JP2008277555A - 熱電素子とその製造方法および熱電変換モジュール - Google Patents

熱電素子とその製造方法および熱電変換モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】熱電素子の機械的強度を高くし、かつ高温でも利用可能な熱電素子とその製造方法および熱電変換モジュールを提供する。
【解決手段】熱電素子10は、p型半導体11とn型半導体12とを電極13にて電気的に接続し、p型半導体11とn型半導体12との隙間に高抵抗体16を介在させた熱電素子であって、p型半導体11と前記n型半導体12と共に、前記高抵抗体が焼成されてなる。また、熱電素子10の製造方法は、焼成してp型半導体となるp型半導体未焼成体30と焼成してn型半導体となるn型半導体未焼成体32との隙間に焼成して高抵抗体となる高抵抗体未焼成体31を介在させる介在工程と、p型半導体未焼成体30とn型半導体未焼成体32と共に、高抵抗体未焼成体31を焼成する焼成工程と、を含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は熱電素子とその製造方法および熱電変換モジュールに関し、特に、熱電素子を構成するp型半導体とn型半導体を電気的絶縁性と熱的絶縁性を保ち、かつ強固に接着させ高温域でも用いられる熱電素子とその製造方法および熱電変換モジュールに関する。
熱電素子は、p型半導体およびn型半導体から構成されており、熱エネルギーを電気エネルギーに、また電気エネルギーを熱エネルギーに直接変換する機能を持つ。その熱電素子の両端に温度差を与えると、ゼーベック効果により電圧を発生する。この電圧を電気エネルギーとして取り出すようにしたものが熱電発電装置である。
図6は、熱電素子の原理図である。熱電素子100は、p型半導体101とn型半導体102を上部電極103によって電気的に接続し、p型半導体101の下部に接合された下部電極104とn型半導体102の下部に接合された下部電極105から構成されている。
熱電素子100において、上部電極103が熱源によって加熱され、温度がTH(K)になっており、2枚の下部電極104,105が、それより低いTL(K)の温度であるとする。このとき、下部電極104,105の間には、ゼーベック効果により、式(1)で表される電圧Vが発生する。
(数1)
V=(αn+αp)(TH−TL) (1)
式(1)において、αn、αpは、それぞれn型半導体およびp型半導体のゼーベック係数である。
一方、この熱電素子100に直流電流を流すと、ペルチェ効果により一端で吸熱(発熱)を発生する現象が生じる。その単位時間当たりの吸熱(発熱)量Qp(W)と電流I(A)との関係は、式(2)で表される。式(2)において、Πはペルチェ係数である。
(数2)
Qp=ΠI (2)
このため、熱電素子の吸熱する側に適当な熱源を熱伝導良好な状態で接触させれば、その熱源を冷やす熱電冷却装置として利用することができる。
特に熱電冷却装置として使用する熱電素子のことを、その効果の名前からペルチェ素子と呼ぶこともあるが、熱電発電装置と熱電冷却装置とで使用する熱電素子には構造的な違いは無いので、本発明の説明においては、両方併せて「熱電素子」と表記することにする。また、このゼーベック効果およびペルチェ効果は熱電素子そのものの性能(熱電素子の優劣)を表す効果であり、これらの効果の性能を以下では「熱電性能」と呼ぶことにする。
一般的な熱電素子は、図6で示されるように、ほぼ同じ長さで柱状のp型半導体101とn型半導体102の両端部で電極を接合した構造をしている。
しかしながら、この一般的な熱電素子は、p型半導体とn型半導体との間には何もなく空気であり、また半導体は脆い材質のために、機械的強度が低く、外力の影響などで熱電素子が壊れ易いという欠点があった。
この問題を解決するために、例えば特許文献1,2に開示された構造がある。
上記特許文献1で開示された熱電素子の特徴的な構造としては、p型半導体とn型半導体との間に、電気的に絶縁性材料として、例えばエポキシ樹脂が充填されていることである。また、上記特許文献2で開示された熱電素子の特徴的な構造としては、p型半導体とn型半導体との間に、電気的に絶縁性材料として、気泡を含有するウレタン系樹脂やスチレン系樹脂等の高分子材料である絶縁樹脂が充填されていることである。この構造によって、絶縁体であるエポキシ樹脂や気泡を含有するウレタン系樹脂やスチレン系樹脂等の充填により機械的強度が高くなり、外力の影響などで熱電素子が壊れ易いという欠点を改善している。
特開昭63−20880号公報 特開2003−258323号公報
