JP2008277794A - 高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法 - Google Patents

高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Mo,W等の高融点金属を基材とする電導部材は、熱伝導性、電気伝導性、耐熱性には優れているが、耐酸化性に極めて劣る。耐酸化性付与のため、Si合金の電熱皮膜を融着したとき、基材の浸食、すなわち、喰われが起こり、表面に脆くて厚い珪化物の層が生成して割れ、剥離が起こる。
【解決方法】 BまたはMnを含むSi基合金を使用するか、接合面に浸炭層または浸硼層を形成するかによって、喰われの発生を防止する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、Mo、Wのような高融点金属からなる通電部材に、Si合金による溶融被覆またはろー付けを行う際に生じる部材の浸食、いわゆる「喰われ」現象の防止に関する。
本発明において、通電部材とは、電流を流す、あるいは電圧を印加する導電体を意味する。 セラミックス基板に電熱被膜を焼き付けたセラミックスヒーターあるいはセラミックス基材の中に、MoあるいはW等の発熱体を内蔵するセラミックスヒーターに通電するために、発熱回路に接合して使用する電極端子、導電性無機化合物焼結体からなる発熱体、いわゆるバルク発熱体に通電するために、この発熱体に接合して使用する電極端子、および静電チャックの電極に接合して使用する電極端子、およびセラミックス基材の中に、MoあるいはW等の発熱体を内蔵するセラミックスヒーターのMoあるいはW等の発熱体と、その発熱体に接合された中間金具および、静電チャックのMoあるいはW電極そのものは、本発明では通電部材である。そしてMoあるいはW等の発熱体とそれに接合された中間金具、および静電チャックのMoあるいはW電極は、本発明では内蔵通電部材と表現する。
Mo、W等の高融点金属は、熱伝導性、電気伝導性、耐熱性に優れ、高温における優れた通電部材であるが、耐酸化性に劣り、酸化性雰囲気で使用する通電部材には適していない。
その対策として、本願発明者は、先に特許文献1において、MoまたはWからなる電極端子の表面に耐熱、耐酸化性に優れたSiを主成分とし、Fe、Ni、Co、Cr、Mo、W、Re,Cu、Mn、貴金属、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Ge、Al、Ca、Mg、希土類元素、B、Pの元素群から選択された一種あるいは二種以上からなるSi合金皮膜を被覆して、シリサイド皮膜を形成させることを開示した。
ところが、Si基合金を、その固相線温度以上に加熱すると液相が一部出現する温度からMo、W部材に対して溶着が始まり、それと同時に、Mo、W基材はSiと反応して激しく食刻された、いわゆる「喰われ」現象が起きる。
喰われ現象が起きたMo,Wは、Si基合金に過剰に溶け込むことになり、その結果、その組成はMo,Wのシリサイドが晶出する組成に変化し、ミクロ組織に、多量のMo、Wシリサイドが存在するようになる。Mo、W系シリサイドは、耐熱、耐酸化性に優れているが、脆く、かつその線膨張係数がMo、W等の元の金属と異なるために、形成したシリサイドの界面でクラック、剥離が発生し易い。
このように、Mo,W等の基材からなる通電部材の酸化防止のためにSi基合金を溶融被覆して形成したシリサイド層の亀裂、剥離を防ぐためには、基材の過度の浸食をいかに防ぐかが、最も重要な解決課題となる。
かかる高融点金属からなる通電部材を使用する代表的な製品の一つとしてセラミックサセプターがある。セラミックサセプターの上には、通常シリコンウエハー等の半導体基板が載置されてエッチング、成膜等の処理が行われ、載置したウエハーの加熱、吸着、プラズマ電界印加等のために、ヒーター発熱体、静電チャック電極、RF電極等を内蔵している。このヒーター発熱体、静電チャック電極、RF電極等を備えたセラミックサセプターでは、基材セラミックスを焼成する時に発熱体、電極も一体的に同時焼成される。その焼成温度は二千度近くに達するので、内蔵されたヒーター発熱体、静電チャック電極、RF電極等にはMo、W系等の高融点材料が使用される。
例えば、セラミックスヒーター内蔵のサセプターは、下記特許文献2〜4に開示されているように、セラミックス基材中に高融点金属の線状発熱体が基材と一体焼結されて内蔵されており、あるいはW等の粉末ペーストの印刷層が基材と一体焼結された構造を有する。
