JP2008278654A - 集中巻きステータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ティースを備える複数のコア1と、各ティースの外周に配置されたコイルとを備える集中巻きステータである。少なくとも一つのコイルには、隣接するコイル同士が対向するコイルサイド側からコイル同士が対向しないコイルエンド側に亘って、無機材料からなる放熱部材3が配置されている。この構成により、コイルの熱がこもりやすいコイルサイド側の熱を、放熱部材3を介してコイルエンド側に導くことができる。それにより、コイルの熱を効率的に放熱することができる。
【選択図】図2
Description
特許文献1に係る発明では、コアのスロット部に高熱伝導性絶縁シートを設けているが、このシートがゴム状高熱伝導層を有するため、有機材料で構成されていると考えられ、熱伝導性の点でなお十分とはいえない。そのため、コイルに流す電流の高電流化に対応するには、より一層放熱性の高いステータ構造が求められている。
特許文献1に係る発明では、コアの個々のスロット部に高熱伝導性絶縁シートを配置している。しかし、このシートは、ティースに巻回された巻線を覆うようにティース間に形成された各スロット部に配置する必要があり、ステータを形成する際の作業が非常に煩雑になる。
本発明ステータは、ティースを備える複数のコアと、各ティースの外周に配置されたコイルとを備える集中巻きステータである。このようなステータにおいて、本発明は、少なくとも一つの前記コイルには、隣接するコイル同士が対向するコイルサイド側からコイル同士が対向しないコイルエンド側に亘って、無機材料からなる放熱部材が配置されていることを特徴とする。
本発明ステータにおいて、放熱部材は無機材料で構成する。無機材料の中でも、絶縁性で高熱伝導性の材料が放熱部材として好適に利用できる。より具体的には、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化珪素(Si3N4)および炭化珪素(SiC)よりなる群から選択される少なくとも1種が放熱部材の材質として挙げられる。
放熱部材のサイズは、隣接するコイル間に配置されるコイルサイド部と、コイルのコイルエンド側を覆うコイルエンド部とを有する大きさであればよい。近時、隣接するコイル間のギャップは非常に小さくすることが求められている。例えば、このギャップが1mm程度である場合、放熱部材におけるコイルサイド部は、この1mmの幅に収納できる薄型の放熱部材を用いる。また、放熱部材の面積は、少なくともコイルのコイルサイド側の一部とコイルエンド側の一部とを覆うサイズであればよいが、これらの全面を覆うようなサイズとすることで、熱の溜まり易いコイルサイド側の熱を確実にコイルエンド側に導き、コイルエンド面から効率的に放熱することができる。
通常、ティースの断面は矩形に構成され、そこに巻線が巻回されたコイルの外径もほぼ矩形となっている。そのため、断面がコの字状の放熱部材であれば、その放熱部材をコイルの外側にはめ込むことで、コイル表面のコイルサイド側とコイルエンド側が放熱部材に覆われることになる。それに伴い、放熱部材を介してコイルサイド側の熱をコイルエンド側に導いて放熱することができる。断面がコの字状の放熱部材としては、コイルの両コイルサイド側を覆う一対のコイルサイド部と、これらコイルサイド部をつなぐ一つのコイルエンド部とから構成されるものや、コイルの両コイルエンド側を覆う一対のコイルエンド部と、これら両コイルエンド部つなぐ一つのコイルサイド部とから構成されるものが挙げられる。
断面がL状の放熱部材であれば、コイルサイド側とコイルエンド側を覆うことが容易にでき、コイルサイド側の熱を、放熱部材を介してコイルエンド側に導くことができる。L状の放熱部材の場合、一つのコイルに対して一つの放熱部材を用いて、コイルにおけるコイルサイド側とコイルエンド側の1面づつを覆うようにしてもよいし、一つのコイルに対して一対の放熱部材を組み合わせて、コイルの全周が放熱部材で覆われるようにしてもよい。前者であれば、放熱部材の利用数量を少なくでき、後者であれば、コイルの全周を放熱部材で覆うことで効果的なコイルの放熱を行なうことができる。
放熱部材は、その一部がコイルのコイルサイド側、つまり隣接するコイル間に介在され、残部がコイルエンド側に配置される。コイルの放熱特性上、全てのコイルの表面を放熱部材で覆うことが好ましいが、一部のコイルにのみに放熱部材を配置しても一定の放熱効果は期待できる。また、一つのコイルにおける全周を放熱部材で覆うことが好ましいが、そのコイルのコイルエンド側およびコイルサイド側の一部のみを放熱部材で覆うようにしてもよい。
一方、本発明モータは、上記の本発明ステータを具備することを特徴とする。このモータによれば、上述したステータの持つ高い放熱特性を利用して、効率的に冷却可能なモータとすることができる。一般に、モータは、ステータと、ステータに対して回転するロータとを備える。また、モータには、ステータの内側にロータが配されるインナーロータ型のモータや、ステータの外側にロータが配されるアウターロータ型のモータがある。本発明モータは、これら各種モータに利用することが期待できる。
<全体構成>
