JP2008257886A - 固体酸化物形燃料電池、及びそのスタック構造 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池、及びそのスタック構造 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料ガスを効率的に利用し、出力の向上が可能な固体酸化物形燃料電池を供給する。
【解決手段】本発明は、電解質2と、電解質2上に配置された燃料極4と、電解質2上に、燃料極4と離間して配置された空気極3と、燃料極4の上に配置され、部分酸化活性を有する改質層5と、を備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスの混合ガスにより動作する単室型の固体酸化物形燃料電池、及びそのスタック構造に関する。
燃料電池とは外部からの燃料供給と燃焼生成物の排気とを連続的に行いながら、燃料が酸化する際に発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できる電池である。燃料電池の種類は電解質により分類され、電解質にイオン伝導性を持つ固体酸化物を用いたものを固体酸化物形燃料電池と呼んでいる。この固体酸化物形燃料電池としては、種々のものが提案されているが、例えば、特許文献1には、電解質基板上に、安定化ジルコニアまたはペロブスカイト型酸化物の固体電解質シートの同一表面上にパラジウム・白金・ニッケルまたはロジウム電極と金電極を印刷した構造で、所定間隔をおいて燃料極(アノード)と空気極(カソード)とを形成した単室型の固体酸化物形燃料電池の構造が開示されている。また、単室型の電極材料として、空気極には、ストロンチウムをドープしたLn1-xSrxCoO3-δ(ただし、Lnは希土類元素)、また、燃料極には、ニッケルと、酸化セリウムを主体とする複酸化物を含有したものを使用することが述べられており、一般的な二室型の固体酸化物形燃料電池で使用される材料を利用できることが開示されている。
特許第2810977号公報 特開2002−280015号公報
ところで、上記のような燃料電池では炭化水素系の燃料ガスと空気等の酸化剤ガスとの混合ガスが供給されており、各電極は、選択的に燃料ガスまたは酸化剤ガスと反応して発電が行われる。このとき、燃料極には、炭化水素系のガスが供給されるので、実際に燃料極にはガス選択性と共に、酸化剤ガス等により希釈された炭化水素系の燃料ガスに対して、高い部分酸化活性が必要となり、供給される燃料ガスを効率的に用いられているとはいえず、出力のさらなる向上が課題となっていた。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、燃料ガスを効率的に利用し、出力の向上が可能な単室型の固体酸化物形燃料電池、及びそのスタック構造を供給することを目的とする。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、電解質と、前記電解質上に配置された燃料極と、前記電解質上に、前記燃料極と離間して配置された空気極と、前記燃料極の上に配置され、部分酸化活性を有する改質層と、を備えている。
この構成によれば、燃料極上に改質層が配置されているため、燃料極に供給される燃料ガスの改質が可能になる。例えば、燃料ガスとしてメタンが供給された場合、燃料極での反応により、水と二酸化炭素が発生するが、すべてのメタンがこのように反応するわけではなく、未反応のメタンも残留する。ここで、上記のような改質層を設けておけば、未反応のメタンと、発生した水、又は二酸化炭素が改質層の触媒機能によって反応し、水素を発生させることができる。そして、この水素は、燃料極での反応に用いられるため、メタンを効率よく消費することができ、高出力化が可能となる。従来は、メタンを十分に反応させるには、高温で供給しなければならなかったが、上記のように構成すると、比較的低温で、未反応の燃料ガスを消費することができる。
なお、この燃料電池では、基板として電解質を用いることもできるし、或いは他の基板を支持体として準備し、この上に電解質を配置することで、機械的強度を向上することもできる。支持体は、板状、ブロック状等、種々の形状にすることができる。また、金属で支持体を構成すれば、機械的強度を向上できるが、必ずしも導電性が必要ではない。すなわち、支持体は燃料電池の作動温度において耐熱性があればよく、そのような作動温度において絶縁性となる安価な金属を用いることも可能である。したがって、材料選択の範囲が広がり、コストの低減が可能となる。
改質層は、多孔質とすることができ、こうすることで、燃料極の上面及び側面を全て改質層で覆ったとしても、燃料極へのガスの供給が可能である。多孔質でない緻密な層を形成する場合には、燃料極の少なくとも一部が露出するように配置すればよい。このような改質層は、例えば、部分酸化活性を有する材料と、酸素イオン導電性を有する材料とを含有することで構成することができる。
また、本発明に係る固体酸化物形燃料電池のスタック構造は、上記問題を解決するためになされたものであり、支持体と、前記支持体上に配置され、所定間隔をおいて配置された、複数の上述した固体酸化物形燃料電池と、前記複数の固体酸化物形燃料電池間で、前記燃料極と空気極とを接続するインターコネクターと、を備えている。
この構成によれば、複数の燃料電池をインターコネクターで接続しているため、高出力化が可能になる。また、各電池を支持体上に配置しているため、電池の機械的強度を向上することができる。
上記スタック構造においては、支持体上の、隣接する電解質間に絶縁層を設け、その上にインターコネクターを配置することが好ましい。こうすることで、例えば、機械的強度向上の観点から、支持体として発電条件で導電性を持つ支持基板を用いた場合でも、短絡することなく、インターコネクターによって各電池を接続することができる。
