JP2007096213A - 電磁波シールド膜及びその製造方法 - Google Patents

電磁波シールド膜及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い電磁波遮蔽性を有する電磁波シールド膜であって、細線状画像の形成が容易であり、しかも迅速に簡便な工程で、かつ環境影響にも配慮した方法で製造できる方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する銀塩感熱材料を、熱により金属銀部と光透過性部を像様に形成し、さらに前記金属銀部に沿って導電性金属粒子を担持させた導電性金属部を形成することを特徴とする電磁波シールド膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)又はフィールドエミッションディスプレイ(FED)の前面に使用する可視光透過性を有する電磁波シールド膜及びその製造方法に関する。
近年、電子機器の使用増大のために電磁波障害(EMI)を低減する必要性が高まっている。EMIは、電子、電気機器の誤動作、障害の原因になるほか、人体に対しても害を与えることが指摘されている。このため、電子機器では、電磁波放出の強さを規格又は規制内に抑えることが要求されている。
特に、プラズマ表示パネル(PDP)は、希ガスをプラズマ状態にして紫外線を放射させこの光線で蛍光体を発光させる原理に基づき、フィールドエミッションディスプレイ(FED)は平面状の電子放出源(エミッター)から真空中に電子を放ち、蛍光体にぶつけて発光させる原理に基づくために原理的に電磁波を発生する。電磁波遮蔽能は、簡便には表面抵抗値で表すことができ、PDP用の透光性電磁波遮蔽材料では、10Ω/□以下が要求され、PDPを用いた民生用プラズマテレビにおいては、2Ω/□以下とする必要性が高く、より望ましくは0.2Ω/□以下という極めて高い導電性が要求されている。
更にPDPの機能を向上させるため、薄膜ガラス製のPDP本体に対する機械的強度の付与、外光の反射防止、色調補正が求められている。
このために機械的強度を付与する目的で複数の透明基板を合わせたり、電磁波遮蔽目的で導電性層、赤外線遮蔽のために赤外線吸収層、外光の反射防止のために反射防止層、色調補正目的で、可視光領域に吸収のある色素を含有した層が組合わされ使用される。
上記の問題のうち、特に電磁波防止のために、開口部を有する金属メッシュを利用した電磁波遮蔽性と赤外吸収染料を使用した遮蔽性とを両立させる方法がこれまで提案されている。例えば、開口率の高い金属メッシュを焼き付けた硝子板に赤外線吸収フィルムを貼付して作製するという方法は、金属メッシュの焼き付けの製造工程が煩雑かつ複雑で、生産に熟練度が要求され又工程時間が長くかかるという間題点があった。
一方、ハロゲン化銀粒子から得られる現像銀は金属銀であることから、製法次第では金銀のメッシュを作製することが可能である。例えば、ハロゲン化銀粒子を含む層を有する感光材料をメッシュ状の画像様に露光して現像処理すれば、銀粒子がメッシュ状に集合した導電性金属銀部が形成される。銀粒子間はバインダーが詰まっているので導電性を阻害するので、バインダーを少なくする必要があるが、それのみでは導電性が向上しない。そのために、メッキ処理をして導電性を向上させる方法が記載されて(例えば、特許文献1、2参照。)いる。しかしながら、上記方法では現像、定着工程において廃液が出てしまうため、処理廃液の出ない、環境影響に配慮した方式の提案が望まれていた。
特開2004−221564号公報 (第12〜13頁、実施例) 特開2004−221565号公報 (第6〜8頁、実施例)
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、高い電磁波遮蔽性を有する電磁波シールド膜であって、細線状画像の形成が容易であり、しかも迅速に簡便な工程で、かつ環境影響にも配慮した方法で製造できる方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.支持体上に、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する銀塩感熱材料を、熱により金属銀部と光透過性部を像様に形成し、さらに前記金属銀部に沿って導電性金属粒子を担持させた導電性金属部を形成することを特徴とする電磁波シールド膜の製造方法。
2.前記金属銀部に沿って導電性金属粒子を担持させた導電性金属部の形成がメッキ処理によることを特徴とする前記1に記載の電磁波シールド膜の製造方法。
3.前記銀塩感熱材料が、塗布液の総質量の40〜99質量%が水からなる塗布液を塗布して製造された銀塩感熱材料であることを特徴とする前記1又は2に記載の電磁波シールド膜の製造方法。
4.熱により金属銀部と光透過性部を像様に形成した後に定着する工程を含むことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の電磁波シールド膜の製造方法。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の電磁波シールド膜の製造方法により製造されたことを特徴とする電磁波シールド膜。
6.プラズマディスプレイパネル又はフィールドエミッションディスプレイの電磁波シールド膜として用いることを特徴とする前記5に記載の電磁波シールド膜。
本発明により、高い電磁波遮蔽性を有する電磁波シールド膜であって、細線状画像の形成が容易であり、しかも迅速に簡便な工程で、かつ環境影響にも配慮した方法で製造できる方法を提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。まず、本発明の銀塩感熱材料について説明する。
(非感光性脂肪族カルボン酸銀塩)
本発明に係る非感光性脂肪族カルボン酸銀塩(有機銀塩ともいう)とは、銀塩感熱材料の感熱層において、銀画像を形成するための銀イオンを供給する供給源として機能し得る非感光性の有機銀塩である。
すなわち、本発明に係る有機銀塩は、露光によって形成された潜像を粒子表面上に有する感光性ハロゲン化銀粒子(光触媒)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された熱現像過程において、銀イオン供給源として機能して銀イオンを供給し銀画像形成に寄与することができる銀塩である。
このような非感光性有機銀塩については、従来、種々の化学構造を有する有機化合物の銀塩が知られており、例えば、特開平10−62899号公報の段落「0048」〜「0049」、欧州特許出願公開第803,764A1号明細書の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許出願公開第962,812A1号明細書、特開平11−349591号公報、特開2000−7683号公報、同2000−72711号公報、同2002−23301号公報、同2002−23303号公報、同2002−49119号公報、196446号公報、欧州特許出願公開第1246001A1号明細書、欧州特許出願公開第1258775A1号明細書、特開2003−140290号公報、特開2003−195445号公報、同2003−295378号公報、同2003−295379号公報、同2003−295380号公報、同2003−295381号公報、特開2003−270755号公報等に記載されている。
本発明においては、上記の特許公報等に開示されている各種有機銀塩と併用して、又は、併用せずに、脂肪族カルボン酸の銀塩、特に、炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩を用いることができる。銀塩を生成するための脂肪族カルボン酸の分子量は好ましくは200〜500であり、より好ましくは250〜400である。脂肪族カルボン酸銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、およびこれらの混合物などを含む。
本発明においては、これら脂肪族カルボン酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上99.9モル%以下、更に好ましくは90モル%以上99.9モル%以下のベヘン酸銀を用いることが好ましい。
なお、脂肪族カルボン酸銀塩を調製するに先だって、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩を調製することが必要であるが、その際に、使用できるアルカリ金属塩の種類の例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。これらのうちの1種類のアルカリ金属塩、例えば、水酸化カリウムを用いることが好ましいが、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムを併用することも好ましい。併用比率としては前記の水酸化塩の両者のモル比が10:90〜75:25の範囲であることが好ましい。脂肪族カルボン酸と反応して脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩となったときに上記の範囲で使用することで、反応液の粘度を良好な状態に制御できる。
また、平均粒径が0.050μm以下のハロゲン化銀粒子の存在下で脂肪族カルボン酸銀を調製する場合には、特に、アルカリ金属塩のアルカリ金属はカリウムの比率が高い方が、ハロゲン化銀粒子の溶解及びオストワルド熟成が防止されるので好ましい。また、カリウム塩の比率が高いほど、脂肪酸銀塩粒子のサイズを小さくすることができる。好ましいカリウム塩の比率は、脂肪族カルボン酸銀を製造する工程において使用する全アルカリ金属塩に対して50〜100%である。アルカリ金属塩の濃度は、0.1〜0.3モル/1000mlが好ましい。
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩の平均球相当直径は、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩の1粒子の体積と同じ体積の球の直径を意味し、塗布後の試料を透過型電子顕微鏡により観察した粒子の投影面積と厚みから粒子体積を求め、その体積と同体積の球に換算した時の直径を平均することにより求めることができる。非感光性脂肪族カルボン酸銀塩の平均球相当直径を制御するためには上記したように脂肪族カルボン酸銀塩の調製時にカリウム塩の比率を高くして調製することや、感光性乳剤分散液の分散時に用いるジルコニアビーズの粒径、ミル周速、分散時間を適宜調整することで容易に行うことができる。本発明においては非感光性脂肪族カルボン酸銀塩の平均球相当直径は、熱現像後に十分な濃度を得るためには、0.05〜0.50μmであることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.45μm、特に好ましくは0.15〜0.40μmである。
