JP2008249826A - 撮影装置及び焦点調節方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成によってフォーカスレンズの焦点位置のズレを補正する。
【解決手段】デジタルカメラ10の電源がONにされた後、シャッタボタン21が操作される前に、AF制御部33は、フォーカスレンズ27dを移動させながら、対物レンズ19の対物面に形成されたチャート28を撮像して得られる画像のコントラスト(AF評価値)が最大となる合焦位置を検出する。シフト量算出部34は、AF制御部33から取得した合焦位置と合焦基準位置との差であるシフト量Sを算出する。サーチ範囲補正部35は、このシフト量Sに基づいて基準サーチ範囲を補正する。
【選択図】図9
【解決手段】デジタルカメラ10の電源がONにされた後、シャッタボタン21が操作される前に、AF制御部33は、フォーカスレンズ27dを移動させながら、対物レンズ19の対物面に形成されたチャート28を撮像して得られる画像のコントラスト(AF評価値)が最大となる合焦位置を検出する。シフト量算出部34は、AF制御部33から取得した合焦位置と合焦基準位置との差であるシフト量Sを算出する。サーチ範囲補正部35は、このシフト量Sに基づいて基準サーチ範囲を補正する。
【選択図】図9
Description
本発明は、オートフォーカス機能を備えた撮影装置、及びこれに用いられる焦点調節方法に関する。
従来、デジタルカメラ等の撮影装置は、オートフォーカス(AF:自動焦点調節)機能を備えている。このAFとしては、フォーカスレンズを光軸に沿って移動させながら被写体の撮像を行い、画像のコントラストが最大となる位置を合焦位置に決定する方式(いわゆるコントラストAF方式)が一般的である。
このような撮影装置は、例えば、図23に示すように、撮影レンズ100と、CCDイメージセンサ等の撮像素子で構成される撮像部110とを備えて構成されており、撮影レンズ100は、例えば、4群のレンズで構成され、第1レンズ(対物レンズ)101と、第2レンズ(ズームレンズ)102と、絞り103と、第3レンズ104と、第4レンズ(フォーカスレンズ)105とを備えている。
コントラストAF方式でAF動作を行う場合、フォーカスレンズ105を予め設定されたサーチ範囲内で光軸に沿って移動させ、画像のコントラストが最大となる位置を検出して、この位置にフォーカスレンズ105を停止させてAF動作を終了する。このAF動作は、シャッタボタンが操作されてから撮影動作を実行するまでの間に行われるので、シャッタラグを短縮するには、AF動作時のサーチ範囲をできるだけ短く設定することが好ましい。
しかしながら、フォーカスレンズを含む撮影レンズやそれを保持する保持枠等の物理的性質は、温度や湿度等の環境変化や経時変化によって変化し、合焦距離とフォーカスレンズの基準位置との関係は一定ではない。このため、サーチ範囲を広めに設定する必要がある。
例えば、図24に示すように、製造環境下でのフォーカスレンズのピント移動量を求め、この時のFAR(INF)〜NEAR(MOD:最短撮影距離)のフォーカス位置を基準に使用温度範囲におけるピント移動量(設計値)を足し合わせたものをサーチ範囲に設定している。特に、撮影レンズにプラスチックレンズが含まれる場合には、環境変化に対する物理的性質の変化が大きいため、サーチ範囲をさらに広く設定せざるを得ない。このため、AF動作に要する時間が長くなるという問題があった。
前述の問題を解決するために、温度センサによって検出された温度に基づいてレンズの焦点位置の補正を行う補正方法が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかし、温度センサを用いて補正を行う場合、レンズ自体の温度を測定することは難しく、また、湿度等のほかの環境条件や経時変化を検出することができないため、ズレ量の推測値と実際のズレ量との間に差が生じて十分な補正精度が得られない。
また、上記問題に関連し、撮像素子(例えば、CCDイメージセンサ)の撮像光学系に対する相対的位置(角度)を補正するために、テストチャートを付したパネルを撮影レンズの前面に挿脱自在に設け、撮像素子によってテストチャートを撮像しながらコントラストが最大となるように撮像レンズと撮像素子との相対位置関係を補正する補正方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。この補正方法によれば、所定位置に配置されたテストチャートを実際に撮像した結果に基づき、直接的に補正を行うものであるから、前述の問題点を解決することができる。
特開平9−304678号公報
特開2005−196173号公報
特開2002−27309号公報
