JP2008251749A - 基板の取り外し方法 - Google Patents

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信也 百瀬
Mutsuhiko Ota
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Abstract

【課題】基板の破壊を防止して基板をステージ上から容易に且つ確実に取り外すことができる基板の取り外し方法を提供する。
【解決手段】ステージ20上に基板1を保持する保持手段30による当該基板1の保持状態を解除した後、前記基板1の前記ステージ20側の面に気体を送風して当接させる送風工程と、該送風工程による前記気体の送風を停止する停止工程とを繰り返し行って、前記ステージ20上から前記基板1を取り外す。
【選択図】図3

Description

本発明は、ステージ上に保持された基板の保持状態を解除してステージ上から基板を取り外す基板の取り外し方法に関する。
マイクロデバイスなどに用いられる比較的厚さの薄いシリコン単結晶基板などの基板を加工する、例えば、スリットコート式塗布装置、スピンコート式塗布装置、スパッタリング装置、ドライエッチング装置などでは、ステージ上に基板を吸着保持させた状態で基板の加工が行われる。
ステージ上に基板を吸着保持させる方法としては、例えば、基板のステージ側の面を吸引することで吸着する吸引吸着や、ステージ上に発生させた静電気力によって基板を吸着する静電吸着などが挙げられる。
そして、ステージ上の基板の吸着状態を解除することで、ステージ上から基板を取り外している。このとき、ステージ上の基板の吸着状態を解除しただけでは、基板がステージ上に拘束された状態となるため、基板を取り外すと、基板にクラック等の破壊が生じてしまう。
このため、基板をステージ上に吸引吸着させた状態から、基板の吸引吸着を解除し、その後、気体を逆流させて基板とステージとの間に気体を送風することにより、基板とステージとの間の真空破壊を行って基板をステージ上から取り外す方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2006−102893号公報(第8〜15頁、第1、8、11図) 特開2000−59100号公報(第3〜5頁、第1及び2図) 特開2002−343852号公報(第3〜5頁、第1〜3図)
しかしながら、ステージと基板との間に気体を送風して、ステージと基板との間の真空破壊を行う場合、気体が基板に当接する際の応力によって基板にクラック等の破壊が生じてしまうという問題がある。特に、ステージ上に保持された基板の裏面にポリエステル等の保護フィルムが設けられている場合、ステージと基板との間に静電気が発生するため、基板に大きな圧力で気体を当接させなければならず、基板にクラック等の破壊が生じやすいという問題がある。
また、基板にチップサイズのデバイスを複数形成した後、基板をチップサイズに分割する場合、ステージから基板を取り外す際に基板に破壊が生じると、基板をチップサイズに分割する際に、分割するための応力を基板に均等に印加することができず、基板の分割を高精度に行うことができないという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑み、基板の破壊を防止して基板をステージ上から容易に且つ確実に取り外すことができる基板の取り外し方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、ステージ上に基板を保持する保持手段による当該基板の保持状態を解除した後、前記基板の前記ステージ側の面に気体を送風して当接させる送風工程と、該送風工程による前記気体の送風を停止する停止工程とを繰り返し行って、前記ステージ上から前記基板を取り外すことを特徴とする基板の取り外し方法にある。
かかる態様では、基板に気体が当接することによるクラック等の破壊が発生するのを防止して、短時間で確実に基板をステージ上から取り外すことができる。
ここで、前記送風工程と前記停止工程とを繰り返し行う際に、前記送風工程での風圧を徐々に漸大させることが好ましい。これによれば、基板がステージ上に強固に拘束された初期段階では、基板に低い圧力で気体を当接させ、基板の拘束力が弱まった段階で基板に高い圧力で気体を当接させることができ、基板にクラック等の破壊が発生することなく、送風工程と停止工程との繰り返し回数(サイクル)を少なくすることができる。これにより、取り外し工程にかかる時間を短縮して作業効率を向上することができる。
