JP2008249902A - 偏光板用保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光板用保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱、湿度による寸法変化が小さく、耐久性の高い偏光板用保護フィルムの提供、該保護フィルムを用いた偏光板の提供、及び光漏れによるムラが抑制され、高温、高湿の環境変化における光漏れの抑制の回復が速い液晶表示装置の提供。
【解決手段】透明基材フィルム上に、ビニルアルコール系重合体を含む被覆層が少なくとも1層形成され、60℃95%相対湿度における透湿度が、300g/m・日より大きく、800g/m・日以下であり、60℃40%相対湿度における透湿度が、30g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム等である。
【選択図】なし

Description

本発明は、低透湿性を有する偏光板用保護フィルム、該偏光板用保護フィルムを用いた偏光板、及び該偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
最近、液晶表示装置(以下、LCD)が、薄型で、軽量であり、また消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されるようになっている。偏光板は、LCDの普及に伴いその需要が急増している。その使用分野も、従来の電卓や時計などの小型品から、自動車用計器、PCのモニタ、テレビといった大型品へ拡大されつつある。
偏光板は、一般に偏光能を有する偏光子の両面又は片面に、接着剤層を介して保護フィルム(以下、保護層ということがある)が貼り合わせられている。
偏光子の素材としては、ポリビニルアルコール(以下、PVAということがある。)が主に用いられており、PVAフィルムを一軸延伸してから、ヨウ素又は二色性染料で染色するか、あるいは染色してから延伸し、更にホウ素化合物で架橋することにより偏光子が形成される。
保護フィルムとしては、光学的に透明で複屈折性が小さいこと、表面が平滑であること、鹸化処理によりPVAからなる偏光子との接着性に優れること等から、主にセルローストリアセテート(以下、TACということがある)が用いられている。
セルローストリアセテートを保護層として用いた場合、長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光膜のサイズ変化が原因で、表示画像のムラが発生する場合があり、改善が望まれている。
これらのムラ発生の要因としては、様々な温湿度環境下に曝された際に、偏光子に用いられているPVAが水分の出入りに伴って大きく寸度変化を起こすことが考えられる。
PVAの環境による寸度変化は、歪み応力として光学補償シートや粘着剤、液晶セル等の部材へ伝わり、この応力によって各部材が光学特性の変動を引き起こし、光漏れが発生することが分かっている。
そのため、偏光板用保護フィルムの透湿度を低下させ、偏光板の水分の出入りを抑制することによって、偏光板の耐久性の向上や光漏れによるムラの発生を抑えることが期待されている。
一方、液晶表示装置においては、常時長時間に亘って使用状態にあることが多いので、偏光板は、温湿度変化を有する環境下での長期使用でもLCDの画像品質が劣化しないような、長期の耐久性が要求されるようになってきた。また、用途の拡大に伴って、より高温や高湿となるような過酷な条件での耐久性が要求されるようになってきた。
透湿性を低下させた保護フィルムとしては、例えば、疎水性の高い樹脂としてノルボルネン系樹脂からなるシートが有用であることが報告されている(特許文献1参照)。
しかしながら、ノルボルネン系樹脂からなるシートは、透湿性が十分小さく、湿度の変化を受けづらいが、偏光子との接着性が不十分、生産性が低いという問題がある。
これらの問題に対し、接着性を改良する技術が提案されている(特許文献2〜3参照)が、より高温や高湿の条件での耐久性が求められる状況ではいまだ十分なレベルではない。
また、他の手段として、ポリエチレンテレフタラート等のポリエステル樹脂や、ポリカーボネート樹脂等の他の疎水性の樹脂からなるシートを用い、更に接着性を改良させた保護フィルムの技術が提案されている(特許文献4〜8参照)。
しかし、これらの技術を利用しても、より高温、高湿の過酷な条件下での耐久性に対する高い要求に対しても、接着性が十分なレベルではない。
また、本発明者らが偏光板の耐久性の向上を目的に耐水性の高い保護フィルムについて更に鋭意検討した結果、偏光板用保護フィルムの透湿度を必要以上に低下させた場合、一度発生した光漏れが解消し難いという新たな問題が発生することが分かった。
また、セルロースアシレートよりなる基材上にビニルアルコール系重合体を有する層を設けた例が提案されているが(特許文献9)、先行例では透湿度の記載がなく、また、記載されている膜厚の好ましい範囲では、偏光板の耐久性が十分なレベルではないことが分かった。
特開平10−101907号公報 特開2001−174637号公報 特開2001−305345号公報 特開2004−219620号公報 特開2002−90546号公報 特開平8−271733号公報 特開平8−240716号公報 特開2005−275216号公報 特開平6−118232号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを目的とする。即ち、本発明は、熱、及び湿度による寸法変化が小さく、耐久性の高い偏光板を提供することを目的とする。
また、本発明は、光漏れによるムラが抑制され、更に発生した光漏れの抑制の回復が速い液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、透明基材フィルム(以下、基材層ということがある。)上に、少なくとも1層のビニルアルコール系重合体を主成分にしてなる被覆層が形成されており、且つ、60℃95%相対湿度における透湿度が300g/m・日より大きく、800g/m・日以下であり、60℃40%相対湿度における透湿度が、30g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルムによって前記課題が解決されることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 透明基材フィルム上に、ビニルアルコール系重合体を含む被覆層が少なくとも1層形成され、60℃95%相対湿度における透湿度が、300g/m・日より大きく、800g/m・日以下であり、60℃40%相対湿度における透湿度が、30g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルムである。
<2> 被覆層には、平均粒子半径が0.1μ〜10μmの層状無機化合物が、ビニルアルコール系重合体に対して、2〜20質量%含有される前記<1>に記載の偏光板用保護フィルムである。
<3> 被覆層の厚みが、1μm〜15μmである前記<1>から<2>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムである。
<4> ビニルアルコール系重合体の鹸化度が、95モル%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムである。
<5> ハードコート性を有するハードコート層、及び反射防止層の少なくともいずれかが一方の面に設けられた前記<1>から<4>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムである。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムと、偏光子とを有することを特徴とする偏光板である。
<7> 前記<6>に記載の偏光板と、該偏光板を設置した液晶セルとを有することを特徴とする液晶表示装置である。
本発明によると、熱、湿度による寸法変化が小さく、耐久性の高い偏光板を提供することができる。
また、本発明によれば、光漏れによるムラが抑制され、更に発生した光漏れの抑制の回復が速い液晶表示装置を提供することができる。
以下に、本発明に係る偏光板及び液晶表示装置について詳細に説明する。
なお、本実施形態の説明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本実施形態の説明において、「45゜」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380〜780nmのことをいう。更に、屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(λ=550nm)での値である。
また、本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には、「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。
また、本実施形態の説明では、「偏光膜」と「偏光板」とを区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
(偏光板用保護フィルム)
本発明の偏光板用保護フィルムは、透明基材フィルム上に、少なくとも1層のビニルアルコール系重合体を含む被覆層が形成されており、且つ、60℃95%相対湿度における透湿度が300g/m・日より大きく、800g/m・日以下であり、60℃40%相対湿度における透湿度が、30g/m・日以下であることを特徴とする。
前記60℃95%相対湿度における透湿度は、350〜750g/m・日がより好ましく、400〜700g/m・日が更に好ましい。
また、前記60℃40%相対湿度における透湿度は、20g/m・日以下がより好ましく、10g/m・日以下が更に好ましい。
60℃95%相対湿度における透湿度の値が、800g/m・日よりも大きい場合や、60℃40%相対湿度における透湿度の値が、30g/m・日よりも大きい場合は、低湿環境に置かれた際に発生する光漏れの改良効果が十分でない。
また、60℃95%相対湿度における透湿度が300g/m・日以下の場合には、常温常湿から高温低湿等の環境に置かれ、その後再び、元の環境に戻された場合の、光漏れの抑制の回復に要する時間が増加してしまう。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光子と、偏光板用保護フィルムとを有する。本発明の偏光板用保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の側に用いればよく、本発明の偏光板用保護フィルムとは反対側の保護フィルムとしては、光学補償フィルムも好ましく用いられ、該光学補償フィルムが、基材フィルムの上に光学補償層を形成した基材フィルムであってもよい。
また、反対側の保護フィルムの上に粘着剤を介して光学補償フィルムを貼り付けて用いることも好ましい。
<偏光板の具体的な構成>
ここで、本発明の偏光板の構成を図1A、及び図1Bに示すが、本発明の偏光板はこの構成に限られるものではない。
図1Aに示すように、本発明の偏光板1は、偏光子30と、該偏光子30の一方の面に設置された第1の保護フィルム(保護膜)10と、前記一方の面とは反対側の他方の面に設置された第2の保護フィルム20とを有してなる。
第1の保護フィルム10は、基材層11と、透湿性が低い被覆層(以下、低透湿層ということがある。)12とを少なくとも含む。
また、保護フィルム10における偏光子30とは反対側の面(図1Aに示す形態における低透湿層12、又は図1Bに示す形態における基材層11)には、ハードコート層40が積層されることが好ましい。
ハードコート層40は、屈折率の異なる2層以上からなることがより好ましく、このような場合、表面側の層(偏光子30よりも遠い側の層)の屈折率が、内側の層(前記表面側の層よりも偏光子30側の層)の屈折率よりも低いことが好ましい。また、ハードコート層40は、粒子が含まれることにより、内部散乱性や表面散乱性が付与されていることが好ましい。
一方、第2の保護フィルム20は、少なくとも基材層21を有し、必要に応じて、該基材層21に光学異方性層22が積層される。
ここで、偏光子30と、保護フィルム20との接着性を向上させる目的で、基材層21と偏光子30との間に易接着層50が設けられることが好ましい。易接着層50は、単層であってもよいが、複数の層からなることがより好ましい。また、複数の層からなる易接着層50のいずれかの層を、帯電防止層(図示せず)としてもよい。
本発明の偏光板1の他の実施形態として、図1Bに示すように、第1の保護フィルム10における基材層11が、偏光子30側に設置されてもよいが、生産性と耐久性の観点で、図1Aに示す形態(第1の保護フィルム10における被覆層12が偏光子30側に設置される形態)の方が好ましい。
<偏光子>
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937に記載されているように、PVAやポリ塩化ビニルを脱水、及び脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子を使用してもよい。
PVAは、ポリ酢酸ビニルを鹸化したポリマー素材であるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有してもよい。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAを用いてもよい。
PVAの鹸化度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶解性等の観点から、80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%がより好ましい。
また、PVAの重合度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,000〜10,000が好ましく、1,500〜5,000がより好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第2978219号公報に記載されているように、耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号公報に記載されているように、45〜52.5%も好ましく用いることができる。PVAはフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。
PVAフィルムの製造方法としては、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。
PVAフィルムの製造は、特許第3342516号公報、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、及び特開2002−144401号公報に記載の製造方法を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第3251073号公報に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%のPVAフィルムや、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いてもよい。
PVAフィルムの複屈折(△n)は、小さいことが好ましく、特許第3342516号公報に記載されている複屈折が1.0×10−3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開2002−228835号に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.02以上0.01以下としてもよいし、特開2002−060505号に記載されているように、(nx+ny)/2−nzの値を、0.0003以上0.01以下としてもよい。
PVAフィルムの面内レターデーションReは、0nm以上100nm以下が好ましく、0nm以上50nm以下がより好ましい。
また、PVAフィルムの(膜)厚さ方向のレターデーションRthは、0nm以上500nm以下が好ましく、0nm以上300nm以下がより好ましい。
この他、本発明の偏光板としては、特許3021494号公報に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号公報に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、更にグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量部あたり、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムが好ましく用いられる。
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmがより好ましい。
また、特開2002−236212号公報に記載されているように、水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
二色性分子はI やI などの高次のヨウ素イオン、もしくは二色性染料が好ましく使用される。その中でも、本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p39〜p45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液及び/もしくはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、その中でもビスアゾ系とトリスアゾ系色素がより好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.DirectRed37、CongoRed(C.I.DirectRed28)、C.I.DirectViolet12、C.I.DirectBlue90、C.I.DirectBlue22、C.I.DirectBlue1、C.I.DirectBlue151、C.I.DirectGreen1等のベンジジン系、C.I.DirectYellow44、C.I.DirectRed23、C.I.DirectRed79等のジフェニル尿素系、C.I.DirectYellow12等のスチルベン系、C.I.DirectRed31等のジナフチルアミン系、C.I.DirectRed81、C.I.DirectViolet9、C.I.DirectBlue78等のJ酸系が挙げられる。
これら以外にも、C.I.DirectYellow8、C.I.DirectYellow28、C.I.DirectYellow86、C.I.DirectYellow87、C.I.DirectYellow142、C.I.DirectOrange26、C.I.DirectOrange39、C.I.DirectOrange72、C.I.DirectOrange106、C.I.DirectOrange107、C.I.DirectRed2、C.I.DirectRed39、C.I.DirectRed83、C.I.DirectRed89、C.I.DirectRed240、C.I.DirectRed242、C.I.DirectRed247、C.I.DirectViolet48、C.I.DirectViolet51、C.I.DirectViolet98、C.I.DirectBlue15、C.I.DirectBlue67、C.I.DirectBlue71、C.I.DirectBlue98、C.I.DirectBlue168、C.I.DirectBlue202、C.I.DirectBlue236、C.I.DirectBlue249、C.I.DirectBlue270、C.I.DirectGreen59、C.I.DirectGreen85、C.I.DirectBrown44、C.I.DirectBrown106、C.I.DirectBrown195、C.I.DirectBrown210、C.I.DirectBrown223、C.I.DirectBrown224、C.I.DirectBlack1、C.I.DirectBlack17、C.I.DirectBlack19、C.I.DirectBlack54等が好ましく使用される。更には、特開昭62−70802号公報、特開平1−161202号公報、特開平1−172906号公報、特開平1−172907号公報、特開平1−183602号公報、特開平1−248105号公報、特開平1−265205号公報、及び特開平7−261024号公報に記載の二色性染料等が好ましく使用される。
