JP2008243944A - 多波長遠赤外レーザー発振方法および多波長遠赤外レーザー発振装置 - Google Patents

多波長遠赤外レーザー発振方法および多波長遠赤外レーザー発振装置 Download PDF

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Abstract

【課題】炭酸ガスレーザー励起の遠赤外ガスレーザーにおいて、波長選択可能であり、かつ、同一光軸で多波長発振させる。
【解決手段】複数の励起用炭酸ガスレーザー装置1、2から出力される複数の異なる励起レーザーを1つの遠赤外レーザー装置3に入力し、1つの遠赤外レーザー装置3から2つの異なる波長で、かつ、同じ光軸を取るレーザー光を出力させる。これにより、多波長の遠赤外レーザー発振を可能にできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、多波長で発振する遠赤外レーザーを得るために、複数の励起レーザーにより励起する多波長遠赤外レーザー発振方法および多波長遠赤外レーザー発振装置に関するものである。
波長数10μm〜数mmの幅広い遠赤外領域において、遠赤外ガスレーザーは、核融合プラズマやプロセスプラズマ等の計測や加熱・励振、遠赤外光学素子の開発・性能評価・特性測定、周波数標準研究、分子分光を含む物性研究、天文研究、γ線生成研究、生体・バイオ関連研究への応用からセキュリティや産業への応用等の光源として広く利用されている。それらの応用に対しては、単一モードで高出力かつ安定動作するレーザーが適している。
遠赤外ガスレーザーには、主な物として放電励起方式と光励起方式によるものがある。放電励起方式の遠赤外レーザーとしてHCNレーザーやH2Oレーザー等が主であるが、分子の電子基底状態の限られた振動回転遷移によるため発振波長が極端に限られており、希望する波長での複数のレーザー発振は不可能である。一方、光励起方式のレーザーとしては、炭酸ガスレーザーを励起光源とするCH3OHやその同位体、HCOOH、NH3等の多原子分子から非常に多くのレーザー発振線が得られており、遠赤外光源として主となっている。しかしながら、この光励起方式のレーザーでは、励起レーザー周波数と遠赤外レーザー分子の吸収周波数の一致が必要であり、それらが一致するか否かは偶然によるため、希望する波長での複数のレーザー発振は困難である。
したがって、従来の炭酸ガスレーザー励起の遠赤外ガスレーザー方式では、ほとんど1本の励起光源に対して1本の遠赤外レーザーという形で用いられてきた(例えば非特許文献1参照)。そのため、遠赤外レーザー発振線を変える際に、炭酸ガスレーザー装置では、必要とされる遠赤外レーザー発振線と対応する励起用の炭酸ガスレーザーを発振させるために、炭酸ガスレーザー装置に備えられた回折格子の角度調整による炭酸ガスレーザーの周波数調整、炭酸ガスレーザー装置の先端位置に取り付けられたPZT(ピエゾ素子)による炭酸ガスレーザーの共振器長の調整が必要になる。また、遠赤外レーザー装置では、入力される炭酸ガスレーザーに応じて発振媒体ガスの流量・流速等の調整が必要になる。このような多大の調整作業が必要になり、調整時間に例えば丸1日要していた。これが遠赤外レーザー利用の大きな障害になっていた。
近年、大型で高密度の核融合プラズマ計測において、その電子密度分布を計測する干渉計の光源として、機械的振動成分の高精度補正が可能になることから、異なる2波長で同時発振する遠赤外レーザーが必要とされている。高エネルギー電子ビームとの相互作用でγ線を生成する研究では生成γ線のエネルギーをかえるためには遠赤外レーザー波長を変える必要がある。また、検知器の性能評価や光学素子の光学定数測定、各種計測研究、セキュリティや産業応用等においても、広い遠赤外領域で希望する多波長で発振するレーザーが要求されるようになった。以上の使用に対して、レーザー光は単一モードで、同一光軸を有することが望まれる。
上述の従来方式のレーザーにおいては、これらの要求を満足する高出力かつ安定動作する遠赤外レーザーを得ることは、困難である。
