JP2008260989A - ホットプレス用鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホットプレス時にスケールの生成を防止でき、かつ成形性を向上させることのできるホットプレス用鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】50mass%以上のアルミニウムと5mass%以上40mass%以下の層状珪酸塩とを含有するめっき層で被覆されたホットプレス用鋼板。
【選択図】図3
【解決手段】50mass%以上のアルミニウムと5mass%以上40mass%以下の層状珪酸塩とを含有するめっき層で被覆されたホットプレス用鋼板。
【選択図】図3
Description
本発明は、900℃程度に加熱された鋼板を室温の金型で成形するホットプレスと呼ばれる成形方法に適したホットプレス用鋼板、特に、ホットプレス時にスケールの生成を防止し、成形性を向上させるホットプレス用鋼板およびその製造方法に関する。
例えば特許文献1に提案されているホットプレス(ダイクエンチとも呼ばれる)は、鋼板をオーステナイト域となる900℃程度に加熱した状態で室温の金型で成形する成形方法である。この方法では、鋼板を成形と同時に急冷できるので、マルテンサイト相のような硬化相を形成させて1500MPaクラスの強度を有する成形品を製造することができる。成形時の鋼板温度が高いため鋼板の降伏強度が大きく低下するので、成形荷重が非常に小さい、成形品に残留応力が発生し難いなど、多くのメリットがある。
しかし、オーステナイト域で成形を行うためフェライト域の成形の場合のように好ましい集合組織を発達させることができない、潤滑油によって摩擦係数を低下できないため成形性が低下する、などの問題がある。
さらに、ホットプレスでは、鋼板を大気中で900℃程度に加熱するため、鋼板表面にはスケールと呼ばれる鉄の酸化膜が生成され、次のような問題を引き起こす。すなわち、成形時に剥離・飛散して金型を損傷したり、煩雑な清掃が必要となる、自動車部品などをホットプレスする場合は、組み立て時の溶接や電着塗装を考慮して、生成したスケールはショットブラストや酸洗により除去されるが、そのための工程が必要になり、製造コストの増加を招く、ショットブラストでスケールを除去する場合は、成形品を変形させる場合もある。したがって、スケールの生成は極力防止することが望まれる。
スケールの生成を防止する手段としては、特許文献2には無酸化炉を用いて加熱する方法が、また、特許文献3にはアルミニウムめっき鋼板を用いる方法が提案されている。しかし、特許文献2に記載の方法では、無酸化炉からプレス装置の間で酸化されるので、完全にスケールの生成を防止することは難しい。また、特許文献3に記載の方法では、スケールの生成は防止できるが、摩擦係数を十分に低下できないため成形時に割れが発生しやすい。
特開2002-282951号公報
特開2006-110713号公報
特開2000-038640号公報
本発明は、ホットプレス時にスケールの生成を防止でき、かつ成形性を向上させることのできるホットプレス用鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
この目的は、50mass%以上のアルミニウムと5mass%以上40mass%以下の層状珪酸塩とを含有するめっき層で被覆されたホットプレス用鋼板により達成される。
本発明のホットプレス用鋼板は、鋼板に、50mass%以上のアルミニウムと5mass%以上40mass%以下の層状珪酸塩とを含有しためっき浴を用いて溶融めっきを施す方法により製造できる。
層状珪酸塩としては、タルク−パイロフィライト族、緑泥石(クロライト)族、蛇紋石−カオリン族、スメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族、脆雲母族および層間欠損型雲母から選ばれた少なくとも1種からなるものを用いることができる。特に、モース硬度が1のタルク(滑石、組成式:Mg3Si4O10(OH)2)とモース硬度が2〜3のマグネシウムクロライト(組成式:(Mg,Al)6(Si,Al)4O10(OH)8)の内、少なくとも1種を用いることが望ましい。
本発明により、ホットプレス時にスケールの生成を防止でき、かつ成形性を向上させることのできるホットプレス用鋼板を製造できるようになった。本発明のホットプレス用鋼板は、室温で予備成形した後、オーステナイト域に加熱して室温の金型でリストライクと急冷を行うIndirect法にも適用できる。すなわち、予備成形時にめっき層にクラックが発生し、その後の加熱処理でスケールが生成するようなことはない。
本発明のホットプレス用鋼板は、層状珪酸塩を含有するアルミニウムのめっき層で被覆された鋼板であるが、酸化防止に効果的なアルミニウムのめっき層中に、層状珪酸塩を含有させることにより、モース硬度が1〜3.5と低い層状珪酸塩固有の固形潤滑効果のため摩擦係数を低下でき、成形時に割れが発生することがなくなる。ここで、層状珪酸塩としては、タルク−パイロフィライト族、緑泥石(クロライト)族、蛇紋石−カオリン族、スメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族、脆雲母族および層間欠損型雲母から選ばれた少なくとも1種からなるものを用いることができるが、中でも、モース硬度が1のタルク(滑石、組成式:Mg3Si4O10(OH)2)とモース硬度が2〜3のマグネシウムクロライト(組成式:(Mg,Al)6(Si,Al)4O10(OH)8)では、特にその効果が大きい。
