明細書
金属ヒータ 技術分野
本発明は、 主に半導体産業、 光産業において使用される金属ヒータに関する。 背景技術
エッチング装置や、 化学的気相成長装置等を含む半導体製造、 検査装置等にお いては、 従来、 ステンレス鋼などの金属製基材を基板とした金属ヒータが用いら れてきた。
図 4は、 従来から使用されている構成の金属ヒータにシリコンウェハが載置さ れた様子を模式的に示した断面図である。
この金属ヒータ 5 0では、 円板形状の金属板 5 1の底面に、 銅等の熱伝導性に 優れる材質からなる中プレート 6 1を介して、 ヒータ 5 2が配設されており、 金 属板 5 1、 ヒータ 5 2および中プレート 6 1は、 金属板固定ネジ 5 7により、 支 持容器 6 0に固定されている。
そして、 ヒータ 5 2は導電線 6 4と接続されており、 導電線 6 4は、 支持容器 6 0および遮熱扳 6 3に形成された貫通孔から外部に引き出され、 電源等 (図示 せず) と接続されている。
さらに、 金属板 5 1と支持容器 6 0との間には断熱リング 6 2が介設されると ともに、 支持容器 6 0の底部には、 遮熱板 6 3が設置されており、 金属板 5 1か らの熱が装置に伝熱することを防止できる構成となっている。
また、 金属ヒータ 5 0には、 有底孔 5 4が形成され、 有底孔 5 4には、 金属板 5 1の温度を測定するための、 リ一ド線が接続された測温素子 5 6が埋め込まれ ている。
また、 金属ヒータ 5 0には、 支持ピン 5 8を介して半導体ウェハ 5 9が载置さ れており、 半導体ウェハ 5 9を、 金属板 5 1の加熱面 5 1 aより一定距離離間さ せた状態で支持し加熱することが可能となっている。
なお、 金属ヒータ 5 0には、 金属板 5 1、'中プレート 6 1、 ヒータ 5 2および
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2
支持容器 6 0を貫通する貫通孔 5 5も設けられており、 貫通孔 5 5に柱状のリフ ターピン等を揷通することによつても、 被加熱物である半導体ウェハ 5 9を金属 ヒータ 5 0の加熱面より一定距離離間させた状態で支持し、 半導体ウェハ 5 9を 搬送することができるようになつている。 発明の要約
ところが、 これらの構造を有する金属ヒータでは、 以下のような問題があった。 金属ヒータに用いられる金属板は、 ある程度の厚みを有する必要があった。 な ぜなら、 金属板が薄い場合には、 剛性が小さくなるため、 加熱に起因する熱膨張 により、 金属板が周囲より圧迫を受けることや、 支持容器と金属板との熱膨張率 の違いに起因して、 金属板に反り、 橈み等が発生してしまうからである。
そして、 金属板に、 このような反りゃ撓み等が発生した場合には、 金属板上に 載置した半導体ウェハが均一に加熱されず、 温度にばらつきが発生したり、 半導 体ウェハに傷がついたりしてしまうことがあった。
しかしながら、 金属板の厚みを厚くすると、 金属板の熱容量が大きくなり、 被 加熱物を加熱、 冷却する場合、 発熱体に印加する電圧や電流量の変化に対して金 属板の加熱面の温度が迅速に追従せず、 温度制御しにくいという問題があった。 また、 金属板上に半導体ウェハを载置し、 金属板の加熱面の温度が急激に低下 した際に、 これを元の温度に戻すまでに要する時間 (リカバリー時間) が長くな り、 生産性が低下するという問題があった。
また、 このような金属ヒータでは、 昇温した場合に、 設定温度から一時的に上 方に外れるオーバーシユート現象があり、 このオーバーシュートが発生した場合 には、 金属ヒータの加熱面を設定した温度にするために、 さらに多くの時間を要 していた。
さらに、 金属板の厚みを厚くすると、 金属ヒータ全体の重量が重くなり、 また、 嵩張ってしまうという問題があった。
なお、 近年の半導体ウェハ等の大口径化等に伴って、 より直径の大きい金属ヒ ータが求められているが、 金属板の直径が大きくなるにつれて、 金属板自体の温 度分布にもばらつきが発生しやすくなり、 上記した半導体ウェハの温度均一性が
益々低下することになる。
そこで、 本発明者らは、 上述した従来の金属ヒータの問題点に鑑み、 加熱時に おける半導体ウェハ等の温度ばらつきが小さく、 迅速に加熱することができ、 力 つ、 金属板に反りゃ撓みが発生することのない金属ヒータを得ることを目的とし て鋭意研究を行った結果、 金属板の厚さを薄くし、 金属板の平坦度を一定値以下 とするとともに、 発熱体の形状を改良することにより、 迅速に昇温を行うことが でき、 加熱面を均一な温度とすることができることを見出し、 第一の本発明を完 成するに至った。
すなわち、 第一の本発明の金属ヒータは、 金属板と発熱体とから構成される金 属ヒータであって、 上記金属板は、 厚さが 5 O mm以下であり、 その表面の平坦 度が 5 0 in以下であるとともに、 上記発熱体が形成されている領域の外縁は、 上記金属板の外周から上記金属板の直径の 2 5 %以内の位置にあることを特徴と する。 なお、 上記平坦度は、 大気雰囲気、 5 0 0 °C以下において、 上記範囲にあ ることが望ましい。
第一の本発明の金属ヒータは金属板の厚さを 5 O mm以下と薄くしている。 従 つて、 発熱体に印加する電圧や電流量の変化に対して金属板の加熱面の温度が迅 速に追従するため、 半導体ウェハ等の被加熱物を迅速に加熱することができる。 なお、 第一の本努明の金属ヒータにおける金属板の厚さとは、 発熱体が金属板 の底面に設置されている構成の場合には、 その金属板の厚さのことをいい、 発熱 体が複数の金属板の間に挟持されるような構成である場合には、 それらの金属板 の合計の厚さをいう。
また、 金属板の温度追従性が優れているので、 半導体製造'検査工程において、 金属ヒータの加熱面に半導体ウェハを載置した際、 低下した温度を元に戻すまで の時間 (リカバリー時間) を短くすることが可能となり、 スループットを短縮す ることができ、 生産性を向上させることができる。
なお、 金属板が薄く、 かつ、 平坦性に優れる金属ヒータを実現できた理由につ いては、 後に説明することとする。
第一の本発明の金属ヒータを構成する金属板の厚さは、 その上限が 3 O mmで あることが望ましい。 3 0 mmを超えると、 熱が伝搬しにくくなり、 加熱の効率
が低下する傾向が生じるからである。 より望ましい上限は、 2 O mmである。 また、 金属板の厚さの下限は、 3 mmであることが望ましい。 3 mmより薄い と、 金属板の強度が低下して平坦度が低下する傾向が生ずるからである。 より望 ましい下限は、 5 mmである。
また、 第一の本発明の金属ヒータにおける金属板の直径は、 2 0 0 mm以上が 望ましい。 大きな直径を持つ金属ヒータほど、 加熱時に半導体ウェハの温度が不 均一化しやすいため、 第一の本発明の構成が有効に機能するからである。 また、 このような大きな直径を持つ基板は、 大口径の半導体ウェハを载置することがで . きるからである。 金属板の直径は、 特に 1 2インチ (3 0 0 mm) 以上であるこ とが望ましい。 次世代の半導体ウェハの主流となるからである。
なお、 第一の本発明の金属ヒータは、 一の金属板の底面に発熱体が設置されて いる構成であってもよく、 金属板に設置された発熱体に、 さらに別の金属板を取 り付けるような構成、 すなわち、 2つの金属板の間に発熱体を挟持するような構 成であってもよい。 また、 3以上の金属板の間に発熱体を挟持するような構成と してもよい。 金属板を複数にすることにより、 加熱面側の金属板の厚さを薄くし た場合であっても、 金属板に反りゃ撓みが発生することがなく、 半導体ウェハ等 を均一に加熱することができるからである。
上記構成とした場合の加熱面側の金属板の厚さの望ましい上限は、 3 0 mmで あり、 望ましい下限は、 3 mmであり、 より望ましい上限は、 2 O mmであり、 より望ましい下限は、 5 mmである。
第一の本発明の金属ヒータを構成する金属板は、 その表面における平坦度が 5 Ο μ ιη以下である。 従って、 第一の本発明の金属ヒータを用いて半導体ウェハを 加熱する場合には、 半導体ウェハと金属板との距離をほぼ一定にすることが可能 となるため、 半導体ウェハの全体が均一となるように加熱することができる。 また、 上記金属板は、 その表面における平坦度が 3 0 μ πι以下であることが望 ましい。
なお、 本明細書において、 平坦度とは、 金属板の表面における最も高い部分と 最も低い部分との差をいうものとする。
このように平坦性に優れる金属ヒータを実現するためには、 金属板が熱膨張し
た際の側面からめ圧迫に伴う金属板の湾曲を防止する必要がある。 このため、 金 属板の側面と支持容器 (ボトムプレート) との間が密着しないように、 スペース を確保することが望ましい。
また、 金属板の反りを防止するためには、 金属板の縁部を押え板等で抑えつけ、 固定することが望ましい。 これにより、 金属板を薄くしたことに伴う金属板自身 の変形を防止できるとともに、 上述のように、 金属板と支持容器との間にスぺー スを確保した場合であっても、 金属板を確実に支持、 固定することができる。 これに加えて、 金属板とヒータ固定板の材質を同一のものとすることにより、 これらの熱膨張率の差に起因する金属板の変形を防止することができる。
さらに、 金属板を構成する材料は、 熱伝導性に優れるとともに、 剛性が高く、 熱膨張した際にも、 変形しにくいものが望ましく、 金属板自体の加工が終了した 時点でより平坦度に優れたものとなっていることが望ましい。
第一の本発明の金属ヒータを構成する金属板の材質としては、 例えば、 アルミ ユウム、 アルミニウム合金、 銅、 銅合金、 ステンレス、 インコネル、 鋼鉄等を使 用することができるが、 これらのなかでは、 アルミニウム合金が望ましく、 アル ミニゥムー銅の合金がより望ましい。 アルミニウム一銅の合金は、 機械的な強度 が高いため、 金属板の厚さを薄くしても、 加熱により反ったり、 歪んだりしない。 そのため、 金属板を薄くて軽いものとすることができる。 また、 アルミニウム一 銅の合金は、 熱伝導率にも優れているため、 金属板として使用した場合、 発熱体 の温度変化に合わせて、 加熱面の温度を迅速に追従させることができる。 すなわ ち、 電圧、 電流値を変えて発熱体の温度を変化させることにより、 金属板の加熱 面温度を制御することができるのである。
また、 上記アルミニウム一銅合金には、 アルミニウム、 銅のほかに、 マグネシ ゥム、 マンガン、 ケィ素、 亜鉛等を添加してもよレ、。 加工性、 耐食性、 低膨張性 等の諸機能を向上させることができるからである。
上記金属板の材質として、 アルミニウム、 アルミニウム合金等を用いる場合は、 金属板の表面にアルマイト処理を施すことが望ましい。 アルマイト処理とは、 ァ ルミ二ゥムゃアルミニウム合金に、 電気化学処理 (陽極酸化被膜処理) を行い、 表面に酸化アルミ二ゥムの薄い被膜を施す処理のことをいう。
このような処理を行うことにより、 金属板の耐食性が向上するとともに、 表面 が硬くなるため、 金属板に傷等が付きにくくなる。 また、 実際の半導体製造 -検 查工程で使用する場合であっても、 金属板がレジスト液ゃ腐食性ガス等によって 腐食されにくくなる。
