JP2008274453A - 光沢の改良された人工毛髪用ポリエステル系繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は人毛に似た毛髪に適した光沢と風合いを有し、かつその特性が持続できるポリエステル系繊維からなる人工毛髪を得ることである。
【解決手段】 平均一次粒子径500nm以下のコロイダルシリカで表面処理されたポリエステル系繊維であって、該シリカが繊維重量に対して0.01ないし1.0重量%付着したポリエステル系繊維からなる人工毛髪であり、溶融紡糸工程中(又は工程後)に繊維表面にコロイダルシリカと水性コーティング剤との混合液を付着させる製造方法により解決できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は人毛に似た毛髪として自然な光沢ときしみ(ワキシー)感がなくしっとりとした風合いを有するポリエステル系繊維からなる人工毛髪及びその製造方法に関する。
かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪製品においては、従来、人毛や人工毛髪(モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが使用されている。しかしながら近年、人毛の入手が次第に困難になってきており、それに代わって人工毛髪の重要性が高まってきている。人工毛髪素材として、難燃性の特長を生かしてモダクリル繊維が多く使用されてきたが、耐熱温度の点では不十分であった。近年になり、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルを主成分とするポリエステル系繊維を用いた人工毛髪繊維が提案されるようになってきた。しかしながら、ポリエステル系繊維はそのままでは光沢が強く、また硬くてきしみ(ワキシー)感のある風合いであり、人工毛髪素材として使用するにあたっては問題であった。このため、これら光沢や風合いを改善する方法が提案されている。通常、繊維表面を粗にすることが光沢の改良や風合い変化の手段と考えられ、微粒子、例えば酸化チタンを添加して艶を消すことが行なわれるが、この方法では単に艶を消すのみで発色性が悪くなることはよく知られている。また、無機微粒子を含有するポリエステル繊維をアルカリエツチングして繊維表面に特定の凹凸を形成させる技術が提案されている(特許文献1)。この方法は該凹凸粗面により優れた濃色化効果を付与する技術であるが、難点は光沢が減少し、光沢のある濃色効果が得られにくいものである。
さらに、微粒子をポリマー基質中に混合する方法が提案されているが、ポリマー中での粒子の凝集、ポリマー融液あるいは溶液の粘度上昇、製造工程における微粒子自身およびポリマーの分解、劣化、成形繊維の物性低下等の欠点がある。そこで微粒子を繊維表面に付着させる試みがなされているが、付着粒子がその後の工程あるいは繊維製品の使用時に脱落し易かったり、付着処理により繊維製品の品質が低下したり、あるいは付着処理工程のコストが高い等の難点があつた。また、微粒子を接着性樹脂と共に繊維表面へ塗布する方法では、接着性樹脂またはその組成物への微粒子の均一分散が困難であったり、樹脂と繊維との接着性が不良で樹脂と共にはがれて脱落したり、塗布厚さの制御が困難で繊維基材本来の機能、風合等が変化、低下したり、付着工程が煩雑で費用を要する等が欠点であった。
特開昭55−107512号
本発明は、人毛に似た毛髪に適した光沢と風合いを有し、かつその特性が持続できるポリエステル系繊維からなる人工毛髪及びその製造方法を提供する。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、親水性が高いコロイダルシリカを、水性コーティング剤へ分散させた混合液を用いてポリエステル繊維を処理する事で、人毛に酷似した光沢、触感が得られる事を見出した。
すなわち、本発明は平均一次粒子径200nm〜500nmのコロイダルシリカで表面処理されたポリエステル系繊維であって、該シリカが繊維重量に対して0.01ないし
1.0重量%付着されてなる光沢並びに風合いの改良されたポリエステル系繊維からなる人工毛髪であり、溶融紡糸工程、延伸、熱処理工程後に繊維表面にコロイダルシリカと水性コーティング剤との混合液を付着させるポリエステル系繊維からなる人工毛髪の製造方法である。
本発明の人工毛髪によって、人毛に似た光沢とフィラメント表面の触感風合いを有することができる。
本発明に用いられるポリエステル系繊維はポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルからなり、これらポリエステルとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートおよび/またはこれらのポリアルキレンテレフタレートを主体とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステルがあげられる。
前記主体とするとは、ポリアルキレンテレフタレートを50モル%以上、より好ましくは80モル%以上含有することをいう。前記共重合成分としては、たとえばイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸、それらの誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルなどのスルホン酸塩を含むジカルボン酸、その誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどがあげられる。前記共重合ポリエステルは、通常、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの重合体に少量の共重合成分を含有させて反応させることにより製造するのが、安定性、操作の簡便性の点から好ましいが、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの混合物に、さらに少量の共重合成分であるモノマーまたはオリゴマー成分を含有させたものを重合させることにより製造してもよい。前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖および/または側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよく、共重合の仕方などには特別な限定はない。
