JP2008245623A - 改変フィブロインを生産する遺伝子改変カイコ - Google Patents
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Abstract
【課題】 遺伝子改変カイコの後部絹糸腺細胞において、フィブロイン軽鎖遺伝子の発現を抑制して、フィブロイン軽鎖含量が少ないことを特徴とする改変フィブロインを分泌するための新規な手段を提供する。
【解決手段】 フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能が欠損した遺伝子改変カイコから、フィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロインを得る。フィブロイン軽鎖遺伝子の発現は、例えば、当該遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAのカイコ部ゲノムへの導入による。また、この遺伝子改変カイコで組換えタンパク質を大量に発現させる。
【選択図】図1
【解決手段】 フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能が欠損した遺伝子改変カイコから、フィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロインを得る。フィブロイン軽鎖遺伝子の発現は、例えば、当該遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAのカイコ部ゲノムへの導入による。また、この遺伝子改変カイコで組換えタンパク質を大量に発現させる。
【選択図】図1
Description
この出願の発明は、フィブロイン軽鎖サブユニット含量の少ない改変フィブロインを生産する遺伝子改変カイコに関するものである。さらに詳しくは、このカイコが生産する改変フィブロイン、および生分解性が高い改変フィブロイン、さらに、これらの改変フィブロインの製造方法に関するものである。また、さらに、この出願の発明は、フィブロイン軽鎖が少なく、かつ、組換えタンパク質を含むフィブロインを生産する遺伝子改変カイコ、および、このカイコが生産するフィブロイン、フィブロインから組換えタンパク質を回収する組換えタンパク質の製造方法に関するものである。
フィブロインはカイコが産生する絹糸の主成分であり、350 kDaのフィブロイン重鎖、28 kDaのフィブロイン軽鎖、25 kDaのフィブロヘキサメリンの3種類のサブユニットから構成される複合タンパク質である。フィブロイン1分子はフィブロイン重鎖6分子、フィブロイン軽鎖6分子、フィブロヘキサメリン1分子から構成される。このうち、フィブロイン重鎖1分子とフィブロイン軽鎖1分子は1つのジスルフィド結合を介して会合する。各サブユニットはそれぞれ固有の遺伝子にコードされている。幼虫終令に後部絹糸腺においてこれら遺伝子は活性化して転写、翻訳される。これにより合成されたサブユニットは会合したのちに、細胞外に分泌され、吐出されて絹糸を形成し、繭の構築に預かる(非特許文献1)。
繭を原料として製造される絹糸は衣料原材料として広く用いられるほか、その高い物理的強度および優れた生体適合性のため外科手術において縫合糸として利用されている。しかしながら、カイコ絹糸は生分解性が低いために、縫合糸としては抜糸が必要であるという欠点を有する。また、絹製品のリサイクルが効率よく行われない。さらに絹糸が生分解性を備えれば、生分解性素材として新規用途が考案される可能性がある。
この出願の発明者らは、カイコが有するフィブロインの合成能力に着目し、フィブロインの一部として大量の組換えタンパク質を繭中に分泌する形質転換カイコ(遺伝子改変カイコ)の開発を行ってきた。外来遺伝子を導入した遺伝子改変カイコの作出については、鱗翅目昆虫Trichoplusia niに由来するDNA型トランスポゾンであるpiggyBacを組み込んだプラスミドベクターをカイコ卵に微量注射する方法が確立されている(非特許文献2)。この遺伝子導入法を用い、絹タンパク質遺伝子プロモーターの下流に連結したヒト・コラーゲンcDNAをカイコに組み込み、組換えヒト・コラーゲンを繭または絹糸腺内のタンパク質の一部として産生する遺伝子改変カイコを開発し(非特許文献2)、また特許出願している(特許文献1−3)。また、この発明の出願者らは、後部絹糸腺で、フィブロインと生理活性タンパク質の融合タンパク質遺伝子を発現させることにより、絹糸の中心に存在するフィブロインの中に、フィブロインと生理活性タンパク質の融合タンパク質を発現させ、カイコが産生する絹タンパク質と前記融合タンパク質を主成分とする生理活性バイオマテリアルを開発し(非特許文献3)、特許出願している(特許文献4)。
さらに、この出願の発明者らは、繭中の組換えタンパク質含有量を向上させるために、高い転写活性を有するフィブロイン重鎖遺伝子に着目し、その上流域から遺伝子の転写活性を促進する最小領域としてのポリヌクレオチドを特定し、外来遺伝子の発現を促進するポリヌクレオチドを提案し(非特許文献4−5)、特許出願している(特願文献5)。後部絹糸腺でフィブロイン軽鎖と生理活性タンパク質の融合タンパク質遺伝子より発現する組換えタンパク質の分泌が内在性のフィブロイン軽鎖と競合することから、内在性のフィブロイン軽鎖の発現を抑制することにより、さらに外来遺伝子の発現を促進するポリヌクレオチドの効果が高まると考えられる。フィブロイン重鎖と会合できない異常なフィブロイン軽鎖を発現する突然変異体Nd-sDに組換えタンパク質を発現させる方法を考案し(非特許文献6)、特許出願している(特許文献6)。この方法ではフィブロインあたりの組換えタンパク質量は増加したものの、繭あたりのフィブロイン量が野生型に比べて抑制されることから、組換えタンパク質増産には検討の余地が残されている。
特開2001-161214号公報
特開2002-315580号公報
特開2004-016144号公報
特開2006-016323号公報
特開2004-344123号公報
特開2004-135528号公報
Inoue, S. et al., Journal of Biological Chemistry. 275, 40517-40528, 2000
Tomita, M. et al., Nature Biotechnology. 21, 52-56, 2003
第25回 日本分子生物学会年回 プログラム・講演要旨集、2002年11月25日、2P-1588
第26回日本分子生物学会 プログラム・講演要旨集、2003年11月25日、2PC-174
第27回 日本分子生物学会年回 プログラム・講演要旨集、2004年11月25日、3PB-531
第27回 日本分子生物学会年回 プログラム・講演要旨集、2004年11月25日、3PB-533
前記したように、絹糸は衣料原材料として広く用いられるほか、その高い物理的強度および優れた生体適合性のため外科手術において縫合糸として利用されている。しかしながら、カイコ絹糸は生分解性が低いために、縫合糸としては抜糸が必要であるという欠点を有する。また、絹製品のリサイクル利用の妨げとなっている。さらに絹糸が生分解性を備えれば、生分解性素材として新規用途が考案される可能性がある。絹糸タンパク質フィブロインは複合タンパク質であって、サブユニットの構成を変更することにより、フィブロインの性質を改変することができると考えられた。
前記したように遺伝子改変カイコの後部絹糸腺で組換えタンパク質を発現し、絹糸のフィブロインの中に組換えタンパク質を分泌させる方法が開発されている。また、後部絹糸腺で組換えタンパク質を効率良く発現させるためのポリヌクレオチドも発明されている。しかしながら、これら、組換えタンパク質を効率良く発現させるために開発されたポリヌクレオチドは、組換えタンパク質遺伝子からmRNAを効率良く転写させるためのプロモーターやエンハンサー、または、プロモーターやエンハンサーに作用する転写制御因子の遺伝子であり、あるいは翻訳を促進させるための配列であり、組換えタンパク質遺伝子から組換えタンパク質の合成反応の促進のみに着目して開発されている。有用な組換えタンパク質を安価に大量に生産するためには、如何にして組換えタンパク質を細胞外に効率良く分泌させるかが鍵となる。従って、遺伝子の転写や翻訳反応のみに着目した開発だけでは、発現量を最大限に増加させることは困難である。そこで、組換えタンパク質の細胞外への分泌を促進するための方法も開発する必要があると考えられる。
この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、遺伝子改変カイコの後部絹糸腺細胞において、フィブロイン軽鎖遺伝子の発現を抑制して、フィブロイン軽鎖含量が少ないことを特徴とする改変フィブロインを分泌するための新規な手段、および組換えタンパク質の分泌を促進するための新規な手段を提供することを課題としている。
この出願は、前記の課題を解決する発明として、以下の(1)〜(12)の発明を提供する。
(1) フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能が欠損させられており、フィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロインを産生することを特徴とする遺伝子改変カイコ。
