JP2008277675A - 透光性導電パターン材料、電磁波遮蔽フィルター及び周波数選択性電磁波遮蔽フィルム - Google Patents

透光性導電パターン材料、電磁波遮蔽フィルター及び周波数選択性電磁波遮蔽フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】高い導電性及び透光性を持ち、さらにはWet and Dry処理しても膜面のひび割れを起こさない透光性導電パターン材料、及びこれを用いた電磁波遮蔽フィルター及び周波数選択性電磁波遮蔽フィルムを提供することである。
【解決手段】透明なプラスチック支持体上にハロゲン化銀感光層を設け、該ハロゲン化銀感光層を露光、化学現像して金属銀パターンを形成した後、物理現像、メッキまたは物理現像後のメッキにより導電性を増幅して製造する透光性導電パターン材料において、ハロゲン化銀感光層中に親水性高分子及び疎水性高分子を含有することを特徴とする透光性導電パターン材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い導電性及び透光性を持つ透光性導電パターン材料、及びこれを用いた電磁波遮蔽フィルター及び周波数選択性電磁波遮蔽フィルムに関する。
近年電子機器の使用増大のために電磁波障害(EMI)を低減する必要性が高まっている。機器から放出される電磁波は、電子、電気機器の誤動作、障害の原因になるほか、人体に対しても害を与えることが指摘されている。このため、電子機器では、電磁波放出の強さを規格または規格内に抑えることが要求されている。
特にプラズマディスプレイパネル(PDP)は、希ガスをプラズマ状態にして紫外線を放射させ、この紫外線で蛍光体を発光させる原理に基づくため、原理的に電磁波を発生する。電磁波遮蔽能は、簡便には表面抵抗値で表すことができ、PDP用の透光性電磁波遮蔽材料では10Ω/□以下が要求され,PDPを用いた民生用プラズマテレビにおいては2Ω/□以下とする必要性が高く、より望ましくは0.2Ω/□以下という極めて高い導電性が要求されている。PDP用のEMI防止フィルターとしては、透明なプラスチック支持体に金属薄膜を貼合し、ケミカルエッチングにより細かい導電性メッシュパターンを形成するタイプ、蒸着法によりガラスに金属薄膜を形成するタイプが現在主流であり、高い透明性と低い表面抵抗を実現している。PDP用電磁波遮蔽フィルムとして重要視される高透過率/低表面抵抗という性能からは、エッチング法が優れており多くの製品にこの方法が採用されている。
また、エッチング法に変わる製造方法として、銀塩感光材料の鮮鋭性を生かした、導電性パターンの作製方法(例えば、特許文献1、2参照)が開示されている。この方法は、銀/バインダー比の高い乳剤塗布液を透明基材に塗布し、所望のパターンを露光した後、公知の写真感光材料の処理で金属銀パターンを形成し、さらにメッキによりパターン部のみに高い導電性を付与する方法(銀塩法)で、エッチング法のように複雑な工程を経ることなしにPDP用電磁波遮蔽フィルムを作製することが可能である。
しかし、この方法は銀/バインダー比の高い感光層であること、パターン形成の際にWet and Dry工程を経ることから、感光層膜面のひび割れが発生し、外観上好ましくないことは明白であるが、実技的にもヘーズの上昇や、ひどい時にはパターンの断線を引き起こす可能性がある。公知の写真感光材料のように、銀塩法に置いても様々な添加剤を乳剤層に添加する技術(例えば、特許文献3、4参照)も開示されているが、特に限定されたものでなく、公知の写真感光材料技術の域を出るものではなかった。添加剤、特に本発明に用いる疎水性樹脂分散物(ラテックス)について、特定の素材を用いることで塗布性を改善する技術(例えば、特許文献5参照)は開示されているが、乳剤の銀/バインダー比は公知の写真感光材料の範囲内であり、ひび割れ等の膜面の変化については記載がない。
さらに、昨今の無線環境の広がりにより、無線データのセキュリティー、通信品質を維持するために、特に窓ガラスに電磁波遮蔽機能を付加するという技術があるが、単純な遮蔽では携帯電話や公共無線の電波まで遮蔽してしまうため、周波数選択的に電磁波遮蔽ができるFSS(Frequency Selective Surface)が注目されつつある。FSSの特徴は遮蔽したい電磁波の周波数に応じた導電性の独立パターンを基材表面に形成するところにある。このパターンは面内で連続的に接合はしていないため表面抵抗は高くなるが、電磁波を反射するためには各々のパターン自体は高い導電性を必要とする。
透光性であり、周波数選択性(特定の周波数帯域の電磁波のみを遮蔽すること)を持つ導電性パターンを、ガラスまたは合成樹脂フィルム等の透明から半透明の電気絶縁性基材上に形成し、導電性パターンの形状や粗密等を適宜設計して、遮蔽したい周波数帯域を任意に選択することができるアンテナ素子パターンが知られている。
アンテナ素子パターンを用いた周波数選択的な電磁波遮蔽は、導電性材料、例えば鉄、アルミニウム、銅、金、ニッケル等の導電性金属薄膜で、周波数に合わせたサイズを持つ規則的な線状パターンを形成し行うものであるが、従来、これらのアンテナ素子パターンは、スパッタ及びエッチングで、また、金属ペーストによる印刷等により作られており(例えば、特許文献6〜10参照)、また、窓に適用するため視認性向上目的で金属パターンを黒化処理する、また、パターンを細線化する技術等が公開されている。
しかし、エッチング法では工程が複雑でコスト高を招くこと、金属ペーストによる印刷の場合は高い導電性を発現させるために200℃近い温度での焼成が必要であり、通常のPET樹脂で作るようなフィルムでは変形してしまうため、パターンに十分な導電性を与えることはできなかった。
特開2004−221564号公報 特開2006−010795号公報 特開平8−286301号公報 特開2000−112078号公報 特開2005−165005号公報 特開平10−169039号公報 特開平11−195890号公報 特開平11−251784号公報 特開2000−196288号公報 特開2001−53484号公報
従って、本発明の目的は、高い導電性及び透光性を持ち、さらにはWet and Dry処理しても膜面のひび割れを起こさない透光性導電パターン材料、及びこれを用いた電磁波遮蔽フィルター及び周波数選択性電磁波遮蔽フィルムを提供することである。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.透明なプラスチック支持体上にハロゲン化銀感光層を設け、該ハロゲン化銀感光層を露光、化学現像して金属銀パターンを形成した後、物理現像、メッキまたは物理現像後のメッキにより導電性を増幅して製造する透光性導電パターン材料において、ハロゲン化銀感光層中に親水性高分子及び疎水性高分子を含有することを特徴とする透光性導電パターン材料。
2.前記ハロゲン化銀感光層の銀/バインダー質量比が4〜20であることを特徴とする前記1に記載の透光性導電パターン材料。
3.ヘーズが5%以下、かつ可視光透過率が90%以上であることを特徴とする前記1または2に記載の透光性導電パターン材料。
4.前記疎水性高分子が水分散性のラテックスであり、該ラテックスの平均粒径が200nm以下、かつ前記親水性高分子の屈折率R1と前記疎水性高分子の屈折率R2の比R1/R2が下記式を満たすことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料。
