JP2008261269A - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射量制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料挙動モデルに基づく燃料噴射量制御装置において、運転状態と燃料挙動パラメータとの関係を適切に更新することによって、燃料噴射量をより適切に決定する。
【解決手段】運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係に基づいて燃料挙動パラメータを決定する燃料挙動パラメータ決定手段を有していて、上記関係の更新が、実測空燃比に基づいて燃料挙動パラメータの値を算出し、その値とその値の算出に用いた実測空燃比が測定された時の運転状態との関係に基づいて燃料挙動パラメータを近似的に示す運転状態パラメータの一次回帰式を求め、その一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値と更新前の運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係に基づいて得られる燃料挙動パラメータの値との差を求め、その差に基づいて求めた補正量だけ燃料挙動パラメータの値を変更することによって行われる、燃料噴射量制御装置が提供される。
【選択図】図3

Description

本発明は内燃機関の燃料噴射量制御装置に関する。
従来より、吸気通路壁面等の吸気通路を構成する部材(以下、「吸気通路構成部材」という)へ付着する燃料の量等を燃料挙動シミュレーションモデル(以下、「燃料挙動モデル」という)に基づいて推定し、この推定した燃料付着量等に応じて燃焼室内における混合気の空燃比を目標空燃比に一致させるための燃料噴射量を決定する内燃機関の燃料噴射量制御装置が知られている(例えば、特許文献1)。
この種の装置において用いられる燃料挙動モデル(図2参照)によれば、kを計算サイクル数(k=1、2、3…)として、燃料量fi(k)の燃料噴射が行なわれた後の燃料付着量fw(k+1)は下記(1)式により求められる。
fw(k+1)=R・fi(k)+P・fw(k) …(1)
上記(1)式において、fw(k)は燃料量fi(k)の燃料噴射を行なう前の燃料付着量、Pは吸気通路構成部材に既に付着していた燃料のうち一吸気行程を経た後に同吸気通路構成部材に付着したまま残留している燃料の割合(燃料残留率)、Rは噴射された燃料のうち吸気通路構成部材へ直接付着する燃料の割合(燃料付着率)である。
一方、今回の燃料噴射量fi(k)の燃料のうち気筒(燃焼室)内に吸入される燃料の量は(1−R)・fi(k)となり、既に付着している燃料の量(燃料付着量)fw(k)のうち気筒内に吸入される燃料量は(1−P)・fw(k)となる。そこで、fc(k)を今回の吸気行程において燃焼室内に吸入される混合気の空燃比が所定の目標空燃比と一致するために必要な燃料量(要求燃料量)であるとすると、同混合気の空燃比を目標空燃比とするためには、下記(2)式が成立するように今回の燃料噴射量fi(k)を決定すればよいことになる。
fc(k)=(1−R)・fi(k)+(1−P)・fw(k) …(2)
したがって、実際には上記(2)式を変形した下記(3)式により今回の燃料噴射量fi(k)を求めればよい。
fi(k)={fc(k)−(1−P)fw(k)}/(1−R) …(3)
ところで、燃料残留率P及び燃料付着率Rは燃料挙動パラメータと呼ばれるパラメータであって、機関回転数等の機関運転状態を表すパラメータ(以下、「運転状態パラメータ」という)の値によって定まる内燃機関の運転状態に応じた値が予め求められてマップにされている。そして、実際の運転においては、その時の内燃機関の運転状態に応じて上記マップに基づいて燃料挙動パラメータP、Rが求められ使用されることになる。
一方、求められる燃料噴射量の精度を維持するためには、吸排気弁へのデポジットの付着等の内燃機関の経時変化や燃料の種類の変更等に伴って、上記マップの燃料挙動パラメータP、Rの値(すなわち、マップに定められている機関運転状態と燃料挙動パラメータとの関係)を更新する必要がある。そしてこのような要求に対しては、従来より特定の運転状態(運転モード)において学習を行うようにして上記のようなマップの燃料挙動パラメータP、Rの値を更新するものがある。
しかしながら、このような場合には学習可能な運転状態が限られているため、適切な時期に学習を行うことができない可能性がある。また、過渡運転状態においては、実際には上記燃料挙動パラメータP、Rの値は変化することになるが、これらを固定値として学習している場合もあり、このような場合には精度向上のために学習を繰り返す必要があるため、迅速に精度の高い学習値を得ることが困難である。
そして、上記マップの燃料挙動パラメータP、Rの値を適切に更新することができないと、マップに基づいて求められた燃料挙動パラメータP、Rを用いて決定された燃料噴射量も不適切なものとなってしまい、その結果として内燃機関の実際の空燃比が目標空燃比から乖離し、排気ガス中の未燃成分や窒素酸化物が増大してしまうという問題が生じる恐れがある。
特許第2754744号明細書 特開平7−139393号公報 特開平7−197836号公報
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料挙動モデルに基づいて燃料噴射量を決定する内燃機関の燃料噴射量制御装置において、機関運転状態と燃料挙動パラメータとの関係を適切に更新することによって、燃料噴射量をより適切に決定することを可能にすることである。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された内燃機関の燃料噴射量制御装置を提供する。
