JP2008263175A - 真空吸着ノズル - Google Patents

真空吸着ノズル Download PDF

Info

Publication number
JP2008263175A
JP2008263175A JP2008043875A JP2008043875A JP2008263175A JP 2008263175 A JP2008263175 A JP 2008263175A JP 2008043875 A JP2008043875 A JP 2008043875A JP 2008043875 A JP2008043875 A JP 2008043875A JP 2008263175 A JP2008263175 A JP 2008263175A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
imparting material
conductivity
suction nozzle
layer
vacuum suction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008043875A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4969487B2 (ja
Inventor
Hiroshi Hamashima
浩 浜島
Takashi Tanaka
隆 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2008043875A priority Critical patent/JP4969487B2/ja
Publication of JP2008263175A publication Critical patent/JP2008263175A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4969487B2 publication Critical patent/JP4969487B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Supply And Installment Of Electrical Components (AREA)

Abstract

【課題】 真空吸着ノズルが静電気を帯電した状態で電子部品に近づくと、小型化・軽量化が進んだ電子部品が軽量であるため、静電気の反発力により電子部品が吹き飛ぶ、あるいは静電破壊を起こすという問題があった。
【解決手段】 先端に吸着物を真空吸着する吸着面2を有し、この吸着面2に吸引孔3を備えた真空吸着ノズル1であって、基体がセラミックスからなり、側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7で被覆されている真空吸着ノズル1である。真空吸着ノズル1が高速で移動して空気との摩擦で帯電しても、層7によって速やかに除電することができ、静電気の反発力により吸着物である電子部品が吹き飛ばされるということがなくなり、電子部品の静電破壊も防止することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、チップコンデンサやチップ抵抗器などのチップ状の電子部品を回路基板に実装するための電子部品装着機に好適に用いられる真空吸着ノズルに関するものである。
従来より、チップコンデンサやチップ抵抗器などのチップ状の電子部品は、電子部品装着機に具備された真空吸着ノズルの吸着面に真空吸引によって吸着された後、そのまま搬送されて回路基板の所定の位置へ実装される。このとき、このチップ状の電子部品の位置の測定は、光を照射して、このチップ状の電子部品によって反射された反射光をCCDカメラで受光し、画像解析装置でそのチップ状の電子部品の形状や電極の位置を解析することによって行なわれている。
図4は、真空吸着ノズルを具備した電子部品装着機を用いた、チップ状の電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置の構成を示す概略図である。
図4に示す電子部品装着装置50は、電子部品装着機44に具備された真空吸着ノズル31と、電子部品45を並べたトレイ46と、真空吸着ノズル31に吸着された電子部品45に向けて光を照射するライト47と、電子部品45からの反射光を受光するためのCCDカメラ48と、CCDカメラ48で受光した反射光を画像処理するための画像解析装置49とで構成されている。
そして、この電子部品装着装置50は、真空吸着ノズル31がトレイ46まで移動し、トレイ46上に並べられた電子部品45を吸着すると、ライト47が真空吸着ノズル31に吸着された電子部品45へ向けて光を照射し、この光が電子部品45の本体や電極に当たって反射する反射光をCCDカメラ48で受光し、CCDカメラ48で受光した画像を基に画像解析装置49によって電子部品45の位置を測定して、そのデータを基に回路基板(図示せず)の所定の位置に電子部品45を吸着した真空吸着ノズル31を移動させて、回路基板上に電子部品45を実装している。
図3は、電子部品装着機の保持部材に組み付けられた状態の真空吸着ノズルの構成の一例を示す、(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図である。
この真空吸着ノズル31は、真空吸引することによって電子部品を吸着して保持するための吸着面32を先端の端面側に有した円筒部35と、円筒部35の吸着面32と相対する側に円筒部35に向かって先細りの形状で設けられた円錐部34と、円錐部34が吸着面32と相対する根元の端面側に設けた凸部36とを有する構成とされている。そして円筒部35の中心部を貫く内孔は、円錐部34と凸部36とに延設されて吸引孔33とされている。
また、保持部材40は真空吸着ノズル31の凸部36と嵌合する凹部41を中央に有し、その中心部に吸引孔33と連通するように吸引孔42を有しており、凹部41に真空吸着ノズル31の凸部36を嵌合して電子部品装着機に取り付けられるようにしてある。
そして、真空吸着ノズル31の材質としては、耐摩耗性に優れるセラミックスや超硬合金などが用いられている。
例えば、特許文献1には、チップ部品を吸着する吸着ノズルの先端部に耐摩耗性の優れたセラミックスを用いることや、このような吸着ノズルの先端部がカメラで撮影したときにチップ部品よりも画像入力レベルの低い色で構成されることによって、チップ部品の位置検出が行なえることが開示されており、この吸着ノズルは耐摩耗性に優れ、チップ部品をノズルでピックアップした際の画像処理を確実に行なえることが開示されている。
また、特許文献2には、吸着ノズルの少なくとも先端部を、400〜1000nmの波長光に対する反射率が40%以下であるセラミックスで形成したものが開示されており、そのようなセラミックスとして黒色系のセラミックス、例えば、着色顔料を添加したアルミナ,ジルコニア,フォルステライト、あるいは炭化珪素や窒化珪素などを使用することによって、吸着ノズルに保持された電子部品をライトの光で照射してその反射光をCCDカメラで撮影するときに、吸着ノズルからの反射光が抑えられるため、CCDカメラが認識エラーを生じなくなるという吸着ノズルが開示されている。
また、特許文献3には、コーディエライトを主成分とし、La,Ce,PrおよびNdの希土類元素から選ばれる1種以上とTiとを含有するセラミックス焼結体が開示されており、特に、低熱膨張性のコーディエライトを主成分とし、導電性を有するLa,Ce,PrおよびNdの希土類元素から選ばれる1種以上とTiとを含有するので、体積固有抵抗が1×10Ω・m〜1×1012Ω・mのときには、半導体ウェハの製造に用いる半導体製造装置用の部材(例えば静電チャックや真空チャック等)として採用することにより、ゴミの付着を防止するとともに熱による装置の変形を抑制することができるので、寸法精度に優れた半導体ウェハを得ることができるということが開示されている。
特開平2−90700号公報 特開平10−117099号公報 特開2004−196589号公報
しかしながら、近年、真空吸着ノズルを高速で移動させてトレイ上の電子部品を吸着し、そのまま電子部品を回路基板へ移動して実装する工程の中で、真空吸着ノズルが空気との摩擦によって帯電し、小型化し軽量になった電子部品が帯電した真空吸着ノズルの静電気との反発力によって吸着位置から吹き飛ぶという問題が発生するようになり、さらには電子部品が静電破壊するという問題が発生するようになった。
これに対して、特許文献1には、チップ部品を吸着する吸着ノズルの先端部に耐摩耗性に優れたセラミックスを用い、チップ部品よりも画像入力レベルの低い色で構成することによって、チップ部品の位置検出が行なえることが開示され、この吸着ノズルが耐摩耗性に優れており、チップ部品をノズルでピックアップした際の画像処理を確実に行なえることが示されているが、静電気に対する課題や対策については、示唆はもとより何ら記載されていない。
また、特許文献2にも、吸着ノズルの少なくとも先端部を、400〜1000nmの波長光に対する反射率が40%以下であるセラミックスで形成し、そのようなセラミックスとして黒色系のセラミックスを使用することによって、CCDカメラが認識エラーを生じなくなることが開示されているが、特許文献1と同様に、静電気に対する課題や対策については、示唆はもとより何ら記載されていない。
さらに、特許文献3にも、コーディエライトを主成分とし、La,Ce,Pr,Ndの希土類元素から選ばれる1種以上とTiとを含有するセラミックス焼結体が導電性を有し、その体積固有抵抗が1×10Ω・m〜1×1012Ω・mのとき、半導体製造装置用の部材として静電チャックや真空チャック等に採用することにより、静電気によるゴミの付着を防止することができると開示されているものの、電子部品装着機の真空吸着ノズルとして用いたときに静電気により電子部品が吹き飛ぶという課題、さらには電子部品が静電破壊を起こすという課題やその対策について示唆する記載はない。
このように、電子部品の小型化・軽量化が進んでいることによって、真空吸着ノズルが静電気を帯電することによる使用上の問題点が新たに生じることとなりつつあるのに対して、これまではそのような問題点は認識されていなかったことから、新たに解決すべき課題として真空吸着ノズルに対する静電気対策が望まれるようになってきている。
本発明は、静電気を帯電して小型化・軽量化が進んだ電子部品が静電気の反発力によって吹き飛んだり、静電破壊したりすることのない真空吸着ノズルを提供することを目的とする。
本発明の真空吸着ノズルは、先端に吸着物を真空吸着する吸着面を有し、該吸着面に吸引孔を備えた真空吸着ノズルであって、基体がセラミックスからなり、側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層で被覆されていることを特徴とするものである。
