JP2008264143A - トップリフト、靴ヒールおよび靴 - Google Patents
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Abstract
【課題】取付ピンの固定性、耐久性に優れ、歩行時の滑りを防止しうるトップリフトを提供する。
【解決手段】軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との二層からなるトップリフト本体から取付ピンが突出するトップリフトであり、トップリフトの接地面は前記軟質合成樹脂層[I]で構成され、かつ前記軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とが凹凸部を嵌合して結合される。接地面が軟質合成樹脂層[I]であるから歩行時の滑りを防止でき、嵌合によって結合するからトップリフト本体の耐久性に優れる。
【選択図】図1
【解決手段】軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との二層からなるトップリフト本体から取付ピンが突出するトップリフトであり、トップリフトの接地面は前記軟質合成樹脂層[I]で構成され、かつ前記軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とが凹凸部を嵌合して結合される。接地面が軟質合成樹脂層[I]であるから歩行時の滑りを防止でき、嵌合によって結合するからトップリフト本体の耐久性に優れる。
【選択図】図1
Description
本発明は、靴の踵の底に取り付けられる軟質のトップリフトおよび該トップリフトを踵に取り付けた靴、およびトップリフトの製造方法に関する。
靴底のヒールの接地面のみにトップリフトが取り付けられている靴がある。トップリフトは、靴の踵の底面に取り付けることでそのまま接地させたのでは磨耗しやすいヒールを保護するものであり、トップリフトが磨耗すると適宜新たなものと交換し、ヒール基台の損傷を防止している。このようなトップリフトは、ヒール基台の保護に適する機械的強度のほか、歩行時の音をなくし、平滑な路面を歩行した場合にも滑りを防止できる機能などが要求される。
このようなトップリフトとして、扁平な基部と基部から突出する軸部とからなる取付ピンを、軸部を突出させて基部を合成樹脂で包埋した形状のトップリフトであって、取付ピンを金属で形成し、取付ピンの基部を硬質ウレタン樹脂で包囲し、かつ接地面を軟質ウレタン樹脂で形成して前記硬質ウレタン樹脂層に接続して構成した踵保護用化粧がある(特許文献1)。接地面が硬質材料で構成されると、歩行に際してコツコツと音がし、また滑りやすい点に鑑みて、硬質ウレタン樹脂と軟質ウレタン樹脂との二層成形で製造することで、歩行の際の音響と滑りを防止する、というものである。
また、靴の踵に形成された嵌入穴へ嵌入される嵌入軸部と、この嵌入軸部の下端に連設される平板状の基部を備えた金属材と、前記嵌入軸部が突出する状態で前記基部全体を被包した硬質ウレタン樹脂層と、前記嵌入軸部が突出する状態で前記硬質ウレタン樹脂層を更に軟質ウレタン樹脂層で被包したトップリフトもある(特許文献2)。特許文献2は、特許文献1記載の踵保護用化粧では、硬質ウレタン層が厚く、軟質ウレタン層が薄くなるため歩行時の衝撃吸収性が不十分である点に鑑みてなされたものであり、嵌入軸部が突出する状態で前記基部全体が硬質ウレタン樹脂層で被包され、更に、その外周が軟質ウレタン樹脂で被包されるため、軟質ウレタン樹脂層は、接地面側の部分が摩耗しても靴の踵部側に取り付けられる部分は摩耗しないので衝撃吸収性を確保することができる、という。
また、硬質ウレタン樹脂製の取り付けピンの基部を軟質ウレタン樹脂からなるトップリフト本体内に包埋した形状のトップリフトもある(特許文献3)。トップリフト本体部の踵底当接面から取り付けピンの軸部を突出させ、上記軸部を、靴の踵の底に開けられた嵌入孔内に嵌入することで該トップリフト本体部を該踵の底に物理的に固定するものであり、上記嵌入軸部が硬質ウレタン樹脂製、上記トップリフト主体部が軟質ウレタン樹脂製であり、該嵌入軸部と該トップリフト主体部とをインサート成形により互いに接着させたトップリフトである。嵌入軸部とトップリフト主体部とを別部品で構成する場合や、トップリフト主体部と嵌入軸部とを特定のウレタン樹脂材料で単一部品としてモールド成形する場合には、基部を覆うトップリフト主体部に硬質ウレタン樹脂を用いる必要があり衝撃吸収性が不満足となる点に鑑みてなされたものである。特許文献3記載の発明は、靴の踵に取り付く嵌入軸部を硬質のウレタン樹脂製とするため十分な強度を確保し得る一方、支配的な厚さを持つトップリフト主体部を軟質ウレタン樹脂製としたので十分な衝撃吸収性能を発揮でき、歩行音が響きすぎるようなこともなく着用感が良い、という。
更に、接地面を軟質合成樹脂で形成したトップリフトとして、靴の踵に形成された穴に嵌入される突起部、この突起部の下端に位置する平板状の基部を硬質合成樹脂で一体成形した第1部材と、前記基部の底面側に軟質合成樹脂で一体成形され、下面を接地面とした第2部材と、からなるトップリフトもある(特許文献4)。上記特許文献1記載の踵保護用化粧では、硬質ウレタン層を形成するので硬質ウレタン層が厚くなり、軟質ウレタン層が薄くなる点、およびその製造方法として、金属材の基板部に硬質ウレタン樹脂をモールドし、硬質ウレタン樹脂と軟質ウレタン樹脂とを二色成形して三者を一体とするため、成形するが面倒である点に鑑みてなされたものである。特許文献4記載のトップリフトは、二色成形によって容易に製造でき、接地面を形成する軟質合成樹脂層[I]を厚くして歩行に際してこつこつという音が発生せず、滑りにくいという。
なお、ヒールが細長いハイヒールでは、図16に示す方法でヒール基台とトップリフトとが結合されている。すなわち、基部(3)を突出させて軸部(5)をトップリフト本体(1)に固設したトップリフトを使用し、ヒール基台(11)に穿設しかつ金属管(15)を挿入した縦穴(13)に、前記基部(3)を挿入して固定する。
実公平5−6808号公報
特開2005−177271号公報
特開2005−304978号公報
特開平08−10007号公報
トップリフトは、ヒール基台を保護するものであるから歩行時の離脱が防止され、取付時や歩行時の回転が抑制される程度に固定される必要がある。しかしながら、いわゆるピンヒールなどのようにトップリフトの接地面積、横断面積が狭い場合には、複数の取付ピンを配設したトップリフトを使用して固定することは困難である。また、固定のために取付ピンの強度を確保する必要があり、トップリフトに使用される取付ピンは金属で構成される必要がある。しながら、上記特許文献2、特許文献4に記載されるトップリフトは、ヒール基台と嵌合する取り付けピンを複数配設しかつ合成樹脂で成形するものであり、ピンヒールなどの設置面積が狭いものへ応用することは困難である。
また、耐久性や取付ピンの安定性を確保するため取付ピンを硬質合成樹脂で固設すると滑りやすく、また歩行時の音が問題となる。一方、柔軟な合成樹脂で成形すると、使用感には優れるが磨耗による耐久性に劣り、トップリフト本体内で取り付けピンがぐらつき、トップリフトとしての機能を発揮しえない場合がある。加えて、特許文献1では、取付ピンを硬質合成樹脂層内に固設し接地面に軟質合成樹脂層を配設するが、軟質ウレタン樹脂層が薄く、かつ硬質ウレタン樹脂層と軟質ウレタン樹脂層とが剥離しやすいため、実際の耐久性が十分でない。
また、特許文献3記載では、金属の取り付けピンを使用し、基部を硬質ウレタン樹脂で被覆した取付ピンを更に軟質ウレタン樹脂で固設しているが、軟質ウレタン樹脂は柔軟性を有するためトップリフト内で取付ピンを強固に固定することができず、ヒール基台へ装着した後のトップリフトの固定性も十分でない。
そこで本発明は、取付ピンをしっかりと固定することができ、ヒール基台に取り付けた後にも離脱や回転を抑制でき、トップリフト本体の耐久性に優れるトップリフトを提供することを目的とする。
また、歩行時の滑りや歩行時の音を抑制でき、柔軟性に優れ、使用感に優れるトップリフトを提供することを目的とする。