また、前記保持手段が、前記基板の中心側と外周側とを前記ステージ上に吸着保持させるものであると共に、前記送風工程及び前記停止工程を、前記基板の中心側に前記気体が当接するように行うことが好ましい。これによれば、基板の外周側がステージ上に拘束された状態で、基板の中心側のステージによる拘束を解除することができるため、送風工程及び停止工程による基板のステージ上での位置ずれが発生するのを確実に防止することができる。また、基板の特にステージへの張り付きが発生し易い中心側のみでステージの拘束を解除することができるため、基板を取り外した際に基板にクラック等の破壊が発生するのを防止することができる。
なお、前記送風工程及び前記停止工程を繰り返し行った後、前記基板の前記ステージ側の面の外周側に気体を送風して当接させる工程をさらに具備し、その後、前記基板を前記ステージ上から取り外すことが好ましい。これによれば、ステージ上に拘束された基板の外周側の拘束状態を解除して、基板をステージ上から破壊されることなく確実に取り外すことができる。
また、前記保持手段が、前記基板の一方面側を吸引することで前記ステージ上に吸着保持するものであり、且つ前記保持手段による前記基板の保持状態の解除が、当該基板の吸引を停止することであってもよい。これによれば、保持手段による基板の吸引吸着を停止した際に、基板の静電気力や真空状態によって基板がステージ上に拘束されていても、上述した送風工程及び停止工程を繰り返し行うことで、基板にクラック等の破壊が発生することなく、基板をステージから容易に且つ確実に取り外すことができる。
また、前記保持手段が、前記基板の一方面を静電気力によって前記ステージ上に吸着保持するものであり、且つ前記保持手段による前記基板の保持状態の解除が、前記ステージ上に発生させた静電気を停止することであってもよい。これによれば、保持手段による基板の静電気による保持を停止した際に、基板の静電気力によって基板がステージ上に拘束されていても、上述した送風工程及び停止工程を繰り返し行うことで、基板にクラック等の破壊が発生することなく、基板をステージから容易に且つ確実に取り外すことができる。
また、前記送風工程及び前記停止工程を繰り返し行った後、前記ステージ上から前記基板を持ち上げるリフト手段によって当該基板を前記ステージ上から取り外す工程をさらに具備することが好ましい。これによれば、リフト手段によって基板をステージから持ち上げても、基板がステージに拘束されていないため、基板にクラック等の破壊が発生することがない。
また、前記送風工程では、湿度が60%以上の気体を送風することが好ましい。これによれば、基板とステージとの間に発生して、基板をステージ上に拘束する静電気を早く除去することができるため、送風工程及び停止工程の繰り返し回数を少なくしたり、送風工程による気体の送風時間を短くすることができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る保持装置の分解斜視図であり、図2は、保持装置の上面図であり、図3は図2のA−A′断面図である。図示するように、基板1を保持する保持装置10は、基板1が載置されるステージ20と、ステージ20に設けられた通風孔21に接続されて、通風孔21を介して気体を吸引する保持手段30と、通風孔21を介して気体を送風する送風手段40と、基板1をステージ20から取り外すリフト手段50とを具備する。
基板1は、厚さが比較的薄い基板であれば特に限定されず、例えば、500μm以下のシリコン単結晶基板、ガラス基板、ガラスエポキシ基板、セラミック基板などが挙げられる。なお、基板1には、レジスト膜、金属膜及び酸化膜などの各種膜や凹部、貫通孔などが形成されていてもよい。
本実施形態では、基板1として、シリコン単結晶基板からなり厚さが400μm以下の基板本体2と、基板本体2の一方面側に厚さが50μmの接着層3を介して接合されたポリエステルからなる厚さが50μmの保護フィルム4とを用いた。
ステージ20は、一方面に基板1の保護フィルム4が設けられた面を保持するものである。また、ステージ20には、基板1に相対向する領域に通風孔21が設けられている。本実施形態では、通風孔21として、基板1の中心側に設けられた第1の通風孔22と、第1の通風孔22よりも基板1の外周側に設けられた第2の通風孔23とを設けるようにした。
第1の通風孔22及び第2の通風孔23は、それぞれ、ステージ20の表面に設けられた第1の溝部25、第2の溝部26と、この第1の溝部25及び第2の溝部26のそれぞれの底面に開口する貫通孔27、28とで構成されている。
このようなステージ20の通風孔21には、この通風孔21を介して気体を吸引する保持手段30と、通風孔21を介して気体を送風する送風手段40とが接続されている。
具体的には、ステージ20の基板1を保持する面とは反対側の通風孔21(貫通孔27、28)が開口する面に、一端部が第1の通風孔22及び第2の通風孔23とそれぞれ連通するように設けられた第1の管路60、第2の管路61が設けられている。