また、本発明の真空吸着ノズルは、先端に吸着物を真空吸着する吸着面を有し、該吸着面に吸引孔を備えた真空吸着ノズルであって、基体が金属からなり、吸着面および側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層で被覆されていることを特徴とするものである。
また、本発明の真空吸着ノズルは、上記構成において、前記導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層は、前記基体のセラミックスから析出した導電性付与材を含有しているものであることを特徴とするものである。
また、本発明の真空吸着ノズルは、上記構成において、前記導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層は、前記基体にコーティングされたものであることを特徴とするものである。
また、本発明の真空吸着ノズルは、上記各構成において、前記導電性付与材を含有するセラミックからなる層のセラミックスは安定化剤を含むジルコニアであることを特徴とするものである。
さらに、本発明の真空吸着ノズルは、上記各構成において、前記導電性付与材は酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の真空吸着ノズルは、上記各構成において、前記導電性付与材は酸化チタンを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の真空吸着ノズルは、上記各構成において、前記導電性付与材は酸化亜鉛を含むことを特徴とするものである。
本発明の真空吸着ノズルは、先端に吸着物を真空吸着する吸着面を有し、この吸着面に吸引孔を備えた真空吸着ノズルであって、基体がセラミックスからなり、側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または、導電性付与材からなる層で被覆されていることにより、真空吸着ノズルが高速で移動して空気との摩擦で静電気を帯電しても、セラミックス製の真空吸着ノズルの側面を被覆している導電性付与材によって静電気を速やかに除電することができ、静電気の反発力により小型化・軽量化が進んだ電子部品が吹き飛ばされるということを防止することができ、電子部品の静電破壊を防止することもできる。
また、先端に吸着物を真空吸着する吸着面を有し、該吸着面に吸引孔を備えた真空吸着ノズルであって、基体が金属からなり、吸着面および側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または、導電性付与材からなる層で被覆されていることにより、静電気の反発力により電子部品が吹き飛ばされるということを防止することができ、電子部品の静電破壊を防止することもできる。
また、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層はセラミックスから析出した導電性付与材を含有しているものであるときには、これら導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層はセラミックスの側面に強固に固着した状態となるので、これらの層がセラミックスから剥がれたりすることを防止できる。
また、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層は基体にコーティングされたものであるときには、セラミックスが硬く変形しないものであるのでこれら導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層も変形しにくくなり、これらの層におけるクラックの発生を低減することができる。また、コーティングには種々の材料が使用できるので、導電性付与材の選択に当たって所望の導電性や密着性,柔軟性,耐久性等を考慮して、適切な導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層を形成することが容易になる。
さらに、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層のセラミックスが安定化剤を含むジルコニアであるときには、機械的強度の大きいセラミックスである安定化剤を含むジルコニアを用いることによって、真空吸着ノズルの先端をより細くすることができ、小型化・軽量化が進んだ電子部品の真空吸着により好適に用いることができる。
さらに、導電性付与材が酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種を含むときには、導電性付与材の層の色すなわち真空吸着ノズルの表面の色を黒色系,青色系,緑色系の各濃色系の色調とすることができる。また、導電性付与材が酸化チタンを含むときには、導電性付与材の層の色は灰色系の色調とすることができ、また、導電性付与材が酸化亜鉛を含むときには、導電性付与材の層の色を黄色系の色調とすることができる。従って、それぞれの材料を使い分けることにより、電子部品の色調によってCCDカメラ等による画像認識がしやすい真空吸着ノズルの色調を選択することができるので、電子部品装着機の認識エラーを減少させることができ、誤動作を防止することができる。
以下、本発明の真空吸着ノズルの実施の形態の例を説明する。
図1は本発明の真空吸着ノズルを電子部品装着機の保持部材に組み付けたときの構成の一例を示す、(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図であり、(c)は(b)のE部を拡大した模式図であり、(d)は(b)のF部を拡大した模式図であり、(e)は(b)のG部を拡大した模式図である。
図1に示す真空吸着ノズル1は、真空吸引することによって電子部品(図示せず)を吸着して保持するための吸着面2を先端の端面側に有した円筒部5と、円筒部5の吸着面2と相対する側に円筒部5に向かって先細りの形状で設けた円錐部4と、円錐部4が吸着面2と相対する根元の端面側に設けた凸部6とを有する構成としてある。そして、円筒部5を貫通して吸着面2に開口した内孔は、円錐部4と凸部6とに延設して凸部6の表面に開口させて、吸引孔3としてある。
また、真空吸着ノズル1の凸部6と嵌合する凹部11を有し、吸引孔3と連通するように吸引孔12を有している保持部材10が、真空吸着ノズル1の凸部6を凹部11で嵌合して取り付けられており、この保持部材10を介して真空吸着ノズル1が電子部品装着機(図示せず)に取り付けられるようにしてある。
次に、図2に、本発明の真空吸着ノズル1を具備した電子部品装着機を用いて、チップ状の電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置の構成を概略図で示す。
図2に示す電子部品装着装置20は、電子部品装着機14に具備した真空吸着ノズル1と、電子部品15を並べたトレイ16と、真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15に向けて光を照射するライト17と、ライト17の反射光を受光するためのCCDカメラ18と、CCDカメラ18で受光した反射光(画像)を画像処理するための画像解析装置19とで構成されている。
そして、この電子部品装着装置20は、真空吸着ノズル1がトレイ16まで移動し、トレイ16上に並べられた電子部品15を吸着すると、ライト17が真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15へ向けて光を照射し、この光が電子部品15の本体や電極に当たって反射する反射光をCCDカメラ18で受光し、CCDカメラ18で受光した画像を基に画像解析装置19によって電子部品15の位置を測定して、そのデータを基に回路基板(図示せず)の所定の位置に電子部品15を吸着した真空吸着ノズル1を移動させて、回路基板の表面に電子部品15を実装するものである。
そして、本発明の真空吸着ノズル1は、基体がセラミックスからなり、図1(c)に示すように、真空吸着ノズル1の側面が、この例では円錐部4の側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7で被覆されていることが重要である。
このように真空吸着ノズル1の側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7で被覆されていることによって、真空吸着ノズル1を電子部品装着機14に取り付けて稼動させたときに、真空吸着ノズル1が高速で移動することによって空気や空気中の塵と接触して発生する摩擦帯電による静電気や電子部品15を吸着・脱着する繰り返しによる接触帯電によって発生する静電気を、側面を被覆している導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7を伝わらせて除電することができる。これにより、真空吸着ノズル1が吸着面2に小型化・軽量化が進んだ電子部品15を吸着するときに、真空吸着ノズル1の静電気の反発力によって電子部品15が吹き飛ばされるということが防止でき、電子部品15が静電気によって静電破壊するのも防止することができる。
また、真空吸着ノズル1の円錐部4,円筒部5の側面を導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7で被覆するとともに、図1(d)に示すように、吸引孔3の内壁にも導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7を被覆することが好ましい。吸引孔3の内部は電子部品15を真空吸引するために空気が吸着面2側から吸引孔3および保持部材10の吸引孔12へと流れているので、空気が吸着面2や吸引孔3の内壁および吸引孔12の内壁と摩擦して摩擦帯電するのを併せて防止することが、より確実に静電気の帯電を防止する上で好ましいからである。
なお、真空吸着ノズル1の側面に被覆されている導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7および吸引孔3の内壁に被覆されている導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7は、この層7を介して静電気を除去するために、適当な部位でアースに電気的に接続されていることが好ましい。この例においては、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7を保持部材10との接続部まで延設し、保持部材10を導電性の部材、例えば金属製として、この保持部材10を電子部品装着機14のアースと接続しておくとよい。
