JP2008247637A - 炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 苛性化工程を利用して、白液分離性及び洗浄性が良好で、かつ粉砕性に優れた、製紙用顔料としての利用に適した安価な炭酸カルシウムを得る。
【解決手段】 硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において炭酸カルシウムを製造する際に、原料として(i)前記苛性化工程で発生した生石灰及び前記工程外から導入した生石灰との混合物又は前記工程外から導入した生石灰単独であって、
(ii)前記工程外から導入した生石灰の配合比率が生石灰の全配合重量の50重量%以上であって、
(iii)前記工程外から導入した生石灰の下記のB型粘度の測定方法:
6メッシュ篩パスの生石灰の粉体100gを25℃、400mLの水に投入、攪拌して300秒後に測定、
によるB型粘度が10〜800(m・Pa・s)である、生石灰を使用する。これに対して前記苛性化工程で発生し、及び/又は前記工程外から導入し、白液を製造するに必要な所定量の緑液を添加混合し、反応温度30〜105℃にて苛性化反応を行い、製紙用顔料としての利用に適した炭酸カルシウムを得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は炭酸カルシウムの製造方法に関する。更に詳しくはパルプ製造工程の苛性化工程を利用して、白液分離性及び洗浄性が良好で、かつ粉砕性に優れた、製紙用顔料としての利用に適した安価な炭酸カルシウムを得るための方法に関するものである。
近年、高白色度、高不透明度、高光沢度を有する高品位な軽量塗工紙の需要が高い。これらの要求に応えるために高品質軽量塗工紙の塗工顔料には、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどの無機顔料以外に、高価な二酸化チタンやプラスチックピグメントなどが配合される。
塗工用顔料に用いられる炭酸カルシウムは非常に安価であり、塗料中の配合率を高くすることで塗工紙の白色度や不透明度を向上できるが、白紙光沢度が著しく低下する。このため、高配合化するためには、白紙光沢度発現性を向上させるために、湿式粉砕により小粒径化するのが一般的である。しかし、小粒径化するには分散剤の添加量を増やし、長時間粉砕しなくてはならないため、顔料製造コストが高くなる。
炭酸カルシウムは製紙用のほか、ゴム、プラスチック、ペイント、シーリング剤、粘着剤、肥料等、工業用原料として重要で、天然の石灰石を乾式或いは湿式で機械粉砕して得られる重質炭酸カルシウムと、化学的方法によって得られる沈降性炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)がある。
[苛性化工程]
このひとつとして、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程で、生石灰を水または弱液で消和した後、緑液で苛性化反応することによって製造(苛性化法)される苛性化軽質炭酸カルシウムが挙げられる。
硫酸塩法又はソーダ法によるパルプ製造工程では、木材から繊維素を単離するために水酸化ナトリウムや硫化ナトリウムを溶解した白液を用いて高温、高圧下で蒸解する。繊維素は固相として分離精製してパルプとし、蒸解廃液(黒液)は濃縮燃焼する。その際、木材からの溶出成分は熱源として回収し、薬液中の無機物は炭酸ナトリウム又は硫化ソーダとの混合物を主成分とするスメルトとして回収する。スメルトは弱液と呼ぶ白液成分が一部溶解した炭酸カルシウム洗浄液に溶解して緑液とする。
[反応式]
この緑液と生石灰を混合して、[1][2]式で示す消和反応と苛性化反応により、炭酸ナトリウムを蒸解薬液に有用な水酸化ナトリウムに転換し、白液を得ると同時に炭酸カルシウムが副生する。従来のパルプ工場では緑液と生石灰をスレーカーと呼ばれる反応槽で混合する為、実際にはこの二段の反応はかなり重複して進行し、消和反応と苛性化反応はほとんど同時に起こる。
CaO + HO → Ca(OH) [1]
Ca(OH) + NaCO → CaCO + 2NaOH [2]
[苛性化工程で製造される炭酸カルシウム]
ここで生成する炭酸カルシウムは、主生産物である白液を製造する際の副産物であるため、塗工用顔料として使用した場合、非常に低コストで利用できる。また、ここで生成する炭酸カルシウムは、通常その一部あるいは全部がロータリーキルンと呼ばれる焼成炉で脱炭酸されて再び生石灰となり、上記苛性化反応に再利用される。このように上記循環サイクルに戻す炭酸カルシウムの割合を適宜小さくし、それに応じて苛性化反応に利用する生石灰を上記循環サイクル外より新たに導入し、この割合を大きくすることにより、主生産物である白液の製造量を保ちながら、炭酸カルシウムの安価な塗工用顔料としての使用量を増やすことができる。また、キルンで焼成する炭酸カルシウムの量を減らすことができ、キルンにおけるエネルギー使用量や炭酸ガス排出量を削減することもできる。

