JP2008273040A - 液体収納容器 - Google Patents
液体収納容器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008273040A JP2008273040A JP2007119910A JP2007119910A JP2008273040A JP 2008273040 A JP2008273040 A JP 2008273040A JP 2007119910 A JP2007119910 A JP 2007119910A JP 2007119910 A JP2007119910 A JP 2007119910A JP 2008273040 A JP2008273040 A JP 2008273040A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ink
- liquid
- swinging
- liquid storage
- opening
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】液体収納容器に収納されたインクなどの液体を全体的に効率よく攪拌して、液体の濃度傾斜を少なくすることができる液体収納容器、およびインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】インクカートリッジのインク収納室内に、インクを案内する中空部104が形成された揺動部材100を備える。その揺動部材100は、シャフト106を中心として揺動可能、かつ、シャフト106に沿って移動可能に支持する。
【選択図】図6
【解決手段】インクカートリッジのインク収納室内に、インクを案内する中空部104が形成された揺動部材100を備える。その揺動部材100は、シャフト106を中心として揺動可能、かつ、シャフト106に沿って移動可能に支持する。
【選択図】図6
Description
本発明は、インクなどの液体を収納する液体収納容器、および、その液体収納容器をインクタンクとして用いるインクジェット記録装置に関するものである。
本発明のインクジェット記録装置は、一般的な記録装置の他、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリント部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには、各種処理装置と複合的に組み合わされた産業用記録装置に適用することができる。
記録装置として、例えば、いわゆるシリアルタイプのインクジェット記録装置は、主走査方向に移動可能なキャリッジに、インクを吐出可能な記録ヘッドと、その記録ヘッドに供給するインクを収容するためのインクカートリッジと、が搭載される。画像の記録に際しては、キャリッジを主走査方向に移動させつつ、記録ヘッドの吐出口から記録媒体に向かってインクを吐出する動作と、主走査方向と交差する副走査方向に記録媒体を搬送する動作と、を繰り返す。記録ヘッドから吐出されたインク滴が記録媒体上に着弾することにより、所望の画像が記録される。
このようなインクジェット記録装置において用いられているインクの主流は、色材として染料を含有するインク(以下、単に「染料インク」ともいう)であった。しかし一般に、染料インクは耐光性および耐ガス性がやや低く、その染料インクによる記録物は、屋外掲示のような特殊用途において耐久性のある画像堅牢性を提供しにくい場合があった。
近年においては、色材として顔料を含有するインク(以下、単に「顔料インク」ともいう)を用いる記録装置が提供されてきている。顔料インクは耐光性および耐ガス性に優れ、それによる記録物も充分な画像堅牢性を発揮することができる。但し、顔料インクは、染料インクとは異なり、色材の分散性を考慮した取り扱いが要求される。
顔料インク中の顔料分子は、染料インク中の染料分子のようにインク溶液中には溶解せず、分散した状態で浮遊している。よって、顔料インクを収容するインクカートリッジが暫く静置されたままであると、そのインクカートリッジ内の顔料粒子は重力によって徐々に沈降し、インクカートリッジの高さ方向において顔料粒子の濃度傾斜が発生することがあった。すなわち、インクカートリッジの底部には色材濃度の高い層が位置し、その上部には色材濃度の低い層が位置することになる。この状態のインクカートリッジから記録ヘッドにインクを供給して画像の記録動作を開始し、そして記録動作を継続した場合には、記録動作の初期段階と後期段階において、画像に濃度差が発生するおそれがある。
具体的に説明するために、インクカートリッジの底部から記録ヘッドにインクを供給する構成のインクジェット記録装置を考える。この記録装置に、上述したように顔料粒子の濃度傾斜を有するインクカートリッジを装着して、記録を開始した場合、その当初においては、色材濃度の高いインクカートリッジ内の下層のインクが供給されるため、必要以上に高濃度な画像が記録される。その後、記録動作を続行することにより、インクカートリッジ内のインクの消費にしたがって、画像の記録濃度は徐々に低下する。そして、インクカートリッジ内のインクが少量になった状態においては、インクカートリッジ内には、当初の色材濃度よりも低い色材濃度のインクしか残存しなくなる。そのため、記録当初と同じ画像データに基づいて画像を記録したとしても、記録濃度が不十分となる。特に、顔料粒子の径や比重が大きい場合には、その沈降傾向が著しいため、インクカートリッジの非使用状態が数日間続くだけでも画像に影響が現れるほどの濃度傾斜が発生するおそれがある。
このように、インクカートリッジの使用に伴って、記録ヘッドから吐出されるインクの色材濃度が変化した場合には、インクカートリッジの使用初期と使用後期において記録画像に濃度差を発生させるだけではない。例えば、複数のカラーインクを用い、所定のカラーバランスのもとに所望の色相を表現するカラーインクジェット記録システムにおいては、カラーバランスが崩れるおそれがある。その場合には、より顕著な画像問題として認識されることになる。
インクカートリッジ内に残存するインク量の如何に拘わらず、記録ヘッドから吐出されるインク滴の色材濃度を所望の範囲内に維持するためには、少なくとも記録動作中に、インクカートリッジ内の顔料分子が一様に分散していることが望まれる。
このような顔料分子の一様な分散を実現するために、インクカートリッジの内部に、顔料分子を攪拌するための攪拌部材を設ける構成が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
例えば特許文献1には、第1および第2の実施形態として、手動操作が可能な攪拌部材を備えたインクパック(あるいはタンク)が開示されている。その攪拌部材は、インクパックあるいはインクカートリッジに対して、外部から挿入されたような形状になっている。外部に突出している攪拌部材の部分は、インクパック(あるいはタンク)内に延在している攪拌部を動作させるための操作部として作用する。つまり、ユーザが定期的あるいは必要に応じて攪拌部を揺動させることにより、インクパック(あるいはインクカートリッジ)内のインクを攪拌して、顔料分子を分散できるようになっている。