また、本発明の真空吸着ノズル1によれば、この真空吸着ノズル1の基体がセラミックス製であるので、耐磨耗性に優れていることから、吸着面2が電子部品15に接触して短期間で摩耗して、吸着面2と電子部品15との間に隙間が生じて真空吸引するときの吸着力を低下させることを防止することができる。
また、本発明の真空吸着ノズル1は、基体が金属からなり、図1(c)、(e)に示すように、真空吸着ノズル1の吸着面2および側面が、この例では吸着面2および円錐部4、円筒部5の側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7で被覆されていることが重要である。
このように真空吸着ノズル1の吸着面2および円錐部4,円筒部5の側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7で被覆されていることによって、真空吸着ノズル1を電子部品装着機14に取り付けて稼動させたときに、真空吸着ノズル1が高速で移動することによって空気や空気中の塵と接触して発生する摩擦帯電による静電気や電子部品15を吸着・脱着する繰り返しによる接触帯電によって発生する静電気を、吸着面2および円錐部4,円筒部5の側面を被覆している導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7を伝わらせて除電することができる。これにより、真空吸着ノズル1が吸着面2に小型化・軽量化が進んだ電子部品15を吸着するときに、真空吸着ノズル1の静電気の反発力によって電子部品15が吹き飛ばされるということが防止でき、電子部品15が静電気によって静電破壊するのも防止することができる。
また、真空吸着ノズル1の吸着面2および円錐部4,円筒部5の側面を導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7で被覆するとともに、図1(d)に示すように、吸引孔3の内壁にも導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7’または導電性付与材からなる層7’を被覆することが好ましい。吸引孔3の内部は電子部品15を真空吸引するために空気が吸着面2側から吸引孔3および保持部材10の吸引孔12へと流れているので、空気が吸着面2や吸引孔3の内壁および吸引孔12の内壁と摩擦して摩擦帯電するのを併せて防止することが、より確実に静電気の帯電を防止する上で好ましいからである。
なお、真空吸着ノズル1の吸着面2および側面に被覆されている導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7、および吸引孔3の内壁に被覆されている導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7’または導電性付与材からなる層7’は、この層7・7’を介して静電気を除去するために、適当な部位でアースに電気的に接続されていることが好ましい。この例においては、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7・7’または導電性付与材からなる層7・7’をそれぞれ保持部材10との接続部まで延設し、保持部材10を導電性の部材、例えば金属製として、この保持部材10を電子部品装着機のアースと接続しておくとよい。
また、真空吸着ノズル1について、基体を金属で形成すると、基体をセラミックスで形成する場合と比較して、安価に製造できるという利点や、インジェクションで成形した基体を焼成してもセラミックスのように大きく収縮することないため形状の精度が高くなるという利点がある。
逆に、金属からなる基体の場合は、吸着面2および側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7で被覆されていないと、真空吸着ノズル1の導電性が大きすぎるために、静電気による放電が生じやすくなり電子部品が静電破壊するという問題が生じる。また、基体を絶縁層で被覆すると、絶縁層が帯電して塵が付着したり、真空吸着ノズル1を通して帯電した電子部品のアースができないという問題が生じる。
そして、基体に用いる金属としては、アルミニウム合金,銅合金(真鍮),WC−Ni系超硬合金などの非磁性の金属が好ましい。これは、基体に磁性を帯びやすい金属を用いると、吸着面2が磁化して電子部品が磁力で吸着面に貼り付いて精度良く離脱できなくなるという問題や、電子部品が磁化されてしまうという問題が生じるためである。また、基体を形成する金属としては、金属の粉末と樹脂とを混合したものであってもよい。
さらに、導電性付与材を含有するセラミックスの層7・7’としては酸化鉄を含有するジルコニアなどがあり、導電性付与材からなる層7・7’としては炭化珪素やカーボンなどがある。
そして、本発明の真空吸着ノズル1においては、基体がセラミックス製であるとともに、この層7が基体のセラミックスから析出した導電性付与材を含有しているものであることが好ましい。
この層7が基体のセラミックスから析出した導電性付与材を含有しているものであることによって、セラミックス製の基体に対して導電性付与材を含有している層7が強固に結合した状態で真空吸着ノズル1の側面を被覆するので剥がれにくくなり、導電性付与材を含有している層7の耐久性が向上する。また、導電性付与材を含有している層7を構成する成分が真空吸着ノズル1のセラミックス中に導電性付与材の残存成分として残っているようにもなり、析出した導電性付与材を含有している層7と基体のセラミックス中の導電性付与材の残存成分とが、ともに発生した静電気を除電する働きをするので、より効率のよい静電気の除電ができるものとなる。なお、セラミックス中に導電性付与材が多すぎるとセラミックスの強度が低下する原因となるので、セラミックスにおける導電性付与材の含有量は10質量%以上40質量%以下がよい。含有量が10質量%未満であると側面に導電性付与材を含有している層7が形成されにくいこととなり、40質量%を超えるとセラミックスの強度が低下することとなって好ましくないことがある。
また、本発明の真空吸着ノズル1においては、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7が基体の表面にコーティングしたものであっても好ましい。
本発明の真空吸着ノズル1の基体がセラミックスからなる場合には、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7をコーティングにより形成すれば、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7を所望の導電性や密着性,柔軟性、あるいは十分な耐久性を有するものとすることが容易であるとともに、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7を基体のセラミックスから析出させる場合に比べて、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7を構成する成分の選択肢および導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の材質と基体の材質との組合せの選択肢を増やすことができる。
例えば、基体および導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7に用いるセラミックスは、真空吸着ノズル1の形状や真空吸着ノズル1と電子部品15との反応性などを考慮して、アルミナ,ジルコニアまたは窒化珪素などを選択することができる。
また、導電性付与材からなる層7は、炭素や銅やクロム,ニッケル,窒化チタン,炭化チタン,炭化珪素,カーボンなどの導電性を有する材料をセラミックスとの密着性を考慮して選択すればよい。セラミックスまたは金属からなる基体の表面へのコーティングにより導電性付与材からなる層7を形成する方法には、化学蒸着法や物理蒸着法やメッキ法や塗布法などの従来の一般的な膜を形成する方法を適宜選択して用いることができる。
例えば、化学蒸着法を用いる場合には、真空吸着ノズル1の基体を配置した反応室にコーティングする材料を含む気体を流し、その材料を真空吸着ノズル1の基体の表面(側面)で反応させてコーティングさせれば、導電性付与材からなる層7を形成することができる。また、物理蒸着法を用いる場合には、真空吸着ノズル1の基体を真空槽の中に配置し、真空吸着ノズル1の基体の対面にコーティングする材料となるターゲット(導電性付与材)を配置し、ターゲット(導電性付与材)に高電圧を印加して真空槽に封入したアルゴンガス中で放電を発生させ、これにより生じたガスイオンでターゲット(導電性付与材)を構成している原子を蒸発させることによって、対面に配置されている真空吸着ノズル1の基体の表面に導電性付与材からなる層7を形成することができる。また、塗布法を用いる場合には、導電性付与材を含む塗料を真空吸着ノズル1の基体の表面(側面)に塗布して乾燥させ、あるいは焼き付ければ、導電性付与材からなる層7を形成することができる。また、メッキ法を用いる場合には、真空吸着ノズル1の基体の表面(側面)に無電解めっきを被覆して導電ベースを設けた後に、この真空吸着ノズル1の基体を導電性付与材からなる層7となる金属イオンが溶けた溶液中に浸け、陽極側に前記金属イオンを供給する金属板を接続し、陰極側にノズル1を接続して電流を流すことにより、真空吸着ノズル1の基体の表面(側面)に導電性付与材からなる層7を形成することができる。
さらに、ゴムや樹脂などのベース材に導電性付与材を分散させたコーティング材を用いて、真空吸着ノズル1の基体の表面(側面)に塗布して乾燥あるいは硬化させても、導電性付与材からなる層7を形成することができる。
このように、導電性付与材からなる層7がセラミックスの表面にコーティングしたものであるときには、セラミックスと導電性付与材との組合せに自由度が増し、様々な材質のセラミックスに対して様々な材質や特性の導電性付与材を用いることができる。
そして、本発明の真空吸着ノズル1は、円錐部4や円筒部5などを有する本体部に変形しにくいセラミックスを用いているため、コーティングした導電性付与材からなる層7も本体部にならって変形しにくいので、変形によって導電性付与材からなる層7にクラックや剥がれが生じることが少ない。
また、本発明の真空吸着ノズル1の基体が金属からなる場合は、導電性付与材からなる層7には炭化珪素やカーボンなどを用いることが好ましい。これらの材質は、抵抗値を10〜10Ω程度とすることができ、基体から放電して電子部品15を静電破壊するという問題を効果的に防止することができる。そして、基体の表面に導電性付与材からなる層7を形成する方法は、化学蒸着法や物理蒸着法やメッキ法や塗布法などの従来の一般的な膜を形成する方法を適宜選択して用いればよい。
