JP2008272787A - コンプレッサ羽根車の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ダイカスト形成における鋳造欠陥の発生を防止し、高い空力学的性能が期待でき、安価なコンプレッサ羽根車を効率的かつ安定して形成できる、コンプレッサ羽根車の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、ハブ軸部と、ハブ面、ディスク面、および外周面を有するハブディスク部と、複数の羽根部と、ハブ面側のハブ軸部の延長方向に対応する位置に湯口部を有してなるキャビティに溶湯を充填して羽根車形状をダイカスト形成するにあたり、キャビティには、湯口部と対向する位置であってディスク面側の外方に対応する位置に膨出する、あるいはハブディスク部の外周部の半径方向外方に対応する位置に膨出する、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を有するコンプレッサ羽根車の製造方法である。例えばマグネシウム合金やアルミニウム合金からなる羽根車が得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、船舶、建設機械、自動車等において、内燃機関からの排気ガスを利用して圧縮空気を送るために用いられる過給機の吸気側に使用される、コンプレッサ羽根車の製造方法に関する。
過給機の吸気側において、コンプレッサ羽根車は、外気を吸引して圧縮するために回転される。そして、コンプレッサ羽根車によって圧縮された空気は、内燃機関に供給されて内燃機関の出力を向上させる。一般に、コンプレッサ羽根車は、外気の吸引および圧縮の効率を高めるために、空力学的曲面を有する複数のブレードがハブ軸の周りに放射状に配列された複雑な形状に形成されていることが多い。そして、ブレードは、すべて同一の形状の羽根を配置したり、形状の異なる長羽根とスプリッタ羽根とも呼ばれる短羽根とを交互に配置したり、ブレード空間にアンダーカットを有したりといった、所望の形状に選択される。
また、近年、上述のように複雑な形状を有するコンプレッサ羽根車を、ダイカスト形成によって鋳造形成する手段が検討されている。ダイカスト形成は、プラスターモールド鋳造法やロストワックス鋳造法よりも、鋳造の短サイクル化や製造コストなどの生産性や、機械的特性や鋳肌などの品質において、格段の有利性が期待される。例えば、鋳造毎の鋳型の製作が不要となること、鋳造後の清浄処理が不要となること、金型を用いることから寸法精度や意匠性が向上してニアネットシェイプ化が進み、これによる機械加工の低減など、様々な有利性が期待される。
例えば、WO2006090701A1号公報(特許文献1)やWO2006090702A1号公報(特許文献2)には、マグネシウム合金などの比較的軽量な合金を使用してダイカスト形成されてなるコンプレッサ羽根車(以下、羽根車という)が提案される。そして、これら特許文献1、2には、ダイカスト形成に利用できる金型装置(以下、従来金型という)が開示されている。従来金型を用いて画成した羽根車形状に対応する空間形状を有するキャビティの断面の一例を図6に模式的に示す。
従来金型によって画成したキャビティ41は、ハブディスク部のディスク面を形成する固定金型となるディスク面形成金型42と、羽根部とハブ面およびハブディスク部の外周面を形成する複数のスライド金型となるハブ面形成金型43とが、互いに密着して型合せされて画成される。これにより、従来金型のキャビティ41は、羽根車の主形状に対応する空間形状として画成されるとともに、キャビティ41に注入された溶湯がディスク面形成金型42とハブ面形成金型43との間から漏れ出すことを防止している。また、このキャビティ41においては、羽根車のハブ面側のハブ軸部の延長方向に対応する位置に湯口部44を有し、この湯口部44に対して溶湯を射出するノズル45が連結される。
従来金型を用いてダイカスト形成により羽根車を鋳造形状する場合、キャビティ41において、ノズル45から高速で射出された溶湯は、まず、ディスク面形成金型42の中央部42aに衝突して接触する。次いで、溶湯は流れ方向を急激に変化させてハブディスク部の半径方向外方に対応する方向に流れていく。この後、ハブディスク部の外周面に対応する位置にまで達した溶湯は、ハブ面や、さらには羽根部に対応する空間に流れ込んでいく。そして、この間にも、ノズル45から供給され続けた溶湯は、ハブディスク部の中心部やハブ軸部に対応する空間に充填され続け、終には、キャビティ41は十分な溶湯で満たされる。従来金型を用いる場合、キャビティ41において溶湯は、上述のように挙動するものと考えられる。
