JP4363085B2 - 熱現像感光材料および画像形成方法 - Google Patents

熱現像感光材料および画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料に関し、詳しくは高濃度で、経時のかぶり上昇が小さく、フィルムの搬送性がよく、熱現像時の濃度むらの発生の少ない熱現像感光材料及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療や印刷製版の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が作業性の上で問題となっており、近年では、環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、熱を加えるだけで画像形成ができる熱現像感光材料が実用化され、上記分野で急速に普及してきている。
【0003】
熱現像感光材料(以後、単に感光材料ともいう)自体は既に古くから提案されており、例えば、米国特許第3,152,904号、同3,457,075号明細書に記載されている。
【0004】
この感光材料は、通常熱現像処理機と呼ばれる感光材料に安定した熱を加えて画像を形成する熱現像処理装置により処理される。上述したように近年の急速な普及に伴い、この熱現像処理装置も多量に市場に供給されてきた。ところが、熱現像処理時の温湿度条件によっては、感光材料と熱現像処理装置の搬送ローラーや処理部材との間の滑り性が変化し、搬送不良や濃度ムラが発生してしまうという問題点があった。また、感光材料の濃度が経時により変動してしまうという問題点もあった。これらの現象は、レーザ光により画像露光したのち、熱現像により画像形成する感光材料で顕著に発生することが分かった。また、近年レーザイメージャーのコンパクト化や処理の迅速化が要望されている。
【0005】
そのためには感光材料の特性の向上が必須となる。迅速処理を行っても十分な感光材料の濃度を得るためには特開平11−295844号、同11−352627号に示されるようにハロゲン化銀として平均粒子サイズの小さいものを用いて発色点数を増やすことによりカバリングパワーを上げたり、特開2001−209145号に示されるような2級、3級アルキル基を有する高活性の還元剤を用いたり、ヒドラジン化合物やビニル化合物等の現像促進剤を用いることが有効である。しかしながら、これらの感光材料では、フィルムの搬送性が劣化してしまったり、熱現像後の濃度むらが発生する問題点があった。フィルムの搬送性の改良には、例えば感材の帯電特性の向上が有効であり、特許文献1(特開2000−162731号公報)、特許文献2(特開2002−82411号公報)に開示されているが、上記の問題をすべて解決するためには十分とはいえなかった。このため、早急の解決が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−162731号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2002−82411号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高濃度であり、経時のかぶり上昇が小さく、フィルムの搬送性、熱現像時の濃度むらの発生の少ない熱現像感光材料及び画像形成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、迅速処理や装置の小型化に伴って生じる感光材料の搬送性の悪化や熱現像時の濃度むらの発生をなくするため、鋭意検討を重ねた結果、支持体上に設けられた画像形成層に前記一般式(1)で示す高活性な還元剤とさらに、支持体上に設けられた層の少なくとも1層に前記一般式(SF)で示す特定の構造のフッ素系界面活性剤を使用し、かつ感光材料の表面と裏面の十点平均粗さの比を0.1〜0.7とすることにより、感光材料に特有の問題である熱現像時の搬送性の悪化や濃度むらの発生をなくせることを見出し、本発明に至った。
【0010】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.支持体上に、有機銀塩、ハロゲン化銀、バインダー及び還元剤を含有する画像形成層を少なくとも有する熱現像感光材料において、前記還元剤が下記一般式(1)で表される化合物であり、支持体上の前記画像形成層側または支持体の前記画像形成層とは反対側に設けられた層の少なくとも1層が、下記一般式(SF)で表される化合物を含有し、かつ画像形成層側の最表面の十点平均粗さをRz(E)とし、支持体をはさんで画像形成層と反対側の最表面の十点平均粗さをRz(B)とするとき、Rz(E)/Rz(B)の値が0.1〜0.7であることを特徴とする熱現像感光材料。
2.前記画像形成層側に設けられた層に含まれるマット剤の平均粒子サイズが最大のものの平均粒子サイズをLe(μm)、画像形成層と支持体をはさんで反対側に設けられた層に含まれるマット剤の平均粒子サイズが最大のものの平均粒子サイズをLb(μm)とするとき、Lb/Leが2.0〜10であることを特徴とする前記1に記載の熱現像感光材料。
3.前記バインダーのガラス転移温度が、70〜150℃であることを特徴とする前記1又は2に記載の熱現像感光材料。
4.前記ハロゲン化銀が、平均粒子サイズ10〜50nmのハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
5.前記ハロゲン化銀が、更に平均粒子サイズ55〜100nmのハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする前記4に記載の熱現像感光材料。
6.前記ハロゲン化銀が、カルコゲン化合物により化学増感されていることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の熱現像感光材料。
7.画像形成層に含有される銀量が金属換算で0.3〜1.5g/m2であることを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の熱現像感光材料。
8.前記1〜7の何れか1項記載の熱現像感光材料を、熱現像処理装置を使用して熱現像部の搬送速度を10〜200mm/sec、感光材料供給部から画像露光部の間の搬送速度を10〜200mm/sec、画像露光部での搬送速度を10〜200mm/secで熱現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0012】
〔有機銀塩〕
本発明において、銀画像形成のための銀イオン供給源としての有機銀塩としては、有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に、この中でも長鎖(炭素数10〜30、好ましくは15〜25)の脂肪族カルボン酸の銀塩、及び含窒素複素環化合物の銀塩が好ましい。配位子が銀イオンに対する総安定度常数として4.0〜10.0の値を持つようなリサーチ・ディスクロージャー(以下、単にRD)17029及び29963に記載された有機、又は無機の錯体も好ましい。これら好適な銀塩の例としては、以下のものが挙げられる。
【0013】
有機酸の銀塩、例えば、没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩;銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩、例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等の銀塩;アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀塩ないし錯体、例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸)の反応生成物の銀塩ないし錯体;チオン類の銀塩または錯体、例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン等の銀塩ないし錯体;イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンズトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体または塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;銀メルカプチド類等を挙げることができる。これらの中、特に好ましい銀塩としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀及びステアリン酸銀等の長鎖の(炭素数10〜30、好ましくは15〜25)脂肪族カルボン酸の銀塩が挙げられる。
【0014】
また、本発明においては有機銀塩が2種以上混合されていることが現像性を上げ高濃度、高コントラストの銀画像を形成する上で好ましく、例えば2種以上の有機酸混合物に銀イオン溶液を混合して調製することが好ましい。
【0015】
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウム等)を作製した後に、コントロールドダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀等を混合して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0016】
本発明に係る上記の有機銀塩は種々の形状のものを使用できるが、平板状の粒子が好ましい。特に、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子であり、且つ、最大面積を有する2枚のほぼ平行に相対する面(主平面)の形状異方性を小さくして感光層中での充填率を上げるため、主平面方向から計測される該平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均値が1.1以上、10.0未満である粒子が好ましい。尚、更に好ましい針状比率は1.1以上5.0未満である。
【0017】
また、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子であるとは、前記平板状有機銀塩粒子が全有機銀塩粒子の個数の50%以上を占めることを表す。更に、本発明に係る有機銀塩は、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子が全有機銀塩粒子の個数の60%以上を占めることが好ましく、更に好ましくは70%以上(個数)であり、特に好ましくは80%以上(個数)である。
【0018】
アスペクト比3以上の平板状粒子とは粒径と厚さの比、下記式で表されるいわゆるアスペクト比(ARと略す)が3以上の粒子である。
【0019】
AR=粒径(μm)/厚さ(μm)
平板状有機銀塩粒子のアスペクト比は、好ましくは、3〜20であり、更に好ましくは3〜10である。その理由としては、アスペクト比が低すぎると、有機銀塩粒子が最密されやすくなり、また、アスペクト比があまりに高い場合には、有機銀塩粒子同士が重なりやすく、また、くっついた状態で分散されやすくなるので光散乱等が起きやすくなり、その結果として感光材料の透明感の低下をもたらすので、上記記載の範囲が好ましい。
【0020】
上記記載の有機銀塩粒子の粒径、厚さ、針状比率は特開2002−287299の段落「0031」〜「0047」に記載の方法で求めることができる。
前記の形状を有する有機銀塩粒子を得る方法としては、特に限定されないが、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態等を良好に保つことや、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適にすること等が有効である。
【0021】
本発明に係る平板状有機銀塩粒子は必要に応じバインダーや界面活性剤等と共に予備分散した後、メディア分散機又は高圧ホモジナイザ等で分散粉砕することが好ましい。上記予備分散にはアンカー型、プロペラ型等の一般的撹拌機や高速回転遠心放射型撹拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができる。
【0022】
また、上記メディア分散機としては、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル等の転動ミルや、媒体撹拌ミルであるビーズミル、アトライター、その他バスケットミル等を用いることが可能であり、高圧ホモジナイザとしては壁、プラグ等に衝突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプ等様々なタイプを用いることができる。
【0023】
メディア分散時に使用されるセラミックスビーズに用いられるセラミックスとしては、例えば、特開2002−287299の段落「0051」に記載のものを使用できる。
【0024】
分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略す)が特に好ましく用いられる。
【0025】
平板状有機銀塩粒子を分散する際に用いられる装置類において、該有機銀塩粒子が接触する部材の材質としてジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好ましく、中でも、ジルコニアを用いることが好ましい。
【0026】
上記分散を行う際、バインダー濃度は有機銀塩質量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分散から本分散を通して液温が45℃を上回らないことが好ましい。また、本分散の好ましい運転条件としては、例えば高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合には、29.42〜98.06MPa、運転回数は2回以上が好ましい運転条件として挙げられる。また、メディア分散機を分散手段として用いる場合には、周速が6〜13m/秒が好ましい条件として挙げられる。
【0027】
また、本発明に係る熱現像感光材料において好ましい態様は、当該材料の支持体面と垂直な断面を電子顕微鏡観察した時、0.025μm2未満の投影面積を示す有機銀塩粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の70%以上を示し、且つ、0.2μm2以上の投影面積を示す粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の10%以下である特徴を有する有機銀塩、更には感光性ハロゲン化銀を含有する感光性乳剤を塗布してなるものである。この様な場合、感光性乳剤中において有機銀塩粒子の凝集が少なく、且つ、均一に分布した状態を得ることができる。
【0028】
この様な特徴を有する感光性乳剤を作製する条件としては、特に限定されないが、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態等を良好に保つことや、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適にすること、分散粉砕にはメディア分散機または高圧ホモジナイザ等で分散すること、その際バインダーの使用量(濃度)としては有機銀塩質量の0.1〜10%とすること、乾燥から本分散終了までの温度が45℃を上回らないこと等に加えて、調液時にはディゾルバを使用し周速2.0m/秒以上で撹拌すること等が好ましい条件として挙げられる。
【0029】
上記記載のような特定の投影面積値を有する有機銀塩粒子の投影面積や全投影面積に占める割合等は、上記記載の平板状粒子の平均厚さを求める箇所で記載したと同様に、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により、有機銀塩粒子に相当する箇所を抽出する。
【0030】
この際に凝集した有機銀塩粒子は1つの粒子と見なして処理し各粒子の面積(AREA)を求める。同様にして少なくとも1,000個、好ましくは2,000個の粒子について面積を求め、それぞれについて、A:0.025μm2未満、B:0.025μm2以上、0.2μm2未満、C:0.2μm2以上の3つの群に分類する。本発明の感光材料は、A群に属する粒子の面積の合計が測定された全粒子の面積の70%以上であり、且つC群に属する粒子の面積の合計が測定された全粒子の面積の10%以下を満たすものであることが好ましい。
【0031】
上記手順で計測を行う際には予め、標準試料を用いて、1画素当たりの長さ補正(スケール補正)及び計測系の2次元ひずみの補正を上述した針状比率の平均値を算出する際に行った方法を用いることが好ましい。
【0032】
画像処理技術の詳細は前記と同様「田中弘編 画像処理応用技術(工業調査会)」を参考にすることができ、画像処理プログラムまたは装置としては上記操作が可能なのであれば特に限定はされないが、やはり一例として前記と同様ニレコ社製Luzex−IIIが挙げられる。
【0033】
本発明に係る有機銀塩粒子は、単分散粒子であることが好ましく、好ましい単分散度としては1〜30%であり、この範囲の単分散粒子にすることにより、濃度の高い画像が得られる。ここでいう単分散度とは、下記式で定義される。
【0034】
単分散度={(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)}×100
上記記載の有機銀塩の平均粒径(円相当径)は0.01〜0.3μmが好ましく、更に好ましくは、0.02〜0.2μmである。尚、平均粒径(円相当径)とは、電子顕微鏡で観察される個々の粒子像と等しい面積を有する円の直径を表す。
【0035】
本発明においては感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.3g以上、1.5g以下であることが好ましい。この範囲にすることで医用画像として用いる場合は、好ましい画像が得られる。1m2当たり0.3g未満では画像濃度が低下してしまうことがある。また、1m2当たり1.5gを越えるとカブリが増加したり、PS版への焼き付け時に感度低下を起こしてしまうことがある。
【0036】
〔ハロゲン化銀〕
本発明に係るハロゲン化銀(以下、感光性ハロゲン化銀粒子又はハロゲン化銀粒子ともいう)について説明する。尚、本発明に係るハロゲン化銀とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収し得て、または、人為的に物理化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収し得て、且つ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収した時に当該ハロゲン化銀結晶内及び/または結晶表面において物理化学的変化が起こり得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
【0037】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子自体は、公知の方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤(ハロゲン化銀乳剤ともいう)として調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよいが、上記方法の中でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を調製するいわゆるコントロールドダブルジェット法が好ましい。ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0038】