ところが、上記公報の従来技術の熱電素子は、絶縁体としてエポキシ樹脂やウレタン系樹脂、スチレン系樹脂を充填しているために、一般的な熱電素子と比べて機械的強度は高くなるが、高分子材料のため、高温で使用することは困難である。そのため、高温で利用可能な酸化物系セラミックスをp型半導体とn型半導体に用いた熱電素子の機械的強度の補強材として用いることができないという問題点があった。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、熱電素子の機械的強度を高くし、かつ高温でも利用可能な熱電素子とその製造方法および熱電変換モジュールを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、p型半導体とn型半導体とを電極にて電気的に接続し、p型半導体とn型半導体との隙間に高抵抗体を介在させた熱電素子であって、p型半導体とn型半導体と共に、高抵抗体が焼成されてなることを特徴とする熱電素子に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、高抵抗体は、セラミックスであることを特徴とする請求項1記載の熱電素子に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、高抵抗体は、ガラスであることを特徴とする請求項1記載の熱電素子に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、高抵抗体は、空隙を含むセラミックスであることを特徴とする請求項1記載の熱電素子に存する。
請求項5記載の発明の要旨は、高抵抗体は、空隙を含むガラスと空隙であることを特徴とする請求項1記載の熱電素子に存する。
請求項6記載の発明の要旨は、高抵抗体は、骨材部分と接着部分と空隙を含むことを特徴とする請求項1記載の熱電素子に存する。
請求項7記載の発明の要旨は、骨材部分はセラミックスであり、接着部分はガラスであることを特徴とする請求項6記載の熱電素子に存する。
請求項8記載の発明の要旨は、高抵抗体は、軟化点の異なる少なくとも2種類のガラスと空隙を含んでいることを特徴とする請求項1記載の熱電素子に存する。
請求項9記載の発明の要旨は、焼成してp型半導体となるp型半導体未焼成体と焼成してn型半導体となるn型半導体未焼成体との隙間に焼成して高抵抗体となる高抵抗体未焼成体を介在させる介在工程と、p型半導体未焼成体とn型半導体未焼成体と共に、高抵抗体未焼成体を焼成する焼成工程と、を含むことを特徴とする熱電素子の製造方法に存する。
請求項10記載の発明の要旨は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱電素子からなる熱電変換モジュールに存する。
本発明によれば、熱電素子の機械的強度を高くすることができ、かつ高温で利用することが可能な熱電素子を得ることができる。また、本発明によれば、熱電素子の機械的強度を高くすることができ、かつ高温で利用することが可能な熱電素子の製造方法を得ることができる。さらに、本発明によれば、機械的強度が高く、かつ高温で利用することが可能な熱電変換モジュールを得ることができる。
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る熱電素子の全体的な構成を示す断面図である。熱電素子10は、p型半導体11とn型半導体12を上部電極13によって電気的に接続し、p型半導体11の下部に接合された下部電極14とn型半導体12の下部に接合された下部電極15と、p型半導体11とn型半導体との隙間に介在させた高抵抗体16から構成されている。なお、p型半導体11とn型半導体12と高抵抗体16は一体で焼成されている。
p型半導体11とn型半導体12の間に、高抵抗体16を存在させ一体で焼成されていることにより、半導体同士の絶縁性を確保しつつ、脆い性質の半導体を固定して補強し、機械的強度を維持する構造を持たせることができる。
p型半導体11には、CaおよびCoを含むセラミックス(CaCo系セラミックス半導体)、MnおよびNiを含むセラミックス(MnNi系セラミックス半導体)、MnおよびCoを含むセラミックス(MnCo系セラミックス半導体)等が用いられる。具体的には、例えば、CaCoの組成式で表されるセラミックス、(MnNi)の組成式で表されるセラミックス、(MnCo)の組成式で表されるセラミックス等が用いられる。これらのセラミックスは、25℃における電気抵抗率が5×10−3〜5×10Ωcmの範囲になるように、組成比を調整したり、または、不純物を添加したりして作製される。
n型半導体12には、Ca、MnおよびZnを含むセラミックス(CaMnZn系セラミックス半導体)、Ca、MnおよびTaを含むセラミックス(CaMnTa系セラミックス半導体)、ZnおよびAlを含むセラミックス(ZnAl系セラミックス半導体)等が用いられる。具体的には、例えば、CaMnO−ZnOの組成式で表されるセラミックス、CaMnO−TaOの組成式で表されるセラミックス、ZnAlOの組成式で表されるセラミックス等が用いられる。これらのセラミックスは、25℃における電気抵抗率が5×10−3〜5×10Ωcmの範囲になるように、組成比を調整したり、または、不純物を添加したりして作製される。
また、p型半導体11、n型半導体12には、上記のように酸化物を用いることが好ましい。酸化物を用いることにより、化学的に安定であり、空気中での焼成が可能であり、量産が容易である。
高抵抗体16には、下記のような種々の材料、構成のものが用いられる。
例えば、高抵抗体16にはセラミックスが用いられる。この場合セラミックスとしては、BaCoO系、MnCaO系、(MnCo)系、(MnNi)系等のセラミックスが用いられる。これらのセラミックスは、25℃における電気抵抗率が2×10Ωcm以上になるように、組成比を調整したり、または不純物を添加したりして作製される。それらのセラミックスは、p型半導体11とn型半導体12に用いられる酸化物と同様に酸化物であるため、化学的に安定であり、空気中で焼成が可能であるので、p型半導体とn型半導体と一体で焼成することができる。