しかし、このように上記循環サイクル外より新たに導入する生石灰の割合の拡大を図ると、新たな問題が生じた。
すなわち、天然の石灰石を焼成して得られる生石灰は、苛性化反応で生成する炭酸カルシウムをキルンで焼成して得られる生石灰よりも反応性は高く、生成する炭酸カルシウムの分離性は悪いと言われている(非特許文献1、非特許文献2)。すると、得られる炭酸カルシウムは一般にろ過器等の設備で白液と分離されるが、この際のろ過性が低下するために分離性・洗浄性が悪化し、得られる白液の量が減少したり、塗工用顔料として利用する炭酸カルシウムの分離洗浄性が悪化したり、顔料として利用するための高濃度化に支障が生じたりすることがあった。
HANSON C. AND THELIANDER H., Nordic Pulp and Paper Research Journal, 3: 161-166 (1994). HANSON C. AND THELIANDER H., Nordic Pulp and Paper Research Journal, 4: 226-231 (1994). さらに、上記循環サイクル外より新たに導入する生石灰の割合の拡大を図ると、得られる炭酸カルシウムを塗工用顔料として利用する場合の製造コストが増大するという問題も見出された。すなわち、苛性化反応で生成する炭酸カルシウムは、反応条件を特別に制御しない場合は一般に粒子径が大きな不定形のカルサイト結晶で、塗工用顔料として利用するには粉砕により小粒径化する必要がある。ところが、この炭酸カルシウムの粉砕性が悪化し、塗工用顔料として利用する場合の製造コストが増大するという問題が生じた。
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を克服し、生成後の白液分離性・洗浄性、および粉砕性が良好な、安価な塗工用顔料としての苛性化工程で製造される炭酸カルシウムを得る方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(i)前記苛性化工程で発生した生石灰及び前記工程外から導入した生石灰との混合物又は前記工程外から導入した生石灰単独であって、
(ii)前記工程外から導入した生石灰の配合比率が生石灰の全配合重量の50重量%以上であって、
(iii)前記工程外から導入した生石灰の下記のB型粘度の測定方法:
6メッシュ篩パスの生石灰の粉体100gを25℃、400mLの水に投入、攪拌して300秒後に測定、
によるB型粘度が10〜800(m・Pa・s)である、
前記生石灰を用いれば、この生石灰の配合量を全生石灰の50〜100重量%まで拡大しても、ろ過性および粉砕性のどちらも良好な苛性化工程で製造された炭酸カルシウムが得られるという、驚くべき効果を発見し本発明を完成するに至った。
さらにまた、本発明者らは、前記B型粘度を10〜800(m・Pa・s)の範囲で変化させ、かつ、工程外から導入した生石灰の配合比率が生石灰の全配合重量の50重量%以上で変化させた場合、
下記の浸漬熱の測定方法:
(約2mL容のアンプルに測定試料100〜200mgを採取し、このアンプルを105℃、1時間加熱しながら脱気・乾燥後、封減した後にマイクロカロリーメーターに装着する。アンプルを25℃、25mLの水にしばらく浸漬して安定させ、アンプルを破壊棒で割り、試料を水に浸漬させた際の発熱量を測定する。)
により測定した浸漬熱(J/g)を比表面積(m/g)で割った値が0.30〜1.00(J/m)である、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程から得られる、不定形のカルサイト結晶の炭酸カルシウムが製造されること発見し本発明を完成するに至った。
本発明によれば、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において、白液分離性・洗浄性、および粉砕性に優れる塗工用顔料に適した安価な苛性化工程で製造される炭酸カルシウムを多量に得ることができるようになる。
本発明では、苛性化工程で発生した炭酸カルシウムをキルン等の焼成炉で脱炭酸して得た生石灰、および外部から供給する生石灰を混合したものが使用できる。
[混合比率]
混合比率は任意であるが、得られた炭酸カルシウムをなるべく多く循環サイクル外に抜き取り塗工用顔料として利用することを目的とした場合、循環サイクルの規模にもよるが、外部から供給する生石灰の割合が50%以上であることが望ましい。この割合が大きいほどキルン操業の低減および、塗工用顔料としての炭酸カルシウムの生産量の拡大が可能になる。この割合は100%でも良く、この場合はキルンの停止も可能となり、苛性化工程全体での大きなコストダウンとなる。
[炭酸カルシウムの焼成]
