JP2008275306A - 移送格子上にあるバラ荷層を移送、特に冷却する方法および装置 - Google Patents

移送格子上にあるバラ荷層を移送、特に冷却する方法および装置 Download PDF

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Abstract


【課題】 格子に関して、移動間隙を狭く構成でき、従って、厚板も、より細く構成でき、かくして、移送に関与せず且つ移送格子の排出後に残存するバラ荷を、できる限り少量化し、排出度を改善する。方法に関して、移動間隙における摩擦損失を回避し、駆動効率を改善する。
【解決手段】 格子に関して、2つの並置の厚板(12)の相互に向合う側縁または側縁範囲によって、本質的に相互に補完関係の2つのプロフィルを形成し、プロフィル間に、移動間隙(14)を形成する。方法に関して、少なくとも移動間隙(14)を完全に自由にブローするのに十分な吹出空気量を移動間隙(14)を介してブローする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ドイツ特許出願第102007019530.5号(2007年4月25日出願)に基づく優先権を主張し、該出願の全記載内容は、本書に引用をもって繰込み記載されているものとする。本発明は、格子床を介してブロー吹出された吹出空気によって移送格子上にあるバラ荷層を移送、特に冷却する方法および装置であって、格子が、厚板相互間に設置され吹出空気を通過させ得る移動間隙を有し且つ移送方向に直角に並置され相互に相対的に縦方向へ移動される複数の厚板から形成された形式のものに関する。
上述の種類の移送格子は、多様の構造として実現されている。この場合、バラ荷を載せた厚板は、所定の移動基準に対応して、個々にまたはグループとして前進、後退され、かくして、移送方向へのバラ荷の正味前進運動が生ずる。バラ荷の冷却は、一般に、厚板に構成されたブロー吹出開口を介して行われ、即ち、格子床の下方に設けた吹出空気ダクトまたは開放チャンバに供給された吹出空気を、上記ブロー吹出開口を介して、上方にあるバラ荷内にブローする。
相互に移動される厚板の間の移動間隙は、この間隙を介する格子を通っての落下が回避されるよう構成しなければならず、特に構造的問題をなす。
移動間隙を介して落下するバラ荷を捕集するミゾをそれぞれ移動間隙の下方に設けた上述の種類の移送格子は、EP1475594A1(格子上においてバラ荷層を移送するための方法及び装置)から既知である。ミゾの側壁は、各厚板の下方に設けた垂直バーまたは側部ジョーとともに、バラ荷が通過できない狭いラビリンスを形成し、かくして、格子床の下方に設けたチャンバへの格子間落下は阻止される。この構造的方策の目的は、一方では、上方から下方への格子を通って落下することを阻止するよう、他方では、下方から上方へのガス通過を阻止するよう移動間隙を密封することにある(p3,25行〜参照)。
EP1475594A1 DK199901403
以下の分析は本発明によって与えられる。上記特許文献の各記載は、引用により本書に繰込み記載されているものとする。特許文献1の構造には、移動間隙が、移動間隙内に構成されたラビリンス構造にもとづき、幅広であり、従って、移動間隙を介して通気されず移送プロセスに関与しないバラ荷経路が形成され、かくして、移送格子の移送効率が劣化されると云う欠点がある。移送を行う格子床面と移送を行わない格子床面との妥当な比を達成するため、厚板を、同じく、比較的幅広に構成しなければならない。移送運動の停止後、バラ荷が、厚板上に屋根状に堆積する。この場合、バラ荷量は、屋根高さに依拠し、屋根高さは、バラ荷の傾斜角を考慮して厚板の幅に依拠する。即ち、厚板の幅が広ければ広い程、厚板上に残存するバラ荷量は多量となる。総括して、移送格子の吹出後に一方の厚板上に且つ他方の移動間隙上に残存する上記バラ荷量は、多量であり、このバラ荷量は、検査および修復の前に、手操作でまたは別個の工具によって格子床から除去しなけれならない。公知の移送格子の他の欠点は、移動間隙に落下するバラ荷とラビリンスの面との間の摩擦にもとづき必要な駆動出力が可成り増大すると云う点に見られる。実際に、パッキンの幅と厚板の幅との間の上述の関係にもとづき、対応して大きい駆動出力および通気出力を必要とする特に高いバラ荷層に関する運転が必然化される。
