以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
図に示されるように、プリンタ11には、四つの独立した画像形成部を構成する画像形成ユニット(IDユニット)12Bk、12Y、12M、12Cが媒体としての図示されない用紙の挿入側から排出側に沿って配置される。なお、前記媒体として、用紙のほかに、OHP用紙、封筒、複写紙、特殊紙等を使用することができる。
前記画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cは、それぞれLEDプリント機構を構成し、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のトナー像を形成する。各画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cは、像担持体としての感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13C、該感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cの表面を一様に、かつ、均一に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ14Bk、14Y、14M、14C、後述される潜像としての静電潜像に現像剤としての図示されないトナーを付着させ、現像剤像である各色のトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ16Bk、16Y、16M、16C、該現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cに圧接させて配設され、トナーカートリッジ20Bk、20Y、20M、20Cから供給されたトナーを前記現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cに供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ18Bk、18Y、18M、18C、前記現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cに圧接させられ、現像ローラ16Bk、16Y、16M、16C上において、トナー供給ローラ18Bk、18Y、18M、18Cから供給されたトナーを薄層化する現像ブレード19Bk、19Y、19M、19C等を有する。
前記画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cの下方には、用紙をトナーと逆の極性に帯電させ、各色のトナー像を用紙に転写するための転写ユニットが配設される。該転写ユニットは、駆動ローラr1と従動ローラr2との間に張設され、矢印e方向に走行自在に配設された搬送部材としての搬送ベルト21、該搬送ベルト21を介して各感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cに当接させられる転写部材としての転写ローラ17Bk、17Y、17M、17C等から成る。
また、前記画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cに隣接させ、かつ、各感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cと対向させて、露光装置としてのLEDヘッド15Bk、15Y、15M、15Cが配設され、該各LEDヘッド15Bk、15Y、15M、15Cは、各色の画像データに従って感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cを露光し、静電潜像を形成する。
前記搬送ベルト21は、継ぎ目無しのエンドレスベルト状に形成され、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムから成り、駆動ローラr1は、図示されない搬送用の駆動部としてのベルトモータと連結され、該ベルトモータを駆動することによって矢印e方向に走行させられる。
前記プリンタ11の下部には、搬送路に用紙を供給するための給紙機構が配設され、該給紙機構は、ホッピングローラ22、レジストローラ23、媒体収容部としての用紙収容カセット24、該用紙収容カセット24内の用紙の色を測色する媒体色測色部としての用紙色測色部25、ピンチローラ26等を備える。前記用紙収容カセット24内の用紙は、ホッピングローラ22によって繰り出され、ガイド34に沿って搬送され、レジストローラ23とピンチローラ26との間に送られ、用紙のスキューが修正される。
また、32はプリンタ11が使用されている環境の変量としての温度、すなわち、気温を検出するための環境変量検出部としての環境温度センサであり、該環境温度センサ32は、定着装置としての定着器28の熱の影響を受けないように、定着器28から離れた部分、本実施の形態においては、搬送路における画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cより上流側の、ピンチローラ26の上部に配設される。