また特許文献1には、第3の実施形態として、記録動作時にキャリッジが移動する際の慣性力を利用して、タンク内のインクを攪拌させる攪拌部材を設けたインクカートリッジが開示されている。例えば、インクカートリッジケースと一体に成形された撹拌部材が示されている。この例では、攪拌部材がインクカートリッジケースの天井から底部に向けて垂れ下がるように延出しており、その下端部には円柱状の錘部が形成されている。その攪拌部材は、キャリッジの加速・停止・反転の動作に伴う慣性力によって、天井の付け根部分を支点としてキャリッジの移動方向に揺動し、インクカートリッジ内のインクを攪拌する。
また、特許文献1には、別例として、インクカートリッジケースに固定されずに、インクカートリッジ内の底面を自由に移動可能な撹拌部材も開示されている。この攪拌部材は、キャリッジの加速・停止・反転の動作に伴う慣性力によって、インクカートリッジ内の底面を移動してインクを攪拌する。
一方、特許文献2には、キャリッジの移動に伴う慣性力によって、揺動中心軸を中心として左右に揺動する軸状錘と、この軸状錘と一体となって左右に揺動する複数のフィンと、を備えた攪拌機構が開示されている。この構成によれば、複数枚のフィンがインクカートリッジの高さ方向に並列に配置されているため、インクカートリッジ内の上層部から下層部にかけてインクが均等に攪拌される。
しかしながら、上記特許文献に記載の構成においては、撹拌部材によるインクの攪拌領域が限定されているため、インクを効率よく攪拌することが難しかった。
例えば、特許文献1の実施形態1および2に記載の手動式の攪拌部材を備えた場合には、その撹拌部材の移動の自由度が小さいために、インクカートリッジ内の限られた領域内のインクしか攪拌することができない。特に、攪拌部材とインクカートリッジとの接合部分(攪拌部の支点となる部分)の近傍では、攪拌部の移動域が狭いために充分な攪拌効果が得られない。
また、特許文献1の実施形態3における構成では、慣性力を効率的に利用してはいるものの、やはり攪拌可能な範囲が充分ではない。また、インクカートリッジ内の底面を自由に移動可能な撹拌部材を用いた場合には、インクカートリッジの底部近傍のインクに対する攪拌は期待できるものの、その撹拌部材から離れているインクカートリッジ内の上層部領域に対する撹拌効果は期待できない。
一方、特許文献2に記載の構成は、複数のフィンがインクカートリッジの高さ方向に配備されているため、その高さ方向における攪拌効果はある程度期待できる。しかし、インクカートリッジ内の中心軸付近はフィンの揺動量が小さいため、撹拌効果は小さい。また、このように複数のフィンや回転軸を備える揺動部材は複雑な構成となるため、インクカートリッジ自体も高価なものになってしまう。
上述したように、インクカートリッジ内における顔料インクは、顔料粒子が重力にしたがって徐々に沈降することにより、インクカートリッジの高さ方向に顔料粒子の濃度傾斜が引き起こされる。このようなインクカートリッジ内の濃度差を解消するには、インクカートリッジの下層部における高濃度のインクを積極的に上層部に巻き上げるように、インクを攪拌することがより効率的である。
本発明の目的は、液体収納容器に収納されたインクなどの液体を全体的に効率よく攪拌して、液体の濃度傾斜を少なくすることができる液体収納容器、およびインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明の液体収納容器は、液体を収納可能な液体収納部内に管状の揺動部材を備え、前記揺動部材には、一端側の開口部と他端側の開口部とを連通して液体を案内するための中空部が形成された液体収納容器であって、前記揺動部材を、前記液体収納容器の移動に伴う慣性力によって所定の揺動方向に揺動可能、かつ前記揺動方向と交差する方向に移動可能に、支持する支持手段を備えることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録装置は、インクを収納可能なインクタンクと、前記インクタンク内のインクを吐出可能な記録ヘッドを、を搭載可能なキャリッジを備えたインクジェット記録装置において、前記インクタンクは、液体を収納可能な液体収納部と、前記液体収納部内に備えられて、一端側の開口部と他端側の開口部とを連通して液体を案内するための中空部が形成された管状の揺動部材と、前記揺動部材を、前記インクタンクの移動に伴う慣性力によって所定の揺動方向に揺動可能、かつ前記揺動方向と交差する方向に移動可能に、支持する支持手段と、を備え、前記インクジェット記録装置は、前記揺動部材を前記所定の揺動方向に揺動させるように、前記キャリッジを往復移動させる手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、液体収納容器の液体収納部内に、液体を案内する中空部が形成された揺動部材を備え、その揺動部材は、所定方向に揺動可能、かつ、その揺動方向と交差する方向に移動可能に支持する。これにより、揺動部材の揺動と移動を伴って、液体収納部内の液体全体を効率よく攪拌することができる。
例えば、液体収納容器が顔料インクを収納するインクタンクを構成する場合には、その顔料インクを効率よく攪拌して、その顔料成分の濃度を均一化することにより、長期間放置した後においても高品位の画像を記録することができる。また、画像の記録動作前におけるインクの攪拌時間を短縮することもできる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態における液体収納容器は、いわゆるシリアルスキャンタイプのインクジェット記録装置に搭載可能なインクカートリッジ(カートリッジタイプのインクタンク)としての適用例である。
本実施形態における液体収納容器は、いわゆるシリアルスキャンタイプのインクジェット記録装置に搭載可能なインクカートリッジ(カートリッジタイプのインクタンク)としての適用例である。
図1は、本例におけるインクジェット記録装置の外観斜視図である。この記録装置は、記録媒体に対しての記録を行なう装置本体M1000と、記録媒体を装置内へ供給するための給紙部M3022と、記録後の記録媒体を受容する排紙トレイM1004と、から主に構成されている。
図2は、装置本体M1000の内部機構を説明するための斜視図である。装置本体M1000の主な内部機構は、シャーシM3019に設置・保護されている。M4001はキャリッジであり、不図示の記録ヘッドカートリッジを搭載した状態で矢印Xの主走査方向へ往復移動可能である。記録動作コマンドが入力されると、給紙部M3022に積載されている記録媒体の1枚が給紙され、キャリッジM4001上の記録ヘッドカートリッジによって画像が記録可能な位置まで搬送される。その後、キャリッジM4001が主走査方向に移動しながら、記録ヘッドカートリッジの記録ヘッドが画像データに基づいてインクを吐出する記録走査と、搬送手段によって記録媒体を矢印Yの副走査方向へ搬送する動作と、を繰り返す。これにより、記録媒体に順次画像が形成される。