この後、キャビティ41に充填された溶湯が冷却されて凝固することで羽根車形状の成形体が形成される。次いで、従来金型の湯口部44から溶湯を射出するノズル45の先端を離間し、従来金型から成形体を離型し、湯口部などによって形成された非製品部を成形体から除去することにより、ダイカスト形成されてなる羽根車を得ることができる。
WO2006090701A1号公報 WO2006090702A1号公報
コンプレッサ羽根車は、例えば、船舶、建設機械、自動車等に用いられ、高圧縮させるために高速回転されるために優れた引張強さや疲労強度が要求される部品である。それ故に、羽根車には鋳造欠陥を皆無とし、所望の機械的特性を付与し、信頼性を確かなものにすることが重要となる。
しかしながら、上述の従来金型を用いたダイカスト形成では、ノズル先端に付着していた凝固物や酸化物などの異物が、溶湯をキャビティに射出する際に混入して含まれて溶湯を汚染することがあった。このような溶湯の汚染によってダイカスト形成された羽根車に異物が残存し、羽根車の引張強さや疲労強度などの機械特性を低下させることがあった。上記異物は、ダイカスト形成を繰り返す際、キャビティの湯口部とノズルとをダイカスト形成の都度に離間することによって生じることとなる。つまり、離間されたノズルの先端に溶湯が付着して残存し、この残存溶湯が冷されて凝固物となり、あるいは大気に触れて酸化されて酸化物となって、次のダイカスト形成の際に、新たに供給される溶湯によって剥離されて混入してしまうのである。
本発明の目的は、上述したダイカスト形成の有利性を活かすとともに、羽根車をダイカスト形成するにおいて、溶湯に含まれる異物がダイカスト形成された成形体に混入することを防止し、さらには、高い空力学的性能を有する安価なコンプレッサ羽根車を効率的かつ安定して形成できる、コンプレッサ羽根車の製造方法を提供することである。
本発明者は、キャビティにおいて、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を設けることにより、上述の課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
かくして、キャビティを画成するにおいて、本発明の第一の観点によれば、湯口部と対向する位置であってディスク面側の外方に対応する位置に膨出させて上記トラップ部を設ける。すなわち本発明における第一の発明は、ハブ軸部と、該ハブ軸部から半径方向に延在しハブ面とディスク面と外周面を有するハブディスク部と、前記ハブ面に配設された複数の羽根部とを有してなる羽根車形状に対応する空間形状が画成されたキャビティに、溶湯を充填して前記羽根車形状をダイカスト形成するコンプレッサ羽根車の製造方法において、前記キャビティは、前記ハブ面側の前記ハブ軸部の延長方向に対応する位置に湯口部を有し、該湯口部と対向する位置であって前記ディスク面側の外方に対応する位置に膨出する、前記溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を有する、コンプレッサ羽根車の製造方法である。
また、本発明の第二の観点によれば、ハブディスク部の外周部の半径方向外方に対応する位置に膨出させて上記トラップ部を設ける。すなわち本発明における第二の発明は、ハブ軸部と、該ハブ軸部から半径方向に延在しハブ面とディスク面と外周面を有するハブディスク部と、前記ハブ面に配設された複数の羽根部とを有してなる羽根車形状に対応する空間形状が画成されたキャビティに、溶湯を充填して前記羽根車形状をダイカスト形成するコンプレッサ羽根車の製造方法において、前記キャビティは、前記ハブ面側の前記ハブ軸部の延長方向に対応する位置に湯口部を有し、前記ハブディスク部の外周部の半径方向外方に対応する位置に膨出する、前記溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を有する、コンプレッサ羽根車の製造方法である。
本発明の製造方法においては、上記第一の発明と第二の発明とを同時に実施することもできる。すなわち本発明においては、前記羽根車形状に対応する空間形状が画成されたキャビティは、前記湯口部と対向する位置であって前記ディスク面側の外方に対応する位置に膨出する第1トラップ部と、前記ハブディスク部の外周部の半径方向外方に対応する位置に膨出する第2トラップ部を有することもできる。