第1の管路60は、一端部が第1の通風孔22に連通して設けられていると共に、途中に設けられた第1の切り替え手段62によって2つに分岐されて設けられている。そして、第1の管路60の第1の切り替え手段62によって分岐された各端部には、第1の吸引手段31と、第1の送風手段41とがそれぞれ接続されている。
第2の管路61は、一端が第2の通風孔23に連通して設けられていると共に、途中に設けられた第2の切り替え手段63によって2つに分岐されて設けられている。そして、第2の管路61の第2の切り替え手段63によって分岐された各端部側には、第2の吸引手段32と、第2の送風手段42とがそれぞれ接続されている。
このような構成では、第1の切り替え手段62が、第1の通風孔22と第1の吸引手段31とが連通するように第1の管路60を切り替えることで、基板1の中心側で第1の管路60及び第1の通風孔22を介して気体を吸引する。また、第2の切り替え手段63が、第2の通風孔23と第2の吸引手段32とが連通するように第2の管路61を切り替えることで、基板1の外周側で第2の管路61及び第2の通風孔23を介して気体を吸引する。すなわち、本実施形態では、保持手段30として、第1の吸引手段31と第2の吸引手段32とを設け、これら第1の吸引手段31及び第2の吸引手段32によって基板1の中心側と外周側との2系統の吸引吸着を行うことができるようになっている。
また、第1の切り替え手段62が、第1の通風孔22と第1の送風手段41とが連通するように第1の管路60を切り替えることで、基板1の中心側に第1の管路60及び第1の通風孔22を介して気体を送風する。また、第2の切り替え手段63が、第2の通風孔23と第2の送風手段42とが連通するように第2の管路61を切り替えることで、基板1の外周側に第2の管路61及び第2の通風孔23を介して気体を送風する。すなわち、本実施形態では、送風手段40として、第1の送風手段41と第2の送風手段42とを設け、これら第1の送風手段41及び第2の送風手段42によって基板1の中心側と外周側との2系統で気体を送風することができるようになっている。
したがって、第1の切り替え手段62及び第2の切り替え手段63によって、保持手段30による気体の吸引、送風手段40による気体の送風及び気体の停止を選択的に行うことができる。
なお、第1の吸引手段31、第2の吸引手段32としては、例えば、真空ポンプなどが挙げられる。また、第1の送風手段41及び第2の送風手段42としては、例えば、コンプレッサなどが挙げられる。さらに、第1の切り替え手段62及び第2の切り替え手段63としては、例えば、バルブなどが挙げられる。
このような保持装置10では、保持手段30である第1の吸引手段31と第2の吸引手段32とによって、基板1のステージ20側の面(保護フィルム4)を吸引することによって、基板1をステージ20上に吸着保持することができる。本実施形態では、基板1の中心側を吸引する第1の吸引手段31と、基板1の外周側を吸引する第2の吸引手段32とを設けることによって、基板1の中心側と外周側との2系統で吸引力を変えることができ、基板1の加工時の保持状態や、基板1の加工待機時の保持状態などの状況に応じて基板1の中心側と外周側との2系統の吸引力を適宜変更することができる。
また、送風手段40は、基板1とステージ20との間に気体を送風して、基板1に気体を当接させることにより、ステージ20上に拘束された基板1の拘束状態を解除するものである。送風手段40を用いて、基板1をステージ20から取り外す方法については、詳しくは後述する。
さらに、本実施形態の保持装置10には、基板1をステージ20上から取り外すリフト手段50が設けられている。本実施形態では、リフト手段50として、ステージ20の基板1に相対向する領域から突出する方向に移動自在に設けられて基板1をステージとは反対側に向かって持ち上げる3本の棒状部材を設けた。
そして、リフト手段50は、詳しくは後述するが、送風手段40により基板1がステージ20上に拘束された状態を解除した後、基板1をステージ20から持ち上げて基板1をステージ20から取り外すことができる。
ここで、本実施形態のステージ20上に保持された基板1をステージ20から取り外す基板1の取り外し方法について詳細に説明する。なお、図4及び図5は、本発明の実施形態1に係る基板の取り外し方法を示す断面図であり、図4及び図5に示していない部材についても上述した図1〜図3の符号を付して説明する。