著者:Haruo Ohkuma, Masazumi Shoji, Sinsuke Suzuki, Kazuhiro Tamura, Tetsuhiko Yorita, Kazuya Nakayama, Shingeki Okajima, Yasushi Arimoto, Keigo Kawase, Mamoru Fujiwara、論文名:Proceedings of EPAC 2006, Edinburgh Scotland、2006年発行、P.961-P.963
従来の1本の励起レーザーを利用する方法においても、1)励起光に共鳴する遠赤外レーザー分子で吸収遷移が複数ある場合、2)励起された準位から複数の放出遷移(競合遷移やカスケード遷移等が知られている)による発振線がある場合などは、複数の遠赤外レーザー発振が可能であった。
しかしながら、これらによって得られるレーザーは、波長や偏光方向が決まったものであり、得られるか否かも偶然による。したがって、希望する波長や偏光方向であるとは限らない。また、多波長発振が可能であっても、発振圧力特性やモード特性の違いも大きく、レーザー調整をすること無く多波長の遠赤外レーザーを発振させることは非常に難しい。特に、2)の場合であれば、発振線間に強い相互作用が生じ、得られるレーザー出力のアンバランスや不安定の原因となる。勿論、希望する多波長遠赤外レーザー発振は不可能である。
本発明は上記点に鑑みて、波長選択可能であり、かつ、同一光軸で多波長発振する多波長遠赤外レーザー発振方法および多波長遠赤外レーザー発振装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、励起レーザーを出力する励起用レーザー装置(1、2)を複数用意し、該複数の励起用レーザー装置(1、2)それぞれから異なる波長の遠赤外レーザーを励起するための異なる励起レーザーを出力させると共に、この異なる励起レーザーを1つの遠赤外レーザ装置(3)に入力し、該遠赤外レーザー装置(3)にて多波長発振させることで複数の異なる波長の遠赤外レーザーを出力させることを特徴としている。
このような発振方法によれば、複数の励起用レーザー装置(1、2)から出力された複数の異なる励起レーザーに基づき、1つの遠赤外レーザ装置(3)で遠赤外レーザーを出力させているため、複数の異なる波長の遠赤外レーザーを出力させられると共に、各波長の遠赤外レーザーを同一光軸にできる。したがって、波長選択可能であり、かつ、同一光軸で多波長発振させることが可能となる。
この場合、複数の励起用レーザー装置(1、2)から同時に異なる励起レーザーを出力させることで、遠赤外レーザー装置(3)から同時に複数の異なる波長の遠赤外レーザーを出力させることができる。
また、このような多波長遠赤外レーザー発振方法は、励起レーザーを出力する複数の励起用レーザー装置(1、2)と、複数個の励起用レーザー装置(1、2)から出力される励起レーザーが入力される中空部が備えられたレーザー管(3a)と、レーザー管(3a)内に発振媒体分子の供給または連続交換を行う発振媒体供給制御手段(3f、3g)と、レーザー管(3a)の一端に配置され、励起レーザーを入力するための結合孔(3b、3c)が形成された入力鏡(3d)と、レーザー管(3a)の他端に配置され、遠赤外レーザーを取り出すための出力鏡(3e)とを有する遠赤外レーザー装置(3)と、を備えた多波長遠赤外レーザー発振装置により実現できる。
この場合、入力鏡(3d)に励起用レーザー装置(1、2)の数と同数の結合孔(3b、3c)を形成しておき、各結合孔(3b、3c)にて励起用レーザー装置(1、2)から出力された励起レーザーを1つずつ入力するようし、これら各結合孔(3b、3c)を入力鏡(3d)の中心から一定距離離れた位置に形成されるようにすると好ましい。
このように、各結合孔(3b、3c)が入力鏡(3d)の中心に配置されないようにすることで、入力鏡(3d)の中心を反射に寄与させることが可能となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態を適用した多波長遠赤外ガスレーザー発振装置の平面模式図である。以下、この図を参照して多波長遠赤外ガスレーザー発振装置について説明する。