デンマーク特許DK199901403には、移動間隙も吹出空気を通過させ得る形式の冒頭に述べた種類の移送格子が記載されている。この場合も、幅広の移動間隙に、格子床の下方に設けたチャンバ内へのバラ荷の落下を阻止するためのラビリンス構造が設けてある。上記のラビリンス構造は、相互に係合する2つのアングルプロフィルによって形成されており、かくして、横断面内の移動間隙の推移は、ジグザグ(メアンダー)状であるこの分野の当業者に容易に確認される如く、この場合も、バラ荷の少なくとも粗粒成分は、移動間隙内を、下部アングルプロフィルから形成されたミゾまで落下し、ラビリンス推移の以降の垂直上方に至る部分によって始めて、格子床の下方にあるチャンバへの落下が阻止される。バラ荷の微細なダスト成分のみは、なお粗粒バラ荷を通過する空気流によって上昇される。上記公報のp2,24行には、首尾一貫して、双方の密封部材は“ダストパッキン”を形成すると述べられている。移動間隙内にあるバラ荷の種類および量は正確に定義されていないので、移動間隙を介する通気は制御されず、不特定である。上記デンマーク特許に記載の構造は、更に、機能的観点において、EP1475594A1の構造に本質的に対応し、従って、上記公報に関連して記載された欠点、特に、大きい駆動出力および通気出力に関する欠点を有する。
本発明の第1の視点における課題は、移動間隙を狭く構成でき、従って、厚板も、先行技術の公知の解決法に比して、細く構成でき、かくして、移送に関与せず且つ移送格子の排出(空にした)後に残存するバラ荷が、できる限り少量であり、吹出度が改善される形式の、構造的、製造技術的且つ組立技術的に簡単な、請求項1の上位概念部(前置部)に記載の種類の移送格子を創成することにある。
本発明の他の視点における課題は、移動間隙における摩擦損失が回避され、かくして、駆動効率が改善されるよう、移送格子上にあるバラ荷層を移送、特に冷却する方法を改善することにある。
本発明は、例えば、EP−A−0167658およびEP0549816B2各公報に記載の、パタン化薄板の間に形成され落下を防止するブロースリットの構成は、相互に可動な厚板の間の移動間隙の構成にも有利に使用できると云う知見に依拠する。なおこれら各公報の開示事項は、引用をもって本書に繰込み記載されるものとする。
従って、本発明は、一方では、吹出(特に冷却)空気を通過させ得る移動間隙を厚板相互間に有し且つ関連の支持構造上に移送方向に直角に並置され運転に従って(運転時において)個々にまたはグループとして相互に相対的に縦方向へ移動される複数の厚板を有する格子床から出発する。
本発明の第1の視点において、相互に縦方向へ可動の2つの厚板の相互に向合う側縁または側縁範囲が本質的に相互に補完関係の2つのプロフィルを形成し、プロフィル間に移動間隙が形成されるよう、構成する。
他方、本発明の第2の視点は、格子床を介してブローされる吹出(特に冷却)空気によって移送格子上にあるバラ荷層を移送(特に冷却)する方法であって、格子床が、相互間に移動間隙を有し移送方向に直角に並置され運転にもとづき相互に相対的に縦方向へ移動される複数の厚板から形成され、吹出(特に冷却)空気の少なくとも一部を移動間隙を介してブローする形式のものから出発する。本発明の第2の視点において、バラ荷を含まない間隙横断面および間隙の圧力差によって正確に定められ、移動間隙を完全に自由にブローするのに十分な所定の吹出(特に冷却)空気量をブロー吹出する。
