JP2008266584A - 光触媒含有マスターバッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 光触媒機能を保持しながら、光触媒と接触する熱可塑性樹脂の分解や劣化を抑制した、光触媒含有樹脂組成物からなる光触媒含有成形体の製造に使用される、光触媒含有マスターバッチを提供することにある。
【解決手段】光触媒と熱可塑性樹脂からなる光触媒含有マスターバッチであって、前記光触媒は、光触媒活性を有する基体と、該基体を被覆する、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜と、を備え、前記光触媒のアルカリ金属含有量が1ppm以上1000ppm以下であり、前記光触媒の含有率が、光触媒含有マスターバッチの重量基準で3重量%以上30重量%以下である、ことを特徴とする光触媒含有マスターバッチ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光触媒と熱可塑性樹脂からなる光触媒含有マスターバッチに関するものである。
チタニア、酸化亜鉛などの金属酸化物半導体は、そのバンド幅に相当するエネルギーを有する光を吸収する性質を示す。近年になって、光照射によって励起して発生する正孔と電子による高い反応性が着目され、前記金属酸化物半導体を「光触媒」として、水質浄化、防汚、抗菌、脱臭、大気浄化などの環境浄化へ応用することが試みられている。ここで、水質浄化、大気浄化、あるいは脱臭という機能は、汚染物質や臭気物質を光触媒の酸化還元作用で分解する効果であり、具体的にはVOC、環境ホルモン類、窒素酸化物、アンモニア、アミン類、アルデヒド類、低級脂肪酸、硫化水素、メルカプタン類、などの分解に応用が進められている。防汚という機能は、油等の有機物を二酸化炭素と水にまで分解して汚れを消す効果を利用したものである。抗菌という機能は、光触媒の分解作用で細菌等を死滅あるいは休眠させることで、繁殖を抑制する効果である。
また、分解作用のみならず、光照射によって水に対する親和性が著しく向上することも知られており、セルフクリーニング材料や防曇材料としての応用も提案されている。このように光触媒は、光を吸収することで種々の優れた機能を示すので、各種部材に光触媒を含有させた複合材の応用展開が進められている。
光触媒を熱可塑性樹脂に混合、溶融混錬して複合材とする分野においては、光触媒の機能を示すことと、光触媒による熱可塑性樹脂の分解劣化が抑制されていること、の2点を満足する必要がある。更に、熱可塑性樹脂に直接光触媒の粉末を混練するよりも、光触媒を高濃度に分散させたマスターバッチを用いる方が、取り扱いが簡便であること、作業環境の保全に優れること、等の利点がある。そのため、前記2点を満足する複合材を製造するための光触媒含有マスターバッチが要望されている。
従来は、二酸化チタンのみからなる光触媒が用いられてきたが、(あ)光触媒が熱可塑性樹脂に埋没するために光触媒活性が十分でない、(い)光触媒が熱可塑性樹脂を分解して劣化や変色を起こしやすい、等の問題点があった。
こうした問題に対し、既に改良方法が提案されている。例えば、酸化チタン基材の表面にケイ素・チタン複合酸化物を含む膜厚4〜500オングストロームのシリカ系皮膜を担持してなる光半導体(特許文献1を参照)、チタニア粒子の表面に光触媒として不活性なセラミックス膜をコートしたことを特徴とする光触媒粒子(特許文献2を参照)、光反応性半導体及び無機粒子から構成され、少なくとも光反応性半導体を芯物質として該芯物質表面を無機粒子で被覆してなる光反応性カプセル(特許文献3を参照)、酸化チタンなどの光触媒粒子の表面に白金などの貴金属を担持した光触媒(特許文献4を参照)、酸化チタン粒子よりなるコアと、該コアを取り巻くシリカ水和物の被覆層を有す光触媒(特許文献5を参照)、等がある。
しかしながら、これらは、活性が十分でない事、熱可塑性樹脂を劣化させる事、あるいは溶融混練する際に分散不良や成形不良の原因となる水分が発生する等の、いずれかの点が問題となるため、いずれも、マスターバッチとしての提供は困難なものであった。
特開昭62−260717号公報 特許2945926号公報 特開平08−322923号公報 特開2003−251196号公報 特開2002−159865号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光触媒機能を保持しながら、光触媒と接触する熱可塑性樹脂の分解や劣化を抑制した、光触媒含有樹脂組成物からなる光触媒含有成形体の製造に使用される、光触媒含有マスターバッチを提供することにある。
本発明者らは、鋭意努力の末、「光触媒活性を有する基体と、該基体を被覆する、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜と、を備え、アルカリ金属含有量が1ppm以上1000ppm以下である光触媒」を熱可塑性樹脂に混合、溶融混錬した場合に、既存の光触媒を使用した場合に比較し、樹脂の変色、及び劣化を抑制可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(1)
光触媒と熱可塑性樹脂からなる光触媒含有マスターバッチであって、
前記光触媒は、
光触媒活性を有する基体と、
該基体を被覆する、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜と、を備え、
前記光触媒のアルカリ金属含有量が1ppm以上1000ppm以下であり、
前記光触媒の含有率が、光触媒含有マスターバッチの重量基準で3重量%以上30重量%以下である、ことを特徴とする光触媒含有マスターバッチ、
(2)
前記(1)に記載の光触媒含有マスターバッチと、前記光触媒を含有しない熱可塑性樹脂とを、混合し、溶融混錬した後、成形することを特徴とする光触媒含有樹脂成形体と、前記光触媒含有樹脂成形体の製造方法、
(3)
前記(2)に記載の光触媒含有成形体が、繊維、糸、フィルムから選ばれた成形体である光触媒含有成形体
である。
本発明によれば、熱可塑性樹脂に光触媒を含有することに基づく、熱可塑性樹脂の変色、及び物性劣化を抑制することが可能となり、光触媒含有マスターバッチを供することが可能となる。
本発明の光触媒含有マスターバッチは、光触媒と熱可塑性樹脂からなるものである。この光触媒は、光触媒活性を有する基体と、該基体を被覆する、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜と、を備え、且つアルカリ金属含有量が、1ppm以上1000ppm以下である光触媒(以下、適宜「酸化珪素被覆光触媒」と略記する)であり、本発明の特徴をなしている。光触媒含有マスターバッチ中に含まれる光触媒の濃度は3重量%以上、30重量%以下が好ましく、5重量%以上、30重量%以下がより好ましい。光触媒含有マスターバッチ中に含まれる光触媒の濃度が3重量未満であると、生産性の観点から好ましくない。一方、30重量%よりも高濃度であると、熱可塑性樹脂の分解、硬化等により、樹脂物性の低下を招くこととなり、好ましくない。
本発明における光触媒含有マスターバッチの形状は、粉末状、粒状、塊状、ストランド状、ペレット状等、種々の形状の何れであっても構わないが、取り扱い時の利便性からペレット状の形態が望ましい。光触媒は、熱可塑性樹脂全体に分散状態で含有する形態、あるいは熱可塑性樹脂の表面近傍に偏在して含有する形態のいずれであっても良い。
