JP4304405B2 - シリンダブロックの鋳巣除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エンジンの製造に用いられるアルミダイカストシリンダブロックのような鋳造されたシリンダブロックの鋳巣除去方法に関し、特に、ボア表面に溶射により耐摩耗性被膜を形成する工程等の前処理として実施するのに好適なシリンダブロックの鋳巣除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ダイカストシリンダブロックのような鋳造されたシリンダブロックでは、冷却条件等の種々の要因により、例えば溶融金属を鋳型に早い勢いで流し込むために溶融金属内部にエアが巻き込まれることにより、シリンダブロックのボア表面及びブロック内部に鋳巣ができてしまう。
【0003】
従来、アルミダイカストシリンダブロック(以下、単にアルミブロックという)のボア表面に、耐摩耗性被膜を溶射により形成する技術が知られている(例えば、特開平7−317595号公報)。こうしてダイカストシリンダブロックのような鋳造されたシリンダブロックのボア表面に耐摩耗性被膜を形成して作られたシリンダブロックを、以下の説明で「溶射ブロック」という。
【0004】
こうした溶射ブロックを製造する技術は、シリンダブロックのボアに鋳鉄製等のシリンダライナを鋳ぐるむ行程、或いは、同ボアにシリンダライナを圧入する工程を不要にできる点で優れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術により溶射ブロックを製造する際に、アルミブロック等のシリンダブロックのボア表面に鋳巣があると、その表面に溶射により形成した耐磨耗性被膜の脱落や剥離が生じてしまという問題があった。
【0006】
こうした問題を回避するために、アルミダイカストのような鋳造技術自体を工夫して鋳巣を低減することが考えられる。しかし、耐磨耗性被膜の脱落や剥離が生じる原因となる有害な鋳巣のないシリンダブロックを製造するのは非常に困難であった。
【0007】
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたもので、その目的は、鋳造されたシリンダブロックのボア表面の鋳巣を除去することができ、品質の高い溶射ブロックの製造が可能で、また、ボア表面の鋳巣を除去しておく前処理としても広く利用可能なシリンダブロックの鋳巣除去方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、シリンダブロックの鋳巣除去方法において、
鋳造後のシリンダブロックのシリンダボア内にボア表面を覆うダミーライナを配置する工程Aと、この工程Aの後にダミーライナ内周面を加熱して再溶融する工程Bと、この工程Bの後にダミーライナの全部及びボア表面を切除して前記鋳造後のシリンダブロックのシリンダボアよりも径の大きい新たなシリンダボアを形成する工程Cとを含むことを要旨としている。
【0009】
(2)請求項2に記載の発明は、シリンダブロックの鋳巣除去方法において、
鋳造後のシリンダブロックのシリンダボア内にボア表面を覆うダミーライナを配置する工程Aと、この工程Aの後にダミーライナ内周面を加熱して再溶融する工程Bと、この工程Bの後にボア表面をダミーライナ内周面からシリンダブロック上の所定の切除加工面にまで切除する工程Cとを含むことを要旨としている。
【0010】
この発明によれば、ボア表面を覆うダミーライナにより、再溶融したシリンダブロックの流れ出し及び変形を抑制しつつ、再溶融によりボア表面近傍の鋳巣を除去することができる。この後、再凝固したボア表面近傍を切除してシリンダボアを形成することにより、不要となったダミーライナが除去されるとともに鋳巣の少ないボア表面が得られる。
したがって、鋳造されたシリンダブロックのボア表面の鋳巣を除去することができ、品質の高い溶射ブロックを製造することができる。また、ボア表面に耐摩耗性被膜を形成するための前処理としての利用だけでなく、次工程のためにボア表面の鋳巣を除去しておくための前処理としても広く利用することができる。さらに、ボア表面近傍を再溶融させることにより、シリンダブロックの残留応力も除去することができる。
