくように駆動され先端の回転方向によって決まる駆動方向に駆動される。
図6及び図7(a)〜(c)の例では、第1摩擦部材13の先端は、その回転変位(楕円駆動)により、鏡筒5と接触したり離れたりするように配置されている。しかしながら、上記の例に限定されるものではない。
本駆動装置は、第1摩擦部材13の先端が常に鏡筒5と接触している構成であってもよい。例えば、バネにより第1摩擦部材13を鏡筒5に押し付けるような構成であってもよい。あるいは、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21が、所定量だけ鏡筒5側の方向(被駆動体方向)に引かれて固定された構成であってもよい。あるいは、ガイド軸6が、鏡筒5を第1摩擦部材13側の方向に押し付けるように固定された構成であってもよい。このような構成により予圧力がかけられ、第1摩擦部材13の先端が常に鏡筒5に接触するように配置される。
そして、このような構成では、第1摩擦部材13の先端は、楕円回転する代わりに、(第1屈曲変位部材11、第2屈曲変位部材21、第1弾性部材12、第1摩擦部材13等に歪みが生じるが)駆動方向と逆方向(逆駆動方向)の直線的な変位が交互に励起される。それゆえ、第1摩擦部材13は、駆動方向変位中と逆駆動方向変位中とで、鏡筒5へ押し付ける力に差が生じることになる。つまり、第1摩擦部材13の先端は、駆動方向の変位中には鏡筒5へ押し付ける力が大きくなり、逆駆動方向の変位中には鏡筒5へ押し付ける力が小さくなる。
その結果、第1摩擦部材13と鏡筒5との間に静摩擦力の差が生じる。それゆえ、鏡筒5が駆動方向へ変位する際に第1摩擦部材13の先端が鏡筒5を滑らず、鏡筒5が逆駆動方向に変位する際に第1摩擦部材13の先端が鏡筒5を滑るように、第1摩擦部材13の摩擦係数や予圧力を調整することが可能になる。そして、鏡筒5は、逆駆動方向への変位の際に多少引き戻されることがあっても、平均的には駆動方向に駆動されることになる。
また、鏡筒5が駆動方向及び逆駆動方向に変位する際に第1摩擦部材13の先端が鏡筒5を滑るように、第1摩擦部材13の摩擦係数や予圧力を調整することも可能である。この場合、鏡筒5に作用する駆動力は、駆動方向への変位のとき及び逆駆動方向への変位のときの両方ともに、動摩擦力により決定される。このような場合であっても、第1摩擦部材13の鏡筒5への押し付け力に差が生じることから、逆駆動方向の動摩擦力よりも駆動方向の動摩擦力の方が大きくなる。それゆえ、鏡筒5は、逆駆動方向へ多少引き戻される期間があっても、平均的には駆動方向に駆動されることになる。
また、上記の例では、駆動電圧波形として正弦波波形、位相ずれ量を90度として説明したが、駆動電圧波形は、特に正弦波に特定するものではなく、また、位相ずれ量も90度に限定するものではない。
(動作原理3)
次に、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21の屈曲変位を励起することで、第1摩擦部材13及び第2摩擦部材23の先端(鏡筒5に摩擦係合する部分:接触部)を円弧駆動させて鏡筒5を光軸方向に駆動させる動作例について説明する。図8は、第1屈曲変位部材11及び第2屈曲変位部材21それぞれに印加される駆動電圧波形の一例を示すグラフである。図9は、図8に示された駆動電圧波形に基づく第1弾性部材12及び第1摩擦部材13先端部の円弧駆動を説明するための説明図である。図9は、x軸方向からみた図である。なお、第2弾性部材22及び第2摩擦部材23先端部の駆動は、図9と同様の駆動を示すので、ここでは説明を省略する。また、図9では、第1弾性部材12における第1摩擦部材13側の面を面Aとして示している。
図8においては、第1屈曲変位部材11に印加される駆動電圧波形を波形Aとし、第2屈曲変位部材21に印加される駆動電圧波形を波形Bとしている。なお、波形A及びBの駆動電圧波形はそれぞれ、第1駆動回路18及び第2駆動回路28から出力される。同図に示されるように、波形Aと波形Bとは、のこぎり状の駆動電圧波形になっており、相対的に位相が180度ずれた信号波形になっている。ここで、図8に示された波形A・Bの(i)〜(v)の時点に対応する面Aの状態を図9に示す。
図9に示されるように、波形A・Bを駆動すると、面Aの位置は、(i)〜(v)に推移する。つまり、面Aは、図8の(i)の時点では図9の(i)の状態になり、図8の(ii)の時点では図9の(ii)の状態になり、図8の(iii)の時点では図9の(iii)の状態になり、図8の(iv)の時点では図9の(iv)の状態になり、図8の(v)の時点では図9の(v)の状態になっている。面Aが、図9に示された(i)〜(v)の状態に推移し変位することで、第1摩擦部材13の先端部は、図示したように円弧駆動されることになる。