続いて、用紙は、レジストローラ23とピンチローラ26との間から吸着ローラ27と搬送ベルト21との間に送られる。前記吸着ローラ27は、用紙を従動ローラr2との間で圧接するとともに帯電させ、搬送ベルト21の上面に静電吸着させる。なお、29、30はそれぞれレジストローラ23の前後に配設され、用紙を検出するための媒体検出部としての用紙センサである。
次に、前記用紙は、搬送ベルト21を走行させるのに伴って搬送され、各画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cにおいて、転写ローラ17Bk、17Y、17M、17Cによって各色のトナー像が用紙に順次重ねて転写され、カラーのトナー像が形成される。そして、カラーのトナー像が形成された用紙は、搬送ベルト21から分離させられて定着器28に送られ、該定着器28によってカラーのトナー像は用紙に定着され、カラー画像が形成される。
また、33は、駆動ローラr1側の搬送ベルト21と定着器28との間に、用紙の後端の位置を検出したり、搬送ベルト21からの分離に失敗した用紙を検出したりするための媒体検出部としての用紙センサである。
前記定着器28は、第1の定着部としての加熱ローラ35、及び該加熱ローラ35に当接させて配設された第2の定着部としての加圧ローラ40を備え、用紙上のトナー像の各トナーを加熱して溶融させ、加圧して浸透させることによって、用紙にカラー画像を定着させる。
前記加熱ローラ35内には、加熱体としてのハロゲンランプ等のヒータ36が配設され、前記加熱ローラ35は、定着用の駆動部としての図示されない定着器モータを駆動することによって回転させられ、加圧ローラ40は加熱ローラ35に連れ回りする。
ところで、電源をオンにした直後又はパワーセーブモードを解除した直後において、例えば、加熱ローラ35及び加圧ローラ40の幅方向における温度分布で、中央部と端部とで温度差(約10〔℃〕)が発生することがあり、その場合、定着動作を継続すると、加熱ローラ35の設定温度を環境に対して最適な値にしていても、用紙の端部で定着不足が発生し、画像品位が低下してしまう。
この現象は、定着器28の温度が上昇し、前記温度差が小さくなれば発生しなくなる傾向がある。そこで、定着器28の温度が十分に上昇した状態を判断するために、定着器28に、第1の温度検出部としての、かつ、ローラ温度検出部としての非接触サーミスタ37、及び第2の温度検出部としての、かつ、フレーム温度検出部としての補償用サーミスタ38を配設するようにしている。
前記非接触サーミスタ37は、前記加熱ローラ35の表面の近傍に配設され、第1の温度としての加熱ローラ35の表面温度を、非接触で検出し、前記補償用サーミスタ38は非接触サーミスタ37の上に配設され、非接触サーミスタ37によって検出された加熱ローラ35の表面温度を補正するために、第2の温度としての定着器28のフレームの温度、すなわち、フレーム温度を検出し、フレーム温度が閾値を超えたかどうかを判断するようにしている。
そして、39は、加圧ローラ40に接触させて配設され、第3の温度としての加圧ローラ40の表面温度を検出する第3の温度検出部としての接触サーミスタ、41は搬送路における定着器28より下流側に配設された媒体検出部としての排出センサ、47は定着が終了した用紙が排出される排出スタッカであり、前記排出センサ41は、定着器28におけるジャム、用紙の加熱ローラ35への巻き付き等を検出するために配設される。
前記搬送ベルト21の下面には、クリーニングブレード42及び廃トナータンク43から成るクリーニング機構が配設され、従動ローラr2とクリーニングブレード42とが搬送ベルト21の下半分21bを挟むように、それぞれが対向する位置に配設される。
そして、従動ローラr2は、矢印f方向に搬送ベルト21を引っ張る。前記クリーニングブレード42は、可撓性を有するゴム材又はプラスチック材から成り、搬送ベルト21の上半分21aで表面に付着し残留したトナーを廃トナータンク43に削り落とす。
図3は本発明の第1の実施の形態における定着器の概念図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるサーミスタの配設状態を示す概念図である。
図3において、28は加熱ローラ35及び加圧ローラ40を備えた定着器、36はヒータ、37は非接触サーミスタ、38は補償用サーミスタ、39は接触サーミスタ、b1はねじ、fr1は定着器28のフレーム、Br1は支持部である。
前記非接触サーミスタ37及び補償用サーミスタ38は、加熱ローラ35の近傍において、かつ、加熱ローラ35から所定の距離だけ離れた箇所において、一体的にフレームfr1に取り付けられる。そのために、前記フレームfr1内の所定の位置に加熱ローラ35の上端部に向けて突出させて棚状の支持部Br1が形成され、前記非接触サーミスタ37及び補償用サーミスタ38は、ねじb1によって支持部Br1に固定される。
また、図4に示されるように、加熱ローラ35のほぼ中央に、最小の用紙を通過させる際の位置を表す最小媒体幅としての最小用紙幅(本実施の形態においては、A6判で105〔mm〕)が設定され、前記非接触サーミスタ37及び補償用サーミスタ38は通紙領域AR1内のほぼ中央に、前記接触サーミスタ39は、通紙領域AR1内の一方の端部の近傍に配設される。