1番目の発明は、内燃機関の吸気通路に噴射された燃料の挙動を機関運転状態により決定される燃料挙動パラメータを用いて表す燃料挙動モデルに基づいて燃料噴射量を決定する内燃機関の燃料噴射量制御装置であって、機関運転状態を表わす運転状態パラメータと上記燃料挙動パラメータとの関係に基づいて機関運転状態から上記燃料挙動パラメータを決定する燃料挙動パラメータ決定手段を有し、上記運転状態パラメータと上記燃料挙動パラメータとの関係は、機関が過渡運転状態となった時に実測される空燃比に基づいて更新されるようになっていて、上記運転状態パラメータと上記燃料挙動パラメータとの関係の更新は、上記実測空燃比に基づいて算出される燃料挙動パラメータの値と該燃料挙動パラメータの値の算出に用いた実測空燃比が測定された時の機関運転状態との関係に基づいて求められる燃料挙動パラメータを近似的に示す上記運転状態パラメータの一次回帰式で得られる値に基づいて行われることを特徴とする、内燃機関の燃料噴射量制御装置を提供する。
1番目の発明のようにすると、より限定的な機関運転状態においてのみ上記運転状態パラメータと上記燃料挙動パラメータとの関係の更新が行われるものに比べ、より適切な時期に迅速に上記更新を行うことが可能となる。また特に1番目の発明のようにすると、上記一次回帰式を用いることで、ノイズの影響や過渡時の挙動のばらつきの影響が緩和され点単位ではなく領域単位で学習を行うことが可能となるので、計算負荷の軽減を図りつつ燃料挙動パラメータを精度良く更新することが可能となる。そして1番目の発明によれば、このように燃料挙動パラメータの値をより適切に更新することが可能になるので、結果として燃料噴射量をより適切に決定することが可能となる。
また、1番目の発明によれば、実際の過渡運転時に、運転状態の変化に対応して時々刻々変化していく燃料挙動パラメータの値に基づいて上記更新が行われることになるため、事前適合における工数の低減を図ることができると共に求められる燃料挙動パラメータの精度向上を図ることができる。
なおここで、燃料挙動パラメータの値の算出に用いた実測空燃比が測定された時の機関運転状態とは、筒内空燃比が上記実測空燃比であったと考えられる時の機関運転状態のことを意味している。
2番目の発明では1番目の発明において、上記運転状態パラメータと上記燃料挙動パラメータとの関係の更新は、上記一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値と更新前の運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係に基づいて得られる燃料挙動パラメータの値との差を求め、該差に基づいて求めた補正量だけ燃料挙動パラメータの値を変更することによって行われる。
3番目の発明では1番目または2番目の発明において、更新前の燃料挙動パラメータについて近似的に示す運転状態パラメータの一次回帰式が、該一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値と更新前の運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係から得られる燃料挙動パラメータの値との差が予め定めた近似誤差未満になるように分割された機関運転状態の領域毎に求められると共に、上記実測空燃比に基づいて算出された燃料挙動パラメータの値と該燃料挙動パラメータの値の算出に用いた実測空燃比が測定された時の機関運転状態との関係に基づいて求められる上記一次回帰式が、更新前の燃料挙動パラメータについて近似的に示す上記機関運転状態の一次回帰式が求められるのと同じ機関運転状態の領域毎に求められるようになっている。
2番目及び3番目の発明によっても1番目の発明とほぼ同様の作用及び効果を得ることができる。
4番目の発明では2番目または3番目の発明において、更新前の燃料挙動パラメータについて近似的に示す上記運転状態パラメータの一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値から更新前の運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係から得られる燃料挙動パラメータの値を減算した値の符号と、上記実測空燃比に基づいて算出された燃料挙動パラメータの値と該燃料挙動パラメータの値の算出に用いた実測空燃比が測定された時の機関運転状態との関係に基づいて求められる上記一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値から更新前の運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係から得られる燃料挙動パラメータの値を減算した値の符号とが異なる場合には、更新前の燃料挙動パラメータについて近似的に示す上記運転状態パラメータの一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値と更新前の機関運転状態と燃料挙動パラメータとの関係から得られる燃料挙動パラメータの値との差が大きい程、上記補正量の大きさが小さくなるようになっている。
4番目の発明によっても1番目から3番目の発明とほぼ同様の作用及び効果を得ることができる。また、運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係を更に適切に更新することが可能となる。すなわち、燃料挙動パラメータを更に精度良く更新することが可能となる。
