JP2008250060A - 画像形成装置 - Google Patents

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政秀 平井
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Abstract

【課題】消費電流が増加した場合においても、商用電源の定格電流を超えないように制御できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー画像を記録材に生成するトナー画像生成手段と、前記トナー画像生成手段により生成した前記記録材のトナー画像を圧力と熱によって前記記録材に定着させる定着手段と、前記定着手段の温度を定着目標温度に制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、前記画像形成装置の入力電圧を検知する(S101)入力電圧検知手段を備え、前記制御手段は、前記入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値以下の場合に、前記定着手段の前記定着目標温度を低下させる(S102)画像形成装置により前記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置に関し、特にその商用電源からの流入電流の抑制に関するものである。
複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に現像剤(以降トナーという)を付与することにより前記潜像をトナー像として可視化する現像装置と、所定方向に搬送される記録紙に該現像装置による該トナー像を転写する転写手段と、該転写手段によって前記トナー像の転写を受けた記録紙を所定の定着処理条件にて加熱および加圧することにより前記トナー像を記録紙に定着させる定着装置を備えている。
良好な定着処理を行うためには、記録紙上のトナー像だけでなく記録紙全体を適正な温度に加熱する必要がある。
記録紙全体を適正温度に加熱するために必要な定着装置の消費電流は(IF)は記録紙の単位体積あたりの熱容量によって異なり、これは記録紙の厚みや材質によって変化する。
例えば、記録紙が厚いほど、また記録紙の搬送速度が早いほど定着装置の消費電流が増加する。
定着装置について注目した場合、入力電圧(VF)、加熱ヒータの抵抗(RF)に対してVF=RF・IFMAXによって消費可能な最大電流(IFMAX)が決まるため、装置への入力電圧が高いほど定着装置に流すことができる最大電流が増加する。消費可能な最大電流が、定着装置の加熱部材を定着温度に維持するための消費電流よりも十分大きければ、すなわちIFMAX>IFであれば設定した定着温度以下に加熱部材の温度が低下しないため、良好な定着性能を維持することができる。
これに対して、入力電圧が低いときは、定着装置で消費可能な最大電流(IFMAX)が低くなり、加熱ヒータの抵抗値の設定によっては、元々設定していた定着温度を維持するだけの消費電流(IF)が得られなくなる。すなわちIFMAX<IFとなる。
このため、従来の画像形成装置では、画像形成装置への入力電圧検知手段を設け、入力電圧が所定値以下の時には画像形成速度を遅くする、すなわち記録紙の搬送速度を遅くして、消費電流が少なくても高い定着温度を維持することがなされている(特許文献1)。
従来、入力電圧の検知は、前述のように定着装置の最大消費可能電流を推測することに多く用いられている。
一方、近年の画像形成装置の高速化に伴い、画像形成装置に使用するモータが高速化/大型化し、また使用個数も増えることで、定着装置以外の消費電流も増加している。
また、オフィス文書のカラー化が進み、カラーレーザプリンタが多く生産されている。カラーレーザプリンタは、複数の画像形成を同時に行うためモータの使用個数が多く、さらに、複数のトナー像を記録紙に定着させる必要があるため定着装置が消費する電流も大きい。
他にも、画像形成装置の高機能化に伴い、複数の記録紙サイズに対応するための給紙オプション装置や、排出された記録紙を所定枚数毎に仕分けしたりステイプルしたりする排紙オプション装置、原稿のコピーや電子ファイル化を行うための自動紙送り機構付きイメージスキャナ等が装着されるようになってきている。その結果、画像形成装置の消費電流は益々増加してきている。
これら機器の消費する電流の上限の一つの目安は、商用電源で供給可能な最大電流;定格電流(例えば15A=1500W/100V)であり、画像形成装置の消費電流が商用電源の定格電流を超えないように設計する必要がある。
そこで、従来の画像形成装置においては、例えば、画像形成装置への流入電流を検知する電流検知手段を設け、商用電源の定格電流を超えないように定着装置に流す電流を制限することがなされている(特許文献2)。
またこのような電流制御手段を搭載する一方で、近年、画像形成装置としてのレーザプリンタは市場規模が拡大し、より高機能、高速であることに加え、より低価格であることが求められてきている。
特開2006−119194号公報 特公平3−73870号公報
しかしながら、前述の従来の画像形成装置に搭載されていた電流検知手段としての電流検知回路は高価であり、より低価格であることが求められる市場動向とは相反するものである。
このような電流検知回路に対して入力電圧検知手段としての入力電圧検知回路はより安価に構成することができる。しかし、これは装置の電流値自体を検知しているわけではないため、定着装置の最大消費可能電流を推定することはできても、画像形成装置の消費電流を制限する機構として用いるのは困難とみなされていた。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、消費電流が増加した場合においても、商用電源の定格電流を超えないように制御できる画像形成装置を提供することを課題とするものである。
前記課題を解決するため、本発明では、画像形成装置を次の(1)のとおりに構成するものである。
(1)トナー画像を記録材に生成するトナー画像生成手段と、前記トナー画像生成手段により生成した前記記録材のトナー画像を圧力と熱によって記録材に定着させる定着手段と、前記定着手段の温度を定着目標温度に制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、
前記画像形成装置の入力電圧を検知する入力電圧検知手段を備え、
前記制御手段は、前記入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値以下の場合に、前記定着手段の前記定着目標温度を低下させることを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、消費電流が増加した場合においても、商用電源の定格電流を超えないように制御できる画像形成装置を提供することができる。
