JP2008253054A - 締結調整方法及び締結調整システム - Google Patents

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喜久 山田
Takeshi Tomita
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Abstract

【課題】ロータ軸心に対するステータの位置の調整を、出来るだけ簡便に且つ迅速に行うことができる締結調整方法を得る。
【解決手段】 モータケース、ロータ、ステータを備え、ロータ軸心に沿ってステータを締結する締結ボルトを周方向に複数備え、前記複数の締結ボルトによりステータがモータケースに締結固定される構成のモータ駆動装置に関し、ロータ軸心に対するステータの位置を調整するに、モータケース内にステータを収納し、ロータがステータ内に挿入されていない未挿入状態で、ロータ軸心に対する前記ステータの位置を測定する測定工程を実行し、この測定工程の測定結果に基づいて、締結ボルトに対する締結調整指令を生成し、生成された締結調整指令に基づいて、締結ボルトを増し締めする増し締め工程を繰り返す。
【選択図】図15

Description

本発明は、モータケース、前記モータケースから軸支されて内部で回転するロータ、このロータと同心にロータの外周に配設されるステータを備え、ロータ軸心に沿ってステータを締結する締結手段である締結ボルトを周方向に複数備え、前記複数の締結手段によりステータがモータケースに締結固定されるモータ駆動装置に関し、ロータ軸心に対するステータの位置を調整する締結調整方法及びこの方法を実施する締結調整システムに関する。
近来、自動車の駆動源としてエンジン及びモータ駆動装置を備えた、所謂ハイブリッド車が燃費、環境保護等の点から注目を集めている。この種のハイブリッド車にあっては、モータ駆動装置はバッテリーから電力を得て駆動力を発生するモータとして働き、その駆動力を走行機構側に伝えモータ走行を行う他、エンジンから駆動力を得てジェネレータとして働き、バッテリーの充電の用を果たす場合もある。さらに、制動時には車が余分に有する慣性力を電力として回収する、所謂、回生動作もする。さらに、モータ駆動装置がエンジンの始動用に使用される場合もある。
従って、ハイブリッド車に備えられるモータ駆動装置は、そのロータが変速機構側及びエンジン側に駆動連結されて、駆動力の授受が可能とされている。
モータ駆動装置は、ステータと当該ステータ内に収納されるロータとを備えており、これらステータ及びロータは、モータケース側から支持される。ステータの支持は固定支持であり、ロータの支持は、モータケースに設けられる軸支部からの回転支持である。通常、ハイブリッド車にあっては、モータケースは単独で設けられることは少なく、変速機構が内部に収納されるミッションケースの一部がモータケースに兼用される。
モータ駆動装置においてステータ・ロータ間のギャップ及び同心度はモータ駆動装置の性能を決める極めて重要な要件であり、厳密に管理調整される。
この種の調整を行う技術として、特許文献1に開示されている技術がある。この技術は電気自動車用モータのギャップ調整装置に関するものであり、フライホイールハウジング12(これまで説明してきたモータケースに相等する)に、調整ボルト46を立設し、ステータコア42の外周部位を調整することで、ギャップを調節する。この例におけるステータ14は、比較的薄いものである。即ち、ロータの軸(ステータと軸心を同じくする)方向におけるステータの厚みは比較的小さい。
特開平7ー241050号公報
しかしながら、この先行技術に示される調整方法では、モータ駆動装置の構成に必須な部品以外の部品(調整ボルト46)が必要となるとともに、モータケースにボルト孔を設ける必要があり、好ましくない。
さらに、近来、ハイブリッド車におけるモータ駆動装置に要求される性能との関係で、モータ駆動装置のロータの軸方向での厚みを増大させる必要が生じている。このような要請に答えるべく構成された、肉厚のモータ駆動装置の概略構成を、図1に模式的に示した。同図左側がエンジンEが配設されるエンジン室ER側に、同図右側が変速機構Tが配設される変速機構室TR側に対応する。
ステータSは、ステータコアSCと、このステータコアSCに対するステータコイルSWを備えて構成される。ステータコアSCは、図2に示すように概略リング状の鋼板pを多数枚積層して構成されるものであり、鋼板p夫々の周方向の所定位相に設けられた固定部を積層方向に貫通する締結ボルトb1(締結手段を成す)で、モータケースに締付け固定される。さらに、ステータコアSCを成す鋼板pには、周方向の所定位相において、かしめ或いは溶接処理等が施されており、鋼板p間の相対移動がある程度規制される。
このステータコアの、図1における左右方向(ロータの軸方向に相等)の位置はモータケースに設けられる座面によって決まる。一方、その上下方向(ロータの軸径方向に相等)に関しては、モータケース側の収納空間が、比較的余裕を有するものとされることから、前記締結ボルトb1の締付けにより、その位置が決まる。
さて、以上説明してきた構成において、特許文献1に開示される技術のように、ステータの厚み(ロータの軸方向の厚み)が比較的薄い場合には、ロータ軸心に対するステータの位置(ステータの軸心の位置)を比較的粗く管理しても問題が発生することは無かった。しかしながら、モータへの要求度が高まり、厚みが増すにつれて、従来通りの管理手法を踏襲すると、モータの回転に伴って発生する振動(ロータの回転むらを含む)が増大することが判明した。
この問題が発生する原因は、発明者らの検討により、締結手段の締結により発生するステータコアの変形が原因であることが判明した。この変形状況を、図18(a)(b)を使用して説明する。図18(a)はステータコアが正立している状態(鋼板pが横方向に変位することなく積層されている状態)を示しており、図18(b)は、締結ボルトb1の締付けの増加に伴って、ステータコア個々のくせで鋼板間で横方向に相対移動を起こし、ステータがその正立状態を保てなくなった状態を示している。この状態では、ステータコアの厚み方向中間におけるステータ中心Ssの位置は、ロータ軸心Zrに対してずれており、調整が必要となる。この図においてZsはステータ軸心を、Rsはロータ中心を示している(図3において同じ)。
そして、同じく、このような調整を行うにも、出来るだけ簡便な方法でロータ軸心にステータの中心位置を合わせることができる締結調整方法或いは締結調整システムを得ることが好ましい。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータ軸心に対するステータの位置の調整を、出来るだけ簡便に且つ迅速に行うことができる締結調整方法を得るとともに、締結調整システムを得ることにある。
上記目的を達成するための、
モータケース、前記モータケースから軸支されて内部で回転するロータ、前記ロータと同心に前記ロータの外周に配設されるステータを備え、ロータ軸心に沿ってステータを締結する締結手段を周方向に複数備え、前記複数の締結手段により前記ステータが前記モータケースに締結固定される構成のモータ駆動装置に関し、ロータ軸心に対する前記ステータの位置を調整する締結調整方法の特徴手段は、
前記モータケース内に前記ステータを収納し、前記ロータが前記ステータ内に挿入されていない未挿入状態で、前記ロータ軸心に対する前記ステータの位置を測定する測定工程を実行し、
前記測定工程の測定結果に基づいて、前記締結手段に対する締結調整指令を生成し、生成された前記締結調整指令に基づいて、前記締結手段を増し締めする増し締め工程を繰り返すことにある。
この締結調整方法にあっては、測定工程と、測定工程で得られた測定結果に基づいての増し締め工程とを繰り返す。本願が対象とするようなステータに関して、その周方向に複数の締結手段が存在し、その締結手段を順次増し締めしていくと、増し締め初期のほぼ締結トルクがかかっていない状況においては、例えば、複数ある内の一部の締結手段を増し締めした場合、この締結手段の位置から鋼板が逃げるように横方向に移動する。即ち、図3の(a)から(b)に示すような締結に伴った移動を起こす。そして、ある程度の締結トルクがかかった状態にあっては、図3(b)から(c)(或いは先に説明した図18)に示すように、鋼板の横移動を発生することなく、ステータ独自のくせに従った変形を起こす。この事実は、今般、発明者らが、初めて確認したことである。
