JP2017134111A - 定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、次のような定着装置を備えた画像形成装置(カラープリンタ)が記載されている。
この定着装置では、定着部材の内周面を加熱手段で直接、加熱することが可能である。
このように直接、加熱することで、特許文献1には、定着部材の内周面が摺接する中空パイプ状の金属熱伝導体の中空部に設けた加熱手段で定着部材を間接的に加熱する構成よりも、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮できる旨、記載されている。
画像形成装置にコンセント等を介して外部から入力される入力電圧が低い状態で印刷を開始してしまうと、定着部材の温度が急激に低下して、低温による画像欠損(オフセット)を起こすという不具合である。同様な不具合は、定着部材を間接的に加熱する構成でも起こり得る。
ここで、本実施形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能で、特に区別する必要がない限り同一符号を付すことにより一度説明した後では、適宜、その説明を省略する。
図1に示すプリンタ100は、タンデム方式のカラーレーザープリンタであり、その装置本体の中央部に、複数(4つ)の色画像を形成する作像部からなる画像ステーションが設けられている。
ここで、ブラックの画像形成を行う感光体ドラム120Bkを対象として説明する。感光体ドラム120Bkの周囲には、その感光体ドラム120Bkの回転方向に沿って画像形成処理を行う、帯電装置30Bk、現像装置40Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ112Bk、及び、クリーニング装置50Bkが配置されている。帯電後の感光体ドラム120Bkに対して行われる静電潜像の書き込みには、感光体ドラム120Bkの表面を露光する露光手段としての光書込装置6が用いられる。
このクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより、中間転写ベルト11上の残留トナー等の異物が掻き取り除去されて、中間転写ベルト11がクリーニングされる。また、転写ベルトクリーニング装置13は、中間転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための排出手段を有している。
電源装置80には、コンセント301等に差し込まれて電力を伝達する電源プラグ81、及びこれに連結された電源コードが接続されている。また、電源装置80内には、外部から入力される入力電圧を測定する電圧測定手段である電圧計85が設けられている。
制御部90は、プリンタ100の制御装置であり、CPU(中央処理装置)、制御プログラムを記憶する読み出し専用のメモリ(ROM)、データを一時的に記憶する読み書き可能なメモリ(RAM)、不揮発性のフラッシュメモリ等を有している。
そして、各種の演算処理を実行したり、図2に示すように接続された各装置等に有する各種の駆動系機器を駆動したり、各種のセンサと通信したり、電源装置80を制御して各装置等にコンセント301等から給電された電力を供給したりする。
プリンタ100において、制御部90の制御により作像動作が開始されると、各作像部における各感光体ドラム120が、それぞれ駆動装置によって図中、時計回りに回転駆動される。そして、各感光体ドラム120の表面が、帯電装置30Y,C,M,Bkによって所定の極性に一様に帯電される。
画像形成装置では、電子写真記録・静電記録・磁気記録等の画像形成プロセスにより、画像転写方式もしくは直接方式により未定着トナー画像が記録材シート・印刷紙・感光紙・静電記録紙などの記録材に形成される。未定着トナー画像を定着させるための定着装置としては、熱ローラ方式、ベルト方式(例えば、特許文献2)、セラミックヒータを用いたサーフ定着(フィルム定着)方式(例えば、特許文献3)、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式の定着装置等が知られている。
ベルト方式の定着装置では、近年、さらなるウォームアップタイム(ウォームアップ時間)や、ファーストプリントタイム(ファーストプリント時間)の短縮化が望まれている(課題1)。
ここで、ウォームアップタイムとは、画像形成装置の電源投入時など、常温状態から印刷可能な所定の温度(リロード温度)までに要する時間である。また、ファーストプリントタイムとは、印刷(画像形成)要求を受けた後、印刷準備を経て印字動作を行い排紙が完了するまでの時間である。
特に、高速機においては、定着ベルトの回転が速く、定着ニップ部以外での定着ベルトの放熱が多くなるため、より定着不良が発生しやすくなるという問題がある(課題3)。
定着ベルト全体を温めることを可能にし、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮でき、かつ高速回転時の熱量不足を解消して、高生産の画像形成装置に搭載されても、良好な定着性を得ることができるようにした定着装置である(例えば、特許文献4)。
この定着装置は、図3に示すように、定着ベルト(無端ベルト)21の内部にパイプ状の金属熱伝導体200を、定着ベルト21の移動をガイドすることが可能に固定し、金属熱伝導体200内の熱源223により金属熱伝導体200を介して定着ベルト21を加熱する。
さらに定着ベルト21を介して金属熱伝導体200に接して定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ22を備え、加圧ローラ22の回転に連れ回りするようにして定着ベルト21を周方向に移動させる。加圧ローラ22は芯金22a上に弾性ゴム層22bが設けられたものである。
この構成により、定着装置を構成する定着ベルト21全体を温めることを可能にし、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消することが可能となっている旨、特許文献4には記載されている。
更なるファーストプリントタイムの短縮、及び省エネ性向上のためには、伝熱効率を更に向上させる必要があり、金属熱伝導体を介して定着ベルトを間接的に加熱する構成から、定着部材を直接、加熱する構成に変更することが考えられる。