本実施の形態においては、加熱ローラ35内にヒータ36が配設されるようになっているが、加熱ローラ35及び加圧ローラ40の両方にヒータを配設することができる。また、前記ヒータ36に代えてベルトを使用することもできる。
図5は本発明の第1の実施の形態における非接触サーミスタ及び補償用サーミスタの配設状態を示す平面図、図6は本発明の第1の実施の形態における非接触サーミスタ及び補償用サーミスタの配設状態を示す断面図である。
図において、37は非接触サーミスタであり、該非接触サーミスタ37は、温度検出素子37a、及び該温度検出素子37aのセンサ出力を後述される機構制御部に送るための配線37bを備える。また、38は補償用サーミスタであり、該補償用サーミスタ38は、温度検出素子38a、及び該温度検出素子38aのセンサ出力を前記機構制御部に送るための配線38bを備える。前記温度検出素子37aは、フレームfr1に貼り付けられた図示されないフィルムに貼着され、温度検出素子38aは、支持部Br1から上方に向けて突出させて形成されたブロック部Br2に取り付けられる。なお、ブロック部Br2は定着器28(図2)及び加圧ローラ40を支持するローラ支持部として機能する。
次に、プリンタ11の制御装置について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
ホストインタフェース部50は、上位装置としてのホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを構成し、コネクタ及び通信用のチップによって構成される。コマンド/画像処理部51は、ホストコンピュータから送信されたコマンド及び画像データを解釈又はビットマップに展開するものであり、演算装置としてのマイクロプロセッサ、記憶装置としてのRAM、展開のための特別なハードウェア等から成り、プリンタ11(図2)の全体を制御する。前記コマンド/画像処理部51によって、第1の制御部及び主制御部が構成される。
また、LEDヘッドインタフェース部52は、セミカスタムLSI、RAM等によって構成され、コマンド/画像処理部51からのビットマップに展開された画像データを、LEDヘッド15Bk、15Y、15M、15Cのインタフェースに合わせて加工する。
機構制御部53は、コマンド/画像処理部51からの指令に従い、環境温度センサ32、非接触サーミスタ37、補償用サーミスタ38、接触サーミスタ39、色ずれ検出センサ45等のセンサ類のセンサ出力を読み込み、繰出用の駆動部としてのホッピングモータ54、媒体供給用の駆動部としてのレジストモータ55、ベルトモータ56、定着器モータ57、画像形成用の駆動部としてのドラムモータ58Bk、58Y、58M、58C等のモータを駆動するとともに、ヒータ36の通電をオン・オフさせ、印刷系の機構部の制御を行う。前記機構制御部53によって、第2の制御部及び印刷制御部が構成される。
また、高圧制御部60は、演算装置としてのマイクロプロセッサ、又はカスタムLSI、記憶装置としてのRAM等によって構成され、各画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cに供給されるチャージ電圧、現像バイアス電圧、転写電圧等を発生させるための制御を行う。そして、CH発生部61は、チャージ電源をオン・オフさせて、チャージ電圧の発生及び停止を行い、DB発生部62は、現像バイアス電源をオン・オフさせて、現像バイアス電圧の発生及び停止を行い、TR発生部63は、転写電源をオン・オフさせて、転写電圧の発生及び停止を行う。なお、70は記憶装置である。また、前記TR発生部63は、電流/電圧検出回路を備え、これにより、定電流又は定電圧による制御を行う。
ところで、非接触サーミスタ37によって検出された加熱ローラ35の表面温度をTncとすると、該表面温度Tncと加熱ローラ35の実際の表面温度、すなわち、実表面温度Tcとは異なる。そこで、本実施の形態においては、補償用サーミスタ38によって検出されたフレーム温度をTambとし、前記表面温度Tnc及びフレーム温度Tambに基づいて、実表面温度Tcを算出するようにしている。
図7は本発明の第1の実施の形態における加熱ローラの動作を示す第1のタイムチャート、図8は本発明の第1の実施の形態における加熱ローラの動作を示す第2のタイムチャート、図9は本発明の第1の実施の形態における加熱ローラの動作を示す第3のタイムチャート、図10は本発明の第1の実施の形態における温度差の関係図である。図7及び8において、横軸に時間を、縦軸に温度を、図9において、横軸に時間を、縦軸に実表面温度Tcと表面温度Tncとの温度差δTを、図10において、横軸に検出温度差ΔTncを、縦軸に実温度差ΔTcを採ってある。
図7〜9に示されるように、フレーム温度Tambが変化すると、実表面温度Tcが変化していなくても、表面温度Tncが変化し、それに伴って、実表面温度Tcと表面温度Tncとの温度差δTが変化する。例えば、フレーム温度Tambが低くなると、表面温度Tncが低くなり、温度差δTが大きくなる。これは、前記非接触サーミスタ37(図6)がフィルムを介してフレームfr1に取り付けられているので、フレーム温度Tambが低くなると、温度検出素子37aの熱がフィルムを介してフレームfr1に伝達され、非接触サーミスタ37のセンサ出力が低下するからと考えられる。