粒子形成は通常、ハロゲン化銀種粒子(核)生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこれらを連続的に行う方法でもよく、また核(種粒子)形成と粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子形成条件であるpAg、pH等をコントロールして粒子形成を行うコントロールドダブルジェット法が粒子形状やサイズのコントロールができるので好ましい。例えば、核生成と粒子成長を分離して行う方法を行う場合には、先ず銀塩水溶液とハライド水溶液をゼラチン水溶液中で均一、急速に混合させ核(種粒子)生成(核生成工程)した後、コントロールされたpAg、pH等のもとで銀塩水溶液とハライド水溶液を供給しつつ粒子成長させる粒子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製する。粒子形成後、脱塩工程により不要な塩類等をヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等公知の脱塩法により除くことで所望のハロゲン化銀乳剤を得ることができる。
【0039】
本発明において、ハロゲン化銀が平均粒子サイズ10〜50nmのハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするが、より好ましくは10〜35nmである。
【0040】
ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが10nmより小さいと画像濃度が低下したり、光照射画像保存性が劣化したりすることがある。また、50nmを越えると、画像が低下してしまうことがある。
【0041】
ここで言う平均粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体又は八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハラゲン化銀粒子の稜の長さを言う。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、主表の投影面積と同面積の円像に換算した時の直径を言う。その他、正常晶でない場合、例えば球状粒子、棒状粒子等の場合にはハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えた時の直径を粒子サイズとして算出する。これらの測定は、電子顕微鏡を用いて行い、300個の粒子サイズの測定値を平均することで平均粒子サイズを求めた。
【0042】
また、本発明において、ハロゲン化銀の平均粒子サイズ55〜100nmであるハロゲン化銀粒子と前記ハロゲン化銀の平均粒子サイズ10〜50nmであるハロゲン化銀とを併用するが、これらの粒子を併用することで、画像濃度を向上させたり、経時での画像濃度低下を小さくすることができる。
【0043】
平均粒子サイズ10〜50nmであるハロゲン化銀粒子と平均粒子サイズ55〜100nmであるハロゲン化銀粒子との割合(質量)は95:5〜50:50が好ましく、より好ましくは90:10〜60:40である。
【0044】
ハロゲン化銀粒子外表面の晶癖については特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する晶癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を使用することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合には、ハロゲン化銀粒子外表面において〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。尚、ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985年)により求めることができる。
【0045】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該粒子形成時に平均分子量5万以下の低分子量ゼラチンを用いて調製することが好ましいが、特にハロゲン化銀粒子の核形成時に用いることが好ましい。
【0046】
本発明において低分子量ゼラチンは、平均分子量5万以下のものが好ましく、より好ましくは2,000〜40,000であり、特に好ましくは5,000〜25,000である。ゼラチンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィーで測定することができる。低分子量ゼラチンは、通常用いられる平均分子量10万程度のゼラチン水溶液にゼラチン分解酵素を加えて酵素分解したり、酸またはアルカリを加えて加熱し加水分解したり、大気圧下または加圧下での加熱により熱分解したり、超音波照射して分解したり、それらの方法を併用したりして得ることができる。
【0047】
核形成時の分散媒の濃度は5質量%以下が好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うのがより好ましい。
【0048】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該粒子形成時に下記の一般式で表される化合物を用いることが好ましい。
【0049】
一般式
YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(CH2CH2O)n
上式において、Yは水素原子、−SO3M、または−CO−B−COOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または炭素原子数5以下のアルキル基にて置換されたアンモニウム基を表し、Bは有機2塩基性酸を形成する鎖状または環状の基を表す。m及びnは各々0〜50を表し、pは1〜100を表す。
【0050】
上記の一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造するに際し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン溶液に水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、乳剤を支持体上に塗布する工程等、乳剤原料を撹拌したり、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤として好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として用いる技術は例えば特開昭44−9497号公報に記載されている。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は核形成時の消泡剤としても機能する。
【0051】
上記一般式で表される化合物は銀に対して1質量%以下で用いるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%で用いる。
【0052】
上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は核形成時に存在していればよく、核形成前の分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中に添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液やハライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハライド水溶液もしくは両方の水溶液に0.01〜2.0質量%で添加して用いることである。また、上記一般式で表される化合物は核形成工程の少なくとも50%に亘る時間で存在せしめるのが好ましく、更に好ましくは70%以上に亘る時間で存在せしめる。上記一般式で表される化合物は粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶かして添加してもよい。
【0053】
尚、核形成時の温度は通常5〜60℃、好ましくは15〜50℃であり、一定の温度であっても、昇温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25℃で、核形成中徐々に温度を上げ、核形成終了時の温度が40℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前記温度範囲内で制御するのが好ましい。
【0054】
核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水溶液の濃度は3.5モル/L以下が好ましく、更には0.01〜2.5モル/Lの低濃度域で使用されるのが好ましい。核形成時の銀イオンの添加速度は、反応液1L当たり1.5×10-3モル/分〜3.0×10-1モル/分が好ましく、更に好ましくは3.0×10-3モル/分〜8.0×10-2モル/分である。
【0055】
核形成時のpHは通常1.7〜10の範囲に設定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分布を広げてしまうので好ましくはpH2〜6である。また、核形成時のpBrは通常0.05〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.5、より好ましくは1.5〜2.0である。
【0056】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子はいかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、この時ハロゲン化銀粒子は還元可能な銀源(有機銀塩)に近接するように配置するのが好ましい。
【0057】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は予め調製しておき、これを有機銀塩粒子を調製するための溶液に添加するのが、ハロゲン化銀調製工程と有機銀塩粒子調製工程を分離して扱えるので製造コントロール上も好ましいが、英国特許第1,447,454号に記載されている様に、有機銀塩粒子を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と共存させ、これに銀イオンを注入することで有機銀塩粒子の生成とほぼ同時に生成させることもできる。
【0058】
また、有機銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、有機銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒子を調製することも可能である。即ち、予め調製された有機銀塩の溶液もしくは分散液、または有機銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。
【0059】
ハロゲン化銀形成成分としては、特開2002−287299の段落「0086」に記載の化合物等がある。この様にハロゲン化銀を有機酸銀塩とハロゲンイオンとの反応により有機酸銀塩中の銀の一部または全部をハロゲン化銀に変換することによって調製することもできる。また、別途調製したハロゲン化銀にこれらの有機銀塩の一部をコンバージョンすることで製造したハロゲン化銀粒子を併用してもよい。
【0060】
これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製したハロゲン化銀粒子、有機銀塩のコンバージョンによるハロゲン化銀粒子とも、有機銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル使用するのが好ましく、0.03〜0.5モル使用するのがより好ましい。
【0061】
本発明に用いられるハロゲン化銀には、元素周期律表の6族〜11族に属する遷移金属のイオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt及びAuが好ましい。これらは1種類でも同種或いは異種の金属錯体を2種以上併用してもよい。これらの金属イオンは金属塩をそのままハロゲン化銀に導入してもよいが、金属錯体または錯体イオンの形でハロゲン化銀に導入できる。含有率は銀1モルに対し1×10-9〜1×10-2モルの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-4モルの範囲がより好ましい。本発明においては、遷移金属錯体又は錯体イオンは下記一般式で表されるものが好ましい。
【0062】
一般式 〔ML6m
式中、Mは元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、−、2−、3−又は4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲンイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、シアナイド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0063】
これらの金属のイオンまたは錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、核形成、成長の段階で添加するのがより好ましく、特に好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に亘って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号の各公報等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
【0064】
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩水溶液とハライド水溶液が同時に混合される時第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液をハライド水溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後または物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0065】
別途調製した感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により脱塩することができるが、熱現像感光材料においては脱塩しないで用いることもできる。
【0066】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子には化学増感を施すことができる。例えば、特開2001−249428号、同2001−249426号の各公報に開示されている方法等により、硫黄等のカルコゲン原子を有する化合物や金イオン等の貴金属イオンを放出する貴金属化合物を用いて化学増感中心(化学増感核)を形成付与できる。本発明においては上記のカルコゲン原子を有する化合物による化学増感と貴金属化合物を用いる化学増感を併用することが特に好ましい。
【0067】
本発明においては、以下に示すカルコゲン原子を含有する化合物により化学増感されているのが好ましい。
【0068】
これら有機増感剤として有用なカルコゲン原子を含有する化合物はハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン原子部位を有する化合物であることが好ましい。
【0069】
これらの有機増感剤としては、特開昭60−150046号、特開平4−109240号、同11−218874号の各公報等に開示されている種々の構造を有する有機増感剤を用いることができるが、それらのうちカルコゲン原子が炭素原子またはリン原子と二重結合で結ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種であることが好ましい。特に好ましいのは特開2002−250984号公報に開示されている一般式(1−1)、一般式(1−2)の化合物である。
【0070】
有機増感剤としてのカルコゲン原子を含有する化合物の使用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒子、化学増感を施す際の反応環境等により変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり、1×10-8〜1×10-2モルが好ましく、より好ましくは1×10-7〜1×10-3モルである。本発明における化学増感環境としては特に制限はないが、感光性ハロゲン化銀粒子上のカルコゲン化銀または銀核を消滅、或いはそれらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、また特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下においてカルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増感を施すことが好ましく、該増感条件として、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜8、また、温度としては30℃以下で増感を施すことが好ましい。
【0071】
従って、本発明の感光材料においては、前記感光性ハロゲン化銀が、該粒子上の銀核を酸化しうる酸化剤の共存下においてカルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いて温度30℃以下において化学増感を施され、且つ、有機銀塩と混合して分散され脱水及び乾燥された感光性ハロゲン化銀乳剤を用いることが好ましい。
【0072】
また、これらの有機増感剤を用いた化学増感は分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われることが好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合物の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。本発明において用いられる分光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24537号公報に記載されている含窒素複素環化合物が好ましい例として挙げられる。本発明に用いられる含窒素複素環化合物において、複素環としてはピラゾール環、ピリミジン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これらの環が2〜3個結合した環、例えばトリアゾロトリアゾール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペンタアザインデン環等を挙げることができる。単環の複素環と芳香族環の縮合した複素環、例えばフタラジン環、ベンズイミダゾール環、インダゾール環、ベンズチアゾール環等も適用できる。
【0073】
これらの中で好ましいのはアザインデン環であり、且つ置換基としてヒドロキシル基を有するアザインデン化合物、例えばヒドロキシトリアザインデン、ヒドロキシテトラアザインデン、ヒドロキシペンタアザインデン化合物等が更に好ましい。
【0074】
複素環にはヒドロキシル基以外の置換基を有してもよい。置換基としては例えばアルキル基、置換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基等を有してもよい。
【0075】