本発明で使用される非感光性脂肪族カルボン酸銀塩に加えて必要により使用してもよい有機銀としては、コア・シェル構造の有機銀塩(特開2002−23303号公報)、多価カルボン酸の銀塩(EP1246001号公報、特開2004−061948号公報)、ポリマー銀塩(特開2000−292881号公報、特開2003−295378〜2003−295381号公報)を用いることもできる。
本発明に用いることができる脂肪族カルボン酸銀塩の形状としては、特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。本発明においては、りん片状の脂肪族カルボン酸銀塩及び長軸と短軸の長さの比が5以下の短針状又は直方体状の脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく用いられる。
本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x(平均)≧2.0である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上、0.23μmが好ましく、0.1μm以上、0.20μm以下がより好ましい。c/bの平均は好ましくは1以上、6以下、より好ましくは1.05以上、4以下、更に好ましくは1.1以上、3以下、特に好ましくは1.1以上、2以下である。
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては、例えば、液中に分散した有機銀塩にレーザ光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒径(体積加重平均直径)から求めることができる。
本発明に用いられる有機銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば、上記の特開平10−62899号公報、欧州特許出願公開第803,763A1号明細書、欧州特許出願公開第962,812A1号明細書、特開2001−167022号公報、同2000−7683号公報、同2000−72711号公報、同2001−163889号公報、同2001−163890号公報、同2001−163827号公報、同2001−33907号公報、同2001−188313号公報、同2001−83652号公報、同2002−6442号公報、同2002−31870号公報、同2003−280135号公報等を参考にすることができる。
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、より好ましくは0.3〜3g/m2、更に好ましくは0.5〜2g/m2である。
(還元剤)
本発明に係る還元剤は感熱層中で、銀イオンを還元し得るものであり、現像剤ともいう。還元剤としては、下記一般式(RD1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007096213
式中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。R2は少なくとも一方が2級または3級のアルキル基を表し、同一でも異なってもよい。R3は炭素数1〜20の置換されてもよいアルキル基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
本発明においては、銀イオンの還元剤として、特に、還元剤の少なくとも1種が一般式(RD1)で表される化合物を単独又は他の異なる化学構造を有する還元剤と併せて用いることが好ましい。
一般式(RD1)で表される化合物のうちでもR3が炭素数2〜20の置換されてもよいアルキル基である化合物を用いることが、迅速処理を行った場合の色調や濃度むらに優れる点で好ましい。
また一般式(RD1)で表される化合物のうちでも特にR3の少なくとも1つの基がヒドロキシル基を置換基として有するアルキル基、または脱保護されることによりヒドロキシル基を形成しうる基を置換基として有するアルキル基である化合物(以降は(RD1a)の化合物と呼ぶ)を用いることが、高濃度で、光照射画像保存性に優れた熱現像感光材料を得ることができる点でより好ましい。本発明においては、熱現像特性を制御するために(RD1a)の化合物と下記一般式(RD2)の化合物とを併用することもできる。
Figure 2007096213
式中、X2はカルコゲン原子又はCHR5を表し、R5は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級又は3級のアルキル基であることはない。R7は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R8はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
その併用比率としては、[(RD1a)の化合物の質量]:[一般式(RD2)の化合物の質量]が5:95〜45:55であることが好ましく、より好ましくは10:90〜40:60である。
一般式(RD1)中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表す。カルコゲン原子としては、硫黄、セレン、テルルであり、好ましくは硫黄原子である。CHR1におけるR1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等であり、アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル等、アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等、アリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環等、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基として具体的には、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロヘプチル等)、アルケニル基(エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等)、シクロアルケニル基(1−シクロアルケニル、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(エチニル、1−プロピニル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、トリフルオロメチルチオ等)、アシル基(アセチル基、ベンゾイル基)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(アセチルアミノ等)、ウレイド基(メチルアミノカルボニルアミノ等)、アルキルスルホニルアミノ基(メタンスルホニルアミノ等)、アルキルスルホニル基(メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−モルホリノカルボニル等)、スルファモイル基(スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルホリノスルファモイル等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド等)、アルキルアミノ基(アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ等)、スルホ基、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル等)、アルキニルアミノカルボニル基(アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(メタンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル等)等が挙げられる。又、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。特に好ましい置換基はアルキル基である。
2はアルキル基を表し、少なくとも一方は2級又は3級のアルキル基である。アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等の基が挙げられる。
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。又、(R4n及び(R4mと飽和環を形成してもよい。R2は好ましくは何れも2級又は3級のアルキル基であり、炭素数2〜20が好ましい。より好ましくは3級アルキル基であり、更に好ましくはt−ブチル、t−アミル、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシルであり、最も好ましくはt−ブチルである。
3は炭素数1〜20のアルキル基を表すが、R3は炭素数2〜15のアルキル基であることが好ましい。R3として好ましくは、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては前記R1で挙げた置換基を用いることができる。
3は好ましくはヒドロキシル基又は脱保護されることによりヒドロキシル基を形成しうる基(以下プレカーサー基ともいう)を有する炭素数1〜20のアルキル基であるが、好ましくはヒドロキシル基又はプレカーサー基を有する炭素数2〜15のアルキル基である。アルキル基の炭素数は2〜10であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。脱保護されて水酸基を形成しうる基として好ましくは酸および/または熱の作用により脱保護して水酸基を形成する基が挙げられる。
具体的には、エーテル基(メトキシ基、tert−ブトキシ基、アリルオキシ基、ベンジルオキシ基、トリフェニルメトキシ基、トリメチルシリルオキシ基等)、ヘミアセタール基(テトラヒドロピラニルオキシ基等)、エステル基(アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−ニトロベンゾイルオキシ基、ホルミルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等)、カルボナート基(エトキシカルボニルオキシ基、フェノキシカルボニルオキシ基、tert−ブチルオキシカルボニルオキシ基等)、スルホナート基(p−トルエンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基等)、カルバモイルオキシ基(フェニルカルバモイルオキシ基等)、チオカルボニルオキシ基(ベンジルチオカルボニルオキシ基等)、硝酸エステル基、スルフェナート基(2,4−ジニトロベンゼンスルフェニルオキシ基等)が挙げられる。
