JP2008244358A - ノイズ抑制シートおよび塗装物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】近傍界ノイズに対して、従来のノイズ抑制体よりも広帯域で且つ高いノイズ抑制能を発揮でき、薄型化が可能であるノイズ抑制シートおよび塗装物品を提供する。
【解決手段】 本発明にかかるノイズ抑制シートは、近傍界におけるノイズを抑制するノイズ抑制シートであって、導電性粉末をバインダーに混合させてなり、厚みが250μm以下、表面抵抗値が10〜500Ω/□である、ことを特徴としている。本発明にかかる塗装物品は、近傍界におけるノイズを抑制する塗膜を形成してなる塗装物品であって、導電性粉末とバインダーを必須成分とする塗料組成物を塗工してなり、表面抵抗値が10〜500Ω/□である、ことを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ノイズ抑制シートおよび塗装物品に関する。詳しくは、ノイズ(不要電磁波)の発生源や伝送線路に貼付することなどにより、ノイズを抑制するためのノイズ抑制シートおよび塗装物品に関する。
携帯電話やパーソナルコンピュータなどの高周波を利用する電子機器類が広く普及し、回路への電子部品の実装密度が飛躍的に高まってきている昨今においては、電子機器や部品、回路基板などの間で生じる電磁障害の問題が深刻化してきている。このような電磁障害の対策として、ノイズ抑制体を用いることが知られており、ノイズ発生源や伝送線路を被覆して用いられている。
上記ノイズ抑制体とは、ノイズを吸収し、熱エネルギーに変換することによって除去するものであり、電磁波を反射するだけの電磁波反射体とは区別される。
ところで、電磁波の特性は、放射源からの距離により大きく依存するものであり、近傍界(放射源からの距離が波長λ/2πよりも近い領域)と遠方界(放射源からの距離が波長λ/2πよりも遠い領域)で大きく異なる。「ノイズ抑制体」は近傍界を対象とする吸収体であり、遠方界を対象とし、自由空間を伝わる電磁波を吸収する、電磁波吸収体とは区別される。
ノイズ抑制体は、シート状に成形されるのが一般的であり、パソコン、携帯電話等の電子機器内部の各種配線に流れる電流が作り出す不要電磁波の干渉の抑制や、電子機器からの不要電子波の輻射の抑制を目的として、それらの電子機器や機器内部の部品などに貼付して用いられている。なお、本発明においては、前記シート状のノイズ抑制体をノイズ抑制シートと称することとする。
電磁波とは、電界波と磁界波により形成されており、電界波か磁界波のどちらか一方を減衰させればもう一方も減衰する。それ故、遠方界を対象とする電磁波吸収体の場合の材料としては、導電体、誘電体、磁性体のいずれか1種類以上が用いられている。導電体、誘電体は電界波を減衰させることにより、また、磁性体は磁界波を減衰させることにより、電磁波を減衰させるものと考えられている。
導電性粉末を用いた技術として、例えば、コイル状の炭素繊維片を用いた電磁波シールド複合材料が知られている(特許文献1参照)。導電性粉末と磁性粉末を併用した技術として、例えば、導電性材料であるコイル状カーボンと磁性粉末を用いた電磁波吸収材料が知られている(特許文献2参照)。
一方、ノイズ抑制体の材料としては、導電体や誘電体は使用されずに、磁性体が主として使用されている。これは、ノイズ抑制体が対象としている近傍界では、電子機器内部の各種配線に流れる電流が作り出す磁界による電界の誘導が未だ十分でなく、電界波ではなく磁界波を減衰させる手段を講じることが必要と考えられていたためである。より詳しくは、導電体や誘電体は、磁性体と違って、電界に働きかけることにより、電磁波を熱エネルギーに変換して減衰させている、というのが従来の技術常識であり、導電体、誘電体を用いたシートでは、電子機器内部の各種配線に流れる電流が作り出す近傍界における磁界波ノイズに対して、抑制能を発揮しないと考えられていたためである。
前記磁性材料を用いたノイズ抑制体としては、例えば、スピネル系フェライト焼結体、六方晶フェライト焼結体の球状粉末、金属磁性体の扁平状粉末等を樹脂に混合したものが知られている(特許文献3参照)。
特開平5−21984号公報 特開2000−232295号公報 特許第3401650号公報
