JP2005208103A - 熱現像感光材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、高濃度で、銀色調に優れ、光照射時の画像保存性、経時でのかぶり耐性に優れ、熱現像時の濃度むらに優れた熱現像感光材料を提供することにある。更に、高温保存時の画像保存性に優れ、かつフィルムの搬送性、環境適性に優れた熱現像感光材料を提供することにある。
【解決手段】 支持体上に有機銀塩、ハロゲン化銀、バインダー及び還元剤を含有する画像形成層を有する熱現像感光材料において、該バインダーの55〜100質量%が疎水性バインダーであり、かつ下記一般式(PP)で表される化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
【化1】
Figure 2005208103

〔式中、R21〜R26は、各々水素原子または置換基を表す。〕
【選択図】 なし

Description

本発明は、支持体上に有機銀塩、ハロゲン化銀、バインダー及び還元剤を含有する画像形成層を有する熱現像感光材料に関するものである。
従来、医療や印刷製版の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が作業性の上で問題となっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、熱を加えるだけで画像形成ができる熱現像感光材料が実用化され、上記分野で急速に普及してきている。
熱現像感光材料(以後、熱現像材料または単に感光材料ともいう)自体は既に古くから提案されており、例えば、米国特許第3,152,904号明細書、同第3,457,075号明細書に記載されている。
この熱現像感光材料は、通常、熱現像処理機と呼ばれる熱現像感光材料に安定した熱を加えて画像を形成する熱現像処理装置により処理される。上述したように、近年の急速な普及に伴い、この熱現像処理装置も多量に市場に供給されてきた。しかし、熱現像処理時の温湿度条件によっては、熱現像感光材料と熱現像処理装置の搬送ローラーや処理部材との間の滑り性が変化し、搬送不良や濃度むらが発生してしまうという問題点があった。また、熱現像感光材料の濃度が経時により変動してしまうという問題点もあった。これらの現象はレーザ光により画像露光した後、熱現像により画像形成する熱現像感光材料で顕著に発生することが分かった。また、近年、レーザイメージャーのコンパクト化や処理の迅速化が要望されている。
上記課題を解決するためには、熱現像感光材料の特性向上が必須となる。熱現像感光材料の迅速処理を行った際、十分な画像濃度を得るためには、特開平11−295844号、同11−352627号の各公報に開示されているように、ハロゲン化銀として平均粒子サイズの小さいものを用いて銀画像点数を増やすことによりカバリングパワーを上げたり、特開2001−209145号公報に開示されていうような2級、3級のアルキル基を有する高活性の還元剤を用いたり、あるいは、現像促進剤を用いた熱現像感光材料が提案されている(特許文献1参照。)。
一方、形成された銀色調の調整技術として、特表平8−510563号公報、特開平11−231460号公報等に開示されている。また、還元剤として、特定の構造を有するポリフェノール化合物とヒンダートフェノール化合物とを併用して、色調(純黒調)画像の改良を目的とした熱現像感光材料が提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。更に、プレカーサータイプのフタラジン誘導体を用いた銀色調改良方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開2001−264929号公報 (特許請求の範囲) 特開2002−169249号公報 (特許請求の範囲) 特開2002−236334号公報 (特許請求の範囲) 米国特許第6,630,291号明細書 (特許請求の範囲)
しかしながら、迅速化された熱現像処理を、上記提案されている各従来技術に適用すると、ハロゲン化銀の表面にフィラメント状の現像銀が形成されやすくなり、長期間にわたる保存過程(以下、経時ともいう)で、かぶり上昇が生じたり、光照射時の画像保存性(プリントアウト特性)が劣化したり、従来の湿式のX線フィルムと比べて銀色調が大きく異なってしまう(黄色味を帯びる)という問題が発生した。更に、ハロゲン化銀として平均粒子サイズの小さいものを用いた場合には、濃度2.0以上の高濃度画像部で色調が赤みを帯びてしまうという新たな問題も発生した。また、熱現像処理の迅速化を行った場合には熱現像時に濃度むらが発生してしまうという課題も明らかになった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高濃度で、銀色調に優れ、光照射時の画像保存性、経時でのかぶり耐性に優れ、熱現像時の濃度むらに優れた熱現像感光材料を提供することにある。更に、高温保存時の画像保存性に優れ、かつフィルムの搬送性、環境適性に優れた熱現像感光材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上に有機銀塩、ハロゲン化銀、バインダー及び還元剤を含有する画像形成層を有する熱現像感光材料において、該バインダーの55〜100質量%が疎水性バインダーであり、かつ下記一般式(PP)で表される化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
Figure 2005208103
〔式中、R21〜R26は、各々水素原子または置換基を表す。〕
(請求項2)
前記還元剤が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
Figure 2005208103
〔式中、X1はカルコゲン原子またはCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよい。R3は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。〕
(請求項3)
下記一般式(YA)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
Figure 2005208103
〔式中、R11は置換または無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基またはアシルアミノ基を表すが、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。R13は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R14はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。〕
(請求項4)
前記一般式(YA)で表される化合物と、前記一般式(1)で表される化合物とのモル比(一般式(YA)の化合物(モル)/一般式(1)の化合物(モル))が0.001〜0.2であることを特徴とする請求項3に記載の熱現像感光材料。
(請求項5)
下記一般式(DA−1)または一般式(DA−2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
Figure 2005208103
〔一般式(DA−1)または(DA−2)において、X1及びX2はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R9〜R11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m2及びp2はそれぞれ独立に0〜4の整数、n2は0〜2の整数を表す。〕
(請求項6)
前記ハロゲン化銀が、平均粒子サイズが10〜50nmのハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載に記載の熱現像感光材料。
(請求項7)
前記ハロゲン化銀が、更に平均粒子サイズが55〜100nmのハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする請求項6に記載の熱現像感光材料。
(請求項8)
前記ハロゲン化銀が、カルコゲン原子を含有する化合物により化学増感されたハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
(請求項9)
前記画像形成層に含有される銀量が、0.3〜1.5g/m2であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
本発明によれば、高濃度で、銀色調に優れ、光照射時の画像保存性、経時でのかぶり耐性に優れ、熱現像時の濃度むらに優れた熱現像感光材料を提供することにある。更に、高温保存時の画像保存性に優れ、かつフィルムの搬送性、環境適性に優れた熱現像感光材料を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討を進めた結果、支持体上に有機銀塩、ハロゲン化銀、バインダー及び還元剤を含有する画像形成層を有する熱現像感光材料において、該バインダーの55〜100質量%が疎水性バインダーであり、かつ前記一般式(PP)で表される化合物を含有する熱現像感光材料により、高濃度で、銀色調に優れ、光照射時の画像保存性、経時でのかぶり耐性に優れ、熱現像時の濃度むらに優れた熱現像感光材料を実現できることを見出し本発明に至った次第である。
すなわち、バインダーの55質量%〜100質量%が疎水性バインダーを用いて迅速熱現像を行う場合、例えば、微粒子のハロゲン化銀、高活性の現像剤や現像促進剤を使用して画像濃度を高めようとする場合に問題となる銀色調や経時でのかぶり上昇、熱現像時の濃度むら発生を改良するために検討を重ねた結果、前記一般式(PP)で表される化合物を含有することにより上記目的が達成されることを見いだした。
以下、本発明の詳細について説明する。
上述のごとく、本発明の熱現像感光材料においては、支持体上に有機銀塩、ハロゲン化銀、バインダー及び還元剤を含有する画像形成層を有し、該バインダーの55〜100質量%が疎水性バインダーであることが特徴の1つであり、好ましくはバインダーの65〜100質量%が疎水性バインダーであり、バインダーの75〜100質量%が疎水性バインダーである場合が、本発明の効果を得る上で特に好ましい範囲である。
また、請求項6に係る発明では、ハロゲン化銀が含有するハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが10〜40nmであり、より好ましくは10〜35nmである。ハロゲン化銀が含有するハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが10nm未満であると画像濃度が低下したり、光照射画像保存性が劣化したりすることがある。また、50nmを超えると画像濃度が低下してしまうことがある。
ここで言う平均粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さを言う。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、主表面の投影面積と同面積の円像に換算した時の直径を言う。その他、正常晶でない場合、例えば、球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えた時の直径を粒子サイズとして算出する。測定は電子顕微鏡を用いて行い、300個の粒子サイズの測定値を平均することで平均粒子サイズを求めることができる。
また、請求項7に係る発明では、平均粒子サイズが55〜100nmであるハロゲン化銀粒子と平均粒子サイズが10〜50nmであるハロゲン化銀粒子とを併用することにより、画像濃度を向上させ、加えて階調設計における自由度を高めることができる。平均粒子サイズが10〜50nmであるハロゲン化銀粒子と平均粒子サイズが55〜100nmであるハロゲン化銀粒子との比率(質量比)は、95:5〜50:50が好ましく、より好ましくは90:10〜60:40である。
以下、本発明の熱現像感光材料の各構成要素についての詳細を順次説明する。
本発明の熱現像感光材料は、支持体の少なくとも一方面上に感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する画像形成層を有している。また、必要に応じて、画像形成層の上に表面保護層、あるいはその反対面にバック層やバック保護層などを設けることが好ましい。画像形成層及びこれらの各層の構成及びその好ましい成分について詳しく説明する。
(一般式(PP)で表される化合物)
はじめに、本発明に係る前記一般式(PP)で表される化合物について説明する。
前記一般式(PP)において、R21ないしR26はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R21ないしR26で表される置換基としては、写真性へ悪影響のないものであればどのような置換基を用いても良く、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、tert−オクチル、tert−アミル、シクロヘキシルなどの各基が挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどの各基が挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどの各基が挙げられる)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどの各基が挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどの各基が挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシなどの各基が挙げられる)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは12であり、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基などの各基が挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどの各基が挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどの各基が挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどの各基が挙げられる)、カルバメート基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェニルオキシカルボニルアミノなどの各基が挙げられる)、カルボキシル基、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイルなどの各基が挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどの各基が挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどの各基が挙げられる)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、トシルなどの各基が挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどの各基が挙げられる)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メチルチオ、ブチルチオなどの各基が挙げられる)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、イミダゾリル、ピロリジルなどの各基が挙げられる)等が挙げられる。
21ないしR26で表される置換基としては、好ましくはハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基またはアシルオキシ基であり、更に好ましくは直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、特に好ましくは、直鎖または分岐のアルキル基である。
21及びR22は好ましくは水素原子である。R23ないしR24は少なくともそのひとつが水素原子でない置換基であることが好ましい。R21ないしR26の炭素数の合計は0ないし16であることが好ましく、より好ましくは1ないし8の範囲であり、更に好ましくは2ないし6の範囲である。特に好ましい構造はR26がアルキル基でありそれ以外の置換基がすべて水素原子である場合である。このときアルキル基は分岐または直鎖のアルキル基で、炭素数が1ないし6の範囲が好ましく、2ないし4の範囲が最も好ましい。
21ないしR26で表される置換基は互いに同じでも異なっていても良く、これらの置換基は、更に別の置換基で置換されていても良い。また、互いに結合して環状構造を形成しても良い。
前記一般式(PP)で表される化合物としては、更に融点が140℃以下の化合物が好ましく、この化合物には常温(15℃程度の温度)で液状のものも含まれる。前記一般式(PP)で表される化合物としては、米国特許第6,630,291号明細書のカラム21〜24に記載の化合物(I−1)〜(I−31)を挙げることができる。
以下に、一般式(PP)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005208103
Figure 2005208103
(還元剤)
本発明の熱現像感光材料においては、還元剤(銀イオン還元剤)の少なくとも1種が、前記一般式(1)で表される化合物を単独または他の異なる化学構造を有する還元剤と併せて用いることが好ましい。
前記一般式(1)において、X1はカルコゲン原子またはCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよい。R3は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
前記一般式(1)で表される化合物のうち、特にR2の少なくとも一方が2級または3級のアルキル基である高活性な還元剤(以下、一般式(1a)の化合物という)を用いることが、高濃度で、かつ光照射時の画像保存性に優れた熱現像感光材料を得ることができる点でより好ましい。
更に、本発明においては、一般式(1a)の化合物と共に、下記一般式(2)で表される化合物とを併用することが望ましい色調を得るためには好ましい。
Figure 2005208103
上記一般式(2)において、X2はカルコゲン原子またはCHR5を表し、R5は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級または3級のアルキル基であることはない。R7は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。R8はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
本発明において、一般式(1a)の化合物と前記一般式(2)で表される化合物との併用比率としては、(一般式(1a)の化合物の質量):(一般式(2)の化合物の質量)が5:95〜45:55であることが好ましく、より好ましくは10:90〜40:60である。
前記一般式(1)において、X1はカルコゲン原子またはCHR1を表す。カルコゲン原子としては、硫黄セレン、テルルであり、好ましくは硫黄原子である。CHR1におけるR1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等であり、アルキル基としては置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル等、アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等の各基、アリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環等、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基として具体的には、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル等の各基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の各基)、アルケニル基(例えば、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等の各基)、シクロアルケニル基(例えば、1−シクロアルケニル、2−シクロアルケニル基等の各基)、アルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル等の各基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等の各基)、アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、トリフルオロメチルチオ等の各基)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等の各基)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−モルホリノカルボニル等の各基)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルホリノスルファモイル等の各基)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド等の各基)、アルキルアミノ基(例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ等の各基)、スルホ基、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル等の各基)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル等の各基)、アルキニルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等の各基)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル等の各基)等が挙げられる。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。特に好ましい置換基はアルキル基である。
2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、少なくとも一方は2級または3級のアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては置換または無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等の基が挙げられる。
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、(R4n及び(R4mと飽和環を形成してもよい。R2は好ましくは何れも2級または3級のアルキル基であり、炭素数2〜20が好ましい。より好ましくは3級アルキル基であり、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシルの各基であり、最も好ましくはt−ブチル基である。
3は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、複素環基等が挙げられる。
3として好ましくは、メチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル等の各基が挙げられる。更に好ましくはメチル基、2−ヒドロキシエチル基である。
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては前記R1で挙げた置換基を用いることができる。R3は好ましくはヒドロキシル基またはそのプレカーサー基を有する炭素数1〜20のアルキル基であり、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。最も好ましくは2−ヒドロキシエチル基である。R2及びR3の最も好ましい組合せは、R2が第3級アルキル基(例えば、t−ブチル、1−メチルシクロヘキシル等の各基)であり、R3がヒドロキシル基またはそのプレカーサー基を有する第1級アルキル基(2−ヒドロキシエチル基等)である。複数のR2、R3は同じでも異なっていてもよい。
4はベンゼン環上に置換可能な基を表すが、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等の各基)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル、パーフルオロオクチル等の各基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル等の各基)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(例えば、フェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等の各基)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子、フッ素原子)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等の各基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル等の各基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ヘキサンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等の各基)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等の各基)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、フェニルウレイド、2−ピリジルウレイド等の各基)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等の各基)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル等の各基)、アミド基(例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ヘキサンアミド、ベンズアミド等の各基)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等の各基)、アミノ基(例えば、アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、アニリノ、2−ピリジルアミノ等の各基)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。また、これらの基は更にこれらの基で置換されてもよい。n及びmは各々0〜2の整数を表すが、最も好ましくはn、m共に0の場合である。
また、R4はR2、R3と飽和環を形成してもよい。R4は好ましくは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。複数のR4は同じでも異なっていても良い。