加えて、上記トップリフトを挿嵌した靴ヒールや該靴ヒールを有する靴を提供することを目的とする。
更に、使用感および耐久性に優れるトップリフトを簡便に製造しうる、トップリフトの製造方法を提供することを目的とする。
取付ピンがトップリフト本体に固設されたトップリフトについて詳細に検討した結果、トップリフト本体を軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との二層で構成し、接地面を前記軟質合成樹脂層[I]で構成すると、走行時の滑りや音を抑制することができること、取付ピンの基部をトップリフト本体の硬質合成樹脂層に固設すると、取付ピンがトップリフト本体から外れるのを効率的に防止しうること、かつ前記軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とを凹凸部を嵌合させて結合すると、接着剤を使用することなく軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とを強固に結合でき、かつ軟質合成樹脂の使用割合が増加するため弾力性が増加され使用感に優れること、特にハイヒールなどの接地面積が小さい場合でもトップリフト本体と取り付けピンとの固定性に優れることを見出しを見出し、本発明を完成させた。
また、取付ピンの基部を前記硬質合成樹脂層内に固定し、ついで前記硬質合成樹脂層に形成した凹凸部に軟質合成樹脂を充填してトップリフト本体を成形すると、硬質合成樹脂層と軟質合成樹脂層とが嵌合によって結合するトップリフトを製造しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、基部と該基部に突設される軸部とからなる取付ピンが、該軸部を突出させてトップリフト本体に固設されるトップリフトにおいて、前記トップリフト本体は、軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との二層からなり、トップリフトの接地面は前記軟質合成樹脂層[I]で構成され、かつ前記軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との接触面は凹凸部を有し、前記凹凸部を嵌合して軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とが結合されることを特徴とする、トップリフトを提供するものである。
また、上記トップリフトを、ヒール基台に挿嵌した靴ヒールを提供するものである。
更に、上記靴ヒールを有する靴を提供するものである。
加えて、嵌合して結合される軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との2層からなるトップリフト本体の前記硬質合成樹脂層に取付ピンの基部が固設されるトップリフトの製造方法であって、取付ピンの基部が硬質合成樹脂層に固設され、かつ軟質合成樹脂層との接触面に凹凸を有する中間体を製造する工程と、前記中間体の凹凸部に軟質合成樹脂を充填して軟質合成樹脂層[I]を形成する工程とを含む、トップリフトの製造方法を提供するものである。
本発明のトップリフトは、トップリフト本体が軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とからなり、かつ両合成樹脂層の接触面が互いに嵌合により強固に結合され、耐久性に優れる。
本発明のトップリフトは、接地面が柔軟な軟質合成樹脂層[I]で形成されるため、歩行時の滑りや走行音が抑制され、使用感に優れる。
本発明では、トップリフト本体の硬質合成樹脂層に取り付けピンの基部が包埋されるため、取付ピンとトップリフトとがしっかりと固定され、ヒール基台からの離脱や回転を効果的に防止することができる。
本発明のトップリフトの製造方法によれば、接着剤を使用せずに硬質合成樹脂層と軟質合成樹脂層[I]との結合性に優れるトップリフトを製造することができ、環境保全に優れる。
本発明の第一は、基部と該基部に突設される軸部とからなる取付ピンが、該軸部を突出させてトップリフト本体に固設されるトップリフトにおいて、前記トップリフト本体は、軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との二層からなり、トップリフトの接地面は前記軟質合成樹脂層[I]で構成され、かつ前記軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との接触面は凹凸部を有し、前記凹凸部を嵌合して軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とが結合されることを特徴とする、トップリフトである。
前記取付ピンの基部は、トップリフト本体の硬質合成樹脂層に固設されることが好ましい。前記取付ピンの基部は、その外周に切り欠き部を有していてもよく、前記軟質合成樹脂層[I]が貫通しうる貫通孔を有していてもよい。
更に前記硬質合成樹脂層は、軟質合成樹脂層[I]との接触面からヒール基台側に貫通する貫通部を有し、該貫通部に軟質合成樹脂層[I]が充填されて硬質合成樹脂層と軟質合成樹脂層[I]とが嵌合されるものであってもよい。
また、前記取付ピンの基部は、その外周に切り欠き部や貫通孔を有していてもよい。
また、前記軟質合成樹脂層[I]および/または軟質合成樹脂[II]は、軟質ウレタン樹脂であり、前記硬質合成樹脂は、硬質ウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン系樹脂のいずれかであることが好ましく、これらは更にガラス繊維を含んでいてもよい。以下、本発明の好適な実施態様の一例を示す図1を参照して説明する。
(1)トップリフトの構成
図1(a)は、トップリフト(10)をヒール基台(11)に取り付けたヒール(100)の断面図であり、図1(b)はトップリフト(10)をヒール基台(11)に挿嵌する前の態様を示す図である。図1において、1はトップリフト本体、1aはトップリフト本体を構成する硬質合成樹脂層、1bはトップリフト本体を構成する軟質合成樹脂層[I]、3は取付ピンの基部、5は取付けピンの軸部、10はトップリフト、11はヒール基台、13は縦穴、15は金属管、100はヒールを示す。図1(b)に示すように、トップリフト(10)は取付ピンの軸部(5)を突出して構成され、ヒール基台に設けた縦穴(13)に前記軸部(5)を挿嵌することでトップリフトがヒール基台に固定される。
図1(a)は、トップリフト(10)をヒール基台(11)に取り付けたヒール(100)の断面図であり、図1(b)はトップリフト(10)をヒール基台(11)に挿嵌する前の態様を示す図である。図1において、1はトップリフト本体、1aはトップリフト本体を構成する硬質合成樹脂層、1bはトップリフト本体を構成する軟質合成樹脂層[I]、3は取付ピンの基部、5は取付けピンの軸部、10はトップリフト、11はヒール基台、13は縦穴、15は金属管、100はヒールを示す。図1(b)に示すように、トップリフト(10)は取付ピンの軸部(5)を突出して構成され、ヒール基台に設けた縦穴(13)に前記軸部(5)を挿嵌することでトップリフトがヒール基台に固定される。
図2(a)は、本願発明のトップリフトの好適な態様の一例の斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に使用された取付ピンの一態様を、図2(c)は、図2(a)のA−A'線の切断断面図を示す。図2(a)に示すように、本発明では、トップリフト本体(1)の接地面側に軟質合成樹脂層[I](1b)が配置され、そのヒール基台側に硬質合成樹脂層(1a)が配置され、取付ピンの軸部(5)がトップリフト本体(1)から突出される。本発明で使用する取付ピンの形状には限定はないが、図2(b)に、円盤状の基部(3)の中央から突出する軸部(5)を有する取付ピンを例示する。図2(c)に示すように、硬質合成樹脂層(1a)と軟質合成樹脂層[I](1b)とは嵌合によって結合している。なお、図2(d)に嵌合前の硬質合成樹脂層(1a)と軟質合成樹脂層[I](1b)との断面図を示す。図2(d)に示すように、硬質合成樹脂層(1a)には、軟質合成樹脂層[I]との接触面からヒール基台側に貫通する嵌合用凹凸部、すなわち貫通部(4a)と、貫通しない嵌合用凹凸部(4b)とが形成されている。一方、軟質合成樹脂層[I](1b)には、前記貫通部(4a)や貫通しない嵌合用凹凸部(4b)と嵌合する凹凸部(4a、4b)が形成され、これらが相互に嵌合して軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とが結合する。