しかし、従来の磁性粉末を樹脂に混合したノイズ抑制体では、ノイズ抑制能が低く、特に1GHz以下の周波数域においてはごくわずかしかノイズ抑制能を発揮できていなかった。故にこれを高めるためにシート厚みを厚くする必要があり、小型化、軽量化のニーズに応えることができなかった。
そこで、本発明の解決しようとする課題は、磁性粉末を用いた従来のものよりもノイズ抑制能の高く、しかも薄型とすることができる、ノイズ抑制シートを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、前述したように、電子機器内部の各種配線に流れる電流が作り出す近傍界における磁界波ノイズに対して、抑制能が期待されていなかった導電体、誘電体のうち、誘電体について、ノイズ抑制シートとしての利用の可能性を種々検討しても、特に優れた効果は得られなかったが、導電体を用いたシートを、本発明者が実際に近傍界用のノイズ抑制シートとして使用してみたところ、従来の技術常識に反して、磁性体を用いたノイズ抑制シートよりも広帯域で、高い抑制能を発揮し、薄型化も可能となることを見出した。さらに、ノイズ抑制シートのノイズ抑制能と表面抵抗値の間には一定の密接な相関関係があり、ノイズ抑制シートのノイズ抑制能を好ましいものとするためには、ノイズ抑制シートの材料やその配合割合、厚みなどを個別に工夫するのではなく、前記した相関関係を利用して、表面抵抗値が特定の範囲内となるように工夫するだけで良いことをも見出した。また、前記ノイズ抑制シートと同様にして、近傍界におけるノイズ抑制を可能とする塗装物品を得ることができることも見出した。
なお、本発明者が、研究過程において、遠方界用に使用されていた導電性材料を用いた電磁波吸収体を、何ら工夫を凝らさずに、そのままノイズ抑制シートとして転用してみたところ、本発明によって得られるような、広帯域で、高い抑制能を有するという効果は得られなかった。そこで、従来の導電性材料を用いた電磁波吸収体の表面抵抗値を算出したところ、5000Ω/□程度であり、本発明者が見出した表面抵抗値の最適範囲を大きく上回っていることが分かった。
すなわち、本発明にかかるノイズ抑制シートは、近傍界におけるノイズを抑制するノイズ抑制シートであって、導電性粉末をバインダーに混合させてなり、厚みが250μm以下、表面抵抗値が10〜500Ω/□である、ことを特徴とする。
本発明にかかる塗装物品は、近傍界におけるノイズを抑制する塗膜を形成してなる塗装物品であって、導電性粉末とバインダーを必須成分とする塗料組成物を塗工してなり、表面抵抗値が10〜500Ω/□である、ことを特徴とする。
本発明によれば、広帯域で、高いノイズ抑制能を発揮するノイズ抑制シートが得られ、特に磁性粉末を樹脂に混合した従来のノイズ抑制シートではごくわずかしか抑制できなかった1GHz以下の周波数域におけるノイズに対しても効率的に抑制能を発揮することができる。このノイズ抑制シートは、ノイズ抑制能が高いことにより、薄型化が可能で、小型化、軽量化のニーズにも応えうる。また、本発明によれば、前記ノイズ抑制シートと同様のノイズ抑制能を発揮する塗装物品を提供することができる。
以下、本発明にかかるノイズ抑制シートおよび塗装物品について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔ノイズ抑制シート〕
本発明にかかるノイズ抑制シートは、近傍界におけるノイズを抑制するノイズ抑制シートであって、導電性粉末をバインダーに混合させてなり、厚みが250μm以下であり、より好ましくは、100μm以下である。厚みが薄いほど、小型化、軽量化することができ、電子部品の実装密度が高い回路への利用も可能となる。前記ノイズ抑制シートの表面抵抗値は10〜500Ω/□である。より好ましくは10〜200Ω/□、特に好ましくは10〜150Ω/□である。ノイズ抑制シートの表面抵抗値が10Ω/□未満であるとノイズの反射割合が大きくなりすぎ、肝心の吸収割合が小さくなりすぎ、500Ω/□を超えると高いノイズ抑制能が得られない。
前記ノイズ抑制シートは、シート表面を平滑にすることが好ましい。シート表面が平滑でないと、後述する四探針法による正確な表面抵抗値の測定が困難となってしまい、ノイズ抑制能と表面抵抗値の間に成立する前記相関関係を利用したノイズ抑制シートの設計が、正確に行い難くなる点で、好ましくない。また、シート表面を平滑にしておく方が、より小型化、軽量化が容易となるという利点がある。
