JP2008266486A - 摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物および摺動部材 - Google Patents

摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物および摺動部材 Download PDF

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Abstract

【課題】成形が容易であり、特に低速度高荷重条件下で優れた摩擦摩耗特性を有する摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物およびそれを成形して成る摺動部材を提供する。
【解決手段】ポリアセタール樹脂100重量部と、炭酸ストロンチウム1〜30重量部と、潤滑油剤0.1〜10重量部と、任意成分としてウィスカ状炭酸カルシウム0.5〜15重量部とから成る摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物およびそれを成形して成る摺動部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物およびそれを成形して成る摺動部材
に関し、詳しくは、成形が容易であり、低速度高荷重条件下において優れた摩擦摩耗特性を有する摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物およびそれを成形して成る摺動部材に関する。
ポリアセタール樹脂は、その優れた機械的強度、クリープ特性、自己潤滑性、電気特性を有することから、例えば自動車部品、電子・電気部品、家具・建材部品、一般産業機械部品など広範な分野における摺動部品用途に使用されている。しかしながら、斯かる分野における要求特性は高度化かつ多様化しており、機械的強度や摩擦摩耗特性のさらなる向上が求められている。
例えば、摩擦摩耗特性を向上させる目的で、ポリアセタール樹脂に所定量のグラファイト及びふっ素樹脂を配合してなる摺動部材(例えば、特許文献1参照)、ポリアセタール樹脂にポリオレフィン系樹脂を配合した樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)が提案されている。これらの摺動部材において、ふっ素樹脂またはポリオレフィン系樹脂を配合することにより、摩擦摩耗などの摺動特性をある程度向上させることが出来るが、ポリアセタール樹脂との相容性に乏しいため、高荷重(高面圧)条件下で使用した際の摩擦摩耗などの摺動特性が十分でなく、また成形性においても、成形品表面に剥離を生じたり、成形金型に析出物を発生させ易いという問題がある。
また、ポリアセタール樹脂に潤滑油を配合した摺動部材(例えば、特許文献3参照)が提案されている。この摺動部材は、摩擦摩耗特性を著しく向上させるが、各成分が均一混合された成形体を得るための成形条件が複雑であり、成形時の成形機の加熱シリンダー部の温度制御などに改造を施す必要がある等の問題がある。従って、従来の公知のポリアセタール樹脂から成る摺動部材は、摺動特性、成形性、その他実用上の見地から未だ充分でなく、これらの諸性質を改良した摺動部材が望まれている。
特開昭62−54753号公報 特開2002−105279号公報 特公昭47−42615号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、成形が容易であり、優れた摩擦摩耗特性を有する摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物およびそれを成形して成る摺動部材を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、ポリアセタール樹脂と潤滑油剤とから成るポリアセタール樹脂組成物に、特定量の炭酸ストロンチウムを配合することにより、成形性が極めて容易となり、更に摩擦摩耗特性も向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の要旨は、ポリアセタール樹脂100重量部と、炭酸ストロンチウム1〜30重量部と、潤滑油剤0.1〜10重量部とから成る摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物に存する。
本発明の第2の要旨は、上記の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物を成形して成る摺動部材に存する。
本発明の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物は成形が容易であり、摩擦摩耗特性、特に低速度高荷重条件下における摩擦摩耗特性に優れる摺動部材を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂と、炭酸ストロンチウムと、潤滑油剤とから成る。
上記のポリアセタール樹脂としては、構成単位としてオキシメチレン基(−CHO−)のみから成るポリアセタールホモポリマーと、オキシメチレン基を主たる構成単位とし、炭素数2〜6のオキシアルキレン単位を含むポリアセタールコポリマーを使用することができる。ポリアセタールホモポリマーとポリアセタールコポリマーとを組合せて使用してもよい。
ポリアセタール樹脂の分子量(数平均分子量)は、樹脂組成物として成形が可能であれば特に制限はなく、通常20,000〜80,000の範囲である。また、ASTM−D−1238法で測定したメルトフローレートが4g/10min以上の比較的流動性のよいポリアセタール樹脂を使用することが好ましい。