なお、本発明における「軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との接触面」とは、各合成樹脂層に嵌合用の凹凸部がない場合に想定される断面視直線状の接合面を意味する。トップリフト本体が平面状の硬質合成樹脂層(1a)と軟質合成樹脂層[I](1b)とを積層してなるトップリフトの断面図を図2(e)に示す。同図に示すように、硬質合成樹脂層(1a)と軟質合成樹脂層[I](1b)とが層状に積層される場合には、断面視直線状の接合面「X」で結合される。本発明は、軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との接触面は凹凸部を有し、前記凹凸部を嵌合して軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とが結合されることを特徴とするものであり、「軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との接触面」とは、各合成樹脂層に嵌合用の凹凸部がない場合に想定される前記断面視直線状の接合面Xとなる。
なお、図2では、取付ピンの基部(3)が硬質合成樹脂層(1a)内に固設される態様を示したがこれに限定されるものではなく、取付ピンの形状や嵌合用の凹凸部の形状によって取付ピンの基部の全部または一部が軟質合成樹脂層[I]に固設されてもよい。ただし、取付ピンを安定して固定するために硬質合成樹脂層(1a)に固設することが望ましい。
本発明のトップリフトは、ハイヒールなどの接地面積が狭いトップリフトでも有効であるが、ハイヒールに限定されるものでなく、ヒール基台が広く、複数の取付ピンによってヒール基台に装着されるトップリフトであってもよい。この態様を図3に示す。図3(a)は、例えばパンプス用のヒール基台に装着する取付ピンが2本配設されたトップリフトの平面図(ヒール基台側)であり、図3(b)は、図3(a)のA−A'線で切断した断面図である。トップリフトの接地面が前記軟質合成樹脂層[I](1b)で構成され、硬質合成樹脂層(I)(1a)と軟質合成樹脂層[I](1b)とからなるトップリフト本体に2本の取付ピンが配設され、前記硬質合成樹脂層(1a)と軟質合成樹脂層[I](I)(1b)とは、両合成樹脂の接触面に形成された凹凸部(4a,4b)を嵌合して結合している。なお、図3では、取付ピンが2本の場合で例示したが、トップリフトを装着するヒール基台の形状、面積などに応じて3本以上の取付ピンを配設してもよい。
本発明において、トップリフト本体(1)の高さに関する制限は特にないが、一般には4〜9mm、より好ましくは5〜7mmである。また、トップリフト本体(1)から突出する取付ピンの軸部(5)の長さは一般には3〜100m、好ましくは3〜15mm、より好ましくは5〜15mm、特に好ましくは5〜10mmである。この範囲であれば、ヒール基台(11)へ取り付けた後の強度に優れる。トップリフトの接地面の面積やヒール基台側の面積は、このトップリフトを装着するヒール基台のサイズによって適宜選択することができる。
(2)トップリフト本体
本発明のトップリフトは、硬質合成樹脂層(1a)と軟質合成樹脂層[I](1b)とからなるトップリフト本体(1)を使用し、両合成樹脂が嵌合して結合される点に特徴があり、これによって接着剤を使用することなく、かつ安定して両合成樹脂を結合することができる。また、嵌合による結合によれば、軟質合成樹脂(1a)の使用量が増加するため柔軟性を確保して使用感を向上させることができる。
本発明のトップリフトは、硬質合成樹脂層(1a)と軟質合成樹脂層[I](1b)とからなるトップリフト本体(1)を使用し、両合成樹脂が嵌合して結合される点に特徴があり、これによって接着剤を使用することなく、かつ安定して両合成樹脂を結合することができる。また、嵌合による結合によれば、軟質合成樹脂(1a)の使用量が増加するため柔軟性を確保して使用感を向上させることができる。
本発明において、「嵌合」とは、軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との接触面に設けられた凹凸部が互いにはまりあうことを意味する。凹凸部の深さや形状に限定はなく、このため硬質合成樹脂層に形成された凹凸部が接地面側からヒール基台側まで貫通するものであってもよい。
このような軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とが嵌合したトップリフトの態様を図4に示す。図4は、トップリフトを、取付ピンの中央部を含むように切断した断面図である。図4(a)は、硬質合成樹脂層(1a)が、軟質合成樹脂層[I](1b)との接触面からヒール基台側に貫通する嵌合用凹凸部、すなわち貫通部(4a)を有する態様であり、かつ取付ピンの基部の下方に、貫通しない嵌合用凹凸部(4b)が形成されている。前記貫通部(4a)および貫通しない嵌合用凹凸部(4b)に軟質合成樹脂が充填されると、両合成樹脂層が嵌合によって結合される。
硬質合成樹脂層(1a)内の形成された前記貫通部(4a)は、長手方向に同一径である必要はなく、嵌合強度を向上させるために軟質合成樹脂層[I](1b)との接触面からヒール基台側に向かって径が漸増する態様であってもよい(図4(b)参照)。前記嵌合用凹凸部において、径が長手方向に漸増する態様はヒール基台側に貫通部(4a)に限定されるものでなく、貫通しない嵌合用凹凸部(4b)であって径がヒール基台に向かって漸増する態様であってもよい。このような貫通しない凹凸部(4b)は2以上存在すれば軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とを結合することができる(図4(c)参照)。なお、図4(c)、図4(d)には、硬質合成樹脂層(1a)にヒール基台側に貫通する嵌合用凹凸部、すなわち貫通部(4a)を含まない態様を示す。
また、基部に貫通孔、または硬質合成樹脂(1a)が貫通しうる切り欠き部を有する取付ピンを使用して、硬質合成樹脂層(1a)に貫通部などの前記嵌合用凹凸部(4a、4b)を形成してもよい。この場合、取付ピンの基部を貫通して前記嵌合用の凹凸部(4a,4b)を形成することができる。基部に貫通孔を有する取付ピンを使用した場合の態様を図4(e)に示す。取付ピンが貫通孔を有し、かつ硬質合成樹脂層(1a)の貫通部(4a)の径がヒール基台に向かって漸増する態様を図4(f)に示す。なお、嵌合用凹凸部は、両合成樹脂層を結合できるものであれば、その配置や数、形状などが限定されるものでない。
本発明のトップリフトは、少なくとも接地面側に軟質合成樹脂層[I]を有し、硬質合成樹脂層(1a)とが嵌合によって結合すれば、更に軟質合成樹脂層[II]その他の層を含んでいてもよい。したがって、トップリフト本体が接地面側からヒール基台側に向かって軟質合成樹脂層[I]、硬質合成樹脂層、軟質合成樹脂層[II]との三層からなり、前記軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との接触面は凹凸部を有し、前記凹凸部を嵌合して軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とが結合され、硬質合成樹脂層に取付ピンの軸部が固設され、ヒール基台側に軟質合成樹脂層[II]が配設されるトップリフトであってもよい。その際、軟質合成樹脂層[I]と前記軟質合成樹脂層[II]とは、前記硬質合成樹脂層に設けた貫通部(4a)内で連通してもよい。このようなトップリフトを図5を用いて説明する。
