JP2008249174A - 塗布物の製造装置および製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 わずかな乾燥ムラの発生をも抑制しながら少なくとも自然乾燥よりも乾燥速度を早く維持できる面性も生産性も向上できる塗布膜の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】 塗布装置の塗布部から乾燥炉の搬入口までの塗布膜搬送距離が0.2m以上〜0.8m以下の範囲にあり、乾燥炉内の圧力と乾燥炉外の圧力との差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲とする。また、天板と底板との距離を10mm以上〜100mm以下の範囲とし、天板と塗布膜との天板側間隙の高さL1と、底板と基材との底板側間隙の高さL2と、の関係が高さL1≦高さL2である。
【選択図】 図1

Description

本発明は塗布物の製造装置および製造方法に関するものである。特に、塗布液に有機溶剤を含み膜厚精度として誤差1%以下の膜厚ムラが製品上欠陥として認識される光学フィルム等の製造において使用される。
近年ウェットコーティング技術を利用して製造される光学フィルム製品には、膜厚精度として誤差1%以下を要求されるような製品が増えてきている。そのような光学フィルムの製造では、一般的に塗布液の溶媒として有機溶剤を使用することが多いが、有機溶剤は水に比べると蒸発速度が速く、塗布後の乾燥過程において精密に乾燥しないと、風紋のようなムラを生じせしめることが知られている。
従来は塗布膜の乾燥効率を上げることを目的とする技術が多く、例えば特許文献1には走行する基材の両面に熱風を当てる方法が提案されているが、この方法では熱風を塗布膜面に当てるためムラが発生し、高い膜厚精度を要求される製品では用いることができない。
一方で、精密な塗膜の形成のために乾燥効率よりも精密に乾燥することに重きをおいた技術も提案されている。例えば、特許文献2では乾燥初期に膜面の乾燥風の風速を低くすることが提案されている。
また、特許文献3では乾燥時の雰囲気溶剤濃度を飽和状態にして極力乾燥速度を抑えることで結果的に精密な乾燥を行なうことも提案されている。
しかし、これらの方法は乾燥速度を遅くすることでムラのない面状を達成しようとするものであり、生産性が落ちるという欠点が存在する。
そこで、少しでも乾燥速度を上げるために蒸発した溶剤を効率的に除去しながら乾燥する方法として、特許文献4では走行する基材を囲み基材搬送部と溶剤除去部に分割して蒸発した溶剤を溶剤除去部の横風で常に除去しながら乾燥する方法が提案されている。この方法は基材搬送部を基材近傍に狭く区切っていることが特徴である。
また、特許文献5では横風で除去するのではなく、凝縮板に蒸発した溶剤を凝縮させて除去する方法が提案されている。
また、乾燥速度を上げるために乾燥風を整流化しながら横風を直接走行する基材に当てる方法も提案されている。しかし、例えば特許文献6に記載の方法では、特に乾燥初期の塗液粘度が1.5倍まで上昇するまでは風を当てないことを前提としており、乾燥速度を飛躍的に向上させることはできない。
これらの方法は、乾燥速度を大気中に放置したいわゆる自然乾燥の乾燥速度よりも上げることができず、飛躍的な生産性の向上ができないことが問題になる。
特開2002−59074号公報 特開2003−126768号公報 特開2002−320898号公報 特開2003−93954号公報 特表2002−515585号公報 特開2005−81256号公報
本発明における課題は、わずかな乾燥ムラの発生を抑制しながら少なくとも自然乾燥よりも乾燥速度を早く維持でき、面性と生産性を向上することができる塗布物の製造装置および製造方法を提供することである。
請求項1に記載の発明は、搬送中の帯状の基材に有機溶剤を含む塗布液を塗布し塗布膜を形成する塗布装置と、前記基材に形成した塗布膜を搬送しながら乾燥する乾燥装置とを有する塗布物の製造装置において、
前記乾燥装置は、少なくとも
天板と、底板と、右側板と、左側板と、前記塗布膜が搬入され、かつ、前記塗布装置の塗布部からの塗布膜搬送距離が0.2m以上〜0.8m以下の範囲にある搬入口と、前記塗布膜を搬出する搬出口と、を有する乾燥炉と、
前記乾燥炉内へ空気を給気する給気手段と、
前記乾燥炉内の空気を排気する排気手段と、
前記乾燥炉内の圧力を測定する内圧力測定手段と、
前記乾燥炉外の圧力を測定する外圧力測定手段と、
前記内圧力測定手段により測定した乾燥炉内の圧力と前記外圧力測定手段により測定した乾燥炉外の圧力との差圧を計算する内外差圧計算手段と、
前記内外差圧計算手段により計算された差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲になるように、前記給気手段が乾燥炉内へ給気する空気の給気量、または、前記排気手段が乾燥炉外へ排気する空気の排気量、または、給気量と排気量の両方を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする塗布物の製造装置である。
請求項2に記載の発明は、前記天板と底板との間隙が10mm以上〜100mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の塗布物の製造装置である。