しかしながら、上記特許文献3の補正方法では、撮像素子の位置を調節するための駆動手段が必要であり、撮影装置が大型化するという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成によってレンズの焦点位置の補正を行うことが可能な撮影装置、及びこれに用いられる焦点位置補正方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の撮影装置は、フォーカスレンズを有する撮影レンズと、前記撮影レンズを透過した被写体光を光電変換によって撮像する撮像素子とを備え、前記フォーカスレンズを光軸方向に所定サーチ範囲内で移動させ、前記撮像素子によって得られる画像のコントラストに基づいて焦点調節を行う撮影装置であり、前記撮影レンズを構成する対物レンズの前面、または前記対物レンズを覆うカバーガラスに形成されたテストパターンを前記撮像素子によって撮像した結果得られる画像のコントラストから前記フォーカスレンズの合焦位置を検出し、この合焦位置の基準位置からの変位量を算出する変位量算出手段と、前記変位量に基づいて前記所定サーチ範囲を補正するサーチ範囲補正手段とを備えていることを特徴とするものである。
また、前記テストパターンは、前記対物レンズの前面または前記カバーガラスに印刷されて形成されていることが好ましい。さらに、前記テストパターンは、前記対物レンズの前面または前記カバーガラスに形成された溝部に墨入れを施して形成されても良い。
また、前記撮影レンズの周囲温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段からの温度情報に基づいて所定温度以上の温度変化があったか否かを判定する判定手段とを備え、前記判定手段によって前記所定温度以上の温度変化があったと判定された場合、前記変位量算出手段は、前記変位量の算出を再度実行して、前記変位量を更新することが好ましい。
本発明の焦点調節方法は、撮影レンズを構成するフォーカスレンズを光軸方向に所定サーチ範囲内で移動させ、撮像素子によって前記撮影レンズを介して撮像された画像のコントラストに基づいて焦点調節を行う焦点調節方法であり、前記撮影レンズを構成する対物レンズの前面または前記対物レンズを覆うカバーガラスに配置されたテストパターンを撮像した結果得られる画像のコントラストに基づいて前記フォーカスレンズの合焦位置を検出し、前記合焦位置の基準位置からの変位量を算出し、前記変位量に基づいて前記所定サーチ範囲を補正し、補正後のサーチ範囲内で前記フォーカスレンズを移動させて焦点調節を行うことを特徴とするものである。
また、前記撮影レンズの周囲温度に所定温度以上の温度変化があったか否かを判定し、前記所定温度以上の温度変化があった場合、前記合焦位置を再検出して前記変位量を更新することが好ましい。
本発明によれば、撮像素子によって、対物レンズの前面、または対物レンズを覆うカバーガラスに形成されたテストパターンを撮像した結果得られる画像のコントラストからフォーカスレンズの合焦位置を検出し、この合焦位置の基準位置からの変位量に基づいて所定サーチ範囲を補正するので、特殊な機構を設けずに、簡単な構成で温度や湿度等の環境変化や経時変化によって変化するフォーカスレンズのピントのズレを補正することができる。このため、撮影装置の小型化や製造コストの低減を実現できる。
また、所定温度以上の温度変化があった場合、変位量が自動的に更新されるので、急激な温度変化があっても、更新された変位量に基づいてサーチ範囲が補正されるので、常に最適なサーチ範囲でAF動作を実行することができる。
最初に、図1を参照して、第1の実施形態であるデジタルカメラ(撮影装置)10について説明する。デジタルカメラ10は、カメラ本体11の前面に、レンズ鏡筒12と、ストロボ発光部13と、ファインダ対物窓14と、補助光発光部15と、インジケータ発光部16と、電源操作部17とが設けられている。電源操作部17は、撮影者によって把持される位置に配置されており、グリップ部としても機能する。
電源操作部17は、図1(A)に示す位置と図1(B)に示す位置との間でスライド自在にされており、図1(A)に示す位置ではデジタルカメラ10の電源がOFF、図1(B)に示す位置では電源がONになる。また、レンズ鏡筒12は、電源がOFFの場合、図1(A)に示すように、カメラ本体11内に沈胴され、電源がONの場合、図1(B)に示すように、カメラ本体11の前面から繰り出される。
また、レンズ鏡筒12の前面には、レンズバリア18が設けられている。このレンズバリア18は、後述する撮影レンズ(図3参照)27を構成する第1レンズ(対物レンズ)19を露呈させる露呈位置(図1(B)に示す位置)と、対物レンズ19を覆い隠す遮蔽位置(図1(A)に示す位置)との間で移動自在にされている。このレンズバリア18は、レンズ鏡筒12がカメラ本体11の前面から繰り出された時に、遮蔽位置から露呈位置に移動する。
また、カメラ本体11の上面には、シャッタボタン21が設けられており、側面には、記録メディアスロット22が設けられている。記録メディアスロット22には、画像データが記憶される記録メディア(例えば、メモリカード)23が着脱自在に装填される。