これら含複素環化合物の添加量はハロゲン化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1モル当たりの量で1×10-6〜1モルの範囲であり、好ましくは1×10-4モル〜1×10-1モルの範囲である。
【0076】
本発明に係るハロゲン化銀粒子には、前述のように、金イオン等の貴金属イオンを放出する化合物を利用して貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤として、塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。
【0077】
また、上記の増感法の他、還元増感法等も用いることができ、還元増感の貝体的な化合物としてはアスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。
【0078】
本発明に係る化学増感を施されるハロゲン化銀は、有機銀塩の存在下で形成されたものでも、有機銀塩の存在しない条件下で形成されたものでも、また、両者が混合されたものでもよい。
【0079】
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀粒子には、分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。分光増感色素として特開2002−287299の段落「0106」に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRD17643IV−A項(1978年12月p.23)、同18431X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザイメージャーやスキャナ光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好ましい。例えば、特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号の各公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0080】
有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾール核等の塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾロン核等の酸性核を含む。
【0081】
本発明においては特に赤外に分光感度を有する増感色素を用いることが好ましい。本発明において、好ましく用いられる赤外分光増感色素としては、例えば、米国特許第4,536,473号、同4,515,888号、同4,959,294号の各明細書等に開示されている赤外分光増感色素が挙げられる。
【0082】
本発明において用いられる赤外分光増感色素については、ベンズアゾール環のベンゼン環上にスルフィニル基が置換されていることを特徴とした長鎖のポリメチン色素が特に好ましい。
【0083】
これらの赤外増感色素の添加時期はハロゲン化銀調製後のどの時点でもよく、例えば、溶剤に添加して、或いは、微粒子状に分散したいわゆる固体分散状態でハロゲン化銀粒子或いはハロゲン化銀粒子/有機銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加できる。また、前記のハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有するヘテロ原子含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハロゲン化銀粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施すこともでき、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成することができる。
【0084】
本発明において、上記の分光増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。
【0085】
本発明の熱現像感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子または有機銀塩粒子を含有する乳剤は、増感色素と共に、それ自身分光増感作用を持たない色素、或いは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色増感されていてもよい。
【0086】
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はRD17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、或いは特公平9−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号の各公報等に記載されているが、本発明においては、強色増感剤として下記の一般式で表される複素芳香族メルカプト化合物またはメルカプト誘導体化合物が好ましい。
【0087】
一般式 Ar−SM
式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、またはテルリウム原子を有する芳香族複素環または芳香族縮合環である。好ましい芳香族複素環または芳香族縮合環としてはベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンズチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズセレナゾール、ベンズテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン、またはキナゾリン等が挙げられる。しかしながら、他の芳香族複素環も含まれる。
【0088】
尚、有機酸銀塩またはハロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させた時に実質的に上記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導体化合物も本発明に含まれる。特に、下記の一般式で表されるメルカプト誘導体化合物が好ましい例として挙げられる。
【0089】
一般式 Ar−S−S−Ar
式中のArは上記の一般式で表されたメルカプト化合物の場合と同義である。
【0090】
上記の芳香族複素環または芳香族縮合環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
【0091】
本発明においては、上記の強色増感剤の他に、特開2001−330918号公報に開示されている一般式(1)で表される化合物とヘテロ原子を含む大環状化合物を強色増感剤として使用できる。
【0092】
強色増感剤は有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む乳剤層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲で用いるのが好ましい。銀1モル当たり0.01〜0.5モルの範囲で用いるのが特に好ましい。
【0093】
〔還元剤〕
本発明においては、還元剤(銀イオン還元剤)として、特に、還元剤の少なくとも1種が前記一般式(1)で表される化合物を単独又は他の異なる化学構造を有する還元剤と併せて用いる。これらの高活性な還元剤を用いることで、高濃度で、光照射画像保存性に優れた熱現像感光材料を得ることができる。
【0094】
本発明においては、前記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物とを併用することが望ましい色調を得るためには好ましい。
【0095】
【化3】
Figure 0004363085
【0096】
式中、X4はカルコーゲン原子又はCHR6を表し、R6は前記一般式(1)のR1と同様の基であり、R8はR3と同様の基であり、R9はR4と同様の基である。
【0097】
7はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級又は3級のアルキル基であることはない。R7は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。
【0098】
その併用比率としては、[前記一般式(1)で表される化合物の質量]:[前記一般式(2)で表される化合物の質量]が5:95〜45:55であることが好ましく、より好ましくは10:90〜40:60である。
【0099】
以下に、前記一般式(1)で表される化合物について説明する。
前記一般式(1)において、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表す。カルコゲン原子としては、硫黄、セレン、テルルであり、好ましくは硫黄原子である。CHR1におけるR1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表し、ハロゲン原子としては、弗素原子、塩素原子、臭素原子等であり、アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル等、アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等、アリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環等、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。
【0100】
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基として具体的には、ハロゲン原子(弗素、塩素、臭素等)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロヘプチル等)、アルケニル基(エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等)、シクロアルケニル基(1−シクロアルケニル、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(エチニル、1−プロピニル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、トリフルオロメチルチオ等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(アセチルアミノ等)、ウレイド基(メチルアミノカルボニルアミノ等)、アルキルスルホニルアミノ基(メタンスルホニルアミノ等)、アルキルスルホニル基(メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−モルホリノカルボニル等)、スルファモイル基(スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルホリノスルファモイル等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド等)、アルキルアミノ基(アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ等)、スルホ基、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル等)、アルキニルアミノカルボニル基(アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(メタンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル等)等が挙げられる。又、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。特に好ましい置換基はアルキル基である。
【0101】
2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、少なくとも一方は2級又は3級のアルキル基である。アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等の基が挙げられる。
【0102】
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えばアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。又、(R4)n及び(R4)mと飽和環を形成してもよい。R2は、好ましくは何れも2級又は3級のアルキル基であり、炭素数2〜20が好ましい。より好ましくは3級アルキル基であり、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシルであり、最も好ましくはt−ブチルである。
【0103】
3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基としては、例えば弗素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、複素環基等が挙げられる。
【0104】
3として好ましくは、メチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。更に好ましくは、メチル、2−ヒドロキシエチルである。
【0105】
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては、前記R1で挙げた置換基を用いることができる。R3は好ましくはヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する炭素数1〜20のアルキル基であり、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。最も好ましくは2−ヒドロキシエチルである。R2及びR3の最も好ましい組合せは、R2が第3級アルキル基(t−ブチル、1−メチルシクロヘキシル等)であり、R3がヒドロキシル基又はそのプレカーサー基を有する第1級アルキル基(2−ヒドロキシエチル等)である。複数のR2、R3は同じでも異なっていてもよい。
【0106】
4はベンゼン環上に置換可能な基を表すが、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル、パーフルオロオクチル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロペンチル等)、アルキニル基(プロパルギル等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル等)、複素環基(ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等)、ハロゲン原子(塩素、臭素、沃素、弗素)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等)、スルファモイル基(アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、ウレタン基(メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、フェニルウレイド、2−ピリジルウレイド等)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等)、カルバモイル基(アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル)、アミド基(アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ヘキサンアミド、ベンズアミド等)、スルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、アミノ基(アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、アニリノ、2−ピリジルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。又、これらの基は、更にこれらの基で置換されてもよい。n及びmは0〜2の整数を表すが、最も好ましくはn、m共に0の場合である。複数のR4は同じでも異なってもよい。
【0107】
又、R4はR2、R3と飽和環を形成してもよい。R4は好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0108】
前記一般式(2)において、R6とR1は同様の基であり、R8はR3と同様の基であり、R9はR4と同様の基である。R7はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、2級又は3級のアルキル基であることはない。アルキル基としては、置換又は無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル等の基が挙げられる。
【0109】
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えばアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。又、(R9)n及び(R9)mと飽和環を形成してもよい。R7は、好ましくはメチルである。
【0110】
一般式(2)で表される化合物のうちで、最も好ましく用いられる化合物はEP1278101に記載の一般式(S)、一般式(T)を満足する化合物であり、具体的にはp21〜p28に記載の(1−24)、(1−28)〜(1−54)、(1−56)〜(1−75)の化合物があげられる。
【0111】
以下に、一般式(1)、一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0112】
【化4】
Figure 0004363085
【0113】
【化5】
Figure 0004363085
【0114】
【化6】
Figure 0004363085
【0115】
これら一般式(1)、一般式(2)で表されるビスフェノール化合物は、従来公知の方法により容易に合成することができる。
【0116】
熱現像感光材料が含有する還元剤は、有機銀塩を還元して銀画像を形成するものである。
【0117】
本発明の前記一般式(1)で表される化合物の好ましい使用量は、銀1モル当たり1×10-2〜10モル、特に好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
【0118】
これら一般式(1)、一般式(2)で表される化合物の好ましい併用比率としては、[一般式(1)で表される化合物の質量]:[一般式(2)で表される化合物の質量]が5:95〜45:55であることが好ましく、より好ましくは10:90〜40:60である。
〔フッ素系界面活性剤〕
次に、前記一般式(SF)で表される化合物について説明する。
【0119】
本発明の前記一般式(SF)で表される化合物は熱現像処理装置でのフィルム搬送性や濃度むら、経時かぶりの上昇を小さくしたり、環境適性(生体内への蓄積性)を改良するために用いられるフッ素系界面活性剤である。
【0120】
前記一般式(SF)において、R5は総炭素数6〜24の置換又は無置換のアルキル基を表す。R5で表される置換又は無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。前記置換基としては、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、フッ素以外のハロゲン原子、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が挙げられる。
