JP2008240508A - 電動機のクラッチ機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】手動操作に加えて、駆動源の起動によってもクラッチ接続操作が行なえる電動機のクラッチ機構を提供する。
【解決手段】クラッチ機構9は、減速機10と接続されるクラッチ接続状態と、出力軸側から減速機10が回転可能なクラッチ接続解除状態とで切り換えられ、少なくとも電動機8のモータの所定方向への起動回転により、クラッチ機構9が接続解除状態からクラッチ接続状態へ復帰する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばシャッター、ブラインド、カーテンなどの長尺物が巻き取られた回転ドラムを電動機により回転駆動する駆動部に設けられる電動機のクラッチ機構に関する。
シャッター、ブラインド、カーテンなどの長尺物が巻き取られた回転ドラムを電動機により回転駆動する電動巻取り装置が提案されている。電動巻取り装置の一例について説明すると、筒状の回転ドラム内に一端側に駆動源であるモータが設けられており、モータ軸(出力軸)に連繋するクラッチ機構を介して回転ドラムを回転駆動するようになっている。
電動機が動作中に停電や故障などにより回転停止すると、例えばシャッターなどを手動により開放若しくは閉じる必要がある。この場合、シャッター自体の重量の他に電動機と出力軸とを連繋するクラッチ機構やブレーキ機構が作動して負荷として加わるため、作業性が悪くなる。このため、非常停止時に電動機と出力軸との駆動伝達を解除する様々な解除機構が設けられている。
例えば、モータの回転停止時にケーブルを通じて摺動板を軸方向へスライドさせてクラッチ板とクラッチピンとの係合を解除することでモータ軸との連繋を遮断して回転ドラムを回転可能にすることで、手動操作を可能にしている。摺動板のスライド位置は、例えばハートカムを用いたスライド機構により切換え保持される(特許文献1参照)。
特開2002−138779号公報
上述した解除機構において、非常停止時に一旦使用者がケーブルを引いてクラッチ機構の接続を解除して手動で作業を行なった後、ケーブル操作を忘れて再度電動機のスイッチをONにしてシャッターなどを移動させようとしても、駆動力が出力側に伝達されない。このため、使用者は誤って電動機の故障と判断するおそれがある。この場合、逐一使用者からサービスマンが呼びだしを受けることになり、互いに時間と労力を無駄にするおそれがある。
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、手動操作に加えて、駆動源の起動によってもクラッチ接続操作が行なえる電動機のクラッチ機構を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
電動機と減速機との間に、当該電動機の駆動が減速機を通じて出力軸へ伝達される電動機のクラッチ機構であって、前記クラッチ機構は、減速機と接続されるクラッチ接続状態と、出力軸側から減速機が回転可能なクラッチ接続解除状態とで切り換えられ、少なくとも電動機のモータの所定方向への起動回転により、クラッチ機構が接続解除状態からクラッチ接続状態へ復帰することを特徴としている。
具体的には、前記減速機本体に収納される内歯車端面にクラッチ溝が形成され該クラッチ溝に対向してクラッチピンが減速機本体に設けられたスライド部材のスライド動作に連繋して軸方向に挿抜可能に設けられ、前記クラッチピンが前記クラッチ溝に嵌合するクラッチ接続状態と前記クラッチピンが前記クラッチ溝から抜け出し出力軸側から減速機が回転可能なクラッチ接続解除状態とで切り換え可能であり、前記クラッチ機構がクラッチ接続解除状態において前記電動機のモータを所定方向へ起動回転することにより、前記クラッチピンが内歯車端面のクラッチ溝へ嵌合して減速機がクラッチ機構と接続されるクラッチ接続状態へ復帰することを特徴とする。