〔塗装物品〕
本発明にかかる塗装物品は、近傍界におけるノイズを抑制する塗膜を形成してなる塗装物品であって、導電性粉末とバインダーを必須成分とする塗料組成物を塗工してなる。塗装物品の表面抵抗値は、前記のノイズ抑制シートと同様に、10〜500Ω/□である。より好ましくは10〜200Ω/□、特に好ましくは10〜150Ω/□である。表面抵抗値が10Ω/□未満であるとノイズの反射割合が大きくなりすぎ、肝心の吸収割合が小さくなりすぎ、500Ω/□を超えると高いノイズ抑制能が得られない。
〔導電性粉末〕
導電性を付与するためのフィラーであり、特に限定するわけではないが、例えば、金属、導電性金属酸化物、炭素材料、ウィスカーなどが挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
前記金属としては、特に限定するわけではないが、例えば、金、銀、銅、アルミなどが挙げられる。
前記導電性金属酸化物としては、特に限定するわけではないが、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどが挙げられる。
前記炭素材料としては、特に限定するわけではないが、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイルなどが挙げられる。
前記ウィスカーとしては、特に限定するわけではないが、例えば、チタン酸カリウィスカーなどが挙げられる。
前記導電性粉末の粒子径としては、特に限定するわけではないが、例えば1〜30μmであることが好ましい。より好ましくは、5〜20μである。1μm未満では樹脂中への均一分散が困難になるおそれがあり、30μmを超えるとノイズ抑制シートの抑制性能に対する異方性が高くなるおそれがある。
〔バインダー〕
導電性粉末を結合させ、成形性を付与し、さらに、ノイズ抑制シートの導電性を調整する役割も有する。前記バインダーとしては、特に限定するわけではないが、例えば、樹脂、パルプ、セラミックスなどが挙げられ、その用途や目的に応じて、その1種または2種以上を適宜選択すれば良い。
前記樹脂としては、限定するわけではないが、例えば、クロロプレンゴム、アクリルニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどの各種エラストマー、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
前記パルプとしては、限定するわけではないが、例えば、木材パルプ、竹パルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、ボロパルプ、リンターパルプなどが挙げられる。
前記セラミックスとしては、限定するわけではないが、例えば、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、ガラスおよびボロンナイトライド、セリサイト、酸化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
〔導電性粉末とバインダーの配合割合〕
上記導電性粉末とバインダーの配合割合は材料によって異なり一概には言えないが、例えば、導電性粉末が金属である場合には、その配合割合を、バインダー100重量部に対して2〜200重量部とすることが好ましい。より好ましくは5〜50重量部である。
導電性粉末が炭素材料である場合には、限定するわけではないが、例えば、その配合割合を、バインダー100重量部に対して5〜200重量部とすることが好ましい。より好ましくは10〜100重量部である。
導電性粉末がウィスカーである場合には、限定するわけではないが、例えば、その配合割合を、バインダー100重量部に対して2〜200重量部とすることが好ましい。より好ましくは5〜50重量部である。
〔他の材料〕
本発明にかかるノイズ抑制シート、塗料組成物には、本発明の効果を害しない範囲において、他の材料を用いても良い。具体的には、例えば、磁性粉末を用いることができる。