ここで、各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもよい。二色性染料を用いる場合、特開2002−082222号公報に記載されているように、吸着厚みが4μm以上であってもよい。
フィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01質量%から5質量%の範囲に調整される。
偏光子の好ましい膜厚としては、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。また、特開2002−174727号に記載されているように、偏光子の厚さ(A)と、後述する保護膜の厚さ(B)との比(A/B)を、0.01≦A/B≦0.8の範囲とすることも好ましい。
<第1の保護フィルム>
本発明の偏光板を構成する第1の保護フィルムは、ポリビニルアルコールからなる偏光子に対し、液晶セルに貼り合せる際に、液晶セルとは反対側の面に貼り合せる保護フィルムである。
また、第1の保護フィルムは、60℃95%RHにおける透湿度が、300g/m・日を超え、800g/m・日以下であり、60℃40%RHにおける透湿度が、30g/m・日以下であることを特徴とするフィルムである。
また、60℃95%RHにおける透湿度は、350g/m・日以上750g/m・日以下であることがより好ましく、400g/m・日以上700g/m・日以下であることが更に好ましい。
また、60℃40%RHにおける透湿度は、20g/m・日以下であることがより好ましく、10g/m・日以下であることが更に好ましい。
これらの範囲であれば、偏光板としての性能(偏光度、単板透過率)が耐久性試験後に悪化することがなく、長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光膜のサイズ変化が原因で、表示画像のムラが発生することが抑制でき、更に偏光板加工における生産性と両立することができる。
第1の保護フィルムの60℃95%RHにおける透湿度が800g/m・日よりも高い、又は60℃40%RHにおける透湿度が30g/m・日よりも高いと、偏光板用の保護フィルムとして使用した場合の偏光板の高温や高温高湿条件における耐久性が十分でなく、また長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光膜のサイズ変化が原因での光漏れによる表示画像のムラの発生低減の効果が低い。
<<透湿度の測定>>
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、調湿前後の質量差より、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m)した。この際、恒温恒湿装置にいれたカップを適当な時間間隔で取り出して秤量する操作を繰り返し、二つの連続する秤量で、それぞれ単位時間あたりの質量増加を求め、それが5%以内で一定になるまで評価を続けた。また、試料の吸湿等による影響を除外するため、吸湿剤の入れていないブランクのカップを測定し、透湿度の値を補正した。
なお、本発明で用いる透湿度の値は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、及びこれらの樹脂層に層状無機化合物を分散させた被覆層を有する保護フィルムを測定する場合、基材層側からの透湿度の値を用いた。
<<第1の保護フィルムのヘイズ>>
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ、内部ヘイズ、表面ヘイズを測定した。
1.JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値を測定する。
2.得られたフィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズとして算出した。
3.上記1で測定した全ヘイズから上記2で算出した内部ヘイズを引いた値をフィルムの表面ヘイズとして算出した。
本発明の第1の保護フィルムの全ヘイズは、15%以下であることが好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が更に好ましい。また、内部ヘイズは5%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、0.5%以下が更に好ましい。
また、本発明の保護フィルムは実質的に無色であることが好ましい。
ここで、「実質的に無色」であるとは、L,a,b表色系で表したa,bの絶対値が3.0以下であることをいい、2.5以下がより好ましく、2以下が更に好ましい。実質的に無色であることで、偏光板としたときに色味がニュートラルグレーを示し、カラー表示において支障を来たすなどの不具合を生じないので好ましい。
<<第1の保護フィルムの耐ひび割れ性>>
本発明の第1の保護フィルムの耐ひび割れ性は、被覆層塗設側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率半径が、30mm以下であることが好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下が更に好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。この耐ひび割れ性は、被覆層を有したフィルムの塗布、加工、裁断、貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
<<透明基材フィルム(基材層)>>
第1の保護フィルムの基材層としては、透湿性と平衡含水率が所望の範囲内となればよく、その組成としては、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、飽和脂環式構造含有重合体樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、等の樹脂を用いることができ、セルロース樹脂、又は飽和脂環式構造含有重合体樹脂からなることが好ましく、セルロース樹脂からなるセルロースアシレートフィルムであることがより好ましい。
[セルロースアシレート系フィルム]
本発明の第1の保護フィルムの基材層としては、光学的に均一なこと、表面が平滑なこと、偏光板を作製する上での二次加工性がよいことから、セルロースアシレート系フィルムが使用されることが好ましい。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸エステル又は芳香族カルボン酸エステルであり、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号公報、、特開平8−231761号公報、米国特許第2319052号明細書等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルが用いられる。或いは、特開2002−179701号公報、特開2002−265639号公報、特開2002−265638号公報に記載の芳香族カルボン酸とセルロースとのエステルも好ましく用いられる。
上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテートと後述するセルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることもできる。
セルロースアシレートの置換度(DS)は、セルロースの構成単位(β1→4グリコシド結合しているグルコース)に存在している三つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。
置換度は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、ASTM−D817−91に準じて実施する。
本発明のセルロースアシレートは、アシル基の疎水性と水酸基の親水性を適度にバランスさせることにより、レターデーションの湿度依存性と寸度安定性を両立させるものである。
すなわち、アシル基中のアルキル鎖が平均的に短かすぎたり、水酸基比率が高すぎるとレターデーションの湿度依存性は大きくなってしまう。
また、アシル基中のアルキル鎖が平均的に長すぎたり、水酸基比率が高すぎるとTgが低下し、寸度安定性が悪化してしまう。
したがって、本発明で好ましく用いられるセルローストリアセテートはアセチル化度が2.83以上2.91以下で炭素数3以上の他のアシル基を有しないものが好ましく、アセチル化度は2.84以上2.89以下が更に好ましい。
また、セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基の置換度をYとしたとき、下記数式(a)及び(b)を同時に満たすセルロースエステルである。
2.6≦X+Y≦2.9・・・・・・・・・・・・・数式(a)
0≦X≦2.5・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(b)
ここで、上記数式(a)及び(b)を同時に満たすセルロースエステルの中でも、1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することができる。
透明基材フィルムの厚みは、30〜120μmが好ましく、40〜80μmがより好ましい。基材フィルムの厚みが該下限値以上であれば、フィルム強度が弱くなるなどの問題が生じにくく、該上限値以下であれば、質量が増加しすぎて、特に20インチ以上の大型テレビに用いた場合に不利になるなどの弊害が生じにくいので好ましい。
−紫外線吸収剤−
本発明の透明基材フィルムには、下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤を2種類以上含有することが好ましい。
なお、下記一般式(1)中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は一価の有機基を表し、R、R及びRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐又は直鎖のアルキル基を表し、R、R及びRはそれぞれ互いに異なる。
また、該紫外線吸収剤に関する下記数式(c)で表されるオクタノール/水分配係数(以下、logPということがある。)の平均値(以下、平均logPということがある。)と、セルロースアシレートのアシル化度DSとが、下記数式(d)の関係を満たすセルロースアシレートフィルムが透明基材フィルムとして用いられることがより好ましい。
ここで、下記数式(c)において、Wは、n番目の紫外線吸収剤の質量分率を表し、(logP)は、n番目の紫外線吸収剤の「logP」を表す。
5.0×DS−6.7≦平均logP≦5.0×DS−5.1・・・・・・数式(d)
本発明に用いられる前記紫外線吸収剤のlogPの平均値は、(5.0×DS−6.7)以上、(5.0×DS−5.1)以下が好ましく、(5.0×DS−6.5)以上、(5.0×DS−5.2)以下がより好ましい。
logPの平均値が大きすぎると、面状が悪化し、logPの平均値が小さすぎると、高温高湿下での紫外線吸収剤の保留性が悪化する。
また、一般式(1)で表される化合物は、330〜360nmの波長範囲に吸収極大を有するものである。
−−logP値−−
ここで、オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。
また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。
計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989))、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.,19,71(1984))などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))がより好ましい。
ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、揮散性の観点から分子量が250〜1,000であることが好ましく、260〜800であることがより好ましく、270〜800であることが更に好ましく、300〜800であることが特に好ましい。
これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
また、紫外線吸収剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
−−化合物の添加量−−
上述の紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.2〜3質量%であることが更に好ましい。
−−化合物添加の方法−−
また、これら紫外線吸収剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
次に、一般式(1)で表される紫外線吸収剤について詳しく説明する。
、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子、又は一価の有機基を表し、R、R、及びRの少なくとも1つは、総炭素数4〜20の無置換の分岐、又は直鎖のアルキル基を表し、R、R、及びRはそれぞれ互いに異なる。
置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)などが挙げられる。
また、前記置換基として他には、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよく、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよいが、R、R及びRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐又は直鎖のアルキル基を表し、R、R、及びRはそれぞれ互いに異なる。
及びRとしては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、炭素1〜12アルキル基が更に好ましく、炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)が特に好ましい。
としては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換、又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、炭素1〜12アルキル基が更に好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
及びRとしては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換、又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子が更に好ましく、水素原子、塩素原子が特に好ましい。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
−可塑剤−
本発明の透明基材フィルムに用いることのできる可塑剤としては、例えば多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤等が用いられるが、特に好ましくは多価アルコール系可塑剤、グリコレート系可塑剤である。
また、リン酸エステル系可塑剤の添加量は、フィルムに対して16質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましく、6質量%以下とすることが更に好ましい。
多価アルコールエステルは2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールは、次の一般式(2)で表される。
ただし、下記一般式(2)において、Rは、n価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/又はフェノール性水酸基を表す。
上記一般式(2)で示される多価アルコールとしては、例えば、以下のようなものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
具体的には、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等が挙げられる。
これらの中でも、特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が用いられる。これらの中でも、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖、又は側鎖を有する脂肪酸を用いることが好ましく、その中でも、炭素数が1〜20であることがより好ましく、炭素数が1〜10であることが更に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。これらの中でも、安息香酸が特に好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は、特に制限はないが、300〜1,500であることが好ましく、350〜750であることがより好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では分子量が小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を示す。
グリコレート系可塑剤は、特に限定されないが、分子内に芳香環、又はシクロアルキル環を有するグリコレート系可塑剤を好ましく用いられる。
好ましいグリコレート系可塑剤としては、例えばブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等が用いられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が用いられる。
また、フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等が用いられる。
また、クエン酸エステル系可塑剤としては、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等が用いられる。
これらの可塑剤は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して4〜20質量%が好ましく、6〜16質量%がより好ましく、8〜13質量%が更に好ましい。可塑剤の添加量が多すぎるとフィルムが柔らかくなりすぎるため吸水弾性率が低下し、添加量が少なすぎるとフィルムの透湿性が低下する。
本発明の透明基材フィルムには、前記の可塑剤の他に、基材の耐久性や透湿性、弾性率等のフィルム物性、及び光学特性値を制御する目的で種々の添加剤を使用することができ、例えば、特開2006−30937号公報(段落番号[0054]〜[0134])、特開2003−12859号公報、特開2002−20410号公報、特開2003−222723号公報(段落番号[0031]〜[0044])、特開2002−22956号公報(段落番号[0045]〜[0058])に記載の化合物を使用することができる。
<<被覆層>>