さらに、本発明の真空吸着ノズル1に用いるセラミックスは、安定化剤を含むジルコニアであることが好ましい。
真空吸着ノズル1に用いるセラミックスに安定化剤を含むジルコニアを用いることが好ましいのは、セラミックスとしての強度が高いためであり、特に、図1(a)に示す真空吸着ノズル1のように、円筒部5を有しており、その径が細い形状の真空吸着ノズル1の場合は、電子部品15との接触の際などに円筒部5が破損しやすいので、セラミックスとして強度の高いジルコニアは好適である。
このときのジルコニアに含ませる安定化剤にはイットリア,セリア,マグネシアなどを用いればよく、これら安定化剤を2〜8mol%程度含んでいれば実用上で強度的に十分なジルコニアとなる。また、ジルコニアの平均結晶粒子径は3μm以下のものが好ましい。平均結晶粒子径を3μm以下とすることで、真空吸着ノズル1の作製や補修の際に吸着面2に対して研削加工や鏡面加工をするときに、吸着面2に欠けが生じにくくなる。
さらに、本発明の真空吸着ノズル1は、セラミックスが安定化剤を含むジルコニアであり、導電性付与材が酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種を含むことが好ましい。これらを含む導電性付与材は、セラミックスの表面に析出することによって導電性付与材からなる層7となってセラミックスの表面に導電性を付与するとともに、セラミックスの内部に残れば、セラミックスの内部にも導電性を付与することができる。そして、これらの導電性付与材を含んでセラミックスの表面に析出した、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7は、黒色系や濃青色あるいは緑色系といった濃色系に着色するので、これらの少なくとも1種を含むことによって、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7に被覆された真空吸着ノズル1の色合いを濃色系に変化させることができる。そして、この真空吸着ノズル1が電子部品15を吸着すると、ライト17が真空吸着ノズル1に吸着された電子部品15に向けて光を照射し、CCDカメラ18で反射光を受光するときに、電子部品15の色合いに対して真空吸着ノズル1の色合いを濃色系で変えたものを選択できるので、画像解析装置19が真空吸着ノズル1と電子部品15とを区別しやすい色合いのものを用いて認識エラーや誤動作を低減させることができる。
一般的に、電子部品15は色合いが白色系,銀色系あるいは灰色系のものが多く、そのために真空吸着ノズル1の色合いとしては黒色系などの濃色系の色合いが求められることが多い。このような黒色系の色合いの真空吸着ノズル1を得るには、例えば、ジルコニアが65質量%に酸化鉄を30質量%,酸化コバルトを3質量%,酸化クロムを2質量%の組成としたものが好適である。また、電子部品15が銀色系のとき、真空吸着ノズル1の色合いは濃い黒色系を用いるのが好ましいが、この色合いは、酸化鉄を25質量%以上とすることによって得ることができる。
また、本発明の真空吸着ノズル1は、セラミックスが安定化剤を含むジルコニアであり、導電性付与材が酸化チタンを含むことが好ましい。
酸化チタンは、セラミックスの表面に析出することによってセラミックスの表面に導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7となって導電性を付与するとともに、セラミックスの内部に残れば、セラミックスの内部にも導電性を付与することができる。そして、この導電性付与材を含んでセラミックスの表面に析出した、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7は、灰色系に着色するので、電子部品15の色合いが黄色系や赤色系のときにCCDカメラ18で反射光を受光する場合に、画像解析装置19が真空吸着ノズル1と電子部品15とを区別しやすい色合いとして認識エラーや誤動作を低減させることができる。
さらにまた、本発明の真空吸着ノズル1は、セラミックスが安定化剤を含むジルコニアであり、導電性付与材が酸化亜鉛を含むことが好ましい。
酸化亜鉛も、セラミックスの表面に析出することによってセラミックスの表面に導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7となって導電性を付与するとともに、セラミックスの内部に残れば、セラミックスの内部にも導電性を付与することができる。そして、この導電性付与材を含んでセラミックスの表面に析出した、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7は、黄色系に着色するので、電子部品15の色合いが黒色系や青色系のときにCCDカメラ18で反射光を受光する場合に、画像解析装置19が真空吸着ノズル1と電子部品15とを区別しやすい色合いとして認識エラーや誤動作を低減させることができる。
また、本発明の真空吸着ノズル1の基体の側面を被覆している導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の平均厚みは0.5〜20μmであることが好ましい。この範囲の平均厚みであれば、良好な導電性を確保して静電気を確実に除去できるとともに、短期間で磨耗して機能しなくなるようなことがなく、セラミックスとの間で熱膨張の差による応力が残留して剥離したりすることも防止できる。導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の平均厚みは、20μmを超えて厚くなると静電気を速やかに除電するのに好ましいが、厚くなればなるほど真空吸着ノズル1の基体のセラミックスとの熱膨張の差による影響が大きくなり、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7にクラックや剥がれが発生する可能性が大きくなる。逆に、平均厚みが薄くなって0.5μm未満になると、静電気を除電するための経路が小さくなることとなるので静電気が残存するようになることがあり、残存した静電気の反発力によって電子部品15が真空吸着ノズル1に吸着されるときに吹き飛ばされるまでのことはなくても位置ずれが起きやすくなることがある。また、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の平均厚みが薄くなりすぎると、例えば、不注意等によって導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7に接触傷が入ったりすると、この接触傷から損傷が広がって、真空吸着ノズル1が移動するときに空気との接触によって真空吸着ノズル1が帯電しやすくなることがあるので好ましくない。
次に、基体がセラミックス製の本発明の真空吸着ノズル1の製造方法を説明する。
本発明の真空吸着ノズル1の基体を構成するセラミックスとしては、安定化剤を含むジルコニア,アルミナ,窒化珪素などを用いることができる。また、導電性付与材としては、酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種か、または酸化亜鉛か、または酸化チタンを含むものを用いることができる。
例えば、安定化剤としてイットリアを含むジルコニアが65質量%に対して酸化鉄を35質量%の割合で混合し、この原料をボールミルに投入して所定の粒度まで粉砕してスラリーを作製し、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して顆粒を形成する。
次に、この顆粒と熱可塑性樹脂とをニーダに投入して加熱しながら混練して得られた坏土をペレタイザーに投入して成形すれば、インジェクション成形用の原料となるペレットを得ることができる。なお、ニーダに投入する熱可塑性樹脂としては、エチレン酢酸ビニル共重合体やポリスチレンやアクリル系樹脂などを固形分の質量に対して10〜25質量%程度添加すればよく、混練中の加熱温度は140〜180℃に設定すればよい。また、混練の条件は、セラミックスの種類や粒度および熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜設定すればよい。
そして、得られたペレットをインジェクション成形機に投入して射出成形すれば、真空吸着ノズル1となる成形体が得られる。このとき、得られた成形体には通常は射出成形したときの余分な原料が冷えて固まったランナが付随しているので、脱脂する前にこのランナを切断しておく。
ここで、成形体の焼成条件としては、導電性付与材が酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種か、または酸化亜鉛の場合には、大気雰囲気中での焼成で最高温度を1300〜1400℃の範囲として、最高温度での保持時間を1〜5時間とすればよい。また、導電性付与材が酸化チタンの場合には、還元雰囲気中で焼成するか、大気雰囲気中で焼成したものを還元雰囲気中で再熱処理(還元処理)すればよい。これにより、導電性付与材をセラミックスの表面に析出させて、セラミックス製の真空吸着ノズル1の側面を導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7で被覆することができる。
なお、真空吸着ノズル1の側面をセラミックスから析出した導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7で被覆するためには、昇温中に最高温度よりも50〜100℃低い温度で1〜3時間の保持時間を設けることが効果的である。
さらに、導電性付与材からなる層7をコーティングで形成するときは、セラミックス製の真空吸着ノズル1の基体を作製し、炭素や銅やクロムなどの導電性付与材を化学蒸着装置などの薄膜形成装置を用いてコーティングすればよい。
次に、基体が金属の場合の本発明の真空吸着ノズル1の製造方法を説明する。
本発明の真空吸着ノズル1の基体を構成する金属としては、アルミニウム合金,銅合金(真鍮),WC−Ni系超硬合金など非磁性の材質を用いればよい。これらの金属の素材から旋盤などを使用して真空吸着ノズル1の外形の形状を削り出し、放電加工により吸引孔3を加工して金属製の基体を形成する方法や、これらの金属の粉末と樹脂とを混合して上述のセラミックスの場合と同様にインジェクション成形機に投入して射出成形し、材質に適した温度で焼成して金属製の基体を形成する方法などがある。