請求項3に記載の発明は、前記基材の塗布膜を形成した側に設置された乾燥炉の天板と、
前記天板と前記塗布膜との天板側間隙の高さL1と、
前記基材の塗布膜を形成した側とは反対側に設置された乾燥炉の底板と、
前記底板と前記基材との底板側間隙の高さL2と、
を有し、
高さL1と高さL2が高さL1≦高さL2の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載の塗布物の製造装置である。
請求項4に記載の発明は、前記乾燥炉の右側板または左側板のいずれかに配置された給気口と、
前記給気口を介して空気を給気する給気手段と、
前記給気口と対向する前記乾燥炉の左側板または右側板のいずれかに配置された排気口と、
前記排気口を介して空気を排気する排気手段と、
を有し、
前記給気手段、または、前記排気手段、または、給気手段と排気手段の両方を用いて乾燥炉内に発生させる空気の流れが、前記乾燥炉の間隙L1と間隙L2の両方に流れる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗布物の製造装置である。
請求項5に記載の発明は、前記給気口と前記排気口の開口部の高さが前記天板と底板との間隙とほぼ一致していることを特徴とする請求項4に記載の塗布物の製造装置である。
請求項6に記載の発明は、前記乾燥炉は塗布膜の搬送方向に複数の乾燥ゾーンに分割されてなり、
各乾燥ゾーン内へ空気を給気する給気手段と、
各乾燥ゾーン内の空気を排気する排気手段と、
各乾燥ゾーン内の圧力を測定する内圧力測定手段と、
隣接する乾燥ゾーン内の圧力の差圧を計算するゾーン間差圧計算手段と、
前記ゾーン間差圧計算手段により計算された差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲になるように、前記給気手段が各乾燥ゾーン内へ給気する空気の給気量、または、前記排気手段が各乾燥ゾーン外へ排気する空気の排気量、または、給気量と排気量の両方を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の塗布物の製造装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の製造装置を用いて形成したことを特徴とする光学フィルムである。
請求項8に記載の発明は、搬送中の帯状の基材に有機溶剤を含む塗布液を塗布し塗布膜を形成する塗布工程と、次に前記基材に形成した塗布膜を乾燥炉内で搬送しながら乾燥する乾燥工程とを有する塗布物の製造方法において、
前記乾燥炉は、天板と、底板と、右側板と、左側板と、前記塗布膜を搬入する搬入口と、前記塗布膜を搬出する搬出口と、を有し、
前記搬送中の帯状の基材に有機溶剤を含む塗布液を塗布し塗布膜を形成する塗布工程と、
次に前記基材に塗布液を塗布し塗布膜を形成した位置から0.2m以上〜0.8m以下の範囲に配置された前記乾燥炉の搬入口へ塗布膜を搬送する搬送工程と、
次に前記乾燥炉の搬入口から塗布膜を搬入する搬入工程と、
次に前記乾燥炉内へ空気を給気する給気手段と、
前記乾燥炉内の空気を排気する排気手段と、
前記乾燥炉内の圧力を測定する内圧力測定手段と、
前記乾燥炉外の圧力を測定する外圧力測定手段と、
前記内圧力測定手段により測定した乾燥炉内の圧力と前記外圧力測定手段により測定した乾燥炉外の圧力との差圧を計算する内外差圧計算手段と、
前記内外差圧計算手段により計算された差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲になるように、前記給気手段が乾燥炉内へ給気する空気の給気量、または、前記排気手段が乾燥炉外へ排気する空気の排気量、または、給気量と排気量の両方を制御する制御手段と、
を有し、前記基材に形成した塗布膜を乾燥炉内で搬送しながら乾燥する乾燥工程と、
次に前記乾燥炉の搬出口から塗布膜を搬出する搬出工程と、
を有することを特徴とする塗布物の製造方法である。
請求項9に記載の発明は、前記天板と底板との間隙が10mm以上〜100mm以下の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の塗布物の製造方法である。
前記基材の塗布膜を形成した側に設置された乾燥炉の天板と、
前記天板と前記塗布膜との天板側間隙の高さL1と、
前記基材の塗布膜を形成した側とは反対側に設置された乾燥炉の底板と、
前記底板と前記基材との底板側間隙の高さL2と、
を有し、
高さL1と高さL2が高さL1≦高さL2の関係を満たすことを特徴とする請求項9に記載の塗布物の製造方法である。
請求項11に記載の発明は、前記乾燥炉の右側板または左側板のいずれかに配置された給気口と、
前記給気口を介して空気を給気する給気手段と、
前記給気口と対向する前記乾燥炉の左側板または右側板のいずれかに配置された排気口と、
前記排気口を介して空気を排気する排気手段と、
を有し、
前記給気手段、または、前記排気手段、または、給気手段と排気手段の両方を用いて乾燥炉内に発生させる空気の流れが、前記乾燥炉の間隙L1と間隙L2の両方に流れる
ことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の塗布物の製造方法である。