そこで、本願に係る締結調整方法では、測定工程で先ずステータの位置を割り出し、その測定結果に基づいて締結手段に対する締結調整指令を生成する。そして、その締結調整指令に基づいて締結手段の増し締めを行うことを繰り返す。このようにすると、締結調整指令は、ステータの現状に適した状態の締結指令とすることができ、測定と締結の繰り返しという簡単な操作を繰り返すことで、簡便にステータを適切な位置に調整することができる。
この締結調整方法を実施する締結調整システムは、
モータケース、前記モータケースから軸支されて内部で回転するロータ、前記ロータと同心に前記ロータの外周に配設されるステータを備え、ロータ軸心に沿ってステータを締結する締結手段を周方向に複数備え、前記複数の締結手段により前記ステータが前記モータケースに締結固定される構成のモータ駆動装置に関し、ロータ軸心に対する前記ステータの位置を調整する締結調整システムの特徴構成として、
前記モータケース内に前記ステータを収納し、前記ロータが前記ステータ内に挿入されていない未挿入状態で、前記ロータ軸心に対する前記ステータの位置を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づいて、前記締結手段に対する締結調整指令を生成し、生成された前記締結調整指令に基づいて、前記締結手段を増し締め制御を締結調整制御手段を備え、測定手段による測定と締結調整制御手段による増し締め制御を繰り返すものとできる。
この締結調整システムでは、測定手段で測定工程を実行し、締結調整制御手段が増し締め工程を実行しながら、測定と増し締めとを繰り返すことで、簡便且つ確実にステータの締結調整を行える。
さて、上記の締結調整方法にあって、前記締結調整指令が、増し締め対象とする前記締結手段の締結トルクの増分を含み、少なくとも一の前記締結手段の締結トルクが所定の締結トルク基準以上となるまで、前記測定工程、前記増し締め工程を繰り返すことが好ましい。
この締結調整方法にあっては、測定と増し締めを繰り返すに、その一単位として、締結トルクの増分を決め、順次、その増分で増し締めを実行する。
そして、いずれかの締結手段が所定の締結トルク基準に達するまで、測定、増し締めを繰り返す。従って、増し締め対象とする締結手段を順次決定するとともに、その締結手段の締結手段の増分を決定しながら、システマティックに作業を進めることができる。
この締結調整方法を実施する締結調整システムは、
前記締結調整指令が、増し締め対象とする前記締結手段の締結トルクの増分を含み、少なくとも一の前記締結手段の締結トルクが所定の締結トルク基準以上となるまで、前記測定手段による前記ステータ位置の測定、前記締結調整制御手段からの指令に基づく前記締結手段における増し締めを繰り返すものとすることとなる。
さて、上記の締結調整方法において、
前記締結調整指令が、増し締め対象とする締結手段を特定する対象特定情報及び、増し締めを行うことなく締結トルクを維持する締結手段を特定する維持特定情報を含むことが好ましい。
このようにすることで、締結手段の一部を増し締めする場合も、対象特定情報により増し締めする締結手段を特定し、維持特定情報の締結手段は現状のまま(増し締めを行わない)こととすることで、ステータの状態に即して作業を進めることができる。
この締結調整方法を実施する締結調整システムでも、前記締結調整指令が、増し締め対象とする締結手段を特定する対象特定情報及び、増し締めを行うことなく締結トルクを維持する締結手段を特定する維持特定情報を含むこととなる。
さて、上記した締結調整方法において、前記測定工程により測定される、前記ロータ軸心に対する前記ステータの位置に基づいて、
前記増し締め対象とする締結手段を特定する締結手段特定工程を実行するとともに、当該増し締め対象とする締結手段について、締結トルクの増分を導出するものとすることが好ましい。
この締結調整方法にあっては、測定工程において測定される、ロータ軸心に対するステータの位置に基づいて、締結手段を特定するとともに締結トルクの増分を決めることで、ステータの位置の調整に関して、ロータ軸心に対するステータの位置を直接求めることで、その情報に基づいた増し締め操作を簡便且つ信頼性よく実行できる。
この締結調整方法を実施する締結調整システムは、前記測定工程により測定される前記ロータ軸心に対する前記ステータの位置に基づいて、前記増し締め対象とする締結手段を特定する締結手段特定手段と、当該増し締め対象とする締結手段について、締結トルクの増分を導出する締結トルク導出手段とを備えたものとすることで、実現できる。
さらに、締結調整方法において、
前記測定工程により測定されるステータの位置とステータの位置について設定される位置基準とを比較して、ステータが正常状態にあるか異常状態にあるかを判定する調整判定工程を実行し、
前記ステータが正常状態にあると判定された場合に、前記増し締め工程において、全ての前記締結手段を増し締めする第一増し締め工程を実行し、
前記ステータが異常状態にあると判定された場合に、前記増し締め工程において、一部の前記締結手段のみを増し締めする第二増し締め工程を実行することが好ましい。
本願に係る締結調整にあっては、ステータの位置として、その位置が位置基準内にある場合(正常状態)と、位置基準を外れている場合(異常状態)とに分けることができる。そして、ステータが正常状態にあれば、複数ある締結手段を全て増し締めしても、その正常状態を維持できる場合が多い。一方、異常状態にある場合は、一部の締結手段を増し締めし、ステータの位置を積極的に調整してやる必要が生じる。
そこで、正常状態にあっては第一増し締め工程を実行し、異常状態にあっては第二増し締め工程を実行することで、所定の締結状態まで迅速に到達できる。
また正常状態・異常状態のそれぞれの状態で、適切にステータ位置の調整を行うことができる。
この締結調整方法を実施する締結調整システムは、
前記測定手段により測定されるステータの位置とステータの位置について設定される位置基準とを比較して、ステータが正常状態にあるか異常状態にあるかを判定する調整判定手段を備え、
前記ステータが正常状態にあると判定された場合に、全ての前記締結手段を増し締めする第一締結制御手段と、
前記ステータが異常状態にあると判定された場合に、一部の前記締結手段のみを増し締めする第二締結制御手段とを備えるものとできる。
調整判定手段において、ステータが正常状態にあるか異常状態にあるかを判定し、その判定結果に基づいて、第一締結制御手段により第一増し締め工程を実行し、第二締結制御手段により第二増し締め工程を実行することで、迅速に作業を進めることができる。
また、このように正常状態、異常状態を判定して締結調整を進める締結調整方法において、
前記第一増し締め工程を実行した後、前記全ての締結手段の締結トルクが第一締結トルク基準以上で且つ、ステータの位置が位置基準を満たしている場合に、締結調整作業を終了することが好ましい。
ステータが正常状態にある状態で、第一増し締め工程を実行した場合、ステータは正常状態のまま、各締結手段の締結トルクが到達すべき締結トルクである第一締結トルク基準に到達する場合が発生する。そこで、このような状況になっている場合は、良好に締結調整作業を終えることができるのである。
この締結調整方法を実施する場合は、締結調整システムに、
前記第一締結制御手段による全ての前記締結手段における増し締めを完了した状態で、前記全ての締結手段の締結トルクが第一締結トルク基準以上であるか否かを判定する第一判定手段を備えるとともに、
前記第一判定手段により、前記全ての締結手段の締結トルクが第一締結トルク基準以上であると判定した状態で、ステータの位置が位置基準を満たしているか否かを判定する第三判定手段を備えることとできる。
この締結調整システムでは、第一判定手段により全ての締結手段の状況を第一締結トルク基準との関係で確認し、さらに第三判定手段によりステータの位置を位置基準との関係で確認し、良好に締結調整作業を終えることができるのである。
また、先に説明した前記第二増し締め工程を実行した後、前記一部の締結手段の締結トルクが第二締結トルク基準以上である場合に、締結調整作業を終了することも好ましい。
この状況では、一部の締結手段の締結トルクが第二締結トルク基準以上であることで、当該締結手段に関して、調整しろがなくなっている場合を確認して、再度、最初から締結調整作業を行うようにすることも可能となる。