そこで、本実施の形態においては、表面温度Tncを補正することによって、実表面温度Tcを算出するようにしている。
ところで、表面温度Tncとフレーム温度Tambとの温度差を検出温度差ΔTncとし、実表面温度Tcとフレーム温度Tambとの温度差を実温度差ΔTcとすると、検出温度差ΔTncと実温度差ΔTcとは比例関係にあり、
ΔTc=A・ΔTnc+C
で表すことができる。なお、A、Cは補正係数であり、検出温度差ΔTnc及び実温度差ΔTcを変化させて実験を行い、実験結果から求めることができる。
ここで、実温度差ΔTcは、
ΔTc=Tc−Tamb
であり、検出温度差ΔTncは、
ΔTnc=Tnc−Tamb
であるので、
Tc−Tamb=A・(Tnc−Tamb)+C
になり、
Tc−Tamb=A・Tnc+(1−A)・Tamb+C
になる。そして、
B=1−A
とすると、実表面温度Tcは、
Tc=A・Tnc+B・Tamb+C ……(1)
になる。なお、Bも補正係数であり、該補正係数Bは補正係数Aに基づいて算出することができる。
ところで、加熱ローラ35(図2)及び加圧ローラ40を回転させると、フレームfr1内で空気の流れが発生するので、前記温度検出素子37aの周囲の温度が低くなるのに対して、補償用サーミスタ38は、ブロック部Br2によって支持されるので、前記空気の流れの影響を受けず、温度検出素子38aの周囲の温度は低くならない。したがって、加熱ローラ35及び加圧ローラ40を回転させたときと、回転させないときとで、補正係数A〜Cが異なる。
図10において、Ln1は加熱ローラ35及び加圧ローラ40を回転させたときの、検出温度差ΔTncと実温度差ΔTcとの関係を示す線、Ln2は加熱ローラ35及び加圧ローラ40を回転させないときの、検出温度差ΔTncと実温度差ΔTcとの関係を示す線であり、実験結果においては、線Ln1において、補正係数Aは1.25であり、補正係数Cは零(0)であり、線Ln2において、補正係数Aは1.17であり、補正係数Cは零であった。
すなわち、加熱ローラ35及び加圧ローラ40を回転させた場合、
Tc=1.25×Tnc−0.25×Tamb ……(2)
になり、加熱ローラ35及び加圧ローラ40を回転させない場合、
Tc=1.17×Tnc−0.17×Tamb ……(3)
になった。
そこで、本実施の形態において、機構制御部53(図1)の図示されない回転判定処理手段は、回転判定処理を行い、定着器モータ57が駆動されているかどうかによって、加熱ローラ35及び加圧ローラ40が回転させられているかどうかを判断し、定着器モータ57が駆動され、加熱ローラ35及び加圧ローラ40が回転させられている場合は、式(2)に従って実表面温度Tcを算出し、定着器モータ57が停止させられ、加熱ローラ35及び加圧ローラ40が回転させられていない場合は、式(3)に従って実表面温度Tcを算出する。
ところで、記憶装置70には、あらかじめ、表1に示されるように、媒体厚さとしての用紙の厚さW、環境温度センサ32のセンサ出力に基づいて検出される気温tに対応させて、フレーム温度Tambの閾値Tth1、及び加熱ローラ35の表面温度Tncの最適な値、すなわち、実表面温度Tcの目標値を表す設定温度Tsが設定温度テーブルとして記録される。そして、前記実表面温度Tc及び設定温度Tsに基づいて定着器28の制御が行われる。
次に、定着器28の制御装置、すなわち、定着器制御装置の動作について説明する。
図11は本発明の第1の実施の形態における定着器制御装置の動作を示すフローチャートである。
プリンタ11(図2)の電源がオンにされると、機構制御部53(図1)の図示されない制御条件判定処理手段は、制御条件判定処理を行い、環境温度センサ32によって検出された気温t及びホストコンピュータで設定されている用紙の厚さWを読み込み、続いて、前記機構制御部53の図示されない温度制御処理手段は、温度制御処理を行い、表1の設定温度テーブルを参照し、前記気温t及び用紙の厚さWに対応する設定温度Tsを読み込む。
この場合、気温tが16〔℃〕(標準の温度)以上であるか、又は、用紙の厚さWが28〔lb〕(標準の厚さ)以上である場合、設定温度Tsは値T1
T1=170〔℃〕
にされ、気温tが16〔℃〕より低く、かつ、用紙の厚さWが28〔lb〕未満である場合、設定温度Tsは値T1に所定の値αを加算した値T2
T2=T1+α
=180〔℃〕
にされる。なお、本実施の形態において、値T2によって第1の値が、値T1によって第2の値が構成される。
そして、前記気温tが16〔℃〕以上であるか、又は、用紙の厚さWが28〔lb〕以上である場合、前記温度制御処理手段は、値T1を設定温度Tsとして設定し、式(2)、(3)で算出した実表面温度Tcが設定温度Tsになるように、ヒータ36を制御(オン・オフ制御)する。なお、用紙が厚い場合は、搬送速度が低くなるので、設定温度を変更する必要はない。
一方、気温tが16〔℃〕より低く、かつ、用紙の厚さWが28〔lb〕未満である場合、前記機構制御部53の図示されない補償用温度判定処理手段は、補償用温度判定処理を行い、フレーム温度Tambを読み込み、フレーム温度Tambが閾値Tth1より高いかどうかを判断し、フレーム温度Tambが閾値Tth1以下である場合、前記温度制御処理手段は、値T2を設定温度Tsとして設定し、式(2)、(3)で算出した実表面温度Tcが設定温度Tsになるように、ヒータ36を制御(オン・オフ制御)する。一方、フレーム温度Tambが閾値Tth1より高い場合は、前記値T2を設定温度Tsとして設定し、実表面温度Tcが設定温度Tsになるようにヒータ36を制御する。
