JP2008239816A - 軟質ポリウレタンフォーム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の軟質ポリウレタンフォームは、イソシアネート末端プレポリマーを水を用いて架橋させてなる軟質ポリウレタンフォームであって、非ハロゲン系難燃剤及びアクリル樹脂を含有し、反発弾性率が20%以下である。また、非ハロゲン系難燃剤が水酸化アルミニウムであり、フォームを100質量%とした場合に、非ハロゲン系難燃剤の含有量が45〜80質量%であり、密度が200〜450kg/m3であるフォームであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
1.イソシアネート末端プレポリマーを水を用いて架橋させてなる軟質ポリウレタンフォームであって、非ハロゲン系難燃剤及びアクリル樹脂を含有し、反発弾性率が20%以下であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
2.上記非ハロゲン系難燃剤が水酸化アルミニウムである上記1.に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
3.上記軟質ポリウレタンフォームを100質量%とした場合に、上記非ハロゲン系難燃剤の含有量が45〜80質量%である上記1.又は2.に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
4.密度が200〜450kg/m3である上記1.乃至3.のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
5.上記イソシアネート末端プレポリマーの製造に用いられたポリオールの少なくとも一部が3官能以上のポリオールである上記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
6.非イオン界面活性剤を含有する上記1.乃至5.のうちのいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
また、非ハロゲン系難燃剤が水酸化アルミニウムである場合は、所要量の難燃剤を容易に含有させることができ、優れた難燃性を有する軟質ポリウレタンフォームとすることができる。
更に、軟質ポリウレタンフォームを100質量%とした場合に、非ハロゲン系難燃剤の含有量が45〜80質量%である場合は、JIS K 6911 B法によるV−0級に合格する優れた難燃性を有する軟質ポリウレタンフォームとすることができる。
また、密度が200〜450kg/m3である場合は、反発弾性が十分に低く、より優れた衝撃緩衝性を有する軟質ポリウレタンフォームとすることができる。
更に、イソシアネート末端プレポリマーの製造に用いられたポリオールの少なくとも一部が3官能以上のポリオールである場合は、より多くの架橋構造を有し、優れた伸び及び引張強さ等を有する軟質ポリウレタンフォームとすることができる。
また、非イオン界面活性剤を含有する場合は、その整泡作用により、十分な衝撃緩衝性を有する軟質ポリウレタンフォームとすることができる。
本発明の軟質ポリウレタンフォーム(以下、「フォーム」ということもある。)は、イソシアネート末端プレポリマー(以下「プレポリマー」ということもある。)を水を用いて架橋させてなり、非ハロゲン系難燃剤及びアクリル樹脂を含有し、反発弾性率が20%以下である。
上記「イソシアネート末端プレポリマー」は、ポリオールに化学当量を越えるポリイソシアネートを反応させることにより生成する。このプレポリマーのイソシアネート基(NCO基)含有量は10〜30質量%、特に15〜25質量%とすることができる。NCO基含有量は、フォームの架橋密度に影響し、これによりフォームの硬度、加工性等が変化する。NCO基含有量が10質量%未満であると、フォーム原料の粘度が上昇して取り扱い難くなったり、反応ガスの発生量が少なくなって均質なフォームが生成し難くなることがある。一方、この含有量が30質量%を越えると、反応ガスの発生量が過剰になり、発泡度が高くなってフォームの密度が低下し、所要の硬度等を有するフォームとすることができない場合がある。
ポリオールは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等の種類のことなるポリオールを併用することもできる。
ポリイソシアネートは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、1種のみ用いられることが多い。