【0121】
炭素数6〜24の無置換アルキル基の好ましい例としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−オクチルドデシル基、ドコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基、トリコシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。また、置換基の炭素も含めた総炭素数が6〜24の置換アルキル基の好ましい例としては、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基、ベンジル基、β−フェネチル基、2−メトキシエチル基、4−フェニルブチル基、4−アセトキシエチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、18−フェニルオクタデシル基、12−(p−クロロフェニル)ドデシル基、2−(燐酸ジフェニル)エチル基等を挙げることができる。
【0122】
5で表される置換または無置換のアルキル基は、総炭素数が6〜18であるのがより好ましい。炭素数6〜18の無置換アルキル基の好ましい例としては、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。また、置換基の炭素数を含む総炭素数が6〜18の置換アルキル基の好ましい例としては、フェネチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。中でも、Rfとしては、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基であるのがさらに好ましく、炭素数8〜16の直鎖、環状または分岐の無置換アルキル基であるのが特に好ましい。
【0123】
前記一般式(SF)において、Rfは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を表す。ここで、パーフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。前記パーフルオロアルキル基中のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。Rfで表されるパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、ウンデカフルオロ−n−ペンチル基、トリデカフルオロ−n−ヘキシル基、ウンデカフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。中でも、炭素数2〜4のパーフルオロアルキル基(例えば、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基等)が好ましく、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が特に好ましい。
【0124】
前記一般式(SF)において、nは1〜6の整数を表す。好ましくは1〜4の整数であり、特に好ましくは1又は2である。また、nとRfの組み合わせとして、n=1の場合にはRfがヘプタフルオロ−n−プロピル基又はノナフルオロ−n−ブチル基、n=2の場合にはRfがノナフルオロ−n−ブチル基であることがさらに好ましい。
【0125】
前記一般式(SF)において、X2、X3は、水素原子又はSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。X2、X3は、一方が水素原子を、もう一方がSO3Mであることがより好ましい。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく、これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンである。
【0126】
以下に、一般式(SF)で表される化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0127】
【化7】
Figure 0004363085
【0128】
本発明の一般式(SF)で表される化合物を塗布液に添加する方法としては公知の添加法に従って添加することができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザ分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。一般式(SF)で表される化合物は、最外層の保護層に添加することが好ましい。
【0129】
本発明の一般式(SF)で表される化合物の添加量は1m2当たり1×10-8〜1×10-1モルが好ましく、1×10-5〜1×10-2モルが特に好ましい。前者の範囲未満では、帯電特性が得られず、前者の範囲を越えると、湿度依存性が大きく高湿下の保存性が劣化する。
【0130】
〔表面層〕
本発明において、支持体をはさんで画像形成層側の層の十点平均粗さ(Rz)は、下記のJIS表面粗さ(B0601)により定義される。十点平均粗さ(Rz)とは断面曲線から基準長さだけぬきとった部分において、平均線に平行、かつ、断面曲線を横切らない直線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
【0131】
中心線平均表面粗さ(Ra)の測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重ね合わされない条件で24時間調湿したのち、該環境下で測定した。ここで示す重ね合わされない条件とはたとえばフィルムエッジ部分を高くした状態で巻き取る方法やフィルムとフィルムの間に紙をはさんで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることができる。
【0132】
感光材料の表面と裏面の十点平均粗さを本発明の範囲とするためには、用いるマット剤の種類と平均粒径と添加量、およびマット剤の分散条件、塗布時の乾燥条件をコントロールすることで容易に調整することができる。
【0133】
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層を有する側の最表面に含まれるマット剤の最大の平均粒径をもつものの平均粒径をLe(μm)、バックコート層を有する側の最表面に含まれるマット剤の最大の平均粒径をもつものの平均粒径をLb(μm)とする時Lb/Leが2.0〜10であり、好ましくは3.0〜4.5である。Lb/Leをこの範囲とすることで熱現像時の濃度ムラを改良することができる。
【0134】
本発明においては、熱現像感光材料の表面層に(画像形成層側、また支持体をはさみ画像形成層の反対側に非感光層を設けた場合にも)、本発明の目的、また表面粗さをコントロールする等のためにマット剤として有機または無機の粉末を用いることが好ましい。
【0135】
本発明において用いられる粉末としては、モース硬度が5以上の粉末を用いることが好ましい。粉末としては公知の無機質粉末や有機質粉末を適宜選択して使用することができる。
【0136】
無機質粉末としては、例えば、酸化チタン、窒化ホウ素、SnO2、SiO2、Cr23、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、SiC、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、ザクロ石、ガーネット、マイカ、ケイ石、窒化ケイ素、炭化ケイ素等を挙げることができる。有機質粉末としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、テフロン(R)等の粉末を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、SiO2、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al23、α−Fe23、α−FeOOH、Cr23、マイカ等の無機粉末等であり、その中でも、SiO2、α−Al23が好ましく、特に好ましいのはSiO2である。
【0137】
本発明において、前記粉末が、Si化合物またはAl化合物により表面処理されていることが好ましい。かかる表面処理のなされた粉末を用いると最上層の表面状態を良好にすることができる。前記SiまたはAlの含有量としては、前記粉末に対して、Siが0.1〜10質量%、Alが0.1〜10質量%であるのが好ましく、より好ましくはSiが0.1〜5質量%、Alが0.1〜5質量%であり、Siが0.1〜2質量%、Alが0.1〜2質量%であるのが特に好ましい。また、Si、Alの質量比がSi<Alであるのがよい。
【0138】
表面処理に関しては特開平2−83219号に記載された方法により行うことができる。尚、本発明における粉末の平均粒径とは、球状粉末においてはその平均直径を、針状粉末においてはその平均長軸長を、板状粉末においてはその板状面の最大の対角線の長さの平均値をそれぞれ意味し、電子顕微鏡による測定から容易に求めることができる。
【0139】
上記の有機または無機粉末は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。
【0140】
感光層側の最外層に含まれる有機または無機粉末の平均粒径は通常0.5〜8.0μm、好ましくは1.0〜6.0μmであり、より好ましくは2.0〜5.0μmである。添加量は最外層に用いられるバインダー量(硬化剤についてはバインダー量に含む)に対して通常1.0〜20質量%であり、好ましくは2.0〜15質量%であり、より好ましくは3.0〜10質量%である。支持体をはさんで感光層側とは反対側の最外層に含まれる有機または無機粉末の平均粒径は、通常2.0〜15.0μm、好ましくは3.0〜12.0μmであり、より好ましくは4.0〜10.0μmである。添加量は最外層に用いられるバインダー量(硬化剤についてはバインダー量に含む)に対して通常0.2〜10質量%であり、好ましくは0.4〜7質量%であり、より好ましくは0.6〜5質量%である。
【0141】
また、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となる粉末である。
【0142】
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
{(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)}×100
有機または無機粉末の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前に有機または無機粉末を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類の粉末を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0143】
(画像の色調)
次に、熱現像感光材料を熱現像処理して得られる画像の色調について述べる。
【0144】
従来のレントゲン写真フィルムのような医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、判読者にとって、より的確な診断観察結果が得易いと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であることを言う。一方、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であると言われているが、より厳密な定量的な議論が出来るように、以下、国際照明委員会(CIE)の推奨する表現法に基づき説明する。
【0145】
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0における色相角habにより表現できる。即ち、色相角habは、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
【0146】
hab=tan-1(b*/a*
上記色相角に基づく表現法により検討した結果、本発明の熱現像感光材料の現像後の色調は、色相角habの範囲が180度<hab<270度であることが好ましく、更に好ましくは200度<hab<270度、最も好ましくは220度<hab<260度であることが判った。このことは、特開2002−6463号に開示されている。
【0147】
尚、従来、光学濃度1.0付近でのCIE 1976(L***)色空間又は(L***)色空間におけるu*、v*又はa*、b*を特定の数値に調整することにより、見た目の色調が好ましい診断画像が得られることが知られており、例えば特開2000−29164号に記載されている。
【0148】
しかしながら、本発明の熱現像感光材料について更に鋭意検討の結果、CIE1976(L***)色空間又は(L***)色空間において横軸をu*又はa*、縦軸をv*又はb*としたグラフ上に、様々な写真濃度でのu*、v*又はa*、b*をプロットし、線形回帰直線を作成した際に、その線形回帰直線を特定の範囲に調整することにより、従来の湿式の銀塩感光材料同等以上の診断性を持つことを見い出した。以下に好ましい条件範囲について述べる。
【0149】
▲1▼熱現像感光材料を熱現像処理後に得られた銀画像の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をu*、縦軸をv*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのu*、v*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。
【0150】
更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5〜5であること、かつ傾き(v*/u*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
▲2▼又、当該熱現像感光材料の光学濃度0.5、1.0、1.5及び最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をa*、縦軸をb*とする2次元座標に、上記各光学濃度でのa*、b*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998〜1.000であることが好ましい。
【0151】
更に、当該線形回帰直線の縦軸との交点のb*値が−5〜5であること、かつ傾き(b*/a*)が0.7〜2.5であることが好ましい。
【0152】
尚、次に、上述の線形回帰直線の作成法、則ちCIE 1976色空間におけるu*、v*及びa*、b*の測定法の一例を説明する。
【0153】
熱現像装置を用いて未露光部、及び光学濃度0.5、1.0、1.5を含む4段のウエッジ試料を作製する。このようにして作製した、それぞれのウエッジ濃度部を分光色彩計(ミノルタ社製:CM−3600d等)で測定し、u*、v*又はa*、b*を算出する。その際の測定条件は光源としてF7光源、視野角を10度として透過測定モードで測定を行う。横軸をu*又はa*、縦軸をv*又はb*としたグラフ上に測定したu*、v*又はa*、b*をプロットし線形回帰直線を求め、決定係数(重決定)R2、切片及び傾きを求める。
【0154】
次に、上記のような特徴を持つ線形回帰直線を得るための具体的な方法について説明する。
【0155】
本発明においては、下記の調色剤、現像剤、ハロゲン化銀粒子及び脂肪族カルボン酸銀等の現像反応過程において、直接的及び間接的に関与する化合物等の添加量の調整により、現像銀形状を最適化し好ましい色調にすることができる。例えば、現像銀形状をデンドライト状にすると青味を帯びる方向になり、フィラメント状にすると黄色味を帯びる方向になる。即ち、このような現像銀形状の性向を考慮して調整できる。
【0156】
従来、調色剤としてはフタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類が一般的に使用されている。好適な調色剤の例は、RD17029号、米国特許4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号、同4,021,249号等に開示されている。
【0157】
このような調色剤の他に、特開平11−288057号、EP1134611A2号等に開示されているカプラー及び、以下で詳述するロイコ染料を使用して色調を調整することもできる。特に、色調の微調整のためにカプラーとロイコ染料を用いることが好ましい。
(ロイコ染料)
ロイコ染料として好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色又は僅かに着色した化合物でよく、銀イオンにより酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、かつ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
【0158】
本発明で使用するのに適した代表的なロイコ染料は特に限定されないが、例えばビフェノールロイコ染料、フェノールロイコ染料、インドアリニリンロイコ染料、アクリル化アジンロイコ染料、フェノキサジンロイコ染料、フェノジアジンロイコ染料及びフェノチアジンロイコ染料等が挙げられる。又、有用なものは、米国特許3,445,234号、同3,846,136号、同3,994,732号、同4,021,249号、同4,021,250号、同4,022,617号、同4,123,282号、同4,368,247号、同4,461,681号、及び特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号等に開示されているロイコ染料である。
【0159】
所定の色調に調整するために、種々の色のロイコ染料を単独使用又は複数の種類の併用をすることが好ましい。本発明においては高活性な還元剤を使用するが、使用量によって色調(黄色味)が変化したり、微粒子のハロゲン化銀を用いることにより特に濃度が2.0以上の高濃度部で画像が過度に赤みをおびることを防止するために、黄色及びシアン色に発色するロイコ染料を併用して量調整するのが好ましい。
【0160】
発色濃度は現像銀自身による色調との関係で適切に調整することが好ましい。本発明では、0.01〜0.05の反射光学濃度又は0.005〜0.03の透過光学濃度を有するように発色させ好ましい色調範囲の画像になるように色調を調整することが好ましい。
(黄色発色性ロイコ染料)
本発明において、特に黄色発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより360〜450nmの吸光度が増加する下記一般式(YA)で表される色像形成剤である。
【0161】
【化8】
Figure 0004363085
【0162】
一般式(YA)において、R11は置換又は無置換のアルキル基を表し、R12は水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基又はアシルアミノ基を表すが、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。R13は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R14はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。
【0163】
以下、一般式(YA)について詳細に説明する。
