JP6258827B2 - 光触媒材料 - Google Patents

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Description

本発明は光触媒材料に関し、より詳細には、可視光応答型の光触媒材料に関する。
近年、太陽光や室内光によって環境汚染物質を吸着し分解除去したり、表面に付着した汚れに関してセルフクリーニング作用を示したりする光触媒が注目され、研究が盛んに行われている。
光触媒原料の中でも、酸化チタンの光触媒効果は高く、広く研究されている。しかし、酸化チタンは、バンドギャップが大きく紫外光は吸収するが、可視光は吸収しない。したがって、酸化チタンは、紫外光では光触媒活性を示すが、可視光による活性を示さないため、酸化チタンを原料とする光触媒材料は、紫外線量のきわめて少ない室内環境では光触媒効果を発揮することができない。
これに対し、酸化チタン以外の原料を用いた光触媒材料の光触媒効果について研究開発がされており、その1つとして酸化タングステンがある。酸化タングステンは酸化チタンに比べてバンドギャップが小さく、可視光を吸収することができるが、酸化タングステン単体では光触媒活性は小さい。
一般に、光触媒材料が光吸収により励起されることにより、価電子帯に生成した正孔による水の酸化反応や、伝導帯に励起された電子による酸素の還元反応によって、生成する活性酸素種が有機物を酸化分解するとされている。しかしながら、酸化タングステンの伝導帯準位は、酸素の酸化還元準位よりも低いため、電子は酸素の還元反応に寄与せず、逆に正孔との再結合を起こすため、酸化タングステン単体では高い光触媒活性を示さない。
そこで、酸化タングステン粒子表面に、電子吸引性物質(助触媒)を形成することにより、光照射によって伝導帯に励起された電子と価電子帯に生成した正孔との再結合が抑制され、酸化タングステン粒子の光触媒活性を高められ、可視光応答型光触媒として利用することができることが知られている。
例えば、特許文献1には、酸化タングステン粒子の表面に一次粒子径3nm〜20nmの白金粒子が、酸化タングステン粒子100重量部あたり0.03〜5重量部担持されてなる酸化タングステン光触媒が開示されている。この酸化タングステン光触媒は、白金粒子がそれぞれ独立して担持されていることによって、光触媒活性が高くなっている。
例えば、特許文献2には、芳香族化合物からなる環境汚染物質分解用の可視光応答型光触媒が開示されている。この可視光応答型光触媒は、パラジウム又はパラジウム化合物が混錬法ないしは湿式調製法により酸化タングステンに担持されることによって、光触媒活性が高くなっている。
また、特許文献3には、酸化タングステン粒子の表面の一部を酸化チタン粒子で被覆した光触媒が、被覆していない酸化タングステン粒子よりも、高い光触媒作用を有するため、気相中の揮発性芳香族化合物を速やかに分解できることが開示されている。また、特許文献3には、この光触媒の表面、すなわち、酸化タングステン粒子および酸化チタン粒子の少なくとも一方に、助触媒として電子吸引性物質またはその前駆体を担持させることが開示されている。
特開2009−160566号公報(2009年7月23日公開) 特開2012−91172号公報(2012年5月17日公開) 特開2012−110831号公報(2012年06月14日公開)
酸化タングステンは酸化チタンに比べ、アルカリ溶液に溶解しやすい性質を有する。光触媒は、一般に半永久的な利用をされることが多く、例えば壁面にコーティングして、屋内の汚れや脱臭効果を得ることを目的とすることがある。しかしながら、酸化タングステンを用いた光触媒はアルカリに溶解しやすい性質を有するため、喫煙室やトイレなどで発生するアンモニアなどの塩基性ガスによって光触媒活性が低下する。また、例えば、その壁面を家庭用の塩基性洗剤などを用いて洗浄することによっても、同様に光触媒活性が低下する。
このため、特許文献1および2に開示されている光触媒は、アンモニアなどの塩基性ガスを分解する場合や、塩基性洗剤と接触する環境下にて使用する場合において、溶解、変質などが生じ、所望の光触媒活性が得られないという問題点を有している。
また、特許文献3の段落〔0013〕には、以下の点が記載されている。
・被覆とは、酸化タングステン粒子の表面の少なくとも一部に酸化チタン粒子が存在し、かつ該表面に酸化チタン粒子が存在していない部分が存在することを意味する。
・「酸化タングステン粒子の表面に酸化チタン粒子が存在していない部分が存在する」とは、例えば、酸化タングステン粒子の表面全面に酸化チタン粒子が被覆されておらず、酸化タングステン粒子が受光表面を有することである。これは、酸化タングステン粒子の表面全面に酸化チタン粒子が被覆されていると、可視光照射下において、本発明の光触媒体より極端に低い光触媒作用を示すためである。
すなわち、特許文献3に開示されている光触媒は、酸化タングステン粒子の表面に、酸化チタンによって被覆されていない部分が存在する。このため、酸化チタン粒子に被覆されていない部分から酸化タングステン粒子にアルカリ溶液が侵食する。その結果、特許文献3に開示されている光触媒は、酸化チタンによって被覆されていない酸化タングステン粒子と同様に、光触媒の溶解、変質などが生じるという問題点を有している。さらに、上述のように、特許文献3では、光触媒活性が極端に低くなるため、酸化タングステン粒子の表面全面を酸化チタンで被覆することは意図されていない。