本発明で使用する苛性化工程で発生した炭酸カルシウム由来の生石灰は、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において、炭酸ナトリウムを水酸化ナトリウムに転化する際に生成する炭酸カルシウムを焼成したものであればよい。なお、その際の焼成装置に関しては、ベッケンバッハ炉、メルツ炉、ロータリーキルン、国井式炉、KHD(カーハーディー)炉、コマ式炉、カルマチック炉、流動焼成炉、混合焼き立炉等、炭酸カルシウムを生石灰(酸化カルシウム)に転化する装置であれば特に制限されない。
[外部供給の生石灰]
本発明で使用する外部から供給する生石灰は、粉体(6メッシュ篩パス)100gを25℃、400mLの水に投入、攪拌して300秒後に測定したB型粘度が10〜800(m・Pa・s)であるようなものが好ましい。以下に述べるように白液分離性および洗浄性、粉砕性に優れる塗工用顔料に適した安価な苛性化工程で製造される炭酸カルシウムを得るためにはこの条件を満たす生石灰を使用することが重要であるが、この条件を満たすものであれば特に制限されることはない。
[生石灰の粒度]
生石灰の粒度に関しては特に制限はないが、平均粒度0.01mm〜10cm、好ましくは0.01mm〜10mmのものが消和時の攪拌において均一混合という面で好適である。粒度が0.01mm以下の場合は粉砕のためのコストがかかると同時に、粉塵の発生や移送装置でのトラブルの原因となり好ましくない。
[緑液]
本発明において用いる緑液としては、トータルアルカリ濃度で80〜160g/L(Na2O換算:以下同様)、好ましくは100〜150g/Lで行う必要がある。80g/Lより低い場合は最終白液の濃度が下がる為、蒸解に使用する際に濃度調節を行う必要が出てくる。一方、160g/Lより高い場合は、苛性化する前の緑液中で炭酸ナトリウム等の結晶が生成し易くなって工程でトラブル発生の原因となる等の理由により、好ましくない。
[生石灰への緑液添加速度]
生石灰と緑液の混合方法は、生石灰に対する緑液の添加速度を0.02〜50cc(緑液)/min/g(生石灰)、好ましくは0.02〜30cc(緑液)/min/g(生石灰)で行う。0.02cc(緑液)/min/g(生石灰)より小さい添加速度では、生産性が劣り現実的でなく、また一方50cc(緑液)/min/g(生石灰)より大きい添加速度は、非常に容量の大きいポンプが必要となり現実的でない。
[混合機]
消和時における生石灰と緑液との混合には、一般的な攪拌羽根式、ポンプ式、押し出し機類、捏和機類、混練機類の中から、混合時の液あるいはスラリーの粘度にあわせて適宜選定して使用すれば良い(昭和63年3月18日丸善株式会社発行、化学工学便覧参照)。
[反応温度]
消和および苛性化時の温度については、反応温度が30〜105℃で行う必要がある。105℃より高くする場合には、消和装置や苛性化槽で沸騰点を超えるため、加圧型の消和装置や苛性化装置等を必要とするため不経済である。
一方30℃より低い場合には反応速度が極端に遅くなる為、容積の大きな苛性化槽を必要とする。さらに、反応前の緑液の冷却工程に大型の冷却装置が必要になり、又白液を高温の蒸解に使用するには白液の加熱が必要で、経費がかさみ不経済である。
[白液分離装置]
白液と炭酸カルシウムの分離、及び炭酸カルシウムに同伴する白液成分の洗浄除去方法は、通常の固液分離装置、例えばクラリファイヤーによる重力沈降分離方式、オリバーフィルターに代表される減圧濾過分離方式、及びリーフ濾過機に代表される加圧濾過分離方式、遠心力を利用した遠心濾過方式等、要件が達成できれば何れの分離装置も利用できる。
[分離特性]
これらの分離装置における炭酸カルシウムの分離特性は、一般的に炭酸カルシウムの粒子径や比表面積が重要な因子である。しかし本発明では、得られる炭酸カルシウムの粒子径や比表面積だけでなく、表面性状が非常に重要な因子であることを見出した。
[先行技術文献]
すなわち、軽質炭酸カルシウムの表層には水酸化カルシウムの層が存在することが指摘されている(非特許文献3:S. Pankasemら)。この水酸化カルシウムの存在量の多少が軽質炭酸カルシウムに物理吸着する水の多少に影響し、ひいては軽質炭酸カルシウムの分離特性にも影響すると考えられた。また、上記軽質炭酸カルシウム表層の水酸化カルシウム存在量の多少は、試料の浸漬熱量を調べることで間接的に定量することが可能である(非特許文献4:「炭酸カルシウムの加熱による表面性状の変化」)。
[浸漬熱とろ過性]
そこで炭酸カルシウムのろ過性と浸漬熱量の関係を調べたところ、浸漬熱量の大きな炭酸カルシウムはろ過性が悪いという関係を見出した。この点が本発明の大きな特徴である。