第1の保護フィルムの被覆層としては、基材層上に積層した場合の60℃95%RHにおける透湿度が300g/m・日を超え、800g/m・日以下であり、60℃40%RHにおける透湿度が30g/m・日以下となるように透湿性を低減する機能を備えていれば、特に制限はなく、例えば、ビニルアルコール系重合体からなる樹脂(ビニルアルコール系樹脂)より形成された被覆層(ビニルアルコール系樹脂層)が用いられる。
また、一般にビニルアルコール系樹脂等の水素結合性基の密度が大きい樹脂の場合には、高湿下に樹脂層が直接晒されると分子鎖間の水素結合が水分により阻害されて水蒸気バリア性が著しく低下するため、該樹脂層側からの透湿度の値は本発明記載の範囲に含まれない場合が多いが、基材フィルム側からの透湿度の値が、300g/m・日を超え、800g/m・日以下の範囲を満たしていれば、偏光板の耐湿熱性向上に十分効果を発揮する。
前述のように、本発明の保護フィルムに設けられる被覆層としては、少なくともビニルアルコール系重合体からなる樹脂より形成された被覆層が好ましく、ビニルアルコール系重合体組成物中に層状無機化合物を含有する樹脂より形成された被覆層がより好ましい。
[ビニルアルコール系重合体からなる樹脂より形成された被覆層]
−ビニルアルコール系重合体−
被覆層を構成するビニルアルコール系重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などの単独重合体や、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、などが例示できる。また、これらのビニルアルコール系重合体は、その一部がカルボニル変性、シラノール変性、エポキシ変性、アセトアセチル変性、アミノ変性又はアンモニウム変性されたものを用いてもよく、その一部にジアセトンアクリルアミド単位等を含む共重合体を用いてもよい。また、各種のビニルアルコール系重合体を単独で又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
ビニルアルコール系重合体の鹸化度は、80モル%以上の範囲から選択できるが、95モル%以上が好ましい。ビニルアルコール系重合体の重合度は、透湿度、塗布性の点から、100〜5,000が好ましく、200〜4,000がより好ましく、200〜3,000程度が更に好ましい。
−層状無機化合物−
透湿性を向上させるため、上記被覆層中に層状無機化合物を分散させることが好ましい。本発明における層状無機化合物とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列したシートが、ファンデルワールス力、静電気力などの弱い力によってほぼ平行に積み重なった構造を持ち、層間に溶媒を配位又は吸収することにより膨潤、又はヘキ開する性質を示す無機化合物をいう。
このような無機化合物としては、膨潤性の含水ケイ酸塩、例えば、スメクタイト群粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなど)、バーミキュライト群粘土鉱物(バーミキュライトなど)、カオリン型鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイトなど)、フィロケイ酸塩(タルク、パイロフィライト、マイカ、マーガライト、白雲母、金雲母、テトラシリリックマイカ、テニオライトなど)、ジャモン石群鉱物(アンチゴライトなど)、緑泥石群鉱物(クロライト、クックアイト、ナンタイトなど)などが例示できる。これらの膨潤性層状無機化合物は、天然物でも合成物でもよい。
また、かかる層状無機化合物は、上記の如き層状無機化合物に有機化処理を施したものであってもよい。有機化処理にはオニウムイオンを持つ化合物を層状無機化合物に含有させることで有機化させることができ、具体的には、有機オニウムイオンからなる有機化剤を層状無機化合物に添加し処理することにより行われるのである。上記有機オニウムイオンについては特に限定されるものではないが、モノアルキルの1級〜4級のアンモニウムイオン、ジアルキルの2級〜3級のアンモニウムイオン、トリアルキルの3級〜4級のアンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン等を挙げることができ、アルキル鎖長としては炭素数が4〜30のものが好ましく、更には6〜20、特には8〜18が好ましい。アルキル鎖以外にも、エチレンオキサイドを構成単位とする、ポリエチレングリコール鎖を持つ1級〜4級のアンモニウムイオン(モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールのアンモニウムイオンでもよい。)でもよく、或いは高級脂肪酸の1〜4級のアンモニウムイオン、高級脂肪酸エステルの1〜4級のアンモニウムイオン、高級アルコールの1〜4級のアンモニウムイオンでもよい。又、これらの複数種の分子鎖を持つものでもよい。更には、脂肪酸アシドにこれらの分子鎖を付加させた2〜4級のアンモニウムイオンでもよい。
また、これらの層状無機化合物は、単独で又は二種以上組み合わせても使用できる。
層状無機化合物は、ガスバリア性と基材−ガスバリア層間の密着性とを両立させる点から、微粒子化処理されているのが好ましい。微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物は、通常、板状又は扁平状であり、平面形状は特に制限されず、無定形状などであってもよい。
微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物の平面形状の平均粒子径は、例えば、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜8μmがより好ましく、0.8〜6μmが更に好ましい。粒径が0.1μmより小さいと、透湿度低減効果が充分でなく、粒径が10μmより大きいと、ヘイズ値の増加、表面粗さの増加などが生じ、好ましくない。ここでいう平面形状の平均粒子半径とは、一般的な粒度分布計、例えば、光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)で測定される粒子半径分布値の内、その値を有する粒子数が最も多い粒子半径である。
前記層状無機化合物の濃度は、ビニルアルコール系樹脂に対して、2〜20質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。層状無機化合物の濃度が2質量%より少ないと、透湿度低減効果が充分でなく、層状無機化合物の濃度が20質量%より多いと、ヘイズ値の増加、脆性の悪化などが生じ、好ましくない。
−層状無機化合物の分散処理−
層状無機化合物は層間が確実にヘキ開した状態でバインダー中に分散することにより、透湿経路長を長くして透湿度を減少させる。
したがって、層状無機化合物の各層間が、適切にヘキ開された状態を得るための分散処理が非常に重要である。
そのため、層状無機化合物のシート同士の間隔(X線回折法により求めることができる)で、粒子の平均粒径(粒子が板状の場合には、平面方向の平均粒子径)を除した値が100〜10,000の範囲にあることが好ましく,500〜9,000の範囲にあることがより好ましく,1,000〜8,000の範囲にあることが特に好ましい。
分散処理は、溶液中で複数回高圧分散処理されるのが好ましい。処理圧力は10MPa以上がよく、より好ましくは20Mpa以上である。また、分散処理済みの素材も上市されており、これらを使用することもできる。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機化処理していない層状無機化合物に関しては、水又は水溶性溶媒(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールやアセトンなど)が例示でき、水が特に好ましい。
また、消泡性を付与するために、水と低級アルコールの混合溶媒も好ましく用いることができる。
高圧分散の処理方法としては、例えば、膨潤性層状無機化合物を溶媒に膨潤させた後、高圧ホモジナイザーにより攪拌することにより、高圧分散する方法が挙げられる。
塗布液の調整方法は特に限定されないが、前述の被覆層のバインダー成分を溶媒に均一に溶解させた後に層状粒子を均一に分散させた溶媒と混合する方法が有効に用いられる。
また、溶液作製後は不溶解物を除去するため、層状無機化合物の最大粒径よりも大きい網目を有するフィルターを用いて濾過することが好ましい。
−有機化処理した層状無機化合物−
層状無機化合物を親水性の低い化合物中に分散させる場合、有機溶媒に分散可能な層状無機化合物を用いることが好ましく、有機化処理してある層状無機化合物がより好ましい。
これらの層状無機化合物の例としては、アルキルアミン等の有機化剤により有機化処理した層状化合物である。
また、被覆層の強度をより強固にし、かつ透湿性をより低減する目的では、重合性基を含有した有機化剤により有機化処理することが好ましい。
市販品として使用できる有機化処理した層状無機化合物としては、ソマシフMAE・MTE・MEE・MPE(いずれもコープケミカル(株)製合成マイカ)、ルーセンタイトSAN、STN、SEN、SPN(いずれもコープケミカル(株)製合成スメクタイト)等が用いられる。
また、有機化していない層状無機化合物、例えば市販品であれば、ルーセンタイトME−100コープケミカル(株)製合成マイカ)、ルーセンタイトSWN(コープケミカル(株)製合成スメクタイト)を有機化処理することも好ましい。
有機化剤としては、4級アンモニウム塩が好ましく、特に限定はないが、下記一般式(3)で表される4級アンモニウム塩がより好ましい。
なお、下記一般式(3)中、Raは(CH)mH、又は(CH)mRcH又は(CHRc)mHで示され、mは2以上の整数、Rcは任意の構造又はなくてもよく、RbはCH、nは0又は1〜3の整数を表す。AはCl又はBrを表す。
上記一般式(3)において、nは0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、0〜1が更に好ましい。nが多いと分散性が悪化し、好ましくない。Raに関しては、全ての基が同じ構造であっても、異なる構造をとってもよい。
mは2以上であり、Raのうちの少なくとも1つの基は、mが、4以上が特に好ましく、8以上がより好ましく、8〜30が更に好ましい。mが大きいほど分散性がよくなり好ましいが、大きすぎると層状無機化合物に対する有機物の割合が大きくなりすぎて好ましくない。
Raは中に、分子間の相互作用が大きくなる構造を有することも好ましい。分子間の相互作用が大きくなる構造としては−OH、―CHCHO−、−CHO(CH)−などが挙げられる。
有機化処理に用いる4級アンモニウム塩として、例えば、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルベンジルオクタデシルアンモニウムブロミド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ポリオキシプロピレントリメチルアンモニウムクロリド、ジ(ポリオキシプロピレン)ジメチルアンモニウムクロリド、ジ(ポリオキシエチレン)ドデシルメチルアンモニウムクロリド、トリ(ポリオキシプロピレン)メチルアンモニウムクロリド、トリ(ポリオキシプロピレン)メチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
有機化処理された層状無機化合物を用いる方法としては、層状化合物を有機溶媒中に十分に分散しておき、疎水性バインダーを溶媒中に溶解及び/又は分散させたの溶液を添加する方法のほか、疎水性バインダーの溶液中へ、上記の分散した有機化処理された層状無機化合物溶液を添加する方法等が用いられる。
また、疎水性バインダーに層状無機化合物を直接添加する方法として、疎水性バインダーの溶融状態で層状無機化合物を添加し、混練等の方法により疎水性バインダー中へ分散しながら添加する方法も用いることができる。
−その他の成分−
本発明においては、被覆層を構成する樹脂組成物の成分として、前記層状無機化合物に加え、ビニルアルコール系重合体の架橋剤を更に添加してもよく、これにより接着層の耐水性を向上させることができる。
また、本発明の第1の保護フィルムに設けられる被覆層には、必要に応じて、熱安定剤、光安定剤、滑剤等の添加剤を添加してもよい。
――架橋剤――
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の架橋剤を適宜選択することができ、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミドポリ尿素、ジメチロール尿素、ジメチロールメラミン、多価エポキシ化合物、ジアルデヒド化合物、多価イソシアネート樹脂、アジリジン化合物、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン化合物、活性化ビニル化合物、ジカーボネート化合物、ヒドラジノ基含有化合物、コロイダルシリカ、ジルコニウム塩、多価金属塩、ホウ酸、リン酸、ポリアクリル酸、ジカルボン酸、アジピン酸無水物、コハク酸無水物、テトライソプロピルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタネートなどのチタン化合物等を挙げることができ、この他、3−グリシドプロピルメトキシシラン等のカップリング剤、パーオキサイド等のラジカル発生剤等の使用も可能である。
上記した架橋剤の中でも、活性化ビニル化合物、ジカーボネート化合物、コロイダルシリカ、ジルコニウム塩、多価金属塩、ホウ酸、リン酸、ポリアクリル酸、ジカルボン酸、アジピン酸無水物、コハク酸無水物、テトライソプロピルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタネートなどのチタン化合物は粘度と接着強度などのバランスに優れており、好ましい。
架橋剤の添加量は、(架橋剤/(PVA系重合体+架橋剤))で0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましい。PVA系重合体と架橋剤の両者に対する架橋剤の質量比率が0.5質量%未満の場合には、架橋剤を添加したことにより効果が発現しない。また、PVA系重合体と架橋剤の両者に対する架橋剤の質量比率は50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。架橋剤の質量比率が50質量%を越えると、樹脂組成物から形成される接着層の透明性及び耐水性などが低下する傾向がある。
−被覆層の形成−
ビニルアルコール系重合体、又は、ビニルアルコール系重合体と層状無機化合物からなる被覆層は、例えば、塗布液をダイレクト・グラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法、コンマコート法などのコート法によりセルロースアシレート基板上に製膜する方法などを用いて、基材層上に形成することができる。この際、製膜時に塗工装置に対する液の粘度特性を最適とするために、増粘剤などの粘度調整剤を塗工液に添加して、塗布液の液粘度を調整する方法も用いることもできる。
また、被覆層の防湿性、耐水性をより向上させるために、セルロースアシレート類基材層上に被覆層を塗布後、該被覆層を90℃以上、150℃以下で数分間熱処理することが好ましく、130℃以上150℃以下で加熱するのがより好ましい。熱処理時間は、生産性と耐水性の点から、1分以上20分以下が好ましく、5分以上15分以下がより好ましい。また、前記被覆層とセルロースアシレート類基材層との密着性の点からセルロースアシレートを予め鹸化処理しておくことが好ましい。
−被覆層の厚み−
本発明の保護フィルムに設けられる被覆層の厚みは、1〜15μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。前記被覆層の厚みが15μmより大きいと、被覆層の脆性が悪化したり、乾燥の負荷が大きくなり、カールが強くなるなど、保護フィルムとして好ましくない。
−塗布溶媒−
本発明の第1の保護フィルムに設けられる被覆層としての塗布膜を形成するための塗布組成物の溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノールを1種又は2種以上混合して使用することが好ましい。これらの中でも、塗布液の消泡性の観点から、水とアルコール系溶媒を混合して使用する事が特に好ましい。
前記溶媒を2種以上混合する場合には、透明基材フィルムを溶解する少なくとも一種類以上の溶剤と、透明基材フィルムを溶解しない少なくとも一種類以上の溶剤を含有することが好ましい。
このような態様にすることで、透明基材フィルムへの隣接層成分の過剰な染み込み防止と、隣接層と透明基材フィルムとの密着性確保の両立を図ることができる。
また、透明基材フィルムを溶解する溶剤のうちの少なくとも一種類が、透明基材フィルムを溶解しない溶剤のうちの少なくとも一種類よりも高沸点であることがより好ましく、透明基材フィルムを溶解する溶剤のうち最も沸点の高い溶剤と、透明基材フィルムを溶解しない溶剤のうち、最も沸点の高い溶剤との沸点温度差が30℃以上であることが更に好ましく、該沸点温度差が40℃以上であることが特に好ましい。
このとき、溶媒量は、固形分濃度が3〜20質量%になるように調整することが好ましい。
−基材層との密着性−
本発明の保護フィルムに設けられる被覆層の塗布膜を形成する際には、基材層との密着性が課題となる。密着性を向上させるためには、基材層上に後述の下塗り層を設けてからその上に被覆層塗布膜を形成することも好ましく用いられるが、層数が増えることによる、生産性減少、コスト増加、層厚増加などの問題が生じるため、本発明においては基材フィルムの片面又は両面に、親水化処理、凹凸処理などの前処置を施すのがより好ましい。
前処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、鹸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられるが、コロナ放電処理、グロー放電処理、鹸化処理(湿式)が特に好ましく、鹸化処理が更に好ましい。
−−微粒子−−
また、本発明では、被覆層形成用塗布液中に微粒子を添加してもよい。微粒子を添加することで硬度向上、透明基材フィルムとの密着性向上、透湿度低減などの効果が得られる。
微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機−無機複合微粒子のいずれも使用できる。無機微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化インジウム粒子などが挙げられる。
一般に、無機微粒子は、単に混合するだけでは凝集体を形成したり、硬化後の被覆層にひび割れが生じたりしやすくなる場合がある。本発明では無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を、有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。
微粒子の充填量は、ビニルアルコール系重合体に対して、2〜20質量%が好ましい。
被覆層形成用塗布液中に、無機の層状化合物を上述の内容のように添加することもできる。層状化合物としては、合成雲母、合成スメクタイトが好ましく用いられる。
−ハードコート層との密着性−
本発明の被覆膜の塗布膜を形成する場合は、ハードコート層との密着性も課題となる。ハードコートとの密着性を向上させるために有効な手段の1つは、被覆層とハードコート層の間に中間層としての易接着層を設けることである。
易接着層としては後述の下塗り層を設けることができるが、シランカップリング剤を含有する層を設けることが好ましく、アクリル基又はメタクリル基を有するシランカップリング剤を含有する層を設けることがより好ましく、シランカップリング剤と多官能の多官能アクリレート又はメタクリレートモノマー、オリゴマー、ポリマーを同時に含有する層を設けることが更に好ましい。
シランカップリング剤を含有する易接着層を設ける場合は、シランカップリング剤の加水分解物、シランカップリング剤の加水分解物の部分縮合物が特に好ましい。なお、易接着層の膜厚は0.05〜2μmが好ましい。