また、請求項2に係る発明によれば、定着目標温度を低下させた場合に、給紙間隔を広げ記録材の単位時間あたりの画像形成速度を遅くすることで、所望の定着性を得ることができる。
また、請求項3に係る発明によれば、記録材を前記定着手段に2回通すことにより、所望の定着性を得ることができる。
また、請求項4に係る画像形成装置によれば、表面性および厚みの少なくとも1つを検知し、検知結果により定着目標温度を修正することで、より最適な定着目標温度を選択し、商用電源の定格電流を超えないように制御するとともに、定着性能の維持を図ることができる。
また、請求項5に係る発明によれば、画像形成装置の周囲温度を検知し、検知結果により定着目標温度を修正することで、より最適な定着目標温度を選択し、商用電源の定格電流を超えないように制御するとともに、定着性能の維持を図ることができる。
また、請求項6に係る発明によれば、記録材の連続通紙枚数を検知し、検知結果により定着目標温度を修正することで、より最適な定着目標温度を選択し、商用電源の定格電流を超えないように制御するとともに、定着性能の維持を図ることができる。
本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
図2は、実施例1である“画像形成装置”(オプション装置付きのカラーレーザプリンタ)の構成を示す図である。
本実施例の画像形成装置は180mm/secのプロセススピードでA4サイズ紙を30ppmで出力する能力をもつ。また、本実施例の画像形成装置は定格電圧100V〜127Vで使用されるものである。
なお、本実施例ではオプション装置付きの構成で説明を行うが、本発明はオプション装置付きに限定されるものではない。これは以降の実施例でも同様である。
401はカラーレーザプリンタ、402は記録紙32を収納する給紙カセット、404は給紙カセット402から記録紙(記録材)32を繰り出すピックアップローラである。405は前記ピックアップローラ404によって繰り出された記録紙32を搬送する給紙ローラ、406は前記給紙ローラ405と対をなし記録紙32の重送を防止するためのリタードローラ、407はレジストローラ対である。
409は静電吸着搬送転写ベルト(以下ETBと記す)であり、記録紙32を静電吸着させて搬送する。410はプロセスカートリッジであり、感光ドラム305、感光ドラム305上のトナーを除去するクリーニング装置306、帯電ローラ303と現像ローラ302、トナー格納容器411を備えており、カラーレーザプリンタ401に対し着脱可能となっている。
420はスキャナユニットであり、後述するビデオコントローラ440から送出される各画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光するレーザユニット421、各レーザユニット421からのレーザ光を各感光ドラム305上に走査するためのポリゴンミラー422とスキャナモータ423、結像レンズ群424により構成されている。なお、前記プロセスカートリッジ410とスキャナユニット420は、4色(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックB)分存在する。
431は定着器であり、本実施例では省電力性、クイックスタート性に優れるフィルム加熱方式を用いている。432は加熱体としてのヒータで、ヒーターホルダ436によって支持され、定着フィルム433を介して加圧ローラ434に図示しない加圧装置によって圧接されている。定着フィルム433は加圧ローラ434の回転駆動によって従動回転し、定着ニップに導入された用紙を搬送するとともにヒータ432の熱を定着フィルム433を介して用紙に付与する。ヒータ432には、サーミスタ530が当接もしくは近接して支持されており、ヒータ温度を検知して所定温度に制御するのに用いられる。定着ニップから搬送されてきた記録紙32は定着排紙ローラ対435によって機外に排出される。
451、452、453はDCブラシレスモータであり、451はプロセスカートリッジ410を駆動するメインモータ、452はETBを駆動するETBモータ、453は定着器を駆動する定着モータである。
201はレーザプリンタ401の制御部であるDCコントローラであり、マイクロコンピュータ207、および各種入出力制御回路(不図示)等で構成されている。
202は低圧電源回路であり、1次AC電流を平滑後に降圧し、各DCブラシレスモータ451,452,453や、DCコントローラ201などに電力を供給する。
440はビデオコントローラであり、パーソナルコンピュータ等の外部装置441から送出される画像データを受け取ると、この画像データをビットマップデータに展開し、画像形成用の画像信号を生成する。
601は異なる記録紙に対応するためのオプション給紙ユニットであり、記録紙32を収納する給紙カセット602、給紙カセット602から記録紙32を繰り出すピックアップローラ604を有する。
801はカラーレーザプリンタ401から排出された記録紙を所定枚数毎に排紙トレイにソートするオプション排紙ユニットであり、搬送ローラ対804、805を駆動するモータ802と、排紙トレイ806を昇降動作させるモータ803とを有する。
701はカラーレーザプリンタ401から排出された記録紙をオプション排紙ユニット801に搬送するオプション搬送ユニットであり、搬送ローラ対703、704を駆動するモータ702を有する。
901は原稿搬送部930と原稿読み込み部931とからなるオプションイメージスキャナである。902は原稿932を搬送するモータ、904は露光ユニット、905は露光装置、906はミラー、903は露光ユニット904を水平移動させる駆動モータ、907は反射装置、908、909はミラー、910は受光装置である。940はオプションイメージスキャナ901の動作を制御するとともに、受光装置910で受光した信号を画像データ化するイメージスキャナコントローラユニットである。
次に画像形成動作を説明する。