図1に示すように、多波長遠赤外ガスレーザー発振装置には、2つの励起用炭酸ガスレーザー装置1、2と遠赤外レーザー装置3および炭酸ガスレーザー光を遠赤外レーザー装置3へ導入するための光学系で構成されている。
励起用炭酸ガスレーザー装置1、2は、放電励起方式のもので、中空部を備えた円筒状のレーザー管(発振管)1a、2aと、レーザー管1a、2aの一端に配置される透過性反射鏡で構成された出力鏡1b、2bと、出力鏡1b、2bとは反対側となる他端側に配置された反射型の回折格子1c、2cと、図示しないグロー放電用の放電回路やガス供給装置等を備えている。出力鏡1b、2bにはPZT(ピエゾ素子)1d、2dが備えられ、PZT1d、2dへの電圧印加に基づいて、対向する回折格子1c、2cまでの距離の調整が行えるようになっている。
この励起用炭酸ガスレーザー装置1、2は、炭酸ガスのエネルギー準位の遷移を利用して発振し、炭酸ガスレーザを出力する。例えば、レーザ媒質にCO2、N2、Heの混合ガスを使用し、この混合ガスをガス供給装置にて低圧力でレーザー管1a、2a内に供給しながら、放電回路に高電圧が印加することでグロー放電を起こさせる。このグロー放電で生じた高速の電子がN2分子を励起して高エネルギー準位に引き上げると共に、励起されN2分子をCO2分子に衝突させる。これにより、CO2分子はエネルギーが与えられて励起し、高エネルギー準位に引き上げられる。さらに、CO2分子が出力鏡1b、2bおよび反射方の回折格子1c、2c内で増幅され、出力鏡1b、2bから励起レーザーとして出力される。
このとき、回折格子1c、2cの格子(溝)に対して水平方向の線を回転軸とした回転角度を調整することで励起レーザーの波長の選択を行ったり、溝に対して直行方向の線を回転軸とした回転角度を調整することで励起レーザーの偏光方向の選択を行うことができる。また、PZT(ピエゾ素子)1d、2dへの電圧印加に基づいて出力鏡1b、2bと回折格子1c、2cとの間隔の微調整を行うことができる。これにより、励起レーザーの発振波長および偏光方向の選択と周波数の調整が行え、遠赤外レーザーの発振媒体ガスの吸収周波数に合わせられるようになっている。
また、発振した励起レーザーは光学系を介して遠赤外レーザー装置3へ導入される。本実施形態では、光学系は、複数の全反射を行うミラー4a〜4d、5a〜5dにて構成され、複数のミラー4a〜4d、5a〜5dで反射されることで励起レーザーが遠赤外レーザー装置3へ導入される。具体的には、各ミラー4a〜4d、5a〜5dは、図示しない角度調整機構により反射角度の調整が行えるように構成されている。また、ミラー4b、5bは凹面鏡で構成され、ビームを絞れるようになっている。このような構成により、反射角度の調整とビームを絞ることで、励起レーザーを遠赤外レーザー装置3の所望位置に導いている。
遠赤外レーザー装置3は、中空部を備えた円筒状のレーザー管3aと、レーザー管3aの一端に配置される2つの結合孔3b、3cを備えた入力鏡3dと、レーザー管3aの他端に配置された出力鏡3eと、メタノール(CH3OH)などの発振媒体ガスを供給するための発振媒体ガス供給源3f、および、レーザー管3a内への発振媒体ガスの供給状態を制御するロータリーポンプ3g等を備えている。
レーザー管3aは、例えば内径が25〜35mm、長さ1.4〜4mとされている。入力鏡3dおよび出力鏡3eは、外形が円形とされ、その直径は、レーザー管3aの内径とほぼ同等もしくは若干大きめのサイズとされている。図2は、入力鏡3dの正面拡大図である。この図に示されるように、入力鏡3dの中心を挟んで2つの結合孔3b、3cが対向配置されている。これら2つの結合孔3b、3cは、例えば直径3mm程度とされ、入力鏡3dの中心から例えば9mm離れた位置に形成されている。このように、各結合孔3b、3cが入力鏡3dの中心に配置されないようにすることで、入力鏡3dの中心を反射に寄与させることが可能となる。
遠赤外レーザー光を取り出しのための出力鏡3dは、同調をとるためにステッピングモーター駆動のミラーホルダーに取り付けられている。