3は最も好ましくはヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する炭素数2〜5の第1級アルキル基であり、例えば2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルである。R2及びR3の最も好ましい組合せは、R2が第3級アルキル基(t−ブチル、t−アミル基、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシル等)であり、R3がヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する炭素数1〜20の第1級アルキル基(2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル等)である。複数のR2、R3は同じでも異なっていてもよい。一般式(RD1a)で表される化合物の具体例としては、米国特許6800431号明細書のカラム6〜16に記載の化合物R−1〜R−20、R−58〜R−59があげられる。
4は水素原子又はベンゼン環上に置換可能な基を表すが、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル、パーフルオロオクチル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロペンチル等)、アルキニル基(プロパルギル等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル等)、複素環基(ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等)、ハロゲン原子(塩素、臭素、沃素、フッ素)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等)、スルファモイル基(アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、ウレタン基(メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、フェニルウレイド、2−ピリジルウレイド等)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等)、カルバモイル基(アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル)、アミド基(アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ヘキサンアミド、ベンズアミド等)、スルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、アミノ基(アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、アニリノ、2−ピリジルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。又、これらの基は更にこれらの基で置換されてもよい。n及びmは0〜2の整数を表すが、最も好ましくはn、m共に0の場合である。
又、R4はR2、R3と飽和環を形成してもよい。R4は好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。複数のR4は同じでも異なっていても良い。
一般式(RD2)中、R5はR1と同様の基であり、R7はR3と同様の基であり、R8はR4と同様の基である。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級又は3級のアルキル基であることはない。アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル等の基が挙げられる。
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
又、R6は(R8n及び(R8mと飽和環を形成してもよい。R6は、好ましくはメチルである。一般式(RD2)で表される化合物のうちでも好ましく用いられる化合物は欧州特許第1,278,101号明細書に記載の一般式(S)、一般式(T)を満足する化合物であり、具体的にはp21〜p28に記載の(1−24)、(1−28)〜(1−54)、(1−56)〜(1−75)の化合物があげられる。
これら一般式(RD1)、一般式(RD2)で表されるビスフェノール化合物は、従来公知の方法により容易に合成することができる。
本発明において、併用することができる還元剤としては、例えば、米国特許3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号の各明細書、RD17029号及び29963号、特開平11−119372号、特開2002−62616号の各公報等に記載されている還元剤が挙げられる。
前記一般式(RD1)で表される化合物を初めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当たり1×10-2〜10モル、特に好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
(バインダー)
本発明の銀塩感熱材料においては、種々の目的でバインダーを含有させる。
本発明に係るバインダーは、有機銀塩、還元剤、その他の成分を担持しうるものであり、好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマーや合成ポリマー、及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、特開2001−330918号の段落「0069」に記載のものが挙げられる。
これらの内、好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましくはポリビニルブチラールである。これらについては詳しく後述する。
又、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感熱層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。尚、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組み合わせて用い得る。
バインダーには−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2、−N(R)2、−N+(R)3(Mは水素原子、又はアルカリ金属塩基、Rは炭化水素基を表す)、エポキシ基、−SH、−CN等から選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を共重合又は付加反応で導入したものを用いることが好ましく、特に−SO3M、−OSO3M、が好ましい。この様な極性基の量は、1×10-1〜1×10-8モル/gであり、好ましくは1×10-2〜1×10-6モル/gである。
この様なバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。
効果的な範囲は当業者が容易に決定し得る。例えば、感熱層(画像形成層)において少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2(質量比)が好ましく、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感熱層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましく、更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
本発明で用いるバインダーのガラス転移温度(Tg)は、70〜105℃であることが好ましい。Tgは示差走査熱量計で測定して求めることができ、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点をTgとする。本発明におけるTgは、ブランドラップ等による「重合体ハンドブック」III−139〜179頁(1966年,ワイリーアンドサン社版)に記載の方法で求めたものである。
バインダーが共重合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2Tg2+・・・+vnTgn
式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは共重合体中の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表す。上式に従って計算されたTgの精度は±5℃である。
Tgが70〜105℃のバインダーを用いると、画像形成において十分な最高濃度が得ることができ好ましい。
本発明に係るバインダーとしては、Tgが70〜105℃、数平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。又、エチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体又は共重合体については、特開2001−330918号の段落番号「0069」に記載のものが挙げられる。
これらの内、特に好ましい例としては、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、スチレン類等が挙げられる。この様な高分子化合物の中でも、アセタール基を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分子化合物でも、アセトアセタール構造を持つポリビニルアセタールであることがより好ましく、例えば米国特許2,358,836号、同3,003,879号、同2,828,204号、英国特許771,155号等に示されるポリビニルアセタールを挙げることができる。
アセタール基を持つ高分子化合物としては、特開2002−287299号公報の「0150」に記載の一般式(V)で表される化合物が、特に好ましい。
本発明で用いることのできるポリウレタン樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタン等公知のものが使用できる。又、ポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のヒドロキシル基を有することが好ましい。ヒドロキシル基は、硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。特に、ヒドロキシル基が分子末端にある方が、硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子末端にヒドロキシル基を3個以上有することが好ましく、4個以上有することが特に好ましい。本発明において、ポリウレタンを用いる場合は、Tgが70〜105℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.5〜100N/mm2が好ましい。