前記磁性粉末としては、特に限定するわけではないが、例えば、磁性合金金属(センダスト、パーマロイ)やフェライトを挙げることができる。フェライトは、MO・Feなる組成をもつ一群の鉄酸化物であり、Mは2価の金属イオンで、例えば、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+などである。金属酸化物と酸化鉄との粉末を混合し、圧縮成形した後に焼成することにより得ることができる。Mは1種だけに限らず、2種以上を組み合わせて混合し、固溶体をつくることにより、種々の磁気特性を生じさせることもできる。例えば、平均粒径100μm以下の粉末として使用できる。磁性粉末の配合割合としては、例えば、バインダー100重量部に対して0〜400重量部とすることが好ましい。より好ましくは20〜200重量部である。前記磁性粉末の粒子径としては、特に限定するわけではないが、例えば、1〜300μmであることが好ましい。より好ましくは10〜200μmである。
さらに、必要に応じて、溶剤、分散剤、可塑剤、架橋剤、老化防止剤、架橋促進剤、顔料などを1種または2種以上添加しても良い。
〔ノイズ抑制シートの製造〕
本発明にかかるノイズ抑制シートの製造方法は、特に限定されず、例えば、導電性粉末とバインダーを、ニーダー、ロールミル、インターミックス、バンバリーミキサーなどの公知の混練機を用いて混練した後に、押出成型などによってシートを得る方法や、導電性粉末とバインダーを溶剤に分散させ、これを基板に塗付した後に乾燥した後、基板から引き剥がしてシートを得る方法などが挙げられる。なお、ここでいう「シート」には、厚みの薄いフィルムも含まれる。
前記ノイズ抑制シートの厚みは、前記したように、250μm以下にする。
ノイズ抑制シートには、このシートを保護する目的で、クリア塗膜層や着色塗膜層を形成するようにしてもよい。
なお、本発明にかかるノイズ抑制シートは導電性を有しているため、電気導電性のある個所、すなわち、基板上の電気的導通がとられている配線の上や、MPUのリード端子のような箇所に直接貼付できない。そこでシート表面に絶縁性を保持させるため、ノイズ抑制シートの片面または両面に、絶縁シートを積層するのが良い。前記絶縁シートとしては、特に限定されないが、樹脂、パルプ、セラミックスなどが挙げられ、その用途や目的に応じて、その1種または2種以上を適宜選択すれば良い。前記絶縁性シートの厚みとしては5〜100μmとすることができる。
このようにして製造されるノイズ抑制シートは、ノイズ発生源または伝送線路を被覆することによって、ノイズを抑制するのに適している。具体的には、広帯域でノイズ抑制能が高いことにより、薄型化、小型化、軽量化が可能であり、ノイズ発生源または伝送線路を被覆することにより、すなわち、ノイズ抑制シートをノイズ発生源などに密着させることにより、ノイズの発生や伝播を効果的に抑制する使用方法に適している。被覆対象物としては、携帯電話や回路基板などがある。
〔塗装物品の製造および使用〕
本発明にかかる塗装物品の製造方法は、限定するわけではないが、例えば、導電性粉末とバインダーを溶剤に分散させてなる塗料組成物を、電子機器の筐体などに塗工したのちに、乾燥硬化させて得ることができる。
塗膜の膜厚としては、例えば、1〜250μmとすることができる。
このようにして製造される塗装物品は、電子機器からの不要電磁波の輻射を抑制するもの、具体的には、例えば、携帯電話やノートパソコンなどの筐体に好適に使用できる。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「重量%」を「%」と記すことがある。
実施例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
<表面抵抗値の測定>
表面抵抗値は、三菱油化株式会社製の抵抗率計(LorestaAP MCP−T400)を用いた四探針法にて測定した。
ここで、四探針法とは、試料に4本のプローブを直線上に配置し、外側の2本のプローブ間に電流を流したとき、内側の2本のプローブ間に生ずる電位差Vを測定することにより、材料の抵抗率を測定する手法である。
<伝送減衰率Rtp、反射減衰率S11、透過減衰率S21の測定>
IEC62333−1およびIEC62333−2に準拠して測定した。ここで伝送減衰率Rtpとは下式(1)で表され、値が大きいほどノイズ抑制能が高いことを表している。式中、S11は反射減衰率、S21は透過減衰率である。
Figure 2008244358
〔実施例1〕