1.0≦R1/R2≦1.1
5.前記親水性高分子に対し、前記疎水性高分子が5〜40質量%含まれることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料。
6.前記疎水性高分子が、Tg≦0℃の低Tg高分子とTg≧50℃の高Tg高分子を含むことを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料。
7.前記低Tg高分子に対し、前記高Tg高分子が10〜30質量%含まれることを特徴とする前記6に記載の透光性導電パターン材料。
8.前記ハロゲン化銀感光層のバインダーのみの乾燥膜厚が50〜500nmであることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料。
9.前記ハロゲン化銀感光層が最外層であることを特徴とする前記1〜8のいずれかに記載の透光性導電パターン材料。
10.導電性パターンが連続で接合されたパターンである、前記1〜9のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料を用いることを特徴とする電磁波遮蔽フィルター。
11.導電性パターンが特定周波数の電磁波を反射する独立パターンである、前記1〜9のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料を用いることを特徴とする周波数選択性電磁波遮蔽フィルム。
本発明により、エッチングのような複雑な工程を経ることなく、細線パターンの描画性が向上し、さらにはWet and Dry処理工程を経てもひび割れの発生がなく、透過率、ヘーズ等の光学性能、パターンの導電性の両方に優れた透光性導電パターン材料、及びこれを用いた電磁波遮蔽フィルター及び周波数選択性電磁波遮蔽フィルムを提供することが可能となった。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
〔電磁波遮蔽フィルター〕
まず、PDP(プラズマディスプレイパネル)用の電磁波遮蔽フィルターとしての態様を説明する。
一般に、PDP用電磁波遮蔽フィルターは、導電性メッシュ、エッチングメッシュ、導電印刷メッシュを形成したフィルム、透明導電性フィルム等が用いられる。
導線性メッシュとしては、光透過性の向上、モアレ現象の防止を図る上で、例えば線径1〜100μm、開口率60〜95%のものが好ましい。線径が40μmを超えると開口率が下り、1μmより低下すると電磁波遮蔽性能が下がると同時に断線欠陥の確立が高まるため、透過率と電磁波遮蔽性能を両立させることができない。好ましい線径は10〜30μm、開口率は70〜90%である。メッシュの開口率とは、当該メッシュの投影面積における開口部分が占める面積割合をいう。
エッチングメッシュとしては、銅、アルミ、ステンレス、クロム等の金属膜をPET、PC、PMMA等の透明ベースフィルム上形成し、フォトリソグラフィーの手法で格子状やパンチングメタル状等の任意の形状にエッチング加工したものを用いることができる。また、金属箔をエポキシ系、ウレタン系等接着剤によって透明ベースフィルムに貼り合わせたものを用いてもよい。
また、銀、銅、アルミ、ニッケル等の金属粒子またはカーボン等の非金属導電粒子を、エポキシ系、ウレタン系、EVA系、メラニン系、セルロース系、アクリル系等のバインダーに混合したものを、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等により、PET、PC、PMMA等の透明ベースフィルム上に格子状等のパターンで印刷した導電印刷メッシュを用いることができる。
また、透明導電性フィルムとしては、導電性粒子を分散させた樹脂フィルム、または基材フィルムに透明導電性層を形成したものを用いることができる。
本発明では、特に、上記開口率及び線径を維持する上で、ハロゲン化銀感光層(銀塩粒子を含む層)を設けた導電性パターン原版から、これをメッシュパターン状に露光、化学現像処理して、金属銀パターンを形成した後、物理現像、メッキまたは物理現像後のメッキにより導電性を増幅した銀メッシュを用いる。
〔周波数選択性電磁波遮蔽フィルム〕
次に、特定周波数の電磁波のみを遮蔽するFSS(Frequency Selected Surface)について説明する。
FSSは機材表面に特定周波数の電磁波に応じた線状アンテナパターンを形成し、特定周波数の電磁波のみ共鳴反射させることで特定周波数の電磁波のみを遮蔽できる技術である。線状アンテナ素子においては、端部を開放した形状とし、中心から伸びるその一辺の長さ(電気長)を遮蔽しようとする電波の1/4波長(一本形状では1/2波長)とすることで、遮蔽しようとする波長に共振させるようにする。また、周囲長(電気長)を遮蔽しようとする電波の波長と同じくした環状線路形状でもよい。
線状アンテナ素子相互間は、減衰量の関係を考慮して配列間隔を決定する。即ち、その素子の電磁界反射等価面積(散乱開口面積)または電磁界反射等価体積(散乱開口体積)を考慮して配列させ電波を散乱させ減衰させる。
平面電磁界に平行に置かれた半波長(λ/2)の線状アンテナ素子(ダイポール)、例えば、図1のような線状アンテナ素子1(ダイポール)のとき、線状アンテナ素子1はアンテナの導体(金属)部分が占める面積のみが入射電磁波2のエネルギーを反射するのではなく、金属部分の近傍のある範囲の電磁界を広い範囲で反射(反射電磁波3)させる。これが、電磁界反射等価断面積4(散乱開口面積;Ae≒0.13λ2(λ/2×λ/4の面積))または電磁界反射等価体積5(散乱開口体積)である。
従って、これらを考慮して空間中あるいは非導電性材料上に、平面的あるいは立体的に線状アンテナ素子を配列させることで、電磁遮蔽が可能となる。線状アンテナ素子としては、体積抵抗率、損失の少ない素材を選定すること(望ましくは5×10-8(Ω・m)以下)が必要であり、例えば銀等の金属材料が好ましい。このアンテナ素子のパターンには間隔があり、全面を覆うことがないので、透光性・可視性を損なうことがない。従って、線状アンテナ素子の導線の太さは視界の妨げにならないように細く、かつ損失の少ないものがよい。
パターン化した小さな線状アンテナ素子は、その長さを特定することにより、特定の周波数を遮蔽でき、その結果、他の電波を通過させるので、無線、テレビ電波等、外部からの情報の収集が必要な電波は遮蔽せず、特定の電波のみを遮蔽できる。
また、実際の電波では偏波面が一様ではなく様々な傾きを持っているが、線状アンテナ素子を環状線路形状または方向性を持たせた端部開放形状とすることで、あらゆる偏波面の電波にも対応できるように作製することもできる。
本発明は、高い導電性が必要なPDP用電磁波遮蔽フィルターのメッシュパターンやFSSのような線状アンテナパターンの形成を、支持体上にハロゲン化銀粒子を含む感光性層を設けた導電性パターン用原版を用いて、これに、所望の導電性パターンを露光、さらに、化学現像処理を行って金属銀パターンを形成し、さらには物理現像、メッキまたは物理現像後にメッキすることで作製するものである。
〔ハロゲン化銀感光層〕
本発明に係わる導電性パターン付フィルムを作製するのに用いられる導電性パターン用原版は感光材料であり、光センサーとしてハロゲン化銀写真乳剤が用いられ、ハロゲン化銀粒子がゼラチン等のバインダー樹脂に分散されたハロゲン化銀感光層が支持体上に塗布されている。ハロゲン化銀感光層は、銀塩のほか、バインダー、溶媒等を含有することができる。