各側縁または側縁範囲の対応するパタン化によって、補完状態で相互に係合する複雑な間隙プロフィルを簡単に製造できる。厚板は、例えば、精密鋳造法または精密引抜法によって製造する。関連の支持構造に厚板を取付ける場合、粗大粒子が既に機械的に除去されるよう、何れにせよ狭く構成できる移動間隙は、簡単に同時に且つ補足の組立費を要することなく形成される。
移動間隙の適切な設計によって、更に、上記移動間隙は、定常運転においても、即ち、空気ブローのない運転段階においても、より微細な粒子構造についても、格子間隙を通っての層下(以下「格子間落下」という)を阻止することを達成できる。このため、本発明の好ましい実施例にもとづき、移動間隙は、それぞれ、サイホン状に湾曲され、上方へ向く少なくとも1つの入口部分と、入口部分に続き下方へ向く中間部分と、中間部分に続き上方へ向く出口部分とを有するよう構成することができる。吹出空気のために下方へ向く中間部分は、場合によっては移動間隙内に侵入するバラ荷粒子のために、上方へ向き、格子間落下の有効な障害物を形成する部分を形成する。
本発明の他の実施例にもとづき、移動間隙が格子床面に対して鋭角αで傾斜して吹出口を形成するよう構成する。斜めに上方へ案内された間隙からなる空気出口は、同一の流出速度において、ブローされた吹出(特に冷却)空気のみによってバラ荷の侵入を防止する鉛直間隙よりも有効なバラ荷侵入障害物をなす。
移動間隙の出口角は、流出する吹出空気がコアンダ(Coanda)効果にもとづき格子床面に当たるよう、選択することが好ましい。格子床面に水平に当たる吹出(特に冷却)空気は、特にガゼットにおいて、空気流によって移動される微粒子が移動間隙に流入するのを有効に防止する。
特に、バラ荷の微粒成分が格子床縁へ向かって移動するのを阻止するため、本発明の他の実施例にもとづき、移動間隙のブロー方向が格子床の縁から格子床の中心へ向かって延びるよう構成する。
移動間隙の幅は、移動間隙が、横方向への厚板の熱膨張時に、何れにせよ閉じることがなく、起こり得る狭窄が吹出空気ベンチレータの出力増大によって補償可能に保持されるよう、選択し且つ厚板の幅に適合させるのが好ましい。従って、吹出(特に冷却)空気ベンチレータの出力は、各運転段階において、移動間隙を介する吹出空気ブローのために所望の吹出空気分量が調節されるよう、設定することが好ましい。
支持構造の具体的設計構成のため、多様な解決法が考えられる。1つの実施例にもとづき、各厚板は、上記厚板をその全長にわたって支持し厚板下方に第2平面を形成する縦方向支持部材に固定することが好ましい。即ち、厚板の数に対応する数の縦方向支持部材を設け、この場合、縦方向支持部材は、移送方向に直角に配設された横方向部材に可動にまたは不動に支持することができる。
厚板を支持する支持構造が過度に加熱されることを阻止するため、本発明の他の実施例にもとづき、厚板は、縦方向へ順次に断熱性絶縁部材を介して、上記絶縁部材を支持する支持構造に結合することが好ましい。
支持構造の他の設計構成にもとづき、厚板は、縦方向へ順次に設置され第2平面を形成する横方向支持部材に支持することが好ましい。このような構造によって、第2平面内の支持部材の数を厚板の数よりも少なくできる。更に、この構造によって、例えば、保守目的または修復目的のため、格子下面に対するアクセスを改善できる。
厚板自体は、一体に構成でき、格子床の全長にわたって延在することができる。しかしながら、好ましい実施例の場合、厚板は、縦方向へ順次に配置され相互に結合された複数の厚板部分から構成する。この実施例にもとづき、格子床の長さは、厚板部分のラスタ寸法に対応して任意に構成できる。この場合、厚板部分は、下方から上方へ且つ前方へ斜めに向いた突合せ目を介して相互に当接させるのが好ましい。厚板部分が熱膨張にもとづき伸張した場合、後方の各厚板部分は、前方の厚板部分に対して前上方へ摺動し、厚板を介する移送対象の駆動を支援する小さい段を形成する。