(2) フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAをゲノム中に有し、前記DNAから転写されたRNA分子によりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制されている前記発明(1)の遺伝子改変カイコ。
(3) RNA分子をコードするDNAが、フィブロイン軽鎖遺伝子から転写されるmRNAのいずれかの領域のセンスRNAと実質的に同一の塩基配列からなるセンスコードDNAと、このセンスコードDNAと相補的なアンチセンスコードDNAとが、リンカーを介して対向するように連結されたDNAであり、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAである、前記発明(2)の遺伝子改変カイコ。
(4) 前記発明(1)に記載の遺伝子改変カイコから得られ、フィブロイン軽鎖含量が少ないことを特徴とする改変フィブロイン。
(5) 生分解性が高いことを特徴とする前記発明(4)の改変フィブロイン。
(6) 前記発明(4)または(5)記載の改変フィブロインを製造する方法であって、前記発明(1)記載の遺伝子改変カイコが産生する絹糸から改変フィブロインを回収する工程を含む方法。
(7) フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能を欠損させる遺伝子改変に加え、フィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチド(A)と、組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド(B)とが機能的に連結されている融合ポリヌクレオチドをゲノム中に保有し、前記融合タンパク質を後部絹糸腺で発現することを特徴とする前記発明(1)の遺伝子改変カイコ。
(8) フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAに加え、フィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチドであり、かつ、前記RNA分子によってフィブロイン軽鎖の発現が抑制されないポリヌクレオチド(A)と、組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド(B)とが機能的に連結されている融合ポリヌクレオチドをゲノム中に保有し、前記融合タンパク質を後部絹糸腺で発現することを特徴とする前記発明(2)または(3)の遺伝子改変カイコ。
(9) ポリヌクレオチド(A)が、配列番号1または2に記載した塩基配列からなるポリヌクレオチドである前記発明(8)の遺伝子改変カイコ。
(10) 前記発明(7)から(9)のいずれかに記載の遺伝子改変カイコから得られた組換えタンパク質含有フィブロイン。
(11) 前記発明(10)記載の組換えタンパク質含有フィブロインを製造する方法であって、前記発明(7)から(9)のいずれかに記載の遺伝子改変カイコが産生する絹糸から組換えタンパク質含有フィブロインを回収する工程を含む方法。
(12) 前記発明(10)記載の組換えタンパク質含有フィブロインから組換えタンパク質を回収する工程を含む組換えタンパク質の製造方法。
(1) フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能が欠損させられており、フィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロインを産生することを特徴とする遺伝子改変カイコ。
(2) フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAをゲノム中に有し、前記DNAから転写されたRNA分子によりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制されている前記発明(1)の遺伝子改変カイコ。
(3) RNA分子をコードするDNAが、フィブロイン軽鎖遺伝子から転写されるmRNAのいずれかの領域のセンスRNAと実質的に同一の塩基配列からなるセンスコードDNAと、このセンスコードDNAと相補的なアンチセンスコードDNAとが、リンカーを介して対向するように連結されたDNAであり、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAである、前記発明(2)の遺伝子改変カイコ。
(4) 前記発明(1)に記載の遺伝子改変カイコから得られ、フィブロイン軽鎖含量が少ないことを特徴とする改変フィブロイン。
(5) 生分解性が高いことを特徴とする前記発明(4)の改変フィブロイン。
(6) 前記発明(4)または(5)記載の改変フィブロインを製造する方法であって、前記発明(1)記載の遺伝子改変カイコが産生する絹糸から改変フィブロインを回収する工程を含む方法。
(7) フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能を欠損させる遺伝子改変に加え、フィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチド(A)と、組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド(B)とが機能的に連結されている融合ポリヌクレオチドをゲノム中に保有し、前記融合タンパク質を後部絹糸腺で発現することを特徴とする前記発明(1)の遺伝子改変カイコ。
(8) フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAに加え、フィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチドであり、かつ、前記RNA分子によってフィブロイン軽鎖の発現が抑制されないポリヌクレオチド(A)と、組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド(B)とが機能的に連結されている融合ポリヌクレオチドをゲノム中に保有し、前記融合タンパク質を後部絹糸腺で発現することを特徴とする前記発明(2)または(3)の遺伝子改変カイコ。
(9) ポリヌクレオチド(A)が、配列番号1または2に記載した塩基配列からなるポリヌクレオチドである前記発明(8)の遺伝子改変カイコ。
(10) 前記発明(7)から(9)のいずれかに記載の遺伝子改変カイコから得られた組換えタンパク質含有フィブロイン。
(11) 前記発明(10)記載の組換えタンパク質含有フィブロインを製造する方法であって、前記発明(7)から(9)のいずれかに記載の遺伝子改変カイコが産生する絹糸から組換えタンパク質含有フィブロインを回収する工程を含む方法。
(12) 前記発明(10)記載の組換えタンパク質含有フィブロインから組換えタンパク質を回収する工程を含む組換えタンパク質の製造方法。
なお、前記発明において、「ポリヌクレオチド」とはプリンまたはピリミジンが糖にβ-N-グリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステル(ATP、GTP、CTP、UTP;またはdATP、dGTP、dCTP、dTTP)が2個以上結合した分子を意味する。ポリヌクレオチドと他のポリヌクレオチドが「機能的に連結されている」とは、各々のポリヌクレオチドが有する機能が損なわれることなく、しかも連結によって所望の機能が発揮しうる状態が確保されている状態を意味する。具体的には、一方のポリヌクレオチドの3’端ヌクレオチドと他方のポリヌクレオチドの5’端ヌクレオチドが直接、または他のリンカー配列を介して結合している状態をいう。
「タンパク質」とは、アミド結合(ペプチド結合)によって互いに結合した複数個のアミノ酸残基から構成された分子を意味し、「組換えタンパク質」とは、遺伝子工学的に製造されるタンパク質を意味する。
「遺伝子改変」とは、カイコのゲノム構造を改変すること(例えば、ノックアウト技術やトランスジェニック技術など)、あるいはゲノム遺伝子の機能(タンパク質発現)に影響を及ぼすような外的要因の導入などの操作を意味する。
「フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能が欠損」とは、ゲノムDNAにおけるフィブロイン軽鎖遺伝子の実質的な欠失、ゲノムDNAにおけるフィブロイン軽鎖遺伝子からのmRNA転写の抑制、mRNAからのタンパク質合成の抑制等により、フィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロインが発現することを意味する。
「フィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロイン」とは、遺伝子改変カイコの産生するフィブロインに含まれるフィブロイン軽鎖が、野生型カイコが産生するフィブロインのフィブロイン軽鎖含量に比べて、約75%以下、好ましくは約50%以下、さらに好ましくは約25%以下、特に好ましくは5%以下であることを意味する。
「RNAi」とはRNA干渉を意味し、二本鎖RNAの一方のRNA鎖がコードするタンパク質の発現を特異的に抑制する現象である。
