JP2008269980A - 非水系電解液及び非水系電解液電池 - Google Patents

非水系電解液及び非水系電解液電池 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性に優れ、高容量、高電流密度の充放電特性、保存特性に優れた電池を提供することができる非水系電解液、及び、それを用いて作製された非水系電解液電池を提供する。
【解決手段】電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、該非水系電解液が該非水溶媒全体に対して10〜70体積%の環状スルホン化合物、及び25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物を含有しており、かつ、不飽和結合を有するカーボネート、ハロゲン原子を有するカーボネート、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有していることを特徴とする非水系電解液、及び、それを用いて作製された非水系電解液電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液電池に関する。
携帯電話、ノートパソコン等のいわゆる民生用の電源から自動車用等の駆動用車載電源まで広範な用途に、リチウム二次電池等の非水系電解液電池が実用化されつつある。しかしながら、近年の非水系電解液電池に対する高性能化の要求はますます高くなっており、電池特性、例えば高容量、高出力、高温保存特性、サイクル特性、高安全性等を高い次元で達成することが求められている。
非水系電解液電池に用いる電解液は、通常、主として電解質と非水溶媒とから構成されている。非水溶媒の主成分としては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル等が用いられている。
また、こうした非水系電解液電池の負荷特性、サイクル特性、保存特性等の電池特性を改良したり、加熱時や短絡時の電池の安全性を高めたりするために、非水溶媒や電解質について種々の検討がなされている。例えば、非水溶媒の中でも、スルホランは大きな誘電率や高い電気化学的酸化安定性に加えて、278℃というエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートよりも高い沸点を兼ね備えることから、溶媒として使用することにより、電池の安全性向上に寄与することが期待できる。しかし、スルホランの融点は28℃と高く、スルホランを主溶媒として用いた電池は低温特性が悪くなるという問題点があった。またスルホランは黒鉛負極との相性が悪く、主溶媒として用いると充放電時の容量が理論容量よりも小さくなることも知られている。
例えば、特許文献1に記載されている電解液を用いた非水電解液二次電池では、スルホランとエチルメチルカーボネートの混合溶媒を用いることで、低温における電解液の固体化を防げることが開示されている。
また、特許文献2においては、スルホランとγ−ブチロラクトンを主溶媒とし、かつビニルエチレンカーボネートとビニレンカーボネートを添加することで、黒鉛負極の表面にリチウムイオン透過性の高い良質な被膜が形成され、初期充放電効率が向上することが開示されている。
特開2000−012078号公報 特開2004−296389号公報
しかしながら、近年の電池に対する高性能化への要求はますます高くなっており、高容量、高出力、高温保存特性、サイクル特性、高安全性等を、更なる高い次元で達成することが求められている。
特許文献1に記載されている電解液を用いた非水系電解液二次電池では、初期充放電における電極反応の可逆性が十分ではないため、充放電容量及び充放電効率が満足し得るものではなかった(比較例1参照)。また、特許文献2に記載されている電解液を用いた非水系電解液二次電池では、主たる溶媒であるγ−ブチロラクトンの25℃での粘性率が1.73mPa・sのように、汎用電解液の主たる溶媒である低分子量鎖状カーボネート(例えば、ジメチルカーボネート:0.59mPa・s、ジエチルカーボネート:0.75mPa・s、エチルメチルカーボネート:0.65mPa・s)に比べて高いため、電解液全体の粘性率も高くなり、高い電流密度での充放電効率は満足し得るものではなかった。また、γ−ブチロラクトンは充電状態での熱安定性が悪く、85℃のような高温での保存後の充放電特性にも問題があった(比較例2及び比較例3参照)。
従って、その課題は、環状スルホン化合物を含有する非水系電解液を用いた場合において、高い電流密度での充放電特性の低下の問題を解決し、高い電池性能と高い安全性とを両立できる非水系電解液を提供することにあり、またそれを用いた非水系電解液電池を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ある上限以下の粘性率を有する化合物を、環状スルホン化合物と共に非水系電解液の主溶媒として用い、更に、特定の化合物を含有させることによって、高電流密度での充放電特性の低下を抑制し、高い電池性能と高い安全性とが両立できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、該非水系電解液が該非水溶媒全体に対して10〜70体積%の環状スルホン化合物、及び25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物を含有しており、かつ、不飽和結合を有するカーボネート、ハロゲン原子を有するカーボネート、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有していることを特徴とする非水系電解液に存する。
また、本発明は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液電池に存する。
本発明は、環状スルホン化合物と混合する溶媒の粘性率が1.5mPa・s以下というように低く、非水系電解液全体の粘性率が特許文献2に比べて低下するため、高い電流密度での充放電容量の低下を防ぐことができる。すなわち本発明によれば、通常用いられている電解液に匹敵する、高容量、高電流密度での充放電特性、保存特性に加えて、汎用電解液に比べて格段に安全性に優れた非水系電解液電池を提供することができ、非水系電解液電池の大型化、高性能化に加えて、高安全化を達成することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
[1.非水系電解液]
本発明の非水系電解液は、常用の非水系電解液と同じく、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有するものであり、通常、これらを主成分とするものである。
<1−1.電解質>
本発明における電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
例えば、LiPF、LiBF等の無機リチウム塩;
LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CFSO、LiPF(CSO、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO、LiBF(CSO等の含フッ素有機リチウム塩;
リチウムビス(オキサレート)ボレート
等が挙げられる。
これらのうち、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO又はLiN(CSOが電池性能向上の点から好ましく、特にLiPF又はLiBFが好ましい。これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の好ましい一例は、LiPFとLiBFとの併用であり、サイクル特性を向上させる効果がある。この場合には、両者の合計に占めるLiBFの割合は、好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上、好ましくは20質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。この下限を下回る場合には所望する効果が得られない場合があり、上限を上回る場合は高温保存後の電池特性が低下する傾向がある。
また、他の一例は、無機リチウム塩と含フッ素有機リチウム塩との併用であり、この場合には、両者の合計に占める無機リチウム塩の割合は、70質量%以上、99質量%以下であることが望ましい。含フッ素有機リチウム塩としては、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドの何れかであることが好ましい。この両者の併用は、高温保存による劣化を抑制する効果がある。
非水系電解液中のこれらの電解質の濃度は、特に制限はないが、通常0.5mol/L以上、好ましくは0.6mol/L以上、より好ましくは0.7mol/L以上である。また、その上限は、通常3mol/L以下、好ましくは2mol/L以下、より好ましくは1.8mol/L以下、特に好ましくは1.5mol/L以下である。電解質の濃度が低すぎると、電解液の電気伝導率が不十分の場合があり、一方、濃度が高すぎると、粘度上昇のため電気伝導度が低下する場合があり、電池性能が低下する場合がある。
本発明の非水系電解液は、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有する。そして、該非水系電解液は、少なくとも、環状スルホン化合物、「25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物」及び、「不飽和結合を有するカーボネート、ハロゲン原子を有するカーボネート、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物」を含有する。
<1−2.環状スルホン化合物>
「環状スルホン化合物」としては、環状部位がメチレン基とスルホン基とによって構成される環状化合物であれば特に限定はなく、任意の環状スルホン化合物を用いることができるが、その中で、該環状部位がメチレン基を3つ以上とスルホン基を1つ以上とから成り、かつ、分子量が500以下のものが好ましい。
環状スルホン化合物の例としては、モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類等が挙げられるが、この中でも誘電率と粘性の観点から、テトラメチレンスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類がより好ましく、テトラメチレンスルホン類(スルホラン類)が特に好ましい。
環状スルホン化合物としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも含めて「スルホラン類」と略記する場合がある)が、本発明の前記効果を有する点で好ましい。かかるスルホラン誘導体としては、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子が1個以上ハロゲン原子で置換されたスルホラン誘導体が特に好ましい。また、スルホラン誘導体としては、本発明の効果を阻害しない程度にアルキル基を有するものも好ましく、更に、該アルキル基を構成する炭素原子に結合した水素原子が1個以上ハロゲン原子で置換されたものも特に好ましい。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。この中でも、好ましくはフッ素原子又は塩素原子であり、フッ素原子が特に好ましい。上記(特に)好ましいハロゲン原子は、スルホラン環を構成する炭素原子に結合したハロゲン原子、及び、スルホラン環に結合したアルキル基に結合したハロゲン原子の何れについても(特に)好ましい。
アルキル置換基を含有するスルホラン誘導体としては、
2−メチルスルホラン、
3−メチルスルホラン、
2,2−ジメチルスルホラン、
3,3−ジメチルスルホラン、
2,3−ジメチルスルホラン、
2,4−ジメチルスルホラン、
2,5−ジメチルスルホラン、
2,2,3−トリメチルスルホラン、
2,2,4−トリメチルスルホラン、
2,2,5−トリメチルスルホラン、
2,3,3−トリメチルスルホラン、
3,3,4−トリメチルスルホラン、
3,3,5−トリメチルスルホラン、
2,3,4−トリメチルスルホラン、
2,3,5−トリメチルスルホラン、
2,2,3,3−テトラメチルスルホラン、
2,2,3,4−テトラメチルスルホラン、
2,2,3,5−テトラメチルスルホラン、
2,2,4,4−テトラメチルスルホラン、
2,2,4,5−テトラメチルスルホラン、
2,2,5,5−テトラメチルスルホラン、
2,3,3,4−テトラメチルスルホラン、
2,3,3,5−テトラメチルスルホラン、
2,3,4,4−テトラメチルスルホラン、
2,3,4,5−テトラメチルスルホラン、
3,3,4,4−テトラメチルスルホラン、
2,2,3,3,4−ペンタメチルスルホラン、
2,2,3,3,5−ペンタメチルスルホラン、
2,2,3,4,4−ペンタメチルスルホラン、
2,2,3,4,5−ペンタメチルスルホラン、
2,3,3,4,4−ペンタメチルスルホラン、
2,3,3,4,5−ペンタメチルスルホラン、
2,2,3,3,4,4−ヘキサメチルスルホラン、
2,2,3,3,4,5−ヘキサメチルスルホラン、
2,2,3,3,5,5−ヘキサメチルスルホラン、
2,2,3,4,5,5−ヘキサメチルスルホラン、
2,2,3,3,4,4,5−ヘプタメチルスルホラン、
2,2,3,3,4,5,5−ヘプタメチルスルホラン、
オクタメチルスルホラン、等が挙げられる。
置換基を有さずにフッ素原子を含有するスルホラン誘導体としては、
2−フルオロスルホラン、
3−フルオロスルホラン、
2,2−ジフルオロスルホラン、
2,3−ジフルオロスルホラン、
2,4−ジフルオロスルホラン、
2,5−ジフルオロスルホラン、
3,4−ジフルオロスルホラン、
2,2,3−トリフルオロスルホラン、
2,3,3−トリフルオロスルホラン、
2,2,4−トリフルオロスルホラン、
2,2,5−トリフルオロスルホラン、
2,3,4−トリフルオロスルホラン、
2,3,5−トリフルオロスルホラン、
2,4,4−トリフルオロスルホラン、
2,2,3,3−テトラフルオロスルホラン、
2,2,3,4−テトラフルオロスルホラン、
2,2,4,4−テトラフルオロスルホラン、
2,2,5,5−テトラフルオロスルホラン、
2,3,3,4−テトラフルオロスルホラン、
2,3,3,5−テトラフルオロスルホラン、
2,3,4,4−テトラフルオロスルホラン、
2,3,4,5−テトラフルオロスルホラン、
2,2,3,3,4−ペンタフルオロスルホラン、
2,2,3,3,5−ペンタフルオロスルホラン、
2,2,3,4,4−ペンタフルオロスルホラン、
2,2,3,4,5−ペンタフルオロスルホラン、
2,3,3,4,4−ペンタフルオロスルホラン、
2,3,3,4,5−ペンタフルオロスルホラン、
2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロスルホラン、
2,2,3,3,4,5−ヘキサフルオロスルホラン、
2,2,3,3,5,5−ヘキサフルオロスルホラン、
2,2,3,4,5,5−ヘキサフルオロスルホラン、
2,2,3,3,4,4,5−ヘプタフルオロスルホラン、
2,2,3,3,4,5,5−ヘプタフルオロスルホラン、
オクタフルオロスルホラン、等が挙げられる。
アルキル置換基とフッ素原子とを有するスルホラン誘導体としては、
2−フルオロ−3−メチルスルホラン、
2−フルオロ−2−メチルスルホラン、
3−フルオロ−3−メチルスルホラン、
3−フルオロ−2−メチルスルホラン、
4−フルオロ−3−メチルスルホラン、
4−フルオロ−2−メチルスルホラン、
5−フルオロ−3−メチルスルホラン、
5−フルオロ−2−メチルスルホラン、
2−フルオロ−2,4−ジメチルスルホラン、
4−フルオロ−2,4−ジメチルスルホラン、
5−フルオロ−2,4−ジメチルスルホラン、
2,2−ジフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,3−ジフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,4−ジフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,5−ジフルオロ−3−メチルスルホラン、
3,4−ジフルオロ−3−メチルスルホラン、
3,5−ジフルオロ−3−メチルスルホラン、
4,4−ジフルオロ−3−メチルスルホラン、
4,5−ジフルオロ−3−メチルスルホラン、
5,5−ジフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,3−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,4−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,5−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,3,4−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,3,5−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,4,4−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,4,5−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,5,5−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
3,4,4−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
3,4,5−トリフルオロ−3メチルスルホラン、
4,4,5−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
4,5,5−トリフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,3,4−テトラフルオロ−3メチルスルホラン、
2,2,3,5−テトラフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,4,4−テトラフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,4,5−テトラフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,5,5−テトラフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,3,4,4−テトラフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,3,4,5−テトラフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,3,5,5−テトラフルオロ−3−メチルスルホラン、
3,4,4,5−テトラフルオロ−3−メチルスルホラン、
3,4,5,5−テトラフルオロ−3−メチルスルホラン、
4,4,5,5−テトラフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,3,4,4−ペンタフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,3,4,5−ペンタフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,3,5,5−ペンタフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,3,4,4,5−ペンタフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,3,4,5,5−ペンタフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,3,4,4,5−ヘキサフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,2,3,4,5,5−ヘキサフルオロ−3−メチルスルホラン、
2,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロ−3−メチルスルホラン、
ヘプタフルオロ−3−メチルスルホラン、等が挙げられる。
モノフルオロアルキル置換基とフッ素原子とを有するスルホラン誘導体としては、
2−フルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
3−フルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
4−フルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
5−フルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2、2−ジフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,3−ジフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,4−ジフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,5−ジフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
