JP2008267519A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量・コンパクト化と共に、低コスト化を図りつつ、クリープを防止して耐久性を向上させた車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】車輪を回転自在に支承する車輪用軸受を備えた車輪用軸受装置において、車輪用軸受2が、内周に複列の外側転走面18aが形成された外輪18と、外周に複列の外側転走面18aに対向する内側転走面19aが形成された一対の内輪19と、これらの両転走面間に保持器20を介して転動自在に収容された複列のボール21とを備え、外輪18および内輪19が鋼板から塑性加工によって形成され、これらが熱処理によって所定の表面硬さに設定されると共に、内輪19とシャフト3の軸部11のうち、内輪19の表面硬さが軸部11の表面硬さよりも高く設定され、この内輪19の内周面19bにセレーション23が形成され、圧入によりこのセレーション23を軸部11の嵌合面に食い込ませた。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置、詳しくは、軽量・コンパクト化と共に、低コスト化を図りつつ、クリープを防止して耐久性を向上させた車輪用軸受装置に関するものである。
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を複列の転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が、従動輪用では内輪回転と外方部材回転の両方式が一般的に採用されている。この車輪用軸受装置には、懸架装置を構成するナックルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸受等からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代と称される構造から、外方部材の外周に直接車体取付フランジまたは車輪取付フランジが形成された第2世代構造、また、ハブ輪の外周に一方の内側転走面が直接形成された第3世代構造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が直接形成された第4世代構造とに大別されている。
従来から、内輪および外輪(外方部材)が鋼板からプレス加工によって形成された構造のアンギュラ玉軸受が知られている。例えば、図4に示す複列アンギュラ玉軸受50は、磁気ハードディスク装置等に使用されるものであるが、外輪51および一対の内輪52、53は、ステンレス鋼板からプレス加工またはローリング加工によって形成されている。
外輪51は、内周面の略中間部に径方向内方に突出する環状凸部51aが形成され、この環状凸部51aの両側の内周面に外側転走面51b、51cが形成されている。この外輪51は、外周面がハウジング54の穴に嵌合され、一端部に形成されたフランジ51dがハウジング54の端面に当接されて、軸方向の位置決めが行われている。また、環状凸部51aにより、外輪51の外周面には環状凹部51eが形成され、この環状凹部51eに接着剤が充填されてハウジング54の穴に外輪51が固定されている。
一方、内輪52、53は、外輪51の複列の外側転走面51b、51cの内側に軸方向の両側からそれぞれ嵌合される。これら内輪52、53の軸方向外端外周には湾曲肩部52a、53aが形成され、この湾曲肩部52a、53aに内側転走面52b、53bが形成されている。そして、複列のボール56、56がこれらの内側転走面52b、53bと外輪51の複列の外側転走面51b、51cとの間に配置され、保持器57、57により各列毎に保持されている。
内輪52、53の内周面には、軸部材55に隙間嵌めされる嵌合部52c、53cが形成されている。そして、内輪52、53が軸部材55に軸方向から隙間嵌めされた後、一方の内輪52の湾曲肩部52aに重量が一定の円筒形の重錘58が乗せられ、この重錘58の重量により、内輪52、ボール56、外輪51、ボール56を経由して他方の内輪53が押圧され、湾曲肩部53aが軸部材55の鍔部55aに当接するまで嵌合される。これにより、複列アンギュラ玉軸受50に適正な予圧が設定される。
この隙間嵌めが完了すると、一方の内輪52の湾曲肩部52aと軸部材55との間の隙間に接着剤59が充填され、この接着剤59で一方の内輪52の嵌め外れが防止されると共に、軸部材55の鍔部55aで他方の内輪53の嵌め外れが防止される。
実開平6−1835号公報
然しながら、この種のプレス製の複列アンギュラ玉軸受50を車輪用軸受として使用した場合、外輪51をはじめ、一方の内輪52の湾曲肩部52aと軸部材55との間の隙間に充填される接着剤59によって内輪52の嵌め外れを防止することは難しい。すなわち、車輪用軸受においては、外輪51をはじめ、内輪52や軸部材55に衝撃荷重が負荷されると共に、モーメント荷重が繰り返し負荷されるため、この種の接着剤59では外輪51や内輪52の嵌め外れを長期間に亘って防止することは難しい。増してや、こうしたプレス製の外輪51や内輪52のクリープを防止することは難しい。なお、ここで言うクリープとは、嵌合部のシメシロ不足や精度不良が原因で生じる現象のことを言い、このクリープによって嵌合面が鏡面や曇った面となり、またかじりを伴う場合もある。