そこで、このような判定を行うことで、締結調整作業をシステマティックに進めることができる。
この締結調整方法を実施する締結調整システムは、
前記第二締結制御手段による一部の前記締結手段における増し締めを完了した状態で、前記一部の締結手段の締結トルクが第二締結トルク基準以上であるか否かを判定する第二判定手段を備える構成とできる。
第二判定手段により、一部の締結手段の締結トルクと第二締結トルク基準との関係を確認して、締結調整作業をシステマティックに進めることができる。
さて、これまで説明してきた締結調整方法において、締結トルクの増分を設定する場合、
前記測定工程、前記増し締め工程を繰り返すに、
繰り返し初期における締結トルクの増分を、繰り返し終期における締結トルクの増分より小さくすることが好ましい。
先にも説明したように、締結手段に締結トルクが発生していない状態で、増し締めを行うと、ステータ下部の鋼板の自由度が高いため、ステータ全体が横方向(ロータ軸心に直交する方向で、ステータが配設されている座面に沿った方向)に移動する。この時期の締結調整が最も重要であるが、この段階において締結トルクの増分を小さく、それ以後において比較的大きくすることで、初期の調整を良好に実行できる。
この締結調整方法を実施する締結調整システムとしては、
増し締め対象とする前記締結手段の締結トルクの増分を、可変設定可能に構成することで、所望の締結トルクの増分を実現できる。
以下、ステータSをミッションケースMC内の適切な位置に配設するための本願に係る締結調整システム100について説明する。
この締結調整システム100は、主要な機器としてロータ軸心Zrに対するステータSの位置を、ステータ内部から計測可能な測定装置1(測定手段を成す)と、ステータSをミッションケースMCに締結する締結ボルトb1(締結手段を成す)のための締結装置50を備えて構成されている。
以下の説明では、
1 モータ駆動装置Mの構造、
2 締結調整システム100の構造、
3 締結調整システム100を使用してのステータSの締結調整作業
の順に説明する。
1 モータ駆動装置Mの構造
図1は、ミッションケースMC(モータケースの一例)内に収納され、組付け状態にあるモータ駆動装置M周りの断面構造を示す図面であり、図2は、モータ駆動装置Mを構成するステータSの支持及びロータRの支持構造を明らかにすべく、分解して示した図面である。
図1において、左側がエンジンEが配設されるエンジン室ER側の部位であり、右側が変速機構Tが配設される変速機構室TR側の部位である。先にも示したように、モータ駆動装置MのロータRは、エンジンE及び変速機構Tと駆動連結可能に構成されており、それぞれに対して駆動力の授受が可能となっている。
図1、図2からも判明するように、モータ駆動装置MはステータSとロータRとを備えて構成されている。この組付け状態で、ロータRの回転軸はステータSの軸と一致しており、ロータRの軸心位置は、ミッションケースMCにより支持される一対の軸支ベアリングBRGにより決まる。これら一対の軸支ベアリングBRGを基準に決まるロータRの中心軸をロータ軸心Zrと呼んでおり、当該回転軸に沿った方向を、単に「軸方向」(図1のD1で示す方向)と呼び、その直交方向を「軸径方向」(図1のD2で示す方向)と呼び、その周りの方向を「軸周方向」(図1のD3で示す方向)と呼ぶ。
ステータSは、ステータコアSCと、このステータコアSCに対するステータコイルSWから構成され、ステータコアSCは、図2に示す様に概略リング状の鋼板pを多数枚積層して構成される。積層方向は、軸方向D1と一致している。各鋼板pは、周方向の所定位相において、かしめ或いは溶接処理により鋼板p相互間の相対移動が規制される構成が採用されている。さらに、各鋼板pには、周方向均等に3箇所、径方向に突出する突出部p1が設けられており、各突出部p1にステータコアSCをミッションケースMCに締結固定するためのボルト挿通孔p2が設けられている。積層構造のステータコアSCは締結ボルトb1でミッションケースMCに設けられる座面MC1に締結固定される。
各鋼板pの内径側には、内径側に櫛歯状に突出するティースtが設けられている。ステータコイルSWは、このティースt間の空隙部を介して巻かれる。ティースtの内径側端面t1は周方向に延びる端面とされている。
また、このステータコイルSWは、ワニスが含浸されて、絶縁状態で固定されている。更に、鋼板p間も、ワニスが含浸されて、水等の浸入を防止した状態で固定されている。また、このようにワニスが含浸されていることで、熱伝導率が向上され、放熱性が向上されている。
ステータSのミッションケースMC内の位置決めに関して説明すると、軸方向D1における位置決めは、ステータコアSCの、図1において右側に示す端面(主には突出部p1の端面)がミッションケースMCに設けられた座面MC1に当接することにより決まる。ミッションケースMC内に形成されたステータ収納空間は、軸径方向D2(図1において上下方向)において、所定の余裕を見込むものとされており、ステータSがミッションケースMCに、締結ボルトb1を使用して締結されない限りにおいて所定のがたを有するものとなる。従って、締結ボルトb1の締結後、ミッションケースMCに対する軸径方向D2におけるステータSの軸心位置が定まることとなる。
ミッションケースMCに対するステータSの軸周方向D3の位相は、先に説明した突出部p1に対するミッションケースMCに設けられる座面MC1の軸周方向D3の位相位置に基づいて決まるものであり、ミッションケースMCへのステータSの挿入操作及び締結ボルトb1による締結操作により決まる。
ロータRは、ロータ軸RAの周りにロータ本体RBを備えて構成されており、このロータ軸RAは、エンジン室ER側に設けられる軸支ベアリングBRG1及び変速機構室TR側に設けられる軸支ベアリングBRG2の両方から軸支される。
図1、2からも判明するように、モータ駆動装置室MRは、エンジン室ERと変速機構室TRとの間の独立の区画室として形成されている。図示する例の場合、モータ駆動装置室MRと変速機構室TRとの間には、ミッションケースMCと一体の仕切り壁Wが設けられており、この壁Wに前記ロータRを支持するための一方の軸支ベアリングBRG2が備えられている。
一方、モータ駆動装置室MRとエンジン室ERとの間には、ミッションケースMCに取り付け固定される仕切りカバーCを設けている。この仕切りカバーCは、図1において左側からミッションケースMCの端面開口MCOを覆うことで、モータ駆動装置室MRを区画する。図1、2からも判明するように、この仕切りカバーCは、端面開口MCOに複数設けられたノックピンnpによって、軸径方向D2及び軸周方向D3の位置が決まる。この仕切りカバーCには、前記ロータRを支持するための他方の軸支ベアリングBRG1が備えられている。
以上説明した構成から判明するように、モータ駆動装置MのロータRは、仕切り壁Wに設けられる軸支ベアリングBRG2及び仕切りカバーCに設けられる軸支ベアリングBRG1により回転可能に支持される。
2 締結調整システム
締結調整システム100は、ステータSをミッションケースMC内に収納した状態で、ミッションケースMCにおいて決まるロータ軸心Zrに対して、ステータSを適切な位置に締結・調整しようとするものである。
この目的から、システム100は、先にも説明したように、本願独特の構成の測定装置1が備えられるとともに、この測定装置1の測定結果に従って、締結ボルトb1を個々に、所定の締結トルク(トルク基準値と呼び、第一締結トルク基準または第二締結トルク基準の一例)までそれぞれ締結する締結装置50が備えられている。また、測定装置1の測定結果から、個々の締結ボルトb1を対象として、それら締結ボルトb1に対する締結調整指令を生成する動作制御部104が備えられている。
本願に係る締結調整システム100では、作業者が現在の作業状態を的確に把握して、作業を信頼性良く進めることができるように工夫されている。この目的から、締結調整システム100には、測定装置1により測定された測定結果、当該測定装置1の測定結果に基づいて導出される締結調整指令を、作業者において良好に把握できるように表示装置101が設けられている。
全体概略構造