まず、図4(a)に示すように、保持手段30によって、基板1の保護フィルム4が設けられた面側を吸引することにより、ステージ20上に基板1が吸引吸着された保持状態から、図4(b)に示すように、保持手段30による基板1の吸引を停止して保持状態を解除する。このとき、基板1とステージ20との間に発生した静電気力やキャビテーション効果によって基板1はステージ20上に拘束された状態となる。
次に、図4(c)に示すように、送風手段40によって気体を送風して、基板1に気体を当接させる送風工程と、図5(a)に示すように、送風手段40による気体の送風を停止する停止工程とを繰り返し行って基板1のステージ20による拘束を解除する。
本実施形態では、図4(c)に示すように、送風工程では、第1の送風手段41によって基板1の中心側のみに気体を送風するようにした。すなわち、送風工程では、第2の送風手段42によって基板1の外周側に気体を送風しないようにしている。これにより、基板1の外周側で基板1はステージ20上に拘束(保持)された状態が維持されるため、基板1の中心側のみで基板1のステージ20による拘束を解除することができる。したがって、基板1の中心側の拘束を解除する際に、基板1がステージ20の面方向で位置ずれが生じるのを防止することができる。これは、例えば、基板1の拘束状態を解除した際に、基板1がステージ20の面方向にずれてしまうと、詳しくは後述する工程でリフト手段50によって基板1をステージ20から持ち上げた際に、リフト手段50の先端が基板1に当接せずに基板1をステージ20から持ち上げることができなくなるという不具合や、その他の後工程での位置決め精度などに影響を及ぼすなどの不具合が発生して好ましくない。また、保持手段30による保持状態を解除した際に、特に基板1の中心側でステージ20への張り付きが発生するため、送風工程及び停止工程の繰り返しを第1の送風手段41で行うことで、基板1の特に張り付きが発生している中心側の拘束を効率的に解除することができる。
そして、このような送風工程による気体を送風する送風時間及び停止工程による気体の送風を停止する停止時間を比較的短い時間で繰り返し(複数サイクル)行うことで、基板1に気体を当接させることにより基板1に印加される応力を低減させて、基板1にクラック等の破壊が発生することなく、基板1をステージ20上から取り外すことができる。
ここで、送風工程による気体を送風する送風時間、停止工程による気体の送風を停止する停止時間及び送風工程と停止工程とを繰り返す回数(サイクル)は、例えば、500μm以下の厚さで貫通孔(凹部を含む)が設けられた基板本体2を有する基板1の場合、送風時間を短くしてサイクルを多くした方が好ましい。具体的には、送風時間を0.4秒、停止時間を0.2秒で10サイクル以上行うよりも、送風時間を0.2秒、停止時間を0.1秒で20サイクル以上行った方が好ましい。
また、例えば、500μm以下の厚さで貫通孔が設けられていない基板本体2を有する基板1の場合、例えば、送風時間を1秒、停止時間を0.5秒で3サイクル以上行う方法、例えば、送風時間を1.5秒、停止時間を1秒で2サイクル以上行う方法、及びこれらの時間を組み合わせて5サイクル以上行う方法などが挙げられる。
なお、送風工程における気体の圧力をサイクル毎に徐々に漸大させるようにしてもよい。これにより、基板1がステージ20上に強固に拘束された初期段階では、基板1に低い圧力で気体を当接させ、基板1の拘束力が弱まった段階で基板1に高い圧力で気体を当接させることができ、基板1にクラック等の破壊が発生することなく、送風工程と停止工程との繰り返し回数(サイクル)を少なくすることができる。これにより、取り外し工程にかかる時間を短縮して作業効率を向上することができる。
なお、送風工程による気体の圧力は、0.05MPa以下が好ましく、0.01MPa以下が好適である。ここで、送風工程の送風時間を0.2秒、停止工程の停止時間を0.1秒でこれらを20サイクル行い、基板1をステージ20から取り外す際に、送風工程における気体の圧力を変えた場合の基板1のクラックの有無及び基板1の中心側の張り付きを検査した。この結果を下記表1に示す。なお、基板1としては、厚さが400μm、一方面に200μmの深さの凹部が設けられたシリコン単結晶基板からなる基板本体2と、基板本体2の凹部が形成された一方面に厚さが50μmの接着層3を介して設けられたポリエステルからなる厚さが50μmの保護フィルム4とからなる基板1を複数用意した。
表1に示すように、送風工程での気体の圧力が0.05MPa以下で基板1の取り外しを行った場合、基板1にクラックが生じなかった。これに対し、送風工程での気体の圧力が0.10MPa以上では、基板1をステージ20から取り外した際に基板1(基板本体2)にクラックが生じた。
また、送風工程での気体の圧力が0.05MPaで基板1をステージ20から取り外した際に、基板1の中心部がステージ20上に少し張り付いたものの、基板1にはクラックが生じなかった。このため、基板1の厚さ、送風時間及び停止時間が上記条件の場合には、気体の圧力を0.05MPa以下、好ましくは、0.01以下とするのが好ましい。