このため、例えば、内輪52と軸部材55との接触面積を増やしたり、シメシロを増やす等の方法も考えられるが、接触面積を増やすには、内輪52の嵌合部52cの長さを長くしなければならない。また、シメシロを増やした場合、内輪52の圧入による変形が大きくなり、精度面および耐久性の面で適切とは言えない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、軽量・コンパクト化と共に、低コスト化を図りつつ、クリープを防止して耐久性を向上させた車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有する回転側部材と、車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有する固定側部材と、この固定側部材に対して前記車輪を回転自在に支承する車輪用軸受とを備えた車輪用軸受装置において、前記車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記外輪および内輪の両方またはどちらか一方の部材に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを前記相手部材の嵌合面に食い込ませた。
このように、車輪を回転自在に支承する複列の転がり軸受からなる車輪用軸受を備えた第1世代構造の車輪用軸受装置において、車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、外輪および内輪の両方またはどちらか一方の部材に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを相手部材の嵌合面に食い込ませたので、長期間に亘ってクリープを確実に防止し、耐久性を向上させることができる。
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有する回転側部材と、車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有する固定側部材と、この固定側部材に対して前記車輪を回転自在に支承する車輪用軸受とを備えた車輪用軸受装置において、前記車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記回転側部材および固定側部材の両方またはどちらか一方の部材に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを前記相手部材の嵌合面に食い込ませた。
このように、車輪を回転自在に支承する複列の転がり軸受からなる車輪用軸受を備えた第1世代構造の車輪用軸受装置において、車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、回転側部材および固定側部材の両方またはどちらか一方の部材に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを相手部材の嵌合面に食い込ませたので、長期間に亘ってクリープを確実に防止し、耐久性を向上させることができる。
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有する回転側部材と、車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有する固定側部材と、この固定側部材に対して前記車輪を回転自在に支承する車輪用軸受とを備えた車輪用軸受装置において、前記車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記外輪および内輪のうちどちらか一方に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、かつ、前記回転側部材および固定側部材のうち、相手部材の嵌合面にセレーションが形成されていない部材にセレーションが形成され、圧入によりこれらのセレーションを他方の部材の嵌合面に食い込ませた。
このように、車輪を回転自在に支承する複列の転がり軸受からなる車輪用軸受を備えた第1世代構造の車輪用軸受装置において、車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、外輪および内輪のうちどちらか一方に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、かつ、回転側部材および固定側部材のうち、相手部材の嵌合面にセレーションが形成されていない部材にセレーションが形成され、圧入によりこれらのセレーションを他方の部材の嵌合面に食い込ませたので、長期間に亘ってクリープを確実に防止し、耐久性を向上させることができる。
好ましくは、請求項4に記載の発明のように、前記嵌合部材のうち、表面硬度が高いどちらか一方の嵌合面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを他方の部材の嵌合面に食い込ませれば、効果的にセレーションが相手部材に食い込むことができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記内輪および外輪が熱処理によって所定の表面硬さに設定されていれば、所望の転がり疲労寿命を確保することができる。
好ましくは、請求項6に記載の発明のように、前記外輪および内輪の両方またはどちらか一方が鋼板から塑性加工によって形成されていれば、軽量・コンパクト化を図ると共に、実質的に機械加工なしに製造することができるので生産性が向上すると共に、歩溜まりが良く低コスト化を図ることができる。