図3は、本例における記録ヘッドカートリッジH1001とインクカートリッジ(液体収納容器)の斜視図である。記録ヘッドカートリッジH1001の一側には、吐出口からインク滴を吐出可能な記録ヘッドH1000が備えられ、その反対側には、記録ヘッドH1000にインクを供給するためのインクカートリッジ1が着脱可能に装着される。本例の記録ヘッドカートリッジH1001には、6色分のインクカートリッジ1が独立に装着できるようになっている。
記録ヘッドH1000には、微細な記録素子が複数配列されており、各記録素子にはインクを吐出させるための機構が備わっている。例えば、インクの吐出エネルギーを発生するための手段としては、発熱抵抗体(ヒータ)などの電気熱変換素子が配備された構成では、インクの吐出信号に応じて、個々の電気熱変換素子に電圧パルスが印加される。これにより、発熱抵抗体の近傍のインクが急激に加熱され、そのときに生じる膜沸騰の作用によって、インク滴が吐出口から吐出される。インクの吐出エネルギーを発生するための手段としては、ピエゾ素子などを用いることもできる。
(インクカートリッジ全体の構成)
図4は、インクカートリッジ1の外観斜視図である。インクカートリッジ1は、内部にインク収納室を備えた容器であり、主に、インク容器10と蓋部材20から構成されている。インクカートリッジ1の底部には、記録ヘッドH1000にインクを供給可能なインク供給口(液体供給口)30が備えられている。
図4は、インクカートリッジ1の外観斜視図である。インクカートリッジ1は、内部にインク収納室を備えた容器であり、主に、インク容器10と蓋部材20から構成されている。インクカートリッジ1の底部には、記録ヘッドH1000にインクを供給可能なインク供給口(液体供給口)30が備えられている。
図5は、インクカートリッジ1の分解斜視図である。インク容器10は、例えばポリプロピレンで形成されており、その内部のインク収納室80には、図6のように、ばね部材50、板部材60、可撓性フィルム70、およびインクを攪拌するための揺動部材100が収容される。そして、インク容器10の開口周縁部は、蓋部材20によって封じられる。インク容器10の内壁には、揺動部材100を支持するための支持部40が形成され、またインク供給口30を形成するインク容器10の部位には、メニスカス形成部材31が備えられている。
メニスカス形成部材31は、例えば、ポリプロピレンの繊維材料から形成されて毛細管力を有する毛管部材、または、この毛管部材とフィルター部材(透過寸法は15〜30μm程度、材質はステンレス材料やポリプロピレン等)を組み合わせた吸収体である。メニスカス形成部材32とインク容器10の内部との間は、インク流路によって連通されており、インク収納室80から、記録ヘッドH1000にインクが供給できるようになっている。また、メニスカス形成部材32内にはインクによるメニスカスが形成され、外部からの気泡がインク容器10内に侵入しないようになっている。メニスカス形成部材31は、押え部材32によって外側から押されて止められている。
インク容器10の開口周縁部には可撓性フィルム70が溶着され、これにより、インク容器10内にインク収納室80(図8参照)が形成される。インクは、可撓性フィルム70とインク容器10とによって形成されたインク収納室80に収容される。可撓性フィルム70は、例えば、ポリプロピレンの薄膜のような、厚み20〜100μm程度のフィルム部材であればよい。ばね部材50は、板部材60を介して可撓性フィルム70を外方に付勢する。外方に付勢された可撓性フィルム70は、図8のように、インク収納室80の外側に向かって突出する凸型となる。この可撓性フィルム70は、蓋部材20によって保護され、また凸型部の突出量が制限される。このようなばね部材50の付勢力により、インク収納室80内は負圧状態となる。
蓋部材20には、不図示の大気連通部が設けられており、インク収納室80の外側は大気圧に保たれる。ばね部材50と板部材60は、例えば、ステンレス材料により形成されている。
インク収納室80内のインクが記録ヘッドへの供給によって消費されるにつれて、ばね部材50の縮みを伴って可撓性フィルム70が撓み、インク収納室80の容積が減少していく。本例のインクカートリッジ1は、板部材60がインク容器10の内壁に接触するまで、インク収納室80内のインクを消費することが可能である。
(充填されるインクの組成)
本例において使用されるインクは、例えば、顔料を含有するインク(顔料インク)である。その顔料インクの顔料は、例えば、分散剤や活性剤を用いる樹脂分散剤タイプの顔料(樹脂分散型顔料)や、活性剤分散タイプの顔料であってもよい。その顔料は、水不溶性色剤自体の分散性を高めることによって、分散剤等を用いることなく分散可能としたマイクロカプセル型顔料であってもよく、また、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)でもよい。更には、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合することによって、改質された顔料(ポリマー結合型自己分散顔料)を用いることもできる。もちろん、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。本発明において使用できる顔料は、特に限定されるものではない。
本例において使用されるインクは、例えば、顔料を含有するインク(顔料インク)である。その顔料インクの顔料は、例えば、分散剤や活性剤を用いる樹脂分散剤タイプの顔料(樹脂分散型顔料)や、活性剤分散タイプの顔料であってもよい。その顔料は、水不溶性色剤自体の分散性を高めることによって、分散剤等を用いることなく分散可能としたマイクロカプセル型顔料であってもよく、また、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)でもよい。更には、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合することによって、改質された顔料(ポリマー結合型自己分散顔料)を用いることもできる。もちろん、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。本発明において使用できる顔料は、特に限定されるものではない。
下表1に、本例において使用する顔料インクの組成を2種類(顔料インク1,2)例示する。しかし本発明は、これらの組成に限定されるものではない。
本例において使用する顔料インクは下表1に示すインク配合比であって、顔料分散体1には自己分散型の顔料が使用され、顔料分散体2には樹脂分散型の顔料が使用されている。また、顔料分散体1と顔料分散体2は、いずれも顔料に水を加えて、顔料濃度が10質量%となるように分散させることにより、分散液を調合している。各溶剤の配合は、下表1に記載されている。
インクタンクに注入する顔料インクの比重は、揺動部材の比重より小さいものが望ましい。本実施例における揺動部材は、ステンレス材料であって比重が8.0g/cm3であり、顔料インクの比重は1.0〜1.1g/cm3であり、揺動部材よりも顔料インクの比重が小さい。
(攪拌機構の構成)
図6は、揺動部材100の設置状態を説明するための斜視図である。
図6は、揺動部材100の設置状態を説明するための斜視図である。