移動間隙の寸法は、一方では、密封機能に、他方では、冷却機能に正確に適合されており、移送格子のより長い運転時間中、十分に不変に保持される。移動される厚板の支持時の摩耗にもとづく間隙ジオメトリの変化を排除するため、本発明の他の実施例にもとづき、厚板を支持する可動の支持構造は、公知の(振子式)揺動バネロッド(Pendel-Federstaebe)の原理(DE10118440)にもとづき、耐摩耗性の線形ガイド(Linearfuehrungen)によって支持するよう構成する。(なお、上記ドイツ特許公報の記載は引用をもって本書に組込み記載される。)
移動間隙を狭く構成できることによって、移動間隙は、それ自体で、粗大バラ荷について、即ち、間隙幅よりも大きい粒径のバラ荷について、絶対的な落下障害を形成する。移動間隙内に達し得るより微細なバラ荷は、移動間隙を介して案内される対応して定めた吹出空気量によって、問題なく完全にブロー吹飛ばすことができ(即ち、排除でき)、かくして、格子間落下に対する完全な密封が達成される。バラ荷のない移動間隙には、厚板の移動を阻止する摩擦は現れないので、駆動出力も、公知の解決法に比して減少できる。すべての通気間隙は、同時に移動間隙であるので、上記間隙の定常的な浄化が行われる。
本発明に係る方法の好ましい実施例にもとづき、更に、全吹出空気量の少なくとも大半の部分が移動間隙を介してブロー吹出されるよう構成することが好ましい。移動間隙を介して空気吹出を行う方法自体は、既に上述したデンマーク特許公報DK199901403に記載されている。しかしながら、この公知の方法の場合は、少なくとも、より粗大なバラ荷が移動間隙内に達し、従って、バラ荷のダスト部分を自由にブローするのに十分な正確には定められていない吹出空気量のみを、粗粒バラ荷が詰まった移動間隙を介して流出させ得ると云うことから出発する。本実施例において、吹出空気の大半(過半)の部分は、厚板に構成された開口を介してブロー吹出される。
他方、本発明にもとづき、移動間隙が、完全に自由にブローされるよう、吹出空気の少なくとも大部分(殆どの部分)が移動間隙を介してブロー吹出されるよう構成することが好ましい。吹出空気の場合による残分は、例えば、ほぼ、上述のEP−A−0167658またはEP0549816B2に対応して厚板に構成され移送方向に直角に延びるブロースリットまたは他の適切な落下防止開口を介してブロー吹出できる。限界例では、吹出空気の殆どの量は、全量まで達することがあり、この場合、厚板に補足のブロー開口は不要である。障害なく移動間隙を介してブローされた吹出空気の特別の利点は、この場合、吹出空気の格子抵抗が、常に同一であり、空気流量が、所定の状態に保持されると云う点にある。
カルル・フォン・ヴェーデル(“Zement,Kalk,Gips”誌,4/1992,p171〜)は、コアンダ(Coanda)・ブロー開口を使用した場合、全格子面積の2.5%の、いわゆる、開放格子面積が、有意義であり、高いバラ荷床における空気分布に関して最適な結果を生ずると云うことを示している。従って、技術的に吹出(特に冷却)空気の全量またはほぼ全量を移動間隙を介してブロー吹出する限界例について、構造的に、2.5:100の移動間隙幅と厚板幅との比が得られるか、厚板の投影幅が75mmの場合、約2mmの移動間隙幅が得られる。(上記論文の記載事項は、本書に引用をもって組込み記載される。)
移動間隙を介して案内される吹出(特に冷却)空気、格子床面に対して鋭角で傾斜した状態でブロー吹出するのが好ましく、更に詳細に云えば、既述の如く、格子床の縁から格子床の中心へ向かってブロー吹出するのが好ましい。
以下に、添付の図面を参照して本発明の若干の実施例を詳細に説明する。