これらの高分子化合物(ポリマー)は単独で用いてもよいし、2種類以上をブレンドして用いてもよい。
本発明に係る感熱層には上記ポリマーを主バインダーとして用いることが好ましい。ここで言う主バインダーとは、「感熱層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが占めている状態」をいう。従って、全バインダーの50質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよい。これらのポリマーとしては、本発明のポリマーが可溶となる溶媒であれば特に制限はない。より好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
感熱層に有機性ゲル化剤を含有せしめてもよい。尚、ここで言う有機性ゲル化剤とは、例えば多価アルコール類のように、有機液体に添加することにより、その系に降伏値を付与し、系の流動性を消失あるいは低下させる機能を有する化合物を言う。
感熱層用塗布液が水性分散されたポリマーラテックスを含有するのも好ましい態様である。この場合、感熱層用塗布液中の全バインダーの50質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。又、感熱層の調製においてポリマーラテックスを使用した場合、感熱層中の全バインダーの50質量%以上がポリマーラテックス由来のポリマーであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
ここで、ポリマーラテックスとは、水不溶性の疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち、分子鎖自身が分子状分散したもの等、何れでもよい。分散粒子の平均粒径は1〜50,000nmが好ましく、より好ましくは5〜1,000nm程度の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも、単分散の粒径分布を持つものでもよい。
本発明の銀塩感熱材料に用いることができるポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、所謂コア/シェル型のラテックスでもよい。この場合、コアとシェルはTgを変えると好ましい場合がある。本発明に係るポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃であることが好ましく、更に好ましくは0〜70℃程度である。又、最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。
上記造膜助剤は可塑剤とも呼ばれ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常、有機溶媒)であり、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著,高分子刊行会発行,1970)」に記載されている。
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はこれらの共重合体等がある。ポリマーとしては、直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、又、架橋されたポリマーでもよい。又、ポリマーとしては、単一のモノマーが重合した所謂ホモポリマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合は、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は、数平均分子量で、通常、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000程度である。分子量が小さすぎるものは感熱層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く、共に好ましくない。
ポリマーラテックスは、25℃・60%RH(相対湿度)での平衡含水率が0.01〜2質量%以下のものが好ましく、更に好ましくは、0.01〜1質量%のものである。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14,高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」等を参考にすることができる。
ポリマーラテックスの具体例としては、特開2002−287299号公報の「0173」に記載の各ラテックスが挙げられる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよい。ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレート又はメタクリレート成分の如きカルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが好ましい。
更に、必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は前記感熱層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
感熱層用塗布液の調製における有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスの添加の順序については、何れを先に添加してもよいし、同時に添加してもよいが、好ましくはポリマーラテックスが後である。
更に、ポリマーラテックス添加前に有機銀塩、更には還元剤が混合されていることが好ましい。又、有機銀塩とポリマーラテックスを混合した後、経時させる温度が低すぎると塗布面状が損なわれ、高すぎるとカブリが上昇する問題があるので、混合後の塗布液は30〜65℃で上記時間経時されることが好ましい。更には、35〜60℃で経時されることが好ましく、特に35〜55℃での経時が好ましい。この様に温度を維持するには、塗布液の調液槽等を保温すればよい。
感熱層用塗布液の塗布は、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを混合した後、30分〜24時間経過した塗布液を用いるのが好ましく、更に好ましくは、混合した後、60分〜12時間経過させることであり、特に好ましくは、120分〜10時間経過した塗布液を用いることである。
ここで、「混合した後」とは、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを添加し、添加素材が均一に分散された後を言う。
(架橋剤)
本発明に係る感熱層には、本発明に係るバインダー同士を橋かけ結合によってつなぐことができる架橋剤を含有させることができる。架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより、膜付きが良くなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
用いられる架橋剤としては、従来、写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば特開昭50−96216号に記載されるアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤が用いられるが、好ましくは、以下に示すイソシアネート系、シラン化合物系、エポキシ系化合物又は酸無水物である。
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3価のポリアルコール類との付加体等が挙げられる。具体例として、特開昭56−5535号の10〜12頁に記載されるイソシアネート化合物を利用することができる。
尚、イソシアネートとポリアルコールの付加体は、特に層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイソシアネートは、熱現像感光材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)感熱層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感熱層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
又、本発明に使用可能なチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
上記架橋剤の使用量は、銀1モルに対して、通常、0.001〜2モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
本発明において含有させることができるイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、当該官能基を1個のみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
シラン化合物の例としては、特開2001−264930号に開示されている一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
又、架橋剤として使用できるエポキシ化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。又、エポキシ化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマー等の何れであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーの何れであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2,000〜20,000程度である。
本発明に用いられる酸無水物は、下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。この様な酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はない。
−CO−O−CO−