5番目の発明では1番目から4番目の発明において、上記運転状態パラメータは、機関回転数と、筒内空気充填率と、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングとを含んでいる。
5番目の発明によっても1番目から4番目の発明とほぼ同様の作用及び効果を得ることができる。なお、ここで筒内空気充填率は、一気筒の総行程容積分の空気の質量に対する筒内充填空気の質量比を百分率で表わしたものであり、1ストローク当りの吸入空気質量に比例する値である。
各請求項に記載の発明は、燃料挙動モデルに基づいて燃料噴射量を決定する内燃機関の燃料噴射量制御装置において、機関運転状態と燃料挙動パラメータとの関係を適切に更新することによって、燃料噴射量をより適切に決定することを可能にするという共通の効果を奏する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明の内燃機関の燃料噴射量制御装置の一実施形態を説明するための概略構成図である。図1において、1は内燃機関本体、2は吸気弁、3は排気弁である。なお、本実施形態では吸気弁2にその開閉タイミングを変更するための開閉タイミング変更機構21が設けられている。すなわち、本実施形態では開閉タイミング変更機構21を作動させることにより吸気弁2の開閉タイミングを制御することができる。
また図1において、4はシリンダ(気筒)、5はシリンダ4内に形成された燃焼室、6は燃焼室5内の混合気を点火するための点火栓である。更に、7は各気筒への分岐吸気通路を構成する下流側吸気管であって、ここには吸気通路内に燃料を噴射するための燃料噴射弁8が設けられている。9はサージタンク、11は上流側吸気管、12は排気管である。
図1に示されているように、上記上流側吸気管11内には吸入空気量を制御するためのスロットル弁13が設けられている。本実施形態においては、スロットル弁13はアクセルペダル(図示なし)の踏込み量に対応して開度が変更されるようになっている。また、上記スロットル弁13の上流には吸入空気量を検出するためのエアフローメータ15が設けられている。更に、本実施形態においては、機関回転数を検出するための機関回転数センサ16、大気圧センサ17及び大気温センサ18が設けられている。また、上記排気管12には空燃比を検出するための空燃比センサ20が設けられている。
なお、他の実施形態においては更に、機関冷却水の温度を検出するための冷却水温センサ等が設けられていてもよい。また、上記大気圧センサ17及び大気温センサ18の代わりに、もしくはこれらに追加して、吸気圧を検出するための吸気圧センサ及び吸気温を検出するための吸気温センサが設けられていてもよい。
19は電子制御装置(ECU)であって、公知の形式のデジタルコンピュータから構成され、上述の各種センサからの信号に基づいて内燃機関の運転に必要な種々の演算を行なうと共に、その結果を反映して点火栓6、燃料噴射弁7、開閉タイミング変更機構21等の作動を制御するようになっている。
ところで、本実施形態においては、燃料噴射弁8からの燃料噴射量が、以下で説明するように内燃機関の吸気通路に噴射された燃料の挙動を機関運転状態により決定される燃料挙動パラメータを用いて表す燃料挙動モデルに基づいて決定されるようになっている。この燃料挙動モデルは、燃料噴射弁から噴射された燃料の一部が吸気管の内壁面等の吸気通路を構成する部材(すなわち、吸気通路構成部材)へ付着してしまうことを考慮して構築されたものである。なお、この燃料挙動モデル自体については従来より公知のものであるので、ここでは簡単に説明する。
すなわち、本実施形態で用いられている燃料挙動モデルは図2に示されたようなものであって、この燃料挙動モデルによれば、kを計算サイクル数(k=1、2、3…)として、燃料量fi(k)の燃料噴射が行なわれた後の燃料付着量fw(k+1)は、下記(4)式により求められる。
fw(k+1)=R・fi(k)+P・fw(k) …(4)
上記(4)式において、fw(k)は燃料量fi(k)の燃料噴射を行なう前の燃料付着量、P、Rは燃料挙動パラメータであって、Pは吸気通路構成部材に既に付着していた燃料のうち一吸気行程を経た後に同吸気通路構成部材に付着したまま残留している燃料の割合(燃料残留率)、Rは噴射された燃料のうち吸気通路構成部材へ直接付着する燃料の割合(燃料付着率)である。
一方、今回の燃料噴射量fi(k)の燃料のうち燃焼室5内に吸入される燃料の量は(1−R)・fi(k)となり、既に付着している燃料の量(燃料付着量)fw(k)のうち気筒内に吸入される燃料量は(1−P)・fw(k)となる。そこで、fc(k)を今回の吸気行程において燃焼室5内に吸入される混合気の空燃比が所定の目標空燃比と一致するために必要な燃料量(要求燃料量)とすると、同混合気の空燃比を目標空燃比とするためには、下記(5)式が成立するように今回の燃料噴射量fi(k)を決定すればよいことになる。
fc(k)=(1−R)・fi(k)+(1−P)・fw(k) …(5)
すなわち、この(5)式を変形した以下の(6)式により今回の燃料噴射量fi(k)(すなわち、燃焼室5内における混合気の空燃比を目標空燃比と一致させるのに必要な燃料噴射量)を求めることができる。
fi(k)={fc(k)−(1−P)fw(k)}/(1−R) …(6)
ここで、上記要求燃料量fc(k)については、先ず現在のスロットル弁開度、機関回転数及びエアフローメータ15により検出される吸入空気量(あるいは吸入空気流量)等から今回の吸気行程において燃焼室5内に吸入される空気の量(筒内充填空気量)を推定し、次いでその推定された空気量との関係で目標空燃比を実現する燃料量を算出することで求めることができる。なお、上記燃焼室5内に吸入される空気の量(筒内充填空気量)の推定は公知のモデルを用いた手法によって行ってもよい。