前記一般式(2)において、R5はR1と同様の基であり、R7はR3と同様の基であり、R8はR4と同様の基である。R6はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級または3級のアルキル基であることはない。アルキル基としては置換または無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル等の各基が挙げられる。
アルキル基の置換基は、特に限定はされず、例えば、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。また、(R8n及び(R8mと飽和環を形成してもよい。R6は、好ましくはメチル基である。
前記一般式(2)で表される化合物のうちで、好ましく用いられる化合物は、欧州特許第1,278,101号明細書に記載の一般式(S)、一般式(T)で表される化合物であり、具体的にはp21〜p28に記載の(1−24)、(1−28)〜(1−54)、(1−56)〜(1−75)の化合物が挙げられる。
以下に、一般式(1)、一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005208103
Figure 2005208103
Figure 2005208103
これら一般式(1)、一般式(2)で表されるビスフェノール化合物は、従来公知の方法により容易に合成することができる。
本発明の熱現像感光材料が含有する還元剤は、有機銀塩を還元して銀画像を形成するものであり、上記説明した本発明に係る還元剤の他に、公知の還元剤を併用することができ、例えば、米国特許3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号の各明細書、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)17029号及び29963号、特開平11−119372号、特開2002−62616号の各公報等に記載されている化合物を挙げることができる。
前記一般式(1)で表される化合物をはじめとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当たり1×10-2〜10モル、特に好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
(有機銀塩)
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は、銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。
このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号公報の段落番号「0048」〜「0049」、欧州特許第803,764A1号明細書の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許第962,812A1号明細書、特開平11−349591号公報、特開2000−7683号公報、同2000−72711号公報等に記載されている。
有機酸の銀塩としては、特に炭素数が10〜30、より好ましくは15〜28の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀及びこれらの混合物などを挙げることができる。
本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては、特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよいが、その中でも、本発明においては、りん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5以下の短針状、直方体、立方体またはジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀塩粒子は、長軸と単軸の長さの比が5以上の長針状粒子に比べて、熱現像時のかぶりの発生が少ないという観点で好ましい。
なお、本発明でいうりん片状の有機銀塩とは、以下のようにして定義する。
有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x(平均)≧2.0である。因みに、針状とは1≦x(平均)<1.5である。
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均としては0.01μm以上、0.23μmが好ましく、0.1μm以上、0.20μm以下がより好ましい。c/bの平均は好ましくは1以上、6以下、より好ましくは1.05以上、4以下、更に好ましくは1.1以上、3以下、特に好ましくは1.1以上、2以下である。
有機銀塩の粒子サイズ分布は、単分散であることが好ましい。本発明でいう単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては、有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。
測定方法としては、例えば、分散媒中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば、上記の特開平10−62899号公報、欧州特許第803,763A1号明細書、欧州特許第962,812A1号明細書、特開2001−167022号公報、同2000−7683号公報、同2000−72711号公報、同2001−163889号公報、同2001−163890号公報、同2001−163827号公報、同2001−33907号公報、同2001−188313号公報、同2001−83652号公報、同2001−6442号公報、同3001−31870号公報等を参考にすることができる。
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、かぶりが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩の含有量は、その水分散液中の有機酸銀塩1モルに対し、1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以下であり、更に好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
本発明において、有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に2〜20モル%、特に3〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
本発明に係る有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量としては0.1〜5g/m2が好ましく、より好ましくは0.3〜3g/m2、更に好ましくは0.5〜2g/m2である。
(ハロゲン化銀)
本発明に係るハロゲン化銀について説明する。尚、本発明に係るハロゲン化銀とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収し得て、または人為的に物理化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収し得て、且つ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収した時に当該ハロゲン化銀結晶内及び/または結晶表面において物理化学的変化が起こり得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
本発明に係るハロゲン化銀に含まれるハロゲン化銀粒子自体は、公知の方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤(以下、ハロゲン化銀乳剤ともいう)として調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよいが、上記方法の中でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を調製する、いわゆるコントロールドダブルジェット法が好ましい。ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成としては、特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
ハロゲン化銀粒子形成は、通常、ハロゲン化銀種粒子(核)生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこれらを連続的に行う方法でもよく、また核(種粒子)形成と粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子形成条件であるpAg、pH等をコントロールして粒子形成を行うコントロールドダブルジェット法が、粒子形状やサイズのコントロールができるので好ましい。例えば、核生成と粒子成長を分離して行う方法で行う場合には、先ず銀塩水溶液とハライド水溶液をゼラチン水溶液中で均一、急速に混合させ核(種粒子)生成(核生成工程)した後、コントロールされたpAg、pH等のもとで銀塩水溶液とハライド水溶液を供給しつつ粒子を成長させる粒子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製する。粒子形成後、脱塩工程により不要な塩類等をヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等公知の脱塩法により除くことで所望のハロゲン化銀乳剤を得ることができる。
本発明において、ハロゲン化銀粒子の粒子サイズは単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる粒子サイズの変動係数が30%以下をいう。好ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。
粒子サイズの変動係数%=(粒径の標準偏差/粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子の形状としては、立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、これらの中、特に、立方体、八面体、14面体、平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は、好ましくは1.5以上、100以下、より好ましくは2以上、50以下である。これらについては、米国特許第5,264,337号、同第5,314,798号、同第5,320,958号の各明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
ハロゲン化銀粒子を構成する外表面の晶癖については、特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する晶癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を適用することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合には、ハロゲン化銀粒子の外表面として〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、具体的には、この割合が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。尚、ミラー指数〔100〕面の比率は、例えば、増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985年)により求めることができる。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該ハロゲン化銀粒子形成時に平均分子量5万以下の低分子量ゼラチンを用いて調製することが好ましいが、特に、ハロゲン化銀粒子の核形成時にこのゼラチンを用いることが好ましい。
本発明で用いる低分子量ゼラチンは、平均分子量5万以下のものが好ましく、より好ましくは2,000〜40,000であり、特に好ましくは5,000〜25,000である。ゼラチンの平均分子量は、例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーで測定して求めることができる。低分子量ゼラチンは、通常用いられる平均分子量10万程度のゼラチン水溶液にゼラチン分解酵素を加えて酵素分解したり、酸またはアルカリを加えて加熱し加水分解したり、大気圧下または加圧下での加熱により熱分解したり、超音波照射して分解したり、それらの方法を併用したりして得ることができる。
核形成時の分散媒の濃度は5質量%以下が好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うのがより好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該ハロゲン化銀粒子形成時に下記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物を用いることが好ましい。
YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(CH2CH2O)n
上記一般式において、Yは水素原子、−SO3M、または−CO−B−COOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または炭素原子数5以下のアルキル基にて置換されたアンモニウム基を表し、Bは有機2塩基性酸を形成する鎖状または環状の基を表す。m及びnは各々0〜50を表し、pは1〜100を表す。
上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造するに際、ゼラチン水溶液を調製する工程、ゼラチン溶液に水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、ハロゲン化銀乳剤を含む塗布液を支持体上に塗布する工程等、ハロゲン化銀乳剤原料を撹拌したり、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤として好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として用いる技術は、例えば、特開昭44−9497号公報に記載されている。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、核形成時の消泡剤としても機能する。上記一般式で表される化合物は、銀に対して1質量%以下で用いるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%で用いる。
上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、核形成時に存在していればよく、核形成前の分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中に添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液やハライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハライド水溶液もしくは両方の水溶液に0.01〜2.0質量%で添加して用いることである。また、上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、核形成工程の少なくとも50%にわたる時間で存在せしめるのが好ましく、更に好ましくは70%以上にわたる時間で存在せしめる。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶かして添加してもよい。
本発明のハロゲン化銀粒子の調製においては、核形成時の温度は通常5〜60℃、好ましくは15〜50℃であり、一定の温度であっても、昇温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25℃で、核形成中徐々に温度を上げ、核形成終了時の温度が40℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前記温度範囲内で制御するのが好ましい。
核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水溶液の濃度は3.5モル/L以下が好ましく、更には0.01〜2.5モル/Lの低濃度域で使用されるのが好ましい。核形成時の銀イオンの添加速度は、反応液1L当たり1.5×10-3〜3.0×10-1モル/分が好ましく、更に好ましくは3.0×10-3〜8.0×10-2モル/分である。
核形成時のpHは通常1.7〜10の範囲に設定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分布を広げてしまうので、好ましくはpH2〜6である。また、核形成時のpBrは通常0.05〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.5、より好ましくは1.5〜2.0である。
また、本発明に使用できるハロゲン化銀粒子として、特開2003−270755号公報に記載されている、熱現像によって表面潜像型から内部潜像型に変換することにより表面感度が低下するハロゲン化銀粒子が挙げられる。すなわち、熱現像前の露光では、現像反応(銀イオン還元剤による銀イオンの還元反応)の触媒として機能し得る潜像を該ハロゲン化銀粒子の表面に形成し、熱現像過程経過後の露光では該ハロゲン化銀粒子の表面より内部に多くの潜像を形成するようになるため、表面における潜像形成が抑制されるハロゲン化銀粒子である。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、いかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、この時ハロゲン化銀粒子は還元可能な銀源(有機銀塩)に近接するように配置するのが好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、予め調製しておき、これを有機銀塩粒子を調製するための溶液に添加するのが、ハロゲン化銀調製工程と有機銀塩粒子調製工程を分離して扱えるので製造コントロール上も好ましいが、英国特許第1,447,454号明細書に記載されている様に、有機銀塩粒子を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と共存させ、これに銀イオンを注入することで有機銀塩粒子の生成とほぼ同時に生成させることもできる。
また、有機銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、有機銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒子を調製することも可能である。即ち、予め調製された有機銀塩の溶液もしくは分散液、または有機銀塩を含むシート材料に、ハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。
ハロゲン化銀形成成分としては、特開2002−287299号公報の段落番号「0086」に記載の化合物等がある。この様にハロゲン化銀を有機酸銀塩とハロゲンイオンとの反応により有機酸銀塩中の銀の一部または全部をハロゲン化銀に変換することによって調製することもできる。また、別途調製したハロゲン化銀にこれらの有機銀塩の一部をコンバージョンすることで製造したハロゲン化銀粒子を併用してもよい。
これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製したハロゲン化銀粒子、有機銀塩のコンバージョンによるハロゲン化銀粒子とも、有機銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル使用するのが好ましく、0.03〜0.5モル使用するのがより好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化銀には、元素周期律表の第6属〜第11族に属する遷移金属のイオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt及びAuが好ましい。これらは1種類でも同種あるいは異種の金属錯体を2種以上併用してもよい。これらの金属イオンは金属塩をそのままハロゲン化銀に導入してもよいが、金属錯体または錯体イオンの形でハロゲン化銀に導入できる。含有率は銀1モルに対し1×10-9〜1×10-2モルの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-4モルの範囲がより好ましい。本発明においては、遷移金属錯体または錯体イオンは下記一般式で表されるものが好ましい。
一般式〔ML6m
式中、Mは元素周期表の第6属〜第11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、−、2−、3−または4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲンイオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、シアナイド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
これらの金属のイオンまたは錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、核形成、成長の段階で添加するのがより好ましく、特に好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に亘って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号の各公報等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
これらの金属化合物は、水あるいは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、あるいは銀塩水溶液とハライド水溶液が同時に混合される時第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、あるいはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液をハライド水溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後または物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
別途調製したハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により脱塩することができるが、熱現像感光材料においては脱塩しないで用いることもできる。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子には、化学増感を施すことができる。例えば、特開2001−249428号、同2001−249426号の各公報に開示されている方法等により、硫黄等のカルコゲン原子を有する化合物や金イオン等の貴金属イオンを放出する貴金属化合物を用いて化学増感中心(化学増感核)を形成付与できる。本発明においては、上記のカルコゲン原子を有する化合物による化学増感により化学増感が施されていることが好ましく、更には、カルコゲン原子を有する化合物による化学増感と貴金属化合物を用いる化学増感を併用することが特に好ましい。
これら有機増感剤として有用なカルコゲン原子を含有する化合物は、ハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン原子部位を有する化合物であることが好ましい。これらの有機増感剤としては、例えば、特開昭60−150046号、特開平4−109240号、同11−218874号の各公報等に開示されている種々の構造を有する有機増感剤を用いることができるが、それらのうちカルコゲン原子が炭素原子またはリン原子と二重結合で結ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種であることが好ましい。特に好ましいのは特開2002−250984号公報に開示されている一般式(1−1)、一般式(1−2)で表される化合物である。
有機増感剤としてのカルコゲン原子を含有する化合物の使用量は、使用するカルコゲン原子を含有する化合物、ハロゲン化銀粒子、化学増感を施す際の反応環境等により一概には規定できないが、概ねハロゲン化銀1モル当たり1×10-8〜1×10-2モルが好ましく、より好ましくは1×10-7〜1×10-3モルである。
本発明における化学増感環境としては、特に制限はないが、感光性ハロゲン化銀粒子上のカルコゲン化銀または銀核を消滅、あるいはそれらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、また特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下においてカルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増感を施すことが好ましく、該化学増感条件として、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜8、また温度としては30℃以下で化学増感を施すことが好ましい。
従って、本発明の熱現像感光材料においては、前記感光性ハロゲン化銀が、該粒子上の銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カルコゲン原子を含有する化合物を用いて温度30℃以下において化学増感を施され、且つ有機銀塩と混合して分散され脱水及び乾燥された感光性ハロゲン化銀乳剤を用いることが好ましい。
また、これらの有機増感剤を用いた化学増感は、分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われることが好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合物の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低かぶりを達成できる。本発明において用いられる分光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24537号公報に記載されている含窒素複素環化合物が好ましい例として挙げられる。
本発明に用いられる含窒素複素環化合物において、複素環としてはピラゾール環、ピリミジン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これらの環が2〜3個結合した環、例えば、トリアゾロトリアゾール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペンタアザインデン環等を挙げることができる。単環の複素環と芳香族環の縮合した複素環、例えば、フタラジン環、ベンズイミダゾール環、インダゾール環、ベンズチアゾール環等も適用できる。