図4、図5に示すように、この締結調整システム100には、締結調整システム100自体の操作用の操作パネル102が設けられるとともに、基体フレーム103の各部位に、ミッションケースMCであるワークが配設されるワーク配設部103a、これまで説明してきた測定装置1が懸垂状態で支持される測定装置支持部103b、さらに、各締結ボルトb1を締結するための締結装置50が備えられている。また、測定装置1の測定結果に基づいて所定の演算処理を実行するコンピュータからなる動作制御部104が備えられ、当該動作制御部104で得られた演算結果が表示装置101に表示されるとともに、その演算結果に基づいて実行される締結調整の状況も表示されるように構成されている。
測定装置支持部103bにおいて、前記測定装置1及び締結装置50が、システム上下方向に移動可能とされている。一方、前記ワーク配設部103aにおいて、ワークを固定可能とするとともに、ワーク配設部103aはワークの位置を3次元で位置決めできる構成が採用されている。
図4に示すように、締結調整システム100に向かって右側に、作業者によって操作される操作パネル102が、左側に表示装置101が設けられている。従って、作業者は、表示装置101の表示をみながら、作業の進行状況を確認できるとともに、適切な操作を行うことができる。
測定装置1
図7は、測定装置1の構成を示すための要部断面図であり、ミッションケースMC内にステータSを挿入した状態で、ステータSの位置を測定すべく測定装置1を配設した状況を示している。
図8は図7のVIII−VIII断面であり、図9は図7のIX−IX断面を、図10は測定装置1のみを示した図面である。
測定装置1は、ミッションケースMC内にステータSを収容し、ステータSがロータRの軸方向D1に支持され、ステータS内にロータRが挿入されていないロータ未挿入状態にあるステータSの位置(ステータSの軸径方向D2の位置)の測定を行うように構成されている。この測定装置1は、ケース側軸支部RAS2とカバー側軸支部RAS1との両方から、その軸(図7に示すZ)が決定されるように構成されている。後述するように、ステータの中心Ssは、軸方向5箇所で測定されるステータの円心中心の平均値(平均円心位置)として求められる。
図7、図9、図10から判明するように、測定装置1は、図7において上下一対となる端面プレート2を軸周方向D3において4箇所設けられているセンサーバー3で固定連結した構成を有している。
前記上下の端面プレート2のうち、下側に位置する端面プレート2dは、概略、リング状を成すリング状端面プレート2dとして構成されており、その一方の端面の外周近傍部位に、4本のセンサーバー3が固定連結されている。このセンサーバー3の夫々は、リング状端面プレート2dに一対のピン7を使用して厳密に位置決めされている。前記センサーバー3が固定連結される端面とは反対側の端面で、その中央に、ガイド軸8が固定されている。
このガイド軸8は、図7に示す様に、リング状端面プレート2dとの連結部8aを上端側に備えるとともに、その外周部位に、先に説明したケース側軸支部RAS2を構成する軸支ベアリングBRG2に嵌込する嵌込部8bを備えている。一方、下端側の中央に第1センター軸9aが挿入される第1センター軸進入孔8cを備えている。この第1センター軸9aは、ミッションケースMCへのステータSの固定作業時に使用する締結調整システム100に設けられる案内部材であり、図7に示す軸Zに対して直交面上で決まる原点で、軸方向D1である軸Zに沿った方向に移動可能に備えられている。固定作業において、第1センター軸9aおよび後述する第2センター軸9bが、作業において仮想的な基準となるロータRの回転軸の位置に配設される。
前記上下の端面プレート2のうち、上側に位置する端面プレート2uは、図8に示す平面視で、概略、方形を成す方形プレート12と概略リング状を成す連結プレート13とから構成されている。方形プレート12と連結プレート13とはボルト連結されることで、一体となる構成が採用されている。
連結プレート13の外周近傍部位に、先に説明した4本のセンサーバー3の他端が固定連結されている。この連結部位においても、センサーバー3の夫々は、一対のピン7を使用して厳密に位置決めされている。前記センサーバー3が固定連結される端面とは反対側の端面に、前記方形プレート12が位置される。図7に示す様に、方形プレート12には搬送用ハンドル14が固定される。
搬送用ハンドル14は、センサーバー3とは反対側の端面で、方形プレート12にボルト連結されており、その内径部位に第2センター軸9bが挿入されるセンター軸貫通孔14aを備えている。この第2センター軸9bは、測定装置1の搬送用に使用されるとともに、第1センター軸9aとともに、固定作業の基準位置決め用に使用される。
方形プレート12の長手方向端近傍には、ミッションケースMCの端部開口MCOに設けられたノックピンnpを利用して、この方形プレート12を位置決めするためのピン係合部材18が、それぞれ連結されている。ピン係合部材18は、図8からも判明するように、一対のボルト19にて方形プレート12の長手方向端夫々に固定されており、各ピン係合部材18に、ノックピンnpが進入するための位置決め孔18aを備えている。そして、図7に示されるように、ピン係合部材18は、位置決め孔18aにノックピンnpが進入した状態で、ミッションケースMCの端部開口MCOを構成する端面に載置される。
測定装置1においては、前記ガイド軸8をケース側軸支部RAS2に備えられる軸支ベアリングBRG2内に進入させるとともに、方形プレート12の長手方向端に設けられたピン係合部材18の位置決め孔18aにノックピンnpを進入させることで、装置1を、ミッションケースMCに対して、軸方向D1、軸径方向D2及び軸周方向D3において位置決めすることができる。
即ち、装置1は、上記ケース側軸支部RAS2により軸径方向D2において位置決めされ、上記ノックピンnp及び位置決め孔18aにより軸方向D1及び軸周方向D3において位置決めされる。
また、軸周方向D3において、上記ノックピンnp及び位置決め孔18aの締結ボルトb1に対する相対位置により、上記ノックピンnp及び位置決め孔18によりミッションケースMCに位置決めされる測定装置1と、上記締結ボルトb1によりミッションケースMCに締結固定されたステータSとの相対位置が決定される。そして、この軸周方向D3における相対位置は、図9に示すように、装置1に支持された変位センサ20のセンサ先端20aと、ステータSに設けられているティースtの内径側端面t1とが、夫々の中心を略一致させる状態で対向配置されるように、設定されている。よって、この変位センサ20により、センサ先端20aと内径側端面t1とのギャップを正確に測定することができる。
尚、装置1をミッションケースMCに位置決めするための位置決め手段としては、上記ノックピンnp及び位置決め孔18aの代わりに、ボルト及びボルト穴等の別の手段を採用しても構わない。
ステータ位置の測定
以上、ステータ位置の測定装置1に関して、その位置決め構成を説明したが、以下、ステータSの位置の測定に関して説明する。
図7、図9、図10に示す様に、変位センサ20が、支持体としてのセンサーバー3により、ステータSを構成するステータコアSCの内径面のロータ軸心Zrに対する位置を測定可能に支持されており、具体的には、軸周方向D3の4箇所に均等に備えられるセンサーバー3に、夫々、5個の変位センサ20が備えられている。
変位センサ20としては、電磁誘導による導電体内の渦電流の変化により当該導電体に対する渦電流型の変位センサを採用している。これら5個の変位センサ20は、図7に示されるステータコアSCの軸方向D1の幅に対して、その両端近傍を含む5箇所においてほぼ均等に、センサ先端20aとティースtの先端面である内径側端面t1とのギャップを測定するように適宜配設されている。これにより、ロータ軸心Zrに対するステータSの軸径方向D1の位置を知ることができる。この変位センサは測定手段をなす。
従って、各センサーバー3に配設される5個の変位センサ20により、ステータSの軸方向D1に沿った各部の位置の状態を知ることができる。
また、この変位センサ20は、渦電流型の変位センサのように、磁性体又は導電体に選択的に感応する非接触型の変位センサであることから、変位センサ20とステータコアSCとの間に介在する磁性体及び導電体以外からなる物質、特にステータコアSCの径方向表面に付着するワニスの影響を排除して、ステータコアSCの内径側端面t1の位置を正確に測定できる。