(銀塩)
銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられるが、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるハロゲン化銀についてさらに説明する。
本発明で用いられるハロゲン化銀においては、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられるハロゲン化銀乳剤技術をそのまま用いることができる。
ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgClを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。
ここで、「AgCl(塩化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める塩化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgClを主体としたハロゲン化銀粒子は、塩化物イオンのほかに臭化物イオン、沃化物イオンを含有していてもよい。
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、化学現像処理後に形成されるパターン状金属銀層の画像品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nmであることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましい。なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状等)、八面体状、14面体状等、様々な形状であることができる。
本発明で用いられるハロゲン化銀は、さらに他の元素を含有していてもよい。例えば、写真乳剤において、硬調な乳剤を得るために用いられる金属イオンをドープすることも有用である。特にロジウムイオンやイリジウムイオン等の遷移金属イオンは、金属銀像の生成の際に露光部と未露光部の差が明確に生じやすくなるため好ましく用いられる。ロジウムイオン、イリジウムイオンに代表される遷移金属イオンは、各種の配位子を有する化合物であることもできる。そのような配位子としては、例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオン等を挙げることができる。具体的な化合物の例としては、K3Rh2Br9及びK2IrCl6等が挙げられる。
本発明において、ハロゲン化銀に含有されるロジウム化合物及び/またはイリジウム化合物の含有率は、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して、10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
その他、本発明では、Pd(II)イオン及び/またはPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加する等の方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解メッキの速度を速め、所望の電磁波遮蔽材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
本発明において、ハロゲン化銀に含まれるPdイオン及び/またはPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して10-8〜10-4モル/モルAgであることが好ましく、10-6〜10-5モル/モルAgであることがさらに好ましい。また、ゼラチンとの結合を抑制しAgXへより効率的に配位させるために、Pd(SCN)2錯体やパラジウムグリシネートとして添加することが好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4やNa2PdCl4等が挙げられる。
本発明では、さらに光センサーとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感としては、例えば、金増感等の貴金属増感、イオウ増感等のカルコゲン増感、還元増感等を利用することができる。
(親水性高分子)
本発明において、バインダー(樹脂)は、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ銀塩含有層と支持体との密着を補助する目的で用いることができる。本発明においては、親水性高分子及び疎水性高分子のいずれもバインダーとして用いることができるが、主バインダー(全バインダー成分の内、50体積%以上を占める樹脂とする)としては、親水性高分子(水溶性バインダー)を用いることが好ましい。
水溶性のバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
ハロゲン化銀粒子として写真用ハロゲン化銀ゼラチン乳剤を用いるため、バインダー樹脂中、ゼラチンが最も好ましい。
ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチン、また、フタル化ゼラチンあるいはフェニルカルバモイル化ゼラチン等、各種修飾ゼラチンも含むものである。
本発明に係るハロゲン化銀感光層に含有されるバインダー量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。ハロゲン化銀感光層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー質量比で4〜20であることが好ましい。ハロゲン化銀感光層中にバインダーを銀/バインダー質量比で4以上含有すれば、物理現像及び/またはメッキ処理工程において金属粒子同士が互いに接触しやすく、高い導電性を得ることが可能であるため好ましい。
(疎水性高分子)
また、本発明の塗布液には前述した親水性高分子、水の他に、疎水性高分子を含有する。疎水性高分子としては、疎水性樹脂の水分散物(ラテックス)を含有することができる。
本発明に用いられるラテックスは、透明性を確保するため、平均粒径が200nm以下で、かつ親水性高分子の屈折率R1と分散されている疎水性高分子の屈折率の比R1/R2が下記式を満たすことが必要である。
1.0≦R1/R2≦1.1
本発明の透光性導電パターン材料は、ヘーズが5%以下が好ましいが、分散平均粒径が200nmより大きな平均粒径(分散平均粒径)のラテックスを用いると、親水性バインダーとの屈折率比が上記の関係内であっても、可視光波長サイズ以上の大きさの不均一が存在してしまうため、膜形成した後のヘーズを5%以下とすることが難しく、分散平均粒径が200nm以下であっても屈折率比が上記範囲外であると、可視光の散乱が発生し、やはり膜形成後のヘーズを5%以下にすることが難しくなる。
上記関係を満たせば、特に樹脂を限定することなく使用できるが、ハロゲン化銀に影響を与えないこと、一般的に入手しやすく安価なことから、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂を主成分とした樹脂を用いたラテックスを用いることが好ましい。また、疎水性樹脂の添加量は、親水性樹脂に対して5〜40質量%とすることが好ましい。5質量%未満だと疎水性樹脂を添加した効果が得られず、40質量%以上添加すると膜形成後にハロゲン化銀粒子の存在が不均一になりやすくなる。