まず、外部装置441からビデオコントローラ440に画像データが送信される。ビデオコンローラ440は、DCコントローラ201に画像形成の開始を指示するPRINT信号を送信するとともに、受信した画像データをビットマップデータに変換する。PRINT信号を受信したDCコントローラ201は、所定のタイミングでスキャナモータ423、およびメインモータ451,ETBモータ452,定着モータ453の駆動を開始するとともに、ピックアップローラ404、給紙ローラ405、リタードローラ406を駆動して給紙カセット402から記録紙32を繰り出す。記録紙32は、レジストローラ対407まで搬送して一旦停止する。次に、ビットマップデータに依存した画像信号に応じてレーザユニット421をON/OFF制御し、ポリゴンミラー422、結像レンズ群424を介して帯電ローラ303により所定電位に帯電した感光ドラム305上に静電画像を形成する。その後、現像ローラ302でトナー像に現像する。前述のトナー像形成動作(トナー画像生成)は所定のタイミングでイエローY、マゼンタM、シアンC,ブラックKに対し行う。一方、レジストローラ対407で一旦停止していた記録紙32を、前記トナー像形成動作に応じた所定のタイミングでETB409に再給紙し、転写ローラ430で感光ドラム305上のトナー像を順次記録紙32上に転写してカラー像を形成する。記録紙32上に形成されたカラートナー像は定着器431に搬送され、所定温度に加熱されたヒータ432と、定着フィルム433を介して加圧ローラ434とによって形成された定着ニップ部において加熱、加圧(圧力を加える)される。この工程でカラートナー像が記録紙32に定着されたのち、定着排紙ローラ対435によりカラーレーザプリンタ401外に排出される。
排出された記録紙32は、オプション搬送ユニット701を経由してオプション排紙ユニット801に搬送される。オプション排紙ユニット801では、所定枚数毎に記録紙32が排紙トレイ806に排出される。
次にオプションイメージスキャナの動作について説明する。原稿搬送部930に原稿932をセット後、コピーモードか、読み取りデータを電子ファイル化するだけのスキャナモードかを不図示のパネルより選択する。
コピーモードを選択した場合、駆動モータ902により所定のタイミングで原稿932を原稿読み込み部931に搬送する。そして、駆動モータ903により露光ユニット904を水平移動させ露光手段905の光を原稿932に照射する。原稿からの反射光はミラー906、および反射手段907内のミラー908、909を経由して受光装置910で受光され、受光信号はイメージスキャナコントローラユニット940に送信される。イメージスキャナコントローラユニット940は受信した信号を画像データ化し、ビデオコンローラ440に送信する。その後は、外部装置441から画像形成と同様の動作で画像形成を行う。
一方、スキャナモードを選択した場合、イメージスキャナコントローラユニット940は受信した信号を所定のファイル形式で電子ファイル化し、ビデオコンローラ440経由で外部装置441に送信する。
なお、通常、オプションイメージスキャナの動作は、カラーレーザプリンタ401の画像形成動作とは独立に動作する。
図3は本実施例の画像形成装置の回路図である。
202は低圧電源、501はインレット、502は商用電源からのノイズおよび低圧電源からのノイズを除去するACフィルタ、503はメインスイッチ、504はダイオードブリッジ、505は24Vを生成するコンバータである。506はコンバータ制御回路、507はダイオード、508はコンデンサ、509は定電圧制御回路、510はフォトカプラ、511は24Vから3Vを生成するDC/DCコンバータ、515はゼロクロス検知回路である。
521は画像形成装置のドアと連動して開閉するインタロックスイッチ、522はリレー、523はトライアック、524,525、527は抵抗、526はフォトトライアックカプラ、528はトランジスタである。また、431は定着器、433は定着フィルム、434は加圧ローラ、432はヒータ、529はサーモスイッチ、530はヒータ432の温度を検知するサーミスタ、531は抵抗である。
続いて、回路動作について説明する。
メインスイッチ503がONされると、インレット501およびACフィルタ502を介して商用電流が流れ、ダイオードブリッジ504で全波整流される。そして、コンバータ制御回路506によりコンバータ505がスイッチングされ、コンバータ505の2次側に脈流電流が励起される。前記脈流電流はダイオード507およびコンデンサ508により整流される。整流後の電圧を定電圧制御部509が検知し、一定電圧(本実施例では24V)になるようにフォトカプラ510を介してコンバータ制御回路506を制御する。整流された24V電圧は、DCブラシレスモータ451等に供給されるとともに、DC/DCコンバータ511に供給され3Vが生成される。生成された3VはDCコントローラ201に供給され、カラーレーザプリンタ401の制御に使用される。
一方、コンバータ505の補助巻線にはダイオードブリッジ504とコンデンサ581で全波整流された入力電圧に依存した電圧が励起される。励起された電圧は、ダイオード582、抵抗583、コンデンサ584で整流され、アンプ回路585でインピーダンス変換してDCコントローラ201のA/Dポート2に入力される。DCコントローラ201はその入力電圧に基づいて入力電圧を判断する。
本実施例では前述の方法で装置への入力電圧の検出を行っている。
次に、定着器の温度制御動作について説明する。
図19は定着器に流れる定着電流波形を説明する図である。
DCコントローラ201は、サーミスタ530と抵抗531の分圧電圧をA/D1ポートを介して検知する。サーミスタ530は温度の上昇とともに抵抗値が低下する特性をもっており、DCコントローラ201はA/Dポート1の分圧電圧よりヒータ432の温度を検出する。定着器431内のヒータ432には、リレー522、トライアック523およびサーモスイッチ529を介して商用電源が供給される。DCコントローラ201は、ゼロクロス検知回路515により、商用電源の正負が切り替わるタイミング、いわゆるゼロクロスを検知し、内部ゼロクロス信号を生成する。そして、ゼロクロスを検知してから所定時間後(以降Toff)にON/OFF1ポートよりトライアックON信号を出力し、トランジスタ528をONする。トランジスタ528がONすると、抵抗527を介してフォトトライアックカプラ526に電流が流れフォトトライアックカプラ526がONする。フォトトライアックカプラ526がONすると抵抗524、525を介してトライアック523にゲート電流が流れ、トライアック523がONし、ヒータ432に電流が流れ発熱する。そして、トライアック523はゲート電流がゼロ、すなわち次のゼロクロスのタイミングでOFFする。DCコントローラ201はToffを制御することで、ヒータ432を所定温度に制御する。
図1は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。このフローチャートにおける処理は、DCコントローラ201内の不図示のCPUにより行われる。他の実施例においても同様である。
以下に図1を用いて、画像形成中の動作について説明する。
まず、DCコントローラ201はPRINT信号を受信すると、S101で前述した手法によって入力電圧を検出する。
DCコントローラ201は入力電圧を検出すると、S102において表1に示す入力電圧と定着目標温度の制御テーブルを参照し、これに基づいて定着目標温度Tfを設定する。