また、減速機本体に設けられた回転支点を中心に揺動する揺動アームの一端がクラッチピンと他端がスライド部材と各々連繋しクラッチピンは常時クラッチ溝に嵌り込む向きに付勢されており、スライド部材を手動操作することによりクラッチピンがクラッチ溝から抜け出たまま保持されるようになっていることを特徴とする。
また、クラッチ機構は、モータ軸と平行に設けられたクラッチ軸と、クラッチ軸を中心にスライド部材のスライド動作に連繋してスライドしクラッチピンがクラッチ溝に嵌り込んだ第1の位置とクラッチ溝より抜け出た第2の位置とで保持されるクラッチギヤと、スライド部材のスライド動作に連繋してクラッチギヤと共にモータ軸上をスライドする解除用ギヤを備え、クラッチギヤはスライド部材のスライド動作に連繋してクラッチ軸に沿って第1の位置又は第2の位置へスライドし、クラッチピンがクラッチ溝から抜け出た状態でモータを起動して所定方向へ回転駆動させると解除用ギヤを通じてクラッチギヤが回転し第2の位置から第1の位置へスライドしてスライド部材がスライドすることによりクラッチピンがクラッチ溝に嵌り込むことを特徴とする。
また、クラッチ軸の外周には、スリットが軸方向に減速機側軸端部まで形成され当該軸端部に傾斜面が断続的に形成された第1の歯面部を有するベース部材が同軸状に嵌め込まれており、該ベース部材の外周にはスリットに嵌り込む第1の突起が内周面に突設されクラッチギヤに押接する端面に第2の歯面部が形成された押動部材と、スリットに嵌り込み第2の歯面部と押接する傾斜面を有する第2の突起が内周面に突設されたクラッチギヤがスライド可能に嵌め込まれ、クラッチギヤは減速機本体との間に設けられた圧縮ばねにより常時押動部材に向けて第2の突起が第2の歯面部に押し当てられスリット端部の第1の位置にて保持されており、スライド部材がスライドすると押動部材及びクラッチギヤが圧縮ばねの付勢に抗してスライドし、クラッチギヤの第2の突起がスリットより外れると第2の歯面部の更なる押動により所定方向へ回転し当該第2の突起が第1の歯面部と係合してベース部材の端面部に係止した第1の位置でクラッチギヤが解除用ギヤと噛み合って保持され、モータの起動により解除ギヤが回転してクラッチギヤが連れ回りし第2の突起がスリットに嵌り込むと圧縮ばねの付勢により再度クラッチギヤの第2の突起が押動部材の第2の歯面部に押し当てられたままスリット端部へスライドしてクラッチギヤが解除用ギヤとの噛み合いが外れた第1の位置で保持されることを特徴とする。
上述した電動機のクラッチ機構を用いれば、減速機がクラッチ機構と接続されるクラッチ接続状態と、出力軸側から減速機が回転可能なクラッチ接続解除状態とで切り換えられ、少なくとも電動機のモータの所定方向への起動回転により、クラッチ機構が接続解除状態からクラッチ接続状態へ復帰するので、クラッチ機構がクラッチ接続状態であれば電動機の駆動がそのまま減速機側に伝わり、クラッチ接続解除状態にあっても電動機の起動運転のみでクラッチ接続解除状態からクラッチ接続状態へ復帰して電動機の駆動が減速機側に伝わるので、使用者の利便性を向上できる。
また、減速機本体に収納される内歯車端面にクラッチ溝が形成され該クラッチ溝に対向してクラッチピンが減速機本体に設けられたスライド部材のスライド動作に連繋して軸方向に挿抜可能に設けられており、減速機本体に設けられたスライド部材を手動操作するか又は電動機のモータを所定方向へ起動回転することによりクラッチピンがクラッチ溝へ嵌合して減速機がクラッチ機構と接続される。したがって、使用者がスライド部材を手動操作してクラッチ機構をクラッチ接続解除状態にしたまま、当該手動操作を忘れて再度電動機の起動スイッチをONにしても、クラッチピンがクラッチ溝へ嵌合して減速機がクラッチ機構と接続されて電動機の駆動が減速機側に伝達される。よって、手動操作に加えて、駆動源の起動によってもクラッチ接続操作が行なえるので、使用者の利便性が向上する。
また、クラッチの接続、接続解除にハートカムなどを用いる場合に比べて、クラッチ部品の構造が簡素化できる。