さらに、 通常のアルマイト処理よりも低温度、 高電圧、 高電流密度で陽極酸化 被膜処理を行うことにより、 硬質アルマイト処理とすることができる。 このよう な硬質アルマイト処理では、 より硬質で厚い被膜が得ることが可能となる。 なお、 上記被膜の厚さとしては、 1 μ πι以上が望ましいが、 上記硬質アルマイ ト処理では、 被膜の厚さを 3 /z m以上とすることができる。
第一の本発明の金属ヒータでは、 発熱体が形成されている領域の外縁は、.金属 板の外周から金属板の直径の 2 5 %以内の位置に存在している。 通常、 金属板の 外周部分では、 金属板の外縁部からの放熱が発生するため、 金属板の中心部分よ りも低温となり、 その結果、 加熱面の温度が不均一になりやすいが、 第一の本発 明の金属ヒータでは、 このような外周部分にも発熱体が配設されているため、 被 加熱物である半導体ウェハ等を温度のばらつきなく、 均一に加熱することができ る。
また、 本発明者らは、 上述した従来の金属ヒータが有する問題点に鑑み、 加熱 時における半導体ウェハ等の温度ばらつきが小さく、 迅速に加熱することができ、 かつ、 金属板に反りゃ撓みが発生することのない金属ヒータを得ることを目的と して鋭意研究を行った結果、 金属板の数を複数にして、 加熱面側の金属板の厚さ を薄くすることにより、 迅速に昇温を行うことができ、 加熱面を均一な温度とす ることができることを見出し、 第二の本発明を完成するに至った。
すなわち、 第二の本発明の金属ヒータは、 金属板と発熱体とから構成される金 属ヒータであって、 上記金属板は複数であるとともに、 上記金属板の間には、 上 記発熱体が挟持されており、 加熱面側の金属板の厚さが、 加熱面と反対側の金属 板の厚さと同じカ 上記加熱面と反対側の金属板より薄いことを特徴とする。 第二の本発明の金属ヒータは、 複数の金属板を有しており、 これらの金属板の 間には、 ヒータが挟持されている。 このような構成の金属ヒータは、 一の金属板 のみからなる金属ヒータに比べ、 金属板の厚さを薄くすることが可能となり、 力 P
熱面側の金属板の熱容量が小さくなるため、 半導体ウェハ等の被加熱物を迅速に 加熱することができる。
また、 金属板の温度追従性が優れているので、 半導体製造.検査工程において、 金属ヒータの加熱面に半導体ウェハを載置した際、 低下した温度を元に戻すまで の時間 (リカバリー時間) を短くすることが可能となり、 スループットを短縮す ることができ、 生産性を向上させることができる。
さらに、 第二の本発明の金属ヒータでは、 加熱面側の金属板の厚さが、 加熱面 と反対側の金属板の厚さと同じか、 加熱面と反対側の金属板の厚さより薄くなつ ている。
従って、 加熱面側の金属板の厚さを薄くした場合であっても、 剛性の高い金属 板を加熱面と反対側に設置することにより、 加熱時における加熱面の平坦性が向 上するため、 半導体ウェハと金属板との距離をほぼ一定にすることが可能となり、 半導体ウェハの全体が均一となるように加熱することができる。
第二の本発明の金属ヒータは、 金属板に設置された発熱体に、 さらに別の金属 板を取り付けるような構成、 すなわち、 2つの金属板の間に発熱体を挟持するよ うな構成であってもよく、 また、 3以上の金属板の間に発熱体を挟持するような 構成としてもよレ、。
第二の本発明の金属ヒータが、 3以上の金属板を有する場合、 加熱面側の金属 板の厚さとは、 最下層のヒータよりも上に存在する金属板の厚さの合計のことを いい、 加熱面と反対側の金属板の厚さとは、 最下層のヒータより下に存在する金 属板の厚さのことをいう。
ここで、 3つの金属板を有する場合の金属ヒータの構成を図 5に示す。 なお、 図 5では、 金属板およびヒータのみを図示している。
図 5に示すような金属ヒータの場合、 加熱面側の金属板の厚さとは、 最下層の ヒータ Bよりも上に存在する金属板 Aおよび金属板 Bの厚さの合計 a + bのこと をいう。 また、 加熱面と反対側の金属板の厚さとは、 最下層のヒータ Bよりも下 に存在する金属扳 Cの厚さ cのことをいう。
以下、 第二の本発明の説明においては、 主に 2つの金属板にヒータが挟持され ている構成の金属ヒータについて説明することとする。 なお、 金属ヒータが上記
のように 2つの金属板を有する構成である場合、 加熱面側の金属板のことを上部 金属板といい、 加熱面と反対側の金属板のことを下部金属板ということとする。 第二の本発明の金属ヒータにおいて、 上部金属板の厚さは、 その上限が 5 0 m mであることが望ましい。 発熱体に印加する電圧や電流量の変化に対して金属板 の加熱面の温度が迅速に追従するため、 半導体ウェハ等の被加熱物を迅速に加熱 することができる。
また、 金属板の温度追従性が優れているので、 半導体製造.検査工程において、 金属ヒータの加熱面に半導体ウェハを載置した際、 低下した温度を元に戻すまで の時間 (リカバリー時間) を短くすることが可能となり、 スループットを短縮す ることができ、 生産性を向上させることができる。
より望ましい上限は、 3 0 mmである。 熱が伝搬しにくくなり、 加熱の効率が 低下する傾向が生じるからである。
上部金属板の厚さの下限は、 3 mmであることが望ましい。 3 mmより薄いと、 上部金属板の強度が低下して平坦度が低下する傾向が生ずるからである。 より望 ましい下限は、 5 mmである。
また、 上記構成とした場合の下部金属板の厚さの望ましい上限は、 4 7 mmで あり、 望ましい下限は、 5 mmであり、 より望ましい上限は、 3 O mmであり、 より望ましい下限は、 1 0 mmである。
さらに、 上部金属板の厚さと下部金属板の厚さの比 (下部金属板の厚さ/上部 金属板の厚さ) は、 1〜1 0であることが望ましい。 1 0を超えると、 下部金属 板の熱容量が大きくなり過ぎ、 被加熱物を迅速に加熱することができなくなる力 らである。
また、 第二の本発明の金属ヒータでは、 複数の金属板おょぴヒータの直径が全 て同じであることが望ましい。 ヒータの金属板の加熱面に伝達することができる からである。
なお、 金属板と支持容器との間に断熱リング等を介設する場合等においては、 金属板の直径をそれぞれ異なるものとしてもよい。
第二の本発明の金属ヒータにおける、 金属板の直径は 2 0 O mm以上が望まし く、 特に 1 2インチ (3 0 0 mm) 以上であることが望ましい。 その理由は、 第
一の本発明と同様である。
第二の本発明の金属ヒータを構成する金属板は、 その表面における平坦度が 5 0 μ ηι以下であることが望ましく、 3 0 m以下であることがより望ましい。 そ の理由は、 第一の本発明と同様である。
このように平坦性に優れる金属ヒータを実現するためには、 金属板が熱膨張し た際の側面からの圧迫に伴う金属板の湾曲を防止する必要がある。 このため、 金 属板の側面と支持容器 (ボトムプレート) との間が密着しないように、 スペース を確保することが望ましい。
また、 金属板の反りを防止するためには、 金属板の縁部を押え板等で抑えつけ、 固定することが望ましい。 その理由は、 第一の本発明と同様である。
これに加えて、 金属板とヒータ固定板の材質を同一のものとすることにより、 これらの熱膨張率の差に起因する金属板の変形を防止することができる。
さらに、 金属板を構成する材料は、 熱伝導性に優れるとともに、 剛性が高く、 熱膨張した際にも、 変形しにくいものが望ましく、 金属板自体の加工が終了した 時点でより平坦度に優れたものとなっていることが望ましい。
第二の本発明の金属ヒータを構成する金属板の材質としては、 例えば、 第一の 本発明で用いるものと同様のもの等が挙げられる。
また、 第二の本発明においても、 その材質は、 第一の本発明と同様の理由でァ ルミニゥム合金が望ましく、 アルミニウム一銅の合金がより望ましい。
なお、 第二の本発明の金属ヒータでは、 上部金属板の材質と下部金属板の材質 とが同一であることが望ましい。 両者の熱膨張率の差により、 上部金属板に反り や橈み等の変形が発生することを防止できるからである。
また、 上記金属板の材質として、 アルミニウム、 アルミニウム合金等を用いる 場合は、 第一の本発明と同様、 金属板の表面にアルマイト処理を施すことが望ま しい。 なお、 アルマイト処理を行った場合の被膜の厚さとしては、 Ι μ πι以上が 望ましいが、 硬質アルマイト処理では、 被膜の厚さを 3 /x m以上とすることがで きる。
第二の本発明の金属ヒータでは、 発熱体が形成されている領域の外縁は、 金属 板の外周から金属板の直径の 2 5 %以内の位置に存在していることが望ましい。
通常、 金属板の外周部分では、 金属板の外縁部からの放熱が発生するため、 金属 板の中心部分よりも低温となり、 その結果、 加熱面の温度が不均一になりやすい
1 第二の本発明の金属ヒータでは、 このような外周部分にも発熱体が配設され ているため、 被加熱物である半導体ウェハ等を温度のばらつきなく、 均一に加熱 することができる。
また、 本発明者らは、 上述した従来の金属ヒータが有する問題点に鑑み、 加熱 時における半導体ウェハ等の温度ばらつきが小さく、 迅速に加熱することができ、 かつ、 金属板を薄くした場合であっても、 金属板に反りゃ撓みが発生することの ない金属ヒータを得ることを目的として鋭意研究を行った結果、 金属板の材質を 改良することにより、 加熱時であっても金属板に変形が生じず、 迅速に昇温を行 うことができ、 加熱面を均一な温度とすることができることを見出し、 第三の本 発明を完成するに至った。
すなわち、 第三の本発明の金属ヒータは、 金属板と発熱体とから構成される金 属ヒータであって、 上記金属板は、 アルミニウム一銅合金からなることを特徴と する。
第三の本宪明の金属ヒータは、 アルミニウム一銅合金からなる金属板を有して いる。
アルミニウム一銅合金からなる金属板は、 アルミニウムまたは銅のみを含有す る金属板と比較して、 機械的な強度が高いため、 金属板の厚さを薄くしても、 加 熱により反ったり、 歪んだりしない。 そのため、 金属板を薄くて軽いものとする ことができる。
また、 アルミニウム一銅合金からなる金属板は、 アルミニウムのみを含有する 金属板と比較して、 熱伝導率に優れているため、 発熱体の温度変化に合わせて、 加熱面の温度を迅速に追従させることができる。 すなわち、 電圧、 電流値を変え て発熱体の温度を変化させることにより、 金属板の加熱面温度を的確に制御する ことができるのである。
さらに、 アルミ-ゥムー銅合金は、 切削性に優れているため、 金属板を容易に 所望の形状にすることができる。
上記金属板は、 アルミニウムを 9 0〜9 8 %含有していることが望ましい。
9 0 %未満では、 耐食性が低下し、 9 8 %を超えると、 機械的強度が低下する おそれがあるからである。
また、 上記金属板は、 銅を 2〜 1 0 %含有していることが望ましい。
2 %以下では、 金属板の強度が低下してしまうからであり、 1 0 %を超えると、 耐食性に劣ることとなるからである。
また、 上記アルミニウム一銅合金には、 アルミニウム、 銅のほかに、 マグネシ ゥム、 マンガン、 ケィ素、 亜鉛等を添加してもよい。 加工性、 耐食性、 低膨張性 等の諸機能を向上させることができるからである。
第三の本発明の金属ヒータでは、 第一の本発明と同様、 金属板の表面にアルマ イト処理を施すことが望ましい。 なお、 上記被膜の厚さとしては、 以上が 望ましいが、 硬質アルマイト処理では、 被膜の厚さを 3 μ πι以上とすることがで きる。