Figure 2008250060
次いでS103で前述の手法によりヒータ432の加熱を開始し、S104でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S105でヒータ温度がTaに到達したかを判断し、Taに到達したらS106で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。ここでTaはS102において設定した目標温度Tfから−20degした値であり、したがって表1によってTfが選択されるときに一律決定されている。なお、本実施例ではTaをTfと連動する構成としたが、Tfによらず固定されていてもよい。これは以降の実施例でも同様である。
画像形成中は定着温度を目標温度Tfに一定となるように制御する。
次にS107で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。一方、画像形成が継続する場合は、S106で画像形成を継続する。
本実施例では画像形成装置の消費電流を商用電源の定格電流内に抑えるため、前述のように入力電圧に応じて定着目標温度Tfを変化させている。
この理論を以下に記述する。
図4は定着温度(ヒータ温度)と定着器の消費電流の関係を示す図である。
図5は入力電圧と低圧電源の消費電流の関係を示す図である。
図4から、定着温度を低く制御するほど定着器の消費電流は低下することがわかる。
定着温度を低く制御するほど、温度を維持するのに必要なエネルギーが少なくて済むのであるからこれは当然である。
図5からは、入力電圧が低くなるほど、低圧電源の消費電流が増加することがわかる。
低圧電源では同じ動作をしていても入力電圧が低くなるほど消費電流は大きくなる。低圧電源の仕事量(W)は入力電圧(V)と消費電流(I)の積なのだから、装置を駆動するのに必要な仕事量(W)が一定で入力電圧(V)が低くなれば、消費電流(I)が増加するのは自明である。
これに対して定着器の消費電流(IF)は、定着器の最大消費可能電流(IFMAX)に余裕がある状態では定着温度によって決まり、電圧依存性はない。これは前述したように定着器の温度制御(通電制御)に、ゼロクロスを検知してAC1半波内でON/OFFするいわゆる位相制御を用いているためである。位相制御をしている場合、定着器での消費電流(IF)はAC1半波内でのON/OFFのタイミングでほぼ一定にコントロールされているため、定着器の仕事量(WF)は定着器のヒータ抵抗(RF)と消費電流(IF)の2乗の積で考えればよい。すなわち、仕事量(WF)は入力電圧には関係しない。無論、装置に投入可能な最大消費可能電流(IFMAX)は入力電圧(VF)に対してVF=RF・IFMAXで決まるため、電圧依存性がある。つまり、入力電圧が極端に低い場合には、装置に投入可能な最大消費可能電流(IFMAX)は低くなり、定着温度を維持するのに必要な消費電流(IF)を下回ることもありうる。このような場合は位相制御でも常にACがONの状態になり、消費電流(IF)は電圧依存性が出てくる。しかし本実施例の定着器では商用電源(例えば100V)使用時において、その電圧変動下限である−15%の入力時でも最大消費電流(IFMAX)が定着温度維持に必要な消費電流を上回るように加熱ヒータの抵抗(RF)が設定されている。したがって定着器の消費電流は入力電圧によらず、ほぼ定着温度のみに依存するといえる。
図6は画像形成装置全体での入力電圧と消費電流の関係を示す図である。
画像形成装置全体としての消費電流は、低圧電源の1次側の消費電流の電流波形に定着器の消費電流の電流波形を合成した電流波形から求められるが、前記したように、低圧電源は入力電圧が低いほど消費電流が増すのに対して、定着器の消費電流は電圧に依存しない。したがって画像形成装置全体としては入力電圧が低いほど消費電流が増加することになる。
ここで本実施例のように複数個のモータに加え、オプションのイメージスキャナ等を有する構成の場合には、全体の内で低圧電源の消費電流の占める比率が大きい。したがって入力電圧の低下に伴う消費電流の増加はより顕著になる。
図6では、入力電圧が95V以下となると商用電源の定格電流Ilimit(例えば15A)を超えることがわかる。
このため、本実施例では入力電圧の低下時に、定着目標温度を下げて定着器の消費電流を低下させることで、画像形成装置として商用電源の定格電流を超えないように制御する。
図4からわかるように定着器での消費電流は定着温度によって決まるため、図6に示した画像形成装置全体の消費電流が商用電源の定格電流からのオーバーする分を、定着目標温度を下げることで定格電流内に下げることができる。
この制御テーブルとして前記表1に示したものを用いている。表1の制御テーブルによって制御した場合の入力電圧と画像形成装置の消費電流の関係を図7に示す。
ところでこの制御を用いた場合、入力電圧が低いときには定着温度が下がるため、定着性能自体は劣化する。
しかし、元々設定されている定着温度は、定着性に厳しい低温・高湿環境において用紙の坪量がある程度大きいものまで十分満足するように決められており、マージンをもっている。したがって少々温度を下げても実用上は問題は起こりづらい。また、たとえ定着性が劣化しても商用電源の定格電流を超える状態で装置が動作する方がはるかに危険であり、電流過多によってブレーカーが落ちる等の状況を防止することの方が確実に優先度が高い。
以上説明したように本実施例によれば、入力電圧が低い場合に定着目標温度を下げることで、画像形成装置の消費電流を商用電源の定格電流内にコントロールすることができ、電流過多によるブレーカー落ちをおこすことなく、安全に装置を使用できる構成とすることができる。
実施例2の“画像形成装置”について説明する。
実施例1では、入力電圧が低い場合に定着目標温度を下げていたため定着性能が劣化していたが、本実施例では、定着目標温度を下げて消費電流を抑えるとともに、給紙間隔を広げて定着性能を維持する。
本実施例の画像形成装置ハードウエア構成は実施例1と同様なので、実施例1での説明を援用しここでの再説明を省略する。
図8は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。
以下に図8を用いて、画像形成中の動作について説明する。
まず、DCコントローラ201はPRINT信号を受信すると、S201で入力電圧を検出する。検出手法は実施例1と同様であるため省略する。
DCコントローラ201は入力電圧を検出すると、S202において表2に示す入力電圧と定着目標温度、そして給紙間隔(スループット)の制御テーブルを参照し、これに基づいて定着目標温度Tfと給紙間隔を設定する。
Figure 2008250060