また、高抵抗体16にはガラスを用いることができる。この場合ガラスとしては、SiOを主成分としたガラス、TiO−BaO系ガラス、SiO−Al−SrO−ZrO系ガラスが用いられる。これらのガラスは、25℃における電気抵抗率が2×10Ωcm以上になるように、組成比を調整したり、または不純物を添加したりして作製される。それらのガラスは、p型半導体11とn型半導体12に用いられる酸化物と同様に酸化物であるため、化学的に安定であり、空気中で焼成が可能であるので、p型半導体とn型半導体と一体で焼成することができる。
さらに、高抵抗体16には空隙を含むセラミックスを用いることができる。この場合セラミックスとしては、MnCaO系、(MnCo)系、(MnNi)系等のセラミックスが用いられる。高抵抗体16は、25℃における電気抵抗率が2×10Ωcm以上になるように、空隙の全体に対する比率、空隙の大きさを調整したり、セラミックスの組成比を調整したり、または不純物を添加したりして作製される。それらのセラミックスは、p型半導体11とn型半導体12に用いられる酸化物と同様に酸化物であるため、化学的に安定であり、空気中で焼成が可能であるので、p型半導体とn型半導体と一体で焼成することができる。また、それらのセラミックスが空隙を含んでいることで熱伝導率が小さくなるので、p型半導体11とn型半導体の間での断熱性を高めることができる。
また、高抵抗体16には空隙を含むガラスを用いることができる。この場合ガラスとしては、SiOを主成分としたガラス、TiO−BaO系ガラス、SiO−Al−SrO−ZrO系ガラスが用いられる。高抵抗体16は、25℃における電気抵抗率が2×10Ωcm以上になるように、空隙の全体に対する比率、空隙の大きさを調整したり、ガラスの組成比を調整したり、または不純物を添加したりして作製される。それらのガラスは、p型半導体11とn型半導体12に用いられる酸化物と同様に酸化物であるため、化学的に安定であり、空気中で焼成が可能であるので、p型半導体とn型半導体と一体で焼成することができる。また、それらのガラスが空隙を含んでいることで熱伝導率が小さくなるので、p型半導体11とn型半導体12の間での断熱性を高めることができる。
さらに、高抵抗体16には、骨材部分と接着部分と空隙を含んだものを用いることができる。具体的には焼結温度あるいは融点の異なるセラミックスであるZrOとMnCaO系セラミックスの組み合わせ、ZrOと(MnCo)系セラミックスの組み合わせ、ZrOと(MnNi)系セラミックスの組み合わせ、AlとMnCaO系セラミックスの組み合わせ、Alと(MnCo)系セラミックスの組み合わせ、Alと(MnNi)系セラミックスの組み合わせ等を用いることができる。これらの例の場合、ZrO、Alが高融点のセラミックスであり骨材部分となる。この場合、高融点のセラミックスと低融点のセラミックスを組み合わせて高抵抗体を形成すると、p型半導体11とn型半導体12と高抵抗体16との同時焼成時に、低融点セラミックスが溶けて、高融点セラミックスがほとんど溶けない温度になるように焼成温度を調節することにより、低融点セラミックスは液化し高融点セラミックスをぬらしながらかつp型半導体11とn型半導体12の間でつながることで接着剤のように作用し、高融点セラミックスは溶けずに当初の間隙を保つように作用する。それにより、低融点セラミックスは接着部分となり、その接着部分によりp型半導体11とn型半導体12が接着される。また、高融点セラミックスは骨材部分となり、その骨材部分によりp型半導体11とn型半導体12との間の間隙幅を決めることができる。さらに、高抵抗体16は空隙を含んでいるので熱伝導率が小さいために、p型半導体11とn型半導体12の間での断熱性を高めることができる。なお、高抵抗体16は、25℃における電気抵抗率が2×10Ωcm以上になるように、空隙の全体に対する比率、空隙の大きさを調整したり、セラミックスの組成比を調整したり、または不純物を添加したりして作製される。
また、高抵抗体16に用いる骨材部分と接着部分と空隙を含んだものとして、骨材部分がZrOまたはAl等のセラミックスであり、接着部分がSiOを主成分としたガラス又は、TiO−BaO系ガラス又は、SiO−Al−SrO系ガラス等であるものを用いることができる。この場合、高融点のセラミックスと低融点のガラスを組み合わせて高抵抗体16を形成すると、p型半導体11とn型半導体12と高抵抗体16との同時焼成時に、低融点のガラスが溶けて、高融点のセラミックスがほとんど溶けない温度になるように焼成温度を調節することにより、低融点のガラスは液化し高融点のセラミックスをぬらしながらかつp型半導体11とn型半導体12の間でつながることで接着剤のように作用し、高融点のセラミックスは溶けずに当初の間隙を保つように作用する。それにより、低融点のガラスは接着部分となり、その接着部分によりp型半導体11とn型半導体12が接着される。また、高融点のセラミックスは骨材部分となり、その骨材部分によりp型半導体11とn型半導体12との間の間隙幅を決めることができる。さらに、高抵抗体16は空隙を含んでいるので熱伝導率が小さいために、p型半導体11とn型半導体12の間での断熱性を高めることができる。なお、高抵抗体16は、25℃における電気抵抗率が2×10Ωcm以上になるように、空隙の全体に対する比率、空隙の大きさを調整したり、セラミックスおよびガラスの組成比を調整したり、または不純物を添加したりして作製される。