また、 第三の本発明の金属ヒータは、 一の金属板の底面に発熱体が設置されて いる構成であってもよく、 金属板に設置された発熱体に、 さらに別の金属板を取 り付けるような構成、 すなわち、 2つの金属板の間に発熱体を挟持するような構 成であってもよい。 また、 3以上の金属板の間に発熱体を挟持するような構成と してもよい。 金属板を複数にすることにより、 加熱面側の金属板の厚さを薄くし た場合であっても、 金属板に反りゃ撓みが発生することがなく、 半導体ウェハ等 を均一に加熱することができるからである。
2つの金属板の間に発熱体を挟持するような構成の金属ヒータでは、 加熱面側 の金属板の厚さが、 加熱面と反対側の金属板の厚さと同じか、 加熱面と反対側の 金属板の厚さより薄いことが望ましい。
剛性の高い金属板を加熱面と反対側に設置することにより、 金属ヒータ全体の 強度を維持することができるとともに、 加熱時における加熱面の平坦性が向上す るため、 半導体ウェハと金属板との距離をほぼ一定にすることが可能となり、 半 導体ウェハの全体が均一となるように加熱することができるからである。
なお、 第三の本発明の金属ヒータでは、 上部金属板の材質と下部金属板の材質 とが同一であることが望ましい。 両者の熱膨張率の差により、 上部金属板に反り ゃ撓み等の変形が発生することを防止できるからである。
以下、 第三の本発明の説明においては、 主に 2つの金属板にヒータが挟持され ている構成の金属ヒータについて説明することとする。 なお、 金属ヒータが上記 のように 2つの金属板を有する構成である場合、 加熱面側の金属板のことを上部 金属板といい、 加熱面と反対側の金属板のことを下部金属板ということとする。 第三の本発明の金属ヒータにおいて、 一の金属板の底面に発熱体が設置されて いる構成である場合は、 金属板の厚さは、 その上限が 5 O mmであることが望ま しい。 発熱体に印加する電圧や電流量の変化に対して金属板の加熱面の温度が迅 速に追従するため、 半導体ウェハ等の被加熱物を迅速に加熱することができる。 また、 金属板の温度追従性が優れているので、 半導体製造 ·検査工程において、 金属ヒータの加熱面に半導体ウェハの载置した際、 低下した温度を元に戻すまで の時間 (リカバリー時間) を短くすることが可能となり、 スループットを短縮す ることができ、 生産性を向上させることができる。
より望ましい上限は、 3 O mmである。 熱が伝搬しにくくなり、 加熱の効率が 低下する傾向が生じるからである。
また、 2つの金属板の間に発熱体を挟持するような構成である場合、 加熱面側 の金属板の厚さの望ましい上限は、 3 O mmであり、 望ましい下限は、 3 mmで あり、 より望ましい上限は、 2 O mmであり、 より望ましい下限は、 5 mmであ る。 '
さらに、 上部金属板の厚さと下部金属板の厚さの比 (下部金属板の厚さ Z上部 金属板の厚さ) は、 1〜1 0であることが望ましい。 1 0を超えると、 下部金属 板の熱容量が大きくなり過ぎ、 被加熱物を迅速に加熱することができなくなるか らである。
また、 第三の本発明の金属ヒータでは、 複数の金属板およびヒータの直径が全 て同じであることが望ましい。 ヒ一タの熱を均一化した状態で金属板の加熱面に 伝達することができるからである。
なお、 金属板と支持容器との間に断熱リング等を介設する場合等においては、 金属板の直径をそれぞれ異なるものとしてもよい。
第三の本発明の金属ヒータにおける、 金属板の直径は、 2 0 0 mm以上が望ま しく、 1 2インチ (3 0 0 mm) 以上であることが特に望ましい。 その理由は、
第一の本発明と同様である。
第三の本発明の金属ヒータを構成する金属板は、 その表面における平坦度が 5 0 πι以下であることが望ましく、 3 0 μ ΐη以下であることがより望ましい。 そ の理由は、 第一の本発明と同様である。
このように平坦性に優れる金属ヒータを実現するため、 第二の本発明と同様、 金属板の側面と支持容器 (ボトムプレート) との間が密着しないように、 スぺー スを確保することが望ましく、 また、 金属板の反りを防止するため、 金属板の緣 部を押え板等で押え付け、 固定することも望ましい。
これに加えて、 金属板と押え板の材質を同一のものとすることにより、 これら の熱膨張率の差に起因する金属板の変形を防止することができる。
第三の本発明の金属ヒータでは、 発熱体が形成されている領域の外縁は、 金属 板の外周から金属板の直径の 2 5 %以内の位置に存在していることが望ましい。 その理由は、 第二の本発明と同様である。 図面の簡単な説明
図 1は、 第一〜第三の本発明に係る金属ヒータの一例を模式的に示す断面図で め 。
図 2は、 図 1に示した金属ヒータの一部を構成するヒータの水平断面図である。 図 3は、 第一〜第三の本発明に係る金属ヒータの別の一例を模式的に示す断面 図である。
図 4は、 従来の金属ヒータの一例を模式的に示す断面図である。
図 5は、 第二の本発明に係る金属ヒータの金属板およびヒータを模式的に示す 断面図である。
図 6は、 実施例 1に係る金属ヒータの加熱面の各測定箇所における温度を示す 図である。
図 7は、 試験例 3に係る金属ヒータの加熱面の各測定箇所における温度を示す 図である。
図 8は、 実施例 2に係る金属ヒータに、 2 5 °Cのシリコンウェハを载置した場 合のシリコンウェハの各測定箇所における温度と時間との関係を示すグラフであ
る。
図 9は、 試験例 1に係る金属ヒータに、 2 5 °Cのシリコンウェハを載置した場 合のシリコンウェハの各測定箇所における温度と時間との関係を示すグラフであ る。
図 1 0は、 1 4 0 °Cにおける実施例 1に係る金属ヒータ加熱面の三次元形状を 示す図である。
図 1 1は、 1 4 0 °Cにおける試験例 2に係る金属ヒータ加熱面の三次元形状を 示す図である。
図 1 2は、 実施例 7に係る金属ヒータに、 2 5 °Cのシリコンウェハを载置した 場合のシリコンウェハの各測定箇所における温度と時間との関係を示すグラフで あな。
図 1 3は、 常温における実施例 7に係る金属ヒータ加熱面の一部の三次元形状 を示す図である。
図 1 4は、 1 4 0 °Cにおける実施例 7に係る金属ヒータ加熱面の一部の三次元 形状を示す図である。
図 1 5は、 実施例 1 3に係る金属ヒータの加熱面の各測定箇所における温度を 示す図である。
図 1 6は、 試験例 4に係る金属ヒータの加熱面の各測定箇所における温度を示 す図である。
図 1 7は、 実施例 1 4に係る金属ヒータに、 2 5 °Cのシリコンウェハを載置し た場合のシリコンウェハの各測定箇所における温度と時間の関係を示すグラフで ある。
図 1 8は、 比較例 2に係る金属ヒータに、 2 5 °Cのシリコンウェハを載置した 場合のシリコンウェハの各測定箇所における温度と時間の関係を示すグラフであ る。
図 1 9は、 1 4 0 °Cにおける実施例 1 3に係る金属ヒータ加熱面の三次元形状 を示す図である。
図 2 0は、 1 4 0 °Cにおける試験例 5に係る金属ヒータ加熱面の三次元形状を 示す図である。
符号の説明
5 0、 1 1 0、 1 3 0 金属ヒータ
5 1、 1 1 1 金属板
5 1 a、 1 1 1 a、 1 3 1 a 加熱面
5 2 1 2 3 2 ヒータ
54 1 1 4 3 4 有底孔
5 5 1 1 5 3 5 貫通孔
5 6 1 1 6 3 6 測温素子
5 7 1 1 7 3 7 金属板固定用ネジ
5 8 1 1 8 3 8 支持ピン
5 9 1 1 9 3 9 半導体ゥ.
6 0、 1 20 4 0 支持容器
6 1 中プレート
6 2 断熱リング
1 2 1、 ヒータ固定板
1 2 2、 1 42 押え板
1 2 3、 1 4 3 遮熱板
1 24、 1 44 導電線
1 2 5 ( 1 2 5 a、 1 2 5 b) 発熱体
1 2 6 マイ力板
1 3 1 上部金属板
1 4 1 下部金属板 発明の詳細な開示
以下、 第一〜第三の本発明の金属ヒータについて順に説明する。
ここで、 第一〜第三の本発明の金属ヒータは、 それぞれ略同様の形態を有して いるため、 同一の図面 (図 1〜3) を参照しながら説明する。 図 1は本発明に係 る金属ヒータの一例を模式的に示す断面図であり、 図 2は、 図 1の水平断面図で
あり、 図 3は、 本発明に係る金属ヒータの別の一例を模式的に示す断面図である。 まず、 第一の本発明の実施形態について説明する。
第一の本発明の金属ヒータは、 金属板と発熱体とから構成される金属ヒータで あって、 上記金属板は、 厚さが 5 O mm以下であり、 その表面の平坦度が 5 0 m以下であるとともに、 上記発熱体が形成されている領域の外縁は、 上記金属板 の外周から上記金属板の直径の 2 5 %以内の位置にあることを特徴とする。 まず、 図 1に示した金属ヒータについて説明する。
この金属ヒータ 1 1 0では、 円板形状の金属板 1 1 1の底面にヒータ 1 1 2カ 設置されており、 ヒータ 1 1 2は、 ヒータ固定板 1 2 1を介して、 金属板固定ネ ジ 1 1 7により金属板 1 1 1に固定されている。
金属ヒータ 1 1 0では、 金属板 1 1 1の加熱面 1 1 1 aにおける平坦度が 5 0 Ai m以下となっている。 従って、 金属ヒータ 1 1 0を用いて半導体ウェハを加熱 する場合には、 半導体ウェハと金属板との距離をほぼ一定にすることが可能とな り、 半導体ウェハの全体が均一となるように加熱することができる。
また、 金属ヒータ 1 1 0は、 図 4に示す金属ヒータ 5 0と以下の点で相違して いる。
まず、 金属ヒータ 1 0 0では、 金属板 1 1 1、 ヒータ 1 1 2およびヒータ固定 板 1 2 1の側面が支持容器 1 2 0と密着しておらず、 非接触の状態で固定されて いる点において、 図 4に示す金属ヒータ 5 0と相違している。 このような構成と することにより、 金属板 1 1 1が熱膨張した際の側面からの圧迫に伴う湾曲を防 止することができるとともに、 被加熱物を加熱する際に、 金属板等からの熱の逃 散が少なく、 被加熱物を迅速に加熱することができる。
また、 金属板 1 1 1の加熱面 1 1 1 aの外周部には、 押え板 1 2 2が設置され ており、 この押え板 1 2 2と金属板固定ネジ 1 1 7とにより、 金属板 1 1 1、 ヒ ータ 1 1 2およびヒータ固定板 1 2 1を確実に支持容器 1 2 0に固定すること力 S できるため、 金属板を薄くしたことに伴う金属板 1 1 1自身の変形により、 そり ゃ撓みが発生することを防止することができる。
さらに、 図 1に示す金属ヒータ 1 1 0と、 図 4に示す金属ヒータ 5 0とは、 上 述した金属板の厚さや押え板の有無等のほかにも、 金属板固定ネジ 1 1 7が支持
容器 1 2 0を貫通せず、 金属板 1 1 1、 ヒータ 1 1 2およびヒータ固定板 1 2 1 のみを貫通し、 これらを固定している点で相違している。 このような構成とする ことにより、 金属板 1 1 1と支持容器 1 2 0との間の熱膨張率の差に起因する金 属板 1 1 1の変形を防止することができるとともに、 被加熱物を加熱する際に、 金属板等からの熱の逃散が少なく、 被加熱物を迅速に加熱することができる。 また、 支持容器 1 2 0の底部には、 遮熱板 1 2 3が設置されており、 金属板 1 1 1およびヒータ固定板 1 2 1からの熱が装置に伝達することを防止することが できる構成となっている。
また、 金属ヒータ 1 1 0には、 有底孔 1 1 4が形成され、 有底孔 1 1 4には、 金属板の 1 1 1の温度を測定するための測温素子が埋め込まれている。