上記のエポキシ化合物や酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。このエポキシ化合物や酸無水物は、感熱層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感熱層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
(カブリ防止及び画像安定化剤)
本発明の銀塩感熱材料のいずれかの構成層には、熱現像前の保存時におけるカブリ発生を防止するためのカブリ防止剤、及び熱現像後における画像の劣化を防止するための画像安定化剤を含有させておくことが好ましい。
本発明の銀塩感熱材料に用いることができるカブリ防止及び画像安定化剤について説明する。
本発明に係る還元剤として、主にビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンを持った還元剤が用いられているので、これらの水素を安定化し還元剤を不活性化し、銀イオンを還元する反応を防止防止できる化合物が含有されていることが好ましい。また、生フィルムや画像の保存時に生成する銀原子ないし金属銀(銀クラスター)を酸化漂白できる化合物が含有されていることが好ましい。これらの機能を有する化合物の具体例としてビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物を挙げることができる。上記のビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物の添加量は0.001〜0.1モル/m2、好ましくは0.005〜0.05モル/m2の範囲である。
本発明に用いる還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)を有する場合、特にビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物の具体例としては、例えば、特開2002−90937号公報の段落「0061」〜「0064」に記載の化合物(II−1)〜(II−40)が挙げられる。
また、一方、カブリ防止及び画像安定化剤として、ハロゲン原子を活性種として放出できる化合物も多くのものが知られている。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特開2002−287299号公報の[0264]〜[0271]に記載の一般式(9)の化合物が挙げられる。
これらの化合物の添加量は、当該化合物から放出されるハロゲンと銀イオンが反応してハロゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が実質的に問題にならない範囲が好ましい。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、上記の公報の他に、特開2002−169249号公報の段落「0086」〜「0087」に記載されている化合物(III−1)〜(III−23)、特開2003−50441号公報の段落「0031」〜「0034」記載の化合物1−1a〜1−1o、1−2a〜1−2o、段落「0050」〜「0056」記載の化合物2a〜2z、2aa〜2ll、2−1a〜2−1f、特開2003−91054号公報の段落「0055」〜「0058」記載の化合物4−1〜4−32、段落「0069」〜「0072」記載の化合物5−1〜5−10を挙げることができる。
本発明で好ましく使用されるカブリ防止剤としては、例えば、特開平8−314059号公報の段落「0012」に記載の化合物例a〜j、特開平7−209797号公報の段落「0028」に記載のチオスルホネートエステルA〜K、特開昭55−140833号公報のp14から記載の化合物例(1)〜(44)、特開2001−13627号公報の段落「0063」記載の化合物(I−1)〜(I−6)、段落「0066」記載の(C−1)〜(C−3)、特開2002−90937号公報の段落「0027」記載の化合物(III−1)〜(III−108)、ビニルスルホン類及び/又はβ−ハロスルホン類の化合物として特開平6−208192号公報の段落「0013」に記載の化合物VS−1〜VS−7、化合物HS−1〜HS−5、スルホニルベンゾトリアゾール化合物として特開2000−330235号公報に記載のKS−1〜KS−8の化合物、置換されたプロペンニトリル化合物として特表2000−515995号公報に記載のPR−01〜PR−08、特開2002−207273号公報の段落「0042」〜「0051」に記載の化合物(1)−1〜(1)−132、を挙げることができる。
上記カブリ防止剤は一般に銀のモルに対して少なくとも0.001モル用いる。通常、その範囲は銀のモルに対して化合物は0.01〜5モル、好ましくは銀のモルに対して化合物は0.02〜0.6モルである。
尚、上記の化合物の他に、本発明の銀塩感熱材料中には、従来カブリ防止剤として知られている各種化合物が含まれてもよいが、上記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であってもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、同4,546,075号、同4,452,885号の各明細書、特開昭59−57234号公報、米国特許第3,874,946号明細書、同4,756,999号明細書、特開平9−288328号公報、同9−90550号公報に記載されている化合物が挙げられる。更に、その他のカブリ防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同605,981号、同631,176号の各明細書に開示されている化合物が挙げられる。
(潤滑剤)
潤滑剤としては例えば特開平11−84573号の段落「0061」〜「0064」に記載されている公知の潤滑剤を使用することができるが、固体潤滑剤粒子や常温で液体の潤滑剤を用いることが好ましい。常温で液体の潤滑剤としては例えば特開2003−15259号の段落「0019」に記載されている化合物があげられる。固体潤滑剤粒子としては、平均粒径が1〜30μmの有機固体潤滑剤粒子を使用することが好ましく、また有機固体潤滑剤粒子の融点が、110℃以上、200℃以下であることが好ましい。
(支持体)
本発明の銀塩感熱材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(アルミニウム等)等が挙げられるが、情報記録材料としての取扱い上は、可撓性のあるシート又はロールに加工できるものが好適である。従って、本発明の銀塩感熱材料における支持体としては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム(TAC)又はポリカーボネート(PC)フィルム等のプラスチックフィルムが好ましく、特に2軸延伸したPETフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
帯電性を改良するために金属酸化物及び/又は導電性ポリマー等の導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらは何れの層に含有させてもよいが、好ましくはバッキング層又は感熱層側の表面保護層、下引層等に含まれる。米国特許5,244,773号のカラム14〜20に記載された導電性化合物等が好ましく用いられる。中でも、本発明では、バッキング層側の表面保護層に導電性金属酸化物を含有することが好ましい。このことで、更に本発明の効果(特に熱現像処理時の搬送性)を高められることが判った。
ここで、導電性金属酸化物とは、結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は、一般的に言って導電性が高いので特に好ましく、特に後者はハロゲン化銀乳剤にカブリを与えないので特に好ましい。金属酸化物の例としてZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、又はこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、又、TiO2に対してはNb、Ta等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜30モル%の範囲が好ましいが、0.1〜10モル%であれば特に好ましい。更に又、微粒子分散性、透明性改良のために、微粒子作製時に珪素化合物を添加してもよい。
本発明に用いられる金属酸化物微粒子は導電性を有しており、その体積抵抗率は107Ω・cm以下、特に105Ω・cm以下である。これらの酸化物については特開昭56−143431号、同56−120519号、同58−62647号等に記載されている。更に又、特公昭59−6235号に記載の如く、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状物(酸化チタン等)に上記の金属酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。
利用できる粒子サイズは1μm以下が好ましいが、0.5μm以下であると分散後の安定性が良く使用し易い。又、光散乱性をできるだけ小さくするために、0.3μm以下の導電性粒子を利用すると、透明感光材料を形成することが可能となり大変好ましい。又、導電性金属酸化物が針状あるいは繊維状の場合は、その長さは30μm以下で直径が1μm以下が好ましく、特に好ましいのは長さが10μm以下で直径0.3μm以下であり、長さ/直径比が3以上である。尚、SnO2としては、石原産業社より市販されており、SNS10M、SN−100P、SN−100D、FSS10M等を用いることができる。
(構成層)
本発明の銀塩感熱材料は、支持体上に少なくとも1層の画像形成層である感熱層を有している。支持体上に感熱層のみを形成してもよいが、感熱層の上に少なくとも1層の非感熱層を形成することが好ましい。例えば、感熱層の上には保護層が、感熱層を保護する目的で設けられることが好ましく、又、支持体の反対の面には、感光材料間の、あるいは感光材料ロールにおける「くっつき」を防止するために、バックコート層が設けられる。
これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては、感熱層よりもガラス転位点(Tg)が高く、擦傷や、変形の生じ難いポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のポリマーが、前記のバインダーの中から選ばれる。
尚、階調調整等のために、感熱層を支持体の一方の側に2層以上又は支持体の両側に1層以上設置してもよい。
(構成層の塗布)
本発明の銀塩感熱材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば、感熱層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下(より好ましくは90質量%以下)となる前に、上層を設けることである。