図1に、厚板相互間に移動間隙8,10を設けた従来の移送格子の3つの並置の厚板(板部材)2,4,6を模式的に示した。移動間隙8,10は、厚板2,4,6の下方に設けたチャンバ内へのバラ荷の落下を阻止するラビリンス構造(見やすさの向上のため図示してない)を間隙に設置するため、比較的幅広に構成されている。更に既述の如く、移動間隙8,10には、バラ荷(バラ状の物質ないし材料)が充填される。移動間隙8,10上の面積は、通気に関与しない。通気に関与する厚板面積と通気に関与しない移動間隙面積との所望の所定比を達成するため、厚板2,4,6は、比較的幅広に構成しなければならない。更に、既述の如く、格子(床)全面積は、例えば、2.5%の開放格子面積とすることが好ましい。この場合、図1に示した従来の格子の場合、ブロー開口は、厚板面に分布させなければならない。なぜならば、移動間隙は、ブロー開口として使用されないからである。図1から明かな如く、移送格子のブロー停止後、厚板2,4,6上には、バラ荷円錐体が残存し、この場合、円錐体の高さは、一方では、当該の円錐体脚幅に依存し、他方では、バラ荷(塊状なしい粒状体、その他任意の形状の物体)の本来の傾斜角に依存する。即ち、厚板の幅が広ければ広い程、バラ荷円錐体はより高くなり、移送格子のブロー運転停止後に格子上に残存するバラ荷量を増加し、この残存量は、適時、手操作でまたは別個の器具で除去しなければならない。
図2に、本発明に係る格子床の部分横断面を模式的に示した。この場合、2つの並置の厚板12の相互に向合う側縁または側縁範囲は、相互に補完し、相互に係合し、相互間に移動間隙14を形成した2つのプロフィルを形成する。特に図3から明かな如く、移動間隙14は、それぞれ、サイホン状に湾曲され、下方から上方へ、上方へ向く入口部分16と、入口部分に続き下方へ向く中間部分18と、中間部分に続き上方へ向く出口部分20とを有する。さらに、厚板は図3に示す双方向矢印の方向(縦方向)に移動可能に配設されている。
同じく、特に図3から明かな如く、移動間隙14は、格子床面に対して鋭角α(吹出流の拡がり効果)で傾斜した状態で吹出口(床面への開口)を形成する。移動間隙14の出口角αは、流出する吹出空気が、コアンダ効果(ノズルからの噴出流が板面(床面)に沿う方向に曲がる効果)にもとづき、格子床面22に当たるよう、選択されている。
移動間隙14の幅は、移動間隙が、横方向への厚板の熱膨張時に、全く閉じることがなく、更に、吹出(特に冷却)空気ベンチレータの調節によって補償可能に保持されるよう、選択され且つ厚板の幅に適合されている。なお確実にブローできるバラ荷粒径によって決定される1−3mm(この場合、例えば、2mm)の出口部分20の間隙幅から出発して且つ吹出空気全量が移動間隙を介してブロー吹出されるという前提条件の下で、意図する(開口率)2.5%の開放格子面において、約80mmの厚板幅が生ずる。厚板に構成されたブロー開口を介してより多量の吹出(特に冷却)空気をブロー吹出する場合、即ち、通気技術的観点から厚板の幅を広くした場合、ここに例示した上記関係は、もちろん、変化する。移送技術的観点から、これは不利である。なぜならば、バラ荷円錐体の高さが増大するからである。
出口角αが35゜の場合、格子の冷却状態において3mmの間隙幅を有する移動間隙は、約500℃に加熱した際、(厚板の熱膨張により)2.4mmに狭窄すると云うことが知られている。間隙の入口において必要な圧力上昇は、吹出(特に冷却)空気ベンチレータの通常の調節範囲にある大きさである。
更に図2から明かな如く、厚板12の有効幅Bは、図1の実施例の場合よりも本質的に狭くでき、従って、バラ荷円錐体の高さHも顕著に減少し、かくして、移送格子の運転停止後に残存するバラ荷量が、顕著に減少される。更に、移動間隙上のバラ荷円錐体は、消失する。なぜならば、この円錐体は、常に、完全にブロー吹出されるからである。図1および図2の比較から明かな如く、厚板12に比して従来の厚板2,4,6の3倍の有効幅3Bの場合、上記厚板上に残存するバラ荷量は、理論的に9倍となる。
比較的不適に選択された実験条件、即ち、バラ荷として角が尖った砕片、摩擦が比較的大きい木材からなる側壁および摩擦が比較的小さい平滑な金属製厚板に関する実験において、下記が判明した。
厚板移動の移動パタンとして、すべての厚板が同時に移送方向へ個々に引もどされるよう構成した。床高さhが全床幅の35%以下である場合にも、即ち,
H≦0.35・B