また、本発明においては、前記羽根車形状に対応する空間形状が画成されたキャビティには、トラップ部は、前記ハブディスク部の外周面の半径方向外方に対応する位置に膨出させて設けることができる。
また、トラップ部は、前記ハブディスク部の外周部であって前記ディスク面側に対応する位置から半径方向外方に膨出させて設けることができる。
また、トラップ部は、前記ハブディスク部の外周部であって前記ハブ面側に対応する位置から半径方向外方に膨出させて設けることができる。
本発明のコンプレッサ羽根車の製造方法は、マグネシウム合金を用いてダイカスト形成する場合に適用できる。
また、本発明コンプレッサ羽根車の製造方法は、アルミニウム合金を用いてダイカスト形成する場合に適用できる。
本発明の製造方法によれば、上述したダイカスト形成の有利性を活かすとともに、高い空力学的性能を有する安価なコンプレッサ羽根車を効率的に安定して形成することができ、工業上極めて有効な技術となる。
上述した第一の発明における重要な特徴は、キャビティを画成するにおいて、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を、湯口部と対向する位置であってディスク面側の外方に対応する位置に膨出させて設けることにある。
ダイカスト形成においては、上述したようにノズルからキャビティに高速で射出された溶湯は、羽根車のディスク面の中央部に対応する個所に衝突し、溶湯を汚染する異物もまた上記個所に衝突することとなる。このとき異物は、ノズルの先端に付着していたが故に、新たに射出された溶湯の流れの先端付近に混在して集まりやすい。それ故に、本発明では、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を、溶湯に含まれる異物が衝突する上記個所、すなわち、湯口部と対向する位置であってディスク面側の外方に対応する位置に膨出させて設ける。
本発明においてトラップ部の底部に衝突した溶湯は、トラップ部を充満させつつディスク面の半径方向外方に向かってその流れを急変させる。このとき、溶湯の流れの先端付近に位置する異物に対しては、射出された後続の溶湯から押圧力が作用することとなる。このために異物は、その流れ方向の転進が抑制される。そして、転進が抑制された異物に対し、さらに、トラップ部に異物をそのまま押し留めようとする溶湯からの押圧力が作用し続けることとなる。それ故に、本発明では、トラップ部を膨出させて設ける。上述したように異物にはトラップ部に押し留める押圧力が作用することから、製品部でない上記個所にトラップ部を膨出させて設けることにより、成形体の製品部、つまり羽根車自体に対する異物の混入を防止でき、ダイカスト形成されてなる健全な羽根車を得ることができる。
また、上述した第二の発明における重要な特徴は、キャビティを画成するにおいて、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を、ハブディスク部の外周部の半径方向外方に対応する位置に膨出させて設けることにある。
ダイカスト形成においては、ノズルからキャビティに高速で射出された溶湯に混在する異物は、上述したように溶湯の流れの先端付近に混在して集まりやすい。ダイカスト形成の際、ノズルから射出された溶湯は、上記個所に衝突した後には、羽根車のハブディスク部の半径方向外方に対応する方向に流れて外周面に対応する位置にまで達する。このとき、溶湯の流れの先端付近に混在して集まりやすい異物もまた上記位置に達することとなる。それ故に、本発明では、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を、溶湯に含まれる異物が達する上記位置、すなわち、ハブディスク部の外周部の半径方向外方に対応する位置に膨出させて設ける。
本発明において上記位置に達した溶湯は、その流れ方向を転進することなくハブディスク部の外周部の半径方向外方に膨出させて設けたトラップ部に流れ込むこととなる。このとき、溶湯の流れの先端付近に位置する異物もまたトラップ部に流れ込むこととなる。そして、トラップ部に流れ込んだ異物に対し、さらに、トラップ部に異物をそのまま押し留めようとする溶湯からの押圧力が作用し続けることとなる。それ故に、本発明では、トラップ部を膨出させて設ける。上述したように異物にはトラップ部に押し留める押圧力が作用することから、製品部でない上記位置にトラップ部を膨出させて設けることにより、成形体の製品部、つまり羽根車自体に対する異物の混入を防止でき、ダイカスト形成されてなる健全な羽根車を得ることができる。