このように定着ベルトを直接、加熱する構成とすることで、伝熱効率が大幅に向上させることで消費電力を低減するとともに、加熱待機時からのファーストプリントタイムも更に短縮することが可能となる。
つまり、定着ベルトを直接加熱する構成とすることで、省エネ性が高く、加熱待機時からのファーストプリントタイムを更に短縮することが可能となった。
画像形成装置に入力される入力電圧が低い状態で印刷を開始してしまうと、定着ベルトの温度が急激に低下して、低温による画像欠損(オフセット)を起こすという不具合である(課題4)。
また、従来構成では、例えば、加熱手段としてのヒータ発光長と記録材サイズ(用紙サイズ)が異なる場合には記録材サイズより外側の領域は熱が持っていかれずに留まり温度上昇するため、定着装置の内部部材の熱劣化の可能性もあった(課題5)。
まず、構成例1の定着装置20について、図を用いて説明する。
図4は、構成例1の定着装置20の構成説明図である。
図4に示すように、構成例1の定着装置20内には、加圧部材としての加圧回転体である加圧ローラ22と定着ベルト21を有し、加熱手段(熱源)である1本のハロゲンヒータから構成される熱源23により定着ベルト21が内周側から輻射熱で直接加熱される。この定着ベルト21内には、定着ベルト21を介して対向する加圧ローラ22と定着ニップ部Nを形成するニップ形成部材24があり、定着ベルト21内面と直接(もしくは、摺動シートを介して間接的に)摺動するようになっている。
また、熱源23と支持部材25の間に反射部材26を備え、熱源23からの輻射熱などにより支持部材25が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギー消費を抑制している。
ここで、反射部材26を備える代わりに支持部材25表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることか可能となる。
また、熱源23は、図4に示したハロゲンヒータでも良いが、IHであっても良いし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であっても良い。
この温度センサ28の検出結果に基づいて、加熱手段である熱源23による加熱動作が制御部90により制御される。このように、制御することで、トナー画像(トナーT)が付着した用紙Pの紙種や紙厚や環境温度等に応じた加熱動作、及び電源投入時など、常温状態から印刷可能な所定の温度まで加熱する予備加熱動作を適切に制御することができる。
この加圧ローラ22は中空のローラであっても良く、加圧ローラ22にハロゲンヒータなどの加熱源を設けても良い。また、弾性ゴム層22bはソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ22内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われ難くなるので、より望ましい。
このように構成することで、安価で、ウォームアップが速い定着装置20を提供することが可能となる。
次に、構成例2の定着装置20について、図を用いて説明する。
図5は、構成例2の定着装置20の構成説明図である。
図4に示した構成例1では、熱源23が1本のハロゲンヒータで構成されているのに対し、図5に示すように、構成例2では、熱源23が3本のハロゲンヒータ23A,B,Cで構成されている点が主に異なる。本構成例では、用紙Pの用紙幅に対応するためハロゲンヒータを3本備えている。
次に、構成例3の定着装置20について、図を用いて説明する。
図6は、構成例3の定着装置20の構成説明図であり、図6(a)が、断面説明図、図(b)が、後述する高熱容量部材である蓄熱部材27を定着ニップ部N側に設けたニップ形成部材24の構成の説明図である。
図6(a)に示した構成例3の定着装置20は、ハロゲンヒータ等から構成される熱源23からの輻射熱を遮断する遮断部材としての遮光部材29(遮光板)を設けた点が上述した構成例1、2と主に異なる。
この構成により、紙幅の狭い用紙Pを連続通紙した場合でも、非通紙領域が過昇温状態になることがなく、非通紙領域での過昇温を低減するために生産性を落とす等の制御を最小限にとどめることができる。すなわち、従来構成の課題であった、定着装置の内部部材の熱劣化の可能性(課題5)を低減することができる。
このように定着装置20を構成することで、次のような効果を奏することができる。
紙幅の狭い用紙Pを連続通紙した場合でも、非通紙領域が過昇温状態になることがなく、非通紙領域での過昇温を低減するために生産性を落とす等の制御を最小限にとどめることができる。すなわち、従来構成の課題であった、定着装置の内部部材の熱劣化の可能性(課題5)を、非通紙領域での過昇温を低減するために生産性を落とす等することなく、最小限にとどめることができる。
プリンタ100に入力される電圧が標準よりも低くなる理由はさまざまあり、例えば、次のような場合に発生する。自家発電気で発電能力が十分でない場合や、電力供給が不安定な新興国である場合、また他の電気製品が動作したために、そのコンセントから入力される入力電圧が一時的に低下している場合等である。
ここで、本実施形態のプリンタ100に備える電源装置80に電力を供給するコンセント301としては、例えば、次のようなコンセントが挙げられる。プリンタ100の設置場所の壁、床、天井等に配置されたコンセントや、自家発電機等の発電機、無停電電源装置、安定化電源装置、及び分電盤等の電力供給機器に設けられたコンセントや、これらから延長したコンセントである。
構成例1〜3で説明したように、回転可能な無端状の定着ベルト21と、定着ベルト21を加熱する熱源23と、定着ベルト21の内周側に配置されるニップ形成部材24とを備えた。また、ニップ形成部材24に対し定着ベルト21を間に挟んで対向するように配置され、ニップ形成部材24と定着ベルト21を挟みこんで定着ニップ部Nが形成されるように、定着ベルト21をニップ形成部材24側へ加圧する加圧ローラ22も備えた。
そして、プリンタ100に、コンセント301から入力される入力電圧に基づいて、熱源23による加熱動作や、用紙P上にトナー画像を定着させる定着動作が制御されるように構成した。つまり、プリンタ100に、コンセント301から入力される入力電圧に基づいて、熱源23による定着ベルト21への通紙前の加熱動作や、用紙P上にトナー画像を定着させる通紙タイミングや通紙間隔の変更等の定着動作が制御されるように構成した。