【0011】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、前記工程Bによるダミーライナ内周面の加熱中または加熱後にダミーライナをシリンダブロックに対して移動させることを要旨としている。
【0012】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、前記工程Bによるダミーライナ内周面の加熱中または加熱後にダミーライナをシリンダブロックに対して回転させることを要旨としている。
【0013】
(5)請求項5に記載の発明は、シリンダブロックの鋳巣除去方法において、鋳造後のシリンダブロックのボア表面を覆うダミーライナを配置する工程Aと、この工程Aの後にシリンダブロックのボア表面近傍を加熱して再溶融する工程Bと、この工程Bの後に再凝固したボア表面近傍を切除して円形孔を形成する工程Cとを含むとともに、前記工程Bによるボア表面近傍の加熱中または加熱後にダミーライナをシリンダブロックに対して移動させることを要旨としている。
【0014】
この発明によれば、ボア表面近傍の加熱中或いは加熱後に、ダミーライナをシリンダブロックに対して動かすことにより、再溶融したボア表面近傍にある鋳巣が潰されて微細化され、或いは鋳巣が効率的に集められて鋳巣同士が合体し、外部へ押し出され易くなる。これにより、再凝固したボア表面近傍を切除して円形孔を形成することによりできるボア表面に残る鋳巣をより少なく或いはより小さくすることができる。
【0015】
(6)請求項6に記載の発明は、シリンダブロックの鋳巣除去方法において、鋳造後のシリンダブロックのボア表面を覆うダミーライナを配置する工程Aと、この工程Aの後にシリンダブロックのボア表面近傍を加熱して再溶融する工程Bと、この工程Bの後に再凝固したボア表面近傍を切除して円形孔を形成する工程Cとを含むとともに、前記工程Bによるボア表面近傍の加熱中または加熱後にダミーライナをシリンダブロックに対して回転させることを要旨としている。
【0016】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれか一項に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、前記ダミーライナとしてシリンダボアの上端及び下端の少なくとも一方よりも外側に突出したものを用いることを要旨としている。
この発明によれば、ボアの上下端の少なくとも一方より突出させたダミーライナの突出部を工具等で保持することができるので、ダミーライナをシリンダブロックに対して容易に移動または回転させることができるようになる。
【0017】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、前記工程Bでは、ダミーライナを介して電磁誘導によりボア表面近傍を加熱することを要旨としている。
この発明によれば、シリンダブロックのボア表面近傍を直接加熱する場合よりも、ボア表面近傍を効率的にかつ低出力で加熱することができるので、加熱のための電力消費を低減することができる。
【0018】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、前記工程Bでは、高周波コイルを用いて電磁誘導によるボア表面近傍の加熱を行うものであり、ダミーライナ内にて同ライナの軸線に沿う方向に高周波コイルを移動させつつ加熱を行うものであることを要旨としている。
【0019】
この発明によれば、高周波コイルによるダミーライナ内面の被加熱部が同ライナの軸線に沿った方向に移動し、この移動に伴いボア表面近傍の再溶融部が順次移っていく。これにより、ダミーライナの内面全体を一度に加熱する場合よりも、ボア表面近傍にある鋳巣がより効率的に集められて鋳巣同士がより合体し易くなり、この結果、鋳巣が外部へより押し出され易くなる。
【0020】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、前記ダミーライナとしてシリンダブロックよりも透磁率の高い金属材料により形成されたものを用いることを要旨としている。