また、請求項7に記載の発明のように、前記回転側部材が、円筒状の基部の一端部に前記車輪取付フランジを一体に有し、この車輪取付フランジの外端部から軸方向に延び、内周にシュー面を有する円筒状のブレーキドラムが連設されたハブドラムで構成されると共に、前記固定側部材が、他端部に前記車体取付フランジを一体に有し、この車体取付フランジから肩部を介して軸方向に延びる軸部が突設されたシャフトで構成され、前記ハブドラムの基部と前記シャフトの軸部との間に前記車輪用軸受が嵌合されていても良い。
また、請求項8に記載の発明のように、前記ハブドラムの基部の内周に前記車輪用軸受が嵌合される嵌合部と、この嵌合部の一端部に鍔部が形成され、他端部に止め輪が装着されると共に、前記車輪用軸受の外輪が、前記止め輪と鍔部とで挟持された状態で軸方向に位置決め固定されていても良い。
また、請求項9に記載の発明のように、前記車輪用軸受の内輪が前記シャフトの軸部に圧入されると共に、この軸部の端部にねじ部が形成され、当該内輪が前記シャフトの肩部と固定ナットに挟持された状態で軸方向に位置決め固定され、この固定ナットを所定の締付トルクで緊締することにより、前記車輪用軸受に所定の予圧が付与されていれば、軸受剛性を高め、転がり疲労寿命を向上させることができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有する回転側部材と、車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有する固定側部材と、この固定側部材に対して前記車輪を回転自在に支承する車輪用軸受とを備えた車輪用軸受装置において、前記車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記外輪および内輪の両方またはどちらか一方の部材に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを前記相手部材の嵌合面に食い込ませたので、長期間に亘ってクリープを確実に防止し、耐久性を向上させることができる。
また、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有する回転側部材と、車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有する固定側部材と、この固定側部材に対して前記車輪を回転自在に支承する車輪用軸受とを備えた車輪用軸受装置において、前記車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記回転側部材および固定側部材の両方またはどちらか一方の部材に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを前記相手部材の嵌合面に食い込ませても、長期間に亘ってクリープを確実に防止し、耐久性を向上させることができる。
また、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有する回転側部材と、車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有する固定側部材と、この固定側部材に対して前記車輪を回転自在に支承する車輪用軸受とを備えた車輪用軸受装置において、前記車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記外輪および内輪のうちどちらか一方に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、かつ、前記回転側部材および固定側部材のうち、相手部材の嵌合面にセレーションが形成されていない部材にセレーションが形成され、圧入によりこれらのセレーションを他方の部材の嵌合面に食い込ませても、長期間に亘ってクリープを確実に防止し、耐久性を向上させることができる。
円筒状の基部の一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、この車輪取付フランジの外端部から軸方向に延び、内周にシュー面を有する円筒状のブレーキドラムが連設されたハブドラムと、他端部に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、この車体取付フランジから肩部を介して軸方向に延びる軸部が突設されたシャフトと、このシャフトに対して前記車輪を回転自在に支承する車輪用軸受とを備えた車輪用軸受装置において、前記車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記外輪および内輪が鋼板から塑性加工によって形成され、これらの外輪および内輪が熱処理によって所定の表面硬さに設定されると共に、前記内輪とシャフトの軸部のうち、当該内輪の表面硬さが前記軸部の表面硬さよりも高く設定され、この内輪の内周面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを前記軸部の嵌合面に食い込ませた。
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2(a)は、図1の車輪用軸受を示す縦断面図、(b)は、(a)の側面図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
この車輪用軸受装置は従動輪用であって、ハブドラム1と車輪用軸受2、およびシャフト3を主要な構成としている。ハブドラム1はFC25等のねずみ鋳鉄あるいはFCD45等の球状黒鉛鋳鉄からなり、円筒状の基部4の一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ5を一体に有し、この車輪取付フランジ5の円周等配位置に車輪を固定するハブボルト用のボルト孔6が植設されている。また、車輪取付フランジ5の外端部から軸方向に延びる円筒状のブレーキドラム7が連設され、その内周にシュー面8が形成されている。ハブドラム1の基部4の内周部には車輪用軸受2が嵌合され、シャフト3に対して車輪を回転自在に支承している。