例えば、入力電圧が好適な定着温度まで定着ベルト21を加熱できる予め規定した基準電圧よりも低い場合には印刷(画像形成)開始を遅らせ、その間に熱源23の加熱動作で定着ベルト21を定着可能な温度まで加熱することができる。
また、連続した印刷を行う場合、入力電圧が基準電圧よりも低いときには、印刷する用紙Pと、次に印刷する用紙Pとの間隔を広げ、この用紙Pの間隔の間で定着ベルト21を定着可能な温度まで加熱して、定着ベルト21を一定以上の温度に維持することができる。
よって、プリンタ100に入力される入力電圧の低下に起因した、定着ベルト21の温度低下による画像欠損の発生を抑制できる定着装置20を提供できる。
入力電圧が多少変動したとしても、熱源23により生じる熱を蓄熱部材27に蓄熱し、この蓄熱した熱を定着ベルト21に熱供給することで、電圧低下に起因した、定着ベルト21の温度低下による画像欠損の発生を、蓄熱部材27を設けていない構成よりも抑制できる。
例えば、入力電圧が好適な定着温度まで定着ベルト21を加熱できる予め規定した基準電圧よりも低い場合には画像形成開始を遅らせ、その間に熱源23の加熱動作で生じた熱を蓄熱部材27に蓄熱し、印刷動作開始後に蓄熱した熱を定着ベルト21に熱供給できる。
また、連続した印刷を行う場合、入力電圧が基準電圧よりも低いときには、印刷する用紙Pと、次に印刷する用紙Pとの間隔を広げ、この用紙間隔の間で蓄熱部材27に熱を供給して蓄熱部材27の蓄熱量を維持し、定着ベルト21を一定以上の温度に維持ができる。
また、ニップ形成部材24の定着ニップ部N側に蓄熱部材27が設けられているので、熱源23で生じた熱を蓄熱部材27に効率良く蓄熱できるとともに、蓄熱部材27に蓄熱した熱を、温度が低下した定着ベルト21に効率良く熱供給する(伝える)ことができる。
図7は、ニップ形成部材24に設けた蓄熱部材27の、定着ベルト21側から見た平面説明図、図8は、定着装置20に設けた熱源23、蓄熱部材27、及び加圧ローラ22の用紙幅方向(定着ベルト21の無端移動方向に直交する方向)の位置関係の説明図である。
また、この構成では、定着ベルト21からの吸熱効果を高めるためにニップ形成部材24の表面に低摩擦シートを設けていない。但し、蓄熱部材27が定着ベルト21から熱を吸収しすぎたり、定着ベルト21のトルクに難が生じたりする場合は、低摩擦シートを設けたり、蓄熱部材27表面の摺動部分をコーティングしてもよい。これにより、定着ベルト21の良好な摺動性を実現し、定着ベルト21の内周の摩耗を防ぐことができる。
また、蓄熱部材27には、図7に示すように、その両端部に開口部を有する。これにより、蓄熱部材27が蓄熱した熱が、幅方向端部で放熱されることを防ぐ効果があるが、必ずしも設ける必要は無く、定着装置20の構成によっては、開口を有さなくても構わない。
また、加圧ローラ22の両端には、定着ニップ部Nにおける加圧ローラ22の回転駆動力を効率良く定着ベルト21に伝達するための高粘着部22dが、最大通紙幅の外側まで対称に形成されている。
そして、蓄熱部材27は、ニップ形成部材24の基材の定着ニップ部N側に設けられ、その用紙幅方向の長さは、図8に示すように、加圧ローラ22の両端に設けた高粘着部22dを、両端に設けた開口27aの内側端部が少し跨ぐ程度の長さとなっている。
一方、熱源23は、中央部を加熱するヒータ23A、端部を加熱するヒータ23Bからなり、最大通紙幅とほぼ同等の位置に配置されているため、非通紙領域において熱が蓄積されにくく、温度上昇は生じにくい構成となっている。
このように駆動力を与えるためには、加圧ローラ22の表面が滑り抵抗の高い材質で構成されているのが好ましいが、滑り抵抗が高いと表面粘着性も高くなる。表面粘着性が高いと、画像定着時に定着ベルト21の表面(外周面)に残った残トナーが加圧ローラ22に付着し、後の画像定着時に通紙する記録材の裏面を汚してしまう不具合が発生するおそれがある。
このように長時間、高温にさらされると、ソリッドゴムは、その組織が硬化し粘着力が低下するだけでなく、最悪の場合、硬化が進行してゴムにクラックが生じて破損することもある。つまり、加圧ローラ22の高粘着領域22dは適当に加熱する必要があるが、過剰に高温の状態が続くと不具合が生じるという問題があった。
このように構成することで、熱源23により生じた熱が定着ベルト21を介して、加圧ローラ22の高粘着領域22dに過剰に熱供給されることを抑制でき、高粘着領域22dの温度を好適(適切)に高めることができる。
このように構成することで、本実施形態のプリンタ100は、次のような効果を奏することができる。
また、連続した印刷を行う場合、入力電圧が基準電圧よりも低いときには、印刷する用紙Pと、次に印刷する用紙Pとの間隔を広げ、この用紙Pの間隔の間で定着ベルト21を定着可能な温度まで加熱して、定着ベルト21を一定以上の温度に維持することができる。
よって、プリンタ100に入力される入力電圧の低下に起因した、定着ベルト21の温度低下による画像欠損の発生を抑制できるプリンタ100を提供できる。
まず、本実施形態のプリンタ100の制御部90が行う定着制御例の具体例1を、図を用いて説明する。
図9は、具体例1に係る、定着制御例のフロー図である。
この具体例1では、入力電圧の計測(測定)結果(電圧計85の計測結果)が予め規定した基準電圧よりも低い場合、基準電圧以上である通常電圧時の場合よりも、印刷動作の開始を遅らせ、蓄熱部材27に熱を蓄熱した後に、印刷動作を開始するように構成した。つまり、入力電圧が予め規定した基準電圧よりも低い場合、熱源23を駆動させ加圧ローラ22を回転駆動して蓄熱部材27に熱源23から生じた熱を蓄熱する画像形成前蓄熱動作を行うように構成した。
次に、計測した入力電圧の計測結果(計測値)が、予め規定した基準電圧以上であるか否かの判定を行い(S102)、基準電圧以上であると判定したら(S102のYes)、印刷開始を許可し(S103)、通常の印刷動作に係る制御を開始する。
この蓄熱動作を(S104)、所定時間、又は定着ベルト21の表面温度が所定の温度まで上昇するまで継続した後、印刷開始を許可し(S103)、印刷動作に係る各部の動作制御を開始する。