このとき、第1摩擦部材13の先端は、図8に示されるのこぎり状の駆動電圧波形により円弧駆動されるため、駆動方向の角速度と逆駆動方向の角速度とに差が生じる(すなわち、(i)〜(iii)の状態へ推移する角速度は相対的に遅くなる一方、(iii)〜(v)の状態へ推移する角速度は相対的に速くなる)。
以上の説明では、弾性部材、及び摩擦部材を別々の部材として説明したが、これらが一体として形成されている場合でも本発明の範囲を逸脱するものではない。
また、弾性部材と屈曲変位部材とを別々の部材として説明したが、例えば弾性部材が屈曲変位部材の中間層として具備しているシム材の延長として形成されるなど、弾性部材と屈曲変位部材が一体として形成されている場合でも本発明の範囲を逸脱するものではない。
また、弾性部材が屈曲変位部材の圧電素子と接続して形成されている場合でも本発明の範囲を逸脱するものではない。
なお、本発明の駆動装置は、以下のように表現することができる。
すなわち、本駆動装置は、電気的制御により屈曲変位が励起される屈曲変位部材と、前記屈曲変位部材に連結する弾性部材、および、第1固定部材と、前期弾性部材に連結する第2固定部材と、前記弾性部材に連結され、被駆動体に接触する第1および第2摩擦部材と、を有することを特徴とする駆動装置であると表現することができる。
また、本駆動装置は、上記構成に加え、前記屈曲変位部材の重心上に前記第1固定部材を配置している駆動装置であると表現することができる。
また、本駆動装置は、上記構成に加え、前記屈曲変位部材の重心を基準に、前記第1および第2摩擦部材が対称な位置に配置している駆動装置であると表現することができる。
また、本駆動装置は、上記構成に加え、前記第1固定部材と前記第2固定部材が同一である駆動装置であると表現することができる。
また、本駆動装置は、上記構成に加え、前記弾性部材または前記被駆動体に与圧部が連結している駆動装置であると表現することができる。
また、本駆動装置は、電気的制御により屈曲変位が励起される第1および第2屈曲変位部材と、前記第1および第2屈曲変位部材に連結する弾性部材、および、固定部材と、前記弾性部材に連結され、被駆動体に接触する第1および第2摩擦部材と、を有する駆動装置であると表現することができる。
また、本駆動装置は、上記構成に加え、前記第1および第2屈曲変位部材が同一面内に配置している駆動装置であると表現することができる。
また、本駆動装置は、上記構成に加え、前記第1および第2屈曲変位部材の重心上に前記固定部材を配置している駆動装置であると表現することができる。
また、本駆動装置は、上記構成に加え、前記第1および第2屈曲変位部材の重心を基準に、前記第1および第2摩擦部材が対称な位置に配置している駆動装置であると表現することができる。
また、本駆動装置は、上記構成に加え、前記弾性部材または前記被駆動体に与圧部が連結している駆動装置であると表現することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本駆動装置は、装置の小型化・低背化を実現することが可能であるので、例えば、カメラの撮影レンズ等、光学装置におけるレンズの駆動の用途に適用できる。
本発明の実施の一形態の駆動装置の構成を示した上面図である。 図1の駆動装置におけるy方向から見た屈曲変位部材周辺の構成を示した図である。 本発明の実施の他の形態の駆動装置におけるy方向から見た屈曲変位部材周辺の構成を示した図である。 図1の駆動装置における屈曲変位部材1に印加される駆動電圧波形の一例を示すグラフである。 図4に示された駆動電圧波形に基づく第1弾性部材及び第1摩擦部材先端部(摩擦係合部分)の駆動を説明するための説明図である。 第1屈曲変位部材及び第2屈曲変位部材それぞれに印加される駆動電圧波形の一例を示すグラフである。 (a)〜(c)は、図6に示された駆動電圧波形に基づく第1弾性部材及び第1摩擦部材先端部の楕円駆動を説明するための説明図である。 第1屈曲変位部材及び第2屈曲変位部材それぞれに印加される駆動電圧波形の他の例を示すグラフである。 図8に示された駆動電圧波形に基づく第1弾性部材及び第1摩擦部材先端部の円弧駆動を説明するための説明図である。 バイモルフ構造の圧電素子の構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は、圧電素子の屈曲変位の様子を示す図である。 特許文献1に開示された従来の駆動装置の概略構成を示す斜視図である。
符号の説明
1 屈曲変位部材
5 鏡筒(被駆動体)
6 ガイド軸
7 カメラモジュール筐体
7a〜7d 側壁
8 駆動回路
18 第1駆動回路
28 第2駆動回路
11 第1屈曲変位部材
12 第1弾性部材(第1の駆動方向変換部材)
13 第1摩擦部材(第1の駆動方向変換部材)
14 第1固定部材
21 第2屈曲変位部材
22 第2弾性部材(第2の駆動方向変換部材)
23 第2摩擦部材(第2の駆動方向変換部材)
24 第2固定部材
34 固定部材(第1の固定部材)
40X、40Y 圧電材料
41 シム材