請求項12に記載の発明は、前記給気口と前記排気口の開口部の高さが前記天板と底板との間隙とほぼ一致していることを特徴とする請求項11に記載の塗布物の製造方法である。
請求項13に記載の発明は、前記乾燥炉は前記塗布膜の搬送方向に複数の乾燥ゾーンに分割されてなり、
各乾燥ゾーン内へ空気を給気する給気手段と、各乾燥ゾーン内の空気を排気する排気手段と、各乾燥ゾーン内の圧力を測定する内圧力測定手段と、隣接する乾燥ゾーン内の圧力の差圧を計算するゾーン間差圧計算手段と、を有し、
前記ゾーン間差圧計算手段により計算された差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲になるように、給気手段が各乾燥ゾーン内へ給気する空気の給気量、または、排気手段が各乾燥ゾーン内から排気する空気の排気量、または、その両方を制御手段で制御し、かつ、前記基材に形成した塗布膜を各乾燥ゾーン内で搬送しながら乾燥することを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の塗布物の製造方法である。
請求項14に記載の発明は、請求項8〜13のいずれかに記載の製造方法を用いて形成したことを特徴とする光学フィルムである。
本発明における塗布物の製造装置および製造方法を使用することにより、わずかな乾燥ムラの発生をも抑制しながら少なくとも自然乾燥よりも乾燥速度を早く維持でき、面性と生産性を向上することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明における塗布物の製造装置を側面から見たときの側面概略図である。塗布装置1aの塗布部1bにおいて基材9a上に塗布膜が塗布される。塗布膜が形成された基材9aは乾燥装置2に搬送される。乾燥装置2は、搬入口3および搬出口4を有し基材9aを囲む筒型の乾燥炉5と、乾燥炉5の側面に設置された給気口6aと、図示していないが給気口6aと対向する位置に設置された排気口6bと、図示していないが給気口6aを介して乾燥炉5内へ空気を給気する給気手段と、同じく図示していないが排気口6bを介して乾燥炉5内から空気を排気する排気手段と、乾燥炉5内の圧力を測定する内圧力測定手段7aと、乾燥炉5外の圧力を測定する外圧力測定手段7bと、図示していないが内圧力測定手段7aにより測定した乾燥炉5内の圧力と外圧力測定手段7bにより測定した乾燥炉5外の圧力との差圧を計算する内外差圧計算手段と、図示していないが内外差圧計算手段により計算された差圧をもとに、給気手段が乾燥炉5内へ給気する空気の給気量、または、排気手段が乾燥炉5外へ排気する空気の排気量、または、その両方を制御する制御手段から構成されている。
基材9aに形成された塗布膜は、搬入口3から乾燥炉5内へ搬入され、搬出口4から乾燥炉5外へ搬出される。ここでは、給気口6aと給気口6aと対向する位置に設置された排気口6bが4つずつ設置されており、内圧力測定手段7aが搬入口3および搬出口4付近に1つずつ設置されており、外圧力測定手段7bが搬入口3付近に設置されているが、これは本発明の一実施形態を表したものであり、これに限定されるものではない。
図2は、図1に示された乾燥装置のA−A’断面概略図である。乾燥炉5の右側板に給気口の開口部14を有する給気口6aが設置されており、乾燥炉5の左側板の給気口6aと対向する位置に排気口の開口部15を有する排気口6bが設置されている。本発明では、給気口6aから給気手段を用いて乾燥炉5内へ空気を給気し、排気口6bから排気手段を用いて乾燥炉5内から空気を排気している。つまり、給気口6aから排気口6bに向かって、基材9aの搬送方向に対し垂直の方向に空気の流れ17を発生させている。図1および図2では、基材9aの搬送方向に向って右側から左側に空気の流れ17が発生しているが、これは本発明の一実施形態を表したものであり、基材9aの搬送方向に向って左側から右側に空気の流れが発生していてもよい。つまり、乾燥炉5の左側板に給気口が設置されており、乾燥炉5の右側板の給気口と対向する位置に排気口が設置されていてもよい。
本発明における塗布装置1aは、グラビア、ワイヤーバー、ダイ等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明における乾燥装置2は、塗布装置1aの塗布部1bから塗布膜搬送距離8で0.2m以上〜0.8m以下の範囲に設置されている。ここで塗布膜搬送距離8とは、塗布部1bと搬入口3との直線距離ではなく、搬送される基材9aに沿った長さのことを指している。基材9aの搬送速度は制約事項ではないが、20m/min以上〜100m/min以下程度の一般的な速度を有する乾燥装置2を用いている。塗布膜搬送距離8が0.8mより離れると自然に乾燥していく領域が無視できなくなり、自然乾燥によるムラが生じるため好ましくない。また、0.2m未満であると基材9aを搬入する搬入口3において外気を遮断してしまうため好ましくない。
乾燥炉5は、基材9を囲む筒型の形状をしており、基材9aを搬入する搬入口3と、基材9aを搬出し搬入口3に対向して設置された搬出口4と、基材9aの塗布膜9bを形成した側に設置された天板12と、基材9aを挟んで天板12と対向して設置された底板13と、基材9aの搬送方向に向って右側であり、基材9aの幅方向に設置された右側板と、右側板と対向して設置された左側板とで構成されている。ここで、搬送される基材9aに対し、重力方向上面側に塗布膜9bが形成されているか、下面側に塗布膜9bが形成されているかは関係ない。