すなわち、具体例1の定着制御例では、制御部90は、プリンタ100の各部を次のように制御する。電圧計85の計測(測定)結果が予め規定した基準電圧よりも低い場合、基準電圧以上である通常電圧時の場合よりも、印刷動作の開始を遅らせ、蓄熱部材27に熱を蓄熱した後に、印刷動作を開始するように制御する。
入力電圧が好適な定着温度まで定着ベルト21を加熱できる基準電圧を下回っている場合には印刷開始を遅らせ、その間に熱源23の加熱動作で生じた熱を蓄熱部材27に蓄熱し、印刷開始後に蓄熱した熱を定着ベルト21に熱供給できる。
したがって、プリンタ100に入力される入力電圧の低下に起因した、定着ベルト21の温度低下による画像欠損の発生を抑制できるプリンタ100を提供できる。
次に、本実施形態のプリンタ100の制御部90が行う定着制御例の具体例2を、図を用いて説明する。
図10は、具体例2に係る、定着制御例のフロー図である。
上述した具体例1の構成では、入力電圧が低いときに定着装置20への通紙開始を遅らせて蓄熱部材27に熱を蓄えても、印刷を開始した後に蓄熱分を使い切ってしまうと、入力電圧の低下に起因した、定着ベルト21の温度低下による画像欠損が発生してしまう。
そこで、この具体例2の定着制御例では、入力電圧が基準電圧を下回る場合、印刷を開始した後に用紙間隔を広げる構成とした。
次に、計測した入力電圧の計測結果(計測値)が、予め規定した基準電圧以上であるか否かの判定を行う(S202)。
そして、基準電圧以上であると判定したら(S202のYes)、通常生産性での印刷動作に係る制御を開始する(S203)。
すなわち、具体例2の定着制御例では、制御部90は、プリンタ100の各部を次のように制御する。電圧計85の計測(測定)結果が予め規定した基準電圧よりも低い場合、基準電圧以上である通常電圧時の場合よりも、連続して印刷動作を行うときの用紙Pの間隔を広げて印刷動作を行うように制御する。
入力電圧が基準電圧を下回る場合、印刷する用紙Pと、次に印刷する用紙Pとの間隔を広げ、この用紙Pの間隔の間で蓄熱部材27に熱を供給することで、蓄熱部材27の蓄熱量を維持し、蓄熱部材27を一定以上の温度に維持することができる。
したがって、プリンタ100に入力される入力電圧の低下に起因した、定着ベルト21の温度低下による画像欠損の発生を抑制できるプリンタ100を提供できる。
次に、本実施形態のプリンタ100の制御部90が行う定着制御例の具体例3を、図を用いて説明する。
図11は、具体例3に係る、定着制御例のフロー図である。
上述した具体例2の構成では、入力電圧が基準電圧を下回っている場合でも、印刷を開始した後に用紙間隔を広げて印刷動作をおこなっていると、蓄熱部材27の温度が十分に上昇する場合がある。
そこで、この具体例3の定着制御例では、入力電圧が基準電圧を下回っている場合でも、印刷を開始した後に用紙間隔を広げて印刷動作をおこなっている間に、所定の生産性復帰条件を満たすようになった場合には、通常の用紙間隔に戻すように構成した。
次に、計測した入力電圧の計測結果(計測値)が、予め規定した基準電圧以上であるか否かの判定を行う(S302)。
そして、基準電圧以上であると判定したら(S302のYes)、通常生産性での印刷動作に係る制御を開始する(S303)。
その後、印刷を行っている用紙Pのサイズや印刷枚数、印刷時間等から特定される所定の生産性復帰条件を満足したか否かの判定を行う(S305)。この判定で、生産性復帰条件を満足したと判定した場合には(S305のYes)、通常生産性での印刷動作に係る制御に移行する(S303)。一方、生産性復帰条件を満足していないと判定した場合には(S305のNo)、用紙間隔を広げた印刷を継続し(S304)印刷が終了するまで、定期的に生産性復帰条件を満足したか否かの判定を繰り返す。
電圧計85の計測(測定)結果が予め規定した基準電圧よりも低く、用紙Pの間隔を広げて連続する印刷動作を開始した後、所定の生産性復帰条件を満たした場合に、通常電圧時の用紙Pの間隔に戻すように制御する。
用紙Pの間隔を広げて印刷を開始した場合でも、蓄熱部材27の温度が十分上昇した場合には用紙Pの間隔を通常電圧時の用紙Pの間隔に戻し、通常電圧時と同じとすることで、プリンタ100を使用するユーザの使い勝手を向上させることができる。特に用紙Pの幅が狭い場合、用紙Pが通っていない部分の蓄熱部材27は常に熱供給を受けるため蓄熱部材27の温度は上昇しやすく、そのような印刷動作ではより早く通常の用紙Pの間隔に戻すことができる。
したがって、プリンタ100に入力される入力電圧の低下に起因した、定着ベルト21の温度低下による画像欠損の発生を抑制しつつ、生産性の低下を抑制できるプリンタ100を提供できる。
次に、本実施形態のプリンタ100の制御部90が行う定着制御例の具体例4を、図を用いて説明する。
図12は、具体例4に係る、定着制御例のフロー図である。
上述した具体例1〜3の構成では、入力電圧が低すぎる場合には、入力電圧の低下に起因した、定着ベルト21の温度低下による画像欠損の発生を抑制することができない場合がある。
また、予め規定する入力電圧の、複数の電圧区分の区分数は、本来、任意であるが、以下に説明する具体例4の定着制御例では、3つの電圧区分に分けて制御している。
具体的な電圧区分としては、次の3つの電圧区分に分けて制御している。予め規定した基準電圧を含む、基準電圧(電圧レベル1)、動作停止電圧(電圧レベル2)の2つの電圧レベルを予め規定し、基準電圧以上(通常電圧)、基準電圧未満・動作停止電圧以上、動作停止電圧未満の3つの電圧区分である。
また、上記動作停止電圧とは、用紙Pの間隔を広げることで連続した印刷を行っても正常な定着が行える入力電圧の下限として予め規定したものであり、動作可否判定電圧に相当する。
次に、計測した入力電圧の計測結果(計測値)が、予め規定した基準電圧以上であるか否かの判定を行う(S402)。
そして、基準電圧以上であると判定したら(S402のYes)、通常生産性での印刷動作に係る制御を開始する(S403)。
入力電圧の計測結果が動作停止電圧以上であるか否かの判定で、動作停止電圧以上であると判定したら(S404のYes)、印刷する用紙間隔を広げて印刷を開始し(S405)、その後、所定の生産性復帰条件を満足したか否かの判定を行う(S406)。