図5は、トップリフトを取付ピンの軸部の中央で切断した断面図である。図5(a)は、硬質合成樹脂層(1a)に軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とに貫通する貫通部(4a)が形成され、この嵌合用凹凸部(4a)内で軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とが連通される態様である。貫通部(4a)は、硬質合成樹脂層(1a)内に少なくとも1以上存在すればよく、他の嵌合用凹凸部は、軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とに貫通しないものであってもよい。2つの貫通しない嵌合用凹凸部(4b)と1つの貫通部(4a)とが切断面中に形成されたトップリフトの態様を図5(b)に示す。
上記した三層構造のトップリフトにおいても二層構造と同様に、硬質合成樹脂層(1a)内に固設された取付ピンが貫通孔を有し、この貫通孔に前記貫通部(4a)が形成され、軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂[II]とが、この貫通部(4a)内で連通される態様であってもよい(図5(c))。この場合、前記貫通部(4a)の径は、ヒール基台に向かって漸増するものであってもよい(図5(d))。
ヒール基台側に軟質合成樹脂層[II]が配設されると、軟質合成樹脂層[II]の柔軟性によってトップリフトとヒール基台とをより密着して固設することができ、かつ弾力性が増加するため使用感を改善することができる。
(3)取付ピン
本発明で使用する取付ピンは、基部と該基部に突設される軸部とを有するものを広く使用することができる。取付ピンの軸部(5)は、全長に亘り同じ直径の棒状体であってもよいが、ヒール基台(11)に設けた縦穴(13)への挿入を妨げない範囲で、凹凸を有していてもよい。図6(a)〜(e)にはローレットが形成された態様を示すが、ローレットはなくてもよい。また、軸部(5)のヒール挿入側は、挿入を容易に行うため、図6(a)〜(e)に示すように頂部の角を取ったものであってもよい。なお、取付ピンの材質は、金属製、合成樹脂製など、各種の部材を使用することができるが、強度に優れる点で、金属製であることが好ましい。
本発明で使用する取付ピンは、基部と該基部に突設される軸部とを有するものを広く使用することができる。取付ピンの軸部(5)は、全長に亘り同じ直径の棒状体であってもよいが、ヒール基台(11)に設けた縦穴(13)への挿入を妨げない範囲で、凹凸を有していてもよい。図6(a)〜(e)にはローレットが形成された態様を示すが、ローレットはなくてもよい。また、軸部(5)のヒール挿入側は、挿入を容易に行うため、図6(a)〜(e)に示すように頂部の角を取ったものであってもよい。なお、取付ピンの材質は、金属製、合成樹脂製など、各種の部材を使用することができるが、強度に優れる点で、金属製であることが好ましい。
また、本発明で使用する取付ピンの基部(3)の大きさは、軸部(5)の直径より大きいものであればその形状は限定されない。例えば、図2(b)に示すような円板状であってもよく、方形の板状物、不定形の板状物、その他平板に限定されず球状、不定形などであってもよい。
本発明では、取付ピンの基部は、貫通孔や切り欠き部を有してもよい。前記したように、硬質合成樹脂中に取付ピンを固設する際に、このような貫通孔や切り欠き部に硬質合成樹脂や軟質合成樹脂が入り込むと、硬質合成樹脂層内での取付ピンの固設がより安定され、および両合成樹脂層の嵌合による結合をより強固にすることができる。すなわち、前記した図4(e)、図4(f)に示すように、取付ピンの基部(3)の少なくとも一部を貫通して貫通部(4a)が形成されるには、取付ピンの基部に貫通孔(2)や切り欠き部(2)を形成する必要がある。なお、本発明においては、取付ピンの基部に設けられる切り欠き部や貫通孔の形状や数は限定されず、トップリフト本体の形状やサイズなどに応じて適宜選択することができる。図6に、本発明のトップリフトに好適に使用できる取付ピンの態様を示す。
図6(a)は、基部の外周に円弧の切り欠き部(2)を2箇所形成した態様である。切り欠き部(2)が複数存在する場合には、それぞれの切り欠き部の形状は同一である必要はなく、各切り欠き部の間隔も特に限定されるものではない。図6(b)は、3つの円弧状の切り欠き部(2)が等間隔に形成され、更に軸部近傍に貫通孔(2)が形成された態様である。また、図6(c)は、4つの円形の貫通孔(2)が等間隔に形成された態様である。基部(3)の面積が広い場合には、該貫通孔(2)を嵌合用の凹凸部として使用することができる。また、基部の面積が狭く、貫通孔(2)の断面積も狭い場合には、硬質合成樹脂を満たすことで、取付ピンの回転防止効果が得られる。更に、本発明で使用する取付ピンの基台には、図6(d)に示すように1以上の爪部(3a)が形成されていてもよく、図6(e)に示すように、翼(3b)が形成されていてもよい。爪部(3a)や翼(3b)の存在によって、硬質合成樹脂層内での基部の固定をより安定的なものとすることができる。このような翼(3b)は、その一部がトップリフト本体の平面の一部を構成するなど、トップリフト本体から露出してもよい。
(4)軟質合成樹脂層[I]、[II]および硬質合成樹脂層
トップリフト本体(1)は、少なくとも軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とによって構成される。
トップリフト本体(1)は、少なくとも軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とによって構成される。
硬質合成樹脂層は、トップリフトを使用する際に取付ピンがトップリフト本体から離脱したり、トップリフト本体内で回転するのを防止しうる強度を有するものが好ましい。また、軟質合成樹脂層[I]と嵌合する凹凸部を形成し得る加工性や、軟質合成樹脂層と嵌合によって結合した後の結合強度を確保する要求もある。
このような硬質合成樹脂層を構成する硬質合成樹脂としては、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;1,2ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー;硬質ウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂・ユリア樹脂・メラミン樹脂・エポキシ樹脂・ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂などがあり、いずれも好ましく使用することができる。硬質合成樹脂層の硬度は、JIS K653Dの測定方法によって50〜100Dであることが好ましく、より好ましくは50〜76Dである。上記範囲であれば、トップリフトから取付ピンの離脱を防止し、またはトップリフト本体内で取付ピンが回転したり、ぐらついたりするのを抑制することができる。このような強度に調整するため、例えば各種合成樹脂に、ガラス繊維、カーボンなどを配合し、所定の硬度を確保してもよい。このような配合剤として、ガラス繊維を配合すれば、特に機械的強度を増強することができる。なお、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどとしては市販品を使用することもでき、たとえばBASF社製の商品名エラストランET500タイプ、エラストランET600タイプ、エラストランET800タイプなどの中から適宜選択することができる。
一方、軟質合成樹脂層[I]は、トップリフトの接地面に配置されるため、歩行時の使用感を左右し、滑りを防止でき、歩行音を低減でき、かつ耐久性に優れることが要求される。また、硬質合成樹脂層に設けた嵌合用凹凸部と嵌合により結合する加工性や結合強度の確保も要求される。