上記「水」は特に限定されず、例えば、イオン交換水、水道水、蒸留水等の各種の水を用いることができる。フォーム製造時の水の使用量は、プレポリマーを100質量部とした場合に、30〜100質量部とすることができ、40〜80質量部、特に40〜70質量部、更に40〜60質量部であることが好ましい。水が30〜100質量部であれば、所定の発泡倍率のフォームとすることができ、且つ発泡後の水の除去も容易である。
上記「アクリル樹脂」(このアクリル樹脂には、メタクリル樹脂及びアクリルモノマーと他のモノマーとの共重合樹脂も含まれるものとする。)は、水溶性アクリル樹脂でもよく、水分散性アクリル樹脂でもよい。このアクリル樹脂は、水溶性であるときは水溶液として、水分散性であるときは水分散体(エマルジョン)として配合され用いられる。水溶液又はエマルジョンの配合量は特に限定されないが、プレポリマーを100質量部とした場合に、水溶液又はエマルジョンに含有されるアクリル樹脂が30〜70質量部、特に40〜60、特に40〜50質量部となる配合量であることが好ましい。
上記「非ハロゲン系難燃剤」は特に限定されず、各種の非ハロゲン系難燃剤を用いることができる。この非ハロゲン系難燃剤は無機系難燃剤でもよく、有機系難燃剤でもよい。無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト、三酸化アンチモン、ポリリン酸アンモニウム、炭酸カルシウム及び活性炭等が挙げられる。これらの無機系難燃剤のうちでは、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、ポリリン酸アンモニウム及び炭酸カルシウムが好ましい。これらの難燃剤は、フォーム製造のための他の原料との混合が容易であり、且つ含有量が少量であっても難燃性を十分に向上させることができる。更に、伸び、引張強さ等の他の物性に及ぼす影響も小さく、その観点でも有利である。
難燃剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、無機系難燃剤と有機系難燃剤とを併用することもできる。
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、製造時の混合攪拌に際して、整泡剤として作用する界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤を配合することにより、攪拌が容易となり、且つ気泡の安定化を図ることができる。より具体的には、ポリイソシアネート、ポリオール等の各々の原料の混合、乳化を促進し、気泡の合一を防止し、気泡膜を安定化して反応液の流動を制御し、均質なフォームとすることができる。
上記「反発弾性率」は、JIS K 6400に準拠して測定することができ、フォームから100×100×50mm、又はこれを越える寸法の試験片を切り出し、試験片の上面より500mmの高さから直径16mm、質量16gの鋼球を落下させ、跳ね返った最高の高さを落下高さ(500mm)に対する百分率で表したものである。従って、数値が小さいほど、低反発であり、衝撃緩衝性に優れていることになる。
本発明の軟質ポリウレタンフォームの反発弾性率は20%以下であり、特に10%以下、更に7%以下とすることができる。また、容易に5%以下とすることもでき、極めて低反発であり、優れた衝撃緩衝性を有するフォームとすることができる。
ポリオールと過剰のポリイソシアネートとを用いてイソシアネート末端プレポリマーを作製し、このプレポリマーと、水と、非ハロゲン系難燃剤と、アクリルエマルジョンと、非イオン界面活性剤と、を用いて自然発泡により軟質ポリウレタンフォームを製造した。
平均分子量2000のポリエチレングリコール(三洋化成社製、商品名「PEG−2000」)2モルと、トリメチロールプロパン1モルとを混合し、混合物を5〜15トルの圧力下に100〜110℃で乾燥して水を除去した。その後、得られた乾燥後の混合物を、6モルのトルエンジイソシアネート(TDI)が投入された反応容器に約1時かけて徐々に添加し、添加する間、ポリオールとTDIとの混合物を撹拌した。混合物の添加が終了した後、更に3時間撹拌を継続し、その間、反応容器内の温度を60℃に維持した。最終の反応生成物には10モル%の過剰のTDIが残留し、含有されていた。また、ヒドロキシル基はすべてイソシアネートによりキャップされ、ポリオールとTDIとの間に多少の連鎖伸張が生じていた。得られたNCO末端プレポリマーのNCO含有量は、20質量%であった。