この発明によれば、ダミーライナをシリンダブロックより透磁率の高い金属材料で作ることにより、ダミーライナがシリンダブロックよりも早く加熱される。このため、ボア表面近傍をより効率的にかつより低出力で加熱することができ、加熱のための電力消費をより一層低減することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシリンダブロックの鋳巣除去方法を、自動車等の車両用エンジンとして、例えば4気筒の自動車用エンジンのシリンダブロックに適用した各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るシリンダブロックの鋳巣除去方法を、図1及び図2に基づいて説明する。
【0023】
シリンダブロックの鋳巣除去方法は、以下の工程(a)〜(c)を含む。
(a)アルミダイカストシリンダブロック11(アルミブロック)に、そのボア表面12を覆うダミーライナ13を配置する。
【0024】
(b)アルミブロック11のボア表面近傍15を加熱して再溶融させる。
(c)この後、再凝固したボア表面近傍15を、切除加工面16に沿って切除し、ボア表面17を形成する。
【0025】
本実施形態では、ダミーライナ13は、アルミブロック11より透磁率の高い金属材料、例えば鋳鉄で作られた円柱状のライナである。同ダミーライナ13は、その上下端がアルミブロック11のアッパ部11aの上下端(ボアの上下端)とそれぞれ一致するように、アルミブロック11に鋳ぐるまれている。図1で符号11bは、内部にクランクケースを形成するアルミブロック11のロア部である。
【0026】
また、本実施形態では、ボア表面近傍15を加熱して再溶融させ、この後ボア表面近傍15を再凝固させるのに、電磁誘導による高周波焼入れを実施する。図1で符号18は、同高周波焼入れに用いる高周波コイルである。同高周波コイル18に不図示の装置により高周波電流を流すことにより、ダミーライナ13が加熱され、同ダミーライナ13を介してボア表面近傍15が加熱される。この加熱時に、ダミーライナ13は、アルミの溶融点以上に加熱するのが好ましい。
【0027】
また、本実施形態では、ボア表面近傍15の加熱中或いは加熱後に、高周波コイル18を、ダミーライナ13内で同ライナ13の軸線に沿った方向(図1で上下方向)に相対移動させることにより、ダミーライナ13の内面を順次加熱する。例えば、高周波コイル18を、ダミーライナ13の内面に沿って、その上端部側から下端部側へ向かって一定の速度で移動させていくことにより、ダミーライナ13をその上端部側から下端部側へ向かって一定の速度で順次加熱していく。
【0028】
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)アルミブロック11に、そのボア表面12を覆うダミーライナ13を配置した状態で、図2(a)で示すように鋳巣20が点在しているアルミブロック11のボア表面近傍15を加熱して再溶融させる(上記工程(a)及び(b))。このため、ボア表面12を覆うダミーライナ13により、再溶融したボア表面近傍15の流れ出し及び変形(シリンダブロックの流れ出し及び変形)を防ぎつつ、再溶融によりボア表面近傍15の鋳巣20が図2(b)で示すように除去される。
【0029】
この後、電磁誘導による高周波焼入れにより冷却されて再凝固したボア表面近傍15を切除加工面16に沿って切除して円形孔を形成することにより、鋳巣20の無いボア表面17が得られる(図2(b)参照)。
【0030】
したがって、アルミブロック11のボア表面17の鋳巣を除去することができる。また、この鋳巣の除去されたボア表面17に、耐摩耗性被膜を溶射することにより、耐摩耗性被膜の脱落や剥離の生じない品質の高い溶射ブロックを製造することができる。
【0031】
(2)ボア表面17に耐摩耗性被膜を溶射する場合に限らず、次工程のためにボア表面17の鋳巣を除去しておく前処理としても広く利用することができる。
(3)ボア表面近傍15を再溶融させることにより、アルミブロック11の残留応力の残留応力も除去することができる。
【0032】
(4)ボア表面近傍15の加熱を、電磁誘導による高周波焼入れによりダミーライナ13を介して行うことにより、アルミブロック11のボア表面近傍15を直接加熱する場合よりも、ボア表面近傍15を効率的にかつ低出力で加熱することができる。その結果、ボア表面近傍15を加熱するための電力消費を低減することができる。