の場合にも、前方への完全な移送が達成されると云うことが判明した。この場合、壁の摩擦および厚板の摩擦は、ほぼ同一であり、全床が移送に利用される。H>0.35Bの床高さの場合、床(によって生ずる移動速度)は、壁の摩擦によって減速される。
通気技術的に許容されるないしは臨界的な約600mmの限界床高さにおいて、これから、最小床幅B=H:0.35=600:0.35=1715mmが得られる。実際には、移送格子の床幅は、極めて大きいので、床高さ600mmの床は、常に、問題なく前方へ移送できる。なぜならば、壁の摩擦は、厚板の摩擦よりも著しく小さいからである。
床高さと移動される厚板の幅との間の観察された関係は、逆ストローク(Rueckhub)の場合についても成立する。厚板幅がbの場合、逆送される床幅は、第1近似で、h≒1/n・0.35Bである。全格子幅または床幅をnヶの厚板に分割する場合、下記が得られる。即ち.b=1/n・Bであり、従って、下式が成立つ。
h≒1/n・0.35B
即ち、逆ストローク時の床高さは、前方への移送の場合よりも係数1/nだけ小さい。即ち、移送技術的観点から、厚板を細く構成することが望ましいということになる。
側壁における摩擦には、逆ストローク時、更に、逆送されるバラ荷の上方に且つ側方にある静止のバラ荷との摩擦が加わる。この補足の摩擦は、逆送されるバラ荷量を更に減少する。
従って、移送技術的観点自体から、所与の厚板幅において、移送方向へ移動されるバラ荷床を、上述の関係にもとづき上記厚板幅に対応するバラ荷床よりも高く調節することが望ましいということになる。関連の文献には、600mmの厚板幅において800mmよりも大きい床高さが記載されている(Cement International,No.2/2000:Operating Experiences with the Claudius Peters et al- Clinker cooler in the Siggenthal works of Holcim Switzerland[Holcim(スイス)のSiggental工場におけるクリンカ冷却器に関するPetersらの操作実験]。しかしながら、既述の如く、他の床高さの場合、通気技術的観点から、600mmの床高さが好適であることが判明している。この床高さについて、600mmよりも小さい厚板幅が望ましく、他の因子を組込んだ場合、600mmよりも明らかに小さい厚板幅が望ましい。
図4に、移動される各厚板24,26,28,30を、それぞれ、これら厚板をその全長で支持する縦方向支持部材32,34,36,38に固定した形式の移送格子の部分横断面図を示した。縦方向支持部材は、同図には詳細に示してない態様で、厚板の縦方向運動(Laengsbewegung)のための駆動装置に結合されている。
図4の中央の厚板40は、格子床構造に固定された不動の厚板をなす。図4から知られる如く、不動の厚板40とこの厚板にそれぞれ並置され移動される厚板26,28との間には、それぞれ、移動間隙44,46が構成されている。
図5に、図4の線V−Vに沿う縦断面図を示した。同図から明かな如く、厚板24;26は、それぞれ、厚板部分24´,24´´,24´´´;26´,26´´,26´´´から構成されている。厚板部分は、図示してない態様で相互に結合(ないし連接)されており、図4に33で示した断熱部材を介して、上記断熱部材を支持する支持構造に結合されている。厚板部分は、それぞれ、下方から上方へ且つ前方へ斜めに向いた、即ち、移送方向48へ向いた突合せ目50;52を介して相互に当接する。厚板部分の結合部は、構造的に、突合せ目50;52に沿って相互に摺動させ得るよう、構成されている。この場合、後方の各厚板部分24´´´は、その先行の厚板部分24´´に対して段54を形成し、この段は、邪魔にはならず、前方摺動時には、バラ荷の連行の作用をすると考えられる。また、この段は、逆ストローク時には、バラ荷の少なくとも下層に小さい落下運動を誘起させ、この落下運動は、バラ荷床内を伝播し、その際通気によって移動可能な微粒の除去を行って粒子選別を支援する。