本発明の製造方法において望ましくは、上述した第一の発明と第二の発明の構成を同時に有することである。具体的には、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を、湯口部と対向する位置であってディスク面側の外方に対応する位置に膨出する第1トラップ部として設け、かつ、ハブディスク部の外周部の半径方向外方に対応する位置に膨出する第2トラップ部として設けることである。これにより、ノズルからキャビティに高速で射出された溶湯に含まれる異物は、まず第1トラップ部によって留置される。このとき、たとえ第1トラップ部で留置し切れなかった異物があっても、次段の第2トラップ部によって異物は確実に留置されることとなる。
上述した第一の発明において設けるトラップ部は、ディスク面に対応する位置に開口させる開口形状を、円形または楕円形などの略円形や、正方形または長方形などの略多角形に形成することができる。また、トラップ部の膨出量すなわち深さは、上記開口形状の開口径や開口長さと同等もしくは同等以上とすることが望ましい。例えば、溶湯を射出するノズルの口径がDn:5〜20mmの場合、上記開口形状の開口径を略2倍のDt:8〜40mmとし、深さを略2倍以上のH:8〜100mmとすることができる。これにより、溶湯に含まれる異物がトラップ部内に入り込みやすくなるとともに、一旦トラップ部に留置された異物のトラップ部からの離脱を抑制することができる。
また、上述した第二の発明において設けるトラップ部は、ハブディスク部の外周部の半径方向外方に対応する位置、例えば外周面に対応する位置に開口させる開口形状を、円形または楕円形などの略円形や、正方形または長方形などの略多角形、あるいは薄板断面形状などに形成することができる。薄板断面形状に形成する場合、例えば、開口形状の幅:10〜30mm、高さ:1〜5mmとすることで異物の入り込みを容易とし、深さ:5〜20mmとすることで異物のトラップ部からの離脱を抑制することができる。
また、第二の発明において設けるトラップ部は、ハブディスク部の外周面の円周方向に対応させて複数の個所に分散させて設けてもよい。また、放射状に等間隔に設けることもできるし、等間隔とせずに設けることもできる。望ましくは、羽根車の羽根部の合計枚数の半数以上のトラップ部を、放射状に分散させて設けることである。例えば、羽根部に対応する空間形状を画成する金型にトラップ部を設ける場合、羽根部の合計枚数が12枚ならば、6個所以上のトラップ部を放射状に等間隔に分散させて設けることは好適である。
本発明におけるトラップ部は、例えばオーバーフロー部やガスベント部などの作用効果を有することもできる。膨出して設けたトラップ部は、キャビティからのガスの逃げ場となるガスベント部としても利用できるし、キャビティに溶湯を十分に充填するためのオーバーフロー部としても利用できる。例えば、キャビティ内の残留ガスが溶湯によってトラップ部内に押しやられて留置され、羽根車のハブディスク部の外周部に対応する個所においてガス欠陥の発生が抑制される。また例えば、トラップ部がオーバーフロー部となって羽根車のハブディスク部の外周部に対応する個所に十分に溶湯が充填されて、不廻りなどの鋳造欠陥の発生が抑制される。
上述したコンプレッサ羽根車の製造方法においては、ダイカスト形成の後には、得られた成形体から上述のトラップ部などの非製品部を除去する過程が必須となる。この際、本発明におけるトラップ部は、成形体において、ディスク面側の外方に膨出して形成されることから、もしくはハブディスク部の外周部の半径方向外方に膨出して形成されることから、例えば旋盤やエンドミルなどの除去手段によって効率よく除去できる利点がある。また、上述の第二の発明においては、トラップ部をハブディスク部の外周面の半径方向外方に形成することができ、これにより例えばハブディスク部の外周面をハブ軸部の軸方向に沿ってダイカットするなどの冷間プレスのような生産効率のよい安価な除去手段を適用できる利点がある。それ故に、本発明においては、成形体からのトラップ部の除去によっては、ダイカスト形成を適用する利点となる生産効率や製造コストを損ねることがない。
以上のことから、本発明の製造方法によって得られた羽根車は、鋳造欠陥が抑制され、所望の機械的特性を有し、高い信頼性かつ高い空力学的性能が期待できる安価なコンプレッサ羽根車となることが期待される。
以下、本発明において、上述したようにキャビティに対して設ける溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部について具体例を挙げて、図面を用いて説明する。