【0033】
(5)ダミーライナ13は、アルミブロック11より透磁率の高い鋳鉄で作られているので、ダミーライナ13がアルミブロック11よりも早く加熱される。このため、ボア表面近傍15をより効率的にかつより低出力で加熱することができる。これにより、ボア表面近傍15を加熱するための電力消費をより一層低減することができる。
【0034】
(6)ダミーライナ13を、アルミブロック11の溶融点以上に加熱することにより、ボア表面近傍15をより短時間で効率的に加熱することができる。これによっても、前記加熱のための電力消費をより一層低減することができる。
【0035】
(7)ボア表面近傍15の加熱中或いは加熱後に、高周波コイル18を、ダミーライナ13内で同ライナ13の軸線に沿った方向に移動させて、ダミーライナ13の内面を順次加熱するようにしている。これにより、高周波コイル18によるダミーライナ13内面の被加熱部が同ライナ13の軸線に沿った方向に順次移動し、この移動に伴いボア表面近傍15の再溶融部が順次移っていく。このため、ダミーライナ13の内面全体を、高周波コイル18を移動させずに同コイル18で一度に加熱する場合よりも、ボア表面近傍15に点在する鋳巣20がより効率的に集められて鋳巣同士がより合体し易くなり、この結果、鋳巣20がアルミブロック11外部へ(同ブロック11の下方へ)より押し出され易くなる。
【0036】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るシリンダブロックの鋳巣除去方法を、図3及び図4に基づいて説明する。
【0037】
本実施形態に係るシリンダブロックの鋳巣除去方法では、上記工程(b)での加熱中或いは加熱後に、ダミーライナ13をアルミブロック11に対して、同ライナ13の軸線に沿った方向に(例えば、図4(b)の矢印で示す下方向に)動かすようにしている。そのために、ダミーライナ13の上下端13a,13bをアルミブロック11のアッパ部11aの上下端面11c、11dよりそれぞれ突出させてある。その他は、上記第1実施形態と同じである。
【0038】
以上説明した第2実施形態によれば、上記効果(1)〜(7)に加えて、以下の効果が得られる。
(8)ボア表面近傍15の加熱中或いは加熱後に、再溶融状態にあるダミーライナ13をアルミブロック11に対して同ライナ13の軸線に沿った方向に動かすことにより、再溶融したボア表面近傍15にせん断力が加えられる。これにより、点在する鋳巣20(図4(a)参照)が効率的に集められて鋳巣20同士が合体し、合体した鋳巣20が図4(b)で示すエア21として外部へ押し出され易くなる。したがって、再凝固したボア表面近傍15を切除して円形孔を形成することによりできるボア表面17の鋳巣をより少なくすることができる。
【0039】
(9)ダミーライナ13の上下端13a,13bをアルミブロック11のアッパ部11aの上下端面11c、11dよりそれぞれ突出させてある。このため、その突出部である上下端13a,13bの少なくとも一方を工具等で保持することにより、ダミーライナ13をアルミブロック11に対して上記軸線に沿った方向に容易に動かすことができる。
【0040】
[第3実施形態]
第3実施形態に係るシリンダブロックの鋳巣除去方法を、図5及び図6に基づいて説明する。
【0041】
本実施形態に係るシリンダブロックの鋳巣除去方法では、上記工程(b)での加熱中或いは加熱後に、ダミーライナ13をアルミブロック11に対して、同ライナの軸心を中心に図5の矢印で示す左右方向のいずれか一方へ回転させるようにしている。そのために、本実施形態においても、上記第2実施形態と同様に、ダミーライナ13の上下端13a,13bをアルミブロック11のアッパ部11aの上下端面11c、11dよりそれぞれ突出させてある。
【0042】
以上説明した第2実施形態によれば、上記効果(1)〜(7)に加えて、以下の効果が得られる。
(10)ボア表面近傍15の加熱中或いは加熱後に、再溶融状態にあるダミーライナ13をシリンダブロックに対して、同ライナの軸心を中心に前記一方へ回転させることにより、再溶融したボア表面近傍15にせん断力が加えられる。これにより、点在する鋳巣20(図6(a)参照)が図6(b)で示す鋳巣22のように潰されて微細化される。したがって、再凝固したボア表面近傍15を切除して円形孔を形成することによりできるボア表面17の鋳巣をより小さくすることができる。