ポリアセタール樹脂の具体例としては、ホルムアルデヒドのホモポリマー(イー・アイ・デュポン社製「デルリン」(登録商標)、分子量50,000〜70,000)、トリオキサンとエチレンオキサイドとの100/0.1〜15の共重合体(ポリプラスチックス社製「ジュラコン」(登録商標)、分子量約50,000)等が挙げられる。
上記の炭酸ストロンチウム(SrCO)は、後述する潤滑油剤と相俟って摩擦摩耗特性の向上に寄与する。炭酸ストロンチウムは、摺動部材中に分散含有されるため、その平均粒径はとくに重要なファクターとなる。炭酸ストロンチウムのレーザー回折散乱法による平均粒径は、通常0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmである。平均粒径が0.1μm未満の場合、摺動部材の摩擦摩耗特性の向上に充分でなく、平均粒径が10μmを超える場合、摺動部材の摺動面に露出する割合が多くなり、却って耐摩耗性を低下させることになる。
炭酸ストロンチウムの配合量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し1〜30重量部、好ましくは2〜10重量部、さらに好ましくは3〜7重量部である。炭酸ストロンチウムの配合量が1重量部未満の場合、摺動部材として成形する際に複雑な条件設定を行わなければ均一な組成物を得ることが出来ず、通常の成形条件では潤滑油剤成分が分離する虞がある。配合量が30重量部を超える場合、成型加工性が悪化する。
上記の潤滑油剤としては、常温で液状を呈する潤滑油剤および/または成形加温時に液状を呈する潤滑油剤が使用できる。常温で液状を呈する潤滑油剤(常温とは通常15〜27℃程度、概ね20℃程度)としては、スピンドル油、冷凍機油、ダイナモ油、タービン油、マシン油、シリンダー油、ギア油などのパラフィン系およびナフテン系鉱油;鯨油などの動物油;ひまし油、ホホバオイル等の植物油;および、エステル系合成油、ポリグリコール系合成油、ポリフェニルエーテル系合成油、シリコーン系合成油およびハロカーボン系合成油などの合成油が1種以上選択できる。
上記の成形加温時に液状を呈する潤滑油剤としては、炭化水素系ワックス、高級脂肪酸および高級脂肪酸を誘導して得られるワックス等から1種以上選択できる。
上記の炭化水素系ワックスとしては、概ね炭素数が24以上のパラフィン系ワックス、概ね炭素数が26以上のオレフィン系ワックス、概ね炭素数が28以上のアルキルベンゼンが挙げられ、このほか結晶質のマイクロクリスタリンワックスも使用できる。
上記の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、アラキジン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などの炭素数10以上、好ましくは炭素数12以上の高級飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、オクタデセン酸、アラキドン酸、カドレイン酸、エルカ酸、パリナリン酸などの炭素数が12以上の不飽和脂肪酸などが挙げられる。
上記の高級脂肪酸を誘導して得られるワックスとしては、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩などが挙げられる。
上記の高級脂肪酸エステルは、高級脂肪酸とアルコール類との反応によって得られるエステルである。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、アラキジン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などの炭素数10以上、好ましくは炭素数12以上の直鎖または分岐鎖の高級飽和脂肪酸およびオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、アラキドン酸、カドレイン酸、エルカ酸などの炭素数10以上、好ましくは炭素数12以上の不飽和高級脂肪酸などが挙げられる。
アルコール類としては、一価の飽和脂肪族アルコール、一価の不飽和脂肪族アルコール、多価アルコール等の脂肪族アルコールが挙げられる。一価の飽和脂肪族アルコールとしては、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数10〜26の高級飽和脂肪族アルコールが挙げられる。一価の不飽和脂肪族アルコールとしては、オレイルアルコール等の炭素数16〜20の高級不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、ヘキサデカン−1,2−ジオール、オクタデカン−1,2−ジオール、イコサン−1,2−ジオール等の炭素数2〜20のアルキレンジオール;1,2−シクロノナンジオール、1,2−シクロデカンジオール等の炭素数6〜20のシクロアルカンジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の炭素数3〜8のアルカントリオール;エリスリトール、ペンタエリスリトール等の炭素数4〜8のアルカンテトラオール等が挙げられる。
上記の高級脂肪酸エステルの具体例としては、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘネート等の炭素数12〜26の高級脂肪酸と炭素数12〜24のモノアルコールとのエステル;エチレングリコール−モノ又はジパルミチレート、エチレングリコールモノ又はジステアレート、エチレングリコールモノ又はジベヘネート、エチレングリコールモノ又はジモンタネート等の炭素数2〜6のアルキレンジオールと炭素数12〜26の高級脂肪酸とのエステル;グリセリンモノ、ジ又はトリパルミチネート、グリセリンモノ、ジ又はトリステアレート、グリセリンモノ、ジ又はトリベヘネート、グリセリンモノ、ジ又はトリモンタネート等の炭素数3〜6のアルカントリオール(例えばグリセリン等)と炭素数12〜24の高級脂肪酸とのモノ、ジ又はトリエステル;ペンタエリスリトールモノ、ジ、トリ又はテトラパルミチネート、ペンタエリスリトールモノ、ジ、トリ又はテトラステアレート、ペンタエリスリトールモノ、ジ、トリ又はテトラベヘネート、ペンタエリスリトールモノ、ジ、トリ又はテトラモンタネート等の炭素数4〜6のアルカンテトラオール(例えばペンタエリスリトール)と炭素数14〜24の高級脂肪酸とのモノ、ジ、トリ又はテトラエステル等が挙げられる。
