JP2008274961A - ロータと固定擾乱源とを備えた構造物、および該構造物の振動を低減する方法 - Google Patents

ロータと固定擾乱源とを備えた構造物、および該構造物の振動を低減する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少なくとも1つのロータ101と、流体の流れ11の中で擾乱を発生可能でありロータを振動させる一組の固定擾乱源102とを備えた、構造物の振動を低減する方法を提供する。
【解決手段】ロータが受ける励振の振幅を低減するように、固定擾乱源の不均一な角度分布を含めるステップを含み、さらに、固定擾乱源が前記所定の均一な角度分布に沿って配分されているときの、フーリエ変換が励振の周波数スペクトルに対応する第1の信号を決定するステップと、第1の信号を、固定擾乱源のための前記選択された角度分布に適合された第2の信号へと修正するステップと、第2の信号のフーリエ変換を計算することによって、励振の周波数スペクトルを決定するステップと、励振の周波数スペクトルに基づいて、励振に対するロータの応答を計算するステップとによって、ロータの応答の最大振幅が得られることを確認するステップを含む。
【選択図】図5

Description

本発明は、一般に、ロータと固定擾乱源との双方を含む構造物の振動の低減に関する。「振動の低減」という用語は、振動の振幅を低減する意味で用いられている。
構造物内のロータおよび固定擾乱源は、流体の流れの中に配置される。固定擾乱源とは、たとえばステータの羽根である。本発明の特定の用途では、上記の構造物はターボ機械である。
固定擾乱源は、流体の流れの中に圧力振動を発生し、この圧力振動は、構造物全体を通して下流側と上流側の双方に伝搬することができ、ロータを振動させることがある。
図1は、流体の流れ4にさらされるロータ2とステータ3とを備えている、参照符号1を付された従来構造を示している。ロータ2とステータ3は、径方向に均一に配置された、すなわち、所定のどの2つの羽根の間の角度も一定である、それぞれの羽根20および30を備えている。知られている態様で、羽根20および30は、流体の圧力を、高めるかまたは下げて修正するよう作用する。ロータ2は、矢印21で示したように回転し、流体の流れ4内でのステータ3の羽根30からのそれぞれの伴流を回転擾乱として感知する。
より具体的には、ステータの羽根30の数をNとし、ヘルツ(Hz)で表現されたロータ2の回転速度をVとすると、ロータ2は、基本周波数NV、第1の高調波周波数2NV、および第2の高調波周波数3NV等を有する励振にさらされる。
図2は、ロータ2が受けるステータ3からの励振スペクトルを示している。このスペクトルは、基本周波数と最初の2つの高調波周波数にそれぞれ対応する3本の線5を有している。図2に示された例では、周波数3NVより高い高調波に対応する励振部分は、無視されている。
この励振に対するロータ2の応答は、ロータの形状、材料、および回転速度に応じるロータの固有周波数の関数である。所定の回転速度で、ロータの固有周波数が、図2に示したスペクトル線5のいずれとも一致しなければ、ロータがこの速度で動作している場合は、ロータは、流れ4の中の羽根30の伴流によってほとんど擾乱されない。そうではない場合は、特定の速度で、ロータ2の固有周波数の1つが、1本のまたは他のスペクトル線5と一致すれば、ロータ2は、ロータ2を振動させる共振にさらされる。このような振動は、損傷の原因となり、振動疲労によるロータの破壊を誘発することがあるので、ロータ2の振動をできるだけ避けることが重要である。
一般的に、特にターボ機械では、ロータ2は、複数の動作条件が存在できるように、回転速度の全範囲にわたって使用できなければならない。図3は、直線Diが、fで示されたロータの固有周波数と、ロータの回転速度Vとの関係を表し、直線D1’、D2’、およびD3’が励振周波数NV、2NV、および3NVとロータの前記回転速度Vとの関係を表しているキャンベル(Campbell)グラフである。図面を明解にするため、3つの固有周波数f、f、f、および対応する3本の線D1、D2、およびD3だけが、図3には示されている。
ロータの回転速度の範囲に応じて、2つの状況が生ずることがある。すなわち、
ロータが、ロータ2の固有周波数fと励振周波数NV、2NV、および3NVとの一致が生じない、速度範囲ΔV1で回転している場合は、ロータ2の動作は、ステータ3によって流体の流れの中に発生する擾乱によってほとんど影響されない。それ以外の場合は、
ロータ2の回転速度範囲が、ロータの固有周波数fと励振周波数NV、2NV、および3NVとの間の1つまたは複数の一致点がある、範囲ΔV2である場合は(これらの一致点は、そのうちの1つの一致点が図3に示されている、線Diと線D1’、D2’、およびD3’とが交差する交差点PIに対応する)、これらの各々の一致点でロータ2に共振作用が生ずる。
ロータ2の固有周波数が、励振周波数NV、2V、または3NVと一致する場合に、所定の回転速度Vで発生する、ステータ3の羽根30によるロータ2の振動の問題を解決するために、ロータ2の固有周波数を変更するようにロータの質量と剛性に作用することで、ロータ2の形状を修正することが知られている。
この方法は、1つまたは複数のトラブルの原因になる一致を除去することができる。しかし、ロータの固有周波数をこのようにシフトすることによって、回転速度の範囲内でその他の一致が出現することがしばしば起こる。前記速度範囲内で、ロータの固有周波数と励振周波数との間のすべての一致を防止することは、事実上不可能である場合さえある。加えて、ロータの形状を変更することによって、その流体力学的な性能が劣化する場合がよくある。
前述の方法が不適切である場合、代替の解決方法は、摩擦またはせん断によって、または空力弾性減衰によって、ロータの振動を減衰することである。それにも関わらず、摩擦またはせん断による減衰は、特にロータが一体成形されている場合は、実施が極めて複雑である。空力弾性減衰については、たとえばEP−A−0 921 274に記載されているような種類の非対称のロータを使用する必要がある。残念ながら、このような非対称のロータが良好な回転動作を行うことを、保証するのは困難である。
本発明は構造物の設計と製造を容易にする、ロータと固定擾乱源との双方を含む構造物の振動を低減する方法を提供することを追求するものである。
上記の目的のため、本発明は、流体の流れを受けるように設計されている少なくとも1つのロータと少なくとも1つのステータとを備えた構造物の振動を低減する方法であって、構造物は、ロータを振動させる流体の流れの擾乱を誘発する可能性がある一組の固定擾乱源を含んでおり、方法は、