バインダーとして塩素化ポリエチレンを100部、導電性粉末として平均繊維長8μmの炭素繊維粉末20部、溶剤としてトルエン867部を用い、各材料を混練して導電性ペーストを得、このペーストをアルミからなる基板に塗工した。次いでファンを用いて30℃で120分間減圧乾燥した後、基板から剥離することにより、表面が平滑なノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの厚みは88μmであり、表面抵抗値は26Ω/□であった。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、ノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの厚みは35μmであり、表面抵抗値は65Ω/□であった。
〔実施例3〕
平均繊維長8μmの炭素繊維粉末充填量を50部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの厚みは25μmであり、表面抵抗値は120Ω/□であった。
〔実施例4〕
平均繊維長8μmの炭素繊維粉末充填量を50部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの厚みは10μmであり、表面抵抗値は320Ω/□であった。
〔実施例5〕
平均繊維長8μmの炭素繊維粉末充填量を100部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの厚みは132μmであり、表面抵抗値は11Ω/□であった。
〔実施例6〕
導電性粉末として平均繊維長8μmの炭素繊維粉末50部に変更し、さらに磁性粉末として平均粒子径50μmのセンダスト粉末50部を追加添加した以外は実施例1と同様にして、ノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの厚みは118μmであり、表面抵抗値は25Ω/□であった。
〔実施例7〕
実施例6と同様にして、ノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの厚みは58μmであり、表面抵抗値は59Ω/□であった。
〔実施例8〕
実施例6と同様にして、ノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの厚みは42μmであり、表面抵抗値は81Ω/□であった。
〔実施例9〕
バインダーとしてFKM(商品名「ダイエルG902」、ダイキン工業社製)を100部、平均繊維長8μmの炭素繊維粉末充填量を20部、溶剤を4−メチル−2−ペンタノン153部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの厚みは116μmであり、表面抵抗値は42Ω/□であった。
〔実施例10〕
平均繊維長8μmの炭素繊維粉末充填量を10部、溶剤を4−メチル−2−ペンタノン120部に変更した以外は、実施例9と同様にして、ノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの厚みは44μmであり、表面抵抗値は161Ω/□であった。
〔比較例1〕
実施例6と同様にして、厚み22μmのノイズ抑制シートを得た。
得られたシートの表面抵抗値は39000Ω/□であった。
〔比較例2〕
磁性粉末をバインダーに充填させてなる市販のノイズ抑制シート「R4N」(商品名、NECトーキン社製)で、厚みが500μmのものを比較例2とした。
〔比較例3〕
磁性粉末をバインダーに充填させてなる市販のノイズ抑制シート「R4N」(商品名、NECトーキン社製)で、厚みが200μmのものを比較例3とした。
〔評価〕
実施例1〜5にかかるノイズ抑制シートについて、周波数毎の伝送減衰率Rtpと反射減衰率S11の変化を示すグラフを図1に、実施例6〜8にかかるノイズ抑制シートについて、周波数毎の伝送減衰率Rtpと反射減衰率S11の変化を示すグラフを図2に、実施例9,10にかかるノイズ抑制シートについて、周波数毎の伝送減衰率Rtpと反射減衰率S11の変化を示すグラフを図3に示している。比較例1〜3にかかるノイズ抑制シートについて、周波数毎の伝送減衰率Rtpと反射減衰率S11の変化を示すグラフを図4に示している。各グラフにおいて、実線は伝送減衰率Rtp、破線は反射減衰率S11に対応する。
これらの結果から、以下のことがわかる。