上記の高級脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等の飽和高級脂肪酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和高級脂肪酸アミド及びメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等の高級脂肪酸ビスアミドが挙げられる(高級脂肪酸メチルアミド、高級脂肪酸エチルアミド等の飽和または不飽和高級脂肪酸アルキルアミドも含む)。
上記の高級脂肪酸塩は、上記高級脂肪酸とリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属またはマグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属との塩である。具体例としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
上記の常温で液状を呈する潤滑油剤および成形加温時に液状を呈する潤滑油剤は、何れかを1種以上使用してもよく、また、それぞれを1種以上組合せて使用してもよい。常温で液状を呈する潤滑油剤と成形加温時に液状を呈する潤滑油剤とを併用する場合、成形加温時に液状を呈する潤滑油剤が常温で液状を呈する潤滑油剤を吸収保持する保持体の役割を果たすために、潤滑油剤としての含有量を多くすることが出来る。
潤滑油剤の配合量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部である。潤滑油剤の配合量が0.1重量部未満の場合、摩擦摩耗特性の向上に寄与せず、10重量部を超える場合、成形時にブリードアウトを惹起し、成形性を悪化させる虞がある。
本発明の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物は、任意成分として、長さ0.5〜40μm、好ましくは20〜30μm、直径0.1〜2μm、好ましくは0.5〜1.0μmのウィスカ状炭酸カルシウムを配合してもよい。ここで、ウィスカ状炭酸カルシウムとは、長さ(l)/直径(d)で示されるアスペクト比(l/d)が20以上の針状のアラゴナイト形結晶炭酸カルシウムを意味する。ウィスカ状炭酸カルシウムの具体例としては、丸尾カルシウム社製の「ウィスカル(登録商標)」が挙げられる。
ウィスカ状炭酸カルシウムは、摺動部材の強度を向上させると共に耐摩耗性の向上に寄与する。ウィスカ状炭酸カルシウムの配合量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し通常0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは3〜7重量部である。ウィスカ状炭酸カルシウムの配合量が0.5重量部未満の場合、摺動部材の強度向上および耐摩耗性の向上に寄与せず、15重量部を超える場合、耐摩耗性を悪化させる虞がある。
本発明の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、着色剤、酸化防止剤などの公知の摺動部材用樹脂組成物に使用する添加剤を配合することが出来る。
次に、本発明の摺動部材について説明する。本発明の摺動部材は、上記の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物を成形して成る。その製造方法としては、ポリアセタール樹脂粉末またはペレットに、所定量の炭酸ストロンチウム粉末、潤滑油剤および任意成分としてウィスカ状炭酸カルシウム粉末を配合し、ヘンシェル型ミキサー等の混合機によって混合して混合物を作製した後、得られた混合物をスクリュー式押出機で押出成形して紐状の成形物を得る。得られた成形物を切断してペレット化したものを成形材料とし、この成形材料をスクリューインライン型射出成形機によって所望の形状の成形物(摺動部材)を得る。
本発明の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物は、複雑な成形条件の設定をすることなく、また付帯設備を必要とすることもなく、通常の成形条件により潤滑油剤が分離することなく摺動部材として成形することが出来る。
以下、本発明を、実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した原料を以下に示す。
(1)ポリアセタール樹脂:ポリアセタールコポリマー(ポリプラスチック社製「ジュラコン(登録商標)M90−44」)
(2)炭酸ストロンチウム:レーザー回折散乱法による平均粒径が0.7μmの炭酸ストロンチウム粉末(本荘ケミカル社製「炭酸ストロンチウムB」)
(3)潤滑油剤:
(3−1)常温で液状を呈する潤滑油剤:エンジン油(昭和シェル石油社製「セレクトマルチ」)
(3−2)成形加温時に液状を呈する潤滑油剤:
(3−2a)炭化水素系ワックス:パラフィンワックス(日本精蝋社製「パラフィンワックス」)
(3−2b)炭化水素系ワックス:ポリエチレンワックス(クラリアントジャパン社製「リコワックス」)
(3−2c)高級脂肪酸:ステアリン酸
(3−2d)高級脂肪酸エステル:グリセリンモノベヘネート
(3−2e)高級脂肪酸アミド:ステアリン酸アミド
(3−2f)高級脂肪酸塩:ステアリン酸カルシウム
(4)ウィスカ状炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製「ウィスカル(登録商標)」、