一方、先にも示したように、センサーバー3は軸周方向D3に4箇所均等に設けられているため、ステータSの軸周方向D3に沿った各部の位置も知ることができ、軸周方向D3において4箇所の変位センサ20の出力から、ステータSの円心位置を知ることができる。そして、軸方向D1の各位置におけるステータSの円心位置の平均値として、ステータの中心Ss(図3に示す平均円心位置)の位置を得る構成とされる。
即ち、本願に係る測定装置1では、センサーバー3により接続される一対の端面プレート2、及びこれら端面プレート2に付属の部材及び変位センサ20により測定手段が構成される。また、ロータの軸支部RASに対して、これを基準として変位センサ20を位置決めして支持する機構、具体的には、一対の端面プレート2、センサーバー3、ガイド軸8、及びピン係合部材18等により支持体が構成される。
結果、測定装置1にあっては、測定装置1の軸Zを、仮想的なロータ軸心Zrの位置と一致させることができるため、上記のように、変位センサ20からの出力を得て、ロータ軸心Zrに対するステータの中心Ssの位置(ステータコアSCの位置)を厳密に求めることができる。
締結装置
締結装置50は、図4に示すように、所謂、ナットランナー51とそれに対する制御器52から構成されており、ナットランナー51は、モータ部51a、減速部51b、クラッチ部51c、トランスジューサ51dを備え、主軸51eの下側に締結ボルトb1に係合して締結トルクを伝達するビット部51fを備えて構成されている。各ナットランナー51に対して、それらを動作制御する制御器52がそれぞれ備えられるとともに、この制御器52において、締結ボルトb1にかかる締結トルクを知ることができる。図6に示すように、締結装置50は締結ボルトb1の数だけ、各締結ボルトb1の位置に対応して3箇所設けられている。モータ部51aは、締結ボルトb1の位置に対して、外側に設けられている。
各締結装置50には制御器52が設けられているが、この制御器52に、締結トルクの増分を伴った指令が入力されることにより、それぞれ対応する締結ボルトb1を、その増分だけ増し締めすることができる。
各締結装置50の動作は、具体的には、動作制御部104から、増し締め対象とする締結ボルトb1を特定する対象特定情報及びその締結ボルトb1に対する締結トルクの増分情報と、増し締めを行うことなく締結トルクを維持する締結ボルトを特定する維持特定情報を受け取り、これらの指令に従って締結ボルトb1の増し締め操作をおこなうものとされている。
以下、再度、図4に戻って、動作制御部104で求められる情報に関し説明する。
この動作制御部104には、作業状況に従って、動作制御部104内での処理を管理する演算処理管理手段1CA、ステータの位置を導出するステータ位置導出手段1CB、締結ボルトb1の締結状態の制御であるステータの締結調整を制御する締結調整制御手段1CC、ステータの締結調整が完了したか否かの判定を行って、システムからの搬出状態を判定する搬出判定手段1CDが備えられている。
演算処理管理手段1CA
演算処理管理手段1CAは、動作制御部104に備えられる各手段(ステータ位置導出手段1CB、締結調整制御手段1CC、搬出判定手段1CD)の動作を管理する。
ステータ位置導出手段1CB
ステータ位置導出手段1CBは、測定装置1か得られる測定情報に基づいて、ロータ軸心Zrに対するステータ中心Ssの位置を導出する。即ち、この手段1CBにおける処理では、軸方向において5箇所に設けられている検出位置の、それぞれについて、各位置における円心位置を求め、求まった各位置の円心位置から、その5箇所の平均としてステータの中心Ssの位置(平均円心位置)を求める。この値は、図3に示すように、ステータ中心Ssを求めた軸方向位置における、ロータ軸心Zrの位置Rsとの差となる。本願では、この差を「軸心ズレ」と呼んでいる。また、この軸心ズレは、常時、ステータ位置導出手段1CBにより求められ、動作制御部104において必要な時点・時点で取り込むことができる。また、図6、図17に示すように、ステータの中心Ssは、表示装置101に表示される。
締結調整制御手段1CC
締結調整制御手段1CCは、上記ステータ位置導出手段1CBにより導出される軸心ズレから、その方向と値に基づいて、どのような締結調整(具体的には締結ボルトの増し締め)が必要かを演算導出するとともに、先に説明した締結装置50への締結指令を生成して出力する。
図4に示すように、この締結調整制御手段1CCには、調整判定手段1ca、第一締結制御手段1cb、第二締結制御手段1ccが備えられている。後者の第二締結制御手段1ccには、締結ボルト特定手段1cd、締結トルク導出手段1ceが備えられている。ここで、締結ボルト特定手段は、本願における締結手段特定手段である。
調整判定手段1caは、ステータ位置導出手段1CBにより導出される軸心ズレに基づいて、ステータSが本願にいう「正常状態」にあるか、「異常状態」にあるかを判定する。
本願にあっては、軸心ズレの許容値であるズレ基準値(位置基準の一例)が設定されているが、このズレ基準値より軸心ズレが等しいか小さい場合は、ステータSは「正常状態」にあると判定する。一方、軸心ズレがズレ基準値より大きい場合は、ステータSは「異常状態」にあると判定する。例えば、図17は、軸心ズレが大きく、「異常状態」である場合を示している。
ここで、「正常」「異常」の差は、下記するように、3箇所に備えられている締結装置50について、その締結装置50を同時に同じ量だけ締結動作させて良いか、否かの差となる。
第一締結制御手段1cbは、調整判定手段1caにおいて「正常状態」にあると判断された場合に、全ての締結装置50に対して、同一の締結トルク増分だけ増し締めを行えとする正常締結調整指令を生成する。この手段により生成された正常締結調整指令は、動作制御部104から各締結装置50へ送られ、全ての締結ボルトb1の締結トルクが、均等に所定の増分だけ増加させられる。
第二締結制御手段1ccは、調整判定手段1caにおいて「異常状態」にあると判断された場合に、特定の締結装置50に対して、締結トルク導出手段1ceにより導出される締結トルク増分だけ増し締めを行えとする異常締結調整指令を生成する。この手段により生成された異常締結調整指令は、動作制御部104から各締結装置50へ送られ、特定された締結ボルトb1の締結トルクが、締結トルク導出手段1ceにより演算された増分だけ増加させられる。
異常締結調整指令の生成形態について、図6を参照して説明する。先にも説明したように、第二締結制御手段1ccには、締結ボルト特定手段1cd、締結トルク導出手段1ceが備えられているが、締結ボルト特定手段1cdは、「異常状態」にある場合に、締結すべき締結ボルトを特定する。一方、締結トルク導出手段1ceは、前記締結ボルト特定手段1cdにより特定された締結ボルトに関して、それら締結ボルトの締結トルクの増分を導出する。
図6に示す状態にステータSがあるものとして、以下にこれら手段における処理を説明する。この図にあっては、ステータの中心Ssが、同図における横軸右方向に所定量ズレている状態を示している。図6には、このズレをズレベクトルVsとして示している。このズレベクトルVsの大きさは、増し締めを実行する場合の締結トルクの増分に相等する量とする。
締結ボルト特定手段1cdは、このズレベクトルVsを、図6に示すように、このベクトルVsを挟んで位置する一対の締結ボルトb1の方向(ロータ軸心から各締結ボルトb1に向かう方向)に分解する。同図にあっては、第一調整ベクトルVc1,第2調整ベクトルVc2に分解されている。このようにして分解されたベクトルVc1,Vc2がそれぞれ向かう方向にある締結ボルトb1が、締結ボルト特定手段1cdにより、増し締めされるべき締結ボルトb1として特定される。
締結トルク導出手段1ceは、先に説明したズレベクトルVsについて、このベクトルを基準とするトルク増分とした場合に、各締結ボルトb1に加えるべきトルクを導出する。図6から判明するように、ズレベクトルVsと第一調整ベクトルVc1、第二調整ベクトルVc2の大きさは、ロータ軸心Zrから各締結ボルトb1へ向かう方向にベクトルを分解することで確定するため、各締結ボルトb1の方向へ向けられたベクトルの大きさとして、特定された各締結ボルトb1に加えられるべき、締結トルクの増分を求めることができる。
このようにして求められた各締結ボルトb1に関する締結制御情報により、締結ボルトb1に対する各増し締めにおいて、締結調整すべき締結ボルトb1の特定とそのボルトb1に加えられるべき締結トルクの増分を演算導出することができる。
図4に示すように、搬出判定手段1CDには、第一搬出判定手段1cf、第二搬出判定手段1cg、第三搬出判定手段1chが備えられている。