一般式(YA)において、R11は置換又は無置換のアルキル基を表すが、R12が水素原子以外の置換基である場合、R11はアルキル基を表す。該アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、置換基を有してもよい。
【0164】
具体的にはメチル、エチル、ブチル、オクチル、i−プロピル、t−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル等が好ましく、i−プロピルよりも立体的に大きな基(i−プロピル、i−ノニル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル、アダマンチル等)であることが好ましく、その中でも2級又は3級のアルキル基が好ましく、3級アルキル基であるt−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル等が特に好ましい。R11が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基等が挙げられる。
【0165】
12は水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基又はアシルアミノ基を表す。R12で表されるアルキル基は炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アシルアミノ基は炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましい。この内、アルキル基の説明は前記R11と同様である。
【0166】
12で表されるアシルアミノ基は、無置換でも置換基を有してもよく、具体的には、アセチルアミノ基、アルコキシアセチルアミノ基、アリールオキシアセチルアミノ基等が挙げられる。R12として好ましくは、水素原子又は無置換の炭素数1〜24のアルキル基であり、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチルが挙げられる。又、R11、R12は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。
【0167】
13は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アルキル基の説明は前記R11と同様である。R13として好ましくは、水素原子又は無置換の炭素数1〜24のアルキル基で、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチル等が挙げられる。又、R12、R13の何れか一方は水素原子であることが好ましい。
【0168】
14はベンゼン環に置換可能な基を表し、例えば前記一般式(1)における置換基R4で説明したのと同様な基である。R14として好ましいのは、置換又は無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のオキシカルボニル基であり、炭素数1〜24のアルキル基がより好ましい。アルキル基の置換基としてはアリール基、アミノ基、アルコキシ基、オキシカルボニル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、イミド基、ウレイド基等が挙げられ、アリール基、アミノ基、オキシカルボニル基、アルコキシ基がより好ましい。これらのアルキル基の置換基は、更にこれらの置換基で置換されてもよい。
【0169】
次に、一般式(YA)で表される化合物のうちでも、特に本発明で好ましく用いられる、下記一般式(YB)で表されるビスフェノール化合物について説明する。
【0170】
【化9】
Figure 0004363085
【0171】
式中、Zは−S−又は−C(R21)(R21′)−を表し、R21、R21′は各々、水素原子又は置換基を表す。R21、R21′の表す置換基としては、前記一般式(1)のR1の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。R21、R21′として好ましくは、水素原子又はアルキル基である。
【0172】
22、R23、R22′及びR23′は、各々置換基を表すが、置換基としては一般式(1)におけるR2、R3で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0173】
22、R23、R22′及びR23′として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基であるが、アルキル基が更に好ましい。アルキル基上の置換基としては、前記一般式(1)における置換基の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0174】
22、R23、R22′及びR23′として更に好ましくは、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、1−メチル−シクロヘキシル等の3級アルキル基である。
【0175】
24及びR24′は各々、水素原子又は置換基を表すが、置換基としては、前記一般式(1)におけるR4の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
【0176】
一般式(YA)及び(YB)で表される化合物としては、例えば特開2002−169249号の段落「0032」〜「0038」記載の化合物(II−1)〜(II−40)、EP1,211,093号の段落「0026」記載の化合物(ITS−1)〜(ITS−12)を挙げることができる。
【0177】
以下に、一般式(YA)及び(YB)で表されるビスフェノール化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0178】
【化10】
Figure 0004363085
【0179】
【化11】
Figure 0004363085
【0180】
一般式(YA)の化合物(ヒンダードフェノール化合物、一般式(YB)の化合物も含まれる)の添加量は、通常、銀1モル当たり0.00001〜0.01モルであり、好ましくは0.0005〜0.01モル、より好ましくは0.001〜0.008モルである。
【0181】
(シアン発色性ロイコ染料)
次に、シアン発色性ロイコ染料について説明する。本発明において、特にシアン発色性染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより600〜700nmの吸光度が増加する色像形成剤であり、特開昭59−206831号(特にλmaxが600〜700nmの範囲内にある化合物)、特開平5−204087号の一般式(I)〜(IV)の化合物(具体的には段落「0032」〜「0037」に記載の(1)〜(18)の化合物)及び特開平11−231460号の一般式4〜7の化合物(具体的には段落「0105」に記載されるNo.1〜No.79の化合物)である。
【0182】
下記にシアン発色性ロイコ染料の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0183】
【化12】
Figure 0004363085
【0184】
【化13】
Figure 0004363085
【0185】
【化14】
Figure 0004363085
【0186】
シアン発色性ロイコ染料の添加量は、通常0.00001〜0.05モル/Ag1モルであり、好ましくは0.0005〜0.02モル/Ag1モル、より好ましくは0.001〜0.01モル/Ag1モルである。
【0187】
一般式(YA)、(YB)で表される化合物及びシアン発色性ロイコ染料の添加方法としては、前記一般式(1)で表される還元剤の添加方法と同様な方法で添加することができ、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態等、任意の方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてよい。
【0188】
前記一般式(1)、(2)、一般式(YA)、(YB)の化合物及びシアン発色性ロイコ染料は、有機銀塩を含有する画像形成層に含有させることが好ましいが、一方を画像形成層に、他方を該画像形成層に隣接する非画像形成層に含有させてもよく、両者を非画像形成層に含有させてもよい。又、画像形成層が複数層で構成されている場合には、それぞれ別層に含有させてもよい。
【0189】
本発明の熱現像感光材料には、現像促進剤として特開2000−267222号に記載の式(A)で表されるフェノール誘導体が好ましく用いられる。
【0190】
〔バインダー〕
本発明の熱現像感光材料に好適なバインダーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、特開2001−330918号公報の「0069」に記載のものが挙げられる。これらのうち本発明に係る熱現像感光材料の感光性層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましいバインダーはポリビニルブチラールである。詳しくは後述する。また、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。尚、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組合せて用いうる。バインダーには−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2、(Mは水素原子、またはアルカリ金属塩基を表す)、−N(R)2、−N+(R)3(Rは炭化水素基を表す)、エポキシ基、−SH、−CN等から選ばれる少なくとも1つ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましく、特に−SO3M、−OSO3M、が好ましい。この様な極性基の量は、1×10-1〜1×10-8モル/gであり、好ましくは1×10-2〜1×10-6モル/gである。
【0191】
この様なバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定しうる。例えば、画像形成層において少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2が好ましく、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、画像形成層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0192】
本発明で用いるバインダーのガラス転移温度Tgは、70℃以上、105℃以下であることが好ましい。Tgは、示差走査熱量計で測定して求めることができ、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点をガラス転移点とする。
【0193】
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、ブランドラップらによる“重合体ハンドブック”III−139頁〜III−179頁(1966年,ワイリーアンドサン社版)に記載の方法で求めたものである。
【0194】
バインダーが共重合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2Tg2+・・・+vnTgn
式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは共重合体中の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表す。
【0195】
上式に従って計算されたTgの精度は、±5℃である。
Tgが70〜105℃のバインダーを用いると、画像形成において十分な最高濃度が得ることができ好ましい。
【0196】
本発明のバインダーとしてはTgが70〜105℃、数平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。
【0197】
また、エチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体については特開2001−330918号公報の段落番号「0069」に記載のものが挙げられる。
【0198】
これらのうち、特に好ましい例としては、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、スチレン類等が挙げられる。この様な高分子化合物の中でも、アセタール基を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分子化合物でも、アセトアセタール構造を持つポリビニルアセタールであることがより好ましく、例えば、米国特許第2,358,836号、同3,003,879号、同2,828,204号、英国特許第771,155号の各明細書に示されるポリビニルアセタールを挙げることができる。
【0199】
アセタール基を持つ高分子化合物としては、下記一般式(V)で表される化合物が、特に好ましい。
【0200】
【化15】
Figure 0004363085
【0201】
一般式(V)において、R11は無置換アルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基を表すが好ましくはアリール基以外の基である。R12は無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、−COR13または−CONHR13を表す。R13はR11と同義である。
【0202】
11、R12、R13で表される無置換アルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜6である。これらは直鎖であっても分岐していてもよく、好ましくは直鎖のアルキル基が好ましい。この様な無置換アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられるが、特に好ましくはメチル基もしくはプロピル基である。
【0203】
無置換アリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。上記のアルキル基、アリール基に置換可能な基としては、アルキル基(例えば、メチル基、n−プロピル基、t−アミル基、t−オクチル基、n−ノニル基、ドデシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、ニトロ基、水酸基、シアノ基、スルホ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、カルボキシ基、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基等)等が挙げられる。この置換基が2つ以上ある時は、同じでも異なっていてもよい。置換アルキル基の総炭素数は、1〜20が好ましく、置換アリール基の総炭素数は6〜20が好ましい。
【0204】
12としては、−COR13(R13はアルキル基またはアリール基)、−CONHR13(R13はアリール基)が好ましい。a、b、cは、各繰り返し単位の質量をモル(mol)%で示した値であり、aは、40〜86モル%、bは0〜30モル%、cは0〜60モル%の範囲で、a+b+c=100モル%となる数を表し、特に好ましくは、aが50〜86モル%、bが5〜25モル%、cが0〜40モル%の範囲である。a、b、cの各組成比を持つ各繰り返し単位は、それぞれ同一のもののみで構成されていても、異なるもので構成されていてもよい。
【0205】
上記一般式(V)で表される高分子化合物は、「酢酸ビニル樹脂」桜田一郎編(高分子化学刊行会、1962年)等に記載の一般的な合成方法で合成することができる。
【0206】
本発明で用いることのできるポリウレタン樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタン等公知のものが使用できる。またポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のOH基を有することが好ましい。OH基は、硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。特に、OH基が分子末端にある方が、硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子末端にOH基を3個以上有することが好ましく、4個以上有することが特に好ましい。本発明において、ポリウレタンを用いる場合は、ガラス転移温度が70〜105℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.5〜100N/mm2が好ましい。
【0207】
これらの高分子化合物(ポリマー)は単独で用いてもよいし、2種類以上をブレンドして用いてもよい。本発明の画像形成層には上記ポリマーを主バインダーとして用いる。ここでいう主バインダーとは「画像形成層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが占めている状態」をいう。従って、全バインダーの50質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよい。これらのポリマーとしては、本発明のポリマーが可溶となる溶媒であれば、特に制限はない。より好ましくはポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0208】
本発明においては、画像形成層に有機性ゲル化剤を含有せしめてもよい。尚、ここででいう有機性ゲル化剤とは、例えば、多価アルコール類のように有機液体に添加することにより、その系に降伏値を付与し、系の流動性を消失或いは低下させる機能を有する化合物をいう。
【0209】
本発明においては、画像形成層用塗布液が水性分散されたポリマーラテックスを含有するのも好ましい態様である。この場合、画像形成層用塗布液中の全バインダーの50質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。
【0210】
また、本発明に係る画像形成層がポリマーラテックスを含有する場合、前記画像形成層中の全バインダーの50質量%以上がポリマーラテックスであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
【0211】
本発明に係る「ポリマーラテックス」とは水不溶性の疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、或いはポリマー分子中に部分的に親水的な構造をもち、分子鎖自身が分子状分散したもの等いずれでもよい。
【0212】
分散粒子の平均粒径は1〜50,000nmが好ましく、より好ましくは5〜1,000nm程度の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0213】
本発明に係るポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。本発明に係るポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃であることが好ましく、更に好ましくは0〜70℃程度である。また、最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。本発明に用いられる造膜助剤は可塑剤とも呼ばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶媒)であり、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
【0214】
