JP2003031874A - 電磁波のフィルタ管路 - Google Patents

電磁波のフィルタ管路

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JP2003031874A
JP2003031874A JP2001218656A JP2001218656A JP2003031874A JP 2003031874 A JP2003031874 A JP 2003031874A JP 2001218656 A JP2001218656 A JP 2001218656A JP 2001218656 A JP2001218656 A JP 2001218656A JP 2003031874 A JP2003031874 A JP 2003031874A
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electromagnetic wave
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filter conduit
periodic structure
wave filter
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Toshihiro Hori
利浩 堀
Tetsuya Kawanishi
哲也 川西
Masayuki Izutsu
雅之 井筒
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な構成で波長選択性を容易に実現しうる
電磁波のフィルタ管路を提供すること。 【解決手段】 フィルタ管路を誘電体によって形成する
と共に、2次元同軸構造から構成し、該2次元同軸構造
におけるコア径が、径方向の波長や周期構造の特性長よ
り十分長いフィルタ管路を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、同軸周期構造を持つ誘
電体導波路を使用し、解析した波長選択性により、単一
波長である電磁波を形成伝達する電磁波フィルタ管路に
関する。
【0002】
【従来の技術】本発明による波長選択性を有する電磁波
フィルタ管路の一例として、レーザー発生装置における
共振器がある。特に、遠赤外線レーザーの共振器は、波
長が長いため回折広がりが大きく、ファブリペロー型共
振器(図4)ではなく、導波路型共振器(図5)が用い
られている。そして、光励起遠赤分子線レーザーは、そ
の発生機構により励起光によって、分子がカスケード発
振を起こし、多波長発振する際、該導波路型共振器の導
波路を通って放出されている。
【0003】しかし、従来の導波路は、そのままでは波
長選択性がなく、例えば図8に示すCH3Fの例でも分
かるように、496μmや542μm等の多波長で発振
されるレーザーがそのまま放出され、単一波長を発振す
ることが困難であった。そして、これを可能にする簡便
な導波路はこれまで提供されていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】本発明は上記従来
技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、そ
の目的は単一波長で導波することが従来困難であった電
磁波においても効果的にフィルタ特性を実現でき、簡便
な構成による電磁波フィルタ管路を提供することができ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の電磁波のフィル
タ管路は、それが誘電体から形成され、2次元同軸周期
構造をしている。そして、コア径が径方向の波長かつ周
期構造の特性長より十分長くすることを特徴とした電磁
波のフィルタ管路である。
【0006】上記電磁波が、紫外線、可視光、赤外線、
通信用の電波、マイクロ波の各波長を有する電磁波であ
ってもよい。
【0007】さらに電波領域の波長を除く各電磁波が、
レーザーであってもよい。また、マイクロ波である前記
電磁波が、メーザーであってもよい。
【0008】上記電磁波が、赤外線レーザーであり、特
に光励起分子線レーザーであってもよい。
【0009】
【発明の実施形態】以下に、本発明の一実施例として、
光励起遠赤外分子線レーザにおける共振器に電磁波のフ