シャフト3は、車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ9を一体に有し、この車体取付フランジ9から肩部10を介して軸方向に延びる軸部11が突設されている。軸部11の端部にはねじ部12が形成されている。
シャフト3はS45C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、肩部10から軸部11に亙って高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、軸部11等に負荷される曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、車輪用軸受2の嵌合部の耐フレッティング性が向上する。
ハブドラム1の基部4の内周には車輪用軸受2が嵌合される嵌合部13と、この嵌合部13のインナー側の端部に鍔部14が形成されると共に、アウター側の端部には止め輪15が装着され、後述する車輪用軸受2の外輪18が、この止め輪15と鍔部14とで挟持された状態で軸方向に位置決め固定されている。一方、車輪用軸受2の内輪19、19は、シャフト3の軸部11に圧入されると共に、シャフト3の肩部10と固定ナット16に挟持された状態で軸方向に位置決め固定されている。ここで、固定ナット16を所定の締付トルクで緊締することにより、所定の軸受予圧が付与されている。
ハブドラム1のアウター側の端部開口部にはエンドキャップ17が装着され、外部から車輪用軸受2に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。このエンドキャップ17は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にてカップ状に形成されている。
また、エンドキャップ17は、ハブドラム1に圧入される円筒部17aが車輪取付フランジ5の側面からさらにアウター側に突出して形成されて車輪を支持するパイロット部を構成している。これにより、ハブドラム1の形状が簡素化でき、鍛造あるいは鋳造および旋削加工等の加工工数を削減して低コスト化を図ることができる。
本実施形態では、車輪用軸受2は、内周に複列の外側転走面18a、18aが形成された外輪18と、外周にこれら複列の外側転走面18a、18aに対向する内側転走面19aがそれぞれ形成された一対の内輪19、19と、これら内輪19と外輪18の両転走面間に保持器20、20を介して転動自在に収容された複列の転動体(ボール)21、21と、外輪18と内輪19との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシール22、22とを備えている。そして、内輪19、19の小径(正面)側の端面が突合せ状態で衝合し、所謂背面合せタイプの複列のアンギュラ玉軸受を構成している。
外輪18および内輪19は、炭素量が比較的少ないSCr420やSCM415等の浸炭鋼からなる鋼板をプレス加工あるいはローリング加工(以下、塑性加工と言う)によって形成されている。そして、浸炭焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理されている。外輪18および内輪19の材質としてこれ以外にも、SCM440や冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)やS53C等の炭素鋼やSUJ2等の軸受鋼を例示することができる。冷間圧延鋼鈑や炭素鋼の場合、少なくとも外輪18においては複列の外側転走面18a、18a、内輪19においては内側転走面19aが高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理が施され、転がり疲労寿命を向上させている。また、軸受鋼の場合、少なくとも外輪18においては複列の外側転走面18a、18a、内輪19においては内側転走面19aが高周波焼入れまたはズブ焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理が施され、転がり疲労寿命を向上させている。なお、これらの転走面は、必要に応じて研削、超仕上げ加工が施される。
転動体21はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜67HRCの範囲に硬化処理されている。また、保持器20は、PA(ポリアミド)66等の熱可塑性樹脂をベースにGF(グラスファイバー)等の強化材が添加され、射出成形によって形成されている。この保持器20は、その一端部に、凹球面に形成されたポケットと、周方向に一定間隔で対向する2つ一組の保持爪が設けられた、所謂スナップオンタイプで構成されている。
シール22は、外輪18の端部内周に圧入される断面略コの字状の芯金22aと、この芯金22aに加硫接着により一体に接合されたシール部材22bとからなる。シール部材22bはニトリルゴム等からなるエラストマーからなる。このシール部材22bは一対のラジアルリップを備え、これらラジアルリップが内輪19に摺接されている。そして、軸受内部に封入されたグリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等の異物が軸受内部に侵入するのを防止している。
