JP2008255433A - 蒸着用マスク、ならびにそれを用いる蒸着パターン作製方法、半導体ウェーハ評価用試料の作製方法、半導体ウェーハの評価方法および半導体ウェーハの製造方法 - Google Patents
蒸着用マスク、ならびにそれを用いる蒸着パターン作製方法、半導体ウェーハ評価用試料の作製方法、半導体ウェーハの評価方法および半導体ウェーハの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】半導体ウェーハの電気的特性を高精度かつ簡便に評価し得る手段を提供すること。
【解決手段】被蒸着面上に蒸着パターンを形成するための蒸着用マスク。少なくとも1つの開口を有し、かつ厚さ20μm以下の樹脂基材と、該基材の一方の面に接着性層を有する。前記蒸着用マスクを、蒸着用マスクが有する接着性層を介して被蒸着面と貼り合わせた後、被蒸着面に蒸着処理を施す蒸着パターン作製方法。前記マスクを使用する半導体ウェーハ評価用試料の作製方法。前記方法によって半導体ウェーハ表面上に金属パターンを作製し、作製された金属パターンを介して半導体ウェーハの電気的特性を測定する半導体ウェーハの評価方法。前記評価方法を使用する半導体ウェーハの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】被蒸着面上に蒸着パターンを形成するための蒸着用マスク。少なくとも1つの開口を有し、かつ厚さ20μm以下の樹脂基材と、該基材の一方の面に接着性層を有する。前記蒸着用マスクを、蒸着用マスクが有する接着性層を介して被蒸着面と貼り合わせた後、被蒸着面に蒸着処理を施す蒸着パターン作製方法。前記マスクを使用する半導体ウェーハ評価用試料の作製方法。前記方法によって半導体ウェーハ表面上に金属パターンを作製し、作製された金属パターンを介して半導体ウェーハの電気的特性を測定する半導体ウェーハの評価方法。前記評価方法を使用する半導体ウェーハの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、蒸着パターンを作製するための蒸着用マスクに関する。より詳しくは、半導体ウェーハの任意の位置の電気的特性、特に容量−電圧特性を高精度で測定するために、ウェーハ表面に金属電極を形成するために好適な蒸着用マスクに関するものである。
更に、本発明は、前記マスクを使用する蒸着パターン作製方法、半導体ウェーハ評価用試料の作製方法、半導体ウェーハの評価方法および半導体ウェーハの製造方法に関する。
更に、本発明は、前記マスクを使用する蒸着パターン作製方法、半導体ウェーハ評価用試料の作製方法、半導体ウェーハの評価方法および半導体ウェーハの製造方法に関する。
シリコン半導体ウェーハの品質を評価する方法として、金属電極によるショットキー電極を形成し該ショットキー電極の容量―電圧特性を測定することにより、ウェーハの抵抗率を求める方法がある。
ショットキー電極を形成するための方法としては、ウェーハ表面側全面に金属膜を形成し、フォトリソ法により所定の面積を有する電極パターンを作製する方法が知られている。しかし、フォトリソを利用する場合はパターンの露光、洗浄、リンス等の工程が必要であり時間が掛かるという問題がある。
また、ショットキー電極を形成するための方法としては、真空蒸着法と呼ばれる方法も広く使用されている。真空蒸着法は、真空中にて抵抗加熱または電子照射により金属を蒸発させ被蒸着物に該金属膜を堆積させるものである。このときに所定の面積を有する電極を形成するために、通常、所定の面積の孔を有する金属マスクを磁石を利用しウェーハ表面と密着させることが行われている(例えば特許文献1および2参照)。
特開2002−75638号公報
特開平7−45662号公報
一般に使用される真空蒸着装置は、抵抗加熱法を用いたものや電子ビームを利用したものであり、これらは通常蒸着源は1箇所である。図1に、一般的な真空蒸着装置の概略図を示す。一般に使用される真空蒸着装置は、図1に示すようにウェーハが固定配置される(固定型装置)。固定型装置は、チャンバーを小型化し、真空引きに要する時間を短縮化できるため、作業効率の面で好ましい。しかし、固定型装置では、該蒸着源直下の孔部分は陰が出来ることなく孔面積と同等の電極面積を有する電極を形成可能であるものの、蒸着源から離れた部分、つまりウェーハ外周部分ではマスク厚みによる陰ができる。この点について、以下に図面に基づきさらに説明する。