本発明の光触媒含有マスターバッチを構成する熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、例えば次のようなものが挙げられる。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル樹脂、ポリアクリル酸メチル等のポリアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエステルエ−テル、ポリビニルアルコール−ポリ塩化ビニル共重合、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリメチルペンテン、無水マレイン酸−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフテレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アイオノマー、アミノポリアクリルアミド、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー、ABS、ACS、AES、AS、ASA,MBS、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフトポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、カルボキシビニルポリマー、ケトン樹脂、非晶性コポリエステル、ノルボルネン樹脂、フッ素プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンポリプロピレン、PFA、ポリクロロフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリアリレート、熱可塑性ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリサルホン、ポリパラメチルスチレン、ポリアリルアミン、ポリビニルエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルペンテン、オリゴエステルアクリレート、キシレン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ポリグルタミン酸、ポリカプロラクトン
などが任意に利用可能である。
本発明の光触媒含有マスターバッチの製造は、前記酸化珪素被覆光触媒と熱可塑性樹脂とを、任意の割合にて混合した後、溶融混練、続いて任意の形状に処理することにより、製造可能である。一般に無機顔料を熱可塑性樹脂に含有させる公知の方法であれば特に限定されず、種々の方法をとることができる。例えば、次の手順によりペレット状の光触媒含有マスターバッチを製造することができる。
(1)ミル等の混合機中で熱可塑性樹脂を50℃以上400℃以下の温度をかけて一旦溶融させる。
(2)これに光触媒の粉末を添加し分散させ、混練する。
(3)(2)で生成した光触媒を含有する溶融状態の熱可塑性樹脂を、ストランドに成形した後カッティングする。
本発明における酸化珪素被覆光触媒とは、光触媒機能を有する基体の表面を酸化珪素からなる膜で被覆したものを意味する。したがって、酸化珪素の存在下で後から光触媒を形成して製造される、酸化珪素に光触媒を固定化したものや、酸化珪素と光触媒を同一容器中で並行して形成させた複合体は、含まれない。
酸化珪素膜が基体を被覆する態様は特に制限されず、基体の一部を被覆する態様、全部を被覆する態様のいずれを含むが、有機材が劣化しにくい点からは、基体の表面が酸化珪素からなる膜で一様に被覆されていることが好ましい。ここで、酸化珪素膜とは、未焼成の膜および焼成後の膜の両方を含む。本発明においては焼成後の酸化珪素の焼成膜が好ましい。
光触媒活性を有する基体(以下、適宜「基体」と略記する。)としては、金属化合物光半導体を用いることができる。金属化合物光半導体としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステンおよびチタン酸ストロンチウムなどがあり、このうち、光触媒活性に優れており、無害かつ安定性にも優れる酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしては、例えば、非晶質、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等が挙げられる。このうち、光触媒活性に優れているアナターゼ型あるいはルチル型、または、これらの混合物がより好ましく、これらに非晶質が少量含まれていてもかまわない。
基体として、金属化合物光半導体に1種以上の遷移金属を添加したもの、金属化合物光半導体に14族、15族、および/または16族の典型元素を1種以上添加したもの、2種以上の金属化合物からなる光半導体、2種以上の金属化合物光半導体の混合物も使用できる。
さらに、基体としては、金属化合物光半導体の粒子を用いることが好ましい。また、基体の比表面積は、30m2/g以上が好ましく、より好ましくは120m2/g以上400m2/g以下であり、最も好ましくは120m2/g以上300m2/g以下の金属化合物光半導体を含有するものが好ましい。基体の比表面積が上記範囲内にある場合、良好な触媒活性が維持され得る。
なお、基体が粒子として明確に認識できる場合、基体の比表面積は、一般的なBET法により算出することができる。そうでない場合、基体の比表面積は、X線回折分析とシェラー式による算出、あるいは電子顕微鏡を用いた一次粒子の観察から求まる一次粒子径を元にして、球形換算で「表面積」を算出し、かつ、X線や電子線の回折分析から結晶相を把握してその結晶相の真密度と前記球形換算から求まる体積とから「重量」を算出することによって、比表面積を求めることが可能である。
基体が粒子である場合、その一次粒子径は1nm以上50nm以下が好ましく、2nm以上30nm以下がより好ましい。基体の一次粒子径がこの範囲内にある場合、良好な触媒活性が維持され得る。
本発明において、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられる。基体は、これらのアルカリ金属を1種含んでいてもよく、または2種以上含んでいても良い。このうち、ナトリウムおよび/またはカリウムが好ましく、ナトリウムがより好ましい。
光触媒中のアルカリ金属含有量は、原子吸光光度計(AA)、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)、蛍光X線分析装置(XRF)等を用いて定量可能である。酸化珪素被覆光触媒中のアルカリ金属含有量は1ppm以上が好ましく、10ppm以上がより好ましい。1ppm以上であれば、光分解活性の向上効果が得られ、10ppm以上であれば、この光分解活性の向上効果が顕著となる。アルカリ金属を所定量含有することにより光分解活性が向上する理由については必ずしも明らかではないが、分解目的物の吸着率が向上することによるものと考えられる。一方、アルカリ金属含有量の上限については、1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、200ppm以下がさらに好ましい。1000ppm以下とすることにより、酸化珪素膜の溶出を抑制できる。また、500ppm以下とすることで、800℃をこえる温度領域における焼成処理での光触媒の焼結の発生を抑制でき、200ppm以下とすることで光触媒の焼結をさらに進行しにくくできる。