【0043】
(11)ダミーライナ13の上下端13a,13bの少なくとも一方を工具等で保持することにより、ダミーライナ13をアルミブロック11に対して、同ライナの軸心を中心に容易に回転させることができる。
【0044】
[変形例]
以上、本発明の各実施形態について説明したが、各実施形態は以下に示すようにその構成を変更して実施することもできる。
【0045】
・上記各実施形態では、本発明をアルミダイカストシリンダブロック11に適用した例を示したが、本発明はアルミ以外の金属材料を用いてダイカスト以外の方法で鋳造されたシリンダブロックにも適用することができる。
【0046】
・上記各実施形態では、鋳鉄製のダミーライナ13を、アルミブロック11に鋳ぐるんでいるが、ダミーライナ13をアルミブロック11のボアに圧入するようにしてもよい。
【0047】
・上記各実施形態において、ダミーライナ13の内面全体を、図1及び図3の二点鎖線で示すように、高周波コイル18を移動させずに同コイル18で一度に加熱するようにしてもよい。
【0048】
・上記各実施形態において、ダミーライナ13を鋳鉄製ライナとしているが、ダミーライナ13を鋳鉄以外の金属材料で作ってもよい。ただし、上述したように、同ダミーライナ13を、シリンダブロックの金属材料よりも溶融点の高い金属材料で作るのが望ましい。
【0049】
・上記各実施形態に係るシリンダブロックの鋳巣除去方法は、アルミブロック11等の鋳造されたシリンダブロックのボアに、シリンダライナを圧入するタイプのシリンダブロックを製造する場合に、その圧入の前処理としてボア表面を鋳巣の無い面にするためにも有効に利用することができる。
【0050】
・上記各実施形態では、本発明を自動車等の車両用エンジンとして、4気筒の自動車用エンジンのシリンダブロックに適用しているが、本発明は、4気筒以外の多気筒の自動車用エンジンや、自動車以外の車両用エンジンのシリンダブロックを製造する場合にも適用可能である。
【0051】
・上記各実施形態では、ボア表面近傍15を、電磁誘導による高周波焼入れによりダミーライナ13を介して加熱しているが、本発明はその加熱法に限らず、ダミーライナ13を介してボア表面近傍15を加熱する方法全てを使用可能である。
【0052】
・上記第2実施形態では、ダミーライナ13の上下端13a,13bをアルミブロック11のアッパ部11aの上下端面11c,11dよりそれぞれ突出させてあるが、上下端13a,13bのいずれか一方を突出させるようにしてもよい。
【0053】
・上記第2実施形態では、上記工程(b)での加熱中或いは加熱後に、ダミーライナ13をアルミブロック11に対して、図4(b)の矢印で示す下方向に動かすようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ダミーライナ13をアルミブロック11に対して、同ライナ13の軸線に沿って上方或いは上下方向へ動かすようにしてもよい。
【0054】
・上記第3実施形態では、ダミーライナ13をアルミブロック11に対して、同ライナ13の軸心を中心に図5の矢印で示す左右方向のいずれか一方へ回転させるようにしているが、ダミーライナ13を、その左右方向の他方へ或いは左右両方向へ往復回転させるようにしてもよい。
【0055】
以下、上記各実施例から把握できる技術思想について説明する。
(イ)次工程で処理される鋳造品の端面或いは円形孔表面の鋳巣を除去するために実施する前処理であって、
前記鋳造品の端面或いは円形孔表面を覆う金属板を同鋳造品と一体化し、
前記鋳造品の端面近傍或いは円形孔表面近傍を加熱して再溶融させ、
この後、再凝固した前記端面近傍或いは円形孔表面近傍を切除して端面或いは円形孔を形成する
ことを特徴とする鋳造品の鋳巣除去方法。
【0056】
この方法によれば、鋳造品の端面或いは円形孔表面を覆う金属板により、再溶融した鋳造品の流れ出し及び変形を防ぎつつ、再溶融により端面近傍或いは円形孔表面近傍の鋳巣を除去することができる。この後、再凝固した端面近傍或いは円形孔表面近傍を切除して最終的な端面或いは円形孔表面を形成することにより、不要となった金属板が除去されるとともに鋳巣の無い端面或いは円形孔を有する鋳造品が得られる。