<<ハードコート層>>
本発明の第1の保護フィルムには、当該保護フィルムの物理的強度を付与するために、透明基材フィルムの一方の面にハードコート性を有する層(以下、ハードコート層ということがある)が設けられることが好ましい。
ハードコート性を有する層の塗設面は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、塗布適性を考慮すると、基材層に直接(基材層を介して被覆層とは逆側に)付与することが好ましい。
また、ハードコート層上に低屈折率層が設けられることがより好ましく、ハードコート層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、反射防止フィルムが構成されることが更に好ましい。また、ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、1.48〜2.00であることが好ましく、1.49〜1.90であることがより好ましく、1.50〜1.80であることが更に好ましい。
本発明では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層設けられているので、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の厚さは、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、0.5μm〜50μm程度が好ましく、1〜20μmがより好ましく、2〜15μmが更に好ましく、3〜12μmが特に好ましい。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、2H以上であることが好ましく、3H以上であることがより好ましく、4H以上であることが更に好ましい。
特に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明基材フィルム上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、上記の重合性不飽和基を有するモノマーの代わり、又はそれに加えて、架橋性の官能基をバインダーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。
また、ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を有するモノマーとして利用できる。
ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。
すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子、又は樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマー、又は無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマー及び/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
ハードコート層のヘイズは、反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部及び表面にて光散乱機能を付与しない場合は、ヘイズ値は低い程よく、具体的には10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、2%以下が更に好ましい。
一方、表面の反射率を抑える機能に加えて、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが5%〜15%であることが好ましく、5%〜10%であることがより好ましい。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10%〜90%であることが好ましく、15%〜70%であることがより好ましく、20%〜50%であることが更に好ましい。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ、及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得る為には、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とすることが好ましく、0.09μm以下とすることがより好ましく、0.08μm以下とすることが更に好ましい。
本発明のフィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、反射防止フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。
透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
本発明の偏光板用保護フィルムが液晶表示装置の表面に用いられる場合に、周辺の物体の反射像が表面に映り込んで、表示画像の視認性を低下させることがあり、これを防ぐためには、ハードコート層の表面に凹凸を付け、光を表面で散乱する性能(防眩性)を付与することが好ましい。
ハードコート層としては、表面及び/又は内部に光散乱性を付与した、光散乱性層とすることが好ましい(表面に散乱性を付与した場合は、防眩層ということがある)。
<<防眩層>>
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。したがって、本発明ではハードコート層の一実施態様として用いることができる。
防眩性を付与する方法としては、特開平6−16851号公報に記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号公報に記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号公報に記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子及び透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号公報に記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2000−275404号公報に記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2005−195819号公報に記載のように複数のポリマーの混合溶液から溶媒が蒸発する過程で相分離することを利用して表面凹凸を形成する方法、などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
[透光性粒子]
本発明で用いることができる防眩層の1つの好ましい態様は、ハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、及び溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものである。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
上記透光性粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。
「ギラツキ」は、防眩性反射防止防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が、10〜1,000mg/m含有されることが好ましく、100〜700mg/m含有されることがより好ましい。
防眩層の膜厚は、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。前記範囲内とすることで、ハードコート性、カール、脆性を満足することができる。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)を0.09〜0.40μmの範囲が好ましい。0.40μmを超えると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが更に好ましい。
<<反射防止層>>
また、本発明の第1の保護フィルムには、反射率を低減することを目的として、前記ハードコート層上に反射防止層を設けることが好ましい。該反射防止層は、少なくとも低屈折率層を有し、必要に応じて、ハードコート層側に、中屈折率層及び高屈折率層の少なくともいずれかの層と、前記低屈折率層とがこの順に設けられた複数の層からなる反射防止層が設けられることが、反射率低減の面から更に好ましい。
なお、ハードコート層を設けずに反射防止層を設けることもできるが、保護フィルムの物理的強度向上のために、ハードコート層を介在させることが好ましい。ハードコート層は、2層以上の積層構造をなしてもよい。
[高屈折率層、及び中屈折率層]
本発明の保護フィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、後述の低屈折率層とともに光学干渉を利用すると反射防止性を高めることができる。
本明細書では、この高屈折率層、及び中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明基材フィルムとの関係で言えば屈性率は、透明基材フィルム>低屈折率層、高屈折率層>透明基材フィルムの関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、及び低屈折率層を、反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止層を作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、1.60〜2.20がより好ましく、1.65〜2.10が更に好ましく、1.80〜2.00が特に好ましい。
透明基材フィルムから近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層に用いられる無機粒子の具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOとSiO等が挙げられる。TiO及びZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、15〜80質量%であることがより好ましく、15〜75質量%であることが更に好ましい。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明基材フィルムの屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いられる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、50〜170nmがより好ましく、60〜150nmが更に好ましい。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましい。高屈折率層は、前記透明基材フィルム上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
[低屈折率層]
本発明のフィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いることが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが更に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがより好ましい。
低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが更に好ましい。
また、保護フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましく、95度以上がより好ましく、100度以上が更に好ましい。
低屈折率層の組成の好ましい態様としては、(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素ポリマーを含有する組成物、(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を含む組成物、(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、が挙げられる。
<<面状改良剤>>
透明基材フィルム上に層形成する際に用いる塗布液には、面状故障(塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥など)を改良するために、フッ素系及びシリコーン系の少なくともいずれかの面状改良剤を添加することが好ましい。
面状改良剤は、塗布液の表面張力を1mN/m以上変化させることが好ましい。
ここで、塗布液の表面張力が1mN/m以上変化するとは、面状改良剤を添加後の塗布液の表面張力が、塗布/乾燥時での濃縮過程を含めて、面状改良剤を添加してない塗布液の表面張力と比較して、1mN/m以上変化することを意味する。
塗布液の表面張力を1mN/m以上下げる効果がある面状改良剤であることが好ましく、2mN/m以上下げる面状改良剤であることがより好ましく、3mN/m以上下げる面状改良剤であることが更に好ましい。
フッ素系の面状改良剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基を含有する化合物が挙げられる。好ましい化合物の例は、特開2005−115359号公報、特開2005−221963号公報、及び特開2005−234476号公報に記載の化合物が挙げられる。
<<帯電防止層>>
本発明においては、第1の保護フィルムの表面における静電気を防止する目的で、帯電防止層を設けることが好ましく、前述したように、複数の層からなる易接着層50のいずれかの層を前記帯電防止層としてよい。
帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法が挙げられる。
導電性層は、透明基材フィルムに直接又は、透明基材フィルムとの接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることが更に好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることがより好ましく、10〜10Ω/sqであることが更に好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
また、波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
本発明の帯電防止層は、強度が優れており、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが更に好ましく、4H以上であることが特に好ましい。
本発明のフィルムの各層の塗布方法は特に制限されないが、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が高い生産性、塗膜の均一性の観点で好ましく用いられる。
本発明のフィルムの各層の乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。乾燥条件は、透明基材フィルムの熱的強度や搬送速度、乾燥工程の長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが膜硬度や接着防止の点で好ましい。有機溶媒を含有しない場合には、乾燥工程を省略し、塗布後すぐに紫外線照射することもできる。
本発明の保護フィルムに設けられる被覆層は、結晶化度を高めるために熱処理を施してもよい。好ましい熱処理温度は、40〜130℃であり熱処理時間は必要とする結晶化度に応じ適宜決定することができるが通常5分から48時間程度である。
更に、透明基材フィルムと被覆層の密着性を向上させる目的で、所望により透明基材フィルムの片面又は両面に、親水化処理、凹凸処理などの前処置を施すのがより好ましい。
前処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、鹸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられるが、コロナ放電処理、グロー放電処理、鹸化処理(湿式)が特に好ましい。
<<下塗り層>>
本発明における下塗り層の形成について説明する。下塗り層は1層で構成されていてもよく、2層以上で構成されていてもよい。本発明において、透明基材フィルム/被覆層の間に下記のような二層構成の下塗り層を設けることがより好ましい。
[下塗り層の組成]
一層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、及びカルボジイミド化合物、
導電性金属酸化物粒子を必須成分とした帯電防止層
二層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、及び架橋剤を必須成分とした表面層
下塗り層は、透明基材フィルム上に帯電防止層と表面層がこの順で設けられる。本発明の帯電防止層においては、透明基材フィルム上に帯電防止層を設けて得られる低帯電性支持体のヘイズが3%以下にあり、そして得られる感材の表面層の表面電気抵抗が1×10〜1×1011Ωの範囲にあるように、導電性が付与されている。帯電防止層を付与することで、プラスチック支持体をハンドリングする製造プロセスにおいて発生する静電気起因のゴミ付き故障の発生を抑制することができる。
―防汚剤―
本発明では、前記被覆層、及びハードコート層の少なくともいずれかに防汚剤を含有させるか、又は、フッ素、及びケイ素の少なくともいずれかを含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂を含み、紫外線の照射により硬化する硬化性組成物を含む防汚性層を前記被覆層、及びハードコート層の少なくともいずれかに積層することにより、防汚性被覆層を形成してもよい。
本発明に用いられる防汚剤は、被覆層に撥水性、撥油性等の防汚性を付与するもので、そのようなものとしては、被覆層形成用塗布液の調製及び透明記基材フィルム上に塗布する際に不都合がなく、かつ防汚性被覆層形成時に、防汚性被覆層表面で撥水性、撥油性を発現するものであればいかなるものであってもよい。そのようなものとしてはフッ素及び/又はケイ素を含有する硬化樹脂が挙げられる。
[フッ素及びケイ素の少なくともいずれかを含有する硬化性樹脂]
本発明で用いられる被覆層又は防汚性層に含有されるフッ素及び/又はケイ素を含有する硬化性樹脂としては、公知のフッ素硬化性樹脂やケイ素硬化性樹脂、又はフッ素及びケイ素含有部を含むブロックを有する硬化性樹脂が挙げられ、更に樹脂又は金属酸化物等と相溶性のよいセグメントと、フッ素又はケイ素を含有するセグメントとを含有する硬化性樹脂が好ましく、被覆層又は防汚性層へ添加することで、表面にフッ素又はケイ素を偏在させることができる。
これらの具体的な硬化性樹脂としては、フッ素又はケイ素を含有するモノマーと、他の親水性又は親油性のモノマーとのブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表される、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
ケイ素含有モノマーとしては、ポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。
親水性又は親油性のモノマーとしては、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、末端に水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸のエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