さらに、 金属ヒータ 1 1 0には、 先端が尖塔状の支持ピン 1 1 8を介して半導 体ウェハ 1 1 9が載置されており、 半導体ウェハ 1 1 9を金属板 1 1 1の加熱面 より一定距離離間させた状態で、 支持し加熱することが可能である。
なお、 金属ヒータ 1 1 0には、 金属板 1 1 1、 ヒータ 1 1 2、 ヒータ固定板 1 2 1および支持容器 1 2 0を貫通する貫通孔 1 1 5も設けられており、 貫通孔 1 1 5に柱状のリフターピン等を揷通することによつても、 被加熱物である半導体 ウェハ 1 1 9を金属板 1 1 1の加熱面 1 1 1 aより一定距離離間させた状態で支 持し、 半導体ウェハ 1 1 9を搬送することができるようになつている。
そして、 ヒータ 1 1 2は導電線 1 2 4と接続されており、 導電線 1 2 4は、 支 持容器 1 2 0および遮熱板 1 2 3に形成された貫通孔から外部に引き出され、 電 源等 (図示せず) と接続されている。
また、 図 2に示したように、 ヒータ 1 1 2は、 金属板 1 1 1およびヒータ固定 板 1 2 1と同様に平面視円形状であり、 金属板 1 1 1の加熱面 1 1 1 a全体の温 度が均一になるように加熱するため、 ヒータ 1 1 2の内部には、 閉回路からなる 発熱体 1 2 5 a、 1 2 5 bが配置されている。
ヒータ 1 1 2では、 ヒ タ 1 1 2の外周部に屈曲線が円環状に繰り返して閉回 路が形成されたパターンからなる発熱体 1 2 5 bが配置され、 その内部に同心円 の一部を描くようにして繰り返した閉回路が形成されたパターンからなる発熱体 1 2 5 aが配置されている。
さらに、 図示はしていないが、 ヒータ 1 1 2は、 2枚のマイ力板 1 2 6で発熱 体 1 2 5を挟持し、 固定した構成となっており、 通電時は発熱体 1 2 5がマイ力 板 1 2 6を加熱して、 マイ力板 1 2 6の 2次輻射によって被加熱物を加熱するこ とができるようになつている。
第一の本発明の金属ヒータがこのような形態を有する場合、 金属板 1 1 1は、 その厚さが 5 0 mm以下であり、 図 4に示す金属ヒータ 5 0の金属板 5 1と比較 して薄いものとなっている。 そのため、 半導体ウェハ 1 1 9を迅速に昇温を行う ことができるとともに、 リカバリ一時間の短い金属ヒータとすることができる。 また、 第一の本発明の金属ヒータでは、 厚さが 5 O mm以下であり、 かつ、 平 坦度が 5 0 μ πι以下の金属板を実現するため、 図 4に示す金属ヒータ 5 0とは、 上述した点で相違している。
また、 第一の本発明の金属ヒータがこのような形態を有する場合、 ヒータ 1 1 2の内部に形成された発熱体 1 2 5の外縁は、 金属板 1 1 1の外周から金属板 1 1 1の直径の 2 5 %以内の位置に存在している。 通常、 金属板 1 1 1の外周部分 では、 金属板 1 1 1の外周部分の表面からの放熱により、 温度が不均一になりや すいが、 第一の本発明の金属ヒータでは、 このような外周部分にも発熱体が配設 されているため、 被加熱物である半導体ウェハ等を温度のばらつきなく、 均一に 加熱することができる。
次に、 図 3に示した金属ヒータについて説明する。
図 3に示した金属ヒータ 1 3 0では、 円板形状の上部金属板 1 3 1と下部金属 板 1 4 1との間に、 ヒータ 1 3 2が挟持されており、 上部金属板 1 3 1、 ヒータ 1 3 2および下部金属板 1 4 1は、 金属板固定ネジ 1 3 7により固定されている。 ここで、 上部金属板 1 3 1は、 図 1に示す金属ヒータ 1 1 0の金属板 1 1 1と 比較して薄いものとなっているとともに、 下部金属板 1 4 1と比べてもさらに薄 いものとなっている。 従って、 図 3に示す金属ヒータ 1 3 0は、 被加熱物を迅速 に加熱することができ、 リカバリ一時間の短いものとすることができる。
また、 上部金属板 1 3 1よりも厚く、 剛性が大きい下部金属板 1 4 1をヒータ 1 3 2の底面に設置することにより、 加熱時における上部金属板 1 3 1の変形を 防止することができる。
さらに、 金属ヒータ 1 3 0では、 金属板固定用ネジ 1 3 7のネジ頭が下部金属 板 1 4 1に埋め込まれるような構成となっている。 従って、 上部金属板 1 3 1、 ヒータ 1 3 2および下部金属板 1 4 1をより確実に支持容器 1 4 0の内部に固定 することができ、 図 1に示す金属ヒータ 1 1 0と比較して、 上部金属板 1 3 1に 反りゃ撓み等の変形が生じにくい構造となっている。
なお、 図 3に示した形態の金属ヒータ 1 3 0では、 下部金属板 1 4 1に貫通孔 を形成し、 この貫通孔に導電線 1 3 4を揷通するような構成となっているが、 導 電線 1 3 4はヒータ 1 3 2の側面においてヒータの内部に設置された発熱体と接 続することとしてもよい。
また、 このような形態の金属ヒータ 1 3 0では、 上部金属板 1 3 1にネジ穴が 設けられておらず、 金属板固定ネジ 1 3 7は、 ヒータ 1 3 2および下部金属板 1 4 1のみを固定しており、 上部金属板 1 3 1の固定は、 加熱面の外周部に設置さ れた押え板 1 3 2で押えつけることにより行っている。 このような構成とするこ とにより、 上部金属板 1 3 1とヒータ 1 3 2との熟膨張率の差に起因する金属板 の変形を防止することができる。
なお、 図 3に示した金属ヒータ 1 3 0は、 上述した以外の部分の構成について は、 図 1に示した金属ヒータ 1 1 0と同様である。 従って、 その説明を省略する こととする。
第一の本発明の金属ヒータが図 3に示したような形態を有する場合もまた、 金 属板の厚さ (上部金属板と下部金属板の合計厚さ) は、 5 O mm以下であり、 そ の表面の平坦度は、 5 0 μ ΐη以下であるため、 上述したように、 迅速な昇温が可 能で、 リカバリー時間が短く、 さらに、 半導体ウェハの全体を均一に加熱するこ とができる。
さらに、 第一の本発明の金属ヒータがこのような形態を有する場合、 図示はし ていないが、 金属ヒータ 1 3 0では、 ヒータ 1 3 2の内部に形成された発熱体の 外縁が上部金属板 1 3 1の外周から上部金属板 1 3 1の直径の 2 5 %以内の位置 に存在するような構成となっている。 これにより、 被加熱物である半導体ウェハ 等を温度のばらつきなく、 均一に加熱することができる。
なお、 第一の本発明の金属ヒータの構成部材、 および、 該金属ヒ タの製造方
法については、 後述する。
次に、 第二の本発明の実施形態について説明する。
第二の本発明の金属ヒータは、 金属板と発熱体とから構成される金属ヒータで あって、 上記金属板は複数であるとともに、 上記金属板の間には、 上記発熱体が 挟持されており、 加熱面側の金属板の厚さが、 加熱面と反対側の金属板の厚さと 同じか、 上記加熱面と反対側の金属板より薄いことを特徴とする。
第二の本発明の金属ヒータの一例としては、 2つの金属板の間にヒータが挟持 されている構成の金属ヒータがある。 このような構成の金属ヒータとしてば、 例 えば、 図 3に示したような形態の金属ヒータが挙げられる。
なお、 図 3に示した金属ヒータ 1 3 0では、 金属板 1 3 1の加熱面 1 3 1 aに おける平坦度は、 5 0 μ ΐη以下であるが、 第二の本発明の金属ヒータにおける加 熱面の平坦度は、 5 0 μ πι以下に限定されるわけではない。
また、 第二の本発明の金属ヒータが、 図 3に示したような形態を有している場 合、 ヒータ 1 3 2の内部に形成された発熱体の外縁は、 金属板 1 3 1の外周から 金属板 1 3 1の直径の 5 %以内の位置に存在していることが望ましい。 通常、 金 属板 1 3 1の外周部分では、 金属板 1 3 1の外周部分の表面からの放熱により、 温度が不均一になりやすいが、 上記の場合、 このような外周部分にも発熱体が配 設されていることとなるため、 被加熱物である半導体ウェハ等を温度のばらつき なく、 均一に加熱することができる。
第二の本発明の金属ヒータの構成部材、 および、 該金属ヒータの製造方法につ いては、 後述する。
次に、 第三の本発明の実施形態について説明する。
第三の本発明の金属ヒータは、 金属板と発熱体とから構成される金属ヒータで あって、 上記金属板は、 アルミニウム一銅合金からなることを特徴とする。 まず、 第三の本発明の金属ヒータの一例として、 一の金属板の底面にヒータが 設置されている金属ヒータについて説明する。 このような構成の金属ヒータとし ては、 例えば、 図 1に示したような形態の金属ヒータが挙げられる。
図 1に示したような形態の第三の本発明の金属ヒータにおいて、 金属板 1 1 1 の材質は、 熱伝導性に優れ、 機械的強度が強いアルミニウム一銅合金からなる。
そのため、 発熱体の温度変化に合わせて、 加熱面の温度を迅速に追従させること ができ、 金属板の加熱面を所定の温度にすることができるとともに、 金属板の厚 さを薄くしても、 加熱により反ったり、 歪んだりせず、 金属板を薄くて軽いもの とすることができる。
また、 第三の本発明の金属ヒータが、 図 3に示した形態を有する場合、 金属板 1 3 1の厚さが 5 O mm以下であることが望ましい。
まだ、 図 3に示した金属ヒータ 1 3 0では、 金属板 1 3 1の加熱面 1 3 1 aに おける平坦度は、 5 0 / m以下であるが、 第三の本発明の金属ヒータにおける加 熱面の平坦度は、 5 0 / m以下に限定されるわけではない。
また、 第三の本発明の金属ヒータが、 図 3に示したような形態を有している場 合、 ヒータ 1 3 2の内部に形成された発熱体の外縁は、 金属板 1 3 1の外周から 金属板 1 3 1の直径の 5 %以内の位置に存在していることが望ましい。 その理由 は、 第二の本発明と同様である。
また、 第三の本発明の金属ヒータは、 図 3に示すような形態であってもよい。 第三の本発明の金属ヒータの構成部材、 および、 該金属ヒータの製造方法につ いては、 後述する。
次に、 上述した第一〜第三の本発明の金属ヒータの材質や形状等について説明 する。 ここで、 第一〜第三の本発明の金属ヒータの材質や形状等は略同様である ため、 併せて説明することとする。
第一 ~■第三の本発明の金属ヒータにおいて、 金属板には、 被加熱物を载置する 加熱面の反対側から加熱面に向けて有底孔を設けるとともに、 有底孔の底を発熱 体よりも相対的に加熱面に近く形成し、 この有底孔に熱電対等の測温素子 (図示 せず) を設けることが望ましい。
また、 有底孔の底と加熱面との距離は、 0 . 1 mm〜金属板の厚さの 1 / 2で あることが望ましい。
これにより、 測温場所が発熱体よりも加熱面に近くなり、 より正確な半導体ゥ ェハの温度の測定が可能となるからである。
有底孔の底と加熱面との距離が 0 . 1 mm未満では、 放熱してしまい、 加熱面 に温度分布が形成され、 厚さの 1 / 2を超えると、 発熱体の温度の影響を受けや
すくなり、 温度制御できなくなり、 やはり加熱面に温度分布が形成されてしまう からである。
有底孔の直径は、 0 . 3〜 5 mmであることが望ましい。 これは、 大きすぎる と放熱性が大きくなり、 また小さすぎると加工性が低下して加熱面との距離を均 等にすることができなくなるからである。
上記測温素子としては、 例えば、 熱電対、 白金測温抵抗体、 サーミスタ等が挙 げられる。