これらの中で好ましいのはアザインデン環であり、且つ置換基としてヒドロキシル基を有するアザインデン化合物、例えば、ヒドロキシトリアザインデン、ヒドロキシテトラアザインデン、ヒドロキシペンタアザインデン化合物等が更に好ましい。
複素環にはヒドロキシル基以外の置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基等を有してもよい。
これら含複素環化合物の添加量は、ハロゲン化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範囲に亘って変化するが、概ねその添加量はハロゲン化銀1モル当たりの量で1×10-6〜1モルの範囲であり、好ましくは1×10-4〜1×10-1モルの範囲である。
本発明に係るハロゲン化銀粒子には、前述の様に、金イオン等の貴金属イオンを放出する化合物を利用して貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤として、塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。
また、上記の増感法の他、還元増感法等も用いることができ、還元増感の貝体的な化合物としてはアスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。
本発明に係る化学増感が施されたハロゲン化銀は、有機銀塩の存在下で形成されたものでも、有機銀塩の存在しない条件下で形成されたものでも、また両者が混合されたものでもよい。
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀粒子には、分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。分光増感色素としては、例えば、特開2002−287299号公報の段落番号「0106」に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は、例えば、RD17643−A項(1978年12月p.23)、同18431X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に、各種レーザイメージャーやスキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好ましい。例えば、特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号の各公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾール核等の塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾロン核等の酸性核を含む。
本発明においては、特に赤外に分光感度を有する増感色素を用いることが好ましい。本発明において、好ましく用いられる赤外分光増感色素としては、例えば、米国特許第4,536,473号、同第4,515,888号、同第4,959,294号の各明細書等に開示されている赤外分光増感色素が挙げられる。本発明において用いられる赤外分光増感色素については、ベンズアゾール環のベンゼン環上にスルフィニル基が置換されていることを特徴とした長鎖のポリメチン色素が特に好ましい。
これらの赤外増感色素の添加時期は、ハロゲン化銀調製後の任意の時点でよく、例えば、溶剤に添加し、あるいは微粒子状に分散したいわゆる固体分散状態の赤外増感色素を、ハロゲン化銀粒子あるいはハロゲン化銀粒子/有機銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加できる。また、前記ハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有するヘテロ原子含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハロゲン化銀粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施すこともでき、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低かぶりを達成することができる。
本発明において、上記の分光増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。
本発明の熱現像感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子または有機銀塩粒子を含有する乳剤は、増感色素と共にそれ自身分光増感作用を持たない色素、あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色増感されていてもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質は、RD17643(1978年12月発行)第23頁のJ項、あるいは特公平9−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号の各公報等に記載されているが、本発明においては、強色増感剤として下記一般式で表される複素芳香族メルカプト化合物またはメルカプト誘導体化合物が好ましい。
Ar−SM
式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、またはテルリウム原子を有する芳香族複素環または芳香族縮合環である。好ましい芳香族複素環または芳香族縮合環としては、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンズチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズセレナゾール、ベンズテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリン等が挙げられる。しかしながら、他の芳香族複素環も含まれる。
なお、有機酸銀塩またはハロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させた時に実質的に上記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導体化合物も本発明では好ましく用いることができる。特に、下記の一般式で表されるメルカプト誘導体化合物が好ましい例として挙げられる。
Ar−S−S−Ar
式中、Arは上記の一般式で表されたメルカプト化合物の場合と同義である。
上記の芳香族複素環または芳香族縮合環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
本発明においては、上記の強色増感剤の他に、特開2001−330918号公報に開示されている一般式(1)で表される化合物とヘテロ原子を含む大環状化合物を強色増感剤として使用できる。
上記強色増感剤は、有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む画像形成層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲で用いるのが好ましい。銀1モル当たり0.01〜0.5モルの範囲で用いるのが特に好ましい。
(画像の色調)
次に、本発明の熱現像感光材料を熱現像処理して得られる画像の色調について述べる。
従来、レントゲン写真フィルムのような医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像色調が、判読者にとってより的確な診断観察結果が得易いと言われている。ここで冷調な画像色調とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であることを言う。一方、温調な画像色調とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であると言われているが、より厳密な定量的な議論ができるように、以下、国際照明委員会(CIE)の推奨する表現法に基づき説明する。
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0における色相角habにより表現できる。即ち、色相角habは、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
ab=tan-1(b*/a*
上記色相角に基づく表現法により検討した結果、本発明の熱現像感光材料の現像後の色調は、色相角habの範囲が180度<hab<270度であることが好ましく、更に好ましくは200度<hab<270度、最も好ましくは220度<hab<260度であることが判った。このことは、特開2002−6463号公報に開示されている。
尚、従来、光学濃度1.0付近でのCIE 1976(L***)色空間または(L***)色空間におけるu*、v*またはa*、b*を特定の数値に調整することにより、見た目の色調が好ましい診断画像が得られることが知られており、例えば、特開2000−29164号公報に記載されている。
しかしながら、本発明の熱現像感光材料について検討した結果、CIE 1976(L***)色空間または(L***)色空間において、横軸をu*またはa*、縦軸をv*またはb*としたグラフ上に、様々な写真濃度でのu*、v*またはa*、b*をプロットし、線形回帰直線を作成した際に、その線形回帰直線を特定の範囲に調整することにより、従来の湿式の銀塩感光材料同等以上の診断性を持つことを見い出した。
以下に好ましい条件範囲について述べる。
1)熱現像感光材料を熱現像処理後に得られた銀画像の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をu*、縦軸をv*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのu*、v*を配置して作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が、0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5〜5であること、且つ傾き(v*/u*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
2)また、熱現像感光材料の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をa*、縦軸をb*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのa*、b*を配置して作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のb*値が−5〜5であること、且つ傾き(b*/a*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
次に、上述の線形回帰直線の作成方法、則ちCIE 1976色空間におけるu*、v*及びa*、b*の測定法の一例を説明する。
熱現像装置を用いて未露光部及び光学濃度0.5、1.0、1.5を含む4段のウエッジ試料を作製する。このようにして作製したそれぞれのウエッジ濃度部を、分光色彩計(コニカミノルタセンシング社製:CM−3600d等)で測定し、u*、v*またはa*、b*を算出する。その際、測定条件は光源としてF7光源、視野角を10度として透過測定モードで測定を行う。横軸をu*またはa*、縦軸をv*またはb*としたグラフ上に測定したu*、v*またはa*、b*をプロットし線形回帰直線を求め、決定係数(重決定)R2、切片及び傾きを求める。
次に、上記のような特徴を持つ線形回帰直線を得るための具体的な方法について説明する。
本発明においては、下記の調色剤、現像剤、ハロゲン化銀粒子及び脂肪族カルボン酸銀等の現像反応過程において、直接的及び間接的に関与する化合物等の添加量の調整により、現像銀形状を最適化し好ましい色調にすることができる。例えば、現像銀形状をデンドライト状にすると青味を帯びる方向になり、フィラメント状にすると黄色味を帯びる方向になる。即ち、このような現像銀形状の性向を考慮して調整できる。
従来、調色剤としては、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号及び同4,021,249号の各明細書に開示されており、例えば、次のものがある。
イミド類(例えば、スクシンイミド、フタルイミド、ナフタールイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(例えば、フタラジノン、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジンとフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸)の組合せ;フタラジンとマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組合せ等が挙げられる。
本発明においては、このような調色剤の他に、特開平11−288057号公報、欧州特許第1,134,611A2号明細書等に開示されているカプラー及び、以下で詳述するロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。特に、色調の微調整のためにカプラーまたはロイコ染料を用いることが好ましい。
(ロイコ染料)
ロイコ染料として好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色または僅かに着色した化合物でよく、銀イオンにより酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、且つ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
本発明で使用するのに適したロイコ染料は、特に限定されないが、例えば、ビフェノールロイコ染料、フェノールロイコ染料、インドアリニリンロイコ染料、アクリル化アジンロイコ染料、フェノキサジンロイコ染料、フェノジアジンロイコ染料及びフェノチアジンロイコ染料等が挙げられる。また、有用なものは、米国特許第3,445,234号、同第3,846,136号、同第3,994,732号、同第4,021,249号、同第4,021,250号、同第4,022,617号、同第4,123,282号、同第4,368,247号、同第4,461,681号の各明細書、及び特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号の各公報等に開示されているロイコ染料である。
所定の色調に調整するために、種々の色のロイコ染料を単独使用または複数の種類の併用をすることが好ましい。本発明においては高活性な還元剤を使用することに伴ってその使用量や使用比率によって色調(特に黄色味)が変化したり、微粒子のハロゲン化銀を用いることにより、特に濃度が2.0以上の高濃度部で画像が過度に赤みをおびることを防止するために、黄色及びシアン色に発色するロイコ染料を併用してその使用量を調整するのが好ましい。
着色濃度は、現像銀自身による色調との関係で適切に調整することが好ましい。本発明では、0.01〜0.05の反射光学濃度または0.005〜0.03の透過光学濃度を有するように発色させ下記する好ましい色調範囲の画像になるように色調を調整することが好ましい。
(黄色発色性ロイコ染料)
本発明において、特に黄色発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより360〜450nmの吸光度が増加するロイコ染料である。特に好ましいロイコ染料は前記一般式(YA)で表される化合物(色像形成剤)である。
前記一般式(YA)において、R11は置換または無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基またはアシルアミノ基を表すが、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。R13は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R14はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。
以下、一般式(YA)の化合物について詳細に説明する。
一般式(YA)において、R11は置換または無置換のアルキル基を表すが、R12が水素原子以外の置換基である場合、R11はアルキル基を表す。該アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、置換基を有してもよい。具体的には、メチル、エチル、ブチル、オクチル、i−プロピル、t−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル等の各基が好ましく、i−プロピルよりも立体的に大きな基(例えば、i−プロピル、i−ノニル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル、アダマンチル等の各基)であることが好ましく、その中でも2級または3級のアルキル基が好ましく、3級アルキル基であるt−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル等の各基が特に好ましい。R11が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基等が挙げられる。
12は水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基またはアシルアミノ基を表す。R12で表されるアルキル基は炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アシルアミノ基は炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましい。この内、アルキル基の説明は前記R11と同様である。
12で表されるアシルアミノ基は、無置換でも置換基を有してもよく、具体的には、アセチルアミノ基、アルコキシアセチルアミノ基、アリールオキシアセチルアミノ基等が挙げられる。R12として好ましくは、水素原子または無置換の炭素数1〜24のアルキル基であり、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチルが挙げられる。また、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。
13は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アルキル基の説明は前記R11と同様である。R13として好ましくは、水素原子または無置換の炭素数1〜24のアルキル基で、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチル等が挙げられる。また、R12、R13の何れか一方は水素原子であることが好ましい。
14はベンゼン環に置換可能な基を表し、例えば、前記一般式(1)における置換基R4で説明したのと同様な基である。R14として好ましいのは、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のオキシカルボニル基であり、炭素数1〜24のアルキル基がより好ましい。アルキル基の置換基としてはアリール基、アミノ基、アルコキシ基、オキシカルボニル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、イミド基、ウレイド基等が挙げられ、アリール基、アミノ基、オキシカルボニル基、アルコキシ基がより好ましい。これらのアルキル基の置換基は、更にこれらの置換基で置換されてもよい。
次に、一般式(YA)で表される化合物のうちでも、特に本発明で好ましく用いられる、下記一般式(YB)で表されるビスフェノール化合物について説明する。
Figure 2005208103
上記一般式(YB)において、Zは−S−または−C(R21)(R21′)−を表し、R21、R21′は各々、水素原子または置換基を表す。R21、R21′の表す置換基としては、前記一般式(1)のR1の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。R21、R21′として好ましくは、水素原子またはアルキル基である。
22、R23、R22′及びR23′は各々置換基を表すが、置換基としては前記一般式(1)におけるR2、R3で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
22、R23、R22′及びR23′として、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基であるが、アルキル基が更に好ましい。アルキル基上の置換基としては、前記一般式(1)における置換基の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
22、R23、R22′及びR23′として、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、1−メチル−シクロヘキシル等の3級アルキル基である。
24及びR24′は各々、水素原子または置換基を表すが、置換基としては、一般式(1)におけるR4の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
一般式(YA)及び一般式(YB)で表される化合物としては、例えば、特開2002−169249号公報の段落番号「0032」〜「0038」記載の化合物(II−1)〜(II−40)、欧州特許第1,211,093号明細書の段落番号「0026」記載の化合物(ITS−1)〜(ITS−12)を挙げることができる。
以下に、一般式(YA)及び一般式(YB)で表されるビスフェノール化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005208103
Figure 2005208103
一般式(YA)で表される化合物(ヒンダードフェノール化合物、一般式(YB)の化合物も含まれる)の添加量は、通常、銀1モル当たり0.00001〜0.01モルであり、好ましくは0.0005〜0.01モル、より好ましくは0.001〜0.008モルである。
また、一般式(YA)で表される化合物(ヒンダードフェノール化合物、一般式(YB)の化合物も含まれる)の、前記一般式(1)で表される還元剤(一般式(1a)の化合物及び一般式(2)の化合物も含まれる)に対する添加量比は、モル比で0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましい。
本発明では、黄色発色性ロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和は0.01以上、0.50以下であることが好ましく、より好ましくは0.01以上、0.30以下、特に好ましくは0.02以上、0.10以下を有するように発色させることが好ましい
(シアン発色性ロイコ染料)
次に、シアン発色性ロイコ染料について説明する。
本発明において、特にシアン発色性染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより600〜700nmの吸光度が増加する色像形成剤であり、例えば、特開昭59−206831号公報(特にλmaxが600〜700nmの範囲内にある化合物)、特開平5−204087号公報に記載の一般式(I)〜一般式(IV)で表される化合物(具体的には、段落番号「0032」〜「0037」に記載の(1)〜(18)の例示化合物)及び特開平11−231460号公報に記載の一般式4〜一般式7で表される化合物(具体的には、段落番号「0105」に記載されるNo.1〜No.79の例示化合物)である。
以下、シアン発色性ロイコ染料(CA)の具体例を示すが、本発明で用いられるシアン発色性ロイコ染料はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005208103
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上記シアン発色性ロイコ染料の添加量は、通常、銀1モル当たり0.00001〜0.05モルであり、好ましくは0.0005〜0.02モル、より好ましくは0.001〜0.01モルである。シアン発色性ロイコ染料の前記一般式(1)で表される還元剤(一般式(1a)の化合物及び一般式(2)の化合物も含まれる)に対する添加量比は、モル比で0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましい。本発明では、シアンロイコ染料により形成される色素像の極大吸収波長における最高濃度の総和を0.01以上0.50以下とするのが好ましく、より好ましくは0.02以上0.30以下、特に好ましくは0.03以上0.10以下を有するように発色させることが好ましい。
本発明においては、上記のシアン発色性ロイコ染料に加えて、マゼンタ発色性ロイコ染料または黄色発色性ロイコ染料を併用することで、更に微妙な色調の調整を可能とすることができる。
一般式(YA)及び(YB)で表される化合物及びシアン発色性ロイコ染料の添加方法としては、前記一般式(1)で表される還元剤の添加方法と同様な方法で添加することができ、例えば、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態等、任意の方法で塗布液に含有せしめて熱現像感光材料を構成することができる。
以上説明した一般式(1)、(2)、一般式(YA)、(YB)で表される各化合物及びシアン発色性ロイコ染料は、有機銀塩を含有する画像形成層に含有させることが好ましいが、一方を画像形成層に、他方を該画像形成層に隣接する非画像形成層に含有させてもよく、両者を非画像形成層に含有させてもよい。また、画像形成層が複数層で構成されている場合には、それぞれ個別の画像形成層に含有させてもよい。
(バインダー)
本発明の熱現像感光材料においては、画像形成層に使用されるバインダーの総質量の55〜100質量%が、疎水性バインダーであることが特徴である。
本発明で用いられる疎水性バインダーとしては、透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、特開2001−330918号の段落番号「0069」に記載のものが挙げられる。これらの内、本発明の熱現像感光材料の画像形成層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましくはポリビニルブチラールである。これらについては詳しく後述する。
また、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。尚、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組み合わせて用い得る。
バインダーには−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM) 2 、−O−P=O(OM)2、−N(R)2、−N+(R)3(Mは水素原子、またはアルカリ金属塩基、Rは炭化水素基を表す)、エポキシ基、−SH、−CN等から選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましく、特に−SO3M、−OSO3M、が好ましい。この様な極性基の量は、1×10-1〜1×10-8モル/gであり、好ましくは1×10-2〜1×10-6モル/gである。