市販の硬化性樹脂としては、パーフルオロアルキル鎖のミクロドメイン構造を有するアクリル系オリゴマーの「デフェンサMCF−300」、「デフェンサMCF−312」、「デフェンサMCF−323」等、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマーの「メガファックF−170」、「メガファックF−173」、「メガファックF−175」等、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマーの「メガファックF−171」等(以上、大日本インキ化学(株)製)や、表面移行性に優れたセグメントと樹脂に相溶するセグメントよりなるビニルモノマーのブロックポリマーであるフッ化アルキル系の「モディパーF−200」、「モディパーF−220」、「モディパーF−600」、「モディパーF−820」等、シリコン系の「モディパーFS−700」、「モディパーFS−710」等(以上、日本油脂(株)製)が挙げられる。
被覆層の上に防汚性層を設けるには、フッ素原子を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂が好ましく、具体的には、特開昭57−34526号公報、特開平2−19801号公報、特開平3−17901号公報等に記載のフッ化炭化水素基を含有するシリコン硬化性樹脂、フッ化炭化水素基含有ポリマー等が挙げられる。
<第2の保護フィルム>
本発明に用いる第2の保護フィルムは、偏光膜とセルの間に位置し、偏光板の保護フィルムとしての機能の他、好ましくは光学補償の機能を併せ持つために所望の位相差を有し、また光学的な弊害のないフィルムであればよく、一般に使用される種々の熱可塑性高分子フィルムを好適に用いることができる。
<<第2の保護フィルムの透湿度>>
第2の保護フィルムの透湿度としては、上記機能を発揮すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、800〜3,000g/m・日が好ましく、1,000〜1,700g/m・日であることがより好ましい。このような第2の保護フィルムとしては、TAC(セルローストリアセテート)フィルムが好適に用いられる。
<<第2の保護フィルムの寸法変化率>>
また、液晶表示装置用の偏光板の保護フィルムとして使用した場合における、液晶表示装置の表示品質の劣化を防止する観点から、第2の保護フィルムの90℃、2.7%、100時間の熱処理前後におけるフィルムの長さの変化量の処理前の長さに対する比である寸法変化率(寸度変化率ともいう)は小さい方がよく、フィルムのTD方向又はMD方向のどちらか一方における寸法変化率が0.02%以下であることが好ましく、0.015%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることが更に好ましい。
また、同様の観点から、第2の保護フィルムの60℃90%RH条件における100時間の湿熱処理前後におけるフィルムの長さの変化量の処理前の長さに対する比である寸法変化率も小さい方がよく、フィルムのTD方向又はMD方向のどちらか一方における寸法変化率が0.3%以下であることが好ましく、0.2%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが更に好ましい。
また、同様の観点から、第2の保護フィルムの光弾性係数も大きくない方が好ましく、10×10−13cm/dyne(1.0×10−11/N)以下であることが好ましく、7×10−13cm/dyne以下であることがより好ましく、5×10−13cm/dyne以下であることが更に好ましい。
<<光学補償フィルムとしての機能>>
本発明における第2の保護フィルムは、偏光板を構成する偏光子の少なくとも一方の面を保護するフィルムであると同時に、光学補償機能として位相差特性を有した光学補償フィルムとして機能することが好ましい。
その光学補償フィルムとしての面内位相差値(Re値)、及び厚み方向位相差値(Rth値)は、それぞれ下記数式(f)及び(g)で表される。
Re=(nx−ny)×d・・・・・・・・・・・・・・・・数式(f)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・数式(g)
なお、上記数式(f)及び(g)中、nx、ny、nzはフィルムの三次元屈折率であり、それぞれフィルム面内におけるx軸方向、y軸方向、フィルムに垂直なz軸方向の屈折率である。また、dはフィルムの厚み(nm)である。
ここで、nx、ny、nzはフィルムの光学異方性を表す指標である。特に本発明におけるフィルムの場合には
nx:フィルム面内における最大屈折率
ny:フィルム面内における最大屈折率を示す方向に直交する方位の屈折率
nz:フィルム法線方向の屈折率
とする。
ここで、本発明では高分子フィルムを一軸延伸した場合には延伸方向、二軸延伸の場合にはより配向度が上がるように延伸した方向、すなわち化学構造的に言えば高分子主鎖の配向方向の屈折率が最大となるときを光学異方性が正、かかる配向方向の屈折率が最小となるときを光学異方性が負であると呼ぶ。
本発明では高分子フィルムの光学異方性を屈折率楕円体と見なして公知の屈折率楕円体の式により求める方法によりこの三次元屈折率を求めている。
この三次元屈折率は使用する光源の波長依存性があるので、使用する光源波長で定義することが好ましく、本発明において特に波長の指定がない場合は550nmでの値とする。
<<光学補償フィルムとしての製造方法>>
得られたフィルムに目的に応じた位相差特性を持たせるために、延伸処理などがなされる場合が多い。
延伸方法の例としては、ロール速度差を利用するロール縦一軸延伸方法、フィルム幅方向端部をピンあるいはクリップにより把持し、把持した部分を幅方向に広げるテンター横一軸延伸法、把持した部分のフィルム流れ方向速度差及び/又は走行距離差を利用するテンター斜め一軸延伸法、厚み方向に引張応力をかける特殊Z軸延伸方法、面内に圧縮応力をかける特殊Z軸延伸方法等の連続延伸方法が挙げられる。
更に、上述したような一軸延伸法を繰り返す逐次二軸延伸法、フィルム流れ方向に速度差のついたテンターを幅方向に広げる同時二軸延伸法、更にはこのような延伸を数回繰り返す多段延伸法等が挙げられる。
位相差を与えるフィルムを得るための連続延伸法の例をいくつか挙げたが、本発明の高分子フィルムの延伸方法はこれらに限定されるものではなく、生産性の観点から連続延伸が好ましいが、特に連続延伸である必要はない。
本発明の第2の保護フィルムに位相差を与える別の方法として、フィルム表面に光学異方性層を設けてもよい。光学異方性層は特に限定されるものではないが、例えば熱可塑性高分子フィルム上に直接又は下引き層を設けた上に更に配向層を形成し、その上に液晶性化合物を配向固化させて形成することができる。また、配向層単独で光学異方性層とすることもできる。
光学異方性層は、偏光子を接着する面、偏光子を接着しない面のいずれの面に設けてもよいが、偏光子を接着しない面に設けることが好ましい。
[配向層]
前記配向層は、熱可塑性高分子フィルム上に配置され、後述する光学異方性層に隣接して、光学異方性層中の液晶化合物を配向するために用いられる。
配向層を構成する具体的な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリビニルピロリドン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられるがこれらに限定されない。
配向処理は、公知の方法が用いられるが、ラビング処理等のLCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができ、また、公知の光配向層を用いることもできる。
[光学異方性層]
前記光学異方性層は、液晶表示素子の視野角特性を改良するため、光学異方性層の厚さはそれを構成する液晶化合物の複屈折の大きさ、及び液晶化合物の配向状態によって異なるが、概ね、その膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましい。
光学異方性層は、1つの熱可塑性高分子フィルムに対して複数層設置することもできるが、生産性の観点から1層であることが好ましい。
―液晶化合物―
液晶化合物は、配向できるものであれば特に限定されるものではなく、ディスコチック化合物又は棒状の液晶化合物が挙げられ、数種類の液晶化合物の混合物でもよく、化学反応又は温度差を利用した処理により、配向を固定化できるものである。
また、液晶化合物と有機溶媒を含む溶液を調製し、その溶液を塗布、乾燥して光学異方性層を作製する場合、液晶転移温度以上に加熱しなくても該温度以下で液晶化合物の配向処理をすることも可能である。
液晶化合物を含む溶液を塗布した場合、塗布後、溶媒を乾燥して除去し、膜厚が均一な液晶層を得ることができる。液晶層は、熱又は光エネルギーの作用、又は熱と光エネルギーの併用で化学反応によって、液晶の配向を固定化することができる。
また、液晶化合物が高分子液晶である場合、上記化学反応による硬化反応を用いて液晶の配向を固定しなくてもよい。
例えば高分子液晶をガラス転移点温度以上で熱処理し、ガラス転移温度以下に放冷することで配向を固定化することができる。
高分子液晶のガラス転移点温度が熱可塑性高分子フィルムの耐熱性温度よりも高い場合は、熱可塑性高分子フィルム上に前記配向膜を設置し高分子液晶を塗布後、高分子液晶のガラス転移点温度以上に加熱し配向させることができる。
また、別の支持体上に配向固化させた後、熱可塑性高分子フィルムに接着剤を用いて転写して光学異方体を作製することもできる。
目的に応じた位相差特性を持たせるために、延伸処理と光学異方性層を設ける方法を挙げたが、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。
特に、面内位相差と厚み方向位相差それぞれに異なる波長依存性を持たせたい場合には、それぞれ異なる位相差波長依存性を有する熱可塑性高分子フィルム上に光学異方性層を設ける場合がある。
例えば、VA液晶などには位相差が短波長ほど小さい特性を有する熱可塑性高分子フィルム上に位相差が短波長ほど大きい特性を有する光学異方性層を設ける場合がある。あるいは特殊Z軸延伸などのように生産性の悪い延伸処理が必要な場合には、生産性のよい延伸処理がされた熱可塑性高分子フィルム上に光学異方性層を設け、全体として目的とする位相差特性とする場合がある。例えばIPS液晶、円偏光板などには、一軸延伸処理がされた正の光学異方性を有する熱可塑性高分子フィルム上に厚み方向位相差が負となるような光学異方性層を設ける。あるいは、一軸延伸処理がされた負の光学異方性を有する熱可塑性高分子フィルム上に厚み方向位相差が正となるような光学異方性層を設ける。更には、二軸延伸処理された負の光学異方性を有する熱可塑性高分子フィルム上に面内に光学軸を有する正の一軸性光学異方性層を設けるなどして、全体として目的とする位相差特性とする場合がある。
<<第2の保護フィルムの接着性>>
前記熱可塑性高分子フィルムからなる第2の保護フィルムは、該フィルム上に層を形成したり、また偏光子との接着性を向上させる目的で表面処理を施すことが好ましい。
表面処理としては、鹸化処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、易接着層の積層などが挙げられ、フィルム面の水滴の接触角で65°以下が好ましく、60°以下がより好ましく、40°以下の表面状態にするのが更に好ましい。
<<易接着層>>
本発明では、密着を向上させるために易接着層を形成することが好ましい。
易接着層としては、保護フィルムとして該フィルム上に層を形成したり、また偏光子との接着性を向上させるものであれば何でもよく、例えばアクリル酸エステル系ラテックス、メタクリル酸系ラテックス、スチレン系ラテックス、等のラテックスからなる易接着層、親水性高分子化合物と架橋性樹脂化合物を含む混合物からなる易接着層、等が用いられる。
これらの易接着層は、前記熱可塑性高分子フィルム上に直接積層してもよいし、鹸化処理やコロナ放電処理等の易接着処理を施した後に積層してもよい。
[ラテックスからなる易接着層]
本発明はフィルム支持体上に、アクリル酸エステル系ラテックス、メタクリル酸系ラテックス、スチレン系ラテックスからなる易接着層を形成される事が好ましい。また、このラテックスは、(a)ジオレフィン系単量体、(b)ビニル単量体、(c)1種以上の分子内に2個以上のビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル又はアリル基を有する単量体からなる単量体混合物に対し、(d)α−メチルスチレンダイマーと他の重合連鎖移動剤とからなる重合連鎖移動剤の存在下において、水性媒体中で乳化重合して得られる共重合体ラテックスでもよい。
(a)ジオレフイン単量体
共重合体を形成する一方の単量体である(a)ジオレフイン単量体には、共役ジエンであるブタジエン、イソプレン、クロロプレン、等を挙げることができ、ブタジエンが好ましく用いられる。また、共重合体中の(a)ジオレフイン単量体の含有量は、共重合体全体の10〜60質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。
(b)ビニル単量体
本発明に用いられる共重合体の第2成分である(b)ビニル単量体としては、ビニル基を固有する単量体なら何でもよいが、好ましくは下記に示すものであり、スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、塩化ビニル、酢酸ビニル及びこれらの誘導体、アクリル酸のアルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクロレイン、メタアクロレイン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、N−メチロール化アクリルアミド、N−メチロール化メタクリルアミド、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート等が挙げられる。また、共重合体中の(b)ビニル単量体の含有量としては、全体の90〜40質量%が好ましく、上記ビニル単量体、とりわけスチレン類が共重合全体の70〜40質量%であることがより好ましい。
上記スチレンの誘導体としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル等が挙げられる。
アクリル酸のエステルの中で好ましいものとしては、アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(c)分子内に2個以上のビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基を有する単量体
また、本発明に用いられる共重合体の第3成分である(c)分子内に2個以上のビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基を有する単量体としては、ジビニルベンゼン、1,5−ヘキサジエン−3−イン、ヘキサトリエン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルフタレート、ジアリルカルビノール、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート等の通常ビニル単量体の重合の際に添加されるいわゆる架橋剤が挙げられる。
(c)分子内に2個以上のビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基を有する単量体は、(a)ジオレフイン単量体と(b)ビニル単量体との合計に対して0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
(d)重合連鎖移動剤中のα−メチルスチレンダイマー
(d)重合連鎖移動剤中のα−メチルスチレンダイマーとしては、異性体として、(i)2−4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、(ii)2−4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、(iii)1−1−3−トリメチル−3−フェニルインダンがある。
α−メチルスチレンダイマーとして好ましい組成は、(i)成分が40質量%以上、(ii)成分及び/又は(iii)成分が60質量%以下、更に好ましくは(i)成分が50質量%以上、(ii)成分及び/又は(iii)成分が50質量%以下、特に好ましくは(i)成分が70質量%以上、(ii)成分及び/又は(iii)成分が30質量%以下である。(i)成分の組成比率が増加するに従って連鎖移動効果に優れる。
α−メチルスチレンダイマーは、本発明の目的を損なわない範囲で、不純物、例えば、未反応のα−メチルスチレン、前記(i)、(ii)、(iii)成分以外のα−メチルスチレンオリゴマー、α−メチルスチレンポリマーを含むものであってもよい。α−メチルスチレンダイマーを使用する場合、その目的を損なわないものであれば、α−メチルスチレンダイマーを合成後、これを未精製の状態で使用することができる。
(d)重合連鎖移動剤中のα−メチルスチレンダイマーの割合は、2〜100質量%が好ましく、3〜100質量%がより好ましく、5〜95質量%が更に好ましい。
このα−メチルスチレンダイマーの割合が2質量%未満では接着強度と耐ブロッキング性に優れた共重合体ラテックスを得ることができない。
また、α−メチルスチレンダイマーと他の重合連鎖移動剤との併用により、重合時における反応性を高めることができる。
(d)重合連鎖移動剤の使用量は、単量体混合物100質量部当たり、0.3〜10質量部が好ましく、0.5〜7質量部がより好ましい。この(d)重合連鎖移動剤の使用量が0.3質量部未満では、耐ブロッキング性が劣り、一方10質量部を越えると接着強度が低下して好ましくない。
なお、α−メチルスチレンダイマーの使用量については、単量体混合物の100質量部当り、0.1〜5質量部の範囲で使用することが好ましい。
次に、(d)重合連鎖移動剤におけるα−メチルスチレンダイマーと併用する他の連鎖移動剤としては、一般の乳化重合に使用されている公知の重合連鎖移動剤を使用することができる。
具体的には、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタンなどの炭化水素類;及びアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテンなどが挙げられる。これらは単独でも、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
これらのうち、メルカプタン類、キサントゲンジスルフィド類、チウラムジスルフィド類、四塩化炭素などが好適に使用される。
本発明における共重合体ラテックスは、上記の単量体混合物及び重合連鎖移動剤を使用する点を除けば、従来公知の乳化重合法によって製造することができる。
すなわち、水等の水性媒体に単量体混合物及び重合開始剤、乳化剤、重合連鎖移動剤等を加えて乳化重合を行うことによって得られる。
上記の共重合体ラテックスは、ポリエステルフィルム支持体上に下塗層として塗布される。塗布膜厚は50〜1,000nmが好ましく、50〜300nmがより好ましく、50〜200nmが更に好ましい。
本発明において、ポリエステルフィルム支持体上に下塗層を形成する際に、共重合体ラテックスに対してジクロロ−s−トリアジン系架橋剤を併用することが好ましい。ジクロロ−s−トリアジン系架橋剤の併用により常湿条件下、高湿条件下、低湿条件下での接着力が著しく向上し、低湿条件下での亀裂が生じなくなり、その他、帯電防止性、耐傷性、耐水性、耐溶剤性等に優れた効果を付与できる。
本発明に使用されるジクロロ−s−トリアジン系架橋剤は、下記一般式(4)、及び一般式(5)に示す少なくともいずれかの化合物が好ましい。なお、下記一般式(4)中、Aはアルキル基、環状アルキル基、アリール基、アルアルキル基、金属、水素原子である。また、一般式(5)中、R、Rは、水素、アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アルアルキル基、−NHR(Rはアルキル基、アシル基)、RとRは結合してもよく、また、O、S、N−R(Rはアルキル基)を含む5〜6員の環を形成していてもよい。