3,4−ジフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
3,5−ジフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
4,4−ジフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
4,5−ジフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
5,5−ジフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,3−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,4−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,5−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,3,4−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,3,5−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,4,4−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,4,5−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,5,5−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
3,4,4−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
3,4,5−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
4,4,5−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
4,5,5−トリフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,5−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,4,4−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,4,5−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,5,5−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,4−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,5−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,3,5,5−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
3,4,4,5−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
3,4,5,5−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
4,4,5,5−テトラフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,4−ペンタフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,5−ペンタフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,5,5−ペンタフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,4,5−ペンタフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,5,5−ペンタフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,4,5−ヘキサフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,5,5−ヘキサフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、
ヘプタフルオロ−3−(フルオロメチル)スルホラン、等が挙げられる。
ジフルオロアルキル置換基とフッ素原子とを有するスルホラン誘導体としては、
2−フルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
3−フルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
4−フルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
5−フルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2、2−ジフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,3−ジフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,4−ジフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,5−ジフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
3,4−ジフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
3,5−ジフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
4,4−ジフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
4,5−ジフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
5,5−ジフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,4−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,5−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,3,5−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,4,4−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,4,5−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,5,5−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
3,4,4−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
3,4,5−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
4,4,5−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
4,5,5−トリフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,5−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,4,4−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,4,5−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,5,5−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,4−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,5−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,3,5,5−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
3,4,4,5−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
3,4,5,5−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
4,4,5,5−テトラフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,4−ペンタフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,5−ペンタフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,5,5−ペンタフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,4,5−ペンタフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,5,5−ペンタフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,4,5−ヘキサフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,5,5−ヘキサフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、
ヘプタフルオロ−3−(ジフルオロメチル)スルホラン、等が挙げられる。
トリフルオロアルキル置換基とフッ素原子とを有するスルホラン誘導体としては、
2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
3−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2、2−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,3−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,4−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,5−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
3,4−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
3,5−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
4,4−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
4,5−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
5,5−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,4−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,5−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,3,5−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,4,4−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,4,5−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,5,5−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
3,4,4−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
3,4,5−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
4,4,5−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
4,5,5−トリフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,5−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,4,5−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,5,5−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,5−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,3,5,5−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
3,4,4,5−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
3,4,5,5−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
4,4,5,5−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,4−ペンタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,5−ペンタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,5,5−ペンタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,4,5−ペンタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,5,5−ペンタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,4,5−ヘキサフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,2,3,4,5,5−ヘキサフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
2,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、
ヘプタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、等が挙げられる。
上述した、スルホラン類の中でも、
スルホラン、
2−メチルスルホラン、
3−メチルスルホラン、
2,2−ジメチルスルホラン、
3,3−ジメチルスルホラン、
2,3−ジメチルスルホラン、
2,4−ジメチルスルホラン、
2,5−ジメチルスルホラン、
2−フルオロスルホラン、
3−フルオロスルホラン、
2−フルオロ−3−メチルスルホラン、
3−フルオロ−3−メチルスルホラン、
4−フルオロ−3−メチルスルホラン、
5−フルオロ−3−メチルスルホラン、
2−フルオロ−2−メチルスルホラン、
3−フルオロ−2−メチルスルホラン、
4−フルオロ−2−メチルスルホラン、
5−フルオロ−2−メチルスルホラン、
2−フルオロ−2,4−ジメチルスルホラン、
3−フルオロ−2,4−ジメチルスルホラン、
4−フルオロ−2,4−ジメチルスルホラン、
5−フルオロ−2,4−ジメチルスルホラン、がより好ましく、
スルホラン、
2−メチルスルホラン、
3−メチルスルホラン、
2−フルオロスルホラン、
3−フルオロスルホラン、
2−フルオロ−3−メチルスルホラン、
3−フルオロ−3−メチルスルホラン、
4−フルオロ−3−メチルスルホラン、
5−フルオロ−3−メチルスルホラン、が特に好ましい。
なお、過度にアルキル置換された環状スルホン化合物を用いると粘性率が高くなることに由来する電気伝導率の低下を引き起こし、また過度にフッ素化された環状スルホン化合物を用いると、非水系電解液電池として使用した際の化学的安定性の低下や、他の溶媒との溶解性の低下を引き起こし、本発明の効果を十分に発現し難くなる場合がある。
以上説明した環状スルホン化合物については、本発明の非水系電解液中に、何れか1種を単独で含有させてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用させてもよい。また、製造方法にも特に制限は無く、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
本発明の非水系電解液中の非水溶媒全体に対する環状スルホン化合物は、通常10体積%以上、好ましくは15体積%以上、より好ましくは20体積%以上、また、通常70体積%以下、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下の濃度で含有させることが望ましい。この範囲の下限を下回ると、本発明の非水系電解液を非水系電解液電池に用いた場合に、その非水系電解液電池が十分な安全性向上効果を発現しにくくなる場合があり、またこの範囲の上限を上回ると、非水系電解液の粘性率が高くなることに由来する電気伝導率の低下を引き起こす傾向があり、特に、非水系電解液電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下する場合がある。
<1−3.「25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物」>
本発明の非水系電解液は、「25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物」を含有することが必須である。「25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物」としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル及び環状エーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、非水電解液電池に用いた時の電池特性の点で好ましい。
鎖状カーボネートとしては炭素数3〜7のものが好ましく、鎖状カルボン酸エステルとしては炭素数3〜7のものが好ましく、鎖状エーテルとしては炭素数3〜10のものが好ましく、環状エーテルとしては炭素数3〜6のものが好ましい。
具体的には、例えば、炭素数3〜7の鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート等を挙げることができる。
炭素数3〜7の鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸−n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル等を挙げることができる。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、エトキシメトキシエタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げることができる。
炭素数3〜6の環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、2−メチル−1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等を挙げることができる。
具体的に上述した「25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物」の中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、エトキシメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、2−メチル−1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチルが好ましい。
これらの中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、イソ酪酸メチル又はイソ酪酸エチルがより好ましい。更にこれらの中でも、電池高温保存時の分解ガス発生の観点から、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、イソ酪酸メチル又はイソ酪酸エチルが特に好ましい。
なお、25℃での粘性率は、毛細管粘度計、落球粘度計、振動粘度計のいずれかで測定される数値である。これらの粘度計でニュートン流体である該化合物を正確に測定すると、測定誤差範囲内で同一の数値を示すが、毛細管粘度計で測定されることが好ましい。また、製造方法にも特に制限は無く、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