前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例としては、たとえばポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなどがあげられる。前記ポリアルキレンテレフタレートおよび共重合ポリエステルは、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなど)が好ましく、これらは2種以上混合したものも好ましい。
本発明のポリエステル系繊維はポリエステル系組成物をドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練することにより製造することができる。前記混練機の例としては、たとえば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。本発明のポリエステル系人工毛髪は、前記ポリエステル系組成物を通常の溶融紡糸法で溶融紡糸することにより製造することができる。すなわち、たとえば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を270〜310℃として溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させたのち、ガラス転移点以下に冷却し、50〜5000m/分の速度で引き取ることにより紡出糸条が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。得られた紡出糸条は熱延伸されるが、延伸は紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法および巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。延伸温度は、ベースとなるポリエステルのTgより高い温度で実施するのが好ましく、50〜100℃がよい。
本発明のポリエステル系人工毛髪には、必要に応じて、耐熱剤、光安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。また、必要であればペンタブロモトルエン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの臭素含有リン酸エステル類、臭素化ポリスチレン類、臭素化ポリベンジルアクリレート類、臭素化エポキシオリゴマー類、臭素化ポリカーボネートオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)などのテトラブロモビスフェノールA誘導体、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジンなどの臭素含有トリアジン系化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素含有イソシアヌル酸系化合物などの臭素含有難燃剤、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリネフチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチルなどの他、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェート、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリス(4−ヒドロキシブチル)ホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシド、トリス(3−ヒドロキシブチル)ホスフィンオキシド、3−(ヒドロキシフェニルホスフィノイル)プロピオン酸などのリン含有難燃剤等の難燃剤を添加しても良い。なお、顔料を含有させることにより、原着繊維を得ることもできる。
このようにして得られる本発明のポリエステル系人工毛髪は、非捲縮生糸状の繊維であり、その繊度は、通常、10〜100dtex、さらには20〜90dtexであるのが、人工毛髪に適している。
次に、本発明のポリエステル系繊維は、平均一次粒子径150nm〜500nm以下のコロイダルシリカで表面処理され、該シリカが繊維重量に対して0.01ないし1.0重量%付着されてなるポリエステル系繊維であり、製造方法としては、溶融紡糸工程、延伸、熱処理工程後に繊維表面にコロイダルシリカと水性コーティング剤との混合液を付着させる方法である。このコロイダルシリカとはケイ素酸化物を主成分とする微粒子が水または単価のアルコール類またはジオール類またはこれらの混合物を分散媒としてコロイドとして存在するものをいう。