これらのジクロロ−s−トリアジン系架橋剤は、単量体混合物に対して0.1〜100質量部添加することができる。ジクロロ−s−トリアジン系架橋剤の添加量が0.1質量部より少ないと、接着力の向上が不充分となり、その他、低湿条件下での亀裂防止効果や帯電防止性、耐傷性、耐水性、耐溶剤性等効果が不充分となり易い。
一方、ジクロロ−s−トリアジン系架橋剤の添加量が100質量部を超えると、未反応の架橋剤が多量に残り、上層のゼラチン層に移行して過硬膜となり、乳剤又はバック層との接着性が低下させ、好ましくない。
これらのジクロロ−s−トリアジン系架橋剤の具体例としては、次に示すものがある。
[親水性高分子化合物]
本発明において、上記の下塗り層上に、更に親水性高分子化合物を主バインダーとする第2の下塗層を積層して易接着層として設けることができる。
ここで、親水性高分子化合物としては、一般に、水酸基などの親水性の基を持つ高分子化合物であればよく、ゼラチン、フタル化ゼラチン、マレイン化ゼラチン等のアシル化ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、アクリル酸、メタクリル酸もしくはアミド等をゼラチンにグラフトさせたグラフト化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルホマール、ポリビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム、寒天、でんぷん、等)、親水性ポリエステル誘導体(例えば、部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等)、ポリビニル誘導体(例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、コポリ−ビニルピロリドン−酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等)、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、グラフトでんぷん、アガロース、アルブミン、アルギン酸ソーダ、ポリサッカライドポリアクリルアミド、N−置換アクリルアミド、N−置換メタクリルアミド等の単独もしくは共重合体、あるいはそれらの部分加水分解物等合成もしくは天然の親水性高分子化合物が用いられる。これらのものは、単独又は混合して使用される。好ましい親水性ポリマーとしては、ゼラチンあるいはその誘導体である。
本発明に用いられる下塗り層塗布液は、一般によく知られた塗布方法、例えば、ディップコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョン法等により塗布することができる。
易接着層の厚みとしては、0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。0.05μmより薄いと十分な接着性が得られ難く、また、1.0μmより厚いと接着性の効果は飽和する。
易接着層、親水性高分子を含有する層には、必要に応じて紫外線吸収剤を添加することもできる。
紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、紫外線吸収剤としては、各層に紫外線吸収剤を添加した後の保護フィルム全体での、波長380nmの透過率が0〜50%が好ましく、0〜30%がより好ましく、0〜10%が更に好ましく、600nmの透過率が80〜100%が好ましく、85〜100%がより好ましく、90〜100%であるものが更に好ましく用いられる。
[親水性高分子化合物と架橋性樹脂化合物を含む混合物からなる易接着層]
本発明の保護フィルムにおいては、前記熱可塑性高分子フィルムの少なくとも片面に親水性高分子化合物と架橋性樹脂化合物を含む混合物を、通常熱処理することにより得られる層を易接着層として積層してもよい。
これらは、具体的には、主として上記親水性高分子化合物と架橋性樹脂化合物を含む混合物(以下塗工液ということがある)を熱可塑性高分子フィルムの少なくとも一方の面上に塗工し、ついで熱処理することにより得ることができる。特に、生産性、安全性の観点から上記親水性高分子化合物と架橋性樹脂化合物を含む混合物は通常、水を含む溶液であって水溶液であることが好ましい。
−親水性高分子化合物−
本発明における親水性高分子化合物としては、前記親水性高分子化合物が挙げられ、単独あるいは2種以上を併用しても構わない。親水性高分子化合物として、偏光子と類似する組成であるポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール)が好ましい。
ポリビニルアルコールを用いる場合には、重合度は100〜7,000であることが好ましく、300〜5,000であることがより好ましく、500〜5,000であることが更に好ましく、1,000〜4,000であることが特に好ましい。
また、鹸化度は、40〜99.9%であることが好ましく、50〜99.5%であることがより好ましく、60〜99であることが更に好ましく、70〜95%であることが特に好ましい。
−架橋性樹脂化合物−
本発明における架橋性樹脂化合物とは、外部励起エネルギーにより架橋反応などを経て硬化する樹脂を与える原料モノマーもしくはそれから重合されたポリマーを指すが、紫外線や電子線等の活性線照射によって硬化する活性線硬化樹脂と熱により架橋反応を開始する熱架橋性樹脂等が挙げられるがそのいずれでもよい。
活性線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂が代表として挙げられるが、その例としては紫外線硬化性ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化性アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化性メタクリル酸エステル系樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート系樹脂及び紫外線硬化性ポリオールアクリレート系樹脂などが挙げられる。
特に、紫外線硬化性ポリオールアクリレート系樹脂がよく、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタエリスリトール等の光重合モノマーオリゴマーが好まれる。これらのポリオールアクリレート系樹脂は高架橋性で、硬度が高く、硬化収縮が小さく、低臭気性で低毒性であり比較的安全性が高い。
電子線硬化性樹脂の例としては、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂の例としては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂が挙げられ、またその共重合物、混合物でもよい。
前記架橋性樹脂化合物としては、特にフェノール性骨格の水酸基及び/又はカルボキシル基と反応し架橋しうる化合物が好ましく、特にオキサゾリン基、ジイミド基、ヒドラジド基、エポキシ基などを有していることが好ましく、なかでもオキサゾリン基を有していることが特に好ましい。このような基を有していれば、主鎖構造は特に限定されず、アクリル、スチレン、ウレタンなどが好ましく用いられるがこの限りではない。
前記架橋性樹脂化合物と親水性高分子化合物とからなる層を易接着層として形成する際に、塗工液中の親水性高分子化合物は塗工液100質量部に対して、0.1〜25質量部であることが好ましく、0.3〜20質量部であることがより好ましく、0.5〜15質量部であることが更に好ましく、1〜10質量部であることが特に好ましい。
また、架橋性樹脂化合物は塗工液100質量部に対して、0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜25質量部であることがより好ましく、1.5〜20質量部であることが更に好ましく、2〜15質量部であることが特に好ましい。
塗工液を所望の目的に応じて、例えば上記以外の水溶性高分子、界面活性剤、消泡剤などを適宜混合することができる。なお、これらを含む塗工液を作製する際には、適宜濃度調整されたそれぞれの水溶液を作製したのち、これらを混合して塗工液を作製することが望ましい。それぞれの水溶液を作製する際には溶解性を高めるために加熱溶解してもよい。
上記塗工液の塗工には、一般的に用いられているコーティング法を用いることが可能であり、例えば、スピンコート法、マイヤーバーコート法、正回転ロールコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、塗工液は熱可塑性高分子フィルムの少なくとも一方の面上に塗工され、ついで通常熱処理されるが、熱可塑性高分子フィルム製造工程において製膜後あるいは製膜、延伸処理後に、更に塗工、熱処理されることが生産性の観点から好ましい。更には、製膜された熱可塑性高分子フィルムに塗工液を塗工し、ついで熱処理する際に延伸処理をもすることが、生産エネルギーコスト面で好ましい。
層の厚さとしては、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。
本発明の保護フィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の少なくとも一方として用いて偏光板を作成する際には、前記の保護フィルムを、被覆層とは反対側の透明基材フィルムの表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを含む接着層との接着性を改良するのに有効である。親水化処理としては、下記の鹸化処理を行うことが好ましい。また、本発明で被覆層を形成する前の前処理として鹸化処理を行う場合も以下の方法を用いることが好ましい。
[鹸化処理]
(1)アルカリ液に浸漬する方法
アルカリ液の中に保護フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。
アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。その濃度としては、0.5〜3mol/Lが好ましく、1〜2mol/Lがより好ましい。また、アルカリ液の液温としては、30〜75℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。
前記の鹸化条件の組合せは、比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、光散乱フィルムや反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明基材フィルムの防眩層や反射防止層を有する表面と反対の表面が親水化される。
保護フィルムは、透明基材フィルムの親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを含む接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、防眩層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明基材フィルムの表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に防眩層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。
アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明基材フィルムの水に対する接触角を用いた場合、特に透明基材フィルムがトリアセチルセルロースであれば、10〜50度が好ましく、30〜50度がより好ましく、40〜50度が更に好ましい。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じるため、好ましくない。一方、10度未満では、該ダメージが大きすぎるため、物理強度を損ない、好ましくない。
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を防眩層や低屈折率層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。
なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。
これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。
一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。
例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の透明基材フィルムから巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の防眩性反射防止フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行ってもよい。
更に、同様に巻き出した透明基材フィルムからなる偏光板との貼り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率よく偏光板を作成することができる。
(3)防眩層や反射防止層をラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、防眩層及び/又は低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。
この方法でも、防眩層、低屈折率層へのダメージなしに保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
(4)防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
防眩層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に防眩層上に低屈折率層を形成することもできる。
製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに被覆を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接又は他の層を介して被覆層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、被覆層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。
そのような場合には、鹸化後、被覆層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから防眩層又は他の層を形成することで対処できる。また、防眩層又は他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
<偏光板の作製方法>
本発明の偏光板用保護フィルム(第1の保護フィルム)は、偏光子の少なくとも一方の面に貼り合わせることで偏光板を構成する。偏光子の他の面は、透湿度が800〜3,000g/m・日の偏光板用保護フィルム(第2の保護フィルム)を貼り合わせることが好ましく、1,000〜1,700g/m・日の偏光板用保護フィルムを貼り合わせることがより好ましい。第2の保護フィルムとしては、TAC(セルローストリアセテート)フィルムが好適に用いられる。
通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。
更には、本発明の偏光板において、片面が本発明の偏光板用保護フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであってもよい。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、本発明の偏光板用保護フィルム以外のフィルムが、光学異方性層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。
光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
本発明の偏光板用保護フィルムは、液晶表示装置等とともに用いられる際には、液晶セルと反対側の視認側に配置されることが好ましい。
(液晶表示装置)
以下に、本発明の保護フィルムを用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置について説明する。
本発明の保護フィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セル、及びその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TN(Twisted Nematic)モード、VA(vertically Aligned)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In−phase Switching)モード、及びECB(Electrically Controlled Birefringence)モードのいずれかであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として特に多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
<輝度向上フィルム>
輝度向上フィルムとしては、光源(バックライト)からの出射光を透過偏光と反射偏光又は散乱偏光に分離するような機能を有する偏光変換素子が用いられる。かかる輝度向上フィルムは、反射偏光又は散乱偏光のバックライトからの再帰光を利用して、直線偏光の出射効率を向上できる。
例えば、異方性反射偏光子が挙げられる。異方性反射偏光子としては、一方の振動方向の直線偏光を透過し、他方の振動方向の直線偏光を反射する異方性多重薄膜が挙げられる。
異方性多重薄膜としては、例えば、3M社製のDBEFが挙げられる(例えば、特開平4−268505号公報等参照。)。
また、異方性反射偏光子としては、コレステリック液晶層とλ/4板の複合体が挙げられる。かかる複合体としては、日東電工(株)製のPCFが挙げられる(特開平11−231130号公報等参照。)。
また、異方性反射偏光子としては、反射グリッド偏光子が挙げられる。
反射グリッド偏光子としては、金属に微細加工を施し可視光領域でも反射偏光を出すような金属格子反射偏光子(米国特許第6288840号明細書等参照。)、金属の微粒子を高分子マトリック中に入れて延伸したようなもの(特開平8−184701号公報等参照。)が挙げられる。
また、異方性散乱偏光子が挙げられる。異方性散乱偏光子としては、3M製のDRPが挙げられる(米国特許第5825543号明細書参照)。
更に、ワンパスで偏光変換できるような偏光素子が挙げられる。例えば、スメクテイックCを用いたものなどが挙げられる(特開2001−201635号公報等参照)異方性回折格子が用いられる。
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと共に用いることができる。輝度向上フィルムを用いる場合には、偏光板と輝度向上フィルムを密着することが偏光板への水分の浸入を防ぎ、光漏れを抑制するためより好ましい。
偏光板と輝度向上フィルムとは貼り合わせる接着剤としては特に制限されない。例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いられる。
<タッチパネル>