さらに、ひび割れ防止と基材との密着性、ハロゲン化銀の圧力かぶり防止の両立のため、疎水性高分子がTg≦0℃の低Tg高分子とTg≧50℃の高Tg高分子を含む2種類以上の高分子が含まれることが好ましい。低Tg高分子のみだとひび割れや密着性には効果があるが、膜が柔軟になりすぎるため、ハロゲン化銀層に外力が加わった際に、ハロゲン化銀粒子に大きな力が加わり、感光していなくても現像銀を形成する、いわゆる圧力かぶりが多くなってしまう。低Tg高分子を添加すると、膜の硬さは増加するため、外力を膜の横方向へ分散できるようになるため、圧力かぶりは防止できるが、ひび割れはむしろ悪化してしまう。
さらには2種以上の複合した疎水性樹脂の平均屈折率が前述の親水性樹脂の屈折率との関係を満たすために、低Tg高分子の質量に対して高Tg高分子の質量が10〜30質量%の範囲で含まれることが好ましい。高Tg高分子は一般的に屈折率が高いものが多く、低Tg高分子の質量に対して高Tg高分子の質量が30質量%を超えると、前記親水性高分子との屈折率の関係を満たせなくなってくるため、膜形成後のヘーズを5%以下にすることが難しくなってくる。
(溶媒)
本発明のハロゲン化銀感光層に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。写真用ハロゲン化銀ゼラチン乳剤が用いられることから、水を主体とする溶媒が好ましい。
(ハロゲン化銀感光層の塗設)
本発明の導電性パターン用原版の作製には、ハロゲン化銀感光層に対応した塗布液を、写真法において公知である、ディップコート法、スライド塗布法、バーコート法等の通常の塗布法によって、支持体上に塗布すればよい。支持体との濡れ性、接着性を向上するために、写真法において公知である易接着層をあらかじめ設けてもよいし、さらに公知であるグロー放電、コロナ放電に代表されるプラズマ処理や火炎処理を施してもよい。
〔透明なプラスチック支持体〕
本発明において導電性パターン付フィルム、従って導電性パター用原版(ハロゲン化銀感光材料)に用いられる透明なプラスチック支持体(以下、単に支持体ともいう)としては、プラスチックフィルム、プラスチック板等を用いることができるが、本発明の導電性パターン付フィルムに用いることができる支持体の素材は、可撓性のあるシートまたはロールに加工できるものがよい。
プラスチックフィルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
透明性、耐熱性、取り扱いやすさ及び価格の点から、上記プラスチックフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
ディスプレイ用としては透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましく、プラスチックフィルムまたはプラスチック板の全可視光透過率は好ましくは70〜100%であり、より好ましくは90〜100%である。プラスチックフィルム(例えばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルムまたはポリカーボネートフィルム等)が用いられる。
本発明の導電性パターン材料の支持体としては、厚さ70〜180μmが好ましく、さらに好ましくは80〜120μmである。
ポリエステル支持体は、巻ぐせカールを低減させるために、特開昭51−16358号公報等に記載があるように、ポリエステル支持体を製膜後に、ガラス転移温度以下の温度範囲において、0.1〜1500時間の熱処理を行って巻ぐせカールを低減させてもよい。
(露光)
本発明では、支持体上に設けられたハロゲン化銀感光層の露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
上記光源としては、例えば、陰極線管(CRT)を用いた走査露光を挙げることができる。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体、また近赤外発光体のいずれか1種または2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の近赤外、赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色あるいは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
また、本発明では、露光は種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーまたは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
レーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月の第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)が好ましく用いられる。
ハロゲン化銀感光層をパターン状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光等の露光方式を用いることができる。
(化学現像処理)
本発明では、ハロゲン化銀感光層を有する電磁波遮蔽材料用原版を露光した後、さらに化学現像処理を行う。化学現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の化学現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、例えば、富士フイルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、またはそのキットに含まれる現像液、また、D−85等のリス現像液を用いることができる。
本発明では、上記の露光及び化学現像処理を行うことにより、金属銀部、好ましくはパターン状金属銀部が形成されると共に、後述する光透過性部が形成される。
本発明における化学現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
化学現像処理で用いられる現像液は、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することができる。画質向上剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等の含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。また、リス現像液を利用する場合特に、ポリエチレングリコールを使用することも好ましい。
高い導電性を得るためには、化学現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明における化学現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。化学現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
充分な導電性を有する金属膜からなるパターンを得るために、前記導電性パターン用原版から形成された金属銀のパターンには、さらに、これを核とした物理現像、メッキまたは物理現像後のメッキを施すことが好ましい。