この様なバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定し得る。例えば、画像形成層において少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2(質量比)が好ましく、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、画像形成層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましく、更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
本発明で用いるバインダーのガラス転移温度(Tg)は、70〜105℃であることが好ましい。Tgは示差走査熱量計で測定して求めることができ、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点をTgとする。本発明におけるTgは、ブランドラップ等による「重合体ハンドブック」III−139〜179頁(1966年,ワイリーアンドサン社版)に記載の方法で求めたものである。
バインダーが共重合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2Tg2+・・・+vnTgn
式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは共重合体中の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表す。上式に従って計算されたTgの精度は±5℃である。
Tgが70〜105℃のバインダーを用いると、画像形成において十分な最高濃度が得ることができ好ましい。
本発明のバインダーとしては、Tgが70〜105℃、数平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。また、エチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体については、特開2001−330918号の段落番号「0069」、「0070」に記載のものが挙げられる。
これらの内、特に好ましい例としては、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、スチレン類等が挙げられる。この様な高分子化合物の中でも、アセタール基を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分子化合物でも、アセトアセタール構造を持つポリビニルアセタールであることがより好ましく、例えば米国特許2,358,836号、同3,003,879号、同2,828,204号、英国特許771,155号等に示されるポリビニルアセタールを挙げることができる。
アセタール基を持つ高分子化合物としては、特開2002−287299号公報の「150」に記載の一般式(V)で表される化合物が、特に好ましい。
本発明で用いることのできるポリウレタン樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタン等公知のものが使用できる。また、ポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のヒドロキシル基を有することが好ましい。ヒドロキシル基は、硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。特に、ヒドロキシル基が分子末端にある方が、硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子末端にヒドロキシル基を3個以上有することが好ましく、4個以上有することが特に好ましい。本発明において、ポリウレタンを用いる場合は、Tgが70〜105℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.5〜100N/mm2が好ましい。
これらの高分子化合物(ポリマー)は単独で用いてもよいし、2種類以上をブレンドして用いてもよい。
本発明に係る画像形成層には、上記ポリマーを主バインダーとして用いることが好ましい。ここで言う主バインダーとは、「画像形成層の全バインダーの55質量%以上を上記ポリマーが占めている状態」をいう。従って、全バインダーの55質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよい。これらのポリマーとしては、本発明のポリマーが可溶となる溶媒であれば特に制限はない。より好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
画像形成層に有機性ゲル化剤を含有せしめてもよい。尚、ここで言う有機性ゲル化剤とは、例えば、多価アルコール類のように、有機液体に添加することにより、その系に降伏値を付与し、系の流動性を消失あるいは低下させる機能を有する化合物を言う。
画像形成層用の塗布液が、水性分散されたポリマーラテックスを含有するのも好ましい態様である。この場合、画像形成層用の塗布液中の全バインダーの55質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。また、画像形成層がポリマーラテックスを含有する場合、画像形成層中の全バインダーの55質量%以上がポリマーラテックスであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
ポリマーラテックスとは、水不溶性の疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち、分子鎖自身が分子状分散したもの等、何れでもよい。分散粒子の平均粒径は1〜50,000nmが好ましく、より好ましくは5〜1,000nm程度の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも、単分散の粒径分布を持つものでもよい。
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、所謂コア/シェル型のラテックスでもよい。この場合、コアとシェルはTgを変えると好ましい場合がある。本発明に係るポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃であることが好ましく、更に好ましくは0〜70℃程度である。また、最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。
上記造膜助剤は可塑剤とも呼ばれ、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常、有機溶媒)であり、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著,高分子刊行会発行,1970)」に記載されている。
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としては、例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体等がある。ポリマーとしては、直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また、架橋されたポリマーでもよい。また、ポリマーとしては、単一のモノマーが重合した所謂ホモポリマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合は、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は、数平均分子量で、通常、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000程度である。分子量が小さすぎるものは感光層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く、共に好ましくない。
ポリマーラテックスは、25℃、60%RH(相対湿度)での平衡含水率が0.01〜2質量%以下のものが好ましく、更に好ましくは、0.01〜1質量%のものである。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14,高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」等を参考にすることができる。
ポリマーラテックスの具体例としては、特開2002−287299号公報の段落番号「0173」に記載の各ラテックスが挙げられる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよい。ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレートまたはメタクリレート成分の如きカルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが好ましい。
更に、必要に応じて全バインダーの45質量%未満の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は前記感光層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
画像形成層用塗布液の調製において、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスの添加の順序については、何れを先に添加してもよいし、同時に添加してもよいが、好ましくはポリマーラテックスが後である。
更に、ポリマーラテックス添加前に有機銀塩、更には還元剤が混合されていることが好ましい。また、有機銀塩とポリマーラテックスを混合した後、経時させる温度が低すぎると塗布面状が損なわれ、高すぎるとかぶりが上昇する問題があるので、混合後の塗布液は30〜65℃で上記時間経時されることが好ましい。更には、35〜60℃で経時されることが好ましく、特に35〜55℃での経時が好ましい。この様に温度を維持するには、塗布液の調液槽等を保温すればよい。
画像形成層用塗布液の塗布は、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを混合した後、30分〜24時間経過した塗布液を用いるのが好ましく、更に好ましくは、混合した後、60分〜12時間経過させることであり、特に好ましくは、120分〜10時間経過した塗布液を用いることである。ここでいう「混合した後」とは、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを添加し、添加素材が均一に分散された後を言う。
(架橋剤)
架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより、膜付きが良くなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のかぶり抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
用いられる架橋剤としては、従来、写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば特開昭50−96216号に記載されるアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤が用いられるが、好ましくは、以下に示すイソシアネート系、シラン化合物系、エポキシ系化合物または酸無水物である。
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価または3価のポリアルコール類との付加体等が挙げられる。具体例として、特開昭56−5535号の10〜12頁に記載されるイソシアネート化合物を利用することができる。
尚、イソシアネートとポリアルコールの付加体は、特に層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイソシアネートは、熱現像感光材料のどの部分に存在していてもよい。例えば、支持体中(特に、支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)、画像形成層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の画像形成層面側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層または2層以上に添加することができる。
また、本発明に使用可能なチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
上記架橋剤の使用量は、銀1モルに対して、通常、0.001〜2モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
本発明において含有させることができるイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、当該官能基を1個のみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
シラン化合物の例としては、特開2001−264930号に開示されている一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
また、架橋剤として使用できるエポキシ化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。また、エポキシ化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマー等の何れであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーの何れであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2,000〜20,000程度である。
本発明に用いられる酸無水物は、下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。この様な酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はない。
−CO−O−CO−
上記のエポキシ化合物や酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。このエポキシ化合物や酸無水物は、画像形成層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の画像形成層面側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層または2層以上に添加することができる。
(省銀化剤)
省銀化剤としては、ヒドラジン誘導体化合物、ビニル化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、4級オニウム化合物及びシラン化合物が好ましい例として挙げられる。
ヒドラジン誘導体の具体例としては、米国特許第5,545,505号明細書カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号明細書カラム9〜11に記載の化合物1〜12、特開2001−27790号公報の段落番号「0042」〜「0052」に記載の化合物H−1−1〜H−1−28、H−2−1〜H−2−9、H−3−1〜H−3−12、H−4−1〜H−4−21、H−5−1〜H−5−5が挙げられる。
ビニル化合物の具体例としては、米国特許第5,545,515号明細書のカラム13〜14に記載の化合物CN−01〜CN−13、米国特許第5,635,339号明細書のカラム10に記載の化合物HET−01〜HET−02、米国特許第5,654,130号明細書のカラム9〜10に記載の化合物MA−01〜MA−07の化合物、米国特許第5,705,324号明細書のカラム9〜10に記載の化合物IS−01〜IS−04、特開2001−125224号公報の段落番号「0043」〜「0088」記載の化合物1−1〜218−2が挙げられる。
フェノール誘導体、ナフトール誘導体の具体例としては、特開2000−267222号公報の段落番号「0075」〜「0078」の記載の化合物A−1〜A−89、特開2003−66558号公報の段落番号「0025」〜「0045」に記載の化合物A−1〜A−258が挙げられる。
4級オニウム化合物の具体例としては、トリフェニルテトラゾリウムが挙げられる。
シラン化合物の具体例としては、特開2003−5324号公報の段落番号「0027」〜「0029」記載の化合物A1〜A33に示されるような一級または二級アミノ基を2個以上有するアルコキシシラン化合物あるいはその塩が挙げられる。
上記省銀化剤の添加量は、有機銀塩1モルに対し1×10-5〜1モル、好ましくは1×10-4〜5×10-1モルの範囲である。
本発明の熱現像感光材料においては、省銀化剤として前記一般式(DA−1)または一般式(DA−2)で表される化合物を用いることが特に好ましい。
前記一般式(DA−1)または(DA−2)において、X1及びX2はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表す。X1及びX2で表される置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、更に好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等の各基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜8であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等の各基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、更に好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等の各基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等の各基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、更に好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等の各基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜10であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等の各基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜10であり、例えば、N−メチルアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等の各基)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等の各基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等の各基)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等の各基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル等の各基)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、トシル等の各基)、スルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ等の各基)、アゾ基、ヘテロ環基、ヘテロ環メルカプト基、シアノ基等が挙げられる。ここでいうヘテロ環基とは、飽和もしくは不飽和のヘテロ環基を表し、例えばピリジル基、キノリル基、キノキサリニル基、ピラジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、テトラゾリル基、ヒダントイン−1−イル基、スクシンイミド基、フタルイミド基等が挙げられる。
前記一般式(DA−1)または一般式(DA−2)において、X1、X2は、好ましくは置換基を表し、更に好ましくは、アルコキシ基、アリールオキシ基を表すとき、現像後に色素像を実質的に形成せず、熱現像感光材料の画像色調にほとんど影響を与えない観点から好ましい。また、X1及びX2で表される置換基は更に別の置換基で置換されていてもよく、写真性能を悪化させないものであれば一般に知られているどのような置換基でもよい。
前記一般式(DA−1)または(DA−2)において、R9〜R11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m2及びp2はそれぞれ独立に0〜4の整数、n2は0〜2の整数を表す。R9〜R11で表される置換基としては、写真性へ悪影響のないものであればどのような置換基を用いてもよい。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖、分岐、環状またはそれら組み合わせのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜13であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−オクチル、n−アミル、tert−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、シクロヘキシル等の各基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等の各基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、更に好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等の各基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等の各基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、更に好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等の各基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等の各基)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基等の各基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜13であり、例えば、アセチルアミノ、トリデカノイルアミノ、ベンゾイルアミノ等の各基)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ブタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等の各基)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等の各基)、カルバメート基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェニルオキシカルボニルアミノ等の各基)、カルボキシル基、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等の各基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等の各基)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等の各基)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、トシル等の各基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、更に好ましくは0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等の各基)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、メチルチオ、ブチルチオ等の各基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、イミダゾイル、ピロリジル等の各基)等が挙げられる。これらの置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。R9〜R11で表される置換基として好ましいものは、上記の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アニリノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アシル基、スルホ基、スルホニル基、スルファモイル基、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、ヘテロ環基である。
前記一般式(DA−1)で表される化合物は、2−位にカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(2−クロロフェニル)カルバモイル、N−(4−クロロフェニル)カルバモイルN−(2,4−ジクロロフェニル)カルバモイル、N−(3,4−ジクロロフェニル)カルバモイル等の各基)を有することが更に好ましく、2−位にアリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、更に好ましくは7〜12であり、例えば、N−フェニルカルバモイル、N−(2−クロロフェニル)カルバモイル、N−(4−クロロフェニル)カルバモイルN−(2,4−ジクロロフェニル)カルバモイル、N−(3,4−ジクロロフェニル)カルバモイル等の各基)を有することが特に好ましい。
前記一般式(DA−1)または(DA−2)で表される化合物の例としては、例えば、特開2003−66559号公報の段落番号「0057」〜「0078」に記載の化合物(A−1)〜(A−221)が挙げられる。
以下に、一般式(DA−1)または(DA−2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明に用いられる化合物はこれらの具体例によって限定されるものではない。
Figure 2005208103
Figure 2005208103
前記一般式(DA−1)または(DA−2)で表される化合物は、写真業界で公知の方法によって容易に合成することができる。一般式(DA−1)または(DA−2)で表される化合物は、水または適当な有機溶媒、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブなどに溶解して用いることができる。あるいは、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテート、ジエチルフタレートなどの高沸点有機溶剤、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を調製して用いることができる。あるいは、よく知られている固体分散法に従って、ボールミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザーまたは超音波によって、目的の化合物の粉末を水の中に分散して調製することができる。