次いでS203で前述の手法によりヒータ432の加熱を開始し、S204でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S205でヒータ温度がTaに到達したかを判断し、Taに到達したらS206で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。
画像形成中は定着温度を目標温度Tfに一定となるように制御する。次にS207で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。一方、画像形成が継続する場合は、S206で画像形成を継続し、次の記録紙を給紙する。先行する記録紙を給紙してから次の記録紙の給紙までの時間が給紙間隔であり、本実施例ではS202において決定された給紙間隔の値を用いている。
給紙間隔を広げることで紙間時に定着器への蓄熱を行うことができ、定着温度が低くても高い定着性能を得ることができるようになる。
本実施例では画像形成装置の消費電流を定格電流内に抑えるため、入力電圧に応じて決まった定着目標温度Tfに対して、その温度で十分定着可能となる給紙間隔が選択されるようになっている。したがって、入力電圧が低いほど定着温度が下がるとともに、給紙間隔も広くなり紙間での蓄熱量が多くなる構成としている。
なお、本実施例では入力電圧に応じて給紙間隔を広げて蓄熱を行う構成としたが、プロセススピードを遅くしてスループットを遅くしても同様の効果を得ることができる。
以上説明したように本実施例によれば、入力電圧が低下した場合に定着目標温度を下げるとともに給紙間隔を広げることで、画像形成装置の消費電流を商用電源の定格電流内にコントロールしつつ定着性能を維持することが可能となる。
実施例3である“画像形成装置”について説明する。
本実施例では、入力電圧が低い場合に定着目標温度を下げて消費電流を抑えるとともに、記録紙を定着器に2回通すことにより定着性能を維持する。
図9は本実施例の画像形成装置の構成を示す図である。
実施例1の図2に記載済のものは同じ符号を付すとともにここでの説明を省略する。
651は両面搬送ユニットであり両面印刷時に使用される。両面搬送ユニット651は、搬送路切り替えガイド653、両面搬送ローラ654、両面再給紙ローラ655、両面搬送ガイド656により構成される。
両面印刷の時、まず1面目が実施例1で記載したように記録紙上への画像形成動作が行われ、最後に定着排紙ローラ対435を通ってカラーレーザプリンタ401外に排出される。そして記録紙32の後端が排紙ローラ対435を抜けると、オプション搬送ユニット701の搬送ローラ703、704が逆回転を行い、記録紙32をスイッチバックするとともに、搬送路切り替えガイド653が、定着器431への経路を塞ぐとともに記録紙32を両面搬送ガイド656の方に導くように動作する。
両面搬送ユニット651に導かれた記録紙32は両面搬送ローラ654によって両面搬送ガイド656上を搬送される。やがて記録紙32の先端が両面再給紙ローラ655に到達すると再給紙されて再びレジストローラ対407によって搬送される。この時、記録紙32は1面目プリント時の裏面、すなわち1面目の非印字面側が印字面になっており、したがってここで画像形成動作を行えば、両面印刷となる。
本実施例では入力電圧が低く、定着温度を下げたときにこの両面搬送ユニットを用いて記録紙を2回定着器に通すことで定着性能を維持する。
図10は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。
以下に図10を用いて、画像形成中の動作について説明する。
まず、DCコントローラ201はPRINT信号を受信すると、S301で入力電圧を検出する。検出手法は実施例1と同様であるため省略する。
DCコントローラ201は入力電圧を検出すると、S302において表3の入力電圧と定着目標温度の制御テーブルを参照し、これに基づいて定着目標温度Tfを設定するとともに、強制両面通紙の有無を選択する。
Figure 2008250060
本実施例では入力電圧が低く、定着目標温度が所定値以下になっている状態でこの強制両面通紙が選択されるようになっている。
次いでS303で前述の手法によりヒータ432の加熱を開始し、S304でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S3
05でヒータ温度がTaに到達したかを判断し、Taに到達したらS306で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。画像形成中は定着温度を定着目標温度Tfに一定となるように制御する。次にS307において強制両面通紙が選択されているかを判断する。強制両面通紙が選択されていない場合は、次にS308で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。一方、画像形成が継続する場合は、S306で画像形成を継続する。
強制両面通紙が選択されていた場合は、S309において一度定着器から排出された記録紙32を前述した動作によって両面搬送ユニット651に送り込む。そして記録紙32は両面搬送ユニットを経て両面再給紙ローラ655によって給紙されて、再びレジストローラ対407からETB409に送り込まれて定着器431へと搬送される。定着器の定着温度は定着目標温度Tfに維持されている。
この時、画像形成動作は行わず、したがって記録紙には何も印刷されない。すなわち、両面ユニットを経由してきているが、プリントジョブ自体は片面プリントである。
そして次に、S308で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。一方、画像形成が継続する場合は、S306で画像形成を継続する。
この動作の目的は記録紙32を2回定着器に通すことによって定着性を向上させることである。
一度定着器によって加熱された記録紙は、温まるとともに水分が蒸発しているため、定着しやすい状態になる。また1面目ですでにある程度定着した状態であるため、両面搬送ユニットを経由したことによって印字面が1面目と反対になっていても、1面目をそのまま排出して最終出力とするよりも確実に定着性は向上している。
以上説明したように本実施例によれば、入力電圧が低く、定着温度を下げた場合でも十分な定着性能を得ることができる。
実施例4の“画像形成装置”について説明する。本実施例では、入力電圧だけでなく記録紙の表面性と厚みを検知し、その結果に応じて定着温度の目標値を選択する。
図11は本実施例の画像形成装置の構成を示す図である。
前述実施例に記載済のものは同じ符号を付すとともにここでの再説明を省略する。
323は記録紙に光を照射し、記録紙の反射光量および透過光量から記録紙の表面性と厚みを判別する記録紙種判別装置である。給紙、搬送されてきた記録紙32が、記録紙種判別装置323の位置に来たときに、記録紙の表面性と厚み(坪量)を判別し、この判別結果に応じて記録紙に応じた画像形成速度および画像形成条件を選択することが可能である。