また、電動機が非常停止時には、クラッチ機構を手動操作でクラッチ接続解除状態にするだけで足り、減速機のギヤどうしの噛み合いを外す必要はないので操作性が良く、出力軸側からの操作により減速機を従動回転させて負荷を軽減したまま操作が行なえる。
以下、本発明に係る電動機のクラッチ機構の最良の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。以下では、シャッター用の電動巻取り装置に設けられる電動機のクラッチ機構を例示して説明する。電動巻取り装置は一例としてチューブラタイプの装置が用いられる。すなわち、回転ドラムと同軸に設けられるハウジング部内に設けられるブレーキ付電動機と、回転ドラム内に電動機のクラッチ機構を一体に備えている。回転ドラム内の電動機を起動するとクラッチ機構を通じて出力軸へ駆動伝達することにより回転ドラムを回転駆動するようになっている。
先ず、図9及び図10を参照して、シャッター用の電動巻取り装置の概略構成について説明する。図10において、回転ドラム1には、シャッター2が繰り出し可能に巻き取られる。回転ドラム1内の巻取り軸3には、アシストバネ4が巻き付けられている。アシストバネ4は、シャッター2が繰り出される際の負荷変動を軽減するように設けられている。巻取り軸3は、カップリング5を介して駆動側出力軸6と連結されている。
図9において、駆動部7は回転ドラム1内に設けられ、軸端方向右端より図示しない電磁ブレーキ、電動機(モータ)8、クラッチ機構9、減速機10が軸方向にこの順に配置されている。電磁ブレーキ及び電動機8は回転ドラム1内に配置され、回転ドラム1は図示しない取付け枠などに回転可能に固定される。図10において、電磁ブレーキ及び電動機8には回転ドラム1の軸端側より商用電源が供給され、壁等に設けられるスイッチ11に配線接続されている。また、図9において、減速機10に設けられたワイヤー取付け板(スライド部材の一例)12にはクラッチ操作用のワイヤー13が連結されておりアウターチューブ14を挿通して引き出され、図10に示す操作棒15に連結されている。
次に、駆動部7のより詳細な構成について、図1及び図5乃至図8を参照して説明する。
図示しない電磁ブレーキは、電動機8の起動動作に連動してブレーキが解除されるようになっている。図1Bにおいて電動機8はダンパー16を介して減速機本体(ハウジング)17と一体に組み付けられている。減速機本体17内にはモータ軸18が挿入され、該モータ軸18に連繋してクラッチ機構9及び減速機10が収納されている。
減速機本体17に収納される内歯車19の端面にクラッチ溝20が周方向に所定間隔で複数形成されている。クラッチ機構9には、クラッチピン21がクラッチ溝20に対向してワイヤー取付け板12のスライド動作に連繋して軸方向に挿抜可能に設けられている。また、図1Cにおいて、減速機本体17には回転支点22を中心に揺動する揺動アーム23が設けられている。この揺動アーム23の一端23aはクラッチピン21と、他端23bがワイヤー取付け板12と各々連繋している。クラッチピン21はダンパー16との間に設けられた第2の圧縮ばね35により内歯車19の端面に向けて常時付勢されている。クラッチが接続されるとクラッチピン21は内歯車19の端面に押し当てられてそのままクラッチ溝20に嵌り込むか、内歯車19の端面に押し当てられたまま該内歯車19が回転していずれかのクラッチ溝20へ嵌り込むようになっている。
また、ワイヤー取付け板12に連結するワイヤー13を手動操作することによりクラッチピン21がクラッチ溝20から抜け出たまま保持されるようになっている。
ここでクラッチ機構9のより詳細な構成について説明する。図1Bにおいて、減速機本体17にはモータ軸18と平行にクラッチ軸24が設けられている。クラッチ軸24には、クラッチギヤ25及び押動部材32がスライド可能に支持されている。また、ベース部材29がクラッチ軸24の外周側に一体に組み付けられている。このベース部材29は、クラッチギヤ25及び押動部材32の移動をガイドするものである。クラッチギヤ25及び押動部材32は後述するようにワイヤー取付け板12のスライド動作に連繋してスライドし、クラッチピン21がクラッチ溝20に嵌り込んだ第1の位置とクラッチ溝20より抜け出た第2の位置とで保持される。