基材セラミックスとしては、主に窒化アルミニウム、窒化珪素が使用され、高融点金属からなる線状発熱体は、同じく高融点金属からなる中間金具にかしめ等の機械的手段で接続されてセラミックス基材に一体焼結されて内蔵されている。
この中間金具は、特許文献2においては、球状、回転楕円体、円柱状の結合部材と、特許文献3では円柱状端子と表現されている。 中間金具には、更に長さの長いNi製給電ワイヤーが接合されて給電される。
ところが、このヒーター内蔵のサセプターでは、Ni製給電ワイヤーの基底部と接合された中間金具は、本来的に強度が不足している上に、長時間の加熱によって酸化、脆化も起こっており、脆くて折れ易い欠点がある。また、併せて給電ワイヤーの長さが長いために、基底部分には大きな曲げの力が直接作用する。 これらの要因が重なって、Ni製給電ワイヤーは中間金具との接合部で破断、あるいは中間金具の中で折損、あるいは中間金具と線状発熱体、ペースト状電極膜との境界部で剥離、破断事故が起こり易い。 折損、剥離、破断すると修復不能で、高価なサセプターでも廃棄されるのが常である。
かかる問題を解決するために、高融点金属の通電部材をSi基合金で被覆、ろー付することを試みてきたが、Si基合金の溶融によってMo、W基材の過度な「喰われ」が発生する。
特開2001−68256 特開2003−272805 特開2003−288975 特開2000−286038
本発明の第1の課題は、係るMo、W等の高融点金属からなる通電部材に酸化防止のためにSi基合金を溶融被覆するに際して、基材の「喰われ」現象による脆化、剥離、破断、折損等の防止手段を見出すことにある。
また、本発明の第2の課題は、ヒーター発熱体、静電チャック電極、RF電極等の通電部材を内蔵したセラミックサセプターの、これら内蔵通電部材と電極端子の接続部分の耐熱、耐酸化のためにSi基合金でろー付けするに際して、内蔵通電部材の「喰われ」による脆化、剥離、破断、折損の防止手段を見出すことにある。
またさらに本発明の他の課題は、係る「喰われ」防止手段を利用してセラミックサセプターに使用されるMo,W等の内蔵通電部材の破断箇所の修復方法を提供することである。
本発明においては、高融点金属通電部材の表面にSi基合金を溶着被覆させる際、Si基合金融液による部材の「喰われ」を防いで、厚いシリサイド層の生成を防止するための第1の手段は、溶融被覆すべきSi基合金としてBを含有せしめ、通電部材の高融点金属基材と被覆Si基合金との界面にBの濃縮層またはBの化合物層を形成するものである。
Bを含むSi合金をMo、W部材に溶着させたとき、部材とSi合金の界面に、Bの濃縮層あるいは部材のMoあるいはWの硼化物層が存在する時、溶融したSi合金による部材の「喰われ」が著しく少なくなる。
このBの濃縮層あるいは部材のMoあるいはWの硼化物層が存在するのは、融着させるSi合金の中にBを0.1%以上添加したときである。すなわち、Siと、(Fe、Ni、Co、Cr、Mo、W、Re,Cu、Mn、貴金属、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Ge、Al、Ca、Mg、希土類元素、P)の元素群から選択された一種あるいは二種以上の元素からなるSi合金に、Bを0.1%以上添加した合金を使用するときである。
Si合金にBを添加することによる基材の「喰われ」の減少は、Si合金の中のB成分が、Mo、W基材に優先的に拡散して、基材側界面にBの濃縮された拡散層が生成し、これが基材の喰われの進行を押さえて、シリサイドの生成が抑制されるようになるためと考えられる。Bの濃縮拡散層には、Mo、Wの硼化物の形成も認められ、硼化物がバリヤーとなって喰われを防止するものと考えられる。
B添加量が0.1%以上からシリサイドの生成が抑制され始めるので、Si合金の中のB添加量は、0.1%以上が好ましい。最も好ましくは0.3%以上である。B量の上限には特別な制限はないが、15%程度である。
0.1%以上のBを含むSi基合金としては下記の合金が好適に使用できる。すなわち、Siを主成分とし、A群の中から選択された一種あるいは二種以上の元素と、B群の中から選択された一種あるいは二種以上の元素と、C群の元素と、残余不純物成分からなる合金である。
A群の元素は必須成分、B群は任意に選択できる成分、また、C群は必須成分である。
A群の元素:Fe,Ni,Co,Zr,Ti,Cr
B群の元素:Hf,Nb,Ta,V, Mn,Cu,Al,Ge
C群の元素:B
A群元素の成分範囲 :3〜28重量%
B群元素の成分範囲 :0〜10重量%
C群元素の成分範囲 :B≧0.1重量%