第一搬出判定手段1cfは、第一締結制御手段1cbによる締結調整が行われた状態(正常状態)にあって、締結調整後における全ての締結ボルトb1の締結トルクがトルク基準値(第一締結トルク基準の一例)以上かどうかを判定する。この締結後の状態で、全ての締結ボルトb1の締結トルクがトルク基準値以上となっている状態では、一応、本願に係る締結調整作業を完了していると判断できるためである。
第二搬出判定手段1cgは、第二締結制御手段1ccによる締結調整が行われた状態(異常状態)にあって、締結調整後におけるいずれかの締結ボルトb1の締結トルクがトルク基準値(第二締結トルク基準の一例)以上となっているかどうかを判定する。この締結後の状態で、いずれかの締結ボルトb1の締結トルクがトルク基準値以上となっている状態では、もう、これ以上、締結調整を行う余裕しろが無くなっていると判定できるからである。
従って、このように判定されると、後に図15に基づいて説明するように、作業を良好に完了できなかったとして、「NG搬出」とされる。
第三搬出判定手段1chは、第一搬出判定手段1cfにおいて、一応、本願に係る締結調整作業を完了していると考えられる状況で、真に軸心ズレが軸ズレ基準値(位置基準)内か否かを判断する。
軸心ズレが軸ズレ基準値内の場合、良好に締結調整作業を完了していることが確認できるためである。
従って、このように判定されると、後に図15に基づいて説明するように、作業を良好に完了できたとして、「OK搬出」とされる。
以上のようにして動作制御部104で求まる諸量は、表示装置101にも表示される。
図17は、表示装置101に表示される表示画面の状態を示したものである。
表示画面の構成
図17に示すように、表示画面上側には、ワークに関する様々な情報を表示している。
表示情報は、「仕掛り月日測定調整作業のシーケンスNo」、「軸心ズレ」、「規格」、「ステップ」、「判定」である。ここで、「軸心ズレ」は、ロータ軸心Zrに対するステータ中心Ssの偏心量を意味し、「規格」は、締結調整を完了した状態で、軸心ズレの許容範囲を示している。この例の場合、軸心ズレは60μmであり、許容範囲は50μmである。さらに、「ステップ」は、締結調整作業におけるステップ(何回、締結トルクの増し締めを行ったか)を示す。この図に示すステップは、ステータSをミッションケースMC内に最初に配設した状態における表示を示している。
調整画面Iは、ロータ軸心Zrに対する直交平面内における注目点Ssの位置を表示する2次元表示画面の3隅に、対応する締結ボルトb1の作業状態を表示する表示部I1を備えている。
各画面に関して説明すると、2次元表示画面は、ロータ軸心Zrを原点とするものとされ、その画面上に、ステータの中心Ss、その許容範囲(ズレ基準値を半径とする円)である第1許容範囲PL1が表示される。ここで、第1許容範囲PL1は、ロータ軸心Zrに対する締付け後のステータ中心Ssの位置の許容範囲であり、この例では、50μmである。図17には、模式的に、ロータ軸心Zrからステータの中心SsまでのベクトルであるズレベクトルVsを示すとともに、各締結ボルトb1に割り当てられるべき、締結トルク増分に対応する第一調整ベクトルVc1,第2調整ベクトルVc2も示している。表示部I1に締結トルクの各増分量(0,a,b)を表示している。
3 締結調整作業
以下、測定装置1、締結装置50を使用しての、ステータSの位置を測定、測定結果に基づいた締結ボルトb1に対する締結調整の一連の作業について説明する。
この一連の操作は、
a ミッションケースMCを縦姿勢でシステム100に配置する縦配置工程、
b ミッションケースMC内にステータSを挿入する挿入工程、
c ステータS内に測定装置1を配設する配設工程、
d 挿入状態にある測定装置1を使用してステータの位置を測定する測定工程を実行しながら、測定結果に基づいて増し締めを行う増し締め工程を行う締結調整処理、
の順に進む。
締結調整処理においては、測定工程、増し締め工程が順次繰り返されるとともに、作業完了が判定され、搬出条件を満たした場合に、作業の正常終了、異常終了の判定を行って、システムからの搬出が可能となる。
まず、図11に基づいて、作業全体のフローに関して説明する。
a 縦配置工程(ステップ#1)
締結調整システム100上に、ミッションケースMCを縦姿勢で配設する工程である。即ち、図12に示すように、ミッションケースMCの端部開口MCOが上側に、ミッションケースMCに設けられるケース側軸支部RAS2が下側に来るように、ミッションケースMCを配設する。締結調整システム100に設けられる第1センター軸9aの軸Zと、ミッションケースMCにおいて決まっている仮想的なロータ軸心Zrは、当然一致させる。
このとき、ミッションケースMCには、ケース側軸支部RAS2を構成する軸支ベアリングBRG2が勝ち込まれており、さらに端面開口MCOの所定部位にノックピンnpが打ち込まれた状態とされる。これら2種の部材BRG2,npを利用して測定装置1引いてはステータSの位置が決められる。
b ステータ挿入工程(ステップ#2)
図13に示す様に、ステータSを、縦姿勢にあるミッションケースMC内に挿入する。この挿入操作は、ステータSをミッションケースMC内に落とし込む形態で行われることとなり、ステータSは、ミッションケースMCに設けられている座面MC1から支持される。挿入完了状態で、ステータSは、その上下方向位置(軸方向D1位置)は確定し、ミッションケースMCとステータSとの間における相対位相(軸周方向D3位置)関係もほぼ定まる。一方、これまでも説明したように、水平方向(軸径方向D2位置)に関しては、僅かのがたが許される状態となる。
c 測定装置配設工程(ステップ#3)
図13に示す様に、測定装置1を、ステータSが挿入されたミッションケースMC内に配設する。この配設は、第2センター軸9bを使用して、測定装置1を測定装置支持部103bに設けられた搬送部14aで吊り下げながら、第1センター軸9aをガイド軸8に挿入した状態で行う。
この下降操作時、下側に位置されるガイド軸8の嵌込部8bは、ケース側軸支部RAS2を構成する軸支ベアリングBRG2により案内され、心出しされる。一方、上側に位置される方形プレート12の両端部位に設けられたピン係合部材18が、ノックピンnpにより位置決めされる。
この構造では、当該軸支ベアリングBRG2が心出しの用を果たすとともに、ノックピンnpも心出しの用を果たす。さらに、装置1全体が端面開口MCOにより下側から支持される。
この測定装置1の下降、挿入に伴って、締結装置50もミッションケースMCの上側の所定位置である作業開始位置に下降して位置決めされる。
d 締結調整処理(ステップ#4)
この締結調整処理の作業フローを、図15に示した。
この締結調整にあっては、ステータの中心Ssの位置が測定装置1により測定され、その測定結果に基づいて、各締結ボルトb1に関する締結状態(どの締結ボルトをどの締結トルクで締結するか)が演算導出される。そして、生成される締結調整指令に従った締結調整が実行されるとともに、各締結ボルトb1の締結トルクが測定され、各締結ボルトb1の締結トルクの状態と軸心ズレの状態に従って、締結調整完了に伴う判定及び搬出を行うものとしている。
以下、順に説明する。
軸心ズレの測定(ステップ#41)
図14に示す様に、測定装置1をミッションケースMC内に配設した状態で、変位センサ20を使用して、ステータコアSCに設けられているティースtの内径側端面t1の位置を各変位センサ20の出力として測定する。
ステータ位置導出手段1CAでは、変位センサ20の出力を、上下方向で異なった位置にある変位センサ20毎に集め、異なった上下方向位置(軸方向D1位置)でのステータSの円心位置を求める。結果、座面MC1側から、ステータSの中間位置、上端近傍部位に渡って、それら各高さにおける円心位置が、個々に、軸方向D1とは直交する平面上の座標として求まる。さらに、得られた円心位置を平均してステータSの中心Ssの位置(平均円心位置)を求める。このようにして、これまで説明してきた軸心ズレが得られる。
軸心ズレの判定(ステップ#42)
上記の測定工程を経て得られる軸心ズレが、調整判定手段1caにより位置基準であるズレ基準値と比較される。図15では、このズレ基準値が50μmである例を示している。
