JP2005273033A - ポリエステル系人工毛髪用繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】 通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、耐ドリップ性に優れ、繊維の艶がコントロールされたポリエステル系人工毛髪用繊維、さらに、難燃性にも優れるポリエステル系人工毛髪用繊維を提供すること。
【解決手段】 ポリエステルに有機架橋粒子を含んでなるポリエステル系組成物を溶融紡糸することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、耐ドリップ性に優れたポリエステル系人工毛髪用繊維が得られ、また、更に、リン系難燃剤および/または臭素系難燃剤を含むことで、繊維物性の低下を招くことなく、難燃性にも優れるポリエステル系人工毛髪用繊維が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステルに有機架橋粒子を含んでなる組成物、好ましくは、更に、リン系難燃剤および/または臭素系難燃剤を含んでなる組成物から形成されたポリエステル系人工毛髪用繊維に関する。さらに詳しくは、耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、耐ドリップ性に優れた人工毛髪用繊維であり、さらに、リン系難燃剤および/または臭素系難燃剤を含むことにより、難燃性にも優れた人工毛髪用繊維に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルからなる繊維は、高融点、高弾性率で優れた耐熱性、耐薬品性を有していることから、カーテン、敷物、衣料、毛布、シーツ地、テーブルクロス、椅子張り地、壁装材、人工毛髪、自動車内装資材、屋外用補強材、安全ネットなどに広く使用されている。
一方、かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪製品においては、従来、人毛や人工毛髪(モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが使用されてきている。しかし、人毛の提供は困難になってきており、人工毛髪の重要性が高まってきている。
人工毛髪用繊維としては、易セット性、セット保持性、櫛通り性、光による退色が少ないなどの特性のほか、特に人毛に近い適度なつや消し性と色が必要とされるが、常法で製糸したポリエステル繊維そのままでは糸表面が平坦で、かつ光の屈折率が繊維軸方向で1.72、繊維軸と直交する方向でも1.54と高いため、光の反射が強く、表面光沢が高くなり、人工毛髪に適用することができない。
この点を改良するため、従来よりポリエステル繊維表面のつや消し技術の提案が行なわれてきた。例えばポリエステル繊維の表面に多数の擦過傷を生じさせて粗面化し、つや消しを施した人工毛髪を得る方法が知られている。しかしながら、この方法により得られたつや消し繊維は繊維表面に生じた擦過傷のために繊維の強度が低下するという欠点を有していた。また、酸化硅素を主成分とする微粒子などを含有するポリエステル系繊維をアルカリ性水溶液で処理し、繊維表面に特定の微細な凹凸を形成させた人工毛髪用ポリエステル繊維およびその製造方法が開示されている(特許文献1)。しかしながら、この方法で得られた繊維は表面の凹凸が微細、かつ均一過るために艶消し状態が不十分で、斜め方向からの光を受けたときに強い光の反射を示すことが認められ、人工毛髪としての使用が制約されていた。また、十分なつや消し効果を得るために、無機微粒子の含有量を増量し、繊維表面の凹凸のサイズを大きくしたり、数を増やしたりすると、原料であるポリエステル中に多くの微粉末を混入させることになり、紡糸した繊維の強度が、含有させる微粉末の量に比例して劣化するということが経験上から一般的に言われている。人工毛髪の強度はかつらの耐久性に関与し、弱いと耐久性が低下する。
一方、繊維表面につや消しに影響する無機物質を含有させずに凹凸を付与する手段として、ポリエステル系繊維にプラズマ光を当てる方法が知られている。しかしながら、該方法においては、大きく分けて原糸を形成するための紡糸工程と、原糸の外表面に凹凸部を形成するプラズマ加工工程と、凹部を有する原糸に人工毛の色を付与するための染色工程との3段階の工程が必要となり、現状では各工程を行う場所、時間などが著しく異なるため、各工程間の調整が容易でなく、そのため均一の品質を有する人工毛髪を安定的に得ることができないという欠点がある。
また、人工毛髪素材としては、安全性の観点から難燃性付与が必要となってきている。従来のポリエステル繊維は、易燃性であるため、ポリエステル繊維の難燃性を向上させようとする試みは種々なされており、たとえばリン原子を含有する難燃性モノマーを共重合させたポリエステルからの繊維にする方法や、ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法などが知られている。
前者の難燃性モノマーを共重合させる方法としては、たとえば、リン原子が環員子となっていて熱安定性の良好なリン化合物を共重合させる方法(特許文献2)、また、カルボキシホスフィン酸を共重合させる方法(特許文献3)、ポリアリレートを含むポリエステルにリン化合物を配合または共重合させる方法(特許文献4)などが提案されている。前記難燃化技術を人工毛髪に適用したものとしては、たとえばリン化合物を共重合させたポリエステル繊維が提案されている(特許文献5)。しかしながら、人工毛髪には高い耐燃性が要求されるため、これらの共重合ポリエステル繊維を人工毛髪に使用するには、その共重合量を多くしなければならず、その結果、ポリエステルの耐熱性が大幅に低下し、溶融紡糸が困難になったり、火炎が接近した場合、着火・燃焼はしないが、溶融・ドリップするという別の問題が発生する。
一方、後者の難燃剤を含有させる方法としては、ポリエステル繊維に、微粒子のハロゲン化シクロアルカン化合物を含有させる方法(特許文献6)、臭素原子含有アルキルシクロヘキサンを含有させる方法(特許文献7)などが提案されている。前記ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法では、充分な耐燃性を得るために、含有処理温度を150℃以上の高温にすることが必要であったり、含有処理時間を長時間にする必要があったり、あるいは大量の難燃剤を使用しなければならないといった問題があり、繊維物性の低下や生産性の低下、製造コストがアップするなどの問題が発生する。
このように、従来のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、難燃性、セット性、くし通りに優れた人工毛髪は、いまだ得られていないのが実状である。
特開昭63−12716号公報 特公昭55−41610号公報 特公昭53−13479号公報 特開平11−124732号公報 特開平3−27105号公報 特公平3−57990号公報 特公平1−24913号公報
本発明は、前述のごとき従来の問題を解決し、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、難燃性、セット性、触感、透明性、耐ドリップ性に優れ、さらに、繊維の艶がコントロールされたポリエステル系人工毛髪用繊維を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルに有機架橋粒子を混合したポリエステル組成物を溶融紡糸することによりすることにより、繊維物性の低下を招くことなく、繊維の艶をコントロールすることができ、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、耐ドリップ性に優れたポリエステル系人工毛髪用繊維が得られることを見出した。前記ポリエステル組成物に、更に、リン系難燃剤および/または臭素系難燃剤を含んでなるポリエステル組成物を溶融紡糸することにより難燃性を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、有機架橋粒子(B)0.2重量部以上5重量部以下を含んでなるポリエステル系組成物から形成されたポリエステル系人工毛髪用繊維に関する。
好ましい態様としては、
(1)ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種である、
(2)有機架橋粒子(B)が、架橋ポリエステル粒子、架橋アクリル粒子よりなる群から選ばれた少なくとも1種である、
(3)有機架橋粒子(B)の平均粒子径が、0.5μm以上20μm以下である、
(4)ポリエステル系組成物に、リン系難燃剤(C)および/または臭素系難燃剤(D)を、ポリエステル(A)100重量部に対し、5重量部以上30重量部以下混合して得られるポリエステル系組成物から形成される、
(5)リン系難燃剤(C)が、ホスフェート系化合物、ホスホネート系化合物、ホスフィネート系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、ホスファイト化合物、ホスホナイト系化合物、ホスフィナイト系化合物、ホスフィン系化合物および縮合リン酸エステル化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である、
(6)リン系難燃剤(C)が、下記一般式(1)、(2)で表わされる1以上の化合物である、
Figure 2005273033
(式中、R1は1価の芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。R2は2価の芳香族炭化水素基であり、2個以上含まれる場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。nは0〜15を示す。)
Figure 2005273033
(式中、R3は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、R4は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基、直鎖または分岐を有するヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアラルキル基を示す)
(7)リン系難燃剤(C)が、ポリエステル組成物(A)と共重合型のリン含有難燃剤であり、(A)成分と共重合されていることを特徴とする、
(8)共重合型のリン含有難燃剤が、一般式(3)および/または(4)で表されるリン含有化合物である、
Figure 2005273033
(式中、R5は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、R6は水素原子又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、mは1〜11の整数を示す。)
Figure 2005273033
(式中、R7は水素原子又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。)
(9)臭素系難燃剤(D)が、臭素含有リン酸エステル系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ポリベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フェノキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物、臭素含有イソシアヌル酸系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である、
(10)前記ポリエステル系繊維が、非捲縮生糸状である、
(11)前記ポリエステル系繊維が、原着されている、
(12)単繊維繊度が10〜100dtexである、
前記記載のポリエステル系繊維に関する。
本発明によると、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性、耐ドリップ性に優れ、繊維の艶がコントロールされたポリエステル系人工毛髪用繊維、さらに、難燃性にも優れるポリエステル系人工毛髪用繊維が得られる。
本発明のポリエステル系人工毛髪用繊維は、ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)、有機架橋粒子(B)を含んでなるポリエステル組成物、好ましくは、更に、リン系難燃剤(C)および/または臭素系難燃剤(D)を含んでなる組成物を溶融紡糸した繊維である。
本発明に用いられるポリエステル(A)に含まれるポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートおよび/またはこれらのポリアルキレンテレフタレートを主体とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステルがあげられる。
前記主成分とするとは、80モル%以上含有することをいう。
前記共重合成分としては、たとえば、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸やそれらの誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルなどのスルホン酸塩を含むジカルボン酸やその誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどの多価アルコール類やその誘導体があげられる。
前記共重合ポリエステルは、通常、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの重合体に少量の共重合成分を含有させて反応させることにより製造するのが、安定性、操作の簡便性の点から好ましいが、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの混合物に、さらに少量の共重合成分であるモノマーまたはオリゴマー成分を含有させたものを重合させることにより製造してもよい。
前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖および/または側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよく、共重合の方法などには特別な限定はない。
前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例としては、たとえばポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなどがあげられる。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなど)が好ましく、中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが更に好ましい。前記ポリアルキレンテレフタレートを主体としたポリエステル(A)は、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル(A)の固有粘度としては、好ましくは0.5dl/g以上1.4dl/g以下であり、さらには0.6dl/g以上1.2dl/g以下であるのが好ましい。固有粘度が0.5dl/g未満の場合、得られる繊維の機械的強度が低下する傾向が生じ、1.4dl/gをこえると、分子量の増大に伴い溶融粘度が高くなり、溶融紡糸が困難になったり、繊度が不均一になる傾向が生じる。
本発明に用いられる有機架橋粒子(B)は、有機化合物で、架橋構造を有し、過熱されても粒子形状を維持できるものである。本発明におけるポリエステル組成物は、ポリエステル(A)100重量部に対して0.2重量部以上5重量部以下、好ましくは、0.5重量部以上4重量部以下含んでなる。この範囲で、有機架橋粒子を含有することで、発色性の低下を招くことなく、繊維の艶を調整することができる。有機架橋粒子(B)の平均粒子径は、0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、更には、1μm以上15μm以下であることが好ましい。この範囲内の粒子径であると、ポリエステル(A)中で凝集することなく、良好に分散され、繊維の艶調整の効果が高くなる。粒子径は、例えば、レーザー散乱式粒度分布装置を用いて測定することができる。
有機架橋粒子の中では、耐熱性、ポリエステル(A)中での分散性の点から、架橋ポリエステル粒子、架橋アクリル粒子が好ましい。
前記架橋ポリエステル粒子は、不飽和ポリエステルとビニル系単量体を水分散させ、架橋硬化させることで得られる。ここで使用される不飽和ポリエステルとしては、とくに限定はなく、たとえば、α,β−不飽和酸もしくはα,β−不飽和酸と飽和酸との混合物と、二価アルコールもしくは三価アルコールとを重合させたものなどを挙げることができる。α,β−不飽和酸としては、たとえば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などが、飽和酸としてはたとえば、フタル酸、テレフタル酸、コハク酸、グルタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などが挙げられる。また、二価アルコールおよび三価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。ビニル系単量体としては、とくに限定はなく、たとえば、スチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、アクリル酸、メチルアクリレート、アクリロニトリル、エチルアクリレート、ジアリルフタレートなどが挙げられる。
前記架橋アクリル粒子は、アクリル系単量体と架橋剤を水分散させ、架橋硬化させることで得られる。ここで使用されるアクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸やアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸プロポキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸フエノキシエチル、アクリル酸フエノキシジエチレングリコール、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フエニルオキシプロピル、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等アクリル酸の誘導体、メタクリル酸やメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸プロポキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸フエノキシエチル、メタクリル酸フエノキシジエチレングリコール、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸N−ビニル−2−ピロリドン、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−3−フエニルオキシプロピル等のメタクリル酸の誘導体、ビニルピリジン等の1分子中に1個のビニル基を有するビニル系単量体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組合せて使用することができる。
また、架橋剤としては1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体であればいずれでもよいが、1分子中に2個のビニル基を有するものが好ましい。その好ましい単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、グリコールとメタクリル酸あるいはアクリル酸との反応生成物、例えばエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート等があるが、これらに限定されるものではない。その添加量は、ビニル基を1個有する単量体100重量部に対して0.02重量部以上5重量部以下が好ましい。重合開始剤としては、過酸化物系ラジカル重合開始剤が好ましく、例えば、過酸化ベンゾイル、過安息香酸2−エチルヘキシル、過酸化アセチル、過酸化イソブチリル、過酸化オクタノイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジtert−ブチル、クメンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、4,4,6−トリメチルシクロヘキサノンジtert−ブチルペルオキシケタール、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、シクロヘキサノンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、アセトンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、ジイソプロピルヒドロペルオキシド等が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、ビニル基を1個有する単量体100重量部に対して0.05重量部以上10重量部以下使用されるのが好ましい。
本発明に用いられるリン系難燃剤(C)にはとくに限定はなく、一般に用いられているリン含有難燃剤であれば使用することができる。ここでリン系難燃剤(C)は、非共重合型のリン含有難燃剤を2種以上混合して用いてもよいし、反応型のリン含有難燃剤を(A)成分と共重合させて使用してもよい。リン系難燃剤(C)の使用量は、ポリエステル(A)100重量部に対し、5重量部以上30重量部以下が好ましく、6重量部以上25重量部以下がより好ましく、7重量部以上20重量部以下がさらに好ましい。使用量が5重量部より少ないと難燃効果が得られ難い場合があり、30重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる場合がある。
非共重合型のリン含有難燃剤としては、ホスフェート系化合物、ホスホネート系化合物、ホスフィネート系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、ホスホナイト系化合物、ホスフィナイト系化合物、ホスフィン系化合物、たとえば一般式(1):
Figure 2005273033
(式中、R1は1価の芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。R2は2価の芳香族炭化水素基であり、2個以上含まれる場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。nは0〜15を示す。)
に示されるような縮合リン酸エステル化合物、
一般式(2):
Figure 2005273033
(式中、R3は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、R4は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基、直鎖または分岐を有するヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアラルキル基を示す)
で表わされる化合物が挙げられる。更に具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリネフチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチルなどのほか、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートなどや、式(5)、(6)、(7)、(8)、(9):
Figure 2005273033
Figure 2005273033
Figure 2005273033
Figure 2005273033
Figure 2005273033
で表わされる化合物が挙げられる。これらは1種で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非共重合型のリン含有難燃剤を使用する場合の使用量は、ポリエステル(A)100重量部に対し、5重量部以上30重量部以下が好ましく、6重量部以上25重量部以下がより好ましく、7重量部以上20重量部以下がさらに好ましい。使用量が5重量部より少ないと難燃効果が得られ難くなる場合があり、30重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる場合がある。
共重合型のリン含有難燃剤としては、(A)成分と共重合可能な反応型リン系難燃剤を使用することができ、一般式(3):
Figure 2005273033
(式中、R5は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、R6は水素原子又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、mは1〜11の整数を示す。)
一般式(4):
Figure 2005273033
(式中、R7は水素原子又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。)
で表されるリン系化合物などが挙げられ、さらに具体例としては、たとえば、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリス(4−ヒドロキシブチル)ホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシド、トリス(3−ヒドロキシブチル)ホスフィンオキシド、3−(ヒドロキシフェニルホスフィノイル)プロピオン酸などや、式(10)、(11):
Figure 2005273033
Figure 2005273033
などのリン含有化合物が挙げられる。
上記共重合型のリン含有難燃剤の場合の使用量は、ポリエステル(A)100重量部に対して、2重量部以上10重量部以下であることが好ましく、3重量部以上9重量部以下であることがより好ましく、4重量部以上8重量部以下であることががさらに好ましい。使用量が、2重量部より少ないと難燃効果が得られ難い場合があり、10重量部より多いと機械的特性、耐熱性が損なわれる場合がある。共重合型のリン含有難燃剤を共重合させる熱可塑性共重合ポリエステルの製造は、公知の方法を用いることができ、ジカルボン酸およびその誘導体とジオール成分およびその誘導体と共重合型のリン含有難燃剤を混合し重縮合する方法や熱可塑性ポリエステルをエチレングリコールなどのジオール成分を用いて解重合し、解重合時に共重合型のリン含有難燃剤を混在させ、再度、重縮合させて共重合体を得る方法などが好ましい。
本発明に用いられる臭素系難燃剤(D)には、とくに限定はなく、一般に用いられている臭素含有難燃剤であれば使用することができる。具体例としては、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの臭素含有リン酸エステル系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ポリベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フェノキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA誘導体、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジンなどの臭素含有トリアジン系化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素含有イソシアヌル酸系化合物などが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、臭素含有リン酸エステル系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ポリベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フェノキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA誘導体が好ましい。
臭素系難燃剤(D)の使用量は、ポリエステル(A)100重量部に対し、5重量部以上30重量部以下であることが好ましく、5重量部以上25重量部以下であることがより好ましく、7重量部以上20重量部以下であることがさらに好ましい。使用量が5重量部より少ないと難燃効果が得られ難くなる場合があり、30重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる場合がある。
本発明においては、リン系難燃剤(C)と臭素系難燃剤(D)それぞれ単独で用いても良いし、併用しても構わない。
本発明に使用するポリエステル系組成物は、たとえば、ポリエステル(A)および有機架橋粒子(B)、好ましくは、更にリン系難燃剤(C)および/または臭素系難燃剤(D)をドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練することにより製造することができる。
前記混練機の例としては、たとえば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪用繊維は、前記ポリエステル系組成物を通常の溶融紡糸法で溶融紡糸することにより製造することができる。
すなわち、たとえば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を270〜310℃とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させたのち、ガラス転移点以下に冷却し、50〜5000m/分の速度で引き取ることにより紡出糸条が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。
得られた紡出糸条は熱延伸されるが、延伸は紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法および巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
本発明のポリエステル系人工毛髪用繊維には、必要に応じて、耐熱剤、光安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。顔料を含有させることにより、原着繊維を得ることができる。
このようにして得られる本発明のポリエステル系人工毛髪用繊維は、好ましくは、非捲縮生糸状の繊維であり、その繊度は、好ましくは、10〜100dtex、さらには20〜90dtexであることが、人工毛髪用に適している為好ましい。また、人工毛髪用繊維としては、160〜200℃で美容熱器具(ヘアーアイロン)が使用できる耐熱性を有しており、着火しにくく、自己消火性を有していることが好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪用繊維が原着されている場合、そのまま使用することができるが、原着されていない場合、通常のポリエステル系繊維と同様の条件で染色することができる。
染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、特に限定はないが、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
本発明のポリエステル系人工毛髪用繊維は、美容熱器具(ヘアーアイロン)を用いたカールセット性に優れ、カールの保持性にも優れる。また、繊維表面の凹凸により、適度に艶消されており、人工毛髪として使用することができる。さらに、繊維表面処理剤、柔軟剤などの油剤を使用し、触感、風合を付与して、より人毛に近づけることができる。
また、本発明のポリエステル系人工毛髪用繊維は、モダアクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ナイロン繊維など、他の人工毛髪素材と併用してもよいし、人毛と併用してもよい。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお特に断りのない限り、重量基準である。
なお、特性値の測定法は、以下のとおりである。
(強度および伸度)
インテスコ社製、INTESCO Model201型を用いて、フィラメントの引張強伸度を測定する。長さ40mmのフィラメント1本をとり、フィラメントの両端10mmを、接着剤を糊付けした両面テープを貼り付けた台紙(薄紙)で挟み、一晩風乾させて、長さ20mmの試料を作製する。試験機に試料を装着し、温度24℃、湿度80%以下、荷重1/30gF×繊度(デニール)、引張速度20mm/分で試験を行ない、強伸度を測定する。同じ条件で試験を10回繰り返し、平均値をフィラメントの強伸度とする。
(光沢)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により評価する。
◎:人毛に等しいレベルに光沢が調整されている
○:適度に光沢が調整されている
△:若干光沢が多すぎる、または、若干光沢が少なすぎる
×:光沢が多すぎる、または、光沢が少なすぎる
(透明性)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により、標準フィラメント(ポリエチレンテレフタレートからなる総繊度10万dtexのトウフィラメント)と比較評価する。
○:標準フィラメントと同レベルである
△:標準フィラメントに比べ、わずかに濁りがある
×:標準フィラメントに比べ、明らかに濁りがある
(触感)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを手で触り、フィラメント表面のベタツキ感を評価する。
○:ベタツキ感なし
△:若干ベタツキ感がある
×:ベタツキ感がある
(難燃性)
繊度約50dtexのフィラメントを150mmの長さに切り、0.7gを束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに固定して垂直に垂らす。有効長120mmの固定したフィラメントに20mmの炎を3秒間接炎させ、燃焼させて評価する。
−燃焼性−
◎:残炎時間が0秒(着火しない)
○:残炎時間が3秒未満
△:残炎時間が3〜10秒
×:残炎時間が10秒以上
−耐ドリップ性−
◎:ドリップ数が0
○:ドリップ数が5以下
△:ドリップ数が6〜10
×:ドリップ数が11以上
(アイロンセット性)
ヘアーアイロンによるカールセットのしやすさ、カール形状の保持性の指標である。フィラメントを180℃に加熱したヘアーアイロンにかるく挟み、3回扱き予熱する。このときのフィラメント間の融着、櫛通り、フィラメントの縮れ、糸切れを目視評価する。つぎに、予熱したフィラメントをヘアーアイロンに捲きつけ、10秒間保持し、アイロンを引き抜く。このときの抜きやすさ(ロッドアウト性)、抜いたときのカールの保持性を目視評価する。
(製造例1)
不飽和ポリエステル樹脂[商品名:エポラックN−14B,酸価12,スチレン含有量40%,日本触媒株式会社製]75重量部、スチレン25重量部およびナフテン酸コバルト(コバルト含有量6重量%)0.4重量部をディスパー攪拌機で、30m/秒の周速で攪拌しながら、水300重量部に酸化マグネシウム1重量部を添加しボールミルに3時間かけて分散させた水懸濁液を徐々に加えて、油中水型エマルジョンを得た。次に、このエマルジョンに、ポリビニルアルコール(PVA、重合度2000、けん化度80%)4.0重量%水溶液300重量部を加え、プロペラ攪拌機で8m/秒の周速で10分間攪拌した。さらに硬化触媒メチルエチルケトンパーオキシド(MEKPO)1.5重量部を添加し、30℃で攪拌を続け、不飽和ポリエステル粒子のスラリーを得た。このポリエステル粒子をろ過し、得られたポリエステル粒子のケーキを105℃で1昼夜乾燥し、粒子径15μmの架橋ポリエステル粒子を得た。
(実施例1〜8、比較例1〜3)
表1、表2に示す比率の組成物を、水分量100ppm以下に乾燥し、着色用ポリエステルペレットPESM6100 BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%、ポリエステルは(A)成分に含まれる)2部を添加してドライブレンドし、二軸押出機に供給し、280℃で溶融混練し、ペレット化したのちに、水分量100ppm以下に乾燥させた。ついで、溶融紡糸機を用いて280℃でノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、20℃の冷却風により空冷し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸に対し、85℃に加熱したヒートロールを用いて4倍に延伸し、200℃に加熱したヒートロールを用いて熱処理を行い、30m/分の速度で巻き取り、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
Figure 2005273033
Figure 2005273033
*1:ポリエチレンテレフタレート、カネボウ合繊(株)製
*2:難燃剤共重合ポリエステル、東洋紡績(株)製(ポリエチレンテレフタレートに式(12)で表される化合物を4.5mol%共重合)
*3:製造例1
*4:アクリル架橋粒子、綜研化学(株)製、平均粒子径10μm
*5:式(8)で表される化合物、三光(株)製
*6:臭素化エポキシ系難燃剤、阪本薬品工業(株)製
Figure 2005273033
Figure 2005273033
得られた繊維を用いて、強伸度、光沢、透明性、触感、難燃性、アイロンセット性を評価した結果を表3,4に示す。
Figure 2005273033
Figure 2005273033
表3,4に示したように、比較例に対し、実施例では、光沢、透明性、触感、などに優れ、さらに、難燃剤を使用することで、難燃性にも優れることが確認された。従って今回の有機架橋粒子を使用した人工毛髪用繊維は、従来の人工毛髪用繊維に比べ、ポリエステルの機械的特性、熱的特性を維持したまま、光沢、透明性、触感、セット性が改善された人工毛髪として有効に用いることが可能となることを確認した。

Claims (13)

  1. ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、有機架橋粒子(B)0.2重量部以上5重量部以下を含んでなるポリエステル系組成物から形成されたポリエステル系人工毛髪用繊維。
  2. ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
  3. 有機架橋粒子(B)が、架橋ポリエステル粒子、架橋アクリル粒子よりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
  4. 有機架橋粒子(B)の平均粒子径が、0.5μm以上20μm以下である請求項1〜3何れか一項に記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
  5. ポリエステル系組成物に、リン系難燃剤(C)および/または臭素系難燃剤(D)を、ポリエステル(A)100重量部に対し、5重量部以上30重量部以下混合して得られるポリエステル系組成物から形成される請求項1〜4何れか1項に記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
  6. リン系難燃剤(C)が、ホスフェート系化合物、ホスホネート系化合物、ホスフィネート系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、ホスファイト化合物、ホスホナイト系化合物、ホスフィナイト系化合物、ホスフィン系化合物および縮合リン酸エステル化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項5記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
  7. リン系難燃剤(C)が、下記一般式(1)、(2)で表わされる1以上の化合物である請求項6記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
    Figure 2005273033
    (式中、R1は1価の芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。R2は2価の芳香族炭化水素基であり、2個以上含まれる場合、それらは同一であってもよく異なっていてもよい。nは0〜15を示す。)
    Figure 2005273033
    (式中、R3は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、R4は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基、直鎖または分岐を有するヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアラルキル基を示す)
  8. リン系難燃剤(C)が、ポリエステル組成物(A)と共重合型のリン含有難燃剤であり、(A)成分と共重合されていることを特徴とする請求項5記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
  9. 共重合型のリン含有難燃剤が、一般式(3)および/または(4)で表されるリン含有化合物である請求項8記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
    Figure 2005273033
    (式中、R5は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、R6は水素原子又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、mは1〜11の整数を示す。)
    Figure 2005273033
    (式中、R7は水素原子又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。)
  10. 臭素系難燃剤(D)が、臭素含有リン酸エステル系難燃剤、臭素化ポリスチレン系難燃剤、臭素化ポリベンジルアクリレート系難燃剤、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フェノキシ系難燃剤、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、テトラブロモビスフェノールA誘導体、臭素含有トリアジン系化合物、臭素含有イソシアヌル酸系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項5記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
  11. 前記ポリエステル系繊維が、非捲縮生糸状である請求項1〜10何れか1項に記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
  12. 前記ポリエステル系繊維が、原着されている請求項1〜11何れか1項に記載のポリエステル系人工毛髪用繊維。
  13. 単繊維繊度が10〜100dtexである請求項1〜12何れか1項に記載のポリエステル系繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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