また、酸化珪素膜に含まれるアルカリ金属含有量は1ppm以上500ppm以下が好ましく、1ppm以上200ppm以下がより好ましい。
「実質的に細孔を有さない」とは、酸化珪素膜で被覆された光触媒を製造した際に原料として使用する光触媒活性を有する基体と、この光触媒活性を有する基体を用いて調製した酸化珪素膜で被覆された光触媒とについて、20オングストローム以上500オングストローム以下の領域で細孔径分布を比較した場合に、酸化珪素膜に細孔が実質的に存在しないことを意味する。
具体的には、光触媒活性を有する基体、並びに、酸化珪素膜で被覆された光触媒の細孔径分布を、窒素吸着法等の細孔分布測定によって把握し、これらを比較することによって酸化珪素膜に細孔が実質的に存在しないか否かを判定できる。
窒素吸着法での把握方法をより具体的に述べると、以下の(1)〜(4)の手法によって酸化珪素膜の細孔の有無を判定することができる。ここでは、基体として、光触媒粒子を用いる例を挙げて説明する。
(1)光触媒粒子を、200℃で乾燥した後、脱着過程でのN2吸着等温線を測定する。
(2)酸化珪素膜で被覆された光触媒の脱着過程でのN2吸着等温線を測定する。
(3)BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法で、前記二つのN2吸着等温線を解析して、20オングストローム以上500オングストローム以下の領域のlog微分細孔容積分布曲線を求める。
(4)二つのlog微分細孔容積分布曲線を比較し、酸化珪素膜で被覆された光触媒のlog微分細孔容積が、光触媒粒子のlog微分細孔容積よりも0.1ml/g以上大きい領域が存在しない場合には、酸化珪素膜に細孔が実質的にないと判定し、0.1ml/g以上大きい領域が存在する場合には、酸化珪素膜に細孔が有ると判定する。なお、0.1ml/g以上とするのは、窒素吸着法による細孔分布測定では、log微分細孔容積値で約0.1ml/g幅の測定誤差が生じることが多いためである。
20オングストローム以上500オングストローム以下の範囲で2つのlog微分細孔容積分布曲線を比較すれば、酸化珪素膜の細孔の有無を実質的に判定することができる。
なお、二つのlog微分細孔容積分布曲線を比較し、10オングストローム以上1000オングストロームの領域で酸化珪素膜で被覆された光触媒のlog微分細孔容積が、光触媒粒子のlog微分細孔容積よりも0.1ml/g以上大きい領域が存在しないことがより好ましい。
ここで、酸化珪素膜に細孔が存在する場合、光分解活性が向上し難い。この理由は必ずしも明らかではないが、細孔の存在によって酸化珪素膜での光の散乱や反射が起こりやすくなり、光触媒活性を有する基体に到達する紫外線の光量が減少し、光触媒励起による正孔と電子の生成量が減少することによるものと推察される。また、同じ酸化珪素量で被覆した場合、細孔有りのものは、細孔無しのものに比べ、細孔の容積の分だけ酸化珪素膜の厚さが増す結果、光触媒活性を有する基体と分解対象物である有機物との物理的距離が大きくなるため、充分な光分解活性が得られないものと推察される。
本発明に係る酸化珪素被覆光触媒の表面積1m2当りの珪素担持量は、酸化珪素被覆光触媒が含有する珪素量と、酸化珪素被覆光触媒の表面積から算出される計算値である。酸化珪素被覆光触媒の表面積1m2当りの珪素担持量は、その表面積1m2当りの珪素担持量が0.10mg以上、2.0mg以下であり、好ましくは0.12mg以上、1.5mg以下、より好ましくは0.16mg以上、1.25mg以下、さらに好ましくは0.18mg以上、1.25mg以下である。0.10mg未満では、酸化珪素膜による光触媒活性向上効果が小さい。一方、2.0mgを超えると、酸化珪素被覆光触媒に占める基体の割合が低下しすぎるので、光触媒機能がほとんど向上しない。珪素担持量を上記範囲とすることで、酸化珪素膜による光触媒活性向上効果が顕著になる。
基体および酸化珪素被覆光触媒の表面積は、露点−195.8℃以下の乾燥ガス気流下、150℃で15分加熱処理した後に、窒素吸脱着によるBET法比表面積測定装置を用いて測定することができる。
本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法は、水系媒体中に存在させた基体に珪酸塩を用いて酸化珪素膜を被覆する際、基体と珪酸塩の両方を含む混合液のpHを5以下に維持することを特徴とする。
上記製造方法において、水系媒体としては、水、あるいは水を主成分とし、脂肪族アルコール類、脂肪族エーテル類等のうち、水に溶解可能な有機溶媒を含む混合液が挙げられる。水系媒体を具体的に例示するとすれば、水、並びに、水とメチルアルコール、水とエチルアルコール、水とイソプロパノール等の混合液が挙げられる。これらの中では水が好ましい。また、水およびこれらの混合液は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。更に、水系媒体には、光触媒の分散性あるいは溶解性を向上させるために、脂肪族アルコール類、脂肪族エーテル類等のうち、水に溶解可能な有機溶媒、並びに脂肪族アミン類、脂肪族ポリエーテル類およびゼラチン類等の界面活性剤を混ぜることもできる。
珪酸塩としては、珪酸および/またはそのオリゴマーの塩を用い、2種以上を混合して用いても良い。ナトリウム塩およびカリウム塩は、工業的に入手容易である点から好ましく、溶解工程を省略できるので珪酸ナトリウム水溶液(JIS K1408“水ガラス”)がさらに好ましい。
水系媒体中に存在させた基体に珪酸塩を用いて酸化珪素膜を被覆する際には、水系媒体、基体、および珪酸塩を混合し、続けてこの混合液を熟成する。
具体的に示すと、
(i)基体を含む水系媒体と珪酸塩、
(ii)珪酸塩を含む水系媒体と基体、および
(iii)基体を含む水系媒体と珪酸塩を含む水系媒体、
の少なくともいずれか一組を混合する工程、並びにこの混合液を熟成する工程からなる被覆方法である。熟成する工程では、基体に対する酸化珪素膜の被覆が徐々に進むこととなる。
この際、基体および珪酸塩の両方を含む水系媒体のpHを5以下に維持することが必要であり、pH4以下の酸性領域とすることがより好ましい。基体の非存在下でpH5以下を維持した場合、珪酸、珪酸イオンおよび/またはこれらのオリゴマーから、珪酸化合物の縮合物が単独では析出しにくい。一方、基体の存在下でpH5以下を維持した場合、基体の表面が珪酸化合物の縮合触媒として作用し、酸化珪素膜が基体の表面にのみ速やかに生成される。すなわち、pHが5以下の酸性領域は、珪酸化合物を含む溶液を安定に存在させることができ、かつ、基体の表面に酸化珪素を膜状に形成可能な領域である。
pH11以上の塩基性領域においても、pH5以下の酸性領域と同様に珪酸、珪酸イオンおよび/またはこれらのオリゴマーを含む液を熟成した際に、珪酸化合物の縮合物は析出しにくい。また、用いた珪酸塩のうちの一部しか酸化珪素膜を形成しないので、好ましくない。また、pH6〜11の領域は、珪酸化合物の縮合物、すなわち、酸化珪素微粒子および/またはゲル等が生じやすいため、酸化珪素膜が多孔質となったり、基体の表面上で局所的に酸化珪素が形成されるので好ましくない。
