JP2008251271A - カーボンナノチューブ導電性低下抑制剤、カーボンナノチューブを用いた透明導電膜、及びその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ導電性低下抑制剤、カーボンナノチューブを用いた透明導電膜、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温耐久性に優れたカーボンナノチューブを用いた透明導電膜を提供することである。
【解決手段】基材上に設けられた単層カーボンナノチューブを含む導電層の上に、スルホン酸基を有する高分子層が設けられてなる透明導電膜。該透明導電膜は、長期間に亘って高温環境下に保持されていても、その導電性が低下し難く、導電膜として優れたものである。従って、画像表示装置における透明電極部材などとして非常に好ましい。スルホン酸基を有する高分子がフッ素系樹脂やポリスチレンスルホン酸共重合体である場合、導電性の高温耐久性が特に優れていた。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電膜に関する。特に、カーボンナノチューブを用いた透明導電膜に関する。
従来、透明電極などに用いられる透明導電膜は、スパッタリング法などの乾式コーティングを用いて作製されるのが主流であった。
しかしながら、スパッタリング法などの乾式コーティングの技術は、コーティング時に高温雰囲気が必要で有る。従って、耐熱性に乏しい樹脂を基材材料として選択し難い問題が有る。
この問題は、湿式コーティングの技術を採用することで解決されると考えられる。例えば、塗布技術を採用するならば、耐熱性に乏しい樹脂を基材材料として選択できる。このような湿式コーティングの技術を採用する場合の透明導電膜構成材料として、カーボンナノチューブが注目されている(非特許文献1)。
さて、カーボンナノチューブを用いた透明導電膜は、上記の利点がある反面、高温下で長時間放置されると、導電性が低下すると言う致命的な問題が有る。
この高温耐久性の問題を改善する技術として、カーボンナノチューブからなる導電層上に保護層を設ける方法が考えられる(特許文献1、特許文献2)。尚、特許文献1で開示されている保護層は、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂などで構成されたものである。特許文献2で開示されている保護層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、スチレン樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ゼラチン、キチン、ポリペプチド、多糖類、ポリヌクレオチド、及びそれらの混合物で構成されたものである。
特開2004−202948号公報 特開2005−255985号公報 Applied Surface Science 252(2005)425−429
しかしながら、本発明者による研究の結果、上記提案の材料を用いて保護層を構成させたカーボンナノチューブを用いた透明導電膜では、高温耐久性が十分で無いことが判って来た。
従って、本発明が解決しようとする課題は、高温耐久性に優れたカーボンナノチューブを用いた透明導電膜を提供することである。
前記の課題を解決する為の研究鋭意推し進めて行く中に、スルホン酸基を有する高分子を用いて単層カーボンナノチューブの保護層を構成したならば、導電性についての高温耐久性が格段に改善されることを見出すに至った。
この知見を基にして本発明が達成されたものであり、前記の課題は、
単層カーボンナノチューブの温度による導電性低下を抑制する剤であって、
スルホン酸基を有する高分子からなる
ことを特徴とするカーボンナノチューブ導電性低下抑制剤によって解決される。
又、スルホン酸基を有する高分子で単層カーボンナノチューブが保護されてなる
ことを特徴とする透明導電膜によって解決される。
又、スルホン酸基を有する高分子と単層カーボンナノチューブとを含む導電層を、基材上に有する
ことを特徴とする透明導電膜によって解決される。
又、スルホン酸基を有する高分子層、及び単層カーボンナノチューブを含む導電層を、基材上に有する
ことを特徴とする透明導電膜によって解決される。
特に、基材上に設けられた単層カーボンナノチューブを含む導電層の上に、スルホン酸基を有する高分子層が設けられてなる
ことを特徴とする透明導電膜によって解決される。