図1(A)に示すように、本発明ステータは、コア1とコイル2とを具備する。このうち、コア1は磁性材料から構成される断面がほぼT型の部材で、図1(B)に示すように、ヨーク11と、このヨーク11の内周側に一体化されたティース12とから構成される。ティース12には、その外周に巻線21を巻き付けることで、コイル2が構成されている。ここでは、一部のコア1及びコイル2しか示していないが、コイル2が設けられた複数のコア1がティース12を内周側に向けて環状に並列され、その外周を締付リング4で保持してステータを形成している。また、コア1には、ティース12の外面形状にほぼ沿った形態のインシュレータ5が配置され、コイル2はインシュレータ5を介してティース12の外側に設けられている。そして、各コイル2の表面には、図1(B)および図2に示すように、放熱部材3が装着されている。
放熱部材3は、コイル2の表面に配されて、このステータをモータとして利用した際に、通電により生じたコイル2の熱を放熱するために利用される。
本発明のステータを形成するには、予めコア1のティース12の外周にコイル2を形成した分割ステータを複数用意しておく。そして、具体的な組み立て方法としては、分割ステータを環状に組み合わせてから、各コイル2の間に放熱部材3を配置する方法と、分割ステータの各々に放熱部材3を当接し、これを複数組み合わせて環状のステータを形成する方法とがある。
この放熱部材3をコイル2の間に固定するには、例えば樹脂によりモールドすればよい。このモールド樹脂は、耐熱性を有するものが好ましい。モータの駆動時、コイルの温度は例えば150〜180℃程度に達する。そのため、このような最高到達温度において軟化しない樹脂で放熱部材3のモールドを行えば、コイル2の発熱に伴い樹脂が軟化して放熱部材3が適正な位置からずれたりすることを抑制できる。具体的には、シリコン系樹脂や、エポキシ系樹脂などが、このモールド用の樹脂に好適に利用できる。このモールド樹脂は、極力薄く塗布することで、コイル2から放熱部材3への熱伝導性を良好にすることができて好ましい。
コア1は、磁性材料から構成され、電磁鋼板を積層したものや、粉末の圧粉体から構成されるものが好適に利用される。また、コイル2を形成する巻線21は、金属線の表面に絶縁被覆を設けたものが利用される。この巻線21は、ティース12と同芯状に巻き付けられ、集中巻きタイプのコイルを構成している。
以上の実施例1のステータによれば、高熱伝導性の放熱部材3をコイル2のコイルサイド側からコイルエンド側に連続して設けているため、コイルサイド側の熱をコイルエンド側に導くことができる。それにより、放熱特性に優れるコイルエンド側から効果的にコイル2の放熱を行うことができる。特に、一つの放熱部材3における角部は、コイルエンド部31とコイルサイド部32の間に継ぎ目がなく一体に構成されているため、コイルサイド部32からコイルエンド部31への速やかな熱伝達が可能になる。また、熱のこもりやすいコイルサイド側の中間部(図2の破線円)も継ぎ目のないコイルサイド部32に覆われているため、コイルサイド部32からコイルエンド部31への効率的な熱伝達が行える。
次に、実施例1とは形状の異なる放熱部材3を用いた本発明実施例を図3に基づいて説明する。この実施例2では、主として放熱部材3の形状が実施例1と相違し、他の構成は基本的に実施例1と同様である。
次に、実施例1とは形状の異なる放熱部材3を用いた本発明実施例を図4に基づいて説明する。この実施例3では、放熱部材3の形状や寸法が実施例1と相違する点を除いて、他の構成は実施例1と同様である。
次に、実施例1とは形状の異なる放熱部材3を用いた本発明実施例を図5に基づいて説明する。この実施例4では、主として放熱部材3の形状が実施例1と相違し、他の構成は基本的に実施例1と同様である。
2 コイル 21 巻線
3、3L、3U 放熱部材 31 コイルエンド部
32、32(L)、32(S) コイルサイド部
4 締付リング
5 インシュレータ
Claims (7)
- ティースを備える複数のコアと、各ティースの外周に配置されたコイルとを備える集中巻きステータであって、
少なくとも一つの前記コイルには、隣接するコイル同士が対向するコイルサイド側からコイル同士が対向しないコイルエンド側に亘って、無機材料からなる放熱部材が配置されていることを特徴とする集中巻きステータ。 - 放熱部材は、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化珪素(Si3N4)および炭化珪素(SiC)よりなる群から選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1に記載の集中巻きステータ。
- 放熱部材は、断面がコの字状であることを特徴とする請求項1または2に記載の集中巻きステータ。
- 放熱部材は、断面がL状であることを特徴とする請求項1または2に記載の集中巻きステータ。
- 放熱部材は、コイルサイド側からコイルエンド側に亘る角部に継ぎ目がなく、一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の集中巻きステータ。
- コイルのコイルサイド側を覆う放熱部材のコイルサイド部は、そのコイルサイド部の中間部に継ぎ目がないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の集中巻きステータ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のステータを用いたことを特徴とするモータ。
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