50X、50Y 電極
201 圧電素子
202 鏡筒
203 駆動部材

Claims (14)

  1. 被駆動体を駆動させる駆動機構を備えた駆動装置であって、
    上記駆動機構は、
    電気的制御により屈曲変位が励起される屈曲変位部材と、
    上記屈曲変位部材の一部を固定する第1の固定部材とを備え、
    屈曲変位部材は、上記第1の固定部材が固定する部分を挟んだ両端が屈曲するようになっており、
    さらに、屈曲変位部材の上記両端に連結し、屈曲変位部材の上記両端の屈曲変位方向と異なる方向に変位方向を変換するとともに、被駆動体と接触して該変換した変位方向に被駆動体を駆動する駆動方向変換部材を備えたことを特徴とする駆動装置。
  2. 上記駆動方向変換部材を固定する第2の固定部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 上記第1及び第2の固定部材が一体的に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
  4. 上記屈曲変位部材に電圧を駆動する駆動回路を有し、屈曲変位部材の上記両端の屈曲変位を制御する制御手段を備え、
    上記駆動回路に入力される駆動電圧波形が矩形波になっていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の駆動装置。
  5. 上記屈曲変位部材として、第1の屈曲変位部材と第2の屈曲変位部材とを備え、
    第1の屈曲変位部材における両端の屈曲変位方向と、第2の屈曲変位部材における両端の屈曲変位方向とが、互いに逆方向になっていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  6. 上記第1及び第2の屈曲変位部材は、同一面内に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
  7. 第1の屈曲変位部材に電圧を駆動する第1の駆動回路と、第2の屈曲変位部材に電圧を駆動する第2の駆動回路とを有し、第1及び第2の屈曲変位部材における上記両端の屈曲変位を制御する制御手段を備え、
    第1の駆動回路により駆動される駆動電圧波形と第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形とは、互いに位相が異なっていることを特徴とする請求項5または6に記載の駆動装置。
  8. 上記第1の駆動回路により駆動される駆動電圧波形と上記第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形とは、互いに位相が90度ずれていることを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
  9. 上記第1の駆動回路により駆動される駆動電圧波形と上記第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形とは、互いに位相が180度ずれていることを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
  10. 上記第1及び第2の駆動回路により駆動される駆動電圧波形が、矩形波になっていることを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の駆動装置。
  11. 上記第1の固定部材は、上記屈曲変位部材の重心上に配置されていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の駆動装置。
  12. 上記駆動方向変換部材として、上記屈曲変位部材の上記両端のうち一方の端部に連結する第1の駆動方向変換部材と、他方の端部に連結する第2の駆動方向変換部材とを備え、
    第1及び第2の駆動方向変換部材における被駆動体との接触部は、上記屈曲変位部材の重心を基準とし、互いに対称な位置関係になるように配置されていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の駆動装置。
  13. 上記駆動方向変換部材と被駆動体とが常に接触可能になるように、駆動方向変換部材または被駆動体に予圧をかける予圧部材を備えたことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の駆動装置。
  14. 上記屈曲変位部材、及び上記駆動方向変換部材を収容可能な筐体を備え、
    上記屈曲変位部材は、上記筐体の側壁面に沿って配置されていることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の駆動装置。
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