又、スルホン酸基を有する高分子と単層カーボンナノチューブとを含む溶液を、基材上に塗布する工程
を有することを特徴とする透明導電膜の製造方法によって解決される。
又、基材上に単層カーボンナノチューブを含む溶液を塗布する工程と、
前記工程で形成された単層カーボンナノチューブを含む塗膜上に、スルホン酸基を有する高分子を含む溶液を塗布する工程
とを有することを特徴とする透明導電膜の製造方法によって解決される。
又、上記の透明導電膜であって、導電層の厚さが10nm〜1000nmであることを特徴とする透明導電膜によって解決される。
又、上記の透明導電膜であって、スルホン酸基を有する高分子層の厚さが10nm〜1000nmであることを特徴とする透明導電膜によって解決される。
又、上記の透明導電膜であって、スルホン酸基を有する高分子は、そのスルホン酸基の量が0.1ミリ当量/g〜10ミリ当量/gであることを特徴とする透明導電膜によって解決される。
又、上記の透明導電膜であって、スルホン酸基を有する高分子がスルホン酸基を有するフッ素系樹脂であることを特徴とする透明導電膜によって解決される。又、スルホン酸基を有する高分子がポリスチレンスルホン酸共重合体であることを特徴とする透明導電膜によって解決される。
スルホン酸基を有する高分子を用いて単層カーボンナノチューブの保護層を構成させた透明導電膜は、長期間に亘って高温環境下に保持されていても、その導電性が低下し難く、導電膜として優れたものである。従って、画像表示装置における透明電極部材などとして非常に好ましい。
特に、スルホン酸基を有する高分子がフッ素系樹脂やポリスチレンスルホン酸共重合体である場合、導電性の高温耐久性が特に優れていた。中でも、スルホン酸基の量が0.1ミリ当量/g〜10ミリ当量/gの高分子を用いたものが特に好ましいものであった。
そして、導電層の厚さが10nm〜1000nmである場合、又、スルホン酸基を有する高分子層の厚さが10nm〜1000nmである場合に、導電性の高温耐久性が特に優れていた。
本発明になるカーボンナノチューブ導電性低下抑制剤は、単層カーボンナノチューブの温度による導電性低下を抑制する剤である。そして、スルホン酸基を有する高分子からなるものである。スルホン酸基を有する高分子は、好ましくは、そのスルホン酸基の量が0.1ミリ当量/g〜10ミリ当量/gのものである。特に、1ミリ当量/g以上のものである。そして、5ミリ当量/g以下のものである。スルホン酸基を有する高分子はフッ素系樹脂である。或いは、ポリスチレンスルホン酸共重合体である。
本発明になる透明導電膜(例えば、画像表示装置に用いられる透明導電膜)は、例えば基材を有する。この基材は、例えば透明フィルムと言った透明な樹脂製のものである。そして、この基材上にスルホン酸基を有する高分子と単層カーボンナノチューブとを含む導電層を有する。或いは、基材上に単層カーボンナノチューブを含む導電層とスルホン酸基を有する高分子層とを有する。例えば、基材上に単層カーボンナノチューブを含む導電層が設けられ、この単層カーボンナノチューブを含む導電層上にスルホン酸基を有する高分子層が設けられる。すなわち、本発明の透明導電膜は、スルホン酸基を有する高分子を単層カーボンナノチューブの保護材として用いたものである。導電層の厚さは、好ましくは10nm〜1000nmである。中でも、10nm以上である。そして、200nm以下である。スルホン酸基を有する高分子層の厚さは、好ましくは10nm〜1000nmである。中でも、10nm以上である。そして、100nm以下である。スルホン酸基を有する高分子は、好ましくは、そのスルホン酸基の量が0.1ミリ当量/g〜10ミリ当量/gのものである。特に、1ミリ当量/g以上のものである。そして、5ミリ当量/g以下のものである。スルホン酸基を有する高分子は、好ましくは、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂である。又、ポリスチレンスルホン酸共重合体も好ましい。
方法になる本発明は、透明導電膜の製造方法である。特に、上記の透明導電膜の製造方法である。そして、スルホン酸基を有する高分子と単層カーボンナノチューブとを含む溶液を基材上に塗布する工程を有する。或いは、基材上に単層カーボンナノチューブを含む溶液を塗布する工程と、前記工程で形成された単層カーボンナノチューブを含む塗膜上に、スルホン酸基を有する高分子を含む溶液を塗布する工程とを有する。