この判定で、生産性復帰条件を満足したと判定した場合には(S406のYes)、通常生産性での印刷動作に係る制御に移行する(S403)。一方、生産性復帰条件を満足していないと判定した場合には(S406のNo)、用紙間隔を広げた印刷を継続し(S405)、印刷が終了するまで、定期的に生産性復帰条件を満足したか否かの判定を繰り返す(S406)。
予め規定した基準電圧を含む、基準電圧(電圧レベル1)、動作停止電圧(電圧レベル2)等の複数の電圧レベルを予め規定している。そして、電圧計85の計測(測定)結果が、複数の電圧レベルにより区分される基準電圧以上(通常電圧)、基準電圧未満・動作停止電圧以上、動作停止電圧未満などの電圧区分の内、どの電圧区分にあるかを判定する。その後、電圧区分の判定結果に基づいて、具体例3で説明した印刷動作(画像形成動作及び定着動作)を実行するか、プリンタ100を再起動するかを選択する。
無駄な制御を行うことを回避することができ、プリンタ100に入力される入力電圧の低下に起因した、定着ベルト21の温度低下による画像欠損の発生を効率良く抑制できる。
また、プリンタ100の再起動を行うことで、再起動している間に、入力電圧の電圧状態が回復していないか確認することもできる。つまり、プリンタ100の再起動を行うことで、入力電圧を再計測することができる。
次に、本実施形態のプリンタ100の制御部90が行う定着制御例の具体例5を、図を用いて説明する。
図13は、具体例5に係る、定着制御例のフロー図である。
上述した具体例4の構成では、入力電圧が動作停止電圧よりも低い場合には、プリンタ100の再起動を行うが、停電からの復帰時等、コンセント301から入力される入力電圧が一時的に動作停止電圧を下回っている場合もある。
そして、ベルト加熱後温度で正常な定着動作が行えると判定した場合には、用紙間隔を広げる等して印刷を開始し、ベルト加熱後温度で正常な定着動作が行えないと判定した場合には、プリンタ100の再起動(装置停止後リスタート)を行うように構成した。
ここで、上述した具体例5の要旨は、具体例1〜3で説明した構成にも適用可能であるが、以下の説明では、具体例4の構成に上述した要旨を適用した例について説明する。
次に、計測した入力電圧の計測結果(計測値)が、予め規定した基準電圧以上であるか否かの判定を行う(S502)。
そして、基準電圧以上であると判定したら(S502のYes)、通常生産性での印刷動作に係る制御を開始する(S503)。
入力電圧の計測結果が動作停止電圧以上であるか否かの判定で、動作停止電圧以上であると判定したら(S504のYes)、印刷する用紙間隔を広げて印刷を開始し(S505)、その後、所定の生産性復帰条件を満足したか否かの判定を行う(S506)。
この判定で、生産性復帰条件を満足したと判定した場合には(S506のYes)、通常生産性での印刷動作に係る制御に移行する(S503)。一方、生産性復帰条件を満足していないと判定した場合には(S506のNo)、用紙間隔を広げた印刷を継続し(S505)、印刷が終了するまで、定期的に生産性復帰条件を満足したか否かの判定を繰り返す(S506)。
熱源23による所定の加熱動作と、この加熱動作に合わせた時間だけ加圧ローラ22の回転駆動とを行った後、温度センサ28を用いて定着ベルト21の表面温度であるベルト加熱後温度の計測(確認)を行う(S507)。
その後、計測したベルト加熱後温度で定着可能か否か、つまりベルト加熱後温度が、正常な定着動作が可能な所定の定着可能温度以上であるか否かの判定を行う(S508)。
この判定で、定着可能温度以上であると判定した場合には(S508のYes)、印刷する用紙間隔を広げて印刷を開始する(S505)。
一方、定着可能温度よりも低いと判定した場合には(S508のNo)、プリンタ100の再起動を行う(S509)。
電圧計85の計測(測定)結果が予め規定した動作停止電圧よりも低い場合、熱源23による所定の加熱動作を行い、上昇した定着ベルト21の温度を温度センサ28で計測し、計測温度が正常な定着動作が可能な所定の定着可能温度以上であるか否かの判定を行う。この判定で、定着可能温度以上であると判定した場合に、印刷動作を開始し、定着可能温度よりも低いと判定した場合に、プリンタ100を再起動する。
電圧計85で計測した入力電圧が動作停止電圧よりも低い場合であっても、熱源23による所定の加熱動作を行った後のベルト加熱後温度が、定着可能温度以上であれば、プリンタ100を再起動することなく、印刷動作を開始することができる。
したがって、プリンタ100に入力される入力電圧の低下に起因した、定着ベルト21の温度低下による画像欠損の発生を抑制しつつ、プリンタ100のダウンタイムを低減することが可能となる。
次に、本実施形態のプリンタ100の制御部90が行う定着制御例の具体例6を、図を用いて説明する。
図14は、具体例6に係る、定着制御例のフロー図である。
入力電圧が非常に低い場合、上述した具体例4、5の構成ではプリンタ100の再起動を行う場合があり、具体例1〜3の構成ではプリンタ100が突然、動作しなくなったり、定着不良の印刷を行ったりしてユーザがプリンタ100を再起動する場合がある。
しかし、入力電圧が非常に低い場合には、プリンタ100の正常な再起動(装置停止後リスタート)を行うこと自体が困難となる場合がある。例えば、熱源23による加熱動作(ハロゲンランプの点灯)等できるが、それを制御する制御部90に有したCPUが暴走してしまい、正常な再起動が行えない可能性等、危険な状況となるおそれもある。
ここで、ユーザへの通知方法としては、プリンタ100に備えた通信インターフェースを介して、利用者が操作しているパソコン等の外部機器にメッセージを送信したり、プリンタ100の表示部にメッセージを表示したりする方法が考えられる。
ここで、上述した具体例6の要旨は、具体例1〜4で説明した構成にも適用可能であるが、以下の説明では、具体例5の構成に上述した要旨を適用した例について説明する。
次に、計測した入力電圧の計測結果(計測値)が、予め規定した基準電圧以上であるか否かの判定を行う(S602)。
そして、基準電圧以上であると判定したら(S602のYes)、通常生産性での印刷動作に係る制御を開始する(S603)。
入力電圧の計測結果が動作停止電圧以上であるか否かの判定で、動作停止電圧以上であると判定したら(S604のYes)、印刷する用紙間隔を広げて印刷を開始し(S605)、その後、所定の生産性復帰条件を満足したか否かの判定を行う(S606)。