ここで、本実施形態では、図2に示すように、一対の内輪19、19の内周面19b、19bにセレーション(またはスプライン)23、23が形成されている。そして、一対の内輪19、19がシャフト3の軸部11に圧入されることにより、これらのセレーション23、23が軸部11に食い込み、長期間に亘ってクリープを確実に防止することができ、耐久性を向上させることができる。このセレーション23の凸部は、良好な食い込み性を確保するために、その先端部が三角形状等の尖塔形状に形成されている。なお、内輪19の表面硬さはシャフト3の軸部11の表面硬さよりも高く設定されている。換言すれば、内輪19および軸部11のうち表面硬さが高く設定された一方の部材の嵌合面に形成され、効果的にセレーション23が相手部材(軸部11)に食い込むことができる。
また、本実施形態では、外輪18および内輪19が塑性加工で形成され、実質的に機械加工なしに製造されているので生産性が向上すると共に、歩溜まりが良く低コスト化ができる。なお、ここでは、車輪用軸受2として転動体21にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受を例示したが、これに限らず転動体に円すいころを使用した複列円すいころ軸受であっても良い。
図3(a)は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示すシャフトの要部拡大図、(b)は、(a)のIII−III線に沿った横断面である。なお、前述した第1の実施形態と同一部品同一部位あるいは同一機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
シャフト24は、車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ9を一体に有し、この車体取付フランジ9から肩部10を介して軸方向に延びる軸部25が突設されている。軸部25の端部にはねじ部12が形成されている。このシャフト24はS45C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、肩部10から軸部25に亙って高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
ここで、軸部25の外周面にはセレーション(またはスプライン)26が形成されている。このセレーション26の凸部は、良好な食い込み性を確保するために、前述した実施形態と同様、その先端部が三角形状等の尖塔形状に形成されている。そして、一対の内輪(図示せず)がシャフト24の軸部25に圧入されることにより、このセレーション26が内輪に食い込み、長期間に亘ってクリープを確実に防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、内輪回転あるいは外輪回転に拘わらず、車輪を回転自在に支承し、外輪および内輪がプレス製の車輪用軸受を備えた第1世代構造の車輪用軸受装置に適用できる。無論、外輪および内輪がプレス製でない場合でも適用でき、また、第2世代構造の車輪用軸受装置にも適用できる。
本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 (a)は、図1の車輪用軸受を示す縦断面図である。 (b)は、(a)の側面図である。 (a)は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示すシャフトの要部拡大図である。 (b)は、(a)のIII−III線に沿った横断面である。 従来のプレス製の複列アンギュラ玉軸受を示す縦断面図である。
符号の説明
1・・・・・・・・・・・・・・ハブドラム
2・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
3、24・・・・・・・・・・・シャフト
4・・・・・・・・・・・・・・基部
5・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
6・・・・・・・・・・・・・・ボルト孔
7・・・・・・・・・・・・・・ブレーキドラム
8・・・・・・・・・・・・・・シュー面
9・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
10・・・・・・・・・・・・・肩部
11、25・・・・・・・・・・軸部
12・・・・・・・・・・・・・ねじ部
13・・・・・・・・・・・・・嵌合部
14・・・・・・・・・・・・・鍔部
15・・・・・・・・・・・・・止め輪
16・・・・・・・・・・・・・固定ナット
17・・・・・・・・・・・・・エンドキャップ
17a・・・・・・・・・・・・円筒部
18・・・・・・・・・・・・・外輪
18a・・・・・・・・・・・・外側転走面
19・・・・・・・・・・・・・内輪
19a・・・・・・・・・・・・内側転走面
19b・・・・・・・・・・・・内周面
20・・・・・・・・・・・・・保持器
21・・・・・・・・・・・・・転動体
22・・・・・・・・・・・・・シール
22a・・・・・・・・・・・・芯金
22b・・・・・・・・・・・・シール部材
23、26・・・・・・・・・・セレーション
50・・・・・・・・・・・・・複列アンギュラ玉軸受
51・・・・・・・・・・・・・外輪
51a・・・・・・・・・・・・環状凸部
51b、51c・・・・・・・・複列の外側転走面
51d・・・・・・・・・・・・フランジ
51e・・・・・・・・・・・・環状凹部
52、53・・・・・・・・・・内輪
52a、53a・・・・・・・・湾曲肩部
52b、53b・・・・・・・・内側転走面
52c、53c・・・・・・・・嵌合部
54・・・・・・・・・・・・・ハウジング
55・・・・・・・・・・・・・軸部材