以下、更に詳しく説明する。
本発明の透明導電膜を構成する基材(フィルム或いはシート若しくは厚みが前記フィルム・シートより厚い板など)は、透明導電膜に用いられるものであれば良い。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、シクロオレフィン系樹脂、セルロース樹脂などを用いることが出来る。その他にも、無機ガラスなどを用いることも出来る。但し、フレキシブルな特性に優れている有機樹脂製が好ましい。前記基材の表面(導電層が設けられる側の表面および/または導電層が設けられる側とは反対側の裏面)には、必要に応じて、ハードコート層、防汚層、防眩層、反射防止層、粘着層などが設けられる(積層される)。
本発明で用いられるカーボンナノチューブは、特に、単層カーボンナノチューブである。単層カーボンナノチューブであれば格別な制限は無い。例えば、化学的修飾や物理的修飾がなされたものでも差し支え無い。又、如何なる製法で得られた単層カーボンナノチューブでも良い。例えば、化学蒸発法、レーザー蒸発法、アーク放電法などの公知の製法を用いて作製された単層カーボンナノチューブを用いることが出来る。但し、結晶性と生産性の観点から、アーク放電法によって作製された単層カーボンナノチューブが用いられることが好ましい。
本発明で用いられるスルホン酸基を有する高分子としては、好ましくは、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂である。フッ素系樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオロライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体などが挙げられる。勿論、これは好ましい具体例に過ぎず、これ以外のものであっても良い。
又、ポリスチレンスルホン酸共重合体も好ましい高分子である。
その他にも、例えばポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド、及びこれらの共重合体等を用いることも出来る。勿論、これ等の樹脂はスルホン酸基を有するものである。
特に、溶媒への溶解性の観点から、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂やポリスチレンスルホン酸共重合体であることがより好ましい。
上記高分子におけるスルホン酸基の量は、好ましくは0.1ミリ当量/g〜10ミリ当量/gである。特に、1ミリ当量/g以上である。そして、5ミリ当量/g以下である。ここで、上記のものが好ましいのは、スルホン酸基の量が0.1ミリ当量/gより少ない場合には、本発明の特長が奏され難くなり、逆に、10ミリ当量/gを越えて多すぎると、耐水性が不足する恐れが有ったからによる。
導電層は、例えばカーボンナノチューブ及びスルホン酸基を有する高分子を溶媒中に分散させた溶液を、基材(基板)上に塗布し、溶剤を乾燥(加熱)によって除去することで構成される。
カーボンナノチューブを溶媒中に分散させる方法としては公知の分散法を採用できる。例えば、水酸基、カルボキシル基、或いはアミノ基などの極性基を有する化合物を分散剤としてカーボンナノチューブの表面を修飾する方法、ロールミル、ビーズミル、ボールミル、超音波照射など機械的剪断力を用いて分散させる方法を適宜用いることが出来る。
溶媒は、一般的に、塗料に用いることが出来るものであれば良い。尚、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジオキサン等のエーテル系化合物;トルエン、キシレンなどの芳香族化合物;ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族化合物;N−メチルピロリドンなどの含窒素化合物;塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルムなどのハロゲン系炭化水素;メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノールなどのアルコール化合物;水などを好ましいものとして挙げることが出来る。