所定の生産性復帰条件を満足したか否かの判定で、生産性復帰条件を満足したと判定した場合には(S606のYes)、通常生産性での印刷動作に係る制御に移行する(S603)。一方、生産性復帰条件を満足していないと判定した場合には(S606のNo)、用紙間隔を広げた印刷を継続し(S605)、印刷が終了するまで、定期的に生産性復帰条件を満足したか否かの判定を繰り返す(S606)。
入力電圧の計測結果が即異常確定電圧以上であるか否かの判定で、即異常確定電圧以上であると判定したら(S607のYes)、次の制御を行う。
熱源23による所定の加熱動作と、この加熱動作に合わせた時間だけ加圧ローラ22の回転駆動とを行った後、温度センサ28を用いて定着ベルト21の表面温度であるベルト加熱後温度の計測(確認)を行う(S608)。
この判定で、定着可能温度以上であると判定した場合には(S609のYes)、印刷する用紙間隔を広げて印刷を開始する(S605)。
一方、定着可能温度よりも低いと判定した場合には(S609のNo)、プリンタ100の再起動を行う(S610)。
具体的には、基準電圧(電圧レベル1)、動作停止電圧(電圧レベル2)、即異常確定電圧(電圧レベル3)の3つの電圧レベルを予め規定している。そして、これら3つの電圧レベルにより、基準電圧以上(通常電圧)、基準電圧未満・動作停止電圧以上、動作停止電圧未満・即異常確定電圧以上、即異常確定電圧未満の4つの電圧区分である。
通常動作を行う100〜85[V]の電圧区分を区分するための基準電圧(電圧レベル1)を85[V]、具体例1〜4で説明した動作を行う85〜70[V]の電圧区分を区分するための動作停止電圧(電圧レベル2)を70[V]と設定できる。そして、プリンタ100の再起動(リスタート)を行う70〜50[V]の電圧区分と、プリンタ100の停止・ユーザへの通知(装置停止・異常表示)を行う50[V]未満とを区分するための即異常確定電圧を50[V]と設定できる。
電圧計85の計測(測定)結果が予め規定した基準電圧よりも更に低い、予め規定した即異常確定電圧よりも低い場合、熱源23による加熱動作やプリンタ100の再起動を行うことなく、プリンタ100を動作停止する。そして、入力電圧が非常に低くなっていることをユーザにパソコンにメッセージを送信する等して通知する。
電圧計85の計測(測定)結果が即異常確定電圧よりも低い、つまり入力電圧が非常に低い場合には、プリンタ100の正常な再起動を行うこと自体が困難となる場合がある。
一方、計測結果が即異常確定電圧よりも低い場合、再起動を行うことなく、プリンタ100を停止して、入力電圧が非常に低くなっていることをユーザに通知することで、プリンタ100の不要なダウンタイムが生じることを抑制できる。
例えば、カラー対応の画像形成装置であるプリンタ100に限定されず、単色対応やカラー対応のプリンタ、ファクシミリ、複写機、及びこれらのいずれか2つの機能を兼ね備えた複合機等にも適用可能である。
また、特に、入力電圧の低下に起因した定着部材の温度低下による画像欠損の発生が顕著となる、定着ベルト21を直接、熱源23で加熱する構成について説明したが、定着部材を間接的に加熱する構成にも適用可能である。
また、制御部90が入力電圧を電圧計85で計測する構成について説明したが、このような構成に限られるものではない。例えば、電圧計測手段が制御部に計測値を伝える構成や、閾値以上か以下かを伝える構成でも良い。
また、電圧測定手段として電圧計85を設けた構成について説明したが、このような構成に限られるものではない。電圧測定手段としては具体的な電圧値を計るものでなくても良い。例えば、基準電圧の閾値を設けて、閾値との比較によって低電圧か否かを判断する方式であっても良い。
(態様A)
定着ベルト21などの回転可能な無端状の定着部材と、該定着部材を加熱する熱源23などの加熱手段と、前記定着部材の内周側に配置されるニップ形成部材24などのニップ形成部材と、該ニップ形成部材に対し前記定着部材を間に挟んで対向するように配置され、前記ニップ形成部材と前記定着部材を挟みこんで定着ニップ部Nなどのニップ部が形成されるように、前記定着部材を前記ニップ形成部材側へ加圧する加圧ローラ22などの加圧部材と、を備えた定着装置20などの定着装置において、当該定着装置を用いるプリンタ100などの画像形成装置に、コンセント301などの外部から入力される入力電圧に基づいて、前記加熱手段による蓄熱部材27への通紙前の蓄熱動作などの加熱動作や、前記記録材上にトナー画像を定着させる通紙タイミングや通紙間隔の変更などの定着動作が制御されることを特徴とする。
例えば、入力電圧が好適な定着温度まで定着部材を加熱できる予め規定した基準電圧よりも低い場合には画像形成開始を遅らせ、その間に加熱手段で定着部材を定着可能な温度まで加熱することができる。
また、連続した画像形成を行う場合、入力電圧が基準電圧よりも低いときには、画像形成する記録材と、次に画像形成する用紙との間隔を広げ、この記録材の間隔の間で定着部材を定着可能な温度まで加熱して、定着部材を一定以上の温度に維持することができる。
よって、画像形成装置に入力される入力電圧の低下に起因した、定着部材の温度低下による画像欠損の発生を抑制できる定着装置を提供できる。
(態様A)において、前記ニップ形成部材の基材よりも熱容量が大きい銅/アルミ/ニッケルなどの材料からなる蓄熱部材27などの高熱容量部材を、前記ニップ形成部材の前記ニップ部側に設けていることを特徴とする。
入力電圧が多少変動したとしても、加熱手段により生じる熱を高熱容量部材に蓄熱し、この蓄熱した熱を定着部材に熱供給することで、電圧低下に起因した、定着部材の温度低下による画像欠損の発生を、高熱容量部材を設けていない構成よりも抑制できる。
例えば、入力電圧が好適な定着温度まで定着部材を加熱できる予め規定した基準電圧よりも低い場合には画像形成開始を遅らせ、その間に加熱手段の加熱動作で生じた熱を高熱容量部材に蓄熱し、画像形成動作開始後に蓄熱した熱を定着部材に熱供給できる。
また、連続した画像形成を行う場合、入力電圧が基準電圧よりも低いときには、画像形成する記録材と、次に画像形成する用紙との間隔を広げ、この記録材の間隔の間で高熱容量部材に熱を供給して高熱容量部材の蓄熱量を維持し、定着部材を一定以上の温度に維持ができる。