図12は本実施例の画像形成装置の回路図である。
323は記録紙種判別装置であり、光照射素子561と反射光量検出素子562、透過光量検出素子563を有する。DCコントローラ201は記録紙32が記録紙種判別装置323に到達する所定のタイミングで光照射素子561をONさせる。反射光量検出素子562および透過光量検出素子563は受光光量に応じた出力をそれぞれDCコントローラ201のA/Dポート3および4に出力する。DCコントローラ201はA/Dポート3および4の電圧値に基づいて記録紙の表面性および厚み(坪量)を検出する。
図13は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。
以下に図13を用いて、画像形成中の動作について説明する。
まず、DCコントローラ201はPRINT信号を受信すると、S401で入力電圧を検出する。検出手法は実施例1と同様であるため説明を省略する。
DCコントローラ201は入力電圧を検出するとこれをDCコントローラ内のメモリに記憶する。次いでS402において定着目標温度Tfを設定する。本実施例では入力電圧によらず190℃に設定する。
次いでS403で前述の手法によりヒータ432の加熱を開始し、S404でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S405でヒータ温度がTaに到達したかを判断し、Taに到達したらS406で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。その後、S407において記録紙種判別装置323で記録紙の表面性および厚みを判別し、S408で記憶しておいた入力電圧と照合して、表4に示す制御テーブルに基づいて定着目標温度Tfが変更される。
Figure 2008250060
画像形成中の定着温度は、S408において決定した定着目標温度Tfに一定となるように制御する。次にS409で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。一方、画像形成が継続する場合は、S406で画像形成を継続し、次の記録紙を給紙する。次の記録紙に対してもS407で1枚目と同様に記録紙の表面性と厚みを判別し、S408で、その都度定着目標温度を設定する。
表4の制御テーブルでは記録紙の表面性が平滑であるほど、また記録紙が厚いほど定着目標温度を下げる設定としている。
表面性に関しては記録紙がより平滑であるほど、定着器での定着温度維持により多くの消費電流が必要になる。表面が平滑な記録紙と粗い記録紙を比較した場合、粗いものは表面の凹凸により記録紙表面全てが定着フィルムおよび加圧ローラに接しないため定着器から記録紙への熱の伝達が少なく、定着器側に保持される熱量が多い。したがって定着器を定着温度に維持するのに必要な消費電流は少なくなる。これに対して平滑紙は凹凸が少ないため定着フィルムおよび加圧ローラに接する表面積が大きく、定着ニップにおける定着器から記録紙への熱の伝達も多くなる。このため、定着器を目標温度に維持する消費電流は大きくなる。
また一方、記録紙が厚いほど定着器での定着温度維持により多くの消費電流必要になる。これは厚い記録紙ほど熱容量が大きく、より多くの熱を定着器から奪っていくことから自明である。
このことから、記録紙の表面性が平滑であるほど、また記録紙が厚いほど、画像形成装置の消費電流が商用電源の定格電流を超える危険が高くなる。
実施例1との比較では、表1の制御テーブルと表4の制御テーブルにおいて、表4の方が定着目標温度を表面性、厚みによって高めに設定している。実施例1では記録紙の種類がわからないために、想定される記録紙で表面性が平滑でかつ厚みが最大のものが通紙されても消費電流が定格電流を超えないように定着目標温度を設定していた。これに対して本実施例は、記録紙種に合わせて定着目標温度を変更できるため、消費電流の小さい表面性の粗いものや、薄紙ではより定着目標温度を高く設定することができる。
ところで本実施例では図13のフローチャートのS402において入力電圧に関係なく定着目標温度Tfを190℃と設定したが、この時点で入力電圧に応じて例えば表1のような制御テーブルを用いて設定しても構わない。いずれにしろS407で記録紙の表面性と厚みを検知した後に、S408で記録紙種に合わせて定着目標温度の変更処理(修正)が加えられるが、S402において入力電圧から設定されると予想される定着温度の目安をつけた値に設定しておくと、S408において目標温度を変更した後の定着温度の変動幅が少なく速やかに制御ができるメリットがある。
また、記録紙種が給紙前に検知できるならば、S402で入力電圧と記録紙種のパラメータを盛り込んだ制御テーブルで定着目標温度を設定してもよい。
本実施例では、前述のように記録紙の表面性および厚みを検知することにより実施例1と比べより高い定着目標温度を選択できる。特にユーザーの使用頻度が高い薄紙において良好な定着性を保つことが可能となる。また、表面性の粗い記録紙は消費電流は少ないが定着性は悪い。これに対して実施例1と比べてより高い定着目標温度を設定でき、定着性を向上させることができる。
なお、本実施例では記録紙種検知装置により表面性と厚みの両方を検知したが、表面性のみ、あるいは厚みのみの検知で制御しても構わない。表面性のみの場合は表5のように入力電圧に応じて表面性が平滑であるほど定着目標温度を低くするような制御テーブルとし、また厚みのみの場合は表6のような入力電圧に応じて厚みが厚いほど定着目標温度を低く設定するような制御テーブルを用いればよい。
Figure 2008250060
Figure 2008250060
また、本実施例と実施例2または3を組み合わせ、記録紙が平滑あるいは厚いときに定着目標温度を低くするとともに、給紙間隔を広げる、もしくは両面搬送ユニットを用いて定着器に2回通すことで、装置の消費電流を商用電源の定格電流内に抑えつつ定着性能を良好に保つという手段をとってもよい。
実施例5の“画像形成装置”について説明する。本実施例では、入力電圧だけでなく画像形成装置の周囲温度を検知(環境温度検知)し、その結果に応じて定着温度の目標値を選択する。
図14は本実施例の画像形成装置の構成を示す図である。
前述実施例に記載済のものは同じ符号を付すとともにここでの説明を省略する。
324は画像形成装置の周囲温度を検知する温度検知センサである。この温度検知センサ324で画像形成装置の周囲温度を検知し、検知結果に応じて選択した画像形成条件の補正を行うことが可能である。
図15は本実施例の画像形成装置の回路図である。
画像形成装置の周囲温度を検知する温度検知センサ324は、検知温度に応じた出力をDCコントローラ201のA/Dポート5に出力する。DCコントローラ201はA/Dポート5の電圧値に基づいて画像形成装置の周囲温度を検出する。
図16は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。
以下に図16を用いて、画像形成中の動作について説明する。
まず、DCコントローラ201はPRINT信号を受信すると、S501で入力電圧と画像形成装置の周囲温度を検出する。入力電圧の検出手法は実施例1と同様であるため説明を省略する。
DCコントローラ201は入力電圧および周囲温度を検出すると、S502において表7に示す入力電圧と周囲温度と定着目標温度の制御テーブルを参照し、これに基づいて定着目標温度Tfを設定する。
Figure 2008250060
次いでS503で前述の手法によりヒータ432の加熱を開始し、S504でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S505でヒータ温度がTaに到達したかを判断し、Taに到達したらS506で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。
画像形成中の定着温度は、S502において決定した定着目標温度Tfに一定となるように制御する。次にS507で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。一方、画像形成が継続する場合は、S506で画像形成を継続する。
本実施例のように周囲温度検知装置を設ける理由を以下に述べる。定着器の消費電流は周囲温度によって変わり、周囲温度が低いほど定着器の温度を維持するのにより多くの消費電流が必要になる。これは周囲温度が低いほど周囲環境にそれだけ多くの熱を奪われることに加え、記録紙の温度も周囲環境と同じように低くなっているため、記録紙が奪う熱も大きくなるからである。したがって、画像形成装置の消費電流が商用電源の定格電流を超えないように定着温度を制御する場合、周囲温度が低いときはより定着温度を低く制御する必要があり、逆に周囲温度が高いときには、必要以上に定着温度を下げることはない。
前述の実施例では、周囲温度がわからないため、定着温度の設定が適切にはできなかった。これに対して本実施例では画像形成装置の周囲温度を検知することにより、定着目標温度をより最適な値に設定することが可能となる。
周囲温度が低いほど定着温度を低くすることは、定着性の観点では好ましいことではないが、画像形成装置の消費電流が商用電源の定格電流を超えることを防止することの方が製品安全上は重要である。
定着性を維持するために、実施例2、3で説明した給紙間隔を広げる、あるいは両面搬送ユニットから再給紙して定着器に2回通す等の手法を組み合わせて用いてもよい。すなわち、入力電圧が低くかつ周囲温度が低いときには生産性を落として、消費電流を定格電流以下に抑えるとともに、良好な定着性能を得ることも可能である。
また、実施例4のような記録紙の表面性や厚みに合わせた制御と組み合わせることもできる。
例えばその場合の制御としての画像形成動作を説明するフローチャートを図17に示す。
以下に図17を用いて、画像形成中の動作について説明する。
まず、DCコントローラ201はPRINT信号を受信すると、S601で入力電圧と画像形成装置の周囲温度を検出する。入力電圧の検出手法は実施例1と同様であるため説明を省略する。
DCコントローラ201は入力電圧および周囲温度を検出すると、これをDCコントローラ内のメモリに記憶する。次にS602において定着目標温度Tfを設定する。この時、定着目標温度Tfは適当な値に設定されていればよいが、本実施例では200℃とする。
次いでS603で前述の手法によりヒータ432の加熱を開始し、S604でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S605でヒータ温度がTaに到達したかを判断し、Taに到達したらS606で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。その後、S607において記録紙種判別装置323で記録紙の表面性および厚みを判別し、S608で表8に示す制御テーブルに基づいて定着目標温度Tfが変更される。
この表8は実施例4の表4と同様のものである。
Figure 2008250060
次にS609で表9に示す制御テーブルを参照し、入力電圧と周囲温度に基づいて定着目標温度Tfに対する温度補正を行う。
Figure 2008250060
すると、実際の定着温度は表8で決定した目標温度に対して表9の補正がたされたものになる。例えば、入力電圧が90Vで周囲温度が5℃未満の時には定着目標温度195℃に対して−5degの温度補正の処理がなされ、実際は190℃に定着温度が設定されることになる。
画像形成中の定着温度は、定着目標温度Tfに補正を加えた温度で一定となるように制御する。次にS610で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。一方、画像形成が継続する場合は、S606で画像形成を継続し、次の記録紙を給紙する。次の記録紙に対してもS607で1枚目と同様に記録紙の表面性と厚みを判別し、S608でその都度定着温度を設定する。そしてS609の補正処理も継続して行う。
このように記録紙種判別装置も同時に用いた構成とすることで制御をより最適化することができる。
実施例6の“画像形成装置”について説明する。本実施例では、定着器の温まり具合によって定着目標温度を切り替える。
連続通紙時に定着器で最も消費電流が大きくなるのは、通紙開始直後であり、まだ定着器が冷えている場合が多い。これは、定着器が冷えている場合、記録紙以外の例えば加圧ローラ等の部品を支持する支持フレーム等にも熱が奪われるため、定着器の温度を目標温度に維持するには余計に消費電流を必要とするからである。
これに対して連続通紙を続けると、定着器全体が温まってくるため、だんだん消費電流は低下していく。
これは逆に、同じ消費電流で維持可能な定着温度は連続通紙中に徐々に高くなっていくということである。
すなわち、画像形成装置の消費電流を商用電源の定格電流以下に抑えるために設定した定着目標温度は、連続通紙によって定着器が温まった状態では、より高い温度に切り替えてもよいということである。
この傾向は特に定着部の熱容量が少ないフィルム加熱方式において顕著であるが、他方式においても多々見受けられる現象である。
本実施例ではこの現象を利用し、安全性、定着性の面でより最適な定着温度を設定する。
本実施例のハードウエア構成は実施例1と同様なので、その説明を援用しここでの説明を省略する。
図18は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。