ィルタ管路を用いた例を示す。なお、実施形態は任意に
変更可能であって、本発明によるフィルタ管路は下記実
施例に限定されることなく、いかなる電磁波のフィルタ
管路にも用いることができる。
【0010】まず、図1に光励起遠赤外分子線レーザ発
生装置の構成を示す。DC放電型CO2レーザー(1)
により、共振器内の分子を励起させるための励起光を発
生させる。ここから発振されるレーザーはPZTコント
ローラー(2)で共振の長さを調節し、回折格子(3)
で調整ラインを合わせ、遠赤外レーザー共振器(4)内
の分子に応じた励起光を作る。
【0011】このようにして作成された励起光は、Zn
Se出力鏡(5)から出力され、途中45度傾いたZn
Seビームスプリッタ(6)で半反射し、ZnSeレン
ズ(7)を通って、さらに、45度傾いた全反射鏡
(8)で反射され、ZnSe窓(9)から穴あきミラー
(17)を通って本発明に係る誘電体導波路(10)に
入る。
【0012】図3に、該誘電体導波路(10)の断面構
造を示す説明図を示す。誘電体導波路(10)の芯部は
中空であり、該中空部位をレーザが導波される。中空部
位には、本発生装置から発生させる波長(10μm〜2
500μm)に応じた分子、本実施例ではCH3Fが入
っている。誘電体導波路(10)の形状としては、コア
径が約30mm、管長が1.5mであり、パイレックス
(登録商標)製の物を用いている。
【0013】該中空部位に入った励起光はその分子を励
起させ、分子はエミッションを起こす。その際、分子
は、カスケード発振(図8にCH3Fの一例)を起こ
し、2つ以上の波長でエミッションを起こすが、本発明
においては単一波長発振を可能にするため、この導波路
にポイント波長かつポイントモードでのみ伝送を許す波
長選択性のある2次元同軸周期構造である誘電体導波路
(10)を用いている。該誘電体導波路(10)の構造
と波長選択性の性質を以下に示す。
【0014】本発明による誘電体導波路(10)は、図
2及び図3に示すように中空の部分のコア(11)とク
ラッド(12)からなる。クラッド(12)は半無限に
続く同軸周期構造を成している。本実施例では、該周期
構造の各層は1〜2mmであるが、該値は任意に変更す
ることができる。以下では、本発明で上記同軸周期構造
をとることについて、理論的妥当性を示し、本発明が従
来成し得なかった効果を奏する点を証明する。波の進行
方向をz軸とする円柱座標を考えて議論を進める。この
時電界と磁界のz成分EzとHzは、下の式で表され
る。 (1)式 (1)式において、β、ω、mはそれぞれ波数のz成
分、光の角周波数、θ方向の周期性である。導波路の具
体的な構造とパラメータは図3が示す通りであり、コア
(11)の屈折率はn0、半径はR1であり、n番目の周
期の内側半径はR nで外側半径はRn+1である。n番目の
周期は,2つの異なる屈折率n1とn2からなる厚さ(R
n,l−Rn)と(Rn+1−Rn,l)の層からなっている。
【0015】このもとでMaxwellの方程式を用い
て分解すると(2)式 になる。ここにおいてJmはm次ののベッセル関数、Nm
はm次のノイマン関数で、A0とC0はコア(11)での
ベッセル関数の係数を示していて、An,i,Bn,i,C
n,i,Dn,i,は、n番目の周期のi番目の層の係数に対
応する。δ0とδn,iはそれぞれコア(11)の部分とn
番目の周期のi番目の層のδに対応する。
【0016】これらの式から、電界と磁界の各成分のr
=R1における連続性より(3)式 が成り立つ。T0は上記から導かれる、r、ω、β、n
を要素における変数とする4×4の行列である。またr
=Rn,mとr=Rn+1における電界と磁界の各成分の連続
性より(4)式 が成り立つ。Tnも同様の4×4の行列である。
【0017】ここでパラメーターを下の式のようにする
と(5)式 行列Tはそれをなす成分を考えるとスケーリングの関係
より、T1=…=Tk=…(k=2、3、4…)が成り立
つことが分かる。これをT*と定める。これにより、行
列が全て1つのT*で表せられることになり、フロケの定
理が適用できている状態と考えることができる。
【0018】そして(x1,j、y1,j、z1,j、w1,j)を
T*の固有値αj(j=1〜4)の固有ベクトルとする
と、フロケの定理が示すように(6)式 が成り立つ。この式はクラッド(12)の境界条件も満
足していて、そのクラッド(12)の周期構造部分で電