構造物の設計中に、固定擾乱源の所定の均一な角度分布と比較して、ロータの回転速度Vでの該ロータの固有周波数とほぼ一致する少なくとも1つの励振周波数での前記擾乱に対応するロータが受ける励振の振幅を低減するように、固定擾乱源のための不均一な角度分布が選択され、
前記方法はさらに、ロータが回転可能な回転速度Vを含む回転速度の全範囲にわたって、固定擾乱源が前記選択された角度分布で配分されたときの励振に対するロータの応答の最大振幅が、固定擾乱源が前記所定の均一な角度分布で配分されたときの最大振幅よりも小さいことを確認するステップを含み、
固定擾乱源が前記選択された角度分布で配分されているときの励振に対するロータの前記応答は、以下のステップ、すなわち、
固定擾乱源が前記所定の均一な角度分布で配分されているときの、そのフーリエ変換が励振の周波数スペクトルに対応する第1の信号を決定するステップと、
第1の信号を、固定擾乱源のための前記選択された角度分布に適合された第3の信号へと修正するステップと、
第2の信号のフーリエ変換を計算することによって、励振の周波数スペクトルを決定するステップと、
励振の周波数スペクトルに基づいて、励振に対するロータの応答を計算するステップとを実施することによって得られることを特徴とする方法を提供する。
このように、本発明では、ロータの振動は、従来の技術のようにロータの構造または形状を変更することによって低減されるのではなく、固定擾乱源によって発生されロータが受ける励振の周波数スペクトルが対応して修正されるように、固定擾乱源の角度分布を修正することによって低減されるのである。本発明では、ロータを非対称にする必要はない。したがって構造物の設計と製造は、非対称のロータの回転に関連する困難性を避けることに関してより容易になる。ロータとは異なり、擾乱源の組は静的であり、設計または製造上の特別な困難性なく容易に非対称にすることができる。
固定擾乱源の均一ではない角度分布を用いることによって、ロータが受ける励振の周波数スペクトルは、擾乱源が規則的に配分されている図1に示された従来の構成と比較して、付加的なスペクトル線によって質的に向上する。しかし、本発明における擾乱源の組によって発生される擾乱の総エネルギは、同じ擾乱源が規則的に配分された場合に発生される総エネルギと同じである。このようにして、周波数NV、2NV、3NV等に対応するスペクトル線の強度、また特にロータの前述の固有周波数と一致するトラブルの原因になるスペクトル線の強度は低減され、それによってロータの振動が弱められる。
本発明の実施形態では、固定擾乱源は、(製造公差を無視すれば)同一であると共に、回転速度Vにおけるロータの少なくとも1つの固有周波数が、NVまたはNVの倍数にほぼ等しく、Nは前記組の固定擾乱源の数である。「同一である」という用語は、固定擾乱源が、流体の流れの中で同じ擾乱を発生することを意味するために用いている。
一般的には、第1の信号は、規則的な間隔を隔てた同一のピークを備え、各ピークは、流体の流れの中の固定擾乱源によって発生される擾乱を表し、所定の2つの連続するピーク間の間隔は、擾乱源が前記均一な角度分布で配分された場合の2つの連続する擾乱源によって画定された角度を表し、修正するステップは、ピーク間の間隔を前記選択された角度分布の角度に適合させることからなっている。
実際には、固定擾乱源の組は、流体の流れの中のロータの上流側にあっても下流側にあってもよいが、固定擾乱源の組によって発生される擾乱の方が、より良好に伝搬する状況にあり、かつロータに作用する可能性があるので、上流側に位置している方が好適である。
好適には、固定擾乱源は、ロータの回転の中心に対応する流体の流れの中のポイントに対して、ほぼ同じ径方向位置にある。
本発明の特定の適用では、固定擾乱源はステータの羽根である。
別の適用では、固定擾乱源は、以下の種類の擾乱源、すなわち燃焼室のインジェクタ、冷気を抽出する部材、吐出弁、冷気を再注入する部材、センサ、およびプローブのいずれか1つである。
一般的には、上記の構造物は、ターボ機械を構成するものでよい。
本発明はさらに、流体の流れを受けるように設計されている少なくとも1つのロータと少なくとも1つのステータとを備えた構造物を設計する方法であって、構造物は、ロータを振動させる流体の流れの擾乱を誘発する可能性がある固定擾乱源の組を含んでおり、方法は、構造物の全体的な構造を決定するステップと、上記の振動を低減する方法を前記構造物に適用するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
本発明はさらに、流体の流れを受けるように設計されている少なくとも1つのロータと少なくとも1つのステータとを備えた構造物を設計し、かつ製造する方法であって、構造物は、ロータを振動させる流体の流れの擾乱を誘発する可能性がある固定擾乱源の組を含んでおり、方法は、構造物の全体的な構造を決定するステップと、前述の振動を低減する方法を前記構造物に適用するステップと、前記構造物を製造するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
同一のステータの羽根が規則的に配分される従来の場合は、所定の回転速度で回転した場合に、ロータが受ける励振の周波数スペクトル線の強度が大きい場合がある。その結果、この速度でのロータの固有周波数が、1本のスペクトル線と一致する場合は、ロータは大きな共振にさらされ、極めて損傷を受けやすいことがある。
したがって本発明は、さらに、ロータのいずれかの共振作用の強度を低減することができ、かつ特にこのような作用が、従来の構造物に見られるような強度値に確実に達しないようにし、このような作用が、構造物の流体力学的な効率に過度に影響することなく達成されるような、ロータと固定擾乱源の組とを備えた構造物を提供することをも追求するものである。
上記の目的のため、本発明は構造物であって、少なくとも1つのロータと、少なくとも1つのステータと、1つの組のN個の固定擾乱源とを備え、ロータおよび固定擾乱源の組は、流体の流れが、ロータおよび固定擾乱源の組をほぼ垂直に通って流れるように設計され、前記流れの中で、擾乱源の組は続いて起こるロータが受ける擾乱を誘発する可能性があり、擾乱源の組は、流体の流れに対してほぼ垂直な平面内にN個の隣接する角度の組を形成し、前記角度の合計は360°に等しく、各角度は、基点として共通のポイントを有する2つの連続する半直線によって画定され、前記ポイントは、流体の流れ内でロータの回転の中心に対応しており、半直線は、2つの擾乱源のそれぞれの幾何中心をも通過し、隣接する角度の組が、360°/Nより大きい少なくとも1つの「大きい」角度群と、360°/Nより小さい少なくとも1つの「小さい」角度群とを備えることを特徴とする構造物を提供する。