このような軟質合成樹脂層[I]を構成する軟質合成樹脂としては、例えばポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン熱可塑性エラストマー;オレフィン系ゴムとポリオレフィン系樹脂とを機械ブレンドしたブレンド形ポリオレフィン熱可塑性エラストマー、オレフィン系ゴムとポリオレフィン樹脂の混練りの際の有機化酸化物などを加えてゴム相を部分架橋させた部分架橋ブレンド形ポリオレフィン熱可塑性エラストマー、EPDM/ポリプロピレン配合物などの完全架橋ブレンド型ポリオレフィン熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン熱可塑性エラストマー;ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー;ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;1,2ポリブタジエン系熱可塑性エラストマーなどが例示できる。なお、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては市販品を使用することもでき、たとえばBASF社製の商品名エラストランET500タイプ、エラストランET600タイプ、エラストランET800タイプなどの中から適宜選択することができる。
軟質合成樹脂層[I]の硬度は、JIS K7215Aの測定方法によって50〜95Aであることが好ましく、より好ましくは75〜95Aである。上記範囲であれば、ヒールの弾性および衝撃吸収性を確保することができる。また、本発明の軟質合成樹脂層[I]としては、上記軟質合成樹脂に更にガラス繊維、カーボンなどを配合してもよい。ガラス繊維を配合すれば対象劇吸収性を確保しつつ磨耗を効果的に防止して耐久性を増加することができ、また歩行時の滑りを防止して使用感を増強することができる。
なお、射出成形によって形成した硬質合成樹脂層に加熱した軟質合成樹脂を流して軟質合成樹脂層[I]や軟質合成樹脂層[II]を形成する場合には、予め成形した硬質合成樹脂層の溶融を防止する必要があり、軟質合成樹脂を硬質合成樹脂と接触させる際に形成した硬質合成樹脂層が溶融しない程度の融点の差を有することが好ましい。
本発明のトップリフトが軟質合成樹脂層[I]、硬質合成樹脂層、軟質合成樹脂層[II]との三層で構成される場合にも、軟質合成樹脂層[II]として上記軟質合成樹脂を使用することができる。なお、トップリフト本体を構成する軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とは、同一であっても異なっていてもよい。
上記したように、本発明は軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とが凹凸部を嵌合して結合され、この結合が維持される必要がある。このような結合の維持は、使用する硬質合成樹脂と軟質合成樹脂との親和性によって相違する。本発明では、硬質合成樹脂として、硬質ウレタン樹脂を使用し、軟質合成樹脂として軟質ウレタン樹脂を使用することが好ましい。共にウレタン基材を主成分とするため嵌合による結合の後の親和性に優れ、高い結合力が確保される。特に軟質合成樹脂としては、耐摩耗性、柔軟性に優れる点でポリウレタン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
(5)トップリフトの製造方法
本発明のトップリフトは、上記構成を有するものであれば製造方法に限定はない。従って、嵌合用凹凸部の形成方法としては、硬質合成樹脂層や軟質合成樹脂層[I]を研削機などを使用して機械的に嵌合用凹凸部を形成する方法、硬質合成樹脂や軟質合成樹脂を溶融し、嵌合用凹凸部を形成した型を用いて射出成形などによって化学的に形成する方法その他などの方法を採用することができる。また、嵌合の方法にも制限はなく、硬質合成樹脂層と軟質合成樹脂層[I]とに形成した嵌合用凹凸部を押圧によって嵌合させてもよく、予め硬質合成樹脂層に形成した嵌合用凹凸部に溶融した軟質合成樹脂を射出成形し、結合させてもよい。予め硬質合成樹脂層に取付ピンを固設しておけば、両合成樹脂を嵌合するだけで簡便にトップリフトを製造することができる。これらの中でも、硬質合成樹脂層に予め嵌合用凹凸部を形成し、ついで該凹凸部に軟質合成樹脂を射出成形する方法は、軟質合成樹脂層[I]に嵌合用の凹凸部を形成すると同時に硬質合成樹脂層と軟質合成樹脂層[I]とを結合することができるため、特に好ましい。
本発明のトップリフトは、上記構成を有するものであれば製造方法に限定はない。従って、嵌合用凹凸部の形成方法としては、硬質合成樹脂層や軟質合成樹脂層[I]を研削機などを使用して機械的に嵌合用凹凸部を形成する方法、硬質合成樹脂や軟質合成樹脂を溶融し、嵌合用凹凸部を形成した型を用いて射出成形などによって化学的に形成する方法その他などの方法を採用することができる。また、嵌合の方法にも制限はなく、硬質合成樹脂層と軟質合成樹脂層[I]とに形成した嵌合用凹凸部を押圧によって嵌合させてもよく、予め硬質合成樹脂層に形成した嵌合用凹凸部に溶融した軟質合成樹脂を射出成形し、結合させてもよい。予め硬質合成樹脂層に取付ピンを固設しておけば、両合成樹脂を嵌合するだけで簡便にトップリフトを製造することができる。これらの中でも、硬質合成樹脂層に予め嵌合用凹凸部を形成し、ついで該凹凸部に軟質合成樹脂を射出成形する方法は、軟質合成樹脂層[I]に嵌合用の凹凸部を形成すると同時に硬質合成樹脂層と軟質合成樹脂層[I]とを結合することができるため、特に好ましい。
すなわち、本発明の第二は、嵌合して結合される軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との2層からなるトップリフト本体の前記硬質合成樹脂層に取付ピンの基部が固設されるトップリフトの製造方法であって、取付ピンの基部が固設され、かつ軟質合成樹脂層[I]との接触面に嵌合用凹凸部が形成された硬質合成樹脂層からなる中間体を製造する工程と、前記中間体の凹凸部に軟質合成樹脂を充填して軟質合成樹脂層[I]を形成する工程とを含む、トップリフトの製造方法である。また、前記トップリフト本体が、軟質合成樹脂層[I]、硬質合成樹脂層および軟質合成樹脂層[II]との三層からなり、前記軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とが硬質合成樹脂層に設けた貫通部内で連通するトップリフトであり、取付ピンの基部が固設され、かつ軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とが貫通する貫通部が形成された硬質合成樹脂層からなる中間体を製造する工程と、前記中間体の貫通部に軟質合成樹脂を充填して軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とを形成する工程とを含む、前記トップリフトの製造方法である。該方法によれば、嵌合用凹凸部の形状を問わずに軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とを結合することができ、簡便に結合力に優れるトップリフトを製造することができる。なお、本発明において「中間体」とは、トップリフトの製造工程で使用され、トップリフトの一部を構成する部材であり、取付ピンの基部が固設され、かつ軟質合成樹脂層[I]との接触面に嵌合用凹凸部が形成された硬質合成樹脂層を意味する。
図7に、トップリフト本体が円盤状であり、硬質合成樹脂層(1a)に、4つの貫通部(4a)が等間隔に設けられた中間体の態様を示す。図7(a)は、硬質合成樹脂層(1a)をヒール基台側から見た場合の、図7(b)は軟質合成樹脂層[I]との接触面から見た場合の中間体の斜視図である。図7(b)に示すように、4つの貫通部(4a)に加え、中央に1つの貫通しない凹凸部(4b)が形成されている。
図8は、トップリフト本体が馬蹄形であり、硬質合成樹脂層(1a)に3つの貫通部(4a)が設けられた中間体である。図8(a)は、硬質合成樹脂層(1a)のヒール基台側から見た、図8(b)は軟質合成樹脂層[I]との接触面側からみた際の中間体の斜視図であるが、図8(b)に示すように、3つの貫通部(4a)に加えて3つの貫通しない凹凸部(4b)がいずれも等間隔に形成され、更に中央に1つの貫通しない凹凸部(4b)が形成されている。