物理現像あるいはメッキ処理により、最初の現像処理により得られた金属銀のパターンに充分な導電性を与え、また、透光率を高く保つことができる。
(物理現像及びメッキ処理)
本発明では、前記露光及び化学現像処理により形成された金属銀からなる導電性アンテナ素子パターンに導電性をさらに付し損失を少なくする目的で、金属銀上に物理現像及び/またはメッキ処理を行ってさらに導電性金属粒子を担持させることが好ましい。
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本発明において、メッキ処理は、無電解メッキ(化学還元メッキや置換メッキ)、電解メッキ、または無電解メッキと電解メッキの両方を用いることができる。
本発明におけるメッキは、パターンが連続的に接合されている場合には、物理現像で表面抵抗を300Ω/□以下、好ましくは150Ω/□以下まで下げた後に電解メッキを行い、所望の表面抵抗値に仕上げることが好ましい。電解メッキにおいて、電流密度、電解液のイオン濃度、処理温度、処理時間を適宜調整することにより微細パターンを選択性よくメッキすることが可能である。電解メッキは電流が流れる部分のみにメッキ金属を析出させることができるため、原理的にメッキ選択性に優れるため好ましい。
本発明におけるメッキは、各々のパターンが独立している場合は、物理現像でパターンの抵抗率を1000μΩm以下まで下げた後、必要に応じてPd等のメッキ触媒をパターン表面の銀と置換メッキさせ、無電解メッキにより、パターンの抵抗率を100〜1μΩmにすることができる。無電解銅メッキ液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤としてホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子としてEDTAやトリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やメッキ皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。電解銅メッキ浴としては、硫酸銅浴やピロリン酸銅浴が挙げられる。また、メッキの選択性を向上するためにエアー若しくは窒素による泡攪拌を行うことが好ましい。
本発明におけるメッキ処理時のメッキ速度は、緩やかな条件で行うことができ、さらに5μm/時間以上の高速メッキも可能である。メッキ処理において、メッキ液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTA等の配位子等種々の添加剤を用いることができる。
また、本発明に係るハロゲン化銀感光層には疎水性高分子が含有されているが、疎水性高分子を含有することで、同量のバインダーを親水性高分子(例えばゼラチン)のみで作製した場合と比較して、物理現像及びメッキによる導電性増幅が容易に進行することが分かった。
理由は定かではないが、次のように推察している。微視的に見ればハロゲン化銀粒子は親水性高分子中のみに分散されている状態で有り、化学現像後に形成される金属銀も親水性高分子内のみ存在している。物理現像液及びメッキ液は水溶液であるため、親水性高分子部分だけに浸透し、銀析出反応及びメッキ金属析出反応が起こると考えられる。このような状態で導電性の増幅が進行するため、水系処理による導電性増幅処理においては、同量のバインダー量の材料を比較した場合、疎水性高分子を含有した材料が実質(前述した)銀/バインダーが高い状態になっているため、導電性増幅の進行が容易になると考えられる。
(酸化処理)
本発明では、化学現像処理後の金属銀部、並びに物理現像及び/またはメッキ処理後に形成される導電性金属部には、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理等、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。酸化処理は、銀塩含有層の露光及び現像処理後、あるいは物理現像またはメッキ処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像またはメッキ処理後のそれぞれで行ってもよい。
本発明では、さらに露光及び現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解メッキまたは物理現像速度を促進させることができる。
(導電性金属部)
次に、本発明において形成された導電性金属部からなるパターンについて説明する。
本発明では、導電性金属によるパターンは、該パターンに従って露光を行った後、化学現像処理を行い、化学現像処理により形成された金属銀パターンを物理現像またはメッキ処理することにより金属銀部に導電性金属粒子を担持させることにより形成される。
金属銀は、本発明においては、透明性を高めるために露光部に形成させることが好ましい。
前記金属銀部に、物理現像及び/またはメッキ処理により担持させる導電性金属粒子としては、上述した銀のほか、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、コバルト、スズ、ステンレス、タングステン、クロム、チタン、パラジウム、白金、マンガン、亜鉛、ロジウム等の金属、またはこれらを組み合わせた合金の粒子を挙げることができる。導電性、価格等から、銅、アルミニウムまたはニッケルの粒子が好ましい。また、磁場遮蔽性を付与する場合、常磁性金属粒子を用いることが好ましい。
上記導電性金属部において、コントラストを高め、かつ経時的に酸化され退色するのを防止する観点から、導電性金属部に含まれる導電性金属粒子は銅粒子であることが好ましく、その表面が黒化処理されたものであることがさらに好ましい。黒化処理は、プリント配線板分野で行われている方法を用いて行うことができる。例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/L)、水酸化ナトリウム(15g/L)、リン酸三ナトリウム(12g/L)の水溶液中で、95℃で2分間処理することにより黒化処理を行うことができる。
上記導電性金属部は、該導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して、銀を50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがさらに好ましい。銀を50質量%以上含有すれば、物理現像及び/またはメッキ処理に要する時間を短縮し、生産性を向上させ、かつ低コストとすることができる。
さらに、導電性金属部を形成する導電性金属粒子として銅及びパラジウムが用いられる場合、銀、銅及びパラジウムの合計の質量が導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明における導電性金属部は、導電性金属粒子を担持するため良好な導電性が得られる。このため、独立したパターンの場合、パターンの抵抗率が100μΩm以下が好ましく、1μΩm以下がさらに好ましい。また、PDP用電磁波遮蔽フィルムとして面内で連続的に接合されたメッシュパターンを作成した場合、表面抵抗値は、103Ω/□以下であることが好ましく、2.5Ω/□以下であることがより好ましく、1.5Ω/□以下であることがさらに好ましく、0.1Ω/□以下であることが最も好ましい。