揺動部材100の下方寄りの両側には孔(支持部)107が形成され、また、インク容器10の内壁には、これらの孔107を貫通するシャフト106が取り付けられている。これにより揺動部材100は、シャフト106を中心として揺動自在、かつばね部材50と接触しないように支持される。シャフト106は揺動部材100の揺動支点となると共に、その軸線方向に沿って揺動部材100のスライド自在にガイドする。シャフト106は、インク供給口30側が低くなるように斜めに取り付けられている。
揺動部材100には、インク容器10の重力方向の下側に位置する下側開口部102と、その上側に位置する上側開口部103と、が形成されている。つまり、揺動部材100には、鉛直方向の上側位置する上側開口部103と、鉛直方方向の下側に位置する下側開口部102が形成されている。そして揺動部材100は、それらの開口部102,103の間の内部が中空の中空部104となるように、立体的に成形されている。その中空部104によって、開口部102,103の間を連通するインク流路(液体流路)が形成されている。さらに、揺動部材100は、インク収納室80内にインクが充填されると、開口部102,103および中空部104がインク中に没する構成となっている。
本例の揺動部材100は、ステンレス材料によって形成されている。本発明における揺動部材の材質は、これに限られるものではない。しかし、揺動部材100の形成材料は、インク収納室80内に収容されたインクよりも比重が大きい材料であることが望ましい。さらに、使用するインクの比重、粘度、および後述するキャリッジの移動速度等によって、揺動部材100の移動速度が変わって、撹拌効率が変わることがあるため、揺動部材100の比重は、種々の条件に応じて適宜選択されることが望ましい。
(揺動部材の揺動および作用)
図8は、本例における揺動部材100の動作を説明するためのインクカートリッジ1の側断面図であり、図17のVIII−VIII線に沿う断面図である。図5のインクカートリッジ1において、インク収納室80を形成する図8中左右の内壁は、一方がインク容器10の内壁であり、他方が板部材60である。しかし以下においては、便宜上、それらの内壁が図8のようにインク容器10の内壁であるとして説明する。
図8は、本例における揺動部材100の動作を説明するためのインクカートリッジ1の側断面図であり、図17のVIII−VIII線に沿う断面図である。図5のインクカートリッジ1において、インク収納室80を形成する図8中左右の内壁は、一方がインク容器10の内壁であり、他方が板部材60である。しかし以下においては、便宜上、それらの内壁が図8のようにインク容器10の内壁であるとして説明する。
図8(a)は、揺動部材100の第1の状態を示す。キャリッジM4001は記録媒体の記録幅の範囲において主走査方向(矢印X方向)往復移動するため、その移動方向が反転する際には、減速、停止、および反対方向への加速が行なわれる。その際、インクカートリッジ2には慣性力が働く。その慣性力が矢印X1方向に働く場合、つまりキャリッジM4001の移動方向が矢印X2方向からX1方向に反転する場合、揺動部材100は、図8(a)のように、支持部としての孔107を支点として矢印A1方向に回転する。このとき上側開口部103側は、インク容器10の一方の内壁に接触する。ここでは、このように慣性力がX2方向に働いている状態を第1の状態としている。キャリッジM4001の移動方向が矢印X2方向からX1方向に反転した後、キャリッジM4001が矢印X1方向の等速移動するときには、慣性力は働かなくなり、揺動部材100は第1の状態のままに保たれる。
図8(b)は、揺動部材100の第2の状態を示す。第2の状態は、第1の状態とは逆に、慣性力がX1方向に働く場合、つまりキャリッジM4001の移動方向が矢印X1方向からX2方向に反転する場合であり、揺動部材100は、図8(b)のように、孔107を支点として矢印A2方向に回転する。このとき上側開口部103側は、図8(a)の場合とは反対にインク容器10の他方の内壁に接触する。ここでは、このように慣性力がX1方向に働いている状態を第2の状態としている。キャリッジM4001の移動方向が矢印X1方向からX2方向に反転した後、キャリッジM4001が矢印X2方向の等速移動するときには、慣性力は働かなくなり、揺動部材100は第2の状態のままに保たれる。
記録動作もしくはインクを撹拌する動作に伴って、キャリッジM4001が往復移動を繰り返すため、揺動部材100は、繰り返し図8(a),(b)の第1および第2の状態となって、インク収納室80内のインクを攪拌する。
図8(c)は、揺動部材100が揺動するときの開口部102,103の変位方向、変位量、およびインクの流れを示す。
上述したように、揺動部材100の揺動に伴う上側開口部103の変位量X(103)は、下側開口部102の変位量X(102)よりも大きい。そのため、上側開口部103とその近傍のインクとの相対的な移動速度は、下側開口部102とその近傍のインクとの相対的な移動速度よりも速くなる。上側開口部103、下側開口部102、および中空部104が共にインクに没しているとき、2つの開口部102,103の速度差により、下側開口部102の近傍のインクと、上側開口部103の近傍のインクと、の間に圧力差が生じる。
本例では、上側開口部103とその近傍のインクとの相対的な移動速度が、下側開口部102とその近傍のインクとの相対的な移動速度よりも速いため、上側開口部103近傍のインクの圧力は、下側開口部102近傍のインクより低くなる。したがって、下側開口部102から上側開口部103に向かって、中空部104を通してインクの流れB1,B2,B3が生じる。このインクの流れを利用して、インク収納室80の下層部に沈降しがちな顔料粒子を上層部にまで持ち上げることができ、この結果、インク収納室80内の顔料粒子を攪拌することができる。
本発明者らは、攪拌効果を検証するために、揺動部材の中空部が没せられる位置まで顔料インクをインクカートリッジに注入した。そして、顔料インクの沈降する現象を短期間で検証するために、そのインクカートリッジを加温保存した。加温保存は温度60℃で90日間保存した。加温保存したインクカートリッジを常温環境化に置き温度をさました後、揺動部材を揺動させずにインクカートリッジ内の重力方向の下側に位置する顔料インクを採取した。また、同様に加温保存後の別のインクカートリッジでは、揺動部材を揺動させてから、インクカートリッジ内の重力方向の下側に位置する顔料インクを採取した。そして、これら両者のインクカートリッジから採取した顔料インクの顔料濃度を比較した。
下表2は、このように加温保存後に攪拌せずに採取した顔料インクの顔料濃度と、加温保存後に上述した方法によって攪拌してから採取した顔料インクの顔料濃度と、を示す。下表2中の顔料濃度は、加温保存前の顔料濃度を100としたときの相対値である。下表2に示すように、撹拌をしなかったときの前者の顔料濃度は170であり、撹拌をしたときの後者の顔料濃度は120未満であった。これにより、上述した撹拌方法を実施することにより、インクの顔料濃度を加温保存前の顔料濃度に近づくことが確認できた。