「大きい角度」および「小さい角度」という用語は、本発明では、製造公差が許容されているそれぞれ所定の値より大きい、またはより小さい角度の値を示すために用いられている。言い換えると、製造公差を無視して2つの角度が同じ値である場合は、それらは同一であると見なされる。一般に、製造公差は0.05°より小さい。
本発明の上記の構造物では、ロータが受ける励振の周波数スペクトルが、本発明の方法に関して上述したように、擾乱源が規則的に配分されている図1に示した従来の構造のスペクトル線に追加されたスペクトル線を有するように、擾乱源が非均一に配置されている。より詳細には、各々の大きい角度に対応する励振の部分は、周波数NVより低い基本周波数を示し(すなわち従来の場合の基本周波数)、一方、各々の小さい角度に対応する励振の部分は、周波数NVより高い基本周波数を示す。
本発明の擾乱源の組によって生成される擾乱エネルギは、同じ擾乱源が規則的に配分された場合に生成される擾乱エネルギと同一であるので、励振周波数NV、2NV、3NV等に対応するスペクトル線の強度は、かくして低下し、それによって、ロータの単数または複数の固有周波数が、単数または複数の励振周波数と一致すると、ロータの共振の振幅が低減する。
加えて、励振の最大のスペクトル線の強度が低下するので、ロータが、極めて強力に共振する危険性は軽減される。
周波数NV、2NV、3NV等に対応する励振スペクトルにおけるトラブルの原因になる線の強度を低下する作用は、隣接する角度の組内で、大きい角度が、小さい角度と同様に互いに群としてまとめられることによって強化される。ロータが、大きい角度群(または小さい角度群)に対応する角度だけ回転すると、ロータが受ける励振は、各々の大きい角度(または小さい角度)に対応する周波数だけではなく、前記周波数の倍数である周波数をも含んでいる。
その結果、擾乱源の全体的な形状を過度に修正する必要なく、スペクトル内のトラブルの原因になる線の強度を低下させることができる。擾乱源の組の形状を、擾乱源の角度分布が均一である均一な形状にできる限り近いものに保つことによって、構造物の流体力学的な作用が、大きすぎる範囲まで影響されることが回避される。
好適には、隣接する角度の組は、360°/Nに等しい少なくとも1つの「基準」角度を含んでいる。単数または複数の基準角度が存在することによって、大きい角度と小さい角度との間の急激な角度変化が回避され、それによって、擾乱源の角度分布が、均一ではないことによる流体力学効率の損失が低減される。
本発明の構造物の好適な実施形態では、隣接する角度の組は、単一の隣接する大きい角度群と、単一の隣接する小さい角度群とを備えている。より詳細には、隣接する角度の組は、
単一の隣接する大きい角度群と、
前記単一の隣接する大きい角度群に隣接する、第1の基準角度または第1の隣接する基準角度群と、
前記第1の基準角度または第1の隣接する基準角度群と隣接する、単一の隣接する小さい角度群と、
前記単一の隣接する小さい角度群に隣接する、第2の基準角度または第2の隣接する基準角度群とから構成されている。
好適な実施形態の変化形態では、隣接する角度の組は、単一の隣接する大きい角度群と、単一の隣接する小さい角度群とから構成され、したがって基準角度は含んでいない。
本発明の好適な実施形態のように、大きい角度と小さい角度を単一の群としてまとめることは、ロータが受ける励振スペクトルの付加的な線の強度を高め、それによって周波数NV、2NV、3NV等に対応する線の強度を低下させる作用をする。このように、この好適な実施形態は、ロータの固有周波数が、前記周波数NV、2NV、3NV等の1つと一致すれば特に有利である。何故ならば、それによって構造物の流体力学的作用に僅かな影響しか及ぼさずに、トラブルの原因になる線の強度が大幅に低下するからである(大きい角度および小さい角度が、360°/Nから僅かしか異なっていない場合ですら、満足できる結果が得られる)。
本発明の別の実施形態では、隣接する角度の組は、複数の隣接する大きい角度群と、隣接する大きい角度群の間に挿入された、複数の隣接する小さい角度群とから構成されている。隣接する角度の組は、さらに、複数の基準角度、または複数の隣接する基準角度群を含んでいてもよく、各々の基準角度または隣接する基準角度群は、隣接する大きい角度群と隣接する小さい角度群の双方に隣接している。
変化形態では、隣接する角度の組は、複数の隣接する大きい角度群と、複数の隣接する小さい角度群とから構成されていてもよく、各々の隣接する小さい角度群は、2つの隣接する大きい角度群に隣接している。したがってこのような状況では、隣接する角度の組は基準角度を含んでいない。
好適には、上記の様々な実施形態で、隣接する角度の組の全ての大きい角度は、同じ所定値だけ大きくされ、隣接する角度の組の全ての小さい角度は、前記所定値だけ小さくされる。
それにも関わらず、隣接する角度の組内の少なくとも2つの大きい角度および/または少なくとも2つの小さい角度は、互いに異なることを想定することが可能である。
一般的には、隣接する角度の組は、小さい角度と同数の大きい角度を含んでいてもよい。
有利には、流体力学的効率の過度な損失を回避するため、隣接角度の組内の各々の大きい角度と各々の小さい角度は、360°/Nから10%以下しか、好適には5%以下しか違わない。
本発明によるターボ機械の設計および製造の方法を、図4を参照して以下に詳細に説明する。
第1のステップE1では、ターボ機械の全体構造が、とりわけ所望の電力およびエネルギ消費を規定する最初の仕様から始まるシミュレーションによって、よく知られた方法で決定される。ステップE1は、特に、ステータ/ロータ段の数、段ごとの羽根の数、および最初の仕様を満たす流体力学的な性能を得るための羽根の輪郭を決定することからなっている。
この第1のステップが終了すると、図5に示されている種類の構造が、ディジタルデータの形式で得られ、構造物は、J個のステータ/ロータ段10から10を備えている。jは1からJまでの範囲の整数である各段10は、固定羽根付き輪の形式のステータ100と、可動羽根付き輪のロータ101とを備えている。各ステータ100の羽根は、図5では参照符号102によって示され、各ロータ101の羽根は、参照符号103によって示されている。
様々なステータ/ロータ段は、動作時に、流体の流れ11が、これらの段を垂直に通過するように構成されている。各段10では、関連するロータ101の上流側に位置するステータ100は、流れ11に圧力擾乱を発生し、この圧力擾乱は次にロータ101によって受けられる。これらの擾乱に対するロータの応答は、ロータが受ける励振周波数、およびその固有周波数に応じる。