水系媒体中にアルコール等の有機媒体が存在する場合には、水用のpH電極ではpHを正確に測定できないので、有機媒体を含む水溶液用のpH電極を用いて測定する。別途、有機媒体を同体積の水で置き換えてpHを測定することも可能である。
基体と珪酸塩の両方を含む混合液を、pH5以下に維持する方法としては、基体、珪酸塩、水系溶媒の混合および熟成を行う際、水系媒体のpHを常時測定し、適宜、酸および塩基を加えて調整する方法でも構わない。しかし、製造に用いる珪酸塩に含まれる塩基成分の総量を中和した上でpH5以下となるように十分な量の酸を予め水系媒体中に存在させた後、徐々に塩基を添加して所望のpHに調整することが簡便である。
酸は、どのような酸でも使用可能であるが、塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸が好適に用いられる。酸は、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いても良い。この中で塩酸、硝酸が好ましい。硫酸を使用する場合、光触媒中の硫黄含有量が多く残存すると、光触媒の吸着効率が経時劣化することがある。光触媒中の硫黄含有量は、光触媒の全重量を基準として、0.5重量%以下が好ましく、0.4重量%以下がより好ましい。
塩基は、前述した方法の様にpHを調整する場合に用いられる。塩基を用いる場合は、どのような塩基でも使用可能である。なかでも、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物が好適に用いられる。
混合溶液を熟成し、基体に対して酸化珪素膜を被覆する際の反応温度および反応時間等の反応条件は、目的とする酸化珪素被覆光触媒の生成に悪影響を与えない条件であれば特に限定されない。反応温度は10℃以上200℃以下であることが好ましく、20℃以上80℃以下であることがより好ましい。
10℃未満であると、珪酸化合物の縮合が進行し難くなることにより、酸化珪素膜の生成が著しく遅延し、酸化珪素被覆光触媒の生産性の悪化を招くことがある。
200℃より高温であると、珪酸化合物の縮合物、すなわち、酸化珪素微粒子および/またはゲル等が生じやすいため、酸化珪素膜が多孔質となったり、基体表面上で局所的に酸化珪素が形成されてしまうことがある。
熟成時間は、10分以上、500時間以下であることが好ましく、1時間以上、100時間以下であることがより好ましい。10分未満であると、酸化珪素膜による被覆が充分に進行せず、被膜による光分解活性の向上効果が充分に得られない場合がある。500時間より長時間であると、光触媒機能を有する基体は、酸化珪素膜により充分に被覆され、光分解機能も向上するが、酸化珪素被覆光触媒の生産性が悪化することがある。
また、混合液中に含まれる光触媒活性を有する基体の濃度は1重量%以上50重量%以下であることが好ましく、5重量%以上30重量%以下であることがより好ましい。1重量%未満であると、酸化珪素被覆光触媒の生産性が悪くなり、50重量%より高濃度であると基体に対する酸化珪素膜の被覆が均一に進行せず、光分解活性の向上効果が充分に得られないことがある。混合液中に含まれる珪素の濃度は0.05重量%以上5重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上3重量%以下であることがより好ましい。珪素濃度が0.05重量%未満であると、珪酸化合物の縮合が遅延し、基体に対する酸化珪素膜の被覆が充分でなくなることがある。珪素濃度が5重量%より高濃度であると、基体に対する酸化珪素膜の被覆が均一に進行しないことがある。
本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法において、光触媒活性を有する基体および珪酸塩の使用量の比率は、前記基体の表面積1m2当りの珪素原子として、0.01mg/m2以上、0.50mg/m2以下であることが好ましい。この範囲の比率で製造すれば、前記基体の表面に酸化珪素膜を形成する工程、すなわち、前記基体を含む水系媒体と珪酸塩、珪酸塩を含む水系媒体と前記基体、および前記基体を含む水系媒体と珪酸塩を含む水系媒体、の少なくともいずれか一組を混合し熟成する工程において、基体の表面に所望の酸化珪素膜を形成できると共に、基体の表面で縮合せずに未反応で残った、珪酸、珪酸イオン、および/またはこれらのオリゴマーの量を少なく抑えられるので、細孔を有する酸化珪素膜が形成されることが少ない。0.50mg/m2以上、5.0mg/m2以下の範囲では、比率が大きくなるほど、未反応物の量が増え、細孔を有する酸化珪素膜が形成されることがあるが、未反応物の縮合が進行して細孔が生じることに対して、処理時間を短くすることで回避することが可能である。
本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法をより具体的に示す。例えば、
(工程a)基体を含む水系媒体と珪酸塩、珪酸塩を含む水系媒体と基体、および基体を含む水系媒体と珪酸塩を含む水系媒体、の少なくともいずれか一組を混合する工程、
(工程b)工程aで得られた混合液を熟成し、前記基体に対して酸化珪素膜を被覆する工程、
(工程c)工程bで得られた混合液を中和せずに、酸化珪素被覆光触媒を水系媒体から分離および洗浄する工程、
(工程d)酸化珪素被覆光触媒を乾燥および/または焼成する工程、
からなり、かつ、工程a並びに工程bにおいて、前記基体および珪酸塩の両方を含む水系媒体のpHを5以下に維持する製造方法が挙げられる。
水系媒体から酸化珪素被覆光触媒を分離する際に、中和すると、洗浄工程でのアルカリ金属分の低減効率が悪くなる点、並びに水系媒体中に溶解したまま残った珪素化合物が縮合、ゲル化して多孔質シリカ膜が形成される点が問題となる。予め珪酸塩溶液を脱アルカリし、この脱アルカリした液を調製して製造に用いること、並びに光触媒機能を有する基体および珪酸塩の使用量の比率を小さくすること、によって上記の問題を回避あるいは極小化することも可能である。しかしながら、中和せずに酸化珪素被覆光触媒を水系媒体から分離すると、上記問題を回避でき、かつ製法が簡便なので好ましい。
酸化珪素被覆光触媒の混合液からの分離方法は特に限定されないが、例えば、自然濾過法、減圧濾過法、加圧濾過法、遠心分離法などの公知の方法が好適に利用できる。
酸化珪素被覆光触媒の洗浄方法は特に限定されないが、例えば、純水への再分散化とろ過の繰り返し、イオン交換処理による脱塩洗浄、などが好適に利用できる。また、酸化珪素被覆光触媒の用途によっては、洗浄工程を省略することも可能である。
酸化珪素被覆光触媒の乾燥方法は特に限定されないが、例えば、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥、噴霧乾燥、などが好適に利用できる。また、酸化珪素被覆光触媒の用途によっては、乾燥工程を省略することも可能である。