また、本発明の第2の手段は、Si基合金として2重量%以上のMnを含むSi基合金を使用することにある。すなわち、2重量%以上のMnを含むSi基合金を使用することによって、Mo,W基材のSi基合金の融液による喰われが大幅に抑制される。その最適な範囲は、2〜15重量%である。下限値未満では溶着が起こらないし、上限を越えると喰われが激しくなる。
2重量%以上のMnを含むSi基合金としては下記の合金が好適に使用できる。
すなわち、Siを主成分とし、A群の中から選択された一種あるいは二種以上の元素と、Mnと、残余不純物成分からなる合金である。
A群の元素: Fe,Ni,Co,Zr,Ti,Cr
A群元素の成分範囲 :10〜45重量%
Bを含むSi基合金、Mnを含むSi基合金は、予め所定成分に調合したこれらの合金の粉末ペーストをMo、W給電部材に塗布して、これを真空、不活性雰囲気で加熱して、合金の固相線温度以上に加熱することで溶着させることができる。
また、第3の手段は、Mo、W等を基材とする給電部材表面に、浸炭、浸硼の中から選択された少なくとも一つの層を予め形成しておくことである。すなわち浸炭、浸硼の単独処理、浸炭浸硼、浸炭窒化、浸硼窒化、浸炭浸硼窒化の複合処理層を形成しておくことである。とりわけ浸炭層、浸硼層、浸炭浸硼層が好ましく、Si基合金の組成としては、上記した0.1%以上のBを含むSi基合金および2重量%以上のMnを含むSi基合金と組み合わせた時、喰われ防止に最も効果を発揮する。浸炭には、通常使用されている固体浸炭、液体浸炭、ガス浸炭、ガス浸炭窒化処理方法がそのまま適用出来る。浸硼には、固体浸硼、電解浸硼、溶融浴浸硼、ガス浸硼等、通常使用されている処理方法がそのまま適用出来る。
さらに、他の手段として、Si基合金層の耐クラック性、耐剥離性は、Si基合金の溶着層に、MoあるいはWよりも線膨張係数の小さな炭化物、窒化物、硼化物の粉末粒子を融合分散させることで、更に改善される。例えば炭化珪素、窒化珪素、窒化クロム、窒化アルミ、硼化チタニウム、硼化カーボン等のセラミックスの粉末、繊維等を融合分散させることで線膨張係数を小さくして耐クラック性、耐剥離性を改善することができる。
なお融合分散とは、これらセラミックスの粉末、繊維等が単に混合された状態ではなく、Si基合金に溶着されて分散した状態を意味する。
また、本願発明は、ヒーター発熱体、静電チャック電極、RF電極等の通電部材を内蔵したセラミックサセプターのこれら内蔵通電部材と外部の電極端子の接続部分の耐熱、耐酸化のためにSi基合金でろー付けする際、内蔵通電部材の「喰われ防止」に好適である。
本願発明を侵食性の強い雰囲気下で使用される電極端子、棒状、線状導電体等の通電部材に適用する際には、これら通電部材を、この通電部材と線膨張係数が近似したセラミックスパイプの中に差し込んで、この通電部材とこのセラミックスパイプの内面をSi基合金でろー付けすればよい。その際、ろー付合金として、喰われ防止のために、Bを含むSi基合金を使用して、MoあるいはW等の高融点金属の通電部材とSi基合金のろー付界面にBの濃縮層あるいはBの化合物層を形成させる。これによって、Mo、W等の高融点金属を基材とする給電部材をSi基合金でろー付した時、Si基合金融液による基材の過度の「喰われ」を防いで、厚いシリサイド層の生成を防止できるのみならず、基材表面がセラミックスパイプの中に容れられているために、侵食性の強い雰囲気下でも基材が保護される効果も併せ持つ。
また、上記高融点金属を基材とする通電部材をこの基材と線膨張係数が近似したセラミックスパイプの中に差し込んで、この通電部材とこのセラミックスパイプの内面をろー付するに際して、Si基合金融液による基材の「喰われ」を防ぐために、ろー付合金として、2重量%以上のMnを含むSi基合金を使用することができる。
さらには、上記高融点金属を基材とする通電部材をこの基材と線膨張係数が近似したセラミックスパイプの中に差し込んで、この通電部材とこのセラミックスパイプの内面をろー付するに際して、Si基合金融液による基材の「喰われ」を防ぐために、基材表面に、浸炭または浸硼の中から少なくとも一つの層を形成することも有効である。
さらにまた、Si合金の融着層に、基材のMoまたはWよりも線膨張係数の小さな炭化物、窒化物、硼化物の粉末粒子を融合分散させることも有効である。
なお、線膨張係数が近似したセラミックスパイプとは、通電部材との線膨張係数の差が、概ね±1×10-6程度以下の範囲のセラミックス材料のパイプを意味し、この範囲内であれば、加熱冷却の熱履歴を与えても実用上なんら支障なく使用できる。たとえば、基材材質がMoの場合には、窒化アルミニウム系セラミックスパイプが、基材材質がWの場合には、窒化珪素系セラミックスおよび炭化珪素系セラミックスのパイプが好適に使用できる。