本発明のコロイダルシリカの平均一次粒子径は150nm〜500nmであり、好ましくは200nm〜500nmであり、より好ましくは250nm〜500nm、さらに好ましくは300nm〜500nmの範囲である。該平均一次粒子径が150nm〜500nmの範囲にあれば、ゾル状への分散性、繊維表面への付着性、耐久性、適度な表面反射性のバランスがとれるために好ましい。繊維表面に付着されるコロイダルシリカは繊維重量に対して0.01ないし1.0重量%であり、好ましくは0.05ないし0.5重量%である。付着量が0.01重量%ないし1.0重量%の範囲にあれば、微粒子付着による改良の効果、耐久性、光沢や風合いなどのバランスがとれるために好ましい。
本発明の平均一次粒子径とは、動的光散乱法で求めたコロイダルシリカの平均一次粒子径をいう。
本発明の表面処理とは、コロイダルシリカを含有する水性コーティング剤溶液を繊維表面に塗布し、120℃熱風で30秒乾燥させる事である。
本発明においては、コロイダルシリカと水性コーティング剤との混合液を用いて繊維表面に付着させることが必須である。コーティング剤およびコロイダルシリカが水性であるため、分散が容易であり、凝集しにくいので均一な膜厚ができるからである。これにより表面屈折率が低下して人毛に似た毛髪に適した光沢となり、また繊維表面が親水性となりシットリ感が出る。
本発明の付着とは、コロイダルシリカに水性コーティング剤を用いてコーティングしても剥離しない程度に繊維表面に固定させる事である。
本発明の混合液とは、マグネティックスターラーなどにより攪拌しながら水性コーティング剤液中に20%コロイダルシリカ水分散液を少しずつ添加し、調整した液でのことである。
本発明の水性コーティング剤としては、水分散エマルジヨンのものが使用しやすく、コロイダルシリカと混合時に互いに凝集しない組み合わせのものであればよい。例えば、水性コーティング剤としては一般的にカチオン系のものはコロイダルシリカと凝集しやすいので、アニオン系またはノニオン系のものが好ましい。また、本発明で用いる水性コーティング剤は、基材であるコロイダルシリカを繊維表面に接着するために添加する物であり、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア系、ポリオキサゾリン系、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリ酢酸ビニル系など水性バインダーであれば種類は問わない。着色などが無い点からポリエステル系、ポリアクリル系、ポリビニルアルコール系が特に好ましい。
繊維表面に付着される水性コーティング剤は繊維重量に対して0.01ないし1.0重量%であり、好ましくは0.05ないし0.5重量%である。付着量が0.01重量%より少ないと微粒子付着の耐久性改良の効果がなく、また1.0重量%を超えると光沢や風合いなど繊維製品の品質が悪化するので好ましくない。さらに水性コーティング剤とコロイダルシリカとの固形分重量比が3:1〜1:3が好ましく、1:1〜1:2であることが更に好ましい。水性コーティング剤とコロイダルシリカとの固形分重量比が3:1〜1:3の範囲であれば、触感と脱落抑制の点から好ましい。
本発明において、コロイダルシリカと水性コーティング剤との混合液を用いて繊維表面に付着させる方法は特に制限はないが、タッチロール方式、スプレー方式、ディッピング方式等の通常用いられる加工方法が採用でき、繊維に付与した後マングルなどで適宜の付着量に調整するなどした後、乾熱あるいは湿熱処理することによって繊維表面に付着される。なかでもディッピング方式が、繊維表面全体を覆う事ができる点で好ましい。
この様に本発明の方法に従えば、付着されるコロイダルシリカの作用により、繊維表面は親水性を示し、人毛に似たしっとりとした風合いとなり、また、繊維表面において適度の屈折率が低下し、人毛に似た自然な光沢が得られる。
本発明の繊維表面線粗さとしては、人毛に似た自然な表面光沢と櫛通りの良さとをバランスさせるためには、算術平均粗さ(Ra)は0.08〜0.20μmの範囲が好ましく、0.10〜0.15μmであることがさらに好ましい。
また、本発明の人工毛髪用ポリエステル系繊維は、コロイダルシリカは一般的なシリカなどの艶消しに用いられる粒子に比べ親水性が高いことから水性コーティング剤への分散性が良好であり凝集しにくく光沢をコントロールすることが可能になる。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例および比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
ポリエステル系樹脂:ポリエチレンテレフタレート、三菱化学(株)製、BK−2180、IV=0.83
臭素系難燃剤:臭素化エポキシ系難燃剤、阪本薬品工業(株)製、SR−T20000
難燃助剤:アンチモン酸ナトリウム、日本精鉱(株)製、SA−A
(数平均粒子径2.0μm)
コロイダルシリカA:MP−4540M、粒子径450nm;日産化学工業(株)製
コロイダルシリカB:MP−3040、粒子径300nm;日産化学工業(株)製
コロイダルシリカC:MP−2040、粒子径200nm;日産化学工業(株)製
コロイダルシリカD:MP−1040、粒子径100nm;日産化学工業(株)製
水性コーティング剤A:TKセット413、ポリエステル系バインダー;
高松油脂(株)製
水性コーティング剤B:ハイレジンR−4514E、アクリル系バインダー;
高松油脂(株)製
シリカ:UNIMIN社製、イムシルA−8(数平均粒子径2〜3μm)
なお、特性値の測定法は、以下のとおりである。
(繊維表面線粗さ)
本発明において、繊維表面に存在する突起の大きさは、レーザー顕微鏡(キーエンス製VK−9500)により算術平均粗さ(Ra)を求めたものである。繊維側面を3000倍(対物レンズ150倍×内蔵レンズ20倍)の倍率で、繊維軸と平行に10本測定し、得られた画像をJIS B0601−1994の表面粗さの定義に準じた計算式に基づき算出した。