また、図2に示すように、カメラ本体11の背面には、ファインダ接眼窓24と、複数の操作ボタンで構成される操作部25と、画像を表示する表示手段であるLCD26とが設けられている。操作部25は、例えば、撮影モードと再生モードとを切り替えるモード切替ボタンや、ズーム倍率を変更するズーム操作ボタンや、カーソル操作ボタンや、各種設定ボタン等で構成されている。
また、レンズ鏡筒12には、図3に示す撮影レンズ27が組み込まれている。この撮影レンズ27は、前述の撮影レンズ100と同様に4群のレンズで構成され、前述の第1レンズ(対物レンズ)19と、第2レンズ(ズームレンズ)27aと、絞り27bと、第3レンズ27cと、第4レンズ(フォーカスレンズ)27dとを備えている。また、この撮影レンズ27の背後には、後述するように、撮像素子であるCCDイメージセンサ(以下、単にCCDと称する)42が配置されている。
また、図4に示すように、対物レンズ19の対物面(前面)19aには、チャート28が直接印刷されている。このチャート28は、フォーカスレンズ27dの合焦基準位置からのピントシフト量(変位量)を検出するためのテストパターンであり、3本の等間隔に配置されたチャート線28a〜28cで構成されている。このチャート28は、裏面ではピントが合わないため、必ず対物面19aに形成する。また、このチャート28の印刷が剥がれないように、コーティングを施しても良い。
なお、本実施形態では、このチャート28を3本の平行なチャート線28a〜28cで構成する場合を例に説明するが、本数は3本に限るものではなく、例えば、1本でも良い。また、チャート28は、格子やその他のパターンで構成されても良く、画像のコントラストによって焦点調節が可能なものであれば良い。
上記説明において、対物レンズ19の対物面19aにチャート28を印刷する場合について説明したが、図5に示すように、対物面19aに溝加工を施して溝29を形成することによって、各チャート線28a〜28cを構成しても良い。この場合、入射光が溝29の内面によって拡散されて、被写体像の光線を遮ったり、他のレンズ面やレンズ鏡筒12の内面へ反射したりしてフレア、ゴーストなどの画像劣化となる。このため、図6に示すように、溝29に墨入れを施して散乱光の発生を無くすことが好ましい。
次に、図7を参照して、撮影レンズ27の作用を説明する。チャート28にピントを合わせる場合、図7(A)に示すように、通常撮影時のフォーカスレンズ27dの駆動範囲(図7(B)に示す範囲)を越えた位置(駆動範囲よりも前方の位置)に駆動する。また、図7(B)に示すように、チャート28によって遮光される光束によって、CCD42の受光面42aに結像される光束のうち範囲A1に入射する光束の光量が、チャート28のケラレによってダウンする。
この範囲A1は、図8に示す撮影範囲A2の略中央にあり、範囲A1の中心部において、対物レンズ19にチャート28が無い場合の光量LAから、チャート28が有る場合の光量LBに光量LC(LA−LB)分ダウンする。また、範囲A1の全体において、光量の低下率((チャート28の遮蔽面積/光束面積)×100)が数%未満となるように、各チャート線28a〜28c線幅が設定されている。このため、通常撮影時の画像への影響は少ない。なお、図7において、図面の煩雑化を避けるため、絞り27b、及び第3レンズ27cの図示を省略した。
次に、図9を参照して、上記構成のデジタルカメラ10の電気的構成について説明する。デジタルカメラ10は、カメラ本体21内の各部を制御する制御手段であるシステムコントローラ30を備えている。
システムコントローラ30内には、ROM31、RAM32、AF制御部33、シフト量算出部34、及びサーチ範囲補正部35が設けられている。ROM31には、カメラ本体11内の各部を制御するための制御プログラムや、各種制御データ(例えば、サーチ範囲に関する情報や、製造調整時のレンズシフト量等の情報)が記憶されている。また、RAM32には、作業用データや各種設定値(例えば、現在のズーム位置、フォーカス位置等)等が一時的に記憶される。システムコントローラ30は、これらの制御プログラムや各種制御データに基づいて各部を制御することによって各種処理を実行する。また、AF制御部33、シフト量算出部34、及びサーチ範囲補正部35については後述する。
また、システムコントローラ30には、電源操作部17、シャッタボタン21、及び操作部25が接続されている。システムコントローラ30は、これらから各種操作信号を取得して、各操作信号に対応する処理を実行する。
シャッタボタン21は、2段階押圧式のボタンであり、このシャッタボタン21が半押しされて1段目の第1スイッチからON信号を取得すると、システムコントローラ30が、後述するAF処理及びAE処理等の撮影準備処理を実行する。また、シャッタボタン21が全押しされて2段目の第2スイッチからON信号を取得すると、システムコントローラ30が、各部を制御して撮影処理を実行する。