図2に、蒸着源直下に位置するマスク開口部に蒸着膜を形成する場合(図2(a))と蒸着源から離れた場所に位置するマスク開口部に蒸着膜を形成する場合(図2(b))の蒸着膜形成状態の模式図を示す。図3に、図2(b)に示す態様の孔近傍の拡大模式図を示す。
図1に示すような蒸着源が一箇所の固定型装置では、抵抗加熱により蒸着源部分が加熱され金属塊が蒸発する。チャンバー内が真空であれば、金属塊の蒸発により発生する蒸着流は殆どが直進し、球状に拡散する。そのため、図2(a)に示すように、蒸着源直下では真上から蒸着流が来るため孔の陰はできないのに対し、図2(b)に示すように蒸着源から遠ざかる部分(ウェーハ外周部)では蒸着流が斜めに来るため孔の厚みにより陰ができる。この陰部分の領域では、図3に示すように蒸着流の分子同士の衝突や分子と残留空気分子の衝突が起こり、進行方向が変化した蒸着分子が陰部分に堆積するため、蒸着膜が形成されない部分や厚さが不均一な部分が生じる。一般に、ショットキー電極を形成して半導体ウェーハの電気的特性を評価する方法では、ショットキー接合の容量−電圧特性を測定した後、解析ソフトに電極パターン面積を入力してウェーハの抵抗率を求める。蒸着により形成した電極面積を測定するには、通常、光学的装置(レーザー顕微鏡、CCDカメラ搭載の顕微鏡等)が使用される。しかし、陰部分となる領域は光学的装置による面積測定が困難であるため正確な電極面積が測定できないことや、光学的装置により電極面と認識され面積測定領域に含まれる部分に厚さにばらつきがあることに起因し、測定精度が低下するという問題がある。
図1に示すような蒸着源が一箇所の固定型装置では、抵抗加熱により蒸着源部分が加熱され金属塊が蒸発する。チャンバー内が真空であれば、金属塊の蒸発により発生する蒸着流は殆どが直進し、球状に拡散する。そのため、図2(a)に示すように、蒸着源直下では真上から蒸着流が来るため孔の陰はできないのに対し、図2(b)に示すように蒸着源から遠ざかる部分(ウェーハ外周部)では蒸着流が斜めに来るため孔の厚みにより陰ができる。この陰部分の領域では、図3に示すように蒸着流の分子同士の衝突や分子と残留空気分子の衝突が起こり、進行方向が変化した蒸着分子が陰部分に堆積するため、蒸着膜が形成されない部分や厚さが不均一な部分が生じる。一般に、ショットキー電極を形成して半導体ウェーハの電気的特性を評価する方法では、ショットキー接合の容量−電圧特性を測定した後、解析ソフトに電極パターン面積を入力してウェーハの抵抗率を求める。蒸着により形成した電極面積を測定するには、通常、光学的装置(レーザー顕微鏡、CCDカメラ搭載の顕微鏡等)が使用される。しかし、陰部分となる領域は光学的装置による面積測定が困難であるため正確な電極面積が測定できないことや、光学的装置により電極面と認識され面積測定領域に含まれる部分に厚さにばらつきがあることに起因し、測定精度が低下するという問題がある。
上記陰部分の領域はマスク厚みが薄くなるほど小さくなる。そこで従来使用されていた金属マスクの厚みを薄くすることにより、上記の問題を解決することが考えられる。しかし、金属材料は薄くなると金属箔状になり、磁石によってウェーハ上に密着載置できなくなる等、マスクとしての取り扱いが困難となる。そのため、金属マスクでは前述の厚みに起因する問題を解決してシリコンウェーハの電気的特性を高精度に評価可能な評価用試料を作製することは困難であった。
また、上記問題を解決するために、チャンバー内に設置したウェーハが回転する機構を備えた真空蒸着装置(回転型装置)を用いることも考えられる。しかし、回転型装置はチャンバーが大型となり真空引きに長時間を要するため作業効率が低下する点が課題であった。また、蒸着源をマスク孔と同数設けて各孔の真上に蒸着源を配置することも考えられるが、蒸着源の個数を増やすと蒸着機の必要電力は該蒸着源増加数の和となるため大掛かりな電気回路変更工事を伴い多額の費用が必要である。また、蒸着源を増やすことで蒸着用金属の消費量も多くなりコストが増大するという問題がある。