一方、上記(6)式で使用される燃料挙動パラメータP、Rについては、機関運転状態と上記燃料挙動パラメータP、Rのそれぞれとの関係が予め求められてECU19に記憶されており、実際の運転においては、その予め求められた関係に基づいて上記燃料挙動パラメータP、Rが決定されるようになっている。
より詳細には、本実施形態では上記燃料挙動パラメータP、Rを決定するための機関運転状態が3つの運転状態パラメータ、すなわち機関回転数NE、筒内空気充填率KL、吸気弁2の開閉タイミングVVTによって定まるようになっている。すなわち、本実施形態では上記燃料挙動パラメータP、Rのそれぞれを求めるためのマップが機関回転数NE、筒内空気充填率KL、吸気弁2の開閉タイミングVVTを引数として予め作成されてECU19に記憶されている。そして、実際の運転においては、その時の機関回転数NE、筒内空気充填率KL、吸気弁2の開閉タイミングVVTに応じて上記マップに基づいて燃料挙動パラメータP、Rがそれぞれ決定されるようになっている。
ところで、上記のようにマップを用いて燃料挙動パラメータP、Rを決定する場合、求められる燃料噴射量fi(k)の精度を維持するためには、吸排気弁へのデポジットの付着等の内燃機関の経時変化や燃料の種類の変更等に伴って、上記マップの燃料挙動パラメータP、Rの値(すなわち、マップに定められている機関運転状態と燃料挙動パラメータとの関係)を更新する必要がある。
このような要求に対しては、従来より特定の運転状態(運転モード)において学習を行うようにして上記のようなマップの燃料挙動パラメータP、Rの値を更新するものがあるが、このような場合には学習可能な運転状態が限られているため、適切な時期に学習を行うことができない可能性がある。また、過渡運転状態においては、実際には上記燃料挙動パラメータP、Rの値は変化することになるが、これらを固定値として学習している場合もあり、このような場合には精度向上のために学習を繰り返す必要があるため、迅速に精度の高い学習値を得ることが困難である。
そして、上記マップの燃料挙動パラメータP、Rの値を適切に更新することができないと、マップに基づいて求められた燃料挙動パラメータP、Rを用いて決定された燃料噴射量fi(k)も不適切なものとなってしまい、その結果として内燃機関の実際の空燃比が目標空燃比から乖離し、排気ガス中の未燃成分や窒素酸化物が増大してしまうという問題が生じる恐れがある。
そこで本実施形態では、上記のような点に鑑み、以下で説明するような制御を行って、上記マップの燃料挙動パラメータP、Rの値(すなわち、マップに定められている機関運転状態と燃料挙動パラメータとの関係)を適切に更新するようにし、燃料噴射量をより適切に決定できるようにしている。なお、以下では燃料挙動パラメータP、Rについてまとめて説明するが、以下の制御は燃料挙動パラメータP、Rのぞれぞれについて実施される。
図3は本実施形態で実施されるマップ更新制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはECU19により一定時間毎の割込みによって実施される。この制御ルーチンがスタートすると、まず、ステップ101において内燃機関の運転状態が過渡状態となったか否かを判定する過渡判定が実施される。この過渡判定は種々の方法で実施することができるが、本実施形態ではスロットル弁13の開度の変化率が予め定めた基準変化率以上となった場合に内燃機関の運転状態が過渡状態になったと判定するようになっている。
ステップ101において内燃機関の運転状態が過渡状態になっていないと判定された場合には本制御ルーチンは終了する。一方、ステップ101において内燃機関の運転状態が過渡状態になったと判定された場合にはステップ103に進む。ステップ103においては、今回の過渡運転状態において使用される可能性のある機関運転状態の範囲(過渡運転領域)が推定される。なお、上述したように本実施形態において機関運転状態は機関回転数NE、筒内空気充填率KL、吸気弁2の開閉タイミングVVTによって定まるようになっているので、上記過渡運転領域はこれら機関回転数NE、筒内空気充填率KL、開閉タイミングVVTの各範囲で表わすことができる。
すなわち例えば、機関回転数NEとスロットル弁の開度またはスロットル弁の開度の変化率等から今回の過渡運転後の定常運転時における機関発生トルクである要求トルクTQrが求められ、その要求トルクTQrを実現するまでに取り得る運転状態が推定される。
図4は、このような過渡運転領域の推定を行った場合の一例について示した図である。この図は横軸を機関回転数NE、縦軸を機関発生トルクTQとして表わされており、図中の直線KL1、KL2、KL3はそれぞれ筒内空気充填率KLがKL1、KL2、KL3(KL1<KL2<KL3)となる点を結んだものである。この図の例は、機関回転数NEがNEc、筒内空気充填率KLがKL1の状態から過渡運転が開始され、機関発生トルクTQがTQcから要求トルクTQrまで変化すると推定される場合のものであり、図中、斜線で示される部分が推定される過渡運転領域である。
なお、機関運転状態を表わす運転状態パラメータの一つである吸気弁2の開閉タイミングVVTについては、機関回転数NEと筒内空気充填率KLが決定されると燃費上最適となる開閉タイミングが一意に決定されるので、この図に示された過渡運転領域に対応させて求めることができる。またここで、機関回転数NEの範囲の推定は、坂道の上り下り等の機関回転数NEに影響を与える要素を考慮して行うようにしてもよい。