さらに、システムコントローラ30には、補助光発光部15、インジケータ発光部16、各部に電源電圧を供給する電源部36、及びストロボ発光部13を駆動するストロボ駆動部37が接続されており、これらは、システムコントローラ30によって制御される。
補助光発光部15は、被写体輝度がAF動作に必要な輝度未満の場合に、AF補助光を被写体に照射する。また、インジケータ発光部16は、セルフタイマ撮影時に点滅して、撮影タイミングを撮影者に通知する。また、システムコントローラ30は、電源操作部17からON信号を取得した時に、電源部36を制御して各部に電源電圧を供給する。
レンズ鏡筒12内の各部は、レンズ駆動部40によって駆動される。このレンズ駆動部40は、例えば、レンズバリア18を駆動するバリアモータや、レンズ鏡筒12の繰り出し及び繰り込み用のモータや、ズームレンズ27aを光軸方向に駆動するズームモータや、絞り27bを駆動するアイリスモータや、フォーカスレンズ27dを光軸方向に駆動するフォーカスモータや、各モータのモータドライバ等を備えて構成されている。これらのモータは、例えば、ステッピングモータで構成されており、モータドライバから入力されるパルスによって駆動する。
このレンズ駆動部40は、システムコントローラ30に接続されており、システムコントローラ30からの指示に基づいて、これらのモータを駆動する。また、システムコントローラ30は、フォーカスモータがホームポジション(HP)から何パルス分駆動されたかによって、フォーカスレンズ27dの位置を検出する。
撮影レンズ27の背後には、CCD42が設けられており、撮影レンズ27を透過した被写体光が、CCD42の受光面42aに入射する。このCCD42は、CCDドライバ43を介してシステムコントローラ30に接続されている。システムコントローラ30は、CCDドライバ43を制御してCCD42を駆動するための駆動信号を生成させる。CCD42は、この駆動信号によって駆動されて、被写体像を撮像してアナログ信号である撮像信号を出力する。
CCD42には、相関二重サンプリング回路(CDS)44が接続されており、撮像信号が入力される。CDS44は、撮像信号のノイズを除去して、この撮像信号をAMP45に出力する。AMP45は、撮影感度に応じたゲインで撮像信号を増幅した後、撮像信号をA/D変換器46に出力する。
A/D変換器46は、撮像信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して、画像データとして出力する。このA/D変換器46には、画像入力コントローラ47が接続されており、画像データが画像入力コントローラ47に出力される。画像入力コントローラ47は、データバス48を介してSDRAM49が接続されており、SDRAM49に画像データを記憶させる。なお、SDRAM49には、撮影処理が実行される前に、スルー画用の低解像度の画像データが記憶され、撮影処理時に、スルー画の画像データよりも高解像度の画像データが記憶される。
データバス48には、画像入力コントローラ47及びSDRAM49の他に、システムコントローラ30、画像信号処理部50、圧縮伸長処理部51、LCDドライバ52、メディアコントローラ53、AE検出部54、及びAF検出部55が接続されている。システムコントローラ30は、データバス48を介してこれらを制御するとともに、相互間でデータの授受が可能である。
画像信号処理部50は、画像データがSDRAM49に一時的に記憶されている時に、画像データに対して、ホワイトバランス補正処理や、階調変換処理や、YC変換処理等の各種画像処理を施す。
シャッタボタン21が操作される前に、システムコントローラ30は、LCDドライバ52を制御して、各種画像処理が施された画像データをスルー画としてLCD26に表示させる。また、シャッタボタン21が全押しされて撮影指示を取得すると、システムコントローラ30は、圧縮伸長処理部51を制御して、各種画像処理が施された画像データに対して、JPEG等の圧縮形式にて圧縮処理を施し、さらに、メディアコントローラ53を制御して、圧縮後の画像データを記録メディア23に記録する。
また、記録メディア23に記録された画像データを再生する場合、システムコントローラ30は、メディアコントローラ53を制御して、記録メディア23から画像データを読み出し、さらに、圧縮伸長処理部51を制御して、画像データに対して伸長処理を実行させる。その後、システムコントローラ30は、LCDドライバ52を制御して、伸長処理後の画像データを再生画像としてLCD26に表示させる。