【0057】
したがって、鋳造品の端面或いは円形孔表面の鋳巣を除去することができ、次工程のために端面或いは円形孔表面の鋳巣を除去しておくための前処理として広く利用することができる。また、前記端面近傍或いは円形孔表面近傍を再溶融させることにより、鋳造品の残留応力も除去することができる。
【0058】
(ロ)上記(イ)に記載の鋳造品の鋳巣除去方法において、
前記端面近傍或いは円形孔表面近傍の加熱を、電磁誘導により前記金属板を介して行うことを特徴とする。
【0059】
この方法によれば、鋳造品の端面近傍或いは円形孔表面近傍を直接加熱する場合よりも、同近傍を効率的にかつ低出力で加熱することができるので、加熱のための電力消費を低減することができる。
【0060】
(ハ)上記(イ)又は(ロ)に記載の鋳造品の鋳巣除去方法において、
前記金属板は、前記鋳造品より透磁率の高い金属材料で作られていることを特徴とする。
【0061】
この方法によれば、金属板を鋳造品より透磁率の高い金属材料で作ることにより、金属板が鋳造品よりも早く加熱される。このため、前記端面近傍或いは円形孔表面近傍をより効率的にかつより低出力で加熱することができ、加熱のための電力消費をより一層低減することができる。
【0062】
(ニ)上記(イ)〜(ハ)に記載の鋳造品の鋳巣除去方法において、
前記加熱中或いは加熱後に、前記金属板を前記鋳造品に対して動かすことを特徴とする。
【0063】
この方法によれば、前記端面近傍或いは円形孔表面近傍の加熱中或いは加熱後に、金属板を鋳造品に対して動かすことにより、再溶融した端面近傍或いは円形孔表面近傍にある鋳巣が潰されて微細化され、或いは鋳巣が効率的に集められて鋳巣同士が合体し、外部へ押し出され易くなる。これにより、再凝固した前記端面近傍或いは円形孔表面近傍近傍を切除してできる新たな端面或いは円形孔表面に残る鋳巣をより少なく或いはより小さくすることができる。
【0064】
(ホ)上記(ニ)に記載の鋳造品の鋳巣除去方法において、
前記金属板を、前記端面の上下端の少なくとも一方或いは前記円形孔の上下端の少なくとも一方より突出させてあることを特徴とする。
【0065】
この方法によれば、前記上下端の少なくとも一方より突出させた金属板の突出部を工具等で保持することができるので、金属板を鋳造品に対して容易に動かすことができるようになる。
【0066】
(ヘ)上記(イ)〜(ホ)に記載の鋳造品の鋳巣除去方法において、
前記電磁誘導による加熱時に、同加熱に用いる高周波コイルを、前記金属板に沿った方向に移動させて同金属板の加熱個所を順次移動させることを特徴とする。
【0067】
この方法によれば、高周波コイルによる金属板の被加熱部が同金属板に沿った方向に移動し、この移動に伴い前記端面近傍或いは円形穴表面近傍の再溶融部が順次移っていく。これにより、金属板の内面全体を一度に加熱する場合よりも、端面近傍或いは円形穴表面近傍にある鋳巣がより効率的に集められて鋳巣同士がより合体し易くなり、この結果、鋳巣が外部へより押し出され易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態に係るシリンダブロックの鋳巣除去方法の説明に用いる同ブロックの部分断面図。
【図2】 (a)は加熱前の状態を示す図1の一部拡大断面図、(b)は加熱後の状態を示す図1の一部拡大断面図。
【図3】 第2実施形態に係るシリンダブロックの鋳巣除去方法の説明に用いる同ブロックの部分断面図。
【図4】 (a)は加熱前の状態を示す図3の一部拡大断面図、(b)は加熱後の状態を示す図3の一部拡大断面図。
【図5】 第3実施形態に係るシリンダブロックの鋳巣除去方法の説明に用いる同ブロックの一部を示す平面図。
【図6】(a)は加熱前の状態を示す図5に示すシリンダブロックの一部拡大断面図、(b)は加熱後の状態を示す同ブロックの一部拡大断面図。
【符号の説明】
11…鋳造されたシリンダブロックとしてのアルミブロック、12…ボア表面、13…鋳鉄製のダミーライナ、15…ボア表面近傍、16…切断加工面、17…ボア表面(円形孔)、18…高周波コイル、20…鋳巣、22…微小化された鋳巣。

Claims (10)

  1. シリンダブロックの鋳巣除去方法において、