また、ニップ形成部材のニップ部側に高熱容量部材が設けられているので、加熱手段で生じた熱を高熱容量部材に効率良く蓄熱できるとともに、高熱容量部材に蓄熱した熱を、温度が低下した定着部材に効率良く熱供給する(伝える)ことができる。
(態様A)又は(態様B)において、前記加熱手段は、輻射熱などの輻射により前記定着部材を加熱するハロゲンヒータ等から構成される熱源23などのものであり、前記定着部材の温度を検出する温度センサ28などの温度手段と、前記加熱手段からの輻射を遮断する遮光部材29などの遮断部材と、前記遮断部材による遮光状態などの遮断状態を変化させる駆動モータなどの駆動手段と、を備えることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
幅の狭い記録材を連続通紙した場合でも、非通紙領域が過昇温状態になることがなく、非通紙領域での過昇温を低減するために生産性を落とす等の制御を最小限にとどめることができる。すなわち、従来構成の課題であった、定着装置の内部部材の熱劣化の可能性(課題5)を、非通紙領域での過昇温を低減するために生産性を落とす等することなく、最小限にとどめることができる。
用紙Pなどの記録材上にトナー画像を定着させる定着装置を備えたプリンタ100などの画像形成装置において、前記定着装置として、(態様A)乃至(態様C)のいずれかの定着装置20などの定着装置と、コンセント301などの外部から入力される入力電圧を測定する電源装置80に設けた電圧計85などの電圧測定手段と、を備え、前記電圧測定手段の測定結果に基づいて、前記記録材上にトナー画像を形成する画像形成動作と、前記記録材上にトナー画像を定着させる定着動作と、を制御することを特徴とする。
例えば、画像形成開始要求があった場合に、入力電圧が好適な定着温度まで定着部材を加熱できる予め規定した基準電圧よりも低い場合には画像形成開始を遅らせ、その間に加熱手段で定着部材を定着可能な温度まで加熱した後に定着動作を開始できる。
また、連続した画像形成を行う場合、入力電圧が基準電圧よりも低いときには、画像形成する記録材と、次に画像形成する用紙との間隔を広げ、この記録材の間隔の間で定着部材を定着可能な温度まで加熱して、定着部材を一定以上の温度に維持することができる。
よって、画像形成装置に入力される入力電圧の低下に起因した、定着部材の温度低下による画像欠損の発生を抑制できる画像形成装置を提供できる。
(態様D)において、電圧計85などの前記電圧測定手段の測定結果が予め規定した基準電圧よりも低い場合、前記基準電圧以上である通常電圧時の場合よりも、前記画像形成動作の開始を遅らせ、前記高熱容量部材に熱を蓄熱した後に、前記画像形成動作を開始することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
入力電圧が好適な定着温度まで定着部材を加熱できる基準電圧を下回っている場合には画像形成開始を遅らせ、その間に定着部材を加熱したり、加熱手段の加熱動作で生じた熱を高熱容量部材に蓄熱したりして画像形成動作開始後に蓄熱した熱を定着部材に熱供給できる。
したがって、画像形成装置に入力される入力電圧の低下に起因した、定着部材の温度低下による画像欠損の発生を抑制できる画像形成装置を提供できる。
(態様D)又は(態様E)において、前記電圧測定手段の測定結果が予め規定した基準電圧よりも低い場合、前記基準電圧以上である通常電圧時の場合よりも、連続して画像形成動作を行うときの記録材の間隔を広げることを特徴とする。
入力電圧が基準電圧を下回る場合、画像形成する記録材と、次に画像形成する用紙との間隔を広げ、この記録材の間隔の間で定着部材を加熱したり、高熱容量部材に熱を供給したりできる。これにより、定着部材の温度や高熱容量部材の蓄熱量を維持し、定着部材の温度や高熱容量部材を一定以上の温度に維持することができる。
したがって、外部から入力される入力電圧の低下に起因した、定着部材の温度低下による画像欠損の発生を抑制できる画像形成装置を提供できる。
(態様F)において、前記電圧測定手段の測定結果が予め規定した基準電圧よりも低く、記録材の間隔を広げて連続する画像形成動作を開始した後、所定の生産性復帰条件を満たした場合に、通常電圧時の記録材の間隔に戻すことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
記録材の間隔を広げて画像形成を開始した場合でも、定着部材や高熱容量部材の温度が十分上昇した場合には記録材の間隔を通常電圧時の記録材の間隔に戻し、通常電圧時と同じとすることで、画像形成装置を使用する使用者の使い勝手を向上させることができる。特に記録材の幅が狭い場合、記録材が通っていない部分の高熱容量部材は常に熱供給を受けるため高熱容量部材の温度は上昇しやすく、そのような画像形成動作ではより早く通常の記録材の間隔に戻すことができる。
したがって、画像形成装置に入力される入力電圧の低下に起因した、定着部材の温度低下による画像欠損の発生を抑制しつつ、生産性の低下を抑制できる画像形成装置を提供できる。
(態様D)乃至(態様G)のいずれかにおいて、予め規定した基準電圧を含む、基準電圧(電圧レベル1)、動作停止電圧(電圧レベル2)などの複数の電圧レベルを予め規定し、前記電圧測定手段の測定結果が、前記複数の電圧レベルにより区分される基準電圧以上(通常電圧)、基準電圧未満・動作停止電圧以上、動作停止電圧未満などの電圧区分の内、どの電圧区分にあるかを判定し、電圧区分の判定結果に基づいて、画像形成動作及び定着動作を実行するか、当該画像形成装置を再起動することを特徴とする。
無駄な制御を行うことを回避することができ、画像形成装置に入力される入力電圧の低下に起因した、定着部材の温度低下による画像欠損の発生を効率良く抑制できる。
また、画像形成装置の再起動を行うことで、再起動している間に、入力電圧の電圧状態が回復していないか確認することもできる。
(態様D)乃至(態様H)のいずれかにおいて、前記定着装置は、前記定着部材の温度を検出する温度センサ28などの温度検出手段を有し、前記電圧測定手段の測定結果が予め規定した動作停止電圧などの動作可否判定電圧よりも低い場合、前記加熱手段による所定の加熱動作を行い、該所定の加熱動作で上昇した前記定着部材のベルト加熱後温度などの温度が、正常な定着動作が可能な所定の定着可能温度以上であるか否かの判定を行い、前記定着可能温度以上であると判定した場合に、画像形成動作を開始し、前記定着可能温度よりも低いと判定した場合に、当該画像形成装置を再起動することを特徴とする。