さらに、送風手段40により送風する気体としては、例えば、空気、酸素及び窒素などを用いることができるが、ステージ20上の基板1にレジストなどを塗布する場合、窒素などの不活性ガスを用いることで、レジストと気体とが反応した不純物などのパーティクルが発生するのを防止することができる。
また、送風手段40が、比較的高湿度、例えば、60%以上の湿度の気体を送風するようにしてもよい。すなわち、基板1とステージ20との間に高湿度の気体を送風することで、基板1とステージ20との間に発生した静電気を早く除去することができるため、送風工程と停止工程との繰り返し回数(サイクル)を少なくしたり、送風工程の送風時間を短縮することができ、取り外し工程にかかる時間を短縮して作業効率を向上することができる。なお、送風手段40が比較的高湿度の気体を送風するには、第1及び第2の切り替え手段62、63と第1及び第2の送風手段41、42との間にバブリング装置を設ければよい。すなわち、送風手段40からの気体を水などの液体中に送風し、液体中を気泡となって通過した気体を通風孔21に送風するようにすればよい。
このように送風工程及び停止工程を繰り返し行って、基板1の中心側のステージ20上の拘束を解除した後は、図5(b)に示すように、第1の送風手段41と第2の送風手段42とから同時に気体を送風し、基板1をステージ20上から取り外す。なお、上述したように、基板1の外周側は、中心側に比べてステージ20上に強固に拘束されていないため、第2の送風手段42によって基板1の外周側に気体を当接させても、基板1にクラック等の破壊が生じることはない。
その後は、図5(c)に示すように、リフト手段50によって、基板1をステージ20から取り外す。すなわち、リフト手段50をステージ20の表面から突出させる方向に移動させることによって、リフト手段50の先端を基板1に当接させて、基板1をステージ20から持ち上げる。このとき、基板1のステージ20による拘束は解除されているため、リフト手段50が基板1をステージ20上から持ち上げた際に、基板1にクラック等の破壊が発生することなく、基板1をステージ20から取り外すことができる。
以上説明したように、本実施形態では、送風手段40によって基板1とステージ20との間に気体を送風する送風工程及び気体の送付を停止する停止工程を繰り返し複数回行うことで、基板1に無理な応力が印加されることなく、短時間で基板1のステージ20による拘束を解除して、基板1をステージ20上から取り外すことができる。すなわち、送風手段40により気体を低い圧力で送風する送風工程のみを長時間行っても、基板1のステージ20上の拘束を解除することはできず、また、気体を高い圧力で送風する送風工程のみを短時間で行っても基板1にクラック等の破壊が発生してしまうが、本実施形態のように、気体を送風する送風工程及び気体の送付を停止する停止工程を繰り返し複数回行うことで、基板1に無理な応力が印加されて基板1にクラック等の破壊が発生するのを防止して、短時間で基板1のステージ20による拘束を解除して、基板1をステージ20上から取り外すことができる。
ちなみに、基板1の裏面に貼着する保護フィルム4の厚さを厚くすることで、基板1をステージ20上から取り外す際の基板1の破壊を防止することも考えられるが、基板1をステージ20上に吸引吸着する際に、通風孔21に保護フィルム4が変形して進入し、基板1がステージ20に拘束される拘束力が余計に高くなってしまう。また、保護フィルム4を厚くすることで、保護フィルム4の厚さにばらつきが生じ、ステージ20上に保持した基板1の加工を高精度に行うのが困難になってしまう。
また、保護フィルム4として、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の静電気が生じ難い材料を用いることも考えられるが、PET等の材料は透明ではないため、基板1とステージ20との間にゴミ等が侵入しているか確認することができず、また、基板1にクラック等の破壊が生じているかなどを確認することができない。これに対して、保護フィルム4としてポリエステルを用いることで、基板1とステージ20との間にゴミ等が侵入しているか確認することができると共に、基板1にクラック等の破壊が生じているかなどを確認することができる。
さらに、除電器(イオナイザー)により基板1とステージ20との間の静電気を除去することも考えられるが、絶縁性の保護フィルム4が設けられた基板1は、不導体であるため、基板1とステージとの間にイオンを照射することができず、基板1とステージ20との間の静電気を除去することはできないため有効ではない。