そこで、本発明の目的は、半導体ウェーハの電気的特性を高精度かつ簡便に評価し得る手段を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、樹脂基材に接着性層を設けたシールを蒸着用マスクとして使用することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1]被蒸着面上に蒸着パターンを形成するための蒸着用マスクであって、
少なくとも1つの開口を有し、かつ
厚さ20μm以下の樹脂基材と、該基材の一方の面に接着性層を有する蒸着用マスク。
[2]厚さが20〜50μmの範囲である[1]に記載の蒸着用マスク。
[3]樹脂は、フッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂またはポリイミド樹脂である[1]または[2]に記載の蒸着用マスク。
[4]接着性層はシリコーン系粘着剤からなる層である[1]〜[3]のいずれかに記載の蒸着用マスク。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の蒸着用マスクを、蒸着用マスクが有する接着性層を介して被蒸着面と貼り合わせた後、被蒸着面に蒸着処理を施す蒸着パターン作製方法。
[6]被蒸着面は半導体ウェーハ表面であり、蒸着処理によって半導体ウェーハ表面に金属パターンを形成する[5]に記載の蒸着パターン作製方法。
[7][6]に記載の方法によって半導体ウェーハ表面上に金属パターンを作製する半導体ウェーハ評価用試料の作製方法。
[8][6]に記載の方法によって半導体ウェーハ表面上に金属パターンを作製し、
作製された金属パターンを介して半導体ウェーハの電気的特性を測定する半導体ウェーハの評価方法。
[9]複数の半導体ウェーハからなる半導体ウェーハのロットを準備する工程と、
前記ロットから少なくとも1つの半導体ウェーハを抽出する工程と、
前記抽出された半導体ウェーハの品質を評価する工程と、
前記評価により良品と判定された半導体ウェーハと同一ロット内の他の半導体ウェーハを製品ウェーハとして出荷することを含む、半導体ウェーハの製造方法であって、
前記抽出された半導体ウェーハの評価を、[8]に記載の方法によって行うことを特徴とする、前記方法。
[1]被蒸着面上に蒸着パターンを形成するための蒸着用マスクであって、
少なくとも1つの開口を有し、かつ
厚さ20μm以下の樹脂基材と、該基材の一方の面に接着性層を有する蒸着用マスク。
[2]厚さが20〜50μmの範囲である[1]に記載の蒸着用マスク。
[3]樹脂は、フッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂またはポリイミド樹脂である[1]または[2]に記載の蒸着用マスク。
[4]接着性層はシリコーン系粘着剤からなる層である[1]〜[3]のいずれかに記載の蒸着用マスク。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の蒸着用マスクを、蒸着用マスクが有する接着性層を介して被蒸着面と貼り合わせた後、被蒸着面に蒸着処理を施す蒸着パターン作製方法。
[6]被蒸着面は半導体ウェーハ表面であり、蒸着処理によって半導体ウェーハ表面に金属パターンを形成する[5]に記載の蒸着パターン作製方法。
[7][6]に記載の方法によって半導体ウェーハ表面上に金属パターンを作製する半導体ウェーハ評価用試料の作製方法。
[8][6]に記載の方法によって半導体ウェーハ表面上に金属パターンを作製し、
作製された金属パターンを介して半導体ウェーハの電気的特性を測定する半導体ウェーハの評価方法。
[9]複数の半導体ウェーハからなる半導体ウェーハのロットを準備する工程と、
前記ロットから少なくとも1つの半導体ウェーハを抽出する工程と、
前記抽出された半導体ウェーハの品質を評価する工程と、
前記評価により良品と判定された半導体ウェーハと同一ロット内の他の半導体ウェーハを製品ウェーハとして出荷することを含む、半導体ウェーハの製造方法であって、
前記抽出された半導体ウェーハの評価を、[8]に記載の方法によって行うことを特徴とする、前記方法。
本発明によれば、シリコンウェーハ等の半導体ウェーハの品質を高精度かつ簡便に評価することができる。
[蒸着用マスク]