搬入口3および搬出口4は開口形状を呈しており、それは、乾燥炉5内を密閉する構造が好ましくないためである。特に、搬入口3が開口形状であるのは基材9aを搬入する搬入口3において外気を遮断するような構造が好ましくないためである。
本発明における給気手段と排気手段としては、一般的にブロアが用いられるが、給気量および排気量を調節できるものであればブロアに限定されるものではない。
本発明における内圧力測定手段7aと外圧力測定手段7bとしては、乾燥炉5内の圧力と乾燥炉5外の圧力を測定できるものであればよく、特に制約すべき事項ではないが、内圧力測定手段7aにより測定した乾燥炉5内の圧力と、外圧力測定手段7bにより測定した乾燥炉5外の圧力から、その差圧を−2Pa以上〜2Pa以下の範囲に制御するため、その差を把握できる分解能は必要となる。
本発明における内外差圧計算手段としては、マノスターゲージなどのアナログ表示するものからデジタル差圧計などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。ただし、内圧力測定手段7aにより測定された乾燥炉5内の圧力と、外圧力測定手段7bにより測定された乾燥炉5外の圧力との差圧を−2Pa以上〜2Pa以下の範囲に制御するため、その差を把握できる分解能は必要となる。
本発明における制御手段としては、内外差圧計算手段により計算された差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲になるように、給気手段により乾燥炉5内へ給気される空気の給気量と排気手段により乾燥炉5内から排気される空気の排気量を制御することができるものであればよく、特に制約すべき事項ではない。
基材9aが搬入口3から乾燥炉5内へ搬入されるとき、搬入口3から乾燥炉5内へ外気が入り込み、これによりムラが発生する。乾燥炉5内の圧力と乾燥炉5外の圧力との差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲であると、搬入口3から入り込む外気の風速が適切な範囲に低減できるためムラが発生しない。
ただし、内圧力測定手段7aと外圧力測定手段7bは、塗布開始前の圧力測定に使用するものであり、内外差圧計算手段は、塗布開始前の乾燥炉5内の圧力と乾燥炉5外の圧力との差圧測定に使用するものである。本発明でいう差圧は塗布開始前の乾燥炉5内と乾燥炉5外の圧力の差をいう。また、制御手段は、塗布開始前の給気量、または、排気量、または、その両方の制御に使用するものである。
塗布中は塗布室への入退室などにより乾燥装置2外の気圧の変動は避けられない。その変動の都度、制御手段を用い、乾燥炉5内へ給気される空気の給気量と乾燥炉5内から排気される空気の排気量を変更していたのでは、逆に乾燥装置2内の気流が乱れムラを発生させる原因となる。そのため、塗布開始前の静的な圧力測定用として内圧力測定手段7aと外圧力測定手段7bは使用され、塗布開始前の静的な差圧計算用として内外差圧計算手段は使用され、塗布開始前の静的な給気量、または、排気量、または、その両方の制御用として制御手段は使用される。しかし、圧力測定時、差圧計算時、給気量と排気量の制御時に基材9を搬送させていても停止させていてもよい。
本発明における天板と底板との距離11は、天板12と底板13との基材面に対し垂直方向の距離を示している。給気口6aにおける給気量と排気口6bにおける排気量を少なく保ち、かつ、乾燥速度を速めるために、ある程度空気の流れ17が発生する空間を制約する必要がある。そこで天板と底板との距離11は10mm以上〜100mm以下の範囲が好ましい。10mm未満では基材9aが搬送されたときに天板12または底板13への接触などトラブルの原因となるため好ましくない。また、100mmより高くすると乾燥速度を速めるために給気量と排気量を増加させる必要があり、給気手段および排気手段の増設やエネルギーコストの増加などコスト面の問題があり好ましくない。
乾燥炉5の右側板に設置した給気口と左側板に設置した排気口の開口部の高さは、給気口の開口部14と排気口の開口部15の基材面に対し垂直方向の口径を示している。ここで、天板と底板との距離11と給気口と排気口の開口部の高さ16がほぼ一致していることが好ましい。こうすることで、給気口6aと排気口6b間に発生する空気の流れ17が、乾燥炉5の天板12と底板13との間に一様に発生し、基材9aの塗布膜9bを形成した側と基材9aの塗布膜9bを形成した側とは反対側に空気の流れ17が発生する。これにより、基材9aを搬送する高さにブレが生じにくくなり、安定性が確保されてムラ発生を防止することができる。
基材9aの塗布膜9bを形成した側と基材9aの塗布膜9bを形成した側とは反対側のどちらか一方にのみ空気の流れを発生させようとすると、基材9aの搬送する高さを厳密に定めなければならない。しかし、現実的には基材9aを搬送すると基材9aを搬送する高さにブレが生じるため、ムラ発生の原因となる。
なお、給気口6aと排気口6b間に発生する空気の流れ17を、より安定して発生させるために、給気口6aにおける給気量と排気口6bにおける排気量を一致させることが好ましい。