そして、基体の表面を導電性付与材からなる層7で被覆する方法として、化学蒸着法を用いる場合には、真空吸着ノズル1の基体を配置した反応室にコーティングする材料を含む気体を流し、その材料を真空吸着ノズル1の基体の表面(側面)で反応させてコーティングさせれば、導電性付与材からなる層7を形成することができる。また、物理蒸着法を用いる場合には、真空吸着ノズル1の基体を真空槽の中に配置し、真空吸着ノズル1の基体の対面にコーティングの材料となるターゲットを配置し、ターゲット(導電性付与剤)に高電圧を印加して真空槽に封入したアルゴンガス中で放電を発生させ、これにより生じたガスイオンでターゲット(導電性付与剤)を構成している原子を蒸発させて対面に配置された真空吸着ノズル1の基体の表面に導電性付与材からなる層7を形成することができる。また、塗布法を用いる場合には、導電性付与材を含む塗料を真空吸着ノズル1の基体の表面(側面)に塗布して乾燥させ、あるいは焼き付ければ、導電性付与材からなる層7を形成することができる。
このようにして作製した真空吸着ノズル1は、導電性付与材からなる層7が側面のみならず全面に被覆された状態にある。この真空吸着ノズル1は、このままでも使用することはできるが、吸着面2を研削加工して吸着面2の平面度を高めると、電子部品15を吸着したときの電子部品15との隙間が小さくなり吸着力が高まる。このとき、真空吸着ノズル1の吸着面2の面積は真空吸着ノズル1の側面の面積と比較して非常に小さいために、導電性付与材からなる層7が真空吸着ノズル1の側面にあれば、吸着面2には無くても空気との摩擦により真空吸着ノズル1に静電気が帯電することはほとんどない。
なお、導電性付与材からなる層7の厚みの測定には、真空吸着ノズル1を任意の箇所で破断し、電子顕微鏡を用いて破断面側から撮影した画像に対して電子顕微鏡の装置に付属する測定機能を用いて導電性付与材からなる層7の厚みを測定する方法を採用すればよい。
(実施例1)
以下、本発明の実施例を説明する。
まず、セラミックスとしてアルミナ,安定化剤としてイットリアを3mol%含むジルコニア,窒化珪素などを選択し、導電性付与材として酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロム,酸化ニッケルをそれぞれセラミックス100質量%に対して2〜50質量%添加した原料と、導電性付与材を添加しなかった原料とを各々秤量して、これらに水を加えてボールミルで粉砕・混合してスラリーを作製し、これらのスラリーをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、それぞれの顆粒を作製した。
そして、この顆粒100質量%に対してエチレン酢酸ビニル共重合体,ポリスチレン,アクリル系樹脂を合計20質量%加えてニーダに投入し、約150℃の温度に保ちながら混練して坏土を作製した。次に、得られた坏土をペレタイザーに投入してインジェクション成形用の原料となるペレットを作製した。そして、このペレットを公知のインジェクション成形機に投入し、図1に示す真空吸着用ノズル1となる成形体を作製した。
次に、これらの成形体を乾燥機に入れて乾燥した後、導電性付与材を添加しなかった成形体は公知の一般的なセラミックスの焼成方法で焼成して焼結体とし、得られた焼結体の真空吸着ノズル1の吸着面2となる部分を研削加工して平面とした。そして、真空吸着ノズル1の円筒部5の寸法が長さが3.2mm、外径が1.2mm、内径が0.8mmであり、円筒部5の肉厚が0.2mmとなるように製作した。その後、これにカーボンを導電性付与材からなる層7として物理蒸着法で被覆し、真空吸着ノズル1を得た。なお、このときの導電性付与材からなる層7の厚みは0.1〜22μmとした。これらを試料No.2,4〜9,46とした。同様に、試料No.10に酸化鉄を含有したジルコニアからなる層7を物理蒸着法で被覆し、真空吸着ノズル1を得た。なお、このときの層7の厚みは0.1〜10μmとした。これらを試料No.41〜44とした。
一方、導電性付与材を添加した成形体は、それぞれのセラミックスを焼成するための焼成炉に入炉して、昇温中にそれぞれのセラミックスを焼結するための最高温度よりも50〜100℃低い温度で1〜3時間の保持時間を設けた後、最高温度に昇温して2時間の保持時間として、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7を析出させた。得られた焼結体の真空吸着ノズル1の吸着面2となる部分を研削加工して平面とした。また、このときの導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7の厚みは0.1〜29μmとした。これらを試料No.3,13〜25,27〜32,35〜40とした。
さらに、比較例として導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7を形成しない真空吸着ノズルを、上記と同じ製造方法を用いて、原料に導電性付与材を添加しなかったものと僅かに添加したものとで成形体を作製し、公知の一般的なセラミックスの焼成方法で焼成して焼結体とし、得られた焼結体の真空吸着ノズルの吸着面となる部分を研削加工して平面として、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7を形成しない真空吸着ノズルとして作製した。これらを試料No.1,10〜12,26,33,34,45とした。
次に、これらの真空吸着ノズルの試料を電子部品装着機14に取り付けて電子部品15の真空吸着テストを行ない、電子部品15の吹き飛び、および電子部品15の静電破壊について調べた。
まず、電子部品15の吹き飛びについては、電子部品装着機14を稼動させて2000万個の吸着を行ない、ダミー基板上に電子部品15を装着してその個数を数えることで、電子部品15の吹き飛びの個数を確認した。吹き飛んだ数が3個以下のときは◎とし、4〜10個のときは○とした。また、電子部品15の吹き飛んだ数が11〜29個のときは従来との差がないため△とし、30個以上は従来より劣るので不合格とし×とした。
また、電子部品15の静電破壊については、電子部品装着機14を稼動させて2000万個の吸着を行ない、回路を形成したダミー基板上に電子部品15を装着し、ダミー基板の通電試験を行なって電子部品15を装着した回路基板が通電するか否かの確認をするという方法で、電子部品15の静電破壊の有無を確認した。なお、今回の試験では、1枚のダミー基板に100個の電子部品15を装着して、一般に使用される導通試験機を用いてダミー基板毎に導通試験を実施して、問題のあったダミー基板に付いてのみさらに個別に装着した電子部品15の導通試験を実施して、良否の判断を行ない静電破壊した個数を数えた。その結果、静電破壊した個数が3個以下のときは◎とし、4〜10個のときは○とし、11〜19個のときは従来との差がないため△とし、20個以上は従来より劣るので不合格とし×とした。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2008263175
表1に示す結果から、電子部品15の吹き飛びおよび静電破壊については、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.2〜9,13〜25,27〜32,35〜44,46は、電子部品15の吹き飛びおよび静電破壊が2000万個中で10個以内であり、比較例である試料No.1,10〜12,26,33,34,45よりも改善されていることが分かる。すなわち、本発明の実施例では、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7が真空吸着ノズル1の側面に形成されていることから、真空吸着ノズル1に静電気が発生しても速やかに除電することができ、電子部品15が静電気で反発して吹き飛ぶことや静電破壊することがほとんどない。
これに対し、本発明の比較例である試料No.1,10〜12,26,33,34,45の内、単なるセラミックス製の真空吸着ノズルである試料No.1,10,45または若干の導電性付与材が添加された試料No.11,12,26,33,34では、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7が形成されていないために静電気が帯電しても速やかに除電することができないことから、電子部品15の吹き飛びや静電破壊が従来と同等か、または増加した。
特に、本発明の実施例の中でも試料No.2,3,5〜9,15〜25,28〜32,36〜44,46は、電子部品15の吹き飛びや静電破壊についても2000万個中で3個以下と優れていた。これは、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の厚みが0.5μm以上の厚みで形成されていることから、特に静電気の除去が好適に行なわれたためである。さらに、この導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7を析出させるためには、基体のセラミックスへの導電性付与材の添加量の合計が10質量%以上で好ましいことが分かる。
また、本実施例1では、セラミックスとしてアルミナ,ジルコニア,窒化珪素を用いているが、いずれにおいても真空吸着ノズル1の側面に導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7を形成することにより、電子部品15が静電気の反発力により吹き飛ぶという問題を大幅に抑制できることが分かった。
(実施例2)
次に、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の剥がれの状況と吸着面2の強度とを確認するために、吸着面2の摩耗と吸着面2のコーナー部の欠けの状況とを、実施例1で使用した試料No,2〜9,13〜25,27〜32,35〜40,46の真空吸着ノズル1と同一のものを製作して電子部品装着機14に取り付けて調べた。これらを本発明の実施例の試料No.47〜80とした。
導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の剥がれについては、電子部品装着機14を稼動させて2000万個の電子部品15について吸着を行ない、その後、真空吸着ノズル1を電子部品装着機14から取り外し、走査型電子顕微鏡で層7を観察するという方法で、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の剥がれの有無を確認した。その結果、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の剥がれが確認できなかったものは○とし、剥がれが若干見られるがまだ使用に実用上問題ない場合は△とし、剥がれが大きくて使用するのに問題がある場合は不合格とし×とした。
次に、吸着面2の強度を評価するための吸着面2のコーナー部の欠けの発生の有無については、電子部品装着機14を稼動させて電子部品15の吸着を3500万個迄行ない、真空吸着ノズル1の吸着面2のコーナー部を光学顕微鏡を使用して倍率50倍で観察して、欠けの発生がなかったかの確認を行なった。その結果、3500万個迄吸着面2に欠けが発生していなかったものは◎とし、2500万〜3000万個の間に欠けが発生したものは○とし、2000万〜2500万個の間に欠けが発生したものは△とし、2000万個未満のときに欠けが発生したときには従来と差がないため不合格とし×とした。