また、 上記熱電対としては、 例えば、 J I S— C— 1 6 0 2 ( 1 9 8 0 ) に挙 げられるように、 K型、 R型、 B型、 S型、 E型、 J型、 T型熱電対等が挙げら れるが、 これらのなかでは、 K型熱電対が好ましい。
上記熱電対の接合部の大きさは、 素線の径と同じか、 または、 それよりも大き く、 0 . 5 mm以下であることが望ましい。 これは、 接合部が大きい場合は、 熱 容量が大きくなつて応答性が低下してしまうからである。 なお、 素線の径より小 さくすることは困難である。
上記測温素子は、 金ろう、 銀ろう、 半田、 接着剤などを使用して、 有底孔の底 に接着してもよく、 有底孔に揷入した後、 耐熱性樹脂で封止してもよく、 両者を 併用してもよい。
上記耐熱性樹脂としては、 例えば、 熱硬化性樹脂、 特にはエポキシ樹脂、 ポリ ィミド樹脂、 ビスマレイミドートリァジン樹脂などが挙げられる。 これらの樹脂 は、 単独で用いてもよく、 2種以上を併用してもよい。
上記金ろうとしては、 3 7〜8 0 . 5重量% 一 6 3〜1 9 . 5重量。/ o C u 合金、 8 1 . 5〜 8 2 . 5重量%: A u - 1 8 . 5〜1 7 . 5重量%: N i合金 から選ばれる少なくとも 1種が望ましい。 これらは、 溶融温度が、 9 0 0 °C以上 であり、 高温領域でも溶融しにくいためである。
銀ろうとしては、 例えば、 A g—C u系のものを使用することができる。 また、 第一〜第三の本発明においては、 発熱体が設けられたヒータを金属板の 表面 (底面) に設置してもよく、 金属板に設置されたヒータに、 さらに別の金属 板を取り付けるような構成、 すなわち、 2つの金属板の間にヒータを挟持するよ うな構成としてもよい。
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発熱体が設けられたヒータをこのような位置に設定することにより、 発熱体か ら発生した熱が伝搬していくうちに、 金属板全体に拡散し、 被加熱物 (半導体ゥ ェハ) を加熱する面の温度分布が均一化され、 その結果、 被加熱物の各部分にお ける温度が均一化される。
上記ヒータとしては、 図 2に示すようなマイ力ヒータ、 シリコンラバーヒータ 等を用いることができる。 また、 単に絶縁性のシールに発熱線を形成したものを ヒータとして使用することもできる。
上記マイ力ヒータとしては、 任意のパターンに形成したニクロム線等の発熱体 を絶縁体であるマイ力板で挟持したものを使用することができる。
また、 上記シリコンラバーヒータとしては、 任意のパターンに形成した-クロ ム線等の発熱体を絶縁体であるシリコンラバーで挟持したものを使用することが できる。
上記ヒータを加熱するための発熱体については、 電圧を印加した場合に発熱す るものであれば、 上述したニクロム線に限られず、 タングステン線やモリブデン 線、 ステンレス線等の他の金属線等であってもよい。
また、 発熱体としては、 金属線の他に金属箔を使用することもできる。 上記金 属箔としては、 エッケル箔、 ステンレス箔をエッチング等でパターン形成して発 熱体としたものが望ましい。 パターン化した金属箔は、 樹脂フィルム等ではり合 わせてもよい。
さらに、 発熱体を被覆する絶縁体についても、 短絡を防止することができ、 高 温にも耐え得る材質のものであれば、 上述したマイ力板やシリコンラバーに限ら れず、 例えば、 フッ素樹脂、 ポリイミド樹脂、 ポリべンゾイミダゾール (P B I ) 等であってもよく、 セラミック等からなる繊維をマット状にしたものを用いて もよい。
上記金属ヒータがヒータを金属板で挟持した形状である場合には、 上記ヒータ を複数設けてもよい。 この場合は、 各層のパターンは、 相互に補完するようにど こかの層に発熱体が形成され、 加熱面の上方から見ると、 どの領域にもパターン が形成されている状態が望ましい。 このような構造としては、 例えば、 互いに千 鳥の配置になっている構造が挙げられる。
また、 金属板の表面にヒータを設置する場合は、 加熱面はヒータ設置面の反対 側であることが望ましい。 金属板が熱拡散の役割を果たすため、 加熱面の温度均 一性を向上させることができるからである。
また、 第一〜第三の本発明の金属ヒータにおける発熱体のパターンとしては、 図 2に示したようなパターンに限らず、 例えば、 同心円状のパターン、 渦卷き状 のパターン、 偏心円状のパターン等も用いることができる。 また、 これらは併用 また、 最外周に形成された発熱体パターンを、 複雑に分割されたパターンとす ることで、 温度が低下しやすい金属ヒータの最外周で細かい温度制御を行うこと が可能となり、 金属ヒータの温度のばらつきを抑えることができる。
また、 上記発熱体の面積抵抗率は、 0. 1〜: L 0 ΩΖ口が好ましい。 面積抵抗 率が 1 0 Ω /口を超えると、 発熱量を確保するために、 発熱体の直径を非常に細 くしなければならず、 このため、 わずかな欠け等で断線したり、 抵抗値が変動し たりするからである。 また、 面積抵抗率が 0 . 1 ΩΖ口未満の場合は、 発熱体の 直径を大きくしなければ、 発熱量を確保できず、 その結果、 発熱体パターン設計 の自由度が低下し、 加熱面の温度を均一にすることが困難となるからである。 発熱体と電源とを接続するための手段としては、 図 1、 3で示すように導電,镰 を圧着等で発熱体の両端部に取り付け、 この導電線を介して電源等と接続するこ ととしてもよく、 発熱体の両端部に端子を取り付け、 この端子を介して電源等と 接続することとしてもよい。 上記端子は、 圧着により発熱体に取り付けることが 望ましい。
また、 上記端子は、 半田を介して発熱体に取り付けてもよい。 ニッケルは、 半 田の熱拡散を防止するからである。 接続端子としては、 例えば、 コバール製の外 部端子が挙げられる。
接続端子を接続する場合、 半田としては、 銀一鉛、 鉛一スズ、 ビスマスースズ などの合金を使用することができる。 なお、 半田層の厚さは、 0 . 1〜5 0 μ ιη が好ましい。 半田による接続を確保するのに充分な範囲だからである。
また、 第一〜第 Sの本発明の金属ヒータでは、 金属板とヒータとの間に中プレ ートを介設することとしてもよい。 このような中プレートを介設することにより、
発熱体で発生させた熱をより均一化した状態で金属板に伝達することができる。 上記中プレートの材質としては、 熱伝導性に優れる金属が望ましく、 例えば、 銅、 銅合金等を使用することができる。
また、 図 1または図 3に示した形態の金属ヒータでは、 金属板の側面と支持容 器とが非接触となっているが、 これらが接触しているような構成である場合には、 金属板の側面と支持容器との間に断熱リングを介設することが望ましい。 金属板 の外周部において、 熱が逃散することにより、 金属板の加熱面に温度のばらつき が発生することを防止できる。
上記支持容器および上記遮熱板は、 一体化されていてもよく、 遮熱板が支持容 器に連結固定されていてもよいが、 支持容器と遮熱板とが、 一体的に形成されて いることが望ましい。 金属ヒータ全体の強度を確保することができるからである。 上記支持容器は、 円筒形状であることが望ましく、 上記遮熱板は、 円板形状で あることが望ましい。
また、 上記支持容器および上記遮熱板の厚みは、 0 . 1〜 5 mmであることが 望ましい。 0 . 1 mm未満では、 強度に乏しく、 5 mmを超えると熱容量が大き くなるからである。
上記支持容器および上記遮熱板は、 加工等が容易で機械的特性に優れるととも に、 金属ヒータ全体の強度を確保できるように、 S U S、 アルミニウム、 インコ ネル (クロム 1 6 %、 鉄 7 %を含むニッケル系の合金) 等の金属により構成され ることが望ましい。
なお、 上記支持容器と上記遮熱板とが、 一体化されていない場合、 上記遮熱板 としては、 遮熱性に優れるように、 例えば、 耐熱性樹脂、 セラミック板、 これら に耐熱性の有機繊維や無機繊維が配合された複合板等、 余り熱伝導率が大きくな く、 かつ、 耐熱性に優れたものを用いることも可能である。
また、 支持容器または遮熱板には、 冷媒導入管を取り付けることとしてもよい。 金属ヒータを冷却するための強制冷却用の冷媒等を導入することにより、 金属ヒ ータを迅速に降温させることができるからである。 さらに、 支持容器または遮熱 板には、 導入した強制冷却用の冷媒等を排出するための貫通孔が形成されている こととしてもよレ、。
次に、 第一〜第三の本発明に係る金属ヒータの製造方法の一例として、 図 3に 示す形態の金属ヒータの製造方法について説明することとする。
なお、 第一および第三の本発明の金属ヒータは、 必ずしも図 3に示すように、 2つの金属板により、 ヒータを挟持する形状でなくてもよレ、。
( 1 ) 金属板の作製工程
アルミニウム—銅合金等からなる板状体に、 N C旋盤を用いて外径加工を行い、 円板形状とした後、 この板状体に端面加工、 表面加工および裏面加工を順に行う。 このとき、 上部金属板となる板状体の厚さを、 下部金属板となる板状体よりも 薄くする。
次に、 マシニングセンタ (MC) 等を用いて、 半導体ウェハを支持するための リフターピンを揷入する貫通孔となる部分、 支持ピンを設置するための凹部、 熱 電対などの測温素子を埋め込むための有底孔となる部分を形成する。 また、 同様 にして所定の位置に有底孔を形成した後、 この有底孔にネジ溝を形成することに より、 金属板固定用ネジを揷通するためのネジ穴を形成する。
そして、 上部金属板となる板状体にロータリー研削盤を用いて表面研削処理を 施すことにより、 上部金属板および下部金属板を製造する。 この表面研削処理を 行うことにより、 金属板の表面の平坦度を 2 0〜3 0 /z m程度にすることができ る。
次に、 上記金属板にアルマイト処理を施し、 上記金属板の表面に酸化被膜を形 成する。 このような処理を行うことにより、 金属板の耐食性が向上するとともに、 表面が硬くなるため、 金属板に傷等が付きにくくなる。 また、 実際の半導体製造 •検査工程で使用する場合であっても、 金属板がレジスト液ゃ腐食性ガス等によ つて腐食されにくくなる。
なお、 上記アルマイト処理 (陽極酸化被膜処理) としては、 例えば、 硫酸法、 シユウ酸法等を用いることができるが、 処理後の耐食性、 電解液のコスト、 作業 性等の点から硫酸法を用いることが望ましい。
( 2 ) ヒータの設置
所定のパターンに加工したニクロム線等の発熱体をマイ力板で挟持したヒ タ を、 上部金属板と下部金属板の間に設置し、 金属板およびヒータに設けられたネ
ジ孔に金属板固定用ネジを揷通した後、 締め付けて金属板とヒータとを一体化す る。
なお、 発熱体は、 ヒータ全体を均一な温度にする必要があることから、 屈曲線 が円環状に繰り返しや同心円の一部を描くようにして繰り返しを基本にしたパタ ーン等とすることが好ましい。
また、 金属板とヒータとの間には、 銅等のように熱伝導性に優れる材料からな る中プレートを挟持させることとしてもよい。 これにより、 ヒータから放射され る熱をより均一化した状態で金属板に伝達することができる。
( 3 ) 支持容器の取り付け
そして、 このように金属板とヒータとを一体化させた装置を図 3に示したよう な円筒形状の支持容器に支持、 固定する。 また、 上部金属板の加熱面の外周部と 支持容器との間に、 押え板を取り付けることにより、 金属板の変形を防止できる とともに、 金属板をより強固に支持、 固定することができる。