(くし通り)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントの最上部を片手に持って垂直に垂らし、くし(NEW DELRIN COMB No.826)を0.3m/sの速さでトウフィラメントの上部3cmの所から下へ、完全に30回通過させた後に、31回目〜40回目までの10回のくし通りを評価し、くしの通り易さの指標とした。
○:ほとんど抵抗ない(軽い)
△:若干抵抗がある(重い)
×:かなり抵抗がある、または、完全に通過させることが出来ず途中で引っかかる
(繊維の光沢)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により、以下の基準で評価した。
○:人毛に近い光沢レベル。
△:人毛よりもやや光沢が高い。
×:明らかに人毛よりも光沢が高い。
(繊維の風合い)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを手で触り、フィラメント表面の触感を評価した。
○:しっとり感があり、人毛に近い触感である
×:ドライであり、きしむ(ワキシー)
(耐シャンプー性)
長さ30cm、総繊度100万dtexのトウフィラメントの一方の端を、インシュロック(登録商標)を用いて固定する。得られたトウフィラメントを、エマール20C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、花王(株)製)10mlを2Lの湯(40℃)に添加して、30秒間もみ洗いを行なった。その後、40℃の湯で充分に濯ぎ、乾燥させた。シャンプー操作を5回繰り返した後のフィラメント束の光沢、触感を評価した。
○:光沢、触感に変化が無い
×:コロイダルシリカが脱落し光沢、触感が変化している
(平均一次粒子径)
動的光散乱法で求めたコロイダルシリカの平均一次粒子径をいう。本実施例においては、レーザー回折/動的光散乱法(装置名:大塚電子(株)ELS−800)で測定を行った。
(実施例1)
BK−2180 100重量部、SR−T20000 20重量部、SA−A 2重量部、を、水分量100ppm以下になるように乾燥し、ドライブレンドした後、着色用ポリエステルペレットPESM6100 BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%、ポリエステルはBK−2180)2重量部を添加してドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEX44)に供給し、バレル設定温度280℃で溶融混練し、ペレット化したのちに、水分量100ppm以下に乾燥させた。
ついで、得られたペレットを水分量100ppm以下になるように乾燥した後、溶融紡糸機(シンコーマシナリー(株)製、SV30)に供給して、バレル設定温度280℃で扁平比が1.4:1の繭形断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、20℃の冷却風により空冷し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸に対し、85℃に加熱したヒートロールを用いて4倍に延伸し、200℃に加熱したヒートロールを用いて熱処理を行い、30m/分の速度で巻き取り、単繊維繊度が
60dtex前後のポリエステル系モノフィラメント繊維を得た。
得られたモノフィラメントに対し、MP−4540M(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/TKセット413(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)=
0.3/0.3omfになるよう溶液を調整、塗布し、熱風乾燥機を用いて120℃にて30分間乾燥させた。更に繊維処理剤として、KWC−Q(エチオキサイド−プロピレンオキサイドのランダム共重合ポリエーテル;丸菱油化工業(株)製)/KWC−B(アミノ変性シリコーン;丸菱油化工業(株)製)/加工剤29(カチオン性界面活性剤;丸菱油化工業(株)製)=0.10/0.20/0.05%omfを塗布し、熱風乾燥機を用いて120℃にて10分間乾燥させた。
得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表1に示した。
(実施例2)
MP−4540M(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/ハイレジンR−4514E(アクリル系バインダー;高松油脂(株)製)=0.3/0.3%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表1に示した。
(実施例3)
MP−3040(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/TKセット413(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)=0.3/0.3%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表1に示した。
(実施例4)
MP−2040(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/TKセット413(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)=0.3/0.3%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表1に示した。
(実施例5)
MP−4540M(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/TKセット413