得られた結果を表2に示す。
Figure 2008263175
表2に示す結果から、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の剥がれについては、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.47〜53,55〜65,68〜78,80には、2000万個の電子部品15の吸着を行なっても剥がれが発生していなかった。また、試料No.54,66,67,79には一部若干の剥がれが見られたが、まだ使用できるレベルのものであった。これは、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の厚みが20μmを超えたために、試料No.54の方はコーティングにより層7を形成したときに、また、試料No.66,67の方は成形体を焼成して層7を析出させたときに、それぞれ導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7と基体のセラミックスとの熱膨張率の差により層7に亀裂が発生していたために、その場所から層7の剥がれが発生したものと考えられる。また、試料No.79は、導電性付与材の添加量が40質量%を超えていたために円筒部5の強度が低下し、層7の剥がれと吸着面2のコーナー部の欠けとが同時に発生したものと考えられる。
従って、円筒部5の強度が十分であれば、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7または導電性付与材からなる層7の厚みは20μm以下が好適であることが分かった。
次に、吸着面2のコーナー部の欠けについては、本発明の実施例である試料No.47〜60,63〜71,74〜78,80では、電子部品装着機14を稼動させて電子部品15の吸着を2500万個迄行なったところでは欠けの発生が見られなかった。特に、試料No.49〜59,63〜70,74〜77は、3500万個迄欠けが発生していなかった。これは、導電性付与材の添加量が40質量%以下であったために真空吸着ノズル1の吸着面2の強度が保たれたためであると考えられる。なお、試料No.61,62,72,73,79では、導電性付与材の添加量が40質量%を超えていたために、従来と同程度の2000万〜2500万個で吸着面2のコーナー部の欠けが発生する結果となった。
従って、導電性付与材を含有するセラミックスからなる層7を基体のセラミックスからの析出で形成する場合には、基体のセラミックスへの導電性付与材の添加量は40質量%以下が良いことが分かった。
(セラミック製の真空吸着ノズルについての、セラミックスの材質として安定化剤を含むジルコニアとアルミナとの強度評価について)
次に、セラミックス製の真空吸着ノズル1について、安定化剤を含むジルコニアおよびアルミナについて導電性付与材の添加量が同一である表1の試料No.16と試料No.3との吸着面2のコーナー部についての欠けの発生の有無を確認することで、強度の評価をした。
得られた結果を表2の試料No.48,58に示す。
表2に示す結果から、吸着面2のコーナー部の欠けの発生の有無については、安定化剤を含むジルコニア製の試料No.58が3500万個迄は欠けの発生は見られなかったのに対し、アルミナ製の試料No.48は2500万〜3000万個の間に欠けが発生していた。このことから、真空吸着ノズル1に用いるセラミックスとしては、安定化剤を含むジルコニアが優れていることが分かる。これは、ジルコニアはアルミナよりも靭性が高いため、吸着面2のコーナー部で欠けが発生しなかったとものと考えられる。
(実施例3)
次に、図2に示すような、真空吸着ノズル1を電子部品装着機14に取り付けて吸着した電子部品15をCCDカメラ18で撮影したときの、CCDカメラ18が電子部品15とその背景を識別できているかを確認するテストを行なった。
テストには、表1に示す本発明の実施例の試料の中から、導電性付与材に酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムまたは酸化ニッケルを含むものを用いた黒色系の試料No.13,16と、導電性付与材に酸化亜鉛を含むものを用いた黄色系の試料No.29と、導電性付与材に酸化チタンを含むものを用いた灰色系の試料No.37と、導電性付与材を含有しないジルコニアにカーボンの層7をコーティングした試料No.6とを用いた。また、吸着物としては、電子部品15の代用品として色調テスト用に黒色,青色,赤色,黄色,白色の色調を有するチップを作製してテストに用いた。
そして、真空吸着ノズル1でそれぞれの色調のテスト用のチップを吸着し、CCDカメラ18で撮影した結果、導電性付与材として酸化鉄を多く使用した黒色系の試料No.13,16は、どの色調のチップに対しても背景との識別が可能であった。ただし、試料No.13は、ライト17の光が強くなると、試料No.16よりも識別性が低下して画像認識エラーが生じた。これは、試料No.13は試料No.16よりも酸化鉄の添加量が少ないために薄めの黒色であるため、ライト17の光が強くなると真空吸着ノズル1の反射光も強くなり、その反射光でチップの輪郭を不鮮明にしたためと考えられる。
次に、導電性付与材として酸化亜鉛を使用した黄色系の試料No.29は、黄色のチップ以外で認識性が良好であった。ただし、試料No.29で黄色のチップを吸着してCCDカメラ18で撮影すると、チップと背景との色調のコントラストが弱いため、識別性が低下するものと考えられる。
さらに、導電性付与材として酸化チタンを多く使用した灰色系の試料No.37は、白色のチップ以外で認識性が良好であった。この試料No.37で白色のチップを吸着してCCDカメラ18で撮影すると、チップと背景との色調のコントラストが弱いため、識別性が低下するものと考えられる。
さらにまた、カーボンをコーティングして黒色の色調となった試料No.6は、どの色調のチップに対しても背景との識別が可能であったが、ライト17の光が強くなると真空吸着ノズル1の反射光も強くなり、識別性が低下するという結果になった。
(実施例4)
次に、基体が金属からなり、吸着面2および側面が導電性付与材からなる層7で被覆された真空吸着ノズル1を作製し、電子部品装着機14に取り付けて電子部品15の真空吸着テストを行ない、電子部品15の吹き飛びおよび電子部品15の静電破壊について調べた。
真空吸着ノズル1は、基体となる金属として、アルミニウム合金のA3004Pまたは銅合金(真鍮)のC3560を用い、円筒部5の寸法が長さが3.2mm、外径が1.2mm、内径が0.8mmであり、円筒部5の肉厚が0.2mmとなるように、それぞれの素材から切削加工で外形形状を加工し、放電加工で吸引孔3を加工して作製した。その後、これにカーボンまたは炭化珪素を導電性付与材からなる層7として物理蒸着法で被覆し、真空吸着ノズル1を得た。なお、このときの導電性付与材からなる層7の厚みは0.1〜10μmとした。これらのうちカーボンを被覆した真空吸着ノズル1を試料No.82〜87,90〜95とし、、炭化珪素を被覆した真空吸着ノズル1を試料No.96〜104とした。また、比較例として導電性付与材からなる層7を形成しない試料No.81,89と、アルマイト処理を施して表面に絶縁層を形成した試料No.88とを作製した。
それらの評価方法は、実施例1と同一の内容にて評価した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2008263175
表3に示す結果から、電子部品15の吹き飛びおよび静電破壊については、本発明の真空吸着ノズルの実施例である試料No.82〜87,90〜95,96〜104は、電子部品15の吹き飛びおよび静電破壊が2000万個中で10個以内であり、比較例である試料No.81,88,89よりも改善されていることが分かる。すなわち、本発明の実施例では、導電性付与材からなる層7が真空吸着ノズル1の吸着面2および側面に形成されていることから、真空吸着ノズル1に静電気が発生しても速やかに除電することができ、電子部品15が静電気で反発して吹き飛ぶことや静電破壊することがほとんどない。
これに対し、本発明の比較例である試料No.81,89は、導電性付与材からなる層7が真空吸着ノズルの吸着面および側面に形成されていないため、真空吸着ノズル1と電子部品15との間で静電気の放電が生じて、電子部品15の静電破壊の個数が20個以上となった。また、比較例である試料No.88は、絶縁層が真空吸着ノズルの吸着面2および側面に形成されているため静電気を除電することができず、電子部品15の吹き飛んだ数が30個以上となり、静電破壊の数が20個以上となった。
以上のことから、本発明の真空吸着ノズル1を用いて電子部品装着機14の保持部材10に組み付けて電子部品装着装置20を稼動させた場合には、真空吸着ノズル1で電子部品15を吸着したときに静電気の影響を受けることがないので、静電気の反発力により電子部品15が吹き飛ばされるということがなくなり、また、電子部品15の静電破壊を防止することができ、さらに、電子部品15の色調によってCCDカメラ18が認識しやすい真空吸着ノズル1の色調を選択することができるので、電子部品装着装置20における認識エラーがほぼ無くなったことが確認された。
本発明の真空吸着ノズルを電子部品装着機の保持部材に組み付けたときの構成の一例を示す、(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図であり、(c)は(b)のE部を拡大した模式図であり、(d)は(b)のF部を拡大した模式図であり、(e)は(b)のG部を拡大した模式図である。 本発明の真空吸着ノズルを具備した電子部品装着機を用いて、チップ状の電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置の構成を示す概略図である。 従来の真空吸着ノズルが電子部品装着機の保持部材に組み付けられた構成の一例を示す、(a)は斜視図であり、(b)は縦断面図である。 従来の電子部品装着機を用いたチップ状の電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置の構成を示す概略図である。
符号の説明
1:真空吸着ノズル
2:吸着面
3:吸引孔
4:円錐部
5:円筒部
6:凸部
7:導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層
10:保持部材
14:電子部品装着機
15:電子部品
50:電子部品装着装置