AE検出部54は、シャッタボタン21が半押しされた時に、SDRAM49に記憶された画像データに基づいて、被写体輝度を測光して露出値が最適となるAE評価値を検出して、このAE評価値をシステムコントローラ30に出力する。システムコントローラ30は、このAE評価値に基づいて、絞り103の開口径、及びCCD42の電子シャッタ速度を設定する。
AF検出部55は、撮影モードでのシャッタボタン21の半押し時や、後述するサーチ範囲補正動作時に、SDRAM49に記憶される画像データを取得し、画像データの高周波成分を抽出し、これを絶対値化して積算することにより積算値を算出する。この積算値は、画像のコントラストの度合を表すAF評価値であり、AF検出部55は、このAF評価値をシステムコントローラ30に出力する。
前述のAF制御部33は、撮影モードでのシャッタボタン21の半押し時に、レンズ駆動部40を制御して、フォーカスレンズ27dを移動させ(いわゆるAFサーチ)、AF評価値が最大(つまり、画像のコントラストが最大)となる合焦位置にフォーカスレンズ27dを停止させる。
また、AF制御部33は、サーチ範囲補正動作時も同様に、レンズ駆動部40を制御してフォーカスレンズ27dを移動させ、チャート28を撮像した画像のAF評価値が最大となる合焦位置にフォーカスレンズ27dを停止させ、この合焦位置をシフト量算出部34に出力する。
シフト量算出部34は、AF制御部33から取得した合焦位置と、予め設定された合焦基準位置とを比較して変位量であるシフト量(フォーカスレンズ105のピントシフト量)Sを算出する。シフト量算出部34は、このシフト量SをRAM32に記憶させる。このシフト量Sは、例えば、フォーカスモータを駆動するためのパルス数で規定される。
サーチ範囲補正部35には、ズーム位置毎のフォーカスレンズ27dの基準サーチ範囲を示す参照用テーブルが記憶されている。この基準サーチ範囲は、例えば、フォーカスレンズ27dのFAR端位置Fn、及びNEAR端位置NnをHPからのパルス数で規定することによって設定される。このサーチ範囲補正部35は、RAM32からズーム位置を取得した後、この参照用テーブルを参照してズーム位置に対応する基準サーチ範囲を取得する。さらに、サーチ範囲補正部35は、AF動作前にシフト量SをRAM32から取得して、このシフト量Sに基づいて、基準サーチ範囲を補正する。
次に、図10のフローチャートを参照して、上記構成のデジタルカメラ10の撮影処理を説明する。デジタルカメラ10の電源がONにされると、システムコントローラ30は、シフト量設定処理を実行する。
図11のフローチャートを参照して、このシフト量設定処理について説明する。最初に、システムコントローラ30は、レンズ駆動部40を制御して、レンズ鏡筒12をカメラ本体11の前面から繰り出し、さらに、レンズバリア18を露呈位置に移動する(図1(B)に示す状態)。
その後、サーチ範囲補正部35は、RAM32から現在のズーム位置を取得し、さらに、ROM31から各ズーム位置に対応するレンズシフト量を取得する。なお、このレンズシフト量は、製造調整時のレンズシフト量である。
サーチ範囲補正部35は、ズーム位置に基づいて、チャート28までの距離でのフォーカスレンズ位置を基準として使用温度範囲におけるピント移動量分をカバーした範囲をチャート用の基準サーチ範囲として設定する。さらに、サーチ範囲補正部35は、製造調整時のレンズシフト量に基づいてチャート用の基準サーチ範囲を補正する。
その後、AF制御部33は、サーチ範囲補正部35によって補正されたチャート用のサーチ範囲内でフォーカスレンズ27dを移動させながら、チャート28を撮像した画像のAF評価値が最大となる合焦位置にフォーカスレンズ27dを停止させ、この合焦位置をシフト量算出部34に出力する。
シフト量算出部34は、AF制御部33から取得した合焦位置、及び合焦基準位置に基づいてシフト量Sを算出して、このシフト量SをRAM32に記憶させて、シフト量設定処理を終了する。シフト量設定処理の終了後、撮影モードに設定されると、システムコントローラ30は、サーチ範囲補正処理を実行する。
次に、図12のフローチャートを参照して、サーチ範囲補正処理について説明する。サーチ範囲補正部35は、RAM32からズーム位置を取得した後、例えば、ROM31に記憶された参照用テーブルを参照して、各ズーム位置に対応する基準サーチ範囲(FAR端位置Fn、及びNEAR端位置Nn)を設定する。
さらに、サーチ範囲補正部35は、シフト量SをRAM32から取得して、基準サーチ範囲をシフト量S分補正(すなわち、Fn=Fn+S,Nn=Nn+Sを算出)して、サーチ範囲補正処理を終了する。
サーチ範囲補正処理終了後、システムコントローラ30は、シャッタボタン21が半押しされたか否かを判定する。なお、この判定は、シャッタボタン21の第1スイッチからON信号が取得されたか否かに基づいて行われる。シャッタボタン21が半押しされていないと判定された場合、この判定処理を繰り返し実行する。