図1は、本発明において、コンプレッサ羽根車(以下、羽根車という)をダイカスト形成するために画成したキャビティの断面の一例を模式的に示す断面図である。羽根車の形状に対応する空間形状を含むキャビティ1は、羽根車のディスク面を形成するためのディスク面形成金型2と、羽根部を含みハブ面とこれに連なるハブディスク部の外周面を形成するためのハブ面形成金型3とでパーティングライン4を形成し、型合せした状態で画成されている。また、キャビティ1に溶湯を射出するノズル5は、湯口部6に連結されている。このキャビティ1においては、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部7は、湯口部6と対向するディスク面の外方に膨出して設けられ、ディスク面に対応する位置に開口している。このトラップ部7は、ダイカスト形成された成形体では、羽根車のディスク面の中央部に対応する位置に膨出する突起として確認されることになる。この場合には、トラップ部7によって形成された非製品部を成形体から除去する際、例えば旋盤やエンドミルなどの除去手段が好適である。
図2は、本発明において、羽根車をダイカスト形成するために画成したキャビティの断面の別の例を模式的に示す断面図である。図2(a)の例では、キャビティ11aは、羽根車のディスク面を形成するためのディスク面形成金型12aと、羽根部を含みハブ面とこれに連なるハブディスク部の外周面の一部を形成するためのハブ面形成金型13aとで型合せした状態で画成されている。そして、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部14aは、ハブディスク部の外周部の半径方向外方であってディスク面に連なる外周面の半径方向外方に膨出して設けられ、外周面に対応する位置に開口している。
また、図2(b)の例では、キャビティ11bは、羽根車のディスク面とこれに連なるハブディスク部の外周面の一部を形成するためのディスク面形成金型12bと、羽根部を含みハブ面を形成するためのハブ面形成金型13bとで型合せした状態で画成されている。そして、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部14bは、ハブディスク部の外周部の半径方向外方であってハブ面に連なる外周面の半径方向外方に膨出して設けられ、外周面に対応する位置に開口している。
また、図2(c)の例では、キャビティ11cは、羽根車のディスク面とこれに連なるハブディスク部の外周面の一部を形成するためのディスク面形成金型12c、羽根部を含みハブ面とこれに連なるハブディスク部の外周面の一部を形成するためのハブ面形成金型13cとで型合せした状態で画成されている。そして、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部14cは、ハブディスク部の外周部の半径方向外方であってディスク面ともハブ面とも接することのないハブディスク部の外周面内の半径方向外方に膨出して設けられ、外周面に対応する位置に開口している。
上述した図2のいずれの例においても、ダイカスト形成された成形体では、トラップ部14a、14b、14cは、羽根車のハブディスク部の外周面となる個所に膨出する突起として確認されることになる。この場合には、トラップ部によって形成された非製品部を成形体から除去する際、例えばダイカットなどの冷間プレス、旋盤やエンドミルなどの除去手段が好適である。特に図2(c)に示すようにトラップ部を設けることは、トラップ部によって形成された非製品部を成形体からトリミングによって除去する際、トリミングにより形成されやすいカエリバリが生じ難いので好適である。
図3は、本発明において、羽根車をダイカスト形成するために画成したキャビティの断面のまた別の例を模式的に示す断面図である。図3(a)の例では、キャビティ21aは、羽根車のディスク面の大部分を形成するためのディスク面形成金型22aと、羽根部を含みハブ面とこれに連なるハブディスク部の外周面を形成するためのハブ面形成金型23aとで型合せした状態で画成されている。そして、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部24aは、ハブディスク部の外周部の半径方向外方であってディスク面側に対応する位置から半径方向外方に膨出して設けられ、外周面から連なるディスク面に対応する位置に開口している。