更に既述の如く、移動間隙14を介して,少なくとも、この移動間隙を完全に自由にブローするのに十分な吹出空気量がブロー吹出される。意図せる吹出空気量の大半ないし支配的な量から全量までの範囲を移動間隙を介してブローするのが好ましい。
図6に、2つの不動の側壁60,62の間に設けた格子床64の略横断面図を示した。各側壁60;62には、上記側壁に固定され上記側壁に対して密封される縁部厚板66;68が配してあり、縁部厚板66;68は、それぞれ格子床中心の方向へ続く厚板70;72とともに移動間隙を形成する。これらの厚板70;72は、例えば、縦方向へ可動な厚板であり、これら厚板には、例えば、格子床中心の方向へ可動な厚板Bおよび不動の厚板Fが続いており、既述の如く、同じく相互に移動間隙を形成する。格子床中心には、それぞれ隣接の内側の可動な厚板76;78とともに、同じく、移動間隙を形成する不動の中央厚板74が設けてある。
図6から知られる如く、図6において一方の格子床右側の移動間隙および他方の格子床左側の移動間隙は、それぞれ、既述の如く、中心面80の方向へ向いている。
図6に、格子床の下方にある空気ボックス82と連通する移動間隙を介して全吹出(特に冷却)空気をブロー吹出する形式の移送格子の例を示した。この場合、開放格子面の格子開口率は、同じく既述の如く、間隙面積と格子床の全面積との比によって決定される。
図7に、格子床90の一例を示す。即ち、相互に相対的に可動な(成形)厚板部材92,94,96が、それぞれ、その底面に設けた開口98,100,102を介して格子床の下方にある空気ボックスないし空気チャンバ103と連通する縦長のボックスとして構成されている形式の格子床90の例である。ボックスの相互に向合う上部側縁には、相互に補完関係であり相互に係合する複数のプロフィル部材(形材)104,106が構成されており、これらプロフィルの間には、相互間に移動間隙108が構成されている。この移動間隙を介して、所定の定められた吹出(特に冷却)空気量がブローされる。
ブロー開口として役立つ移動間隙108に加えて、例えば、既述のEP0549816B2にほぼ従って、ボックスの上面には、それぞれ矢印110で示した移送方向に直角に延び、吹出(特に冷却)空気の残存量をブロー吹出するブロースリット112が設けてある。
図7に、更に、この事例では、(断面U字状に)曲げに対し剛に成形された厚板部材92−96を、横方向支持部材114を構成する横方向支持部材上に支持した例を示した。
産業上の利用分野
本発明の移送格子は、バラ荷の移送、特に冷却しつつ移送することに適するが、特に冷却を目的としない一般的なバラ荷の移送にも吹出空気の温度効果が許容される限りにおいて適用可能である。即ち、冷却以外にも、温度保持、加温、加熱等を伴う場合の移送格子として適用でき、また、加湿、湿度均一化、除湿等の調湿の目的にも適用できる。その場合、冷却空気に代り、吹出空気として目的に応じた温度及び/又は湿度の条件に設定した空気(ないし、より一般的に気体)を用いることができる。
従来の格子床の一例の略部分横断面図である。 本発明の一実施例に係る格子床の略部分横断面図である。 格子床の複数の並置の厚板の一実施例の斜視図である。 各厚板を関連の縦方向支持部材を固定した形式の移送格子の一実施例の部分横断面図である。 線V−Vに沿う図4の装置の部分縦断面図である。 格子床の一実施例の略横断面図である。 横方向スリットを有するボックスとして構成された厚板の一実施例の部分斜視図である。
符号の説明
12 厚板
14,108 移動間隙
16 入口部分
18 中間部分
20 出口部分
22 格子床面
24−30,40 厚板
32−38,42 縦方向支持部材
52 突合せ目(間隙)
90 格子床
92,94,96 厚板部材
103 空気ボックス(チャンバ)
104,106 プロフィル部材(形材)
112 ブロースリット

Claims (16)

  1. バラ荷を移送、特に冷却する移送格子であって、