前記一般式(DA−1)または(DA−2)で表される化合物は、支持体上、感光性ハロゲン化銀及び還元可能な銀塩と同一の面であればいずれの層に添加してもよいが、ハロゲン化銀を含む層またはそれに隣接する層に添加することが好ましい。
前記一般式(DA−1)または(DA−2)で表される化合物の添加量は、銀1モル当たり0.2〜200ミリモルが好ましく、より好ましくは0.3〜100ミリモルであり、更に好ましくは0.5〜30ミリモルである。本発明の一般式(DA−1)または(DA−2)で表される化合物は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
(かぶり防止剤及び画像安定化剤)
本発明の熱現像感光材料に用いられるかぶり防止剤及び画像安定化剤について説明する。
還元剤としては、主にビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンを持った還元剤が用いられているので、これらの水素を引き抜くことができる活性種を発生することにより還元剤を不活性化できる化合物が含有されていることが好ましい。好適には、無色の光酸化性物質として、露光時にフリーラジカルを反応活性種として生成可能な化合物が好ましい。
従ってこれらの機能を有する化合物であればいかなる化合物でもよいが、複数の原子からなる有機フリーラジカルが好ましい。かかる機能を有し、かつ熱現像感光材料に格別の弊害を生じることのない化合物であればいかなる構造を持った化合物でもよい。
また、これらのフリーラジカルを発生する化合物としては、発生するフリーラジカルが還元剤と反応し不活性化するに十分な時間接触できる位の安定性を持たせるために炭素環式、または複素環式の芳香族基を有するものが好ましい。これらの化合物の代表的なものとして、ビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物を挙げることができる。
上記のビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物の添加量は、各々0.001〜0.1モル/m2、好ましくは0.005〜0.05モル/m2の範囲である。尚、当該化合物は、本発明の熱現像感光材料において、いかなる構成層中にも含有させることができるが、還元剤の近傍に含有させることが好ましい。
また、かぶり防止剤及び画像安定化剤として、ハロゲン原子を活性種として放出できる化合物も多くのものが知られている。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特開2002−287299号公報の段落番号「0264」〜「0271」に記載の一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
これらの化合物の添加量は、実質的にハロゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が問題にならない範囲が好ましく、活性ハロゲンラジカルを生成しない化合物に対する比率で、最大150%以下、更に好ましくは100%以下である。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特開2002−169249号公報の段落番号「0086」〜「0087」に記載されている化合物(III−1)〜(III−23)、特開2003−50441号公報の段落番号「0031」〜「0034」記載の化合物1−1a〜1−1o、1−2a〜1−2o、段落番号「0050」〜「0056」記載の化合物2a〜2z、2aa〜2ll、2−1a〜2−1f、特開2003−91054号公報の段落番号「0055」〜「0058」記載の化合物4−1〜4−32、段落番号「0069」〜「0072」記載の化合物5−1〜5−10を挙げることができる。
次に、本発明の熱現像感光材料において好ましく使用される上記以外のかぶり防止剤について説明する。本発明で好ましく使用されるかぶり防止剤としては、例えば、特開平8−314059号公報の段落番号「0012」に記載の化合物例a〜j、特開平7−209797号公報の段落番号「0028」に記載のチオスルホネートエステルA〜K、特開昭55−140833号公報のp14から記載の化合物例(1)〜(44)、特開2001−13627号公報の段落番号「0063」記載の化合物(I−1)〜(I−6)、段落番号「0066」記載の(C−1)〜(C−3)、特開2002−90937号公報の段落番号「0027」記載の化合物(III−1)〜(III−108)、ビニルスルホン類及び/またはβ−ハロスルホン類の化合物として特開平6−208192号公報の段落番号「0013」に記載の化合物VS−1〜VS−7、化合物HS−1〜HS−5、スルホニルベンゾトリアゾール化合物として特開2000−330235号公報に記載のKS−1〜KS−8の化合物、置換されたプロペンニトリル化合物として特表2000−515995号公報に記載のPR−01〜PR−08、特開2002−207273号公報の段落番号「0042」〜「0051」に記載の化合物(1)−1〜(1)−132等を挙げることができる。
上記かぶり防止剤は、一般に銀1モルに対し、少なくとも0.001モル以上用い、好ましくは銀1モルに対して0.01〜5モル、更に好ましくは銀1モルに対して0.02〜0.6モルである。
尚、上記の化合物の他に、本発明の熱現像感光材料には、従来かぶり防止剤として知られている化合物が含まれてもよいが、上記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化合物であっても、かぶり防止機構が異なる化合物であってもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、同第4,546,075号、同第4,452,885号の各明細書、特開昭59−57234号公報、米国特許第3,874,946号明細書、同第4,756,999号明細書、特開平9−288328号公報、同9−90550号公報に記載されている化合物が挙げられる。更に、その他のかぶり防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同第605,981号、同第631,176号の各明細書に開示されている化合物が挙げられる。
本発明に用いる還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)を有する場合、特に、ビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物の具体例としては、例えば、特開2002−90937号公報の段落番号「0061」〜「0064」に記載の化合物(II−1)〜(II−40)が挙げられる。
(フッ素系界面活性剤)
本発明の熱現像感光材料においては、熱現像処理装置でのフィルム搬送性や環境適性(生体内への蓄積性)を改良する目的で、下記一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。
一般式(SF)
(Rf−(L1n1−)p−(Y)m1−(A)q
上記一般式(SF)において、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表し、L1はフッ素原子を有しない2価の連結基を表し、Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表し、Aはアニオン基またはその塩を表し、n1、m1は各々0または1を表し、pは1〜3の整数を表し、qは1〜3の整数を表す。但し、qが1の時はn1とm1は同時に0ではない。
前記一般式(SF)において、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表すが、該フッ素原子を含有する置換基としては、例えば、炭素数1〜25のフッ化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基、トリフロロエチル基、パーフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基及びパーフロロオクタデシル基等)またはフッ化アルケニル基(例えば、パーフロロプロペニル基、パーフロロブテニル基、パーフロロノネニル基及びパーフロロドデセニル基等)等が挙げられる。
1はフッ素原子を有さない2価の連結基を表すが、該フッ素原子を有さない2価の連結基としては、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等)、アルキレンオキシ基(例えば、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、ブチレンオキシ基等)、オキシアルキレン基(例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシブチレン基等)、オキシアルキレンオキシ基(例えば、オキシメチレンオキシ基、オキシエチレンオキシ基、オキシエチレンオキシエチレンオキシ基等)、フェニレン基、オキシフェニレン基、フェニルオキシ基、オキシフェニルオキシ基またはこれらの基を組合せた基等が挙げられる。
Aはアニオン基またはその塩を表すが、例えば、カルボン酸基またはその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、スルホン酸基またはその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、硫酸ハーフエステル基またはその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)、及び燐酸基またはその塩(例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩等)等が挙げられる。
Yはフッ素原子を有さない(p+q)価の連結基を表すが、例えば、フッ素原子を有さない3価または4価の連結基としては、窒素原子または炭素原子を中心にして構成される原子群が挙げられる。n1は0または1を表すが、1であるのが好ましい。
一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、フッ素原子を導入した炭素数1〜25のアルキル化合物(例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基及びパーフロロオクタデシル基等を有する化合物)及びアルケニル化合物(例えば、パーフロロヘキセニル基及びパーフロロノネニル基等)と、それぞれフッ素原子を導入していない3価〜6価のアルカノール化合物、水酸基を3〜4個有する芳香族化合物またはヘテロ化合物との付加反応や縮合反応によって得られた化合物(一部Rf化されたアルカノール化合物)に、更に、例えば、硫酸エステル化等によりアニオン基(A)を導入することにより得ることができる。
上記3〜6価のアルカノール化合物としては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチル−2−ヒドロキシメチル1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンテン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ブタノール)−3、脂肪族トリオール、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール等が挙げられる。また、上記水酸基を3〜4個有する芳香族化合物及びへテロ化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン及び2,4,6−トリヒドロキシピリジン等が挙げられる。
以下、一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤の好ましい具体的化合物を示す。
Figure 2005208103
Figure 2005208103
本発明の熱現像感光材料において、上記一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤を塗布液に添加する方法としては、公知の添加法に従って添加することができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザ分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤は、最外層の保護層に添加することが好ましい。
本発明において、前記一般式(SF)で表されるフッ素系界面活性剤の添加量は、1m2当たり1×10-8〜1×10-1モルが好ましく、1×10-5〜1×10-2モルが特に好ましい。添加量が1×10-8モル未満では帯電特性が得られず、1×10-1モルを越えると、湿度依存性が大きく高湿下の保存性が劣化する。
(表面粗さ)
本発明の熱現像感光材料では、画像形成層面の最表面の十点平均粗さを(Rz(E))とし、支持体を挟んで画像形成層面とは反対側の最表面の十点平均粗さを(Rz(B))とするとき、Rz(E)/Rz(B)の値が0.1以上、0.7以下であることが好ましく、より好ましくは0.2以上、0.6以下であり、特に好ましくは0.3以上、0.5以下である。Rz(E)/Rz(B)の値をこの範囲とすることで、熱現像時の濃度ムラを改良することができる。また、画像形成層を有する面側の最表面に含まれるマット剤の最大の平均粒径をもつマット剤の平均粒径をLe(μm)とし、バックコート層を有する側の最表面に含まれるマット剤の最大の平均粒径をもつマット剤の平均粒径をLb(μm)としたとき、Lb/Leが2.0以上、10以下であることが好ましく、3.0以上、4.5以下であることがより好ましい。Lb/Leをこの範囲とすることで熱現像時の濃度ムラを更に改良することができる。
上記でいう十点平均粗さ(Rz)とは、下記のJIS表面粗さ(B0601)により定義される。十点平均粗さ(Rz)とは、断面曲線から基準長さだけぬきとった部分において、平均線に平行、かつ、断面曲線を横切らない直線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。中心線平均表面粗さ(Ra)の測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重ね合わされない条件で24時間調湿したのち、該環境下で測定する。ここで示す重ね合わされない条件とは、例えば、試料のエッジ部分を高くした状態で巻き取る方法やフィルムとフィルムの間に紙をはさんで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製のRSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることができる。
熱現像感光材料の表面と裏面の十点平均粗さを上記した範囲とするためには、用いるマット剤の種類、平均粒径、添加量、あるいはマット剤の分散条件、塗布時の乾燥条件等をコントロールすることで容易に調整することができる。また、画像形成層面側の最表面の十点平均粗さRz(E)は、1.0μm以上、4.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.2μm以上、3.8μm以下、特に好ましくは1.4μm以上、3.6μm以下である。Rz(E)をこの範囲とすることで、熱現像の濃度ムラ、熱現像時の搬送性を改良することができる。
また、画像形成層面の最表面の中心線平均粗さを(Ra(E))とし、支持体を挟んで画像形成層面とは反対側の最表面の中心線平均粗さを(Ra(B))としたとき、Ra(E)/Ra(B)の値が0.4以上、1.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.5以上、1.4以下であり、特に好ましくは0.6以上、1.3以下である。本発明においては、Ra(E)/Ra(B)の値を上記で規定した範囲とすることにより、本発明の目的効果の中でも、特に、経時でのかぶり上昇が小さく、フィルムの搬送性がよく、熱現像時の濃度むらの発生についてより向上させることができる。また、画像形成層面側の最表面の中心線平均粗さRa(E)は、40nm以上、150nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以上、140nm以下、特に好ましくは60nm以上、130nm以下である。Ra(E)をこの範囲とすることで、特に、経時でのかぶり上昇が小さく、フィルムの搬送性がよく、熱現像時の濃度むらの発生についてより向上させることができる。
(マット剤)
本発明においては、上記の表面粗さを実現させるため、熱現像感光材料の表面層に(画像形成層側、また、支持体を挟み画像形成層の反対側に非感光層を設けた場合にも)、表面粗さをコントロールする目的で、マット剤として有機または無機の粉末を用いることが好ましい。また、用いられる粉末としては、モース硬度が5以上の粉末を用いることが好ましい。
粉末としては、公知の無機質粉末や有機質粉末を適宜選択して使用することができる。無機質粉末としては、例えば酸化チタン、窒化硼素、SnO2、SiO2、Cr23、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、ガーネット、マイカ、珪石、窒化珪素、炭化珪素等を挙げることができる。有機質粉末としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、テフロン(R)等の粉末を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、SiO2、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、Cr23、マイカ等の無機粉末等であり、その中でも、SiO2、α−Al23が好ましく、特に好ましいのはSiO2である。
本発明においては、前記粉末がSi化合物またはAl化合物により表面処理されていることが好ましい。かかる表面処理の為された粉末を用いると最上層の表面状態を良好にすることができる。前記SiまたはAlの含有量としては、前記粉末に対してSiが0.1〜10質量%、Alが0.1〜10質量%であるのが好ましく、より好ましくはSiが0.1〜5質量%、Alが0.1〜5質量%であり、Siが0.1〜2質量%、Alが0.1〜2質量%であるのが特に好ましい。また、Si、Alの質量比がSi<Alであるのがよい。表面処理に関しては特開平2−83219号公報に記載された方法により行うことができる。尚、本発明における粉末の平均粒径とは、球状粉末においてはその平均直径を、針状粉末においてはその平均長軸長を、板状粉末においてはその板状面の最大の対角線の長さの平均値を、それぞれ意味し、電子顕微鏡による測定から容易に求めることができる。
上記有機または無機粉末は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。
画像形成層面側の最外層に含まれる有機または無機粉末の平均粒径は、通常0.5〜8.0μm、好ましくは1.0〜6.0μmであり、より好ましくは2.0〜5.0μmである。添加量は、最外層に用いられるバインダー量(硬化剤についてはバインダー量に含む)に対して、通常1.0〜20質量%であり、好ましくは2.0〜15質量%であり、より好ましくは3.0〜10質量%である。
支持体を挟んで画像形成層側とは反対側の最外層に含まれる有機または無機粉末の平均粒径は、通常2.0〜15.0μm、好ましくは3.0〜12.0μmであり、より好ましくは4.0〜10.0μmである。添加量は最外層に用いられるバインダー量(硬化剤についてはバインダー量に含む)に対して、通常0.2〜10質量%であり、好ましくは0.4〜7質量%であり、より好ましくは0.6〜5質量%である。
また、粉末の粒子サイズ分布の変動係数としては50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下である。ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
変動係数(%)={(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)}×100
有機または無機粉末の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前に有機または無機粉末を噴霧する方法を用いてもよい。また、複数の種類の粉末を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
(支持体)
本発明の熱現像感光材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(アルミニウム等)等が挙げられるが、情報記録材料としての取扱い上は、可撓性のあるシートまたはロールに加工できるものが好適である。従って、本発明の熱現像感光材料における支持体としては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム(TAC)またはポリカーボネート(PC)フィルム等のプラスチックフィルムが好ましく、特に2軸延伸したPETフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
帯電性を改良するため、金属酸化物及び/または導電性ポリマー等の導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらは何れの層に含有させてもよいが、好ましくはバッキング層または画像形成層面側の表面保護層、下引層等に含まれる。米国特許第5,244,773号のカラム14〜20に記載された導電性化合物等が好ましく用いられる。中でも、本発明では、バッキング層側の表面保護層に導電性金属酸化物を含有することが好ましい。このことで、更に本発明の効果(特に熱現像処理時の搬送性)を高められることが判明した。
ここで、導電性金属酸化物とは、結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は、一般的に言って導電性が高いので特に好ましく、特に後者はハロゲン化銀乳剤にかぶりを与えないので特に好ましい。金属酸化物の例としてZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、またはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、また、TiO2に対してはNb、Ta等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜30モル%の範囲が好ましいが、0.1〜10モル%であれば特に好ましい。更に、微粒子分散性、透明性改良のため、微粒子調製時に珪素化合物を添加してもよい。
本発明に用いられる金属酸化物微粒子は導電性を有しており、その体積抵抗率は1×107Ω・cm以下、特に1×105Ω・cm以下であることが好ましい。これらの酸化物については、特開昭56−143431号、同56−120519号、同58−62647号等に記載されている。更に、特公昭59−6235号に記載の如く、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状物(酸化チタン等)に上記の金属酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。
利用できる粒子サイズは1μm以下が好ましく、更に0.5μm以下であると分散後の安定性に優れる観点で好ましい。また、光散乱性をできるだけ小さくするために、0.3μm以下の導電性粒子を利用すると、透明感光材料を形成することが可能となり好ましい。また、導電性金属酸化物が針状あるいは繊維状の場合は、その長さは30μm以下で直径が1μm以下が好ましく、特に好ましくは、長さが10μm以下で直径0.3μm以下であり、長さ/直径比が3以上である。尚、SnO2としては、石原産業社より市販されており、SNS10M、SN−100P、SN−100D、FSS10M等を用いることができる。
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に少なくとも1層の画像形成層を有している。支持体上に画像形成層のみを形成してもよいが、画像形成層上に少なくとも1層の非感光層を形成することが好ましい。例えば、画像形成層上には保護層が、画像形成層を保護する目的で設けられることが好ましく、また、支持体の反対の面には、熱現像感光材料間、あるいは熱現像感光材料をロールに積層した際の表裏面の「くっつき」を防止するため、バックコート層が設けられる。
これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては、画像形成層よりもガラス転位点(Tg)が高く、擦り傷や変形の生じ難いポリマー、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが、前記のバインダーの中から目的に応じて適宜選択される。
また、階調調整等を目的として、画像形成層を支持体の一方の面側に2層以上または支持体の両側に1層以上設置してもよい。
(染料)
本発明の熱現像感光材料においては、画像形成層を透過する光の量または波長分布を制御するため、画像形成層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成するか、画像形成層に染料または顔料を含有させることが好ましい。
本発明において用いられる染料としては、熱現像材料の感色性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物が使用できる。
例えば、本発明の熱現像材料を赤外光による画像記録材料とする場合には、特開2001−83655号公報に開示されているようなチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料、またスクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、またはピリリウムクロコニウム染料を使用することが好ましい。
尚、スクアリリウム核を有する化合物とは、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有する化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここで、ヒドロキシル基は解離していてもよい。尚、染料としては特開平8−201959号公報の化合物も好ましい。
(構成層の塗布)
本発明の熱現像感光材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を調製し、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば、画像形成層、保護層)の塗布液を調製し、これを支持体へ塗布する際、各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い、乾燥工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下(より好ましくは90質量%以下)となる前に、上層を設けることである。