    鋳造後のシリンダブロックのシリンダボア内にボア表面を覆うダミーライナを配置する工程Aと、
    この工程Aの後にダミーライナ内周面を加熱して再溶融する工程Bと、
    この工程Bの後にダミーライナの全部及びボア表面を切除して前記鋳造後のシリンダブロックのシリンダボアよりも径の大きい新たなシリンダボアを形成する工程Cとを含む
    ことを特徴とするシリンダブロックの鋳巣除去方法。
  2. シリンダブロックの鋳巣除去方法において、
    鋳造後のシリンダブロックのシリンダボア内にボア表面を覆うダミーライナを配置する工程Aと、
    この工程Aの後にダミーライナ内周面を加熱して再溶融する工程Bと、
    この工程Bの後にボア表面をダミーライナ内周面からシリンダブロック上の所定の切除加工面にまで切除する工程Cとを含む
    ことを特徴とするシリンダブロックの鋳巣除去方法。
  3. 請求項1または2に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、
    前記工程Bによるダミーライナ内周面の加熱中または加熱後にダミーライナをシリンダブロックに対して移動させる
    ことを特徴とするシリンダブロックの鋳巣除去方法。
  4. 請求項1または2に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、
    前記工程Bによるダミーライナ内周面の加熱中または加熱後にダミーライナをシリンダブロックに対して回転させる
    ことを特徴とするシリンダブロックの鋳巣除去方法。
  5. シリンダブロックの鋳巣除去方法において、
    鋳造後のシリンダブロックのボア表面を覆うダミーライナを配置する工程Aと、
    この工程Aの後にシリンダブロックのボア表面近傍を加熱して再溶融する工程Bと、
    この工程Bの後に再凝固したボア表面近傍を切除して円形孔を形成する工程Cとを含むとともに、
    前記工程Bによるボア表面近傍の加熱中または加熱後にダミーライナをシリンダブロックに対して移動させる
    ことを特徴とするシリンダブロックの鋳巣除去方法。
  6. シリンダブロックの鋳巣除去方法において、
    鋳造後のシリンダブロックのボア表面を覆うダミーライナを配置する工程Aと、
    この工程Aの後にシリンダブロックのボア表面近傍を加熱して再溶融する工程Bと、
    この工程Bの後に再凝固したボア表面近傍を切除して円形孔を形成する工程Cとを含むとともに、
    前記工程Bによるボア表面近傍の加熱中または加熱後にダミーライナをシリンダブロックに対して回転させる
    ことを特徴とするシリンダブロックの鋳巣除去方法。
  7. 請求項3〜6のいずれか一項に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、
    前記ダミーライナとしてシリンダボアの上端及び下端の少なくとも一方よりも外側に突出したものを用いる
    ことを特徴とするシリンダブロックの鋳巣除去方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、
    前記工程Bでは、ダミーライナを介して電磁誘導によりボア表面近傍を加熱する
    ことを特徴とするシリンダブロックの鋳巣除去方法。
  9. 請求項8に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、
    前記工程Bでは、高周波コイルを用いて電磁誘導によるボア表面近傍の加熱を行うものであり、ダミーライナ内にて同ライナの軸線に沿う方向に高周波コイルを移動させつつ加熱を行うものである
    ことを特徴とするシリンダブロックの鋳巣除去方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のシリンダブロックの鋳巣除去方法において、
    前記ダミーライナとしてシリンダブロックよりも透磁率の高い金属材料により形成されたものを用いる
    ことを特徴とするシリンダブロックの鋳巣除去方法。
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