また、モータ軸18にはクラッチの接続が解除される第2の位置でクラッチギヤ25と噛み合う解除用ギヤ26が設けられている。解除用ギヤ26にはワンウェイ構造が設けられており、モータ軸18の所定方向の回転に連れ回りし、逆方向には駆動力が伝達されずにフリーに回るようになっている。クラッチギヤ25はワイヤー取付け板12のスライド動作に連繋してクラッチ軸24に沿って第1の位置又は第2の位置へスライドして保持される。解除用ギヤ26は、第1の位置でクラッチギヤ25との噛み合いが外れており、第2の位置へ移動する際にモータ軸18の回転に連れ回りしながら又はクラッチギヤ25が回転することにより、当該クラッチギヤ25と噛み合うようになっている。
また、クラッチギヤ25が第2の位置、即ちワイヤー取付け板12を手動操作してクラッチピン21がクラッチ溝20から抜け出た状態で電動機8を所定方向へ起動すると、解除用ギヤ26を通じてクラッチギヤ25を回転させてクラッチギヤ25が第2の位置から第1の位置へスライドし、ワイヤー取付け板12がスライドすることによりクラッチピン21がクラッチ溝20に嵌り込む第1の位置へ移動して保持されるようになっている。解除用ギヤ26は、モータ軸18の周囲に設けられた第3の圧縮ばね46によって電動機8側へ付勢されている。
次に、クラッチギヤ25の構成について図5乃至図8を参照してより具体的に説明する。
図8において、クラッチ軸24には、スリット27が軸方向に減速機側軸端部まで形成され当該軸端部に傾斜面が断続的に形成された第1の歯面部28を有するベース部材29が同軸状に嵌め込まれている。
ベース部材29の外周にはスリット27に嵌り込む第1の突起30が内周面に突設されクラッチギヤ25に押接する端面に第2の歯面部31が形成された押動部材32が嵌め込まれている。また、押動部材32に近接して設けられ、スリット27に嵌り込み第2の歯面部31と押接する傾斜面を有する第2の突起33が内周面に突設されたクラッチギヤ25がスライド可能に嵌め込まれている。
図5A乃至図5Dにおいて、クラッチギヤ25は減速機本体17との間に設けられた第1の圧縮ばね34により(図1B参照)常時押動部材32に向けて押圧されている。このとき、クラッチギヤ25は第2の突起33の端面が押動部材32の第2の歯面部31に押し当てられたまま第1の突起30(図8参照)がベース部材29のスリット27の端部に突き当てられて保持されている(第1の位置;クラッチ接続)。
図1Bにおいて、ワイヤー取付け板12には、クラッチ軸24及びモータ軸18と交差する位置へ係止部材12aが突設されている。係止部材12aはクラッチギヤ25と連繋しており、ワイヤー取付け板12のスライド動作によって解除用ギヤ26と連繋するようになっている。ワイヤー13を引くと(図9参照)、ワイヤー取付け板12が減速機本体17側へスライドする。このとき、図6A乃至図6Dにおいて、ワイヤー取付け板12がスライドすると押動部材32及びクラッチギヤ25が第1の圧縮ばね34の付勢に抗して減速機本体17(図1C参照)側へスライドする。
図6Aにおいて、ワイヤー取付け板12の係止部材12aに連繋する押動部材32の鍔部が軸方向へ押されると、押動部材32は第1の突起30がスリット27に嵌り込んだまま第2の歯面部31をスリット27に嵌り込んだ第2の突起33の端面に突き当ててクラッチギヤ25を押しながらベース部材29上を軸方向左側(減速機本体17側)へスライドする。そして、クラッチギヤ25の第2の突起33がスリット27より外れると第2の歯面部31の更なる押動により第2の突起33が第2の歯面部31の歯面にならってクラッチギヤ25が所定方向(図6Bの反時計周り方向)へ回転する。
そして、図7A乃至図7Dにおいて、ワイヤー13の引っ張り力より第1の圧縮ばね34の付勢力が勝ると、第2の突起33がベース部材29の端面に形成された第1の歯面部28に押し当てられ、該第1の歯面部28の傾斜にしたがってさらに所定方向(図7Bの反時計周り方向)へ回転してクラッチギヤ25がベース部材29の端面部に保持される(第2の位置;クラッチ接続解除)。このとき、クラッチギヤ25は解除用ギヤ26と噛み合っている。