図9は、トップリフト本体がU字状であり、硬質合成樹脂層(1a)に6つの貫通部(4a)が設けられた中間体である。図7、図8と同様に、図9(a)は、硬質合成樹脂層(1a)のヒール基台側からみた、図9(b)は軟質合成樹脂層[I]との接触面側からみた斜視図であるが、図9(b)に示すように、貫通しない凹凸部(4b)は形成されていない。なお、図7〜図9では、貫通部(4a)の横断面が円形の場合を示したが円形に限定されるものでなく、方形、多角形、不定形その他のいずれであってもよい。
図2(b)に示す、基部に切り欠き部や貫通孔を有しない円盤状の取付ピンを使用して図7に示す中間体を製造する場合を図10を用いて説明する。
まず、中間体の主要部である硬質合成樹脂層を射出成形する型(F1)を調製する。このような型(F1)は、嵌合用凹凸部の形状や使用する固設する取付ピンの形状を考慮して形成される中間体の鋳型である。図7に示す中間体は、4つの貫通する嵌合用凹凸部、すなわち貫通部(4a)と、1つの貫通しない嵌合用凹凸部(4b)とを有する円盤状の硬質合成樹脂層(1a)を有するため、図10(a)で使用する射出成形用の型(F1)にも、嵌合用凹凸部(4a、4b)に対応する凹凸部(4a'4b')が形成されている。
この型(F1)の中に取付ピンの基部(3)を静置する(図10(a))。この型の場合には、前記した4つの凹凸部(4a')の間に取付ピンの基部(3)を挟んで取付ピンを静置することができる。なお、取付ピンの静置方法には限定がなく、型(F1)と取付ピンとを所定位置に固定する方法によって静置してもよい。
次いで、この型(F1)に硬質合成樹脂を射出成形し、型(F1)をはずすと図7に示す中間体を製造することができる。図7のA−A'切断部の端面図を図10(b)に示す。同図に示すように貫通部(4a)が基部(3)の外側に形成され、中央に貫通しない嵌合用凹凸部(4b)が形成されている。
次いで、この中間体をトップリフトの射出成形用の型(F2)に入れ、前記貫通部(4a)および貫通しない嵌合用凹凸部(4b)内に軟質合成樹脂を射出成形する(図10(c))。
型(F2)から外すと、本発明のトップリフトを製造することができる。得られたトップリフトの外観斜視図を図11(a)に示す。同図に示すように、接地面側に軟質合成樹脂層[I](1b)が配置され、軟質合成樹脂層[I](1b)と硬質合成樹脂層とが嵌合して結合されている。
同様にして、図6(a)に示す基部に3つの切り欠き部(2)を有する取付ピン、および馬蹄形の射出成形用のトップリフト型を使用して図8に示す中間体を製造することもできる。図8に示す中間体は、硬質合成樹脂層(1a)に3つの貫通部(4a)と3つの貫通しない嵌合用凹凸部(4b)とを有する、外観視馬蹄形の中間体である。図12(a)に、図8のA−A'切断部の端面図を示すが、基部(3)の前記切り欠き部(2)を貫通して、ヒール基台側に貫通部(4a)が形成され、取付ピンの軸部(5)を中心として該貫通部(4a)と反対側および基部の中央とに貫通しない嵌合用凹凸部(4b)とが形成されている。従って、このような凹凸部(4a,4b)に対応する凹凸部(4a'4b')を有する硬質合成樹脂用の型(F1)を用意し(図示せず)、この型に取付ピンを載置して硬質合成樹脂を射出成形することで、図8に示す中間体を製造することができる。
次いで、この中間体を図10(c)と同様にしてトップリフト用の型(F2)に入れ、軟質合成樹脂を射出成形すると、本発明のトップリフトを製造することができる。得られたトップリフトの外観斜視図を図11(b)に示し、図11(b)のA−A'線で切断した断面図を図12(b)に示す。
前記製造方法では、射出成形用の型(F1)に設けた、貫通部(4a)に対応する凹凸部(4a')間に取付ピンの基部(3)をはさんで静置したが、取付ピンの静置方法はこれに限定されるものでなく、このような凹凸部(4a'、4b')の一部に取付ピンの基部(3)を載置してもよい。このような凹凸部(4a'、4b')が載置用の変形部を有する場合に特に有効である。例えば、ヒール基台側に貫通する椅子型の嵌合用凹凸部(4a)を2以上有する中間体の切断端面図を図13(a)に示し、製造されたトップリフトの断面図を図13(b)に示し、その製造方法を図13(1)〜(5)を用いて説明する。
図13(1)に示すように、ヒール基台側に貫通する椅子型の嵌合用凹凸部(4a)の鋳型となる凹凸部(4a')を有する射出成形用の型(F1)を調製し、前記椅子型凹凸部(4a')の座部に基部(3)の縁部を載置する。次いで、型(F1)内に硬質合成樹脂を射出成形する(図13(2))。次いで、この型(F1)を外すと中間体が製造される(図13(3))。次いで、この中間体をトップリフト用の型(F2)に装着し(図13(4))、型(F2)内に軟質合成樹脂を射出成形すると、前記中間体に設けた嵌合用凹凸部(4a)にも軟質合成樹脂が充填される(図13(5))。次いで、型(F2)を外すと、本発明のトップリフトが製造される。図13(b)に示すように、硬質合成樹脂層には接地面側からヒール基台側に貫通する椅子型の凹凸部(4a)が形成され、この凹凸(4a)の座部にトップリフトの基部が嵌合して硬質合成樹脂層内で固設され、かつ前記凹凸部(4a)内に軟質合成樹脂層[I]から延設される凹凸部が嵌合し、硬質合成樹脂層と軟質合成樹脂層[I]とが結合している。
上記方法は、取付ピンの基部(3)が、切り欠き部や貫通孔(2)を有するか否かに係わりなく実施することができる。ただし、取付ピンの基部(3)が貫通孔や切り欠き部(2)を有する場合(図6(c)参照)には、この切り欠き部や貫通孔(2)には硬質合成樹脂が充填される。基部(3)の貫通孔(2)に硬質合成樹脂(1b)が充填されると、トップリフト内での取付ピンの回転を効果的に防止することができる点で、好ましい。
本発明のトップリフトの製造方法において、前記中間体の製造方法は上記に限定されるものでない。例えば、取付ピンの基部(3)を硬質合成樹脂で円盤状に成形し、次いで硬質合成樹脂層の軟質合成樹脂[I]との接触面を刃物などで物理的に凹凸状に形成してもよい。この場合でも、図10(c)や図13(4)、(5)に示すように、トップリフト用の型(F2)を使用して軟質合成樹脂を射出成形すれば、凹凸部の嵌合によって硬質合成樹脂と軟質合成樹脂層[I]とが結合されるトップリフトを製造することができる。
本発明のトップリフト本体が、軟質合成樹脂層[I]、硬質合成樹脂層および軟質合成樹脂層[II]との三層からなり、前記軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とが硬質合成樹脂層に設けた貫通部内で貫通するトップリフトである場合にも、取付ピンの基部が硬質合成樹脂層内で固設され、かつ軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とが貫通する貫通部が形成された硬質合成樹脂層を有する中間体を製造し、前記中間体の貫通部に軟質合成樹脂を充填して軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とを形成してトップリフトを製造することができる。
例えば、図9に示す中間体を用いて、接地面側とヒール基台側の双方に軟質合成樹脂層[I]、[II]とを有するトップリフトを製造する場合を図14を用いて説明する。なお、図9に示す中間体は、硬質合成樹脂層(1a)に軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とに貫通する6つの貫通部(4a)が設けられた中間体である。
まず、6つの貫通部(4a)を形成しうる硬質合成樹脂の射出成形用の型(F1)を調製する。該型(F1)には、貫通部(4a)を形成しうる凹凸部(4a')が形成されている。この型(F1)に取付ピンの基部(3)を装着する(図14(a)参照)。次いで、この型(F1)に硬質合成樹脂を射出成形し、型(F1)を外すと図9に示す中間体が製造される。図14(b)は、図9のA−A'線で切断した中間体の断面図である。同図に示すように、硬質合成樹脂層(1a)には、軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とが連通しうる嵌合用凹凸部(4a)が形成されている。