また、シャッタボタン21が半押しされたと判定された場合、システムコントローラ30は、AE検出部54を制御してAE処理を実行する。さらに、AF制御部33は、レンズ駆動部40及びAF検出部55を制御して、サーチ範囲補正処理にて補正されたサーチ範囲内でフォーカスレンズ27dを光軸方向に移動させて、AF評価値が最大となる合焦位置にフォーカスレンズ27dを停止させる。
フォーカスサーチ終了後、システムコントローラ30は、フォーカスレンズ27dの合焦位置に基づいて被写体距離を算出し、AE評価値及び被写体距離に基づいてストロボ発光量を設定する。
その後、システムコントローラ30は、シャッタボタン21が全押しされたか否かを判定する。なお、この判定は、シャッタボタン21の第2スイッチからON信号を取得したか否かに基づいて行われる。シャッタボタン21が全押しされていないと判定された場合、この判定処理を繰り返し実行する。
また、シャッタボタン21が全押しされたと判定された場合、システムコントローラ30は、各部を制御して撮像処理及び記録処理を実行して撮影処理を終了する。このように、シフト量Sを算出してサーチ範囲を補正することによって、図13に示すように、温度変化に伴うフォーカスレンズ27dのピントシフト量を考慮してサーチ範囲を広めに設定した場合と比べて、フォーカスレンズ27dのサーチ範囲を狭くすることができる。このため、AF動作に要する時間を短縮できる。また、AF動作完了時のフォーカスレンズ27dの位置によって、正確な被写体距離情報への変換も可能である。
なお、上記撮影処理の説明において、デジタルカメラ10の電源がONになった後に、シフト量設定処理を実行する場合を例に説明したが、これに限るものではなく、電源ON後に、シャッタボタン21が操作される前であればいつでも良く、例えば、再生モードから撮影モードに切り替えられた時に実行しても良い。
また、上記撮影処理の説明において、撮影モードに設定された後、サーチ範囲補正処理を実行する場合を例に説明したが、これに限るものではなく、ズーム位置が変更された場合、サーチ範囲補正処理を必ず実行する。
上記デジタルカメラ10の説明において、対物レンズ19の対物面19aにチャート28を設けた場合を例に説明を行ったが、図14に示すように、撮影レンズ27の前方に、対物レンズ19を覆うようにカバーガラス57が配置されている場合、図15に示すように、カバーガラス57の前面57aに、チャート58を直接印刷しても良い。
なお、カバーガラス57の場合は、チャート58を前面57aではなく、背面57bに設けても良い。また、このチャート58も印刷ではなく、前述のチャート28のように、溝に墨入れを行って形成しても良い。
次に、図16を参照して、屈曲光学系のレンズ装置を備えたデジタルカメラ60について説明する。デジタルカメラ60は、カメラ本体61の前面に、対物レンズ62と、補助光発光部63と、インジケータ発光部64と、レンズバリア65とが設けられている。対物レンズ62は、カメラ本体61内に組み込まれたレンズ装置66を構成し、カメラ本体61の前面から露呈されている。
レンズバリア65は、対物レンズ62を露呈させる露呈位置(図16(A)に示す位置)と、対物レンズ62を覆い隠す遮蔽位置(図16(B)に示す位置)との間でスライド自在に設けられている。また、このレンズバリア65には、ストロボ発光部67が設けられている。また、カメラ本体61の上面には、電源操作部68と、シャッタボタン69とが設けられている。また、図17に示すように、カメラ本体61の背面には、複数の操作ボタンで構成される操作部70と、LCD71とが設けられている。
次に、図18を参照して、レンズ装置66について説明する。レンズ装置66は、第1レンズ群72と、第2レンズ群(ズームレンズ)73と、第3レンズ群74と、絞り機能を有するシャッタ装置75と、第4レンズ群(フォーカスレンズ)76と、CCD77とを備えて構成されている。
第1レンズ群72は、前述の対物レンズ62、直角プリズム72a、及び後レンズ群72bを備えて構成されている。対物レンズ62の光軸L1は、直角プリズム72aによって略直角の光軸L2に屈曲される。この光軸L2上に、後レンズ群72b、第2レンズ群73、第3レンズ群74、シャッタ装置75、第4レンズ群76、及びCCD77が順に配置されている。また、ズームレンズ73及びフォーカスレンズ76は、光軸L2に沿って移動自在にされている。
また、対物レンズ62の対物面(前面)62aには、チャート80が設けられている。このチャート80は、前述のチャート28と同様のものであり、詳しい説明を省略する。さらに、デジタルカメラ60の電気的構成は、デジタルカメラ10と同様であるので、詳しい説明を省略する。
また、このデジタルカメラ60は、デジタルカメラ10と異なり、レンズ鏡筒がカメラ本体61から繰り出されることはないので、シフト量設定処理においてレンズ鏡筒の繰り出し動作は必要ない。なお、その他の作用は、前述のデジタルカメラ10と同様であるので説明を省略する。