本発明の保護フィルムは、特開平5−127822号公報、及び特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明の保護フィルムは、有機EL素子等の基板(透明基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明の保護フィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号公報、特開平11−335368号公報、特開2001−192651号公報、特開2001−192652号公報、特開2001−192653号公報、特開2001−335776号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−181616号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−181816号公報、特開2002−181617号公報、特開2002−056976号公報等に記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号公報、特開2001−221916号公報、及び特開2001−231443号公報に記載の内容と併せて用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
<被覆層用塗布液の調製>
下記に示す組成で、HR−3010を、95℃の水で2時間攪拌することによって溶解させ、塗布液を孔径100μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、塗布液a−1塗布液を調製した。
[被覆層用塗布液の組成]
・ビニルアルコール系重合体HR―3010((株)クラレ製)・・・・・・・7質量部
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100質量部
また、表1に示す様な混合比とした以外は、被覆層用塗布液a−1と同様にして、被覆層用塗布液a−2〜a−20を調製した。
なお、層状無機化合物は、水に添加した後、高圧分散機を用いて30Mpaで3回高圧分散処理を行い、水中に分散させ、その後、被覆層を溶解させた。
また、表1中に記載の各ビニルアルコール系樹脂の詳細を表2に示し、表1中に記載の各層状無機化合物の詳細を表3に示す。
*1HR−3010:(株)クラレ製
*2PVA103:(株)クラレ製
*3PVA105:(株)クラレ製
*4PVA110:(株)クラレ製
*5PVA R−1130:(株)クラレ製
*6PVA403:(株)クラレ製
*7ソアノール16DX:日本合成化学工業(株)製
*8エバールF101:(株)クラレ製
*9MEB−3:コープケミカル(株)製
*10スメクトン:クニミネ工業(株)製
*11クニピアF:クニミネ工業(株)製
*12ME−100:コープケミカル(株)製
*13S1ME:コープケミカル(株)製
*14グリオキザール:日本合成化学工業(株)製
*15グルタルアルデヒド:和光純薬(株)製
*16パラトルエンスルホン酸:和光純薬(株)製
*17エポキシ:デナコール EX−212L,ナガセケムテックス(株)製
IPA:イソプロピルアルコール
<ハードコート層用塗布液の調製>
−ゾル液1の調製−
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mLの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。
この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液1を120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1,500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1,000〜20,000の化合物の成分は30%であった。また、H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、下記一般式(6)で表される構造であった。
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、本シランカップリング剤ゾルの大部分は直鎖状構造部分であることが分かった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
<ハードコート層用塗布液の調製>
[ハードコート層用塗布液の組成]
・PET−30・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40.0g
・DPHA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.0g
・イルガキュア184・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0g
・SX−350(30%)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0g
・架橋アクリルースチレン粒子(30%)・・・・・・・・・・・・・・・13.0g
・FP−13・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.06g
・ゾル液1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11.0g
・トルエン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38.5g
上記塗布液を、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、ハードコート層用塗布液を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
・イルガキュア184:重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10,000rpmで20分分散後使用)
・架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm(屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10,000rpmで20分分散後使用)
<低屈折率層用塗布液の調製>
ポリシロキサン及び水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、前記ゾル液0.65g、及びメチルエチルケトン4.4g、シクロヘキサノン1.2gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層塗布液を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.45であった。
(実施例1)
<偏光板用保護フィルムの作製>
−被覆層の塗設−
トリアセチルセルロース(TAC−T80UZ、富士フイルム(株)製)を1mol/Lのアルカリ溶液、50℃で鹸化処理を施した。
その後、トリアセチルセルロースフィルムの鹸化処理面上にスロットルダイを有するコーターを用いて、塗布液a−1を乾燥後の膜厚が8μmになるように塗布した。その後、搬送速度5m/分の条件で塗布し、110℃3分間乾燥して、巻き取った。
−ハードコート層の塗設−
被覆層を塗設した偏光板用保護フィルムをロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板用保護フィルムの被覆層とは逆側の面上に直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、更に窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの防眩性を有する防眩層を形成し、巻き取った。
−低屈折率層の塗設−
上記ハードコート層が形成された偏光板用保護フィルムをロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、低屈折率層用塗布液をバックアップロール上の偏光板用保護フィルムのハードコート層を塗布してある面上に直接押し出して塗布した。
120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、ハードコート層が形成された偏光板用保護フィルムに、更に低屈折率層を形成した。
−透湿度の評価−
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃95%RHで24時間調湿し、JIS Z−0208に従って、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で単位面積あたりの水分量(g/m)を算出した。この際、恒温恒湿装置にいれたカップを適当な時間間隔で取り出して秤量する操作を繰り返し、二つの連続する秤量で、それぞれ単位時間あたりの質量増加を求め、それが5%以内で一定になるまで評価を続けた。また、試料の吸湿等による影響を除外するため、吸湿剤の入れていないブランクのカップを測定し、透湿度の値を補正した。
また、ビニルアルコール系重合体からなる層を有する偏光板用保護フィルムの透湿度測定の際には、ビニルアルコール系重合体からなる層が透明基材フィルムよりもカップ側になる様にサンプルを設置し、ビニルアルコール系重合体層とは逆側から透湿度を測定した。
上記の様にして作製した本実施例1の偏光板用保護フィルムの60℃95%相対湿度における透湿度は740g/m・日であり、60℃40%相対湿度における透湿度は25g/m・日であった。結果を表4に示す。
−硬度の評価−
−−鉛筆硬度−−
本発明のフィルムの強度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した。結果を表4に示す。
−スチールウール耐傷性評価−
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール((株)日本スチールウール製、No.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。その上で下記条件の往復こすり運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm、先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の評価基準で評価した。結果を表4に示す。
[評価基準]
○:一見傷が見えない
△:よく見ると傷が見える
×:はっきりとした傷が見える
−脆性の評価−
フィルムの耐ひび割れ性を、フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める曲率半径で評価した。結果を表4に示す。
[評価基準]
○:曲率半径30mm以下で問題がない
×:曲率半径30mmより大きく実用上問題がある
−密着性の評価−
フィルムの層間、あるいは支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価した。結果を表4に示す。
塗布層を有する側の表面にカッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。
[評価基準]
○:剥がれがない
△:一部に剥がれがあるが実用上で問題がない
×:全面に剥がれがある
−ヘイズの評価−
以下の(1)〜(2)の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ、及び内部ヘイズを測定した。
(1)JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値を測定する。
(2)得られたフィルムの低屈折率層側の表面及び裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズとして算出した。結果を表4に示す。
(実施例2〜23)
<偏光板用保護フィルムの作製>
塗布液、被覆層の膜厚、及び反射防止層の有無を、表6に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜23の偏光板用保護フィルムを作製した。作製した保護フィルムを実施例1と同様にして、透湿度、鉛筆硬度、密着、脆性等について評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例1〜4)
<偏光板用保護フィルムの作製>
塗布液、被覆層の膜厚、反射防止層の有無を表6に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜4の偏光板用保護フィルムを作製した。作製した保護フィルムを実施例1と同様にして透湿度、鉛筆硬度、密着、脆性等について評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例5)
<偏光板用保護フィルムの作製>
ZEONOR1420(ノルボルネン類の開環重合体の水素化物、日本ゼオン社製、Tg:140℃)のペレットを用いた。
シリンダー内径が50mm、スクリューL/Dが28の単軸押出成形機(日本製鋼所製)を用いて、バレル温度260℃で前記ペレットを溶融押出し、ダイ温度260℃のコートハンガーダイから幅650mmのシート状溶融樹脂を押し出し、第1冷却ドラム(直径200mm、温度T1:135℃、周速度R1:12.50m/秒)に密着させ、直ちにナイフコーターにより第1冷却ドラムを、次いで第2冷却ドラム(直径350mm、温度T2:125℃、周速度R2:14.46m/秒)、次いで第3冷却ドラム(直径350mm、温度T3:80℃、周速度R3:14.40m/秒)に順次密着させて移送し、逐次、冷却、並びに冷却ドラム面転写による表裏面の平滑化を行い、幅550mm(ネックインは左右各50mm)の熱可塑性樹脂製フィルムが得られ、調整ドラムを経た後、カッターにより両方の端から各30mmをミミとして取り除き、巻き取りドラムによりロール状に巻き取り、ロール状の光学用フィルムを得た。この際、第1冷却ドラムでのシート状熱可塑性樹脂の接触時間t1は3.1(秒)、第1冷却ドラムを離れるときの樹脂温度をTは132(℃)、t×(T−T)は−12(単位:秒・deg)であった。
このようにして、厚さ45μmのノルボルネン系樹脂フィルムを押出し、偏光板用保護フィルムを作製した。
また、作製した保護フィルムを実施例1と同様にして透湿度、鉛筆硬度、密着、脆性等について評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例24)
<偏光子の作製>
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素1質量部、ヨウ化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し50℃で4倍に延伸し、偏光子を作製した。
<他の偏光板用保護フィルムの作製>
<<セルロースアシレート溶液の調製>>
下記表5に示す組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、内層用、及び外層用のセルロースアシレート溶液(ドープ)を調製した。
下記表5中のセルロースアシレートは、全アシル置換度が2.83、全アセチル置換度が2.83、6位置換度が0.90のものを用いた。
得られた内層用ドープ、及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を115%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。
その後、155℃の温度で20分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアシレートフィルム(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。作製したセルロースアシレートフィルムについて、光学特性を測定した。
得られたセルロースアシレートフィルムの幅は1,340mmであり、厚さは、75μmであった。エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長630nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、遅相軸は搬送方向と直交した方向にあり、8nmであった。
また、波長630nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、90nmであった。
得られたセルロースアシレートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。このセルロースアシレートフィルムの表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
このセルロースアシレートフィルム上に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/mの塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥した。上記で作製した透明支持体上に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/mの塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥した。
[配向膜塗布液組成]
・下記一般式(4)に示す変性ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・・10質量部
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・371質量部
・メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5質量部
その後、配向膜にラビング処理を実施した。なお、ラビング方向は、セルロースアシレートフィルムの遅相軸(波長632.8nmで測定)と45゜の方向とした。
[液晶層の形成]
下記一般式(5)に示すディスコティック液晶性化合物41.01質量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.35質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45質量部、及び下記の含フッ素界面活性剤0.1質量部を、102質量部のメチルエチルケトンに溶解して塗布液とし、この塗布液を前記配向膜上に、#3.6のワイヤーバーで塗布し、130℃の状態で2分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。
次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。
このようにして、保護フィルムとして、光学異方性層が形成された光学補償フィルムを作製した。なお、波長546nmで測定した光学異方性層の面内レターデーション値Reは38nmであった。
また、25℃相対湿度10%における面内レターデーション(Re10)と25℃相対湿度80%における面内レターデーション(Re80)との差は12.1nmであった。
上記のようにして作製した光学補償フィルムを、55℃の1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬した後、水洗乾燥して、第二の偏光版用保護フィルム(TN用WVフィルム)とした。
<偏光板の作製>
実施例1の偏光板用保護フィルムのビニルアルコール系樹脂面、又は基材フィルムの鹸化面と、上記鹸化した他の偏光板用保護フィルム(第2の保護フィルム)の光学異方性層が塗布されていない面に、上記偏光子を、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として貼合し、その後70℃で乾燥させ、実施例24の偏光板を作製した。
<<偏光度の評価>>