以上説明した特定低粘性率化合物についても、本発明の非水系電解液中に、何れか1種を単独で含有させてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用させてもよい。また、後述の「不飽和結合を有するカーボネート、ハロゲン原子を有するカーボネート、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物」が、25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である場合は、それらの化合物は「25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物」でもあるとする。この場合、非水系電解液全体に対して30体積%以上であると、高電流密度での電池充放電特性に優位な範囲まで、非水系電解液の粘性率を低下させることができる。また、非水系電解液全体に対して8質量%以下であると、リチウムイオン伝導性が高い電極表面被膜を形成することができる。
本発明において、「25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物」の含有量は特に限定はないが、非水系電解液中の非水溶媒全体に対して、通常30体積%以上、好ましくは40体積%以上、より好ましくは50体積%以上の濃度で含有させることが望ましい。この下限を下回ると、非水系電解液の粘性率が高くなることに由来する電気伝導率の低下を引き起こす傾向があり、特に非水系電解液電池の大電流放電特性が低下する場合がある。また、通常90体積%以下、好ましくは85体積%以下、より好ましくは80体積%以下の濃度で含有させることが望ましい。この範囲を上回ると、本発明の非水系電解液の誘電率が低下することに由来する電気伝導率の低下を引き起こす傾向があり、特に非水系電解液電池の大電流放電特性が低下する場合がある。
本発明における非水系電解液中の非水溶媒は、本発明の効果を損ねない範囲で、環状カーボネート等の高極性溶媒を含有していてもよい。例えば、スルホラン類と鎖状カーボネート類と環状カーボネート類、スルホラン類と鎖状エーテル類と環状カーボネート類、スルホラン類と鎖状エステル類と環状カーボネート類を主体とする組み合わせが好ましいものとして挙げられる。
非水溶媒の好ましい組合せの1つは、スルホラン類と鎖状カーボネート類と環状カーボネート類を主体とする組合せである。なかでも、非水溶媒に占めるスルホラン類と環状カーボネート類との合計が、15体積%以上、好ましくは20体積%以上、より好ましくは25体積%以上であり、通常70体積%以下、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下であり、かつスルホラン類と環状カーボネート類との合計に対する環状カーボネートの体積が5%以上、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上であり、通常90体積%以下、好ましくは80体積%以下、より好ましくは70体積%以下であり、かつ非水系電解液溶媒に占める鎖状カーボネート類の割合が、通常30体積%以上、好ましくは40体積%以上、より好ましくは50体積%以上であり、通常90体積%以下、好ましくは85体積%以下、より好ましくは80体積%以下のものである。これらの非水溶媒の組み合わせを用いると、これを用いて作製された電池のサイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)のバランスが良くなるので好ましい。
スルホラン類と環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の好ましい組み合わせの具体例としては、スルホランとエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、スルホランとエチレンカーボネートとジエチルカーボネート、スルホランとエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、スルホランとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、スルホランとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、スルホランとエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、スルホランとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
これらのスルホランとエチレンカーボネートと鎖状カーボネート類との組み合わせに、更にプロピレンカーボネートを加えた組み合わせも、好ましい組み合わせとして挙げられる。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの体積比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水系電解液溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの量を、0.1体積%以上、好ましくは1体積%以上、より好ましくは2体積%以上、また上限は、通常20体積%以下、好ましくは8体積%以下、より好ましくは5体積%以下である。この範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、スルホランとエチレンカーボネートとジアルキルカーボネート類との組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れるので好ましい。
なお、本明細書において、非水溶媒の体積は25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。
<1−4.「不飽和結合を有するカーボネート、ハロゲン原子を有するカーボネート、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物」>
本発明における非水系電解液は、上記したものに加えて、「不飽和結合を有するカーボネート、ハロゲン原子を有するカーボネート、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物」(以下、「特定化合物」と略記する場合がある)を含有する。かかる特定化合物は、何れも界面保護被膜を形成する能力があり、電解液中の成分としては、一括りにできる概念を有しているものである。
<1−4−1.不飽和結合を有するカーボネート>
不飽和結合を有するカーボネート(以下「不飽和カーボネート」と略記する場合がある)としては、炭素−炭素二重結合や炭素−炭素三重結合等の炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネートであればその他に制限は無く、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有するカーボネートも、不飽和結合を有するカーボネートに含まれるものとする。
不飽和カーボネートの例としては、ビニレンカーボネート誘導体類、芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート誘導体類、フェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類等が挙げられる。
ビニレンカーボネート誘導体類の具体例としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート誘導体類の具体例としては、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフェニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
フェニルカーボネート類の具体例としては、ジフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、t−ブチルフェニルカーボネート等が挙げられる。
ビニルカーボネート類の具体例としては、ジビニルカーボネート、メチルビニルカーボネート等が挙げられる。
アリルカーボネート類の具体例としては、ジアリルカーボネート、アリルメチルカーボネート等が挙げられる。
これらの不飽和カーボネートの中でも、ビニレンカーボネート誘導体類、芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート誘導体類が好ましく、特に、ビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが、安定な界面保護被膜を形成するので、より好適に用いられる。
<1−4−2.ハロゲン原子を有するカーボネート>
一方、ハロゲン原子を有するカーボネート(以下、「ハロゲン化カーボネート」と略記する場合がある)としては、ハロゲン原子を有するカーボネート類であれば、その他に特に制限は無く、任意のハロゲン化カーボネートを用いることができる。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。この中でも、好ましくはフッ素原子又は塩素原子であり、フッ素原子が特に好ましい。また、ハロゲン化カーボネートが有するハロゲン原子の数も、1以上であれば特に制限されないが、通常6以下、好ましくは4以下である。ハロゲン化カーボネートが複数のハロゲン原子を有する場合、それらは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。ハロゲン化カーボネートの例としては、エチレンカーボネート誘導体類、ジメチルカーボネート誘導体類、エチルメチルカーボネート誘導体類、ジエチルカーボネート誘導体類等が挙げられる。
上記エチレンカーボネート誘導体類の具体例としては、フルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジクロロエチレンカーボネート、4,5−ジクロロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−クロロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジクロロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−クロロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジクロロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(クロロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジクロロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリクロロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、4−(クロロメチル)−4−クロロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、4−(クロロメチル)−5−クロロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4−クロロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジクロロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジクロロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。
上記ジメチルカーボネート誘導体類の具体例としては、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、ビス(フルオロメチル)カーボネート、ビス(ジフルオロ)メチルカーボネート、ビス(トリフルオロ)メチルカーボネート、クロロメチルメチルカーボネート、ジクロロメチルメチルカーボネート、トリクロロメチルメチルカーボネート、ビス(クロロメチル)カーボネート、ビス(ジクロロ)メチルカーボネート、ビス(トリクロロ)メチルカーボネート等が挙げられる。
上記エチルメチルカーボネート誘導体類の具体例としては、2−フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート、2−クロロエチルメチルカーボネート、エチルクロロメチルカーボネート、2,2−ジクロロエチルメチルカーボネート、2−クロロエチルクロロメチルカーボネート、エチルジクロロメチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルメチルカーボネート、2,2−ジクロロエチルクロロメチルカーボネート、2−クロロエチルジクロロメチルカーボネート、エチルトリクロロメチルカーボネート等が挙げられる。
上記ジエチルカーボネート誘導体類の具体例としては、エチル−(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、エチル−(2−クロロエチル)カーボネート、エチル−(2,2−ジクロロエチル)カーボネート、ビス(2−クロロエチル)カーボネート、エチル−(2,2,2−トリクロロエチル)カーボネート、2,2−ジクロロエチル−2’−クロロエチルカーボネート、ビス(2,2−ジクロロエチル)カーボネート、2,2,2−トリクロロエチル−2’−クロロエチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチル−2’,2’−ジクロロエチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)カーボネート等が挙げられる。
これらのハロゲン化カーボネートの中でも、フッ素原子を有するカーボネートが好ましく、フッ素化エチレンカーボネート、フッ素化ジメチルカーボネート、フッ素化ジエチルカーボネート及びフッ素化エチルメチルカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が、好適に界面保護被膜を形成する点でより好ましい。
中でも、フッ素化エチレンカーボネート、すなわち、フッ素原子を有するエチレンカーボネート誘導体が特に好ましい。具体的には、例えば、フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。これらは、界面保護被膜を形成するので好適に用いられる。
不飽和結合とハロゲン原子とを共に有するカーボネート(これを以下、「ハロゲン化不飽和カーボネート」と略記する場合がある)を用いることも好ましい。ハロゲン化不飽和カーボネートとしては特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意のハロゲン化不飽和カーボネートを用いることができる。
ハロゲン化不飽和カーボネートの例としては、ビニレンカーボネート誘導体類、芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート誘導体類、アリルカーボネート類等が挙げられる。
ビニレンカーボネート誘導体類の具体例としては、フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、クロロビニレンカーボネート、4−クロロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−クロロ−5−フェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート誘導体類の具体例としては、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−クロロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジクロロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジクロロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−クロロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジクロロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4−クロロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4−クロロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,4−ジクロロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジクロロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、4,5−ジクロロ−4,5−ジフェニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
フェニルカーボネート類の具体例としては、フルオロメチルフェニルカーボネート、2−フルオロエチルフェニルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフェニルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルフェニルカーボネート、クロロメチルフェニルカーボネート、2−クロロエチルフェニルカーボネート、2,2−ジクロロエチルフェニルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルフェニルカーボネート等が挙げられる。
ビニルカーボネート類の具体例としては、フルオロメチルビニルカーボネート、2−フルオロエチルビニルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルビニルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルビニルカーボネート、クロロメチルビニルカーボネート、2−クロロエチルビニルカーボネート、2,2−ジクロロエチルビニルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルビニルカーボネート等が挙げられる。
アリルカーボネート類の具体例としては、フルオロメチルアリルカーボネート、2−フルオロエチルアリルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルアリルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルアリルカーボネート、クロロメチルアリルカーボネート、2−クロロエチルアリルカーボネート、2,2−ジクロロエチルアリルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルアリルカーボネート等が挙げられる。
上述したハロゲン化不飽和カーボネートの例の中でも、特定カーボネートとして、単独で用いた場合に効果が高いビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、並びにこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種以上のものを用いることが特に好ましい。
「不飽和結合を有するカーボネート」と「ハロゲン原子を有するカーボネート」を総称して、以下「特定カーボネート」という。特定カーボネートは分子量に特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常50以上、好ましくは80以上、また、通常250以下、好ましくは150以下である。分子量が大き過ぎると、非水系電解液に対する特定カーボネートの溶解性が低下し、本発明の効果を十分に発現し難くなる場合がある。また、特定カーボネートの製造方法にも特に制限は無く、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
特定カーボネートは、本発明の非水系電解液中に、何れか1種を単独で含有させてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有させてもよい。また、本発明の非水系電解液全体に対する特定カーボネートの配合量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、また、通常8質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下の濃度で含有させることが望ましい。この範囲の下限を下回ると、本発明の非水系電解液を非水系電解液電池に用いた場合に、その非水系電解液電池が十分なサイクル特性向上効果を発現し難くなる場合があり、また、特定カーボネートの比率が大き過ぎると、本発明の非水系電解液を非水系電解液電池に用いた場合に、その非水系電解液電池の高温保存特性が低下する傾向があり、特に、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下する場合がある。
<1−4−3.モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩>