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体等がある。ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでもよい。またポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は数平均分子量で通常5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000程度である。分子量が小さすぎるものは感光層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好ましくない。
【0215】
ポリマーラテックスは25℃、60%RHでの平衡含水率が0.01〜2質量%以下のものが好ましく、更に好ましくは、0.0.01〜1質量%のものである。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」等を参考にすることができる。
【0216】
ポリマーラテックスの具体例としては、特開2002−287299の段落「0173」に記載のラテックスが挙げられる。
【0217】
これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよい。ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレートまたはメタクリレート成分の如きカルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが好ましい。
【0218】
更に、必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は前記感光層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
【0219】
本発明に係る画像形成層用塗布液の調製において、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスの添加の順序については、いずれが先に添加してもよいし、同時に添加してもよいが、好ましくは、ポリマーラテックスが後である。
【0220】
更に、ポリマーラテックス添加前に有機銀塩、更には還元剤が混合されていることが好ましい。また、本発明においては、有機銀塩とポリマーラテックスを混合した後、経時させる温度が低すぎると塗布面状が損なわれ、高すぎるとカブリが上昇する問題があるので、混合後の塗布液は30℃〜65℃で上記時間経時されることが好ましい。更には35℃〜60℃で経時させることが好ましく、特には35℃〜55℃で経時されることが好ましい。この様に温度を維持するには塗布液の調液槽等を保温すればよい。
【0221】
本発明に係る画像形成層用塗布液の塗布は有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを混合した後、30分〜24時間経過した塗布液を用いるのが好ましく、更に好ましくは、混合した後、60分〜12時間経過させることであり、特に好ましくは、120分〜10時間経過した塗布液を用いることである。
【0222】
ここで、「混合した後」とは、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを添加し、添加素材が均一に分散された後をいう。
【0223】
本発明においては、架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより膜付きがよくなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
【0224】
本発明で用いられる架橋剤としては、従来写真感材用として使用されている種々の架橋剤、例えば、特開昭50−96216号公報に記載されているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤が用いられるが、好ましくは以下に示す、イソシアネート系化合物、シラン化合物、エポキシ化合物または酸無水物である。
【0225】
上記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に、具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価または3価のポリアルコール類との付加体が挙げられる。
【0226】
具体例としては、特開昭56−5535号公報の10頁〜12頁に記載されているイソシアネート化合物を利用することができる。
【0227】
本発明において使用される上記架橋剤の量は、銀1モルに対して通常0.001〜2モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
【0228】
本発明において含有させることができるイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、上記のほか、当該官能基を1つのみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
【0229】
本発明において架橋剤として使用できるシラン化合物の例としては、特開2001−264930号公報に開示されている一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
【0230】
〔省銀化剤〕
本発明では、省銀化剤を使用することにより、本発明の効果を更に高めることができる。
【0231】
本発明において使用される省銀化剤とは、一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当たりの光学濃度をいう。
【0232】
省銀化剤としては、ヒドラジン誘導体化合物、ビニル化合物、4級オニウム化合物及びシラン化合物が好ましい例として挙げられる。
【0233】
ヒドラジン誘導体の具体例としては、米国特許第5,545,505号明細書カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号明細書カラム9〜11に記載の化合物1〜12、特開2001−27790の「0042」〜「0052」に記載の化合物H−1−1〜H−1−28、H−2−1〜H−2−9、H−3−1〜H−3−12、H−4−1〜H−4−21、H−5−1〜H−5−5があげられる。
【0234】
ビニル化合物の具体例としては米国特許第5,545,515号明細書のカラム13〜14に記載の化合物CN−01〜CN−13、米国特許第5,635,339号明細書のカラム10に記載の化合物HET−01〜HET−02、米国特許第5,654,130号明細書のカラム9〜10に記載の化合物MA−01〜MA−07の化合物、米国特許第5,705,324号明細書のカラム9〜10に記載の化合物IS−01〜IS−04、特開2001−125224号公報の「0043」〜「0088」記載の化合物1−1〜218−2があげられる。4級オニウム化合物の具体例としてはトリフェニルテトラゾリウムが挙げられる。
【0235】
シラン化合物の具体例としては特開2003−5324号公報の「0027」〜「0029」記載の化合物A1〜A33に示されるような一級または二級アミノ基を2個以上有するアルコキシシラン化合物或いはその塩があげられる。
【0236】
上記省銀化剤の添加量は有機銀塩1モルに対し1×10-5〜1モル、好ましくは1×10-4〜5×10-1モルの範囲である。
【0237】
〔カブリ防止及び画像安定化剤〕
本発明の熱現像感光材料に用いられるカブリ防止及び画像安定化剤について説明する。
【0238】
還元剤としては、主に、ビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンを持った還元剤が用いられているので、これらの水素を引き抜くことができる活性種を発生することにより還元剤を不活性化できる化合物が含有されていることが好ましい。好適には、無色の光酸化性物質として、露光時にフリーラジカルを反応活性種として生成可能な化合物が好ましい。
【0239】
従ってこれらの機能を有する化合物であればいかなる化合物でもよいが、複数の原子からなる有機フリーラジカルが好ましい。かかる機能を有し、且つ熱現像感光材料に格別の弊害を生じることのない化合物であればいかなる構造を持った化合物でもよい。
【0240】
また、これらのフリーラジカルを発生する化合物としては発生するフリーラジカルに、これが還元剤と反応し不活性化するに十分な時間接触できる位の安定性を持たせるために炭素環式、または複素環式の芳香族基を有するものが好ましい。
【0241】
これらの化合物の代表的なものとしてビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物を挙げることができる。
【0242】
上記のビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物の添加量は0.001〜0.1モル/m2、好ましくは、0.005〜0.05モル/m2の範囲である。尚、当該化合物は、本発明の感光材料において、いかなる構成層中にも含有させることができるが、還元剤の近傍に含有させることが好ましい。
【0243】
また、カブリ防止及び画像安定化剤として、ハロゲン原子を活性種として放出できる化合物も多くのものが知られている。
【0244】
これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、以下に挙げる一般式(5)の化合物がある。
【0245】
【化16】
Figure 0004363085
【0246】
一般式(5)中、Q51はアリール基またはヘテロ環基を表す。X51、X52及びX53は水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基、アリール基を表すが、少なくとも1つはハロゲン原子である。Y51は−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表す。
【0247】
51で表されるアリール基は、単環または縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
【0248】
51で表されるヘテロ環基は、N、OまたはSの少なくとも1つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0249】
ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5ないし6員の不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1ないし4原子含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。この様なヘテロ環基におけるヘテロ環として好ましくは、特開2002−287299の段落「0268」に記載の基があげられ、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。
【0250】
51で表されるアリール基及びヘテロ環基は−Y51−C(X51)(X52)(X53)の他に置換基を有していてもよく、置換基として好ましくは特開2002−287299の段落「0269」に記載の基があげられ、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0251】
51、X52及びX53は好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0252】
51は−C(=O)−、−SO−、−SO2−を表し、好ましくは−SO2−である。
【0253】
これらの化合物の添加量は、実質的にハロゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が問題にならない範囲が好ましく、活性ハロゲンラジカルを生成しない化合物に対する比率で、最大150%以下、更に好ましくは100%以下であることが好ましい。これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、特開2002−169249号公報の段落番号「0086」〜「0087」に記載されている化合物(III−1)〜(III−23)を挙げることができる。
【0254】
次に本発明において好ましく使用される上記以外のカブリ防止剤について説明する。本発明で好ましく使用されるかぶり防止剤としては例えば特開平8−314059号公報の「0012」に記載の化合物例a〜j、特開平7−209797号公報の「0028」に記載のチオスルホネートエステルA〜K、特開昭55−140833号公報のp14から記載の化合物例(1)〜(44)、特開2001−13627公報の「0063」記載の化合物(I−1)〜(I−6)、「0066」記載の(C−1)〜(C−3)、特開2002−90937公報の「0027」記載の化合物(III−1)〜(III−108)、ビニルスルホン類及び/又はβ−ハロスルホン類の化合物として特開平6−208192公報の「0013」に記載の化合物VS−1〜VS−7、化合物HS−1〜HS−5、スルホニルベンゾトリアゾール化合物として特開2000−330235公報に記載のKS−1〜KS−8の化合物、置換されたプロペンニトリル化合物として特表2000−515995公報に記載のPR−01〜PR−08をあげることができる。
【0255】
上記カブリ防止剤は一般に銀のモルに対して少なくとも0.001モル用いる。通常、その範囲は銀のモルに対して化合物は0.01〜5モル、好ましくは銀のモルに対して化合物は0.02〜0.6モルである。
【0256】
尚、上記の化合物の他に、本発明の熱現像感光材料中には、従来カブリ防止剤として知られている化合物が含まれてもよいが、上記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であってもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、同4,546,075号、同4,452,885号の各明細書、特開昭59−57234号公報、米国特許第3,874,946号明細書、同4,756,999号明細書、特開平9−288328号公報、同9−90550号公報に記載されている化合物が挙げられる。更に、その他のカブリ防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同605,981号、同631,176号の各明細書に開示されている化合物が挙げられる。
【0257】
本発明に用いる還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)を有する場合、特にビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
【0258】
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物の具体例としては例えば特開2002−90937号公報の段落番号「0061」〜同「0064」に記載の化合物(II−1)〜(II−40)が挙げられる。
【0259】
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、必要に応じて銀の色調を調整する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有していることが好ましい。
【0260】
本発明に用いられる好適な色調剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同3,994,732号、同3,846,136号及び同4,021,249号の各明細書に開示されており、例えば、次のものがある。
【0261】
イミド類(例えば、スクシンイミド、フタルイミド、ナフタールイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(例えば、フタラジノン、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジンとフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸)の組合せ;フタラジンとマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組合せ等が挙げられる。特に好ましい色調剤としてはフタラジノンまたはフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類の組合せである。
【0262】
本発明に係る熱現像感光材料に用いる支持体の素材としては各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(例えばアルミニウム)等が挙げられるが、情報記録材料としての取り扱い上は可撓性のあるシートまたはロールに加工できるものが好適である。従って本発明の熱現像感光材料における支持体としては、プラスチックフィルム(例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルムまたはポリカーボネートフィルム等)が好ましく、本発明においては2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0263】
本発明においては、帯電性を改良するために金属酸化物及び/または導電性ポリマー等の導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは、バッキング層または感光性層側の表面保護層、下引層等に含まれる。本発明においては、米国特許第5,244,773号明細書カラム14〜20に記載された導電性化合物等が好ましく用いられる。
【0264】
中でも本発明では、バッキング層側の表面保護層に導電性金属酸化物を含有することが好ましい。このことで、更に本発明の効果(特には熱現像処理時の搬送性)を高められることが分かった。ここで、導電性金属酸化物とは、結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は一般的に言って導電性が高いので特に好ましく、特に後者はハロゲン化銀乳剤にカブリを与えないので特に好ましい。金属酸化物の例としてZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、或いはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、またTiO2に対してはNb、Ta等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜30モル%の範囲が好ましいが、0.1〜10モル%であれば特に好ましい。更にまた、微粒子分散性、透明性改良のために、微粒子作製時にケイ素化合物を添加してもよい。本発明に用いられる金属酸化物微粒子は導電性を有しており、その体積抵抗率は107Ω・cm以下、特に105Ω・cm以下である。これらの酸化物については特開昭56−143431号、同56−120519号、同58−62647号の各公報等に記載されている。更にまた、特公昭59−6235号公報に記載のごとく、他の結晶性金属酸化物粒子或いは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。
【0265】