上記デジタルカメラ60の説明において、対物レンズ62の対物面62aにチャート80を設けた場合を例に説明を行ったが、図19に示すように、対物レンズ62を覆うようにカバーガラス81が配置されている場合、このカバーガラス81の前面81aに、チャート82を直接印刷しても良い。また、このカバーガラス81の場合も、チャート82を前面81aではなく、背面81bに設けても良い。さらに、このチャート82も印刷ではなく、前述のチャート28のように、溝に墨入れを行って形成しても良い。
次に、レンズ装置66の周囲温度に、所定温度以上の温度変化があった時に、前述のサーチ範囲補正処理を行う場合について説明する。図20に示すデジタルカメラ90は、カメラ本体91の前面に、レンズバリア65を備えている。
また、カメラ本体91内には、システムコントローラ30が実装された基板92や、電池93が収納されている。さらに、カメラ本体91内には、環境温度(レンズ装置66の周囲温度)を検出する温度検出手段である温度センサ94が、レンズ装置66の近傍に配置されている。なお、その他の構成は、前述のデジタルカメラ60と同様の構成であり、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
次に、上記構成のデジタルカメラ90の電気的構成について説明する。システムコントローラ30には、前述の温度センサ94が接続されており、温度センサ94は、温度情報をシステムコントローラ30に逐次出力する。また、システムコントローラ30は、判定部95を備えている。
この判定部95は、温度センサ94からの温度情報を取得して、所定温度以上の温度変化があったか否かを判定する。シフト量算出部34は、判定部95によって所定温度以上の温度変化があったと判定された場合、シフト量算出処理を実行して、RAM32に記憶されたシフト量Sを更新する。サーチ範囲補正部35は、更新後のシフト量Sに基づいてサーチ範囲を補正する。以上、デジタルカメラ90の電気的構成について説明したが、その他の構成は、前述のデジタルカメラ10,60と同様であるので、詳しい説明を省略する。
次に、図22のフローチャートを参照して、シフト量更新処理について説明する。デジタルカメラ90の電源がONにされ、且つ撮影モードに設定されている時に、判定部95は、温度センサ94からの温度情報に基づいて、所定温度以上の温度変化があるか否かを判定する。所定温度以上の温度変化がないと判定された場合、シフト量Sを更新せずにシフト量更新処理を終了する。
また、所定温度以上の温度変化があったと判定された場合、AF制御部33は、サーチ範囲補正部35からチャート用のサーチ範囲を取得する。その後、AF制御部33は、このチャート用のサーチ範囲内でフォーカスレンズ76を移動させながら、チャート80を撮像した画像のAF評価値が最大となる合焦位置にフォーカスレンズ76を停止させ、この合焦位置をシフト量算出部34に出力する。
シフト量算出部34は、AF制御部33から取得した合焦位置、及び合焦基準位置に基づいてシフト量Sを算出して、RAM32に記憶されたシフト量Sを更新して、シフト量更新処理を終了する。
このように、所定温度以上の温度変化があった場合、シフト量Sが自動的に更新されるので、急激な温度変化があった場合に、更新されたシフト量Sに基づいてサーチ範囲が補正されるので、最適なサーチ範囲でAF動作が常に実行される。このため、急激な温度変化があった場合でも、常に最適なサーチ範囲でAF動作を迅速に行うことが可能である。AF動作完了時のフォーカスレンズ76の位置によって、正確な被写体距離情報への変換も可能である。
なお、上記実施形態において、システムコントローラ内に、AF制御部、シフト量算出部、サーチ範囲補正部、及び判定部を設けた場合を例に説明を行ったが、ROM内に記憶されたプログラムでこれらの処理を実行する場合は、これらを設けなくても良い。
また、上記実施形態において、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例に説明したが、これに限るものではなく、例えば、カメラ付き携帯電話やデジタルビデオカメラに本発明を適用しても良い。
10,60,90 デジタルカメラ
19,62 対物レンズ
27,100 撮影レンズ
27d,76,105 フォーカスレンズ
28,58,80,82 チャート
29 溝
30 システムコントローラ
33 AF制御部
34 シフト量算出部
35 サーチ範囲補正部
42,77 CCD
57,81 カバーガラス
66 レンズ装置
94 温度センサ
95 判定部
19,62 対物レンズ
27,100 撮影レンズ
27d,76,105 フォーカスレンズ
28,58,80,82 チャート
29 溝
30 システムコントローラ
33 AF制御部
34 シフト量算出部
35 サーチ範囲補正部
42,77 CCD
57,81 カバーガラス
66 レンズ装置