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、Li、Na、K、Mg、Ca、Fe、Cu等の金属元素の他、NR(式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表わす。)で表現されるアンモニウム、4級アンモニウムが挙げられる。ここで、R〜Rの炭素数1〜12の有機基としては、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいシクロアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、窒素原子含有複素環基等が挙げられる。R〜Rとしては、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、窒素原子含有複素環基等が好ましい。
これらのカウンターカチオン中でも、非水系電解液電池に用いたときの電池特性の点から、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はNRが好ましく、リチウムが特に好ましい。
また、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩の中でも、ジフルオロリン酸塩が、低温放電特性向上効果が大きい上、電池のサイクル特性、高温保存特性等の点で好ましく、ジフルオロリン酸リチウムが特に好ましい。また、これらの化合物は非水溶媒中で合成されたものを実質的にそのまま用いてもよく、別途合成して実質的に単離されたものを非水溶媒中又は非水系電解液中に添加してもよい。
本発明の非水系電解液全体に対する「モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩」の配合量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、また、通常8質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下の濃度で含有させる。多すぎる場合は、低温において析出して電池特性を低下させる場合があり、一方、少なすぎる場合は、低温特性やサイクル特性、高温保存特性等の向上効果が著しく低下する場合がある。
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を損ねない範囲で、「他の化合物」を含有することができる。かかる「他の化合物」としては、従来公知の過充電防止剤、助剤等の種々の化合物が挙げられる。
<1−5.過充電防止剤>
過充電防止剤を含有させることにより、過充電等のときに電池の破裂・発火を抑制することができる。
過充電防止剤としては、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。これらの中でビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物が好ましい。これらは2種類以上併用して用いてもよい。2種以上併用する場合は、特に、シクロヘキシルベンゼンとt−ブチルベンゼンやt−アミルベンゼンとの組み合わせや、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン等の酸素を含有しない芳香族化合物から選ばれるものと、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の含酸素芳香族化合物から選ばれるものとを併用するのが過充電防止特性と高温保存特性のバランスの点から好ましい。
非水系電解液中における過充電防止剤の割合は、非水系電解液全体に対して通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上、最も好ましくは0.5質量%以上であり、上限は、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。この下限より低濃度では過充電防止剤の効果がほとんど発現しない。逆に濃度が高すぎると高温保存特性等の電池の特性が低下する傾向がある。
<1−6.助剤>
助剤としては、エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物等が挙げられる。これらは2種類以上併用して用いてもよい。
非水系電解液中におけるこれらの助剤の割合は、非水系電解液全体に対して通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上であり、上限は、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。この下限より低濃度では助剤の効果がほとんど発現しない。逆に濃度が高すぎると高負荷放電特性等の電池の特性が低下する傾向がある。
<1−7.非水系電解液の調製>
本発明に係る非水系電解液は、電解質、環状スルホン化合物、「25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物」及び特定化合物、並びに、必要に応じて「他の化合物」を、互いに溶解することにより調製することができる。非水系電解液の調製に際しては、各原料は、電解液とした場合の水分を低減させるため予め脱水しておくことが好ましい。通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下まで脱水するのがよい。また、電解液調製後に、脱水、脱酸処理等を実施してもよい。
本発明の非水系電解液は、非水系電解液電池の中でも二次電池用、例えばリチウム二次電池用の電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の電解液を用いた非水系電解液電池について説明する。
[2.非水系電解液電池]
本発明の非水系電解液電池は、イオンを吸蔵及び放出し得る負極及び正極と、前記の本発明の非水系電解液とを備えるものである。
<2−1.電池構成>
本発明の非水系電解液電池は、負極及び非水系電解液以外の構成については、従来公知の非水系電解液電池と同様であり、通常は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケース(外装体)に収納された形態を有する。従って、本発明の非水系電解液電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。
<2−2.非水系電解液>
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を混合して用いることも可能である。
<2−3.負極>
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
合金系材料とは、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属及びそれらの化合物等のことである。これらは、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
リチウム含有金属複合酸化物材料は、リチウムを吸蔵・放出可能であれば特には制限されないが、構成成分としてチタン及びリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
<2−3−1.炭素質材料>
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質を400から3200℃の範囲で1回以上熱処理した炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる結晶性を有する炭素質から成り立ちかつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種類以上の異なる配向性を有する炭素質から成り立ちかつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスが良く好ましい。また、(1)〜(4)の炭素質材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記(2)の人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質の具体的な例としては、天然黒鉛、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、あるいはこれらピッチを酸化処理したもの、ニードルコークス、ピッチコークス及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等の有機物の熱分解物、炭化可能な有機物、及びこれらの炭化物、又は炭化可能な有機物をベンゼン、トルエン、キシレン、キノリン、n−へキサン等の低分子有機溶媒に溶解させた溶液及びこれらの炭化物等が挙げられる。
なお、上記の炭化可能な有機物の、具体的な例としては、軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチ、或いは乾留液化油等の石炭系重質油、常圧残油、減圧残油の直流系重質油、原油、ナフサ等の熱分解時に副生するエチレンタール等分解系石油重質油、更にアセナフチレン、デカシクレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジン等の窒素原子含有複素環式化合物、チオフェン、ビチオフェン等の硫黄原子含有複素環式化合物、ビフェニル、テルフェニル等のポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、これらのものの不溶化処理品、含窒素性のポリアクニロニトリル、ポリピロール等の有機高分子、含硫黄性のポリチオフェン、ポリスチレン等の有機高分子、セルロース、リグニン、マンナン、ポリガラクトウロン酸、キトサン、サッカロースに代表される多糖類等の天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド等の熱可塑性樹脂、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
<2−3−2.炭素質負極の構成、物性、調製方法>
炭素質材料についての性質や炭素質材料を含有する負極電極及び電極化手法、集電体、非水系電解液電池については、次に示す(1)〜(21)の何れか1項又は複数項を同時に満たしていることが望ましい。
(1)X線パラメータ
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下が更に好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることが更に好ましい。
(2)灰分
炭素質材料中に含まれる灰分は、炭素質材料の全質量に対して、1質量%以下、中でも0.5質量%以下、特に0.1質量%以下が好ましく、下限としては1ppm以上であることが好ましい。
灰分の重量割合が上記の範囲を上回ると、充放電時の非水系電解液との反応による電池性能の劣化が無視できなくなる場合がある。また、上記範囲を下回ると、製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要とし、コストが上昇する場合がある。
(3)体積基準平均粒径
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)が、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましい。
体積基準平均粒径が上記範囲を下回ると、不可逆容量が増大して、初期の電池容量の損失を招くことになる場合がある。また、上記範囲を上回ると、塗布により電極を作製する際に、不均一な塗面になりやすく、電池製作工程上望ましくない場合がある。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。該測定で求められるメジアン径を、本発明の炭素質材料の体積基準平均粒径と定義する。
(4)ラマンR値、ラマン半値幅
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値が、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上が更に好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下が更に好ましく、0.5以下が特に好ましい。
ラマンR値が上記範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、充放電に伴ってLiが層間に入るサイトが少なくなる場合がある。すなわち、充電受入性が低下する場合がある。また、集電体に塗布した後、プレスすることによって負極を高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向しやすくなり、負荷特性の低下を招く場合がある。一方、上記範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が低下し、非水系電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く場合がある。
また、炭素質材料の1580cm−1付近のラマン半値幅は特に制限されないが、通常10cm−1以上であり、15cm−1以上が好ましく、また、通常100cm−1以下であり、80cm−1以下が好ましく、60cm−1以下が更に好ましく、40cm−1以下が特に好ましい。
ラマン半値幅が上記範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、充放電に伴ってLiが層間に入るサイトが少なくなる場合がある。すなわち、充電受入性が低下する場合がある。また、集電体に塗布した後、プレスすることによって負極を高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向しやすくなり、負荷特性の低下を招く場合がある。一方、上記範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が低下し、非水系電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く場合がある。
ラマンスペクトルの測定は、ラマン分光器(日本分光社製ラマン分光器)を用いて、試料を測定セル内へ自然落下させて充填し、セル内のサンプル表面にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、セルをレーザー光と垂直な面内で回転させることにより行なう。得られるラマンスペクトルについて、1580cm−1付近のピークPAの強度Iと、1360cm−1付近のピークPBの強度Iとを測定し、その強度比R(R=I/I)を算出する。該測定で算出されるラマンR値を、本発明の炭素質材料のラマンR値と定義する。また、得られるラマンスペクトルの1580cm−1付近のピークPの半値幅を測定し、これを本発明の炭素質材料のラマン半値幅と定義する。
また、上記のラマン測定条件は、次の通りである。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理、
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
(5)BET比表面積
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、通常0.1m・g−1以上であり、0.7m・g−1以上が好ましく、1.0m・g−1以上が更に好ましく、1.5m・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m・g−1以下であり、25m・g−1以下が好ましく、15m・g−1以下が更に好ましく、10m・g−1以下が特に好ましい。
BET比表面積の値がこの範囲を下回ると、負極材料として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなりやすく、リチウムが電極表面で析出しやすくなり、安定性が低下する可能性がある。一方、この範囲を上回ると、負極材料として用いた時に非水系電解液との反応性が増加し、ガス発生が多くなりやすく、好ましい電池が得られにくい場合がある。
BET法による比表面積の測定は、表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて、試料に対して窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。該測定で求められる比表面積を、本発明の炭素質材料のBET比表面積と定義する。
(6)細孔径分布
炭素質材料の細孔径分布は、水銀圧入量の測定することによって算出される。水銀ポロシメトリー(水銀圧入法)を用いることで、炭素質材料の粒子内の空隙、粒子表面のステップによる凹凸、及び粒子間の接触面等による細孔が、直径0.01μm以上1μm以下の細孔に相当すると測定される炭素質材料が、通常0.01cm・g−1以上、好ましく
は0.05cm・g−1以上、より好ましくは0.1cm・g−1以上、また、通常0.6cm・g−1以下、好ましくは0.4cm・g−1以下、より好ましくは0.3cm・g−1以下の細孔径分布を有することが望ましい。
細孔径分布が上記範囲を上回ると、極板化時にバインダーを多量に必要となる場合がある。また、上記範囲を下回ると、高電流密度充放電特性が低下し、かつ充放電時の電極の膨張収縮の緩和効果が得られない場合がある。
また、水銀ポロシメトリー(水銀圧入法)により求められる、直径が0.01μm以上100μm以下の細孔に相当する、全細孔容積は、通常0.1cm・g−1以上であり、0.25cm・g−1以上が好ましく、0.4cm・g−1以上が更に好ましく、また、通常10cm・g−1以下であり、5cm・g−1以下が好ましく、2cm・g−1以下が更に好ましい。
全細孔容積が上記範囲を上回ると、極板化時にバインダーを多量に必要となる場合がある。また、上記範囲を下回ると、極板化時に増粘剤や結着剤の分散効果が得られない場合がある。
また、平均細孔径は、通常0.05μm以上であり、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上が更に好ましく、また、通常50μm以下であり、20μm以下が好ましく、10μm以下が更に好ましい。
平均細孔径が上記範囲を上回ると、バインダーを多量に必要となる場合がある。また、上記範囲を下回ると、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。
水銀圧入量の測定は、水銀ポロシメトリー用の装置として、水銀ポロシメータ(オートポア9520:マイクロメリテックス社製)を用いて行う。前処理として、試料約0.2gを、パウダー用セルに封入し、室温、真空下(50μmHg以下)にて10分間脱気する。引き続き、4psia(約28kPa)に減圧し水銀を導入し、4psia(約28kPa)から40000psia(約280MPa)までステップ状に昇圧させた後、25psia(約170kPa)まで降圧させる。昇圧時のステップ数は80点以上とし、各ステップでは10秒の平衡時間の後、水銀圧入量を測定する。
このようにして得られた水銀圧入曲線からWashburnの式を用い、細孔径分布を算出する。なお、水銀の表面張力(γ)は485dyne・cm−1(1dyne=10μN)、接触角(ψ)は140°とする。平均細孔径には累積細孔体積が50%となるときの細孔径を用いる。
(7)円形度
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
炭素質材料の粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましく、また、0.1以上が好ましく、中でも0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.85以上が更に好ましく、0.9以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、円形度が大きいほど向上する。従って、円形度が上記範囲を下回ると、負極活物質の充填性が低下し、粒子間の抵抗が増大して、短時間高電流密度充放電特性が低下する場合がある。
円形度の測定は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA)を用いて行う。試料約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が3〜40μmの範囲の粒子について測定する。該測定で求められる円形度を、本発明の炭素質材料の円形度と定義する。
円形度を向上させる方法は、特に限定されないが、球形化処理を施して球形にしたものが、電極体にしたときの粒子間空隙の形状が整うので好ましい。球形化処理の例としては、せん断力、圧縮力を与えることによって機械的に球形に近づける方法、複数の微粒子をバインダーもしくは、粒子自身の有する付着力によって造粒する機械的・物理的処理方法等が挙げられる。
(8)真密度
炭素質材料の真密度は、通常1.4g・cm−3以上であり、1.6g・cm−3以上が好ましく、1.8g・cm−3以上が更に好ましく、2.0g・cm−3以上が特に好ましく、また、通常2.26g・cm−3以下である。真密度が、上記範囲を下回ると炭素の結晶性が低すぎて初期不可逆容量が増大する場合がある。なお、上記範囲の上限は、黒鉛の真密度の理論上限値である。
炭素質材料の真密度は、ブタノールを使用した液相置換法(ピクノメータ法)によって測定する。該測定で求められる値を、本発明の炭素質材料の真密度と定義する。
(9)タップ密度
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上が更に好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下が更に好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。タップ密度が、上記範囲を下回ると、負極として用いた場合に充填密度が上がり難く、高容量の電池を得ることができない場合がある。また、上記範囲を上回ると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、粒子間の導電性が確保され難くなり、好ましい電池特性が得られにくい場合がある。