さらに、高抵抗体16には、軟化点の違うガラスである(SiO−Al)系ガラスと(TiO−BaO)系ガラスの組み合わせ、または、(SiO−Al)系ガラスと(SiO−Al−SrO−ZrO)系ガラスの組み合わせ等を用いてもよい。これらの例の場合、(SiO−Al)系ガラスが高軟化点ガラスであり骨材部分となる。この場合、高軟化点のガラスと低軟化点のガラスを組み合わせて高抵抗体16を形成すると、p型半導体11とn型半導体12と高抵抗体16との同時焼成時に、低軟化点のガラスが軟化し、高軟化点のガラスがほとんど軟化しない温度になるように焼成温度を調節することにより、低軟化点のガラスは軟化し高軟化点のガラスをぬらしながらかつp型半導体11とn型半導体12の間でつながることで接着剤のように作用し、高軟化点のガラスは軟化せずに当初の間隙を保つように作用する。それにより、低軟化点のガラスは接着部分となり、その接着部分によりp型半導体11とn型半導体12が接着される。また、高軟化点のセラミックスは骨材部分となり、その骨材部分によりp型半導体11とn型半導体12との間の間隙幅を決めることができる。さらに、高抵抗体16は空隙を含んでいるので熱伝導率が小さいために、p型半導体11とn型半導体12の間での断熱性を高めることができる。なお、高抵抗体16は、25℃における電気抵抗率が2×10Ωcm以上になるように、ガラスの組成比を調整したり、または不純物を添加したりして作製される。
上部電極13は、Ag、Pd、Cu、Ni、Pt、Au等の金属または1種以上の合金からなり、p型半導体11とn型半導体12とに接合して、電気的に接続する。また、下部電極14は、Ag、Pd、Ag−Pd、Cu、Ni、Pt、Au等の金属からなり、p型半導体11に接合して、電気的に接続する。下部電極15は、Ag、Pd、Ag−Pd、Cu、Ni、Pt、Au等の金属からなり、n型半導体12に接合して、電気的に接続する。
上記の熱電素子10において、上部電極13が熱源によって加熱され、温度がTH(K)になっており、2枚の下部電極14,15が、それより低いTL(K)の温度であるとする。このとき、下部電極14,15の間には、ゼーベック効果により、式(1)で表される電圧Vが発生する。
この熱電素子10は、p型半導体11とn型半導体12に高温域でも利用できる材料を用い、また、p型半導体11とn型半導体12の隙間の高抵抗体16に、やはり、高温で用いることができるセラミックス、ガラス、空隙を含むセラミックス、空隙を含むガラス、焼結温度あるいは融点の異なるセラミックスの組み合わせ、軟化点の異なるガラスの組み合わせ、骨材部分と接着部分と空隙を含む高抵抗体、又は、セラミックスを骨材部分、ガラスを接着部分とする高抵抗体等を用いたので、熱的に安定であり、高温まで使用することができる。さらに、それらの高抵抗体は、熱伝導率が小さいので、断熱性に優れている。また、それらの高抵抗体は酸化物であるので、化学的、熱的に安定である。
特に、空隙を含むセラミックスや、空隙を含むガラスは、熱伝導率がより小さいので、それらの物質を高抵抗体16として用いることにより、p型半導体11とn型半導体12との間での断熱性をより優れたものとすることができる。
次に、本発明の実施形態に係る熱電素子の製造方法を、図2と図3を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態に係る熱電素子の製造方法により熱電素子を製造する工程を示す工程図である。図3は、本発明の実施形態に係る熱電素子の製造方法により熱電素子を製造する工程の各工程を示す模式図である。
本発明の実施形態に係る熱電素子の製造方法は、焼成してp型半導体となるp型半導体未焼成体を作製する工程(ステップS11)と、焼成してn型半導体となるn型半導体未焼成体を作製する工程(ステップS12)と、焼成して高抵抗体となる高抵抗体未焼成体を作製する工程(ステップS13)と、p型半導体未焼成体とn型半導体未焼成体との間に高抵抗体未焼成体を介在させる介在工程(ステップS14)と、p型半導体未焼成体とn型半導体未焼成体と共に高抵抗体未焼成体を焼成する焼成工程(ステップS15)と、焼成されて得られたp型半導体とn型半導体とを電極によって電気的に接続する接続工程(ステップS16)を含んでいる。
焼成してp型半導体となるp型半導体未焼成体を作製する工程(ステップS11)では、図3で示されるp型半導体シート積層体30がp型半導体未焼成体として次のようにして作製される。まず、p型半導体シート積層体30を構成する主成分である金属又は酸化物等が所定の割合となるように各々秤量された後、混合してp型半導体材料が調整される。
例えば、p型半導体11としてCaCo系セラミックス半導体を用いる場合には、p型半導体シート積層体30を構成する主成分であるCaとCoの金属又は酸化物等が所定の割合となるように各々秤量された後、混合してp型半導体材料が調整される。また、p型半導体としてMnNi系セラミックス半導体を用いる場合には、p型半導体シート積層体30を構成する主成分であるMnとNiの金属又は酸化物等が所定の割合となるように各々秤量された後、混合してp型半導体材料が調整される。さらに、p型半導体としてMnCo系セラミックス半導体を用いる場合には、p型半導体シート積層体30を構成する主成分であるMnとCoの金属又は酸化物等が所定の割合となるように各々秤量された後、混合してp型半導体材料が調整される。