カーボンナノチューブの溶媒に対する比率は、総重量を100wt%とした場合、10ppm〜10000ppmの場合が好ましい。特に、100ppm以上の場合が好ましい。そして、5000ppm以下の場合が好ましい。すなわち、カーボンナノチューブの溶媒に対する比率が10ppm未満の少ない場合には、塗布量を多くせざるを得ない恐れが有り、逆に、10000ppmを越えて多すぎる場合には、分散性が低下する恐れが有ったからによる。
スルホン酸基を有する高分子の溶媒に対する比率は、総重量を100wt%とした場合、10ppm〜10000ppmが好ましい。特に、100ppm以上の場合が好ましい。そして、5000ppm以下の場合が好ましい。すなわち、スルホン酸基を有する高分子の溶媒に対する比率が10ppm未満の少ない場合には、耐熱性が低下する恐れが有り、逆に、10000ppmを越えて多すぎる場合には、導電性が低下する恐れが有ったからによる。
尚、スルホン酸基を有する高分子の他に、必要に応じて、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、シクロオレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、その他の光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂を、本発明の特長を損なわない範囲で加えることも出来る。
基材上への塗布は適宜な手法を用いることが出来る。例えば、含浸法、ロールコート法、ダイコート法、噴霧するようなスプレー法、カーテンフローコート法などを適宜用いることが出来る。尚、通常金属酸化物の導電性フィルムを用いた場合や、導電膜を所望の形状に加工する必要がある場合は、一旦、全面に透明導電膜を形成した後、不要な部分を除去するエッチングと呼ばれる工程が必要であるが、本発明においては、例えば凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法、インクジェット法などの方法によって所望の形状に印刷するだけで目的とするパターンのものを形成できる。
塗布後における塗膜中に含まれている溶剤の除去は適宜な手法が用いられる。例えば、加熱炉や遠赤外炉などを用いての加熱(乾燥)によって溶剤を除去できる。真空乾燥などの手法を用いることも出来る。
単層カーボンナノチューブ及びスルホン酸基を有する高分子を含む導電層の厚さは、好ましくは、10nm〜10μmである。特に好ましくは10nm〜500nmである。すなわち、厚さが10nm未満の薄すぎる場合には、導電性が低下する恐れが有り、逆に、10μmを越えて厚すぎる場合には、透明性(光透過性)が低下する恐れが有ったからによる。
上記にあっては、主として、単層カーボンナノチューブを含む導電層中にスルホン酸基を有する高分子が含まれているケースで説明した。
しかしながら、単層カーボンナノチューブに対する保護形態としては、単層カーボンナノチューブを含む導電層を、スルホン酸基を有する高分子層でカバーする形態も考えられる。従って、以下では、単層カーボンナノチューブを含む導電層とスルホン酸基を有する高分子層とが基材上に設けられた透明導電膜、特に、基材上に単層カーボンナノチューブを含む導電層が設けられ、この上にスルホン酸基を有する高分子層が設けられた透明導電膜の場合を説明する。
本例の透明導電膜の基材、単層カーボンナノチューブ、スルホン酸基を有する高分子は、各々、上述のものを用いることが出来る。又、塗布方法としても上述した方法を用いることが出来る。尚、上記した例では基材上に設けられた層は、基本的には、導電層のみであった。しかしながら、本例では、単層カーボンナノチューブを含む導電層と、スルホン酸基を有する高分子層との二層が少なくとも設けられている。このような複数層を積層形成する方法としては、下層(単層カーボンナノチューブを含む導電層)を塗布した後で上層(スルホン酸基を有する高分子層)を塗布しても良いが、下層と上層とが同時に形成される重層塗布方法が用いられても良い。
カーボンナノチューブの溶媒に対する比率は、総重量を100wt%とした場合、10ppm〜10000ppmの場合が好ましい。特に、100ppm以上の場合が好ましい。そして、5000ppm以下の場合が好ましい。すなわち、カーボンナノチューブの溶媒に対する比率が10ppm未満の少なすぎる場合には、塗布量を多くせざるを得ない恐れが有り、逆に、10000ppmを越えて多すぎる場合には、分散性が低下する恐れが有ったからによる。