本実施形態では、保護フィルム4としてポリエステルを用いることができると共に、保護フィルム4の厚さを厚くすることがなく、また、除電器を用いずに、基板1をステージ20から取り外した際にクラック等が発生するのを確実に防止することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、保持手段30として、第1の吸引手段31と第2の吸引手段32とを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、1つの吸引手段によって基板1の中心側と外周側とを同じ吸引力で吸引吸着させるようにしてもよい。また、同様に送風手段40として、第1の送風手段41と第2の送風手段42とを設けるようにしたが、1つの送風手段によって基板1の中心側と外周側とに同じタイミングで気体を送風するようにしてもよい。勿論、吸引手段及び送風手段の数は3つ以上として、基板1の面内の3つ以上の領域で独立して気体の吸引、送風及び停止が行えるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態1では、通風孔21として、溝部25、26と貫通孔27、28とを設けるようにしたが、これらの形状、数及び位置などは特にこれに限定されるものではない。例えば、ステージ20の基板1側の面に貫通孔が複数開口するようにしてもよいし、溝部がステージ20の一方面に矩形状となるように設けられていてもよい。
本発明の実施形態1に係る保持装置の概略斜視図である。 本発明の実施形態1に係る保持装置の上面図である。 本発明の実施形態1に係る保持装置の断面図である。 本発明の実施形態1に係る基板の取り外し方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る基板の取り外し方法を示す断面図である。
符号の説明
1 基板、 2 基板本体、 3 接着層、 4 保護フィルム、 10 保持装置、 20 ステージ、 21 通風孔、 22 第1の通風孔、 23 第2の通風孔、 30 保持手段、 31 第1の吸引手段、 32 第2の吸引手段、 40 送風手段、 41 第1の送風手段、 42 第2の送風手段、 50 リフト手段

Claims (8)

  1. ステージ上に基板を保持する保持手段による当該基板の保持状態を解除した後、前記基板の前記ステージ側の面に気体を送風して当接させる送風工程と、該送風工程による前記気体の送風を停止する停止工程とを繰り返し行って、前記ステージ上から前記基板を取り外すことを特徴とする基板の取り外し方法。
  2. 前記送風工程と前記停止工程とを繰り返し行う際に、前記送風工程での風圧を徐々に漸大させることを特徴とする請求項1記載の基板の取り外し方法。
  3. 前記保持手段が、前記基板の中心側と外周側とを前記ステージ上に吸着保持させるものであると共に、前記送風工程及び前記停止工程を、前記基板の中心側に前記気体が当接するように行うことを特徴とする請求項1又は2記載の基板の取り外し方法。
  4. 前記送風工程及び前記停止工程を繰り返し行った後、前記基板の前記ステージ側の面の外周側に気体を送風して当接させる工程をさらに具備し、その後、前記基板を前記ステージ上から取り外すことを特徴とする請求項3記載の基板の取り外し方法。
  5. 前記保持手段が、前記基板の一方面側を吸引することで前記ステージ上に吸着保持するものであり、且つ前記保持手段による前記基板の保持状態の解除が、当該基板の吸引を停止することであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の基板の取り外し方法。
  6. 前記保持手段が、前記基板の一方面を静電気力によって前記ステージ上に吸着保持するものであり、且つ前記保持手段による前記基板の保持状態の解除が、前記ステージ上に発生させた静電気を停止することであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の基板の取り外し方法。
  7. 前記送風工程及び前記停止工程を繰り返し行った後、前記ステージ上から前記基板を持ち上げるリフト手段によって当該基板を前記ステージ上から取り外す工程をさらに具備することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の基板の取り外し方法。
  8. 前記送風工程では、湿度が60%以上の気体を送風することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の基板の取り外し方法。
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