「センスRNAと実質的に同一の塩基配列からなるセンスコードDNA」とは、センスRNAを構成するリボ核酸(A、G、C、U)の配列に対応するデオキシリボ核酸(A、G、C、T)の配列からなるDNAであり、また、そのRNAi効果を維持する範囲においてセンスRNAの1または複数の塩基が欠失、1または複数の塩基が付加、または1または複数の塩基が他の塩基へ置換したものを意味する。
改変フィブロインの「生分解性が高い」とは、具体的には、タンパク質分解酵素に対する感受性が野生型フィブロインに比べて10%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上高いことを意味する。
この発明におけるその他の用語や概念は、発明の実施形態の説明や実施例において詳しく規定する。またこの発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。例えば、遺伝子工学および分子生物学的技術はSambrook and Maniatis, in Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等に記載されている。
この出願の発明によれば、遺伝子改変操作によって、フィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロインを産生する遺伝子改変カイコが提供され、このカイコを用いてフィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロインの生産が可能になる。このフィブロインからなる、従来とは異なった性質を有する絹糸(例えば高い生分解性を有した絹糸)を生産することが可能となる。また、さらに、この発明によれば、フィブロイン軽鎖含量が少なく、かつ、組換えタンパク質を含むフィブロインを生産する遺伝子改変カイコが提供される。このカイコにおいては、組換えタンパク質の分泌が促進され、繭から回収できる組換えタンパク質量を増加させることが可能となる。
以下、各発明について、実施形態を詳しく説明する。
発明(1)は、フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能が欠損させられており、フィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロインを産生することを特徴とする遺伝子改変カイコである。発現機能欠損の一つの態様は、公知の遺伝子ターゲッティング法(ノックアウト法)などによって、カイコの染色体ゲノムにおけるフィブロイン軽鎖遺伝子コード領域の実質的全部を欠損させることである。この場合は、フィブロイン軽鎖はほぼ完全に発現しない。別の態様は、フィブロイン軽鎖遺伝子の発現制御領域(エンハンサー、プロモーター)を欠失または部分的に変異させることによって、フィブロイン軽鎖遺伝子を発現抑制する方法である。さらに別の態様は、フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAをトランスジェニック技術によってカイコの染色体ゲノムに導入し、mRNAからフィブロイン軽鎖を合成させない方法(RNAi技術)である。
RNAi技術に基づくフィブロイン軽鎖遺伝子の発現抑制として、発明(2)の遺伝子改変カイコが提供される。この遺伝子改変カイコにおいては、フィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制されるように、後部絹糸腺にてフィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子が発現される。後部絹糸腺でこのRNA分子を発現させるためのプロモーターは、フィブロインタンパク質を構成するサブユニットをコードするフィブロイン重鎖遺伝子、フィブロイン軽鎖遺伝子、フィブロヘキサメリン遺伝子プロモーターなどが利用される。
遺伝子改変カイコが有する、フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAは、RNAi効果によるフィブロイン軽鎖遺伝子の発現抑制を引き起こせるものであれば、どのような構造のDNAであっても良いが、例えば、代謝産物等(RNA鎖に切断等の代謝を受けて生成される産物)が、フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAなどが含まれる。好ましくは、発明(3)の遺伝子改変カイコが有するDNA、すなわち、フィブロイン軽鎖をコードするmRNAのいずれかの領域のセンスRNAをコードするセンスコードDNAと、このセンスコードDNAと相補的なDNAとを、リンカーを挟んで対向するように連結させたDNAであり、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAである。ここで、「対向する」とは、2つの配列が互いに逆方向となるように配置することを指す。本発明の上記DNAは、センスRNAをコードするDNAが、リンカーを挟んで、逆方向反復配列を形成した構造を有する、と換言することができる。リンカーを構成するDNAは、それに隣接する反復配列が水素結合をし得る限り、その長さは特に制限されないが、イントロンを含まない場合は通常、数塩基から100塩基程度であり、数十塩基が好ましい。リンカーを構成するDNAの塩基配列は、特に限定されず、任意の配列とすることができる。また、上記のように逆方向反復配列間で水素結合を形成し得るものであれば、特にリンカーは必要とせず、リンカーを有しない場合も含まれる。DNAにおけるセンスコードDNAあるいはこのDNAと相補的なDNAの長さは、通常、1000塩基以内であり、好ましくは500塩基前後である。RNA同士が対合した二重鎖RNAの部分は、完全に対合しているものに限らず、不対合部分が含まれていてもよい。不対合部分はRNA形成に支障がない範囲で設けることができる。
発明(3)の遺伝子改変カイコが有する上記のDNAは、具体的には、例えば、センスRNAをコードするDNAが、以下の(a)または(b)に記載のDNAである。
(a)フィブロイン軽鎖cDNAのうち転写開始点の塩基から数えて28番目の塩基から767番目の塩基であるDNA
(b)フィブロイン軽鎖cDNAのうち転写開始点の塩基から数えて773番目の塩基から1173番目の塩基であるDNA
上記DNAは、当業者においては、一般的な遺伝子工学技術により作製することができる。例えばフィブロイン軽鎖cDNA配列の5’末端から28番目の塩基から767番目の塩基がクローニングされたベクターを制限酵素により切断しフィブロイン軽鎖cDNA配列を回収し、フィブロイン軽鎖cDNA配列の5’末端から28番目の塩基から767番目の塩基がクローニングされた同じあるいは別のベクターのフィブロイン軽鎖cDNA配列の3’側に挿入することにより作製できる。あるいは例えばフィブロイン軽鎖遺伝子のORF配列の5’末端から773塩基と5’末端から1173塩基をそれぞれPCRで増幅し、これらを逆位に結合することで作製できる。
(a)フィブロイン軽鎖cDNAのうち転写開始点の塩基から数えて28番目の塩基から767番目の塩基であるDNA
(b)フィブロイン軽鎖cDNAのうち転写開始点の塩基から数えて773番目の塩基から1173番目の塩基であるDNA
上記DNAは、当業者においては、一般的な遺伝子工学技術により作製することができる。例えばフィブロイン軽鎖cDNA配列の5’末端から28番目の塩基から767番目の塩基がクローニングされたベクターを制限酵素により切断しフィブロイン軽鎖cDNA配列を回収し、フィブロイン軽鎖cDNA配列の5’末端から28番目の塩基から767番目の塩基がクローニングされた同じあるいは別のベクターのフィブロイン軽鎖cDNA配列の3’側に挿入することにより作製できる。あるいは例えばフィブロイン軽鎖遺伝子のORF配列の5’末端から773塩基と5’末端から1173塩基をそれぞれPCRで増幅し、これらを逆位に結合することで作製できる。
フィブロイン軽鎖遺伝子のcDNA配列は、GenBank Accession No. X17291, Z26887, AF541967, AY026058, M76430で示される塩基配列中に開示されている。なお、フィブロイン軽鎖遺伝子の塩基配列には遺伝的多型が存在することは当業者にとって周知の事実である。よって、本発明において記載されるフィブロイン軽鎖遺伝子は、変異を保有する遺伝子がフィブロイン軽鎖の機能に不可欠である限り、上記の開示配列からなる遺伝子に限定されるものではない。上記の開示配列からなる遺伝子の塩基配列において1若しくは複数の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加した塩基配列からなるDNAも使用することができる。上記の開示配列からなる遺伝子の塩基配列における1若しくは複数の置換、欠失、挿入、および/または付加変異は、自然界において生じた変異だけでなく、人為的に導入した変異も含まれる。ただし、置換、欠失、挿入、および/または付加変異の頻度は21塩基以上に1塩基であることが望ましい。