ステップ103において上記過渡運転領域の推定が行われるとステップ105に進む。ステップ105では、更新前の現在のマップ(現マップ)における燃料挙動パラメータP、Rの値を近似的に示す上記運転状態パラメータの一次回帰式が求められる。本実施形態では、この一次回帰式はステップ103で推定された過渡運転領域について求められる。そしてより詳細には、この一次回帰式は同一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータP、Rの値と上記現マップから得られる燃料挙動パラメータP、Rの値との差KEが予め定めた近似誤差KEc未満になるように分割された機関運転状態の領域毎に(すなわち、上記過渡運転領域内の分割された機関運転状態の領域毎に)求められる。したがって、この一次回帰式が複数求められる場合もある。また、このステップ105においては、上記一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータP、Rの値から上記現マップより得られる燃料挙動パラメータP、Rの値を減算した値ΔKE(ここで|ΔKE|=KE)が求められる。
図5は上記一次回帰式を求める方法の一例を示すフローチャートである。すなわち、この方法ではまずステップ201において上記過渡運転領域の全体に対する一次回帰式が求められる。そして続くステップ203において上記一次回帰式の近似誤差KEが求められる。そしてステップ205においては、ステップ203で求められた上記近似誤差KEのうちの最大値KEmaxが予め定めた近似誤差KEc未満であるか否かが判定される。
ステップ205において上記近似誤差KEの最大値KEmaxが予め定めた近似誤差KEc未満であると判定された場合には制御が終了し、上記近似誤差KEの最大値KEmaxが予め定めた近似誤差KEc以上であると判定された場合にはステップ207に進む。ステップ207では先に求めた一次回帰式で対象としていた運転領域の一方の端部の基準点を領域から外し、残りの部分に対する一次回帰式が求められる。なおここで基準点とは上記過渡運転領域内に予め一定間隔で設定される点であり、例えばマップ作成時の計測点とされ得る。
続くステップ209においてステップ207で求めた一次回帰式の近似誤差KEが求められる。そしてステップ211においてステップ209で求められた上記近似誤差KEのうちの最大値KEmaxが予め定めた近似誤差KEc未満であるか否かが判定される。
ステップ211において上記近似誤差KEの最大値KEmaxが予め定めた近似誤差KEc未満であると判定された場合には制御が終了し、上記近似誤差KEの最大値KEmaxが予め定めた近似誤差KEc以上であると判定された場合にはステップ213に進む。ステップ213では先に求めた一次回帰式で対象としていた運転領域の他方の端部の基準点を領域から外し、残りの部分に対する一次回帰式が求められる。ステップ213に続いてはステップ203に進み、そこからの制御が繰り返される。
なお、この方法においては、ステップ207やステップ213で領域の端部の基準点が外される毎に、対象から外される運転領域に対する一次回帰式が求められるようになっている。したがって、この方法によれば、上記過渡運転領域の両端から領域が分割され、それぞれの領域に対して一次回帰式が求められていく。
図6はこのような方法で上記一次回帰式を求めた場合の一例について示した図である。なお、図6は、理解を容易にするために、燃料挙動パラメータPと機関回転数NEとの関係のみに関して示されている。図6中、点線Mrで示されているのが現マップであり、点a、b、c、d、e、fが基準点である。また、一点鎖線で示されているのが全過渡運転領域Hsに対する一次回帰式で表わされる直線である。そして実線で示されているのが上述したような方法で求めた一次回帰式で表される直線であり、この例では上記運転領域Hsが3つの領域ha、hb、hcに分割され、3つの一次回帰式が求められている。
なお、ステップ105において現マップにおける燃料挙動パラメータP、Rの値を近似的に示す上記運転状態パラメータの一次回帰式を求める方法は、上述したもの以外にも種々の方法が可能である。すなわち例えば、上記過渡運転領域の一方の端部のみから領域が分割され、それぞれの領域に対して一次回帰式が求められていくようにしてもよい。あるいは、まず上記過渡運転領域の一方の端部から予め定めた程度まで領域が分割されてそれぞれの領域に対して一次回帰式が求められた後、今度は上記過渡運転領域の他方の端部から領域が分割されてそれぞれの領域に対して一次回帰式が求められていくようにしてもよい。また、上記領域の分割を行うか否かの判定の基準についても、一次回帰式の対象となっている領域内の上記基準点における上記近似誤差KEの合計値を基準とし、同合計値が予め定めた基準合計値以上である時に領域の分割を行うようにしてもよい。
ステップ105に続いてはステップ107に進む。ステップ107においては上記空燃比センサ20により実測された空燃比AFに基づいて燃料挙動パラメータP、Rの値が算出される。すなわち、下記(7)式と上記(4)式及び(5)式とを用いて燃料挙動パラメータP、Rの値が算出される。
fc(k)=Mc(k)/AF(k) …(7)
ここで上記(7)式は空燃比の定義式を変形したものであり、fc(k)は先の説明では要求燃料量であったが、これはすなわち筒内に吸入される燃料量である。また、Mc(k)は筒内充填空気量であり、AF(k)は空燃比である。そして上述したように筒内充填空気量Mc(k)は推定が可能であるので空燃比AF(k)を実測することで筒内吸入燃料量fc(k)を求めることができる。