また、本願発明によるヒーター電極、静電チャック電極、RF電極等の通電部材を内蔵したセラミックサセプターのこれら内蔵通電部材と外部の電極端子のSi基合金ろー付け部分の「喰われ」の防止手段は、セラミックサセプターの修復に適用できる。
すなわち、窒化物セラミックス基材の中にMo系、W系等の高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターの内蔵通電部材の欠損部空所をSi合金を使用して修復に際して、上記Mo、W等の高融点金属の過度の「喰われ」対策を利用して、セラミックサセプターを好適に修復できる。
その修復手段の第1は、欠損部空所を充填材で埋め込み、欠損部空所に露出した内蔵通電部材の露出面と前記充填材とのSi基合金のろー付界面にBの濃縮層あるいはBの化合物層を形成するために、ろー付け合金としてBを含むSi基合金を使用するものである。これによって、欠損部空所に露出した内蔵通電部材の露出面のSi基合金融液による過度の「喰われ」を防いで、厚いシリサイド層の生成を防止するものである。
また、第2の修復手段は、上記Si基合金に2重量%以上のMnを含むSi基合金を使用することである。
さらに、他の修復手段として、欠損部空所に露出した内蔵通電部材の露出面に、浸炭、浸硼等の非金属の浸透層を形成した後、この層の表面にSi基合金を溶着させることも有効であるし、Si合金の融着層に、基材のMoまたはWよりも線膨張係数の小さな炭化物、窒化物、硼化物の粉末粒子を融合分散させることも有効である。
上記充填材としては、少なくともSi基合金の融点を越える融点を持つ材料であることが必須であり、内蔵通電部材と同じ高融点金属であっても良いし、あるいは溶融したSi基合金に喰われないセラミックス材料であっても良い。あるいはSi合金に喰われないセラミックス材料とSi合金の複合材料でも良い。例えば、Si合金に喰われないセラミックス材料の多孔体にSi合金の融液を含浸させた材料、あるいはSi合金に喰われないセラミックス材料とSi合金の積層体、あるいはSi合金にセラミックスのフィラーを融合分散させた材料でも良い。
セラミックスの充填材材質は、通電部材を内蔵するセラミックス基材と同材質あるいは線膨張係数が整合するセラミックスが好ましい。
セラミックスの充填材を取り囲むSi基合金のろー付け層は良好な電気的導通路となるので、セラミックス材料の充填材は、必ずしも導電性でなくても良い。
欠損部空所は、Si基合金のろー付け合金そのものの融液で埋めても良い。融液の中には、必要に応じてセラミックスのフィラーを融合分散させても良い。
前記本発明の手段によって、Mo,W等の高融点金属基材からなる通電部材へのSi合金材による溶融被覆、ろー付けの際の基材の「喰われ」現象はなくなり、Si基合金の溶融被覆層およびろー付層の耐熱亀裂性、耐剥離性が改善される。
また、Si合金の融液による過度な「喰われ」がないために、耐熱、耐酸化性、高温耐久性に優れた通電部材が得られる。また、通電部材のろー付部においても、耐熱、耐酸化性、高温耐久性に極めて優れたものとなる。
以下の、試験例は、本願発明による「喰われ」の防止手段の要件による効果の確認試験を見るためのものである。
「試験1」
(試料の作成)
20×40×厚さ1mmのMoおよびWの板表面に、成分組成の異なるSi基合金の粉末ロー材を10×10×厚さ1mm塗布し、真空中で加熱、溶着させた後、溶着層を切断して、Mo、W板の喰われの深さを測定した。
なお、Moの板は、Moの地肌そのままのものと、浸炭、浸硼処理したものについて喰われ深さをテストした。
浸炭は、炭素粉末が主成分の固体浸炭材の中に浸漬して1200℃に3時間加熱して浸炭層を形成した。
浸硼は固体浸硼剤(ボロン粉末+炭化ボロン)に浸漬して1000℃に5時間加熱して浸硼被膜を形成した。
(結果)
喰われ深さのテスト結果を表1に示す。
表1の結果より、2%以上のMn添加、およびBを0.1重量%以上添加すると、Mo、Wの喰われ防止に極めて効果があることが判明した。また浸炭、浸硼も喰われ防止の効果が顕著で、B添加、Mn添加の合金と併用するとほぼ喰われがなくなることが判明した。
試料の番号10の試験片について、切断面のB、Mo元素の分布状態を特性X線像で調べた。なお番号10の成分組成は、Si−21Co−0.39Bである。
図1にBとMoの特性X線像(マッピング)の写真を示す。 写真の結果より、Moの界面に、Si合金からBが拡散して高濃度に濃縮されていることがわかる。