利用できる粒子サイズは1μm以下が好ましいが、0.5μm以下であると分散後の安定性が良く使用しやすい。また光散乱性をできるだけ小さくするために、0.3μm以下の導電性粒子を利用すると透明感光材料を形成することが可能となり大変好ましい。また、導電性金属酸化物が針状或いは繊維状の場合はその長さは30μm以下で直径が1μm以下が好ましく、特に好ましいのは長さが10μm以下で直径0.3μm以下であり長さ/直径比が3以上である。尚、SnO2としては、石原産業社より市販されており、SNS10M、SN−100P、SN−100D、FSS10M等を用いることができる。
【0266】
本発明の熱現像感光材料は支持体上に少なくとも1層の感光層である画像形成層を有している。支持体の上に画像形成層のみを形成してもよいが、画像形成層の上に少なくとも一層の非感光層を形成するのが好ましい。例えば画像形成層の上には保護層が、画像形成層を保護する目的で設けられることが好ましく、また支持体の反対の面には熱現像材料間の、或いは熱現像材料ロールにおいてくっつきを防止するために、バックコート層が設けられる。これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては画像形成層よりもガラス転位点が高く、擦り傷や、変形の生じにくいポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが、前記のバインダーの中から選ばれる。
【0267】
尚、階調調整等のために、画像形成層を支持体の一方の側に2層以上または支持体の両側に1層以上設置してもよい。
【0268】
〔染料〕
本発明に係る熱現像感光材料においては、画像形成層を透過する光の量または波長分布を制御するために画像形成層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成するか、画像形成層に染料または顔料を含有させることが好ましい。
【0269】
本発明において用いられる染料としては、熱現像材料の感色性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物が使用できる。
【0270】
例えば、本発明に係る熱現像材料を赤外光による画像記録材料とする場合には、特開2001−83655号公報に開示されているようなチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本公報ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本公報ではピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、またスクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、またはピリリウムクロコニウム染料を使用することが好ましい。
【0271】
尚、スクアリリウム核を有する化合物とは、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有する化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここで、ヒドロキシ基は解離していてもよい。以下本明細書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム染料と呼ぶ。尚、染料としては特開平8−201959号公報の化合物も好ましい。
【0272】
〔構成層の塗布〕
本発明の熱現像感光材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば感光層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下(より好ましくは90質量%以下)となる前に、上層を設けることである。
【0273】
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法等の公知の方法を用いることができる。これらのうちより好ましくはスライド塗布法、エクストリュージョン塗布法である。これらの塗布方法は感光層を有する側について述べたが、バックコート層を設ける際、下引きと共に塗布する場合についても同様である。熱現像材料における同時重層塗布方法に関しては、特開2000−15173号公報に詳細な記載がある。
【0274】
尚、本発明において、塗布銀量は、熱現像感光材料の目的に応じた適量を選ぶことが好ましいが、医療用画像を目的とする場合には、金属銀換算で0.3g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましく、0.5g/m2以上、1.5g/m2以下がより好ましい。当該塗布銀量のうち、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ましい、更には、5〜15%が好ましい。
【0275】
また、本発明において、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好ましい。更には、1×1015個/m2以上、1×1017個/m2以下が好ましい。
【0276】
更に、前記の非感光性長鎖脂肪族カルボン酸銀の塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子1個当たり、1×10-17g以上、1×10-14g以下が好ましく、1×10-16g以上、1×10-15g以下がより好ましい。
【0277】
上記のような範囲内の条件において塗布した場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高濃度、即ち、銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
【0278】
本発明においては、熱現像感光材料が、現像時に溶剤を5〜1,000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。100〜500mg/m2であるように調整することがより好ましい。それにより、高感度、低カブリ、最高濃度の高い熱現像感光材料となる。
【0279】
溶剤としては、特開2001−264930号公報の段落番号「0030」に記載のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらの溶剤は、単独、または数種類組合せて用いることができる。
【0280】
尚、熱現像感光材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。また、当該溶剤の含有量は、含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
〔包装体〕
本発明の熱現像感光材料を保存する場合は、経時での濃度変化やカブリ発生を防止するため、包装体に収納して保存することが好ましい。包装体内の空隙率は0.01〜10%、好ましくは0.02〜5%とするのがよく、窒素封入を行って包装体内の窒素分圧を80%以上、好ましくは90%以上とするのがよい。
【0281】
〔熱現像感光材料の露光〕
本発明の熱現像感光材料は、画像記録する際にレーザ光を用いるのが普通である。本発明の熱現像感光材料の露光は、当該材料に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならばいかなる光源にも適用可能であるが、レーザパワーがハイパワーであることや、熱現像感光材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
【0282】
本発明において、露光はレーザ走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、感光材料の露光面と走査レーザ光のなす角が実質的に垂直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙げられる。
【0283】
ここで、「実質的に垂直になることがない」とはレーザ光走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55度以上、88度以下、より好ましくは60度以上、86度以下、更に好ましくは65度以上、84度以下、最も好ましくは70度以上、82度以下であることをいう。
【0284】
レーザ光が、感光材料に走査される時の感光材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザ光入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。尚、ビームスポット直径の下限は10μmである。この様なレーザ走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることができる。
【0285】
また、第2の方法として、本発明における露光は縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。
【0286】
縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、等の方法がよい。尚、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
【0287】
更に、第3の態様としては、2本以上のレーザ光を用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。
【0288】
この様な複数本のレーザ光を利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば、特開昭60−166916号公報等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザ光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、これはレーザイメージャー等と原理的に同じレーザ走査光学装置である。
【0289】
レーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段における感光体上へのレーザ光の結像は、1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途から、1つのレーザ光の結像位置から1ライン分ずらして次のレーザ光が結像されている。具体的には、2つの光ビームは互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数を表す)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dpiで42.3μmである。この様な、副走査方向に解像度分ずらした方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上のレーザを入射角を変え露光面に集光させ画像形成することが好ましい。この際、通常の1本のレーザ光(波長λ[nm])で書き込む場合の露光面での露光エネルギーがEであり、露光に使用するN本のレーザ光が同一波長(波長λ[nm])、同一露光エネルギー(En)である場合に、0.9×E≦En×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。この様にすることにより、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれのレーザ光の画像形成層への反射は、レーザの露光エネルギーが低いため低減され、ひいては干渉縞の発生が抑えられる。
【0290】
尚、上述では複数本のレーザ光の波長をλと同一のものを使用したが、波長の異なるものを用いてもよい。この場合には、λ[nm]に対して(λ−30)<λ1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にするのが好ましい。
【0291】
尚、上述した第1、第2及び第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザによるレーザ光を用いるのが好ましい。尚、レーザ・イメージャーやレーザ・イメージセッタで使用されるレーザ光において、熱現像材料に走査される時の該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は熱現像材料固有のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、熱現像感光材料毎に最適な値に設定することができる。
〔熱現像処理装置〕
本発明でいう熱現像処理装置は、構成としては、フィルムトレイで代表されるフィルム供給部、レーザ画像記録部、熱現像感光材料の全面に均一で安定した熱を供給する熱現像部、フィルム供給部からレーザ記録を経て、熱現像により画像形成された熱現像感光材料を装置外に排出するまでの搬送部から構成される。この態様の熱現像処理装置の具体例は図3に示すものである。
【0292】
熱現像装置100は、シート状の熱現像感光材料(フォトサーモグラフィックエレメントまたは単にフィルムともいう)を1枚ずつ給送する給送部110、給送されたフィルムFを露光する露光部120、露光されたフィルムFを現像する現像部130、現像を停止させる冷却部150と集積部160とを有し、給送部からフィルムFを供給するための供給ローラー対140、現像部にフィルムを送るための供給ローラー対144、各部間でフィルムFを円滑に移送するための搬送ローラー対141、142、143、145等複数のローラー対からなっている。熱現像部はフィルムFを現像する加熱手段として、外周にほぼ密着して保持しつつ加熱可能な複数の対向ローラー2を有するヒートドラム1と現像したフィルムFを剥離し冷却部に送るための剥離爪6等からなる。
【0293】
尚、熱現像感光材料の熱現像感光材料供給部から画像露光部間の搬送速度は10〜200mm/sec、画像露光部での搬送速度は10〜200mm/sec、熱現像部の搬送速度は10〜200mm/secであり、これら指定された領域以外では、搬送に支障の起こらない範囲であれば特に制限はない。
【0294】
本発明の熱現像感光材料の現像条件は、使用する機器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的には、適した高温において像様に露光した熱現像材料を加熱することにより現像を行うものである。露光後に得られた潜像は、中程度の高温(約80〜200℃、好ましくは約100〜200℃)で、十分な時間(一般には約1秒〜約2分間)、熱現像材料を加熱することにより現像される。
【0295】
加熱温度が80℃未満では、短時間に十分な画像濃度が得られず、また、200℃を越えると、バインダーが溶融し、ローラーへの転写等画像そのものだけでなく搬送性や現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する。)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の供給を一切行わないで進行する。
【0296】
加熱する機器、装置或いは手段としては、例えば、ホットプレート、アイロン、ホットローラー、炭素または白色チタン等を用いた熱発生器として典型的な加熱手段等で行ってよい。より好ましくは、保護層の設けられた熱現像材料は、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理することが、均一な加熱を行う上で、また、熱効率、作業性等の観点から好ましく、保護層を有する側の面をヒートローラーに接触させながら搬送し、加熱処理して現像することが好ましい。
【0297】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。
【0298】
実施例1
〈下引済み写真用支持体の作製〉
市販の2軸延伸熱固定済みの厚さ175μmの、光学濃度で0.170(コニカ社製デンシトメータPDA−65にて測定)に下記青色染料で着色したPETフィルムの両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に、下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1とし、反対側の面に、下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層B−1とした。
【0299】
【化17】
Figure 0004363085
【0300】
(下引塗布液a−1)
ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(30/20/25/25%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
(C−1) 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1Lに仕上げる
(下引塗布液b−1)
ブチルアクリレート/スチレン/グリシジルアクリレート(40/20/40%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
(C−1) 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1Lに仕上げる。
【0301】
引き続き、上記下引層A−1及び下引層B−1の表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に下引上層A−2として、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.4μmになる様に帯電防止機能を持つ下引上層B−2として塗設した。
(下引上層塗布液a−2)
ゼラチン 0.4g/m2になる量
(C−1) 0.2g
(C−2) 0.2g
(C−3) 0.1g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水で1Lに仕上げる
(下引上層塗布液b−2)
SbドープSnO2(SNS10M:石原産業社製) 60g
(C−4)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g
硫酸アンモニウム 0.5g
(C−5) 12g
ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g
水で1Lに仕上げる。
【0302】
【化18】
Figure 0004363085
【0303】
【化19】
Figure 0004363085
【0304】
〈バックコート層塗布液の調製〉
メチルエチルケトン(MEK)830gを撹拌しながら、セルロースアセテートプロピオネート(Eastman Chemical社製:CAP482−20)84.2g及びポリエステル樹脂(Bostic社:VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。次に、溶解した液に0.30gの下記赤外染料1を添加し、更にメタノール43.2gに溶解したフッ素系界面活性剤(旭硝子社製:サーフロンKH40)4.5gとフッ素素系界面活性剤(大日本インキ社製:メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。次にオレイルオレートの2.5gを添加し、撹拌しバックコート層塗布液を調製した。
【0305】
【化20】
Figure 0004363085
【0306】
〈バックコート層保護層(表面保護層)塗布液の調製〉
セルロースアセテートプロピオネート(10%MEK溶液) 15g
単分散度15%の単分散シリカ(平均粒径:表1に記載)
(シリカ全質量の1%のアルミニウムで表面処理) 0.03g
817(CH2CH2O)12817 0.05g
一般式(SF)で表される化合物又は比較の化合物(表1に記載)0.01g
ステアリン酸 0.1g