図1A−Cにおいて、操作者が操作棒15を持ってワイヤー13を引くと、ワイヤー取付け板12が第1の圧縮ばね34、第2の圧縮ばね35及び第3の圧縮ばね46の弾性力に抗して減速機本体17側に軸方向へ移動する。このとき、図2A−Cにおいて、揺動アーム23が回転支点22を中心に時計回り方向に回転するためクラッチピン21がクラッチ溝20から抜け出て、クラッチ機構9の連結が解除される(図2A−Cはワイヤー操作によりクラッチピン21が最大変位した状態を示す)。また、ワイヤー13の引っ張り力が軽減されると、第1の圧縮ばね34、第2の圧縮ばね35及び第3の圧縮ばね46の弾性力によりワイヤー取付け板12、クラッチギヤ25及び解除用ギヤ26が軸方向右側へ若干押し戻されて保持される。このとき、図3A−Cにおいて、クラッチギヤ25は、ベース部材29の端面に形成された第1の歯面部28に第2の突起33が噛み合って保持されている。
使用者がワイヤー取付け板12を手動操作してクラッチ機構9の接続を解除して手動で作業を行なった後、手動操作を忘れて再度電動機8のスイッチ11をONにしても、電動機8を所定方向(モータ軸18側から見て反時計回り方向)に回転駆動して解除ギヤ26を通じてクラッチギヤ25を図7の状態から図6の状態へと逆方向(図7B、図6Bの時計回り方向)へ回転させることができる。このとき、第2の突起33が第1の歯面部28を乗り越えてスリット27に嵌り込むと、第1の圧縮ばね34の付勢により再度クラッチギヤ25の第2の突起33が押動部材32の第2の歯面部に31へ押し当てられてスリット27の端部へスライドして保持され(図5参照)、この動きに連動してワイヤー取付け板12がスライドする。このとき、図4A−Cにおいて、揺動アーム23は回転支点22を中心に反時計回り方向に回転するためクラッチピン21がクラッチ溝20へ嵌まり込んで、図1A−Cのようにクラッチ機構9が減速機10と自動接続され電動機8の駆動が減速機10側に伝達される。よって、手動操作に加えて、電動機8の起動によってもクラッチ接続操作が行なえるので、使用者の利便性が向上する。
次に、減速機10の構成の一例である遊星歯車機構について説明する。図1Bにおいて、減速機本体17には、複数段の内歯車(第1の内歯車19及び第2の内歯車40)が軸方向に一体に組み付けられて収納されている。モータ軸18の先端に設けられた第1の太陽ギヤ36は、第1の遊星ギヤ37と噛み合っている。第1の遊星ギヤ37は第1の内歯車19と噛み合っている。第2の太陽ギヤ38は、第2の遊星ギヤ39と噛み合っている。第2の遊星ギヤ39は、第2の内歯車40と噛み合っている。
第2の太陽ギヤ38が設けられたシャフト41には、第1のキャリヤ42が設けられている。第1のキャリヤ42には第1のピン43を中心に第1の遊星ギヤ37が設けられている。出力軸6が設けられた第2のキャリヤ44には、第2のピン45を中心に第2の遊星ギヤ39が設けられている。
クラッチ機構9が接続された状態でモータ軸18を回転駆動すると、第1段の第1の太陽ギヤ36、第1の遊星ギヤ37、第1のキャリヤ42を通じてシャフト41(第2の太陽ギヤ38)が回転する。更に第2の太陽ギヤ38が回転すると第2の遊星ギヤ39、第2のキャリヤ44を通じて出力軸6が回転駆動される。
図1A−Cにおいて、クラッチ機構9が連結状態において、図示しないリモコン操作などにより電動機8を起動すると、図示しない電磁ブレーキが解除されモータ軸18が回転する。このとき、減速機10の遊星歯車機構を通じて出力軸6が回転するため、図10に示す回転ドラム1を回転させてシャッター2を繰り出したり或いは巻き取ったりすることができる。