PANKASEM S. AND THOMAS J. K., Journal of Colloid and Interface Science, 126, 231-238 (1988). 藤 正督ら, 無機マテリアル, 4, 330-336 (1997).[粉砕機]一方、分離回収した炭酸カルシウムの粒径は、一般に粒子径の大きな不定形カルサイト結晶であるため、そのままでは塗工用顔料として使用するには充分な品質が得られない場合が多い。従って、目的とする品質要求に応じて平均粒子径を0.2〜10μmに調整する事が望ましい。粒径の調整はサンドミルに代表される媒体攪拌型粉砕機、ボールミル粉砕機、等の粉砕機が利用できる。[浸漬熱と粉砕性] 本発明では、得られる炭酸カルシウムの浸漬熱が粉砕性の指標にも成り得ることを見出した。すなわち、既に述べたように炭酸カルシウムの浸漬熱の大小は物理吸着水の多少を反映しており、物理吸着水が多いと粉砕工程において炭酸カルシウム粒子がメディアや他粒子との接触が生じ難くなり、粉砕性が低下する。従い、浸漬熱の大きい炭酸カルシウムは粉砕性が悪く、塗工用顔料として用いるには不経済である。
以上の様な苛性化反応条件下に生成した炭酸カルシウムは、塗工用顔料としての優れた品質ばかりでなく、主生産物である白液が工業的規模で生産が可能になる為、軽質炭酸カルシウムを安価に提供できる。
[メカニズム]
本発明のメカニズムについては充分に解明されてはいないが、現象論的には原料となる生石灰の活性の指標の一つである、粉体(6メッシュ篩パス)100gを25℃、400mLの水に投入、攪拌して300秒後に測定したB型粘度が、生成する炭酸カルシウムのろ過性および粉砕性に影響すること、ろ過性および粉砕性に劣る炭酸カルシウムはその浸漬熱が高いことを確認している。
この現象から推察すると、原料とする生石灰の消和後のB型粘度、すなわち活性が高いと、生成する炭酸カルシウムの表層の水酸化カルシウム存在量が多くなり、ろ過や粉砕の際の物理吸着水の量が増え、ろ過性および粉砕性を悪化させる。
以下に本発明を実施例および比較例をあげてより詳細に説明するが、当然ながら、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
[試験法]
アルカリの測定:TAPPI 624hm−85、あるいはこれに準じて測定した。
生石灰の消和発熱温度:25℃、400mLの水に、6メッシュ残が出ないレベルまで粉砕した生石灰試料100gを投入、攪拌して、30秒後、180秒後の消和発熱温度を測定した(それぞれ△30、△180)。
生石灰スラリーのB型粘度:上記消和発熱温度測定試験で300秒経過後の石灰乳のB型粘度(東京計器社製)を測定した。
本発明の実施例・比較例で使用した生石灰の性状を表1に示した。なお、生石灰Aは日本製紙株式会社A工場の苛性化工程で製造されたものであり、粉砕後に6メッシュの篩でスクリーン処理したものを使用した。その他の生石灰はB社にて異なる焼成度で製造し、100メッシュの篩でスクリーン処理したものを使用した。
[実施例1]5Lの4ツ口フラスコ容器(以下の実施例・比較例についても同じ容器使用)中に、85℃、3Lの緑液(組成:NaCO =110g/L、NaS=34g/L、NaOH=6g/L。いずれもNaO換算値で、以下の実施例・比較例について同じ)を用意し、112gの生石灰Aと112gの生石灰Bの混合物を投入した(生石灰の重量比:生石灰A/生石灰B=50/50)。生石灰投入後、スラリーを直径80mmの汎用攪拌羽根で400rpmで攪拌し、90℃で1時間反応させた。得られた炭酸カルシウムは濾液pHが9.2となるまで濾過・洗浄後、以下に述べる方法で平均粒子径、比表面積、浸漬熱、ろ過性、粉砕性を評価した。
平均粒子径の測定:マスターサイザー2000(マルバーン社製)を用いて、重量累積分布の50%点を平均粒子径として算出した。
生成炭酸カルシウムの比表面積:窒素吸着法(マイクロメリティックス・ジェミニ2360;島津)で測定した。
生成炭酸カルシウムの浸漬熱:約2mL容のアンプルに測定試料100〜200mgを採取し、このアンプルを105℃、1時間加熱しながら脱気・乾燥後、封減した後にマイクロカロリーメーター(東京理工(株)製双子型伝導熱量計)に装着した。アンプルを25℃、25mLの水にしばらく浸漬して安定させ、アンプルを破壊棒で割り、試料を水に浸漬させた際の発熱量を測定した。この方法により測定した浸漬熱(J/g)を比表面積(m2/g)で除して、面積当たりの浸漬熱(J/m2)を求めた。
ろ過性の評価:下記の装置・方法にてケーキ比抵抗を求めた。この値は『1mの濾過面積に1kgのケーキが生成した時、粘度1kg/m/secの液体を1m/secで濾過するのに必要な圧力差』で、値が大きい程ろ過性が悪く、分離性・洗浄性が悪い。
装置:定圧式スラリー評価装置(IKABUST JT-F;中央化工機)
試料:約20mLスラリー(濃度10%)
減圧度:0.4MPa
ろ過面積:9.62cm
生成炭酸カルシウムの粉砕性評価:得られた炭酸カルシウムにポリアクリル酸系分散剤を1.0重量部と水を一括添加し、濃度73重量%に調製した。この炭酸カルシウムスラリー540gを6筒式サンドグラインダ6TSG−1/4(アイメックス(株)製)を用いて湿式粉砕した。メディアとして直径1.5〜2.0mmガラスピーズを480g使用し、ローター回転数を2300rpmとして120分間粉砕し、平均粒子径と、25℃に温度調整後のB型粘度を測定した。