さらに、給気量と排気量を管理することが好ましい。基材9aに形成した塗布膜9bと天板12との天板側間隙の高さL1と基材9aと底板13との底板側間隙の高さL2でその量を管理することができる。このとき、高さL1と高さL2が高さL1≦高さL2の関係になっていることが好ましい。天板と底板との距離11が10〜100mmの範囲であり、かつ、高さL1≦高さL2の関係を満たすとき、最も面性と生産性を向上することができる。
また、給気口6aおよび排気口6bは乾燥炉5の全長に対して一箇所以上設けられるべきであるが、その制御を容易にするためにある程度の長さで乾燥炉5を分割することがより好ましい。ここで、分割された一つの乾燥炉を一つの乾燥ゾーンと呼ぶ。各乾燥ゾーンは筒型であり、隣接する各乾燥ゾーンは直線的に配置されていても、屈折して配置されていてもよい。また、各乾燥ゾーンは、給気手段と、排気手段と、各乾燥ゾーン内の圧力を測定する内圧力測定手段と、隣接する各乾燥ゾーン内の差圧を計算するゾーン間差圧計算手段と、ゾーン間差圧計算手段により計算された差圧により給気量、または、排気量、または、その両方を制御する制御手段とをそれぞれ備えている。
図3は、本発明における乾燥装置を側面から見たときの側面概略図である。基材9aに形成された塗布膜9bは、搬入口3から乾燥炉5内へ搬入され、搬出口4から乾燥炉5外へ搬出される。乾燥炉5は4つの乾燥ゾーン18が直線的に配置されたものであり、各乾燥ゾーン18には、給気口6aと給気口6aと対向する位置に設置され図示されていない排気口6bが1つずつ設置されており、図示していないが給気口6aを介して乾燥ゾーン18内へ空気を給気する給気手段と、同じく図示していないが排気口6bを介して乾燥ゾーン18内から空気を排気する排気手段とが1つずつ設置されている。また、内圧力測定手段7aが各乾燥ゾーン18内に1つずつ設置されており、外圧力測定手段7bが搬入口3付近に設置されている。これは本発明の一実施形態を表したものであり、これに限定されるものではない。
このとき、隣接する乾燥ゾーン18内の圧力の差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲であることが好ましい。基材9aが隣接する各乾燥ゾーン18内を搬送されるとき、基材9aの搬送方向に気流が発生し、これによりムラが発生する。隣接する乾燥ゾーン18内の圧力の差圧を−2Pa以上〜2Pa以下の範囲にすることで、このムラの原因となる気流の風速を適切な範囲に低減することができるため、ムラを抑制することができる。
乾燥装置2の長さ(基材の搬送方向)は特に制約すべき事項ではない。乾燥装置2の長さは塗布膜が乾燥するかどうかで決定されるものであり、製品によって異なるものである。ただし、本発明では、5m以上〜100m以下程度の一般的な長さの乾燥装置2を用いている。
本発明における乾燥装置2は、わずかな乾燥ムラの発生をも抑制しながら少なくとも自然乾燥よりも乾燥速度を早く維持することができるため、その効果が最も現れるのは乾燥初期である。乾燥装置の全長すべてが本発明の乾燥装置2によるものではなく、搬入口3を含む乾燥初期段階のみに本発明の乾燥装置2を導入することも可能である。その場合、図1に示すように、前半部に第一乾燥装置として本発明の乾燥装置2を導入し、後半部に第二乾燥装置10として公知の乾燥装置を導入してもよい。
第二乾燥装置10としては、スリットノズルやパンチングメタルから基材に形成された塗布膜に温度を上昇させた噴流を当てるような方式を導入しても良いし、クイックリターン方式のノズルや基材の搬送方向に平行流を流す方式のノズルから熱風を噴出する方式でも良い。また、片面だけでなく両面から加熱手段を設けても良い。市販されているいかなる乾燥装置を使用しても本発明の効果をさまたげるものではない。
さらに、図1には本発明の乾燥装置2と公知の第二乾燥装置10をそれぞれの装置として独立させる場合を示しているが、一つの乾燥装置の中で、前半部が本発明の乾燥装置による方式をとり、後半部が公知の乾燥装置に基づく方式をとる場合でも本発明の効果は変わらない。
本発明の塗布物の製造装置および製造方法は、様々な製品に対して用いることができるが、特に有機溶剤を溶媒とする分散物の塗布に対して効果がある。その中でも近年需要が伸びている光学フィルムのようなこれまで以上にムラに対する許容余地の少ない製品に効果的である。
ここで、光学フィルムとは主に液晶やプラズマディスプレイなどの表示装置の最表面またはその内側に使用されるフィルムであり、ハードコートフィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルム、光学補償フィルム、光拡散フィルムなどが挙げられる。
また、本発明に用いられる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール・ブチルカルビトール等のグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタン・オクタン等の脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、1種、または、2種類以上の混合物として用いてよいが、これらに限定されるものではない。
本発明の塗布液に用いられるバインダーとしては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等が挙げられ、電離放射線硬化性樹脂等には光重合開始剤が含まれる。