Claims (8)

  1. 先端に吸着物を真空吸着する吸着面を有し、該吸着面に吸引孔を備えた真空吸着ノズルであって、基体がセラミックスからなり、側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層で被覆されていることを特徴とする真空吸着ノズル。
  2. 先端に吸着物を真空吸着する吸着面を有し、該吸着面に吸引孔を備えた真空吸着ノズルであって、基体が金属からなり、吸着面および側面が導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層で被覆されていることを特徴とする真空吸着ノズル。
  3. 前記導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層は、前記基体のセラミックスから析出した導電性付与材を含有しているものであることを特徴とする請求項1に記載の真空吸着ノズル。
  4. 前記導電性付与材を含有するセラミックスからなる層または導電性付与材からなる層は、前記基体にコーティングされたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の真空吸着ノズル。
  5. 前記導電性付与材を含有するセラミックからなる層のセラミックスは安定化剤を含むジルコニアであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の真空吸着ノズル。
  6. 前記導電性付与材は酸化鉄,酸化コバルト,酸化クロムおよび酸化ニッケルの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の真空吸着ノズル。
  7. 前記導電性付与材は酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の真空吸着ノズル。
  8. 前記導電性付与材は酸化亜鉛を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の真空吸着ノズル。
JP2008043875A 2007-03-19 2008-02-26 真空吸着ノズル Expired - Fee Related JP4969487B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008043875A JP4969487B2 (ja) 2007-03-19 2008-02-26 真空吸着ノズル