[実施例2]
使用する生石灰を56gの生石灰Aと168gの生石灰Bの混合物とした(生石灰の重量比:生石灰A/生石灰B=25/75)以外は、実施例1と同様に行った。

[実施例3]
使用する生石灰を224gの生石灰Bとした以外は、実施例1と同様に行った。

[実施例4]
使用する生石灰を112gの生石灰Aと112gの生石灰Cの混合物とした(生石灰の重量比:生石灰A/生石灰C=50/50)以外は、実施例1と同様に行った。

[実施例5]
使用する生石灰を56gの生石灰Aと168gの生石灰Cの混合物とした(生石灰の重量比:生石灰A/生石灰C=25/75)以外は、実施例1と同様に行った。

[実施例6]
使用する生石灰を224gの生石灰Cとした以外は、実施例1と同様に行った。

[実施例7]
使用する生石灰を112gの生石灰Aと112gの生石灰Dの混合物とした(生石灰の重量比:生石灰A/生石灰D=50/50)以外は、実施例1と同様に行った。

[実施例8]
使用する生石灰を56gの生石灰Aと168gの生石灰Dの混合物とした(生石灰の重量比:生石灰A/生石灰C=25/75)以外は、実施例1と同様に行行った。

[実施例9]
使用する生石灰を224gの生石灰Dとした以外は、実施例1と同様に行った。

[比較例1]
使用する生石灰を224gの生石灰Aとした以外は、実施例1と同様に行った。

[比較例2]
使用する生石灰を168gの生石灰Aと56gの生石灰Bの混合物とした(生石灰の重量比:生石灰A/生石灰B=75/25)以外は、実施例1と同様に行った。