トランスジェニック技術を用いた遺伝子改変カイコの作出については、例えばpiggyBacをもとに作製したベクターを利用する場合は、田村らの方法 (Nature Biotechnol. 18, 81-84, 2000) と同様な方法によって行うことができる。すなわち、piggyBacの一対の逆向き反復配列を適当なプラスミドベクターに組み込み、挿入する「フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNA」を一対の逆向き反復配列で夾むように挿入する。そしてこのプラスミドベクターを、piggyBacのトランスポゼース発現ベクター(ヘルパープラスミド)と共にカイコ卵へ微量注入する。このヘルパープラスミドは、piggyBacの逆向き反復配列の片方または両方を欠いた、実質的にはpiggyBacのトランスポゼース遺伝子領域のみが組み込まれている組換えプラスミドベクターである。このヘルパープラスミドにおいて、トランスポゼースを発現させるためのプロモーターは、内在性のトランスポゼースプロモーターをそのまま利用しても良いし、あるいは、カイコ・アクチンプロモーターやショウジョウバエHSP70プロモーター等を利用してもよい。次世代カイコのスクリーニングを容易にするために、挿入するポリヌクレオチドを組み込んだベクター内に同時にマーカー遺伝子を組み込んでおくこともできる。この場合、マーカー遺伝子の上流に例えば3xP3神経・眼特異的プロモーターやカイコアクチン等のプロモーター配列を組み込み、その作用によりマーカー遺伝子を発現させるようにする。
ベクターを微量注入したカイコ卵から孵化した幼虫(F0世代)を飼育する。得られた全F0世代のカイコを野生型カイコと、あるいはF0カイコ同士で交配し、次世代(F1世代)のカイコから遺伝子改変カイコ(トランスジェニックカイコ)を選抜する。遺伝子改変カイコの選抜は、例えばPCR法やサザンブロット法を用いて行う。また、マーカー遺伝子を組み込んだ場合には、その表現形質を利用して選抜することも可能である。例えばマーカー遺伝子としてGFP等の蛍光タンパク質遺伝子を利用した場合には、F1世代のカイコ卵や幼虫に励起光を照射し、蛍光タンパク質の発する蛍光を検出することにより行うことができる。以上のような方法により、RNA分子をコードするDNAをゲノム中に有する遺伝子改変カイコを作出することができる。
発明(4)は、前記の遺伝子改変カイコから得られる、フィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロインである。遺伝子改変カイコから得られる改変フィブロインにおいてフィブロイン軽鎖含量が野生型に比べ少ないことは、フィブロイン分子を可溶化して、電気泳動を行うことにより確認できる。例えば遺伝子改変カイコと野生型のカイコの繭から8 M urea, 2% 2-mercaptoethanol, 50 mM Tris buffer (pH 7.5)溶液で80℃、2時間処理してセリシンを除去し、残存するフィブロインを飽和チオシアン酸リチウム溶液に溶解し、8 M urea, 2% 2-mercaptoethanol, 50 mM Tris buffer (pH 7.5)溶液に透析して得られるフィブロイン溶液を、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により、各サブユニットに分離してクマシーブリリアントブルー染色によりタンパク質を染色して可視化し、フィブロイン重鎖と軽鎖の比率を解析することにより確認できる。
発明(5)は、フィブロイン軽鎖含量が少ないことに加え、生分解性が高いことを特徴とする改変フィブロインである。生分解性が高いことは、改変フィブロインが野生型フィブロインが比べてタンパク質分解酵素に対する感受性が高いことにより確認することができる。例えば遺伝子改変カイコと野生型のカイコの繭から8 M urea, 2% 2-mercaptoethanol, 50 mM Tris buffer (pH 7.5)溶液で80℃2時間処理してセリシンを除去し、残存するフィブロインを50 mM Tris buffer (pH 7.5)溶液中で0.1 %トリプシンに24時間暴露した後、残存物を飽和チオシアン酸リチウム溶液で溶解し、8 M urea, 2% 2-mercaptoethanol, 50 mM Tris buffer (pH 7.5)溶液に透析し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、CBB染色を施し、遺伝子改変カイコのフィブロイン重鎖が野生型のフィブロイン重鎖に比べ顕著に低分子化していることにより確認することができる。
発明(6)は、前記の遺伝子改変カイコを用いることにより、前記の改変フィブロインを製造する方法である。改変フィブロインは、カイコが生産した繭から、あるいは、カイコ体内の絹糸腺から回収して製造することができる。繭から改変フィブロインを回収する場合は、改変フィブロインを絹繊維またはフィブロイン繊維として製造することが可能であり、また、さらに、改変フィブロインから、フィブロインフィルムやフィブロインゲルなどの加工物を製造することもできる。
発明(7)は、フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能を欠損させる遺伝子改変に加え、フィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチド(A)と、組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド(B)とが機能的に連結されている融合ポリヌクレオチドをゲノム中に保有し、前記融合タンパク質を後部絹糸腺で発現する遺伝子改変カイコである。
そして、この発明(7)の遺伝子改変カイコの具体的態様である発明(8)の遺伝子改変カイコは、フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAに加えて、以下のポリヌクレオチド(A)および(B)が機能的に連結されている融合ポリヌクレオチドをゲノム中に保有し、この融合ポリヌクレオチドがコードする融合タンパク質を後部絹糸腺で発現することを特徴としている。
(A):フィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチドであり、かつ、フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子によってフィブロイン軽鎖の発現が抑制されないポリヌクレオチド
(B):任意の組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド
上記のフィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチドであり、かつ、フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子によってフィブロイン軽鎖の発現が抑制されないポリヌクレオチド(A)とは、例えば、GenBank Accession No. A33470で示されるアミノ酸配列中に開示されているフィブロイン軽鎖ポリペプチド配列をコードするcDNAであって、GenBank Accession No. X17291, Z26887, AF541967, AY026058, M76430で示される塩基配列中に開示されているフィブロイン軽鎖遺伝子と少なくとも18塩基に1塩基以上の変異を導入した塩基配列である。具体的には、発明(9)の遺伝子改変カイコが有するポリヌクレオチド(A)、すなわち、配列番号1または2に記載した塩基配列を例にあげることができる。RNAiの効果は3’末端が2塩基突出した19〜21塩基対の二本鎖RNAによりもたらされることおよび1塩基の変異でも効果が失われることが公知である(EMBO J., 20, 6877-6888)。換言すると、19塩基に1塩基以上の変異を有する配列は発現抑制を受けない。
(A):フィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチドであり、かつ、フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子によってフィブロイン軽鎖の発現が抑制されないポリヌクレオチド
(B):任意の組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド
上記のフィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチドであり、かつ、フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子によってフィブロイン軽鎖の発現が抑制されないポリヌクレオチド(A)とは、例えば、GenBank Accession No. A33470で示されるアミノ酸配列中に開示されているフィブロイン軽鎖ポリペプチド配列をコードするcDNAであって、GenBank Accession No. X17291, Z26887, AF541967, AY026058, M76430で示される塩基配列中に開示されているフィブロイン軽鎖遺伝子と少なくとも18塩基に1塩基以上の変異を導入した塩基配列である。具体的には、発明(9)の遺伝子改変カイコが有するポリヌクレオチド(A)、すなわち、配列番号1または2に記載した塩基配列を例にあげることができる。RNAiの効果は3’末端が2塩基突出した19〜21塩基対の二本鎖RNAによりもたらされることおよび1塩基の変異でも効果が失われることが公知である(EMBO J., 20, 6877-6888)。換言すると、19塩基に1塩基以上の変異を有する配列は発現抑制を受けない。