上記(1)で得られたイソシアネート末端プレポリマーに、表1に記載の配合割合で、水、アクリルエマルジョン(日本ゼオン社製、商品名「LX852」、固形分含有量;45質量%、pH;6)、非イオン界面活性剤(旭電化工業社製、商品名「L62」)、難燃剤(昭和電工社製、水酸化アルミニウム、商品名「ハイジライトH10」又は大八化学社製、リン系難燃剤、商品名「SH800」)を配合して攪拌し、この配合物を高さ200mm、縦200mm、横200mmの角型の容器に投入し、自然発泡させた。自然発泡後、乾燥炉において、70℃で8時間静置して水分を除去し、その後、室温にて24時間静置し、次いで、フォームから所定寸法の試験片を切り出した。
以下のようにしてフォームの密度、反発弾性及び難燃性を評価した。
(a)密度
JIS K 6400に準拠して測定した。
(b)反発弾性
JIS K 6400に準拠した試験機により、JIS K 6400に準拠して測定した。即ち、試験片(縦100mm、横100mm、厚さ50mmの板状体)に、高さ500mmから鋼球(直径16mm、質量16g)を自然落下させ、そのときの鋼球の跳ね返り高さを読み取ることにより、反発弾性率を求めた。また、3個の試験片について得られた3個の数値の中央値をそれぞれの試験片の反発弾性率とした。
(c)難燃性
JIS K 6911 5.24.2B法により評価した。装置としては、JIS K 6911に準拠した垂直燃焼試験装置を用いた。具体的には、空気の流れの無いチャンバー内において、試験片(長さ127mm、幅12.7mm、厚さ0.8mm)の長さ方向の上端をクランプ付きリングスタンドに設けたクランプで挟持し、その後、試験片の下端中央部に高さ19mmの青色炎に調節したバーナーの炎を10秒間接炎させ、接炎後、バーナーを試験片から152mm以上離してフレーミング(有炎燃焼)時間を測定した。フレーミングが停止した後、直ちにバーナーの炎を再度、試験片の同じ箇所に10秒間接炎させ、再び152mm以上離し、フレーミング時間とグローイング(赤熱燃焼)時間とを測定した。
尚、バーナーとしてはブンゼンバーナー(管の長さが101.6mm、内径9.5mm)を使用し、燃焼用ガスボンベとしては工業用メタンガス又は約9000kcal/m3(37MJ/m3)の燃焼熱を有する天然ガスが充填されたボンベ(流量計及びレギュラーが付設されている。)を用いた。
(a)弾性反発率について
表1の結果によれば、実験例1〜5では、アクリルエマルジョンを配合して製造したフォームであるため、反発弾性率は3〜5%と極めて低く、優れた低反発性を有していることが分かる。一方、アクリルエマルジョンが配合されていない実験例6では、弾性反発率が22%と高く、低反発性が十分ではないことが分かる。
(b)難燃性について
実験例1〜6のいずれも、フレーミング及びグローイングについてはJIS K 6400に定められた難燃性の基準V−0級に合格していることが分かる。特に実験例1〜4及び6では、1回目のフレーミングがいずれも0秒であり、グローイングもいずれも0秒であり、極めて優れた難燃性を有している。更に、クランプまでの燃焼もなかった。一方、実験例5では、難燃剤比率が42.6質量%と低いため、グローイングは0秒であるものの、1回目のフレーミングが8秒であり、他の実験例に比べてやや劣る結果となっている。また、実験例5では、クランプまで達する燃焼もみられ、他の実験例と比べるとやや劣っている。尚、実験例5の2回目のフレーミングの記載がないのは、1回目でクランプまで燃え尽き、再度着火することができる試験片がないことを意味する。
Claims (6)
- イソシアネート末端プレポリマーを水を用いて架橋させてなる軟質ポリウレタンフォームであって、非ハロゲン系難燃剤及びアクリル樹脂を含有し、反発弾性率が20%以下であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
- 上記非ハロゲン系難燃剤が水酸化アルミニウムである請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
- 上記軟質ポリウレタンフォームを100質量%とした場合に、上記非ハロゲン系難燃剤の含有量が45〜80質量%である請求項1又は2に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
- 密度が200〜450kg/m3である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
- 上記イソシアネート末端プレポリマーの製造に用いられたポリオールの少なくとも一部が3官能以上のポリオールである請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
- 非イオン界面活性剤を含有する請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
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