(1)図1に示すグラフを見ると、実施例1〜3にかかるノイズ抑制シートは広帯域で高いRtpを示しており、特に従来の磁性粉末を充填させてなるノイズ抑制シートでは低くなる1GHz以下の周波数域においても、高いRtpが発揮されていることが分かる。
(2)図1に示すグラフを見ると、実施例4にかかるノイズ抑制シートは、表面抵抗値が200Ω/□を越えているため、実施例1〜3にかかるノイズ抑制シートと比較して、全体的にRtpが低いことが分かる。実施例5にかかるノイズ抑制シートは、Rtpは高いものの、表面抵抗値が低すぎるため反射減衰率S11が大きくなりすぎており、これにより反射ノイズが信号源に戻ってしまうことによる信号源の二次障害が発生する危険性が高くなるので、ノイズ抑制シートとしては実施例1〜3よりも劣る。
(3)図2、図3に示すグラフを見ると、図1に示すグラフと同様の傾向が認められ、特に、構成材料が異なる場合であっても、表面抵抗値を10〜500Ω/□に設定することによって、Rtpの高い優れたノイズ抑制シートとなることが分かる。
(4)図1〜3から分かる通り、本発明にかかるノイズ抑制シートは薄型であっても高いRtpを発揮する。
(5)図4を見ると、比較例1にかかるノイズ抑制シートは、表面抵抗値が高すぎて、Rtpが非常に低くなっていることが分かる。また、比較例2,3にかかるノイズ抑制シートは、磁性粉末のみを用いたものであるため、実施例1〜10にかかる本発明のノイズ抑制シートのいずれと比較しても、シートの単位厚みあたりのRtpが低く、特に1GHz以下の周波数域に対してはRtpが非常に低いことが分かる。
〔実施例11〕
バインダーとして塩素化ポリエチレンを100部、導電性粉末として平均繊維長8μmの炭素繊維粉末20部、溶剤としてトルエン1000部を用い、各材料を混練して塗料組成物を得、この塗料組成物を樹脂からなる基板に塗工した。次いでファンを用いて30℃で120分間減圧乾燥することにより、表面が平滑な塗装物品を得た。
得られた塗装物品の塗膜の厚みは25μmであり、表面抵抗値は100Ω/□であった。
〔評価〕
(1)実施例11にかかる塗装物品についても、上述した方法により周波数毎の伝送減衰率Rtpと反射減衰率S11の変化を測定したところ、ノイズ抑制シートと同様、薄い膜厚で、1GHz未満の比較的に低周波数域においても、高いノイズ抑制能を発揮していることが分かった。
本発明にかかるノイズ抑制シートおよび塗装物品は、携帯電話や回路基板を被覆して、ノイズの発生や漏洩、相互干渉による誤作動を防止するために好適に利用できる。
実施例1〜5にかかるノイズ抑制シートの伝送減衰率Rtpと反射減衰率S11の周波数毎の変化を示すグラフである。 実施例6〜8にかかるノイズ抑制シートの伝送減衰率Rtpと反射減衰率S11の周波数毎の変化を示すグラフである。 実施例9,10にかかるノイズ抑制シートの伝送減衰率Rtpと反射減衰率S11の周波数毎の変化を示すグラフである。 比較例1〜3にかかるノイズ抑制シートの伝送減衰率Rtpと反射減衰率S11の周波数毎の変化を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 近傍界におけるノイズを抑制するノイズ抑制シートであって、導電性粉末をバインダーに混合させてなり、厚みが250μm以下、表面抵抗値が10〜500Ω/□である、ノイズ抑制シート。
  2. 前記導電性粉末が、金属、導電性金属酸化物、炭素材料およびウィスカーからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のノイズ抑制シート。
  3. 磁性粉末も含んでいる、請求項1または2に記載のノイズ抑制シート。
  4. 近傍界におけるノイズを抑制する塗膜を形成してなる塗装物品であって、導電性粉末とバインダーを必須成分とする塗料組成物を塗工してなり、表面抵抗値が10〜500Ω/□である、塗装物品。
  5. 前記導電性粉末が、金属、導電性金属酸化物、炭素材料およびウィスカーからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の塗装物品。
  6. 前記塗料組成物が磁性粉末も含んでいる、請求項4または5に記載の塗装物品。
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