本発明の蒸着用マスクは、被蒸着面上に蒸着パターンを形成するための蒸着用マスクであって、少なくとも1つの開口を有し、かつ厚さ20μm以下の樹脂基材と、該基材の一方の面に接着性層を有するものである。
本発明の蒸着用マスクは、被蒸着面上に蒸着パターンを形成するための蒸着用マスクであって、少なくとも1つの開口を有し、かつ厚さ20μm以下の樹脂基材と、該基材の一方の面に接着性層を有するものである。
従来マスク材料として使用されていた金属材料は、厚みが数十ミクロンほどになると、金属箔様になり磁力等でウェーハ上に密着載置することが困難となる。そのため、マスクとしての取り扱いやすさを考慮すると100ミクロン以上の厚みを有することが求められる。しかし、厚みが100マイクロ以上では前述の陰部分の領域に起因する測定精度低下の問題が生じるおそれがある。陰となる部分を生じさせないために開口にテーパーを付けることも考えられるが、例えば1mm以下の厚さの金属マスクでは、表面側の孔サイズが広くなるようなテーパーを付けることは、現在の加工技術ではきわめて困難である。
このように金属マスクでは陰部分の問題を解消することは困難である。
これに対し、本発明によれば、マスク基材として樹脂材料を採用することにより、金属材料では作製困難な数十ミクロンオーダーの厚さの蒸着用マスクを提供することができる。マスクの薄膜化が可能となることにより、上記の陰部分に起因する測定精度低下が生じることを回避することができる。これにより回転型蒸着装置と比べて作業効率の点で有利な固定型蒸着装置を使用して、高精度での評価が可能な評価用試料を作製することが可能となる。更に本発明の蒸着用マスクは、接着剤等の適用が可能な樹脂製の基材を用いているため、金属マスクのように磁石を使用することなく、接着剤等によりウェーハ表面へ容易に固定可能である。
このように金属マスクでは陰部分の問題を解消することは困難である。
これに対し、本発明によれば、マスク基材として樹脂材料を採用することにより、金属材料では作製困難な数十ミクロンオーダーの厚さの蒸着用マスクを提供することができる。マスクの薄膜化が可能となることにより、上記の陰部分に起因する測定精度低下が生じることを回避することができる。これにより回転型蒸着装置と比べて作業効率の点で有利な固定型蒸着装置を使用して、高精度での評価が可能な評価用試料を作製することが可能となる。更に本発明の蒸着用マスクは、接着剤等の適用が可能な樹脂製の基材を用いているため、金属マスクのように磁石を使用することなく、接着剤等によりウェーハ表面へ容易に固定可能である。
本発明の蒸着用マスクは、厚さ20μm以下の厚さの樹脂基材を含む。樹脂基材の厚さが薄いほど前述のマスク厚みに起因する問題を回避することができるが、取り扱いの容易性の観点から、樹脂基材の厚さは10μm以上あることが好ましい。樹脂基材の厚さの好ましい範囲は、10〜20μmである。また樹脂基材は単層構成であってもよいが二層以上の構成としてもよい。樹脂基材を二層以上の構成とする場合、各層は同種の樹脂から構成してもよく、異なる樹脂から構成してもよい。また、蒸着時に陰となる部分を少なくするためには、マスク総厚(樹脂基材厚+接着層厚)は、好ましくは20〜50μm、更に好ましくは20〜40μmである。蒸着用マスクの大きさは、被蒸着面の大きさに応じて決定することができる。例えば6インチ半導体ウェーハに対する蒸着処理用マスクとして使用する場合は、直径6インチ程度の円形マスクとすればよい。
樹脂基材を構成する樹脂としては、蒸着処理時の温度でも変質しない耐熱性樹脂を使用することが好ましい。また、樹脂基材が絶縁性樹脂であれば、蒸着処理後にマスクを除去することなくウェーハの電気的特性を評価できることもある。耐熱性および絶縁性を有する樹脂としては、フッ素系樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン)、ポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン)、ポリイミド樹脂を挙げることができる。なお、上記耐熱性とは、例えば100℃以上の温度下でも変形等を起こさないことをいい、絶縁性とは、例えば抵抗率が1E10Ωcm以上であることをいう。