また、電動機8が停電や故障などにより非常停止した場合には、操作棒15を把持してワイヤー13を下方へ引っ張ると(図10参照)、ワイヤー取付け板12がスライドしてクラッチピン21がクラッチ溝20より外れたまま保持され(図3BC参照)、クラッチ機構9と減速機10との連結が解除される。よって、第1、第2の遊星歯車37、39は、出力軸6側からの回転で第1、第2の太陽ギヤ36、38を中心に回転可能になる。
したがって、減速機10の歯車どうしの噛み合いを外すことなく、クラッチ機構9により電動機8側との動力伝達を遮断し、出力側(シャッター2側)からの手動操作により回転ドラム1が回転するので、途中で停止したシャッター2を手動により軽い負荷で繰り出す或いは巻き上げることができる。また、使用者が手動操作によりクラッチ機構9の接続を解除したことを忘れて、リモコン操作やスイッチ操作を行なっても、電動機8を所定方向へ起動回転することでクラッチ機構9を接続できるので、利便性がよい。
尚、減速機10としては遊星歯車機構に替えて不思議遊星歯車機構を用いてもよい。不思議遊星歯車機構は、入力側(太陽ギヤ)から入力された動力を複数の遊星ピニオンや固定内歯車を通じて減速して可動内歯車より出力するようになっている。
また、上記実施例はシャッター用の電動巻取り装置について説明したが、カーテン、ブラインド、オーニングなどの他の長尺物の巻取り装置に適用しても良い。
また、電動巻取り装置は、チューブラタイプ以外の装置構成であってもよい。即ち、図11において、ブレーキ付電動機8、クラッチ機構9、減速機10は、回転ドラム1の外部に設けられる駆動ユニット61内に収納されている。駆動ユニット61の出力軸6には駆動側スプロケット62が嵌め込まれている。回転ドラム1の巻取り軸3にはドラム側スプロケット63が嵌め込まれている。駆動側スプロケット62とドラム側スプロケット63間には無端状のチェーン64が架設されている。駆動ユニット61には電動機8を操作するスイッチ11が接続されており、クラッチ機構9を操作するワイヤー13及び操作棒15が接続されている。このように、駆動ユニット61が回転ドラム1の外部に設けられるとメンテナンスがし易くなる。
クラッチ機構の接続状態を示す軸方向正面図、矢印E−E方向断面図、矢印F−F方向断面図である。 クラッチ機構の接続解除動作中を示す軸方向正面図、矢印E−E方向断面図、矢印F−F方向断面図である。 クラッチ機構の接続解除状態を示す軸方向正面図、矢印E−E方向断面図、矢印F−F方向断面図である。 クラッチ機構の接続復帰動作中を示す軸方向正面図、矢印E−E方向断面図、矢印F−F方向断面図である。 クラッチ部品の接続状態を示す部分断面図、矢印J−J方向断面図、K部拡大図、及び斜視図である。 クラッチ部品の接続解除動作を示す部分断面図、矢印J−J方向断面図、K部拡大図、及び斜視図である。 クラッチ部品の接続解除状態を示す部分断面図、矢印J−J方向断面図、K部拡大図、及び斜視図である。 クラッチ部品の分解斜視図である。 クラッチ機構の断面図である。 電動巻取り装置の概略構成を示す説明図である。 電動巻取り装置の他の構成を示す説明図である。
符号の説明
1 回転ドラム
2 シャッター
3 巻取り軸
4 アシストバネ
5 カップリング
6 出力軸
7 駆動部
8 電動機
9 クラッチ機構
10 減速機
11 スイッチ
12 ワイヤー取付け板
12a 係止部材
13 ワイヤー
14 アウターチューブ
15 操作棒
16 ダンパー
17 減速機本体
18 モータ軸
19 第1の内歯車
20 クラッチ溝
21 クラッチピン
22 回転支点
23 揺動アーム
24 クラッチ軸
25 クラッチギヤ
26 解除用ギヤ
27 スリット
28 第1の歯面部
29 ベース部材
30 第1の突起
31 第2の歯面部
32 押動部材
33 第2の突起
34 第1の圧縮ばね
35 第2の圧縮ばね
36 第1の太陽ギヤ
37 第1の遊星ギヤ
38 第2の太陽ギヤ
39 第2の遊星ギヤ
40 第2の内歯車
41 シャフト
42 第1のキャリヤ
43 第1のピン
44 第2のキャリヤ
45 第2のピン
46 第3の圧縮ばね
61 駆動ユニット
62 駆動側スプロケット
63 ドラム側スプロケット
64 チェーン