電圧測定手段で測定した入力電圧が動作可否判定電圧よりも低い場合であっても、加熱手段による所定の加熱動作を行った後の温度が、定着可能温度以上であれば、画像形成装置を再起動することなく、画像形成動作を開始することができる。
したがって、画像形成装置に入力される入力電圧の低下に起因した、定着部材の温度低下による画像欠損の発生を抑制しつつ、画像形成装置のダウンタイムを低減することが可能となる。
(態様D)乃至(態様I)のいずれかにおいて、前記電圧測定手段の測定結果が予め規定した動作可否判定電圧よりも更に低い、予め規定した即異常確定電圧などの異常判定電圧よりも低い場合、前記加熱手段による加熱動作や当該画像形成装置の再起動を行うことなく、当該画像形成装置を停止して、前記入力電圧が非常に低くなっていることをユーザなどの利用者にパソコンにメッセージを送信するなどして通知することを特徴とする。
電圧測定手段の測定結果が異常判定電圧よりも低い、つまり入力電圧が非常に低い場合には、画像形成装置の正常な再起動を行うこと自体が困難となる場合がある。
一方、測定結果が異常判定電圧よりも低い場合、再起動を行うことなく、画像形成装置を停止して、入力電圧が非常に低くなっていることを利用者に通知することで、画像形成装置の不要なダウンタイムが生じることを抑制できる。
21 定着ベルト
22 加圧ローラ
22d 高粘着部
23A,B,C ハロゲンヒータ
23 熱源
24 ニップ形成部材
25 支持部材
26 反射部材
27 蓄熱部材
28 温度センサ
29 遮光部材
80 電源装置
85 電圧計
90 制御部
100 プリンタ
301 コンセント
N 定着ニップ部
P 用紙
Claims (10)
- 回転可能な無端状の定着部材と、該定着部材を加熱する加熱手段と、前記定着部材の内周側に配置されるニップ形成部材と、該ニップ形成部材に対し前記定着部材を間に挟んで対向するように配置され、前記ニップ形成部材と前記定着部材を挟みこんでニップ部が形成されるように、前記定着部材を前記ニップ形成部材側へ加圧する加圧部材と、を備えた定着装置において、
当該定着装置を用いる画像形成装置に、外部から入力される入力電圧に基づいて、前記加熱手段による加熱動作や、前記記録材上にトナー画像を定着させる定着動作が制御されることを特徴とする定着装置。 - 請求項1に記載の定着装置において、
前記ニップ形成部材の基材よりも熱容量が大きい材料からなる高熱容量部材を、前記ニップ形成部材の前記ニップ部側に設けていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1又は2に記載の定着装置において、
前記加熱手段は、輻射により前記定着部材を加熱するものであり、
前記定着部材の温度を検出する温度手段と、前記加熱手段からの輻射を遮断する遮断部材と、前記遮断部材による遮断状態を変化させる駆動手段と、を備えることを特徴とする定着装置。 - 記録材上にトナー画像を定着させる定着装置を備えた画像形成装置において、
前記定着装置として、請求項1乃至3のいずれか一に記載の定着装置と、
外部から入力される入力電圧を測定する電圧測定手段と、を備え、
前記電圧測定手段の測定結果に基づいて、前記記録材上にトナー画像を形成する画像形成動作と、前記記録材上にトナー画像を定着させる定着動作と、を制御することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4に記載の画像形成装置において、
前記電圧測定手段の測定結果が予め規定した基準電圧よりも低い場合、前記基準電圧以上である通常電圧時の場合よりも、前記画像形成動作の開始を遅らせ、前記高熱容量部材に熱を蓄熱した後に、前記画像形成動作を開始することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4又は5に記載の画像形成装置において、
前記電圧測定手段の測定結果が予め規定した基準電圧よりも低い場合、前記基準電圧以上である通常電圧時の場合よりも、連続して画像形成動作を行うときの記録材の間隔を広げることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6に記載の画像形成装置において、
前記電圧測定手段の測定結果が予め規定した基準電圧よりも低く、記録材の間隔を広げて連続する画像形成動作を開始した後、所定の生産性復帰条件を満たした場合に、通常電圧時の記録材の間隔に戻すことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4乃至7のいずれか一に記載の画像形成装置において、
予め規定した基準電圧を含む、複数の電圧レベルを予め規定し、
前記電圧測定手段の測定結果が、前記複数の電圧レベルにより区分される電圧区分の内、
どの電圧区分にあるかを判定し、電圧区分の判定結果に基づいて、画像形成動作及び定着動作を実行するか、当該画像形成装置を再起動することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4乃至8のいずれか一に記載の画像形成装置において、
前記定着装置は、前記定着部材の温度を検出する温度検出手段を有し、
前記電圧測定手段の測定結果が予め規定した動作可否判定電圧よりも低い場合、前記加熱手段による所定の加熱動作を行い、該所定の加熱動作で上昇した前記定着部材の温度が、正常な定着動作が可能な所定の定着可能温度以上であるか否かの判定を行い、
前記定着可能温度以上であると判定した場合に、画像形成動作を開始し、
前記定着可能温度よりも低いと判定した場合に、当該画像形成装置を再起動することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4乃至9のいずれか一に記載の画像形成装置において、
前記電圧測定手段の測定結果が予め規定した動作可否判定電圧よりも更に低い、予め規定した異常判定電圧よりも低い場合、前記加熱手段による加熱動作や当該画像形成装置の再起動を行うことなく、
当該画像形成装置を停止して、前記入力電圧が非常に低くなっていることを利用者に通知することを特徴とする画像形成装置。
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