電離放射線硬化性樹脂としては、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタンアクリレート樹脂等が挙げられる。またこれらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
光重合開始剤としては、活性エネルギー線が照射された際にラジカルを発生するものであればよく、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。光重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化単量体10〜80質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、1〜7質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましくい。
本発明に用いられる基材9としては、用途によって様々なものを使用することができる。基材9を構成する成分としては、例えば、アセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フルイム、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系フィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、基材9は、単層からなっていても複数層からなっていてもよい。なお、基材9の厚さは一般的に10〜500μmのものが用いられる。
<実施例1>
以下のようにして、基材上に防眩性フィルムを形成した。
平均粒子径3.0μmのシリカ粒子を4.2wt%、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製)36.0wt%、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)1.8wt%、溶媒としてトルエン34.8wt%、ジオキソラン23.2wt%を混合させたものを塗布液として調製した。調製した粘度は3.0mPasであった。
次に連続的に搬送される帯状の基材として1340mm幅、膜厚80μmのトリアセチルセルロース(TAC)基材を用い、エクストルージョン方式のダイヘッドで塗布液を塗布し、乾燥、紫外線硬化の工程を経て基材上に湿潤膜厚8.5μmとなるように1310mmの塗布幅で50m/minの搬送速度で塗布して、防眩性フィルムを作成した。
乾燥装置は、天板と底板との距離が17mm、給気口と排気口の開口部の高さが17mm、高さL1が7mm、高さL2が10mmであった。乾燥炉の搬入口と塗布部は塗布膜搬送距離で0.2mの距離に設置され、搬入口付近の乾燥炉内外の差圧は0±1Paの範囲に収まるように内部のブロアの回転数を制御した。本発明の乾燥装置の長さは10mであり、その後スリットノズルから熱風を噴出する長さ5mの乾燥装置を設置した。
<実施例2>
乾燥炉の搬入口と塗布部との塗布膜搬送距離が0.5mであること以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<実施例3>
乾燥炉の搬入口と塗布部との塗布膜搬送距離が0.7mであること以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<実施例4>
搬入口付近の乾燥炉内外の差圧は0±1.5Paの範囲に収まるように内部のブロアの回転数を制御したこと以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<実施例5>
天板と底板との距離が30mm、給気口と排気口の開口部の高さが30mm、高さL1が15mm、高さL2が15mmであること以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<実施例6>
天板と底板との距離が87mm、給気口と排気口の開口部の高さが87mm、高さL1が42mm、高さL2が45mmであること以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<比較例1>
乾燥炉の搬入口と塗布部との塗布膜搬送距離が0.1mであること以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<比較例2>
乾燥炉の搬入口と塗布部との塗布膜搬送距離が0.9mであること以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<比較例3>
搬入口付近の乾燥炉内外の差圧は0±3Paの範囲に収まるように内部のブロアの回転数を制御したこと以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<比較例4>
天板と底板との距離が127mm、給気口と排気口の開口部の高さが127mm、高さL1が60mm、高さL2が67mmであること以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<比較例5>