スルホン酸基を有する高分子の溶媒に対する比率は、総重量を100wt%とした場合、0.01wt%〜10wt%が好ましい。特に、0.1wt%以上の場合が好ましい。そして、1wt%以下の場合が好ましい。すなわち、スルホン酸基を有する高分子の溶媒に対する比率が0.01wt%未満の少なすぎる場合には、耐熱性が低下する恐れが有り、逆に、10wt%を越えて多すぎる場合には、厚さ調整が大変であったからによる。
本例の単層カーボンナノチューブを含む導電層の厚さは、好ましくは、10nm〜10μmである。特に好ましくは10nm〜500nmである。すなわち、厚さが10nm未満の薄すぎる場合には、導電性が低下する恐れが有り、逆に、10μmを越えて厚くなりすぎ場合には、透明性(光透過性)が低下する恐れが有ったからによる。スルホン酸基を有する高分子層の厚さは10nm〜1000nmである。特に好ましくは10nm〜100nmである。すなわち、厚さが10nmより薄い場合には耐熱性が低下する恐れが有り、1000nmより厚い場合には導電性が低下する恐れが有ったからによる。
以下、具体的実施例を挙げて説明するが、本発明は下記実施例に限られるものでは無い。
[比較例1]
アーク放電法によって作成した単層カーボンナノチューブを63%硝酸にて85℃で2日間反応させた後、濾過して単層カーボンナノチューブを回収した。得られた単層カーボンナノチューブの水分散液をPETフィルム(商品名コスモシャインA4100:東洋紡社製)上にスプレーコートし、導電層を形成した。
得られた透明導電膜の全光線透過率を測定(スガ試験機社製の直読ヘーズコンピュータで測定)した処、全光線透過率は80%であり、又、表面抵抗を測定(ダイアインスツルメンツ社製のロレスタ−FPで測定)した処、560Ω/□であった。
[比較例2]
比較例1で得られた透明導電膜(単層カーボンナノチューブ導電層)上に、ポリエステル(東洋紡社製のバイロン660(商品名))のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度約1質量%)を固形分膜厚が約100nmになるようバーコートした。
[比較例3]
比較例1で得られた透明導電膜(単層カーボンナノチューブ導電層)上に、ポリメチルメタアクリレート(クラレ社製のパラペットHR−L(商品名))の酢酸エチル溶液(固形分濃度約1質量%)を固形分膜厚が約100nmになるようバーコートした。
[実施例1]
比較例1で得られた透明導電膜(単層カーボンナノチューブ導電層)上に、パーフルオロスルホン酸/PTFE共重合体(スルホン酸基が約1ミリ当量/g:デュポン社製ナフィオン(商品名))のn−プロピルアルコール溶液(固形分濃度約1質量%)を固形分膜厚が約100nmになるようバーコートした。
この実施例1になる透明導電膜の概略断面図を図1に示す。
[実施例2]
比較例1で得られた透明導電膜(単層カーボンナノチューブ導電層)上に、ポリスチレンスルホン酸(スルホン酸基が約5.4ミリ当量/g:アルドリッチ社製)の水・ブチルセロソルブ混合溶液(固形分濃度約1質量%)を固形分膜厚が約100nmになるようバーコートした。
[実施例3]
比較例1で得られた透明導電膜(単層カーボンナノチューブ導電層)上に、ポリスチレンスルホン酸(75mol%)−マレイン酸共重合体(25mol%)(スルホン酸基が約4.6ミリ当量/g:アルドリッチ社製)の水・ブチルセロソルブ混合溶液(固形分濃度約1質量%)を固形分膜厚が約100nmになるようバーコートした。
[実施例4]
比較例1で得られた透明導電膜(単層カーボンナノチューブ導電層)上に、パーフルオロスルホン酸/PTFE共重合体(スルホン酸基が約1ミリ当量/g:デュポン社製ナフィオン(商品名))のn−プロピルアルコール溶液(固形分濃度約10質量%)を固形分膜厚が約1000nmになるようバーコートした。
[特性]
上記実施例1〜4、及び比較例1〜3で得られた透明導電膜を、80℃で3日間保存した後、表面抵抗を測定(ロレスタ−FPにより測定)したので、高温保管前の表面抵抗と比較した結果を表−1に示す。又、全光線透過率を測定(直読ヘーズコンピュータで測定)したので、その結果も併せて示す。
表−1
高温保存後の表面抵抗値 増加率 高温耐久性 光線透過率
比較例1 2800(Ω/□) 483(%) × 80(%)
比較例2 1440(Ω/□) 257(%) × 80(%)
比較例3 1940(Ω/□) 346(%) × 80(%)
実施例1 604(Ω/□) 108(%) ○ 80(%)
実施例2 688(Ω/□) 123(%) ○ 80(%)