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007070744 2007-03-19
JP2007070744 2007-03-19
JP2008043875A JP4969487B2 (ja) 2007-03-19 2008-02-26 真空吸着ノズル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008263175A true JP2008263175A (ja) 2008-10-30
JP4969487B2 JP4969487B2 (ja) 2012-07-04

Family

ID=39985406

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008043875A Expired - Fee Related JP4969487B2 (ja) 2007-03-19 2008-02-26 真空吸着ノズル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4969487B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021085073A1 (ja) * 2019-10-29 2021-05-06 京セラ株式会社 セラミック構造体、吸着ノズル、カッター、ピンセット、摩耗検出器、粉体除電装置、粉体製造装置、リフトピン、搬送ハンドおよび繊維ガイド

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05275513A (ja) * 1992-03-27 1993-10-22 Kyocera Corp 半導体ウェハ保持装置
JPH0722497A (ja) * 1993-06-17 1995-01-24 Sumitomo Metal Ind Ltd 半導体製造装置
JPH1072251A (ja) * 1996-08-30 1998-03-17 Kyocera Corp 導電性セラミックス
JPH10117096A (ja) * 1996-10-09 1998-05-06 Tenryu Technic:Kk 部品実装装置
JP2003012368A (ja) * 2001-06-27 2003-01-15 Kyocera Corp 半導電性ジルコニア焼結体
JP2003243718A (ja) * 2002-02-14 2003-08-29 Matsushita Electric Works Ltd 発光装置
WO2005061188A1 (ja) * 2003-12-19 2005-07-07 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 部品装着ヘッド、吸着ノズル、及び吸着ノズルの製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05275513A (ja) * 1992-03-27 1993-10-22 Kyocera Corp 半導体ウェハ保持装置
JPH0722497A (ja) * 1993-06-17 1995-01-24 Sumitomo Metal Ind Ltd 半導体製造装置
JPH1072251A (ja) * 1996-08-30 1998-03-17 Kyocera Corp 導電性セラミックス
JPH10117096A (ja) * 1996-10-09 1998-05-06 Tenryu Technic:Kk 部品実装装置
JP2003012368A (ja) * 2001-06-27 2003-01-15 Kyocera Corp 半導電性ジルコニア焼結体
JP2003243718A (ja) * 2002-02-14 2003-08-29 Matsushita Electric Works Ltd 発光装置
WO2005061188A1 (ja) * 2003-12-19 2005-07-07 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 部品装着ヘッド、吸着ノズル、及び吸着ノズルの製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021085073A1 (ja) * 2019-10-29 2021-05-06 京セラ株式会社 セラミック構造体、吸着ノズル、カッター、ピンセット、摩耗検出器、粉体除電装置、粉体製造装置、リフトピン、搬送ハンドおよび繊維ガイド
JPWO2021085073A1 (ja) * 2019-10-29 2021-05-06
CN114630813A (zh) * 2019-10-29 2022-06-14 京瓷株式会社 陶瓷结构体、吸嘴、刀具、镊子、磨损检测器、粉体除电装置、粉体制造装置、顶销、搬运手及纤维引导件
JP7344978B2 (ja) 2019-10-29 2023-09-14 京セラ株式会社 セラミック構造体、吸着ノズル、カッター、ピンセット、摩耗検出器、粉体除電装置、粉体製造装置、リフトピン、搬送ハンドおよび繊維ガイド
CN114630813B (zh) * 2019-10-29 2023-11-21 京瓷株式会社 陶瓷结构体、吸嘴、刀具、镊子、磨损检测器、粉体除电装置、粉体制造装置、顶销、搬运手及纤维引导件

Also Published As

Publication number Publication date
JP4969487B2 (ja) 2012-07-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4852645B2 (ja) 真空吸着ノズル
JP5404889B2 (ja) 真空吸着ノズル組み立て体
JP5279887B2 (ja) 真空吸着ノズル
EP0066086B1 (en) Manufacture of laminated electronic substrates involving electrical inspection
JP5441020B1 (ja) 静電チャック
JP2009154217A (ja) 真空吸着ノズル
TWI406356B (zh) Electrostatic chuck
JP2007281161A (ja) 半導体製造装置用ウエハ保持体及び半導体製造装置
JP3470959B2 (ja) セラミック構造体およびその形成方法
JP2008263175A (ja) 真空吸着ノズル
JP5501887B2 (ja) 真空吸着ノズル
JP5188455B2 (ja) 真空吸着ノズル組み立て体
JP2006044980A (ja) 窒化アルミニウム焼結体
KR101871263B1 (ko) 표면 도전막을 가지는 구멍충전기판 및 그 제조방법, 및 부풂 또는 박리 억제 방법
JP5111351B2 (ja) 真空吸着ノズル
JP5153573B2 (ja) 真空吸着ノズル組み立て体
JP2011151306A (ja) 真空吸着ノズル
JP4831953B2 (ja) 窒化アルミニウム焼結体
KR20060060746A (ko) 적층 세라믹 전자부품의 전극층용의 도전체 페이스트 및적층 세라믹 전자부품용의 적층체 유닛의 제조방법
JP6484777B2 (ja) セラミックス製黒色ノズル
JP2007186382A (ja) 窒化アルミニウム焼結体
JP2010177383A (ja) 多層セラミック基板及びその製造方法並びにプローブカード
JP2007112635A (ja) 窒化アルミニウム焼結体
JP5300674B2 (ja) 真空吸着ノズル
TW202346099A (zh) 積層體及靜電夾頭裝置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120306

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120403

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150413

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4969487

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees