JP2008244248A - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板を汚染することなく基板の周端面を良好に処理することができる基板処理装置および方法を提供する。
【解決手段】支持ピンによりスピンベース15から上方に離間させた状態で基板Wを略水平姿勢で支持する。支持ピンに支持された基板Wの表面Wfに対向部材5が配置され、対向部材5の下面501と基板表面Wfとの間に形成される間隙空間SPに窒素ガスが供給される。これにより、基板Wが支持ピンに押圧されてスピンベース15に保持される。また、対向部材5のノズル挿入孔52に第1ノズル3が挿入された状態で、第1ノズル3から回転する基板Wの表面周縁部TRに向けてフッ硝酸を吐出させて該表面周縁部TRに連なる周端面EFに供給する。これにより、基板Wの周端面EFが全周にわたってエッチング処理される。
【選択図】図1

Description

この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板を回転させながら基板の周端面に対して所定の表面処理を施す基板処理装置および基板処理方法に関する。
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品の製造工程では、基板の表面に成膜やエッチングなどの処理を繰り返し施して微細パターンを形成していく工程が含まれる。この製造工程の過程においては、基板の周端面にパーティクル等の不要物が付着しており、このような不要物は他の装置との接触により剥がれたりすることがある。そして、剥がれた不要物が基板の表面中央部(デバイス形成領域)や基板処理装置に付着することが原因となって製造品の歩留まりの低下や基板処理装置自体のトラブルを引き起こすことがある。また、搬送機構により基板を装置に搬送する際に基板の周端面と搬送機構とが接触することで基板の周端面にはキズや欠け等の欠陥も存在している。そして、このような欠陥は後工程で基板の割れ等の重大な不具合を引き起こしてしまうこととなる。
そこで、このような課題に対処するために、例えば特許文献1に記載された装置が提案されている。この装置は、基板の周端面に当接して基板を保持するとともに基板を回転させる複数の保持用ローラと、これら保持用ローラによって保持された基板の周端面に対して表面処理(洗浄処理)を行うためのブラシとを備えている。そして、基板の周端面に対して表面処理を施す際には、保持用ローラを回転駆動させることで基板を回転させるとともに、基板の周端面とブラシとを互いに当接させている。これにより、ブラシと基板の周端面との当接位置が変化し、基板の周端面とブラシとが互いに摺動しながら、基板の周端面の全周に対して物理的な表面処理が実行される。
また、基板の周端面に対して物理的な表面処理を施す以外に、基板の周端面をエッチング液によりエッチングすることで基板の周端面に対して化学的な表面処理を行う方法が提案されている。例えば、特許文献2に記載の技術では、エッチング液としてフッ硝酸を用いて半導体ウエハの周縁部に対して面取り(基板の周縁部に丸みを形成)を行って半導体ウエハを作成している。
特開2001−212528号公報(第6−7頁) 特開平5−291215号公報(第2頁)
ところで、上記特許文献1に記載の装置では、基板を回転させながらブラシを基板の周端面に当接させることで基板の周端面に対して表面処理を施すことができるものの、以下に示すような問題があった。すなわち、上記した装置では、基板の周端面とブラシとを互いに摺動させながら表面処理を行っているため、ブラシが磨耗して、あるいは基板が削り取られることによってパーティクルが発生してしまうことがあった。また、保持用ローラによって基板の周端面を保持しながら基板を回転させているので、保持用ローラと基板とが互いに摺動して該摺動部分からパーティクルが発生してしまう。このため、ブラシによって基板の周端面に対して表面処理を施しても、表面処理時に発生したパーティクルにより基板が汚染される結果となり、実質的には基板を汚染させながら処理している状態となっていた。
また、特許文献2に記載の技術は基板自体を作成する際に適用される技術であって、このように作成された基板に対して微細パターンを形成していく製造工程の過程にそのまま適用することはできない。そこで、基板を汚染することなく基板の周端面を良好に処理することができる装置が従来より要望されていた。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板を汚染することなく基板の周端面を良好に処理することができる基板処理装置および方法を提供することを目的とする。
この発明にかかる基板処理装置は、上記目的を達成するため、鉛直軸回りに回転自在に設けられた回転部材と、回転部材を回転させる回転手段と、回転部材に上方に向けて突設され、基板の下面に当接して基板を回転部材から離間させて支持する3個以上の支持部材と、支持部材に支持された基板の上面に対向する基板対向面を有し、該基板対向面を基板上面に対向させながら離間配置された対向部材と、基板対向面と基板上面との間に形成される間隙空間にガスを供給して基板を支持部材に押圧させて回転部材に保持させる押圧手段と、基板の上面周縁部に向けてフッ硝酸を吐出して基板の上面周縁部から該上面周縁部に連なる基板の周端面にフッ硝酸を供給するノズルとを備え、回転部材に保持された基板を回転させながらノズルから基板の周端面にフッ硝酸を供給して該周端面に対してエッチング処理を施すことを特徴としている。
また、この発明にかかる基板処理方法は、上記目的を達成するため、回転部材に上方に向けて突設された3個以上の支持部材を基板の下面に当接させて基板を回転部材から離間させて支持する基板支持工程と、基板対向面を有する対向部材を支持部材に支持された基板の上面に対向して配置する配置工程と、基板対向面と基板上面との間に形成される間隙空間にガスを供給して基板を支持部材に押圧させて回転部材に保持させる押圧工程と、回転部材に基板を保持させながら回転部材を回転させる回転工程と、回転工程と並行して、ノズルから基板の上面周縁部に向けてフッ硝酸を吐出して基板の上面周縁部から該上面周縁部に連なる基板の周端面にフッ硝酸を供給することで該周端面に対してエッチング処理を施す供給工程とを備えたことを特徴としている。
このように構成された発明(基板処理装置および方法)では、基板がその下面に当接する3個以上の支持部材により支持されるとともに、間隙空間に供給されるガスによって支持部材に押圧されて回転部材に保持される。そして、回転部材が回転されると、支持部に押圧された基板は支持部材と基板との間に発生する摩擦力によって支持部材に支持されながら回転部材とともに回転する。また、ノズルから基板の上面周縁部に向けてフッ硝酸が吐出されて基板の上面周縁部から該上面周縁部に連なる周端面に供給される。これによって、基板の周端面が全周にわたってフッ硝酸によりエッチング処理され、基板の周端面から該周端面に付着する不要物が基板材料ごと除去される。また、基板の周端面にキズや欠け等の欠陥が存在する場合であっても、基板材料がエッチング除去されることで欠陥の度合いを緩和または欠陥を修復することができる。しかも、基板はその周端面に当接する当接部材がない状態で回転されながらエッチング処理される。したがって、基板を汚染することなく基板の周端面を隈なく良好に処理することができる。
ここで、基板対向面が基板の上面周縁部に対向する位置に開口部を有するノズル挿入孔を対向部材に設けて、ノズルをノズル挿入孔に挿入させた状態でノズルから基板の上面周縁部に向けてフッ硝酸を吐出するように構成してもよい。この構成によれば、対向部材を基板上面に対向させながら基板の上面周縁部に向けてノズルから直接にフッ硝酸を吐出させることができる。したがって、対向部材が基板上面を覆うことで基板の上面中央部にフッ硝酸が付着するのを防止しながら、基板の上面周縁部に連なる基板の周端面に確実にフッ硝酸を供給することができる。
また、基板の下面にリンス液を供給することによって基板下面をリンス液で覆うカバーリンス手段をさらに備えるようにしてもよい。この構成によれば、基板下面がリンス液で保護されることから、ノズルから吐出されたフッ硝酸が基板下面へ跳ね返ることがあっても、基板下面にフッ硝酸が付着するのを防止することができる。
また、基板の周端面に酸化膜を含む不要物が形成されている場合には、ノズルからのフッ硝酸の吐出に先立って、フッ酸供給手段から基板の周端面にフッ酸を供給することにより周端面から不要物をエッチング除去することが好ましい。フッ酸は酸化膜に対するエッチング選択性がフッ硝酸に比較して高い。すなわち、フッ硝酸は酸化膜をエッチング除去する際に、酸化膜に対するエッチングレートよりも高いエッチングレートで酸化膜以外の不要物(金属膜や基板材料など)をエッチング除去する。これに対し、フッ酸は酸化膜をエッチング除去する際に、酸化膜以外の不要物(金属膜や基板材料など)はほとんどエッチングせずに、酸化膜を選択的にエッチング除去する。このため、基板の周端面に酸化膜が形成されている場合には、フッ硝酸の基板の周端面への供給に先立ってフッ酸を基板の周端面に供給することにより、酸化膜の膜厚が基板の周端面の全周において異なる場合であっても、酸化膜以外の不要物をほとんどエッチングすることなく酸化膜全体を良好にエッチング除去することができる。その後、フッ硝酸を基板の周端面に供給することによって酸化膜以外の不要物をエッチング除去することができる。これにより、基額の周端面の全周において不要物に対するエッチング処理の均一性を高めることができ、エッチング処理の精度を高めることができる。
また、フッ酸供給手段をフッ硝酸とフッ酸とを選択的に吐出可能とされたノズルとし、制御手段がノズルからのフッ硝酸およびフッ酸の吐出を制御して、フッ硝酸の吐出に先立ってフッ酸をノズルから吐出させて基板の周端面から不要物をエッチング除去するようにしてもよい。
また、基板の周端面から径方向外側に所定の隙間だけ離間配置された端面近接部を対向部材に設けて、ノズルから基板の周端面と端面近接部との間に形成される空間にフッ硝酸を供給することによって該空間においてフッ硝酸による液密状態を形成して基板の周端面に対してエッチング処理を施すようにしてもよい。この構成によれば、基板の周端面と端面近接部との間に形成される空間にフッ硝酸による液密状態が形成されるので基板の周端面にフッ硝酸を滞留させることができる。つまり、基板はその周端面に当接する当接部材がない状態で回転されながら処理されることから、フッ硝酸による液密状態の形成を可能としてノズルから供給されるフッ硝酸を基板の周端面に滞留させることができる。したがって、基板の周端面に対するエッチング処理の進行を促進させることができる。すなわち、フッ硝酸によるエッチング処理を効率良く進行させるためには、被処理面となる基板の周端面にフッ硝酸を所定時間だけ滞留させるのが好ましい。そこで、上記のように基板の周端面と端面近接部との間に形成される空間にフッ硝酸による液密状態を形成することにより、基板の周端面にフッ硝酸を滞留させて基板の周端面に供給されたフッ硝酸が該周端面に接触している時間が長くなり、エッチング処理の効率を高めることができる。
この発明によれば、基板はその周端面に当接する当接部材がない状態で回転されながら基板の周端面にフッ硝酸が供給され、該基板の周端面が全周にわたってエッチング処理される。したがって、基板を汚染することなく基板の周端面を良好に処理することができる。
<第1実施形態>
図1はこの発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。この基板処理装置は、半導体ウエハ等の略円形基板Wの表面周縁部TRに連なる周端面EF(以下、基板Wの表面周縁部TRおよび周端面EFを併せて「基板端部」という)に対して膜除去処理(エッチング工程+リンス工程+乾燥工程)を施して基板Wの周端面EFに存在する薄膜(不要物)をエッチング除去する装置である。なお、この実施形態では、基板表面Wfとはデバイスパターンが形成されるパターン形成面を意味している。
この基板処理装置は、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させるスピンチャック1と、スピンチャック1に保持された基板Wの下面(裏面Wb)の中央部に向けて処理液を供給する下面処理ノズル2と、基板表面側からスピンチャック1に保持された基板Wの表面周縁部TRに向けてエッチング液を供給する第1ノズル3(本発明の「ノズル」に相当)と、基板表面側から基板Wの表面周縁部TRにリンス液を供給する第2ノズル4と、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfに対向配置された対向部材5とを備えている。
スピンチャック1では、中空の回転支軸11がモータを含むチャック回転機構13の回転軸に連結されており、チャック回転機構13の駆動により回転中心A0を中心に回転支軸11が回転可能となっている。この回転支軸11の上端部にはスピンベース15が一体的にネジなどの締結部品によって連結されている。したがって、装置全体を制御する制御ユニット8からの動作指令に応じてチャック回転機構13を駆動させることによりスピンベース15が回転中心A0を中心に回転する。このように、この実施形態では、チャック回転機構13が本発明の「回転手段」として、スピンベース15が本発明の「回転部材」として機能する。
また、中空の回転支軸11には処理液供給管21が挿通されており、その上端に下面処理ノズル2が結合されている。処理液供給管21はリンス液供給ユニット16と接続されており、リンス液としてDIWが供給される。また、回転支軸11の内壁面と処理液供給管21の外壁面の隙間は、環状のガス供給路23を形成している。このガス供給路23はガス供給ユニット18と接続されており、基板裏面Wbと該基板裏面Wbに対向するスピンベース15の上面とに挟まれた空間に窒素ガスを供給できる。なお、この実施形態では、ガス供給ユニット18から窒素ガスを供給しているが、空気や他の不活性ガスなどを吐出するように構成してもよい。
図3はスピンベースを上方から見た平面図である。スピンベース15の中心部には開口が設けられている。また、スピンベース15の周縁部付近には複数個(この実施形態では6個)の第1支持ピンF1〜F6と、複数個(この実施形態では6個)の第2支持ピンS1〜S6とが本発明の「支持部材」として昇降自在に設けられている。第1支持ピンF1〜F6は回転中心A0を中心として放射状に略等角度間隔でスピンベース15から上方に向けて突設されているとともに、第2支持ピンS1〜S6が円周方向に沿って各第1支持ピンF1〜F6の間に位置するように、回転中心A0を中心として放射状に略等角度間隔でスピンベース15から上方に向けて突設されている。つまり、第1および第2支持ピンからなる一対の支持ピンが円周方向に沿って回転中心A0を中心として放射状に6対、スピンベース15の周縁部に上方に向けて設けられている。
第1支持ピンF1〜F6および第2支持ピンS1〜S6の各々は基板裏面Wbと当接することによって、スピンベース15から所定距離だけ上方に離間させた状態で基板Wを略水平姿勢で支持可能となっている。これらのうち、周方向に沿って1つ置きに配置された6個の第1支持ピンF1〜F6は第1支持ピン群を構成し、これらは連動して基板Wを支持し、または基板裏面Wbから離間してその支持を解除するように動作する。一方で、残る6個の第2支持ピンS1〜S6は第2支持ピン群を構成し、これらは連動して基板Wを支持し、または基板裏面Wbから離間してその支持を解除するように動作する。なお、基板Wを水平に支持するためには、各支持ピン群が有する支持ピンの個数は少なくとも3個以上であればよいが、各支持ピン群が有する支持ピンの個数を6個とすることで安定して基板Wを支持できる。
図4は支持ピンの構成を示す部分拡大図である。なお、支持ピンF1〜F6,S1〜S6の各々はいずれも同一構成を有しているため、ここでは1つの支持ピンF1の構成についてのみ図面を参照しつつ説明する。支持ピンF1は、基板Wの下面に離当接可能な当接部61と、当接部61を昇降可能に支持する可動ロッド62と、この可動ロッド62を昇降させるモータ等を含む昇降駆動部63と、可動ロッド62を取り囲むように設けられ可動ロッド62と昇降駆動部63とを外部雰囲気から遮断するベローズ64とを有している。ベローズ64は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)より形成され、エッチング液により基板Wを処理する際に、ステンレス鋼(SUS)またはアルミニウム等から形成される可動ロッド62を保護する。また、当接部61は耐薬性を考慮して、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)で形成されるのが好ましい。ベローズ64の上端部は当接部61の下面側に固着される一方、ベローズ64の下端部はスピンベース15の上面側に固着されている。
上記した構成を有する支持ピンF1〜F6,S1〜S6では、昇降駆動部63が制御ユニット8からの駆動信号に基づき図示省略する駆動連結部を介して可動ロッド62を1〜数mmのストロークで駆動させることにより、次のように基板Wを支持する。すなわち、昇降駆動部63を駆動させない状態では、所定の高さ位置(基板処理位置)で基板Wを支持するように支持ピンF1〜F6,S1〜S6の各々はコイルばね等の付勢手段(図示せず)によって上向きに付勢されており、基板Wは支持ピンF1〜F6からなる第1支持ピン群と、支持ピンS1〜S6からなる第2支持ピン群との両方の支持ピン群により支持される。一方で、支持ピンS1〜S6を付勢力に抗して下降駆動させると、支持ピンS1〜S6の当接部61は基板裏面Wbから離間して基板Wは支持ピンF1〜F6からなる第1支持ピン群のみにより支持される。また、支持ピンF1〜F6を付勢力に抗して下降駆動させると、支持ピンF1〜F6の当接部61は基板裏面Wbから離間して基板Wは支持ピンS1〜S6からなる第2支持ピン群のみにより支持される。
図1に戻って説明を続ける。スピンチャック1の上方には、スピンチャック1に保持された基板Wに対向する円盤状の対向部材5が水平に配設されている。対向部材5はスピンチャック1の回転支軸11と同軸上に配置された回転支軸51の下端部に一体回転可能に取り付けられている。この回転支軸51には対向部材回転機構53が連結されており、制御ユニット8からの動作指令に応じて対向部材回転機構53のモータを駆動させることで対向部材5を回転中心A0を中心に回転させる。また、制御ユニット8は対向部材回転機構53をチャック回転機構13と同期するように制御することで、スピンチャック1と同じ回転方向および同じ回転速度で対向部材5を回転駆動できる。
また、対向部材5は対向部材昇降機構55と接続され、対向部材昇降機構55の昇降駆動用アクチュエータ(例えばエアシリンダーなど)を作動させることで、対向部材5をスピンベース15に近接して対向させたり、逆に離間させることが可能となっている。例えば基板処理装置に対して基板Wが搬入出される際には、制御ユニット8はスピンチャック1から上方に十分に離れた離間位置に対向部材5を上昇させる。その一方で、基板Wに対して膜除去処理を施す際には、制御ユニット8はスピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された対向位置まで対向部材5を下降させる。これにより、対向部材5の下面501(本発明の「基板対向面」に相当)と基板表面Wfとが近接した状態で対向配置される。
この対向部材5の中心の開口および回転支軸51の中空部には、ガス供給路57が形成されている。このガス供給路57はガス供給ユニット18と接続されており、対向部材5の下面501と基板表面Wfとの間に形成される間隙空間SPに窒素ガスを供給可能となっている。
図5は対向部材の下面を見た図である。また、図6はノズルとノズル挿入孔とを示す部分斜視図である。また、図7はノズル挿入孔に挿入された第1および第2ノズルの様子を示す断面図である。この対向部材5の下面501は基板Wの直径と同等以上の平面サイズを有している。このため、対向部材5が対向位置に配置されると基板表面全体を覆って基板表面Wf上の雰囲気を外部雰囲気から遮断可能となっている。
この対向部材5の下面501には、複数のガス吐出口502が形成されている。これらのガス吐出口502はスピンチャック1に保持される基板Wの表面中央部、つまり表面周縁部TRより径方向内側の非処理領域NTR(図1)に対向する位置に、回転中心A0を中心とする円周に沿って等角度間隔に形成されている。これらのガス吐出口502は対向部材5の内部に形成されたガス流通空間503に連通しており、ガス供給ユニット18からガス流通空間503に窒素ガスが供給されると、複数のガス吐出口502を介して窒素ガスが間隙空間SPに供給される。
そして、対向部材5が対向位置に位置決めされた状態で、複数のガス吐出口502およびガス供給路57から間隙空間SPに窒素ガスが供給されると、間隙空間SPの内部圧力が高まり基板Wがその裏面Wbに当接する支持ピンF1〜F6,S1〜S6に押圧される。この押圧状態のまま制御ユニット8の動作指令に応じてスピンベース15が回転すると、基板裏面Wbと支持ピンF1〜F6,S1〜S6との間に発生する摩擦力によって基板Wが支持ピンF1〜F6,S1〜S6に支持されながらスピンベース15とともに回転する。なお、間隙空間SPに供給された窒素ガスは基板Wの径方向外側へと流れていく。このように、この実施形態では、ガス供給ユニット18が本発明の「押圧手段」として機能する。
この対向部材5の周縁部には、対向部材5を上下方向(鉛直軸方向)に貫通するノズル挿入孔52(図1)が形成され、対向部材5の下面501に開口部521が形成されている。第1ノズル3と第2ノズル4は同一のノズル外径を有しており、ノズル挿入孔52は第1および第2ノズル3,4を個別に挿入可能に形成されている。そして、このノズル挿入孔52に第1ノズル3または第2ノズル4が挿入されて該挿入状態でノズル挿入孔52から基板Wの表面周縁部TRに向けてエッチング液またはリンス液をそれぞれ吐出して表面周縁部TRおよび該表面周縁部TRに連なる周端面EFに供給することができる。ここでは、第1ノズル3とノズル挿入孔52の構成について図1、図2、図6および図7を参照しつつさらに詳述する。
第1ノズル3は水平方向に延びるノズルアーム31の一方端に取り付けられている。このノズルアーム31の他方端は第1ノズル移動機構33(図2)に接続されている。さらに、第1ノズル移動機構33は第1ノズル3を水平方向に所定の回動軸回りに揺動させるとともに、第1ノズル3を昇降させることができる。このため、制御ユニット8からの動作指令に応じて第1ノズル移動機構33が駆動されることで、第1ノズル3を対向部材5のノズル挿入孔52に挿入して表面周縁部TRに向けてエッチング液を供給可能な供給位置P1と、基板Wから離れた待機位置P21とに移動させることができる。
第1ノズル3は対向部材5に設けられたノズル挿入孔52の形状に合わせた形状を有している。すなわち、第1ノズル3のノズル外径は必要以上にノズル挿入孔52の孔径を大きくすることのないように、例えばφ5〜6mm程度に形成される。また、第1ノズル3では、略円筒状に形成されたノズル胴部の断面積がノズル先端側と後端側で異なるように構成されている。具体的には、ノズル先端側の胴部302の断面積がノズル後端側の胴部303の断面積より小さくなるように構成されており、ノズル先端側の胴部302とノズル後端側の胴部303との間に段差面304が形成されている。すなわち、ノズル先端側の胴部302の外周面(側面)とノズル後端側の胴部303の外周面(側面)は段差面304を介して結合されている。この段差面304はノズル先端側の胴部302を取り囲むように、しかもスピンチャック1に保持された基板表面Wfに略平行に形成されている。
また、第1ノズル3の内部には液供給路301が形成されている。この液供給路301はノズル後端部においてミキシングユニット17(図2)に接続されている。ミキシングユニット17はフッ酸を供給するフッ酸供給ユニット17Aと硝酸を供給する硝酸供給ユニット17Bとに接続されており、フッ酸供給ユニット17Aおよび硝酸供給ユニット17Bからそれぞれフッ酸と硝酸の供給を受けることが可能となっている。したがって、制御ユニット8からの動作指令に応じてフッ酸供給ユニット17Aおよび硝酸供給ユニット17Bが作動することでミキシングユニット17においてフッ酸と硝酸とが所定の比率(例えば、HF:HNO3=1:5〜10)で混合され、フッ酸と硝酸との混合液(フッ硝酸)が生成される。これにより、フッ硝酸がエッチング液としてミキシングユニット17から液供給路301に供給される。一方、液供給路301の先端部(下端部)には、第1ノズル3の吐出口301aが形成されている。この吐出口301aは基板Wの径方向外側に向けて開口している。このため、ミキシングユニット17からフッ硝酸が液供給路301に圧送されると、第1ノズル3からフッ硝酸が吐出されて表面周縁部TRに供給される。こうして供給されたフッ硝酸は基板Wの径方向外側に向かって流れ、表面周縁部TRから該表面周縁部TRに連なる周端面EFを伝って基板外に排出される。したがって、フッ硝酸の供給位置よりも径方向内側の非処理領域NTRにはフッ硝酸は供給されず、基板Wの周端面EFおよび該周端面EFから内側に向かって一定の幅(周縁エッチング幅)の表面領域から不要物がエッチング除去される(図7(a))。
一方、ノズル挿入孔52は次のように構成されている。このノズル挿入孔52の内壁には、図6に示すように、第1ノズル3の段差面304と当接可能な円環状の当接面522が形成されている。そして、第1ノズル3がノズル挿入孔52に挿入されると、段差面304と当接面522とが当接することで、第1ノズル3が供給位置P1に位置決めされる。また、この位置決め状態で第1ノズル3の先端面は対向部材5の下面(基板対向面)501と面一になっている。なお、当接面522は対向部材5の下面501と略平行に、つまり基板表面Wfと略平行に形成されており、第1ノズル3の段差面304と面接触するようになっている。このため、第1ノズル3を供給位置P1に位置決めする際に、第1ノズル3が対向部材5に当接して位置固定され、第1ノズル3を安定して位置決めすることができる。
次に第2ノズル4の構成について説明する。第1および第2ノズル3,4は吐出する液の種類が異なる点を除いて同一に構成されていることから、ここでは、相違点を中心に説明する。第2ノズル移動機構43(図2)はノズルアーム41の先端に取り付けられた第2ノズル4を水平方向に所定の回動軸回りに揺動させるとともに、第2ノズル4を昇降させることができる。このため、制御ユニット8からの動作指令に応じて第2ノズル移動機構43が駆動されることで、第2ノズル4を対向部材5のノズル挿入孔52に挿入して表面周縁部TRに向けてリンス液を供給可能な供給位置P1と、基板Wから離れた待機位置P22とに移動させることができる。
また、第2ノズル4はリンス液供給ユニット16と接続されており、制御ユニット8からの動作指令に応じてリンス液供給ユニット16からリンス液としてDIWを第2ノズル4に圧送可能となっている。第2ノズル4にDIWが圧送されると、第2ノズル4からDIWが基板Wの径方向外側に向けて吐出される。これにより、表面周縁部TRにDIWが供給されるとともに、基板Wの径方向外側に向かって流れ、表面周縁部TRから該表面周縁部TRに連なる周端面EFを伝って基板外に排出される。したがって、基板端部に残留するエッチング液を洗い流し、基板Wから除去することができる(図7(b))。なお、リンス液としては、DIWの他、炭酸水、水素水、希薄濃度(例えば1ppm程度)のアンモニア水および希薄濃度の塩酸などであってもよい。
ノズル挿入孔52の孔径は第1および第2ノズル3,4の外径よりも大きく形成されている。このため、ノズル挿入孔52の内部空間で第1および第2ノズル3,4を水平方向に互いに異なる位置に位置決めすることが可能となっている。そこで、この実施形態では、供給位置P1として第1ノズル3の供給位置P11(エッチング液供給位置)に対して第2ノズル4の供給位置P12(リンス液供給位置)を基板Wの径方向内側に設定している。ノズル挿入孔52の孔径としては、第1および第2ノズル3,4の外径に対して1〜2mm程度大きく形成することが好ましく、第2ノズル4の供給位置P12は第1ノズル3の供給位置P11に対して、例えば0.2〜0.5mmだけ基板Wの径方向内側の位置に設定される。
また、対向部材5のノズル挿入孔52の内壁には、ガス導入口505が開口されており、ガス導入口505からノズル挿入孔52の内部空間に窒素ガスを供給可能となっている。ガス導入口505はガス流通空間503を介してガス供給ユニット18に連通している。したがって、ガス供給ユニット18から窒素ガスが圧送されると、ノズル挿入孔52の内部空間に窒素ガスが供給される。これにより、第1および第2ノズル3,4が待機位置P21、P22に位置決めされた状態、つまり、第1および第2ノズル3,4がノズル挿入孔52に未挿入の状態では、ノズル挿入孔52の上下双方の開口から窒素ガスが噴出される。このため、ノズル挿入孔52にノズルが未挿入の状態でも、エッチング液およびリンス液がノズル挿入孔52の内壁に付着するのが防止される。
次に、上記のように構成された基板処理装置の動作について図8を参照しつつ説明する。図8はこの発明の第1実施形態にかかる基板処理装置の動作を示すフローチャートである。この装置では、未処理の基板Wが装置内に搬入されると、制御ユニット8が装置各部を制御して該基板Wに対して一連の膜除去処理(エッチング工程+リンス工程+乾燥工程)が実行される。ここでは、基板表面Wfに薄膜TF(図7)が形成された基板Wに対して所定の処理を行う動作について説明する。つまり、基板表面Wfが薄膜形成面になっている。そこで、この実施形態では、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wが装置内に搬入される。なお、基板搬入時においては、対向部材5は離間位置にあり、基板Wとの干渉を防止している。
未処理の基板Wが支持ピンF1〜F6,S1〜S6に載置されると、離間位置にある対向部材5のガス吐出口502から窒素ガスを吐出させるとともに、ガス供給路57から窒素ガスを吐出する(ステップS1:基板支持工程)。次に、対向部材5を回転させて、ノズル挿入孔52が所定位置となるように対向部材5を回転方向に関して位置決めする(ステップS2)。その後、対向部材5が対向位置まで降下され基板表面Wfに近接配置される(ステップS3:配置工程)。これによって、間隙空間SPの内部圧力が高められ、基板Wはその下面(裏面Wb)に当接する支持ピンF1〜F6,S1〜S6に押圧されてスピンベース15に保持される(押圧工程)。また、基板表面Wfは対向部材5の下面501に覆われて基板周囲の外部雰囲気から確実に遮断される。なお、上記のように基板Wはすべての支持ピンF1〜F6,S1〜S6で支持してもよいし、支持ピンF1〜F6からなる第1支持ピン群のみにより支持してもよく、あるいは支持ピンS1〜S6からなる第2支持ピン群のみにより支持してもよい。
次に、対向部材5を停止させた状態で基板Wを回転させる(ステップS4:回転工程)。このとき、支持ピンF1〜F6,S1〜S6に押圧された基板Wは支持ピンF1〜F6,S1〜S6と基板裏面Wbとの間に発生する摩擦力でスピンベース15に保持されながらスピンベース15とともに回転する。また、第1ノズル3が待機位置P21から供給位置P11に位置決めされる(ステップS5)。具体的には、第1ノズル3を水平方向に沿って対向部材5のノズル挿入孔52の上方位置に移動させる。そして、第1ノズル3を降下させてノズル挿入孔52に挿入する。
そして、基板Wの回転速度が所定速度に達すると、第1ノズル3からフッ硝酸を吐出させて回転する基板Wの表面周縁部TRに連続的に供給する(供給工程)。これにより、表面周縁部TRおよび該表面周縁部TRに連なる周端面EFから薄膜TF(不要物)が基板材料(シリコン基板である場合にはシリコン)ごと全周にわたってエッチング除去される(ステップS6)。また、基板Wの周端面EFにキズや欠け等の欠陥が存在する場合であっても、基板材料がエッチング除去されることで欠陥の度合いが緩和または欠陥が修復される。なお、フッ硝酸により不要物を確実にエッチング除去するために、基板Wの回転速度はフッ硝酸を基板端部に所定時間だけ滞留させることを考慮して設定される。つまり、エッチングが進行する前にフッ硝酸が基板端部から排出されない程度に基板Wの回転速度が設定される。
また、基板端部へのフッ硝酸の供給に先立って下面処理ノズル2から回転する基板Wの裏面Wbに比較的小流量のDIWが供給され、裏面Wbの全面がDIWにより覆われる。これにより、第1ノズル3から吐出されたフッ硝酸が基板裏面Wbへ跳ね返ることがあっても、基板裏面Wbにフッ硝酸が付着するのを防止することができる。下面処理ノズル2からのDIWの供給は基板端部に対するエッチング処理またはリンス処理が完了するまで継続される。このように、この実施形態では下面処理ノズル2が本発明の「カバーリンス手段」として機能する。
こうして所定時間のエッチング処理が完了するとフッ硝酸の供給が停止され、第1ノズル3が供給位置P11から待機位置P21に位置決めされる(ステップS7)。続いて、第2ノズル4が待機位置P22から供給位置P12に位置決めされる(ステップS8)。その後、回転する基板Wの表面周縁部TRに向けて第2ノズル4からDIWが吐出される。その結果、表面周縁部TRに供給されたDIWが基板Wの径方向外側に向かって流れ、周端面EFを伝って基板外に排出される。そして、基板端部の全周にわたってDIWが供給されることにより、基板端部に対してリンス処理が施される(ステップS9)。ここで、第2ノズル4から吐出されたDIWは、基板Wの回転に伴う遠心力を受けて基板Wの径方向外向きに流れることから、第2ノズル4が供給位置P11に対して基板Wの径方向内側に位置する供給位置P12に位置決めされることで、フッ硝酸の供給範囲を含み、しかもフッ硝酸の供給範囲よりも広い範囲にDIWを供給することができる。このため、表面周縁部TR(処理領域)と表面中央部(非処理領域NTR)との界面に付着するフッ硝酸をDIWによって容易に洗い流すことができる。
リンス処理が完了した後、第2ノズル4が供給位置P12から待機位置P22に位置決めされる(ステップS10)。また、対向部材5の回転を開始させるとともに(ステップS11)、基板Wおよび対向部材5を高速(例えば1500rpm)に回転させる。これにより、基板Wの乾燥が実行される(ステップS12)。このとき、基板表面Wfへの窒素ガス供給と併せてガス供給路23からも窒素ガスを供給して基板Wの表裏面Wf,Wbに窒素ガスを供給することで、基板Wの乾燥処理が促進される。
基板Wの乾燥処理が終了すると、対向部材5の回転を停止させる同時に、基板Wの回転を停止させる(ステップS13)。そして、対向部材5が上昇された後(ステップS14)、ガス供給路57およびガス吐出口502からの窒素ガスの供給を停止する(ステップS15)。これにより、基板Wの支持ピンF1〜F6,S1〜S6への押圧保持が解除され、処理済の基板Wが装置から搬出される。
以上のように、この実施形態によれば、第1ノズル3から回転する基板Wの表面周縁部TRに向けてフッ硝酸を吐出させて表面周縁部TRから該表面周縁部TRに連なる周端面EFに供給している。このため、基板Wの周端面EFが全周にわたってフッ硝酸によりエッチング処理され、周端面EFから不要物を基板材料ごと除去することができる。また、周端面EFにキズや欠け等の欠陥が存在する場合であっても、このような欠陥の度合いを緩和または欠陥を修復することができる。
しかも、基板Wはその周端面EFに当接する当接部材がない状態で回転されながらフッ硝酸によりエッチング処理されるので、パーティクルの発生を防止することができる。すなわち、周端面EFはブラシ等と摺動することなく全周にわたって処理されるので、摺動部分からのパーティクル発生を防止することができる。したがって、基板Wを汚染させることなく基板Wの周端面EFを隈なく良好に処理することができる。
また、基板Wの周端面EFから内側に切り欠かれたノッチ等の切欠部が基板Wに形成されている場合には、ブラシ等を用いて処理すると周端面EFにおいて切欠部が形成されている部位とそれ以外の部位とでは周端面EFに対するブラシの接触圧が変化してしまう。その結果、切欠部を良好に処理することができない場合があった。これに対して、この実施形態によれば、切欠部が形成されている部位にもそれ以外の部位と同様にしてフッ硝酸が供給されてエッチング処理が実行されることで、切欠部が形成されている部位を良好に処理することができる。
さらに、この実施形態では、基板Wの周端面EFに対するエッチング処理時に基板裏面Wbにリンス液(DIW)を供給することによって基板裏面Wbをリンス液で覆っている。このため、基板裏面Wbがリンス液で保護され、フッ硝酸が基板裏面Wbへ跳ね返ることがあっても、基板裏面Wbにフッ硝酸が付着するのを防止することができる。
<第2実施形態>
図9はこの発明の第2実施形態にかかる基板処理装置の制御構成を示すブロック図である。また、図10はこの発明の第2実施形態にかかる基板処理装置の動作を示すフローチャートである。この第2実施形態にかかる基板処理装置の動作が第1実施形態と大きく相違する点は、フッ硝酸によるエッチング処理に加えてフッ酸によるエッチング処理を実行している点である。なお、その他の構成および動作は基本的に第1実施形態と同様である。
この実施形態では、第1ノズル3からフッ硝酸とフッ酸とを選択的に吐出させることが可能となっている。すなわち、制御ユニット8からの動作指令に応じてフッ酸供給ユニット17Aおよび硝酸供給ユニット17Bが作動することで、ミキシングユニット17を介してフッ硝酸が第1ノズル3に圧送される一方、フッ酸供給ユニット17Aからフッ酸が第1ノズル3に圧送される。これにより、第1ノズル3からフッ硝酸とフッ酸とが選択的に吐出される。したがって、制御ユニット8からの動作指令に応じて第1ノズル3からフッ硝酸およびフッ酸を選択的に基板Wの表面周縁部TRおよび該表面周縁部TRに連なる周端面EF(基板端部)に供給することができる。このように、この実施形態では、第1ノズル3が本発明の「フッ酸供給手段」として機能する。
ここで、基板Wの周端面EFに酸化膜を含む不要物が形成されている際に、酸化膜の膜
厚が基版Wの周端面EFの全周において異なる場合がある。この場合、フッ硝酸で酸化膜
を含む不要物のエッチング処理を行うと、酸化膜の膜厚の違いによって酸化膜およびそれ
以外の不要物(金属膜や基板材料など)のエッチング処理の進行速度が基板Wの周端面E
Fの各箇所で異なってしまい、基板Wの周端面EFの全周においてエッチング処理を均一
に行うことが困難となる。そこで、この実施形態では、次のようにして基板Wの周端面E
Fから不要物をエッチング除去している。ここでは、不要物として金属膜および酸化膜が
基板端部に形成されている場合について説明する。
この実施形態では、第1実施形態と同様に、第1ノズル3が供給位置P11に位置決めされると(ステップS5)、第1ノズル3から回転する基板Wの表面周縁部TRに向けてフッ酸を吐出させる。これにより、基板端部から酸化膜が比較的高いエッチングレートで除去され、金属膜はほとんど除去されない(ステップS6−1:第1エッチング処理)。これに続いて、第1ノズル3からフッ酸に代えてフッ硝酸を吐出させる。これにより、基板端部から金属膜および基板材料が比較的高いエッチングレートで除去される(ステップS6−2:第2エッチング処理)。また、第1および第2エッチング処理が実行される間、基板裏面Wbがリンス液(DIW)で覆われることによって保護され、基板裏面Wbにフッ硝酸およびフッ酸が付着するのを防止している。
このように、この実施形態では、第1ノズル3からフッ硝酸の供給に先立ってフッ酸を基板Wの周端面EFに供給することにより、酸化膜の膜厚が基板Wの周端面EFの全周において異なる場合であっても、酸化膜以外の不要物をほとんどエッチングすることなく酸化膜全体を良好にエッチング除去することができる。その後、フッ硝酸を基板Wの周端面EFに供給することによって酸化膜以外の不要物をエッチング除去することができる。これにより、基板Wの周端面EFの全周において不要物に対するエッチング処理の均一性を高めることができ、エッチング処理の精度を高めることができる。
<第3実施形態>
図11はこの発明にかかる基板処理装置の第3実施形態を示す図である。この第3実施形態にかかる基板処理装置が第1実施形態と大きく相違する点は、対向部材5に基板Wの周端面EFから径方向外側に所定の隙間だけ離間配置された端面近接部506が設けられている点である。なお、その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、ここでは同一符号を付して説明を省略する。
この実施形態では、対向部材5の周縁にスピンチャック1に保持された基板Wの周端面EFに近接して対向する対向面が形成された端面近接部506が設けられている。このため、制御ユニット8からの動作指令に応じてミキシングユニット17からフッ硝酸が圧送されると、第1ノズル3からフッ硝酸が吐出され、回転駆動される基板Wの周端面EFと端面近接部506との間に形成される微小空間GPにおいてフッ硝酸による液密状態が形成される。そして、このようにフッ硝酸による液密状態を形成しつつ、基板Wの周端面EFに対してエッチング処理が行われる。
このように、この実施形態では、微小空間GPにフッ硝酸による液密状態が形成されるので基板Wの周端面にフッ硝酸を滞留させることができる。つまり、基板Wはその周端面EFに当接する当接部材がない状態で回転されながら処理されることから、微小空間GPへのフッ硝酸による液密状態の形成を可能として第1ノズル3から供給されるフッ硝酸を基板Wの周端面EFに滞留させることができる。これにより、次のような作用効果が得られる。すなわち、フッ硝酸によるエッチング処理を効率良く進行させるために、被処理面となる基板Wの周端面EFにフッ硝酸を所定時間だけ滞留させることが好ましい。そこで、上記のように微小空間GPにフッ硝酸による液密状態を形成し、基板Wの周端面EFにフッ硝酸を滞留させて周端面EFにフッ硝酸が接触している時間を長くしている。これにより、エッチング処理の効率を高めて基板Wの周端面EFに対するエッチング処理の進行を促進させることができる。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記第1実施形態では、第1および第2ノズル3,4を供給位置P11,P12に位置決めする際に、対向部材5に形成されたノズル挿入孔52に第1および第2ノズル3,4を選択的に挿入しているが、ノズル挿入孔52に第1および第2ノズル3,4を挿入することは必ずしも必要でない。例えば基板Wの平面サイズよりも小さな平面サイズを有する対向部材を基板表面Wfに対向配置して、基板Wの表面中央部を覆いながら第1および第2ノズル3,4を対向部材の側壁に近接させて配置してもよい。
また、上記第1、3実施形態では、第1ノズル3からフッ硝酸を供給して、第2ノズル4からリンス液(DIW)を供給する構成としているが、単一ノズルからフッ硝酸およびリンス液が選択的に供給されるようにしてもよい。すなわち、第1ノズル3にミキシングユニット17およびリンス液供給ユニット16が接続され、制御ユニット8からの動作指令に応じて、第1ノズル3からフッ硝酸およびリンス液(DIW)が選択的に供給されるようにしてもよい。そして、第1ノズル3からフッ硝酸を供給してエッチング処理が行われる際には、供給位置P11(エッチング液供給位置)に第1ノズル3が位置決めされ、その後、リンス液を供給してリンス処理が行われる際には、第1ノズル3を移動させて、供給位置P12(リンス液供給位置)に第1ノズル3が位置決めされるようにしてもよい。上記第2実施形態の場合も同様、第1ノズル3からフッ酸およびフッ硝酸を供給して、第2ノズル4からリンス液(DIW)を供給する構成としているが、第1ノズル3からフッ酸、フッ硝酸およびリンス液(DIW)が選択的に供給されるようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、第1ノズル3からフッ硝酸とフッ酸とを選択的に吐出可能とし、第1ノズル3からフッ酸およびフッ硝酸を順に供給しているが、フッ硝酸およびフッ酸を基板Wの表面周縁部TRおよび該表面周縁部TRに連なる周端面EFに対して別々のノズルから吐出するようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、第1エッチング処理として基板端部にフッ酸を供給した後、第2エッチング処理として基板端部にフッ硝酸を供給しているが、基板端部に付着している不要物の種類等によっては、第1エッチング処理として基板端部にフッ硝酸を供給した後、第2エッチング処理として基板端部にフッ酸を供給してもよい。
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板などを含む各種基板の周端面に対してエッチング処理を施す基板処理装置および基板処理方法に適用することができる。
この発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。 図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。 スピンベースを上方から見た平面図である。 支持ピンの構成を示す部分拡大図である。 対向部材の下面を見た図である。 ノズルとノズル挿入孔とを示す部分斜視図である。 ノズル挿入孔に挿入された第1および第2ノズルの様子を示す断面図である。 この発明の第1実施形態にかかる基板処理装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の第2実施形態にかかる基板処理装置の制御構成を示すブロック図である。 この発明の第2実施形態にかかる基板処理装置の動作を示すフローチャートである。 この発明にかかる基板処理装置の第3実施形態を示す図である。
符号の説明
3…第1ノズル(ノズル)
5…対向部材
8…制御ユニット(制御手段)
13…チャック回転機構(回転手段)
15…スピンベース(回転部材)
18…ガス供給ユニット(押圧手段)
52…ノズル挿入孔
501…対向部材の下面(基板対向面)
506…端面近接部
521…開口部
EF…(基板の)周端面
F1〜F6…支持ピン(支持部材)
GP…微小空間(基板の周端面と端面近接部との間に形成される空間)
S1〜S6…支持ピン(支持部材)
SP…間隙空間
TR…表面周縁部(上面周縁部)
W…基板
Wb…基板裏面(基板下面)
Wf…基板表面(基板上面)

Claims (7)

  1. 鉛直軸回りに回転自在に設けられた回転部材と、
    前記回転部材を回転させる回転手段と、
    前記回転部材に上方に向けて突設され、基板の下面に当接して前記基板を前記回転部材から離間させて支持する3個以上の支持部材と、
    前記支持部材に支持された前記基板の上面に対向する基板対向面を有し、該基板対向面を前記基板上面に対向させながら離間配置された対向部材と、
    前記基板対向面と前記基板上面との間に形成される間隙空間にガスを供給して前記基板を前記支持部材に押圧させて前記回転部材に保持させる押圧手段と、
    前記基板の上面周縁部に向けてフッ硝酸(フッ酸と硝酸との混合液)を吐出して前記基板の上面周縁部から該上面周縁部に連なる前記基板の周端面にフッ硝酸を供給するノズルと
    を備え、
    前記回転部材に保持された前記基板を回転させながら前記ノズルから前記基板の周端面にフッ硝酸を供給して該周端面に対してエッチング処理を施すことを特徴とする基板処理装置。
  2. 前記対向部材には前記基板対向面が前記基板の上面周縁部に対向する位置に開口部を有するノズル挿入孔が設けられ、
    前記ノズルは前記ノズル挿入孔に挿入された状態で前記基板の上面周縁部に向けてフッ硝酸を吐出する請求項1記載の基板処理装置。
  3. 前記基板の下面にリンス液を供給することによって前記基板下面を前記リンス液で覆うカバーリンス手段をさらに備える請求項1または2記載の基板処理装置。
  4. 前記基板の周端面に酸化膜を含む不要物が形成されている請求項1ないし3のいずれか
    に記載の基板処理装置であって、
    前記ノズルからのフッ硝酸の吐出に先立って、前記基板の周端面にフッ酸を供給するこ
    とにより該周端面から前記不要物をエッチング除去するフッ酸供給手段をさらに備える基
    板処理装置。
  5. 前記フッ酸供給手段は、前記ノズルであり、
    前記ノズルはフッ硝酸とフッ酸とを選択的に吐出可能とされ、
    前記ノズルからのフッ硝酸およびフッ酸の吐出を制御して前記ノズルからフッ硝酸の吐
    出に先立ってフッ酸を吐出させて前記基板の周端面から前記不要物をエッチング除去する
    制御手段をさらに備える請求項4記載の基板処理装置。
  6. 前記対向部材は前記基板の周端面から径方向外側に所定の隙間だけ離間配置された端面近接部を有し、
    前記ノズルから前記基板の周端面と前記端面近接部との間に形成される空間にフッ硝酸を供給することによって該空間において前記フッ硝酸による液密状態を形成して前記基板の周端面に対してエッチング処理を施す請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置。
  7. 回転部材に上方に向けて突設された3個以上の支持部材を基板の下面に当接させて前記基板を前記回転部材から離間させて支持する基板支持工程と、
    基板対向面を有する対向部材を前記支持部材に支持された前記基板の上面に対向して配置する配置工程と、
    前記基板対向面と前記基板上面との間に形成される間隙空間にガスを供給して前記基板を前記支持部材に押圧させて前記回転部材に保持させる押圧工程と、
    前記回転部材に前記基板を保持させながら前記回転部材を回転させる回転工程と、
    前記回転工程と並行して、ノズルから前記基板の上面周縁部に向けてフッ硝酸(フッ酸と硝酸との混合液)を吐出して前記基板の上面周縁部から該上面周縁部に連なる前記基板の周端面にフッ硝酸を供給することで該周端面に対してエッチング処理を施す供給工程と
    を備えたことを特徴とする基板処理方法。
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JP2011066194A (ja) * 2009-09-17 2011-03-31 Tokyo Electron Ltd 基板液処理方法、基板液処理装置および記憶媒体

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