このように本実施形態においては、揺動部材が揺動したときに、その下側に形成される開口部の移動速度が、その上側に形成される開口部よりも遅くなるように構成することにより、インク容器内の下層部から上層部に向かうインクの流れを生じさせる。そのインクの流れにより、インク容器内にて、濃度の濃いインクと薄いインクとを対流させて、効率よく攪拌することができる。この結果、インクタンクの使用初期と使用後期において、記録画像に濃度差が生じることを防止したり、複数のカラーインクを用いた時に発生するカラーバランスの崩れを防止することができる。
揺動部材の上側開口部と下側開口部の移動速度差を大きくするためには、揺動部材100の揺動支点が下側開口部に近く、上側開口部から遠いほど有利である。揺動部材が剛体である場合には、少なくとも揺動部材の揺動支点から、上側開口部および下側開口部までの距離が異なっている必要がある。
また、揺動部材100が一方向に揺動し、続いて逆方向に反転する直前に、中空部104内のインクに慣性力を働かせることにより、その中空部104内のインクに上側開口部103に向かう流れを生じさせることもできる。揺動方向の反転時に、中空部104内のインクは、慣性力によって下側開口部102から上側開口部103に向かう推進力を受け、その中空部104を通して、図8(c)のようなインクの流れB1,B2,B3が生じる。このインクの流れを利用して、インク収納室80の下層部に沈降しがちな顔料粒子を上層部にまで持ち上げることができる。この結果、インク収納室80内の顔料粒子を効率よく攪拌することができる。揺動部材100の揺動方向は、必ずしも反転する必要は無い。慣性力によって、インク収納室の底部に位置する顔料粒子を揺動部材の中空部を経由して容器上部へ巻き上げるための充分な推進力が加えられればよく、揺動部材の一方向の揺動の後、その揺動部材が停止しても構わない。
また、揺動部材100の揺動によって中空部104内のインクに遠心力を働かせることにより、その中空部104内のインクに、上側開口部103に向かう流れを生じさせることもできる。また、揺動部材100の外壁とインク収納室80の内壁との相対的な近接および離間変位によって、機械的にインクの流れを生じさせることもできる。
いずれの構成においても、中空部を有する揺動部材を液体収納容器内に備え、その揺動部材を揺動させることにより、その中空部の一端側から液体を中空部内に流入させて、その中空部の他端側から液体を流出させるように、液体を中空部内に案内できればよい。それにより、液体収納容器内の液体を攪拌する上において、効果的な液体の流れを生じさせることができる。
本実施形態のように、揺動部材における鉛直方向下側の開口部近傍に揺動支点を設けた場合、インク収納室の下層部に沈降しがちな顔料粒子を容易かつ確実に上層部にまで持ち上げることができる。すなわち、揺動部材の鉛直方向中央部よりも下側に揺動支点を位置させることにより、重力方向下方に位置する開口部から導入したインクを重力方向上方に位置する開口部から導出することができる。つまり、中空部を経由して、重力方向の下方から上方に向かってインクを案内して攪拌することができる。この結果、液体収納容器に収納されたインクなどの液体の全域を効率的に攪拌して、その液体の濃度傾斜を少なくすることができる。撹拌の効果は、インク収容室の寸法、揺動部材の内径、揺動部材の周囲長、揺動部材の表面積、揺動部材の長さ、揺動部材の比重、揺動部材の移動速度、揺動部材の移動距離、インクの粘度、接触角、インクの比重等のパラメータにより差が生じる。しかしながら、このようなパラメータは、インクタンク内のインクが揺動部材の中空部を経由して、容器内部を移動するために充分な推進力が得られるのであれば、どのように設定してもよい。タンク内のインクに作用する遠心力、および慣性力によって、このような推進力が発生するように、揺動部材100を揺動させればよい。このような揺動部材の揺動によって、インクタンク内のインクを撹拌することが可能となる。
(揺動部材のスライド動作および作用)
図9は揺動部材100のスライド動作および作用を説明するための図である。図9中の紙面の表裏方向は、主走査方向(矢印X方向)に対応する。
図9は揺動部材100のスライド動作および作用を説明するための図である。図9中の紙面の表裏方向は、主走査方向(矢印X方向)に対応する。
図9(a)に示すように、シャフト106は、インク供給口30側が低くなるように傾けて、インク容器10に取り付けられている。すなわち、インク供給口30が重力方向の下側を向いている状態(インクカートリッジの使用状態)において、インク供給口30の上側に位置する車夫と106の部分がインク供給口30に向かって近付く方向に傾斜する。そのため揺動部材100は、通常、図9(a)のようにインク供給口30側の位置にスライドしている。したがって、前述したように記録動作や攪拌動作のためにキャリッジM4001が主走査方向に移動した際、揺動部材100は図9(a)の位置にて揺動して、インク供給口30近傍のインクをより集中的に攪拌することになる。
インク容器10内のインク全体をより効率よく攪拌するためには、図9(b)〜(d)のように、揺動部材100をスライドさせつつ揺動させる。
まずは、図9(b)に示すようにインク供給口30側が高くなるように、インクカートリッジ1を搭載しているキャリッジM4001を傾ける。これにより、揺動部材100は、シャフト106に沿ってインク供給口30側とは反対側の矢印C1方向にスライドして、図9(c)のような位置に収まる。この状態から、キャリッジM4001が主走査方向の往復移動を開始すると、揺動部材100は、前述したように主走査方向の揺動をしながら、自重により徐々にインク供給口30側に向かって矢印C2方向にスライドする。この結果、揺動部材100は、インク容器10内を移動(スライド)しながら揺動して、インク容器10内全体のインクをより効率よく攪拌することができる。また、揺動部材100がシャフト106に沿って移動するため、それらの間に付着部が生じた際には、その付着物を排除して、揺動部材100の信頼性を高めることができる。揺動部材100の移動方向(矢印C1,C2方向)は、揺動部材100の揺動方向と交差する方向である。
揺動部材100を矢印C1方向に移動させるための移動手段としては、種々の構成のものを用いることができる。例えば、キャリッジM4001を主走査方向に移動自在にガイドするためのキャリッジレールが備えられている場合には、そのキャリッジレールに形成した段差部を用いることができる。すなわち、その段差部の位置までキャリッジM4001が移動したときに、そのキャリッジM4001が傾けられるように構成することができる。また、記録ヘッドのインクの吐出状態を良好に維持するための回復処理を行う回復キャップが所定の回復ポジションに備えられている場合には、その回復キャップの上下方向の移動を利用することができる。すなわち、その回復ポジションにキャリッジM4001を移動させて、回復キャップによって記録ヘッドの吐出口の形成面をキャッピングするときに、記録ヘッドと共にキャリッジM4001を傾けるように構成することもできる。その回復キャップは、記録ヘッドの吐出口から吐出された画像の記録に寄与しないインクを収容したり、記録ヘッドの吐出口から画像の記録に寄与しないインクを吸引排出させるために用いることができる。また、キャリッジM4001が、インク供給口30側が高くなるようにインクカートリッジ1を傾けたまま主走査方向に移動することによって、揺動部材100を揺動させながら移動させるようにしてもよい。