オレイルオレート 0.1g
〈感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製〉
(A1)
フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g
化合物(AO−1)の10%メタノール水溶液 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる
(B1)
0.67モル/L硝酸銀水溶液 2635ml
(C1)
臭化カリウム 51.55g
沃化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げる
(D1)
臭化カリウム 151.6g
沃化カリウム 7.67g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム(1%水溶液) 0.93ml
(K2(IrCl6))
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 0.004g
ヘキサクロロオスミウム(IV)酸カリウム 0.004g
水で1982mlに仕上げる
(E1)
0.4モル/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
(F1)
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げる
(G1)
56%酢酸水溶液 18.0ml
(H1)
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げる
AO−1:HO(CH2CH2O)n〔CH(CH3)CH2O〕17(CH2CH2O)mH(m+n=5〜7)
特公昭58−58288号に示される混合撹拌機を用いて溶液(A1)に溶液(B1)の1/4量及び溶液(C1)全量を20℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し核形成を行った。1分後に溶液(F1)の全量を添加した。この間、pAgの調整を(E1)を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液(B1)の3/4量及び溶液(D1)の全量を、20℃、pAg8.09に制御しながら、14分15秒かけて同時混合法により添加した。5分間撹拌した後、40℃に降温し、溶液(G1)を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10リットル加え、撹拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10リットル加え、撹拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液(H1)を加え、60℃に昇温し、更に120分撹拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0307】
この乳剤は、平均粒子サイズ25nm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.1モル%)。
【0308】
〈感光性ハロゲン化銀乳剤Bの調製〉
同時混合法による添加時の温度を45℃に変更した以外は感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製と同様に行った。この乳剤は平均粒子サイズ55nm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった(AgIの含有率は3.5モル%)。
【0309】
〈粉末有機銀塩Aの調製〉
4720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを80℃で溶解した。次に1.5モル/リットリルの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、感光性ハロゲン化銀乳剤A、36.2gおよび感光性ハロゲン化銀乳剤B、9.1gと純水450mlを添加し5分間撹拌した。
【0310】
次に1モル/リットルの硝酸銀溶液468.4mlを2分間かけて添加し、10分間撹拌し有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて撹拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風温度の運転条件により含水率が0.1%になるまで乾燥して乾燥済みの粉末有機銀塩Aを得た。この有機銀塩を用いて作製した熱現像感光材料試料1(後述)について電子顕微鏡を用いた分析結果から、平均粒径(円相当径)0.08μm、アスペクト比5、単分散度10%の平板状粒子であった。
【0311】
尚、有機銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
〈予備分散液Aの調製〉
画像形成層バインダーとして、SO3K基含有ポリビニルブチラール(Tg75℃、−SO3K基を0.2ミリモル/g含む)14.57gをMEK1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて撹拌しながら、上記粉末有機銀塩A500gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液Aを調製した。
【0312】
〈感光性乳剤分散液1の調製〉
予備分散液Aをポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ社製:トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行うことにより感光性乳剤分散液1を調製した。
【0313】
〈安定剤液の調製〉
1.0gの安定剤1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解し安定剤液を調製した。
【0314】
〈赤外増感色素液Aの調製〉
19.2mgの赤外増感色素、1.488gの2−クロロ安息香酸、2.779gの安定剤2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを31.3mlのMEKに暗所にて溶解し赤外増感色素液Aを調製した。
【0315】
〈添加液aの調製〉
還元剤(表1に記載の化合物と量)、0.159gの一般式(YA)で表される化合物YA−1、0.159gのシアン発色性ロイコ染料CA−10、1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの前記赤外染料1をMEK110gに溶解し、添加液aとした。
【0316】
〈添加液bの調製〉
1.56gのカブリ防止剤2、0.5gのカブリ防止剤3、0.5gのカブリ防止剤4、3.43gのフタラジンをMEK40.9gに溶解し添加液bとした。
【0317】
〈添加液cの調製〉
省銀化剤A−1、0.1gをMEK39.9gに溶解し添加液cとした。
【0318】
〈添加液dの調製〉
0.1gの強色増感剤1をMEK9.9gに溶解し、添加液dとした。
【0319】
〈添加液eの調製〉
1.0gのp−トルエンチオスルホン酸カリウムをMEK9.0gに溶解し、添加液eとした。
【0320】
〈添加液fの調製〉
1.0gのビニルスルホン〔(CH2=CH−SO2CH22CHOH〕を含有するカブリ防止剤をMEK9.0gに溶解し、添加液fとした。
【0321】
〈画像形成層塗布液の調製〉
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液1の50g及びMEK15.11gを撹拌しながら21℃に保温し、化学増感剤S−5(0.5%メタノール溶液)1000μlを加え、2分後にカブリ防止剤1(10%メタノール溶液)390μlを加えて1時間撹拌した。更に臭化カルシウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して10分撹拌した後に上記の化学増感剤S−5の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、更に20分撹拌した。続いて、安定剤液167mlを添加して10分間撹拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液Aを添加して1時間撹拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分撹拌した。13℃に保温したまま、0.5gの添加液d、0.5gの添加液e、0.5gの添加液f、予備分散液Aで使用したバインダー13.31gを添加して30分撹拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4%MEK溶液)1.084gを添加して15分間撹拌した。更に撹拌を続けながら、12.43gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300/モーベイ社製の脂肪族イソシアネート(10%MEK溶液)、4.27gの添加液b、4.0gの添加液cを順次添加し撹拌することにより画像形成層塗布液を得た。
【0322】
安定剤液を初めとする各塗布液、画像形成層塗布液の調製に用いた添加剤の構造を以下に示す。
【0323】
【化21】
Figure 0004363085
【0324】
【化22】
Figure 0004363085
【0325】
また、一般式(SF)で表される化合物の比較化合物として、下記フッ素系界面活性剤F−1およびF−2を用いた。
【0326】
F−1 C817SO3
F−2 C613CH2CH2SO3
〈画像形成層保護層下層(表面保護層下層)の調製〉
アセトン 5g
MEK 21g
セルロースアセテートブチレート 2.3g
(Eastman Chemical社製:CAB−171−15S)
メタノール 7g
フタラジン 0.25g
単分散度15%単分散シリカ(平均粒子サイズ:表1に記載)
0.140g
(シリカ全質量の1%のアルミニウムで表面処理)
CH2=CHSO2CH2CH2OCH2CH2SO2CH=CH2
0.035g
1225(CH2CH2O)101225 0.01g
一般式(SF)で表される化合物又は比較の化合物(表1に記載)0.01g
ステアリン酸 0.1g
ステアリン酸ブチル 0.1g
〈画像形成層保護層上層(表面保護層上層)の調製〉
アセトン 5g
メチルエチルケトン 21g
セルロースアセテートブチレート 2.3g
(Eastman Chemical社製:CAB−171−15S)
メタノール 7g
フタラジン 0.25g
単分散度15%単分散シリカ(平均粒子サイズ:表1に記載)0.140g
(シリカ全質量の1質量%のアルミニウムで表面処理)
CH2=CHSO2CH2CH2OCH2CH2SO2CH=CH2
0.035g
1225(CH2CH2O)101225 0.01g
一般式(SF)で表される化合物又は比較の化合物(表1に記載)0.01g
ステアリン酸 0.1g
ステアリン酸ブチル 0.1g
〈熱現像感光材料の作製〉
前記のように調製したバックコート層塗布液、バックコート層保護層塗布液を、乾燥膜厚がそれぞれ3.5μmになるように、下引上層B−2上に押出しコーターにて塗布速度50m/minにて塗布を行った。尚、乾燥は乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて行った。
【0327】
前記画像形成層塗布液と画像形成層保護層(表面保護層)塗布液を押出し(エクストルージョン)コーターを用いて塗布速度50m/minにて、下引上層A−2上に同時重層塗布することにより表1に示す熱現像感光材料試料No.1〜No.14を作製した。塗布は、画像形成層は塗布銀量1.2g/m2、画像形成層保護層(表面保護層)は乾燥膜厚で3.0μm(表面保護層上層1.5μm、表面保護層下層1.5μm)になる様に行った後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて10分間乾燥を行った。
【0328】
試料6については、試料1での予備分散液Aの調整における画像形成層バインダーとして、SO3K基含有ポリビニルブチラール(Tg75℃、SO3Kを0.2ミリモル/g含む)に代えて、SO3K基含有ポリビニルブチラール(Tg65℃、SO3Kを0.2ミリモル/g含む)を用いたこと以外は試料1と同様にして試料を作製した。
《露光及び現像処理》
上記のように作製した熱現像感光材料試料No.1〜No.14を半切サイズ(34.5cm×43.0cm)に加工した後、図1に示す熱現像処理装置を用いて以下の要領で処理した。
【0329】
熱現像感光材料をフィルムトレイから取り出し、レーザ露光部に搬送した後、画像形成層面側から、高周波重畳にて波長810nmの縦マルチモード化された半導体レーザ(1本の最大出力35mWを2本合波して最大出力70mWにしたもの)を露光源とした露光機によりレーザ走査による露光を与えた。この際に、熱現像感光材料の露光面と露光レーザ光の角度を75度として画像を形成した。その後、熱現像感光材料は熱現像部へと搬送され、ヒートドラムが熱現像感光材料の画像形成層側の保護層とドラム表面とが接触するようにして、123℃で13.5秒熱現像処理した後、熱現像感光材料を装置外に搬出した。
【0330】
このときの感光材料供給部から画像露光部までの搬送速度、画像露光部での搬送速度、熱現像部での搬送速度はそれぞれ20mm/secで行った。
【0331】
尚、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。露光は最高出力から1段ごとに露光エネルギー量をlogE0.05ずつ減じながら階段状に行った。
《十点平均粗さ》
熱現像の処理前の試料について、十点平均粗さを下記に示す方法により測定した。十点平均粗さRz(μm)は、非接触3次元表面解析装置(WYKO社RST/PLUS)を用いて、463.4μm×623.9μmの面積のRzを測定した。なおRzの定義は、JIS表面粗さ(B0601)に従った。測定は、10cm×10cmの各試料について、1cm間隔で碁盤目状に100分割し、各正方形領域の中心について測定を行ない、100回の測定からその平均値と標準偏差を求めた。
《画像濃度》
上記の条件にて得られた画像の最高濃度部の値を濃度計により測定し画像濃度として示す。
《経時カブリ上昇》
上記作製した熱現像感光材料を内部が25℃で湿度55%に保たれた密閉容器中に入れた後55℃で7日間経時保存した(強制経時)。比較として同じ熱現像感光材料を25℃で湿度55%にて遮光容器中に7日経時保存した。これらの試料をセンシトメトリーの評価に用いたものと同じ処理を行い、カブリ部分の濃度を測定した。
ΔDmin(カブリの増加)=(強制経時のカブリ)−(比較用経時のカブリ)
を算出し感光材料の経時カブリ上昇をみた。
《搬送性》
図1に示す熱現像処理装置を用いて50回現像処理を行い搬送不良の発生した回数を測定した。
《熱現像時の濃度むら》
現像後の濃度むらを目視で、以下の基準で評価した。
【0332】
5:濃度むらの発生は見られない
4:わずかに濃度むらが発生
3:一部で弱い濃度むらが発生
2:一部で強い濃度むらが発生
1:全面で強い濃度むらが発生
結果を表1、表2に示す。
【0333】
【表1】
Figure 0004363085
【0334】
【表2】
Figure 0004363085
【0335】
表1、2から、比較の熱現像感光材料と比べて、本発明の熱現像感光材料は、本発明の画像形成方法において、高濃度であり、経時のかぶり上昇が小さく、フィルムの搬送性、熱現像時の濃度むらの発生の少ない特性を有する熱現像感光材料であることが分かる。
【0336】
【発明の効果】
本発明により高濃度であり、経時のかぶり上昇が小さく、フィルムの搬送性、熱現像時の濃度むらの発生の少ない熱現像感光材料及び画像形成方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱現像処理装置の具体例を示す図である。
【符号の説明】
1 ヒートドラム
2 対向ローラー
6 剥離爪
100 熱現像装置
110 給送部
120 露光部
130 現像部
140 供給ローラー対
141,142,143,145 搬送ローラー対
144 供給ローラー対
150 冷却部
160 集積部
F フィルム
C フィルムトレイ
L レーザビーム

Claims (8)

  1. 支持体上に、有機銀塩、ハロゲン化銀、バインダー及び還元剤を含有する画像形成層を少なくとも有する熱現像感光材料において、前記還元剤が下記一般式(1)で表される化合物であり、支持体上の前記画像形成層側または支持体の前記画像形成層とは反対側に設けられた層の少なくとも1層が、下記一般式(SF)で表される化合物を含有し、かつ画像形成層側の最表面の十点平均粗さをRz(E)とし、支持体をはさんで画像形成層と反対側の最表面の十点平均粗さをRz(B)とするとき、Rz(E)/Rz(B)の値が0.1〜0.7であることを特徴とする熱現像感光材料。
    Figure 0004363085
    〔式中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。R2はアルキル基を表し、同一でも異なってもよいが、少なくとも一方は2級又は3級のアルキル基である。R3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。〕
    Figure 0004363085
    〔式中、R5は炭素数6〜24の置換又は無置換のアルキル基を表す。Rfは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を表し、X2、X3は水素又はSO3Mを表し、Mはカチオンであり、nは1〜6の整数を表す。〕
  2. 前記画像形成層側に設けられた層に含まれるマット剤の平均粒子サイズが最大のものの平均粒子サイズをLe(μm)、画像形成層と支持体をはさんで反対側に設けられた層に含まれるマット剤の平均粒子サイズが最大のものの平均粒子サイズをLb(μm)とするとき、Lb/Leが2.0〜10であることを特徴とする請求項1記載の熱現像感光材料。
  3. 前記バインダーのガラス転移温度が、70〜150℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱現像感光材料。
  4. 前記ハロゲン化銀が、平均粒子サイズ10〜50nmのハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の熱現像感光材料。
  5. 前記ハロゲン化銀が、更に平均粒子サイズ55〜100nmのハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする請求項4に記載の熱現像感光材料。
  6. 前記ハロゲン化銀が、カルコゲン化合物により化学増感されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の熱現像感光材料。
  7. 画像形成層に含有される銀量が金属銀換算で0.3〜1.5g/m2であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の熱現像感光材料。
  8. 請求項1〜7の何れか1項記載の熱現像感光材料を、熱現像処理装置を使用して熱現像部の搬送速度を10〜200mm/sec、感光材料供給部から画像露光部の間の搬送速度を10〜200mm/sec、画像露光部での搬送速度を10〜200mm/secで熱現像処理することを特徴とする画像形成方法。
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