軸心ズレが、ズレ基準値以下の場合は、ステータSは正常にミッションケースMC内に配設されていると判定し、ズレ基準値を超えている場合に異常であると判定される。この「正常状態」は、3箇所に備えられている締結ボルトb1に関し、全て同じ締結トルクの増分だけ増加させる締結を実行できる状態である。一方、「異常状態」は、3箇所に備えられている締結ボルトb1に関して、特定の締結ボルト(通常は2個、特別の場合は1個)を、特定の締結トルク増分だけ増し締めする必要がある状態である。
正常状態を維持している場合
調整判定手段1caが正常と判定した場合(ステップ#42:yes)、第一締結制御手段1cbにより、全ての締結装置50に対して、同一の締結トルク増分(図示する例では5Nm)だけ増し締めを行えとする正常締結調整指令を生成し、正常締結調整指令が、全ての締結装置50へ出力され、全ての締結ボルトb1の締結トルクが特定された増分のみ増し締めされる(ステップ#43−1)。
この増し締めを完了した後、第一搬出判定手段1cfには、各締結ボルトb1の締結トルクが取り込まれ、締結調整後における全ての締結ボルトb1の締結トルクがトルク基準値(第一締結トルク基準で、45Nmの例を示している)以上かどうかが判定される(ステップ#44−1)。
この状態で、全ての締結ボルトb1の締結トルクがトルク基準値以上である場合(ステップ#44−1:yes)は、その状態における軸心ズレを取り込む(ステップ#45)。
そして、第三搬出判定手段1chは、現状の軸心ズレがズレ基準値以下か否かを判定する(ステップ#46)。この判定において、軸心ズレがズレ基準値以下である場合は(ステップ#46:yes)は、作業判定を「OK搬出」として、作業を終了する。一方、軸心ズレがズレ基準値より大きい場合は(ステップ#46:no)は、作業判定を「NO搬出」として、作業を終了する。
増し締め後における全ての締結ボルトb1の締結トルクがトルク基準値以上でない場合(ステップ#44−1:no)は、まだ、作業を完了していないとして、ステップ#41からステップ#44までの工程を繰り返す。即ち、増し締めを所定の増分で繰り返すこととなる。
異常状態となった場合
軸心ズレ判定において異常と判定された場合(ステップ#42:no)は、 第二締結制御手段1ccは,締結ボルト特定手段1cdにより特定された特定の締結装置50に対して、締結トルク導出手段1ceにより導出される締結トルク増分だけ増し締めを行えとする異常締結調整指令を生成する。この手段により生成された異常締結調整指令は、動作制御部104から締結装置50へ出力され、特定された締結ボルトb1の締結トルクが当該増分のみ増し締めさせられる。
(ステップ#43−2)
この段階で、先に図6で説明したように、締結ボルト特定手段1cdは締結すべき締結ボルトb1を特定し、締結トルク導出手段1ceは、締結ボルト特定手段1cdにより特定された締結ボルトb1それぞれに対する締結トルクの増分を導出する。
増し締めを完了した後、第二搬出判定手段1cgには、締結調整後に、締結トルクが取り込まれ、いずれかの締結ボルトb1の締結トルクが所定のトルク基準値(第二締結トルク基準で、45Nmの例を示している)以上であるかどうかが判定される(ステップ#44−2)。この締結後の状態で、いずれかの締結ボルトb1の締結トルクがトルク基準値以上である状態では(ステップ#44−2:yes)、締結調整を良好に完了できなかったとして、作業判定を「NG搬出」として作業を完了する。
一方、この締結後の状態で、増し締めした締結ボルトb1の締結トルクがトルク基準値以上でない状態では(ステップ#44−2:no)、まだ、作業を完了していないとして、ステップ#41からステップ#44までの工程を繰り返す。即ち、増し締めを所定の増分で繰り返すこととなる。
この手法では、締結ボルトb1の増し締めを所定のトルク増分で繰り返しながら、何れか、若しくは、全ての締結ボルトb1の締結トルクが予め設定されているトルク基準値になるまで、測定と締結調整を繰り返すことで、「OK搬出」「NG搬出」に係らず、合理的な基準に従って迅速に締結調整作業を完了することができる。
この作業手法を採用する場合、締結ボルトの増し締めに従って、締結トルクを発生していない状態から僅かに締結トルクが発生するまでは、締結に従って、ミッションケース座面MC1に当接している最も低位に位置する鋼板pが、締結される締結ボルトb1から逃げるように移動する。そして、ある程度、締結が完了した状態で、ステータS全体が、例えば、図3(c)に示すように全体的な部材の癖に従って変形する。
従って、本願のように、ステータSを単に座面MC1に配設した状態から、段階的に、ステータSの位置を見ながら締結ボルトb1にかかる締結トルクを増加させていくことにより、ステータSの位置を適切に調整することができる。
以上の工程を経て、「OK搬出」判定が得られたミッションケースMC(ロータを組み付けたもの)については、図16に示すように、測定装置1をミッションケースMCから取り外し、ロータRを組み付けて、モータ駆動装置Mを完成させることができる。即ち、ステータ関係の作業を終了し、その後、測定装置1をミッションケースMCから取り外し、ロータRを組み付けて、モータ駆動装置Mが完成する。
(別実施形態)
(1)上記の実施の形態では、ケース側軸支部に備えられる軸支ベアリングと、端部開口に備えられるノックピンの両方を用いて、測定装置の心出しを行ったが、上記実施の形態のように縦姿勢で、測定装置を鉛直方向に支持して作業を行い、測定装置の軸心をロータ軸心に合わせようとする場合、軸径方向の位置は、実質的に、上下方向のいずれか一方で決めることが可能となるため、ケース側軸支部に備えられる軸支ベアリングと、端部開口に備えられるノックピンのいずれか一方を基準として使用するものとしてもよい。
(2)上記の実施の形態においては、軸周方向D3に配置された4箇所のステータ内径面部位を測定の対象としたが、この測定箇所の数は、これに限定されず、軸周方向に少なくとも3箇所を測定箇所とすれば、測定が可能となる。但し、測定箇所の数が多いほど正確なステータSの軸心位置の測定が可能となる。また、4箇所とすれば、直交座標上における軸心位置の座標を直接的に測定し調整することが可能となる利点がある。
さらに、上記の実施の形態においては、ステータSの内径面の軸方向D1に均等な間隔で配置された5箇所を変位センサによる測定箇所としたが、この測定箇所の数はこれに限定されず、軸方向D1における、ステータSの両端側に位置する少なくとも2箇所を測定箇所とすれば、軸方向D1に沿ったステータSの概略の配置状態を測定することができる。但し、測定箇所の数が多いほど詳細なステータSの配置状態の測定が可能となる。
(3)上記実施の形態では、磁性体又は導電体に選択的に感応する非接触型の変位センサとして、渦電流型の変位センサを採用したが、かかる変位センサとしては、磁気誘導による磁性体近傍の磁場の変化により当該磁性体に対する距離を検出する磁気型の変位センサ等の別の型式の変位センサを採用しても構わない。
さらに、ステ-タコアの内周面の位置を検出できれば、任意のセンサを採用することができる。
(4)上記の実施の形態にあっては、締結トルク基準として、正常状態において全ての締結ボルトの締結完了判定に使用する第一締結トルク基準と、異常状態においていずれかの締結ボルトの更なる増し締めの可能性の判定に使用する第二締結トルク基準を同一のトルク基準値としたが、両者を異ならせておいてもよい。この場合、第二締結トルク基準を第一締結トルク基準より僅かに小さく設定することもできる。
(5)上記の実施の形態においては、測定工程と増し締め工程とは、経時的に前後して行ったが、締結トルクの増分を小さく選択する場合は、これら両工程がほぼ同時に実行されるものとしてもよい。但し、測定工程における測定結果を、増し締め工程における増し締め増分を得る情報として使用する。
(6)上記の実施の形態にあっては、測定工程で測定される測定箇所の数は、周方向において4箇所、締結工程において締結する締結ボルトの位置の数は、周方向において3箇所とし、さらに、それら周方向における位相がことなるものとしたが、測定箇所の数を締結ボルトb1の数と同数とするとともに、その周方向の位相を一致させておくと、締結調整指令を簡単な演算式に基づいて行うことができ、信頼性を確保できる。
(7)上記の実施の形態にあっては、締結トルクの増分は、基本的に一定となるようにしたが、先にも説明したように増し締め初期において、座面に於ける鋼板の移動を起こす場合があることから、初期の増分を終期の増分より小さく設定してもよい。この場合、締結調整システム側では、締結トルクの増分を可変とすることで、ステータ種等に応じた締結調整を迅速且つ確実に行える。