所定段のステータの羽根102は、共に同一であるN個の固定擾乱源の組を構成する(数Nは、ある段と別の段では異なっていてもよい)。図5および図6では、各ステータ(およびロータ)は、16に等しい羽根数を有するものとして示されている。実際には、数Nは、一般に16から200の範囲内である。
図5に示すように、N個の固定擾乱源102は、流体11の流れ方向に対して垂直な平面PL内に、N個の隣接分布角度αからαの組を規定し、分布角度の合計は360°に等しい。iは1からNの範囲の整数である各角度αは、基点として共通のポイントOを有する2本の半直線A、Ai+1によって規定され、前記ポイントは、関連するロータ101の回転点O’とほぼ対面して位置しており、前記半直線は、連続する2個の羽根102の幾何中心(図示せず)をそれぞれ通る。図6の例では、半直線AからAは、羽根102の中心軸である。
図4を再び参照すると、ステップE1の後、各々のステータ/ロータ段10について、ステップE2からE7が実施される。
ステップE2では、fで示されているロータの固有周波数が計算され、次に、固有周波数とHzで表されたロータの回転速度Vとの関係(図7を参照)を表す、直線Diの形式でキャンベルグラフにプロットされる。直線D1’からDP’も、同じキャンベルグラフにプロットされ、ただしPは所定の整数であり、前記直線は、グラフの基点を通り、それぞれの勾配N、2N、3N...、PNを有している。直線D1’からDP’は、図6に示すように、ステータ100の羽根102が規則的に配分されている場合に(すなわち角度αからαが等しい場合)、ロータ101が受ける励振周波数間の関係を表している。所定の数Pの選択は、ロータの振動を低減したい範囲に応じる。実際には、特にターボ機械の場合、3次より高い励振周波数を含む共振は、それらを無視できるに充分に低い強度の共振であることが判明している。したがって、通常は最初の3つの励振周波数(P=3)で行うことができる。ロータの固有周波数については、ロータがその回転速度で回転するように設計されている回転速度範囲内で、励振周波数N、2N、3N,...PNの少なくとも1つと一致するような固有周波数だけを考慮すればよい。図面を簡略にするため、3つの固有周波数f、f、fだけと、また対応する3本の直線D1、D2、およびD3だけが図7に示されている。
ステップE1およびE2は当業者にはよく知られているので、本明細書で詳細に説明する必要はない。
次のステップE3では、ロータの固有周波数と励振周波数とが一致することがあれば、ロータが回転する回転速度範囲内でその一致がキャンベルグラフ内で特定される。
ロータの回転速度範囲が、一致が特定されない(すなわちP=3以上の次数の励振周波数を含む一致が、理論上は存在するものの、顕著な共振作用は誘発しないことを意味する)、図7に示された範囲ΔV1に対応する種類の範囲である場合には、ステップE4で、固定擾乱源について均一な角度分布が選択される。この均一な角度分布では、角度αからαはすべて互いに等しく、ステータは図6に示した種類のステータである。
しかし、図1に示された回転速度範囲ΔV2の場合のように、1つまたは複数の一致が存在する場合は、ロータが受ける励振スペクトルを修正して、ロータを過度に励振する擾乱がステータによって発生されることを避けるために、ステップE5で、固定擾乱源について不均一な角度分布が選択される。図7の例では、一致は、ロータの固有周波数fと速度V0における励振周波数NVとの間の範囲ΔV2に一致が存在する。この一致は、直線D1とD1’との間の交差点PIによって表される。
ステップE5で実施される選択に適した種類の配分の例は、以下に記載される。
以下の説明を通して、「基準」角度という用語は、360°/Nに等しい角度を意味するものとして用いられ、「大きい」角度という用語は、360°/Nより大きい角度を意味し、また「小さい」角度という用語は、360°/Nより小さい角度を意味するものとして用いられる。図面で、記号「=」は基準角を表し、記号「+」は大きい角度を表し、記号「−」は小さい角度を表す。
第1の種類の配分
第1の種類の配分では、隣接する角度の組は以下によって構成されている。
(360°/N)+cに等しい単一の隣接する大きい角度の群、および
(360°/N)−cに等しい単一の隣接する小さい角度群、
ただし、cは0<c<360°/Nであるような実数である。
図8はこの種類の配分の例を示している。
第2の種類の配分
第2の種類の配分では、隣接する角度の組は以下によって構成されている。
(360°/N)+cに等しい単一の隣接する大きい角度群、
(360°/N)−cに等しい単一の隣接する小さい角度群、この群は大きい角度群に隣接している、および
隣接する大きい角度群と隣接する小さい角度群との間に挿入された基準角度群、
ただし、cは0<c<360°/Nであるような実数である。
図9は2つの隣接する基準角度の群を1つ含む、この種類の配分の例を示している。
第3の種類の配分
第3の種類の配分では、隣接する角度の組は以下によって構成されている。
(360°/N)+cに等しい単一の隣接する大きい角度群、
上記の隣接する大きい角度群に隣接する、第1の基準角度または隣接する第1の基準角度群、
(360°/N)−cに等しい単一の隣接する小さい角度群、この群は前記第1の基準角度または隣接する第1の基準角度群に隣接している、および
上記の隣接する小さい角度群および隣接する大きい角度群に隣接する、第2の基準角度または隣接する第2の基準角度群、
ただし、cは0<c<360°/Nであるような実数である。
図10は、各々が隣接する大きい角度群と小さい角度群との間に挿入された、2つの別個の基準角度を有する、この種類の配分の例を示している。
図11は、隣接する大きい角度群と小さい角度群との間に挿入された基準角度と、基準角度とは反対側の、同様に隣接する大きい角度群と小さい角度群との間に挿入された隣接する基準角度群とを有する、この種類の配分の例を示している。
第4の種類の配分
第4の種類の配分では、隣接する角度の組は以下によって構成されている。
各々が(360°/N)+cに等しい複数の隣接する大きい角度群、および
隣接する大きい角度群の間に挿入され、各々の小さい角度が(360°/N)−cに等しい複数の隣接する小さい角度群、
ただし、cは0<c<360°/Nであるような実数である。
図12および図13はこの種類の配分の例を示している。
第5の種類の配分
第5の種類の配分では、隣接する角度の組は以下によって構成されている。
各々が(360°/N)+cに等しい複数の隣接する大きい角度群、
隣接する大きい角度群の間に挿入され、各々の小さい角度が(360°/N)−cに等しい複数の隣接する小さい角度群、および
少なくとも1つの基準角度、
ただし、cは0<c<360°/Nであるような実数である。
図14はこの種類の配分の例を示している。