なお、 支持容器には、 その底面に支持容器と同様の材質により構成される遮熱 板を設置するとともに、 測温素子、 導電線等を揷通できるような貫通孔を形成し ておく。
第一〜第三の本発明の金属ヒータにおいては、 図 3に示すように金属板および ヒータの側面と支持容器とが非接触の状態で支持、 固定されていることが望まし レ、。
金属板およびヒータの側面から熱が逃散することにより、 金属板の加熱面の外 周部が低温となる場合があるからである。
なお、 金属板およびヒータの側面と支持容器とが接触した状態で支持、 固定さ れている場合には、 金属板と支持容器との間にポリイミ ド樹脂、 フッ素樹脂等か らなる断熱リングを介設することが望ましい。
( 4 ) 電源等への接続
ヒータに設けられた発熱体の両端部に電源との接続のための端子 (外部端子) を圧着で取り付け、 外部の電源等に接続し、 金属ヒータの製造を終了する。 なお、 上述した貫通孔および有底孔を形成する工程は、 金属板にヒータを取り 付けた後に行うこととしてもよいが、 金属板、 ヒータおよび支持容器のそれぞれ
に予め貫通孔および有底孔となる開口を形成しておくことが望ましい。
なお、 上述した方法で金属ヒータを製造する場合、 第一および第三の本発明の 金属ヒータは、 必ずしも図 3に示すように、 上部金属板が下部金属板よりも薄く なっていなくてもよく、 上部金属板の厚さと下部金属板の厚さとが同じであって あよい。 発明を実施するための最良の形態
以下、 第一〜第三の本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
以下の実施例では、 半導体ウェハを加熱する金属ヒータを例に示すが、 第一〜 第三の本発明は、 光導波路の温度調整用ヒータとしても使用することができる。
(実施例 1 )
金属ヒータ (図 1、 2参照) の製造
(1) アルミニウム一銅合金 (A221 9 ( J I S-H4000) ) からなる 板状体に NC旋盤 (ヮシノ機械社製) を用いて外径加工を行い、 円板形状とした 後、 この円板体に端面加工、 表面加工および裏面加工を施すことにより、 金属板 用の円板体およびヒータ固定板用の円板体を製造した。
次に、 マシニングセンタ (日立精機社製) を用いて、 これらの円板体に半導体 ウェハ 1 1 9を支持するためのリフターピンを揷入する貫通孔 1 1 5となる部分、 支持ピン 1 18を設置するための凹部、 測温素子 1 16を埋め込むための有底孔 1 14となる部分を形成した。 また、 同様にして所定の位置に有底孔または貫通 孔を形成した後、 これらの有底孔または貫通孔にネジ溝を形成することにより、 円板体に金属板固定用ネジ 1 1 7を揷通するためのネジ穴を形成した。
なお、 貫通孔 1 15は 3箇所に形成し、 支持ピン 1 18を設置するための凹部 は 4箇所に形成した。
(2) 次に、 (1) の工程で製造された金属板用の円板体の加熱面側表面に、 ロータリー研削盤 (岡本工作機械製作所製) を用いて表面研削処理を施し、 厚さ 2 Omm、 直径 33 Ommの金属板 (上部金属板) 1 1 1および厚さ 5 mm、 直 径 33 Ommのヒータ固定板 (下部金属板) 1 21を得た。
(3) 次に、 金属板 11 1およびヒータ固定板 1 21を電解液 10%H2S
04、 電圧 10V、 電流密度 0. 8 A/ dm2、 液温 20°Cの条件でァ/レマ ィト処理を行い、 金属板 11 1およびヒータ固定板 1 21の表面に厚さ 1 5 μπι の酸化被膜を形成した。
(4) そして、 図 2に示すような屈曲線が円環状に繰り返したパターンおよび 同心円の一部を描くようにして繰り返したパターンに加工したニクロム線からな る発熱体 1 25 a、 125 bを厚さ 0. 3 mmの 2枚のマイ力板 1 26で挟持し、 直径 33 Ommのヒータ 1 1 2を得た。
なお、 ヒータ 1 1 2では、 発熱体が形成されている領域の外縁が、 金属板 1 1 1の外周から金属板 1 1 1の直径の 7%の位置となるように発熱体を形成すると ともに、 発熱体 1 25の回路の総数は 4とした。
また、 マイ力板 126には、 貫通孔 1 1 5となる部分、 有底孔 1 14となる部 分および金属板固定ネジ 1 17を挿通するためのネジ孔となる部分を予め形成し ておいた。
その後、 (1) 〜 (3) の工程で製造した金属板 1 1 1およびヒータ固定板 1 21でヒータ 1 1 2を挟み込み、 金属板 1 1 1、 ヒータ固定板 121およびヒー タ 1 1 2に設けられたネジ孔に金属板固定用ネジ 1 17を揷通した後、 これを締 め付けることにより、 金属板 1 1 1、 ヒータ固定板 1 21およびヒータ 1 1 2を 一体化した。
(5) 次に、 図 1に示したような円筒形状で SUS製の支持容器 1 20を製造 し、 この支持容器 120の底面に貫通孔 1 15となる部分、 有底孔 1 14となる 部分および導電線 124を揷通するための貫通孔を形成した後、 支持容器 1 20 の底部に円板形状で S US製の遮熱板 1 23を設置した。
そして、 遮熱板 123が設置された支持容器 1 20の内部に、 (4) で製造し たヒータ 1 1 2およびヒータ固定板 121が取り付けられた金属板 1 1 1を配置 し、 金属板 1 1 1の加熱面の外周部に押え板 1 22を取り付けることにより、 支 持容器 1 20の内部に固定した。
( 6 ) 温度制御のための測温素子 1 16を有底孔 1 14に挿入した後、 ポリイ ミドで有底孔 1 14を封止した。 また、 金属板 1 1 1の加熱面に形成された凹部 に支持ピン 1 1 8を設置した。
(7) 次いで、 ヒータ 1 12に設けられた発熱体の両端部に電源との接続のた めの導電線 1 24を圧着で取り付け、 外部の電源等に接続し、 金属ヒータ 1 10 を得た。
(実施例 2)
金属ヒータの製造
金属板 1 1 1の厚さを 5 mmとし、 ヒータ固定板 1 21の厚さを 20 mmとし た以外は、 実施例 1と同様にして、 金属ヒータを製造した。
なお、 上記金属ヒータでは、 発熱体が形成されている領域の外縁が、 金属板 1 1 1の外周から金属板 1 1 1の直径の 1 5 %の位置に存在している。
(実施例 3 )
金属ヒータ (図 3参照) の製造
(1) 実施例 1の (1) 〜 (2) と同様にして、 上部金属板 131および下部 金属板 141を製造した後、 実施例 1の (3) と同様にして、 上部金属板 1 31 および下部金属板 14 1にアルマイ ト処理を行った。
なお、 上部金属板 131は、 厚さ 2mm、 直径 33 Ommとし、 下部金属板 1 41は、 厚さ 20 mmN 直径 330 mmとした。
(2) 次に、 実施例 1の (4) 〜 (7) と同様にして、 上部金属板 1 3 1およ び下部金属板 141とヒータ 132とを一体化した後、 支持容器 140に設置す ることにより、 金属ヒータ 1 30を製造した。
なお、 本実施例の金属ヒータでは、 上部金属板 13 1にネジ孔を形成せず、 金 属板固定用ネジ 137のネジ頭が下部金属板 141に埋め込まれる構造とするこ とにより、 下部金属板 141の底面が支持容器 140の内面に接触するような構 成とした。
なお、 上記金属ヒータでは、 発熱体が形成されている領域の外縁が、 上部金属 板 1 3 1の外周から上部金属板 1 3 1の直径の 1 °/0の位置に存在している。
(実施例 4)
金属ヒータの製造
上部金属板の厚さを 5 mmとし、 下部金属板の厚さを 45mniとした以外は、 実施例 3と同様にして金属ヒータを製造した。
なお、 上記金属ヒータでは、 発熱体が形成されている領域の外縁が、 上部金属 板の外周から上部金属板の直径の 2 5 %の位置に存在している。
(実施例 5 )
金属ヒータの製造
上部金属板の厚さを 1 5 mmとし、 下部金属板の厚さを 2 0 mmとした以外は、 実施例 3と同様にして金属ヒータを製造した。
なお、 上記金属ヒータでは、 発熱体が形成されている領域の外縁が、 上部金属 板の外周から上部金属板の直径の 1 0 %の位置に存在している。
(試験例 1 )
実施例 1の (1 ) 〜 (3 ) の工程を行う際に、 金属板の厚さを 5 5 mmとした 以外は、 実施例 1と同様にして金属ヒータを製造した。
(試験例 2 )
実施例 1の (2 ) の工程で、 金属板用円板体の加熱面側表面に表面研削処理を 施さなかった以外は実施例 1と同様にして金属ヒータを製造した。
(試験例 3 )
実施例 1の (4 ) の工程で、 発熱体が形成されている領域の外縁が、 金属板の 外周から金属板の直径の 3 0 %の位置となるように発熱体を形成した以外は実施 例 1と同様にして金属ヒータを製造した。
実施例 1〜 5および試験例 1〜 3に係る金属ヒータに通電することにより昇温 し、 下記の方法により評価した。
その結果を表 1に示す。 なお、 金属板の直径に対する、 金属板の外周から発熱 体の外縁の位置までの距離の割合 (外縁位置) についても表 1に示した。
評価方法
( 1 ) 定常時における面内温度均一性
金属ヒータを 1 4 0 °Cまで昇温した後、 熱電対を備えた温度センサ付ウェハを 金属ヒータの加熱面に载置し、 加熱面の温度分布を測定した。 温度分布は、 昇温 中における最高温度と最低温度との温度差の最大値で示す。
また、 実施例 1に係る金属ヒータの加熱面の各測定箇所における温度を図 6に、 試験例 3に係る金属ヒータの加熱面の各測定箇所における温度を図 7に示す。
(2) 過渡時における面内温度均一性
金属ヒータにより、 温度センサ付ウェハを常温〜 140°Cまでの加熱した時の 温度センサ付ウェハ面内の温度分布を測定した。 温度分布は、 100°C、 120 °Cおよび 130°Cにおいて測定し、 最高温度と最低温度との温度差の最大値で示 す。
(3) 昇温時間
金属ヒータを常温〜 140°Cまで昇温した時の昇温時間を測定した。
(4) リカバリー時間
140°C設定温度で、 25°Cのシリコンウェハを載置した場合に、 140°Cま で回復する時間 (リカバリー時間) を測定した。
また、 実施例.2に係る金属ヒータに、 25°Cのシリコンウェハを载置した場合 のシリコンウェハの各測定箇所における温度と時間との関係を図 8に、 試験例 1 に係る金属ヒータに、 25°Cのシリコンウェハを載置した場合のシリコンウェハ の各測定箇所における温度と時間との関係を図 9に示す。
(5) 平坦度の測定
常温および 140°Cにおける金属板の加熱面の平坦度をレーザ変位計 (キーェ ンス社製) を用いて測定した。
また、 140°Cにおける実施例 1に係る金属ヒータ加熱面の三次元形状を図 1 0に、 140°Cにおける試験例 2に係る金属板加熱面の三次元形状を図 11に示 す。
表 1および図 6に示すように、 実施例 1〜5に係る金属ヒータは、 定常時およ
び過渡時において、 金属板の加熱面の温度が均一であった。 これは、 表 1および 図 1 0に示すように、 平坦度が 5 0 μ πι以下であるため、 金属板とセンサウェハ との距離にばらつきがなく、 均一に加熱できたものと考えられる。
また、 実施例 1〜5に係る金属ヒータでは、 金属板の外周部にも発熱体が設け られているため、 金属板の加熱面において、 中心部と外周部との間で温度差が小 さくなるためであると考えられる。