発明(8)または発明(9)の遺伝子改変カイコには、上記ポリヌクレオチド(A)と、任意の組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド(B)が機能的に連結されている融合ポリヌクレオチドが組み込まれており、この融合ヌクレオチドからフィブロイン軽鎖と任意の組換えタンパク質からなる融合タンパク質が合成される。「融合タンパク質」とは、フィブロイン軽鎖と組換えタンパク質が物理的に融合し、通常の使用範囲における操作では分離しないことを意味する。さらに、この発明における融合タンパク質とは、フィブロイン軽鎖と組換えタンパク質とが、それぞれの使用目的に合致した機能、活性を保持した状態で結合していることをも意味する。
融合タンパク質を後部絹糸腺で発現させるためには、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、例えば、後部絹糸腺で特異的な遺伝子発現を引き起こすプロモーターの下流に接続する。後部絹糸腺で該融合タンパク質を発現させるためのプロモーターは、フィブロインタンパク質を構成するサブユニットをコードするフィブロイン重鎖遺伝子、フィブロイン軽鎖遺伝子、フィブロヘキサメリン遺伝子プロモーターなどを利用することができる。
発明(8)または発明(9)の遺伝子改変カイコの作出については、以下の(a)、(b)あるいは(c)の様な方法で行うことができる。
(a) 例えば、発明(8)または発明(9)の遺伝子改変カイコは、発明(2)または(3)の遺伝子改変カイコ卵に、piggyBacの一対の逆向き反復配列で挟まれた領域に上記配列(A)および(B)からなる融合ポリヌクレオチドを有する適当なプラスミドベクターを注入して作出できる。または、配列(A)および(B)からなる融合ポリヌクレオチドを有する遺伝子改変カイコを作製し、このカイコ卵に、「フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNA」を注入して作出しても良い。
(b) あるいは、例えば、野生型カイコ卵に、「フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNA」を有するベクターと、配列(A)および(B)からなる融合ポリヌクレオチドを有するベクターを同時に注入し、得られた遺伝子改変カイコから、発明(8)または発明(9)の遺伝子改変カイコを選別しても良い。
(c) あるいは、例えば、野生型カイコ卵に、配列(A)および(B)からなる融合ポリヌクレオチドを有するベクターを注入することにより作製した遺伝子改変カイコと、本発明(2)または(3)の遺伝子改変カイコを交配することにより、発明(8)または発明(9)の遺伝子改変カイコを作出することもできる。
(a) 例えば、発明(8)または発明(9)の遺伝子改変カイコは、発明(2)または(3)の遺伝子改変カイコ卵に、piggyBacの一対の逆向き反復配列で挟まれた領域に上記配列(A)および(B)からなる融合ポリヌクレオチドを有する適当なプラスミドベクターを注入して作出できる。または、配列(A)および(B)からなる融合ポリヌクレオチドを有する遺伝子改変カイコを作製し、このカイコ卵に、「フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNA」を注入して作出しても良い。
(b) あるいは、例えば、野生型カイコ卵に、「フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNA」を有するベクターと、配列(A)および(B)からなる融合ポリヌクレオチドを有するベクターを同時に注入し、得られた遺伝子改変カイコから、発明(8)または発明(9)の遺伝子改変カイコを選別しても良い。
(c) あるいは、例えば、野生型カイコ卵に、配列(A)および(B)からなる融合ポリヌクレオチドを有するベクターを注入することにより作製した遺伝子改変カイコと、本発明(2)または(3)の遺伝子改変カイコを交配することにより、発明(8)または発明(9)の遺伝子改変カイコを作出することもできる。
上記(a)、(b)および(c)のいずれの場合においても、「フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNA」共にカイコに挿入するマーカー遺伝子およびマーカー遺伝子の発現を司るプロモーターを、配列(A)および(B)からなる融合ポリヌクレオチドと共に挿入するマーカー遺伝子とマーカー遺伝子の発現を司るプロモーターと、異なる組み合わせにすることにより、作出される発明(8)または発明(9)の遺伝子改変カイコを容易に選別できる。
発明(8)または発明(9)の遺伝子改変カイコの後部絹糸腺細胞においては、フィブロイン軽鎖の発現が抑制されており、かつ、RNAiにより発現が抑制されない改変フィブロインと任意の組換えタンパク質からなる融合タンパク質が合成される。その結果、絹糸腺細胞からの改変フィブロインと任意の組換えタンパク質からなる融合タンパク質の分泌が促進され、任意の組換えタンパク質の含量が増加したフィブロイン(発明(10))が生産される。これにより、組換えタンパク質を含有するフィブロインの新規製造方法(発明(11))、および、このフィブロインから組換えタンパク質を回収する組換えタンパク質の新規製造方法(発明(12))が提供される。
以下、実施例によりこの発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の例によって限定されるものではない。
フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子を発現する遺伝子改変カイコの作出
[1] フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子を発現する遺伝子改変カイコ作製用ベクターの構築
フィブロイン軽鎖cDNA(GenBank Accession No. X17291)の転写開始点から28番目の塩基から767番目までの塩基をクローニングしたベクター「pFL」(Biomaterials 27, 5715-24 (2006))をBamH IとPst Iで消化してフィブロイン軽鎖cDNA断片を得た。フィブロイン軽鎖遺伝子プロモーターの下流にフィブロイン軽鎖cDNA、bFGF cDNA、フィブロイン軽鎖遺伝子ポリA付加シグナルが配置されているフィブロイン軽鎖とbFGFの融合タンパク質発現ベクター「pLF」(Biomaterials 27, 5715-24 (2006))のbFGF cDNAとフィブロイン軽鎖遺伝子ポリA付加シグナルの間にあるBamH Iサイトに、フィブロイン軽鎖cDNA 断片を挿入した。挿入するフィブロイン軽鎖cDNA 断片はすでに「pLF」に挿入されているフィブロイン軽鎖cDNAと対向するように配置した。構築されたベクターをphpLと命名した。phpLはフィブロイン軽鎖遺伝子プロモーターの下流に順方向のフィブロイン軽鎖cDNA、bFGF cDNA、逆方向のフィブロイン軽鎖cDNA、フィブロイン軽鎖遺伝子ポリA付加シグナルが配置されている。phpLをPst Iで消化して自己環状化させたベクターをXho Iで消化し、順方向のフィブロイン軽鎖cDNA、bFGF cDNA、逆方向のフィブロイン軽鎖cDNA、フィブロイン軽鎖遺伝子ポリA付加シグナルが配置されているDNA断片を得た。このDNA断片の末端を平滑化した後、マーカー遺伝子として眼や神経系で発現するクラゲ緑色蛍光タンパク質(以下、EGFPと呼ぶ)cDNAを有するpiggyBacベクターであるpBac[3xP3-EGFP]ベクター(Nature Biotechnol. 18, 81-84, (2000))のEcoR Iサイトに挿入し、hpL/pBacを作製した。ベクターマップを図1に示す。
[2] フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAをゲノム中に保有しかつこのRNA分子を発現することによりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制される遺伝子改変カイコの作出
hpL/pBacを用いてフィブロイン軽鎖遺伝子に対して、RNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAをゲノム中に保有しかつこのRNA分子を発現することによりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制される遺伝子改変カイコを以下「遺伝子改変カイコhpL」と呼ぶ。hpL/pBacを、ヘルパープラスミドであるpHA3PIG(Nat. Biotechnol. 18, 81-84 (2000))とプラスミド量が1:1になるように混合し、さらにエタノール沈殿を行った後、濃度が200μg/mlなるようにインジェクションバッファー(0.5 mMリン酸バッファー pH 7.0, 5 mM KCl)に溶解した。このDNA溶液を、産卵後2〜8時間の前胚盤葉期のカイコ卵(カイコ胚)に、一つの卵あたり約15〜20 nlの液量で微量注入した。合計3447個の卵に微量注入した。DNAを微量注入した卵を25℃でインキュベートしたところ1429個の卵が孵化した。孵化したカイコの飼育を続け、得られた生殖可能な成虫を交配し、361グループのF1卵塊を得た。産卵日から5〜6日目のF1卵塊を蛍光実体顕微鏡で観察することにより、眼や神経系から緑色蛍光を発する遺伝子改変カイコhpLの卵をスクリーニングした。その結果、遺伝子改変カイコhpLの卵を含む卵塊を33グループ得た。得られたF1世代の卵塊を孵化させ飼育し、遺伝子改変カイコhpLから繭を得た。24グループからそれぞれ1〜3個の繭を得た(合計66個)。また、さらに羽化して生殖能力を有した成虫を野生型のカイコと交配して、15系統の遺伝子改変カイコhpLを樹立した。