94 温度センサ
95 判定部
Claims (6)
- フォーカスレンズを有する撮影レンズと、前記撮影レンズを透過した被写体光を光電変換によって撮像する撮像素子とを備え、前記フォーカスレンズを光軸方向に所定サーチ範囲内で移動させ、前記撮像素子によって得られる画像のコントラストに基づいて焦点調節を行う撮影装置において、
前記撮影レンズを構成する対物レンズの前面、または前記対物レンズを覆うカバーガラスに形成されたテストパターンを前記撮像素子によって撮像した結果得られる画像のコントラストから前記フォーカスレンズの合焦位置を検出し、この合焦位置の基準位置からの変位量を算出する変位量算出手段と、
前記変位量に基づいて前記所定サーチ範囲を補正するサーチ範囲補正手段とを備えていることを特徴とする撮影装置。 - 前記テストパターンは、前記対物レンズの前面または前記カバーガラスに印刷されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
- 前記テストパターンは、前記対物レンズの前面または前記カバーガラスに形成された溝部に墨入れを施して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
- 前記撮影レンズの周囲温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段からの温度情報に基づいて所定温度以上の温度変化があったか否かを判定する判定手段とを備え、
前記判定手段によって前記所定温度以上の温度変化があったと判定された場合、前記変位量算出手段は、前記変位量の算出を再度実行して、前記変位量を更新することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の撮影装置。 - 撮影レンズを構成するフォーカスレンズを光軸方向に所定サーチ範囲内で移動させ、撮像素子によって前記撮影レンズを介して撮像された画像のコントラストに基づいて焦点調節を行う焦点調節方法において、
前記撮影レンズを構成する対物レンズの前面または前記対物レンズを覆うカバーガラスに配置されたテストパターンを撮像した結果得られる画像のコントラストに基づいて前記フォーカスレンズの合焦位置を検出し、
前記合焦位置の基準位置からの変位量を算出し、
前記変位量に基づいて前記所定サーチ範囲を補正し、
補正後のサーチ範囲内で前記フォーカスレンズを移動させて焦点調節を行うことを特徴とする焦点調節方法。 - 前記撮影レンズの周囲温度に所定温度以上の温度変化があったか否かを判定し、前記所定温度以上の温度変化があった場合、前記合焦位置を再検出して前記変位量を更新することを特徴とする請求項5に記載の焦点調節方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007088140A JP2008249826A (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | 撮影装置及び焦点調節方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007088140A JP2008249826A (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | 撮影装置及び焦点調節方法 |
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JP2008249826A true JP2008249826A (ja) | 2008-10-16 |
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ID=39974874
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JP2007088140A Pending JP2008249826A (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | 撮影装置及び焦点調節方法 |
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JP (1) | JP2008249826A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010112974A (ja) * | 2008-11-04 | 2010-05-20 | Canon Inc | 像振れ補正装置および撮像装置 |
-
2007
- 2007-03-29 JP JP2007088140A patent/JP2008249826A/ja active Pending
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