導電性パターンにおいて、上記導電性金属部の線幅は20μm以下、線間隔は50μm以上であることが好ましい。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。また、画像を目立たせなくする観点からは、導電性金属部の線幅は18μm未満であることが好ましく、15μm未満であることがより好ましく、14μm未満であることがさらに好ましく、10μm未満であることがさらにより好ましく、7μm未満であることが最も好ましい。
本発明における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、例えば導電性パターンがPDP用電磁波遮蔽フィルムの場合、メッシュをなす細線のない部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅10μm、ピッチ200μmの正方形の格子状メッシュの開口率は、90%である。
(光透過性部)
本発明における「光透過性部」とは、透光性電磁波遮蔽材料において、導電性金属部以外の透明性を有する部分を意味する。光透過性部における可視光透過率は、前述のとおり、支持体の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
本発明における光透過性部は、前記ハロゲン化感光層を露光及び化学現像処理することにより、露光されなかった部分に、金属銀部と共に形成される。光透過性部は、透過性を向上させる観点から、前記化学現像処理後、さらには物理処理またはメッキ処理後に酸化処理を行うことが好ましい。
(透光性導電性パターン材料の層構成)
本発明の透光性導電パターン材料における支持体の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜200μmの範囲であれば、所望の可視光の透過率が得られ、かつ取り扱いも容易である。
ハロゲン化銀感光層は、化学現像後に物理現像及び/またはメッキ処理することから、透光性導電性パターン材料の最外層であることが好ましい。
物理現像及び/またはメッキ処理前の支持体上に設けられる金属銀部の厚さは、支持体上に塗布されるハロゲン化感光層の塗布液の塗布厚みで適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。
ディスプレイの電磁波遮蔽材の用途としては、導電性金属部の厚さが薄いほどディスプレイの視野角が広がり好ましい。導電性配線材料としては、薄膜化、高密度化が要求され、このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本発明では、上述したハロゲン化感光層の塗布厚みや物理現像及び/またはメッキ処理によりコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する導電性パターンであっても容易に形成することができる。
本発明の透光性導電性パターン材料は、露光部に金属銀を形成し、物理現像及びメッキにより金属銀パターン部の導電性を増幅することで導電性パターンを形成するが、導電性パターン含有層の未露光部分(導電性パターンがない部分)の厚みは50〜500nmが好ましく、100〜300nmがさらに好ましい。50nm未満であると、導電パターンの保持性が劣化し、500nmを超えると微小な膜厚ムラが光干渉によりニュートンリングを発生し虹色のムラとなって認識しやすくなってしまう。
(導電パターン以外の機能)
本発明の透光性導電パターン材料には、必要に応じて、別途、機能層を設けていてもよい。例えば、ディスプレイ用電磁波遮蔽材料用途としては、屈折率や膜厚を調整した反射防止層や、アンチグレア層、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能層、防汚層、ハードコート層、衝撃吸収機能層等を設けることができる。これらの機能層は、導電性パターン含有層(ハロゲン化銀感光層)と支持体とを挟んで反対側の面に設けてもよく、さらに同一面側に設けてもよい。これらの機能層膜は目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の透光性導電性パターン材料は、良好な電磁波遮蔽性及び光透過性を有するため、透光性電磁波遮蔽材料として用いることができる。また、回路配線等の各種の導電性配線材料として用いることもできる。特に本発明の透光性電磁波遮蔽膜は、PDPの前面フィルターだけでなく、CRT(陰極線管)、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)等のディスプレイ前面、電子レンジ、電子機器、プリント配線板等にも好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例
〔ハロゲン化銀微粒子乳剤の調製〕
反応容器内で下記溶液Aを34℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載の混合撹拌装置を用いて高速に撹拌しながら、硝酸(濃度6%)を用いてpHを2.95に調整した。引き続き、ダブルジェット法を用いて下記溶液Bと下記溶液Cを一定の流量で8分6秒間かけて添加した。添加終了後に、炭酸ナトリウム(濃度5%)を用いてpHを5.90に調整し、続いて下記溶液Dと溶液Eを添加した。
(溶液A)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 18.7g
塩化ナトリウム 0.31g
下記溶液I 1.59ml
純水 1246ml
(溶液B)
硝酸銀 169.9g
硝酸(濃度6%) 5.89ml
純水にて317.1mlに仕上げる
(溶液C)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 5.66g
塩化ナトリウム 58.8g
臭化カリウム 13.3g
下記溶液I 0.85ml
下記溶液II 2.72ml
純水にて317.1mlに仕上げる
(溶液D)
2−メチル−4ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラアザインデン 0.56g
純水 112.1ml
(溶液E)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 3.96g
下記溶液I 0.40ml
純水 128.5ml
(溶液I)
界面活性剤:ポリイソプロピレンポリエチレンオキシジコハク酸エステルナトリウム塩の10質量%メタノール溶液
(溶液II)
六塩化ロジウム錯体の10質量%水溶液
上記操作終了後に、常法に従い40℃にてフロキュレーション法を用いて脱塩及び水洗処理を施し、下記溶液Fと防バイ剤を加えて60℃でよく分散し、40℃にてpHを5.90に調整して、最終的に臭化銀を10モル%含む平均粒子径0.09μm、変動係数10%の塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。この乳剤の銀/バインダー質量比は仕上がりで4.7であった。
(溶液F)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 16.5g
純水 139.8ml
(下引き済みPETフィルム支持体)
100μmの二軸延伸PET支持体の両面に12W・min/m2のコロナ放電処理を施し、それぞれの面に下記下引き塗布液B1を乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、さらに、その上に12W・min/m2のコロナ放電処理を施し、下記下引き塗布液B2を乾燥膜厚0.06μmになるように塗布した。その後、120℃で1.5分の熱処理を実施し、下引き済みPETフィルム支持体を得た。