その後、実表面温度Tcが設定温度Tsになると、定着器28は定着可能状態になり、プリンタ11に印刷開始指令が出されると、機構制御部53の図示されない印刷処理手段は、印刷処理を行い、ベルトモータ56及びドラムモータ58Bk、58Y、58M、58Cを駆動し、駆動ローラr1を回転させ、搬送ベルト21を走行させるとともに、各画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cを動作させる。このとき、各画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12C内のトナーは、トナー供給ローラ18Bk、18Y、18M、18Cと現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cとによって強く擦られて摩擦帯電させられる。
次に、機構制御部53の図示されない媒体供給処理手段は、媒体供給処理を行い、ホッピングモータ54を駆動し、ホッピングローラ22を回転させ、用紙収容カセット24内の用紙を繰り出してガイド34に送る。用紙の前端がレジストローラ23とピンチローラ26との間に到達すると、媒体供給処理手段は、ホッピングモータ54を停止させる。
そして、機構制御部53の図示されない媒体搬送処理手段は、媒体搬送処理を行い、レジストローラ23及び加熱ローラ35を回転させ、それと同時に図示されない吸着帯電電源をオンにして、吸着ローラ27に電圧を印加する。これにより、用紙は、レジストローラ23によって搬送され、前端が吸着ローラ27と搬送ベルト21との間に到達する。この時点で、用紙の前端は、吸着ローラ27と従動ローラr2との間の静電気力によって搬送ベルト21に吸着される。さらに、レジストローラ23が回転すると、用紙は搬送ベルト21に吸引されながら矢印e方向に搬送される。
また、機構制御部53の図示されない高圧制御処理手段は、高圧制御処理を行い、各帯電ローラ14Bk、14Y、14M、14C及び現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cに電圧を供給するために、高圧制御部60に指令を出し、チャージ電圧、現像バイアス電圧、転写電圧等を発生させる。したがって、各感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cの表面は一様に、かつ、均一に帯電させられ、現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cは所定の高電圧に帯電される。これにより、帯電しているトナーは、現像ローラ16Bk、16Y、16M、16Cの表面に、現像ブレード19Bk、19Y、19M、19Cによって均一な厚さに付着する。
次に、用紙が所定の位置に到達したことが機構制御部53から通知されると、コマンド/画像処理部51の図示されない画像形成処理手段は、画像形成処理を行い、ブラックの画像データが記録されている記憶装置70から、1ライン分のブラックの画像データをLEDヘッドインタフェース部52に送る。該LEDヘッドインタフェース部52は、受けた画像データをLEDヘッド15Bkに送ることができる形に変えてLEDヘッド15Bkに送る。そして、LEDヘッド15Bkは、送られてきた画像データに対応するLEDを点灯させ、帯電した感光体ドラム13Bkの表面を照射し、画像データに応じた1ライン分の静電潜像を形成する。このようにして、1ラインごとに記憶装置70から送られてくる1ページの長さ分のブラックの画像データが、順次感光体ドラム13Bkの表面に静電潜像を形成する。
そして、静電潜像が形成された感光体ドラム13Bkの表面には、帯電した現像ローラ16Bkからブラックのトナーが付着させられ、感光体ドラム13Bkの回転によって、静電潜像は、順次ブラックのトナーによって現像される。次に、用紙の前端が感光体ドラム13Bkと転写ローラ17Bkとの間に到達した時点で、機構制御部53の図示されない転写処理手段は、転写処理を行い、高圧制御部56に指令を出し、ブラックの転写用電源をオンにする。これにより、感光体ドラム13Bkの表面のトナー像は、転写ローラ17Bkにより電気的に用紙に転写される。そして、感光体ドラム13Bkの回転により、トナー像は順次用紙上に転写され、1ページ分のブラックのトナー像が用紙に転写される。
続いて、搬送ベルト21は引き続き走行させられ、用紙は画像形成ユニット12Bkから画像形成ユニット12Yに移動し、次に、画像形成ユニット12Yによるイエローのトナー像が用紙に転写される。そして、同様に、マゼンタのトナー像及びシアンのトナー像が用紙に転写される。
このように、各色のトナー像が、順次用紙に重ねて転写され、カラーのトナー像が形成され、続いて、用紙は、搬送ベルト21によって定着器28に案内される。