本発明によれば、燃料ガスを効率的に利用し、出力の向上が可能な固体酸化物形燃料電池を供給することを目的とする。
以下、本発明に係る固体酸化物形燃料電池のスタック構造の一実施形態について図面にしたがって説明する。図1は本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池のスタック構造の断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池のスタック構造は、支持基板(支持体)1上に間隔をおいて2つ固体酸化物形燃料電池10,20が配置されることで構成されている。各燃料電池10,20は、支持基板1上で薄膜状に形成された電解質2を有し、その上面には、所定間隔をおいて薄膜状の空気極3と燃料極4が配置されている。また、燃料極4の上面には、改質層5が形成されている。そして、隣接する燃料電池は、次のように接続されている。すなわち、電解質2間の隙間の金属基板1上に絶縁層6が形成され、その上に両電池を電気的に接続するインターコネクター7が配置されている。インターコネクター7は、一方の電池10の燃料極4と、他方の電池20の空気極3とを接続している。なお、燃料極2、空気極4、及び改質層5は多孔質であり、ガス透過性を有している。一方、電解質2及び支持基板1は緻密に形成されており、ガス非透過性である。
続いて、上記燃料電池を構成する材料について説明する。支持基板1を構成する材料としては、金属及び金属酸化物からなる材料で構成されていれば良い。例えば、金属材料としては、Fe,Ti,Cr,Cu,Ni,Ag等用いることが出来、1種を単独で使用してもよいし、2種以上が合金化されていてもよい。例えば、ステンレス系耐熱材料などが使用でき、具体的には、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼を用いることが出来る。また、金属酸化物材料としては、アルミナ等の耐熱性及び強度のある材料を用いることが出来る。
電解質2の材料としては、固体酸化物形燃料電池の電解質として公知のものを使用することができ、例えば、サマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物(GDC)、ストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物(YSZ)などの酸素イオン伝導性セラミックス材料を用いることができる。
空気極3及び燃料極4は、セラミックス粉末材料により形成することができる。このとき用いられる粉末の平均粒径は、好ましくは10nm〜100μmであり、さらに好ましくは50nm〜50μmであり、特に好ましくは100nm〜10μmである。なお、平均粒径は、例えば、JISZ8901にしたがって計測することができる。
燃料極4は、例えば、金属触媒と酸化物イオン導電体からなるセラミックス粉末材料との混合物を用いることができる。このとき用いられる金属触媒としては、ニッケル、鉄、コバルトや、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等の還元性雰囲気中で安定で、水素酸化活性を有する材料を用いることができる。また、酸化物イオン導電体としては、蛍石型構造又はペロブスカイト型構造を有するものを好ましく用いることができる。蛍石型構造を有するものとしては、例えばサマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などを挙げることができる。また、ペロブスカイト型構造を有するものとしてはストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物を挙げることができる。上記材料の中では、酸化物イオン導電体とニッケルとの混合物で、燃料極2を形成することが好ましい。なお、酸化物イオン導電体からなるセラミックス材料とニッケルとの混合形態は、物理的な混合形態であってもよいし、ニッケルへの粉末修飾またはセラミックス材料へのニッケル修飾などの形態であってもよい。また、上述したセラミックス材料は、1種類を単独で、或いは2種類以上を混合して使用することができる。また、燃料極4は、金属触媒を単体で用いて構成することもできる。
空気極3を形成するセラミックス粉末材料としては、例えば、ペロブスカイト型構造等を有するCo,Fe,Ni,Cr又はMn等からなる金属酸化物を用いることができる。具体的には(Sm,Sr)CoO,(La,Sr)MnO,(La,Sr)CoO,(La,Sr)(Fe,Co)O,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)Oなどの酸化物が挙げられ、好ましくは、(La,Sr)(Fe,Co)Oである。上述したセラミックス材料は、1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。
改質層5は、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、バナジウム等の部分酸化活性を有する白金族やバナジウム族の材料、またはこれらの合金と、酸素イオン導電性を有する材料とから構成される。酸素イオン導電性を有する材料としては、GDC等の上述した電解質を構成する材料を挙げることができる。部分酸化活性を有する材料は改質層5の全体重量に対して、1〜30%以内にすることが好ましく、好ましくは1〜10%以内にすることが好ましい。割合が低すぎると、改質反応が十分で無く、多すぎると、部分酸化活性を有する材料同士の凝集が起こり、添加割合に対して、効率的に改質できないことがある。