第6の種類の配分
第6の種類の配分では、隣接角度の組は以下によって構成されている。
各々が(360°/N)+cに等しい複数の隣接する大きい角度群、
隣接する大きい角度群の間に挿入され、各々の小さい角度が(360°/N)−cに等しい複数の隣接する小さい角度群、および
各々の基準角度または各々の隣接する基準角度群が、前記隣接する大きい角度群の1つ、および前記の隣接する小さい角度群の1つの双方に隣接している、複数の基準角度、または複数の隣接する基準角度群、
ただしcは0<c<360°/Nであるような実数である。
図14も同様にこの種類の配分の例を示している。
その他の種類の配分
上記の6種類の配分のそれぞれで、大きい角度(または小さい角度)は、すべて互いに等しく、大きい角度の総数は、必然的に小さい角度の総数に等しい。このように、特に、第1と第4の種類の配分での擾乱源の数Nは、必然的に偶数である。
それにも関わらず、大きい角度(または小さい角度)のすべてが必ずしも互いに等しくないように、これらの6種類の配分を修正することができる。言い換えると、上記の6種類の配分の各々を修正して、cの値が一定ではなく、逆にある角度と別の角度で互いに異なるように修正することができる。このような状況では、大きい角度の数は、小さい角度の数と異なっていてもよい。
本発明の配分の種類では、単数または複数の基準角度を有している種類のものが好適である。基準角度が存在することで、ステータの流体力学的な性質に有害となることがある、大きい角度と小さい角度の急激な角度変化が避けられる。
加えて、流体力学的な効率という同じ理由から、大きい角度(および小さい角度も)が360°/Nから10%以下しか、より好適には5%以下しか異ならないことが好適である。すなわちcの値の場合、36/Nに等しいかそれ未満であり、または、18/Nに等しいかそれ未満ですらあることが好適である。
上記の種類の配分はすべて、第1に不規則的であり、第2に互いに隣接する少なくとも2つの大きい角度と、互いに隣接する少なくとも2つの小さい角度とを有しているという共通の特徴を示している。
ロータが受け、同じ擾乱源によって発生されるが、不均一に配分されている励振の周波数スペクトルは、配分源が規則的に配分されている(図1を参照)従来の構造と比較して、付加的なスペクトル線を含んでいる。各々の大きい角度は、励振周波数スペクトル内に存在する以下のスペクトル線の一因となり、
(360°/((360°/N)+c))V
2×(360°/((360°/N)+c))V
3×(360°/((360°/N)+c))V等。
また各々の小さい角度は、以下のスペクトル線の一因となる。
(360°/((360°/N)−c))V
2×(360°/((360°/N)−c))V
3×(360°/((360°/N)−c))V等。
このような付加的なスペクトル線の質的な向上は、励振周波数NVからPNVに対応する、またひいては特に図7の例では、(回転速度VがV0に等しい場合に)ポイントPIにおける固有周波数fと一致する周波数NVに対応するトラブルの原因となるスペクトル線に対応する、各々のスペクトル線の強度を低下させることによって達成される。トラブルの原因になる周波数NV0に起因する共振の強度は、このようにして低下される。このように、ロータ2は、動作時に速度V0で回転していれば、従来の場合よりも振動は少なくなる。
この効果は、少なくとも2つの大きい角度が互いに隣接しており、また少なくとも2つの小さい角度が互いに隣接していることによって増強される。大きい角度(または小さい角度)をこのように群にまとめることが、周波数(360°/((360°/N)+c))V(または周波数(360°/((360°/N)−c))V)の倍数である周波数線の強度が増大することに貢献する。
説明のために、図15は、図10に示された配分の例についてロータが受ける励振スペクトルを示している。図15では、スペクトル線の強度は、従来の場合に対応する図2のスペクトル内の周波数NVにおけるスペクトル線の強度に対して標準化されている。したがって数値1である最大強度は、N個の擾乱源が規則的に配分されている場合は、周波数NVにおけるスペクトル線の強度に対応する。図15では以下のことが分かる。
励振スペクトル線の強度は、すべて明確に1以下であり、したがって従来の場合の周波数NVにおける線の強度以下であり、かつ、
周波数NV(または2NV、または3NV)におけるスペクトル線の強度、およびNV(または2NV、または3NV)に隣接する周波数におけるスペクトル線の強度は、すべて明確に従来の場合の周波数NV(または2NV、または3NV)におけるスペクトル線の強度以下である。
その結果、ターボ機械の動作中に発生することがある共振振幅は、従来の場合よりも小さい。
むしろ稀であるが場合によっては、それにも関わらず、ロータの固有周波数と励振周波数とのトラブルの原因となる一致から脱却するために、本発明の方法のステップE5で、擾乱源の角度分布を修正することによって、ロータの振動が減少しない場合もあり得る。このような状況は極めて特殊な条件下でのみ生ずるものである。すなわち、所定のロータの回転速度で、新たなスペクトル線に起因する共振作用が、最初の共振作用に等しいか、それ以上になるような態様で累積した場合である。
したがって、本発明の方法のステップE6で、先行ステップE5で選択された配分によって実際にロータの振動が低減されることを確認する措置が講じられる。
ステップE6は、図16に詳細に示されている方法を用いて実施される。この方法は、基本的に、擾乱源が均一な角度で配分されている従来の場合(図2)と、ステップE5で選択された不均一な角度分布の場合(図15)に、ロータが受ける励振周波数を最初に計算し、次に双方の場合で得られた共振振幅を比較することからなっている。
より正確には、ステップE60とE61で、知られている種類の流体力学的な計算を行い(ステップE60)、その後でフーリエ変換を行う(ステップ61)ことによって、擾乱源の角度分布が均一である場合に、ロータが受ける励振周波数スペクトルが決定される。
ステップE62で、ロータが受ける励振の時間にわたる振動を表す、時間または角度信号STが選択され、または同じことであるが、ロータが受ける励振の経路を表す時間または角度信号STが、ロータの回転角度の関数として変化する。図17に示すように、信号STは、たとえばガウスの形状の同一のピーク12を備えており、これは周期性がある。この信号の周期Tは、それが時間信号である場合は、α/(360°×V)に等しく、ただしαは、連続する2つの擾乱源(特に2つのステータ羽根)によってなされる一定の角度である。各ピーク12は、擾乱源によって誘発される擾乱を表している。
ステップE63で、フーリエ変換が信号STに適用される。