その後、このp型半導体材料に有機バインダ、有機溶剤、有機可塑剤等が加えられ、ボールミル等を用いて20時間程度混合・粉砕を行ってスラリーが得られる。このスラリーを、ドクターブレード法等の公知の方法により、例えばポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜が形成される。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートが得られる。このグリーンシートが複数枚積層され厚み数mm程度のp型半導体シート積層体30が得られる。
焼成してn型半導体となるn型半導体未焼成体を作製する工程(ステップS12)では、図3で示されるn型半導体シート積層体32がn型半導体未焼成体として次のようにして作製される。まず、n型半導体シート積層体32を構成する主成分である金属又は酸化物等が所定の割合となるように各々秤量された後、混合してn型半導体材料が調整される。
例えば、n型半導体12としてCaMnZn系セラミックス半導体を用いる場合には、n型半導体シート積層体32を構成する主成分であるCaとMnとZnの金属又は酸化物等が所定の割合となるように各々秤量された後、混合してn型半導体材料が調整される。また、n型半導体としてCaMnTa系セラミックス半導体を用いる場合には、n型半導体シート積層体32を構成する主成分であるCaとMnとTaの金属又は酸化物等が所定の割合となるように各々秤量された後、混合してn型半導体材料が調整される。さらに、n型半導体としてZnAl系セラミックス半導体を用いる場合には、n型半導体シート積層体32を構成する主成分であるZnとAlの金属又は酸化物等が所定の割合となるように各々秤量された後、混合してn型半導体材料が調整される。
その後、このn型半導体材料に有機バインダ、有機溶剤、有機可塑剤等が加えられ、ボールミル等を用いて20時間程度混合・粉砕を行ってスラリーが得られる。このスラリーを、ドクターブレード法等の公知の方法により、例えばポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜が形成される。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートが得られる。このグリーンシートが複数枚積層され厚み数mm程度のn型半導体シート積層体32が得られる。
焼成して高抵抗体となる高抵抗体未焼成体を作製する工程(ステップS13)では、図3で示される高抵抗体シート積層体31が高抵抗体未焼成体として次のようにして作製される。まず、高抵抗体シート積層体31を構成する主成分である金属又は酸化物等が所定の割合となるように各々秤量された後、混合して高抵抗体材料が調整される。
例えば、高抵抗体16としてMnCaO系、(MnCo)系、(MnNi)系等のセラミックスを用いる場合には、高抵抗体シート積層体31を構成する主成分であるCo、Mn、Ca、Ni等の金属又は酸化物等が所定の割合となるように各々秤量された後、混合して高抵抗体材料が調整される。また、高抵抗体16としてSiOを主成分としたガラス、TiO−BaO系ガラス、SiO−Al−SrO−ZrO系ガラス等のガラスを用いる場合には、上記のガラスを粉砕して得られる粉末を高抵抗体材料として用いる。さらに、高抵抗体16として空隙を含むセラミックスを用いる場合には、上述のセラミックスを用いる場合と同様の高抵抗体材料を用いると共に、後述のスラリーを作製するときに有機バインダを焼成後に空隙ができるように多く入れる。また、高抵抗体16として空隙を含むガラスを用いる場合には、上述のガラスを用いる場合と同様の高抵抗体材料を用いると共に、後述のスラリーを作製するときに有機バインダを焼成後に空隙ができるように多く入れる。
さらに、高抵抗体16として骨材部分と接着部分と空隙を含んだものを用いる場合には、前述の焼結温度あるいは融点の異なるセラミックスであるZrO−MnCaO系、ZrO−(MnCo)系、ZrO−(MnNi)系、Al−BaCoO系、Al−MnCaO系、Al−(MnCo)系、Al−(MnNi)系のセラミックスを構成する融点の高いセラミックスと融点の低いセラミックスを所定の割合となるように各々秤量した後、混合して高抵抗体材料が調整される。また、焼成後に空隙ができるように後述のスラリーを作製するときに有機バインダを多く入れる。また、高抵抗体16として骨材部分と接着部分と空隙を含んだものを用いる場合で、骨材部分がZrOまたはAl等のセラミックスであり、接着部分がSiOを主成分としたガラス又は、TiO−BaO系ガラス又は、SiO−Al−SrO系ガラス等であるものを用いる場合には、ZrOまたはAl等の粉末と上記のガラスの粉末を所定の割合となるように各々秤量した後、混合して高抵抗体材料が調整される。また、焼成後に空隙ができるように後述のスラリーを作製するときに有機バインダを多く入れる。さらに、高抵抗体16として軟化点の違うガラスを組み合わせた(TiO−BaO)・(SiO−Al)系ガラス、(SiO−Al−SrO−ZrO)・(SiO−Al)系ガラスを用いる場合には、軟化点の高いガラスの粉末と軟化点の低いガラスの粉末を所定の割合となるように各々秤量した後、混合して高抵抗体材料が調整される。また、焼成後に空隙ができるように後述のスラリーを作製するときに有機バインダを多く入れる。