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には、特に制限はなく、例えば、バーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いることができる。これらのうちより好ましくはスライド塗布法、エクストリュージョン塗布法である。これらの塗布方法は、画像形成層を有する側について述べたが、バック層を設ける際、下引きと共に塗布する場合についても同様である。熱現像感光材料における同時重層塗布方法に関しては、特開2000−15173号公報に詳細な記載があり、それらを参考にすることができる。
本発明において、塗布銀量は熱現像感光材料の目的に応じた適量を選ぶことが好ましいが、医療用画像を目的とする場合には、0.3g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましく、0.5g/m2以上、1.5g/m2以下がより好ましい。当該塗布銀量のうち、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ましい、更には5〜15%が好ましい。
また、本発明において、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好ましい。更には1×1015個/m2以上、1×1017個/m2以下が好ましい。
更に、前記の非感光性長鎖脂肪族カルボン酸銀の塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子1個当たり、1×10-17g以上、1×10-14g以下が好ましく、1×10-16g以上、1×10-15g以下がより好ましい。
上記のような範囲内の条件において塗布した場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高濃度、即ち銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
本発明においては、熱現像感光材料が現像時に溶剤を5〜1,000mg/m2の範囲で含有していることが好ましく、更に100〜500mg/m2であるように調整することが好ましい。それにより、高感度、低かぶり、最高濃度の高い熱現像感光材料を得ることができる。用いることのできる溶剤としては、特開2001−264930号公報の段落番号「0030」に記載のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらの溶剤は単独または数種類組合せて用いることができる。
尚、熱現像感光材料中の上記溶剤の含有量の制御は、塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等を適宜調整することによって実現できる。また、上記溶剤の含有量は、含有させた溶剤を検出するために適した条件下で、ガスクロマトグラフィー等を用いて測定できる。
(包装材料)
本発明の熱現像感光材料を保存する場合は、経時での濃度変化やかぶり発生を防止する、もしくはカール、巻癖などを改良する目的で、酸素透過率または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は、25℃で50ml/atm・m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm・m2・day以下、更に好ましくは1.0ml/atm・m2・day以下である。水分透過率は10g/atm・m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm・m2・day以下、更に好ましくは1g/atm・m2・day以下である。
本発明の熱現像感光材料に適用することのできる包装材料の具体例としては、例えば、特開平8−254793号、特開2000−206653号、特開2000−235241号、特開2002−062625号、特開2003−015261号、特開2003−057790号、特開2003−084397号、特開2003−098648号、特開2003−098635号、特開2003−107635号、特開2003−131337号、特開2003−146330号、特開2003−226439、特開2003−228152号等の各公報に記載されている包装材料を挙げることができる。また、包装体内の空隙率は0.01〜10体積%、好ましくは0.02〜5体積%とするのがよく、窒素封入を行って包装体内の窒素分圧を80%以上、好ましくは90%以上とするのがよい。また、包装体内の相対湿度は10%RH以上、60%RH以下、好ましくは40%RH以上、55%RH以下とするのが良い。
(熱現像感光材料の露光)
熱現像感光材料は、画像記録する際にレーザ光を用いるのが普通である。本発明においては、本発明の熱現像感光材料に付与した感色性に対応した適切な光源を用いることが望ましい。例えば、熱現像感光材料が赤外光に感色性を有している場合には、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワーがハイパワーであることや、熱現像感光材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
本発明において、露光はレーザ走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には、種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、熱現像感光材料の露光面と走査レーザ光の為す角が実質的に垂直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙げられる。
ここで、「実質的に垂直になることがない」とは、レーザ光走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55〜88度、より好ましくは60〜86度、更に好ましくは65〜84度、最も好ましくは70〜82度であることを言う。
レーザ光が熱現像感光材料面を走査する時、熱現像感光材料露光面でのビームスポット直径は好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方が、レーザ光入射角度の垂直からの「ずらし角度」を減らせる点で好ましい。尚、ビームスポット直径の下限は10μmである。この様なレーザ走査露光を行うことにより、干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることができる。
また、第2の方法として、露光として縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳を掛ける等の方法がよい。尚、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常、露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
更に、第3の態様としては、2本以上のレーザ光を用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。この様な複数本のレーザ光を利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば、特開昭60−166916号等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザ光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、これはレーザイメージャー等と原理的に同じレーザ走査光学装置である。
レーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段における感光体上へのレーザ光の結像は、1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途から、一つのレーザ光の結像位置から1ライン分ずらして次のレーザ光が結像されている。具体的には、二つの光ビームは、互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dpiで42.3μmである。この様な、副走査方向に解像度分ずらした方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上のレーザを入射角を変え露光面に集光させ画像形成することが好ましい。この際、通常の1本のレーザ光(波長λ[nm])で書き込む場合の露光面での露光エネルギーがEであり、露光に使用するN本のレーザ光が同一波長(波長λ[nm])、同一露光エネルギー(En)である場合に、0.9×E≦En×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。この様にすることにより、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれのレーザ光の画像形成層への反射は、レーザの露光エネルギーが低いため低減され、その結果、干渉縞の発生が抑えられる。
尚、上述では複数本のレーザ光の波長をλと同一のものを説明したが、波長の異なるものを用いてもよい。この場合には、λ[nm]に対して(λ−30)<λ1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にするのが好ましい。
尚、上述した第1、第2及び第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でも、メンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザによるレーザ光を用いるのが好ましい。尚、レーザ・イメージャやレーザ・イメージセッタで使用されるレーザ光において、熱現像感光材料に走査される時の該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は熱現像材料固有のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、熱現像感光材料毎に最適な値に設定することができる。
(熱現像処理装置)
本発明で用いることのできる熱現像処理装置の構成としては、フィルムトレイで代表されるフィルム供給部、レーザ画像記録部、熱現像感光材料の全面に均一で安定した熱を供給する熱現像部、フィルム供給部からレーザ記録を経て、熱現像により画像形成された熱現像感光材料を装置外に排出するまでの搬送部から構成される。
図1は、本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用いることのできる熱現像処理装置の一例を示す断面図である。
図1において、熱現像装置100は、シート状の熱現像感光材料(フォトサーモグラフィックエレメントまたは単にフィルムとも言う)を1枚ずつ給送する給送部110、給送されたフィルムFを露光する露光部120、露光されたフィルムFを現像する現像部130、現像を停止させる冷却部150と集積部160とを有し、給送部からフィルムFを供給するための供給ローラー対140、現像部にフィルムを送るための供給ローラー対144、各部間でフィルムFを円滑に移送するための搬送ローラー対141、142、143、145等複数のローラー対から成っている。熱現像部はフィルムFを現像する加熱手段として、外周にほぼ密着して保持しつつ加熱可能な複数の対向ローラー2を有するヒートドラム1と現像したフィルムFを剥離し冷却部に送るための剥離爪6等から成る。
尚、熱現像感光材料の熱現像部における搬送速度は10〜200mm/secが好ましい範囲であり、より好ましくは20〜200mm/secである。搬送速度をこの範囲とすることにより、熱現像時の濃度むらを改良でき、また処理時間が短縮できるため、緊急時の診断にも対応できて好ましい。
熱現像感光材料の現像条件は、使用する機器、装置、あるいは手段に依存して変化するが、典型的には、適した高温において像様に露光した熱現像材料を加熱することにより現像を行うものである。露光後に得られた潜像は、中程度の高温(例えば、約80〜200℃、好ましくは約100〜140℃、より好ましくは110〜130℃)で、十分な時間(一般には、約1秒〜60秒間、好ましくは3〜30秒間、より好ましくは5〜20秒間)で熱現像処理が施される。加熱温度が80℃未満では短時間に十分な画像濃度が得られず、また、200℃を超えるとバインダーが溶融し、ローラーへの転写等画像そのものだけでなく、搬送性や現像機等へも悪影響を及ぼす。
この加熱処理により、有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の供給を一切行わないで進行する。
加熱手段としては、例えば、ホットプレート、アイロン、ホットローラー、炭素または白色チタン等を用いた熱発生器として典型的な加熱手段等で行ってよい。より好ましくは、保護層の設けられた熱現像感光材料は、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理することが、均一な加熱を行う上で、また、熱効率、作業性等の観点から好ましく、保護層を有する側の面をヒートローラーに接触させながら搬送し、加熱処理して現像することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。
実施例1
《感光材料1−1の作製》
〔下引き済み支持体の作製〕
光学濃度0.150(コニカミノルタフォトイメージング社製、デンシトメータPDA−65で測定)に下記青色染料で着色した2軸延伸熱固定した厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に、8W・分/m2のコロナ放電処理を施した写真用支持体に、下記の方法に従って下引加工を行った。
上記写真用支持体の一方の面に、下引塗布液a−1を乾燥膜厚が0.2μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥して画像形成層側下引層を形成した(以下、下引下層A−1という)。また、反対側の面にバックコート層下引層として、下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚が0.12μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させてバックコート層側に帯電防止機能を持つ下引導電層(以下、下引下層B−1という)を塗設した。上記下引下層A−1と下引下層B−1の各表面に、8W・分/m2のコロナ放電を施した後、下引下層A−1上には下記下引塗布液a−2を乾燥膜厚0.03μmになる様に33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層A−2を形成し、また、下引下層B−1上には下記下引塗布液b−2を乾燥膜厚0.2μmになる様に33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層B−2とし、更に123℃で2分間支持体を熱処理し25℃50%RHの条件下で巻き取り、下引済み支持体を作製した。
Figure 2005208103
(下引塗布液a−1の調製:画像形成層側下引下層A−1)
アクリル系ポリマーラテックスC−3(固形分30%) 70.0g
エトキシ化アルコールとエチレンホモポリマーの水分散物(固形分10%)5.0g
界面活性剤(A) 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
(下引塗布液a−2の調製:画像形成層側下引上層A−2)
変性水性ポリエステルB−2(18質量%) 30.0g
界面活性剤(A) 0.1g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50)0.04g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
(下引塗布液b−1の調製:バックコート層側下引下層B−1)
アクリル系ポリマーラテックスC−1(固形分30%) 30.0g
アクリル系ポリマーラテックスC−2(固形分30%) 7.6g
SnO2ゾル(*1) 180g
界面活性剤(A) 0.5g
PVA−613(クラレ(株)製 PVA)5質量%水溶液 0.4g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
*1:特公昭35−6616号公報の実施例1に記載の方法で合成したSnO2ゾルを固形分濃度が10質量%になるように加熱濃縮した後、アンモニア水でpH=10に調整したもの
Figure 2005208103
(下引塗布液b−2の調製:バックコート層側下引上層B−2)
変性水性ポリエステルB−1(18質量%) 145.0g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50) 0.2g
界面活性剤(A) 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
なお、上記各下引塗布液の調製に用いた変性水性ポリエステルB−1、B−2溶液及びアクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3は、下記の方法に従って調製した。
〈水性ポリエステルA−1溶液の調製〉
テレフタル酸ジメチルの35.4質量部、イソフタル酸ジメチルの33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩の17.92質量部、エチレングリコールの62質量部、酢酸カルシウム・一水塩の0.065質量部、酢酸マンガン四水塩の0.022質量部を、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチルの0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモンを0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。
その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルA−1を合成した。得られた水性ポリエステルA−1の固有粘度は0.33、平均粒径は40nm、Mw=80000〜100000であった。
次いで、撹拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの3つ口フラスコに、純水850mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、水性ポリエステルA−1を150g徐々に添加した。室温でこのまま30分間撹拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、15質量%の水性ポリエステルA−1溶液を調製した。
〈変性水性ポリエステルB−1、B−2溶液の調製〉
撹拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA−1溶液1900mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続ける。その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−1溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。
次いで、ビニル変性比率を36質量%にし、変性成分をスチレン:グリシジルメタクリレート:アセトアセトキシエチルメタクリレート:n−ブチルアクリレート=39.5:40:20:0.5にした以外は上記変性水性ポリエステルB−1の調製と同様にして、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−2溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。
〈アクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3の調製〉
乳化重合により、表1に記載のモノマー組成を有するアクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3を合成した。固形分濃度はすべて30質量%とした。
Figure 2005208103
〔バックコート層面側の各塗布液の調製〕
(バックコート層塗布液の調製)
メチルエチルケトン(以下、MEKと略す)の830gを撹拌しながら、そこにセルロースアセテートプロピオネート(Eastman Chemical社製:CAP482−20)の84.2g及びポリエステル樹脂(Bostic社:VitelPE2200B)の4.5gを添加して溶解した。次いで、この溶液に0.30gの下記赤外染料1を添加し、更にメタノール43.2gに溶解したフッ素系界面活性剤A(旭硝子社製:サーフロンKH40)の4.5gとフッ素系界面活性剤B(大日本インキ社製:メガファッグF120K)の2.3gとを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。次いで、オレイルオレートの2.5gを添加、撹拌して、バックコート層塗布液を調製した。
Figure 2005208103
(バックコート層面側保護層(表面保護層)塗布液の調製)
下記の各添加剤を順次混合、溶解してバックコート層面側保護層塗布液を調製した。なお、単分散シリカはMEKに1%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散を行い、シリカ分散液として最後に添加した。
セルロースアセテートプロピオネート(Eastman Chemical社製:CAP482−20)の10%MEK溶液 固形分量として15g
817(CH2CH2O)12817 0.05g
フッ素系界面活性剤(例示化合物SF−17) 0.01g
ステアリン酸 0.1g
オレイルオレート 0.1g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.1g
単分散シリカ(単分散度15%、平均粒径:10μm、シリカ全質量の1%をアルミニウムで表面処理) 0.03g
〔画像形成層面側の各塗布液の調製〕
(感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製)
〈A1液〉
フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g
化合物AO−1(*1)の10%メタノール水溶液 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げた
〈B1液〉
0.67モル/L硝酸銀水溶液 2635ml
〈C1液〉
臭化カリウム 50.69g
沃化カリウム 2.66g
水で660mlに仕上げた
〈D1液〉
臭化カリウム 151.6g
沃化カリウム 7.67g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム(1%水溶液) 0.93ml
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 0.004g
ヘキサクロロオスミウム(IV)酸カリウム 0.004g
水で1982mlに仕上げた
〈E1液〉
0.4モル/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
〈F1液〉
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げた
〈G1液〉
56%酢酸水溶液 18.0ml
〈H1液〉
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げた
*1)AO−1:HO(CH2CH2O)n〔CH(CH3)CH2O〕17(CH2CH2O)mH (m+n=5〜7)。
特公昭58−58288号に示される混合撹拌機を用いてA1液にB1液の1/4量及びC1液の全量を20℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し核形成を行った。1分後にF1液の全量を添加した。この間、pAgの調整をE1液を用いて適宜行った。6分間経過後、B1液の3/4量及びD1液の全量を、20℃、pAg8.09に制御しながら、14分15秒かけて同時混合法により添加した。5分間撹拌した後、40℃に降温し、G1液を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10L加え、撹拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、撹拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、H1液を加え、60℃に昇温し、更に120分撹拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
この感光性ハロゲン化銀乳剤Aに含まれるハロゲン化銀粒子は、平均粒子サイズ25nm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
(感光性ハロゲン化銀乳剤Bの調製)
上記感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製において、A1液にB1液の1/4量及びC1液の全量を同時混合法による添加する際の温度を45℃に変更した以外は同様にして、感光性ハロゲン化銀乳剤Bを調製した。
この感光性ハロゲン化銀乳剤Bに含まれるハロゲン化銀粒子は、平均粒子サイズ55nm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
(粉末有機銀塩Aの調製)
4720mlの純水に、ベヘン酸を130.8g、アラキジン酸を67.7g、ステアリン酸を43.6g、パルミチン酸を2.3g添加し、80℃で溶解した。次いで、1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液の540.2mlを添加し、次いで濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。この脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、上記調製した感光性ハロゲン化銀乳剤Aの36.2g及び感光性ハロゲン化銀乳剤Bの9.1gと純水の450mlを添加して5分間撹拌した。
次いで、1モル/Lの硝酸銀溶液の468.4mlを2分間かけて添加し、10分間撹拌して有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて撹拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)を用いて、窒素ガス雰囲気下で乾燥機入り口熱風温度の運転条件を適宜調整して、含水率が0.1%になるまで乾燥して乾燥済みの粉末有機銀塩Aを得た。この有機銀塩Aを用いて後述の方法に従って作製した熱現像感光材料試料1−1について、電子顕微鏡を用いて有機銀塩Aの粒子特性を測定した結果、平均粒径(円相当径)が0.08μm、アスペクト比が5、単分散度が10%の平板状粒子であった。尚、有機銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
(予備分散液Aの調製)