酸化珪素被覆光触媒の焼成方法は特に限定されないが、例えば、減圧焼成、空気焼成、窒素焼成等が好適に利用できる。通常、焼成は200℃以上1200℃以下の温度で実施できるが、400℃以上1000℃以下が好ましく、400℃以上800℃以下がより好ましい。焼成温度が200℃未満であると、基体表面上に所望の酸化珪素の焼成膜が生成せず、不安定な構造となってしまう。さらに、多量の水が酸化珪素周辺に存在することにより、ガスに対する吸着性能が充分に発揮されず、同時に充分な光分解活性も得られない。焼成温度が1200℃より高温であると、酸化珪素被覆光触媒の焼結が進行し、充分な光分解活性が得られない。
酸化珪素被覆光触媒に含有される水分含有量は、7重量%以下であることが好ましい。5重量%以下がさらに好ましく、4重量%以下が最も好ましい。水分含有量が7重量%を超えると、多量の水が酸化珪素周辺に存在することにより、ガスに対する吸着性能が充分に発揮されず、同時に充分な光分解活性も得られない。
このようにして得られた酸化珪素被覆光触媒は、酢酸等の酸性ガス、アンモニア等の塩基性ガス、トルエン等の非極性ガス、いずれも吸着でき、光触媒性能にも優れている。
上記のように、本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法は、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜を得るために、pHを低くするとともに、珪酸塩の濃度、基体の濃度、使用する酸性溶液、膜形成後の焼成温度、焼成時間等の条件を適宜選択することが重要となる。
本発明における光触媒含有マスターバッチは、光触媒を含有しない熱可塑性樹脂と任意の割合で混合した後、50℃以上400℃以下の温度で溶融混練し、続いて成形工程を施すことにすることにより、光触媒を含有する有機樹脂成形体(以後、光触媒含有樹脂成形体と略記する)を簡便に提供することが可能である。また、光触媒含有樹脂成形体に成形する際に、ガラス繊維、カーボンファイバー、マイカ、延伸樹脂繊維、などを強化材として混合しても良いし、発泡剤を加えて発泡成形体とすることも可能である。
例えば、次のような方法で繊維を製造できる。ペレット形状の光触媒含有マスターバッチと、光触媒を含有しない熱可塑性樹脂ペッレットを、予め任意の割合で混合し、紡糸温度150℃以上300℃以下の条件下、溶融ブレンド後口金ノズル(φ0.1〜0.5mm)より吐出させて紡速1000m/min以上5000m/min以下で紡糸し、半延伸糸を得る。この半延伸糸を例えば延伸温度85℃、熱セット温度130℃、倍率1.8倍で延伸熱セットし、延伸糸を得る。この延伸糸を筒編みし、染色を施す。このような方法により、酸化珪素被覆光触媒を含有した繊維製品が得られる。
前記光触媒含有樹脂成形体の光触媒含有量は、0.01重量%以上、10重量%以下が好ましく、0.1重量%以上、5重量%以下がより好ましい。含有量が0.01重量%よりも少ないと光触媒含有樹脂成形体の表面に存在する光触媒量が少なくなり、光触媒機能が十分に発揮されない。一方、含有量が10重量%よりも高濃度であると、成形体の物性が低下することがある。
本発明における光触媒含有樹脂成形体の形状は、板状、膜状、網状、フィルム状、繊維状、シート状等種々の形状の何れであっても構わない。前記酸化珪素被覆光触媒を、成形体全体に分散状態で含有する形態、あるいは成形体の表面近傍に偏在して含有する形態のいずれであっても良い。偏在して含有する形態としては、鞘が光触媒を含み、芯が光触媒を全く含まない熱可塑性樹脂からなる鞘芯型が例示できる。何れにしても、該光触媒含有樹脂成形体の表面に存在する、前記酸化珪素被覆光触媒が、主として光触媒機能を発現する。ここで光触媒含有樹脂成形体の表面とは、光触媒含有樹脂成形体の露出された表面であって、有害物質や臭気成分と接触し得る表面をいう。
成形体を製造する際に、本発明のマスターバッチと混合する『光触媒を含有しない熱可塑性樹脂』としては、熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、用いる光触媒含有マスターバッチを構成する熱可塑性樹脂と同一、あるいは相溶性のあるものが好ましい。例えば次のようなものが挙げられる。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル樹脂、ポリアクリル酸メチル等のポリアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエステルエ−テル、ポリビニルアルコール−ポリ塩化ビニル共重合、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリメチルペンテン、無水マレイン酸−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフテレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アイオノマー、アミノポリアクリルアミド、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー、ABS、ACS、AES、AS、ASA,MBS、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフトポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、カルボキシビニルポリマー、ケトン樹脂、非晶性コポリエステル、ノルボルネン樹脂、フッ素プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンポリプロピレン、PFA、ポリクロロフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリ青化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリアリレート、熱可塑性ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリサルホン、ポリパラメチルスチレン、ポリアリルアミン、ポリビニルエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルペンテン、オリゴエステルアクリレート、キシレン樹脂、アラミド樹脂、ノボロイド樹脂、 ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ポリグルタミン酸、ポリカプロラクトン、など。
以上のように、本発明の酸化珪素被覆光触媒含有マスターバッチは、含有する酸化珪素被覆光触媒が汚染性有機物質の酸化分解という触媒活性を保持しつつ、一方で熱可塑性樹脂の分解劣化を抑制できるので、高濃度で光触媒を含有することが可能であり、効率的に光触媒含有樹脂成形体を提供することを可能とする。
また、本発明の光触媒含有樹脂成形体に紫外線照射すると、前記酸化珪素被覆光触媒が、窒素酸化物(NOx)、有機塩素化合物、VOCやアンモニア等の有害物質や臭気成分と接触して酸化分解し、汚染空気または液体の浄化や防汚作用、抗菌及び殺菌作用を達成できる。
一方、光触媒含有樹脂成形体表面に存在する前記酸化珪素被覆光触媒は、従来の酸化チタンと比較して有機材の分解劣化が抑制されているので、粉末剥離等の不具合が防止され、長期にわたりその効果が持続する。また本来、紫外線により分解劣化を示すような有機物の場合には、表面近傍に含有されている前記酸化珪素被覆光触媒が紫外線を吸収することにより、部材に到達する紫外線が減じられ、結果として、耐光性、耐紫外線性が改善されるという効果が得られる場合もある。