接着性層は、樹脂基材の一方の面に接着剤または粘着剤を塗布することによって形成することができる。接着剤、粘着剤としては、耐熱性の点でシリコーン系粘着剤が好ましいが、これに限定されるものではない。また、後述するように蒸着処理後、ウェーハ上にマスクの一部を残した状態でウェーハの電気的特性の評価を行う場合は強い接着力を有する接着剤を使用することが好ましい。そのような接着剤としては、株式会社エス・エフ・シー製iシールを挙げることができる。この接着剤は一液加熱硬化型の接着剤であり高い接着力および耐熱性(例えば380℃にも耐え得る)を有する。
接着性層の厚さは、マスク層厚を薄くするためには薄いことが好ましいが適度な接着力を得ることも考慮すると、10〜30μm程度とすることが好ましい。また、接着性層上にはマスクとして使用するまで接着性層を保護するため易剥離性の保護フィルムを貼り合わせてもよい。
本発明の蒸着用マスクは、樹脂基材上に接着性層を設けた後、公知の方法で被蒸着面上に形成するパターンに対応した開口を設けることによって作製することができる。開口の数は少なくとも1つであり特に限定されるものではなく、被蒸着面の用途等に応じて設定すればよい。本発明の蒸着用マスクは、樹脂製でありパンチング等で容易に開口を形成することができる。このように開口形成が容易であることは金属マスクにはない利点である。
開口の大きさは、形成する蒸着パターン1つあたりの大きさとほぼ同じとすればよく特に限定されるものではないが、例えば直径1〜3mm程度とすることができる。また、開口は接着性面側が狭く、表面側が広くなるようにテーパーを設けてもよい。テーパーを形成すれば、陰部分となる領域をより小さくすることができる。本発明の蒸着用マスクは樹脂製であるため金属マスクと比べてテーパー作製が容易であるという利点もある。テーパー角度は、蒸着源とパターン形成位置の関係より、パターン形成面と平行な直線と蒸着源とパターン形成位置を結んだ直線とでできる鋭角な角度より小さい角度とすることが好ましい。
開口の大きさは、形成する蒸着パターン1つあたりの大きさとほぼ同じとすればよく特に限定されるものではないが、例えば直径1〜3mm程度とすることができる。また、開口は接着性面側が狭く、表面側が広くなるようにテーパーを設けてもよい。テーパーを形成すれば、陰部分となる領域をより小さくすることができる。本発明の蒸着用マスクは樹脂製であるため金属マスクと比べてテーパー作製が容易であるという利点もある。テーパー角度は、蒸着源とパターン形成位置の関係より、パターン形成面と平行な直線と蒸着源とパターン形成位置を結んだ直線とでできる鋭角な角度より小さい角度とすることが好ましい。
また、本発明の蒸着用マスクは、市販の接着シールまたは粘着シール(一方の面に接着層または粘着層を有する樹脂フィルム)に公知の方法で開口を形成したものであることもできる。そのようなシールとして好ましい市販品としては、株式会社寺岡製作所製カプトン粘着テープを挙げることができる。カプトン粘着テープは、−269℃の極低温から+400℃の高温領域まで広い温度範囲にわたって、優れた機械的・電気的・化学的特性を有する米国デュポン社製のカプトン(Kapton;登録商標)ポリイミドフィルムにシリコーン系粘着剤を塗布したテープであり、優れた耐熱性および絶縁性を有する。またカプトン粘着テープは、樹脂基材本体の厚さは12μmで粘着剤(シリコーン系粘着剤)層と併せて層厚が35μmであり薄型マスクとして好適である。また、日東電工株式会社製ニトフロンテープも好適である。このテープは、片面を接着処理した4ふっ化エチレン樹脂(PTFE)フィルムを基材とし、処理面に優れた耐熱性を有するシリコーン系粘着剤を塗布したものであり、電気特性をはじめ、耐熱性・耐薬品性・低摩擦係数・非粘着性など数々の優れた特長を備えているため蒸着用マスクとして好ましい。
[蒸着パターン作製方法]
更に、本発明は、本発明の蒸着用マスクを、蒸着用マスクが有する接着性層を介して被蒸着面と貼り合わせた後、被蒸着面に蒸着処理を施す蒸着パターン作製方法に関する。
更に、本発明は、本発明の蒸着用マスクを、蒸着用マスクが有する接着性層を介して被蒸着面と貼り合わせた後、被蒸着面に蒸着処理を施す蒸着パターン作製方法に関する。