タップ密度の測定は、目開き300μmの篩を通過させて、20cmのタッピングセルに試料を落下させてセルの上端面まで試料を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の体積と試料の重量からタップ密度を算出する。該測定で算出されるタップ密度を、本発明の炭素質材料のタップ密度として定義する。
(10)配向比
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
配向比は、試料を加圧成型してからX線回折により測定する。試料0.47gを直径17mmの成型機に充填し58.8MN・m−2で圧縮して得た成型体を、粘土を用いて測定用試料ホルダーの面と同一面になるようにセットしてX線回折を測定する。得られた炭素の(110)回折と(004)回折のピーク強度から、(110)回折ピーク強度/(004)回折ピーク強度で表わされる比を算出する。該測定で算出される配向比を、本発明の炭素質材料の配向比と定義する。
X線回折測定条件は次の通りである。なお、「2θ」は回折角を示す。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
(11)アスペクト比(粉)
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下が更に好ましい。アスペクト比が、上記範囲を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
アスペクト比の測定は、炭素質材料の粒子を走査型電子顕微鏡で拡大観察して行う。厚さ50μm以下の金属の端面に固定した任意の50個の黒鉛粒子を選択し、それぞれについて試料が固定されているステージを回転、傾斜させて、3次元的に観察した時の炭素質材料粒子の最長となる径Aと、それと直交する最短となる径Bを測定し、A/Bの平均値を求める。該測定で求められるアスペクト比(A/B)を、本発明の炭素質材料のアスペクト比と定義する。
(12)副材混合
副材混合とは、負極電極中及び/又は負極活物質中に性質の異なる炭素質材料が2種以上含有していることである。ここでいう性質とは、X線回折パラメータ、メジアン径、アスペクト比、BET比表面積、配向比、ラマンR値、タップ密度、真密度、細孔分布、円形度、灰分量の群から選ばれる1つ以上の特性を示す。
これらの副材混合の、特に好ましい例としては、体積基準粒度分布がメジアン径を中心としたときに左右対称とならないこと、ラマンR値異なる炭素質材料を2種以上含有していること、及びX線パラメータが異なること等が挙げられる。
副材混合の効果の1例として、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料が導電材として含有されることにより、電気抵抗を低減させることが挙げられる。
副材混合として導電材を混合する場合には、1種を単独で混合してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合してもよい。また、導電材の炭素質材料に対する混合比率は、通常0.1質量%以上、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通常45質量%以下であり、40質量%が好ましい。混合比が、上記範囲を下回ると導電性向上の効果が得にくい場合がある。また、上記範囲を上回ると初期不可逆容量の増大を招く場合がある。
(13)電極作製
電極の製造は、本発明の効果を著しく制限しない限り、公知の何れの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
電池の非水系電解液注液工程直前の段階での片面あたりの負極活物質層の厚さは、通常15μm以上であり、20μm以上が好ましく、30μm以上が更に好ましく、また、通常150μm以下であり、120μm以下が好ましく、100μm以下が更に好ましい。負極活物質の厚さが、この範囲を上回ると、非水系電解液が集電体界面付近まで浸透しにくいため、高電流密度充放電特性が低下する場合があるためである。またこの範囲を下回ると、負極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合があるためである。また、負極活物質をロール成形してシート電極としてもよく、圧縮成形によりペレット電極としてもよい。
(14)集電体
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも、好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、更に好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることができる。
また、銅箔の厚さが25μmよりも薄い場合、純銅よりも強度の高い銅合金(リン青銅、チタン銅、コルソン合金、Cu−Cr−Zr合金等)を用いることができる。圧延法により作製した銅箔からなる集電体は、銅結晶が圧延方向に並んでいるため、負極を密に丸めても、鋭角に丸めても割れにくく、小型の円筒状電池に好適に用いることができる。
電解銅箔は、例えば、銅イオンが溶解された非水系電解液中に金属製のドラムを浸漬し、これを回転させながら電流を流すことにより、ドラムの表面に銅を析出させ、これを剥離して得られるものである。上記の圧延銅箔の表面に、電解法により銅を析出させていてもよい。銅箔の片面又は両面には、粗面化処理や表面処理(例えば、厚さが数nm〜1μm程度までのクロメート処理、Ti等の下地処理等)がなされていてもよい。
集電体基板には、更に次のような物性が望まれる。
(14−1)平均表面粗さ(Ra)
JISB0601−1994に記載の方法で規定される集電体基板の負極活物質薄膜形成面の平均表面粗さ(Ra)は、特に制限されないが、通常0.05μm以上であり、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上が更に好ましく、また、通常1.5μm以下であり、1.3μm以下が好ましく、1.0μm以下が更に好ましい。
集電体基板の平均表面粗さ(Ra)が、上記の範囲内であると、良好な充放電サイクル特性が期待できるためである。また、負極活物質薄膜との界面の面積が大きくなり、負極活物質薄膜との密着性が向上する。なお、平均表面粗さ(Ra)の上限値は特に制限されるものではないが、平均表面粗さ(Ra)が1.5μmを超えるものは電池として実用的な厚みの箔としては一般に入手しにくいため、1.5μm以下のものが通常用いられる。
(14−2)引張強度
引張強度とは、試験片が破断に至るまでに要した最大引張力を、試験片の断面積で割ったものである。本発明における引張強度は、JISZ2241(金属材料引張試験方法)に記載と同様な装置及び方法で測定される。
集電体基板の引張強度は、特に制限されないが、通常100N・mm−2以上であり、250N・mm−2以上が好ましく、400N・mm−2以上が更に好ましく、500N・mm−2以上が特に好ましい。引張強度は、値が高いほど好ましいが、工業的入手可能性の観点から、通常1000N・mm−2以下である。引張強度が高い集電体基板であれば、充電・放電に伴う負極活物質薄膜の膨張・収縮による集電体基板の亀裂を抑制することができ、良好なサイクル特性を得ることができる。
(14−3)0.2%耐力
0.2%耐力とは、0.2%の塑性(永久)歪みを与えるに必要な負荷の大きさであり、この大きさの負荷を加えた後に除荷しても0.2%変形している事を意味している。0.2%耐力は、引張り強度と同様な装置及び方法で測定される。
集電体基板の0.2%耐力は、特に制限されないが、通常30N・mm−2以上、好ましくは150N・mm−2以上、特に好ましくは300N・mm−2以上が望ましい。0.2%耐値は値が高いほど好ましいが、工業的入手可能性の観点から、通常900N・mm−2以下が望ましい。0.2%耐力が高い集電体基板であれば、充電・放電に伴う負極活物質薄膜の膨張・収縮による集電体基板の塑性変形を抑制することができ、良好なサイクル特性を得ることができる。
(14−4)集電体の厚さ
集電体の厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、また、通常1mm以下であり、100μm以下が好ましく、50μm以下が更に好ましい。金属皮膜の厚さが、1μmより薄くなると、強度が低下するため塗布が困難となる場合がある。また、100μmより厚くなると、捲回等の電極の形を変形させる場合がある。なお、集電体は、メッシュ状でもよい。
(15)集電体と負極活物質層の厚さの比
集電体と負極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下が更に好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上が更に好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と負極活物質層の厚さの比が、上記範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。
(16)電極密度
負極活物質を電極化した際の電極構造は特には限定されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上が更に好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.9g・cm−3以下がより好ましく、1.8g・cm−3以下が更に好ましく、1.7g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲を上回ると、負極活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
(17)バインダー
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒の例としては水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤等を含有させ、SBR等のラテックスを用いてスラリー化することが好ましい。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質に対するバインダーの割合は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.6質量%以上が特に好ましく、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、8質量%以下が特に好ましい。負極活物質に対するバインダーの割合が、上記範囲を上回ると、バインダー量が電池容量に寄与しないバインダー割合が増加して、電池容量の低下を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極電極の強度低下を招く場合がある。
特に、SBRに代表されるゴム状高分子を主要成分に含有する場合には、負極活物質に対するバインダーの割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。また、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分に含有する場合には負極活物質に対する割合は、通常1質量%以上であり、2質量%以上が好ましく、3質量%以上が更に好ましく、また、通常15質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、8質量%以下が更に好ましい。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
更に増粘剤を用いる場合には、負極活物質に対する増粘剤の割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。
負極活物質に対する増粘剤の割合が、上記範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。また、上記範囲を上回ると、負極活物質層に占める負極活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する問題や負極活物質間の抵抗が増大する場合がある。
(18)極板配向比
極板配向比は、通常0.001以上であり、0.005以上が好ましく、0.01以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。極板配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の極板配向比の理論上限値である。
極板配向比の測定は、目的密度にプレス後の負極電極について、X線回折により電極の負極活物質配向比を測定することによって行なう。具体的手法は特に制限されないが、標準的な方法としては、X線回折により炭素の(110)回折と(004)回折のピークを、プロファイル関数として非対称ピアソンVIIを用いてフィッティングすることによりピーク分離を行ない、(110)回折と(004)回折のピークの積分強度を各々算出する。得られた積分強度から、(110)回折積分強度/(004)回折積分強度で表わされる比を算出する。該測定で算出される電極の負極活物質配向比を、本発明の炭素質材料による電極の極板配向比と定義する。
X線回折測定条件は次の通りである。なお、「2θ」は回折角を示す。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :発散スリット=1度、受光スリット=0.1mm、散乱スリット=1度
・測定範囲、及び、ステップ角度/計測時間:
(110)面:76.5度≦2θ≦78.5度 0.01度/3秒
(004)面:53.5度≦2θ≦56.0度 0.01度/3秒
・試料調製 :硝子板に0.1mm厚さの両面テープで電極を固定
(19)インピーダンス
放電状態から公称容量の60%まで充電した時の負極の抵抗は、100Ω以下が好ましく、50Ω以下が更に好ましく、20Ω以下が特に好ましく、及び/又は二重層容量が1×10−6F以上が好ましく、1×10−5F以上が更に好ましく、1×10−4Fが特に好ましい。上記範囲の負極電極を用いると出力特性が良く好ましいためである。
負極の抵抗及び二重層容量の測定は、測定する非水系電解液電池を、公称容量を5時間で充電できる電流値にて充電した後に、20分間充放電をしない状態を維持し、次に公称容量を1時間で放電できる電流値にて放電したときの容量が、公称容量の80%以上あるものを用いる。
前述の放電状態の非水系電解液電池について、公称容量を5時間で充電できる電流値にて公称容量の60%まで充電し、直ちに非水系電解液電池をアルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内に移す。ここで該非水系電解液電池を負極が放電又はショートしない状態ですばやく解体して取り出し、両面塗布電極であれば、片面の負極活物質を他面の負極活物質を傷つけずに剥離し、負極電極を12.5mmφに2枚打ち抜き、セパレータを介して負極活物質面がずれないよう対向させる。電池に使用されていた非水系電解液60μLをセパレータと両負極間に滴下して密着し、外気と触れない状態を保持して、両負極の集電体に導電をとり、交流インピーダンス法を実施する。
測定は温度25℃で、10−2〜10Hzの周波数帯で複素インピーダンス測定を行ない、求められたナイキスト・プロットの負極抵抗成分の円弧を半円で近似して表面抵抗(R)と、二重層容量(Cdl)を求める。
(20)負極板の面積
負極板の面積は特に限定されるものではないが、対向する正極板よりもわずかに大きくして正極板が負極板から外にはみ出すことがないように設計することが好ましい。充放電を繰り返したサイクルの寿命や高温保存による劣化を抑制する観点から、出来る限り正極に等しい面積に近づけることが、より均一かつ有効に働く電極割合を高めて特性が向上するので好ましい。特に、大電流で使用される場合には、この電極面積の設計が重要である。
(21)負極板の厚さ
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に限定されるものではないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常150μm以下、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下が望ましい。
<2−3−2.合金系材料、及び合金系材料を用いた負極の構成、物性、調製方法>
負極活物質として用いられる合金系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物・炭化物・窒化物・珪化物・硫化物・燐化物等の化合物の何れであっても特に限定はされないが、好ましくはリチウム合金を形成する単体金属及び合金であれば、13族及び14族の金属・半金属元素(すなわち炭素を除く)を含む材料あることが好ましく、更にはアルミニウム、珪素、及び錫(これらを以下「特定金属元素」という場合がある。)の単体金属、及びこれら原子を含む合金・化合物である事が好ましい。
特定金属元素から選ばれる少なくとも1種の原子を有する負極活物質の例としては、何れか1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素からなる合金、1種又は2種以上の特定金属元素とその他の1種又は2種以上の金属元素とからなる合金、並びに、1種又は2種以上の特定金属元素を含有する化合物、及びその化合物の酸化物・炭化物・窒化物・珪化物・硫化物・燐化物等の複合化合物が挙げられる。負極活物質としてこれらの金属単体、合金又は金属化合物を用いることで、電池の高容量化が可能である。
また、これらの複合化合物が、金属単体、合金、又は非金属元素等の数種の元素と複雑に結合した化合物も例として挙げることができる。より具体的には、例えば珪素や錫では、これらの元素と負極として動作しない金属との合金を用いることができる。また例えば錫では、錫と珪素以外で負極として作用する金属と、更に負極として動作しない金属と、非金属元素との組み合わせで5〜6種の元素を含むような複雑な化合物も用いることができる。
これらの負極活物質の中でも、電池にしたときに単位重量当りの容量が大きいことから、何れか1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素の合金、特定金属元素の酸化物や炭化物、窒化物等が好ましく、特に、珪素及び/又は錫の金属単体、合金、酸化物や炭化物、窒化物等が、単位重量当りの容量及び環境負荷の観点から好ましい。
また、金属単体又は合金を用いるよりは単位重量当りの容量には劣るものの、サイクル特性に優れることから、珪素及び/又は錫を含有する以下の化合物も好ましい。
・珪素及び/又は錫と酸素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の珪素及び/又は錫の酸化物。
・珪素及び/又は錫と窒素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の珪素及び/又は錫の窒化物。
・珪素及び/又は錫と炭素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の珪素及び/又は錫の炭化物。
なお、上述の負極活物質は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の非水系電解液電池における負極は、公知の何れの方法を用いて製造することが可能である。具体的に、負極の製造方法としては、例えば、上述の負極活物質に結着剤や導電材等を加えたものをそのままロール成型してシート電極とする方法や、圧縮成形してペレット電極とする方法も挙げられるが、通常は負極用の集電体(以下「負極集電体」という場合がある。)上に塗布法、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法が用いられる。この場合、上述の負極活物質に結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、これを負極集電体に塗布、乾燥した後にプレスして高密度化することにより、負極集電体上に負極活物質層を形成する。
負極集電体の材質としては、鋼、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス等が挙げられる。これらのうち、薄膜に加工し易いという点及びコストの点から、銅箔が好ましい。
負極集電体の厚さは、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。負極集電体の厚さが厚過ぎると、電池全体の容量が低下し過ぎることがあり、逆に薄過ぎると取り扱いが困難になることがあるためである。
なお、表面に形成される負極活物質層との結着効果を向上させるため、これら負極集電体の表面は、予め粗面化処理しておくことが好ましい。表面の粗面化方法としては、ブラスト処理、粗面ロールによる圧延、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線等を備えたワイヤーブラシ等で集電体表面を研磨する機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法等が挙げられる。