「試験2」
以下は、本発明によって形成したSi合金による被覆部分の耐熱クラック性のテスト結果を示す。
(試験片の作成)
表1の番号5(Si−20Cr−0.65B)、番号13(Si−40Co−2.9Mn)の成分および、この成分にSiC粉末を10重量%を添加した成分のSi基合金を、直径10mm×200mm長さのMo棒全面に、50μmの厚さ溶着させた。
溶着皮膜のミクロ組織は、Si基合金のマトリックスにSiC粉末が濡れて分散していた。
試験片の耐熱クラック性テスト
(テスト方法)
上記Si基合金を被覆したMo棒の両端を直接電気的に接続して、800℃まで5分で加熱した後、電流を切って、窒素の高圧ガスを吹き付けて常温まで強制空冷して、割れの発生するまでの加熱回数を調べた。
なお割れの検出はカラーチェック法で行った。
結果は表2の割れが発生するまでの回数に示すとおりである。
Bを含むSi基合金およびMnを含むSi基合金、いずれにおいてもSiCの添加により耐熱クラック性が顕著に改善されたことがわかる。
この実施例は、本発明の「喰われ防止」を従来構造のサセプターのNi給電ロッド部が破断して取れた跡が空洞になったときの修復に適用した例を示す。
図2は、従来から使用されているサセプター(ヒーターとRF電極付き)の、Ni製給電ロッドが破断して取れた後のセラミックス基材の縦断模式図である。
Ni製給電ロッドを取付けるセラミックス基材1にはネジ孔2(空洞)が形成されており、ここに給電ロッドがねじ込まれ、端面がMo製中間金具3に接合されている。 孔4にはヒーター線(Moワイヤー)が、孔5にはRF電極(Moワイヤー)が埋め込まれている。 ヒーター線のMoワイヤーは中間金具3と連結され、中間金具3とNiロッドが接合されている。セラミックス基材1は、窒化アルミニウムである。
Ni製給電ロッドが破断する場合、給電ロッドと中間金具3の接合部で破断する場合、給電ロッドにくっついて中間金具3も一緒に外れる場合、つまり中間金具3とMoワイヤーの連結部で破断する場合がある。図2は、給電ロッドと中間金具3の接合部で破断した場合、つまり給電ロッド部分が取れ、中間金具3は残った場合であり、取れた後が空洞になった状態を示す。またRF電極の欠損部空所は、RF電極のMoワイヤーのみが残っているだけの状態である。
図3は、図2に示す空洞を埋めて修復する例を説明する図である。
従来構造のNi製給電ロッドに代わって、ねじ加工されたMo製の新規の電極端子6が、Ni製給電ロッドの抜けた穴にねじ込まれ、セラミックス基材1および中間金具3と0.1%以上のBを含む、または2重量%以上のMnを含むSi基合金でろー付した。
このSi基合金によるろー付けによってネジ孔2の空洞が埋められ、Si基合金は、セラミックス基材1、中間金具3および電極端子6に良好に溶着し、接合部は良好な気密性が得られた。
図4は、空洞を埋めて修復する方法の他の実施例を示す図である。
先の実施例1の図2に示す中間金具3が欠落した空所部分に、Si基合金と炭化珪素の複合材料9の融液を充填、凝固させて空所を修復した。
融液の充填に先立って、空所跡に残ったMoヒーター線4の露出部に、Mo線の喰われを防止するために、予め浸硼処理を施した。充填したSi基合金の組成は、前記した0.1%以上のBを含む、または2重量%以上のMnを含むSi基合金とした。
Si基合金融液と基材セラミックスの接合部は良好な気密性が得られた。またMo線は喰われて断線することもなく、Si基合金と良好に溶着しており、ヒーターとして再加熱することができた。
Mo線RF電極5が露出した空所部分に基材セラミックスと同じ窒化アルミ製の充填材8を差し込んで埋めて、RF電極5と充填材および基材セラミックスと充填材をSi基合金でろー付して空所を修復した。充填材は全面をろー付層で包んだ。
ろー付けに先立って、空所跡に残ったRF電極5の露出部に、Moの喰われを防止するために、予め浸硼処理を施した。充填したSi基合金の組成は、前記した0.1%以上のBを含む、または2重量%以上のMnを含むSi基合金とした。Mo線RF電極は喰われて断線することもなく、ろー付け層と良好な電気的導通が得られた。また充填材と基材セラミックスの接合部は良好な気密性が得られた。
半導体の製造に使用されている窒化アルミニウムヒーター、静電チャック等の通電部材として多くの需要が期待できる。
また、窒化アルミニウムヒーター、静電チャック等の内蔵通電部材の再生修理を可能にするものであり、半導体分野で多く利用されることが期待できる。