55a・・・・・・・・・・・・鍔部
56・・・・・・・・・・・・・ボール
57・・・・・・・・・・・・・保持器
58・・・・・・・・・・・・・重錘
59・・・・・・・・・・・・・接着剤

Claims (9)

  1. 一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有する回転側部材と、
    車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有する固定側部材と、
    この固定側部材に対して前記車輪を回転自在に支承する車輪用軸受とを備えた車輪用軸受装置において、
    前記車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記外輪および内輪の両方またはどちらか一方の部材に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを前記相手部材の嵌合面に食い込ませたことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有する回転側部材と、
    車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有する固定側部材と、
    この固定側部材に対して前記車輪を回転自在に支承する車輪用軸受とを備えた車輪用軸受装置において、
    前記車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記回転側部材および固定側部材の両方またはどちらか一方の部材に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを前記相手部材の嵌合面に食い込ませたことを特徴とする車輪用軸受装置。
  3. 一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有する回転側部材と、
    車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有する固定側部材と、
    この固定側部材に対して前記車輪を回転自在に支承する車輪用軸受とを備えた車輪用軸受装置において、
    前記車輪用軸受が、内周に複列の外側転走面が形成された外輪と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外輪の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記外輪および内輪のうちどちらか一方に、相手部材との嵌合面にセレーションが形成され、かつ、前記回転側部材および固定側部材のうち、相手部材の嵌合面にセレーションが形成されていない部材にセレーションが形成され、圧入によりこれらのセレーションを他方の部材の嵌合面に食い込ませたことを特徴とする車輪用軸受装置。
  4. 前記嵌合部材のうち、表面硬度が高いどちらか一方の嵌合面にセレーションが形成され、圧入によりこのセレーションを他方の部材の嵌合面に食い込ませた請求項1乃至3いずれかに記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記内輪および外輪が熱処理によって所定の表面硬さに設定されている請求項1〜4記載の車輪用軸受装置。
  6. 前記外輪および内輪の両方またはどちらか一方が鋼板から塑性加工によって形成されている請求項1乃至5いずれかに記載の車輪用軸受装置。
  7. 前記回転側部材が、円筒状の基部の一端部に前記車輪取付フランジを一体に有し、この車輪取付フランジの外端部から軸方向に延び、内周にシュー面を有する円筒状のブレーキドラムが連設されたハブドラムで構成されると共に、前記固定側部材が、他端部に前記車体取付フランジを一体に有し、この車体取付フランジから肩部を介して軸方向に延びる軸部が突設されたシャフトで構成され、前記ハブドラムの基部と前記シャフトの軸部との間に前記車輪用軸受が嵌合されている請求項1乃至6いずれかに記載の車輪用軸受装置。
  8. 前記ハブドラムの基部の内周に前記車輪用軸受が嵌合される嵌合部と、この嵌合部の一端部に鍔部が形成され、他端部に止め輪が装着されると共に、前記車輪用軸受の外輪が、前記止め輪と鍔部とで挟持された状態で軸方向に位置決め固定されている請求項7に記載の車輪用軸受装置。
  9. 前記車輪用軸受の内輪が前記シャフトの軸部に圧入されると共に、この軸部の端部にねじ部が形成され、当該内輪が前記シャフトの肩部と固定ナットに挟持された状態で軸方向に位置決め固定され、この固定ナットを所定の締付トルクで緊締することにより、前記車輪用軸受に所定の予圧が付与されている請求項7または8に記載の車輪用軸受装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102009045703A1 (de) 2008-10-16 2010-05-06 Gigaphoton Inc., Oyama-shi Laservorrichtung und Extrem-Violett-Lichtquellenvorrichtung
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DE102018107875A1 (de) * 2018-04-04 2019-10-10 Schaeffler Technologies AG & Co. KG Tandem-Schrägkugellager
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