(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)=0.01/0.03%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表1に示した。
(実施例6)
MP−4540M(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/TKセット413(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)=1/0.8%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表1に示した。
(実施例7)
MP−4540M(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)が0.3%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表2に示した。
(実施例8)
MP−4540M(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/TKセット413
(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)=0.1/0.4%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表2に示した。
(実施例9)
MP−4540M(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/TKセット413
(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)=0.4/0.1%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表2に示した。
(比較例1)
MP−4540M(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/TKセット413(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)=0.005/0.01%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表3に示した。
(比較例2)
MP−4540M(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/TKセット413
(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)=1.5/0.1%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表3に示した。
(比較例3)
TKセット413(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)が0.3%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表3に示した。
(比較例4)
イムシルA−8(シリカ:UNIMIN社製)が0.3%omf、TKセット413
(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)が0.3%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表3に示した。
(比較例5)
MP−1040(コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)/TKセット413
(ポリエステル系バインダー;高松油脂(株)製)=0.3/0.3%omfになる溶液を用いた以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表3に示した。
(比較例6)
コロイダルシリカおよび水性コーティング剤を全く用いない以外は実施例1にしたがい行なった。得られた繊維の光沢、触感、櫛通りおよび耐シャンプー性を上述の方法で評価した。結果を表3に示した。
表1〜3に示した実施例1〜9および比較例1〜6の評価結果から、本発明の方法に従えば、ポリエステル系繊維からなる人工毛髪の光沢や風合いが改善されていることが判る。
Figure 2008274453
Figure 2008274453
Figure 2008274453

Claims (6)

  1. 平均一次粒子径が150nm〜500nmのコロイダルシリカで表面処理されたポリエステル系繊維であって、該シリカが繊維重量に対して0.01〜1.0重量%付着されてなる人工毛髪用ポリエステル系繊維。
  2. ポリエステル系繊維の繊維表面線粗さRaが0.08〜0.20μmである請求項1記載の人工毛髪用ポリエステル系繊維。
  3. 溶融紡糸工程、延伸、熱処理工程後に繊維表面にコロイダルシリカと水性コーティング剤との混合液を付着させることを特徴とする請求項1または2に記載の人工毛髪用ポリエステル系繊維の製造方法。
  4. 前記水性コーティング剤とコロイダルシリカとの固形分重量比が3:1〜1:3である請求項3に記載の人工毛髪用ポリエステル系繊維の製造方法。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の人工毛髪用ポリエステル系繊維を含有する人工毛髪。
  6. 請求項3又は請求項4に記載の方法で得られた人工毛髪用ポリエステル系繊維を含有する人工毛髪。
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