蒸着処理に使用する蒸着装置としては、通常使用されている真空蒸着装置を何ら制限なく使用することができる。先に説明したように蒸着装置には、回転型蒸着装置および固定型蒸着装置があるが、本発明の蒸着パターン作製方法ではいずれも使用可能である。またチャンバー内の蒸着源が1つである装置であっても複数ある装置であってもよい。本発明の蒸着用マスクは基材の厚さが20μm以下であり、好ましくは総厚が20〜50μmであるため、蒸着源が1つの固定型真空蒸着装置を使用する場合でも、前述のマスク厚みに起因する問題を生じることなく蒸着パターンを作製することができる。
蒸着に使用する蒸着源は、目的に応じて選択されるものであり、例えば半導体ウェーハの評価用試料作製のためにウェーハ表面に金属電極を形成する場合は、金、アルミニウム、アンチモン等を用いることができる。また、本発明の蒸着パターン作製方法における蒸着処理条件は、所望の蒸着パターンの厚さやサイズ等を考慮して適宜設定すればよい。
本発明の蒸着パターン作製方法により蒸着パターンを作製する対象は、通常蒸着処理が施される各種表面を挙げることができるが、半導体ウェーハが好適である。半導体ウェーハの詳細は後述する。半導体ウェーハ上に金属パターンを作製することによりショットキー電極を形成し、ショットキー接合の容量−電圧特性から空間電荷密度[(ドナー濃度)−(アクセプター濃度)]を求め、上記空間電荷密度と電極面積からウェーハの抵抗率を求めることができる。電極面積は通常光学的装置により測定される。しかし、先に説明したようにウェーハ厚みに起因して正確な電極面積を求めることが困難な場合、測定誤差が生じ正確な測定値を得ることが困難となる。これに対し、本発明の蒸着用マスクは薄型化が可能であるため光学的装置によって正確な電極面積を測定することが可能であり、これによりウェーハの抵抗率を高精度で求めることができる。
蒸着処理後、蒸着用マスク全体を被蒸着面上から除去することにより蒸着パターンが形成された表面を得ることができる。また用途によっては蒸着用マスクの一部を被蒸着面上に残しておくことも可能である。この点については後述する。
[半導体ウェーハ評価用試料の作製方法]
更に本発明は、本発明の蒸着用パターン作製方法によって半導体ウェーハ表面上に金属パターンを作製する半導体ウェーハ評価用試料の作製方法に関する。
半導体ウェーハ評価用試料とは、例えば前述のようにショットキー接合の容量−電圧特性から半導体ウェーハの抵抗率を求めるために使用される試料であることができる。金属パターン(金属電極)を作製する半導体ウェーハとしては、シリコンエピタキシャルウェーハ、鏡面研磨ウェーハ等を挙げることができる。形成された半導体ウェーハ評価用試料は、本発明の半導体ウェーハの評価方法に使用することができる。その詳細は後述する。
更に本発明は、本発明の蒸着用パターン作製方法によって半導体ウェーハ表面上に金属パターンを作製する半導体ウェーハ評価用試料の作製方法に関する。
半導体ウェーハ評価用試料とは、例えば前述のようにショットキー接合の容量−電圧特性から半導体ウェーハの抵抗率を求めるために使用される試料であることができる。金属パターン(金属電極)を作製する半導体ウェーハとしては、シリコンエピタキシャルウェーハ、鏡面研磨ウェーハ等を挙げることができる。形成された半導体ウェーハ評価用試料は、本発明の半導体ウェーハの評価方法に使用することができる。その詳細は後述する。
[半導体ウェーハの評価方法]
本発明の半導体ウェーハの評価方法は、本発明の蒸着パターン作製方法によって半導体ウェーハ上に金属パターンを作製し、作製された金属パターンを介して半導体ウェーハの電気的特性を測定するものである。ここで測定される電気的特性としては、半導体ウェーハの抵抗率を挙げることができる。半導体ウェーハの抵抗率は、前述のようにショットキー接合の容量−電圧特性を測定する方法(C-V法)によって求めることができる。蒸着用マスク全体をウェーハから剥がした後に測定を行うことができるが、樹脂基材が二層以上の積層構造の場合、上層を除去して一部の層をウェーハ上に残してもよい。この場合、少なくともウェーハ上に残される層が絶縁性であれば、マスクが電気を通すことにより電気的特性評価に影響を与えることを回避することができる。