長さ(l)が20〜30μm、直径(d)が0.5〜1.0μmで、アスペクト比(l/d)が20以上
(5)その他の固体潤滑剤:
(5−1)黒鉛:150メッシュの篩を通過する天然黒鉛
(5−2)四ふっ化エチレン樹脂:ダイキン工業社製「ルブロン(登録商標)L5」
実施例1〜13、比較例1〜2:
ポリアセタール樹脂100重量部に対し、表2〜4に示す様な組成で炭酸ストロンチウム粉末、潤滑油剤、ウイスカ状炭酸カルシウム(実施例11〜13のみ)及びその他の固体潤滑剤(比較例1〜2のみ)を配合し、ヘンシェル型ミキサーによって混合した後、35mmφの二軸押出機(東芝機械社製「TEM−35BS」)を使用して溶融混練し、ペレットを得、次いでこのペレットをスクリューインライン型射出成形機(住友重機工業社製社製「SG−50」)によって、成形温度180℃、射出成形圧力900kgf/cmで成形し、内径10mm、外径14mm、長さ10mmの円筒状軸受(ブッシュ)を作製した。なお、この成形条件は、通常の樹脂製円筒状軸受を作製する場合の一般的な条件である。
実施例および比較例で得られた円筒状軸受(ブッシュ)に対し、表1に示す条件で摩擦係数および摩耗量を測定した。摩擦係数については評価試験開始後摩擦係数が安定した状態における値を示し、摩耗量については評価試験前後の寸法変化量で示した。測定結果を表2〜4に示す。
Figure 2008266486
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表2〜4の結果から明らかなように、炭酸ストロンチウムを配合した実施例1〜13の本発明のポリアセタール樹脂組成物から成形した摺動部材は、低速度高荷重条件下、無潤滑条件下において優れた摩擦摩耗特性を示す。これは、成分中の炭酸ストロンチウムと潤滑油剤あるいは炭酸ストロンチウムと潤滑油剤とウィスカ状炭酸カルシウムとの相乗効果により、摺動面に潤滑油剤が供給され、常時潤滑油剤を介して均一な摩擦が行われているためと推察される。
一方、炭酸ストロンチウムを配合していない比較例1〜2の摩擦摩耗特性は実施例のそれと比較して劣る。これは、実施例で採用した一般的な摺動部材の成形条件では、均一なポリアセタール樹脂組成物が得られず、潤滑油剤が分離してしまったため、不均一な摩擦が行われていると推察される。
以上の様に、本発明の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物は、許容最高面圧が17.5N/mm、許容最高速度が0.85m/sec(許容PV値2.45N/mm・m/sec)程度で使用される従来のポリアセタール樹脂に潤滑油を配合した組成物から成る摺動部材の条件下のうち、例えば、上述の様な荷重(面圧)0.98N/mm(10kgf/cm)、速度0.17m/sec(10m/min)程度で使用される所謂低速度高荷重条件下において、優れた摩擦摩耗特性を有することがわかる。

Claims (9)

  1. ポリアセタール樹脂100重量部と、炭酸ストロンチウム1〜30重量部と、潤滑油剤0.1〜10重量部とから成る摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物。
  2. ポリアセタール樹脂が、ポリアセタールホモポリマー及び/又はポリアセタールコポリマーから成る請求項1に記載の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物。
  3. 炭酸ストロンチウムのレーザー回折散乱法による平均粒径が0.1〜10μmである請求項1又は2に記載の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物。
  4. 潤滑油剤が、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、動物油、植物油および合成油から選択される1種以上の常温で液状を呈する潤滑油剤である請求項1〜3の何れかに記載の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物。
  5. 合成油が、エステル系合成油、ポリグリコール系合成油、ポリフェニルエーテル系合成油、シリコーン系合成油およびハロカーボン系合成油から選択される1種以上である請求項4に記載の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物。
  6. 潤滑油剤が、炭化水素系ワックス、高級脂肪酸および高級脂肪酸を誘導して得られるワックスから選択される1種以上の成形加温時に液状を呈する潤滑油剤である請求項1〜3の何れかに記載の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物。
  7. 潤滑油剤が、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、動物油、植物油および合成油から選択される1種以上の常温で液状を呈する潤滑油剤と、炭化水素系ワックス、高級脂肪酸および高級脂肪酸を誘導して得られるワックスから選択される1種以上の成形加温時に液状を呈する潤滑油剤とから成る請求項1〜3の何れかに記載の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物。
  8. 更に、長さ20〜30μm、直径0.5〜1.0μmのウィスカ状炭酸カルシウムが、ポリアセタール樹脂100重量部に対し0.5〜15重量部配合されている請求項1〜7の何れかに記載の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の摺動部材用ポリアセタール樹脂組成物を成形して成る摺動部材。
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