実施例3 770(Ω/□) 138(%) ○ 80(%)
実施例4 588(Ω/□) 105(%) ○ 81(%)
*増加率=高温保存後の表面抵抗値/高温保存前の表面抵抗値
*増加率が150%以下のものを○印で、150%を越えたものを×印で表示
[実施例5]
アーク放電法によって作成した単層カーボンナノチューブの水分散液に、パーフルオロスルホン酸/PTFE共重合体(スルホン酸基が約1ミリ当量/g:デュポン社製ナフィオン(商品名))が単層カーボンナノチューブと同量になるようにパーフルオロスルホン酸/PTFE共重合体のn−プロピルアルコール溶液を加えた。
この単層カーボンナノチューブ及びデュポン社製ナフィオン(商品名)を含有する溶液を、PETフィルム(東洋紡社製のコスモシャインA4100(商品名))上にスプレーコートし、導電層を形成した。
この実施例5になる透明導電膜の概略断面図を図2に示す。
このようにして得られた透明導電膜の表面抵抗を測定した処、820Ω/□であり、又、全光線透過率を測定した処、75%であった。
そして、このものを、上記と同様にして高温耐久性試験を行った処、高温試験後の表面抵抗増加率は110%であった。
本発明の一実施形態になる透明導電膜の概略断面図 本発明の他の実施形態になる透明導電膜の概略断面図 特許出願人 株式会社クラレ 代 理 人 宇 高 克 己

Claims (13)

  1. 単層カーボンナノチューブの温度による導電性低下を抑制する剤であって、
    スルホン酸基を有する高分子からなる
    ことを特徴とするカーボンナノチューブ導電性低下抑制剤。
  2. スルホン酸基を有する高分子で単層カーボンナノチューブが保護されてなる
    ことを特徴とする透明導電膜。
  3. スルホン酸基を有する高分子と単層カーボンナノチューブとを含む導電層を、基材上に有する
    ことを特徴とする透明導電膜。
  4. スルホン酸基を有する高分子層、及び単層カーボンナノチューブを含む導電層を、基材上に有する
    ことを特徴とする透明導電膜。
  5. 導電層の厚さが10nm〜1000nmである
    ことを特徴とする請求項2〜請求項4いずれかの透明導電膜。
  6. スルホン酸基を有する高分子層の厚さが10nm〜1000nmである
    ことを特徴とする請求項4の透明導電膜。
  7. スルホン酸基を有する高分子は、そのスルホン酸基の量が0.1ミリ当量/g〜10ミリ当量/gである
    ことを特徴とする請求項2〜請求項6いずれかの透明導電膜。
  8. スルホン酸基を有する高分子はスルホン酸基を有するフッ素系樹脂である
    ことを特徴とする請求項2〜請求項7いずれかの透明導電膜。
  9. スルホン酸基を有する高分子がポリスチレンスルホン酸共重合体である
    ことを特徴とする請求項2〜請求項8いずれかの透明導電膜。
  10. スルホン酸基を有する高分子と単層カーボンナノチューブとを含む溶液を、基材上に塗布する工程
    を有することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  11. 請求項2、請求項3、請求項5〜請求項9いずれかの透明導電膜の製造方法であって、
    スルホン酸基を有する高分子と単層カーボンナノチューブとを含む溶液を、基材上に塗布する工程
    を有することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  12. 基材上に単層カーボンナノチューブを含む溶液を塗布する工程と、
    前記工程で形成された単層カーボンナノチューブを含む塗膜上に、スルホン酸基を有する高分子を含む溶液を塗布する工程
    とを有することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  13. 請求項2、請求項4〜請求項9いずれかの透明導電膜の製造方法であって、
    基材上に単層カーボンナノチューブを含む溶液を塗布する工程と、
    前記工程で形成された単層カーボンナノチューブを含む塗膜上に、スルホン酸基を有する高分子を含む溶液を塗布する工程
    とを具備することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
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