次のステップE64で、ステップ63で得られたフーリエ変換が、ステップE61で得られたフーリエ変換と比較される。2つのフーリエ変換が同一である場合は、ステップE65が実施される。そうではない場合は、そのフーリエ変換がステップE61で得られたフーリエ変換と対応する時間信号STが得られるまで、ピーク12の(共通の)形状に作用を及ぼすことによって、時間信号STが修正される(ステップE62)。
次のステップE65で、時間信号STは、本発明の方法のステップE5で擾乱源の角度分布に施された修正の関数として、図18に示すような信号SMへと修正される。特に、図18に示すように、連続する2つのピーク間の間隔は、擾乱源の新たな、不均一な角度分布に適合される。かくしてこの間隔は、もはや図17の場合のようには一定ではなく、擾乱源の角度分布の関数として変化する。図18の例では、期間T1、T2、およびT3は、以下の関係式を満たす。
T1=αsmall/(360°×V)
T2=αnom/(360°×V)
T3=αlarge/(360°×V)
ただしαsmall、αnom、およびαlargeは、それぞれ小さい角度、基準角度、大きい角度を表している。
図16に示された方法の次のステップE66では、修正された時間信号SMにフーリエ変換が行われる。それによって、図15に示した種類のスペクトルが生ずる。図15では、前述のように、強度が縦座標にプロットされるスケールは、図2の場合と同様である。最大強度は数値1に標準化され、双方の図面とも、従来の場合の周波数NVのスペクトル線の強度に相当する。擾乱源によって発生される励振の総エネルギは、前記擾乱源の角度分布に関わらず同一であるので、従来の場合のスペクトル線の強度(図2)に対する、図15のスペクトル線の相対強度が正確に判明する。
このように、本発明のステップE60からステップE66によって、励振スペクトルが、流体力学上の計算によって直接決定すべき場合に必要となるような、極めて長く複雑な計算を回避しつつ、擾乱源が不均一な角度分布にある場合の、ロータが受ける励振スペクトルを得ることができる。
次のステップE67では、励振周波数スペクトル内に出現した新たな周波数間の関係、すなわち周波数NV、2NV、3NV等以外の周波数とロータの回転速度との関係を示す直線が、キャンベルグラフにプロットされる(それらの線のうちの2本に、D1”およびD2”の参照符号が付され、図7では点線で示されている)。その後、ロータが回転する回転速度の範囲ΔV2内で、これらの新たな周波数とロータの固有周波数との一致が特定される。
説明のために、図7には、直線D1とD1”の間、および直線D2とD2”の間に交差点P1とP2がそれぞれ示されている。それぞれの回転速度V1またはV2に対応する各々の一致点P1およびP2で、ロータは共振にさらされる。回転速度V1とV2が互いに近い場合は、一致点P1およびP2での共振の作用の一部は、累積的になることがある。
本発明では、ステップE68で、範囲ΔV2での各回転速度について、単数または複数の一致点が存在するか否かが判定され、存在する場合は、ロータの全体的な共振振幅が、この回転速度で知られているモード重ね合わせ技術によって計算される。より正確には、範囲ΔV2が、狭い速度間隔δV2へと細分化され、各速度間隔の幅は、ロータの減衰に応じる(すなわち速度Vの約0.5%)。ロータの全体的な共振振幅は、各々の間隔δV2についてモード重ね合わせによって計算され、次に、ロータが速度V0で回転している従来の場合の共振振幅と比較される(ステップE69)。
各々の間隔δV2で、ロータの全体的な共振振幅が、従来の場合の最大共振の振幅よりも小さい場合は、ステップE5で選択された不均一な角度分布が確証され、次にステップE2からE6が、次のステータ/ロータ段について繰り返される(図4のステップE7およびE8を参照)。
例外的に、全体的な共振の振幅の1つが、従来の場合の共振の最大振幅に等しいか、それ以上である場合は、別の不均一な角度分布を選択するために方法はステップE5に戻り、確証ステップE6が、繰り返される(勿論繰り返しステップE60およびE61なしに)。
図4に示されているステップE2からステップE7が、すべてのステータ/ロータ段について実施された(ステップE8)後は、上記のように構成され、シミュレーションのディジタルデータの形式のターボ機械が製造される(ステップE9)。
前述の本発明の様々な実施形態では、擾乱源はステータの羽根によって構成されている。それにも関わらず、本発明の原理は、ターボ機械の単数または複数のロータの上流側に配置される燃焼室のインジェクタ、冷気を抽出する部材、吐出弁、冷気を再注入する部材、またはセンサまたはプローブのような、ターボ機械に見られるようなその他の種類の擾乱源にも応用できることが確認されている。
図19は、ステ−タの一部を形成する、上記の一種類のN個の擾乱源14の組を示した図である(図19の例では、擾乱源の数Nは10に等しい)。ステータの羽根(図6)の場合と同様に、擾乱源14は同一であり(製造公差は無視する)、総計が360°になる隣接角度αからαで配分されている。各角度は、2本の半直線AからAi+1によって画定され、これらの半曲線は基点として、流体の流れ11の中で下流側に位置するロータ(単数または複数)の回転の中心(単数または複数)に実質的に対応し、かつ連続する2つの擾乱源の幾何中心C、Ci+1をそれぞれ経由する同じポイントOを有している。
擾乱源14は、一般に同じ径方向位置にある。すなわちポイントOから同じ距離を隔てて位置している。擾乱源14の組は、流体の流れに対してほぼ垂直に配置されており、流体の流れの中に擾乱を誘発し、この擾乱は、ロータ(単数または複数)が下流側で受けることができる。
図19に示した種類の擾乱源を用いて、図4に示した本発明の方法は、ステータの羽根によって構成された擾乱源の場合とほぼ同様の態様で実施される。より詳細には、擾乱源14によって発生される擾乱により影響される各ロータについて、図4に示したステップと同一であるステップE2からE7が実施される。
本発明を、複数のロータを有するターボ機械という文脈でこれまで説明してきたが、本発明の原理は、少なくとも1つのロータと、ロータ(単数または複数の)を擾乱を起こす可能性がある少なくとも一組の固定擾乱源とを有するどのような構造物にも応用できることは、当業者には明確に理解できる。構造物が、複数組の擾乱源を有している場合は、ロータ、または各々のロータについて、どの擾乱源の組が、ロータが受ける最大の大きさの擾乱を発生するのかを特定することから始めるのが適切である。図5に示された構造では、この組は、一般にロータのすぐ上流側に位置する固定羽根付き輪である。ロータの上流側の、ロータを擾乱するのに充分な近傍位置に固定羽根付き輪がない場合は、燃焼室のインジェクタ、冷気を抽出する部材、吐出弁、冷気を再注入する部材、またはセンサまたはプローブのようなその他の擾乱源が、ロータの上流側にあるか否かを判定することが適切である。ある場合は、ロータに最も近く、その上流側にある擾乱源が、一般に最もトラブルの原因になる擾乱源である。