画像形成層バインダーとして、SO3K基含有ポリビニルブチラール(Tg75℃、−SO3K基を0.2ミリモル/g含む)の14.57gをMEKの1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製のディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて撹拌しながら、上記粉末有機銀塩Aの500gを徐々に添加し、十分に混合することにより予備分散液Aを調製した。
(各添加液の調製)
〈感光性乳剤分散液1の調製〉
上記調製した予備分散液Aを、ポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ社製:トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行うことにより感光性乳剤分散液1を調製した。
〈安定剤液の調製〉
1.0gの安定剤1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解して、安定剤液を調製した。
〈赤外増感色素液Aの調製〉
9.6mgの赤外増感色素1、9.6mgの赤外増感色素2、1.488gの2−クロロ安息香酸、2.779gの安定剤2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを31.3mlのMEKに暗所にて溶解して、赤外増感色素液Aを調製した。
〈添加液aの調製〉
還元剤(一般式(1)で表される例示化合物1−1) 4.20g
還元剤(一般式(2)で表される例示化合物2−2) 23.78g
一般式(YA)で表される例示化合物YA−1
例示化合物1−1に対するモル比で0.010
シアン発色性ロイコ染料(例示化合物CA−10) 0.159g
4−メチルフタル酸 1.54g
赤外染料1(前出) 0.48g
上記各添加剤を、110gのメチルエチルケトンに添加、溶解して添加液aとした。
〈添加液bの調製〉
1.56gのかぶり防止剤2、0.5gのかぶり防止剤3、0.5gのかぶり防止剤4、0.5gのかぶり防止剤5、3.43gの一般式(PP)で表される例示化合物PP−1を、MEK40.9gに溶解して添加液bとした。
〈添加液cの調製〉
一般式(DA−1)で表される例示化合物DA−1−2の0.01gを、MEK39.99gに溶解して添加液cとした。
〈添加液dの調製〉
0.1gの強色増感剤1をMEK9.9gに溶解し、添加液dとした。
〈添加液eの調製〉
0.5gのp−トルエンチオスルホン酸カリウム、0.5gのかぶり防止剤6をMEK9.0gに溶解し、添加液eとした。
〈添加液fの調製〉
1.0gのビニルスルホン〔(CH2=CH−SO2CH22CHOH〕を含有するかぶり防止剤をMEK9.0gに溶解し、添加液fとした。
(画像形成層塗布液1の調製)
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、前記調製した感光性乳剤分散液1の50g及びMEKの15.11gを撹拌しながら21℃に保温し、化学増感剤S−5(0.5%メタノール溶液)の1000μlを加え、2分後にかぶり防止剤1(10%メタノール溶液)の390μlを加えて1時間撹拌した。更に、臭化カルシウム(10%メタノール溶液)の494μlを添加して10分撹拌した後、上記の化学増感剤S−5の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、更に20分撹拌した。続いて、安定剤液の167μlを添加して10分間撹拌した後、1.32gの赤外増感色素液Aを添加して1時間撹拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分撹拌した。13℃に保温したまま、0.5gの添加液d、0.5gの添加液e、0.5gの添加液f、予備分散液Aで使用したバインダー(SO3K基含有ポリビニルブチラール)の13.31gを添加して30分撹拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4%MEK溶液)の1.084gを添加して15分間撹拌した。更に、撹拌を続けながら、12.43gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300/モーベイ社製の脂肪族イソシアネート(10%MEK溶液)、4.27gの添加液b、4.0gの添加液cを順次添加し撹拌することにより画像形成層塗布液1を得た。
安定剤液をはじめとする画像形成層塗布液1の調製に用いた添加剤の構造を以下に示す。
Figure 2005208103
Figure 2005208103
(画像形成層保護層下層(表面保護層下層)塗布液の調製)
アセトン 5g
MEK 21g
セルロースアセテートプロピオネート(Eastman Chemical社製:CAP−141−20、ガラス転移温度Tg=190℃) 2.3g
メタノール 7g
フタラジン 0.25g
単分散シリカ(単分散度15%、平均粒径:10μm、シリカ全質量の1%をアルミニウムで表面処理) 0.140g
CH2=CHSO2CH2CH2OCH2CH2SO2CH=CH2 0.035g
1225(CH2CH2O)101225 0.01g
フッ素系界面活性剤(例示化合物SF−17) 0.01g
ステアリン酸 0.1g
ステアリン酸ブチル 0.1g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.1g
(画像形成層保護層上層(表面保護層上層)の調製)
アセトン 5g
メチルエチルケトン 21g
セルロースアセテートプロピオネート(Eastman Chemical社製:CAP−141−20、ガラス転移温度Tg=190℃) 2.3g
メタノール 7g
フタラジン 0.25g
単分散シリカ(単分散度15%、平均粒径:10μm、シリカ全質量の1%をアルミニウムで表面処理) 0.140g
CH2=CHSO2CH2CH2OCH2CH2SO2CH=CH2 0.035g
1225(CH2CH2O)101225 0.01g
フッ素系界面活性剤(例示化合物SF−17) 0.01g
ステアリン酸 0.1g
ステアリン酸ブチル 0.1g
α−アルミナ(モース硬度9) 0.1g
なお、上記画像形成層保護層上層、下層の各塗布液については、前述のバックコート層面側保護層塗布液の調製方法に従って調製した。
〔熱現像感光材料の作製〕
(バックコート層面側の塗布)
前記調製したバックコート層塗布液、バックコート層面側保護層塗布液を、乾燥膜厚がそれぞれ3.5μmになるように、支持体の下引上層B−2上に押出しコーターにて、塗布速度50m/minにて塗布を行った。なお、乾燥は乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて行った。
(画像形成層面側の塗布)
前記調製した画像形成層塗布液1、画像形成層保護層下層塗布液、画像形成層保護層上層塗布液を、この順で押出し(エクストルージョン)コーターを用いて塗布速度50m/minにて、上記バックコート層面側を塗設した支持体の下引上層A−2上に同時重層塗布することにより、熱現像感光材料1−1を作製した。なお、塗布条件は、画像形成層の塗布銀量は1.2g/m2、画像形成層保護層(表面保護層)は乾燥膜厚で3.0μm(表面保護層上層が1.5μm、表面保護層下層が1.5μm)になる様に行った後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて10分間乾燥を行った。
得られた熱現像感光材料1−1の画像形成層面側の膜面pHは5.3、ベック平滑度は5000秒であり、バックコート層面側の膜面pHは5.5,ベック平滑度は6000秒であった。
《熱現像感光材料1−2〜1−13、1−18〜1−25の作製》
上記熱現像感光材料1−1の作製に用いた画像形成層塗布液1の調製において、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物、一般式(PP)で表される化合物、一般式(YA)で表される化合物及び一般式(DA−1)または一般式(DA−2)で表される化合物のそれぞれの種類及び添加量を、表2に記載のように変更した以外は同様にして、熱現像感光材料1−2〜1−13、1−18〜1−25を作製した。
なお、一般式(PP)で表される化合物及び一般式(DA−1)または一般式(DA−2)で表される化合物は、熱現像感光材料1−1の添加量と同量とし、種類のみを変更した。また、一般式(YA)で表される化合物は、例示化合物YA−1を用い、一般式(1)で表される化合物に対するモル比のみを変更した。
《熱現像感光材料1−14の作製》
上記熱現像感光材料1−1の作製において、画像形成層塗布液の調製に用いた粉末有機銀塩Aの調製時に、ベヘン酸の130.8g、アラキジン酸の67.7g、ステアリン酸の43.6g、パルミチン酸の2.3gに代えて、ベヘン酸の259.9gを用いたこと以外は同様にして、熱現像感光材料1−14を作製した。
《熱現像感光材料1−15の作製》
上記熱現像感光材料1−1の作製において、画像形成層塗布液の調製に用いた粉末有機銀塩Aの調製時に、1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液の540.2mlに代えて、1.5モル/Lの水酸化カリウム水溶液の540.2mlを用いた以外は同様にして、熱現像感光材料1−15を作製した。
《熱現像感光材料1−16の作製》
上記熱現像感光材料1−1の作製において、バックコート層面側保護層塗布液及び画像形成層面側保護層塗布液(上層及び下層)の調製に用いたフッ素系活性剤(例示化合物SF−17)に代えて、同量のC817SO3Liを用いた以外は同様にして、熱現像感光材料1−16を作製した。
《熱現像感光材料1−17の作製》
上記熱現像感光材料1−1の作製において、画像形成層塗布液の調製に用いた予備分散液Aの調製において、画像形成層バインダーとして用いたSO3K基含有ポリビニルブチラール(Tg75℃、SO3Kを0.2ミリモル/g含む)に代えて、SO3K基含有ポリビニルブチラール(Tg65℃、SO3Kを0.2ミリモル/g含む)を用いた以外は同様にして、熱現像感光材料1−17を作製した。
Figure 2005208103
《熱現像感光材料の画像形成》
(包装体の作製)
上記のように作製した熱現像感光材料試料1−1〜1−25を、それぞれ半切サイズ(34.5cm×43.0cm)に断裁した後、25℃、50%RHの環境下で、以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した。
〈包装材料〉
ポリエチレンテレフタレート(PET)10μm/ポリエチレン(PE)12μm/アルミ箔9μm/ナイロン(Ny)15μm/カーボン3%を含むポリエチレン(PE)50μmから構成される包装材料で、酸素透過率が0ml/atm・m2・25℃・day、水分透過率が0g/atm・m2・25℃・dayで、包装体作製時には紙あてボールのトレーを使用した。
(露光及び熱現像処理)
上記作製した各包装体から熱現像感光材料を取り出し、図1に示す熱現像処理装置を用いて、露光及び熱現像処理を行った。
熱現像感光材料をレーザ露光部に搬送した後、画像形成層面側から高周波重畳にて波長810nmの縦マルチモード化された半導体レーザ(1本の最大出力が35mWのレーザーを2本合波して最大出力70mWにしたもの)を露光源とした露光機により、レーザ走査による露光を与えた。この際、熱現像感光材料の露光面と露光レーザ光の角度を75度として画像を形成した。その後、熱現像感光材料を熱現像部へ搬送し、ヒートドラム部を、熱現像感光材料の画像形成層面側の保護層とドラム表面とが接触するように配置し、123℃で13.5秒の熱現像処理を施した。次いで、熱現像感光材料を装置外に搬出した。この時、熱現像感光材料の供給部から画像露光部までの搬送速度、画像露光部での搬送速度、熱現像部での搬送速度は、それぞれ25mm/secで行った。なお、露光及び熱現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。露光は、濃度1.5になるように均一なベタ露光、胸部の実技画像の焼き付け及び最高出力から1段ごとに露光エネルギー量をlogEで0.05ずつ減じながら階段状に露光量を変化させながら行った。
(形成画像の評価)
〈画像濃度の測定〉
上記作成した画像の最高濃度部の銀画像ビジュアル透過濃度を、透過型濃度計(コニカミノルタフォトイメージング社製のデンシトメータPDA−65)を用いて測定した。
〈銀色調の評価〉
各熱現像感光材料に、上記方法に従って胸部X線画像を焼き付け、熱現像処理を施した試料と標準サンプルとしてコニカミノルタエムジー社製の湿式処理方式のレーザイメージャ用銀塩フィルムに同様の画像を焼き付けた試料とを、シャーカステンを使って銀色調を目視観察し、標準サンプルとの相対的な銀色調を下記の基準に従って0.5刻みのランクで判定し、銀色調の評価を行った。なお、0.5刻みのランクは、前後のランクの中間レベルとした。
5:標準サンプルと同じ銀色調である
4:標準サンプルとほぼ同等で、好ましい銀色調である
3:標準サンプルとやや異なる銀色調であるが、実技上問題ない品質である
2:標準サンプルと明らかに異なる銀色調である
1:標準サンプルと異なる不快な銀色調である
〈光照射画像保存性の評価〉
各熱現像感光材料を銀色調の評価の場合と同様の露光、現像を行った後、輝度1000ルックスのシャーカステン上に貼り付けて10日間放置した後、光照射前後の銀色調の変化を目視観察し、下記の基準に従って0.5刻みのランクで判定し、光照射画像保存性の評価を行った。なお、0.5刻みのランクは、前後のランクの中間レベルとした。
5:光照射前後での銀色調の変化がほとんど認められない
4:光照射前後で僅かに色調変化が認められるが、良好は画像保存性である
3:光照射後に、一部で銀色調変化とかぶりの増大が認められる
2:光照射後に、銀色調変化とかぶりの増大がかなりの領域で認められる
1:光照射後に、銀色調変化とかぶりの増大が顕著に発生し、全面で強い濃度ムラが発生している
〈経時かぶり耐性の評価〉
各熱現像感光材料を内部が25℃で55%RHに保たれた密閉容器中に入れた後、55℃の恒温槽内で7日間保存し、これを強制劣化試料とした。また、比較として同じ熱現像感光材料を25℃、湿度55%RHに保たれた密閉容器中に7日間保存し、これを基準試料とした。これらの各試料を上記露光及び熱現像処理を施した後、それぞれの試料の最小濃度(かぶり濃度)を、透過型濃度計(コニカミノルタフォトイメージング社製のデンシトメータPDA−65)を用いて測定し、下式に従ってかぶり濃度増加巾(ΔDmin)を求め、これを経時かぶり耐性の尺度とした。
ΔDmin(かぶり濃度増加巾)=(強制劣化試料のかぶり濃度)−(基準試料のかぶり濃度)
〈濃度ムラ耐性の評価〉
上記方法に従ってベタ画像の露光及び熱現像処理を施した後、シャーカステンを使って画層均一性を目視観察し、下記の基準に従って0.5刻みのランクで濃度ムラ耐性の評価を行った。なお、0.5刻みのランクは、前後のランクの中間レベルとした。
5:濃度ムラの発生が全く認められない
4:わずかに濃度ムラが発生が認められるが、良好な画像均一性である
3:一部で弱い濃度ムラの発生が認められるが、実用上許容範囲にある
2:一部で強い濃度ムラの発生が認められ、実用上障害となる品質である
1:全面に強い濃度ムラの発生が認められ、実用に耐えない品質である
〈表面粗さの評価〉
熱現像の処理前の各熱現像感光材料について、非接触3次元表面解析装置(WYKO社RST/PLUS)を用いて、下記に示す方法に従って、Ra、Rz(E)、Rz(B)を測定した。
1)対物レンズ:×10.0 中間レンズ:×1.0
2)測定範囲:463.4μm×623.9μm
3)ピクセルサイズ:368×238
4)フィルター:円筒補正と傾き補正
5)スムージング:ミディアムスムージング
6)スキャンスピード:Low
なおRz、Raの定義はJIS表面粗さ(B0601)に従った。測定は10cm×10cmの各試料について、1cm間隔で碁盤目状に100分割し、各正方形領域の中心について測定を行ない、100回の測定からその平均値を求めた。
以上により得られた表面粗さを除く各評価結果を、表3に示す。
Figure 2005208103
表3に記載の結果より明らかなように、画像形成層のバインダーの55〜100質量%が疎水性バインダーで、かつ本発明に係る一般式(PP)で表される化合物を含有する本発明の熱現像感光材料は、比較例に対し、高濃度で、銀色調、光照射画像保存性、経時かぶり耐性及び熱現像処理後の濃度ムラ耐性に優れていることが分かる。
また、熱現像感光材料1−16と熱現像感光材料1−1について、熱現像処理装置での搬送性、環境適性(生体内での蓄積性)について別途評価を行った結果、熱現像感光材料1−1の方が優れた特性を有することを確認することができた。また、熱現像感光材料1−17と熱現像感光材料1−1を比較すると、より高いTgを有するバインダーを用いることにより、高温保存時の画像保存性に優れた特性を有することが分かった。
また、前記の方法に従って各熱現像感光材料の画像形成層側の最表面の中心線平均粗さ(Ra)を測定したところ、いずれも90nmであった。また、画像形成層側の最表面の十点平均粗さ(Rz)を測定したところ、いずれも1.4μmであった。また、表裏面の十点平均粗さを測定して、Rz(E)/Rz(B)を求めたところいずれも0.45であった。
実施例2
《支持体の作製》
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエチレンテレフタレートを得た。これをペレット化した後、130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
これを、周速の異なるロールを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンターのチャック部をスリットした後、両端にナール加工を行い、0.4MPaで巻き取り、厚み175μmのロール状の支持体を得た。
《支持体表面のコロナ放電処理》
ピラー社製のソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、上記作製した支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2のコロナ放電処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは1.6mmであった。
《下引済み支持体の作製》
〔画像形成層側下引層塗布液〕
高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 59g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル(平均エチレンオキシド数=8.5)10質量%溶液 5.4g
綜研化学(株)製MP−1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm)
0.91g
蒸留水 935ml
〔バック層面側第1層下引層塗布液〕
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン質量比=68/32) 158g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩の8質量%水溶液
20g
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
蒸留水 854ml
〔バック層面側第2層下引層塗布液〕
SnO2/SbO(9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物)
84g
ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g
信越化学(株)製メトローズTC−5(2質量%水溶液) 8.6g
綜研化学(株)製MP−1000 0.01g
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
NaOH(1質量%) 6ml
プロキセル(ICI社製) 1ml
蒸留水 805ml
上記作製した支持体の両面のそれぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に上記画像形成層側下引層塗布液をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、次いでこの裏面(バック面)に上記バック層面側第1層下引層塗布液をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記バック層面側第2層下引層塗布液をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/m2になるように塗布して180℃で6分間乾燥して下引済み支持体を作製した。
《バック面側塗布液の調製》
(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物−1の64g、界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製)の10g及びジフェニルスルホンの28gと蒸留水の220mlとを混合し、混合液を横型サンドミル(サンドグライダーミルUVM−2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散し、平均粒子径が0.2μmの塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を調製した。
(染料固体微粒子分散液の調製)
シアニン染料化合物−1を9.6gおよびp−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5.8gを蒸留水の305mlと混合して、混合液を横型サンドミル(サンドグライダーミルUVM−2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散し、平均粒子径が0.2μmの染料固体微粒子分散液を調製した。
(ハレーション防止層塗布液の調製)
ゼラチン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の56.0g、上記染料固体微粒子分散液の50.0g、ベンゾイソチアゾリノンの0.03g、ポリエチレンスルホン酸ナトリウムの2.2g、青色染料化合物−1の0.1gを混合し、水を844ml混合し、ハレーション防止層塗布液を調製した。
(バック面保護層塗布液の調製)
容器を40℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.2g、N,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の2.4g、t−オクチルフェノキシエトキシエタンスルホン酸ナトリウムの1.0g、ベンゾイソチアゾリノンの30mg、フッ素系界面活性剤C817SO2−N(C37)−CH2COOK(F−1)の125mg、フッ素系界面活性剤(例示化合物SF−17)の125mg、アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(共重合質量比5/95)の8.8g、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の0.6g、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.8gと、水を950ml混合してディゾルバーで撹拌、溶解した。最後に水に5%の濃度でダイノミル(0.5mm径のセラミックビーズ使用)にて分散した単分散度15%の単分散シリカ(平均粒子サイズ:9μm、シリカ全質量の1%をアルミニウムで表面処理)の20.0gを添加して、バック面保護層塗布液とした。
《画像形成層面側塗布液の調製》
〔各添加物の調製〕
(ハロゲン化銀乳剤1の調製)
蒸留水の1421mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、更に0.5モル/Lの硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え、95.4mlに希釈した溶液Aと、臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bとを、一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、更にベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。
次いで、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと、臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希釈した溶液Dとを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。なお、この時、銀1モル当たり1×10-4モルになる六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩水溶液を溶液C及び溶液Dに添加しはじめて、溶液C及び溶液Dの添加10分後に全量添加するようにした。また、溶液Cの添加終了の5秒後に、六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5モル/Lの硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を停止し、沈降/脱塩/水洗工程を行った。1モル/Lの水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比が1:1のメタノール溶液を、銀1モル当たり分光増感色素Aと分光増感色素Bの合計として1.2×10-3モル加え、1分後に47℃に昇温した。昇温の20分後に、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、更に5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。N,N′−ジヒドロキシ−N″−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、更に4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル及び1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を調製した。
調製したハロゲン化銀乳剤1中のハロゲン化銀粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%で、沃素を均一に3.5モル%含む沃臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の〔100〕面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
(ハロゲン化銀乳剤2の調製)
上記ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温を30℃から47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアン化鉄(II)カリウムの添加を除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀分散物の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり分光増感色素Aと分光増感色素Bの合計として7.5×10-4モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10-4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10-3モルに変えた以外は、ハロゲン化銀乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を調製した。