さらに、 表 1および図 8に示すように、 実施例 1〜5に係る金属ヒータでは、 昇温時間およびリカバリー時間が短くなっていた。 これは、 実施例 1〜 5に係る 金属ヒータでは、 金属板の厚さが 5 O mm以下であるため、 発熱体の温度変化に 対して金属板の加熱面の温度が迅速に追従し、 被加熱物を迅速に加熱することが できたものと考えられる。
—方、 試験例 1に係る金属ヒータは、 表 1および図 9に示すように、 昇温時間 およびリカバリ一時間が実施例 1〜 5に係る金属ヒータに比べて劣っていた。 こ のことから金属板の厚さは、 5 O mm以下が望ましいことが明らかとなった。 また、 試験例 2に係る金属ヒータは、 表 1に示すように、 定常時および過渡時 における金属板の加熱面の温度均一性に劣るものであった。 また、 試験例 2に係 る金属ヒータは、 図 1 1に示すように加熱面の平坦性に劣るものであった。 この ことから金属板の表面の平坦度は、 5 0 /x m以下が望ましいことが明らかとなつ た。
また、 試験例 3に係る金属ヒータの加熱面の温度均一性 (表 1、 図 7参照) と、 実施例 1〜 5に係る金属ヒータの加熱面の温度均一性との比較から、 金属板の外 周部に発熱体が形成されていることが望ましいことが明らかとなった。
(実施例 6 )
金属ヒータ (図 3参照) の製造
( 1 ) アルミニウム一銅合金 (A 2 2 1 9 ( J I S— H 4 0 0 0 ) ) からなる 板状体に N C旋盤 (ヮシノ機械社製) を用いて外径加工を行い、 円板形状とした 後、 この円板体に端面加工、 表面加工および裏面加工を施すことにより、 上部金 属板用の円板体および下部金属板用の円板体を製造した。
次に、 マシユングセンタ (日立精機社製) を用いて、 これらの円板体に半導体
ウェハ 1 39を支持するためのリフターピンを揷入する貫通孔 1 35となる部分、 支持ピン 1 38を設置するための囬部、 測温素子 1 36を埋め込むための有底孔 1 34となる部分を形成した。 また、 同様にして所定の位置に有底孔または貫通 孔を形成した後、 これらの有底孔または貫通孔にネジ溝を形成することにより、 円板体に金属板固定用ネジ 1 3 7を揷通するためのネジ穴を形成した。
なお、 貫通孔 135は 3箇所に形成し、 支持ピン 138を設置するための凹部 は 4箇所に形成した。
(2) 次に、 (1) の工程で製造された上部金属板用の円板体の加熱面側表面 に、 ロータリー研削盤 (岡本工作機械製作所製) を用いて表面研削処理を施し、 厚さ 5mm、 直径 330 mmの上部金属扳 13 1および厚さ 1 5 mm、 直径 33 0 mmの下部金属板 141を得た。
なお、 本実施例では、 上部金属板 1 3 1の厚さが下部金属板 141の厚さより も薄いものとなっている。
(3) 次に、 上部金属板 1 31および下部金属板 141を電解液 1 0 % H 2 S04、 電圧 10V、 電流密度 0. 8AZdm2、 液温 20°Cの条件でアル マイト処理を行い、 上部金属板 13 1および下部金属板 141の表面に厚さ 15 μ mの酸化被膜を形成した。
(4) そして、 図 2に示すような屈曲線が円環状に繰り返したパターンおよび 同心円の一部を描くようにして繰り返したパターンに加工したニクロム線からな る発熱体 145を厚さ 0. 3mmの 2枚のマイ力板 146で挟持し、 直径 330 mmのヒータ 1 32を得た。
なお、 ヒータ 132では、 発熱体の外縁が、 上部金属板 1 3 1の外周から上部 金属板 1 31の直径の 25 %以内の位置となるように発熱体 145を形成し、 発 熱体 145の回路の総数は 4とした。
また、 マイ力板 146には、 貫通孔 1 35となる部分、 有底孔 134となる部 分および金属板固定ネジ 137を挿通するためのネジ孔となる部分を予め形成し ておいた。
その後、 (1) ~ (3) の工程で製造した上部金属板 13 1および下部金属板 141でヒータ 1 32を挟み込み、 下部金属板 141およびヒ タ 1 32に設け
られたネジ孔に金属板固定用ネジ 1 3 7を揷通した後、 これを締め付けることに より、 上部金属板 1 3 1、 下部金属板 1 4 1およびヒータ 1 3 2を一体化した。
( 5 ) 次に、 図 3に示したような円筒形状で S U S製の支持容器 1 4 0を製造 し、 この支持容器 1 4 0の底面に貫通孔 1 3 5となる部分、 有底孔 1 3 4となる 部分おょぴ導電線 1 4 4を揷通するための貫通孔を形成した後、 支持容器 1 4 0 の底部に円板形状で S U S製の遮熱板 1 4 3を設置した。
そして、 遮熱板 1 4 3が設置された支持容器 1 4 0の内部に、 (4 ) で製造し たヒータ 1 3 2および下部金属板 1 4 1が取り付けられた上部金属板 1 3 1を配 置し、 上部金属板 1 3 1の加熱面の外周部に押え板 1 4 2を取り付けることによ り、 支持容器 1 4 0の内部に固定した。
なお、 本実施例の金属ヒータでは、 金属板固定用ネジ 1 3 7のネジ頭が下部金 属板 1 4 1に埋め込まれるような構造とすることにより、 下部金属板 1 4 1の底 面が支持容器 1 4 0の内面に接触するような構成とした。
( 6 ) 温度制御のための測温素子 1 3 6を有底孔 1 3 4に挿入した後、 ポリイ ミドで有底孔 1 3 4を封止した。 また、 上部金属板 1 3 1の加熱面に形成された 凹部に支持ピン 1 3 8を設置した。
( 7 ) 次いで、 ヒータ 1 3 2に設けられた発熱体の両端部に電源との接続のた めの導電線 1 4 4を圧着で取り付け、 外部の電源等に接続し、 金属ヒータ 1 3 0 を得た。
(実施例 7 )
金属ヒータの製造
上部金属板 1 3 1の厚さを 5 mmとし、 下部金属板 1 4 1の厚さを 2 O mmと した以外は、 実施例 6と同様にして、 金属ヒータを製造した。
なお、 本実施例では、 上部金属板 1 3 1の厚さが下部金属板 1 4 1の厚さより も薄いものとなっている。
(実施例 8 )
金属ヒータの製造
上部金属板 1 3 1の厚さを 1 0 mmとし、 下部金属板 1 4 1の厚さを 1 0 mm とした以外は、 実施例 6と同様にして、 金属ヒータを製造した。
なお、 本実施例では、 上部金属板の厚さと下部金属板の厚さとが同じ厚さとな つている。
(実施例 9 )
金属ヒータの製造
上部金属板 1 3 1の厚さを 4 mmとし、 下部金属板 1 4 1の厚さを 4 0 mmと した以外は、 実施例 6と同様にして、 金属ヒータを製造した。
なお、 本実施例では、 上部金属扳 1 3 1の厚さが下部金属板 1 4 1の厚さより も薄いものとなっている。
(実施例 1 0 )
金属ヒータの製造
上部金属板 1 3 1の厚さを 4 mmとし、 下部金属板 1 4 1の厚さを 4 4 mmと した以外は、 実施例 6と同様にして、 金属ヒータを製造した。
なお、 本実施例では、 上部金属板 1 3 1の厚さが下部金属板 1 4 1の厚さより も薄いものとなっている。
(比較例 1 )
図 4に示すように、 金属板の底面に銅製の中プレートおよびヒータが設置され、 金属板の加熱面の外周部に押え板が取り付けられていない金属ヒータを製造した。 なお、 金属板の厚さは 5 5 mmであり、 発熱体のパターンは実施例 6と同様とし た。
実施例 6〜 1 0および比較例 1に係る金属ヒータに通電することにより昇温し、 ( 1 ) 定常時における面内温度均一性、 (2 ) 過渡時における面内温度均一性、 ( 3 ) 昇温時間、 (4 ) リカバリー時間、 (5 ) 平坦度の測定の評価を行った。 その結果を表 2に示す。 なお、 具体的な評価方法は、 実施例 1と同様である。 また、 (4 ) リカバリー時間の評価について、 実施例 7に係る金属ヒータに、 2 5 °Cのシリコンウェハを载置した場合のシリコンウェハの各測定箇所における 温度と時間との関係を図 1 2に示す。
さらに、 (5 ) 平坦度の測定の結果について、 常温における実施例 7に係る金 属ヒータ加熱面の一部の三次元形状を図 1 3に示す。 また、 1 4 0 °Cにおける実 施例 7に係る金属ヒータ加熱面の一部の三次元形状を図 1 4に示す。
表 2に示すように、 実施例 6〜 1 0に係る金属 ータは、 定常時および過渡時
における上部金属板の加熱面の温度が均一であった。 これは、 表 2、 図 1 3およ び図 1 4に示すように平坦度が 5 0 μ πι以下であるため、 上部金属板とセンサゥ ェハとの距離にばらつきがなく、 均一に加熱できたものと考えられる。
また、 実施例 6〜1 0に係る金属ヒータでは、 一定の厚さを有する下部金属板 がヒータの底面に設置されているため、 ヒータから発せられた熱線が均一化され たことによるものと考えられる。
さらに、 表 2および図 1 2に示すように、 実施例 6〜1 0に係る金属ヒータで は、 昇温時間およびリカバリ一時間が短くなつていた。 これは、 実施例 6〜 1 0 に係る金属ヒータでは、 上部金属板の厚さが薄くなつているため、 発熱体の温度 変化に対して金属板の加熱面の温度が迅速に追従し、 被加熱物を迅速に加熱する ことができたものと考えられる。
これらのことは、 試験例 2、 3に係る金属ヒータの評価結果との対比からも明 らかである。
これに対して、 比較例 1に係る金属ヒータは、 昇温速度およびリカバリー時間 が長くなつていた。 これは、 金属板の厚さが厚いためであると考えられる。
(実施例 1 1 )
金属ヒータ (図 1、 2参照) の製造
( 1 ) J I S - H 4 0 0 0に基づく合金番号が A 2 2 1 9の市販アルミニウム —銅合金からなる板状体に N C旋盤 (ヮシノ機械社製) を用いて外径加工を行い、 円板形状とした後、 この円板体に端面加工、 表面加工および裏面加工を施すこと により、 金属板用の円板体およびヒータ固定板用の円板体を製造した。
次に、 マシユングセンタ (日立精機社製) を用いて、 これらの円板体に半導体 ウェハ 1 1 9を支持するためのリフターピンを揷入する貫通孔 1 1 5となる部分、 支持ピン 1 1 8を設置するための凹部、 測温素子 1 1 6を埋め込むための有底孔 1 1 4となる部分を形成した。 また、 同様にして所定の位置に有底孔または貫通 孔を形成した後、 これらの有底孔または貫通孔にネジ溝を形成することにより、 円板体に金属板固定用ネジ 1 1 7を挿通するためのネジ孔を形成した。
なお、 貫通孔 1 1 5は 3箇所に形成し、 支持ピン 1 1 8を設置するための凹部 は 4箇所に形成した。
(2) 次に、 (1) の工程で製造された金属板用の円板体の加熱面側表面に、 ロータリー研削盤 (岡本工作機械製作所製) を用いて表面研削処理を施し、 厚さ 2 Omm, 直径 33 Ommの金属板 (上部金属板) 1 1 1および厚さ 5 mm、 直 径 3 30mmのヒータ固定板 (下部金属板) 1 21を得た。
(3) 次に、 金属板 1 1 1およびヒータ固定板 1 21を電解液 10%H2S
04、 電圧 10V、 電流密度 0. 8 A/7 dm2、 液温 20°Cの条件でアルマ ィト処理を行い、 金属板 1 11およびヒータ固定板 121の表面に厚さ 1 5 μπι の酸化被膜を形成した。
(4) そして、 図 2に示すような屈曲線が円環状に繰り返したパターンおよび 同心円の一部を描くようにして繰り返したパターンに加工したニクロム線からな る発熱体 1 25を厚さ 0. 3 mmの 2枚のマイ力板 1 26で挟持し、 直径 330 mmのヒータ 1 1 2を得た。