発振媒体ガス供給源3fおよびロータリーポンプ3gは、発振媒体分子の供給または連続交換を行う発振媒体供給制御手段を構成するものであり、発振媒体ガス供給源3fのバルブを開くと発振媒体ガスが供給され、ロータリーポンプ3gのバルブを開くと共にロータリーポンプ3gの回転数調整を行うことで、レーザー管3a内に低速で発振媒体ガスが流されるようになっている。
このような遠赤外レーザー装置3では、発振媒体ガス供給源3fおよびロータリーポンプ3gにてレーザー管3a内に低速で発振媒体ガスが流されるようにしつつ、2つの結合孔3b、3cを通じて励起レーザーをレーザー管3a内に導入することで、共振器となる入力鏡3dおよび出力鏡3eの間においてレーザー発振させる。これにより、出力鏡3eから図1中の破線矢印の向きに遠赤外レーザー光を放射することができる。以上のようにして、多波長遠赤外ガスレーザー発振装置が構成されている。
続いて、上記のように構成された多波長遠赤外ガスレーザー発振装置を用いた多波長遠赤外ガスレーザーの発振方法について説明する。
まず、励起用炭酸ガスレーザー装置1、2において、レーザー管1a、2a内に混合ガスを低圧力で供給すると共に、放電回路にてグロー放電させることで高速の電子を生じさせ、N2分子を励起し、このN2分子ををCO2分子に衝突させることでCO2分子を励起する。このとき、各励起用炭酸ガスレーザー装置1、2では、回折格子1c、2cの回転角度調整により発振波長および偏光方向の選択を行うと共に、PZT1d、2dへの印加電圧を調整することで、励起レーザーの発振波長および偏光方向の選択と周波数の調整を行い、遠赤外レーザーの発振媒体ガスの吸収周波数に合わせる。具体的には、遠赤外レーザー装置3から所望の異なる波長の遠赤外レーザーが照射できるように、励起レーザーの発振波長などを調整する。
また、このとき、必要に応じて各ミラー4a〜4d、5a〜5dの角度調整を行うことで、各励起用炭酸ガスレーザー装置1、2から出力された励起レーザーが遠赤外レーザー装置3の入力鏡3dの2つの結合孔3b、3cにそれぞれ入力されるようにする。
一方、遠赤外レーザー装置3に関しては、発振媒体ガス供給源3fおよびロータリーポンプ3gにてレーザー管3a内に低速で発振媒体ガスを流しておく。そして、2つの結合孔3b、3cを通じて励起レーザーをレーザー管3a内に導入することで、共振器となる入力鏡3dおよび出力鏡3eの間においてレーザー発振させる。このとき、レーザー発振が生じるように、発振媒体ガス供給源3fやロータリーポンプ3gのバルブ開度調整を行うことで、発振媒体ガスの流速や流量などを調整する。これにより、出力鏡3eから図1中の破線矢印の向きに遠赤外レーザー光を放射することができる。
このような多波長遠赤外ガスレーザー発振装置による遠赤外レーザーを多波長発振させるためには、(1)使用する励起光源には、それぞれ遠赤外レーザー発振が可能な波長の炭酸ガスレーザーの組み合わせであること、(2)遠赤外レーザーの発振媒体ガスである分子に対して、複数の励起レーザーの吸収が、それぞれ独立の振動回転準位間で行われること、(3)得られた多波長遠赤外レーザーの各発振線の混在する分子による吸収が小さいこと、(4)得られた多波長遠赤外レーザーの各発振線が共に発振可能な圧力依存性を有していることが条件となる。このため、これらの条件を満たすように多波長遠赤外ガスレーザー発振装置の各部の調整を行う。
勿論、遠赤外ガスレーザーは、ドップラー利得幅が共振器の縦モード間隔より小さく、利得曲線の中に共振線があるとは限らないので、発振する波長に対してレーザー装置の共振器間隔を同調させる必要がある。
特例として、上記条件を満たす多波長遠赤外レーザーの波長を例えばλ1とλ2とする場合、以下の関係式が成立すれば同時発振も可能となる。
(数1)
mλ1/2≒nλ2/2 (m、nは整数)
以上のようにして、多波長遠赤外ガスレーザー発振装置により多波長遠赤外レーザーの発振、つまり異なる波長を有する遠赤外レーザーを得ることが可能となる。
次に、本実施形態で示した多波長遠赤外ガスレーザー発振装置の実施に際し、多波長遠赤外レーザー発振の実現性を証明するために、一例として、上述の発振条件を満たす次の二つのレーザー発振に対して実験を行った。
一つは、9P(36)炭酸ガスレーザー励起の波長119μm遠赤外レーザー線で、もう一つは、9P(34)炭酸ガスレーザー励起の波長71μm遠赤外レーザー線である。発振媒体ガスとしては、共にメタノール(CH3OH)を用いた。
図3は、本実施形態の多波長遠赤外ガスレーザー発振装置により得られた遠赤外レーザーが多波長かつ同時発振していることの確認のために行った実験の配置図である。発振した遠赤外レーザー光は、偏光板6と光チョッパー7を通過後、ビームスプリッター8で透過光と反射光とに分離される。反射光は、レンズ9にて集光されたのち、出力モニターのために焦電型検知器10により検出され、透過光は、多波長かつ同時発振していることの確認のためにミラー11を介して回折格子分光器12に導入される。
まず、波長119μmおよび71μmのレーザーが、それぞれ単独で発振することを同調曲線で確認した後、各励起用炭酸ガスレーザー装置1、2から出力される励起レーザーを遠赤外レーザー装置3に入射する。次に、ステッピングモータ駆動によって出力鏡3eの位置を調整することにより、遠赤外レーザー装置3の入力鏡3dおよび出力鏡3eの間隔を共に共振する位置で固定し、回折格子分光器12にて多波長同時発振することを確認した。
回折格子分光器12に導入されたレーザー光は、ミラー13、凹面ミラー16、17により平行ビームにされ、回転ステージ上にある反射型回折格子14に入射し、その回折光を凹面ミラー18にて集光して焦電型検知器15で検出する。
図4は、回折格子分光器12によって得られた測定結果を示した図であり、レーザー光の入射角度に対する各回折次数mの回折光の強度の関係を示している。また、図5(a)、(b)は、それぞれ、波長119μmと71μmのレーザー光の入射角度に対する各回折次数mの回折光の強度の関係を示した参考図である。図4から分かるように、本実施形態の多波長遠赤外ガスレーザー発振装置により得られたレーザー光の測定結果を見てみると、図5(a)、(b)に示した波長119μmと71μmのレーザー光の回折パターンを合成したような回折パターンになっている。これは、本実施形態の多波長遠赤外ガスレーザー発振装置により、2つの異なる波長で同時発振させたレーザー光が得られたことを証明している。
このように、複数の励起用炭酸ガスレーザー装置1、2から出力される複数の異なる励起レーザーを1つの遠赤外レーザー装置3に入力し、1つの遠赤外レーザー装置3から2つの異なる波長で、かつ、同じ光軸を取るレーザー光を得ることが可能となる。したがって、本実施形態で示した多波長遠赤外ガスレーザー発振装置を用いることで、多波長の遠赤外レーザー発振を可能にできる。
このような多波長遠赤外ガスレーザー発振装置によれば、遠赤外レーザーを利用する研究及びセキュリティ応用や産業応用に対して、その目的に適した希望する波長や偏光方向等の特性を持つ遠赤外レーザーを得ることができる。
また、従来の励起方式で複数の遠赤外レーザー装置を使用する場合に対して、本実施形態の多波長遠赤外ガスレーザー発振装置により得られる多波長の遠赤外レーザー光は、それぞれレーザー出射口からまったく同じ光軸をとる。このため、例えば、干渉計等の計測システム中において、各レーザー光を同一パスで使用することが可能になる。
また、従来の方式では多くの作業と時間を費やしていた波長変換時のレーザー調整が大幅に短縮できる。そして、本多波長遠赤外ガスレーザー発振装置を応用した場合、結果の再現性や信頼度の向上も期待できる。
なお、本実施形態の多波長遠赤外ガスレーザー発振装置によれば、同時に異なる複数の波長の遠赤外レーザーを出力させることが可能となるが、同時に行わず、必要に応じて1つの波長の遠赤外レーザーを使用することもできる。この場合にも、多波長遠赤外ガスレーザー発振装置の各部の調整は、出力したい波長に合わせた調整となっているため、特に調整を行う必要なくその波長の遠赤外レーザーを出力させられる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、2つの励起用炭酸ガスレーザー装置1、2を備えた多波長遠赤外ガスレーザー発振装置を例に挙げて説明したが、2以上の数となる複数の励起用炭酸ガスレーザー装置を備えたものであっても良い。この場合、入力鏡3dに励起用炭酸ガスレーザー装置の数と対応する結合孔を開け、各結合孔を通じて各励起用炭酸ガスレーザー装置から出射された励起レーザーを1つの遠赤外レーザー装置3内に入力すれば良い。