また、負極集電体の重量を低減させて電池の重量当たりのエネルギー密度を向上させるために、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの負極集電体を使用することもできる。このタイプの負極集電体は、その開口率を変更することで、重量も自在に変更可能である。また、このタイプの負極集電体の両面に負極活物質層を形成させた場合、この穴を通してのリベット効果により、負極活物質層の剥離が更に起こり難くなる。しかし、開口率があまりに高くなった場合には、負極活物質層と負極集電体との接触面積が小さくなるため、かえって接着強度は低くなることがある。
負極活物質層を形成するためのスラリーは、通常は負極材に対して結着剤、増粘剤等を加えて作製される。なお、本明細書における「負極材」とは、負極活物質と導電材とを合わせた材料を指すものとする。
負極材中における負極活物質の含有量は、通常70質量%以上、特に75質量%以上、また、通常97質量%以下、特に95質量%以下であることが好ましい。負極活物質の含有量が少な過ぎると、得られる負極を用いた二次電池の容量が不足する傾向があり、多過ぎると相対的に結着剤等の含有量が不足することにより、得られる負極の強度が不足する傾向にあるためである。なお、2以上の負極活物質を併用する場合には、負極活物質の合計量が上記範囲を満たすようにすればよい。
負極に用いられる導電材としては、銅やニッケル等の金属材料;黒鉛、カーボンブラック等の炭素材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。特に、導電材として炭素材料を用いると、炭素材料が活物質としても作用するため好ましい。負極材中における導電材の含有量は、通常3質量%以上、特に5質量%以上、また、通常30質量%以下、特に25質量%以下であることが好ましい。導電材の含有量が少な過ぎると導電性が不足する傾向があり、多過ぎると相対的に負極活物質等の含有量が不足することにより、電池容量や強度が低下する傾向となるためである。なお、2以上の導電材を併用する場合には、導電材の合計量が上記範囲を満たすようにすればよい。
負極に用いられる結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安全な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン・ブタジエンゴム・イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。結着剤の含有量は、負極材100重量部に対して通常0.5重量部以上、特に1重量部以上、また、通常10重量部以下、特に8重量部以下であることが好ましい。結着剤の含有量が少な過ぎると得られる負極の強度が不足する傾向があり、多過ぎると相対的に負極活物質等の含有量が不足することにより、電池容量や導電性が不足する傾向となるためである。なお、2以上の結着剤を併用する場合には、結着剤の合計量が上記範囲を満たすようにすればよい。
負極に用いられる増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。増粘剤は必要に応じて使用すればよいが、使用する場合には、負極活物質層中における増粘剤の含有量が通常0.5質量%以上、5質量%以下の範囲で用いることが好ましい。
負極活物質層を形成するためのスラリーは、上記負極活物質に、必要に応じて導電材や結着剤、増粘剤を混合し、水系溶媒又は有機溶媒を分散媒として用いて調製される。水系溶媒としては、通常は水が用いられるが、エタノール等のアルコール類やN−メチルピロリドン等の環状アミド類等の水以外の溶媒を、水に対して30質量%以下程度の割合で併用することもできる。また、有機溶媒としては、通常、N−メチルピロリドン等の環状アミド類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の直鎖状アミド類、アニソール、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類が挙げられ、中でも、N−メチルピロリドン等の環状アミド類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の直鎖状アミド類等が好ましい。なお、これらは何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーの粘度は、集電体上に塗布することが可能な粘度であれば、特に制限されない。塗布が可能な粘度となるように、スラリーの調製時に溶媒の使用量等を変えて、適宜調製すればよい。
得られたスラリーを上述の負極集電体上に塗布し、乾燥した後、プレスすることにより、負極活物質層が形成される。塗布の手法は特に制限されず、それ自体既知の方法を用いることができる。乾燥の手法も特に制限されず、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等の公知の手法を用いることができる。
上記手法により負極活物質を電極化した際の電極構造は特には限定されないが、集電体上に存在している活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上が更に好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.9g・cm−3以下がより好ましく、1.8g・cm−3以下が更に好ましく、1.7g・cm−3以下が特に好ましい。
集電体上に存在している活物質の密度が、上記範囲を上回ると、活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
<2−3−3.リチウム含有金属複合酸化物材料、及びリチウム含有金属複合酸化物材料を用いた負極の構成、物性、調製方法>
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、特に限定はされないが、好ましくはチタンを含むリチウム含有複合金属酸化物材料が好ましく、更にリチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」と略記する)が好ましい。すなわちスピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物を、非水系電解液電池用負極活物質に含有させて用いると、出力抵抗が大きく低減するので特に好ましい。
また、リチウムチタン複合酸化物のリチウムやチタンが、他の金属元素、例えば、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素で置換されているものも好ましい。
上記金属酸化物が、一般式(1)で表されるリチウムチタン複合酸化物であり、一般式(1)中、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイオンのドープ・脱ドープの際の構造が安定であることから好ましい。
LiTi (1)
[一般式(1)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わす。]
上記の一般式(1)で表される組成の中でも、
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
上記化合物の特に好ましい代表的な組成は、(a)ではLi4/3Ti5/3、(b)ではLiTi、(c)ではLi4/5Ti11/5である。また、Z≠0の構造については、例えば、Li4/3Ti4/3Al1/3O4が好ましいものとして挙げられる。
負極活物質は、上記した要件に加えて、更に、下記の(1)〜(15)に示した物性及び形状等の特徴の内、少なくとも1種を満たしていることが好ましく、2種以上を同時に満たすことが特に好ましい。
(1)BET比表面積
本発明の非水系電解液電池の負極活物質として用いられるチタンを含有する金属酸化物(以下、適宜「チタン含有金属酸化物」という)のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、0.5m・g−1以上が好ましく、0.7m・g−1以上がより好ましく、1.0m・g−1以上が更に好ましく、1.5m・g−1以上が特に好ましく、また、200m・g−1以下が好ましく、100m・g−1以下がより好ましく、50m・g−1以下が更に好ましく、25m・g−1以下が特に好ましい。
BET比表面積が、上記範囲を下回ると、負極材料として用いた場合の非水系電解液と接する反応面積が減少し、出力抵抗が増加する場合がある。一方、上記範囲を上回ると、チタンを含有する金属酸化物の結晶の表面や端面の部分が増加し、また、これに起因して、結晶の歪も生じるため、不可逆容量が無視できなくなり、好ましい電池が得られにくい場合がある。
BET法による比表面積の測定は、表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて、試料に対して窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。該測定で求められる比表面積を、本発明のチタン含有金属酸化物のBET比表面積と定義する。
(2)体積基準平均粒径
チタン含有金属酸化物の体積基準平均粒径(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)で定義される。
チタン含有金属酸化物の体積基準平均粒径は、通常0.1μm以上であり、0.5μm以上が好ましく、0.7μm以上が更に好ましく、また、通常50μm以下であり、40μm以下が好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましい。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。該測定で求められるメジアン径を、本発明の炭素質材料の体積基準平均粒径と定義する。
チタン含有金属酸化物の体積平均粒径が、上記範囲を下回ると、電極作製時に多量の結着剤が必要となり、結果的に電池容量が低下する場合がある。また、上記範囲を上回ると、電極極板化時に、不均一な塗面になりやすく、電池製作工程上望ましくない場合がある。
(3)平均一次粒子径
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合においては、チタン含有金属酸化物の平均一次粒子径が、通常0.01μm以上であり、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上が更に好ましく、0.2μm以上が特に好ましく、また、通常2μm以下であり、1.6μm以下が好ましく、1.3μm以下が更に好ましく、1μm以下が特に好ましい。
体積基準平均一次粒子径が、上記範囲を上回ると、球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下したりするために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。また、上記範囲を下回ると、通常、結晶が未発達になるために充放電の可逆性が劣る等、二次電池の性能を低下させる場合がある。
なお、一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定される。具体的には、粒子が確認できる倍率、例えば10000〜100000倍の倍率の写真で、水平方向の直線に対する一次粒子の左右の境界線による切片の最長の値を、任意の50個の一次粒子について求め、平均値をとることにより求められる。
(4)形状
チタン含有金属酸化物の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。
通常、電気化学素子はその充放電に伴い、電極中の活物質が膨張収縮をするため、そのストレスによる活物質の破壊や導電パス切れ等の劣化がおきやすい。そのため一次粒子のみの単一粒子活物質であるよりも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成したものである方が膨張収縮のストレスを緩和して、劣化を防ぐためである。
また、板状等軸配向性の粒子であるよりも、球状又は楕円球状の粒子の方が、電極の成形時の配向が少ないため、充放電時の電極の膨張収縮も少なく、また電極を作製する際の導電材との混合においても、均一に混合されやすいため好ましい。
(5)タップ密度
チタン含有金属酸化物のタップ密度は、0.05g・cm−3以上が好ましく、0.1g・cm−3以上がより好ましく、0.2g・cm−3以上が更に好ましく、0.4g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.8g・cm−3以下が好ましく、2.4g・cm−3以下が更に好ましく、2g・cm−3以下が特に好ましい。
タップ密度が、上記範囲を下回ると、負極として用いた場合に充填密度が上がり難く、また粒子間の接触面積が減少するため、粒子間の抵抗が増加し、出力抵抗が増加する場合がある。また、上記範囲を上回ると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、非水系電解液の流路が減少することで、出力抵抗が増加する場合がある。
タップ密度の測定は、目開き300μmの篩を通過させて、20cmのタッピングセルに試料を落下させてセルの上端面まで試料を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から密度を算出する。該測定で算出されるタップ密度を、本発明のチタン含有金属酸化物のタップ密度として定義する。
(6)円形度
チタン含有金属酸化物の球形の程度として、円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
チタン含有金属酸化物の円形度は、1に近いほど好ましく、通常0.10以上であり、0.80以上が好ましく、0.85以上が更に好ましく、0.90以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、円形度が大きいほどが向上する。従って、円形度が上記範囲を下回ると、負極活物質の充填性が低下し、粒子間の抵抗が増大して、短時間高電流密度充放電特性が低下する場合がある。
円形度の測定は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA)を用いて行なう。試料約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が3〜40μmの範囲の粒子について測定する。該測定で求められる円形度を、本発明のチタン含有金属酸化物の円形度と定義する。
(7)アスペクト比
チタン含有金属酸化物のアスペクト比は、通常1以上、また、通常5以下であり、4以下が好ましく、3以下が更に好ましく、2以下が特に好ましい。アスペクト比が、上記範囲を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、短時間高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、チタン含有金属酸化物のアスペクト比の理論下限値である。
アスペクト比の測定は、チタン含有金属酸化物の粒子を走査型電子顕微鏡で拡大観察して行なう。厚さ50μm以下の金属の端面に固定した任意の50個の粒子を選択し、それぞれについて試料が固定されているステージを回転、傾斜させて、3次元的に観察した時の粒子の最長となる径Aと、それと直交する最短となる径Bを測定し、A/Bの平均値を求める。該測定で求められるアスペクト比(A/B)を、本発明のチタン含有金属酸化物のアスペクト比と定義する。
(8)負極活物質の製造法
チタン含有金属酸化物の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
例えば、酸化チタン等のチタン原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質とLiOH、LiCO、LiNO等のLi源を均一に混合し、高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
特に球状又は楕円球状の活物質を作成するには種々の方法が考えられる。一例として、酸化チタン等のチタン原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作成回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
また、別の例として、酸化チタン等のチタン原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これにLiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
更に別の方法として、酸化チタン等のチタン原料物質と、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源と、必要に応じ他の元素の原料物質とを水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これを高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
また、これらの工程中に、Ti以外の元素、例えば、Al、Mn、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、C、Si、Sn、Agを、チタンを含有する金属酸化物構造中及び/又はチタンを含有する酸化物に接する形で存在していることも可能である。これらの元素を含有することで、電池の作動電圧、容量を制御することが可能となる。
(9)電極作製
電極の製造は、公知の何れの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
電池の非水系電解液注液工程直前の段階での片面あたりの負極活物質層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、上限は150μm以下、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下が望ましい。この範囲を上回ると、非水系電解液が集電体界面付近まで浸透しにくいため、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。またこの範囲を下回ると、負極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。また、負極活物質をロール成形してシート電極としてもよく、圧縮成形によりペレット電極としてもよい。
(10)集電体
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられ、中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも好ましくは銅(Cu)及び/又はアルミニウム(Al)を含有する金属箔膜であり、より好ましくは銅箔、アルミニウム箔であり、更に好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることができる。
また、銅箔の厚さが25μmよりも薄い場合、純銅よりも強度の高い銅合金(リン青銅、チタン銅、コルソン合金、Cu−Cr−Zr合金等)を用いることができる。またアルミニウム箔は、その比重が軽いことから、集電体として用いた場合に、電池の重量を減少させることが可能となり、好ましく用いることができる。
圧延法により作製した銅箔からなる集電体は、銅結晶が圧延方向に並んでいるため、負極を密に丸めても、鋭角に丸めても割れにくく、小型の円筒状電池に好適に用いることができる。
電解銅箔は、例えば、銅イオンが溶解された非水系電解液中に金属製のドラムを浸漬し、これを回転させながら電流を流すことにより、ドラムの表面に銅を析出させ、これを剥離して得られるものである。上記の圧延銅箔の表面に、電解法により銅を析出させていてもよい。銅箔の片面又は両面には、粗面化処理や表面処理(例えば、厚さが数nm〜1μm程度までのクロメート処理、Ti等の下地処理等)がなされていてもよい。
また、集電体基板には、更に次のような物性が望まれる。
(10−1)平均表面粗さ(Ra)
JISB0601−1994に記載の方法で規定される集電体基板の活物質薄膜形成面の平均表面粗さ(Ra)は、特に制限されないが、通常0.01μm以上であり、0.03μm以上が好ましく、また、通常1.5μm以下であり、1.3μm以下が好ましく、1.0μm以下が更に好ましい。
集電体基板の平均表面粗さ(Ra)が、上記の範囲内であると、良好な充放電サイクル特性が期待できるためである。また、活物質薄膜との界面の面積が大きくなり、負極活物質薄膜との密着性が向上するためである。なお、平均表面粗さ(Ra)の上限値は特に制限されるものではないが、平均表面粗さ(Ra)が1.5μmを超えるものは電池として実用的な厚みの箔としては一般に入手しにくいため、1.5μm以下のものが通常用いられる。
(10−2)引張強度
引張強度とは、試験片が破断に至るまでに要した最大引張力を、試験片の断面積で割ったものである。本発明における引張強度は、JISZ2241(金属材料引張試験方法)に記載と同様な装置及び方法で測定される。
集電体基板の引張強度は、特に制限されないが、通常50N・mm−2以上であり、100N・mm−2以上が好ましく、150N・mm−2以上が更に好ましい。引張強度は、値が高いほど好ましいが、工業的入手可能性の観点から、通常1000N・mm−2以下が望ましい。引張強度が高い集電体基板であれば、充電・放電に伴う活物質薄膜の膨張・収縮による集電体基板の亀裂を抑制することができ、良好なサイクル特性を得ることができる。
(10−3)0.2%耐力