Claims (5)

  1. 電動機と減速機との間に、当該電動機の駆動が減速機を通じて出力軸へ伝達される電動機のクラッチ機構であって、
    前記クラッチ機構は、減速機と接続されるクラッチ接続状態と、出力軸側から減速機が回転可能なクラッチ接続解除状態とで切り換えられ、
    少なくとも電動機のモータの所定方向への起動回転により、クラッチ機構が接続解除状態からクラッチ接続状態へ復帰する電動機のクラッチ機構。
  2. 前記減速機本体に収納される内歯車端面にクラッチ溝が形成され該クラッチ溝に対向してクラッチピンが減速機本体に設けられたスライド部材のスライド動作に連繋して軸方向に挿抜可能に設けられ、前記クラッチピンが前記クラッチ溝に嵌合するクラッチ接続状態と前記クラッチピンが前記クラッチ溝から抜け出し出力軸側から減速機が回転可能なクラッチ接続解除状態とで切り換え可能であり、
    前記クラッチ機構がクラッチ接続解除状態において前記電動機のモータを所定方向へ起動回転することにより、前記クラッチピンが内歯車端面のクラッチ溝へ嵌合して減速機がクラッチ機構と接続されるクラッチ接続状態へ復帰する請求項1記載の電動機のクラッチ機構。
  3. 減速機本体に設けられた回転支点を中心に揺動する揺動アームの一端がクラッチピンと他端がスライド部材と各々連繋しクラッチピンは常時クラッチ溝に嵌り込む向きに付勢されており、スライド部材を手動操作することによりクラッチピンがクラッチ溝から抜け出たままクラッチ解除状態が保持されるようになっている請求項2記載の電動機のクラッチ機構。
  4. クラッチ機構は、モータ軸と平行に設けられたクラッチ軸上に設けられ、クラッチピンがクラッチ溝に嵌り込んだ第1の位置とスライド部材のスライド動作に連繋してスライドしクラッチ溝より抜け出た第2の位置で各々保持されるクラッチギヤと、スライド部材のスライド動作に連繋してクラッチギヤと共にモータ軸上をスライドする解除用ギヤを備え、クラッチギヤはスライド部材のスライド動作に連繋してクラッチ軸に沿って第1の位置又は第2の位置へスライドし、クラッチピンがクラッチ溝から抜け出たクラッチ接続解除状態でモータを起動して所定方向へ回転駆動させると、解除用ギヤを通じてクラッチギヤが回転し第2の位置から第1の位置へスライドしてスライド部材がスライドすることによりクラッチピンがクラッチ溝に嵌り込んでクラッチ接続状態に復帰する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電動機のクラッチ機構。
  5. クラッチ軸の外周には、スリットが軸方向に減速機側軸端部まで形成され当該軸端部に傾斜面が断続的に形成された第1の歯面部を有するベース部材が同軸状に嵌め込まれており、該ベース部材の外周にはスリットに嵌り込む第1の突起が内周面に突設されクラッチギヤに押接する端面に第2の歯面部が形成された押動部材と、スリットに嵌り込み第2の歯面部と押接する傾斜面を有する第2の突起が内周面に突設されたクラッチギヤがスライド可能に嵌め込まれ、クラッチギヤは減速機本体との間に設けられた圧縮ばねにより常時押動部材に向けて第2の突起が第2の歯面部に押し当てられスリット端部の第1の位置にて保持されており、スライド部材がスライドすると押動部材及びクラッチギヤが圧縮ばねの付勢に抗してスライドし、クラッチギヤの第2の突起がスリットより外れると第2の歯面部の更なる押動により所定方向へ回転し当該第2の突起が第1の歯面部と係合してベース部材の端面部に係止した第1の位置でクラッチギヤが解除用ギヤと噛み合って保持され、モータの起動により解除ギヤが回転してクラッチギヤが連れ回りし第2の突起がスリットに嵌り込むと圧縮ばねの付勢により再度クラッチギヤの第2の突起が押動部材の第2の歯面部に押し当てられたままスリット端部へスライドしてクラッチギヤが解除用ギヤとの噛み合いが外れた第1の位置で保持される請求項4記載の電動機のクラッチ機構。
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