[1] フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子を発現する遺伝子改変カイコ作製用ベクターの構築
フィブロイン軽鎖cDNA(GenBank Accession No. X17291)の転写開始点から28番目の塩基から767番目までの塩基をクローニングしたベクター「pFL」(Biomaterials 27, 5715-24 (2006))をBamH IとPst Iで消化してフィブロイン軽鎖cDNA断片を得た。フィブロイン軽鎖遺伝子プロモーターの下流にフィブロイン軽鎖cDNA、bFGF cDNA、フィブロイン軽鎖遺伝子ポリA付加シグナルが配置されているフィブロイン軽鎖とbFGFの融合タンパク質発現ベクター「pLF」(Biomaterials 27, 5715-24 (2006))のbFGF cDNAとフィブロイン軽鎖遺伝子ポリA付加シグナルの間にあるBamH Iサイトに、フィブロイン軽鎖cDNA 断片を挿入した。挿入するフィブロイン軽鎖cDNA 断片はすでに「pLF」に挿入されているフィブロイン軽鎖cDNAと対向するように配置した。構築されたベクターをphpLと命名した。phpLはフィブロイン軽鎖遺伝子プロモーターの下流に順方向のフィブロイン軽鎖cDNA、bFGF cDNA、逆方向のフィブロイン軽鎖cDNA、フィブロイン軽鎖遺伝子ポリA付加シグナルが配置されている。phpLをPst Iで消化して自己環状化させたベクターをXho Iで消化し、順方向のフィブロイン軽鎖cDNA、bFGF cDNA、逆方向のフィブロイン軽鎖cDNA、フィブロイン軽鎖遺伝子ポリA付加シグナルが配置されているDNA断片を得た。このDNA断片の末端を平滑化した後、マーカー遺伝子として眼や神経系で発現するクラゲ緑色蛍光タンパク質(以下、EGFPと呼ぶ)cDNAを有するpiggyBacベクターであるpBac[3xP3-EGFP]ベクター(Nature Biotechnol. 18, 81-84, (2000))のEcoR Iサイトに挿入し、hpL/pBacを作製した。ベクターマップを図1に示す。
[2] フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAをゲノム中に保有しかつこのRNA分子を発現することによりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制される遺伝子改変カイコの作出
hpL/pBacを用いてフィブロイン軽鎖遺伝子に対して、RNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAをゲノム中に保有しかつこのRNA分子を発現することによりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制される遺伝子改変カイコを以下「遺伝子改変カイコhpL」と呼ぶ。hpL/pBacを、ヘルパープラスミドであるpHA3PIG(Nat. Biotechnol. 18, 81-84 (2000))とプラスミド量が1:1になるように混合し、さらにエタノール沈殿を行った後、濃度が200μg/mlなるようにインジェクションバッファー(0.5 mMリン酸バッファー pH 7.0, 5 mM KCl)に溶解した。このDNA溶液を、産卵後2〜8時間の前胚盤葉期のカイコ卵(カイコ胚)に、一つの卵あたり約15〜20 nlの液量で微量注入した。合計3447個の卵に微量注入した。DNAを微量注入した卵を25℃でインキュベートしたところ1429個の卵が孵化した。孵化したカイコの飼育を続け、得られた生殖可能な成虫を交配し、361グループのF1卵塊を得た。産卵日から5〜6日目のF1卵塊を蛍光実体顕微鏡で観察することにより、眼や神経系から緑色蛍光を発する遺伝子改変カイコhpLの卵をスクリーニングした。その結果、遺伝子改変カイコhpLの卵を含む卵塊を33グループ得た。得られたF1世代の卵塊を孵化させ飼育し、遺伝子改変カイコhpLから繭を得た。24グループからそれぞれ1〜3個の繭を得た(合計66個)。また、さらに羽化して生殖能力を有した成虫を野生型のカイコと交配して、15系統の遺伝子改変カイコhpLを樹立した。
系統樹立した15系統の遺伝子改変カイコhpLのF1世代から得られた繭および野生型カイコの繭を8 M尿素、2% 2-メルカプトエタノール、50 mM トリス緩衝液pH7.5で80℃、二時間処理してセリシンを除去した後、飽和チオシアン酸リチウム溶液でフィブロインを溶解した。フィブロイン溶液は8 M尿素、2% 2-メルカプトエタノール、50 mMトリス緩衝液pH7.5に透析した。タンパク質定量後、フィブロインをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、CBB染色を施した。遺伝子改変カイコhpLのフィブロインは野生型のフィブロインと比較し、優位にフィブロイン軽鎖の含量が低かった。フィブロイン軽鎖含量が最も低かった遺伝子改変カイコhpL5-5系統についてF2世代および野生型カイコの幼虫から絹糸腺を採取し、後部絹糸腺におけるFib-L mRNAの定量を行った。後部絹糸腺からRNAを調製し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、リアルタイムPCR法によりフィブロイン軽鎖とフィブロイン重鎖のmRNAを定量した。それぞれのフィブロイン重鎖mRNAコピー数に対するフィブロイン軽鎖mRNAコピー数の割合(以下フィブロイン軽鎖mRNA/フィブロイン重鎖mRNAと記す)の平均値と標準偏差を算出した。図2にその結果を示した。野生型カイコにおけるフィブロイン軽鎖mRNA/フィブロイン重鎖mRNAの平均値を100%とした場合、遺伝子改変カイコhpL5-5系統後部絹糸腺でのフィブロイン軽鎖mRNA/フィブロイン重鎖mRNAは14%であった。このように、後部絹糸腺細胞において、フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子を発現させることによりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制されることが明らかになった。
また、遺伝子改変カイコhpL5-5系統についてF2世代の繭を回収して、上述の方法により、フィブロインをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、CBB染色を施した。イメージアナライザーLA-1000plus(富士フィルム)でフィブロイン軽鎖およびフィブロイン重鎖を定量した。それぞれのフィブロイン重鎖量に対するフィブロイン軽鎖の割合(以下フィブロイン軽鎖/フィブロイン重鎖と記す)の平均値と標準偏差を算出した。結果を図3に示す。野生型カイコにおけるフィブロイン軽鎖/フィブロイン重鎖の平均値を100%とした場合、遺伝子改変カイコhpL5-5のフィブロイン軽鎖/フィブロイン重鎖の割合は、34%であった。以上の結果より、遺伝子改変カイコhpLにおいて、フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子を発現させることによりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制されて、フィブロイン軽鎖含量の少ないフィブロインすなわち従来のフィブロインとは異なる改変フィブロインが合成されていることが明らかとなった。
遺伝子改変カイコhpLが作出した絹糸の性質
実施例1で示したようなセリシンを除去したフィブロインにトリプシン処理を施した。飽和チオシアン酸リチウム溶液でフィブロインを溶解した。フィブロイン溶液は8 M尿素、2% 2-メルカプトエタノール、50 mM トリス緩衝液pH7.5に透析した。タンパク質定量後、フィブロインをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、CBB染色を施した。結果を図4に示した。その結果、遺伝子改変カイコhpLのフィブロイン重鎖は、野生型のフィブロイン重鎖に比べ顕著に低分子化していることが明らかとなった。さらに、イメージアナライザーLA-1000plus(富士フィルム)でフィブロイン重鎖の定量を行った。野生型カイコのフィブロインの場合、トリプシン処理によるフィブロイン重鎖の減少はみられなかったが、遺伝子改変カイコhpLのフィブロインの場合、トリプシン処理を施すことによりフィブロイン重鎖は28%減少した。