また、図3(b)の例では、キャビティ21bは、羽根車のディスク面の大部分とこれに連なるハブディスク部の外周面を形成するためのディスク面形成金型22bと、羽根部を含みハブ面を形成するためのハブ面形成金型23bとで型合せした状態で画成されている。そして、溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部24bは、ハブディスク部の外周部の半径方向外方であってハブ面側に対応する位置から半径方向外方に膨出して設けられ、外周面から連なるハブ面に対応する位置に開口している。
上述した図3のいずれの例においても、ダイカスト形成された成形体では、トラップ部24a、24bは、羽根車のハブディスク部の外周部であってディスク面もしくはハブ面に連なる個所に膨出する突起として確認されることになる。この場合には、トラップ部によって形成された非製品部を成形体から除去する際、例えばエンドミルなどの除去手段が好適である。
また、例えば、上述した図2(a)〜図2(c)に示すいずれかのトラップ部と、図3(a)または図3(b)に示すトラップ部を組み合せた構成のトラップ部とすることもできる。これにより溶湯に含まれる異物のトラップがより確実になることが期待される。
図4は、本発明において、羽根車をダイカスト形成するために画成したキャビティの断面のさらにまた別の例を模式的に示す断面図である。キャビティ25は、羽根車のディスク面を形成するためのディスク面形成金型26と、羽根部を含みハブ面とこれに連なるハブディスク部の外周面の一部を形成するためのハブ面形成金型27とで型合せした状態で画成されている。そして、図1および図2(a)に示す両トラップ部7、14aと同等の空間形状を有するトラップ部28a、28bが設けられている。このキャビティ25を用いてダイカスト形成された成形体では、トラップ部28aは羽根車のディスク面の中央部に対応する位置に膨出する突起として、また、トラップ部28bは羽根車のハブディスク部の外周面となる個所に膨出する突起として確認されることになる。この場合には、トラップ部28a、28bによって形成された非製品部を成形体から除去する際、例えば旋盤やエンドミル、トリミングなどの除去手段を組合せて適用することもできる。
次に、本発明において、コンプレッサ羽根車に使用できる材質について説明する。
コンプレッサ羽根車は、上述したように外気の吸引および圧縮を行う羽根車である。この吸引と圧縮を高効率で行わせるために高速回転される羽根車は、羽根車の質量当たりの耐力、引張強さ、疲労強度などの機械的特性が所望される。それ故に、望ましくは、上述した機械的特性に優れるアルミニウム合金やマグネシウム合金を使用することである。アルミニウム合金やマグネシウム合金を使用してダイカスト形成されてなる羽根車は、軽量かつ高強度の羽根車となることが期待される。また、マグネシウム合金は、アルミニウム合金に比べて金型に対する焼付性がよいことから、ダイカスト形成には、より好適な材料である。
材質の具体例を挙げると、アルミニウム合金としては、ASTM(米国材料試験協会)−354や355、JIS−AC4C、AC5A、AC5Bなどが好適である。また、ダイカスト形成における金型の焼き付き防止を考慮し、これらの合金にFeやMnを各々0.05〜1.0質量%含有させたアルミニウム合金も好ましい。また、マグネシウム合金としては、ASTM−AZ91A〜AZ91E、AS41A、AS41B、AM50A、AE42、WE43A、WE41A、WE54Aなどが好適である。
本発明の製造方法によって得られる自動車用ターボチャージャの吸気側に使用されるコンプレッサ羽根車の一例の模式図を図4に示す。コンプレッサ羽根車31(以下、羽根車31という)は、ハブ軸部32と、ハブ軸部32から半径方向に延在しハブ面34とディスク面35と外周面36を有するハブディスク部33と、ハブ面34に配設された複数の羽根部とを有している。また、複数の羽根部は、合計12枚の羽根がハブ面34に配設され、6枚の長羽根37と、6枚のスプリッタ羽根とも呼ばれる短羽根38とがそれぞれ交互に放射状に突設されている。また、長羽根37と短羽根38のブレード面は、いずれも複雑な空力学的曲面形状を表裏に有している。なお、本発明においては、羽根部の間に、半径方向外方に向かってアンダーカットを有してもよい。
以上、上述した本発明の製造方法により、汚染が混在する鋳造欠陥の認められない健全なコンプレッサ羽根車であって、高い空力学的性能を有する安価なコンプレッサ羽根車を効率的かつ安定して形成することができる。
本発明の製造方法によって得られるコンプレッサ羽根車は、自動車や船舶等の内燃機関に組み込まれる過給機の吸気側で使用される。