その後、上述の高抵抗体材料に有機バインダ、有機溶剤、有機可塑剤等が加えられ、ボールミル等を用いて20時間程度混合・粉砕を行ってスラリーが得られる。このスラリーを、ドクターブレード法等の公知の方法により、例えばポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜が形成される。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートが得られる。このグリーンシートが複数枚積層され厚み数mm程度の高抵抗体シート積層体31が得られる。
介在工程(ステップS14)では、上述のようにして得られたシート積層体を、p型半導体シート積層体(p型半導体未焼成体)とn型半導体シート積層体(n型半導体未焼成体)に高抵抗体シート積層体(高抵抗体未焼成体)を介在させ、チップ単位に切断して、分割された複数のグリーン体を得る。図3(a)は、p型半導体シート積層体30と高抵抗体シート積層体31とn型半導体シート積層体32を重ねて積層体を形成する過程を示す図である。図3(a)の上図は斜視図であり、下図は断面図である。図3(b)は、その積層体をプレス成型した積層体33を示す図である。図3(b)の上図は斜視図であり、下図は断面図である。図3(c)に示されるように、積層体33を複数のグリーン体34に切断する。図3(c)の上図は斜視図であり、下図は断面図である。
焼成工程(ステップS15)では、グリーン体34を焼成する。これにより、p型半導体11とn型半導体12を間に高抵抗体16を介在させた熱電素子焼成体34(グリーン体34を焼成して形成したもののため、以下同じ符号34で示す)が形成される。具体的には、グリーン体に、180〜400℃、0.5〜24時間程度の加熱処理を実施して脱バインダを行った後、さらに、850〜1200℃、0.5〜8時間程度の焼成を行い、熱電素子焼成体を得る。
接続工程(ステップS16)では、熱電素子焼成体34を必要に応じて上下面を研磨して電極13,14を塗布して焼き付けし、p型半導体11とn型半導体12を電気的に接続する(図3(d))。これにより、熱電素子10が作製される。具体的には、熱電素子焼成体34の所定部分に印刷法によりAg、Pd、Ag−Pd、Pt、Au、Cu、Niの1種以上を含む導電性ペーストを印刷、乾燥し電極部分を形成する。なお、導電性ペーストには、前述の金属粉末に、ガラスフリット、有機バインダ及び有機溶剤を混合したものが用いられている。形成した電極部分(導電性ペースト)を500〜850℃で焼き付けて、電極が形成された熱電素子10を得る。
上記のようにして作製された熱電素子の断面を図4に示す。p型半導体11とn型半導体12の間に高抵抗体16が充填されている。図4には、高抵抗体16のSiOを主成分としたガラスからなる接着部分43とZrOからなる骨材部分44が示されており、また、空隙45が示されている。
以上のようにして、機械的強度が高く、高温で用いることができる熱電素子10を得ることができる。また、p型半導体とn型半導体と共に、高抵抗体が焼成されてなるため、容易に熱電素子を製造することができる。また、高抵抗体にはスラリー作成時に過剰に添加した有機バインダが焼成時飛散することにより生じた空隙が存在するためp型半導体とn型半導体との間の断熱性が高められる。
図5は、熱電変換モジュールの一例を示す斜視図である。熱電変換モジュール20は、複数の熱電素子10を直列に接続するように設ける。
また、熱電変換モジュール20の引き出し電極21,22は、外部に電圧を取り出すためのリード線23,24を接続するためのもので、薄い銅板等を熱電素子10の両端に位置するp型半導体11とn型半導体12に接続する。
熱電素子10を直列に接続することにより、一対のp型半導体11とn型半導体12は複数の連続した熱電対となり、熱電変換モジュール20の上面25または下面26上に形成された電極13,14,15は、熱電変換モジュール20のそれぞれの上面25と下面26上で熱電対の冷接点または温接点を平面的に形成する構成となっている。
上記の熱電変換モジュール20は、下部電極14,15を加熱し、上部電極13を冷却することにより、各熱電素子10でゼーベック効果によって、式(1)で示される電圧を発生する。それらの熱電素子10が直列に接続されていることにより、各熱電素子の発生する電圧を足し合わせた値の電圧を発生することができる。また、この熱電変換モジュール20は、高温においても用いることができる材料を用いていることから、高温でも利用することができる。さらに、各熱電素子10は、p型半導体11と、n型半導体12の隙間に高抵抗体16を介在させているため、機械的強度も高くなっている。
なお、図5で示される熱電変換モジュール20では、各熱電素子10の隙間には、高抵抗体は設けていない例を示したが、各熱電素子10の隙間にも高抵抗体を介在させることにより、機械的強度をより高くするようにしてもよい。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
(実施例1)
本実施例では、図1に示すp型半導体にCuOを10wt%添加した(Mn0.5Ni0.5を用い、n型半導体にTaを10wt%添加したCa0.4Mn0.6を用い、高抵抗体に10wt%のZrO(骨材部分)と90wt%の接着部分がSiO系ガラスを主成分とし添加物としてB、Al系を含むガラス(接着部分)を用いた熱電素子の作製例を示す。
まず、p型半導体シート積層体30を構成するMnの酸化物およびNiの酸化物と、添加物としてCuOを10wt%の濃度になるように各々秤量した後、混合してp型半導体材料を調整した。