次いで、この中間体を接地面側とヒール基台側に軟質合成樹脂が充填されるトップリフト用の型(F3)に装着し(図14(c)参照)、この型(F3)に軟質合成樹脂を射出成形する。得られたトップリフトの外観斜視図を図15(a)に、図15(a)のA−A'線で切断した断面図を図15(b)に示す。同図に示すように、該トップリフトは、接地面に軟質合成樹脂層[I](1b)を有し、ヒール基台側に軟質合成樹脂層[I](1a)が配置され、前記軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とは凹凸部(4a)が嵌合して結合され、かつ軟質合成樹脂層[I](1b)とヒール基台側の軟質合成樹脂層[II](1c)とは、前記硬質合成樹脂層(1a)に設けた貫通部(4a)内で連通されている。
(6)靴ヒールおよび靴
本発明の第二は、上記トップリフトを、ヒール基台に挿嵌した靴ヒールであり、本発明の第三は、このような靴ヒールを有する靴である。
本発明の第二は、上記トップリフトを、ヒール基台に挿嵌した靴ヒールであり、本発明の第三は、このような靴ヒールを有する靴である。
靴ヒールに前記トップリフトを装着するには、トップリフト本体(1)から突出する取付けピンの軸部(5)をヒール基台(11)に設けた縦穴(13)に挿入することで、簡便に靴ヒールに装着することができる(図1参照)。従って、ヒール基台(11)の形状に限定はないが、ヒール基台(11)に取付ピンの軸部(5)を軸支できる孔が存在すれば、靴の踵の底面に取り付けられる各種のトップリフトに適用することができる。例えば、女性用のハイヒールでは、一般には、ヒール基台(11)に設けられた縦穴(13)が設けられ、その内部に金属管(15)が挿入されている。なお、本発明は、このようなハイヒール用のトップリフトに限定されるものでなく、男性用、女性用を問わず、ヒールの高さやヒール基台の面積にも限定はない。
トップリフト本体(1)の面積が広い場合には、図3に示すようにトップリフト本体(1)に複数の取付ピンを配設したものを使用すればよい。なお、図3では、2本の取付ピンが固設されたトップリフトを示すが、トップリフト本体の面積やヒール基台に穿設しうる縦穴の数に応じて取付ピンの数や配置を選択することができる。
ただし、トップリフト本体(1)に固設した取付ピンの固定性が高く、接地面積が小さいハイヒールなどに最も好適に使用することができる。特に、接地面が軟質合成樹脂層[I]であるため、歩行時の滑りを抑制でき、安全性に優れる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
横20mm、縦50mm、厚さ4mmのポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET164D」;硬度64D)からなる平板に横5mm、縦6.5mm間隔で直径1.9mmの貫通孔を形成した。次いで、前記貫通孔にポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET680」;硬度80A)を充填および硬化しつつ、厚さ4mmの軟質合成樹脂層を射出成形によって形成し、前記ポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET164D」;硬度64D)層とポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET680」;硬度80A)層とが嵌合によって結合する試験片を調製した。
横20mm、縦50mm、厚さ4mmのポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET164D」;硬度64D)からなる平板に横5mm、縦6.5mm間隔で直径1.9mmの貫通孔を形成した。次いで、前記貫通孔にポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET680」;硬度80A)を充填および硬化しつつ、厚さ4mmの軟質合成樹脂層を射出成形によって形成し、前記ポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET164D」;硬度64D)層とポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET680」;硬度80A)層とが嵌合によって結合する試験片を調製した。
この試験片を引張試験機に装着して平均剥離力を求めた。なお、引張試験機では、試験片の硬質合成樹脂層の端部を固定し、軟質合成樹脂層を挟み上げて、剥離までの強度で剥離力を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
横20mm、縦50mm、厚さ4mmのポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET164D」;硬度64D)からなる平板にポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET680」;硬度80A)を厚さ4mmに溶融および積層して接着し、比較試験片を調製した。
横20mm、縦50mm、厚さ4mmのポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET164D」;硬度64D)からなる平板にポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET680」;硬度80A)を厚さ4mmに溶融および積層して接着し、比較試験片を調製した。
この試験片を実施例1と同様に引張試験機に装着して平均剥離力を求めた。なお、引張試験機では、試験片の硬質合成樹脂層の端部を固定し、軟質合成樹脂層を挟み上げて、剥離までの強度で剥離力を評価した。結果を表1に示す。
直径7.5mm、厚さ0.8mmの基部と、該軸部の中央から突出する直径3.05mm、長さ13.5mmの軸部とを有する取付ピンを、横11.1mm×縦11.3mm×深さ7.0mmの馬蹄形であって、図17(b)、(c)に示すように、直径1.9mm、深さ5.0mmの貫通部(4a)を3箇所、前記貫通部(4a)間および取付ピンの中央下部に貫通しない凹部(4b)を4箇所形成しうる射出成形用の型にポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET164D」;硬度64D)を温度200〜210℃に加温したのち充填および放冷し固設した。トップリフト射出成形用の型に得られた中間体を挿入し、ポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET680」;硬度80A)を温度210〜220℃に加温したのち射出成型し、図17(b)に示すトップリフトを調製した。同図のA−A'線での切断図を図18(a)に示す。図中、h1は2.0mm、h2は0.3mm、h3は2.1mm、h4は0.9mm、h5は1.7mmであった。
このトップリフトをヒール高さ40mmのヒール基台に装着しトップリフトの耐滑性試験を行った。
耐滑性試験は、ヒールをウッド合金でトレイに埋め込み、試験機(SATRA Slip Resistance Tester STM603)に取り付け、垂直荷重400Nとし、温度20±1℃、相対湿度65±5%RH、速度100mm/sで角度5°の傾斜を設けて配設したステンレススチールの床材上を75mmの距離を滑らせ、摩擦係数を測定して評価した。
(比較例2)
実施例2と同じ取付ピンを使用し、横11.1mm×縦11.3mm×厚さ5.0mmの馬蹄形のトップリフトの射出成形用の型に前記取付ピンを載置し、ポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET164D」;硬度64D)を温度200〜210℃に加温したのち充填および放冷して比較トップリフトを製造した。