また、励起用レーザー装置として、励起用炭酸ガスレーザー装置1、2を例に挙げて説明したが、炭酸ガス以外を用いた他の励起用レーザー装置であっても構わない。
本発明の一実施形態を適用した多波長遠赤外ガスレーザー発振装置の平面模式図である。 図1に示す多波長遠赤外ガスレーザー発振装置に備えられた遠赤外レーザー装置の入力鏡の正面拡大図である。 図1に示す多波長遠赤外ガスレーザー発振装置により得られた遠赤外レーザーが多波長かつ同時発振していることの確認のために行った実験の配置図である。 レーザー光の入射角度に対する各回折次数mの回折光の強度の関係を示した図である。 (a)、(b)は、それぞれ、波長119μmと71μmのレーザー光の入射角度に対する各回折次数mの回折光の強度を示した参考図である。
符号の説明
1、2…励起用炭酸ガスレーザー装置、1a、2a…レーザー管、1b、2b…出力鏡、1c、2c…回折格子、3…遠赤外レーザー装置、3a…レーザー管、3b…結合孔、3d…入力鏡、3e…出力鏡、3f…発振媒体ガス供給源、3g…ロータリーポンプ、4a〜4d、5a〜5d…ミラー、6…偏光板、7…光チョッパー、8…ビームスプリッター、9…レンズ、10…焦電型検知器、11…ミラー、12…回折格子分光器、13…ミラー、14…反射型回折格子、15…焦電型検知器、16〜17…凹面ミラー、18…凹面ミラー

Claims (5)

  1. 励起レーザーを出力する励起用レーザー装置(1、2)を複数用意し、該複数の励起用レーザー装置(1、2)それぞれから異なる波長の遠赤外レーザーを励起するための異なる励起レーザーを出力させると共に、この異なる励起レーザーを1つの遠赤外レーザ装置(3)に入力し、該遠赤外レーザー装置(3)にて多波長発振させることで複数の異なる波長の遠赤外レーザーを出力させることを特徴とする多波長遠赤外レーザー発振方法。
  2. 前記複数の励起用レーザー装置(1、2)から同時に前記異なる励起レーザーを出力させることで、前記遠赤外レーザー装置(3)から同時に前記複数の異なる波長の遠赤外レーザーを出力させることを特徴とする請求項1に記載の多波長遠赤外レーザー発振方法。
  3. 励起レーザーを出力する複数の励起用レーザー装置(1、2)と、
    前記複数個の励起用レーザー装置(1、2)から出力される前記励起レーザーが入力される中空部が備えられたレーザー管(3a)と、前記レーザー管(3a)内に発振媒体分子の供給または連続交換を行う発振媒体供給制御手段(3f、3g)と、前記レーザー管(3a)の一端に配置され、前記励起レーザーを入力するための結合孔(3b、3c)が形成された入力鏡(3d)と、前記レーザー管(3a)の他端に配置され、遠赤外レーザーを取り出すための出力鏡(3e)とを有する遠赤外レーザー装置(3)と、
    を備えていることを特徴とする多波長遠赤外レーザー発振装置。
  4. 前記複数の励起用レーザー装置(1、2)は、異なる波長の遠赤外レーザーを励起するための異なる励起レーザーを出力させられるものであることを特徴とする請求項3に記載の多波長遠赤外レーザー発振装置。
  5. 前記入力鏡(3d)に備えられた前記結合孔(3b、3c)は、前記励起用レーザー装置(1、2)の数と同数形成されており、各結合孔(3b、3c)にて前記励起用レーザー装置(1、2)から出力された前記励起レーザーを1つずつ入力するように構成され、これら各結合孔(3b、3c)は前記入力鏡(3d)の中心から一定距離離れた位置に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の多波長遠赤外レーザー発振装置。
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