このように、酸化タングステンを用いた従来の光触媒材料は、アルカリ耐性が低い材料に留まっており、その用途が限定的なものとなっていた。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光触媒材料は、可視光に対して触媒活性を示すコア粒子と、コア粒子の表面全体を被覆し、光透過性を有するシェル層と、コア粒子の表面に形成された第1助触媒と、シェル層の表面に形成された第2助触媒とを備えることを特徴としている。
本発明の一態様によれば、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係る光触媒材料を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る光触媒材料を模式的に示す断面図である。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、酸化タングステンから構成されたコア粒子を、酸化チタンを含むシェル層で完全に被覆することによって、光触媒材料のアルカリ耐性が著しく向上することを見出した。さらに、この光触媒材料は、コア粒子の表面およびシェル層の表面に、助触媒を形成することで、コア粒子がシェル層で完全に被覆されているにもかかわらず、高い光触媒活性を示すことを見出した。
〔実施形態1〕
(1−1)光触媒材料1の構成
本発明の一実施形態について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る光触媒材料1を模式的に示す断面図である。
本実施形態の光触媒材料1は、コア粒子2と、コア粒子2の表面に形成された助触媒4(第1助触媒)と、コア粒子2および助触媒4を完全に被覆するシェル層3と、シェル層3の表面に形成された助触媒5(第2助触媒)とから構成されている。
コア粒子2は、可視光に対して触媒活性を示す。すなわち、コア粒子2は、可視光の照射により光触媒作用を示し、環境汚染物質などの反応物質(光触媒材料1の分解対象物)を、吸着および/または分解し得るものから構成されている。光触媒材料1では、コア粒子2は、酸化タングステンから構成される。しかし、コア粒子2は、酸化タングステンと酸化銅との混同体から構成されていてもよいし、特定の金属イオンの導入または酸素サイトへの窒素の導入により可視光に対しても触媒活性を示すように改良された酸化チタン(TiO)から構成されていてもよいし、これらの混合物であってもよい。
また、コア粒子2を構成する酸化タングステンは、例えば、WO、W2573、W2058、W2468、またはこれら2種以上の混合物などを用いることができる。コア粒子2は、WOから構成されていることが好ましい。これにより、可視光に対して高い光触媒活性を実現することができる。なお、コア粒子は、WO以外の酸化タングステンを用いることもできる。ただし、タングステン原子のモル数に対する酸素原子のモル数が3未満の酸化タングステンは、粒子の色が青色となる。このため、上述したWO以外の酸化タングステンを用いた場合の光触媒活性は、WOを用いた場合よりも低くなる。
コア粒子2の平均1次粒子径は、2nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、また100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましい。平均1次粒子径が小さいほど、比表面積が大きくなる。これにより、環境汚染物質などの反応物質の吸着量が増加すると共に、触媒反応がおこる面積が大きくなる。その結果、光触媒活性が向上する。このため、コア粒子2の平均1次粒子径は、2nm以上、100nm以下であることが好ましい。これにより、コア粒子2への反応物質の吸着量を大きくしつつ、触媒反応がおこる面積を大きくすることができる。また、コア粒子2の表面をシェル層3によって確実に被覆することができる。つまり、コア粒子2の表面がシェル層3で覆われない部分(欠陥)が形成されない。したがって、高い光触媒活性と、高いアルカリ耐性とを実現することができる。
なお、本願明細書において、「平均1次粒子径」は、BET法により測定された比表面積(m/g)に基づいて、1次粒子が球状であると仮定して算出された値を示す。例えば、コア粒子2の平均1次粒子径は、コア粒子2の比表面積および密度から算出することができる。比表面積は、例えば、後述の実験例のように、比表面積測定装置(島津製作所、フローソーブ2310)によって測定することができる。
一方、シェル層3は、光透過性(特に可視光透過性)を有する材料から構成されている。光触媒材料1では、シェル層3は、コア粒子2の表面全体および助触媒4の表面全体を被覆している。シェル層3は、環境汚染物質などの反応物質を吸着および/または分解することができる物質から構成することが好ましい。例えば、シェル層3は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫から構成されていることが好ましい。シェル層3が酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫から構成されている場合、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫は、可視光を透過するため、コア粒子2にまで確実に光を到達させることができる。したがって、光触媒活性を持続させることができる。
