JP2008261538A - 汽水分離器ならびにそれを備えたボイラ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い汽水分離効率が得られ、水流入による過熱器のトラブルが解消できる汽水分離器を提供する。
【解決手段】胴9へ供給される水と蒸気の2相流体の流入角度が18°〜60°の範囲で下向きとなるように、流入管10が胴9に取り付けられていることを特徴とする汽水分離器。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボイラ装置に備えられて水と蒸気を分離する汽水分離器に係り、特に変圧ボイラ装置の水壁管などより送出される水と蒸気の2相流体を水と蒸気とに分離するのに好適な構造の汽水分離器に関する。
変圧運転ボイラ装置における水の系統を図4に示す。水は給水ポンプ1により、節炭器(または火炉壁)2に送られ、蒸気となる。蒸気は過熱器4において過熱蒸気となり、蒸気タービン6に送られる。高負荷条件では、過熱器入口の流体は完全に蒸気となっているが、低負荷条件では水と蒸気が混合した気液2相流の状態となっている。
過熱器4に制限値以上の水が流入すると種々のトラブルの原因となるため、過熱器4への水の流入を制限値以下に抑制する目的で、火炉壁(または節炭器)2の蒸発管の出口側に、水と蒸気を分離する汽水分離器3が設置されている。汽水分離器3に流入した水と蒸気の2相流体は水と蒸気に分離され、蒸気は過熱器4に、水はドレンタンク5に送られる。ドレンタンク5に貯留された水は、再循環ポンプ8によって再び節炭器(または火炉壁)2に送られる。図中の7は、復水器である。
従来の汽水分離器3の構造を図5に示す。同図に示すように汽水分離器3は、縦型の円筒形をした胴9と、その胴9の側壁に接線方向に配設した流入管10と、胴9の上部に接続された上部流出管11と、胴9の下部に接続された下部流出管12により主に構成されている。図示していないが前記流入管10は、胴9の周方向に沿って等間隔に複数本(例えば2〜6本程度)取り付けられている。
流入管10を通って汽水分離器3に流入した水と蒸気の気液2相流体は、遠心力によって分離される。水は胴9の側壁内面に衝突することで水膜を形成し、重力の作用で側壁を伝って下方に流れ、下部流出管12から排出される。一方、蒸気は水に比べて密度が小さいので、胴9の中央部で上昇流を形成し、上部流出管11より排出される。
このように汽水分離器3は、水と蒸気の2相流体を旋回させることによって生じる遠心力を利用して、水と蒸気とに分離するものである。ここで、遠心力が最大となるのは、2相流体を円筒形の胴9の内部へ水平方向に流入させた場合である。
しかし、2相流体を胴9の内部へ水平方向に流入させると、流入した2相流体が、隣接する流入管10から流入した2相流体と衝突・干渉して、汽水分離効率(=下部流出管から排出される水の量/流入管から流入する2相流中の水の量)が低下する。このため通常は、隣接管との干渉を回避し、かつ、遠心力が最大となるように、図5に示すように胴9内部への2相流体の流入角度を水平より10°前後下向きとしている。
この種の汽水分離器に関しては、例えば下記特許文献1、2を挙げることができる。
特表2002−523716号公報 特開2001−198423号公報
上述した従来の汽水分離器において、流入管1本当たりの水と蒸気の気液2相流体の質量流量を増加させると、汽水分離効率が低下し、上部流出管から流出する水の量が増加するという問題があった。
この問題に対して流入管1本当たりの質量流量を少なくするため、汽水分離器の設置数や流入管の本数を増加さることが考えられるが、設置スペースが必要となり、また機器コストや配管施工のための工事コストが増大し、好ましくない。
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、常に高い汽水分離効率が得られ、水混入による過熱器の各種トラブルが回避できる汽水分離器ならびにそれを備えたボイラ装置を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、縦型の円筒形をした胴と、
その胴の内部に水と蒸気の2相流体を胴内周面の接線方向に沿って供給する流入管と、
前記2相流体から分離された蒸気を前記胴の上部から流出させる上部流出管と、
前記2相流体から分離された水を胴の下部から流出させる下部流出管を備えた汽水分離器において、
前記胴の内部へ供給される前記2相流体の流入角度が水平より18゜〜60°の範囲で下向きに傾斜するように、前記流入管が前記胴に取り付けられていることを特徴とするものである。
前記目的を達成するため本発明の第2の手段は、供給された水を加熱して水と蒸気の2相流体を生成する蒸発器と、
その蒸発器で生成した前記2相流体を導入して水と蒸気に分離する汽水分離器と、
その汽水分離器から分離した蒸気を過熱する過熱器を備えたボイラ装置において、