ここで、めっき層の酸化を確実に防止するには、50mass%以上のアルミニウムが含有される必要がある。また、めっき層中に含有される層状珪酸塩の量は、5mass%以上40mass%以下とする必要がある。これは、5mass%未満では十分な潤滑効果が得られず、40mass%を超えると成形品の外観を損ねるとともに、塗装性にも悪影響を及ぼすためである。
また、めっき層中にて層状珪酸塩のSiO4四面体層(図1参照)が鋼鈑表面と平行に優先配向するように含有されていることが、層状珪酸塩の固形潤滑効果をより効果的に発現でき、摩擦係数の更なる低下を期待できるので、より望ましい。この理由は、層状珪酸塩の場合、固形潤滑効果は上記の四面体層同士、もしくは、四面体層とそれに隣接する八面体層が弱いファンデルワールス結合で結びついていることに由来しているためである。ここで、優先配向とは無配向でないことを意味する。なお、図2に示すように、四面体層を鋼板表面に平行に配向させるには、めっき層中にて層状珪酸塩が四面体層の積層方向に薄い薄片状となっていることが好ましい。
以上のようなホットプレス用鋼鈑を製造するには、めっき層中に層状珪酸塩を含有させるために、アルミニウムのめっき浴中に層状珪酸塩を投入すればよい。一般的に、溶融めっきでは、めっき浴中の濃度はそのままめっき層中の濃度になるので、めっき浴中のアルミニウムの含有量は50mass%以上とし、層状珪酸塩の含有量は5mass%以上40mass%以下とすればよい。
層状珪酸塩としては、タルク−パイロフィライト族、緑泥石(クロライト)族、蛇紋石−カオリン族、スメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族、脆雲母族および層間欠損型雲母から選ばれた少なくとも1種からなるものを用いることができる。中でも、タルクやマグネシウムクロライトが固形潤滑効果の点から特に好ましい。
また、めっき浴には、ドロスの生成を抑制するためSiを10mass%程度含有させることが好ましい。また、めっき浴には、浸漬する鋼板からFeが溶出し2mass%程度のFeが含まれるが、それ以外に、本発明の効果を損なわない範囲内でMg、Ti、Sn、Sb、Zn等の元素を含有させることもできる。
以上述べた条件以外は、特許文献3に記載のホットプレス用アルミニウムめっき鋼板の場合と同様である。
表1に示す組成の鋼を実験室で溶製して50kg鋼塊とし、この鋼塊を1200℃に加熱後、熱間圧延して板厚4mmの鋼板とし、この鋼板を酸洗後、冷間圧延して板厚0.8mmの鋼板を作製した。その後、この鋼板を、無酸化炉-還元タイプの溶融めっきシミュレータを用いて、粒径が数μm〜30μmのタルクとマグネシウムクロライトが混在した層状珪酸塩を、0、5、30、38mass%添加した10mass%Siと2mass%Feと残部アルミニウムからなるめっき浴に1秒間浸漬し、ガスワイピングによってめっき付着量を120g/mm2に調整し、その後冷却してゼロスパングル処理を施した。
このようにして製造した層状珪酸塩を含有するアルミニウムのめっき層で被覆された鋼板を、直径105mmの円板に打ち抜き、950℃で5分間大気中で加熱後、室温の金型で直径50mmのカップに絞り成形し、成形が可能な最大のカップ高さ、すなわち限界成形高さを測定した。
結果を表2に示す。めっき層中のタルク(Mg3Si4O10(OH)2、符号:●)とマグネシウムクロライト((Mg,Al)6(Si,Al)4O10(OH)8)、符号:□)の含有量の合計が5mass%以上である本発明例はいずれも絞り抜けであり、割れが発生することはない。
なお、図3に、本発明例の鋼板のX線回折(Co線源)結果を示したが、タルクとマグネシウムクロライトの回折ピークとしては、SiO4四面体の積層面に平行な(00l)型の格子面からの反射が強く検出されており、同積層面が鋼板表面に平行に配向していることがわかる。
Claims (4)
- 50mass%以上のアルミニウムと5mass%以上40mass%以下の層状珪酸塩とを含有するめっき層で被覆されたホットプレス用鋼板。
- 層状珪酸塩が、タルク(滑石)およびマグネシウムクロライトから選ばれた少なくとも1種からなる請求項1に記載のホットプレス用鋼板。
- 鋼板に、50mass%以上のアルミニウムと5mass%以上40mass%以下の層状珪酸塩とを含有しためっき浴を用いて溶融めっきを施すホットプレス用鋼板の製造方法。
- 層状珪酸塩として、タルク(滑石)およびマグネシウムクロライトから選ばれた少なくとも1種を用いる請求項3に記載のホットプレス用鋼板の製造方法。
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JP2007103373A JP2008260989A (ja) | 2007-04-11 | 2007-04-11 | ホットプレス用鋼板およびその製造方法 |
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