シェル層3は、コア粒子2に対して、5重量%以上、200重量%以下であることが好ましい。これにより、コア粒子2の表面全体が、比較的薄いシェル層3によって確実に被覆されると共に、コア粒子2に確実に光が到達する。また、シェル層3が酸化チタンである場合、可視光に対する光触媒活性が低いシェル層3の割合が低くなる。したがって、可視光に対する光触媒活性をより一層高めることができる。
助触媒4はコア粒子2の表面に形成されており、助触媒5はシェル層3の表面に形成されている。助触媒4、5は、電子吸引性物質から構成されている。例えば、助触媒4、5は、金属または金属化合物から構成されている。助触媒4、5を構成する金属としては、例えば、白金、銅、パラジウム、鉄、銀、金、ニッケル、ルテニウム、イリジウム、ニオブ、モリブデンなどが挙げられる。また、助触媒4、5を構成する金属化合物としては、例えば、上述した金属の塩化物、臭化物、沃化物、酸化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、燐酸塩、有機酸塩などが挙げられる。
助触媒4を構成する金属または金属化合物の添加量(すなわち、コア粒子2の表面に担持される助触媒4の担持量)は、コア粒子2に対して、0.001重量%以上、3重量%以下であることが好ましい。なお、助触媒4が金属化合物である場合、上記金属化合物の添加量(助触媒4の担持量)は、金属化合物中の金属の量を示す。金属または金属化合物の添加量が0.001重量%よりも少ない量であると、助触媒4としての効果が小さくなり、高い光触媒活性が得られない。また、金属または金属化合物の添加量が3重量%よりも多い量であると、コア粒子2の表面を覆う助触媒4の量が多くなる。その結果、コア粒子2に到達する光量が少なくなるため、やはり高い光触媒活性が得られない。
同様に、助触媒5を構成する金属または金属化合物の添加量(すなわち、シェル層3の表面に担持される助触媒5の担持量)は、シェル層3で被覆されたコア粒子2に対して、0.001重量%以上、3重量%以下であることが好ましい。なお、助触媒5が金属化合物である場合、上記金属化合物の添加量(助触媒5の担持量)は、金属化合物中の金属の量を示す。金属または金属化合物の添加量が0.001重量%よりも少ない量であると、助触媒5としての効果が小さくなり、高い光触媒活性が得られない。また、金属または金属化合物の添加量が3重量%よりも多い量であると、シェル層3の表面を覆う助触媒5の量が多くなる。その結果、大気と接触するシェル層3の面積が小さくなるため、やはり高い光触媒活性が得られない。
助触媒4,5は、それぞれ、1種類であっても、複数種類であってもよい。例えば、上述した金属または金属化合物から選択された、1種類の助触媒4が、コア粒子2の表面に担持されていてもよいし、複数種類の助触媒4がコア粒子2の表面に担持されていてもよい。同様に、上述した金属または金属化合物から選択された、1種類の助触媒5が、シェル層3の表面に担持されていてもよいし、複数種類の助触媒5がシェル層3の表面に担持されていてもよい。また、助触媒4と助触媒5とは、互いに同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
以上のように、本実施形態の光触媒材料1は、コア粒子2の表面全体がシェル層3によって被覆され、コア粒子2の表面に助触媒4が形成され、シェル層3の表面に助触媒5が形成された構成である。
この構成では、コア粒子2の表面全体がシェル層3によって完全に被覆されており、コア粒子2の表面が露出していない。このため、酸化タングステン粒子の表面に酸化チタンによって被覆されていない部分が存在する従来の光触媒材料よりもアルカリ耐性が高くなる。さらに、シェル層3は光透過性を有するため、光触媒材料1に照射された光は、シェル層3および助触媒5に到達すると共に、シェル層3を透過して、コア粒子2および助触媒4にも到達するため、光触媒活性が高くなる。したがって、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を提供することができる。
(1−2)光触媒材料の製造方法
光触媒材料1の製造方法は、コア粒子2の表面およびシェル層3の表面に助触媒4,5を形成する工程を含んでいる。より詳細には、光触媒材料1の製造方法は、コア粒子を準備する工程(準備工程)と、コア粒子2の表面に助触媒4を形成する工程(助触媒4形成工程)と、コア粒子2の表面全体を被覆するシェル層3を形成する工程(被覆工程)と、シェル層3の表面に助触媒5を形成する工程(助触媒5形成工程)とを含んでいる。
上記準備工程は、例えばパラタングステン酸アンモニウム(APT)を加熱分解する方法、金属タングステン粉末を酸素雰囲気中で加熱する方法などが挙げられ、一般的な方法でよい。製造された酸化タングステン粒子の平均1次粒子径が100nmより大きい場合には、乾式や湿式の粉砕・分散法などを用いて、平均1次粒子径を2nm〜100nmとしてもよい。
助触媒4の形成工程は、例えば、コア粒子2を構成する酸化タングステン粒子を分散させた溶液中に、助触媒4の前駆体を含む溶液を添加し、混合させ、その後その溶媒を揮発させ、焼成する方法が挙げられる。これにより、コア粒子2の表面に助触媒4を担持させることができる。また、助触媒4の形成工程は、コア粒子2と、助触媒4の前駆体粒子とを混錬する方法であってもよい。この方法によっても、コア粒子2の表面に助触媒4を担持させることができる。
コア粒子2を構成する酸化タングステン粒子を溶液中に分散させる方法は、例えば、ホモジナイザーや超音波分散、撹拌法などの分散方法を用いてもよい。また、平均1次粒径が100nmより大きい酸化タングステン粒子を含む酸化タングステンを用いる場合には、例えば、ビーズミルやジェットミルなどの湿式粉砕・分散法を用いてコア粒子2の平均1次粒子径を100nm以下にする工程と、酸化タングステン粒子を分散させる工程とを同時におこなってもよい。酸化タングステン粒子の分散方法や粉砕方法は、十分に分散、粉砕できれば良く、ここに挙げた方法に限定されない。
被覆工程は、例えば、表面に助触媒4が形成されたコア粒子2を分散させた溶液中に、シェル層3の前駆体(例えば酸化チタン前駆体)を含む溶液を添加することにより、コア粒子2の表面および助触媒4の表面にシェル層3を成長させる方法が挙げられる。これにより、コア粒子2の表面全体がシェル層3によって被覆される。また、被覆工程は、シェル層3の前駆体を含む溶液中に、表面に助触媒が形成されたコア粒子(助触媒4の形成工程によって得られたコア粒子)を添加した後、溶液中の溶媒を揮発させる方法であってもよい。この方法によっても、コア粒子2の表面全体がシェル層3によって被覆される。
なお、被覆工程では、少なくともコア粒子2の表面が露出しないように、コア粒子2の表面全体を被覆するようにシェル層3を形成すればよく、助触媒4の表面の一部が露出していてもよい。
助触媒5の形成工程は、助触媒4を形成する工程と同様にして行うことができる。すなわち、被覆工程によって得られたシェル層3が形成されたコア粒子2を分散させた溶液中に、助触媒5の前駆体を含む溶液を添加し、混合させ、その後その溶媒を揮発させ、焼成する方法が挙げられる。これにより、シェル層3の表面に助触媒5を担持させることができる。また、助触媒5の形成工程は、被覆工程によって得られたシェル層3が形成されたコア粒子2と、助触媒5の前駆体粒子とを混錬する方法であってもよい。この方法によっても、シェル層3の表面に助触媒5を担持させることができる。
被覆工程によって得られたシェル層3が形成されたコア粒子2を溶液中に分散させる方法は、例えば、ホモジナイザーや超音波分散、撹拌法、ビーズミルやジェットミルなどの湿式粉砕・分散法を用いることができる。分散方法や粉砕方法は、十分に分散、粉砕できれば良く、ここに挙げた方法に限定されない。
以上の工程により、光触媒材料1を製造することができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図2は、本発明の実施形態2に係る光触媒材料1aを模式的に示す断面図である。
図1の光触媒材料1は、シェル層3が、コア粒子2の表面全体およびコア粒子2に形成された助触媒4の表面全体を被覆する構成であった。しかし、シェル層3は、少なくともコア粒子2の表面全体を被覆していればよい。
具体的には、図2に示す光触媒材料1aのように、シェル層3は、コア粒子2の表面全体を被覆している一方、コア粒子2に形成された助触媒4の表面の一部を被覆していない構成であってもよい。光触媒材料1aでは、助触媒4の表面の一部は露出しているが、コア粒子2の表面はシェル層3によって完全に被覆されている。したがって、光触媒材料1と同様の効果が得られる。さらに、光触媒材料1aでは、光触媒材料1よりもシェル層3の厚さを薄くすることが可能となる。したがって、可視光に対する光触媒活性をより高くすることができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る光触媒材料1,1aは、可視光に対して触媒活性を示すコア粒子2と、コア粒子2の表面全体を被覆し、光透過性を有するシェル層3と、コア粒子2の表面に形成された第1助触媒(助触媒4)と、シェル層の表面に形成された第2助触媒(k助触媒5)とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、シェル層3がコア粒子2の表面全体を被覆しており、コア粒子2の表面が露出していない。このため、コア粒子2の表面がアルカリ溶液に侵食される恐れがなく、アルカリ耐性を向上させた光触媒材料を得ることができる。
また、シェル層3は光透過性を有するため、光触媒材料1,1aに照射された光は、シェル層3を透過して、コア粒子2および助触媒4に到達する。その結果、コア粒子2が可視光に対して触媒活性を示す。さらに、コア粒子2の表面に助触媒4が形成されていることにより、光照射によって伝導帯に励起された電子と価電子帯に生成した正孔との再結合が抑制され、コア粒子の光触媒活性を高めることができ、可視光応答型の光触媒材料として利用することができる。さらに、シェル層3の表面にも助触媒5が形成されていることにより、光触媒活性がさらに向上させることができる。
したがって、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を提供することができる。
本発明の態様2に係る光触媒材料1,1aは、上記態様1において、上記コア粒子2は、酸化タングステン、可視光に対して触媒活性を示す酸化チタン、またはこれらの混合物から構成されていてもよい。
上記の構成によれば、コア粒子2が、可視光に対する触媒活性の高い材料から構成されている。したがって、屋内や自動車内など紫外線が非常に少ない状況でも、安定して触媒活性を示す光触媒材料を提供することができる。
本発明の態様3に係る光触媒材料1,1aは、上記態様1または2において、上記第1助触媒(助触媒4)および第2助触媒(助触媒5)は、白金、銅、パラジウム、鉄、銀、金、ニッケル、ルテニウム、イリジウム、ニオブ、モリブデンを少なくとも1種含む金属または金属化合物であってもよい。
上記の構成によれば、光触媒材料の光触媒活性を高めることができる。
本発明の態様4に係る光触媒材料1,1aは、上記態様1〜3おいて、上記シェル層3は、上記コア粒子2に対して、5重量%以上、200重量%以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、コア粒子2の表面全体が、比較的薄いシェル層3によって確実に被覆されると共に、コア粒子2に確実に光が到達する。したがって、可視光に対する光触媒活性をより一層高めることができる。
本発明の態様5に係る光触媒材料1,1aは、上記態様1から4において、上記コア粒子2の平均1次粒子径は、2nm以上、100nm以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、コア粒子2への反応物質の吸着量を大きくしつつ、触媒反応がおこる面積を大きくすることができる。また、コア粒子2の表面をシェル層3によって確実に被覆することができる。したがって、高い光触媒活性と、高いアルカリ耐性とを実現することができる。
本発明の態様6に係る光触媒材料1,1aは、上記態様1から5において、上記第1助触媒(助触媒4)は、上記コア粒子2に対して、0.001重量%以上、3重量%であることが好ましい。
上記の構成によれば、コア粒子2の表面に助触媒4がある部分とない部分とが確実に形成される。このため、助触媒4がある部分では助触媒4が機能を発揮し、助触媒4がない部分では助触媒4がコア粒子2への光路を遮らない。したがって、可視光に対する光触媒活性をより一層高めることができる。
本発明の態様7に係る光触媒材料1,1aは、上記態様1から6において、上記第2助触媒は、シェル層3で被覆されたコア粒子2に対して、0.001重量%以上、3重量%であることが好ましい。
上記の構成によれば、シェル層3の表面に助触媒5がある部分とない部分とが確実に形成される。このため、助触媒5がある部分では助触媒5が機能を発揮し、助触媒5がない部分では助触媒5がシェル層3からコア粒子2への光路を遮らない。したがって、可視光に対する光触媒活性をより一層高めることができる。
〔実施形態3〕
以下に、実施形態3として、本発明の実験例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実験例1〕
(光触媒材料の製造)
実験例1では、コア粒子2が酸化タングステン、シェル層3が酸化チタン、助触媒4および助触媒5が白金である、酸化タングステン系の光触媒材料を製造した。
まず、酸化タングステン(キシダ化学、99.9%)の比表面積と平均1次粒子径を、比表面積測定装置(島津製作所、フローソーブ2310)にて測定した。本実験例1において用いる酸化タングステンの比表面積は4.8m/gであり、平均1次粒子径は175nmであった。
この酸化タングステン135gをイオン交換水1215gに添加し、ビーズミル装置(日本コークス工業、MSC50)を用いて、粉砕、分散を行った。ビーズミル運転条件は、ビーズ径φ0.1mm(ニッカトー)、周速10m/s、処理時間240分とした。得られた分散液の一部を取り出し、水分を蒸発させ、十分に乾燥させた後、再度比表面積装置を用いて、比表面積と平均1次粒子径を測定したところ、比表面積は49m/gであり、平均1次粒子径は17nmであった。
続いて、得られた分散液に、酸化タングステンに対して、白金の割合が0.025重量%となるように、ヘキサクロロ白金(VI)・6水和物(キシダ化学、98.5%)を溶解させた。その後、上記分散液を100℃で加熱して、水分を蒸発させてから、400℃で30分焼成することにより、0.025重量%の白金を担持させた酸化タングステン粒子を得た。
得られた白金が担持された酸化タングステン6gをイオン交換水24gに添加し、撹拌機(プライミクス株式会社 フィルミックス 40−40型)を用いて、分散を行った。撹拌機の運転条件は、周速:40m/s、処理時間10分とした。
そして、次に、酸化チタンから構成されるシェル層を形成するために、上記分散液10mLを常温下において、チタン濃度9重量%の四塩化チタン水溶液(東邦チタニウム)100mLと尿素濃度33重量%の尿素水溶液300mLに添加した。
続いて、上記分散液をホットプレート温度130℃(液温65℃)で3時間加熱した。
その後、9000rpmで10分間の遠心分離を用いて粉体を分離した後、イオン交換水で数回洗浄し、100℃で1h加熱して乾燥させた。
得られた粉体を、大気中において400℃で30分間焼成することにより、酸化チタンによって被覆された白金担持酸化タングステン粒子を得た。得られた粒子において、白金担持酸化タングステンに対する、酸化チタンの割合は79重量%であった。
さらに、得られた粒子(酸化チタンで被覆された白金担持酸化タングステン)2gをイオン交換水20gに添加し、10分の超音波照射を行い分散させた。得られた分散液に、酸化チタンで被覆された白金担持酸化タングステンに対して、白金の割合が0.025重量%となるように、ヘキサクロロ白金(VI)・6水和物(キシダ化学、98.5%)を溶解させた。その後、上記分散液を100℃で加熱して、水分を蒸発させてから、400℃で30分焼成することにより、0.025重量%の白金を酸化チタン(シェル層)に担持させた酸化タングステン粒子を、実験例1の光触媒材料として得た。
(光触媒活性の評価)
得られた光触媒材料の光触媒活性を評価するため、可視光照射下における環境汚染物質の分解速度を測定した。まず、シャーレに光触媒材料1.3gを入れ、そのシャーレを5Lのガスバッグに入れ、さらにアセトアルデヒドを500ppmの濃度になるように、ガスバッグに導入した。その後、そのガスバッグに対して青色LED(波長450nm、光触媒材料への照射強度7mW/cm)を照射し、アセトアルデヒドの残存量の経時変化をガス検知管で測定した。測定した残存量の対数表示を縦軸に、横軸に経過時間をとり、そのグラフの勾配の大きさを、分解速度定数と定義し、ガス分解性能を評価した。その結果、実験例1の光触媒材料の分解速度定数は、2.5[/h]であった。
(アルカリ耐性の評価)
また、得られた光触媒材料のアルカリ耐性を評価するため、得られた光触媒材料を、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬させた。その結果、実験例1の光触媒材料について、85重量%の粒子が溶解せずに残存していた。
以上のことから、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を得られることが示された。
〔実験例2〕
実験例2では、実験例1におけるホットプレートでの加熱時間を変更して、酸化タングステン粒子を製造した。
酸化チタンから構成されるシェル層を形成する際のホットプレートでの加熱時間を2時間にした以外は、実験例1と同様の方法で、光触媒材料を得た。シェル層に白金を担持させる前の粒子(酸化チタンによって被覆された白金担持酸化タングステン粒子)において、白金担持酸化タングステンに対する酸化チタンの割合は55重量%であった。
実験例2にて得られた光触媒材料の分解速度定数は、2.7[/h]であった。また、光触媒材料を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液へ24時間浸漬させた後の残存量は、63重量%であった。
以上のことから、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を得られることが示された。
〔実験例3〕
実験例3では、実験例1におけるホットプレートでの加熱温度および加熱時間を変更して、酸化タングステン粒子を製造した。
酸化チタンから構成されるシェル層を形成する際のホットプレート温度を120℃(液温60℃)とし、加熱時間を4時間とした以外は、実験例1と同様の方法で、光触媒材料を得た。シェル層に白金を担持させる前の粒子(酸化チタンによって被覆された白金担持酸化タングステン粒子)において、白金担持酸化タングステンに対する酸化チタンの割合は145重量%であった。
実験例3にて得られた光触媒材料の分解速度定数は、2.0[/h]であった。また、光触媒材料を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液へ24時間浸漬させた後の残存量は、100重量%であった。
以上のことから、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を得られることが示された。
〔実験例4〕
実験例4では、実験例1におけるホットプレートでの加熱時間を変更して、酸化タングステン粒子を製造した。
酸化チタンから構成されるシェル層を形成する際のホットプレートでの加熱時間を4時間にした以外は、実験例1と同様の方法で、光触媒材料を得た。シェル層に白金を担持させる前の粒子(酸化チタンによって被覆された白金担持酸化タングステン粒子)において、白金担持酸化タングステンに対する、酸化チタンの割合は280重量%であった。実験例1と比較し、酸化チタンの割合が比例していないのは、この合成条件では酸化チタンが析出を始めると急速に反応が進み、析出量が増加するためである。
実験例4にて得られた光触媒材料の分解速度定数は、1.2[/h]であった。また、光触媒材料を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液へ24時間浸漬させた後の残存量は、100重量%であった。
以上のことから、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を得られることが示された。
〔実験例5〕
実験例5では、実験例1の光触媒材料において、助触媒4が白金の代わりにパラジウムである、酸化タングステン粒子を製造した。
酸化タングステンに助触媒4を担持する工程において、ヘキサクロロ白金(VI)・6水和物の代わりに、塩化パラジウム(II)(キシダ化学、99%)を、酸化タングステンに対して、パラジウムの割合が0.1重量%となるように溶解させた以外は、実験例1と同様の方法で、光触媒材料を得た。シェル層に白金を担持させる前の粒子(酸化チタンによって被覆された白金担持酸化タングステン粒子)において、白金担持酸化タングステンに対する酸化チタンの割合は80重量%であった。
実験例5にて得られた光触媒材料の分解速度定数は、2.0[/h]であった。また、光触媒材料を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液へ24時間浸漬させた後の残存量は、82重量%であった。
以上のことから、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を得られることが示された。
〔実験例6〕
実験例6では、実験例1の光触媒材料において、助触媒4および助触媒5がいずれも白金の代わりにパラジウムである、酸化タングステン粒子を製造した。
以下の(a)および(b)を行った以外は、実験例1と同様の方法で、光触媒材料を得た。
(a)酸化タングステンに助触媒4を担持する工程において、ヘキサクロロ白金(VI)・6水和物の代わりに、塩化パラジウム(II)(キシダ化学、99%)を酸化タングステンに対して、パラジウムの割合が0.1重量%となるように溶解させた。
(b)酸化チタン(シェル層)に助触媒5を担持する工程において、ヘキサクロロ白金(VI)・6水和物の代わりに、塩化パラジウム(II)(キシダ化学、99%)を、酸化チタンで被覆されたパラジウム担持酸化タングステンに対して、パラジウムの割合が0.1重量%となるように溶解させた。
シェル層にパラジウムを担持させる前の粒子(酸化チタンによって被覆されたパラジウム担持酸化タングステン粒子)において、パラジウム担持酸化タングステンに対する酸化チタンの割合は、実験例5と同様に80重量%であった。
実験例6にて得られた光触媒材料の分解速度定数は、1.7[/h]であった。また、光触媒材料を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液へ24時間浸漬させた後の残存量は、82重量%であった。
以上のことから、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を得られることが示された。
〔実験例7〕
実験例7では、実験例1における酸化タングステンの平均1次粒子径を変更して、酸化タングステン粒子を製造した。
酸化タングステンを分散する工程において、ビーズミル装置を用いず、10分の超音波照射を行った以外は、実験例1と同様の方法で、光触媒材料を得た。超音波照射後の酸化タングステン粒子について、比表面積と平均1次粒子径を測定したところ、比表面積は5.3m/gであり、平均1次粒子径は158nmであった。
また、シェル層に白金を担持させる前の粒子(酸化チタンによって被覆された白金担持酸化タングステン粒子)において、白金担持酸化タングステンに対する酸化チタンの割合は、90重量%であった。
実験例7にて得られた光触媒材料の分解速度定数は、0.6[/h]であった。また、光触媒材料を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液へ24時間浸漬させた後の残存量は、95重量%であった。
以上のことから、光触媒活性が高く、かつ、アルカリ耐性を有する可視光応答型の光触媒材料を得られることが示された。
〔比較例1〕
比較例1では、実験例1の光触媒材料において、シェル層3および助触媒5を形成しない、酸化タングステン粒子を製造した。
酸化チタン(シェル層)形成工程および酸化チタン(シェル層)に助触媒5を担持する工程を行わない以外は、実験例1と同様の方法で、光触媒材料を得た。比較例1ではシェル層を形成しないため、白金担持酸化タングステンに対する酸化チタンの割合は0重量%である。
比較例1にて得られた光触媒材料の分解速度定数は、3.0[/h]であった。また、光触媒材料を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液へ24時間浸漬させた後の残存量は、0重量%であった。
このように、シェル層を形成しない場合には、光触媒活性は得られるものの、アルカリ耐性を得ることができない。
〔比較例2〕
比較例2では、実験例1の光触媒材料において、シェル層3に助触媒5を形成しない、酸化タングステン粒子を製造した。
酸化チタン(シェル層)に助触媒5を担持する工程を行わない以外は、実験例1と同様の方法で光触媒材料を得た。シェル層に白金を担持させる前の粒子(酸化チタンによって被覆された白金担持酸化タングステン粒子)において、白金担持酸化タングステンに対する酸化チタンの割合は、実験例1と同様に79重量%であった。
比較例2にて得られた光触媒材料の分解速度定数は、1.0[/h]であった。また、光触媒材料を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液へ24時間浸漬させた後の残存量は、実験例1と同様に85重量%であった。
このように、シェル層の表面に助触媒を担持しない場合には、アルカリ耐性は得られるものの、光触媒活性が実験例にて得られた光触媒材料よりも低い。
〔比較例3〕
比較例3では、実験例1の光触媒材料において、コア粒子2に助触媒4を形成しない、酸化タングステン粒子を製造した。
酸化タングステン(コア粒子)への助触媒4を担持する工程を行わない以外は、実験例1と同様の方法で光触媒材料を得た。シェル層を形成する前の酸化タングステンに対する酸化チタンの割合は、82重量%であった。
比較例3にて得られた光触媒材料の分解速度定数は、0.8[/h]であった。また、光触媒材料を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液へ24時間浸漬させた後の残存量は、87重量%であった。
このように、コア粒子の表面に助触媒を担持しない場合には、アルカリ耐性は得られるものの、光触媒活性が実験例にて得られた光触媒材料よりも著しく低い。
〔比較例4〕
比較例4では、実験例1の光触媒材料において、シェル層3および助触媒5を形成せず、かつ、酸化タングステンの平均1次粒子径を変更して、酸化タングステン系の光触媒材料を製造した。
酸化タングステンを分散する工程において、ビーズミル装置を用いず、10分の超音波照射を行ったこと、および、酸化チタン(シェル層)形成工程および酸化チタン(シェル層)に助触媒5を担持する工程を行わないこと以外は、実験例1と同様の方法で、光触媒材料を得た。超音波照射後の酸化タングステン粒子について、比表面積と平均1次粒子径を測定したところ、比較例5と同様に、比表面積は5.3m/gであり、平均1次粒子径は158nmであった。比較例6ではシェル層を形成しないため、白金担持酸化タングステンに対する酸化チタンの割合は0重量%である。
比較例4にて得られた光触媒材料の分解速度定数は、1.5[/h]であった。また、光触媒材料を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液へ24時間浸漬させた後の残存量は、0重量%であった。
このように、シェル層を形成しない場合には、アルカリ耐性を得ることができない。また、比表面積が小さく、平均1次粒子径が大きくなると、酸化タングステンの光触媒活性が低下することが示された。
上述した実験例および比較例の光触媒材料の構成、光触媒活性(分解速度定数)、および、アルカリ耐性(残存率)を表1に示す。
Figure 0006258827
本発明の光触媒材料は、可視光に対して高い触媒活性を示すので、可視光応答型の光触媒機能製品に利用することができる。上記光触媒機能製品は、基材の表面に本発明の光触媒材料で形成された光触媒体層を備え、環境汚染物質を吸着し可視光によって分解除去する機能を有している。具体的には、天井材、タイル、ガラス、壁紙、壁材、床等の建築資材および自動車用内装材および冷蔵庫やエアコン等の家電製品および衣類やカーテン等の繊維製品などが挙げられる。
1,1a 光触媒材料
2 コア粒子
3 シェル層
4 助触媒(第1助触媒)
5 助触媒(第2助触媒)

Claims (7)

  1. 可視光に対して触媒活性を示すコア粒子と、
    コア粒子の表面全体を被覆し、可視光透過性を有するシェル層と、
    コア粒子の表面に形成された第1助触媒と、
    シェル層の表面に形成された第2助触媒とを備えることを特徴とする光触媒材料。
  2. 上記コア粒子は、酸化タングステン、可視光に対して触媒活性を示す酸化チタン、またはこれらの混合物から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光触媒材料。
  3. 上記第1助触媒および第2助触媒は、白金、銅、パラジウム、鉄、銀、金、ニッケル、ルテニウム、イリジウム、ニオブ、モリブデンを少なくとも1種含む金属または金属化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光触媒材料。
  4. 上記シェル層は、上記コア粒子に対して、5重量%以上、200重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒材料。
  5. 上記コア粒子の平均1次粒子径は、2nm以上、100nm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒材料。
  6. 上記第1助触媒は、上記コア粒子に対して、0.001重量%以上、3重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の光触媒材料。
  7. 上記第2助触媒は、上記シェル層で被覆されたコア粒子に対して、0.001重量%以上、3重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の光触媒材料。
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