用紙が定着器28に到達すると、既に定着可能な温度に達している加熱ローラ35、及び該加熱ローラ35に圧接する加圧ローラ40によって、カラーのトナー像が用紙に定着させられ、カラー画像が形成される。そして、定着が終了すると、用紙は排出スタッカ47に排出される。この場合、排出センサ41によって用紙の後端を検出することにより、機構制御部53の図示されない排出判定処理手段は、排出判定処理を行い、用紙が排出スタッカ47に排出されたことを知る。
そして、印刷指令を終了してすべての用紙の排出が終了すると、機構制御部53は、すべてのモータを停止する。なお、各画像形成ユニット12Bk、12Y、12M、12Cにおいてトナーの転写が終了した時点で、転写電源はオフにされ、チャージ電源、現像バイアス電源等は感光体ドラム13Bk、13Y、13M、13Cの回転が停止させられたときにオフになる。
このようにして、用紙収容カセット24から繰り出した用紙に、カラー画像を形成することができる。
ところで、このような動作を繰り返す状態、又はプリンタ11の電源をオンにした状態が長く続くと、補償用サーミスタ38によって検出されるフレーム温度Tambが高くなる。そして、該フレーム温度Tambが閾値Tth1より高くなると、加熱ローラ35及び加圧ローラ40における中央部の温度と端部の温度との差がなくなり、幅方向での温度が安定した状態になる。
そこで、フレーム温度Tambが閾値Tth1(この時点の気温tに応じて設定される。)より高くなると、前記温度制御処理手段は、前記値T1を設定温度Tsとして設定する。
なお、前記値T2を設定温度Tsとして設定された場合に、値T2を設定温度Tsとした状態で印刷動作が行われる時間を制限するために、あらかじめ制限時間(本実施の形態においては、10〔分〕)が設定される。そして、前記温度制御処理手段は、値T2を設定温度Tsとして設定すると、前述されたようにヒータ36の制御を開始するとともに、タイマをオンにして、計時を開始する。
そして、前記温度制御処理手段は、ヒータ36の制御が開始されてから10〔分〕が経過したかどうかを判断し、10〔分〕が経過すると、値T1を設定温度Tsとして設定する。
なお、本実施の形態においては、制限時間が経過したときに設定温度Tsの設定が切り換えられるようになっているが、接触サーミスタ39によって検出された加圧ローラ40の表面温度が閾値、例えば、100〔℃〕(設定温度Tsが160〔℃〕にされた場合)より高くなったかどうかを判断し、加圧ローラ40の表面温度が閾値より高くなった場合に、設定温度Tsの設定を切り換えることができる。
このように、本実施の形態においては、プリンタ11の電源がオンにされた場合、パワーセーブが解除された場合等において、定着器28が冷えた状態で直ちに印刷動作を開始しようとしたときに、補償用サーミスタ38によって検出されたフレーム温度Tambに基づいて設定温度Tsが切り換えられるので、加熱ローラ35及び加圧ローラ40の中央部と端部とで温度差が発生するのを防止することができる。したがって、用紙の端部で定着不足が発生することがなくなり、画像品位を向上させることができる。
さらに、ヒータ36を常に必要最小限度に制御することができるので、ヒータ36による消費電力を小さくすることができる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 電源をオンにする。
ステップS2 気温tが16〔℃〕より低いかどうかを判断する。気温tが16〔℃〕より低い場合はステップS3に、気温tが16〔℃〕以上である場合はステップS9に進む。
ステップS3 用紙の厚さWが28〔lb〕未満であるかどうかを判断する。用紙の厚さWが28〔lb〕未満である場合はステップS4に、用紙の厚さWが28〔lb〕以上である場合はステップS9に進む。
ステップS4 フレーム温度Tambが閾値Tth1より高いかどうかを判断する。フレーム温度Tambが閾値Tth1より高い場合はステップS9に、フレーム温度Tambが閾値Tth1以下である場合はステップS5に進む。
ステップS5 値T2を設定温度Tsとして設定する。
ステップS6 ヒータ36を制御し、タイマをオンにする。
ステップS7 設定温度Tsに到達するのを待機し、設定温度Tsに到達するとステップS8に進む。
ステップS8 ヒータ36の制御が開始されてから10分以上が経過したかどうかを判断する。ヒータ36の制御が開始されてから10分以上が経過した場合はステップS9に進み、経過していない場合はステップS4に戻る。
ステップS9 値T1を設定温度Tsとして設定し、処理を終了する。
図12は本発明の第1の実施の形態における加圧ローラの温度特性を示すタイムチャート、図13は本発明の第1の実施の形態における定着器制御装置の動作を示すタイムチャートである。なお、図12において、横軸にプリンタ11(図2)の電源をオンにしてからの経過時間を、縦軸に加圧ローラ40の幅方向の温度差δTw及びフレーム温度Tambを、図13において、横軸にプリンタ11の電源をオンにしてからの経過時間を、縦軸に設定温度Ts、加圧ローラ40の表面温度Tp及びフレーム温度Tambを採ってある。なお、この場合、加圧ローラ40の幅方向の温度差δTwについて説明するようになっているが、温度差δTwと、加熱ローラ35の幅方向の温度差、及び用紙センサ30の軸方向における温度差とは同じである。