本発明における光触媒含有樹脂成形体は、さらに具体的に次のような用途に用いることが可能である。但し、記載した用途は、適用可能な例であって、本発明を限定するものではない。
例えば、自動車のシート地、シートカバー、カーペット、ハンドル、ハンドルカバー、シフトノブ、ダッシュボード、電車のつり革、内張り、メーターパネル、内壁、床、天井、室内のフローリング等床材、畳、ブラインド、ロールスクリーン、家具、化粧板、浴室用部材、手すり、テーブルクロス、壁紙、壁材等の天井材、冷蔵庫、手乾燥器、パソコン、マウス、キーボード等の電化製品、めがね部材、人工観葉植物、医療用器具、照明器具の蛍光灯カバー、シーリング材の左官材料、カーテン、クロス、衣類、寝具、敷物、椅子張り、のれん、糸、布、ロープ、網等の繊維製品、上着、ズボン、シャツ、靴下等の衣類、シーツ、ふとん、毛布等の寝具類、カーテン、シートカバー、自動車および電車のランプカバー、自動二輪メーター、ヘルメットシールド、外装用サイジング材として適用することができる。
以下、本発明を実施例、比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[光触媒の調製]
光触媒を作製し、その性状を評価した。
はじめに評価方法について説明する。
(i)アルカリ金属含有量
アルカリ金属含有量としてナトリウム含有量を計測した。
ナトリウム含有量は、原子吸光光度計(Z−5000,日立製作所)を用いて定量した。検出限界は1ppmである。従って、「ナトリウムを検出できない」とは、すなわちナトリウムを含まないか、あるいは含有量が1ppm未満であることを示している。
(ii)珪素含有量
珪素含有量は、蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700,島津製作所)を用いて定量した。
(iii)比表面積
比表面積はBET法比表面積測定装置により測定した。
以下、光触媒の製造例について説明する。
(光触媒1)
ガラスフラスコに水200gと1N塩酸水溶液66.9gを加え、二酸化チタン(ST−01、石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、BET法比表面積測定装置による比表面積300m2/g)24.5gを分散させて、A液とした。ビーカー内に水100gと水ガラス1号(SiO2含有量35重量%以上38重量%以下、JIS−K1408)10.7gを加え、攪拌しB液とした。A液を35℃に保持し、攪拌しているところに、B液を2ml/分で滴下し、混合液Cを得た。この時点における混合液CのpHは2.3であった。混合液Cを35℃に保持したまま3日間攪拌を継続した。この後、混合液Cを減圧ろ過し、得られた濾物を、500mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、室温で2日間放置した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒1を得た。この光触媒1のナトリウム含有量を原子吸光光度計(Z−5000,日立製作所)にて定量したところ、ナトリウム含有量は87ppmであった。また、この光触媒1の珪素含有量、硫黄含有量を蛍光X線分析法(LABCENTER XRE−1700,島津製作所)にて定量したところ、珪素含有量6.9重量%、硫黄含有量0.06重量%であった。比表面積をBET法比表面積測定装置により測定したところ、212.8m2/gであった。よって、光触媒1の表面積1m2当りの珪素担持量は0.33mgであった。光触媒1の細孔分布を測定した結果を図1に示す。
(光触媒2)
二酸化チタンの量を82.1gとし、混合液CのpHが4.0となった以外は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒2を得た。この光触媒2は、ナトリウム含有量56ppm、珪素含有量2.4重量%、比表面積133.8m2/gであった。よって、光触媒2の表面積1m2当りの珪素担持量は0.18mgであった。
(光触媒3)
二酸化チタンとして、P25(日本アエロジル株式会社、アナターゼ:ルチル比が8:2の混合体、純度99.5%、BET法比表面積測定装置による比表面積50m2/g)を75.0g使用したこと、珪酸ナトリウム水溶液を6.5g使用したこと、混合液CのpHが2.6となった以外は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒3を得た。この光触媒3は、ナトリウム含有量34ppm、珪素含有量1.4重量%、比表面積61.1m2/gであった。よって、光触媒3の表面積1m2当りの珪素担持量は0.22mgであった。光触媒3の細孔分布を測定した結果を図2に示す。
(光触媒4)
市販の二酸化チタン(石原産業株式会社、ST−01)を200℃、3時間乾燥し、光触媒4を得た。この光触媒4は、ナトリウム含有量1400ppm、比表面積214.3m2/gであった。光触媒4の細孔分布を測定した結果を図1に示す。
(光触媒5)
市販の二酸化チタン(日本アエロジル株式会社、P25)を200℃、3時間乾燥し、光触媒5を得た。この光触媒5のナトリウム含有量は検出できなかった。比表面積50.2m2/gであった。光触媒5の細孔分布を測定した結果を図2に示す。
<光触媒1〜5の評価>
[1.メチレンブルー光分解活性評価]
光触媒1〜5を、メチレンブルー水溶液に懸濁させた。その後、光照射を行い、液中のメチレンブルー濃度を分光分析で定量することにより、光分解活性を試験した。詳細な試験操作方法は、次のとおりである。
(光触媒懸濁液の調製)
あらかじめフッ素樹脂製攪拌子を入れた100ccポリエチレン製広口びんに、濃度40×10−6mol/Lのメチレンブルー水溶液を45g量りこんだ。次に、マグネチックスターラーによる攪拌下、10mgの光触媒を加えた。そして、5分間激しく攪拌した後に、液が飛び散らない程度に攪拌強度を調整し、攪拌を継続した。
(予備吸着処理)
光触媒を加え終わった瞬間を起点として、60分間、光照射せずに、攪拌し続けた。60分経過後、懸濁液を3.0cc採取し、光照射前サンプルとした。
(光分解処理)
予備吸着処理後の懸濁液を3.5cc抜き出し、あらかじめフッ素樹脂製攪拌子を入れた石英製標準分光セル(東ソー・クォーツ株式会社、外寸12.5×12.5×45mm、光路幅10mm、光路長10mm、容積4.5cc)に入れ、マグネチックスターラーで攪拌した。次に、分光セルの外部/横方向から光を5分間照射した。光照射は、光源装置SX−UI151XQ(ウシオ電機株式会社、150Wクセノンショートアークランプ)を光源として、純水を満たした石英製フィルター容器越しに行った。照射光量は、紫外線照度計UVD−365PD(ウシオ電機株式会社、試験波長365nm)で、5.0mW/cm2であった。照射後、分光セル内の懸濁液を回収し、光照射後サンプルとした。
(メチレンブルーの定量)