前記汽水分離器が、
縦型の円筒形をした胴と、
その胴の内部に前記2相流体を胴内周面の接線方向に沿って供給する流入管と、
前記2相流体から分離された蒸気を前記胴の上部から流出させる上部流出管と、
前記2相流体から分離された水を胴の下部から流出させる下部流出管を備え、
前記胴の内部へ供給される前記2相流体の流入角度が水平より18゜〜60°の範囲で下向きに傾斜するように、前記流入管が前記胴に取り付けられていることを特徴とするものである。
前記目的を達成するため本発明の第3の手段は、
供給された水を加熱して水と蒸気の2相流体を生成する蒸発器と、
その蒸発器で生成した前記2相流体を導入して水と蒸気に分離する汽水分離器と、
その汽水分離器から分離した蒸気を過熱する過熱器を備えたボイラ装置において、
前記汽水分離器が、
縦型の円筒形をした胴と、
その胴の内部に前記2相流体を胴内周面の接線方向に沿って供給する流入管と、
前記2相流体から分離された蒸気を前記胴の上部から流出させる上部流出管と、
前記2相流体から分離された水を胴の下部から流出させる下部流出管を備え、
前記胴の内部へ供給される前記2相流体の流入角度が水平より18゜〜60°の範囲で下向きに傾斜するように、前記流入管が前記胴に取り付けられており、
前記蒸発器から流出される前記2相流体の全流量に対する前記流入管の1本当たりの前記2相流体の流量の比率が0.125より大きく規制されていることを特徴とするものである。
本発明は前述のような構成になっており、常に高い汽水分離効率が得られるため、水流入による過熱器の各種トラブルを回避でき、長期にわたり安全、かつ安定してボイラの運転を継続することができる。
次に本発明の実施形態を図とともに説明する。図1は、本発明の実施形態に係る汽水分離器の概略構成図である。
同図に示すように汽水分離器3は、縦型の円筒形をした胴9と、その胴9の側壁に接線方向に配設した流入管10と、胴9の上部に接続された上部流出管11と、胴9の下部に接続された下部流出管12により主に構成されている。
流入管10を通って汽水分離器3に流入した水と蒸気の気液2相流体は、遠心力によって分離される。水は胴9の側壁内面に衝突することで水膜を形成し、重力の作用で側壁を伝って下方に流れ、下部流出管12から排出される。一方、蒸気は水に比べて密度が小さいので、胴9の中央部で上昇流を形成し、上部流出管11より排出される。
本実施形態の場合、汽水分離器3はボイラ1缶当たり2基設置され、汽水分離器1基当たりの流入管10の本数は2本であり、同一水平面上で胴9の周方向の対称位置に流入管10が取り付けられている。汽水分離器1基当たり2本の流入管10が設置されているから、流入管1本当たりの2相流体の流量と2基の汽水分離器に流入する全流量との比率は0.25である。
汽水分離器をボイラ1缶当たり1基のみにした場合であれば、流入管10の本数は汽水分離器1基当たり4本であり、この場合も、流入管1本当たりの2相流体の流量と2基の汽水分離器に流入する全流量との比率は0.25である。
流入管10の胴9への取り付け角度αは水平線に対し、18゜以上60°以下に設定されている。
ここでは便宜上、流入管10の胴9への取り付け角度αの語を用いるが、流入管10の肉厚を管の長手方向に一定としているため、取り付け角度αは胴9の内部への2相流体の流入角度と同意である。
この汽水分離器において、数値解析及びコールドモデル実験により、汽水分離効率に及ぼす流入管の胴への取り付け角度αの影響を調べ、その結果を図2に示す。横軸に流入管の取り付け角度αをとり、縦軸に、流入管1本当たりの流量をボイラ1缶の全流量で除した値[流入管1本当たりの流量/ボイラ1缶の全流量]が0.25でαが10°の場合の汽水分離効率を1とした時の汽水分離効率の無次元数をとっている。
本実験は[流入管1本当たりの流量/ボイラ1缶の全流量]の比率が0.125(黒三角印:ボイラ1缶に対して流入管8本の汽水分離器1基使用)、0.25(白丸印:ボイラ1缶に対して流入管4本の汽水分離器1基使用)、0.33(白菱形印:ボイラ1缶に対して流入管3本の汽水分離器1基使用)、0.5(白丸四角印:ボイラ1缶に対して流入管2本の汽水分離器1基使用)の4通りについて行った。
この図より、例えば前記比率が0.33(白菱形印)や0.5(白丸四角印)のように流入管1本当たりの流量を増加させると、汽水分離効率が低下することが分かり、特に流入管の取り付け角度αにより、その影響度合いが顕著に異なっている。
前記[流入管1本当たりの流量/ボイラ1缶の全流量]の比率が0.125であれば、取り付け角度αを18゜以上にすることで、汽水分離効率を常に高い値に維持できることが分かった。
特に取り付け角度αを20°以上にすれば、前記比率が0.25を超えても問題なく、流入管1本当たりの流量の大小によらず、汽水分離効率を常に高い値に維持できることが分かった。