本発明の半導体ウェーハの評価方法は、本発明の蒸着パターン作製方法によって半導体ウェーハ上に金属パターンを作製し、作製された金属パターンを介して半導体ウェーハの電気的特性を測定するものである。ここで測定される電気的特性としては、半導体ウェーハの抵抗率を挙げることができる。半導体ウェーハの抵抗率は、前述のようにショットキー接合の容量−電圧特性を測定する方法(C-V法)によって求めることができる。蒸着用マスク全体をウェーハから剥がした後に測定を行うことができるが、樹脂基材が二層以上の積層構造の場合、上層を除去して一部の層をウェーハ上に残してもよい。この場合、少なくともウェーハ上に残される層が絶縁性であれば、マスクが電気を通すことにより電気的特性評価に影響を与えることを回避することができる。
[半導体ウェーハの製造方法]
本発明の半導体ウェーハの製造方法は、複数の半導体ウェーハからなる半導体ウェーハのロットを準備する工程と、前記ロットから少なくとも1つの半導体ウェーハを抽出する工程と、前記抽出された半導体ウェーハの品質を評価する工程と、前記評価により良品と判定された半導体ウェーハと同一ロット内の他の半導体ウェーハを製品ウェーハとして出荷することを含み、前記抽出された半導体ウェーハの評価を、本発明の半導体ウェーハの評価方法によって行うものである。
本発明の半導体ウェーハの製造方法は、複数の半導体ウェーハからなる半導体ウェーハのロットを準備する工程と、前記ロットから少なくとも1つの半導体ウェーハを抽出する工程と、前記抽出された半導体ウェーハの品質を評価する工程と、前記評価により良品と判定された半導体ウェーハと同一ロット内の他の半導体ウェーハを製品ウェーハとして出荷することを含み、前記抽出された半導体ウェーハの評価を、本発明の半導体ウェーハの評価方法によって行うものである。
本発明の半導体ウェーハの評価方法によれば、ウェーハの電気的特性を高精度で評価することができる。よって、前記評価によって、目標以上の品質を有することが確認されたシリコンウェーハと同ロットの半導体ウェーハを選択し製品ウェーハとして出荷することにより、高品質な半導体ウェーハを提供することが可能である。なお良品と判定される基準は、ウェーハの用途等に応じてウェーハに求められる物性を考慮して設定することができる。また評価用に抽出するウェーハ数は、少なくとも1つであればよく、2つ以上とすることによって高い信頼性をもって製品出荷を行うことが可能となる。なお半導体ウェーハのロットの準備は公知の方法で行うことができ、1ロットに含まれるウェーハ数は生産性等を考慮して決定すればよい。
以下に、本発明を実施例に基づき更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1]
市販の接着シール(寺岡製作所製商品名カプトン粘着テープ)を直径6インチの円形に切断した。得られた円形シールに対し、直線状に、中心1点、r/2に2点、外周より内側5mmに2点(合計5点)、それぞれ3mmφの開口を設け蒸着用マスクを形成した。マスクの総厚は35μm、樹脂基材の厚さは12μm、接着層の厚さは23μmであった。
得られたマスクを6インチシリコンウェーハ上にウェーハの外周とマスク外周が一致するように配置した、その後マスク付きシリコンウェーハを真空蒸着装置内に配置し蒸着処理を行った。真空蒸着装置として、図1に示す抵抗加熱型(固定型)装置を使用した。抵抗加熱用フィラメントとしてタングステンフィラメント、蒸着金属は金、フィラメントとウェーハ間距離は20cmとした。蒸着処理後の電極面積をコンフォーカルレーザー顕微鏡を用いて測定した。
市販の接着シール(寺岡製作所製商品名カプトン粘着テープ)を直径6インチの円形に切断した。得られた円形シールに対し、直線状に、中心1点、r/2に2点、外周より内側5mmに2点(合計5点)、それぞれ3mmφの開口を設け蒸着用マスクを形成した。マスクの総厚は35μm、樹脂基材の厚さは12μm、接着層の厚さは23μmであった。
得られたマスクを6インチシリコンウェーハ上にウェーハの外周とマスク外周が一致するように配置した、その後マスク付きシリコンウェーハを真空蒸着装置内に配置し蒸着処理を行った。真空蒸着装置として、図1に示す抵抗加熱型(固定型)装置を使用した。抵抗加熱用フィラメントとしてタングステンフィラメント、蒸着金属は金、フィラメントとウェーハ間距離は20cmとした。蒸着処理後の電極面積をコンフォーカルレーザー顕微鏡を用いて測定した。
[比較例1]