図12において、Ln13は加圧ローラ40の中央部と端部との温度差δTwを示す線、Ln14はフレーム温度Tambを示す線である。また、図13において、Ln15は設定温度Tsを示す線、Ln16は加圧ローラ40の表面温度Tpを示す線、Ln14はフレーム温度Tambを示す線である。
図に示されるように、値T1を設定温度Tsとして設定した場合、電源をオンにした直後では、加圧ローラ40の中央部と端部との温度差δTwが10〔℃〕であるが、経過時間が6分以上になると、温度差δTwが閾値Twth1、本実施の形態においては、5〔℃〕より小さくなる。したがって、この時点で印刷動作を開始した場合、表2に示されるように、用紙の端部で定着不足が発生することがなくなり、画像品位を向上させることができる。
なお、表2において、×は用紙の端部で定着不足が発生することを、△は用紙の端部で定着不足が発生する可能性があることを、○は用紙の端部で定着不足が発生しないことを表す。
なお、経過時間が8分になると、フレーム温度Tambは閾値Tth1以上になる。そこで、本実施の形態においては、図13に示されるように、プリンタ11の電源がオンにされてから、経過時間が8分になるまで、設定温度Tsは値T2にされ、経過時間が8分以上になると、設定温度Tsは値T1にされる。
その結果、電源をオンにした直後において、設定温度Tsが値T2にされる分だけ、加熱ローラ35及び加圧ローラ40の表面温度Tnc、Tpが高くされ、温度差δTwを急速に零にすることができる。そして、表2に示されるように、プリンタ11の電源をオンにした直後から、用紙の端部で定着不足が発生することがなくなり、画像品位を向上させることができる。
本実施の形態においては、設定温度Tsを値T1と値T2とで切り換えるようになっているが、複数の値Ti(i=1、2、…)で切り換えることができる。
ところで、本実施の形態においては、プリンタ11の電源がオンにされた場合、パワーセーブが解除された場合等において、定着器28が冷えた状態で直ちに印刷動作を開始しようとしたときに、設定温度Tsが温度αだけ高くされ、値T2にされるが、温度αが本来の設定温度Tsである値T1に対して大きい場合、又は設定温度Tsを値T2にしたときに、加熱ローラ35、加熱ローラ35を支持している軸受け等を熱によって損傷させてしまう恐れがある場合、値T2を十分に高くすることができない。
そこで、設定温度Tsの設定を切り換えることなく、画像形成速度としての印刷速度を切り換えるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図14は本発明の第2の実施の形態における定着器制御装置の動作を示すフローチャートである。
この場合、記憶装置70(図1)には、あらかじめ、表3に示されるように、媒体厚さとしての用紙の厚さW、環境変量検出部としての環境温度センサ32(図2)のセンサ出力に基づいて検出される気温tに対応させて、フレーム温度Tambの閾値Tth1、及び定着装置としての定着器28における印刷速度の最適な値、すなわち、実印刷速度の目標値を表す設定速度Vsが設定速度テーブルとして記録される。
次に、前記構成の定着器制御装置の動作について説明する。
プリンタ11の電源がオンにされると、第2の制御部及び印刷制御部としての機構制御部53の前記制御条件判定処理手段は、環境温度センサ32によって検出された気温t、及びホストコンピュータで設定されている用紙の厚さWを読み込み、続いて、前記機構制御部53の図示されない速度制御処理手段は、速度制御処理を行い、設定速度テーブルを参照し、前記気温t及び用紙の厚さWに対応する設定温度Tsの値T1を読み込む。
この場合、気温tが16〔℃〕(標準の温度)以上であり、かつ、用紙の厚さWが28〔lb〕(標準の厚さ)未満である場合、設定速度Vsは値V1
V1=12〔PPM〕
にされ、気温tが16〔℃〕より低いか、又は、用紙の厚さWが28〔lb〕以上である場合、設定速度Vsは値V1から所定の値βを減算した値V2
V2=V1−β
=9〔PPM〕
にされる。なお、本実施の形態において、値V2によって第1の値が、値V1によって第2の値が構成される。また、PPMは1分当たり印刷されるA4判の用紙の枚数を表す。
そして、気温tが16〔℃〕より低いか、又は、用紙の厚さWが28〔lb〕以上である場合、前記速度制御処理手段は、値V2を設定速度Vsとして設定して、定着器モータ57を駆動し、印刷動作を行う。
一方、気温tが16〔℃〕以上であり、かつ、用紙の厚さWが28〔lb〕未満である場合、前記機構制御部53の前記補償用温度判定処理手段は、フレーム温度Tambを読み込み、フレーム温度Tambが閾値Tth1より高いかどうかを判断し、フレーム温度Tambが閾値Tth1より高い場合、前記速度制御処理手段は、前記値V2を設定速度Vsとして設定し、実際の印刷速度が設定速度Vsになるように、定着器モータ57を駆動し、印刷動作を行う。
また、フレーム温度Tambが閾値Tth1以下である場合、前記速度制御処理手段は、加熱体としてのヒータ36の制御を開始するとともに、タイマをオンにして、計時を開始する。
そして、前記速度制御処理手段は、ヒータ36の制御が開始されてからあらかじめ設定された制限時間、本実施の形態においては、10〔分〕が経過したかどうかを判断し、10〔分〕が経過すると、値V1を設定速度Vsとして設定する。