そして本実施形態ではステップ101において内燃機関の運転状態が過渡状態となったと判定された時から一定の制御インターバルでその時の空燃比AF(k)が実測されると共に筒内充填空気量Mc(k)が推定され、上記(7)式によりfc(k)が求められるようになっている。またそれと同時にその時の上記(4)式及び(5)式が求められるようになっている。なお本実施形態ではこのような制御が内燃機関の運転状態が過渡状態となったと判定された時にk=1から開始され、定常状態になるまで実施されるようになっており、その点でここではkは過渡状態が継続している間の計算サイクル数を表していると言える。そして、本実施形態では上記のようにして求めた式に基づいて燃料挙動パラメータP、Rが求められる。
より具体的には、上記過渡状態継続計算サイクル数k=n(n≧3)となる時に対応する燃料挙動パラメータP、Rは、以下の連立方程式(8)〜(12)式を解くことにより求められる。
fc(n−2)=(1−R)・fi(n−2)+(1−P)・fw(n−2)…(8)
fw(n−1)=R・fi(n−2)+P・fw(n−2) …(9)
fc(n−1)=(1−R)・fi(n−1)+(1−P)・fw(n−1)…(10)
fw(n)=R・fi(n−1)+P・fw(n−1) …(11)
fc(n)=(1−R)・fi(n)+(1−P)・fw(n) …(12)
すなわち、これらの式における未知数は燃料挙動パラメータP、R、並びに燃料付着量fw(n−2)、fw(n−1)、fw(n)であるのでこの連立方程式は解くことでき、それによって燃料挙動パラメータP、Rを求めることができる。そして、本実施形態ではこのようにして燃料挙動パラメータP、Rが逐次求められ、その時の機関運転状態を表す運転状態パラメータの値(例えば、燃料噴射量fi(n)を求める時に現マップにより燃料挙動パラメータP、Rを求めた時の機関運転状態を表す運転状態パラメータの値)と対応して記憶されるようになっている。
なお、以上の説明からも明らかであるが、この方法によって燃料挙動パラメータP、Rを求めるためには上記nが3以上であること、すなわち内燃機関の運転の過渡状態が継続し上記過渡状態継続計算サイクル数kが3以上となることが必要である。また、本実施形態では、上記過渡状態継続計算サイクル数kに応じて信頼度係数RKが設定されている。具体的には本実施形態において信頼度係数RKはk=3の時に0.8、k=4の時に0.85、k=5の時に0.9、k=6の時に0.95、k≧7の時に1.0に設定されている。
ステップ107において以上の説明のようにして実測された空燃比AFに基づいて燃料挙動パラメータP、Rの値が算出されると、次にステップ109に進む。ステップ109においては、ステップ107で求められた燃料挙動パラメータP、Rの値とそれに対応する運転状態パラメータの値との関係に基づいて燃料挙動パラメータを近似的に示す上記運転状態パラメータの一次回帰式が求められる。なお、本実施形態ではこの一次回帰式は、ステップ105において現マップにおける燃料挙動パラメータP、Rの値を近似的に示す運転状態パラメータの一次回帰式が求められたのと同じ機関運転状態の領域毎に求められる。すなわち例えば図6に示された例の場合では、3つの領域ha、hb、hcにおいてそれぞれ一次回帰式が求められる。
そしてステップ109においてステップ107で求められた燃料挙動パラメータP、Rの値とそれに対応する運転状態パラメータの値との関係に基づいて燃料挙動パラメータP、Rを近似的に示す上記運転状態パラメータの一次回帰式が求められるとステップ111に進む。ステップ111では、ステップ109で求められた一次回帰式より得られる燃料挙動パラメータP、Rの値Prk、Rrkから上記現マップより得られる燃料挙動パラメータP、Rの値Pcm、Rcmを減算してベース補正量Bcp、Bcrが求められる(Bcp=Prk−Pcm、Bcr=Rrk−Rcm)。なお本実施形態では、このベース補正量Bcp、Bcrの算出は、ステップ107において燃料挙動パラメータP、Rが算出された機関運転状態に対して行われる。
ステップ111においてベース補正量Bcp、Bcrが求められるとステップ113に進む。ステップ113においては、ステップ111で求められたベース補正量Bcp、Bcrに基づいて最終補正量Ecp、Ecrが求められる。本実施形態においてこれら最終補正量Ecp、Ecrは以下の式により算出される。
Ecp=Bcp×Hr×RK …(13)
Ecr=Bcr×Hr×RK …(14)
ここでHrは反映率であり、その機関運転状態についてステップ105で求められた値ΔKEの符号とステップ111で求められたベース補正量Bcp、Bcrの符号とが一致している場合には1とされ、これらの符号が一致していない場合には図7に示したようなマップによって決定される。また、RKはステップ107において設定された信頼度係数であり、ステップ107においてその機関運転状態で燃料挙動パラメータP、Rの値を求めた時の信頼度係数RKの値が代入される。
ステップ113において最終補正量Ecp、Ecrが求められるとステップ115に進み、上記最終補正量Ecp、Ecrを用いて燃料挙動パラメータP、Rのマップが更新される。すなわち、まず上記最終補正量Ecp、Ecrが対応する機関運転状態に対して現マップから得られる燃料挙動パラメータP、Rの値に加算され、更新後のマップ上の点が求められる。そしてこれらに基づいてこれらの間の部分が補間され更新後のマップが求められる。ステップ115でマップが更新されると制御が終了する。