なお、 ヒータ 1 1 2では、 発熱体の外縁が、 金属板 1 1 1の外周から金属板 1 1 1の直径の 25 %以内の位置となるように発熱体 125を形成し、 発熱体 12 5の回路の総数は 4とした。
また、 マイ力板 1 26には、 貫通孔 1 1 5となる部分、 有底孔 1 14となる部 分および金属板固定ネジ 1 17を揷通するためのネジ孔となる部分を予め形成し ておいた。
その後、 (1) 〜 (3) の工程で製造した金属板 1 1 1およびヒータ固定板 1 21でヒータ 1 1 2を挟み込み、 金属板 1 1 1、 ヒータ固定板 121およびヒー タ 1 1 2に設けられたネジ孔に金属板固定用ネジ 1 17を揷通した後、 これを締 め付けることにより、 金属板 1 1 1、 ヒータ固定板 121およびヒータ 1 12を 一体化した。
(5) 次に、 図 1に示したような円筒形状で SUS製の支持容器 1 20を製造 し、 この支持容器 120の底面に貫通孔 1 15となる部分、 有底孔 1 14となる 部分おょぴ導電線 124を揷通するための貫通孔を形成した後、 支持容器 1 20 の底部に円板形状で SUS製の遮熱板 1 23を設置した。
そして、 遮熱板 1 23が設置された支持容器 120の内部に、 (4) で製造し たヒータ 1 1 2およびヒータ固定板 1 21が取り付けられた金属板 1 1 1を配置
し、 金属板 1 1 1の加熱面の外周部に押え板 1 22を取り付けることにより、 支 持容器 1 20の内部に固定した。
(6) 温度制御のための測温素子 1 16を有底孔 1 14に挿入した後、 ポリイ ミドで有底孔 1 14を封止した。 また、 金属板 1 1 1の加熱面に形成された凹部 に支持ピン 1 1 8を設置した。
(7) 次いで、 ヒータ 112に設けられた発熱体の両端部に電源との接続のた めの導電線 1 24を圧着で取り付け、 外部の電源等に接続し、 金属ヒータ 1 10 を得た。
(実施例 1 2)
金属ヒータの製造
j I S-H4000に基づく合金番号が A 221 9の巿,販アルミ-ゥム—銅合 金を用い、 金属板 1 1 1の厚さを 5mm、 ヒータ固定板 121の厚さを 2 Omm とした以外は、 実施例 1 1と同様にして、 金属ヒータを製造した。
(実施例 1 3 )
金属ヒータ (図 3参照) の製造
(1) J I S-H4000に基づく合金番号が A 2018の巿販ァノレミニゥム 一銅合金を用いた以外は、 実施例 1 1の (1) 〜 (2) と同様にして、 上部金属 板 1 3 1および下部金属板 141を製造した後、 実施例 1 1の ( 3 ) と同様にし て、 上部金属板 1 3 1および下部金属板 14 1にアルマイト処理を行った。 なお、 上部金属板 131は、 厚さ 5mm、 直径 33 Ommとし、 下部金属板 1 4 1は、 厚さ 2 Omm、 直径 330 mmとした。
(2) 次に、 実施例 1 1の (4) 〜 (7) と同様にして、 上部金属板 1 31お よび下部金属板 141とヒータ 1 32とを一体化した後、 支持容器 140に設置 することにより、 金属ヒータ 1 30を製造した。
なお、 本実施例の金属ヒータでは、 上部金属板 131にネジ孔を形成せず、 金 厲板固定用ネジ 137のネジ頭が下部金属板 141に埋め込まれる構造とするこ とにより、 下部金属板 141の底面が支持容器 140の内面に接触するような構 成とした。
(実施例 14)
TJP2003/010481
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金属ヒータの製造
J I S -H4000に基づく合金番号が A 5052の市販アルミニウム合金を 用い、 上部金属板の厚さを 5 mm、 下部金属板の厚さを 20mmとした以外は、 実施例 1 3と同様にして金属ヒータを製造した。
(試験例 4)
実施例 1 1の ( 1 ) の工程で、 J I S— H4000に基づく合金番号が A 10 85の純アルミニウム (純度 99. 9%) を用いた以外は、 実施例 1 1と同様に して金属ヒータを製造した。
(試験例 5 )
実施例 1 1の (1) の工程で、 J I S— H4000に基づく合金番号が A40 32のアルミニウム合金 (純度 85%) を使用した以外は実施例 1 1と同様にし て金属ヒータを製造した。
なお、 本試験例では、 実施例 1 1の (3) の工程は行わなかった。
(試験例 6 )
実施例 1 1の ( 1 ) の工程で、 純度 100 %の純アルミニゥムを使用した以外 は実施例 1 1と同様にして金属ヒータを製造した。
(比較例 2 )
図 4に示すように、 金属板の底面に銅製の中プレートおよびヒータが設置され、 金属板の加熱面の外周部に押え板が取り付けられていない金属ヒータを製造した。 なお、 金属板の厚さは 6 Ommであり、 発熱体のパターンは実施例 1 1と同様と した。
実施例 1 1〜 14、 試験例 4〜 6およぴ比較例 2に係る金属ヒータに通電する ことにより昇温し、 (1) 定常時における面内温度均一性、 (2) 過渡時におけ る面内温度均一性、 (3) 昇温時間、 (4) リカバリー時間、 (5) 平坦度の測 定の評価を行った。 その結果を表 3に示す。 なお、 表中の金属板の厚さは、 金属 ヒータが上部金属板と下部金属板とを含む構成である場合には、 上部金属板の厚 さのことをいうこととする。 なお、 評価方法は、 実施例 1と同様の方法を用いた。 また、 (1) 定常時における面内温度均一性の評価結果について、 実施例 1 3 に係る金属ヒータの加熱面の各測定箇所における温度を図 1 5に、 試験例 4に係
る金属ヒータの加熱面の各測定箇所における温度を図 1 6に示す。 さらに、 (4 ) リカバリー時間の評価結果について、 実施例 1 4に係る金属ヒ ータに、 2 5 °Cのシリコンウェハを載置した場合のシリコンウェハの各測定箇所 における温度と時間との関係を図 1 7に、 比較例 2に係る金属ヒータに、 2 5 °C のシリコンウェハを載置した場合のシリコンウェハの各測定箇所における温度と 時間との関係を図 1 8に示す。
また、 (5 ) 平坦度の測定の結果について、 1 4 0 °Cにおける実施例 1 3に係 る金属ヒータ加熱面の三次元形状を図 1 9に、 1 4 0 °Cにおける試験例 5に係る 金属板加熱面の三次元形状を図 2 0に示す。
表 3
s A; ί
時および過渡時において、 金属板の加熱面の温度が均一であった。 これは、 表 3 および図 1 9に示すように金属板の材質が機械的強度の高いアルミニウム一銅合 金であるため、 加熱時に金属板に反りゃ撓みが発生せず、 半導体ウェハを均一に 加熱できたものと考えられる。
また、 表 3およぴ図 1 7に示すように、 実施例 1 1 ~ 1 4に係る金属ヒータで は、 昇温時間およびリカバリ一時間が短くなっていた。 これは、 実施例 1 1〜 1 4に係る金属ヒータでは、 金属板のアルミニウム一銅合金であるため、 金属板を 薄くすることができ、 被加熱物を迅速に加熱することができたものと考えられる。 一方、 試験例 4に係る金属ヒータは、 表 3および図 1 6に示すように、 金属板 の加熱面の温度均一性、 昇温時間およびリ力バリ一時間が、 実施例 1 1〜 1 4に 係る金属ヒータに比べて劣るものであった。 このことからも、 金属板の材質とし てアルミニウム一銅合金が優れることは明らかとなつた。
また、 試験例 5に係る金属ヒータは、 表 3に示すように、 定常時および過渡時 における金属板の加熱面の温度均一性に劣るものであった。 また、 図 2 0に示す ように、 試験例 5に係る金属ヒータの加熱面の平坦性は、 実施例 1 1〜 1 4にか かる金属ヒータに比べて劣るものであった。 このことからも、 金属板の材質とし てアルミニゥムー銅合金が優れることは明らかとなつた。
また、 試験例 6に係る金属ヒータは、 表 3に示すように、 金属板の加熱面の温 度均一性、 昇温時間およびリカバリ一時間が、 実施例 1 1〜 1 4に係る金属ヒ一 タに比べて劣るものであった。 このことからも、 金属板の材質としてアルミ-ゥ ム一銅合金が優れることは明らかとなつた。
さらに、 比較例 2に係る金属ヒータは、 表 3および図 1 8に示すように、 昇温 速度おょぴリカバリー時間が長くなつていた。 これは、 金属板の厚さが厚いため であると考えられる。 産業状利用の可能性
以上説明したように第一の本発明の金属ヒータによれば、 金属板の厚さが 5 0 mm以下と薄くなっているため、 発熱体に印加する電圧や電流量の変化に対して 金属板の加熱面の温度が迅速に追従し、 半導体ウェハ等の被加熱物を迅速に加熱
することができる。 また、 このように金属板の温度追従性が優れているので、 リ カバリ一時間を短くすることが可能となり、 スループットを短縮することができ、 生産性を向上させることができる。
また、 第一の本発明の金属ヒータを構成する金属板は、 その表面における平坦 度が 5 0 μ πι以下である。 従って、 第一の本発明の金属ヒータを用いて半導体ゥ ェハを加熱する場合には、 半導体ウェハと金属板との距離をほぼ一定にすること が可能となるため、 半導体ウェハの全体が均一となるように加熱することができ る。
さらに、 第一の本発明の金属ヒータでは、 発熱体が形成されている領域の外縁 1 金属板の外周から金属板の直径の 2 5 %以内の位置に存在しているため、 被 加熱物である半導体ウェハ等を温度のばらつきなく、 均一に加熱することができ る。
以上説明したように第二の本発明の金属ヒータは、 一の金属板のみからなる金 属ヒータに比べ、 金属板の厚さを薄くすることが可能となり、 加熱面側の金属板 の熱容量が小さくなるため、 半導体ウェハ等の被加熱物を迅速に加熱することが できる。
また、 金属板の温度追従性が優れているので、 半導体製造 ·検査工程において、 金属ヒータの加熱面に半導体ウェハを載置した際、 低下した温度を元に戻すまで の時間 (リカバリー時間) を短くすることが可能となり、 スループットを短縮す ることができ、 生産性を向上させることができる。
さらに、 第二の本発明の金属ヒータでは、 加熱面側の金属板の厚さが、 加熱面 と反対側の金属板の厚さと同じか、 加熱面と反対側の金属板の厚さより薄くなつ ている。
従って、 加熱面側の金属板の厚さを薄くした場合であっても、 剛性の高い金属 板が加熱面と反対側に設置することにより、 金属ヒータ全体の強度を維持するこ とができるとともに、 加熱時における加熱面の平坦性が向上するため、 半導体ゥ ェハと金属板との距離をほぼ一定にすることが可能となり、 半導体ウェハの全体 が均一となるように加熱することができる。
以上説明したように、 第三の本発明の金属ヒータは、 アルミニウム一銅合金か
らなる金属板を有しており、 アルミニウム一銅合金は、 機械的な強度が高いため、 金属板の厚さを薄くしても、 加熱により反ったり、 歪んだりしない。 そのため、 金属板を薄くて軽いものとすることができる。
また、 アルミニウム一銅合金は、 熱伝導率にも優れているため、 金属板として 使用した場合、 発熱体の温度変化に合わせて、 加熱面の温度を迅速に追従させる ことができる。 すなわち、 電圧、 電流値を変えて発熱体の温度を変化させること により、 金属板の加熱面温度を制御することができるのである。
さらに、 アルミニウム一銅合金は、 切削性に優れているため、 金属板を容易に 所望の形状にすることができる。