厚さ100μmであって、実施例1のマスクと同様の位置に開口を設けた金属マスクを使用し、実施例1と同様の方法でシリコンウェーハに対し蒸着処理を施した。なお比較例1では金属マスクは磁石によって固定した。蒸着処理後の電極面積をコンフォーカルレーザー顕微鏡を用いて測定した。
厚さ100μmであって、実施例1のマスクと同様の位置に開口を設けた金属マスクを使用し、実施例1と同様の方法でシリコンウェーハに対し蒸着処理を施した。なお比較例1では金属マスクは磁石によって固定した。蒸着処理後の電極面積をコンフォーカルレーザー顕微鏡を用いて測定した。
実施例1および比較例1において得られた蒸着パターンの面積を図4に示す。いずれの開口も面積は同じであるが、陰部分となる部分の影響が大きいほど中心(蒸着源の直下)から離れるにつれて中心パターンとの面積差が大きくなる。図4に示すように、中心パターンについては実施例1と比較例1との間でパターン面積に大きな違いはなかった。しかし、r/2位置、外周より内側5mm位置となるにつれて実施例1と比べて比較例1の方がパターン面積のばらつきが大きくなった。陰となる部分の面積は算出することができ、図5に示すように外周より内側5mm位置について言えば、厚さ100μmの金属マスク使用時(比較例1)では開口面積の0.58%が陰部分となるのに対し、厚さ20μmの樹脂製マスク使用時(実施例1)では陰部分を開口面積の0.12%まで低減することができる。最終的に抵抗率に変換する場合、それぞれの値の約2倍がばらつきとなる。図6に、実施例1および比較例1で形成した電極の容量−電圧特性を測定し、解析ソフトに上記で測定した電極面積を入力して得られた抵抗率を示す。図6に示すように、実施例1で得られた電極によればマスク中心部〜ウェーハ外周部でほぼ同じ値の抵抗率が得られたのに対し、比較例1ではマスク中心部と外周部とでは算出される抵抗率に大きな違いがあり、またマスク外周部にいくほど抵抗率のばらつきは大きくなった。比較例1で形成した電極パターンではウェーハ外周部における正確な抵抗率測定は困難である。
本発明によれば半導体ウェーハの品質を高い信頼性をもって評価することができる。また本発明によれば簡便な蒸着装置(蒸着源が1つの固定型蒸着装置)により信頼性の高い評価が可能である。
Claims (9)
- 被蒸着面上に蒸着パターンを形成するための蒸着用マスクであって、
少なくとも1つの開口を有し、かつ
厚さ20μm以下の樹脂基材と、該基材の一方の面に接着性層を有する蒸着用マスク。 - 厚さが20〜50μmの範囲である請求項1に記載の蒸着用マスク。
- 樹脂は、フッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂またはポリイミド樹脂である請求項1または2に記載の蒸着用マスク。
- 接着性層はシリコーン系粘着剤からなる層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸着用マスク。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸着用マスクを、蒸着用マスクが有する接着性層を介して被蒸着面と貼り合わせた後、被蒸着面に蒸着処理を施す蒸着パターン作製方法。
- 被蒸着面は半導体ウェーハ表面であり、蒸着処理によって半導体ウェーハ表面に金属パターンを形成する請求項5に記載の蒸着パターン作製方法。
- 請求項6に記載の方法によって半導体ウェーハ表面上に金属パターンを作製する半導体ウェーハ評価用試料の作製方法。
- 請求項6に記載の方法によって半導体ウェーハ表面上に金属パターンを作製し、
作製された金属パターンを介して半導体ウェーハの電気的特性を測定する半導体ウェーハの評価方法。 - 複数の半導体ウェーハからなる半導体ウェーハのロットを準備する工程と、
前記ロットから少なくとも1つの半導体ウェーハを抽出する工程と、
前記抽出された半導体ウェーハの品質を評価する工程と、
前記評価により良品と判定された半導体ウェーハと同一ロット内の他の半導体ウェーハを製品ウェーハとして出荷することを含む、半導体ウェーハの製造方法であって、
前記抽出された半導体ウェーハの評価を、請求項8に記載の方法によって行うことを特徴とする、前記方法。
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