磁界が収束するために、絶対値が1より小さなαが存在
しなければならない。よって、それを満たすパラメータ
ーによって表される周期構造にしなければならない。
【0019】上記(6)式の(x1、y1、z1、w1)は
上記(3)式の(A1,B1,C1,D1)に対応する。
(3)式において未知数は6つであり、これらはr=R
1におけるハイブリッドモードの係数になっている。
【0020】ここで次元解析を行う。この固有モードは
ハイブリッドモードで伝送する事に注意すると、(3)
式で、未知数は6つであり、方程式は4つである。この
ため未知数を消去していくと最終的に2つの方程式が残
る。この2つの方程式がハイブリッドモードが同時に満
たすべき分散方程式である。
【0021】このことから、ハイブリッドモードは2つ
の分散関係を同時に満たさなければならず、その固有モ
ードは2つの分散方程式の交点としてきまるので、この
ポイント周波数、ポイントモードでのみ伝送する波長選
択性が得られる。(図6)
【0022】しかし、実際には(5)式のパラメータは
物理的に実現不可能であるので(7)式 を満たす、物理的に実現可能な周期構造をつくる。この
条件はδk,l=δn,l=δ l,lが満足されている事に注意
する。そしてこれが、δk.l≫1とr≫(Rk―Rn)を
満たす時、つまり、rがr方向の波長と周期構造の特性
長よりも十分に長い時は、このパラメーター条件におけ
る電磁界の係数も先の議論で導かれた解析解を得る事が
できる行列に漸近するためフロケの定理が適用でき、こ
れまでと同様の議論が適用可能になる。
【0023】本発明は、以上の理論的裏付けによって、
同軸周期構造の誘電体導波路(10)で共振させ得られ
たレーザーが、単一波長レーザーとして、穴あきミラー
(13)、誘電体多層膜付き水晶基盤(14)、そして
テフロン(登録商標)窓(15)を通り、形成すること
ができる。
【0024】本発明は上記の実施例に限定されることな
く、紫外線(10nm〜380nm)、可視光(380
nm〜780nm)、赤外線(780nm〜3mm)、
電波領域(3mm以上)、マイクロ波(300mm〜1
m)、可視光レーザー、赤外線レーザー、マイクロ波メ
ーザーのためのフィルタ管路として実施することもでき
る。
【0025】例えば、本発明を光通信用の光ファイバー
ケーブルに適用し、波長選択性を有し、フィルタとして
も作用するケーブルを提供することもできる。すなわ
ち、一例として、波長が1.3μmないし1.5μmで
ある光を伝搬する際、コア径を約50μm、クラッド部
の厚さを約40μmとして、太さ約130μmの光ファ
イバーケーブルを作成することもできる。
【0026】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0027】本発明は、導波路にフロケの定理が成り立
つパラメーター条件を与える事で、導波路の固有モード
を数値的でなく解析的に求めることができる。さらに、
はじめのパラメーター条件では物理的に実現不可能であ
ったが、コア径が径方向の波長や周期構造の特性長より
十分長いような構造にする事により、漸近的に先のパラ
メーター条件と同一視できかつ現実の世界で作成可能な
パラメーター条件を考えることができる。そして、その
条件をみたすものならば、実際の2次元周期的構造をも
つ導波路の解析解を求めることができる。
【0028】これにより、分散関係が明らかになり、ハ
イブリッドモードでは、その構造、誘電体により決まっ
たポイント波長かつポイントモードでしか伝送しない事
がわかり、波長選択性をみることができる。そして、従
来困難であった単一波長を導波可能な電磁波のフィルタ
管路を提供することができる。また、上記構成は、同軸
周期構造とするだけの構造であって、簡易に構成するこ
とができる。
【0029】本発明は、電磁波が紫外線であるとき、波
長選択性の効果で、強いフィルタ特性を持つフィルタ管
路を提供することができる。
【0030】同様に、本発明は、電磁波が可視光である
ときにも好適なフィルタ特性を有するフィルタ管路に寄
与する。
【0031】また、本発明は、電磁波が赤外線であると
きにも、波長選択性を効果的に有し、強いフィルタ特性
を持つフィルタ管路を提供できる。
【0032】本発明は、電磁波が通信用電波であるとき
にも、非常に簡易な構成で波長選択性の効果的に有し、