所定のロータについて、最もトラブルの原因になる擾乱源は、通常はロータの上流側に位置しているが、ロータが、その下流側に位置する擾乱源によって主として擾乱されるという状況が生ずることがある(特に、ロータの上流側に擾乱源の組が存在しない場合)。したがって、本発明は、ロータに対して特定位置の擾乱源の組に限定されるものではない。
一般に、本発明は、前述の特定の例に限定されるものではなく、特に、本発明の方法の原理は、回転速度Vのロータの固有周波数とほぼ一致する少なくとも1つの励振周波数について、ロータが受ける励振振幅を、当初に考案された環状の配分と比較して低減するように、固定擾乱源の環状の配分を選択することにあることを、当業者は理解するであろう。
ロータとステータとを備えたターボ機械の一部の概略斜視図である。 図1のロータが受ける励振の周波数スペクトルを示す。 図1に示したターボ機械の一部に対応するキャンベルグラフである。 本発明によるターボ機械の構成および製造方法の流れ図である。 複数のステータ/ロータ段を備えたターボ機械の一部の概略斜視図である。 図5に示したターボ機械の一部のステータの概略端面図である。 図5に示したターボ機械の一部のステータ/ロータ段に対応するキャンベルグラフである。 図5に示したターボ機械の一部にある擾乱源の本発明による角度分布の例を示す図面である。 図5に示したターボ機械の一部にある擾乱源の本発明による角度分布の例を示す図面である。 図5に示したターボ機械の一部にある擾乱源の本発明による角度分布の例を示す図面である。 図5に示したターボ機械の一部にある擾乱源の本発明による角度分布の例を示す図面である。 図5に示したターボ機械の一部にある擾乱源の本発明による角度分布の例を示す図面である。 図5に示したターボ機械の一部にある擾乱源の本発明による角度分布の例を示す図面である。 図5に示したターボ機械の一部にある擾乱源の本発明による角度分布の例を示す図面である。 図10の角度分布に対応する、図5に示したターボ機械の一部のロータが受ける励振の周波数スペクトルを示す。 本発明による確認方法の流れ図である。 図16の方法で使用される時間信号を示す。 図17の時間信号から導き出された修正された時間信号を示す。 本発明の変化形態での固定擾乱源の組を示す。

Claims (31)

  1. 流体の流れ(11)を受けるように設計されている少なくとも1つのロータ(101)と少なくとも1つのステータ(100)とを備えた構造物の振動を低減する方法であって、構造物が、ロータを振動させる流体の流れの擾乱を誘発する可能性がある一組の固定擾乱源(102;14)を含んでおり、前記方法が、
    構造物の設計中に、固定擾乱源の所定の均一な角度分布と比較して、ロータの回転速度Vでの該ロータの固有周波数とほぼ一致する少なくとも1つの励振周波数での前記擾乱に対応するロータが受ける励振の振幅を低減するように、固定擾乱源のための不均一な角度分布が選択されるステップ(E5)を含み、
    前記方法がさらに、ロータ(101)が回転可能な回転速度Vを含む回転速度の全範囲(ΔV2)にわたって、固定擾乱源が前記選択された角度分布で配分されたときの励振に対するロータの応答の最大振幅が、固定擾乱源が前記所定の均一な角度分布で配分されたときの最大振幅よりも小さいことを確認するステップ(E6)を含み、
    固定擾乱源が前記選択された角度分布で配分されているときの励振に対するロータの前記応答が、以下のステップ、すなわち、
    固定擾乱源が前記所定の均一な角度分布で配分されているときの、フーリエ変換が励振の周波数スペクトルに対応する第1の信号(ST)を決定するステップ(E60−E64)と、
    第1の信号(ST)を、固定擾乱源のための前記選択された角度分布に適合された第2の信号(SM)へと修正するステップ(E65)と、
    第2の信号(SM)のフーリエ変換を計算することによって(E66)、励振の周波数スペクトルを決定するステップと、
    前記励振の周波数スペクトルに基づいて、励振に対するロータの応答を計算する(E67−E68)ステップとを実施することによって得られることを特徴とする方法。
  2. 固定擾乱源(102;14)が、同一であると共に、回転速度Vにおけるロータ(101)の少なくとも1つの固有周波数が、NVまたはNVの倍数にほぼ等しく、Nは前記組の固定擾乱源の数であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 第1の信号(ST)が、規則的な間隔を隔てた同一のピーク(12)を備え、各ピーク(12)が、流体の流れ(11)の中の固定擾乱源によって発生される擾乱を表し、所定の2つの連続するピーク(12)間の間隔が、擾乱源が前記均一な角度分布で配分された場合の2つの連続する擾乱源によって画定された角度を表し、修正するステップ(E65)が、ピーク(12)間の間隔を前記選択された角度分布の角度に適合させることからなることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 固定擾乱源(102;14)の組が、流体の流れ(11)中のロータ(101)の上流側にあることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 固定擾乱源の組が、流体の流れ中のロータの下流側にあることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 固定擾乱源(102;14)が、ロータの回転の中心(O’)に対応する流体の流れ(11)の中のポイント(O)に対して、ほぼ同じ径方向位置にあることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 固定擾乱源(102)がステータの羽根であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 固定擾乱源(14)が、以下の種類の擾乱源、すなわち燃焼室のインジェクタ、冷気を抽出する部材、吐出弁、冷気を再注入する部材、センサ、およびプローブのいずれか1つであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  9. 流体の流れ(11)を受けるように設計されている少なくとも1つのロータ(101)と少なくとも1つのステータとを備えた構造物を設計する方法であって、構造物が、ロータを振動させる流体の流れの擾乱を誘発する可能性がある固定擾乱源(102;14)の組を含んでおり、前記方法が、