0.2%耐力とは、0.2%の塑性(永久)歪みを与えるに必要な負荷の大きさであり、この大きさの負荷を加えた後に除荷しても0.2%変形している事を意味している。0.2%耐力は、引張強度と同様な装置及び方法で測定される。
集電体基板の0.2%耐力は、特に制限されないが、通常30N・mm−2以上、好ましくは100N・mm−2以上、特に好ましくは150N・mm−2以上である。0.2%耐力は、値が高いほど好ましいが、工業的入手可能性の観点から、通常900N・mm−2以下が望ましい。0.2%耐力が高い集電体基板であれば、充電・放電に伴う活物質薄膜の膨張・収縮による集電体基板の塑性変形を抑制することができ、良好なサイクル特性を得ることができるためである。
(10−4)集電体の厚さ
集電体の厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、また、通常1mm以下であり、100μm以下が好ましく、50μm以下が更に好ましい。金属皮膜の厚さが、1μmより薄くなると、強度が低下するため塗布が困難となる場合がある。また、100μmより厚くなると、捲回等の電極の形を変形させる場合がある。なお、集電体は、メッシュ状でもよい。
(11)集電体と活物質層の厚さの比
集電体と活物質層の厚さの比は特には限定されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、通常150以下であり、20以下が好ましく、10以下が更に好ましく、また、通常0.1以上であり、0.4以上が好ましく、1以上が更に好ましい。集電体と負極活性物質層の厚さの比が、上記範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。
(12)電極密度
負極活物質の電極化した際の電極構造は特には限定されないが、集電体上に存在している活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3がより好ましく、1.3g・cm−3以上が更に好ましく、1.5g・cm−3以上が特に好ましく、また、3g・cm−3以下が好ましく、2.5g・cm−3以下がより好ましく、2.2g・cm−3以下が更に好ましく、2g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している活物質の密度が、上記範囲を上回ると、集電体と負極活物質の結着が弱くなり、電極と活物質が乖離する場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大する場合がある。
(13)バインダー
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を、溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒の例としては水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメリルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。特に水系溶媒を用いる場合、上述の増粘剤に併せて分散剤等を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。なお、これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質に対するバインダーの割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通常20質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましく、8質量%以下が特に好ましい。負極活物質に対するバインダーの割合が、上記範囲を上回ると、バインダー量が電池容量に寄与しないバインダー割合が増加して、電池容量が低下する場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極電極の強度低下を招き、電池作製工程上好ましくない場合がある。
特に、SBRに代表されるゴム状高分子を主要成分に含有する場合には、活物質に対するバインダーの割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。また、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分に含有する場合には活物質に対する割合は、1質量%以上であり、2質量%以上が好ましく、3質量%以上が更に好ましく、通常15質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、8質量%以下が更に好ましい。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
更に増粘剤を用いる場合には、負極活物質に対する増粘剤の割合は、0.1質量%以上であり、0.5%以上が好ましく、0.6%以上が更に好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。負極活物質に対する増粘剤の割合が、上記範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。また、上記範囲を上回ると、負極活物質層に占める活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する問題や負極活物質間の抵抗が増大する場合がある。
(14)インピーダンス
放電状態から公称容量の60%まで充電した時の負極の抵抗は、500Ω以下が好ましく、100Ω以下が更に好ましく、50Ω以下が特に好ましく、及び/又は二重層容量が1×10−6F以上が好ましく、1×10−5F以上が更に好ましく、3×10−5F以上が特に好ましい。上記範囲の負極電極を用いると電流特性が良く好ましいためである。
負極の抵抗及び二重層容量は、測定する非水系電解液電池を、公称容量を5時間で充電できる電流値にて充電した後に、10分間充放電をしない状態を維持し、次に公称容量を1時間で放電できる電流値で放電したときの容量が、公称容量の80%以上あるものを用いる。
前述の放電状態の非水系電解液電池について、公称容量を5時間で充電できる電流値にて公称容量の60%まで充電し、直ちに非水系電解液電池をアルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内に移す。ここで該非水系電解液電池を負極が放電又はショートしない状態ですばやく解体して取り出し、両面塗布電極であれば、片面の電極活物質を他面の電極活物質を傷つけずに剥離し、負極電極をφ12.5mmに2枚打ち抜き、セパレータを介して活物質面がずれないよう対向させる。電池に使用されていた非水系電解液60μLをセパレータと両負極間に滴下して密着し、外気と触れない状態を保持して、両負極の集電体に導電をとり、交流インピーダンス法を実施する。
測定は温度25℃で、10−2〜10Hzの周波数帯で複素インピーダンス測定を行ない、求められたナイキスト・プロットの負極抵抗成分の円弧を半円で近似して表面抵抗(インピーダンスRct)と、二重層容量(インピーダンスCdl)を求める。
(15)負極板の面積
負極板の面積は特に限定されるものではないが、対向する正極板よりもわずかに大きくして正極板が負極板から外にはみ出すことがないように設計することが好ましい。充放電を繰り返したサイクルの寿命や高温保存による劣化を抑制する観点から、出来る限り正極に等しい面積に近づけることが、より均一かつ有効に働く電極割合を高めて特性が向上するので好ましい。特に、大電流で使用される場合には、この電極面積の設計が重要である。
(16)負極板の厚さ
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に限定されるものではないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常150μm以下、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下が望ましい。
<2−4正極>
以下に本発明の非水系電解液電池に使用される正極について説明する。
<2−4−1.正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質について説明する。
(1)組成
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、LiCoO等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO、LiMn、LiMnO等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
置換されたものの具体例としては、例えば、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiMn1.8Al0.2、LiMn1.5Ni0.5等が挙げられる。
リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO、LiFeP等のリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
(2)表面被覆
上記の正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質(以後、適宜「表面付着物質」という)が付着したものを用いることもできる。表面付着物質の例としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
これら表面付着物質は、例えば、溶媒に溶解又は懸濁させて正極活物質に含浸添加させた後に乾燥する方法、表面付着物質前駆体を溶媒に溶解又は懸濁させて正極活物質に含浸添加させた後に加熱等により反応させる方法、正極活物質前駆体に添加して同時に焼成する方法等により、正極活物質表面に付着させることができる。
正極活物質の表面に付着している表面付着物質の質量は、正極活物質の質量に対して、通常0.1ppm以上であり、1ppm以上が好ましく、10ppm以上が更に好ましく、また、通常20%以下であり、10%以下が好ましく、5%以下が更に好ましい。
表面付着物質により、正極活物質表面での非水系電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができる。しかし、付着量が上記範囲を下回ると、その効果は十分に発現せず、また上記範囲を上回ると、リチウムイオンの出入りを阻害するために抵抗が増加する場合があるため、上記範囲が好ましい。
(3)形状
正極活物質粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が用いられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状又は楕円球状であるものが好ましい。
通常、電気化学素子はその充放電に伴い、電極中の活物質が膨張収縮をするため、そのストレスによる活物質の破壊や導電パス切れ等の劣化がおきやすい。従って、一次粒子のみの単一粒子活物質であるよりも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成したものである方が膨張収縮のストレスを緩和して、劣化を防ぐためである。
また、板状等軸配向性の粒子よりも、球状又は楕円球状の粒子の方が、電極の成形時の配向が少ないため、充放電時の電極の膨張収縮も少なく、また電極を作成する際の導電材との混合においても、均一に混合されやすいため好ましい。
(4)タップ密度
正極活物質のタップ密度は、通常1.3g・cm−3以上であり、1.5g・cm−3以上が好ましく、1.6g・cm−3以上が更に好ましく、1.7g・cm−3以上が特に好ましく、また、通常2.5g・cm−3以下であり、2.4g・cm−3以下が好ましい。
タップ密度の高い金属複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。従って、正極活物質のタップ密度が上記範囲を下回ると、正極活物質層形成時に必要な分散媒量が増加すると共に、導電材や結着剤の必要量が増加し、正極活物質層への正極活物質の充填率が制約され、電池容量が制約される場合がある。また、タップ密度は一般に大きいほど好ましく特に上限はないが、上記範囲を下回ると、正極活物質層内における非水系電解液を媒体としたリチウムイオンの拡散が律速となり、負荷特性が低下しやすくなる場合がある。
タップ密度の測定は、目開き300μmの篩を通過させて、20cmのタッピングセルに試料を落下させてセル容積を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から密度を算出する。該測定で算出されるタップ密度を、本発明の正極活物質のタップ密度として定義する。
(5)メジアン径d50
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いても測定することができる。
メジアン径d50は、通常0.1μm以上であり、0.5μm以上が好ましく、1μm以上が更に好ましく、3μm以上が特に好ましく、また、通常20μm以下であり、18μm以下が好ましく、16μm以下が更に好ましく、15μm以下が特に好ましい。
メジアン径d50が、上記範囲を下回ると、高嵩密度品が得られなくなる場合があり、上記範囲を上回ると粒子内のリチウムの拡散に時間がかかるため、電池特性の低下や、電池の正極作成すなわち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化し、薄膜状に塗布する際に、スジを引く等が生じる場合がある。なお、異なるメジアン径d50をもつ正極活物質を2種類以上、任意の比率で混合することで、正極作成時の充填性を更に向上させることもできる。
メジアン径d50の測定は、0.1質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒にして、粒度分布計として堀場製作所社製LA−920用いて、5分間の超音波分散後に測定屈折率1.24に設定して測定する。
(6)平均一次粒子径
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合、正極活物質の平均一次粒子径は、通常0.01μm以上であり、0.05μm以上が好ましく、0.08μm以上が更に好ましく、0.1μm以上が特に好ましく、また、通常3μm以下であり、2μm以下が好ましく、1μm以下更に好ましく、0.6μm以下が特に好ましい。
上記範囲を上回ると球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下するために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合があるためである。また、上記範囲を下回ると、通常、結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等、二次電池の性能を低下させる場合があるためである。
なお、平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定される。具体的には、10000倍の倍率の写真で、水平方向の直線に対する一次粒子の左右の境界線による切片の最長の値を、任意の50個の一次粒子について求め、平均値をとることにより求められる。
(7)BET比表面積
正極活物質のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値が、通常0.2m・g−1以上であり、0.3m・g−1以上が好ましく、0.4m・g−1以上が更に好ましく、また、通常4.0m・g−1以下であり、2.5m・g−1以下が好ましく、1.5m・g−1以下が更に好ましい。
BET比表面積の値が、上記範囲を下回ると、電池性能が低下しやすくなる。また、上記範囲を上回ると、タップ密度が上がりにくくなり、正極活物質形成時の塗布性が低下する場合がある。
BET比表面積は、表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて測定する。試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定する。該測定で求められる比表面積を、本発明の陽極活物質のBET比表面積と定義する。
(8)正極活物質の製造法
正極活物質の製造法としては、本発明の要旨を超えない範囲で特には制限されないが、いくつかの方法が挙げられ、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
特に球状ないし楕円球状の活物質を作製するには種々の方法が考えられるが、例えばその1つとして、遷移金属硝酸塩、硫酸塩等の遷移金属原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
また、別の方法の例として、遷移金属硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物等の遷移金属原料物質と、必要に応じ他の元素の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これにLiOH、LiCO、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
更に別の方法の例として、遷移金属硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物等の遷移金属原料物質と、LiOH、LiCO、LiNO等のLi源と、必要に応じ他の元素の原料物質とを水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライヤー等で乾燥成型して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これを高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。
<2−4−2.電極構造と作製法>
以下に、本発明に使用される正極の構成及びその作製法について説明する。
(1)正極の作製法
正極は、正極活物質粒子と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製される。正極活物質を用いる正極の製造は、公知の何れの方法で作製することができる。すなわち、正極活物質と結着剤、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成させることにより正極を得ることができる。
正極活物質の正極活物質層中の含有量は、通常10質量%以上、好ましくは30質量%以上、特に好ましくは50質量%以上、また、通常99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。正極活物質層中の正極活物質の含有量が、上記範囲を下回ると、電気容量が不十分となる場合があるためである。また、上記範囲を上回ると、正極の強度が不足する場合があるためである。なお、本発明の正極活物質粉体は1種を単独で用いてもよく、異なる組成又は異なる粉体物性の2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(2)導電材
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。
含有量が上記範囲よりも下回ると、導電性が不十分となる場合がある。また、上記範囲よりも上回ると、電池容量が低下する場合がある。
(3)結着剤
正極活物質層の製造に用いる結着剤は、非水系電解液や電極製造時用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に限定されない。
塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、3質量%以上が更に好ましく、また、通常80質量%以下であり、60質量%以下が好ましく、40質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
結着剤の割合が、上記範囲を下回ると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう場合がある。また、上記範囲を上回ると、電池容量や導電性の低下につながる場合がある。
(4)液体媒体
スラリーを形成するための液体媒体としては、正極活物質、導電材、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系媒体の例としては、例えば、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系媒体の例としては、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N・N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(5)増粘剤
スラリーを形成するための液体媒体として水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。
増粘剤としては、本発明の効果を著しく制限しない限り制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
更に増粘剤を使用する場合には、活物質に対する増粘剤の割合は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下が望ましい。上記範囲を下回ると著しく塗布性が低下する場合があり、また上記範囲を上回ると、正極活物質層に占める活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する問題や正極活物質間の抵抗が増大する場合がある。