フィルタ特性を発揮するフィルタ管路ができる。
【0033】さらに、電磁波がマイクロ波であるときも
好適な波長選択性を実現したフィルタ管路を提供可能で
ある。
【0034】本発明は、上記各波長を有する電磁波が、
レーザーあるときにも、好適な波長選択性を有し、簡易
な構成で強いフィルタ特性を持つフィルタ管路を実現で
きる。
【0035】同様に、上記マイクロ波が、特にメーザー
あるときも、波長選択性の効果で、強いフィルタ特性を
持つ管路ができる。
【0036】また、本発明は、同軸周期構造誘電体導波
路を光励起遠赤外分子線レーザー用導波路に使用した時
と、波長選択性のない誘電体導波路を使用した時を比較
すると、分散関係がポイント状になっている波長選択性
の効果で、本発明のフィルタ管路を用いた導波路は多波
長発振を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光励起遠赤外分子線レーザー発生装置の構成図
である。
【図2】同軸周期構造のパラメーターを示す図である。
【図3】同軸周期構造導波路の断面図である。
【図4】ファブリペロー(FP)型共振器の図である。
【図5】導波路型共振器の図である。
【図6】周期構造誘電体導波路がある周波数かつモード
はポイント状で決まることを表した図である。
【図7】波長選択性のない誘電体導波路を使用した場合
の、多波長かつ多モード発振を示す図である。
【図8】CH3FがC−Fの伸縮運動の準位により、励
起光によってカスケード発振するエネルギーダイアグラ
ムの図である。
【符号の説明】
1 DC放電型CO2レーザー 2 PZTコントローラー 3 回折格子 4 遠赤外ビームレーザー 5 ZnSe出力鏡 6 ZnSeビームスプリッタ 7 ZnSeレンズ 8 全反射鏡 9 ZnSe窓 10 誘電体導波路 11 コア 12 周期構造付きクラッド 13 穴あきミラー 14 誘電体多層膜付き水晶基盤 15 テフロン窓 16 反射鏡 17 穴あきミラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井筒 雅之 東京都小金井市貫井北町4−2−1 独立 行政法人通信総合研究所内 Fターム(参考) 5F072 AA07 KK06 KK16 PP10 RR01 RR10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】波長選択性を有する電磁波のフィルタ管路
    であって、該管路が誘電体によって形成されると共に、
    2次元同軸周期構造から成り、該2次元同軸周期構造に
    おけるコア径が、径方向の波長かつ周期構造の特性長よ
    り十分長いことを特徴とした電磁波のフィルタ管路。
  2. 【請求項2】前記電磁波が紫外線である、請求項1記載
    の電磁波のフィルタ管路。
  3. 【請求項3】前記電磁波が可視光である、請求項1記載
    の電磁波のフィルタ管路。
  4. 【請求項4】前記電磁波が赤外線である、請求項1記載
    の電磁波のフィルタ管路。
  5. 【請求項5】前記電磁波が通信用の電波である、請求項
    1記載の電磁波のフィルタ管路。
  6. 【請求項6】前記電磁波がマイクロ波である、請求項1
    記載の電磁波フィルタ管路。
  7. 【請求項7】前記電磁波が、レーザーである請求項2,
    3,4,6のいずれかに記載の電磁波フィルタ管路。
  8. 【請求項8】前記電磁波が、メーザーである請求項6記
    載の電磁波フィルタ管路。
  9. 【請求項9】前記電磁波が、光励起遠赤外分子線レーザ
    ーである請求項7記載の電磁波フィルタ管路。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008243944A (ja) * 2007-03-26 2008-10-09 Chube Univ 多波長遠赤外レーザー発振方法および多波長遠赤外レーザー発振装置

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JP2008243944A (ja) * 2007-03-26 2008-10-09 Chube Univ 多波長遠赤外レーザー発振方法および多波長遠赤外レーザー発振装置

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