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態であるインクカートリッジを説明するための図であり、前述した実施形態とは、シャフト106の形状のみが異なる。図10中の紙面の表裏方向は、主走査方向(矢印X方向)に対応する。
図10は、本発明の第2の実施形態であるインクカートリッジを説明するための図であり、前述した実施形態とは、シャフト106の形状のみが異なる。図10中の紙面の表裏方向は、主走査方向(矢印X方向)に対応する。
本例におけるシャフト107には2つの屈曲部106A,106Bが形成されており、インク供給口30側が低くなうように傾けてインク容器10に取り付けられている。そのため、キャリッジM4001が記録動作中などの通常の位置にあるときは、図10(a)のように、屈曲部106Aの範囲内において揺動部材100がインク供給口30側に収まっている。このため、インク供給口30近傍のインクがより集中的に攪拌されることになる。
インク容器10内のインク全体をより効率よく攪拌するためには、図10(b)〜(d)のように、揺動部材100をスライドさせつつ揺動させる。
まずは、図10(b)に示すようにインク供給口30側が高くなるように、インクカートリッジ1を搭載しているキャリッジM4001を傾ける。これにより、揺動部材100は、屈曲部106Aの範囲内において矢印C1方向にスライドして、図10(c)のようなインク容器10の中央部の位置に収まる。この状態から、キャリッジM4001が主走査方向の往復移動を開始すると、揺動部材100は、前述したように主走査方向の揺動をしながら、自重により徐々にインク供給口30側に向かって矢印C2方向にスライドする。この結果、揺動部材100は、インク容器10の中央部からインク供給口30側に移動(スライド)しながら揺動して、インク容器10内全体のインクをより効率よく攪拌することができる。
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態であるインクカートリッジを説明するための図であり、前述した実施形態とは、シャフト106の形状のみが異なる。図11中の紙面の表裏方向は、主走査方向(矢印X方向)に対応する。
図11は、本発明の第3の実施形態であるインクカートリッジを説明するための図であり、前述した実施形態とは、シャフト106の形状のみが異なる。図11中の紙面の表裏方向は、主走査方向(矢印X方向)に対応する。
本例におけるシャフト106には、両端部に位置する太いパイプ106C,106Eと、中央部に位置する細いパイプ106Dと、を備えており、インク供給口30側が低くなうように傾けてインク容器10に取り付けられている。揺動部材100の側に形成された孔107の内径は、パイプ106Dの外径よりもよりも小さいく、パイプ106C,106Eの外径よりも大きい。そのため、キャリッジM4001が記録動作中などの通常の位置にあるときは、図11(a)のように、パイプ106Dの範囲内において揺動部材100がインク供給口30側に収まっている。このため、インク供給口30近傍のインクがより集中的に攪拌されることになる。
インク容器10内のインク全体をより効率よく攪拌するためには、図11(b)〜(d)のように、揺動部材100をスライドさせつつ揺動させる。
まずは、図11(b)に示すようにインク供給口30側が高くなるように、インクカートリッジ1を搭載しているキャリッジM4001を傾ける。これにより、揺動部材100は、パイプ106Dの範囲内において矢印C1方向にスライドして、図11(c)のようなインク容器10の中央部の位置に収まる。この状態から、キャリッジM4001が主走査方向の往復移動を開始すると、揺動部材100は、前述したように主走査方向の揺動をしながら、自重により徐々にインク供給口30側に向かって矢印C2方向にスライドする。この結果、揺動部材100は、インク容器10の中央部からインク供給口30側に移動(スライド)しながら揺動して、インク容器10内全体のインクをより効率よく攪拌することができる。
(第4の実施形態)
図12から図15は、本発明の第4の実施形態であるインクカートリッジを説明するための図であり、前述した第1の実施形態とは、シャフト106による揺動部材100の支持位置のみが異なる。
図12から図15は、本発明の第4の実施形態であるインクカートリッジを説明するための図であり、前述した第1の実施形態とは、シャフト106による揺動部材100の支持位置のみが異なる。
本例における揺動部材100は、孔107が上側開口部103寄りの位置に形成されており、その孔107を貫通するシャフト106によって、ばね部材50と接触しないように揺動自在に支持されている。シャフト106は、前述した実施形態と同様に、インク供給口30側が低くなるように斜めに取り付けられている(図12および図13参照)。
図14は、本実施形態における揺動部材100の動作を説明するためのインクカートリッジ1の側断面図である。
図14(a)は、揺動部材100の第1の状態を示す。キャリッジM4001は記録媒体の記録幅の範囲で主走査方向(矢印X方向)往復移動するため、その移動方向が反転する際には、減速、停止、および反対方向への加速が行なわれる。その際、インクカートリッジ1には慣性力が働く。その慣性力が矢印X2方向に働く場合、つまりキャリッジM4001の移動方向が矢印X2方向からX1方向に反転する場合、揺動部材100は図14(a)のように、支持部としての孔107を支点として矢印A1方向に回転する。このとき下側開口部102側は、インク容器10の一方の内壁に接触する。ここでは、このように慣性力がX2方向に働いている状態を第1の状態としている。キャリッジM4001の移動方向が矢印X2方向からX1方向に反転した後、キャリッジM4001が矢印X1方向の等速移動するときには、慣性力は働かなくなり、揺動部材100は第1の状態のままに保たれる。
図14(b)は、揺動部材100の第2の状態を示す。第2の状態は、第1の状態とは逆に、慣性力がX1方向に働く場合、つまりキャリッジM4001の移動方向が矢印X1方向からX2方向に反転する場合、揺動部材100は図14(b)のように、支持部101を支点として矢印A2方向に回転する。このとき下側開口部102側は、インク容器10の他方の内壁に接触する。ここでは、このように慣性力がX1方向に働いている状態を第2の状態としている。キャリッジM4001の移動方向が矢印X1方向からX2方向に反転した後、キャリッジM4001が矢印X2方向の等速移動するときには、慣性力は働かなくなり、揺動部材100は第2の状態のままに保たれる。
記録動作に伴ってキャリッジM4001が往復移動を繰り返すため、揺動部材100は、繰り返し図14(a),(b)の第1および第2の状態となって、インク収納室80内のインクを攪拌する。