以下に図18を用いて、画像形成中の動作について説明する。
まず、DCコントローラ201はPRINT信号を受信すると、S701で入力電圧とサーミスタ530の検知温度を検出する。入力電圧の検出手法は実施例1と同様である。
DCコントローラ201は入力電圧、サーミスタの温度を検出すると、S702において表10に示す入力電圧とサーミスタの初期温度と定着目標温度の制御テーブルを参照し、これに基づいて定着目標温度Tfを設定する。
Figure 2008250060
画像形成開始前のサーミスタ温度がある程度高いときは、定着器が温まっていると判断できる。したがって定着温度を高めに設定しても消費電流が商用電源の定格電流を超えることはない。
次いでS703で前述の手法によりヒータ432の加熱を開始し、S704でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S705でヒータ温度がTaに到達したかを判断し、Taに到達したらS706で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。
画像形成中の定着温度は、S702において決定した定着目標温度Tfに一定となるように制御する。次にS707で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する。一方、画像形成が継続する場合は、S708で表11の制御テーブルに従って連続通紙枚数検知による定着目標温度Tfの補正を行う。
Figure 2008250060
そして、S708において補正された定着目標温度Tfにて画像形成を継続する。
本実施例では、画像形成開始前に定着器の温まり具合を初期サーミスタ温度で判断する。さらに連続プリントよって温まる分を通紙枚数をカウントすることで判断して、もう一度補正をかける。このような手法を用いることで、定着温度による定着器での消費電流のコントロールを、よりきめ細かくすることが可能になる。すなわち、装置の消費電流を商用電源の定格電流以下に抑えながら、定着器での定着性能を可能な限り良好な状態に設定することができる。
なお、本実施例を実施例2〜5と組み合わせて用いることも可能である。例えば実施例2との組み合わせでは、表12のように定着目標温度に応じて給紙間隔を設定し、表11によって定着目標温度に補正が加わったときには表12にしたがって給紙間隔を変更する等の処置をとれば定着性能を完全に維持しつつ、定格電流を抑えることができる。
Figure 2008250060
以上説明したように本実施例によれば、前記制御を行うことで、入力電圧検知によって画像形成中の画像形成装置の消費電流が商用電源の定格電流を超えないように制御することが可能となる。
また、必要に応じて所望の定着性を確保し、画像形成能力の低下を最小限に止めることが可能となる。
なお、実施例1〜6では、カラーレーザプリンタの例を用いて説明を行ったが、画像形成装置はカラーレーザプリンタに限定されるものではなく、モノクロレーザプリンタであっても構わない。また定着器もフィルム加熱方式に限定されるものではなく、例えば熱ローラ方式等、通電によって加熱するあらゆる構成の定着器に適用することが可能である。
実施例1における画像形成動作を説明するフローチャート 実施例1の画像形成装置の構成を示す図 実施例1の画像形成装置の回路図 定着温度と定着器での消費電流の関係を説明する図 低圧電源の入力電圧と消費電流の関係を説明する図 画像形成装置全体での入力電圧と消費電流の関係を説明する図 実施例1の画像形成装置の入力電圧と消費電流の関係を説明する図 実施例2における画像形成動作を説明するフローチャート 実施例3の画像形成装置の構成を示す図 実施例3における画像形成動作を説明するフローチャート 実施例4の画像形成装置の構成を示す図 実施例4の画像形成装置の回路図 実施例4における画像形成動作を説明するフローチャート 実施例5の画像形成装置の構成を示す図 実施例5の画像形成装置の回路図 実施例5における画像形成動作を説明するフローチャート 実施例5の変形における画像形成動作を説明するフローチャート 実施例6における画像形成動作を説明するフローチャート 定着器に流れる定着電流波形を説明する図
符号の説明
201 DCコントローラ
401 カラーレーザプリンタ
431 定着器

Claims (6)

  1. トナー画像を記録材に生成するトナー画像生成手段と、前記トナー画像生成手段により生成した前記記録材のトナー画像を圧力と熱によって前記記録材に定着させる定着手段と、前記定着手段の温度を定着目標温度に制御する制御手段とを備えた画像形成装置において、
    前記画像形成装置の入力電圧を検知する入力電圧検知手段を備え、
    前記制御手段は、前記入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値以下の場合に、前記定着手段の前記定着目標温度を低下させることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記制御手段は、前記入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値以下の場合に、給紙間隔を広げることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1または2に記載の画像形成装置において、
    前記制御手段は、前記入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値以下の場合に、前記記録材を前記定着手段に2回通すことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記記録材の表面性および厚みの少なくとも1つを検知する紙種検知手段を備え、
    前記制御手段は、前記紙種検知手段の検知結果により前記定着目標温度の値を修正し、前記定着手段の温度を修正した定着目標温度に制御することを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、
    環境温度を検知する環境温度検知手段を備え、
    前記制御手段は、前記環境温度検知手段の検知結果により前記定着目標温度を修正し、前記定着手段の温度を修正した定着目標温度に制御することを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記記録材の連続通紙枚数を検知する連続通紙枚数検知手段を備え、
    前記制御手段は、前記連続通紙枚数検知手段の検知結果により前記定着目標温度を修正し、前記定着手段の温度を修正した定着目標温度に制御することを特徴とする画像形成装置。
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