その後、このp型半導体材料に樹脂を3%有機バインダとして加え、また、有機溶剤、有機可塑剤を加え、ボールミルを用いて20時間程度混合・粉砕を行ってスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法により、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜を形成した。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートを得た。このグリーンシートを複数枚積層し、厚み数mm程度のp型半導体シート積層体30を得た。
次に、n型半導体シート積層体32を構成するCaの酸化物とMnの酸化物と、添加物としてTaを10wt%の濃度になるように各々秤量した後、混合してn型半導体材料を調整した。
その後、このn型半導体材料に樹脂を3%有機バインダとして加え、また、有機溶剤、有機可塑剤を加え、ボールミルを用いて20時間程度混合・粉砕を行ってスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法により、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜を形成した。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートを得た。このグリーンシートを複数枚積層し、厚み数mm程度のn型半導体シート積層体32を得た。
次に、高抵抗体シート積層体31を構成するZrOの粉末とSiOを主成分としたガラスの粉末を各々秤量した後、混合して高抵抗体材料を調整した。
その後、上述の高抵抗体材料に樹脂を20wt%有機バインダとして加え、有機溶剤、有機可塑剤を加え、ボールミルを用いて20時間程度混合・粉砕を行ってスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法により、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜を形成した。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートを得た。このグリーンシートを複数枚積層し、厚み数mm程度の高抵抗体シート積層体31を得た。
次に、上述のようにして得られたシート積層体を、p型半導体シート積層体とn型半導体シート積層体に高抵抗体シート積層体を介在させ、チップ単位に切断して、分割された複数のグリーン体を得た。
次に、グリーン体に、180〜400℃、0.5〜24時間程度の加熱処理を実施して脱バインダを行った後、さらに、850〜1200℃、0.5〜8時間程度の焼成を行い、熱電素子焼成体を得た。
次に、熱電素子焼成体34の所定部分に印刷法によりAg、Pd、Cu、Ni、Pt、Au等の金属または1種以上の合金を含む導電性ペーストを印刷、乾燥し電極部分を形成した。なお、導電性ペーストには、前述の金属粉末に、ガラスフリット、有機バインダ及び有機溶剤を混合したものが用いられた。形成した電極部分(導電性ペースト)を500〜850℃で焼き付けて、電極が形成された熱電素子10を得た。このようにして形成された熱電素子10のp型半導体、n型半導体、高抵抗体のそれぞれの電気抵抗率は、25℃において、2×10Ωcm、2×10−2Ωcm、2×10Ωcm以上であった。
以上のようにして、機械的強度が高く、高温で用いることができる熱電素子10を得ることができた。また、p型半導体とn型半導体と共に、高抵抗体が焼成されてなるため、容易に熱電素子を製造することができた。また、高抵抗体にはスラリー作成時に過剰に添加した有機バインダが焼成時飛散することにより生じた空隙が存在するためp型半導体とn型半導体との間の断熱性が高められる。
(実施例2)
本実施例では、図1に示すp型半導体にCuOを10wt%添加した(Mn0.5Co0.5を用い、n型半導体にZnOを1wt%添加した(Ca0.4Mn0.6)Oを用い、高抵抗体に50wt%のAlと50wt%の(Ca0.3Mn0.7からなるセラミックスを用いた熱電素子の作製例を示す。
まず、p型半導体シート積層体30を構成するMnの酸化物とCoの酸化物と、添加物としてCuOを10wt%の濃度となるように各々秤量された後、混合してp型半導体材料を調整した。
その後、このp型半導体材料に樹脂を3%有機バインダとして加え、有機溶剤、有機可塑剤等を加え、ボールミルを用いて20時間程度混合・粉砕を行ってスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法により、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜を形成した。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートを得た。このグリーンシートを複数枚積層し、厚み数mm程度のp型半導体シート積層体30を得た。
次に、n型半導体シート積層体32を構成するCaの酸化物とMnの酸化物と、添加物としてZnOを10wt%の濃度となるように各々秤量された後、混合してn型半導体材料を調整した。