本発明の一例となるキャビティを模式的に示す断面図である。 本発明の一例となるキャビティを模式的に示す断面図である。 本発明の一例となるキャビティを模式的に示す断面図である。 本発明の一例となるキャビティを模式的に示す断面図である。 コンプレッサ羽根車の一例を示す模式図である。 従来金型で画成したキャビティの一例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1.キャビティ、2.ディスク面形成金型、3.ハブ面形成金型、4.パーティングライン、5.ノズル、6.湯口部、7.トラップ部、11a、11b、11c.キャビティ、12a、12b、12c.ディスク面形成金型、13a、13b、13c.ハブ面形成金型、14a、14b、14c.トラップ部、21a、21b.キャビティ、22a、22b.ディスク面形成金型、23a、23b.ハブ面形成金型、24a、24b.トラップ部、25.キャビティ、26.ディスク面形成金型、27.ハブ面形成金型、28a、28b.トラップ部、31.羽根車、32.ハブ軸部、33.ハブディスク部、34.ハブ面、35.ディスク面、36.外周面、37.長羽根、38.短羽根、41.キャビティ、42.ディスク面形成金型、42a.中央部、43.ハブ面形成金型、44.湯口部、45.ノズル

Claims (8)

  1. ハブ軸部と、該ハブ軸部から半径方向に延在しハブ面とディスク面と外周面を有するハブディスク部と、前記ハブ面に配設された複数の羽根部とを有してなる羽根車形状に対応する空間形状が画成されたキャビティに、溶湯を充填して前記羽根車形状をダイカスト形成するコンプレッサ羽根車の製造方法において、前記キャビティは、前記ハブ面側の前記ハブ軸部の延長方向に対応する位置に湯口部を有し、該湯口部と対向する位置であって前記ディスク面側の外方に対応する位置に膨出する、前記溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を有することを特徴とするコンプレッサ羽根車の製造方法。
  2. ハブ軸部と、該ハブ軸部から半径方向に延在しハブ面とディスク面と外周面を有するハブディスク部と、前記ハブ面に配設された複数の羽根部とを有してなる羽根車形状に対応する空間形状が画成されたキャビティに、溶湯を充填して前記羽根車形状をダイカスト形成するコンプレッサ羽根車の製造方法において、前記キャビティは、前記ハブ面側の前記ハブ軸部の延長方向に対応する位置に湯口部を有し、前記ハブディスク部の外周部の半径方向外方に対応する位置に膨出する、前記溶湯に含まれる異物をトラップするトラップ部を有することを特徴とするコンプレッサ羽根車の製造方法。
  3. 前記羽根車形状に対応する空間形状が画成されたキャビティは、前記湯口部と対向する位置であって前記ディスク面側の外方に対応する位置に膨出する第1トラップ部と、前記ハブディスク部の外周部の半径方向外方に対応する位置に膨出する第2トラップ部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のコンプレッサ羽根車の製造方法。
  4. 前記羽根車形状に対応する空間形状が画成されたキャビティは、前記ハブディスク部の外周面の半径方向外方に対応する位置に膨出するトラップ部を有することを特徴とする請求項2または3に記載のコンプレッサ羽根車の製造方法。
  5. 前記羽根車形状に対応する空間形状が画成されたキャビティは、前記ハブディスク部の外周部であって前記ディスク面側に対応する位置から半径方向外方に膨出するトラップ部を有することを特徴とする請求項2または3に記載のコンプレッサ羽根車の製造方法。
  6. 前記羽根車形状に対応する空間形状が画成されたキャビティは、前記ハブディスク部の外周部であって前記ハブ面側に対応する位置から半径方向外方に膨出するトラップ部を有することを特徴とする請求項2または3に記載のコンプレッサ羽根車の製造方法。
  7. マグネシウム合金を用いてダイカスト形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のコンプレッサ羽根車の製造方法。
  8. アルミニウム合金を用いてダイカスト形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のコンプレッサ羽根車の製造方法。
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