このハロゲン化銀乳剤2中のハロゲン化銀粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
(ハロゲン化銀乳剤3の調製)
上記ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温を30℃から27℃に変更した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤分散物の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bをモル比1:1で固体分散物(ゼラチン水溶液)とし、添加量を銀1モル当たり分光増感色素Aと分光増感色素Bの合計として6×10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10-4モルに変えた以外は、ハロゲン化銀乳剤1と同様にしてハロゲン化銀乳剤3を調製した。
このハロゲン化銀乳剤3のハロゲン化銀粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%で、沃素を均一に3.5モル%含む沃臭化銀粒子であった。
(塗布液用混合乳剤Aの調製)
上記調製したハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%、それぞれ溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加して、全ハロゲン化銀乳剤1kgあたり、ハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水して、塗布液用混合乳剤Aを調製した。
(ベヘン酸銀分散物の調製)
ヘンケル社製のベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)の87.6kg、蒸留水の423L、5モル/LのNaOH水溶液の49.2L、t−ブチルアルコールの120Lとを混合し、75℃にて1次間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4kgを含む硝酸銀水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分撹拌しながら上記調製したベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量とを、流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加を開始した後の11分間は、硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、その後ベヘン酸ナトリウム溶液の添加を開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させて保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調整した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させて保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は、撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調整した。
ベヘン酸ナトリウム溶液の添加が終了した後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後、直ちに遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうしてベヘン酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により観察したところ、平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶であった(なお、a、b及びcは前述の定義を参照)。
乾燥固形分が260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)の19.3kg及び水を添加し、全量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
次いで、予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)を用いて、圧力を124MPaに調節して、三回の分散処理を行い、ベヘン酸銀分散物を得た。なお、冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
(還元剤分散物の調製)
還元剤として一般式(1)で表される例示化合物1−1の1.50kgと、一般式(2)で表される例示化合物2−2の8.50kgと、変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液の16kgとに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分かけて分散した後、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて、還元剤の総濃度が25質量%になるように調製し、還元剤分散物を得た。
こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.5μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
(水素結合性化合物−1分散物の調製)
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)の10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液の16kgとに水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散した後、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて、水素結合性化合物−1の濃度が25質量%になるように調製し、水素結合性化合物−1分散物を調製した。
この水素結合性化合物−1分散物に含まれる水素結合性化合物−1の分散粒子は、メジアン径0.35μm、最大粒子径1.5μm以下であった。得られた水素結合性化合物−1分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
(現像促進剤−1分散物の調製)
現像促進剤−1の10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液の20kgとに水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散した後、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤−1の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。
この現像促進剤−1分散物に含まれる現像促進剤−1粒子は、メジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤−1分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
(現像促進剤−2、3分散物、色調調整剤−1分散物及び色調調整剤−2分散物の調製)
上記現像促進剤−1分散物の調製と同様にして、現像促進剤−2、現像促進剤−3、色調調整剤−1(黄色ロイコ染料、例示化合物YA−1)、色調調整剤−2(シアンロイコ染料、例示化合物CA−12)を用いて、現像促進剤−2分散物、現像促進剤−3分散物、色調調整剤−1分散物および色調調整剤−2分散物の20質量%の分散液を得た。
(ポリハロゲン化合物−1分散物の調製)
ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)の10kg、変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液の10kg、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液の0.4kgとに水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散した後、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて、ポリハロゲン化合物−1の濃度が26質量%になるように調製し、ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。
このポリハロゲン化合物−1分散物に含まれるポリハロゲン化合物−1粒子は、メジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られたポリハロゲン化合物−1分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
(ポリハロゲン化合物−2分散物の調製)
ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンズアミド)の10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液の20kgに、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液の0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散した後、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩の0.2gと水を加えて、ポリハロゲン化合物−2の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。
このポリハロゲン化合物−2分散物に含まれるポリハロゲン化合物−2粒子は、メジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られたポリハロゲン化合物−2分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
(一般式(PP)で表される化合物(例示化合物PP−1)水溶液の調製)
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いで、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液の3.15kgと一般式(PP)で表される例示化合物PP−1の70質量%水溶液の14.28kgを添加し、例示化合物PP−1の5質量%水溶液を調製した。
(メルカプト化合物−2水溶液の調製)
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)の20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
(顔料−1分散物の調製)
C.I.Pigment Blue60の64gと花王(株)製デモールNの6.4gとを水250gに添加し、良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(サンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、顔料−1分散物を得た。こうして得た顔料−1分散物に含まれる顔料−1粒子は平均粒径0.21μmであった。
(SBRラテックス液の調製)
Tgが22℃のSBRラテックスを、以下方法に従って調製した。重合開始剤として過硫酸アンモニウム、乳化剤としてはアニオン性界面活性剤を使用し、スチレン70.0質量%、ブタジエン27.0質量%及びアクリル酸3.0質量%を乳化重合させた後、80℃で8時間エージングを行った。その後、40℃まで冷却し、アンモニア水によりpH7.0とし、更に三洋化成(株)製のサンデットBLを0.22%になるように添加した。次に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを8.3とし、更にアンモニア水によりpHが8.4となるように調整した。このとき使用したNa+イオンとNH4 +イオンのモル比は1:2.3であった。更に、この液の1kgに対し、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩7%水溶液を0.15ml添加し、SBRラテックス液を調製した。
(SBRラテックス:−スチレン(70.0)−ブタジエン(27.0)−アクリル酸(3.0)−のラテックス)
上記調製したラテックスのTgは22℃、平均粒径は0.1μm、濃度は43質量%、25℃、60%RHにおける平衡含水率が0.6質量%、イオン伝導度が4.2mS/cm(なお、イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製の伝導度計CM−30S使用し、ラテックス原液(43質量%)を25℃にて測定)、pHは8.4であった。
〔画像形成層塗布液の調製〕
上記調製したベヘン酸銀分散物を1000g、水を276ml、顔料−1分散物を32.8g、ポリハロゲン化合物−1分散物を21g、ポリハロゲン化合物−2分散物を58g、例示化合物PP−1水溶液を173g、SBRラテックス(Tg:22℃)液を1082g、還元剤分散物を155g、水素結合性化合物−1分散物を55g、現像促進剤−1分散物を6g、現像促進剤−2分散物を2g、現像促進剤−3分散物を3g、色調調整剤−1分散物を2g、メルカプト化合物−2水溶液を6ml、それぞれ順次添加し、塗布直前に塗布液用混合乳剤Aを117g添加し、良く混合して画像形成層塗布液を調製して、コーティングダイへ送液した。
上記画像形成層塗布液の粘度は、東京計器社製のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で40mPa・sであった。レオメトリックスファーイースト株式会社製のRFSフルードスペクトロメーターを使用し、25℃で測定した画像形成層塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000(1/秒)において、それぞれ530、144、96、51、28mPa・sであった。なお、画像形成層塗布液中のジルコニウム含有量は、銀1gあたり0.25mgであった。
〔中間層塗布液の調製〕
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)を1000g、顔料(C.I.Pigment Blue60)の5質量%分散物を272g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス19質量%液を4200mlに、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、更に総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、9.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度は、B型粘度計を用いて40℃(No.1ローター、60rpm)で測定した結果、58mPa・sであった。
(保護層第1層塗布液の調製)
イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液を80g、フタル酸の10質量%メタノール溶液を23ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液を23ml、0.5モル/Lの硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5ml、フェノキシエタノールを0.5g、ベンゾイソチアゾリノンを0.1g、それぞれ添加し、総量が750gになるように水を加えて保護層第1層塗布液とし、4質量%のクロムみょうばんを26ml、塗布直前にスタチックミキサーで混合し、18.6ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度は、B型粘度計を用いて40℃(No.1ローター、60rpm)で測定した結果、20mPa・sであった。
(保護層第2層塗布液の調製)
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液を102g、フッ素系界面活性剤(F−1)の5質量%溶液を15ml、フッ素系界面活性剤(SF−17)の5質量%溶液を15ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、4−メチルフタル酸を1.6g、フタル酸を4.8g、0.5モル/Lの硫酸を44ml、ベンゾイソチアゾリノンを10mg添加し、更に総量が650gとなるよう水を添加して、ディゾルバーで撹拌、溶解した。その後、水に5%濃度でダイノミル(0.5mm径のセラミックビーズ使用)で分散した単分散度15%の単分散シリカ(平均粒子サイズ:3μm、シリカ全質量の1%のアルミニウムで表面処理)の132.0gを添加し、撹拌、溶解した。その後、4質量%のクロムみょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを保護層第2層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度は、B型粘度計を用いて40℃(No.1ローター、60rpm)で測定した結果、18mPa・sであった。
《熱現像感光材料2−1の作製》
前記作製した下引済み支持体のバック面側に、上記調製したハレーション防止層塗布液を固体微粒子染料の固形分量が0.04g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチンの固形分量が1.7g/m2となるように同時重層塗布、乾燥し、バック層を形成した。
次いで、支持体を挟んでバック面とは反対の画像形成層面に、画像形成層塗布液、中間層塗布液、保護層第1層塗布液、保護層第2層塗布液を、この順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料2−1を作製した。このとき、画像形成層塗布液と中間層塗布液は31℃に、保護層第1層塗布液は36℃に、保護層第2層塗布液は37℃に温度調整した。
画像形成層に含まれる各化合物の固形分量(g/m2)は以下の通りである。
ベヘン酸銀 5.55
顔料(C.I.Pigment Blue60) 0.036
ポリハロゲン化合物−1 0.12
ポリハロゲン化合物−2 0.37
フタラジン化合物−1 0.19
SBRラテックス 9.67
還元剤(例示化合物1−1、例示化合物2−2の総量) 0.81
水素結合性化合物−1 0.30
現像促進剤−1 0.024
現像促進剤−2 0.010
現像促進剤−3 0.015
色調調整剤−1 0.010
色調調整剤−2 0.010
メルカプト化合物−2 0.002
ハロゲン化銀(Agとして) 0.091
塗布乾燥条件は以下の通りである。
塗布スピードは160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。塗布後のチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送しながら無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面を70〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。なお、作製された熱現像感光材料2−1の銀量は1.2g/m2であった
上記熱現像感光材料2−1の作製に用いた各化合物の化学構造を示す。
Figure 2005208103
Figure 2005208103
《熱現像感光材料2−2〜2−7の作製》
上記熱現像感光材料2−1の作製において、画像形成層塗布液の調製で用いた一般式(PP)で表される化合物の種類を、表4に記載のように変更した以外は同様にして、熱現像感光材料2−2〜2−7を作製した。
《熱現像感光材料2−8の作製》
上記熱現像感光材料2−1の作製において、画像形成層塗布液の調製で用いたSBRラテックスの50質量%に代えて、ポリビニルアルコールを用い、画像形成層におけるポリビニルアルコールの塗布量を4.84g/m2、SBRラテックスの塗布量を4.83g/m2とした以外は同様にして、熱現像感光材料2−8を作製した。
《熱現像感光材料の画像形成》
(包装体の作製)
上記のように作製した熱現像感光材料試料2−1〜2−8を、それぞれ半切サイズ(34.5cm×43.0cm)に断裁した後、25℃、50%RHの環境下で、以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した。
〈包装材料〉
ポリエチレンテレフタレート(PET)10μm/ポリエチレン(PE)12μm/アルミ箔9μm/ナイロン(Ny)15μm/カーボン3%を含むポリエチレン(PE)50μmから構成される包装材料で、酸素透過率が0ml/atm・m2・25℃・day、水分透過率が0g/atm・m2・25℃・dayで、包装体作製時には紙あてボールのトレーを使用した。
(露光及び熱現像処理)
各熱現像感光材料に、プレートヒータを熱現像部として有するメディカルドライレーザイメージャー(最大出力60mW(IIIB)の660nm半導体レーザ搭載)を用いて露光及び熱現像処理(112℃−119℃−121℃−120℃に設定した4枚のパネルヒータで合計14秒熱処理)した。なお、露光は、濃度1.5になるように均一なベタ露光、胸部の実技画像の焼き付け及び最高出力から1段ごとに露光エネルギー量をlogEで0.05ずつ減じながら階段状に露光量を変化させながら行った。
(形成画像の評価)
上記作成した各画像について、実施例1に記載の方法と同様にして、画像濃度の測定、銀色調の評価、光照射画像保存性の評価、経時かぶり耐性の評価、濃度ムラ耐性の評価及び表面粗さの評価を行い、表面粗さの評価を除く各評価結果を表4に示す。
Figure 2005208103
表4に記載の結果より明らかなように、画像形成層のバインダーの55〜100質量%が疎水性バインダーで、かつ本発明に係る一般式(PP)で表される化合物を含有する本発明の熱現像感光材料は、比較例に対し、高濃度で、銀色調、光照射画像保存性、経時かぶり耐性及び熱現像処理後の濃度ムラ耐性に優れていることが分かる。
また、各熱現像感光材料の画像形成層側の最表面の中心線平均粗さ(Ra)を測定した結果、いずれも95nmであった。また、画像形成層側の最表面の十点平均粗さ(Rz)を測定したところ、いずれも1.3μmであった。また、表裏面の十点平均粗さを測定して、Rz(E)/Rz(B)を求めた結果、いずれも0.42であった。
本発明の熱現像感光材料を処理する熱現像処理装置の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 ヒートドラム
2 対向ローラー
6 剥離爪
100 熱現像装置
110 給送部
120 露光部
130 現像部
140 供給ローラー対
141、142、143、145 搬送ローラー対
144 供給ローラー対
150 冷却部
160 集積部
F フィルム
C フィルムトレイ
L レーザビーム

Claims (9)

  1. 支持体上に有機銀塩、ハロゲン化銀、バインダー及び還元剤を含有する画像形成層を有する熱現像感光材料において、該バインダーの55〜100質量%が疎水性バインダーであり、かつ下記一般式(PP)で表される化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
    Figure 2005208103
    〔式中、R21〜R26は、各々水素原子または置換基を表す。〕
  2. 前記還元剤が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
    Figure 2005208103
    〔式中、X1はカルコゲン原子またはCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよい。R3は水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。〕
  3. 下記一般式(YA)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
    Figure 2005208103
    〔式中、R11は置換または無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基またはアシルアミノ基を表すが、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。R13は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R14はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。〕
  4. 前記一般式(YA)で表される化合物と、前記一般式(1)で表される化合物とのモル比(一般式(YA)の化合物(モル)/一般式(1)の化合物(モル))が0.001〜0.2であることを特徴とする請求項3に記載の熱現像感光材料。
  5. 下記一般式(DA−1)または一般式(DA−2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
    Figure 2005208103
    〔一般式(DA−1)または(DA−2)において、X1及びX2はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R9〜R11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m2及びp2はそれぞれ独立に0〜4の整数、n2は0〜2の整数を表す。〕
  6. 前記ハロゲン化銀が、平均粒子サイズが10〜50nmのハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載に記載の熱現像感光材料。
  7. 前記ハロゲン化銀が、更に平均粒子サイズが55〜100nmのハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする請求項6に記載の熱現像感光材料。
  8. 前記ハロゲン化銀が、カルコゲン原子を含有する化合物により化学増感されたハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  9. 前記画像形成層に含有される銀量が、0.3〜1.5g/m2であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
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