その後、このn型半導体材料に樹脂を3%有機バインダとして加え、有機溶剤、有機可塑剤を加え、ボールミルを用いて20時間程度混合・粉砕を行ってスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法により、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜を形成した。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートを得た。このグリーンシートを複数枚積層し、厚み数mm程度のn型半導体シート積層体32を得た。
次に、高抵抗体シート積層体31を構成するAlの粉末と(CaMn)の粉末を各々秤量した後、混合して高抵抗体材料を調整した。
その後、上述の高抵抗体材料に樹脂を25wt%有機バインダとして加え、有機溶剤、有機可塑剤等を加え、ボールミルを用いて20時間程度混合・粉砕を行ってスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法により、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に塗布した後、乾燥して厚さ30μm程度の膜を形成した。こうして得られた膜をフィルムから剥離してグリーンシートを得た。このグリーンシートを複数枚積層し、厚み数mm程度の高抵抗体シート積層体31を得た。
次に、上述のようにして得られたシート積層体を、p型半導体シート積層体とn型半導体シート積層体に高抵抗体シート積層体を介在させ、チップ単位に切断して、分割された複数のグリーン体を得た。
次に、グリーン体に、180〜400℃、0.5〜24時間程度の加熱処理を実施して脱バインダを行った後、さらに、850〜1200℃、0.5〜8時間程度の焼成を行い、熱電素子焼成体を得た。
次に、熱電素子焼成体34の所定部分に印刷法によりAg、Pd、Cu、Ni、Pt、Au等の金属または1種以上の合金を含む導電性ペーストを印刷、乾燥し電極部分を形成した。なお、導電性ペーストには、前述の金属粉末に、ガラスフリット、有機バインダ及び有機溶剤を混合したものを用いた。形成した電極部分(導電性ペースト)を500〜850℃で焼き付けて、電極が形成された熱電素子10を得た。このようにして形成された熱電素子10のp型半導体、n型半導体、高抵抗体のそれぞれの電気抵抗率は、25℃において、1×10Ωcm、2×10−1Ωcm、2×105Ωcm以上であった。
以上のようにして、機械的強度が高く、高温で用いることができる熱電素子10を得ることができた。また、p型半導体とn型半導体と共に、高抵抗体が焼成されてなるため、容易に熱電素子を製造することができた。また、高抵抗体にはスラリー作成時に過剰に添加した有機バインダが焼成時飛散することにより生じた空隙が存在するためp型半導体とn型半導体との間の断熱性が高められる。また、この実施例では、p型半導体とn型半導体と高抵抗体のいずれもMnが同一元素として含まれているので、焼成時に相互の反応が少なく好ましい。
本発明の実施例では、明らかに本発明の熱電素子が高温まで用いることができ、発生させる電圧が高くなった。
以上の実施形態で説明された構成、配置関係等については本発明が理解・実施できる程度に概略的にしたものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
本発明は、高温域でも用いることができる熱電素子とその製造方法および熱電変換モジュールとして利用される。
本発明の実施形態に係る熱電素子の断面図である。 本発明の実施形態に係る熱電素子の製造方法により熱電素子を製造する工程を示す工程図である。 各工程を示す模式図である。 実際に作製された熱電素子の部分断面図である。 本発明の実施形態に係る熱電変換モジュールの斜視図である。 熱電素子の原理図である。
符号の説明
10 熱電素子
11 p型半導体
12 n型半導体
13 上部電極
14 下部電極
15 下部電極
16 高抵抗体

Claims (10)

  1. p型半導体とn型半導体とを電極にて電気的に接続し、前記p型半導体と前記n型半導体との隙間に高抵抗体を介在させた熱電素子であって、
    前記p型半導体と前記n型半導体と共に、前記高抵抗体が焼成されてなることを特徴とする熱電素子。
  2. 前記高抵抗体は、セラミックスであることを特徴とする請求項1記載の熱電素子。
  3. 前記高抵抗体は、ガラスであることを特徴とする請求項1記載の熱電素子。
  4. 前記高抵抗体は、空隙を含むセラミックスであることを特徴とする請求項1記載の熱電素子。
  5. 前記高抵抗体は、空隙を含むガラスであることを特徴とする請求項1記載の熱電素子。
  6. 前記高抵抗体は、骨材部分と接着部分と空隙を含むことを特徴とする請求項1記載の熱電素子。
  7. 前記骨材部分はセラミックスであり、前記接着部分はガラスであることを特徴とする請求項6記載の熱電素子。
  8. 前記高抵抗体は、軟化点の異なる少なくとも2種類のガラスと空隙を含んでいることを特徴とする請求項1記載の熱電素子。
  9. 焼成してp型半導体となるp型半導体未焼成体と焼成してn型半導体となるn型半導体未焼成体との隙間に焼成して高抵抗体となる高抵抗体未焼成体を介在させる介在工程と、
    前記p型半導体未焼成体と前記n型半導体未焼成体と共に、前記高抵抗体未焼成体を焼成する焼成工程と、
    を含むことを特徴とする熱電素子の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱電素子からなる熱電変換モジュール。
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