したがって、第1の定着部としての加熱ローラ35及び第2の定着部としての加圧ローラ40に用紙が巻き付いたり、第1の温度検出部としての、かつ、ローラ温度検出部としての非接触サーミスタ37、及び第2の温度検出部としての、かつ、フレーム温度検出部としての補償用サーミスタ38に接触不良、断線等が発生したときに、定着が行われた用紙に不具合が発生したりするのを防止することができる。
なお、用紙の厚さWが28〔lb〕以上である場合、印刷速度が低くなるように、設定速度Vsがあらかじめ低く設定され、記憶装置70に記録されている。したがって、定着時に十分な熱を用紙に供給することができるので、たとえ、気温tが16〔℃〕より低くても、設定速度Vsを変更する必要はない。
このように、本実施の形態においては、プリンタ11の電源がオンにされた場合、パワーセーブが解除された場合等において、定着器28が冷えた状態で直ちに印刷動作を開始しようとしたときに、補償用サーミスタ38によって検出されたフレーム温度Tambに基づいて、印刷速度の設定温度Vsが切り換えられるので、用紙の端部で定着不足が発生することがなくなり、画像品位を向上させることができる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 電源をオンにする。
ステップS12 気温tが16〔℃〕より低いかどうかを判断する。気温tが16〔℃〕より低い場合はステップS18に、気温tが16〔℃〕以上である場合はステップS13に進む。
ステップS13 用紙の厚さWが28〔lb〕未満であるかどうかを判断する。用紙の厚さWが28〔lb〕未満である場合はステップS14に、用紙の厚さWが28〔lb〕以上である場合はステップS18に進む。
ステップS14 フレーム温度Tambが閾値Tth1より高いかどうかを判断する。フレーム温度Tambが閾値Tth1より高い場合はステップS18に、フレーム温度Tambが閾値Tth1以下である場合はステップS15に進む。
ステップS15 ヒータ36を制御し、タイマをオンにする。
ステップS16 ヒータ36の制御が開始されてから10分以上が経過したかどうかを判断する。ヒータ36の制御が開始されてから10分以上が経過した場合はステップS17に、経過していない場合はステップS18に進む。
ステップS17 値V1を設定速度Vsとして設定し、ステップS14に戻る。
ステップS18 値V2を設定速度Vsとして設定し、処理を終了する。
図15は本発明の第2の実施の形態における定着器制御装置の動作を示すタイムチャートである。なお、図において、横軸にプリンタ11(図2)の電源をオンにしてからの経過時間を、縦軸に設定速度Vs、加圧ローラ40の表面温度Tp及びフレーム温度Tambを採ってある。
図において、Ln21は設定速度Vsを示す線、Ln22は加圧ローラ40の表面温度Tpを示す線、Ln23はフレーム温度Tambを示す線である。
ところで、気温tが16〔℃〕より低く、用紙の厚さWが28〔1b〕未満であり、かつ、フレーム温度Tambが閾値Tth1(60〔℃〕)以下である場合、前記速度制御処理手段は、図に示されるように、値V2を設定速度Vsとして設定し、印刷動作を行う。そして、この状態で印刷動作が繰り返された場合、又はパワーセーブに移行しない状態で放置された場合、フレーム温度Tambは次第に高くなり、前記閾値Tth1以上になる。このとき、機構制御部53(図1)は、設定速度Vsを値V2から値V1に変更する。
本実施の形態においては、設定速度Vsを値V1と値V2とで切り換えるようになっているが、複数の値Vj(j=1、2、…)で切り換えることができる。
また、本実施の形態においては、設定速度Vsを値V1と値V2とで切り換えるようになっているが、設定速度Vsに加えて設定温度Tsを値T1と値T2とで切り換えることができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図16は本発明の第3の実施の形態における設定温度と逆カール量との関係図である。なお、図において、横軸に第2の定着部としての加圧ローラ40(図2)の表面温度Tpを、縦軸に印刷後の用紙に発生した逆カール量を採ってある。
この場合、第1の定着部としての加熱ローラ35の表面温度Tncと加圧ローラ40の表面温度Tpとの温度差によって発生する用紙の湾曲度を表す逆カール量の変化を表す。プロットされた点及び近似曲線は、加熱ローラ35の表面温度Tncを表す。
図から分かるように、加熱ローラ35の表面温度Tncが高く、温度差が大きいほど逆カール量は大きく、一方、温度差が小さいほど逆カール量は小さい。
そこで、第1、第2の実施の形態を組み合わせて、フレーム温度Tambが閾値Tth1より低い場合、設定速度Vsの値V1を値V2にして遅くする。設定速度Vsを低くすることによって、設定温度Tsを低くしても、用紙の端部で定着不足が発生することがなくなり、画像品位を向上させることができる。
このようにして、加熱ローラ35の表面温度Tncと加圧ローラ40の表面温度Tpとの温度差を小さくすることができ、その結果、印刷を開始した初期の逆カール量を小さくすることができる。
前記各実施の形態においては、画像形成装置としてのプリンタ11について説明したが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。