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えば、バーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いることができる。
上記の各種方法のうち、より好ましくはスライド塗布法、エクストリュージョン塗布法である。これらの塗布方法は感熱層を有する側について述べたが、バック層を設ける際、下引きと共に塗布する場合についても同様である。銀塩感熱材料における同時重層塗布方法に関しては、特開2000−15173号公報に詳細な記載がある。
尚、本発明において、塗布銀量は銀塩感熱材料の目的に応じた適量を選ぶことが好ましいが、0.3g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましく、0.5g/m2以上、1.5g/m2以下がより好ましい。
本発明においては、銀塩感熱材料が現像時に溶剤を5〜1,000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。10〜150mg/m2であるように調整することがより好ましい。それにより、高感度、低カブリ、最高濃度の高い熱現像感光材料となる。溶剤としては、特開2001−264930号公報の段落「0030」に記載のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらの溶剤は単独または数種類組合せて用いることができる。
尚、熱現像感光材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。また、当該溶剤の含有量は、含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
(サーモグラフィー処理)
サーモグラフィー像形成は、像を通る直接露出によるもしくは像からの反射によるアナログ方式、または例えばNd−YAGレーザーもしくは赤外レーザーを用いる、好ましくは赤外吸収化合物を含有する実質的に非感光性のサーモグラフィー記録材料を用いる赤外熱源の使用による画素毎のデジタル方式のいずれかによる像通りの熱適用により或いは熱ヘッドを用いる直接的熱像形成により行なわれる。
熱印刷では、像信号は電気パルスに転換されそして次に駆動回路を通って選択的に熱印刷ヘッドに移される。熱印刷ヘッドは微細な熱抵抗要素よりなり、それが電気エネルギーをジュール効果により熱に転換させる。普通の熱印刷ヘッドの操作温度は300〜400℃の範囲内であり、そして1個の画要素(画素)当たりの加熱時間は1.0msより短くてよく、熱印刷ヘッドと記録材料との加圧接触は例えば200−1000g/線状cmであり、すなわち良好な熱移動を確実にするには200〜300μmの接触領域(隙間)で5000〜50,000g/cm2である。
最も外側の層が保護層でない場合の感熱性要素と同じ支持体側での熱印刷ヘッドと最も外側の層との直接的接触を避けるために、熱印刷ヘッドを用いる記録材料の像通りの加熱は接触するが除去可能な樹脂シートまたはウエブを通して行なうことができ、そこから加熱中に記録材料の移動は起こり得ない。
加熱要素の作動は動力で調整するかまたは一定動力ではパルス長さで調整することができる。欧州特許出願公開第654355号明細書は電圧適用可能な加熱要素を有する熱ヘッドによる像通りの加熱により像を形成する方法を開示しており、そこでは加熱要素の作動はパルス通りにデューティーサイクロ化されて行なわれる。欧州特許出願公開第622217号明細書は連続的な色調再現性における改良を生ずる直接熱像形成要素を用いる像の形成方法を開示している。
記録材料の像通りの加熱は材料中に加えられた電気抵抗性リボンを用いて行なうこともできる。記録材料の像またはパターン通りの加熱を画素通りに調整される超音波により行なうこともできる。
(銀塩感熱材料の画像形成)
本発明の銀塩感熱材料は、画像記録する際にサーマルヘッドプリンター又はレーザ光線を用いるのが好ましい。特に、レーザパワーがハイパワーであることや、銀塩感熱材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
また特に本発明の銀塩感熱材料は、好ましくは光量が1mW/mm2以上の高照度の光で短時間露光されることでその特性を発揮する。ここでの照度は熱現像後の感光材料が3.0の光学濃度がでるときの照度を言う。このような高照度で露光を行うと必要な光学濃度を得るために必要な光量(=照度*露光時間)が少なくてすみ、高感度システムを設計できる。より好ましくはその光量は2mW/mm2以上50W/mm2以下であり、さらに好ましくは10mW/mm2以上50W/mm2以下である。
上記のような光源であればどのようなものでも構わないが、レーザであることによって好ましく達成できる。本発明の感光材料にこのましく用いられるレーザとしては、ガスレーザ(Ar+、Kr+、He−Ne)、YAGレーザ、色素レーザ、半導体レーザなどが好ましい。また、半導体レーザと第2高調波発生素子などを用いることもできる。また青〜紫発光の半導体レーザ(波長350nm〜440nmにピーク強度を持つもの等)を用いることができる。青〜紫発光の高出力半導体レーザとしては日亜化学のNLHV3000E半導体レーザを挙げることができる。
本発明において、露光はレーザ走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、感光材料の露光面と走査レーザ光の為す角が実質的に垂直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙げられる。
ここで、「実質的に垂直になることがない」とは、レーザ光走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55〜88度、より好ましくは60〜86度、更に好ましくは65〜84度、最も好ましくは70〜82度であることを言う。
レーザ光が感光材料に走査される時の、感光材料露光面でのビームスポット直径は好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方が、レーザ光入射角度の垂直からの「ずらし角度」を減らせる点で好ましい。尚、ビームスポット直径の下限は10μmである。この様なレーザ走査露光を行うことにより、干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることができる。
又、第2の方法として、露光は縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳を掛ける、等の方法がよい。尚、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常、露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
更に、第3の態様としては、2本以上のレーザ光を用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。この様な複数本のレーザ光を利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば特開昭60−166916号等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザ光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、これはレーザイメージャー等と原理的に同じレーザ走査光学装置である。
尚、上述した第1、第2及び第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でも、メンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザによるレーザ光を用いるのが好ましい。尚、レーザイメージャやレーザイメージセッタで使用されるレーザにおいて、銀塩感熱材料に走査される時の該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は銀塩感熱材料固有のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、銀塩感熱材料毎に最適な値に設定することができる。
(メッキ処理)
本発明では、前記画像記録処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるためメッキ処理を行う。本発明ではメッキ処理のみで導電性金属粒子を金属性部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とメッキ処理を組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
本発明において、メッキ処理は、無電解メッキ(化学還元メッキや置換メッキ)、電解メッキ、又は無電解メッキと電解メッキの両方を用いることができる。本発明における無電解メッキは、公知の無電解メッキ技術を用いることができ、例えば、プリント配線板などで用いられている無電解メッキ技術を用いることができ、無電解メッキは無電解銅メッキであることが好ましい。
無電解銅メッキ液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤としてホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子としてEDTAやトリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やメッキ皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。電解銅メッキ浴としては、硫酸銅浴やピロリン酸銅浴が挙げられる。
本発明におけるメッキ処理時のメッキ速度は、緩やかな条件で行うことができ、さらに5μm/hr以上の高速メッキも可能である。メッキ処理において、メッキ液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTAなどの配位子など種々の添加剤を用いることができる。
(酸化処理)
本発明では、熱現像処理後の金属銀部、並びにメッキ処理後に形成される導電性金属部には、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。酸化処理は、銀塩含有層の露光及び熱現像処理後、あるいは物理現像又はメッキ処理後に行うことができ、さらに熱現像処理後と物理現像又はメッキ処理後のそれぞれで行ってもよい。
本発明では、さらに露光及び熱現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解メッキ又は物理現像速度を促進させることができる。