[比較例3]
使用する生石灰を112gの生石灰Aと112gの生石灰Eの混合物とした(生石灰の重量比:生石灰A/生石灰E=50/50)以外は、実施例1と同様に行った。

[比較例4]
使用する生石灰を56gの生石灰Aと168gの生石灰Eの混合物とした(生石灰の重量比:生石灰A/生石灰E=25/75)以外は、実施例1と同様に行った。

[比較例5]
使用する生石灰を224gの生石灰Eとした以外は、実施例1と同様に行った。
[試験結果]
表1および表2に示されるように、B型粘度が10〜800(m・Pa・s)であるような生石灰B、C、Dを用い、これらを苛性化工程で製造された生石灰Aとの重量比50:50、75:25、または100:0で混合したものを用いて緑液を添加混合して得られた炭酸カルシウム(実施例1〜9)は、浸漬熱/比表面積が0.3〜1.0(J/m)の範囲にあり、ろ過性の指標であるケーキ比抵抗は苛性化工程で使用される生石灰Aと比較して極端に大きくなる(ろ過性が悪くなる)ことはなかった。また、粉砕性の指標である粉砕後の平均粒子径は0.6〜0.8μmの範囲にあり、生石灰Aのみを用いた場合よりもむしろ小さかった(粉砕性が良かった)。粘度も600〜800(m・Pa・s)の範囲にあり、極端に粘度が上昇することはなかった。
一方、苛性化工程で使用される生石灰Aのみに緑液を添加混合して得られた炭酸カルシウム(比較例1)や生石灰Bを生石灰Aとの重量比75:25で混合したものを用いて緑液を添加混合して得られた炭酸カルシウム(比較例2)は、浸漬熱/比表面積が小さく、ケーキ比抵抗も小さかった。また粉砕後の粘度も低かったが、粒子径が粉砕前で14μm程度、粉砕後も0.9μm以上となり、粉砕性が実施例よりも劣った。
また、B型粘度が800(m・Pa・s)を超えるような生石灰Eを用い、これらを苛性化工程で製造された生石灰Aとの重量比50:50、75:25、または100:0で混合したものを用いて緑液を添加混合して得られた炭酸カルシウム(比較例2〜4)は、粒子径、比表面積ともに実施例1〜9と大きな違いはなかったが、浸漬熱が1.0(J/m)を超え、ケーキ比抵抗が実施例1〜9よりも大幅に増加した(ろ過性が悪くなった)。また、粒子径が小さいにも関わらず、粉砕後の粒子径が1.0μm前後と大きくなり、粘度が1000(m・Pa・s)以上に上昇した(粉砕性が悪かった)。
Figure 2008247637
Figure 2008247637
Figure 2008247637

Claims (2)

  1. 下記の浸漬熱の測定方法:
    (約2mL容のアンプルに測定試料100〜200mgを採取し、このアンプルを105℃、1時間加熱しながら脱気・乾燥後、封減した後にマイクロカロリーメーターに装着する。アンプルを25℃、25mLの水にしばらく浸漬して安定させ、アンプルを破壊棒で割り、試料を水に浸漬させた際の発熱量を測定する。)
    により測定した浸漬熱(J/g)を比表面積(m/g)で割った値が0.30〜1.00(J/m)である、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程から得られる、不定形のカルサイト結晶の炭酸カルシウム。
  2. 硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において炭酸カルシウムを製造する方法であって、
    (i)前記苛性化工程で発生した生石灰及び前記工程外から導入した生石灰との混合物又は前記工程外から導入した生石灰単独であって、
    (ii)前記工程外から導入した生石灰の配合比率が生石灰の全配合重量の50重量%以上であって、
    (iii)前記工程外から導入した生石灰の下記のB型粘度の測定方法:
    6メッシュ篩パスの生石灰の粉体100gを25℃、400mLの水に投入、攪拌して300秒後に測定、
    によるB型粘度が10〜800(m・Pa・s)である、
    前記生石灰に対して、前記苛性化工程で発生し、及び/又は前記工程外から導入し、白液を製造するに必要な所定量の緑液を添加し混合し、反応温度30〜105℃にて苛性化反応を行う苛性化工程からなる、請求項1記載の炭酸カルシウムの製造方法。
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