上記のようにして得られた実施例24の偏光板を、60℃、95%RHの環境下1,000時間放置した後、偏光度を測定し、下記評価基準に基づき、評価した。評価結果を表6に示す。なお、偏光度は下記数式より求められる。(波長550nm)
[評価基準]
○:偏光度99%以上で問題ない。
△:偏光度98%以上、99%未満で実用上問題ない。
×:偏光度98%未満であり問題である。
<<着色の評価>>
次に、偏光板用保護フィルムを目視観察し、下記評価基準に基づき、着色(黄変)の程度を評価した。評価結果を表6に示す。
[評価基準]
○:ほとんど着色がないレベル。
△:ごく薄く着色があるものの、事実上問題のないレベル。
×:着色が問題のレベル。
(実施例25)
<偏光板の作製>
実施例24において、被覆層が形成された本発明の保護フィルムを、該保護フィルムを構成する基材層と偏光子とが対向するように、偏光子に設置した以外は、実施例24と同様にして実施例25の偏光板を作製した。
また、実施例24と同様にして、作製された偏光板の偏光度、及び着色を評価した。評価結果を表6に示す。
(実施例26〜47)
<偏光板の作製>
実施例24において、被覆層が形成された第1の保護フィルムを、実施例2〜23に代えた以外は、実施例24と同様にして実施例26〜47の偏光板を作製した。
また、実施例24と同様にして、作製された偏光板の偏光度、及び着色を評価した。評価結果を表6に示す。
(実施例49〜50,52〜53)
TACフィルム上に上記と同様にして配向膜を塗布し、フィルムを速度20m/分で搬送し、長手方向に対して45°にラビング処理されるようにラビングロール(300mm直径)を設定し、650rpmで回転させて、配向膜設置表面にラビング処理を施した。
その後、ラビング処理を施した配向膜上に、ディスコティック液晶性化合物41.01kg、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06kg、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.35kg、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35kg、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45kg、クエン酸エステル(AS3、三協化学製)0.45kgを、102kgのメチルエチルケトンに溶解した塗布液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体(メガファックF780、大日本インキ(株)製)を0.1kgを加え、#3.2のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されているC−1の配向膜面に連続的に塗布した。
室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、130℃の乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶性化合物層の膜面風速がフィルムの搬送方向に平行に2.5m/secとなるようにし、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。
次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶性化合物をその配向に固定した。
その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、OCBモード用の光学補償フィルム(OCB−WV)を作製した。また、作製した光学異方性層のReは30nm、Rthは90nmであった。
また、上記と同様にして、TACフィルム上に配向膜を塗布し、Reが30nm、Rthが80nmになる様に光学異方性層を設けた。このようにして、ECBモード用の光学補償フィルム(ECB−WV)を作製した。
<偏光板の作製>
実施例24において、第1の保護フィルム、及び第2の保護フィルムを、表7に示すように代えた以外は、実施例24と同様にして実施例49〜50,52〜53の偏光板を作製した。
また、実施例24と同様にして、作製された偏光板の偏光度、及び着色を評価した。評価結果を表7に示す。
(比較例6)
<偏光板の作製>
実施例24において、被覆層が形成された実施例1の保護フィルムを、比較例1で作製した保護フィルムに代え、該保護フィルムを構成する基材層と偏光子とが対向するように、偏光子に設置した以外は、実施例24と同様にして比較例6の偏光板を作製した。
また、実施例24と同様にして、作製された偏光板の偏光度、及び着色を評価した。評価結果を表6に示す。
(比較例7〜9)
<偏光板の作製>
実施例24において、被覆層が形成された実施例1の保護フィルムを、表6に示すように、比較例2〜5で作製した保護フィルムに代えた以外は、実施例24と同様にして比較例7〜9の偏光板を作製した。
また、実施例24と同様にして、作製された偏光板の偏光度、及び着色を評価した。評価結果を表6に示す。
(比較例10)
<偏光板の作製>
実施例24において、実施例1の保護フィルムを、比較例5で作製した保護フィルムに代え、該保護フィルムにコロナ処理を施し、その処理面が偏光子側となるようにした以外は、実施例24と同様にして比較例10の偏光板を作製した。
また、実施例24と同様にして、作製された偏光板の偏光度、及び着色を評価した。評価結果を表6に示す。
(比較例12〜13)
<偏光板の作製>
比較例6において、第2の保護フィルムを、表7に示すように代えた以外は、比較例6と同様にして比較例12〜13の偏光板を作製した。
また、実施例24と同様にして、作製された偏光板の偏光度、及び着色を評価した。評価結果を表7に示す。
(実施例48)
<WVフィルムなしの偏光板の作製>
実施例24において、WVフィルムをTAC(TD80 富士フイルム(株)製)に代えた以外は実施例24と同様にして、実施例48の偏光板を作製した。
また、実施例24と同様にして、作製された偏光板の偏光度、及び着色を評価した。評価結果を表6に示す。
(実施例51)
<WVフィルムなしの偏光板の作製>
実施例29において、WVフィルムをTAC(TD80 富士フイルム(株)製)に代えた以外は実施例29と同様にして、実施例51の偏光板を作製した。
また、実施例29と同様にして、作製された偏光板の偏光度、及び着色を評価した。評価結果を表6に示す。
(比較例11)
<WVフィルムなしの偏光板の作製>
比較例6において、WVフィルムをTAC(TD80 富士フイルム(株)製)に代えた以外は比較例6と同様にして、比較例11の偏光板を作製した。
また、実施例24と同様にして、作製された偏光板の偏光度、及び着色を評価した。評価結果を表6に示す。
(実施例54)
<TNモードの液晶表示装置の作製>
TNモード液晶セルを使用した液晶表示装置(MDT−191S、三菱電機(株)製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに実施例24の偏光板を、実施例1の保護フィルムが外側(空気界面側)に粘着剤を介して貼り付けて、実施例54の液晶表示装置を作製した。なお、貼り付けるにあたっては、実施例24の偏光板の透過軸と、製品に貼られていた偏光板の透過軸とが一致するようにした。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置を80℃7%の環境下で21日間放置後、液晶表示装置を黒表示させ、パネル中央部と光漏れ部位との輝度差を輝度計により測定し、下記評価基準に基づき、光漏れを評価した。評価結果を表8に示す。
[評価基準]
○:0.5cd/cm以下であり、液晶表示装置として、実用上問題はない。
△:0.5より大きく、0.7cd/cm以下であり、液晶表示装置として、実用上問題がある。
×:0.7cd/cmより大きく、液晶表示装置として、実用上問題がある。
<光漏れの抑制の回復性の評価>
また、80℃7%の環境下で21日間放置後に光漏れを評価した液晶表示装置を、25℃70%の環境下に3日間放置し、放置後の光漏れを上記と同様にして測定することによって、発生した光漏れの回復性を評価した。
下記の評価基準に基づき、光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表8に示す。
[評価基準]
◎:0.1cd/cmより小さく、液晶表示装置として、実用上問題はない。
○:0.1〜0.3cd/cmであり、液晶表示装置として、実用上問題はない。
△:0.3より大きく、0.5cd/cm以下であり、液晶表示装置として、実用上問題がある。
×:0.5cd/cmより大きく、液晶表示装置として、実用上問題がある。
(実施例55〜77)
<TNモードの液晶表示装置の作製>
実施例53において、実施例24の偏光板を、実施例25〜47の偏光板に代えた以外は、実施例53と同様にして実施例55〜77の液晶表示装置を作製した。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れを評価した。評価結果を表8に示す。
<光漏れの抑制の回復性評価>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表8に示す。
(比較例14〜18)
<TNモードの液晶表示装置の作製>
実施例54において、実施例24の偏光板を、表8に示すように、比較例6〜10の偏光板に代えた以外は、実施例54と同様にして比較例14〜18の液晶表示装置を作製した。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れを評価した。評価結果を表8に示す。
<光漏れの抑制の回復性評価>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表8に示す。
(実施例78)
<VAモードの液晶表示装置の作製>
VAモード液晶セルを使用した液晶表示装置(LC−26GD3、シャープ(株)製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに実施例48の偏光板を、実施例1の保護フィルムが外側(空気界面側)に粘着剤を介して貼り付けた。なお、貼り付けるにあたっては、観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向となるように、クロスニコル配置とした。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れを評価した。評価結果を表9に示す。
<光漏れの抑制の回復性評価>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表9に示す。
(実施例79)
<IPSモードの液晶表示装置の作製>
IPSモード液晶セルを使用した液晶表示装置(Th−26LX300、松下電器産業(株)製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに実施例49の偏光板を、実施例1の保護フィルムが外側(空気界面側)に粘着剤を介して貼り付けた。なお、貼り付けるにあたっては、実施例49の偏光板の透過軸と、製品に貼られていた偏光板の透過軸とが直交するようにした。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れを評価した。評価結果を表9に示す。
<光漏れの抑制の回復性評価>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表9に示す。
(実施例80,84)
<OCBモードの液晶表示装置の作製>
ITO電極付きのガラス基板上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行った。
ラビング処理は、2枚のガラス基板において反対方向となるように実施した。セルギャップ(d)が8μmとなるように2枚のガラス基板を向かい合わせた。
セルギャップに、Δnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、OCBモード液晶セルを作製した。OCBモード液晶セルに、実施例48、51実施例の偏光板を、セルを挟むように2枚、光学補償シートの光学的異方性層と液晶セルのガラス基板とが対面するように配置した。OCBモード液晶セルの配向膜のラビング方向と光学補償シートの配向膜のラビング方向は、逆平行になるように配置した。これらの両側に、偏光素子をクロスニコルに配置した。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れを評価した。評価結果を表9に示す。
<光漏れの抑制の回復性評価>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表9に示す。
(実施例81,85)
<ECBモードの液晶表示装置の作製>
液晶セルは、セルギャップ3.5μmとし、正の誘電率異方層を持つネマチック液晶材料を基板間に滴下注入で封入し、液晶層のΔn・dを300nmとした。液晶材料は誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.0854(589nm、20°C)、Δε=+8.5程度のネマチック液晶(例えばメルク社製のMLC−9100)を使用した。
また、上側基板及び下側基板のそれぞれの配向軸(ラビング軸)の交差角は0°であり、後に、上下偏光板と貼り合わせる際に、液晶セルの上下基板のラビング方向(配向制御方向)が、光学異方性層の支持体の遅相軸(流延方向と平行方向)と45°で交差するようにした。
また、偏光膜の吸収軸がそれぞれ、液晶セルの配向方向(ラビング方向)と概略45°交差し、且つ上下偏光膜の吸収軸の交差角を概略90°の直交ニコルとした。
作製したECB型液晶表示装置に、実施例49、実施例52の偏光板を用いた際の色味変化を評価した。それらの評価結果を表6に記載した。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れを評価した。評価結果を表9に示す。
<光漏れの抑制の回復性評価>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表9に示す。
(比較例20)
<VAモードの液晶表示装置の作製>
VAモード液晶セルを使用した液晶表示装置(LC−26GD3、シャープ(株)製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに比較例11の偏光板を、比較例1の保護フィルムが外側(空気界面側)に粘着剤を介して貼り付けた。なお、貼り付けるにあたっては、観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向となるように、クロスニコル配置とした。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れを評価した。評価結果を表9に示す。
<光漏れの抑制の回復性評価>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表9に示す。
(比較例21)
<IPSモードの液晶表示装置の作製>
IPSモード液晶セルを使用した液晶表示装置(Th−26LX300、松下電器産業(株)製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに比較例11の偏光板を、比較例1の保護フィルムが外側(空気界面側)に粘着剤を介して貼り付けた。なお、貼り付けるにあたっては、比較例11の偏光板の透過軸と、製品に貼られていた偏光板の透過軸とが直交するようにした。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れを評価した。評価結果を表9に示す。
<光漏れの抑制の回復性評価>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表9に示す。
(比較例22)
<OCBモードの液晶表示装置の作製>
実施例80における実施例49の偏光板の代わりに、比較例12の偏光板を用いた以外は、実施例80と同様にして、OCBモードの液晶表示装置を作製した。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れを評価した。評価結果を表9に示す。
<光漏れの抑制の回復性評価>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表9に示す。
(比較例23)
<ECBモードの液晶表示装置の作製>
実施例81における実施例50の偏光板の代わりに、比較例13の偏光板を用いた以外は、実施例81と同様にして、ECBモードの液晶表示装置を作製した。
<光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れを評価した。評価結果を表9に示す。
<光漏れの抑制の回復性評価>
作製した液晶表示装置について、実施例54と同様にして光漏れの抑制の回復性を評価した。評価結果を表9に示す。
実施例1〜23の偏光板用保護フィルムを用いた実施例24〜47の偏光板では、比較例1〜5の偏光板用保護フィルムを用いた比較例6〜10の偏光板に比べて、サーモ後調湿時の光漏れの抑制の回復が速く、良好な結果が得られた。
また、ハードコート層、及び低屈折率層が設けられた実施例24、26、27、29〜46の偏光板は、耐擦傷性、防塵性が良好で、低反射率、表面散乱性による映り込みも低減できる、液晶表示装置の表面に用いるのに好ましい性能を示した。
本発明の保護フィルムは、熱、及び湿度の変化による脆性、密着性、鉛筆硬度といった耐久性が高く、ヘイズも良好であるので、偏光板、及びそれを用いた液晶表示装置に好適に用いることができる。
本発明の偏光板は、生産性に優れ、熱、湿度による寸法変化が小さく、耐久性が高いので、液晶表示装置に好適に用いられる。
本発明の液晶表示装置は、生産性に優れ、低湿環境に曝された際に発生する光漏れが抑制され、且つ、発生した光漏れの抑制の回復が速い優れた性能を有しており、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクタなどに好適に使用される。
図1Aは、本発明の偏光板の構成を示した断面図である。 図1Bは、本発明の偏光板の構成を示した断面図である。
符号の説明
1 偏光板
10 保護フィルム
11 基材層
12 被覆層
20 保護フィルム
21 基材層
22 光学異方性層
30 偏光子(偏光膜)
40 ハードコート層
50 易接着層

Claims (7)

  1. 透明基材フィルム上に、ビニルアルコール系重合体を含む被覆層が少なくとも1層形成され、60℃95%相対湿度における透湿度が、300g/m・日より大きく、800g/m・日以下であり、60℃40%相対湿度における透湿度が、30g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
  2. 被覆層には、平均粒子半径が0.1μ〜10μmの層状無機化合物が、ビニルアルコール系重合体に対して、2〜20質量%含有される請求項1に記載の偏光板用保護フィルム。
  3. 被覆層の厚みが、1μm〜15μmである請求項1から2のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  4. ビニルアルコール系重合体の鹸化度が、95モル%以上である請求項1から3のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  5. ハードコート性を有するハードコート層、及び反射防止層の少なくともいずれかが一方の面に設けられた請求項1から4のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムと、偏光子とを有することを特徴とする偏光板。
  7. 請求項6に記載の偏光板と、該偏光板を設置した液晶セルとを有することを特徴とする液晶表示装置。
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