〈下引き塗布液B1〉
スチレン20質量部、グリシジルメタクリレート40質量部、ブチルアクリレート40質量部の共重合体ラテックス液(固形分質量30%) 50g
SnO2ゾル 440g
化合物(UL−1) 0.2g
水で仕上げる 1000ml
〈下引き塗布液B2〉
ゼラチン 10g
化合物(UL−1) 0.2g
化合物(UL−2) 0.2g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
硬膜剤(UL−3) 1g
水で仕上げる 1000ml
SnO2ゾル
(SnO2ゾルの合成例)
SnCl4・5H2O 65gを蒸留水2000mlに溶解して均一溶液とし、次いでこれを煮沸し沈澱物を得た。生成した沈澱物をデカンテーションにより取り出し、蒸留水にて何度も水洗した。沈澱を水洗した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈澱物に蒸留水を添加し全量を2000mlとした。これに30%アンモニア水40mlを加え加温することにより、均一なゾルを得た。さらに、アンモニア水を添加しながらSnO2の固型分濃度が8.3%になるまで加熱濃縮し、SnO2ゾルを得た。
Figure 2008277675
〔導電性パターン材料用原版の作製〕
〈導電性パターン材料用原版1の作製(比較例1)〉
調製した上記乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらにチオ硫酸ナトリウムを用いて硫黄増感を行った後、硬膜剤(UL−3)と共に、銀の塗布量が1g/m2となるよう、前記下引き済みPETフィルム支持体上に塗布、乾燥した後、55℃で20時間キュアリング処理を施し、導電性パターン材料用原版1を作製した。バインダーのみの乾燥膜厚は152nmであった。
〈導電性パターン材料用原版2の作製(実施例1)〉
上記乳剤の調製の最後に加えるゼラチン16.5gを15.2gに変更し、硬膜剤(UL−3)を添加するタイミングで下記ラテックス1を固形分で1.3g(20質量%分散液6.5g)添加した以外は導電性パターン材料用原版1と同様にして導電性パターン材料用原版2を作製した。この感光層は疎水性高分子が、親水性高分子であるゼラチンに対して20%含まれるバインダー構成となる。バインダーのみの乾燥膜厚は152nmであった。
(ラテックス1)
ブチルアクリレート/塩化ビニリデン=50/50
Tg=−29℃
屈折率=1.44
平均粒径=150nm
固形分濃度=20%
R1/R2=1.06(ゼラチンR1=1.52、ラテックス1樹脂R2=1.44)
〈導電性パターン材料用原版3の作製(実施例2)〉
加える疎水性高分子を、ラテックス1を固形分で1.1g、下記ラテックス2を固形分で0.2g(4.4質量%分散液4.54g)に変更した以外は導電性パターン材料用原版2と同様にして導電性パターン材料用原版3を作製した。
(ラテックス2)
酢酸ビニル/ピバリル酸ビニル=50/50(コロイダイルシリカ複合)
Tg=59℃
屈折率=1.46
平均粒径=200nm
固形分濃度=4.4質量%
R1/R2=1.04(ゼラチンR1=1.52、ラテックス混合樹脂R2=約1.46)
〈導電性パターン材料用原版4の作製(実施例3)〉
銀の付量を4g/m2に変更した以外は、導電性パターン材料用原版3と同様にして導電性パターン材料用原版4を作製した。バインダーのみの乾燥膜厚は610nmであった。
〈導電性パターン材料用原版5の作製(比較例2)〉
銀の付量を4g/m2に変更した以外は、導電性パターン材料用原版1と同様にして導電性パターン材料用原版5を作製した。バインダーのみの乾燥膜厚は610nmであった。
〈導電性パターン材料用原版6の作製(比較例3)〉
上記乳剤の調製の最後に加えるゼラチン16.5gを14.1gに変更し、ゼラチン硬膜剤を添加するタイミングで前記ラテックス1を固形分で2.4g(20質量%分散液12.0g)添加した以外は導電性パターン材料用原版2と同様にして導電性パターン材料用原版6を作製した。このハロゲン化銀感光層は疎水性高分子が、親水性高分子であるゼラチンに対して44質量%含まれるバインダー構成となる。
〈導電性パターン材料用原版7の作製(比較例4)〉
加える疎水性高分子を、前記ラテックス1を固形分で0.7g、ラテックス2を固形分で0.6gに変更した以外は導電性パターン材料用原版3と同様にして導電性パターン材料用原版7を作製した。
〔PDP用電磁波遮蔽フィルムの作製〕
作製した導電性パターン材料用原版1〜7に、ライン幅が8μm、ライン同士の間隔が300μmの格子状のフォトマスクを介して、紫外線ランプを用いて露光を行った。このとき、測定評価用に試料の端部1cm幅は、格子状のパターンではなく、素ガラスを介した状態で光が当たるようにした。次いで下記現像液(DEV1)を用いて35℃で30秒間現像処理を行った後、下記定着液(FIX1)を用いて35℃で60秒間の定着処理を行い、それに続けて水洗処理を行った。さらに、下記物理現像液(PD1)を用いて、30℃5分間の物理現像を行い、ついで水洗処理を行った。その後、試料をA4サイズに切りそろえた後、メッキ液(EPL1)を用いて25℃で電解銅メッキ処理を行った。電解銅メッキにおける電流制御は3Aで1分間、次いで1Aで9分間、計10分間かけて実施した。このようにして金属メッシュ層を有する透明電磁波遮蔽フィルム(それぞれSF−1〜7とする)を作製した。
(DEV1:現像液)
純水 500ml
メトール 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
ハイドロキノン 4g
ホウ砂 4g
チオ硫酸ナトリウム 10g
臭化カリウム 0.5g
水を加えて全量を1リットルとする
(FIX1:定着液)
純水 750ml
チオ硫酸ナトリウム 250g
無水亜硫酸ナトリウム 15g
氷酢酸 15ml
カリミョウバン 15g
水を加えて全量を1リットルとする
(PD1:物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 31g
ハイドロキノン 7.8g
リン酸水素二ナトリウム 1.1g
アンモニア水(28%) 2.2ml
硝酸銀 1.5g
水を加えて全量を1リットルとする
(EPL1:電解メッキ液)
硫酸銅(五水和物) 200g
硫酸 50g
塩化ナトリウム 0.1g
水を加えて全量を1リットルとする
〔PDP用電磁波遮蔽フィルムの評価〕
以上により作製した、PDP用電磁波遮蔽フィルムSF−1〜7を以下の方法で評価した。その結果を表1に示す。
(可視光透過率、ヘーズ)
日立製作所製分光光度計U−4000型を用いて、可視光領域(360〜700nm)における透過率(積分値)とヘーズ(透過光における散乱光の割合)を測定した。透過率(%)が高く、ヘーズ(%)が小さいほど、曇りがなく透明度が高いことを示す。
(表面抵抗)
抵抗率計(ロレスタGP(MCP−T610型):(株)ダイヤインスツルメンツ社製)を用いて四端子測定した。なお、プローブにはEPSタイプのプローブを用いた。
(ひび割れ試験)