図8は、以上の説明のようにして燃料挙動パラメータのマップを更新する場合の一例について示した図である。なお、図8は、理解を容易にするために、燃料挙動パラメータPと機関回転数NEとの関係のみに関して示されている。図8中、点線Mrで示されているのが現マップであり、実線Kmrで示されているのがステップ105で求められる一次回帰式で表される直線を示している。また、×印のプロットがステップ107で求められる燃料挙動パラメータPの値を示しており、一点鎖線Ksがステップ109で求められる一次回帰式で表される直線を示している。そして●印のプロットが上記最終補正量Ecpを現マップから得られる燃料挙動パラメータPの値に加算して得られる更新後のマップ上の点であり、実線Msがこれら更新後のマップ上の点に基づいて求められる更新後のマップを示している。
以上のように本実施形態では機関が過渡運転状態となった場合に燃料挙動パラメータP、Rのマップが更新されるので、より限定的な機関運転状態においてのみ上記マップの更新が行われるものに比べ、より適切な時期に迅速に上記マップの更新を行うことができ、燃料噴射量をより適切に決定することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、燃料挙動パラメータP、Rの値をより適切に更新することが可能となり、その結果燃料噴射量をより適切に決定することが可能となる。また、本実施形態によれば、実際の過渡運転時に、運転状態の変化に対応して時々刻々変化していく燃料挙動パラメータP、Rの値に基づいて上記更新が行われることになるため、事前適合における工数の低減を図ることができると共に求められる燃料挙動パラメータP、Rの精度向上を図ることができる。
なお、本実施形態において機関運転状態の領域を分割して一次回帰式による近似を用いるのは、上記制御において演算精度を維持しつつ計算負荷の軽減を図るためである。また特に、上記制御において、ステップ109で求められる実測空燃比に基づいて算出した燃料挙動パラメータP、Rの値を近似的に示す一次回帰式を用いることで、ノイズの影響や過渡時の挙動のばらつきの影響が緩和され点単位ではなく領域単位で学習を行うことが可能となるので、より適切に燃料挙動パラメータP、Rのマップを更新することができる。なお、一次回帰式は最小二乗法等の公知の方法で求められる。
また、以上の実施形態の説明では、ステップ103において、今回の過渡運転状態において使用される可能性のある機関運転状態の範囲(過渡運転領域)が推定され、ステップ105において、この過渡運転領域について更新前の現在のマップ(現マップ)における燃料挙動パラメータP、Rの値を近似的に示す運転状態パラメータの一次回帰式が求められたが、他の実施形態では事前に全運転領域について上記ステップ105で実施されるような制御を行って上記のような一次回帰式を求めておくようにしてもよい。なお、この場合、更新された部分についてはその都度一次回帰式を求めておくようにしてもよい。
また、以上の実施形態の説明では、運転状態パラメータとして、機関回転数と、筒内空気充填率と、吸気弁の開閉タイミングが用いられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば吸気弁の開閉タイミングの代わりに、もしくはそれに加えて、排気弁の開閉タイミングを用いるようにしてもよい。あるいは、更に別の運転状態パラメータ(例えば吸気圧等)を加えるようにしてもよい。
ところで、以上では燃料挙動モデルとして燃料の付着部分を特に区別しないものを例にとって説明したが、本発明は燃料挙動モデルとして燃料の付着部分を吸気バルブとそれ以外の部分に分けたものにも適用することができる。これまでの説明から明らかであると思われるので詳細な説明は省略するが、この場合についても以上で説明した実施形態の場合とほぼ同様にして燃料挙動パラメータのマップの更新を行うことができる。
なお、この場合、上述した実施形態のステップ107に相当する制御において、実測された空燃比AFに基づいて燃料挙動パラメータの値を算出する際には、下記式(15)から(18)が用いられる。
fc(k)=Mc(k)/AF(k) …(15)
fxw(k+1)=Rx・fi(k)+Px・fxw(k) …(16)
fvw(k+1)=Rv・fi(k)+Pv・fvw(k) …(17)
fc(k)=(1−Rx−Rv)・fi(k)+(1−Px)・fxw(k)
+(1−Pv)・fvw(k) …(18)
ここでfxw(k+1)は燃料量fi(k)の燃料噴射が行なわれた後の吸気バルブ以外の吸気通路構成部材への燃料付着量、fxw(k)は燃料量fi(k)の燃料噴射を行なう前の吸気バルブ以外の吸気通路構成部材への燃料付着量、Pxは吸気バルブ以外の吸気通路構成部材に既に付着していた燃料のうち一吸気行程を経た後に付着したまま残留している燃料の割合、Rxは噴射された燃料のうち吸気バルブ以外の吸気通路構成部材へ直接付着する燃料の割合である。
また、fvw(k+1)は燃料量fi(k)の燃料噴射が行なわれた後の吸気バルブへの燃料付着量、fvw(k)は燃料量fi(k)の燃料噴射を行なう前の吸気バルブへの燃料付着量、Pvは吸気バルブに既に付着していた燃料のうち一吸気行程を経た後に付着したまま残留している燃料の割合、Rvは噴射された燃料のうち吸気バルブへ直接付着する燃料の割合である。
すなわち、上述した実施形態のステップ107に相当する制御においては、上記式(15)から(18)に基づいて連立方程式が立てられ、燃料挙動パラメータである上記Px、Rx、Pv、Rvと、燃料付着量である上記fxw、fvwが逐次求められ、その時の機関運転状態を表す運転状態パラメータの値と対応して記憶される。なお、上記式(15)から(18)を用いた計算において、燃料付着率であるRxとRvの分配率を機関運転状態に応じて予め設定しておき、それを利用してRvを消去するようにしてもよい。すなわち例えば、上記燃料付着率の分配率をRx:Rv=αx:αvとすると、Rv=(αv/αx)Rxを代入することでRvを消去することができる。