実施例1で示したようなセリシンを除去したフィブロインにトリプシン処理を施した。飽和チオシアン酸リチウム溶液でフィブロインを溶解した。フィブロイン溶液は8 M尿素、2% 2-メルカプトエタノール、50 mM トリス緩衝液pH7.5に透析した。タンパク質定量後、フィブロインをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、CBB染色を施した。結果を図4に示した。その結果、遺伝子改変カイコhpLのフィブロイン重鎖は、野生型のフィブロイン重鎖に比べ顕著に低分子化していることが明らかとなった。さらに、イメージアナライザーLA-1000plus(富士フィルム)でフィブロイン重鎖の定量を行った。野生型カイコのフィブロインの場合、トリプシン処理によるフィブロイン重鎖の減少はみられなかったが、遺伝子改変カイコhpLのフィブロインの場合、トリプシン処理を施すことによりフィブロイン重鎖は28%減少した。
以上の結果より、フィブロイン軽鎖含量の低下はフィブロインに対するトリプシン感受性を高めることが明らかとなった。つまり、改変フィブロインは従来の野生型フィブロインと比較して生分解性が高いことが明らかとなった。
フィブロイン軽鎖遺伝子の発現を抑制する遺伝子改変カイコhpLにおける組換えタンパク質生産量の増加
[1]フィブロイン軽鎖をコードする変異配列の合成
フィブロイン軽鎖(GenBank Accession No. A33470)をコードするDNAであって、遺伝子配列がフィブロイン軽鎖cDNA (GenBank Accession No. X17291)と異なるDNA断片2種類(配列番号1および2)をYoungとDong(Nuc. Acids Res. 32, e59, (2004) )の方法に従い合成した。以下、配列番号1および2の改変フィブロイン軽鎖cDNAをそれぞれLmut1およびLmut2と呼ぶ。Lmut1は野生型フィブロイン軽鎖cDNA(GenBank Accession No. X17291)と17%の塩基が置換されており、置換の頻度が11塩基に1塩基以上である。Lmut2は野生型フィブロイン軽鎖cDNA(GenBank Accession No. X17291)と12%の塩基が置換されており、置換の頻度が18塩基に1塩基以上である。
[1]フィブロイン軽鎖をコードする変異配列の合成
フィブロイン軽鎖(GenBank Accession No. A33470)をコードするDNAであって、遺伝子配列がフィブロイン軽鎖cDNA (GenBank Accession No. X17291)と異なるDNA断片2種類(配列番号1および2)をYoungとDong(Nuc. Acids Res. 32, e59, (2004) )の方法に従い合成した。以下、配列番号1および2の改変フィブロイン軽鎖cDNAをそれぞれLmut1およびLmut2と呼ぶ。Lmut1は野生型フィブロイン軽鎖cDNA(GenBank Accession No. X17291)と17%の塩基が置換されており、置換の頻度が11塩基に1塩基以上である。Lmut2は野生型フィブロイン軽鎖cDNA(GenBank Accession No. X17291)と12%の塩基が置換されており、置換の頻度が18塩基に1塩基以上である。
フィブロイン軽鎖とEGFPの融合タンパク質をコードする遺伝子を有するpLEベクター(Nature Biotechnol. 21, 52-56,(2003))をPst IとXba Iで切断してフィブロイン軽鎖とEGFPの融合タンパク質のcDNA 断片を得、このcDNAをpBluescript SK+ベクター(Stratagene社)のPst IとXba Iサイトに挿入し、LE/pBSを作製した。Lmut1もしくはLmut2であるDNAをPst IとBamH Iで切断して、LE/pBSのPst IとBamH Iサイトに挿入し、それぞれLmut1E/pBSもしくはLmut2E/pBSを作製した。
フィブロイン重鎖遺伝子-5,000-3848および-2,214-+24(転写開始点を+1とする)を有するpGL3-basic(特開2004-344123号公報)をNhe IおよびBgl IIで切断し、フィブロイン重鎖遺伝子-5,000〜-3848および-2,214〜+24を得た。以下、このDNAをH5’と記す。このH5’ DNAの末端を平滑したのち、マーカー遺伝子として眼や神経系で発現するサンゴ赤色蛍光タンパク質(以下、DsRedと呼ぶ)遺伝子を有するpiggyBacベクターであるpBac[3xP3-DsRed/pA]ベクター(Nature Biotechnol. 21, 52-56,(2003))のEcoR Iサイトに挿入し、H5’/pBacを作製した。LE/pBS, Lmut1E/pBS, Lmut2E/pBS をPst IとXba Iで切断してフィブロイン軽鎖 とEGFP融合タンパク質のcDNA 断片を得た。このDNA断片の末端を平滑化後、H5’/pBacのXho Iサイトに挿入し、それぞれH5’LE/pBac, H5’Lmut1E/pBac, H5’Lmut2E/pBacを構築した。H5’LE/pBac、H5’Lmut1E/pBacおよびH5’Lmut2E/pBacのベクターマップを図5に示す。
[2] フィブロイン軽鎖とEGFPとの融合タンパク質をコードするcDNAであってフィブロイン軽鎖cDNAの配列がフィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子によりRNAi効果による発現抑制を受けないような改変フィブロイン軽鎖cDNAの配列とを保有し、かつ後部絹糸腺でこの融合タンパク質を発現する遺伝子改変カイコの作出
H5’Lmut1E/pBacおよび H5’Lmut2E/pBacを用いて作出した、フィブロイン軽鎖とEGFPとの融合タンパク質をコードするcDNAであってフィブロイン軽鎖cDNAの配列がフィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子によりRNAi効果による発現抑制を受けないような改変フィブロイン軽鎖cDNAの配列であるDNAをゲノム中に保有し、かつ後部絹糸腺で該融合タンパク質を発現する遺伝子改変カイコをそれぞれ、以下遺伝子改変カイコH5’Lmut1Eおよび遺伝子改変カイコH5’Lmut2Eと呼ぶ。H5’LE/pBacを用いて作出した、フィブロイン軽鎖とEGFPとの融合タンパク質をコードするcDNAであってフィブロイン軽鎖cDNAの配列が野生型のフィブロイン軽鎖cDNAであるヌクレオチドをゲノム中に保有し、かつ後部絹糸腺で該融合タンパク質を発現する遺伝子改変カイコを、以下遺伝子改変カイコH5’LEと呼ぶ。前記実施例1[2]と同様にして、遺伝子改変カイコH5’LE、遺伝子改変カイコH5’Lmut1Eおよび遺伝子改変カイコH5’Lmut2Eを作出した。遺伝子改変カイコH5’LEについて5系統、遺伝子改変カイコH5’Lmut1Eについて15系統、遺伝子改変カイコH5’Lmut2Eについて12系統を樹立した。系統樹立した遺伝子改変カイコH5’LE、H5’Lmut1EおよびH5’Lmut2EのF1世代成虫を任意に選び、それぞれ遺伝子改変カイコhpLと交配してF2世代を得た。この交配により、F2世代の遺伝子改変カイコH5’LE、H5’Lmut1EおよびH5’Lmut2E、遺伝子改変カイコhpL、H5’LE、H5’Lmut1EまたはH5’Lmut2EとhpLの二重遺伝子改変カイコが得られる。以下、H5’LE、H5’Lmut1EまたはH5’Lmut2EとhpLの二重遺伝子改変カイコをそれぞれ遺伝子改変カイコH5’LExhpL、遺伝子改変カイコH5’Lmut1ExhpL、遺伝子改変カイコH5’Lmut2ExhpLと呼ぶ。蛍光顕微鏡下で幼虫の眼を観察すると、遺伝子改変カイコH5’LE、H5’Lmut1EおよびH5’Lmut2Eは赤色蛍光を放ち、遺伝子改変カイコhpLは緑色蛍光を放ち、遺伝子改変カイコH5’LExhpL、H5’Lmut1ExhpL、H5’Lmut2ExhpLは黄色蛍光を放つ。各系統の繭を得た。得られた繭をルミノイメージアナライザーLA-1000plus(富士フィルム)で撮影した。結果を図6に示した。遺伝子改変カイコH5’LExhpLの繭が放つEGFP蛍光強度は、遺伝子改変カイコH5’LEの繭が放つEGFP蛍光強度と同程度であった。遺伝子改変カイコH5’Lmut1ExhpLの繭は、遺伝子改変カイコH5’Lmut1Eの繭に比べ、EGFP蛍光が強かった。遺伝子改変カイコH5’Lmut2ExhpLの繭は、遺伝子改変カイコH5’Lmut2Eの繭に比べ、EGFP蛍光が強かった。さらに、遺伝子改変カイコH5’Lmut1ExhpLまたはH5’Lmut2ExhpLの繭が放つEGFP蛍光は、遺伝子改変カイコH5’LExhpLの繭が放つEGFP蛍光または遺伝子改変カイコH5’LEの繭が放つEGFP蛍光よりも強力であった。以上の結果より、遺伝子改変カイコH5’Lmut1EまたはH5’Lmut2Eと遺伝子改変カイコhpLを交配して得られる二重遺伝子改変カイコH5’Lmut1ExhpLまたはH5’Lmut2ExhpLの繭において組換えタンパク質の生産量が増加した。二重遺伝子改変カイコH5’Lmut1ExhpLまたはH5’Lmut2ExhpLにおいて、フィブロイン軽鎖遺伝子に対して、RNAi効果を有するRNA分子を発現させることによりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制されて、フィブロイン軽鎖とEGFPとの融合タンパク質をコードするヌクレオチドであってフィブロイン軽鎖cDNAの配列がフィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子によりRNAi効果による発現抑制を受けないような改変フィブロイン軽鎖cDNAとの融合タンパク質の生産が促進された。