23℃55%RH環境下で24時間調湿した未露光導電性パターン材料用原版を幅10cm、長さ1mの短冊状に切り出し、巻き取り張力39.2N(3.92N/cm)でハロゲン化銀感光層面を外巻きにして内径3インチの紙コアに巻き込み、それぞれをポリシートで密封して55℃オーブンに15時間投入した。その後、23℃55%RH環境下で15時間放置した後、前述のように露光からメッキまで施してPDP用電磁波遮蔽フィルムを作製した。このようにひび割れ試験用処理を施した電磁波遮蔽フィルムについて目視のひび割れ有無の観察と前述の方法で可視光透過率、ヘーズ、表面抵抗を測定した。
(密着性)
密着性はJIS−K5600−5−6のクロスカット密着試験方法に準拠して実施した。セロハンテープには、日東電工(株)製のセロハンテープNo.29を用いた。カッターを用いて縦横1mm間隔で傷を11本ずつ入れて、1mm四方の正方形を100個作り(クロスカット)、そのクロスカット部にセロハンテープを密着させた後、上方約60°方向に剥離試験を行った。この試験を3回行い剥離しなかったマス目個数の平均値を求めた。この数値が大きいほど、密着性が良好で好ましいことを示す。
(耐傷性)
試料を水平な机の上に固定し、スチールウールを加重0.49N/cm2で10回擦って、傷を付け、傷をつけた部分のヘーズを前述の方法で測定した。その値を傷がない場合の値で除してヘーズの上昇率(%)を計算し、下記基準で評価を行った。
○:100〜110%未満
△:110〜120%未満
×:120%以上
Figure 2008277675
本発明の試料は、高い透過率と5%以下の低いヘーズとなり透明性に優れるばかりでなく、ひび割れの発生もなく、ひびや傷によるヘーズ上昇もない。また、同時間処理で表面抵抗がより低下しており、同じ表面抵抗に設計する時には処理時間の短縮が可能である。
〔周波数選択性電磁波遮蔽フィルムSSF−1の作製(実施例4)〕
導電性パターン材料用原版3を用いて、2.5G帯(2.45GHz;波長122mm)の反射特性を持つアンテナ素子パターンとして、図1、2に示す線状アンテナ素子(単位長61mm)からなるアンテナ素子パターンを線幅8μmのガラスマスクを用いて、メッキ後線幅15μm、線状アンテナ素子間隔300μmとなるように露光し、PDP用電磁波遮蔽フィルムの作製と同様にして物理現像まで施した後に、下記EPL2無電解銅メッキ液を用い、45℃にて10分間無電解銅メッキ処理を行った後、10ppmのFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行い、周波数選択性電磁波遮蔽フィルム(SSF−1)を作製した。
(EPL2;無電解メッキ液)
硫酸銅 0.06モル/L
ホルマリン 0.22モル/L
トリエタノールアミン 0.12モル/L
ポリエチレングリコール 100ppm
黄血塩 50ppm
α,α′−ビピリジン 20ppm
pH=12.5
〔周波数選択性電磁波遮蔽フィルムSSF−2の作製(実施例5)〕
SSF−1と同様にして周波数5.15GHzに対応するように、素子の単位長のみ29.2mmとしたアンテナ素子パターンを有する周波数選択性電磁波遮蔽フィルムSSF−2を作製した。
〔周波数選択性電磁波遮蔽フィルムの評価(実施例4)〕
周波数選択性電磁波遮蔽フィルムについて、PDP用電磁波遮蔽フィルムと同様の評価に加え、下記方法で電磁波の透過減衰特性を測定した。
(電磁波透過減衰率の評価)
図3に透過率減衰率の評価方法における装置の配置を表す模式図を示す。
対向させて設置した一対の誘電体レンズ1,2にベクトルネットワークアナライザー(HP社製 8150B)を接続し、その間に、各選択的電磁波遮蔽フィルムについて、20cm角の大きさに裁断したフィルムサンプルを置き、設計周波数の電磁波を入射させ、入射電磁波(それぞれ2.5GHz、5.1GHz、10GHz)の強度と透過電磁波の強度からそれぞれの波長の電磁波の減衰率(dB)を測定した。
周波数選択性電磁波遮蔽フィルムの評価結果を表2に示す。
Figure 2008277675
以上から明らかなように、本発明の透光性導電パターン材料は、透明性(高い可視光透過率と低いヘーズ)に優れ、導電性補力処理の効率が高く処理時間の短縮が可能である。さらには密着性、耐傷性に優れ、微細な導電性パターンを作製した後にも、取り扱いが容易である透光性導電パターン材料の作製が可能になった。
また、微細な導電パターンを必要とするPDP用電磁波遮蔽フィルム、周波数選択性電磁波遮蔽フィルムとした場合も、目的に応じた高い電磁波遮蔽能を持つフィルムの作製が可能である。
線状アンテナ素子と電磁波の反射を示す図である。 アンテナ素子パターンを有する電磁波反射面の幾つかの例を示す図である。 減衰率の評価装置の配置を表す模式図である。
符号の説明
1 線状アンテナ素子
2 入射電磁波
3 反射電磁波
4 電磁界反射等価断面積
5 電磁界反射等価体積

Claims (11)

  1. 透明なプラスチック支持体上にハロゲン化銀感光層を設け、該ハロゲン化銀感光層を露光、化学現像して金属銀パターンを形成した後、物理現像、メッキまたは物理現像後のメッキにより導電性を増幅して製造する透光性導電パターン材料において、ハロゲン化銀感光層中に親水性高分子及び疎水性高分子を含有することを特徴とする透光性導電パターン材料。
  2. 前記ハロゲン化銀感光層の銀/バインダー質量比が4〜20であることを特徴とする請求項1に記載の透光性導電パターン材料。
  3. ヘーズが5%以下、かつ可視光透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の透光性導電パターン材料。
  4. 前記疎水性高分子が水分散性のラテックスであり、該ラテックスの平均粒径が200nm以下、かつ前記親水性高分子の屈折率R1と前記疎水性高分子の屈折率R2の比R1/R2が下記式を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料。
    1.0≦R1/R2≦1.1
  5. 前記親水性高分子に対し、前記疎水性高分子が5〜40質量%含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料。
  6. 前記疎水性高分子が、Tg≦0℃の低Tg高分子とTg≧50℃の高Tg高分子を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料。
  7. 前記低Tg高分子に対し、前記高Tg高分子が10〜30質量%含まれることを特徴とする請求項6に記載の透光性導電パターン材料。
  8. 前記ハロゲン化銀感光層のバインダーのみの乾燥膜厚が50〜500nmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料。
  9. 前記ハロゲン化銀感光層が最外層であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透光性導電パターン材料。
  10. 導電性パターンが連続で接合されたパターンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料を用いることを特徴とする電磁波遮蔽フィルター。
  11. 導電性パターンが特定周波数の電磁波を反射する独立パターンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の透光性導電パターン材料を用いることを特徴とする周波数選択性電磁波遮蔽フィルム。
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