なお、取り付け角度αを大きくすると、胴のノズル開口面積が大きくなり、ノズルを保持する胴体壁の面積が減少し、機械的な強度が低下する。機械的な強度を維持するためには、胴体の肉厚を増大させる必要があり、そのために設備コストの増大を招く。
図3は、流入管の取り付け角度αと胴のノズル開口面積との関係を示す図である。この図において取り付け角度α=10°の開口面積を1とすると、同図に示すように、取り付け角度αが60°を超えると胴のノズル開口面積が急激に増加し、強度維持に必要な胴体の肉厚確保のために設備コストが急激に増加する。従って、流入管の取り付け角度αは、胴体の機械的強度の低下や設備コストの急激な増加を考慮すると60°以下にする必要がある。
図6は、[流入管1本当たりの流量/ボイラ1缶の全流量]=mと、流入管の圧力損失比率との関係を示す特性図である。この図の縦軸の流入管の圧力損失比率は、m=0.125(ボイラ1缶に対して流入管8本の汽水分離器1基使用)の場合の圧力損失を1.0とした場合の圧力損失比率である。
この図から明らかなように、m=0.125より小さくなると流入管の圧力損失比率が増大するため、mは例えば0.25、05のように0.125より大きくする必要がある。また、mの値を0.125より大きくするということは、流入管の必要本数が少なくてすみ、構造の簡略化が図れる。
本発明の実施形態に係る汽水分離器の概略構成図である。 汽水分離器における流入管の取り付け角度αと汽水分離効率との関係を示す特性図である。 汽水分離器における流入管の取り付け角度αと、胴のノズル開口面積との関係を示す特性図である。 変圧運転ボイラにおける水の系統を示す概略構成図である。 従来の汽水分離器の概略構成図である。 [流入管1本当たりの流量/ボイラ1缶の全流量]=mと、流入管の圧力損失比率との関係を示す特性図である。
符号の説明
1・・・給水ポンプ、2・・・節炭器(または火炉)、3・・・汽水分離器、4・・・過熱器、5・・・ドレンタンク、6・・・蒸気タービン、7・・・復水器、8・・・再循環ポンプ、9・・・胴、10・・・上部流出菅、11・・・下部流出菅、α・・・流入管の取り付け角度。

Claims (5)

  1. 縦型の円筒形をした胴と、
    その胴の内部に水と蒸気の2相流体を胴内周面の接線方向に沿って供給する流入管と、
    前記2相流体から分離された蒸気を前記胴の上部から流出させる上部流出管と、
    前記2相流体から分離された水を胴の下部から流出させる下部流出管を備えた汽水分離器において、
    前記胴の内部へ供給される前記2相流体の流入角度が水平より18゜〜60°の範囲で下向きに傾斜するように、前記流入管が前記胴に取り付けられていることを特徴とする汽水分離器。
  2. 請求項1記載の汽水分離器において、前記流入角度が20°〜60°の範囲に規制されていることを特徴とする汽水分離器。
  3. 供給された水を加熱して水と蒸気の2相流体を生成する蒸発器と、
    その蒸発器で生成した前記2相流体を導入して水と蒸気に分離する汽水分離器と、
    その汽水分離器から分離した蒸気を過熱する過熱器を備えたボイラ装置において、
    前記汽水分離器が、
    縦型の円筒形をした胴と、
    その胴の内部に前記2相流体を胴内周面の接線方向に沿って供給する流入管と、
    前記2相流体から分離された蒸気を前記胴の上部から流出させる上部流出管と、
    前記2相流体から分離された水を胴の下部から流出させる下部流出管を備え、
    前記胴の内部へ供給される前記2相流体の流入角度が水平より18゜〜60°の範囲で下向きに傾斜するように、前記流入管が前記胴に取り付けられていることを特徴とするボイラ装置。
  4. 供給された水を加熱して水と蒸気の2相流体を生成する蒸発器と、
    その蒸発器で生成した前記2相流体を導入して水と蒸気に分離する汽水分離器と、
    その汽水分離器から分離した蒸気を過熱する過熱器を備えたボイラ装置において、
    前記汽水分離器が、
    縦型の円筒形をした胴と、
    その胴の内部に前記2相流体を胴内周面の接線方向に沿って供給する流入管と、
    前記2相流体から分離された蒸気を前記胴の上部から流出させる上部流出管と、
    前記2相流体から分離された水を胴の下部から流出させる下部流出管を備え、
    前記胴の内部へ供給される前記2相流体の流入角度が水平より18゜〜60°の範囲で下向きに傾斜するように、前記流入管が前記胴に取り付けられており、
    前記蒸発器から流出される前記2相流体の全流量に対する前記流入管の1本当たりの前記2相流体の流量の比率が0.125より大きく規制されていることを特徴とするボイラ装置。
  5. 請求項3または4記載のボイラ装置において、前記流入角度が20°〜60°の範囲に規制されていることを特徴とするボイラ装置。
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