図14(c)は、揺動部材100が揺動するときの開口部102,103の変位方向、変位量、およびインクの流れを示す。
揺動部材100の揺動に伴う下側開口部102の変位量X(102)は、上側開口部103の変位量X(103)より大きい。そのため、下側開口部102とその近傍のインクとの相対的な移動速度は、上側開口部103とその近傍のインクとの相対的な移動速度よりも速くなる。上側開口部103、下側開口部102、および中空部104が共にインクに没しているとき、2つの開口部102,103の速度差により、下側開口部102の近傍のインクと、上側開口部103の近傍のインクと、の間に圧力差が生じる。
本例では、下側開口部102とその近傍のインクとの相対的な移動速度は、上側開口部103とその近傍のインクとの相対的な移動速度よりも速いため、下側開口部102近傍のインクの圧力は、上側開口部103近傍のインクより低くなる。したがって、上側開口部103から下側開口部102に向かって、中空部104を通してインクの流れB1,B2,B3が生じる。このインクの流れを利用して、インク収納室80の下層部に沈降しがちな顔料粒子を上層部にまで持ち上げることができ、この結果、インク収納室80内の顔料粒子を攪拌することができる。
図15は、揺動部材100のシフト動作を説明するための図である。
図15(a)に示すように、シャフト106は、インク供給口30側が低くなうように傾けてインク容器10に取り付けられている。キャリッジM4001が記録動作中などの通常の位置にあるときは、揺動部材100がインク供給口30側に収まっている。このため、インク供給口30近傍のインクがより集中的に攪拌されることになる。
インク容器10内のインク全体をより効率よく攪拌するためには、図15(b)〜(d)のように、揺動部材100をスライドさせつつ揺動させる。
まずは、図15(b)に示すようにインク供給口30側が高くなるように、インクカートリッジ1を搭載しているキャリッジM4001を傾ける。これにより、揺動部材100は、シャフト106に沿って矢印C1方向にスライドして、図11(c)のようにインク供給口30の反対側の位置に収まる。この状態から、キャリッジM4001が主走査方向の往復移動を開始すると、揺動部材100は、前述したように主走査方向の揺動をしながら、自重により徐々にインク供給口30側に向かって矢印C2方向にスライドする。この結果、揺動部材100は、インク供給口30側に移動(スライド)しながら揺動して、インク容器10内全体のインクをより効率よく攪拌することができる。
(他の実施形態)
揺動部材を支持するための構成は、前述したようにシャフトを用いた構成のみに特定されない。要は、液体収納容器の移動に伴う慣性力によって所定の揺動方向に揺動可能、かつ、その揺動方向と交差する方向に移動可能に、揺動部材が支持できればよい。揺動部材は、一端側の開口部(第1開口部)と他端側の開口部(第2開口部)とを連通して液体を案内する中空部が形成されて、管状を成すものであればよい。撹拌部材の大きさ、形状、および配備数は、液体収納容器の形態などに応じて設定することができ、何ら、上述した実施形態のみに特定されない。
揺動部材を支持するための構成は、前述したようにシャフトを用いた構成のみに特定されない。要は、液体収納容器の移動に伴う慣性力によって所定の揺動方向に揺動可能、かつ、その揺動方向と交差する方向に移動可能に、揺動部材が支持できればよい。揺動部材は、一端側の開口部(第1開口部)と他端側の開口部(第2開口部)とを連通して液体を案内する中空部が形成されて、管状を成すものであればよい。撹拌部材の大きさ、形状、および配備数は、液体収納容器の形態などに応じて設定することができ、何ら、上述した実施形態のみに特定されない。
上述した実施形態の液体収納容器(インクカートリッジ)において、液体を収納可能な液体収納部(インク収納室)は、液体(インク)の収納量が減っても容積が変化しない構成となっている。しかし、その液体収納部は、液体の収納量の減少に伴って容積が変化するように構成してもよい。例えば、その液体収納部の内壁の少なくとも一部、または、その液体収納部に連通する液室の内壁の少なくとも一部を可撓性部材により形成し、その可撓性部材が液体の収納量に応じて変形するようにしてもよい。つまり、液体の消費などによる液体の収納量の減少に伴って、液体収納部の容積が減少するように構成してもよい。可撓性部材は、ばねなどの付勢手段によって、液体収納部の容積を拡大させる方向に付勢してもよく、これにより液体収納部内の負圧を維持することもできる。このような可撓性部材または弾性部材を備えた液体収納容器は、「ばね袋タイプ」とも称されている。また、液体の収納量の減少に応じて液体収納部の容積が減少するように構成した場合には、その液体収納部内における液体の液面と、その液体収納部内に備わる撹拌部材と、の位置関係の変化を小さく抑えることができる。このことは、撹拌部材の攪拌機能を維持する上において有利である。
また、本発明の液体収納容器は、インクジェット記録ヘッドと一体的に構成されるインクタンク、つまりヘッドカートリッジにも適用可能である。
1 インクカートリッジ(液体収納容器)
10 インク容器
80 インク収納室
100 揺動部材
102 下側開口部
103 上側開口部
104 中空部
106 シャフト
10 インク容器
80 インク収納室
100 揺動部材
102 下側開口部
103 上側開口部
104 中空部
106 シャフト
Claims (11)
- 液体を収納可能な液体収納部内に管状の揺動部材を備え、前記揺動部材には、一端側の開口部と他端側の開口部とを連通して液体を案内するための中空部が形成された液体収納容器であって、
前記揺動部材を、前記液体収納容器の移動に伴う慣性力によって所定の揺動方向に揺動可能、かつ前記揺動方向と交差する方向に移動可能に、支持する支持手段を備える
ことを特徴とする液体収納容器。 - 前記支持手段は、前記一端側の開口部と前記他端側の開口部との間において移動速度に差が生じるように、前記揺動部材を揺動可能に支持することを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
- 前記支持手段は、前記液体収納部の内部に取り付けられて前記揺動部材を貫通するシャフトを備え、
前記シャフトは、当該シャフトを中心として前記揺動部材を揺動自在、かつ当該シャフトに沿って前記揺動部材をスライド自在に支持する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体収納容器。 - 前記液体収納部内の液体を外部に供給可能な液体供給口を備え、
前記シャフトは、前記液体供給口が重力方向の下側を向いている状態において、重力方向に傾斜する
ことを特徴とする請求項3に記載の液体収納容器。 - 前記液体供給口が重力方向の下側を向いている状態において前記液体供給口の上側に位置する前記シャフトの部分は、前記液体供給口に向かって近付く方向に傾斜する
ことを特徴とする請求項4に記載の液体収納容器。 - 前記一端側と前記他端側の開口部は、前記揺動部材が揺動したときの移動速度に差が生じることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液体収納容器。
- 前記中空部は、前記揺動部材が揺動したときに、前記一端側と前記他端側の開口部の一方から導入した液体を他方から導出することを特徴とする請求項6に記載の液体収納容器。
- 前記液体収納部内の液体を外部に供給可能な液体供給口を備え、
前記第1開口部と前記第2開口部は、前記液体供給口が重力方向の下側を向いている状態において重力方向の上下にずれて位置する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の液体収納容器。 - 前記揺動部材の比重は、前記液体収納部内の液体の比重よりも大きいことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の液体収納容器。
- インクを収納可能なインクタンクと、前記インクタンク内のインクを吐出可能な記録ヘッドを、を搭載可能なキャリッジを備えたインクジェット記録装置において、
前記インクタンクは、
液体を収納可能な液体収納部と、
前記液体収納部内に備えられて、一端側の開口部と他端側の開口部とを連通して液体を案内するための中空部が形成された管状の揺動部材と、
前記揺動部材を、前記インクタンクの移動に伴う慣性力によって所定の揺動方向に揺動可能、かつ前記揺動方向と交差する方向に移動可能に、支持する支持手段と、
を備え、
前記インクジェット記録装置は、前記揺動部材を前記所定の揺動方向に揺動させるように、前記キャリッジを往復移動させる手段を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記揺動部材を前記揺動方向と交差する方向に移動させるように、前記キャリッジを移動させる手段を備えることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007119910A JP2008273040A (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | 液体収納容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007119910A JP2008273040A (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | 液体収納容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008273040A true JP2008273040A (ja) | 2008-11-13 |
Family
ID=40051639
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007119910A Pending JP2008273040A (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | 液体収納容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008273040A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102205727A (zh) * | 2010-03-17 | 2011-10-05 | 精工爱普生株式会社 | 液体容纳容器以及液体喷射装置 |
US8814334B2 (en) | 2012-01-23 | 2014-08-26 | Seiko Epson Corporation | Liquid accommodating container and liquid ejecting apparatus |
-
2007
- 2007-04-27 JP JP2007119910A patent/JP2008273040A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102205727A (zh) * | 2010-03-17 | 2011-10-05 | 精工爱普生株式会社 | 液体容纳容器以及液体喷射装置 |
US8814334B2 (en) | 2012-01-23 | 2014-08-26 | Seiko Epson Corporation | Liquid accommodating container and liquid ejecting apparatus |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4886586B2 (ja) | 液体収納容器、ヘッドカートリッジ、インクジェット記録装置、および液体収納容器の攪拌方法 | |
JP4926538B2 (ja) | 液体収納容器および記録装置 | |
US8469498B2 (en) | Ink tank | |
JP4444934B2 (ja) | 液体収納容器 | |
JP4934338B2 (ja) | 液体供給装置 | |
JP4916190B2 (ja) | インクタンクおよびプリンタ | |
CN101066641A (zh) | 液体供给系统及喷墨记录装置 | |
JP2008273045A (ja) | 液体収納容器、液体撹拌装置、および記録装置 | |
JP2008273043A (ja) | 液体収納容器、ヘッドカートリッジ、およびインクジェット記録装置 | |
JP2008273040A (ja) | 液体収納容器 | |
JP2006044153A (ja) | 液体収容体及び液体噴射装置 | |
US7621627B2 (en) | Liquid container | |
JP4235659B2 (ja) | 液体収納容器 | |
JP2007223159A (ja) | インク収納容器及び該インク収納容器を用いたインク供給システム | |
JP2008273041A (ja) | 液体収納容器、ヘッドカートリッジ、およびインクジェット記録装置 | |
JP2008273042A (ja) | 液体充填方法、液体収納容器、およびヘッドカートリッジ | |
JP2008273046A (ja) | 液体収納容器およびインクジェット記録装置 | |
JP2008273049A (ja) | 液体収納容器、ヘッドカートリッジ、インクジェット記録装置、および液体収納容器の攪拌方法 | |
JP2007160861A (ja) | インク収納容器及びインク収納容器を用いたインク撹拌システム | |
JP2008273047A (ja) | 液体充填方法、液体収納容器、ヘッドカートリッジ、および液体撹拌方法 | |
JP2009292059A (ja) | 攪拌器、液体収納容器 | |
JP2012061615A (ja) | 液滴吐出装置 | |
JP2008273048A (ja) | 液体収納容器、ヘッドカートリッジ、インクジェット記録装置、および液体収納容器の攪拌方法 | |
JP2021028143A (ja) | インク供給装置とこれを備えるインクジェットプリンタ | |
JP2006001172A (ja) | インクろ過装置、インクろ過方法、および印刷装置 |