本発明に係る締結調整方法及び締結調整システムを採用することにより、例えばハイブリッド車に備えられるモータ駆動装置において、比較的簡易な構成のシステムでステータの締結調整を、締結操作だけで行うことができるようになった。
モータ駆動装置の断面構造を示す図 モータ駆動装置を構成する各パーツの組付け構成を示す図 締結に伴うステータコアの変形状態を示す説明図 締結調整システムの全体正面構成を示す図 締結調整システムの全体側面構成を示す図 第2締結制御手段における締結状態の決定手法を示す説明図 使用状態にある測定装置の縦断面図 図7におけるVIII−VIII断面の断面図 図7におけるIX−IX断面の断面図 測定装置の斜視図 作業手順の全体フローを示す図 締結調整システムにミッションケースを縦配置した状態を示す図 測定装置をステータ内に挿入する状態を示す図 ステータ内に測定装置を挿入した状態を示す図 調整・搬出処理のフローを示す図 ロータ軸を組み付けた組付け状態を示す図 表示装置の表示状態を示す説明図 従来の締結に伴うステータコアの変形状態を示す説明図
符号の説明
1 測定装置(測定手段)
1b 締結ボルト(締結手段)
1CA 演算処理管理手段
1CB ステータ位置導出手段
1CC 締結調整制御手段
1CD 搬出判定手段
1ca 調整判定手段
1cb 第一締結制御手段
1cc 第二締結制御手段
1cd 締結ボルト特定手段
1ce 締結トルク導出手段
1cf 第一搬出判定手段(第一判定手段)
1cg 第二搬出判定手段(第二判定手段)
1ch 第三搬出判定手段(第三判定手段)
10 締結調整システム
12 方形プレート
13 連結プレート
14 搬送用ハンドル
18 ピン係合部材
20 変位センサ
50 締結装置
BRG 軸支ベアリング
E エンジン
M モータ駆動装置
MC ミッションケース(モータケース)
np ノックピン
p 鋼板
R ロータ
RAS 軸支部
S ステータ
SC ステータコア
SW ステータコイル
T 変速機構
t ティース

Claims (16)

  1. モータケース、前記モータケースから軸支されて内部で回転するロータ、前記ロータと同心に前記ロータの外周に配設されるステータを備え、ロータ軸心に沿ってステータを締結する締結手段を周方向に複数備え、前記複数の締結手段により前記ステータが前記モータケースに締結固定される構成のモータ駆動装置に関し、ロータ軸心に対する前記ステータの位置を調整する締結調整方法であって、
    前記モータケース内に前記ステータを収納し、前記ロータが前記ステータ内に挿入されていない未挿入状態で、前記ロータ軸心に対する前記ステータの位置を測定する測定工程を実行し、
    前記測定工程の測定結果に基づいて、前記締結手段に対する締結調整指令を生成し、生成された前記締結調整指令に基づいて、前記締結手段を増し締めする増し締め工程を繰り返す締結調整方法。
  2. 前記締結調整指令が、増し締め対象とする前記締結手段の締結トルクの増分を含み、少なくとも一の前記締結手段の締結トルクが所定の締結トルク基準以上となるまで、前記測定工程、前記増し締め工程を繰り返す請求項1記載の締結調整方法。
  3. 前記締結調整指令が、増し締め対象とする締結手段を特定する対象特定情報及び、増し締めを行うことなく締結トルクを維持する締結手段を特定する維持特定情報を含む請求項2記載の締結調整方法。
  4. 前記測定工程により測定される、前記ロータ軸心に対する前記ステータの位置に基づいて、
    前記増し締め対象とする締結手段を特定する締結手段特定工程を実行するとともに、当該増し締め対象とする締結手段について、締結トルクの増分を導出する請求項2又は3記載の締結調整方法。
  5. 前記測定工程により測定されるステータの位置とステータの位置について設定される位置基準とを比較して、ステータが正常状態にあるか異常状態にあるかを判定する調整判定工程を実行し、
    前記ステータが正常状態にあると判定された場合に、前記増し締め工程において、全ての前記締結手段を増し締めする第一増し締め工程を実行し、
    前記ステータが異常状態にあると判定された場合に、前記増し締め工程において、一部の前記締結手段のみを増し締めする第二増し締め工程を実行する請求項1〜4のいずれか一項記載の締結調整方法。
  6. 前記第一増し締め工程を実行した後、前記全ての締結手段の締結トルクが第一締結トルク基準以上で且つ、ステータの位置が位置基準を満たしている場合に、締結調整作業を終了する請求項5記載の締結調整方法。
  7. 前記第二増し締め工程を実行した後、前記一部の締結手段の締結トルクが第二締結トルク基準以上である場合に、締結調整作業を終了する請求項5又は6記載の締結調整方法。
  8. 前記測定工程、前記増し締め工程を繰り返すに、
    繰り返し初期における締結トルクの増分を、繰り返し終期における締結トルクの増分より小さくする請求項2〜4のいずれか一項記載の締結調整方法。
  9. モータケース、前記モータケースから軸支されて内部で回転するロータ、前記ロータと同心に前記ロータの外周に配設されるステータを備え、ロータ軸心に沿ってステータを締結する締結手段を周方向に複数備え、前記複数の締結手段により前記ステータが前記モータケースに締結固定される構成のモータ駆動装置に関し、ロータ軸心に対する前記ステータの位置を調整する締結調整システムであって、
    前記モータケース内に前記ステータを収納し、前記ロータが前記ステータ内に挿入されていない未挿入状態で、前記ロータ軸心に対する前記ステータの位置を測定する測定手段と、
    前記測定手段の測定結果に基づいて、前記締結手段に対する締結調整指令を生成し、生成された前記締結調整指令に基づいて、前記締結手段を増し締めする制御を実行する締結調整制御手段を備え、測定手段による測定と締結調整制御手段による増し締め制御を繰り返す締結調整システム。
  10. 前記締結調整指令が、増し締め対象とする前記締結手段の締結トルクの増分を含み、少なくとも一の前記締結手段の締結トルクが所定の締結トルク基準以上となるまで、前記測定手段による前記ステータ位置の測定、前記締結調整制御手段からの指令に基づく前記締結手段における増し締めを繰り返す請求項9記載の締結調整システム。
  11. 前記締結調整指令が、増し締め対象とする締結手段を特定する対象特定情報及び、増し締めを行うことなく締結トルクを維持する締結手段を特定する維持特定情報を含む請求項10記載の締結調整システム。
  12. 前記測定手段により測定される前記ロータ軸心に対する前記ステータの位置に基づいて、前記増し締め対象とする締結手段を特定する締結手段特定手段と、当該増し締め対象とする締結手段について、締結トルクの増分を導出する締結トルク導出手段とを備えた請求項10又は11記載の締結調整システム。
  13. 前記測定手段により測定されるステータの位置とステータの位置について設定される位置基準とを比較して、ステータが正常状態にあるか異常状態にあるかを判定する調整判定手段を備え、
    前記ステータが正常状態にあると判定された場合に、全ての前記締結手段を増し締めする第一締結制御手段と、
    前記ステータが異常状態にあると判定された場合に、一部の前記締結手段のみを増し締めする第二締結制御手段とを備えた請求項9〜12のいずれか一項記載の締結調整システム。
  14. 前記第一締結制御手段による全ての前記締結手段における増し締めを完了した状態で、前記全ての締結手段の締結トルクが第一締結トルク基準以上であるか否かを判定する第一判定手段を備えるとともに、
    前記第一判定手段により、前記全ての締結手段の締結トルクが第一締結トルク基準以上であると判定した状態で、ステータの位置が位置基準を満たしているか否かを判定する第三判定手段を備えた請求項13記載の締結調整システム。
  15. 前記第二締結制御手段による一部の前記締結手段における増し締めを完了した状態で、前記一部の締結手段の締結トルクが第二締結トルク基準以上であるか否かを判定する第二判定手段を備える請求項13又は14記載の締結調整システム。
  16. 増し締め対象とする前記締結手段の締結トルクの増分を、可変設定可能にしてある請求項10〜12の何れか一項記載の締結調整システム。
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