天板と底板との距離が17mm、給気口と排気口の開口部の高さが17mm、高さL1が10mm、高さL2が7mmであること以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<比較例6>
天板と底板との距離が7mm、給気口と排気口の開口部の高さが7mm、高さL1が3mm、高さL2が4mmであること以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<比較例7>
図4に示すように、給気口と排気口の開口部の高さ14が13mmであること以外は、実施例1と同様に乾燥装置を設置し、防眩性フィルムを形成した。
<評価>
2mの長さに長手方向を切断した防眩性フィルムを蛍光灯にかざしながら表面の面状を検査し、明確に不均一な面状を生じてムラとして認識できるものが存在しているものは×とし、僅かにムラとして認識できるものは△とし、全く存在していないものを○とした。結果を表1に示す。
Figure 2008249174
実施例1〜3で○であったものが、比較例1、2では×となった。これより、本発明の乾燥装置の設置は塗布部から乾燥炉の搬入口までの塗布膜搬送距離が0.2m以上〜0.8m以下の範囲であることが必要であるとわかる。
また、実施例1、4で○であったものが、比較例3では×となった。これより、本発明の乾燥炉内外の差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲であることが必要であるとわかる。
次に、実施例1、実施例5、実施例6で○であったものが、比較例4〜7では△となった。これより、天板と底板との距離は10mm以上〜100mm以下であり、高さL1≦高さL2の関係を満たすことが好ましいとわかる。また、天板と底板との距離と給気口と排気口の開口部の高さをほぼ一致させることが好ましいとわかる。
本発明の塗布膜の製造装置を側面から見たときの側面概略図。 図1に示された乾燥装置の断面概略図。 本発明の乾燥装置を側面から見たときの側面概略図。 比較例6の乾燥装置の断面概略図。
符号の説明
1a 塗布装置
1b 塗布部
2 乾燥装置
3 搬入口
4 搬出口
5 乾燥炉
6a 給気口
6b 排気口
7a 内圧力測定手段
7b 外圧力測定手段
8 塗布膜搬送距離
9a 基材
9b 塗布膜
10 第二乾燥装置
11 天板と底板との距離
12 天板
13 底板
14 給気口の開口部
15 排気口の開口部
16 給気口と排気口の開口部の高さ
17 空気の流れ
18 乾燥ゾーン

Claims (14)

  1. 搬送中の帯状の基材に有機溶剤を含む塗布液を塗布し塗布膜を形成する塗布装置と、前記基材に形成した塗布膜を搬送しながら乾燥する乾燥装置とを有する塗布物の製造装置において、
    前記乾燥装置は、少なくとも
    天板と、底板と、右側板と、左側板と、前記塗布膜を搬入し、かつ、前記塗布装置の塗布部からの塗布膜搬送距離が0.2m以上〜0.8m以下の範囲にある搬入口と、前記塗布膜を搬出する搬出口と、を有する乾燥炉と、
    前記乾燥炉内へ空気を給気する給気手段と、
    前記乾燥炉内の空気を排気する排気手段と、
    前記乾燥炉内の圧力を測定する内圧力測定手段と、
    前記乾燥炉外の圧力を測定する外圧力測定手段と、
    前記内圧力測定手段により測定した乾燥炉内の圧力と前記外圧力測定手段により測定した乾燥炉外の圧力との差圧を計算する内外差圧計算手段と、
    前記内外差圧計算手段により計算された差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲になるように、前記給気手段が乾燥炉内へ給気する空気の給気量、または、前記排気手段が乾燥炉内から排気する空気の排気量、または、その両方を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする塗布物の製造装置。
  2. 前記天板と底板との距離が10mm以上〜100mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の塗布物の製造装置。
  3. 前記基材の塗布膜を形成した側に設置された乾燥炉の天板と、
    前記天板と前記塗布膜との天板側間隙の高さL1と、
    前記基材の塗布膜を形成した側とは反対側に設置された乾燥炉の底板と、
    前記底板と前記基材との底板側間隙の高さL2と、
    を有し、
    高さL1と高さL2が高さL1≦高さL2の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載の塗布物の製造装置。
  4. 前記乾燥炉の右側板または左側板のいずれかに配置された給気口と、
    前記給気口を介して乾燥炉内に空気を給気する給気手段と、
    前記給気口と対向する前記乾燥炉の左側板または右側板のいずれかに配置された排気口と、
    前記排気口を介して乾燥炉内から空気を排気する排気手段と、
    を有し、
    前記給気手段、または、排気手段、または、その両方を用いて乾燥炉内に発生させる空気の流れが、前記乾燥炉の天板側間隙と底板側間隙の両方に流れる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗布物の製造装置。