    構造物の全体的な構造を決定するステップ(E1)と、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の振動を低減する方法を前記構造物に適用するステップ(E2−E8)とを含むことを特徴とする方法。
  10. 流体の流れ(11)を受けるように設計されている少なくとも1つのロータ(101)と少なくとも1つのステータとを備えた構造物を設計し、かつ製造する方法であって、構造物が、ロータを振動させる流体の流れの擾乱を誘発する可能性がある固定擾乱源(102;14)の組を含んでおり、前記方法が、
    構造物の全体的な構造を決定するステップ(E1)と、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の振動を低減する方法を前記構造物に適用するステップ(E2−E8)と、
    前記構造物を製造するステップ(E9)とを含むことを特徴とする方法。
  11. 構造物がターボ機械からなることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 構造物であって、
    少なくとも1つのロータ(101)と、
    少なくとも1つのステータと、
    少なくとも一組のN個の固定擾乱源(102、14)とを備え、
    ロータおよび固定擾乱源の組は、流体の流れ(11)がロータおよび固定擾乱源の組をほぼ垂直に通って流れるように設計され、前記流れの中で、擾乱源の組が続いて起こるロータが受ける擾乱を誘発する可能性があり、
    擾乱源の組が、流体の流れ(11)に対してほぼ垂直な平面(PL)内にN個の隣接する角度(αからα)の組を形成し、前記角度の合計は360°に等しく、各角度が、基点として共通のポイント(O;O)を有する2つの連続する半直線(A、Ai+1)によって画定され、前記ポイントが、流体の流れ(11)内でロータの回転の中心(O’)に対応しており、半直線が、2つの擾乱源のそれぞれの幾何中心(C;Ci+1)をも通過し、
    隣接する角度の組が、360°/Nより大きい少なくとも1つの大きい角度群と、360°/Nより小さい少なくとも1つの小さい角度群とを備えることを特徴とする構造物。
  13. 隣接する角度の組が、360°/Nに等しい少なくとも1つの基準角度を含むことを特徴とする、請求項12に記載の構造物。
  14. 隣接する角度の組が、単一の隣接する大きい角度群と、単一の隣接する小さい角度群とを備えることを特徴とする、請求項13に記載の構造物。
  15. 隣接する角度の組が、
    単一の隣接する大きい角度群と、
    前記単一の隣接する大きい角度群に隣接する、第1の基準角度または第1の隣接する基準角度群と、
    前記第1の基準角度または第1の隣接する基準角度群と隣接する、単一の隣接する小さい角度群と、
    前記単一の隣接する小さい角度群に隣接する、第2の基準角度または第2の隣接する基準角度群とから構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の構造物。
  16. 隣接する角度の組が、単一の隣接する大きい角度群と、単一の隣接する小さい角度群とから構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の構造物。
  17. 隣接する角度の組が、複数の隣接する大きい角度群と、複数の隣接する小さい角度群とから構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の構造物。
  18. 隣接する角度の組が、複数の基準角度または複数の隣接する基準角度群を備え、各基準角度または隣接する基準角度群が、隣接する大きい角度群および隣接する小さい角度群の双方に隣接することを特徴とする、請求項17に記載の構造物。
  19. 隣接する角度の組が、複数の隣接する大きい角度群、および複数の隣接する小さい角度群によって構成され、各々の隣接する小さい角度群が、2つの隣接する大きい角度群に隣接することを特徴とする、請求項12に記載の構造物。
  20. 隣接する角度の組内の全ての大きい角度が、同じ所定値だけ大きくされ、隣接する角度の組内の全ての小さい角度が、前記所定値だけ小さくされることを特徴とする、請求項12から19のいずれか一項に記載の構造物。
  21. 隣接する角度の組内の少なくとも2つの大きい角度、および/または隣接する角度の組内の少なくとも2つの小さい角度が、互いに異なることを特徴とする、請求項12から19のいずれか一項に記載の構造物。
  22. 隣接する角度の組が、小さい角度と同数の大きい角度を備えていることを特徴とする、請求項12から21のいずれか一項に記載の構造物。
  23. 隣接する角度の組内の各大きい角度と各小さい角度が、360°/Nから10%以下しか違わないことを特徴とする、請求項12から22のいずれか一項に記載の構造物。
  24. 隣接する角度の組内の各大きい角度と各小さい角度が、360°/Nから5%以下しか違わないことを特徴とする、請求項12から22のいずれか一項に記載の構造物。
  25. 固定擾乱源(102;14)が、基点(O;O)に対してほぼ同じ径方向位置にあることを特徴とする、請求項12から24のいずれか一項に記載の構造物。
  26. 固定擾乱源(102;14)の組が、流体の流れ(11)の中でロータ(101)の上流側にあることを特徴とする、請求項12から25のいずれか一項に記載の構造物。
  27. 固定擾乱源の組が、流体の流れの中でロータの下流側にあることを特徴とする、請求項12から26のいずれか一項に記載の構造物。
  28. 構造物がターボ機械からなることを特徴とする、請求項12から27のいずれか一項に記載の構造物。
  29. 固定擾乱源(102)がステータの羽根であることを特徴とする、請求項12から28のいずれか一項に記載の構造物。
  30. 固定擾乱源(14)が、以下の種類の擾乱源、すなわち燃焼室のインジェクタ、冷気を抽出する部材、吐出弁、冷気を再注入する部材、センサ、およびプローブのいずれか1つであることを特徴とする、請求項12から28のいずれか一項に記載の構造物。
  31. 固定擾乱源のための角度分布が、請求項12から24のいずれか一項に記載の構造物が得られるような方法で選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
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