[2] フィブロイン軽鎖とEGFPとの融合タンパク質をコードするcDNAであってフィブロイン軽鎖cDNAの配列がフィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子によりRNAi効果による発現抑制を受けないような改変フィブロイン軽鎖cDNAの配列とを保有し、かつ後部絹糸腺でこの融合タンパク質を発現する遺伝子改変カイコの作出
H5’Lmut1E/pBacおよび H5’Lmut2E/pBacを用いて作出した、フィブロイン軽鎖とEGFPとの融合タンパク質をコードするcDNAであってフィブロイン軽鎖cDNAの配列がフィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子によりRNAi効果による発現抑制を受けないような改変フィブロイン軽鎖cDNAの配列であるDNAをゲノム中に保有し、かつ後部絹糸腺で該融合タンパク質を発現する遺伝子改変カイコをそれぞれ、以下遺伝子改変カイコH5’Lmut1Eおよび遺伝子改変カイコH5’Lmut2Eと呼ぶ。H5’LE/pBacを用いて作出した、フィブロイン軽鎖とEGFPとの融合タンパク質をコードするcDNAであってフィブロイン軽鎖cDNAの配列が野生型のフィブロイン軽鎖cDNAであるヌクレオチドをゲノム中に保有し、かつ後部絹糸腺で該融合タンパク質を発現する遺伝子改変カイコを、以下遺伝子改変カイコH5’LEと呼ぶ。前記実施例1[2]と同様にして、遺伝子改変カイコH5’LE、遺伝子改変カイコH5’Lmut1Eおよび遺伝子改変カイコH5’Lmut2Eを作出した。遺伝子改変カイコH5’LEについて5系統、遺伝子改変カイコH5’Lmut1Eについて15系統、遺伝子改変カイコH5’Lmut2Eについて12系統を樹立した。系統樹立した遺伝子改変カイコH5’LE、H5’Lmut1EおよびH5’Lmut2EのF1世代成虫を任意に選び、それぞれ遺伝子改変カイコhpLと交配してF2世代を得た。この交配により、F2世代の遺伝子改変カイコH5’LE、H5’Lmut1EおよびH5’Lmut2E、遺伝子改変カイコhpL、H5’LE、H5’Lmut1EまたはH5’Lmut2EとhpLの二重遺伝子改変カイコが得られる。以下、H5’LE、H5’Lmut1EまたはH5’Lmut2EとhpLの二重遺伝子改変カイコをそれぞれ遺伝子改変カイコH5’LExhpL、遺伝子改変カイコH5’Lmut1ExhpL、遺伝子改変カイコH5’Lmut2ExhpLと呼ぶ。蛍光顕微鏡下で幼虫の眼を観察すると、遺伝子改変カイコH5’LE、H5’Lmut1EおよびH5’Lmut2Eは赤色蛍光を放ち、遺伝子改変カイコhpLは緑色蛍光を放ち、遺伝子改変カイコH5’LExhpL、H5’Lmut1ExhpL、H5’Lmut2ExhpLは黄色蛍光を放つ。各系統の繭を得た。得られた繭をルミノイメージアナライザーLA-1000plus(富士フィルム)で撮影した。結果を図6に示した。遺伝子改変カイコH5’LExhpLの繭が放つEGFP蛍光強度は、遺伝子改変カイコH5’LEの繭が放つEGFP蛍光強度と同程度であった。遺伝子改変カイコH5’Lmut1ExhpLの繭は、遺伝子改変カイコH5’Lmut1Eの繭に比べ、EGFP蛍光が強かった。遺伝子改変カイコH5’Lmut2ExhpLの繭は、遺伝子改変カイコH5’Lmut2Eの繭に比べ、EGFP蛍光が強かった。さらに、遺伝子改変カイコH5’Lmut1ExhpLまたはH5’Lmut2ExhpLの繭が放つEGFP蛍光は、遺伝子改変カイコH5’LExhpLの繭が放つEGFP蛍光または遺伝子改変カイコH5’LEの繭が放つEGFP蛍光よりも強力であった。以上の結果より、遺伝子改変カイコH5’Lmut1EまたはH5’Lmut2Eと遺伝子改変カイコhpLを交配して得られる二重遺伝子改変カイコH5’Lmut1ExhpLまたはH5’Lmut2ExhpLの繭において組換えタンパク質の生産量が増加した。二重遺伝子改変カイコH5’Lmut1ExhpLまたはH5’Lmut2ExhpLにおいて、フィブロイン軽鎖遺伝子に対して、RNAi効果を有するRNA分子を発現させることによりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制されて、フィブロイン軽鎖とEGFPとの融合タンパク質をコードするヌクレオチドであってフィブロイン軽鎖cDNAの配列がフィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子によりRNAi効果による発現抑制を受けないような改変フィブロイン軽鎖cDNAとの融合タンパク質の生産が促進された。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、フィブロイン軽鎖サブユニット含量の少ない改変フィブロインを生産する遺伝子改変カイコが提供される。さらに詳しくは、このカイコが生産する改変フィブロイン、および生分解性が高い改変フィブロイン、さらに、これらの改変フィブロインの製造方法が提供される。また、さらに、この出願の発明によって、フィブロイン軽鎖が少なく、かつ、組換えタンパク質を含むフィブロインを生産する遺伝子改変カイコ、および、このカイコが生産するフィブロイン、フィブロインから組換えタンパク質を回収する組換えタンパク質の製造方法が提供される。この発明を利用すれば、生分解性に優れた絹糸などを生産することができる。また、多量の組換えタンパク質を含有する絹糸の生産も可能となり、この絹糸から多量の組換えタンパク質を生産することも可能となる。これらの絹繊維や組換えタンパク質は、医療、食品、化粧品、繊維などの様々な産業分野で利用することができる。
Claims (12)
- フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能が欠損させられており、フィブロイン軽鎖含量の少ない改変フィブロインを産生することを特徴とする遺伝子改変カイコ。
- フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAをゲノム中に有し、前記DNAから転写されたRNA分子によりフィブロイン軽鎖遺伝子発現が抑制されている請求項1の遺伝子改変カイコ。
- RNA分子をコードするDNAが、フィブロイン軽鎖遺伝子から転写されるmRNAのいずれかの領域のセンスRNAと実質的に同一の塩基配列からなるセンスコードDNAと、このセンスコードDNAと相補的なアンチセンスコードDNAとが、リンカーを介して対向するように連結されたDNAであり、ヘアピン構造型のRNA分子をコードするDNAである、請求項2の遺伝子改変カイコ。
- 請求項1に記載の遺伝子改変カイコから得られ、フィブロイン軽鎖含量が少ないことを特徴とする改変フィブロイン。
- 生分解性が高いことを特徴とする請求項4の改変フィブロイン。
- 請求項4または5記載の改変フィブロインを製造する方法であって、請求項1記載の遺伝子改変カイコが産生する絹糸から改変フィブロインを回収する工程を含む方法。
- フィブロイン軽鎖遺伝子の発現機能を欠損させる遺伝子改変に加え、フィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチド(A)と、組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド(B)とが機能的に連結されている融合ポリヌクレオチドをゲノム中に保有し、前記融合タンパク質を後部絹糸腺で発現することを特徴とする請求項1の遺伝子改変カイコ。
- フィブロイン軽鎖遺伝子に対してRNAi効果を有するRNA分子をコードするDNAに加え、フィブロイン軽鎖をコードするポリヌクレオチドであり、かつ、前記RNA分子によってフィブロイン軽鎖の発現が抑制されないポリヌクレオチド(A)と、組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド(B)とが機能的に連結されている融合ポリヌクレオチドをゲノム中に保有し、前記融合タンパク質を後部絹糸腺で発現することを特徴とする請求項2または3の遺伝子改変カイコ。
- ポリヌクレオチド(A)が、配列番号1または2に記載した塩基配列からなるポリヌクレオチドである請求項8の遺伝子改変カイコ。
- 請求項7から9のいずれかに記載の遺伝子改変カイコから得られた組換えタンパク質含有フィブロイン。
- 請求項10記載の組換えタンパク質含有フィブロインを製造する方法であって、請求項7から9のいずれかに記載の遺伝子改変カイコが産生する絹糸から組換えタンパク質含有フィブロインを回収する工程を含む方法。
- 請求項10記載の組換えタンパク質含有フィブロインから組換えタンパク質を回収する工程を含む組換えタンパク質の製造方法。
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2007
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