BとMoの特性X線像(マッピング)の写真である。 従来から使用されているヒーターとRF電極付きサセプターのNi製給電ロッドが破断して取れた後のセラミックス基材の縦断模式図である。 給電ロッド部が破断して取れた場合の修復構造の一例を説明する図である。 空洞を埋めて修復する方法の別の実施例を説明する図である。
符号の説明
1 セラミックス基材 2 ネジ孔 3 中間金具
4 孔(ヒーター線) 5 孔(RF電極) 6 電極端子
7 ろー付層 8 窒化アルミ製の充填材
9 Si基合金と炭化珪素の複合材料

Claims (19)

  1. 高融点金属からなる通電部材にSi基合金を溶着させるに際して、
    Si基合金としてBを含むSi基合金を使用して、通電部材とSi基合金の界面にBの濃縮層またはBの化合物層を形成する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  2. 高融点金属からなる通電部材にSi基合金を溶着させるに際して、
    Si基合金としてMnを含むSi基合金を使用する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  3. 高融点金属からなる通電部材にSi基合金を溶着させるに際して、
    通電部材表面に、浸炭層または浸硼層を形成する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  4. 高融点金属からなる通電部材にSi基合金を溶着させるに際して、
    Si基合金の溶着層に、前記通電部材を構成する高融点金属よりも線膨張係数の小さい炭化物、窒化物、硼化物の中の何れかの粒子を融合分散させる高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  5. 高融点金属からなる通電部材を、前記通電部材と線膨張係数が近似したセラミックスパイプの中に差し込んで、前記通電部材とセラミックスパイプの内面をSi基合金でろー付するに際して、
    ろー付合金として、Bを含むSi基合金を使用して、前記通電部材とSi基合金のろー付界面にBの濃縮層あるいはBの化合物層を形成する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  6. 高融点金属からなる通電部材を、前記通電部材と線膨張係数が近似したセラミックスパイプの中に差し込んで、前記通電部材とセラミックスパイプの内面をSi基合金でろー付するに際して、
    ろー付合金として、2重量%以上のMnを含むSi基合金を使用する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  7. 高融点金属からなる通電部材を、前記通電部材と線膨張係数が近似したセラミックスパイプの中に差し込んで、前記通電部材とセラミックスパイプの内面をSi基合金でろー付するに際して、
    前記部材表面に、浸炭または浸硼の中から少なくとも一つの層を形成する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  8. 高融点金属からなる通電部材を、前記通電部材と線膨張係数が近似したセラミックスパイプの中に差し込んで、前記通電部材とセラミックスパイプの内面をSi基合金でろー付するに際して、
    形成されたろー付層に、前記通電部材よりも線膨張係数の小さい炭化物、窒化物、または硼化物の粉末粒子を融合分散させる高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  9. セラミックス基材とともに同時焼成された高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおいて、前記内蔵通電部材を電極端子にろー付するに際して、
    ろー付合金として、Bを含むSi基合金を使用して、前記内蔵通電部材とSi基合金のろー付界面にBの濃縮層またはBの化合物層を形成する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  10. セラミックス基材とともに同時焼成された高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおいて、前記内蔵通電部材を電極端子にろー付するに際して、
    ろー付合金として、2重量%以上のMnを含むSi基合金を使用する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  11. セラミックス基材とともに同時焼成された高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおいて、