図1は本発明の内燃機関の燃料噴射量制御装置の一実施形態を説明するための概略構成図である。 図2は燃料挙動モデルを説明するための図である。 図3は本発明の一実施形態で実施されるマップ更新制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。 図4は過渡運転領域の推定を行った場合の一例について示した図である。 図5は、図3のフローチャートのステップ105における制御について説明するための図であって、一次回帰式を求める方法の一例を示すフローチャートである。 図6は図5のフローチャートに示される方法で一次回帰式を求めた場合の一例について示した図である。 図7は反映率Hrを求めるためのマップを示す図である。 図8は本発明の一実施形態において燃料挙動パラメータのマップを更新する場合の一例について示した図である。
符号の説明
1 内燃機関本体
2 吸気弁
3 排気弁
4 シリンダ(気筒)
5 燃焼室
6 点火栓
7 下流側吸気管
8 燃料噴射弁
11 上流側吸気管
12 排気管
13 スロットル弁
15 エアフローメータ
16 機関回転数センサ
17 大気圧センサ
18 大気温センサ
19 電子制御装置(ECU)
20 空燃比センサ
21 開閉タイミング変更機構

Claims (5)

  1. 内燃機関の吸気通路に噴射された燃料の挙動を機関運転状態により決定される燃料挙動パラメータを用いて表す燃料挙動モデルに基づいて燃料噴射量を決定する内燃機関の燃料噴射量制御装置であって、
    機関運転状態を表わす運転状態パラメータと上記燃料挙動パラメータとの関係に基づいて機関運転状態から上記燃料挙動パラメータを決定する燃料挙動パラメータ決定手段を有し、上記運転状態パラメータと上記燃料挙動パラメータとの関係は、機関が過渡運転状態となった時に実測される空燃比に基づいて更新されるようになっていて、
    上記運転状態パラメータと上記燃料挙動パラメータとの関係の更新は、上記実測空燃比に基づいて算出される燃料挙動パラメータの値と該燃料挙動パラメータの値の算出に用いた実測空燃比が測定された時の機関運転状態との関係に基づいて求められる燃料挙動パラメータを近似的に示す上記運転状態パラメータの一次回帰式で得られる値に基づいて行われることを特徴とする、内燃機関の燃料噴射量制御装置。
  2. 上記運転状態パラメータと上記燃料挙動パラメータとの関係の更新は、上記一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値と更新前の運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係に基づいて得られる燃料挙動パラメータの値との差を求め、該差に基づいて求めた補正量だけ燃料挙動パラメータの値を変更することによって行われることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置。
  3. 更新前の燃料挙動パラメータについて近似的に示す運転状態パラメータの一次回帰式が、該一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値と更新前の運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係から得られる燃料挙動パラメータの値との差が予め定めた近似誤差未満になるように分割された機関運転状態の領域毎に求められると共に、
    上記実測空燃比に基づいて算出された燃料挙動パラメータの値と該燃料挙動パラメータの値の算出に用いた実測空燃比が測定された時の機関運転状態との関係に基づいて求められる上記一次回帰式が、更新前の燃料挙動パラメータについて近似的に示す上記機関運転状態の一次回帰式が求められるのと同じ機関運転状態の領域毎に求められることを特徴とする、請求項1または2に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置。
  4. 更新前の燃料挙動パラメータについて近似的に示す上記運転状態パラメータの一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値から更新前の運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係から得られる燃料挙動パラメータの値を減算した値の符号と、上記実測空燃比に基づいて算出された燃料挙動パラメータの値と該燃料挙動パラメータの値の算出に用いた実測空燃比が測定された時の機関運転状態との関係に基づいて求められる上記一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値から更新前の運転状態パラメータと燃料挙動パラメータとの関係から得られる燃料挙動パラメータの値を減算した値の符号とが異なる場合には、更新前の燃料挙動パラメータについて近似的に示す上記運転状態パラメータの一次回帰式で得られる燃料挙動パラメータの値と更新前の機関運転状態と燃料挙動パラメータとの関係から得られる燃料挙動パラメータの値との差が大きい程、上記補正量の大きさが小さくなるようになっている、請求項2または3に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置。
  5. 上記運転状態パラメータは、機関回転数と、筒内空気充填率と、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングとを含んでいる、請求項1から4の何れか一項に記載の内燃機関の燃料噴射量制御装置。
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