実施例2と同じ取付ピンを使用し、横11.1mm×縦11.3mm×厚さ5.0mmの馬蹄形のトップリフトの射出成形用の型に前記取付ピンを載置し、ポリウレタンエラストマー(BASF社製、商品名「ET164D」;硬度64D)を温度200〜210℃に加温したのち充填および放冷して比較トップリフトを製造した。
この比較トップリフトを使用して、実施例2と同様に耐滑性試験を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例2で調製したトップリフトをヒール高さ90mmの靴に装着した以外は、実施例2と同様に操作して耐滑性試験を行った。結果を表3に示す。
比較例2で調製したトップリフトをヒール高さ90mmの靴に装着した以外は、実施例2と同様に操作して耐滑性試験を行った。結果を表3に示す。
実施例2で製造したトップリフトの軸部を固定し、毎分20mmの速度で引張り、樹脂部が抜けるまでの引き抜き時最大荷重を読み取り、引き抜き強度とした。また、実施例2で製造したトップリフトの軸部をトルクレンチに装着し、トップリフト本体を回転させた際の回転時最大荷重を読み取り、回転時強度とした。結果を表4に示す。
(比較例4)
比較例2で製造したトップリフトの軸部を固定し、実施例4と同様にして引き抜き強度と回転時強度とを評価した。結果を表4に示す。
比較例2で製造したトップリフトの軸部を固定し、実施例4と同様にして引き抜き強度と回転時強度とを評価した。結果を表4に示す。
本発明によれば、接着剤を使用することなく軟質合成樹脂層と硬質合成樹脂層とが結合した2層構造のトップリフトを製造することができ、有用である。
1・・・トップリフト本体、
1a・・・硬質合成樹脂層、
1b・・・軟質合成樹脂層[I]、
1c・・・軟質合成樹脂層[II]、
2・・・取付ピン基部の貫通孔、
3・・・取付ピンの基部、
3a・・・取付ピン基部の爪部、
3b・・・取付ピン基部の翼、
4・・・嵌合用凹凸部、
4a・・・硬質合成樹脂層を貫通する嵌合用凹凸部(貫通部)、
4b・・・硬質合成樹脂層を貫通しない嵌合用凹凸部、
4a'・・・射出成形用型に形成された貫通部(4a)に対応する凹凸部、
4b'・・・射出成形用型に形成された貫通しない嵌合用凹凸部(4b)に対応する凹凸部、
5・・・取付ピンの軸部、
7・・・中間部材、
11・・・ヒール基台、
13・・・縦穴、
15・・・金属管。
1a・・・硬質合成樹脂層、
1b・・・軟質合成樹脂層[I]、
1c・・・軟質合成樹脂層[II]、
2・・・取付ピン基部の貫通孔、
3・・・取付ピンの基部、
3a・・・取付ピン基部の爪部、
3b・・・取付ピン基部の翼、
4・・・嵌合用凹凸部、
4a・・・硬質合成樹脂層を貫通する嵌合用凹凸部(貫通部)、
4b・・・硬質合成樹脂層を貫通しない嵌合用凹凸部、
4a'・・・射出成形用型に形成された貫通部(4a)に対応する凹凸部、
4b'・・・射出成形用型に形成された貫通しない嵌合用凹凸部(4b)に対応する凹凸部、
5・・・取付ピンの軸部、
7・・・中間部材、
11・・・ヒール基台、
13・・・縦穴、
15・・・金属管。
Claims (16)
- 基部と該基部に突設される軸部とからなる取付ピンが、該軸部を突出させてトップリフト本体に固設されるトップリフトにおいて、
前記トップリフト本体は、軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との二層からなり、
トップリフトの接地面は前記軟質合成樹脂層[I]で構成され、かつ前記軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との接触面は凹凸部を有し、前記凹凸部を嵌合して軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層とが結合されることを特徴とする、トップリフト。 - 前記取付ピンの基部は、トップリフト本体の硬質合成樹脂層に固設されることを特徴とする、請求項1記載のトップリフト。
- 前記硬質合成樹脂層は、軟質合成樹脂層[I]との接触面からヒール基台側に貫通する貫通部を有し、該貫通部に軟質合成樹脂層[I]が充填されて硬質合成樹脂層と軟質合成樹脂層[I]とが嵌合することを特徴とする、請求項1または2記載のトップリフト。
- 前記トップリフト本体は、硬質合成樹脂層のヒール基台側に更に軟質合成樹脂層[II]が積層されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のトップリフト。
- 前記軟質合成樹脂層[II]は、前記硬質合成樹脂層に設けた前記貫通部内で軟質合成樹脂層[I]と連通することを特徴とする、請求項4記載のトップリフト。
- 前記取付ピンの基部は、その外周に切り欠き部を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のトップリフト。
- 前記取付ピンの基部は、貫通孔を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のトップリフト。
- 前記軟質合成樹脂層[I]および/または軟質合成樹脂[II]は、軟質ウレタン樹脂である、請求項1〜7のいずれかに記載のトップリフト。
- 前記硬質合成樹脂は、硬質ウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン系樹脂のいずれかである、請求項1〜8のいずれかに記載のトップリフト。
- 前記硬質合成樹脂は、硬度が50〜100Dである、請求項1〜9のいずれかに記載のトップリフト。
- 前記軟質合成樹脂層[I]および/または軟質合成樹脂[II]は、硬度が50〜95Aである、請求項1〜10のいずれかに記載のトップリフト。
- 前記軟質合成樹脂および/または硬質合成樹脂は、ガラス繊維を含むものである、請求項1〜11のいずれかに記載の、トップリフト。
- 上記請求項1〜12のいずれかに記載のトップリフトを、ヒール基台に挿嵌した靴ヒール。
- 請求項13記載の靴ヒールを有する靴。
- 嵌合して結合される軟質合成樹脂層[I]と硬質合成樹脂層との2層からなるトップリフト本体の前記硬質合成樹脂層に取付ピンの基部が固設されるトップリフトの製造方法であって、
取付ピンの基部が固設され、かつ軟質合成樹脂層[I]との接触面に嵌合用凹凸部が形成された硬質合成樹脂層からなる中間体を製造する工程と、
前記中間体の凹凸部に軟質合成樹脂を充填して軟質合成樹脂層[I]を形成する工程とを含む、トップリフトの製造方法。 - 前記トップリフト本体が、軟質合成樹脂層[I]、硬質合成樹脂層および軟質合成樹脂層[II]との三層からなり、前記軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とが硬質合成樹脂層に設けた貫通部内で連通するトップリフトであり、
取付ピンの基部が固設され、かつ軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とが貫通する貫通部が形成された硬質合成樹脂層からなる中間体を製造する工程と、
前記中間体の貫通部に軟質合成樹脂を充填して軟質合成樹脂層[I]と軟質合成樹脂層[II]とを形成する工程とを含む、請求項15記載のトップリフトの製造方法。
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-
2007
- 2007-04-19 JP JP2007109966A patent/JP2008264143A/ja active Pending
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- 2008-04-17 CN CN200880012669A patent/CN101662964A/zh active Pending
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