(定着処理)
本発明では、熱現像後に光透過性部に残った不要な銀イオンを除去するため、定着剤を用いて定着処理を施すことが好ましい。定着剤にはアルキルチオエーテルタイプとして下記Fixer−1が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
下記Fixer−1を水、メタノールなどの溶媒に1〜5質量%程度溶解し、30℃程度に加温した定着液に、メッキ処理および酸化処理を施した後に、サンプルを30秒〜2分程度浸漬することで、光透過性部に残った余分な銀イオンが除去され、光や熱に対して安定な電磁波シールド膜が得られる。
Fixer−1
OH−CH2−CH2−S−CH2−CH2−S−CH2−CH2−OH
(導電性金属部)
次に、本発明における導電性金属部について説明する。
本発明では、導電性金属部は、前述した露光及び熱現像処理により形成された金属銀部をメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させることにより形成される。
金属銀は、露光部に形成させる場合と、未露光部に形成させる場合がある。物理現像核を利用した銀塩拡散転写法(DTR法)は、未露光部に金属銀を形成させるものである。本発明においては、透明性を高めるために露光部に金属銀を形成させることが好ましい。
前記金属部に担持させる導電性金属粒子としては、上述した銀のほか、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、コバルト、スズ、ステンレス、タングステン、クロム、チタン、パラジウム、白金、マンガン、亜鉛、ロジウムなどの金属、又はこれらを組み合わせた合金の粒子を挙げることができる。導電性、価格等の観点から導電性金属粒子は、銅、アルミニウム又はニッケルの粒子であることが好ましい。また、磁場シールド性を付与する場合、導電性金属粒子として常磁性金属粒子を用いることが好ましい。
上記導電性金属部において、コントラストを高くし、かつ導電性金属部が経時的に酸化され退色されるのを防止する観点からは、導電性金属部に含まれる導電性金属粒子は銅粒子であることが好ましく、少なくともその表面が黒化処理されたものであることがさらに好ましい。黒化処理は、プリント配線板分野で行われている方法を用いて行うことができる。例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/l)、水酸化ナトリウム(15g/l)、リン酸三ナトリウム(12g/l)の水溶液中で、95℃で2分間処理することにより黒化処理を行うことができる。
上記導電性金属部は、該導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して、銀を50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがさらに好ましい。銀を50質量%以上含有すれば、メッキ処理に要する時間を短縮し、生産性を向上させ、かつ低コストとすることができる。
さらに、導電性金属部を形成する導電性金属粒子として銅及びパラジウムが用いられる場合、銀、銅及びパラジウムの合計の質量が導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明における導電性金属部は、導電性金属粒子を担持するため良好な導電性が得られる。このため、本発明の透光性電磁波シールド膜(導電性金属部)の表面抵抗値は、103Ω/sq以下であることが好ましく、2.5Ω/sq以下であることがより好ましく、1.5Ω/sq以下であることがさらに好ましく、0.1Ω/sq以下であることが最も好ましい。
本発明の導電性金属部は、透光性電磁波シールド材料としての用途である場合、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた幾何学図形であることが好ましく、これらの幾何学図形からなるメッシュ状であることがさらに好ましい。EMIシールド性の観点からは三角形の形状が最も有効であるが、可視光透過性の観点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり可視光透過性が大きくなるので有利である。
なお、導電性配線材料の用途である場合、前記導電性金属部の形状は特に限定されず、目的に応じて任意の形状を適宜決定することができる。
透光性電磁波シールド材料の用途において、上記導電性金属部の線幅は20μm以下、線間隔は50μm以上であることが好ましい。また、導電性金属部は、アース接続などの目的においては、線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。また画像を目立たせなくする観点からは、導電性金属部の線幅は18μm未満であることが好ましく、15μm未満であることがより好ましく、14μm未満であることがさらに好ましく、10μm未満であることがさらにより好ましく、7μm未満であることが最も好ましい。
本発明における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、メッシュをなす細線のない部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅10μm、ピッチ200μmの正方形の格子状メッシュの開口率は、90%である。
(光透過性部)
本発明における「光透過性部」とは、透光性電磁波シールド膜のうち導電性金属部以外の透明性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、支持体の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。
実施例1
《下引加工した写真用支持体の作製》
光学濃度0.150(コニカ(株)製デンシトメータPDA−65で測定)に2軸延伸熱固定した厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に、8W・分/m2のコロナ放電処理を施した写真用支持体に、下引加工を行った。即ち、この写真用支持体の一方の面に下引塗布液a−1を乾燥膜厚が0.2μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥して感熱層(画像形成層)側下引層を形成した(下引下層A−1という)。また、反対側の面にバッキング層下引層として下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚が0.12μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させてバッキング層側に帯電防止機能を持つ下引導電層(下引下層B−1という)を塗設した。下引下層A−1と下引下層B−1の上表面に、8W・分/m2のコロナ放電を施し、下引下層A−1の上には下記下引塗布液a−2を乾燥膜厚0.03μmになるように33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層A−2とし、下引下層B−1の上には下記下引塗布液b−2を乾燥膜厚0.2μmになるように33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層B−2とし、更に123℃で2分間支持体を熱処理し25℃、50%RHの条件下で巻き取り、下引済み試料を作製した。
[アクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3の作製]
乳化重合により、表1に示すモノマー組成を有するアクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3を合成した。固形分濃度は全て30質量%とした。
Figure 2007096213
[感熱層側下引下層用塗布液a−1]
アクリル系ポリマーラテックスC−3(固形分30%) 70.0g
エトキシ化アルコールとエチレンホモポリマーの水分散物(固形分10%)
5.0g
界面活性剤(A) 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
《感熱層側下引上層用塗布液a−2》
変性水性ポリエステルB−2(18質量%) 30.0g
界面活性剤(A) 0.1g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50)
0.04g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
[バッキング層側下引下層用塗布液b−1]
アクリル系ポリマーラテックスC−1(固形分30%) 30.0g
アクリル系ポリマーラテックスC−2(固形分30%) 7.6g
SnO2ゾル 180g
(特公昭35−6616号公報の実施例1に記載の方法で合成したSnO2ゾルを固形分濃度が10質量%になるように加熱濃縮した後、アンモニア水でpH=10に調整したもの)
界面活性剤(A) 0.5g
PVA−613(クラレ(株)製 PVA)5質量%水溶液 0.4g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
[バッキング層側下引上層用塗布液b−2]
変性水性ポリエステルB−1(18質量%) 145.0g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50) 0.2g
界面活性剤(A) 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
なお、前記下引層を施した支持体の下引層B−2上には下記の組成のバックコート層、バックコート層保護層を塗設した。
Figure 2007096213
〈バックコート層塗布液の調製〉
メチルエチルケトン(MEK)830gを撹拌しながら、セルロースアセテートプロピオネート(Eastman Chemical社製:CAP482−20)84.2g及びポリエステル樹脂(Bostic社:VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。次に、溶解した液に0.30gの下記赤外染料1を添加し、更にメタノール43.2gに溶解したフッ素系界面活性剤(旭硝子社製:サーフロンKH40)4.5gとフッ素系界面活性剤(大日本インキ社製:メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。次にオレイルオレートの2.5gを添加、撹拌しバックコート層塗布液を調製した。
Figure 2007096213
〈バックコート層保護層(表面保護層)塗布液の調製〉