  5. 前記給気口と前記排気口の開口部の高さが前記天板と底板との距離とほぼ一致していることを特徴とする請求項4に記載の塗布物の製造装置。
  6. 前記乾燥炉は塗布膜の搬送方向に複数の乾燥ゾーンに分割されてなり、
    各乾燥ゾーン内へ空気を給気する給気手段と、
    各乾燥ゾーン内の空気を排気する排気手段と、
    各乾燥ゾーン内の圧力を測定する内圧力測定手段と、
    隣接する乾燥ゾーン内の圧力の差圧を計算するゾーン間差圧計算手段と、
    前記ゾーン間差圧計算手段により計算された差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲になるように、前記給気手段が各乾燥ゾーン内へ給気する空気の給気量、または、前記排気手段が各乾燥ゾーン内から排気する空気の排気量、または、その両方を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の塗布物の製造装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造装置を用いて形成したことを特徴とする光学フィルム。
  8. 搬送中の帯状の基材に有機溶剤を含む塗布液を塗布し塗布膜を形成する塗布工程と、次に、前記基材に形成した塗布膜を乾燥炉内で搬送しながら乾燥する乾燥工程とを有する塗布物の製造方法において、
    前記乾燥炉は、天板と、底板と、右側板と、左側板と、前記塗布膜を搬入する搬入口と、前記塗布膜を搬出する搬出口と、を有し、
    前記搬送中の帯状の基材に有機溶剤を含む塗布液を塗布し塗布膜を形成する塗布工程と、
    次に、前記基材に塗布液を塗布し塗布膜を形成した位置から0.2m以上〜0.8m以下の範囲に配置された前記乾燥炉の搬入口へ塗布膜を搬送する搬送工程と、
    次に、前記乾燥炉の搬入口から塗布膜を搬入する搬入工程と、
    次に、前記乾燥炉内へ空気を給気する給気手段と、乾燥炉内の空気を排気する排気手段と、乾燥炉内の圧力を測定する内圧力測定手段と、乾燥炉外の圧力を測定する外圧力測定手段と、内圧力測定手段により測定した乾燥炉内の圧力と前記外圧力測定手段により測定した乾燥炉外の圧力との差圧を計算する内外差圧計算手段と、を有し、内外差圧計算手段により計算された差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲になるように、給気手段が乾燥炉内へ給気する空気の給気量、または、排気手段が乾燥炉内から排気する空気の排気量、または、その両方を制御手段で制御し、かつ、前記基材に形成した塗布膜を乾燥炉内で搬送しながら乾燥する乾燥工程と、
    次に、前記乾燥炉の搬出口から塗布膜を搬出する搬出工程と、
    を有することを特徴とする塗布物の製造方法。
  9. 前記天板と底板との距離が10mm以上〜100mm以下の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の塗布物の製造方法。
  10. 前記基材の塗布膜を形成した側に設置された乾燥炉の天板と、
    前記天板と前記塗布膜との天板側間隙の高さL1と、
    前記基材の塗布膜を形成した側とは反対側に設置された乾燥炉の底板と、
    前記底板と前記基材との底板側間隙の高さL2と、
    を有し、
    高さL1と高さL2が高さL1≦高さL2の関係を満たすことを特徴とする請求項9に記載の塗布物の製造方法。
  11. 前記乾燥炉の右側板または左側板のいずれかに配置された給気口と、
    前記給気口を介して乾燥炉内に空気を給気する給気手段と、
    前記給気口と対向する前記乾燥炉の左側板または右側板のいずれかに配置された排気口と、
    前記排気口を介して乾燥炉内から空気を排気する排気手段と、
    を有し、
    前記給気手段、または、排気手段、または、その両方を用いて乾燥炉内に発生させる空気の流れが、前記乾燥炉の天板側間隙と底板側間隙の両方に流れる
    ことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の塗布物の製造方法。
  12. 前記給気口と前記排気口の開口部の高さが前記天板と底板との距離とほぼ一致していることを特徴とする請求項11に記載の塗布物の製造方法。
  13. 前記乾燥炉は前記塗布膜の搬送方向に複数の乾燥ゾーンに分割されてなり、
    各乾燥ゾーン内へ空気を給気する給気手段と、各乾燥ゾーン内の空気を排気する排気手段と、各乾燥ゾーン内の圧力を測定する内圧力測定手段と、隣接する乾燥ゾーン内の圧力の差圧を計算するゾーン間差圧計算手段と、を有し、
    前記ゾーン間差圧計算手段により計算された差圧が−2Pa以上〜2Pa以下の範囲になるように、給気手段が各乾燥ゾーン内へ給気する空気の給気量、または、排気手段が各乾燥ゾーン内から排気する空気の排気量、または、その両方を制御手段で制御し、かつ、前記基材に形成した塗布膜を各乾燥ゾーン内で搬送しながら乾燥することを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の塗布物の製造方法。
  14. 請求項8〜13のいずれかに記載の製造方法を用いて形成したことを特徴とする光学フィルム。
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