オールプラスチックス製10ccシリンジにメンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社、DISMIC−13HP)を装着した。これに、光照射前後のサンプル懸濁液をそれぞれ入れ、ピストンで押出して光触媒を除去した。その際、前半量のろ液は廃棄し、後半量のろ液を、可視光分析用セミマイクロ型ディスポセル(ポリスチレン製、光路幅4mm、光路長10mm、容積1.5cc)に採取した。そして、紫外可視分光分析装置(UV−2500、島津製作所)を使用して、波長680ナノメートルの吸光度を測定し、メチレンブルー濃度を算定した。
光分解活性は、光照射前のメチレンブルー濃度に対する光照射後のメチレンブルー濃度で評価した。光分解活性としてのメチレンブルー除去率を表1に示した。また、メチレンブルーの仕込濃度(光触媒を加える前のメチレンブルーの濃度)を基準として、光照射前のメチレンブルー濃度から、メチレンブルー吸着率を算出し、表1に併記した。
[2.細孔分布測定による酸化珪素膜由来の細孔有無の判定]
オートソーブ(カンタクローム社製)を使用し、液体窒素下(77K)における脱着過程での光触媒1〜5の窒素吸着等温線を測定した。
各光触媒の前処理として、100℃での真空脱気を行った。次に各光触媒の測定結果をBJH法で解析し、log微分細孔容積分布曲線を求めた。
次に、光触媒1〜5の酸化珪素膜由来の細孔の有無を判定した。具体的には、原料として使用した光触媒と、この光触媒を基体(ベース触媒)として用いて調製した、酸化珪素膜で被覆された光触媒のlog微分細孔容積分布曲線を比較して、酸化珪素膜由来の細孔の有無を判定した。
光触媒1〜5の20オングストローム以上500オングストローム以下の領域における、酸化珪素膜由来の細孔の有無を表1に示す。
Figure 2008266584

上記で得られた光触媒について、熱可塑性樹脂と混合、溶融混錬し、光触媒含有マスターバッチを作製した。次いで、光触媒含有マスターバッチの一部について熱可塑性樹脂と混合、溶融混錬後、有機樹脂成形体を作製し、評価を行った。
[光触媒含有マスターバッチ及び有機樹脂成形体の作製]
光触媒含有マスターバッチ及び有機樹脂成形体を作製し、その性状を評価した。
(光触媒含有マスターバッチの製造)
はじめに、光触媒と熱可塑性樹脂を120℃のオーブンで2時間乾燥した。次いで、光触媒と熱可塑性樹脂とを所定の比で混合後、二軸押出機を用いて設定温度290℃にて溶融、ストランドを押出し、さらにロータリーカッターを用いて光触媒含有マスターバッチを製造した。
〔実施例1〕
(光触媒含有マスターバッチ1)
120℃のオーブンで2時間乾燥した光触媒1とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とを、重量比が20/80の比になるよう混合後、二軸押出機(池貝精機株式会社、PCM45)を用いて設定温度290℃にて溶融、ストランドを押出し、さらにロータリーカッターを用いて光触媒含有マスターバッチ1を製造した。
(光触媒含有マスターバッチ2)
光触媒1とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とを重量比が10/90の比となるようにした以外は、光触媒含有マスターバッチ1の製法と同様にして光触媒含有マスターバッチ2を得た。
(光触媒含有マスターバッチ3)
光触媒1とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とを重量比が5/95の比となるようにした以外は光触媒含有マスターバッチ1の製法と同様にして光触媒含有マスターバッチ3を得た。
(板状成形体1)
はじめに、光触媒含有マスターバッチ2とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を120℃のオーブンで2時間乾燥した。次いで、光触媒含有マスターバッチ2とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とを重量比が30/70の比となるように混合後、二軸押出機(池貝精機株式会社、PCM45)を用いて設定温度290℃にて溶融、ストランドを押出し、さらにロータリーカッターを用いて光触媒含有ペレットを得た。このペレットを粉砕した後、290℃で加熱プレス成形し、1.5cm×8.0cm、厚さ1mmの板状成形体1を得た。
〔実施例2〕
(光触媒含有マスターバッチ4)
光触媒2とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とを重量比が10/90の比となるようにした以外は、光触媒含有マスターバッチ1の製法と同様にして光触媒含有マスターバッチ4を得た。
(板状成形体2)
光触媒含有マスターバッチ4を用いた以外は実施例1と同様にして板状成形体2を得た。
〔実施例3〕
(光触媒含有マスターバッチ5)
光触媒3とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とを重量比が10/90の比となるようにした以外は、光触媒含有マスターバッチ1の製法と同様にして光触媒含有マスターバッチ5を得た。
(板状成形体3)
光触媒含有マスターバッチ5を用いた以外は実施例1と同様にして板状成形体3を得た。
〔比較例1〕
(光触媒含有マスターバッチ6)
光触媒4とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とを重量比が10/90の比となるようにした以外は光触媒含有マスターバッチ1の製法と同様にして光触媒含有マスターバッチ6を得た。この光触媒含有マスターバッチ6は茶色に変色し、かつ、脆かったため、板状成形体を作製できなかった。
(光触媒含有マスターバッチ7)
光触媒4とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とを重量比が5/95の比となるようにした以外は光触媒含有マスターバッチ1の製法と同様にして光触媒含有マスターバッチ7を得た。この光触媒含有マスターバッチ7は茶色に変色し、かつ、脆かったため、板状成形体を作製できなかった。
〔比較例2〕
(光触媒含有マスターバッチ8)
光触媒5とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とを重量比が10/90の比となるようにした以外は、光触媒含有マスターバッチ1の製法と同様にして光触媒含有マスターバッチ8を得た。この光触媒含有マスターバッチ8は茶色に変色し、かつ、脆かったため、板状成形体を作製できなかった。
(光触媒含有マスターバッチ9)
光触媒5とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とを重量比が5/95の比となるようにした以外は光触媒含有マスターバッチ1の製法と同様にして光触媒含有マスターバッチ9を得た。この光触媒含有マスターバッチ9は茶色に変色し、かつ、脆かったため、板状成形体を作製できなかった。
〔比較例3〕
(板状成形体4)
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のみを120℃のオーブンで2時間乾燥した。次いで、二軸押出機(池貝精機株式会社、PCM45)を用いて設定温度290℃にて溶融、ストランドを押出し、さらにロータリーカッターを用いてペレットを得た。前記操作を繰り返した後、実施例1と同様にして板状成形体4を得た。比較例1および2については板状成形体を作製できなかった。
[光分解活性評価]