上記燃料極4、空気極3、及び改質層5は、上述した材料を主成分として、さらにバインダー樹脂、有機溶媒などが適量加えられることにより形成される。より詳細には、上記主成分とバインダー樹脂との混合において、上記主成分が50〜95重量%となるように、バインダー樹脂等を加えることが好ましい。これら電解質2、燃料極4、空気極3、及び改質層5は、種々の方法で形成することができる。例えば、溶射法、スクリーン印刷法、電気泳動法、ドクターブレード法、インクジェット法、CVD,EVD,スプレーコート法、ディップコート法、ゾルゲル法、スパッタリングや、或いは、いわゆるグリーン体を用いた方法で形成することができる。燃料極4及び空気極3の膜厚は5〜100μmとなるように形成するが、20〜50μmとすることが好ましい。また、電解質2の膜厚は、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがさらに好ましい。
絶縁層6は、特には限定されず、ガラスシールなどを用いることができる。
また、インターコネクター7は、導電性のある金属或いは金属酸化物材料からなり、Pt,Au,Ag,Ni,SUS,又はLa(Cr,Mg)O,(La,Ca)CrO,(La,Sr)CrOなどのランタン・クロマイト系材料によって形成することができ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
上記のように構成された燃料電池は、次のように発電が行われる。まず、メタン等の炭化水素系ガスからなる燃料ガスと、空気などの酸化剤ガスとの混合ガスを、電池の表面に供給する。このとき、各電極は、混合された燃料ガスまたは酸化剤ガスと選択的に反応する。空気極3では、酸化剤ガス中の酸素が、電解質2との界面で解離して酸素イオンとなり、電解質2中を拡散して燃料極4へ移動する。一方、燃料極4では、燃料ガスが、改質層5を介して燃料極4に接触すると、空気極3から移動した酸素イオンと反応し、以下のように、水と二酸化炭素を発生する。
CH + 4O2− → 2HO + CO + 8e (1)
このとき、すべてのメタンが反応するわけではなく、未反応のメタンが残留するが、このメタンは、改質層5によって、式(1)で生じた水、二酸化炭素と、以下のように反応する。
CH + HO → CO + 3H (2)
CH + CO → 2CO + 2H (3)
こうして発生した水素は、さらに燃料極4と反応する。そして、燃料極4及び空気極3がそれぞれ水素及び酸化剤ガスと接触するため、燃料極4と空気極3との間で、電解質2を介した酸素イオン伝導が起こり、発電が行われる。
以上のように、本実施形態によれば、燃料極4に、部分酸化活性を有する改質層5が配置されているため、上述したように、燃料極4に供給される燃料ガスの改質が可能になる。したがって、燃料極4における部分酸化反応が促進され、反応抵抗が低減するとともに、出力の向上が可能になる。特に、従来は、燃料ガスを十分に反応させるには、高温にしなければならなかったが、上記のように構成すると、比較的低温で、未反応の燃料ガスを消費することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、複数の固体酸化物形燃料電池を用いてスタック構造を構成しているが、一つの電池だけ用いてもよい。その場合、図1の例と同じく、支持基板1上に電解質2、空気極3、燃料極4、及び改質層5を設けてもよいし、図2に示すように、支持基板を用いず、板状の電解質2を基板とし、その上に電極等を配置するように構成することもできる。
また、図3に示すように、改質層5は、燃料極2の上面のみならず、側面も覆うように配置することができる。この場合、燃料極へガスを供給できるように、改質層5は多孔質にすることが好ましい。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池のスタック構造の一実施形態を示す断面図である。 本発明に係る燃料電池の一例を示す断面図である。 本発明に係る燃料電池の他の例を示す断面図である。
符号の説明
1 支持基板
2 電解質
3 空気極
4 燃料極
5 改質層
6 絶縁層
7 インターコネクター

Claims (6)

  1. 電解質と、
    前記電解質上に配置された燃料極と、
    前記電解質上に、前記燃料極と離間して配置された空気極と、
    前記燃料極上に配置され、部分酸化活性を有する改質層と、
    を備えている、固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記改質層は、多孔質である、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記改質層は、前記燃料極の上面及び側面を覆っている、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記改質層は、部分酸化活性を有する材料と、酸素イオン導電性を有する材料とを含有している、請求項1から3のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 支持体と、
    前記支持体上に配置され、所定間隔をおいて配置された、複数の請求項1から4のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池と、
    前記複数の固体酸化物形燃料電池間で、前記燃料極と空気極とを接続するインターコネクターと、
    を備えている、固体酸化物形燃料電池のスタック構造。
  6. 前記支持体上において、隣接する前記電解質間に配置される絶縁層をさらに備え、
    前記インターコネクターは、前記絶縁層上に配置されている、請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池のスタック構造。
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