    前記内蔵通電部材を電極端子にろー付するに際して、少なくとも前記内蔵通電部材表面に、浸炭および浸硼の何れかの層を形成した後、Si基合金を使用してろー付する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  12. セラミックス基材とともに同時焼成された高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおいて、前記内蔵通電部材を電極端子にろー付するに際して、
    Si基合金を使用して形成されたろー付層に、前記内蔵通電部材よりも線膨張係数の小さい炭化物、窒化物、または、硼化物の粉末粒子を融合分散させる高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  13. セラミックス基材の中に高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおける内蔵通電部材の欠損部空所の修復に際して、
    欠損部空所を充填材で埋め込み、前記内蔵通電部材の欠損部空所露出面と前記充填材とを、Bを含むSi基合金でろー付して、前記内蔵通電部材の欠損部空所露出面とSi基合金のろー付界面にBの濃縮層あるいはBの化合物層を形成する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  14. セラミックス基材の中に高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおける内蔵通電部材の欠損部空所の修復に際して、
    欠損部空所を充填材で埋め込み、前記内蔵通電部材の欠損部空所露出面と前記充填材とを、2重量%以上のMnを含んでなるSi基合金でろー付する給電部材の喰われ防止方法。
  15. セラミックス基材の中に高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおける内蔵通電部材の欠損部空所の修復に際して、
    欠損部空所の内蔵通電部材露出面に浸炭または浸硼層を形成したのち、欠損部空所を充填材で埋め込み、前記内蔵通電部材の欠損部空所露出面と前記充填材とをSi基合金でろー付する給電部材の喰われ防止方法。
  16. セラミックス基材の中に高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおける内蔵通電部材の欠損部空所の修復に際して、
    欠損部空所を充填材で埋め込み、前記内蔵通電部材の欠損部空所露出面と前記充填材とを、Si基合金を使用してろー付けしたろー付け層に、前記内蔵通電部材よりも線膨張係数の小さい炭化物、窒化物、または、硼化物の粉末粒子を融合分散させる高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  17. セラミックス基材の中に高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおける内蔵通電部材の欠損部空所の修復に際して、
    欠損部空所をBを含む溶融したSi基合金で埋め込んで、前記内蔵通電部材の欠損部空所露出面とろー付して、前記内蔵通電部材の欠損部空所露出面とSi基合金のろー付界面にBの濃縮層あるいはBの化合物層を形成する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  18. セラミックス基材の中に高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおける内蔵通電部材の欠損部空所の修復に際して、
    欠損部空所を2重量%以上のMnを含んでなる溶融したSi基合金で埋め込んで前記内蔵通電部材の欠損部空所露出面とろー付する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
  19. セラミックス基材の中に高融点金属からなる通電部材を内蔵するセラミックサセプターにおける内蔵通電部材の欠損部空所の修復に際して、
    欠損部空所の内蔵通電部材露出面に浸炭または浸硼層を形成したのち、欠損部空所を溶融したSi基合金で埋め込んで前記内蔵通電部材の露出面とろー付する高融点金属からなる通電部材の喰われ防止方法。
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