板状成形体1〜4を、メチレンブルー水溶液中に置き光照射を行い、液中のメチレンブルー濃度を分光分析で定量することにより、光分解活性を試験した。詳細な試験操作方法は、次のとおりである。
(試料の調製)
あらかじめ内径4cmのシャーレに、濃度40×10−6mol/Lのメチレンブルー水溶液を3g量りこんだ。次に、板状成形体を縦横1.5cmの大きさに切り出しシャーレ内に設置した。
(予備吸着処理)
板状成形体の設置を起点として、60分間、光照射せずに放置した。60分経過後の液を回収し、光照射前サンプルとした。
(光分解処理)
上記と同様の操作で予備吸着処理を行なった後、光照射を、ブラックライト(三共電気株式会社、27W)を光源として行った。照射光量は、紫外線照度計UVD−365PD(ウシオ電機株式会社、試験波長365nm)で、1.0mW/cm2であった。ブラックライトを24h照射した後、ガラス容器中の液を回収し光照射後サンプルとした。
(メチレンブルーの定量)
上記光照射前サンプルおよび光照射後サンプルについて紫外可視分光光度計(UV−2500、島津製作所)を使用して、波長680ナノメートルの吸光度を測定し、メチレンブルー濃度を算定した。
光分解活性は、光照射前のメチレンブルー濃度を基準として、光照射後のメチレンブルー濃度から、メチレンブルー除去率として表2に示した。
Figure 2008266584


(耐候性加速劣化試験)
サンシャインウェザーメーター(光源:サンシャインカーボンアーク(25mW/cm2)、照射温度63℃)を用い、成形体に500時間光照射を行った。光照射前後の成形体に対し、それぞれ引張り試験を行い、破断伸びを測定した。この結果から、破断伸び保持率を以下の式により算出した。(表3)
破断伸び保持率(%)=
光照射後の成形体の破断伸び/光照射前の成形体の破断伸び × 100
Figure 2008266584

以上の結果より、本発明においては、樹脂の変色、及び樹脂物性の劣化を抑制可能な光触媒含有マスターバッチを得ることが可能となった。また、本発明の光触媒含有マスターバッチと任意の熱可塑性樹脂を混合し、溶融混錬した後、成形して得られた光触媒含有樹脂成形体は、良好な光触媒性能を有し、且つ、樹脂物性の維持が可能であることが分かった。
本発明の光触媒含有マスターバッチは、光触媒含有樹脂成形体の製造に用いることができる。
光触媒1のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該 当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒4)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒3のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該 当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒5)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。

Claims (17)

  1. 光触媒と熱可塑性樹脂からなる光触媒含有マスターバッチであって、
    前記光触媒は、
    光触媒活性を有する基体と、
    該基体を被覆する、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜と、を備え、
    前記光触媒のアルカリ金属含有量が1ppm以上1000ppm以下であり、
    前記光触媒の含有率が、光触媒含有マスターバッチの重量基準で3重量%以上30重量%以下である、ことを特徴とする光触媒含有マスターバッチ。
  2. 前記酸化珪素膜が、酸化珪素の焼成膜であることを特徴とする、請求項1に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  3. 前記酸化珪素膜が、200℃以上1200℃以下の温度で焼成して得られる焼成膜であることを特徴とする、請求項2に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  4. 前記アルカリ金属含有量が10ppm以上1000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  5. 窒素吸着法による20オングストローム以上、500オングストローム以下の領域の細孔径分布測定において、酸化珪素膜由来の細孔がないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  6. 前記基体が、アナターゼ型、ルチル型、あるいはこれらの混合物を含む酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  7. 前記アルカリ金属が、ナトリウムおよび/またはカリウムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  8. 前記光触媒の表面積1m2あたりの珪素担持量が、0.10mg以上、2.0mg以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  9. 前記光触媒の表面積1m2あたりの珪素担持量が、0.16mg以上、1.25mg以下であることを特徴とする特徴とする請求項8に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  10. 前記光触媒の比表面積が120m2/g以上、400m2/g以下であることを特徴とする請求項9に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  11. 硫黄元素の含有量が、光触媒の全体重量を基準として、0.5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  12. 前記酸化珪素膜にアルカリ金属が含まれることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  13. 前記酸化珪素膜に含まれるアルカリ金属の含有量が、光触媒の全体重量を基準として、1ppm以上200ppm以下であることを特徴とする、請求項12に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  14. 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、およびビニル化合物(共)重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の光触媒含有マスターバッチ。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光触媒含有マスターバッチと、前記光触媒を含有しない熱可塑性樹脂とを、混合し、溶融混錬した後、成形することを特徴とする、光触媒含有樹脂成形体の製造方法。
  16. 請求項15に記載の製造方法で製造した光触媒含有樹脂成形体。
  17. 請求項16に記載の光触媒含有成形体が、繊維、糸、フィルムから選ばれた成形体である光触媒含有成形体。
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