バックコート層保護層についても下記の組成比率でバックコート層塗布液と同様にして調製した。シリカについてはMEKに1%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散を行い、最後に添加した。
セルロースアセテートプロピオネート(10%MEK溶液) 15g
(Eastman Chemical社製:CAP482−20)
単分散度15%の単分散シリカ(平均粒径:10μm) 0.03g
(シリカ全質量の1%のアルミニウムで表面処理)
817(CH2CH2O)12817 0.075g
フッ素系ポリマー(FM−1) 0.05g
ステアリン酸 0.1g
ステアリン酸ブチル 0.1g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.1g
Figure 2007096213
前記のように調製したバックコート層塗布液、バックコート層保護層塗布液を、乾燥膜厚がそれぞれ3.5μmになるように、下引上層B−2上に押出しコーターにて塗布速度50m/minにて塗布を行った。尚、乾燥は乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて行った。
〈銀塩感熱材料の作製〉
比較例1の作製
従来知られている金属メッシュからなる電磁波シールド膜の比較例として、特開2003−46293号公報の実施例1に記載のものを比較例1とした。
比較例2の作製
銀塩を用いる比較例として、特開2004−221564号公報の実施例1に記載のサンプルBを比較例2とした。
サンプルAの作製
実質的に非感光性の銀塩感熱材料を以下の通りにして製造した分散液をコーティングすることにより製造した。
25.42gのメチルエチルケトン、12.375gの結合剤および33mgのオイル(ベイシロン:バイエル(BAYER)社製シリコーン油)を含有する第一溶液を製造した。この溶液に、100gの分散液当たり10.7gのベヘン酸銀および9.35gの結合剤Aを含有する36.8gのベヘン酸銀分散液を加えた。次に、メチルエチルケトン中に0.567gの3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、0.596gの3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、0.126gの無水テトラクロロフタル酸および0.100gのベンゾトリアゾールを含有する9.4gの溶液を添加した。更に、上記赤外染料1の1%メチルエチルケトン溶液を赤外染料の付き量として20mg/m2となるように添加した。最後に、2.2gのメチルエチルケトン中8質量%4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン溶液を加えた。得られた塗布液を上述した支持体のバックコート層の反対側の下引き済みの層の上にドクターブレードコーティングして、50℃において1時間にわたり乾燥して本発明の銀塩感熱材料を得た。
結合剤A:ビニルアセトアセタール(41):ビニルブチラール(27):ビニルアルコール(16):酢酸ビニル(2)の共重合体(括弧内の数字はそれぞりのモノマーモル%を表す)
画像形成
得られた本発明の銀塩感熱材料に対して、820nmの半導体レーザーを用いて、最大500mJ/cm2の露光エネルギーを与える露光源を有する露光機により、レーザー走査により格子状にパターン露光(ライン/スペース=10μm/190μm)を与えた。
メッキ処理
上記のように画像処理した試料を、メッキ液(硫酸銅0.06mol/L、ホルマリン0.22mol/L、トリエタノールアミン0.12mol/L、ポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α,α′−ビピリジン20ppmを含有する、pH=12.5の無電解Cuメッキ液)を用い、45℃にて無電解銅メッキ処理を行ったのち、10ppmのFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行い、サンプルAを得た。
上述した、比較例1、2及びサンプルAについて、下記の評価を行い結果を表2に示す。
評価方法
(表面抵抗値)
表面抵抗値は横川電機製デジタルマルチメーター7541を用い抵抗値を測定した。本発明では、金属線のメッシュの上に保護膜で保護されているのでこの保護膜上から抵抗値を測定した。抵抗値の測定は23℃相対湿度50%の部屋で行った。
(透過率)
JIS−R−1635に従い、日立製作所製分光光度計U−4000型を用いて測定を行った。試験光の波長は550nmとした。
(モアレ評価)
日立製PDP及び松下電器製PDP前面に、モアレが最小のバイアス角度で電磁波シールド膜を設置し、目視による官能評価を行った。PDPに正対して観察すると共に、PDPに対して視点を様々な位置に置いてPDP画像表示面に対して斜め方向から観察を行った。いずれのモアレが顕在化しなかった場合を○、モアレが顕在化したサンプルを×と評価した。
Figure 2007096213
表2から、本発明のサンプルAは各特性において比較に対して優れていることが判る。
実施例2
実施例1で作製した支持体のバックコート層の反対側の下引き済みの層の上に、下記分散体又は溶液を、下記塗布量になるように、ドクターブレードコーティングして、50℃において1時間にわたり乾燥して本発明の銀塩感熱材料を得た。
ベンゾトリアゾール銀分散液の調製
攪拌器を備えた反応器に、石灰処理ゼラチン85gと、フタル化ゼラチン25gと、脱イオン水2000gとを導入した。ベンゾトリアゾール185gと、脱イオン水1405gと、2.5M/Lの水酸化ナトリウム溶液680gとを含有する溶液を調製した(溶液B)。必要に応じて溶液Bと2.5M/Lの水酸化ナトリウム溶液とを添加することにより、反応器内の混合物をpAg7.25およびpH8.0に調節し、36℃の温度に維持した。硝酸銀228.5gと脱イオン水1222gとを含有する溶液(溶液C)を、流量=16(1+0.002t2)mL/分(前記式中「t」は時間「分」である)の加速された流量で、ケトルに添加し、溶液Bを同時に添加することによりpAgを7.25に維持した。溶液Cが使い果たされたときに、このプロセスを終了させ、その時点でフタル化ゼラチン80gと脱イオン水700gとから成る40℃の溶液をケトルに添加した。次いで混合物を攪拌し、そのpHを2M/Lの硫酸溶液でpHを2.5に調節することにより、銀塩乳剤を凝固させた。この凝塊を脱イオン水5リットルで2回洗浄し、2.5M/Lの水酸化ナトリウム溶液および溶液Bで、pHを6.0に、pAgを7.0に調節することにより再分散させた。結果として生じた銀塩分散液は、ベンゾトリアゾール銀塩の微粒子を含有している。ベンゾトリアゾール銀は4.19g/m2塗布した。
赤外染料1のポリマー分散物の調製
純水85gにゼラチン10gを溶解し、20%DBS(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)4.5gを添加した。酢酸エチル21gに低分子量PVB(積水化学製ポリビニルブチラール:平均重合度350)を3.5g、上述した赤外染料1の0.15gを溶解した液を、上記ゼラチン液に添加し、US分散機にて10分間分散し、赤外染料1のポリマー分散物を調製した。
上記ポリマー分散物を、銀塩感熱材料のベンゾトリアゾール銀と同一層の塗布液中に、赤外染料の付き量として20mg/m2となるように添加した。
その外、1,1′(メチレン−ビス(スルホニル)ビス−エテン)0.11g/m2、ベンゾトリアゾールナトリウム0.11g/m2、沃化−3−メチルベンソチアゾリウム0.09g/m2、コハク酸イミド0.14g/m2、1,3−ジメチルウレア0.14g/m2、3,3’−ジチオビス(4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール)2.17g/m2、L−アスコルビン酸2.03g/m2、化合物A0.07g/m2、石灰処理ゼラチン2.99g/m2、になるようにした分散液を作製し、銀塩感熱材料のベンゾトリアゾール銀と同一層の塗布液中に添加した。
Figure 2007096213
画像形成
得られた銀塩感熱材料に対して、820nmの半導体レーザーを用いて、最大500mJ/cm2の露光エネルギーを与える露光源を有する露光機により、レーザー走査により格子状にパターン露光(ライン/スペース=10μm/190μm)を与えた。
メッキ処理
実施例1と同様にしてメッキ処理及び酸化処理を行い、本発明のサンプルBを得た。
定着処理
本発明のサンプルBを得た後に、Fixer−1の3質量%のメタノール液(30℃に加温)に1分間浸漬し、更にメタノールで30秒間洗浄し、サンプルCを得た。
評価方法
表面抵抗、透過率及びモアレ評価は実施例1と同様に行い結果は表3に示す。
ヘイズ評価
上記銀塩感熱材料のヘイズを、ASTM標準D1003に従い、BYK GARDNER製Haze−gard Plusを用いて、
ヘイズ(%)=(Td/Tt)×100
ここで、Tdは拡散視感透過率であり、Ttは合計視感透過率である、に従い、測定した。結果は表3に示す。
Figure 2007096213
表3から、本発明の試料はいずれも表面抵抗が低く(高い電磁波遮蔽性)、透過率、モアレ評価、ヘイズ評価も優れていることが判る。

Claims (6)

  1. 支持体上に、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩、銀イオン還元剤及びバインダーを含有する銀塩感熱材料を、熱により金属銀部と光透過性部を像様に形成し、さらに前記金属銀部に沿って導電性金属粒子を担持させた導電性金属部を形成することを特徴とする電磁波シールド膜の製造方法。
  2. 前記金属銀部に沿って導電性金属粒子を担持させた導電性金属部の形成がメッキ処理によることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド膜の製造方法。
  3. 前記銀塩感熱材料が、塗布液の総質量の40〜99質量%が水からなる塗布液を塗布して製造された銀塩感熱材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波シールド膜の製造方法。
  4. 熱により金属銀部と光透過性部を像様に形成した後に定着する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波シールド膜の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁波シールド膜の製造方法により製造されたことを特徴とする電磁波シールド膜。
  6. プラズマディスプレイパネル又はフィールドエミッションディスプレイの電磁波シールド膜として用いることを特徴とする請求項5に記載の電磁波シールド膜。
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