    吹出空気を通過させ得る移動間隙を厚板相互間に有し且つ関連の支持構造上に移送方向に直角に並置され運転に従い個々にまたはグループとして相互に相対的に縦方向へ移動される複数の厚板を有する格子床を含み、
    2つの並置の厚板(12)の相互に向合う側縁または側縁範囲が、本質的に相互に補完関係の2つのプロフィルを形成し、該2つのプロフィル間には、移動間隙(14)が形成されていること
    を特徴とする移送格子。
  2. 該移動間隙(14)が、それぞれ、サイホン状に湾曲され、上方へ向く少なくとも1つの入口部分(16)と、該入口部分に続き下方へ向く中間部分(18)と、中間部分に続き上方へ向く出口部分(20)とを有するよう構成されていることを特徴とする請求項1の移送格子。
  3. 該移動間隙(14)が、格子床面(22)に対して鋭角αで傾斜して出口を成すことを特徴とする請求項1または2の移送格子。
  4. 該移動間隙(14)の出口角αが、流出する吹出空気がコアンダ効果(Coanda-Effekt)にもとづき格子床面(22)に当たるよう、選択されていることを特徴とする請求項3の移送格子。
  5. 該移動間隙の出口方向が、格子床の縁から格子床中央へ向かって延在することを特徴とする請求項3または4の移送格子。
  6. 該移動間隙(14)の幅が、横方向への厚板(12)の熱膨張時に現れる狭窄が吹出空気ベンチレータの出力増大によって補償可能に保持されるよう、選択され且つ厚板の幅に適合されていることを特徴とする請求項1−5の1つに記載の移送格子。
  7. 各厚板(24−30;40)が、上記厚板をその全長にわたって支持する縦方向支持部材(32−38,42)に固定されていることを特徴とする請求項1−6の1つに記載の移送格子。
  8. 該厚板(92−96)が、縦方向へ順次に配設された複数の横方向支持部材(114)上に支持されていることを特徴とする請求項1−7の1つに記載の移送格子。
  9. 該厚板(24,26)が、縦方向へ順次に配設され相互に連接された複数の厚板部分(24´,24´´,24´´´,26´,26´´,26´´´)から組立てられていることを特徴とする請求項1−8の1つに記載の移送格子。
  10. 該厚板部分が、下方から上方へ且つ前方へ斜めに向いた突合せ目(52)を介して相互に連接することを特徴とする請求項9の移送格子。
  11. 該厚板(24−30)が、断熱性絶縁部材を介して、上記絶縁部材を支持する支持構造体(縦方向支持部材32−38)に結合されていることを特徴とする請求項1−10の1つに記載の移送格子。
  12. 該厚板を支持する可動の支持構造体が、揺動バネロッド(Pendelfeder Staebe)の原理にもとづき、耐摩耗性線形ガイド機構によって支承されていることを特徴とする請求項1−11の1つに記載の移送格子。
  13. 格子床を介してブロー吹出される吹出空気によって移送格子上にあるバラ荷層を移送、特に冷却する方法であって、
    格子床が、相互間に設置された移動間隙を有し且つ移送方向に直角に並置され運転に従って相互に相対的に縦方向へ移動される複数の厚板から形成され、吹出空気の少なくとも一部を移動間隙を介してブロー吹出する形式のものにおいて、
    少なくとも移動間隙(14)を完全に自由にブローするのに十分な吹出空気量を移動間隙(14)を介してブロー吹出すること
    を特徴とする方法。
  14. 所定の全吹出空気量の大半の部分を移動間隙(14)を介してブロー吹出することを特徴とする請求項13の方法。
  15. 移動間隙(14)を介して案内される吹出空気を、格子床面(22)に対して鋭角αで傾斜した状態でブロー吹出することを特徴とする請求項14の1つに記載の方法。
  16. 吹出空気を、各移動間隙(14)から、それぞれ、格子床中心へ向けてブロー吹出することを特徴とする請求項15の方法。
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