(6)圧密化
塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。正極活物質層の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.5g・cm−3以上が更に好ましく、2g・cm−3以上が特に好ましく、また、4g・cm−3以下が好ましく、3.5g・cm−3以下が更に好ましく、3g・cm−3以下が特に好ましい。
正極活物質層の密度が、上記範囲を上回ると集電体/活物質界面付近への非水系電解液の浸透性が低下し、特に高電流密度での充放電特性が低下する場合がある。また上記範囲を下回ると、活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大する場合がある。
(7)集電体
正極集電体の材質としては特に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体の形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられ、炭素質材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。これらのうち、金属薄膜が好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。
集電体の厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、また、通常1mm以下であり、100μm以下が好ましく、50μm以下が更に好ましい。
薄膜が、上記範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足する場合がある。また、薄膜が上記範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれる場合がある。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(非水系電解液注液直前の片面の活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)が通常150以下であり、20以下が好ましく、10以下が特に好ましく、また、通常0.1以上であり、0.4以上が好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と正極活物質層の厚さの比が、上記範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。また、上記範囲を下回ると、正極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。
(8)電極面積
高電流密度かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する前記正極の電極面積の総和が面積比で20倍以上とすることが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
(10)正極板の厚さ
正極板の厚さは特に限定されるものではないが、高容量かつ高出力、高レート特性の観点から、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して、10μm以上が好ましく、20μm以上が更に好ましく、また、200μm以下が好ましく、100μm以下が更に好ましい。
<2−5.セパレータ>
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ガラスフィルター等を用いることができる。中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオレフィンであり、更に好ましくはポリオレフィンである。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記セパレータの厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、5μm以上が好ましく、10μm以上が更に好ましく、また、通常50μm以下であり、40μm以下が好ましく、30μm以下が更に好ましい。セパレータが、上記範囲より薄過ぎると、絶縁性や機械的強度が低下する場合がある。また、上記範囲より厚過ぎると、レート特性等の電池性能が低下する場合があるばかりでなく、非水系電解液電池全体としてのエネルギー密度が低下する場合がある。
更に、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパレータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%以上が更に好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下が更に好ましい。空孔率が、上記範囲より小さ過ぎると、膜抵抗が大きくなってレート特性が悪化する傾向がある。また、上記範囲より大き過ぎると、セパレータの機械的強度が低下し、絶縁性が低下する傾向にある。
また、セパレータの平均孔径も任意であるが、通常0.5μm以下であり、0.2μm以下が好ましく、また、通常0.05μm以上である。平均孔径が、上記範囲を上回ると、短絡が生じ易くなる。また、上記範囲を下回ると、膜抵抗が大きくなりレート特性が低下する場合がある。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミや窒化珪素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。
形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。前記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製の結着剤を用いて前記無機物の粒子を含有する複合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着剤として多孔層を形成させることが挙げられる。
<2−6.電池設計>
[電極群]
電極群は、前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のものの何れでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
電極群占有率が、上記範囲を下回ると、電池容量が小さくなる。また、上記範囲を上回ると空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、更には、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合がある。
[集電構造]
集電構造は特に限定されるものではないが、本発明の非水系電解液による高電流密度の充放電特性の向上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。この様に内部抵抗を低減させた場合、本発明の非水系電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。
電極群が前述の積層構造のものでは、各電極層の金属芯部分を束ねて端子に溶接して形成される構造が好適に用いられる。一枚の電極面積が大きくなる場合には、内部抵抗が大きくなるので、電極内に複数の端子を設けて抵抗を低減することも好適に用いられる。電極群が前述の捲回構造のものでは、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
前述の構造を最適化することにより、内部抵抗をできるだけ小さくすることができる。大電流で用いられる電池では、10kHz交流法で測定されるインピーダンス(以下、「直流抵抗成分」と略記する)を10ミリオーム(mΩ)以下にすることが好ましく、直流抵抗成分を5mΩ以下にすることがより好ましい。直流抵抗成分を0.1mΩ以下にすると出力特性が向上するが、用いられる集電構造材の占める比率が増え、電池容量が減少する場合がある。
[外装ケース]
外装ケースの材質は用いられる非水電解質に対して安定な物質であれば特に限定されるものではない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
前記金属類を用いる外装ケースでは、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接により金属同士を溶着して封止密閉構造とするもの、若しくは、樹脂製ガスケットを介して前記金属類を用いてかしめ構造とするものが挙げられる。前記ラミネートフィルムを用いる外装ケースでは、樹脂層同士を熱融着することにより封止密閉構造とするもの等が挙げられる。シール性を上げるために、前記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異なる樹脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極性基を導入した変成樹脂が好適に用いられる。
[保護素子]
前述の保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等が挙げられる。前記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
[外装体]
本発明の非水系電解液電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り公知のものを任意に採用することができる。具体的に、外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
また、外装体の形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
下記実施例及び比較例で得られた電池の各評価方法を以下に示す。
[初期放電容量評価]
リチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させ、4サイクル目は、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、初期放電容量を求めた。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、2Cとはその2倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
[2C放電容量の評価]
初期放電容量評価試験の終了した電池を、25℃において、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電し、2Cの定電流で3Vまで放電する試験を実施した。初期放電容量試験の放電容量を100とした場合の放電容量(%)を求めた。
[高温保存特性の評価]
容量評価試験の終了した電池を、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電した。これを85℃で24時間保存し、電池を冷却させた後、25℃において0.2Cの定電流で3Vまで放電させ、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電した後、2Cの定電流で3Vまで放電する試験を実施した。初期放電容量試験の放電容量を100とした場合の放電容量(%)を求めた。
[熱安定性の評価]
0.2Cに相当する定電流で4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させ、4サイクル目は、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施した。この充電電池の室温から300℃における発熱量をカルベ式熱量計にて測定した。
実施例1
[負極の作製]
人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98重量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100重量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2重量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に塗布して乾燥し、プレス機で厚さ75μmに圧延したものを、活物質層のサイズとして幅30mm、長さ40mm、及び幅5mm、長さ9mmの未塗工部を有する形状に切り出し、負極とした。
[正極の作製]
正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO)90質量%と、導電材としてのアセチレンブラック5質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを厚さ15μmのアルミ箔の片面に塗布して乾燥し、プレス機で厚さ80μmに圧延したものを、活物質層のサイズとして幅30mm、長さ40mm、及び幅5mm、長さ9mmの未塗工部を有する形状に切り出し、正極とした。
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、スルホラン(SLF)とエチルメチルカーボネート(EMC:25℃での粘性率0.68mPa・s)との混合物(体積比3:7)98重量部、ビニレンカーボネート(VC)2重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPFを1.0mol/Lの割合となるように溶解して電解液とした。
[非水系電解液電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極と負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び表2に示す。
実施例2
実施例1の電解液においてビニレンカーボネート(VC)に代えて、ビニルエチレンカーボネート(VEC)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び表2に示す。
実施例3
実施例1の電解液においてビニレンカーボネート(VC)に代えて、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び表2に示す。
実施例4
実施例1の電解液においてビニレンカーボネート(VC)に代えて、0.5重量部のLiPOを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び表2に示す。
比較例1
スルホラン(SLF)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物(体積比3:7)に、十分に乾燥したLiPFを1.0mol/Lの割合となるように溶解して製造した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び表2に示す。
比較例2
スルホラン(SLF)とγ−ブチロラクトン(GBL::25℃での粘性率1.73mPa・s)との混合物94重量部(体積比3:7)及びビニレンカーボネート(VC)とビニルエチレンカーボネート(VEC)とリン酸トリオクチル(TOP)をそれぞれ2重量部混合し、次いで、十分に乾燥したLiPFを1.0mol/Lの割合となるように溶解して製造した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び表2に示す。
比較例3
スルホラン(SLF)とγ−ブチロラクトン(GBL)との混合物94重量部(体積比3:7)及びビニレンカーボネート(VC)とビニルエチレンカーボネート(VEC)とリン酸トリオクチル(TOP)をそれぞれ2重量部混合し、次いで、十分に乾燥したLiBFを1.0mol/Lの割合となるように溶解して製造した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び表2に示す。
比較例4
γ−ブチロラクトン(GBL)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物(体積比3:7)98重量部、ビニレンカーボネート(VC)2重量部を混合し、次いで、十分に乾燥したLiPFを1.0mol/Lの割合となるように溶解して製造した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び表2に示す。
比較例5
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物(体積比3:7)98重量部、ビニレンカーボネート(VC)2重量部を混合し、次いで、十分に乾燥したLiPFを1.0mol/Lの割合となるように溶解して製造した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 2008269980
Figure 2008269980
実施例5
実施例3と同様の方法で得られた正極、負極、及び電解液を用いてシート状リチウム二次電池を作製し、熱分析により熱安定性の評価を行なった。評価結果を表3に示す。
比較例6
比較例4と同様の方法で得られた正極、負極、及び電解液を用いてシート状リチウム二次電池を作製し、熱分析により熱安定性の評価を行なった。評価結果を表3に示す。
Figure 2008269980
表1〜表3から明らかなように、本発明に係る非水系電解液を用いた電池(実施例1〜4)は、高電流密度での充放電特性、高温保存特性に優れ、かつ実施例5のように電池発熱量が低いことから安全性が高いことが分かった。一方、本発明に係る非水系電解液でないものを用いた電池(比較例1ないし比較例5)では、充放電特性、高温保存特性が劣っており、比較例6のように電池発熱量も高かった。
本発明の非水系電解液を用いた非水系電解液電池は、高い容量を維持し、安全性等に優れているため、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、バイク、原動機付自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、ストロボ、カメラ等を挙げることができる。

Claims (9)

  1. 電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、該非水系電解液が該非水溶媒全体に対して10〜70体積%の環状スルホン化合物、及び25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物を含有しており、かつ、不飽和結合を有するカーボネート、ハロゲン原子を有するカーボネート、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有していることを特徴とする非水系電解液。
  2. 上記環状スルホン化合物がスルホラン及び/又はスルホラン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
  3. 上記25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物が、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル及び環状エーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水系電解液。
  4. 上記25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物が、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル及び1,2−ジメトキシエタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の非水系電解液。
  5. 上記25℃での粘性率が1.5mPa・s以下である化合物の含有量が、非水系電解液中の該非水溶媒全体に対して30〜90体積%であることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の非水系電解液。
  6. 上記不飽和結合を有するカーボネートが、ビニレンカーボネート又はビニルエチレンカーボネートであることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の非水系電解液。
  7. ハロゲン原子を有するカーボネートが、フッ素化エチレンカーボネート、フッ素化ジメチルカーボネート、フッ素化ジエチルカーボネート及びフッ素化エチルメチルカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の非水系電解液。
  8. 不飽和結合を有するカーボネート、ハロゲン原子を有するカーボネート、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の含有量が、該非水系電解液全体に対して0.001〜8質量%であることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の非水系電解液。
  9. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液電池。
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